説明

艶消し仕上げを有するフィルムを形成するシステム及び方法

艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステム及び方法。システムは、コーティングされた支持体を提供する手段を含み、コーティングされた支持体は、支持体に塗布された第1のコーティング可能材料を含み、コーティング可能材料はコーティングされた支持体の第1の主面を形成し、システムはさらに、第1のコーティング可能材料の粘度を第1の粘度から第2の粘度に変える手段を含み、システムはさらに、コーティングされた支持体の第1の主面上に艶消し仕上げを施すためにコーティングされた支持体の第1の主面に接触するように位置決めされた外面を有するフェイスサイドローラーを含み、そしてシステムはさらに、任意には、第1のコーティング可能材料を固化させる手段を含む。本発明の方法は、(1)支持体上に配置されたコーティング可能材料を含むコーティングされた支持体を用意し、コーティング可能材料がコーティングされた支持体の第1の主面を提供し;(2)コーティング可能材料の粘度を初期粘度から第2の粘度に変え;(3)艶消し仕上げを施すために、コーティングされた支持体の第1の主面を少なくとも1つのフェイスサイドローラーと接触させ;そして(4)任意には、コーティング可能材料を固化させることによりフィルムを提供する、工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティングされたフィルム上のパターン化仕上げが知られており、これらの仕上げは、キャリヤ層又は支持体と、支持体上に配置された材料(例えばコーティング可能材料)との相互作用を介して提供することができ、パターン化仕上げは、キャリヤ層が取り外されると形成される。乾燥技術を採用することにより、不連続のパターンを含む加熱された表面を有するロールを使用してパターン化仕上げを形成している。この表面は、コーティング可能材料、例えば硬化性樹脂などと接触すると、この材料の表面内部に、同時にこの材料を乾燥させながらパターンを形成する。結果として生じる物品は、ローラからのパターンを保持し、そしてコーティング可能材料は部分的又は完全に乾燥、固化、及び/又は硬化させられたままにされる。
【0003】
エンボス加工は、パターン化ローラを使用して、フィルムにテクスチャを与え、そしてフィルムの耐久性が問題にならない用途において極めてしばしば用いられる。エンボス加工は、例えば保護ディスプレイ用途のための艶消し硬質塗膜には通常使用されず、またこのような艶消し硬質塗膜の必要性には対応しない。パターン化フィルムはまた、先ず工具のパターン化表面上に流動可能でコーティング可能な材料(例えば樹脂)をコーティングすることにより形成されている。このパターンは、コーティング可能材料を受容するキャビティとして設けられているので、一旦固化又は部分硬化されると、耐久性のあるパターン化フィルムが提供される。しかしながら、パターン化された工具の作成及びメンテナンスは難しく高価である。
【0004】
艶消し仕上げを有するフィルムは、ビーズ又は粒子をコーティング可能材料、例えば樹脂又は高分子前駆体に加え、そして材料を裏当てに塗布することにより作成されている。固化又は硬化されると、材料は、粒子又はビーズが表面に物理的な不規則性を提供しているフィルムを形成し、結果として艶消し仕上げをもたらす。粒子又はビーズは、コーティング可能材料中に均質にブレンドされなければならず、また好適な仕上げを有するフィルムを提供するためには、材料の更なる処理(例えばポンピング、塗布、濾過、及び乾燥)が必要とされる。コーティング可能材料中にビーズ又は粒子を均一に分散し、そして結果としてのブレンドの均質性を維持することは難しい。完成物品には、点欠陥及び筋がしばしば見られ、また、コーティング可能材料をポンピングするだけでも、粒子に対する損傷を最小限にするために特別な設備が必要となることがある。粒子を満たされたコーティング可能材料は、乾燥過程に起因する斑点のようなパターンの形成を被りやすい。結果として生じる物品は典型的には、望ましくない光学特性を有する。光学用途における使用のために意図されたフィルムは、粒子の屈折率を、コーティング可能材料の屈折率と一致させるように調製しなければならない。コーティング可能材料もまた、粒度分布の制御を必要とする。仕上げフィルム内部の不所望な光散乱は、コーティング可能材料のバルクに対する粒子の屈折率のミスマッチに起因することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
艶消し仕上げを有するフィルムを製造するための新規のシステム及び方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1態様において、本発明は、艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステムであって、システムが:
コーティングされた支持体を提供する手段を含み、コーティングされた支持体が、支持体に塗布された第1のコーティング可能材料を含み、コーティング可能材料はコーティングされた支持体の第1の主面を形成し;
システムがさらに:
第1のコーティング可能材料の粘度を第1の粘度から第2の粘度に変える手段を含み、
システムがさらに:
コーティングされた支持体の第1の主面上に艶消し仕上げを施すためにコーティングされた支持体の第1の主面に接触するように位置決めされた外面を有するフェイスサイドローラーを含み;そして
システムがさらに:
任意には、第1のコーティング可能材料を固化させる手段を含む、
艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステム、を提供する。
【0007】
別の態様の場合、本発明は、
艶消し仕上げを有するフィルムを製造する方法であって、方法が:
支持体上に配置されたコーティング可能材料を含むコーティングされた支持体を用意し、コーティング可能材料がコーティングされた支持体の第1の主面を提供し;
コーティング可能材料の粘度を初期粘度から第2の粘度に変え;
艶消し仕上げを施すために、コーティングされた支持体の第1の主面を少なくとも1つのフェイスサイドローラーと接触させ;そして
任意には、コーティング可能材料を固化させることによりフィルムを提供する
ことを含む、艶消し仕上げを有するフィルムを製造する方法を提供する。
【0008】
さらに別の態様の場合、本発明は、艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステムであって、システムが:
初期粘度を有するコーティング可能材料で支持体をコーティングする第1のステーションを含み、コーティング可能材料と支持体とが、コーティング可能材料がコーティングされた支持体の第1主面を形成するコーティングされた支持体を形成し;
システムがさらに:
コーティング可能材料の粘度を初期粘度から第2の粘度に変える第2のステーションを含み;
システムがさらに:
艶消し仕上げを施すために、コーティングされた支持体の第1の主面に接触するように位置決めされた表面を有する少なくとも1つのフェイスサイドローラーを含む第3のステーションを含み;そして
システムがさらに:
コーティング可能材料を固化させる第4のステーションを含む、
艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステムを提供する。
【0009】
本明細書中に使用された種々の用語は、当業者によって知られているような通常の意味に従って定義されるものと理解される。ただし、下記の用語は、ここに示す意味を有するものと理解される。
【0010】
「ポリマー」という用語は、ポリマー、コポリマー(例えば2種又は3種以上のモノマーを使用して形成されたポリマー)、オリゴマー、及びこれらの組み合わせを含むものと理解される。ブロック及びランダムコポリマーの両方も、特に断りのない限り含まれる。
【0011】
「高分子材料」は、上記のポリマーと、他の有機又は無機添加剤、例えば抗酸化剤、安定剤、オゾン劣化防止剤、可塑剤、染料、UV吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、及び顔料とを含むものと理解される。
【0012】
「コーティング可能材料」は、表面上にコーティングされることが可能である非固形(例えば液体又はゲル様)材料を意味する。
【0013】
「フェイスサイドローラー」は、コーティング可能材料の表面に艶消し仕上げを施すために、コーティングされた支持体の表面に直接に接触する表面を含むローラ又はその他の機器を意味する。記載の実施態様は現実のローラを利用するが、フェイスサイドローラーは、例えば1つ又は2つ以上の駆動ローラ上に取り付けられて駆動ローラによって駆動されるベルトを含む、種々様々な形態のいずれかを含んでいてもよい。
【0014】
「光学的に透明」は、高レベル(例えば反射損に対して補正して>99%)の光透過率、及び低いヘーズ(例えば<1%)を可能にする、材料の透明性を意味する。
【0015】
「艶消し仕上げ」は、高い光沢又は艶を欠いている粗い又は顆粒状の表面仕上げを意味している。艶消し仕上げは、感触は滑らかではあるが、しかし、顕著な輝き又はハイライトが一般にない。
【0016】
「phr」という用語は、100重量部の高分子材料を有するコーティング用組成物中の成分の重量部単位を意味する。
【0017】
添付の図面及び添付の特許請求の範囲とともに、詳細な説明を含む開示内容の残りを考察すると、本発明の実施態様が当業者にはさらに明らかになる。
【0018】
本発明の実施態様を説明する際に、種々の図面を参照すると、図面では、符号が実施態様の記載の構成要件を示し、また同じ符号は同様の構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の1実施態様による、フィルム上に艶消し仕上げを提供するシステムを示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の第2実施態様による、フィルム上に艶消し仕上げを提供するシステムの一部を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施態様による、フィルム上に艶消し仕上げを提供するシステムの一部を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の第4実施態様による、フィルム上に艶消し仕上げを提供するシステムの一部を示す概略図である。
【図5】図5は、例1において記載されたフィルムの、コーティング厚みの関数としての光学透明度をプロットする図である。
【図6】図6は、例1において記載されたフィルムの、コーティング厚みの関数としてのヘーズをプロットする図である。
【図7】図7は、例1において記載されたフィルムの、コーティング厚みの関数としての60度光沢をプロットする図である。
【図8】図8は、50Xの倍率で撮影された本発明による物品の艶消し面の一部を示す顕微鏡写真である。
【図9】図9は、125Xの倍率で撮影された本発明による物品の艶消し面の一部を示す顕微鏡写真である。
【図10】図10は、例2において記載されたフィルムの、シリンダーニップ圧力の関数としての平均透明度をプロットする図である。
【図11】図11は、例2において記載されたフィルムの、シリンダーニップ圧力の関数としての平均ヘーズをプロットする図である。
【図12】図12は、例2において記載されたフィルムの、シリンダーニップ圧力の関数としての平均60度光沢をプロットする図である。
【図13】図13は、例3において記載されているようにブレンドされたコーティング可能材料の、温度の関数としての20秒-1のせん断速度における見かけ粘度をプロットする図である。
【図14】図14は、例3において記載されているフィルムの、見かけ粘度の関数としての平均透明度をプロットする図である。
【図15】図15は、例3において記載されているフィルムの、見かけ粘度の関数としての平均ヘーズをプロットする図である。
【図16】図16は、例3において記載されているフィルムの、見かけ粘度の関数としての平均60度光沢をプロットする図である。
【図17】図17は、例3及び例4のコーティング可能材料の、せん断速度の関数としての見かけ粘度をプロットする図である。
【図18】図18は、例4において形成されたフィルムの平均60度光沢を比較する棒グラフである。
【図19】図19は、例4において形成されたフィルムの平均透明度を比較する棒グラフである。
【図20】図20は、例4において形成されたフィルムの平均ヘーズを比較する棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、艶消し仕上げを有するフィルムを製造するシステム及び方法を提供する。艶消し仕上げフィルムを製造する方法において、支持体又は裏当て上にコーティング可能材料を含むコーティングされた支持体を用意する。いくつかの実施態様の場合、コーティングされた支持体は予め調製され、予め調製されたコーティングされた支持体はこの製造過程に「そのままの状態で」導入される。いくつかの実施態様の場合、コーティングされた支持体は、製造過程全体の一部として製造され、この製造過程中に、コーティング可能材料を支持体に塗布(コーティング)することにより、コーティングされた支持体を提供する。支持体上にコーティング可能材料を担持し、そしてコーティング可能材料の粘度を第1の又は初期粘度から第2の粘度に変えるように、コーティング可能材料を処理する。いくつかの実施態様の場合、第1の粘度は第2の粘度よりも低いので、コーティング可能材料は、増粘又は部分硬化されることにより変化させられる。いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料は、第2の粘度よりも高い初期粘度を有してよいので、コーティング可能材料の粘度を変化させると、コーティング可能材料の少なくとも多少の軟化が必要になることがある。一旦コーティング可能材料の粘度が第2の粘度になると、次いで材料はフェイスで圧力を加えられることにより、材料に艶消し仕上げを施す。コーティング可能材料の艶仕上げは、任意にはさらに固化、硬化、又は凝固されてよく、その結果としてのフィルムは別の処理ステーション、例えば切断ステーション、又は巻き上げロールに搬送することができる。本発明の方法において有用なコーティング可能材料は一般に、ビーズ、粒子、又はその他の艶消し剤を添加することなしに調製することができる。加えて、艶消し仕上げを施すために高価な工具が必要とならない。
【0021】
種々の図面をここで参照すると、本発明の実施態様が示されており、以下にこれらについて説明する。図1は、本発明による製造方法を実施することができるコーティングシステム20の1実施態様を示す概略図である。コーティングされた支持体を用意する手段は、システム20内部のコーティング過程を含む。図示の実施態様の場合、コーティングされた支持体は、システム20内部の製造過程の一部として製造される。コーティングされていない支持体22がソース(図示せず)、例えば押し出し機、又は供給ロールなどからシステム20内に供給される。支持体22はコーティングされていない状態で第1のステーション24に搬送されるが、但しその少なくとも一方の表面上で下塗りされてもよく、そして第1のステーション24に移動し、第1のステーション24で、支持体はバックアップロール26によって引き取られるので、支持体22の一方の主面は、支持体22にシステム20中を前進させるためのバックアップロール及びアイドラローラ32と接触する。支持体22の他方の主面はコーティング可能材料を受け取ることにより、コーティングされた支持体30を提供する。
【0022】
本発明の実施態様の場合、コーティングされた支持体を用意する手段は、裏当ての主面上にポリマー塗膜を含むコーティングされる前の支持体源を含んでいてよい。コーティングされる前の支持体は、第1のステーション24を介した付加的な塗布工程を必要とすることなしに、供給ロール(図示せず)からシステム20内に直接に供給されてよい。このような実施態様の場合、コーティングされる前の支持体は、下で説明するように、任意の第2のステーション、又は第3のステーションなどの中に導かれてよい。
【0023】
可撓性材料、例えば織布材料、編成材料、フィルム(例えば高分子フィルム)、不織布、金属シート、金属フォイル、及びガラスなどを含む種々様々な材料のうちのいずれも、支持体22として使用するのに適している。最終フィルム製品が、光学用途、例えば光学ディスプレイ用途に使用するように意図されているいくつかの実施態様の場合、支持体材料は、意図された用途のための所望の光学特性及び機械特性に或る程度基づいて、選択されることになる。機械特性は、可撓性、寸法安定性、及び耐衝撃性を含むことができる。いくつかの実施態様の場合、光学的に透明な材料(例えば透明)が望ましい場合がある。好適な光学的に透明な材料の例は、光学的に透明なポリエステルフィルム、トリアセテート(TAC)フィルム、ポリエチレンナフタレート、ポリカルボネート、セルロースアセテート、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリオレフィン、例えば二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)、及び同時二軸延伸ポリプロピレン(S−BOPP)を含む。支持体22は、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、及びエポキシなどを含んでよい。
【0024】
支持体22の厚さは様々であってよく、典型的には、最終物品の所期用途に依存する。いくつかの実施態様の場合、支持体厚は約0.5mm未満であり、典型的には約0.02〜約0.2mmである。高分子支持体材料は、従来のフィルム製造技術(例えば押し出し、及び押し出されたフィルムの任意の一軸又は二軸延伸)を用いて形成することができる。支持体22は、支持体とコーティング可能材料層との間の付着状態を改善するように処理することができる。このような処理の例は、化学処理、コロナ処理(例えば空気又は窒素コロナ)、プラズマ、火炎、又は化学線を含む。層間付着は、支持体22及び/又はコーティング可能材料に塗布された任意のつなぎ層又はプライマーを使用することによって改善することもできる。
【0025】
完成物品がディスプレイパネルにおける使用のために意図されている場合、支持体22は典型的には光透過性であり、すなわち、光は支持体22を透過することができるので、ディスプレイを見ることができる。好適な光透過性の光学フィルムの一例としては、多層光学フィルム、微細構造フィルム、例えば逆反射シート及び輝度向上フィルム(例えば反射又は吸収)、偏光フィルム、拡散フィルム、並びに2004年1月29日付けで出願された米国特許出願公開第2004/0184150号明細書(この開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する)に記載されているような(例えば二軸)位相差フィルム及び補償フィルムが挙げられる。
【0026】
米国特許出願公開第2003/0217806号明細書(この開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する)に記載されているように、多層光学フィルムは、異なる屈折率を有するミクロ層の配置によって、少なくとも部分的に、所望の透過及び/又は反射特性を提供するフィルムである。ミクロ層のそれぞれは、複数のこのような界面で反射する光が、フィルムにその反射又は透過特性を与えるための建設的又は相殺的干渉を受けるのに十分に薄い。紫外、可視、又は近赤外波長を反射するように設計された光学フィルムの場合、それぞれのミクロ層は一般に、約1ミクロン未満の光学厚さ(すなわち物理的厚さをその屈折率で掛け算したもの)を有している。より厚い層、例えばフィルム外面のスキン層、又はミクロ層パケットを分離する、フィルム内部に配置された保護境界層を含むこともできる。多層光学フィルム本体は、積層体内の2枚又は3枚以上の多層光学フィルムを結合するために、1つ又は2つ以上の厚い接着層を含むこともできる。
【0027】
多層光学フィルムの反射及び透過特性は、それぞれのミクロ層の屈折率と関数関係にある。各ミクロ層は、面内屈折率nx、ny及びフィルムの厚さ方向軸と関連する屈折率nzによって、フィルム内の少なくとも局所的な位置において特徴付けることができる。これらの屈折率は、互いに直交するx、y、及びz軸に沿って偏光する光に対する対象材料の屈折率を表す。実際には、屈折率は、賢明な材料選択及び処理条件によって制御される。好適なフィルムは、2種の交互のポリマー(ポリマーA,B)から成る複数の層、典型的には数十層又は数百層を同時押し出しし、続いて任意には多層押し出し物を1つ又は2つ以上の増倍ダイに通し、次いで最終フィルムを形成するために押し出し物を延伸又はその他の形式で配向することにより、好適なフィルムを形成することができる。結果として生じるフィルムは、複数(例えば数十又は数百)のミクロ層から成っており、これらの厚さ及び屈折率は、所望のスペクトル領域、例えば可視領域又は近赤外領域内の1つ又は2つ以上の反射バンドを提供するように調整される。
【0028】
高分子多層光学フィルムの製作に際して使用することができる材料例は、国際公開第99/36248号パンフレット(Neavin他)に見いだすことができる。この開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する。望ましくは、これらの材料の少なくとも1種は、大きい絶対値を有する応力光学係数を備えたポリマーである。換言すれば、ポリマーは好ましくは、延伸されると、大きい複屈折(少なくとも約0.05、より好ましくは少なくとも約0.1、又は0.2)を生じさせる。多層フィルムの用途に応じて、複屈折は、フィルム平面内の2つの直交する方向間、1つ又は2つ以上の面内方向とフィルム平面に対して垂直の方向との間、又はこれらの組み合わせにおいて引き起こすことができる。未延伸ポリマー層間の等方性屈折率が大きく隔たっている特殊な事例では、ポリマーのうちの少なくとも1種における大きい複屈折への選好を緩和することができるが、複屈折はなおもしばしば望ましい。このような特殊な事例は、2つの直交する面内方向にフィルムを引張る二軸法を用いて形成されるミラーフィルム及び偏光フィルムのためのポリマーを選択する際に生じ得る。さらに、ポリマーは望ましくは、延伸後に複屈折を維持することができるので、所望の光学特性が完成フィルムに与えられる。多層フィルムの他の層のためには、完成フィルムにおいて第2のポリマーの屈折率が、少なくとも1つの方向で、その同じ方向における第1のポリマーの屈折率とは著しく異なるように、第2のポリマーを選ぶことができる。便宜上、フィルムは、唯2種の区別可能なポリマー材料を使用して、そして押し出し過程中にこれらの材料を交互に配置することにより交互の層A,B,A,B,などを生成することによって製作することができる。しかし、唯2種の区別可能なポリマー材料を交互に配置することが必要というわけではない。それどころか、多層光学フィルムの各層は、フィルム内の他のどこにも見いだされない独自の材料又はブレンドから成ることができる。好ましくは、同時押し出しされたポリマーは、同じ又は同様の溶融温度を有している。
【0029】
十分な屈折率差及び十分な層間接着の両方を提供する2ポリマーの組み合わせの例は:(1)主として一軸延伸を伴う工程を用いて形成される偏光多層光学フィルムの場合、PEN/coPEN、PEN/coPET、PET/sPS、PEN/Eastar(登録商標)ポリエステル及びPET/Eastar(登録商標)ポリエステル{「PEN」はポリエチレンナフタレートを意味し、「coPEN」はナフタレンジカルボン酸を基剤とするコポリマー又はブレンドを意味し、「PET」はポリエチレンテレフタレートを意味し、「coPET」は、テレフタル酸を基剤とするコポリマー又はブレンドを意味し、「sPS」は、シンジオタクチックポリプロピレン及びその誘導体を意味し、そしてEastar(登録商標)は、Eastman Chemical Co.から商業的に入手可能なポリエステル又はコポリエステル(シクロヘキサンジメチレンジオール単位とテレフタレート単位とを含むと考えられる)の商品名である};(2)二軸延伸法の工程条件を操作することにより形成される偏光多層光学フィルムの場合、PEN/coPEN、PEN/PET、PEN/PBT、PEN/PETG及びPEN/PETcoPBT{「PBT」はポリブチレンテレフタレートを意味し、「PETG」は第2グリコール(通常、シクロヘキサンジメタノール)を採用するPETのコポリマーを意味し、そして「PETcoPBT」は、テレフタル酸又はそのエステル、及び、エチレングリコールと1,4−ブタンジオールとの混合物のコポリエステルを意味する};(3)ミラーフィルム(有色ミラーフィルムを含む)の場合、PEN/PMMA、coPEN/PMMA、PET/PMMA、PEN/Ecdel(登録商標)熱可塑性ポリエステル、PET/Ecdel(登録商標)熱可塑性ポリエステル、PEN/sPS、PET/sPS、PEN/coPET、PEN/PETG、及びPEN/THV(登録商標)フルオロポリマー{「PMMA」はポリメチルメタクリレートを意味し、Ecdel(登録商標)は、Eastman Chemical Co.から商業的に入手可能な熱可塑性ポリエステル又はコポリエステル(シクロヘキサンジカルボキシレート単位と、ポリテトラメチレンエーテル単位と、シクロヘキサンジメタノール単位とを含むと考えられる)の商品名であり、そしてTHV(登録商標)は、ミネソタ州St. Paul在3M Companyから商業的に入手可能なフルオロポリマーの商品名である}、を含む。
【0030】
好適な多層光学フィルム及び関連構造の更なる詳細は、米国特許第5,882,774号明細書(Jonza他)、及び国際公開第95/17303号パンフレット(Ouderkirk他)及び同第99/39224号パンフレット(Ouderkirk他)に見いだすことができる。これらの開示内容全体を参考のため本明細書中に引用する。高分子多層光学フィルム及びフィルム本体は、これらの光学特性、機械特性、及び/又は化学特性のために選択された付加的な層及び被覆物を含むことができる。高分子フィルム及びフィルム本体は、無機層、例えば金属又は金属酸化物の被覆物又は層を含むこともできる。
【0031】
他の実施態様の場合、支持体22は、種々の非高分子材料、例えばガラス、金属シート、紙、編成材料、又は布地などのうちのいずれかを含むか、又はこれから成っていてよい。
【0032】
言うまでもなく、第1のステーション24は、コーティングされた支持体30を形成するためにコーティング可能材料を支持体22に塗布する手段を提供し、コーティングされた支持体30において、コーティング可能材料は、支持体と接触する第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有している。図1に示された実施態様の場合、支持体22は、連続した、又は切られていない材料として提供される。他の実施態様では、支持体は、不連続形態で、又は個々の小片の形態で(例えば特定の用途に適するように予め切られた又は予め作られた形態で)提供されてよい。
【0033】
第1のステーションには、図1の実施態様と関連して、ダイコーティング装置、例えば押し出しダイが設けられているが、他の塗布法も考えられ、これらの方法は当業者の技術範囲に含まれる。言うまでもなく、ダイコーティングの利用は一例に過ぎず、他のコーティング法、例えばスライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、流体軸受けコーティング、及びスプレーコーティングなども等しく好適であり得る。同一譲受人による米国特許第5,639,305号明細書(開示内容の全体を参考のため本明細書中に引用する)に概ね記載されているタイプのダイコーティング機が、本発明による艶消し仕上げフィルムの製造に適している。加えて、本発明に従って支持体を塗布する際に、ピックアンドプレース装置、インクジェット技術、及びスプレーコーティング技術が採用されてもよい。好適なピックアンドプレース装置は、例えば米国特許第6,737,113号;同第6,878,408号;同第6,899,922号;及び同第6,969,540号の各明細書に記載されている。これらの開示内容の全体を参考のため本明細書中に引用する。
【0034】
コーティング可能材料は、支持体22上に計量分配されると、第1の又は初期粘度を有し、そして支持体22の表面と接触状態になる。コーティング可能材料の反対側の表面は、コーティングされた支持体の第1の主面を形成する。コーティング可能材料の粘度を第1の又は初期粘度から第2の粘度に変化させるための手段が提供される。いくつかの実施態様の場合、粘度を変える手段は、コーティング可能材料の粘度を、より低い第1の粘度(例えば液体、ペースト、又はゲルのような材料)から、より高い第2の粘度(例えば部分硬化され、増粘され、或る程度固化された固体)へ高くするための手段を含む。他の実施態様の場合、粘度を変える手段は、コーティング可能材料の粘度を、より高い第1の粘度から、より低い第2の粘度へ低くするための手段を含む。
【0035】
コーティングされた支持体が、本明細書に記載された工程の残りに先立って調製されるか又は得られる(コーティングされる前の支持体の形態で供給される)実施態様の場合、コーティング可能材料は既に支持体上に配置されており、また恐らくは既に、部分硬化、増粘、又は半固化状態にある。これらの実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を変える手段は、本明細書中に記載されているように、コーティング可能材料を軟化させ、そしてフェイスサイドローラーによる処理のためにコーティングされた支持体の第1の面を調製するように、コーティング可能材料の粘度を低くする手段を含んでいてよい。このような実施態様の場合、コーティングされる前の支持体は、コーティング可能材料上に艶消し仕上げを施すためのフェイスサイドローラーによる処理前に、コーティング可能材料を軟化させるように処理することができる。コーティングされた支持体の軟化は、任意の好適な形式、例えば加熱によって達成することができる。
【0036】
図1のシステム20において、コーティングされた支持体30は、アイドラローラ32を介して、第2のステーション34に搬送される。第2のステーション34では、コーティングされた支持体は、コーティング可能材料の粘度を、初期又は第1の粘度から第2の粘度へ高くすることにより粘度を変えるための条件に曝され、第2の粘度は初期粘度よりも高い。本発明の実施態様の場合、コーティング可能材料は、最初に支持体に塗布されたときには、典型的には液状又はゲルに類似であり、また支持体22の主面上に材料の液状又はゲルのような膜を形成するように流動可能であるか又は広げることができる。コーティング可能材料は、少なくとも1種の硬化性成分を含んでいてよい。
【0037】
いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料は少なくとも1種の溶媒を含み、そしてコーティング可能材料は支持体22に直接に塗布される。他の実施態様では、コーティング可能材料は、無溶媒(例えば100%固形分)であってよく、コーティング可能材料はローラに塗布され、次いで支持体22に移される。
【0038】
第2のステーション34は、コーティング可能材料の粘度を変える手段を提供する。図示の実施態様の場合、粘度を変える手段は、コーティング可能材料の粘度を高くする手段である。コーティング可能材料が少なくとも1種の溶媒を含む実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を高くする手段は、熱源、例えば炉、又は加熱素子などの形態で提供されてよい。コーティング可能材料は、溶媒を取り出し、且つ/又はコーティング可能材料中の少なくとも1種の成分を部分硬化させるのに十分な高温に曝される。第2のステーション34内にある間、コーティング可能材料の粘度は、本明細書中に記載されているように、更なる処理に耐えるのに十分にコーティング可能材料を固化させ、乾燥させ、且つ/又は硬化させるために、第2の粘度又はこれよりも高い粘度まで高められる。第2のステーション34の正確な温度は、コーティング可能材料の組成、コーティング可能材料が第2のステーション34を出た後のコーティング可能材料の所期濃度、及びステーション34内部のコーティングされた支持体滞留時間に依存することになる。
【0039】
いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料は重合性材料であってよく、この重合性材料において、重合反応は電磁波を適用することによって開始される。これらの実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を高くする手段は、電磁波、すなわち紫外(UV)線、赤外(IR)線、X線、ガンマ線、又は可視光などのソースを含んでいてよい。いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を高くする手段は、電子ビーム(eビーム)を含み、そしてコーティング可能材料は、eビームに当てられると硬化可能であるか又はその他の形で固化させる。コーティング可能材料の粘度を変える手段が、コーティング可能材料を第1の粘度から第2の粘度まで加熱又は冷却するための温度制御を伴う本発明の実施態様の場合、種々様々なメカニズムが考えられる。いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を変える手段は、温度制御されたチャンバ又は炉であり、このチャンバ又は炉を、コーティング可能材料の粘度を調節するために、コーティングされた支持体が通過する。他の実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を変える手段は、コーティングされた支持体がシステム20を通って進むのに伴ってコーティングされた支持体30に接触する、温度制御されたロールを含む。いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を変える手段は、複数の温度制御されたローラを含む。他の実施態様の場合、コーティング可能材料の粘度を変える手段は、温度制御されたガスのソースを含んでいてよい。さらに他の実施態様の場合、第1のコーティング可能材料の粘度を変える手段は、温度制御された液体を含む。
【0040】
いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料は、冷却によって固化され得る無溶媒(例えば100%固形分)の組成物として、支持体に塗布される。さらに、コーティング可能材料は最初に加熱することによりその初期粘度を低減し、これにより、支持体22上へのコーティング可能材料の最初の塗布を容易にすることができる。その後、コーティングされた支持体30を冷却することにより、コーティング可能材料の粘度を高くすることができる。
【0041】
他の実施態様の場合、コーティング可能材料は、許容し得る第2の粘度を得るために、加熱又は冷却を必要としないことがある。いくつかのシステムにおけるいくつかのコーティング可能材料の場合、周囲条件下で空気中にコーティングされた支持体を曝すことで、本明細書に記載されているように、更なる処理を可能にするためにコーティング可能材料を固化させるのに十分である。
【0042】
図1のシステム20を再び参照すると、コーティングされた支持体30は第2のステーション34から第3のステーション36へ搬送される。第3のステーション36では、コーティング可能材料の第2の主面が1つ又は2つ以上のフェイスサイドローラー38に直接に接触する。図1に示された実施態様の場合、フェイスサイドローラーは3つのローラ38a,38b,38cを含む。言うまでもなく、これよりも少ないフェイスサイドローラー(例えば2つ以下)又は追加のフェイスサイドローラー(例えば4つ又は5つ以上)が第3のステーション36内部に含まれていてもよい。コーティングされた支持体30はフェイスサイドローラー38の周りで、本明細書中でさらに説明するように、コーティング可能材料の第2の主面上に艶消し仕上げを生成するのに十分な張力に維持される。
【0043】
艶消し仕上げを達成する際には、コーティング可能材料は第2の粘度になる。この第2の粘度において、コーティング可能材料は、フェイスサイドローラー38に押しつけられたときには、コーティング可能材料が最初に押し出しダイ28によって計量分配されたときほどには、変形しやすくない。適切な環境(例えば光、電磁波、温度、湿度など)中にあれば、コーティング可能材料は、フェイスサイドローラー38によって前駆体の第2の主面に仕上げを施すことができない程度まで、過度に固化されることはない。フェイスサイドローラー38は、例えば鋼、アルミニウム、クロムめっき鋼、エラストマー、又はエラストマー被覆されたロール、例えばニトリルゴムの表面を備えたローラ、木材、ポリマー、セラミック、及びプラスチックなどを含む多様な材料から形成された種々のローラのいずれかから選択することができる。本発明の実施態様において、フェイスサイドローラーの表面は比較的平滑であり、そのトポグラフィにおいて際立った特徴がない。しかしいくつかの実施態様の場合、フェイスサイドローラー38は、コーティング可能材料の第2の主面上に非ランダムなパターン及びトポグラフィを与えるためのデザインパターン又はその他の識別可能な表面特徴を含んでいてよい。しかしながら、このような付加的な特徴は、所望の艶消し仕上げを施すことに典型的には関与しない。図1に示されているように、フェイスサイドローラー38は、フェイスサイドローラーとコーティングされた支持体の主面との間の接触を容易にするように位置決めされている。
【0044】
いくつかの実施態様では、フェイスサイドローラー38を加熱することができるので、コーティング可能材料も、ローラ38に接触するのに伴って加熱される。他の実施態様の場合、フェイスサイドローラー38は冷却するか又は冷ますことができるので、コーティング可能材料も、ローラ38の表面に接触するのに伴って冷却されるか又は冷まされる。
【0045】
特定の理論に束縛されたくはないが、コーティング可能材料の第2の主面と、フェイスサイドローラーの顕著な特徴のない表面との相互作用によって、第2の主面に艶消し仕上げが施されると考えられる。この場合、コーティング可能材料は、前駆体材料の一部がフェイスサイドローラーの表面に付着するのに十分な粘着力を有している。工程中のこの時点では、コーティング可能材料は、第2のステーション34における条件に曝されているので、前駆体は凝集性があり、流動しにくく、そしてフェイスサイドローラーに押しつけられたときに、フェイスサイドローラー38の表面に過度に移ることはなく、又は過度に変形することもない。しかし、コーティング可能材料の第2の主面の最外層は、フェイスサイドローラーに付着し、そして次いでこれから離れることにより、拡大下で詳細に見ることができる艶消し仕上げを施すのに十分な表面トポグラフィを形成する。
【0046】
やはり特定の理論に拘束されたくはないが、いくつかの実施態様の場合、僅かな容積のコーティング可能材料が最初に、フェイスサイドローラー38に付着することがある。コーティング可能材料がフェイスサイドローラーによって引き取られる率とほぼ同じ率で、コーティング可能材料がフェイスサイドローラー38から持続的に離れるのに伴って、定常状態が典型的に達成される。換言すれば、コーティングされた支持体30の到来するセグメントは、コーティングされた支持体の上流セグメントからの同じコーティング可能材料で前に湿潤されたフェイスサイドローラーに接触するコーティング可能材料を含んでいる。コーティング可能材料セグメントがフェイスサイドローラーに接触するのに伴って、このセグメットは、ローラに既に堆積されたコーティング可能材料のうちのいくらかを引き取る。同じコーティングされた支持体セグメントがフェイスサイドローラーを出発するのに伴って、コーティングされた支持体上のコーティング可能材料の表面層の一部は分裂するので、コーティング可能材料のいくらかがフェイスサイドローラー上に残るものの、支持体上に残るコーティング可能材料の正味量は平均して、フェイスサイドローラーに到来するコーティング可能材料の量に等しい。
【0047】
本発明の方法は、フェイスサイドローラーの表面特徴をそのまま再現することなしに、艶消し仕上げを提供し、また本発明の方法は、従来のエンボス加工法ではない。顕微鏡検査中に行われた、フェイスサイドローラーの表面と、コーティング可能材料の第2の主面上に結果として生じた艶消し仕上げとの比較は、フェイスサイドローラー表面と、結果として生じた艶消し仕上げとが、互いの鏡像ではないことを実証する。
【0048】
コーティングされた支持体30は、フェイスサイドローラー38によってその表面に艶消し表面仕上げが施された状態で、第3のステーション36を出る。コーティング可能材料をさらに固化させる手段が、任意の第4のステーション40の形態で提供される。第4のステーションでは、コーティングされた支持体30は、コーティング可能材料を固化又は硬化させるための条件に曝される。第4のステーション40は、コーティング可能材料がこのような処理を必要としない場合がある点で任意である。
【0049】
図1に示されたシステム20において、第4のステーション40は、熱源又は電磁波源、例えば紫外(UV)線、赤外(IR)線、可視光、X線、ガンマ線、又はeビームなどのソースであってよいソース42を含んでいる。いくつかの実施態様の場合、第4のステーションは、コーティング可能材料を熱硬化させることができる炉である。他の実施態様では、第4のステーションは、コーティング可能材料内部の硬化反応を開始することができる輻射線源である。さらに他の実施態様の場合、第4のステーション40は、任意には、当業者に知られた強制空気乾燥又はその他の特徴を伴う、熱硬化と輻射線硬化との組み合わせを含んでよい。さらに他の実施態様の場合、第4のステーションは、複数の個々のステーション又はソース42と同様又は類似の複数のソース42を含んでよい。いくつかの実施態様の場合、第4のステーション40は、第2のステーション34(例えば加熱又は冷却)によって施されたのと同じタイプの処理を施すように構成されていてよい。任意の偏向体又はシールド44が、ソース42から発せされた熱又は輻射線を偏向させ、これを、コーティングされた支持体30上のコーティング可能材料に向ける。
【0050】
いくつかの実施態様の場合、コーティング可能組成物を固化させる手段は、例えばコーティング可能材料内部のラジカル重合過程が完了に向かって進んでいる間に、周囲条件に曝すことを含む。
【0051】
固化に続いて、コーティングされた支持体30は別のステーション(図示せず)、例えば、連続したコーティングされた支持体を切断して小さな不連続の区分にするための切断ステーションに搬送される。或いは、コーティングされた支持体は、巻き上げステーションに導かれてもよく、この巻き上げステーションにおいて、連続したコーティングされた支持体は例えば巻き取りロール上に巻き上げられる。最終物品の用途に応じて、他の処理ステーション(例えば包装ステーション)がシステム20内に含まれてよい。
【0052】
本発明は、1つ又は2つ以上のフェイスサイドローラーとの接触を介して、コーティング可能材料から形成された艶消し仕上げを有するフィルムなどを提供する。本発明は、最初は流動可能、低粘度であるコーティング可能材料を使用した艶消し仕上げ光学フィルムなどの製造を可能にする。さらに、このような流動可能、低粘度のコーティング可能材料の使用は、好適な支持体上にコーティングされた薄膜を有する物品の製造を可能にする。いくつかの実施態様の場合、結果として生じる薄膜は、少なくとも1ミクロン厚である。いくつかの実施態様の場合、結果として生じる薄膜は、支持体の上側に約1ミクロン〜約10ミクロンの厚さを備えている。さらに他の実施態様の場合、結果として生じる膜のコーティング厚みは、約10ミクロンよりも大きい。
【0053】
前記実施態様の場合、複数のフェイスサイドローラー38は、全て本発明の範囲に含まれるものと考えられる、他の配置及び形態を成して提供することができる。種々のフェイスサイドローラー配置(これらの実施態様に関しては下で論じる)は、最終艶消し仕上げの特性を変えることができる。加えて、第3のステーション36内部のコーティングされた支持体の温度を制御することにより、最終艶消し仕上げに影響を与えることもできる。製造過程のこの段階においてコーティングされた支持体の熱制御することにより、前述のようなフェイスサイドローラー38上のコーティング可能材料の粘度及びコーティング可能材料の挙動にさらに影響を与えることができる。ここでは、コーティングされた支持体上のコーティング可能材料の表面層の一部は分裂し、この場合、コーティング可能材料のいくらかがフェイスサイドローラー上に残るものの、コーティング可能材料の正味量が支持体上に残る。コーティング可能材料を固化させる手段は、例えばコーティングされた支持体30も加熱されるようにフェイスサイドローラーを加熱することによる、第3のステーション36の加熱又は冷却を含むことができ、ひいては、コーティング可能材料の特性(例えば粘度)、及びコーティング可能材料の表面がフェイスサイドローラーと支持体との間で分裂する方法を変えることができる。コーティングされた支持体がフェイスサイドローラーと相互作用する方法を変えることにより、艶消し仕上げの品質及び/又は特性(例えば光学特性)を変えることもできる。
【0054】
いくつかの実施態様の場合、フェイスサイドローラー及びコーティングされた支持体の両方は、コーティング可能材料がフェイスサイドローラーに曝されるのに伴って、コーティング可能材料の粘度に影響を与えるように、加熱又は冷却条件に曝される。第3のステーション36の熱制御は、ステーション内部の雰囲気の加熱/冷却を可能にするように第3のステーション36を密閉することにより達成することができる。
【0055】
他の実施態様の場合、フェイスサイドローラー及び/又はバッキングローラーを直接に加熱又は冷却することによって、フェイスサイドローラー38を熱制御することができる。このような加熱又は冷却は、第1のコーティング可能材料の粘度を変えるために、周知の形式(例えば加熱コイルを使用すること、又は流体がローラを循環するようにすることによる)で達成することができる。第3のステーション36及び/又はフェイスサイドローラー38の熱制御のための他の装置は、当業者の技術範囲に含まれる。
【0056】
いくつかの実施態様の場合、フェイスサイドローラー38上のコーティング可能材料(例えば樹脂)が周囲光のもとで固化する(例えば重合する)のを防止するために、システム20全体を密閉することができる。このような密閉状態は、光又はその他の電磁波の透過を遮断する一方、過程を見やすくするのに十分に透明であるように構成されたシュラウドの形態で提供することができる。いくつかの実施態様において、密閉手段又はシュラウドは、フェイスサイドローラー上の汚染をさらに最小限にするためにパージする(例えば濾過ガスによって)ことができるように形成されていてよい。さらに、コーティング可能材料として重合性材料を採用するシステムでは、パージガスは時期尚早の硬化を防止するように選ばれる。密閉手段は、揮発された又はエアロゾル分散された塗布用材料を捕集するように装備されていてもよい。
【0057】
「クリーン」な環境において前記過程の作業を行うことは、例えばコーティング可能材料中の1種又は2種以上の漂遊粒子に起因する被覆材内の欠陥形成を防止するために望ましいことがある。望ましくない粒子は、コーティングされたフィルムとフェイスサイドローラーとの間の所期接触状態を乱し、ひいては、粒子の近くで「点」欠陥を形成するおそれがある。
【0058】
図2を参照すると、本発明によるフェイスサイドローラーの配置に関する別の実施態様が概略図で示されている。図2では、単一のフェイスサイドローラー138が、支持体122上に配置されたコーティング可能材料に艶消し仕上げを提供する。フェイスサイドローラー138は、第3のステーション36内部のフェイスサイドローラー38a,38b及び38cの代わりに、図1に示されたシステム20内に挿入されていてよい。
【0059】
別の実施態様の場合、例えば図3に示されているように、より多くのフェイスサイドローラーを使用することができる。図示の実施態様において、支持体222上に配置されたコーティング可能材料上に艶消し仕上げを施すために、6つのフェイスサイドローラー238a〜fが使用される。図示の配置では、フェイスサイドローラー238は、それぞれ3つのローラから成る2つの群に分けられる。ローラ238a〜cは第1のフェイスサイドローラー群であり、またローラ238d〜fは第2のフェイスサイドローラー群である。アイドラローラ232は、2つのフェイスサイドローラー群の間でコーティングされた支持体222を案内する。再び図1のシステム20を参照すると、第3のステーション36内のフェイスサイドローラー38a〜cの代わりに、図3の複数のフェイスサイドローラー238をシステム20内に導入することができる。
【0060】
フェイスサイドローラーの他の組み合わせも考えられる。別の実施態様では、例えば図4に示すようなニップ構造を用いて、フェイスサイドローラーをコーティング可能材料の第2の面と接触させることができる。この実施態様の場合、フェイスサイドローラー338がバッキングローラー346と対を成している。フェイスサイドローラーは、バッキングローラー346に担持されているコーティングされた支持体322上のコーティング可能材料の第2の面に接触している。コーティングされた支持体322は、フェイスサイドローラー338とバッキングローラー346との間で搬送され、この場合、バッキングローラーはフェイスサイドローラー346に対して動かすことができ、これにより、コーティングされた支持体322上のコーティング可能材料の第2の面をフェイスサイドローラー338と接触させ、また、第2の面がフェイスサイドローラー338に保持されるときの力を調節する。図4の実施態様の場合、フェイスサイドローラー338に対するコーティングされた支持体322の位置を制御するために、アクチュエータ348が設けられている。アクチュエータ348は、例えば空気圧式、液圧式、圧電式、電気機械式などを含む任意の適切な構成を有することができる。このように、アクチュエータ348を介して、フェイスサイドローラー338に圧力が制御された状態で加えられる。
【0061】
言うまでもなく、バッキングローラー346と対を成すフェイスサイドローラー338のニップ構造は、図1〜3に関して既に論じた実施態様を含む、フェイスサイドローラー338の他の形態と組み合わせることができる。ニップ構造は、第4ステーション40内で提供されるような最終固化又は硬化を達成するのに十分な条件にコーティング材料を曝す前に、フェイスサイドローラー38Cから供給されたコーティングされた支持体を受け取るように、図1のシステム20内部に構成することができる。同様に、フェイスサイドローラー138を去るコーティングされた支持体122が例えば図4のニップ構造を経由するように、フェイスサイドローラー338及びバッキングローラー346を図2のフェイスサイドローラーと組み合わせることもできる。同様に、フェイスサイドローラー238aを去るコーティングされた支持体222が例えば図4のニップ構造を経由するように、フェイスサイドローラー338及びバッキングローラー346を図3のフェイスサイドローラーと組み合わせることもできる。或いは、図4に示されているものと同様の単一又は複数のニップ構造が、任意の数のフェイスサイドローラー及び配置に先行するか、又はその間に位置していてもよい。
【0062】
本発明の実施態様において、所望の仕上げを形成するのに際して、複数(2つ又は3つ以上)のフェイスサイドローラーが採用される。いくつかの実施態様において、複数のフェイスサイドローラーは、変動する直径を有している。これらの実施態様のいくつかでは、フェイスサイドローラーのそれぞれは、異なる直径を有することになる。他のフェイスサイドローラー配置が当業者には明らかであり、全てのこのような配置が本発明の範囲に含まれると考えられる。各フェイスサイドローラーの周りの支持体及び塗膜の巻き付け角は、種々異なるレベルの艶消し仕上げ及び光学特性を与えるために、当業者によって変えることもできる。
【0063】
本発明の別の態様の場合、艶消し仕上げを有するフィルムを提供する方法が提供される。この方法は、支持体上にコーティング可能材料を含むコーティングされた支持体を用意することを含む。いくつかの実施態様において、この用意工程は、本明細書中に記載されたシステム中に直接に供給することができる前塗布された支持体を提供することを含む。他の実施態様の場合、用意工程は、支持体上にコーティング可能材料を塗布することによってコーティングされた支持体を形成するステップを含む。コーティング可能材料は初期粘度を有し、コーティング可能材料と支持体とはコーティングされた支持体を形成し、このコーティングされた支持体において、コーティング可能材料は、支持体の第1の主面と接触する第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有する。一旦コーティングされた支持体が提供されると、本発明の方法は、コーティング可能材料の粘度を初期粘度から第2の粘度に変え;艶消し仕上げを施すために、コーティング可能材料の第2の主面を少なくとも1つのフェイスサイドローラーと接触させ;そして、任意には、コーティング可能材料を硬化させることにより艶消し仕上げを有するフィルムを提供することを含む。
【0064】
本発明における使用に適したコーティング可能材料は、種々のフィルム形成材料のうちのいずれを含んでいてもよい。いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料は、溶媒中の1種又は2種以上のポリマー及び/又はオリゴマーから成る高分子材料である。いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料は、1種又は2種以上の溶媒中の1種又は2種以上のモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの混合物である。他の実施態様の場合、コーティング可能材料は、所定の体積の粒子又はナノ粒子とともに、1種又は2種以上の溶媒中の前記オリゴマー、モノマー、及び/又はポリマーを含む。
【0065】
ナノ粒子は表面改質することができる。これは、ナノ粒子が安定分散体を提供するように、ナノ粒子が改質表面を有しているという事実を意味する。「安定分散体」は、周囲条件下、例えば室温(約20〜22℃)及び大気圧のもとで、極端な電磁力なしで、所定の時間、例えば約24時間にわたって静置させた後、コロイドナノ粒子が凝集しない、分散体を意味する。
【0066】
表面改質コロイドナノ粒子は、本明細書中のコーティング可能組成物として使用されるポリマー被覆物中に任意に存在することができる。この場合ナノ粒子は、完成した要素又は光学要素の耐久性を高めるのに効果的な量で存在する。本明細書中に記載された表面改質コロイドナノ粒子は、例えば、ナノ粒子がコーティング可能組成物内部に安定分散体を形成するような、コーティング可能組成物とのナノ粒子適合性、複合材料をより耐久性にするナノ粒子とコーティング可能組成物との反応性、及び、低い反発力又は未硬化組成物粘度を含む種々の望ましい特質を有することができる。組成物の未硬化特性及び硬化特性を操作するために、表面改質の組み合わせを用いることができる。表面改質ナノ粒子は、コーティング可能組成物の光学特性及び物理特性を改善し、例えば、改善された樹脂機械強度を改善することができ、コーティング可能組成物中の固形分の体積添加を増大させている間の粘度変化を最小化し、及びコーティング可能組成物中の固形分の体積添加を増大させている間の光学透明性を維持することができる。
【0067】
いくつかの実施態様の場合、ナノ粒子は表面改質ナノ粒子である。好適な表面改質ナノ粒子は、酸化物粒子を含むことができる。ナノ粒子は、所与の材料の既知の粒度分布にわたる所定の範囲の粒度を含んでいてよい。いくつかの実施態様の場合、平均粒度は約1nm〜約100nmの範囲内にあってよい。粒度及び粒度分布は、例えば透過電子顕微鏡法(TEM)を含む周知の方法で測定することができる。好適なナノ粒子は、種々の材料のいずれか、例えばアルミナ、酸化錫、酸化アンチモン、ジルコニア、チタニア、及び下記のうちの2種又は3種以上の組み合わせから選択された金属酸化物を含むことができる。表面改質コロイドナノ粒子は、実質的に完全に凝縮させることができる。
【0068】
いくつかの実施態様の場合、シリカナノ粒子の粒度は約5〜約75nmであってよい。いくつかの実施態様の場合、シリカナノ粒子の粒度は約10〜約30nmであってよい。シリカナノ粒子は、約10〜約100phrの量でコーティング可能組成物中に存在することができる。いくつかの実施態様の場合、シリカナノ粒子は、約25〜約80phrの量でコーティング可能組成物中に存在することができ、そして他の実施態様の場合、シリカナノ粒子は、約30〜約70phrの量でコーティング可能組成物中に存在することができる。本発明のコーティング可能組成物中に使用するのに適したシリカナノ粒子は、NALCO COLLOIDAL SILICASという製品名で、Nalco Chemical Co. (イリノイ州Naperville)から商業的に入手可能である。好適なシリカ製品は、NALCO製品1040, 1042, 1050, 1060, 2327及び2329を含む。好適なヒュームドシリカ製品は例えば、DeGussa AG (ドイツ国Hanau)から入手可能なAEROSILシリーズOX-50, -130, -150, 及び-200、並びにCabot Corp.(イリノイ州Tuscola)から入手可能なCAB-O-SPERSE 2095, CAB-O-SPERSE A105, CAB-O-SIL MSという商品名で販売されている製品を含む。ナノサイズの粒子を表面処理すると、コーティング可能組成物(例えば高分子樹脂)中の安定分散体を提供することができる。好ましくは、表面処理はナノ粒子を安定化するので、粒子はコーティング可能組成物中によく分散され、その結果、実質的に均質な組成物をもたらす。さらに、ナノ粒子は、表面処理剤によってその表面の少なくとも一部上で改質することができるので、安定化された粒子は、硬化中にコーティング可能組成物と共重合又は反応することができる。
【0069】
金属酸化物ナノ粒子を、表面処理剤で処理することができる。一般に、表面処理剤は、粒子表面に結合(共有結合、イオン結合、又は強い物理吸着を介した結合)する第1の目的と、粒子とコーティング可能組成物との適合性を与え、且つ/又は硬化中にコーティング可能組成物と反応する第2の目的とを有している。表面処理剤の例は、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン及びチタネートを含む。処理剤のタイプは、金属酸化物表面の性質に依存することができる。例えば、シリカ及びその他のシリカ質充填剤に対しては、シランが典型的には好ましい。表面改質は、コーティング可能組成物との混合に続いて、又は混合後に達成することができる。シランの場合には、コーティング可能組成物中への取り込み前に、シランを粒子又はナノ粒子の表面と反応させることが好ましい場合がある。表面改質剤の量は、粒度、粒子タイプ、改質剤分子量、及び改質剤タイプのようなファクターに依存することができる。一般に、粒子の表面には、改質剤の単分子層が結合される。結合手順又は必要となる反応条件も、使用される表面改質剤に依存する。シランの場合、表面処理は、1時間から最大約24時間までの間に、酸性又は塩基性条件下で高温で行われてよい。
【0070】
コーティング可能組成物中に含まれるべき粒子に適した表面処理剤は、例えば、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG3TES)、Silquest A1230、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート(PEG2TES)、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス−イソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び前記のもののうちの2種又は3種以上の組み合わせ、のような化合物を含む。
【0071】
コロイド分散体中の粒子の表面改質は、数多くの方法で達成することができる。この過程は、無機分散体と、表面改質剤と、任意には共溶媒、例えば1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、及び1−メチル−2−ピロリジノンとの混合を伴う。表面改質剤並びに表面改質粒子の溶解度を高めるために、共溶媒を添加することができる。無機ゾルと表面改質剤とを含む混合物は、続いて室温又は高温で、混合しながら又は混合せずに反応させられる。1つの方法の場合、混合物は、約85℃で約24時間にわたって反応させることができ、その結果、表面改質ゾルをもたらす。金属酸化物が表面改質される1つの方法の場合、金属酸化物の表面処理は、酸性分子を粒子表面に吸着することを伴うことができる。重金属酸化物の表面改質は好ましくは室温で行われる。
【0072】
いくつかの実施態様の場合、完成物品は、特定の用途、例えば研磨用途に適した粒子を含むことになる。このような実施態様の場合、使用される粒子のタイプ、平均粒度、及び粒度分布は、当業者に知られているように、意図された用途に従って割り出されることになる。さらに、このような粒子の製造に使用される粒子は、例えば、前記材料を含む粒子、並びに、特定の研磨用途に用いるように意図された粒子、例えばダイアモンド、アルミナ、コランダム、エメリー、及び前記のもののうちの2種又は3種以上の組み合わせを含む粒子を含んでいてよい。
【0073】
いくつかの実施態様の場合、平均粒度(例えば粒子直径)は、約0.05ミクロン〜約60ミクロンの範囲に含まれていてよい。前記粒度に加えて、これよりも小さい、そしてこれよりも大きい平均粒度を用いることも考えられる。本発明の実施態様において、前記粒子の少なくとも一部を上記のように表面改質することができる。他の実施態様の場合、粒子の全てが表面改質される。さらに他の実施態様では、粒子は全く表面改質されない。
【0074】
前記製造過程の最終生成物は、艶消し仕上げを有するフィルムである。フィルムは種々様々な用途のいずれかに使用することができる。いくつかの実施態様の場合、前記過程から生じたフィルムは、電子ディスプレイスクリーン、例えばコンピュータモニター、テレビジョンスクリーン、又はゲームコンソールなどのためのカバーとして、光学用途に使用される。他の実施態様の場合、自動車の仕上げなどのような表面上の外見的な傷を覆うためのフィルム又はテープとして使用することができる。後者の用途の場合、コーティング可能材料が塗布される表面とは反対側の支持体の主面に、接着層が塗布されていてよい。
【0075】
他の実施態様の場合、前記製造過程から生じた物品は、装飾用途において使用するために形成されてよい。この場合、艶消し仕上げは、コーティング可能材料の所定の不連続部分上に提供される。このような実施態様の場合、1つ又は2つ以上のフェイスサイドローラーは、不連続の艶消し仕上げ領域を提供するように、パターン化表面を含むことができる。さらに他の実施態様の場合、前記過程は、コンピュータスクリーン、窓、及び光学パネル/面/基板上に使用するためのプライバシーフィルタ又はフィルムを提供するために用いることができる。
【0076】
いくつかの実施態様の場合、前記過程は、前述のような物品を製造するために用いられ、コーティング可能材料は2つ以上の相を含む。この実施態様の態様において、コーティング可能材料は、相分離されたコーティング可能材料をその上に有するコーティングされた支持体を提供するように、支持体に塗布される。コーティング可能材料は、支持体への塗布後に2つ又は3つ以上の相を形成するように、調製して支持体に塗布することができる。別の態様の場合、コーティング可能材料は、支持体への塗布前に相分離することが可能なように調製することができる。いずれの態様においても、結果として生じたコーティング可能材料は次いで、前述のように固化させることができ、その結果、支持体の主面上に相分離膜がもたらされる。次いで、相分離膜層は、本発明に従って艶消し表面を提供するように、さらに処理される。
【0077】
更なる実施態様の場合、本発明の方法は、前述の光学特性並びに他の特性を有する物品(例えばフィルム)を提供することができるより大型又はより複雑な過程の一部として含まれる。例えば、より硬質の高分子塗膜を有する物品が望まれることがある。使用される材料に応じて、所望の機械特性、例えば耐摩耗性を得るために、硬質の被覆材が最小厚を必要とすることがある一方、艶消し仕上げの所望の光学特性を得るために、コーティング可能材料のより薄い被覆材又は層が必要となることがある。本発明によるタンデム法の場合、第1のコーティング可能材料から成る第1の被覆材を支持体に塗布することにより、必要な厚さを得、そして、第1のコーティング可能材料の表面に第2のコーティング可能材料を続いて塗布することができる。第1のコーティング可能材料は、フェイスサイドローラーによる処理を施すことなしに、凝固(例えば硬化)させることができる。第2のコーティング可能材料を第1のコーティング可能材料の表面に塗布し、次いで、本明細書中に記載したようにフェイスサイドローラーで処理することにより、完成物品の表面上に所望の艶消し仕上げを得ることができる。
【0078】
本発明の他の実施態様の場合、物品(例えばフィルム)を製造する方法が提供され、支持体の両側に順次又は同時に、コーティング可能組成物が塗布される。順次両面コーティング法の場合、図1を参照しながら上述したように形成された物品、すなわちコーティングされた支持体30は、第4のステーション40から第1のステーション24内に再導入され、第1のステーション24において、支持体22の反対側又は前にはコーティングされなかった側に、コーティング可能材料から成る第2の層が塗布される。その後、コーティング可能材料から成る第2の層は、システム20に関して前述したのと同じように処理される。いくつかの実施態様の場合、コーティング可能材料から成る第2の層も、その上に艶消し仕上げを施すために、フェイスサイドローラーによって処理されるので、結果として生じる物品は、固化されたコーティング可能材料から成る層を各主面上に有する支持体を含み、固化されたコーティング可能材料から成る各層は艶消し仕上げを含む。他の実施態様の場合、コーティング可能材料から成る第2の層は、支持体の、前にはコーティングされなかった主面に塗布され、そしてフェイスサイドローラーによる表面仕上げ処理を第2の層に施すことなしに、固化される。前記過程において提供された物品は、固化されたコーティング可能材料から成る層を各主面に有する支持体を含み、固化されたコーティング可能材料から成る一方の層だけが艶消し仕上げを含む。前記実施態様では、固化されたコーティング可能材料から成る各層は同じ組成であってよく、或いはこれらの異なっていてもよいと考えられる。
【0079】
同時両面コーティング法の場合、支持体の両側に第1及び第2のコーティング可能材料を同時に塗布することにより、支持体の第1の主面に第1のコーティング可能材料を、そして支持体の第2の主面に第2のコーティング可能材料を有する両面コーティングされた支持体を提供する。好適なコーティング法は、鉛直方向コーティングを含み、この場合支持体は、支持体の両側に第1のコーティング可能材料及び第2のコーティング可能材料を同時に塗布するためのコーティングステーション内を鉛直方向に供給される。第1及び第2のコーティング可能材料は、同じ材料であることが可能であり、或いは異なる材料であってもよい。その後、コーティング可能材料から成る第2の層は、熱源、eビーム源、電磁波源、又は前記のものの組み合わせなどで、第1のコーティング可能材料と第2のコーティング可能材料とを同時に固化させることにより、システム20に関して前述したのと同様に処理される。その後、第1のコーティング可能材料及び/又は第2のコーティング可能材料は、その上に艶消し仕上げを施すために、フェイスサイドローラーによって処理されるので、結果として生じる物品は、固化されたコーティング可能材料から成る層を各主面上に有する支持体を含み、固化されたコーティング可能材料から成る層の一方又は両方は艶消し仕上げを含む。前記同時法において提供された物品は、固化されたコーティング可能材料から成る層を各主面に有する支持体を含む。固化されたコーティング可能材料から成る各層は同じ組成であってよく、或いはこれらの異なっていてもよいと考えられる。
【0080】

本発明の実施態様を、下記非限定的な例においてさらに説明する。
【実施例1】
【0081】
例1及び比較A
図1に示されたものと同様のシステムを、日本国奈良県在Hirano Tecseed Company, Ltd.から商業的に入手可能なHIRANO MULTI COATER(登録商標) MODEL M-200コーター上に配置した。ライン速度は1分当たり10フィート(3.05メートル/分)であり、そして同一譲受人による米国特許第5,639,305号明細書において論じられたタイプのコーティングダイを使用することにより、商品名MELINEX 618でDuPont Teijin Films U.S.から得られた商業的に入手可能な、予め下塗りされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る9インチ(22.86cm)幅、5ミル(0.127mm)厚の支持体上に、4インチ(10.16cm)幅のコーティング可能材料層を種々の厚さで堆積させた。コーティング可能材料(本明細書中では「PETA」と呼ぶ)は、主に、51重量%のペンタエリトリトールトリアクリレート(ペンシルベニア州Exton在、Sartomer Companyの「SR-444」)、及び、コロイドシリカ(イリノイ州Naperville在、Nalco Companyの「Nalco 2327」)と3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(コネティカット州Wilton在、Momentive Performance Materialsの「A174」)との37重量%の反応生成物から成る固形物を有する光重合性分散体であった。他の固形添加剤は、8重量%のn,n−ジメチルアクリルアミド(ミズーリ州St. Louis在、Sigma-Aldrich Companyの「NNDMA」)、2.4重量%の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(デラウェア州Newport在、Ciba Specialty Chemicalsの「Irgacure 184」)、2重量%のビス(ペンタメチル−1,2,2,6,6ピペリジニル−4)デカノエート(デラウェア州Newport在、Ciba Specialty Chemicalsの「Tinuvin 292」)、50ppmのフェノチアジン(ニュージャージー州West Patterson在、Cytec Industries, Inc.)、及び400ppmの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(テキサス州Houston在、Merisol USA, LLC)であった。2−プロパノール希釈剤中ほぼ50重量%固形分の分散体から、30重量%固形分で組成物を調製した。従来のポンプによって、コーティング可能材料をダイに供給した。18ft/sec(5.49m/s)の強制空気速度を提供するように速度設定されたファンを有する、158°F(70℃)で動作する対流式炉内に、コーティングされた支持体を搬送することにより、揮発性溶媒を除去し、そしてコーティング可能材料の粘度を高くし、これにより、高粘度のコーティング可能材料を上に有するコーティングされた支持体を提供した。粘度を高くされたコーティング可能材料をステーションに導き、このステーションでは、表1に記載されたいくつかの異なる形態を成して配置されたフェイスサイドローラーで、このコーティング可能材料を処理した。高粘度のコーティング可能材料は、このステーションを出ると、艶消し仕上げを獲得しており、そしてコーティングされた支持体を、メリーランド州Gaithersburg在、Fusion UV Systems, Inc.から商業的に入手可能なUV源(Hバルブ)を備えた別のステーション内に導いた。高粘度のコーティング可能材料をUVエネルギーに当てることによりポリマーを硬化させ、支持体の上側に厚さ2、4、6及び12ミクロンのコーティング層を提供した。
【0082】
PETAコーティング可能材料にフェイスサイドローラーによる表面処理を施さないこと以外は、上記と同じように、比較例(比較A)を調製し、こうして、支持体の上側に乾燥厚2、4及び6ミクロンの光沢フィルムを提供した。
【表1】

【0083】
直列の3つのフェイスサイドローラーは、単一のフェイスサイドローラーによって生成されたものとサイズ及び形状が類似している被覆材内の特徴を生成した。3つのフェイスサイドローラーから成る第2の群を加えて計6つにすると、最初の3つのフェイスサイドローラーによって生成されたパターンの上側に付加的なパターンが生成された。付加的なローラの接触は、コーティングされた幅全体にわたって平均コーティング厚みを変化させるように見えた。ウェブを横切るコーティング厚みの変化は、4μm以上のコーティング厚みにおいてより顕著であった。粒子から、又は損傷したフェイスサイドローラー表面から生じた点欠陥は、1つのフェイスサイドローラーから3つのフェイスサイドローラーに切り換えることにより最小化された。
【0084】
光沢仕上げフィルム及び艶消し仕上げフィルムの光学特性を測定し、そして比較の光沢仕上げ(フェイスサイドローラー処理なし)と比較した。メリーランド州Columbia在、BYK-Gardnerから商業的に入手可能な「Haze-Gard Plus」機器を使用することにより、透明度、ヘーズを測定し、そしてやはりBYK-Gardnerの「Micro-Gloss」機器を使用することにより60度光沢を測定した。これらの測定値をプロットし、図5、6及び7にグラフで表した。図5は、比較の光沢被覆材と、種々の形態のフェイスサイドローラーで処理された被覆材との間の透明度の有意な差を示している。比較Aの光沢フィルムの透明度は、支持体の上側の厚さ2、4及び6ミクロンの被覆材層に関して100%近くであった。
【0085】
種々の物品の艶消し表面を光学顕微鏡で試験した。図8及び9は、形態A(表1)のフェイスサイドローラーを使用して形成されたフィルムのうちの1つの艶消し仕上げの一部を示す顕微鏡画像である。コーティング可能材料は、支持体の上側に約2ミクロンの膜厚を提供した。図8は50Xの倍率であり、そして図9は125Xの倍率の同じ表面である。
【実施例2】
【0086】
例2及び比較B
図1に示されたものと同様のシステムを、日本国奈良県在Hirano Tecseed Company, Ltd.から商業的に入手可能なHIRANO MULTI COATER(登録商標) MODEL M-200コーター上に配置した。ライン速度は1分当たり100フィート(30.5メートル/分)であり、そして同一譲受人による米国特許第5,639,305号明細書において論じられたタイプのコーティングダイを使用することにより、商品名MELINEX 618でDuPont Teijin Films U.S.から得られた商業的に入手可能な、9インチ(22.86cm)幅、5ミル(0.127mm)厚の予め下塗りされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、4インチ(10.16cm)幅のコーティング可能材料層を種々の厚さで堆積させた。コーティング可能材料(本明細書中では「60:40di−PETA」と呼ぶ)は、主に、58重量%のジペンタエトリトールペンタアクリレート(ペンシルベニア州Exton在、Sartomer Companyの「SR-399」)、及び、コロイドシリカ(イリノイ州Naperville在、Nalco Companyの「Nalco 2327」)と、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレート(コネティカット州Wilton在、Momentive Performance Materialsの「A174」)及びイソオクチルトリメトキシシラン(ミシガン州Adrian在、Wacker Chemical Corp.の「BS 1316」)の60:40モルブレンドとの40重量%の反応生成物から成る固形物を有する光重合性分散体であった。他の固形添加剤は、2重量%の1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(デラウェア州Newport在、Ciba Specialty Chemicalsの「Irgacure 184」)、71ppmのフェノチアジン(ニュージャージー州West Patterson在、Cytec Industries, Inc.)、及び71ppmの2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(テキサス州Houston在、Merisol USA, LLC)であった。コーティング前に、この混合物を2−プロパノールとトルエンとの90:10重量比ブレンド中50重量%に希釈した。従来のポンプによって、コーティング可能材料をダイに供給した。
【0087】
18ft/sec(5.49m/sec)の強制空気速度を提供するように速度設定されたファンを有する、158°F(70℃)に維持された対流式炉内に、コーティングされた支持体を搬送することにより、揮発性溶媒を除去し、そしてコーティング可能材料の粘度を高くし、これにより、高粘度のコーティング可能材料を上に有するコーティングされた支持体を提供した。高粘度のコーティング可能材料をステーションに導き、このステーションでは、コーティングされた支持体がフェイスサイドローラーとバッキングローラーとの間のニップ構造を通って搬送されるのに伴って、コーティング可能材料がフェイスサイドローラーで処理される。異なるショアA硬度のニトリルゴムエラストマー被覆体を有するフェイスサイドローラー及びバッキングローラーを利用した。ショアA硬度が90のニトリル被覆されたフェイスサイドローラー、及びショアA硬度が30のニトリル被覆されたバッキングローラーを用いて、艶消し仕上げ塗膜を形成した。アルミニウムから形成された剛性ローラも、バッキングローラーとして使用した。図4に示されたものと同様の形態を成すアクチュエータによって、フェイスサイドローラーをコーティングされた支持体と接触させ、バッキングローラーに対する負荷の強さを制御するのを可能した。
【0088】
コーティング可能材料は、このステーションを出ると、艶消し仕上げを獲得しており、そしてコーティングされた支持体を、メリーランド州Gaithersburg在、Fusion UV Systems, Inc.から商業的に入手可能なUV源を備えた別のステーション内に導いた。固化させたコーティング可能材料をUVエネルギー(Hバルブ)に当てることによりポリマーを硬化させ、支持体の上側に厚さ3及び4ミクロンのコーティング層を提供した。
【0089】
PETAコーティング可能材料にフェイスサイドローラーによる表面処理を施すことなしに、例1におけるように、比較例(比較B)を調製し、支持体の上側に乾燥厚4ミクロンのフィルムを提供した。
【0090】
光沢仕上げフィルム及び艶消し仕上げフィルムの光学特性を測定した。メリーランド州Columbia在、BYK-Gardnerから商業的に入手可能な「Haze-Gard Plus」機器を使用することにより、透明度及びヘーズを測定し、そしてやはりBYK-Gardnerの「Micro-Gloss」機器を使用することにより、シリンダー圧力の関数として、そして線形負荷の関数として60度光沢を測定した。比較のコーティングされたフィルムの透明度は、100%近くであった。図10、11及び12は、それぞれニップの空気シリンダー圧の関数としての膜透明度、ヘーズ、及び60度光沢のプロットである。ニップローラの線形負荷を調節することによって、一定の平均膜厚の被覆材のために光学特性を調節した。
【実施例3】
【0091】
例3
図1に示されたものと同様のシステムを、日本国奈良県在Hirano Tecseed Company, Ltd.から商業的に入手可能なHIRANO MULTI COATER(登録商標) MODEL M-200コーター上に配置した。同一譲受人による米国特許第5,639,305号明細書において論じられたタイプの塗布ダイを使用することにより、商品名MELINEX 618でDuPont Teijin Films U.S.から得られた商業的に入手可能な、予め下塗りされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成る9インチ(22.86cm)幅、5ミル(0.127mm)厚の支持体上に、4インチ(10.16cm)幅のコーティング可能材料層を種々の厚さで堆積させた。コーティング可能材料は、例1において記載したPETA材料を基剤とした。コンベンショナルなポンプによって、コーティング可能材料をダイに供給した。増粘ステーションを出たコーティング可能材料の粘度を変化(低下)させるという目的で、コーティング可能材料に、付加的な量のヘキサンジオールジアクリレートモノマーを添加した。
【0092】
18ft/sec(5.49m/s)の強制空気速度を提供するように速度設定されたファンを有する、158°F(70℃)で動作する対流式炉内に、コーティングされた支持体を搬送することにより、コーティング可能材料の粘度を高くし、これにより、高粘度のコーティング可能材料を上に有するコーティングされた支持体を提供した。高粘度のコーティング可能材料をステーションに導き、このステーションでは、フェイスサイドローラーでこのコーティング可能材料を処理した。異なるショアA硬度のニトリルゴムエラストマー被覆体を有する種々のフェイスサイドローラー及びバッキングローラーを利用した。アルミニウムから形成された剛性ローラも、バッキングローラーとして使用した。コーティングされた支持体がフェイスサイドローラーとバッキングローラーとの間に挟まれるのに伴って、空気圧式アクチュエータを使用して、フェイスサイドローラーをコーティングされた支持体のコーティング可能材料と接触させた。アクチュエータ内の空気圧を用いることにより、バッキングローラーに対する負荷の強さを制御した。ステーションを出ると、コーティング可能材料の透明で光沢のある外見が艶消し仕上げに変わることが観察された。艶消し仕上げを有するコーティングされたフィルムを、メリーランド州Gaithersburg在、Fusion UV Systems, Inc.から商業的に入手可能なUV照明システムで、水銀源(Hバルブ)を利用して硬化させた。
【0093】
コーティング可能材料調製物中に使用されたヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)モノマーの濃度が高くなると、コーティング可能材料の見かけ粘度が低下する傾向があった。70:30(PETA:HDDA)、90:10(PETA:HDDA)、及び100:0(PETA)を含むコーティング可能材料のブレンドから、異なるライン速度でフィルムを製造した。70:30(PETA:HDDA)、及び90:10(PETA:HDDA)から生じるフィルムのライン速度は、1分当たり100フィート(1分当たり30.5メートル)であった。100:0(PETA)組成物から生じるフィルムのライン速度は、1分当たり10フィート(1分当たり3.05メートル)であった。10%HDDAを有するコーティング可能材料ブレンドから生じるフィルムは、HDDAが添加されずに調製された組成物(例えば例1)よりも見かけ粘度が低かった。最大30%のHDDAが添加されるように調製された組成物も、見かけ粘度がまだ低かった。これらの組成物に対して、温度の関数として見かけ粘度の測定を行い、データを図13のグラフに示す。
【0094】
支持体の上側に厚さ2及び4ミクロンの光沢PETAコーティング層を有する比較を、例1において説明したのと同じように調製した。
【0095】
光沢PETA比較及び本発明の艶消し仕上げフィルムの光学特性を測定した。メリーランド州Columbia在、BYK-Gardnerから商業的に入手可能な「Haze-Gard Plus」機器を使用することにより、透明度及びヘーズを測定し、そしてやはりBYK-Gardnerの「Micro-Gloss」機器を使用することにより、60度光沢を測定した。70:30、90:10及び100:0ブレンドから生じたフィルムに関して、データのプロットを図14〜16に示す。
【実施例4】
【0096】
固形分30〜47重量%の重合性材料のコーティング可能溶液として、コーティング可能材料を調製した。コーティング可能材料のそれぞれは、商品名「Darocur 1173」でスイス国Basel在Ciba Specialty Chemicalから商業的に得られた1.5重量%のUV光開始剤を含んだ。コーティング可能材料のいずれも、添加された粒子(例えばナノ粒子)を含まなかった。コーティング可能材料は下記の通りであった:
(A) 2−ブタノン希釈剤中の、オハイオ州Cincinnati在、Cognis North Americaから商品名「Photmer 6010」で商業的に得られた33%脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーの溶液。
(B) 2−ブタノン希釈剤中の、ペンシルベニア州Exton在、Sartomer Company, Inc.から商品名「CN964」で商業的に得られた28.9%脂肪族ポリエステル系ウレタンジアクリレートオリゴマーの溶液。
(C) 2−ブタノン希釈剤中の、商品名「Photomer 6010」で商業的に得られた41.4%の脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、及びペンシルベニア州Exton在、Sartomer Company, Inc.から商品名「SR-238」で商業的に得られた10重量%の1,6−ヘキサンジオールジアクリレートモノマーの溶液。
(D) 2−ブタノン希釈剤中の、商品名「CN964」で商業的に得られた47.3%脂肪族ポリエステル系ウレタンジアクリレートオリゴマー、及び商品名「SR-238」で商業的に得られた10重量%の1,6−ヘキサンジオールジアクリレートモノマーの溶液。
(E) 例1におけるように調製されたPETA。
【0097】
これらのコーティング可能材料に対して、せん断速度の関数として見かけ粘度を測定し、データを図17のグラフに示す。さらに、例3のコーティング可能材料も測定した。コーティング可能材料の粘度を高くする前に、また結果として生じた表面をフェイスサイドローラーで処理する前に、これらの測定の全てを行った。
【0098】
艶消し仕上げを物品を、コーティング可能材料(A)〜(E)を用いて調製した。図1に示されたものと同様のシステムを、日本国奈良県在Hirano Tecseed Company, Ltd.から商業的に入手可能なHIRANO MULTI COATER(登録商標) MODEL M-200コーター上に配置した。米国特許第5,639,305号明細書に記載されたタイプのコーティングダイを使用することにより、商品名MELINEX 618でDuPont Teijin Films U.S.から得られた商業的に入手可能な、9インチ(22.86cm)幅、5ミル(0.127mm)厚の予め下塗りされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に、4インチ(10.16cm)幅のコーティング可能材料層を種々の厚さで堆積させた。従来のポンプによって、コーティング可能材料をダイに供給した。18ft/sec(5.49m/s)の強制空気速度を提供するように速度設定されたファンを有する、158°F(70℃)で動作する対流式炉内に、コーティングされた支持体を搬送することにより、コーティング可能材料の粘度を高くし、高粘度のコーティング可能材料を有するコーティングされた支持体を提供した。次いでコーティングされた支持体を、例1の形態Cにおけるように配置された3つのフェイスサイドローラーを有するステーションに搬送した。各フェイスサイドローラーはニトリルゴムエラストマー被覆体を有していた。3つのフェイスサイドローラーの第3の又は最後のローラとコーティングされた支持体を挟むために、エラストマー被覆バッキングローラーを使用した。コーティングされた支持体を次に、UV源(Hバルブ)(メリーランド州Gaithersburg在、Fusion UV Systems, Inc.から入手)を備えた別のステーション内に導き、そしてコーティング可能材料をUV硬化させることにより、本発明の物品並びに光沢比較の全てに対応する支持体の上側に2ミクロンの厚さを提供した。ライン速度を変化させた。溶液(A)、(B)及び(D)から形成されたフィルムのライン度速度は、1分当たり20ft(1分当たり6.1メートル)であった。溶液(C)から形成されたフィルムのライン度速度は、1分当たり15ft(1分当たり4.6メートル)であった。溶液(E)から形成されたフィルムのライン度速度は、1分当たり10ft(1分当たり3.05メートル)であった。
【0099】
コーティングされた支持体にフェイスサイドローラーによる処理を施すことなしに、100:0のPETAコーティング可能材料(E)を使用して比較物品も調製した。結果として、比較物品は光沢仕上げを有したのに対して、本発明の物品の全ては艶消し仕上げを有した。
【0100】
比較物品(光沢仕上げを有する)、及び本発明の物品(艶消し仕上げを有する)の特性を測定した。メリーランド州Columbia在、BYK-Gardnerから商業的に入手可能な「Haze-Gard Plus」機器を使用することにより、透明度及びヘーズを測定した。やはりBYK-Gardnerの「Micro-Gloss」機器を使用することにより、60度光沢を測定した。測定値を図18〜20にグラフで示す。
【0101】
種々の実施態様を参照しながら本発明を示し説明した。当業者には明らかなように、本発明の思想及び範囲を逸脱することなしに、記載の実施態様に変更及び改変を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステムであって、該システムが:
コーティングされた支持体を提供する手段を含み、該コーティングされた支持体が、支持体に塗布された第1のコーティング可能材料を含み、該コーティング可能材料は該コーティングされた支持体の第1の主面を形成し;
該システムがさらに:
該第1のコーティング可能材料の粘度を第1の粘度から第2の粘度に変える手段を含み、
該システムがさらに:
該コーティングされた支持体の該第1の主面上に艶消し仕上げを施すために該コーティングされた支持体の該第1の主面に接触するように位置決めされた外面を有するフェイスサイドローラーを含み;そして
該システムがさらに:
任意には、該第1のコーティング可能材料を固化させる手段を含む、
艶消し仕上げを有するフィルムを提供するシステム。
【請求項2】
該第1のコーティング可能材料の粘度を変える手段が:炉、紫外線、赤外線、X線、ガンマ線、可視光源、及び前記のもののうちの2つ又は3つ以上の組み合わせから選択された電磁放射源、並びに電子ビーム源から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、2つ以上のフェイスサイドローラーを含み、各フェイスサイドローラーが、該コーティングされた支持体の該第1の主面上に艶消し仕上げを施すために該コーティングされた支持体の該第1の主面に接触するように位置決めされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
異なる断面直径を備えた3つのフェイスサイドローラーを有している、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
さらにバッキングローラーを含み、該フェイスサイドローラーと該バッキングローラーとはニップ構造を成して構成されており、該フェイスサイドローラーが、該第1のコーティング可能材料の第2の面に接触するように位置決めされている一方、該支持体が該バッキングローラー上に担持され、該バッキングローラーが、該バッキングローラーと連携するアクチュエータの操作下で、該フェイスサイドローラーに対して運動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
該少なくとも1つのフェイスサイドローラーの外面が無特徴である、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
該少なくとも1つのフェイスサイドローラーの外面が、該第1のコーティング可能材料の第2の主面上に与えることができるパターンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
該第1のコーティング可能材料を固化させる手段が:熱源;紫外線、赤外線、X線、ガンマ線、可視光源、及び前記のもののうちの2つ又は3つ以上の組み合わせ;並びに電子ビーム源から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
該コーティング可能材料が、約0.05ミクロン〜約60ミクロンの平均粒度分布を有する粒子を含有する重合性材料を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
該粒子が表面改質粒子を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
艶消し仕上げを有するフィルムを製造する方法であって、該方法が:
支持体上に配置されたコーティング可能材料を含むコーティングされた支持体を用意し、該コーティング可能材料が該コーティングされた支持体の第1の主面を提供し;
該コーティング可能材料の粘度を初期粘度から第2の粘度に変え;
艶消し仕上げを施すために、該コーティングされた支持体の第1の主面を少なくとも1つのフェイスサイドローラーと接触させ;そして
任意には、該コーティング可能材料を固化させることにより該フィルムを提供する
ことを含む、艶消し仕上げを有するフィルムを製造する方法。
【請求項12】
該コーティングされた支持体を用意することが、初期粘度を有するコーティング可能材料を該支持体に塗布することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
コーティング可能材料を塗布することが、該支持体上に該コーティング可能材料を押し出すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
コーティング可能材料を塗布することが、ダイコーティング、スライドコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、流体軸受けコーティング、及びスプレーコーティングから成る群から選択されたコーティング法によって達成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
コーティング可能材料を塗布することがさらに、該支持体を用意することを含み、該支持体は、光学的に透明なポリエステルフィルム、トリアセテートフィルム、ポリエチレンナフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、同時二軸延伸ポリプロピレン、ポリカーボネート、及び前記のもののうちの2種又は3種以上の組み合わせから成る群から選択された1種又は2種以上の光学的に透明な材料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
該粘度を変えることが、該コーティング可能材料の粘度を該初期粘度から第2の粘度に高くするために、該コーティング可能材料を加熱することにより達成される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
該粘度を変えることが、該コーティング可能材料の粘度を該初期粘度から第2の粘度に高くするために、該コーティング可能材料を電磁波に当てることにより達成される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
該電磁波が、紫外(UV)線、赤外(IR)線、X線、ガンマ線、可視光、及び前記のもののうちの2つ又は3つ以上の組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
該コーティング可能材料の粘度を変えることが、該コーティング可能材料の粘度を該初期粘度から第2の粘度に高くするために、該コーティング可能材料を電子ビームに当てることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
該コーティングされた支持体の第1の主面を少なくとも1つのフェイスサイドローラーと接触させることが、外面上にパターンを有するローラによって達成され、該パターンは、該コーティングされた支持体の第1の主面上の艶消し仕上げに関与しない、該ローラ表面上の領域を提供する、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
該コーティングされた支持体の第1の主面を少なくとも1つのフェイスサイドローラーと接触させることが、3つのローラによって達成される、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
該コーティングされた支持体の第1の主面を少なくとも1つのフェイスサイドローラーと接触させることが、6つのローラによって達成される、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つのフェイスサイドローラーがバッキングローラーと対を成し、該フェイスサイドローラーと該バッキングローラーとはニップ構造を成して構成されており、該フェイスサイドローラーが、該コーティング可能材料の第2の面に接触するように位置決めされている一方、該支持体が該バッキングローラー上に担持され、該バッキングローラーが、該フェイスサイドローラーに対して運動可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
該ニップ構造がさらに、該フェイスサイドローラーに対するバッキングローラーの位置を制御するために、該バッキングローラーと連携するアクチュエータを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
該コーティング可能材料を固化させることにより該フィルムを提供することが、炉と、該フェイスサイドローラーの加熱とから選択された手段によって、該コーティング可能材料を加熱することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
該コーティング可能材料を固化させることが、紫外線、赤外線、X線、ガンマ線、可視光、及び前記のもののうちの2つ又は3つ以上の組み合わせから選択された電磁波のソースに、該コーティング可能材料を当てることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項27】
該コーティング可能材料を固化させることが、該コーティング可能材料を電子ビームに当てることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
該コーティング可能材料が重合性材料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項29】
該重合性材料が、溶媒中にオリゴマー、ポリマー、及びモノマーを含む分散体を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
該コーティング可能材料がさらに、約0.05ミクロン〜約60ミクロンの平均粒度分布を有する粒子を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
該コーティング可能材料がさらに、表面改質ナノ粒子を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
該ナノ粒子が、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタニウム、及び前記のもののうちの2種又は3種以上の組み合わせから成る群から選択された酸化物から成る粒子を含む。
【請求項33】
該ナノ粒子が、アルコール、アミン、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、シラン、チタネート、及び前記のもののうちの2種又は3種以上の組み合わせから成る群から選択された表面処理剤で表面改質される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
該ナノ粒子が、イソオクチルトリメトキシ−シラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカルバメート、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルトリエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロイルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタクリロイルオキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリスイソブトキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、ステアリン酸、ドデカン酸、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸、ベータ−カルボキシエチルアクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)酢酸、メトキシフェニル酢酸、及び前記のもののうちの2種又は3種以上の組み合わせから成る群から選択された表面処理剤で表面改質される、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2010−534132(P2010−534132A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518272(P2010−518272)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/069577
【国際公開番号】WO2009/014901
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】