芯材及びその製造方法と製造装置並びに押出成形品の製造方法
【課題】ウェザーストリップに埋設される芯材において、芯材が横断面U字状にロール成形加工される際の芯材片部の捩れ変形による不具合を防止できるようにする。
【解決手段】打ち抜き加工により芯材素材の長手方向に所定間隔で複数の空間部24を形成することで長手方向に芯材片部22と空間部24とを交互に設けた芯材16を形成し、この芯材16が横断面U字状にロール成形加工される前に、芯材16に予備捻り加工を施して、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させておくことで、その後、芯材16が横断面U字状にロール成形加工されたときの芯材片部22の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を矯正して芯材片部22の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工して、長手方向で隣り合う芯材片部22の縁部間に段差が生じることを回避する。
【解決手段】打ち抜き加工により芯材素材の長手方向に所定間隔で複数の空間部24を形成することで長手方向に芯材片部22と空間部24とを交互に設けた芯材16を形成し、この芯材16が横断面U字状にロール成形加工される前に、芯材16に予備捻り加工を施して、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させておくことで、その後、芯材16が横断面U字状にロール成形加工されたときの芯材片部22の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を矯正して芯材片部22の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工して、長手方向で隣り合う芯材片部22の縁部間に段差が生じることを回避する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料製の押出成形品に埋設される長尺な芯材及びその芯材の製造方法と製造装置並びに押出成形品の製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両のドア開口縁や窓開口縁のフランジには、該フランジに沿って長尺なトリム材が装着される。このトリム材は、ゴムや熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)等のポリマー材料によって横断面が略U字状の取付部を有する形状に押出成形され、その略U字状の取付部で開口縁のフランジを両側から挟むことでフランジに固定されるようになっている。このようなトリム材は、横断面が取付部に対応した略U字状の長尺な補強用の芯材(例えば厚さ0.25mm〜1.0mm程度の冷間圧延鋼板等の金属板、JIS表示でSPCC)を取付部に埋設して一体化することで、取付部を芯材で補強して開口縁のフランジに取付部を安定して固定できるようにしている。
【0003】
ところで、車両のドア開口縁や窓開口縁のフランジは、長手方向で二次元的又は三次元的に曲がっているため、トリム材は、押出成形で略直線状に成形されたものが開口縁のフランジの曲がり形状に合わせて曲げられて装着される。このため、トリム材に埋設される芯材は、トリム材の曲がりに追随して自在に曲げられるように、長手方向に所定間隔で複数の空間部が形成された種々の芯材(魚骨芯材や竜骨芯材ということもある)が用いられる。
【0004】
このような芯材の製造方法としては、例えば、帯板状の芯材素材の長手方向に所定間隔で複数の空間部をプレス加工(打ち抜き加工)により形成することで長手方向に櫛の歯状の芯材片部(以下単に「芯材片部」ということもある)と空間部とを交互に設けた形状の芯材を形成するようにしたものがある。
【0005】
また、特許文献1(特開昭58−76343号公報)に記載されているように、帯板状の芯材素材の長手方向に所定間隔で複数のスリットをスリッターロール加工により形成し、スリットが形成されていない部分を長手方向に圧延してスリットを長手方向に拡大して空間部を形成することで長手方向に芯材片部と空間部とを交互に設けた形状の芯材を形成するようにしたものもある。
【0006】
このような芯材を埋設したポリマー材料製の押出成形品を製造する場合には、芯材を外周成形面が凸形状の凸形成形ローラと外周成形面が凹形状の凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して通過させて横断面U字状(例えば最終横断面形状であるU字状又はそれよりも幾分拡開した中間横断面形状であるU字状)にロール成形で折り曲げ加工した後に、押出成形品を成形する押出成形型に横断面U字状の芯材を連続して供給しながらポリマー材料を供給して、押出成形品を成形すると共に該押出成形品に横断面U字状の芯材を埋設して一体化することがある。
【特許文献1】特開昭58−76343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工された芯材を埋設した押出成形品は、芯材が埋設された部分の表面が平坦にならず、表面に凹凸が発生したり、芯材片部の一部が外部に露出したりして、押出成形品の外観性(装飾性)を損ねることがある。
【0008】
本発明者らの調査によると、芯材を平坦な平板形状から横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工したときに、横断面U字状の芯材の両側の芯材片部がそれぞれ移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部の移動方向上流側が横断面U字状の外側に変位して移動方向下流側が横断面U字状の内側に変位する方向)に捩れ変形していることが判明した。このような各芯材片部の捩れ変形によって、芯材片部の幅方向端末が長手方向で一直線にならず隣り合う芯材片部の縁部間に段差が生じるため、押出成形品の芯材が埋設された部分の表面に凹凸が発生したり、芯材片部の一部が外部に露出すると考えられる。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、芯材が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工される際の芯材片部の捩れ変形による不具合を防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材であって、芯材は、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられると共に、成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を施すようにしたものである。
【0011】
このように、芯材が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工(以下単に「ロール成形加工」ということもある)される前に、芯材に予備捻り加工を施して、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部を捻り塑性変形させておくことで、その後、芯材が横断面U字状にロール成形加工されたときの芯材片部の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部の捻り塑性変形を相殺又は矯正(以下「矯正」という)して芯材片部の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工することができ、長手方向で隣り合う芯材片部の縁部間に段差が生じることを回避できる。
【0012】
これにより、ロール成形加工された後の芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造した場合に、押出成形品の芯材が埋設された部分の表面に凹凸が発生したり、芯材片部の一部が外部に露出することを未然に防止することができ、押出成形品の外観性(装飾性)を向上させることができる。
【0013】
また、芯材片部が外部に露出しないため、押出成形品の製造作業者、組付作業者、使用者(例えば押出成形品を組み付けた自動車の乗員)等の人体や衣服に芯材片部が接触したり、引っ掛かったりすることがなく、安全性を向上させることができる。
【0014】
更に、芯材片部の露出を防止するために押出成形品のポリマー材料部分を厚くする必要がないため、押出成形品のポリマー材料部分を薄くすることができ、その分、ポリマー材料の使用量を削減して、押出成形品を軽量化することができる。
【0015】
また、長手方向で芯材片部の縁部間に段差が生じない(芯材片部が一直線になる)ため、押出成形品を製造する際に、押出成形ラインの中で芯材片部が周辺部材(例えば、押出成形型の内部構成部材等)に引っ掛かることを未然に防止することができる。このため、芯材片部の引っ掛かりに起因する芯材の供給不能が発生せず、押出成形品を安定して製造することができる。
【0016】
更に、長手方向で芯材片部の縁部間に段差が生じない(芯材片部が一直線になる)ため、押出成形型のガイド溝に芯材が連続して供給される際に、芯材片部がガイド溝に強く擦れることを回避して、ガイド溝の摩耗を低減することができる。このため、ガイド溝と芯材との位置関係を長期に亘って正確に保つことができ、その結果、芯材の位置のばらつきが少ない安定した品質の押出成形品を製造することができる。
尚、本願発明において横断面U字状とは、厳密にU字状に限定されず、開いたU字やV字を含む。
【0017】
また、本発明の芯材を製造する場合には、請求項3のように、長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出工程と、芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成工程と、芯材が成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、予備捻り加工が施された芯材を素材用リールに芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取工程とを実行するようにすると良い。このようにすれば、本発明の芯材を容易に製造して芯材用リールに巻き付けた状態にすることができる。
【0018】
この場合、請求項4のように、予備捻り工程において、芯材を表裏両側から挟むように配置された少なくとも一対の捻り加工ローラを回転駆動して該捻り加工ローラの間に芯材を挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで芯材片部の予備捻り加工を行うようにしても良い。このようにすれば、捻り加工ローラに芯材を長手方向に連続的に供給して、捻り加工ローラにより予備捻り加工を連続的に行うことができ、本発明の芯材を効率良く製造することができる。
【0019】
或は、請求項5のように、予備捻り工程において、芯材を表裏両側から挟むように配置されたプレス型で芯材を挟んで加圧することで芯材片部の予備捻り加工を行うようにしても良い。このようにすれば、プレス型で一度に芯材の長手方向に並んだ多数の芯材片部を同時に挟んで予備捻り加工を行うことができ、本発明の芯材を効率良く製造することができる。
【0020】
また、本発明の芯材を製造する装置は、請求項7のように、長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出手段と、芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成手段と、芯材が成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り手段と、予備捻り加工が施された芯材を素材用リールに芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取手段とを備えた構成とすると良い。このようにすれば、本発明の芯材を容易に製造して芯材用リールに巻き付けた状態にすることができる。
【0021】
また、本発明の押出成形品を製造する場合には、請求項8のように、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられると共に、成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工が施された状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を入手して、芯材用リールから予備捻り加工が施された芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、芯材片部の移動方向下流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が下流側よりも相対的に凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って成形ローラに連続して供給して、予備捻り加工が施された芯材を凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、予備捻り加工による芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、押出成形品を成形する押出成形型に横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら押出成形型にポリマー材料を供給して押出成形品を成形すると共に該押出成形品に芯材を埋設する押出成形工程と、押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程とを実行するようにすると良い。尚、処理工程では、ポリマー材料がゴムの場合には加硫によって硬化させることができ、ポリマー材料が熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)の場合には冷却によって固化させることができる。
【0022】
或は、請求項10のように、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられた状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を入手して、芯材用リールから芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、予備捻り工程と横断面成形工程と押出成形工程と処理工程とを同期して連続的に実行するようにしても良い。
【0023】
或は、請求項11のように、芯材素材送出工程と芯材形成工程と予備捻り工程と横断面成形工程と押出成形工程と処理工程とを同期して連続的に実行するようにしても良い。
予備捻り加工が施されていない芯材が横断面U字状に折り曲げ加工されると、横断面U字状の芯材の両側の芯材片部がそれぞれ移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部の移動方向下流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位する方向)に捩れ変形するため、請求項8,10,11のように、横断面成形工程において、予備捻り加工が施された芯材を、芯材片部の移動方向下流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って成形ローラに連続して供給して、予備捻り加工が施された芯材を横断面U字状になるよう折り曲げ加工するようにすれば、ロール成形加工されたときの芯材片部の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部の捻り塑性変形を矯正して芯材片部の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工することができる。
【0024】
尚、本発明は、予備捻り加工の際に、芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とのうちの一方の側のみを芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に変位させるようにしても良いが、請求項2、6、9、12のように、予備捻り加工の際に、芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させるようにしても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1を図1乃至図14に基づいて説明する。
図1に示すように、車体パネルの側部や後部又はルーフのドア開口縁11のフランジ12には、該フランジ12に沿って長尺なウェザーストリップ13(押出成形品)が装着される。このウェザーストリップ13は、ゴム又は熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)等の弾性ポリマー材料の押出成形により、横断面略U字状の取付部14と、スポンジ材料製の筒状中空シール部15とが一体的に形成され、取付部14には、後述する長尺な芯材16が押出成形と同時にインサート押出成形(複合押出成形ともいう)により埋設されている。
【0027】
また、取付部14の車外側側壁17の内側面及び車内側側壁18の内側面には、それぞれ互いに対向する方向に向けて突出する保持リップ19が一体的に形成されている。車体パネルのドア開口縁11のフランジ12にウェザーストリップ13の取付部14を被せたときに、保持リップ19が弾性変形してフランジ12を車内側と車外側の両側から挟むことで、ウェザーストリップ13がフランジ12に装着される。このようにウェザーストリップ13の取付部14でフランジ12を両側から挟むことでウェザーストリップ13をフランジ12に安定して固定することができる。その際、保持リップ19を弾性変形させてフランジ12に当接させることで保持リップ19の弾性力によってウェザーストリップ13をフランジ12に固定することができる。
【0028】
更に、取付部14の車内側側壁18の外側面には、車内側に向けて突出する遮蔽リップ20が一体的に形成されている。ウェザーストリップ13がフランジ12に装着されたときに、遮蔽リップ20と取付部14(車内側側壁18)との間に、車内の内装部材(図示せず)の端末が差し込まれて遮蔽リップ20によって覆われるようになっている。
【0029】
このウェザーストリップ13は、該ウェザーストリップ13を押出成形する際にポリマー材料で補強用の芯材16を被覆することで該芯材16を取付部14に埋設して一体化する。これにより、取付部14を芯材16で補強してフランジ12に取付部14を安定して固定できるようにしている。
【0030】
ところで、車体パネルのドア開口縁11のフランジ12は、長手方向で二次元的又は三次元的に曲がっている(ねじれを含む)ため、ウェザーストリップ13は、押出成形で略直線状に成形されたものがフランジ12の曲がり形状に合わせて曲げられて装着される。このため、ウェザーストリップ13に埋設される芯材16は、ウェザーストリップ13の曲がりに追随して自在に曲げられるように、長手方向に所定間隔で後述する空間部24(図2参照)が形成されている。
【0031】
次に、図2乃至図6を用いて、ウェザーストリップ13に埋設される芯材16について説明する。
図2に示すように、後述する芯材形成工程で、長尺な帯板状の芯材素材21(図7参照)を打ち抜き加工(プレス加工)することにより、長手方向に所定間隔で複数の空間部24を形成して隣り合う空間部24の間にそれぞれ芯材片部22を残すことで長手方向に芯材片部22と空間部24とが交互に設けられると共に、芯材片部22が連結部23で長手方向に連結された帯板状の芯材16(以下、帯板状の芯材16を「芯材16A」と表記する)を製造する。本実施例1では、芯材片部22を連結する連結部23が長手方向に沿って1列に設けられ、隣り合う芯材片部22の間の空間部24が1列の連結部23によって2つの領域に分割されている。尚、連結部23を2列以上に設けるようにしても良い。
【0032】
各芯材片部22は、それぞれ芯材16Aの幅方向における両端部が半円状に面取り又は両端部の角部が所定角度(例えば45°)で面取りされ、芯材片部22の端部がウェザーストリップ13を突き破って外部に露出することを防止するようにしている。
【0033】
ところで、本発明者らの調査によると、帯板状の芯材16Aを中間横断面形状又は最終横断面形状である横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工したときに、横断面U字状の両側の芯材片部22がそれぞれロール成形ラインの移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部22の移動方向上流側が横断面U字状の外側に変位し、一方、移動方向下流側が横断面U字状の内側に変位する方向)に捩れ変形することが判明した。
【0034】
このような芯材片部22の捩れ変形に起因する不具合を防止するために、本実施例1では、図3及び図4に示すように、帯板状の芯材16Aが横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工(以下単に「ロール成形加工」ということもある)される前に、後述する予備捻り工程で、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させることで芯材片部22の移動方向下流側22bと移動方向上流側22aとが芯材16の厚さ方向で互いに逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を施して、予備捻り加工が施された芯材16(以下、予備捻り加工が施された芯材16を「芯材16B」と表記する)を製造する。
【0035】
この後、図5及び図6に示すように、後述する中間横断面成形工程で、予備捻り加工が施された芯材16Bを長手方向に連続して中間横断面形状である横断面U字状になるようにロール成形加工して、中間横断面形状である横断面U字状の芯材16(以下、中間横断面形状の芯材16を「芯材16C」と表記する)を製造する。
【0036】
このように、帯板状の芯材16Aがロール成形加工される前に、芯材16Aに予備捻り加工を施して、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させておくことで、その後、予備捻り加工が施された芯材16Bが横断面U字状にロール成形加工されたときの芯材片部22の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を矯正して芯材片部22の幅方向端末と隣り合う芯材片部22の幅方向端末とが長手方向で一直線になるようにしている。
【0037】
以下、図7乃至図14を用いて、ウェザーストリップ13の製造装置及び製造方法(芯材16の製造装置及び製造方法を含む)を説明する。
まず、図7,図9及び図10を用いて芯材16の製造装置及び製造方法を説明する。
図7に示すように、長尺な帯板状の芯材素材21が連続して複数の層状に巻き付けられたアンコイラ27(素材用リール)が配置され、このアンコイラ27から芯材素材21を外周側から解いて送出ローラ29(芯材素材送出手段)で長手方向に連続して送り出す芯材素材送出工程を実行して、芯材素材21をプレス装置30(芯材形成手段)に供給する。アンコイラ27と送出ローラ29との間には、抵抗溶接機又は接合接着テープ貼着機等の芯材接合機28が配置され、アンコイラ27に巻き付けられた芯材素材21を全て供給し終えて次のアンコイラ27に交換する場合に、芯材接合機28により、先のアンコイラ27から供給した芯材素材21の長手方向の終端部と、次のアンコイラ27から供給される芯材素材21の長手方向の始端部とを溶接又は接合接着テープ等で接続して連続させる。
【0038】
プレス装置30には、芯材素材21のうちの幅方向で芯材片部22になる部分と連結部23になる部分とを残して空間部24に相当する部分を部分的に除去するプレス型31(パンチとダイ)が設けられている。このプレス型31で芯材素材21を打ち抜き加工して芯材片部22になる部分と連結部23になる部分とを残して空間部24に相当する部分を除去する。これにより、長手方向に所定間隔(本実施例では同一ピッチ)で複数の空間部24を形成して隣り合う空間部24の間に芯材片部22を残すことで長手方向に芯材片部22と空間部24とが交互にそれぞれ同一ピッチで設けられると共に、芯材片部22が連結部23で連結された帯板状の芯材16A(図2参照)を形成する芯材形成工程を実行する。
【0039】
この後、プレス装置30から芯材16Aを引取ローラ32で引き取って貯溜部33に供給し、この貯溜部33に芯材16Aが湾曲した状態で一時的に溜められる。貯溜部33には、溜められている芯材16Aの長さ(貯溜量)が所定範囲内であることを確認するための2組の位置センサ34(例えば、発光素子34a1 ,34a2 と受光素子34b1 ,34b2 とからなる光センサ)が配置され、この位置センサ34の出力に基づいて送出ローラ29、プレス装置30や引取ローラ32を駆動制御することで、貯溜部33に溜められている芯材16Aの長さを所定範囲内に維持するようになっている。
【0040】
この貯溜部33に溜められた芯材16Aを送出ローラ35で長手方向に一定速度で連続して送り出して予備捻り装置36(予備捻り手段)に供給する。この予備捻り装置36により、帯板状の芯材16Aが中間横断面形状(横断面U字状)にロール成形で折り曲げ加工される前に予め特定方向に芯材片部22を捻り塑性変形させる予備捻り加工を芯材16Aに対して行う予備捻り工程を実行する。
【0041】
図9及び図10に示すように、予備捻り装置36には、回転駆動される一対の捻り加工ローラ37,38が芯材16Aを表裏両側から挟むように配置され、各捻り加工ローラ37,38の外周面に、芯材16Aの芯材片部22を捻り塑性変形させるための凹凸パターン39,40が周方向に沿って芯材片部22の所定ピッチと同一ピッチで設けられている。この凹凸パターン39,40は、後述する成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nによるロール成形で折り曲げ加工される際の該成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nの外周成形面と芯材16Bの移動方向との関係によって特定される方向(ロール成形による折り曲げ加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させる形状に形成されている。本実施例1では、凹凸パターン39,40は、予備捻り工程における芯材片部22の移動方向下流側22bが芯材16Aの表面(図10において上側の面)S1下方に変位し、移動方向上流側22aが芯材16Aの裏面(図10において下側の面)S2上方に変位する方向(つまり芯材片部22の移動方向下流側22bが後述する凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位して移動方向上流側22aが後述する凸形成形ローラ48A〜48Nの外周成形面側に変位する方向)に芯材片部22の幅方向端末が傾斜角度αとなるように捻り塑性変形させる形状に形成されている。ここで、傾斜角度αは、ロール成形による折り曲げ加工によって生じる前記角度αとは逆方向の芯材片部22の捩れ変形の角度で相殺又は矯正される角度とする。
【0042】
各捻り加工ローラ37,38の回転軸41,42が平ギヤ43,44を介して連結され、駆動モータ等(図示せず)で下側の捻り加工ローラ38の回転軸42を回転駆動することで、各捻り加工ローラ37,38が互いに逆方向に同一周速度で回転駆動されるようになっている。捻り加工ローラ37,38を回転駆動して該捻り加工ローラ37,38の間に芯材16Aを挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで、予め特定方向に芯材片部22を捻り塑性変形させておく予備捻り加工を連続的に行う。これにより、前記傾斜角度αとなる予備捻り加工が施された芯材16B(図3及び図4参照)の製造が完了する。
【0043】
尚、前記予備捻り加工では、芯材片部22の移動方向下流側22bが表面S1の下側に、移動方向上流側22aが裏面S2の上側になるように両方の側を共に変位させる例を示した。但し、本発明は、これに限定されず、芯材片部22の移動方向上流側22aを表面S1と一致させ移動方向下流側22bのみを表面S1より下側に変位させても良く、或は、逆に、芯材片部22の移動方向下流側22bを表面S1と一致させ移動方向上流側22aのみを表面S1より上側に変位させても良い。上記の変位形態は他の実施例にも同様に適用できる。
【0044】
また、捻り塑性変形させる芯材片部22の範囲又は領域は、後述するロール成形による折り曲げ加工で塑性変形される両側の曲げ部(図12の16a,16a部分)を中心として折り曲げ加工により塑性変形が及んでいる範囲と少なくとも部分的に一致する部分である。
【0045】
この後、図7に示すように、予備捻り加工が施された芯材16Bを芯材冷間ロール成形装置47に供給する。この芯材冷間ロール成形装置47により、予備捻り加工が施された芯材16Bを長手方向に連続して中間横断面形状である横断面U字状(本実施例1では最終横断面形状よりも幾分拡開した形状)になるようにロール成形で折り曲げ加工する中間横断面成形工程を実行して、中間横断面形状である横断面U字状の芯材16C(図5及び図6参照)を製造する。
【0046】
この芯材冷間ロール成形装置47は、芯材16Bに前記捻り塑性変形の変位と逆方向に変位させる押圧力が加わるよう上下方向から挟む外周成形面が凸形状で回転駆動される複数の凸形成形ローラ48A〜48Nと、外周成形面が凹形状で凸形成形ローラ48A〜48Nと同一の角速度で逆方向に回転駆動される複数の凹形成形ローラ49A〜49Nとが上流側から下流側に向けて並べて配置され、図12に示すように、最下流部の成形ローラ48N,49Nの外周面に、芯材16Bを中間横断面形状である横断面U字状に折り曲げ加工するロール成形加工を行うための成形面が設けられている。中間横断面形状(横断面U字状)に加工された芯材16Cは、最終横断面形状よりも幾分拡開した形状であり、芯材16Cの幅方向の両側で2箇所の折り曲げ部16aが所定の曲げ角度及び所定の曲率半径で折り曲げられ、幅方向中央の仮折り曲げ部16bが折り曲げ部16aと逆方向に所定の曲げ角度及び所定の曲率半径で折り曲げられた形状である。
【0047】
本実施例1では、図11に示すように、凸形成形ローラ48A〜48Nが図面上で上側に配置され、凹形成形ローラ49A〜49Nが下側に配置されている。ここで、予備捻り加工が施されていない芯材が横断面U字状にロール成形加工されると、横断面U字状の芯材の幅方向の両側の芯材片部がそれぞれ移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部の移動方向下流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位する方向)に捩れ変形する。そこで、図11に示すように、予備捻り加工が施された芯材16Bを、その長手方向の表面S1及び裏面S2を基準として、芯材片部22のロール成形時の移動方向下流側22bが表面S1よりも凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位し、芯材片部22の移動方向上流側22aが裏面S2よりも凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢(芯材片部22の移動方向下流側22bが表面S1よりも下方に変位し、芯材片部22の移動方向上流側22aが裏面S2よりも上方に変位した姿勢)に保って凸形成形ローラ48A〜48Nと凹形成形ローラ49A〜49Nとの間に連続して供給する。
【0048】
これにより、予備捻り加工が施された幅方向が略直線状の芯材16Bの横断面形状を徐々にU字状に近付けるように折り曲げて塑性変形させ、芯材16Bを凸形成形ローラ48A〜48N側が内側となる横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工を行って、中間横断面形状である横断面U字状の芯材16Cを連続して成形する。このロール成形で折り曲げ加工する際に、芯材片部22の折り曲げ加工される部分に予備捻り加工の傾斜角度αと逆方向に発生する捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を相殺又は矯正して捻りの傾斜角度αを0にし、隣り合う芯材片部22の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工する(図6参照)。
【0049】
このとき、折り曲げて塑性変形される範囲は、図12に示す幅方向の両側の折り曲げ部16a,16a及び中央部の仮折り曲げ部16bの曲線で示す範囲である。図1で示す車外側側壁17及び車内側側壁18に対応する部分は平坦状のままで折り曲げ塑性変形されないままである。
【0050】
尚、前記U字状に成形される際に、芯材16Bの芯材片部22は、折り曲げ部16a,16a,16bの部分で凸形成形ローラ48A〜48Nと凹形成形ローラ49A〜49Nとで挟まれて折り曲げ加工されると共に、前記折り曲げ部16a,16a,16bで長手方向に沿って厚さが減少するように幾分圧延される。従って、前記の折り曲げ加工と圧延に伴って芯材片部22内に発生する内部応力によって前記した捻り加工と逆方向の変位が生じて捻り変位が相殺又は矯正されると推定する。
【0051】
この後、芯材冷間ロール成形装置47から送り出される中間横断面形状の溝形の芯材16Cを押出成形装置50に連続して供給する。この押出成形装置50により、所定の中間横断面形状(図14参照)のウェザーストリップ13Aを押出成形して、中間横断面形状のウェザーストリップ13Aの取付部14に中間横断面形状の芯材16Cを埋設する押出成形工程を実行する。
【0052】
図13及び図14に示すように、押出成形装置50は、中間横断面形状(取付部14の横断面形状が最終横断面形状よりも拡開した形状)のウェザーストリップ13Aを押出成形する押出成形型51を備え、この押出成形型51の入口側(上流側)に、中間横断面形状の芯材16Cを押出成形型51の中で姿勢を維持させて案内するガイド溝52が形成された芯材ガイド53が設けられている。押出成形型51内に中間横断面形状がU字形の溝形の芯材16Cを長手方向に連続して供給しながら、押出成形型51内に取付部成形用ポリマー材料P1と筒状中空シール部成形用ポリマー材料P2をそれぞれ別々の供給口54,55から連続して供給して、中間横断面形状のウェザーストリップ13A(取付部14、筒状中空シール部15等)を押出成形する。これにより、中間横断面形状の芯材16Cをポリマー材料で被覆して中間横断面形状のウェザーストリップ13Aの取付部14に中間横断面形状の芯材16Cを埋設して一体化する。
【0053】
この後、図8に示すように、取付部成形用ポリマー材料と筒状中空シール部成形用ポリマー材料がゴムの場合には、押出成形装置50から押し出される中間横断面形状のウェザーストリップ13Aを硬化処理装置56に供給する。この硬化処理装置56は、加熱機57(例えば高周波加熱機と熱風加熱機)でウェザーストリップ13Aを加熱してウェザーストリップ13A本体(押出成形装置50で押出成形された未加硫状態のゴム部分)を加硫させて硬化させる処理工程を実行する。ウェザーストリップ13A本体を加硫させて硬化させた後、必要に応じて冷却水槽等の冷却機58でウェザーストリップ13Aを冷却する。
【0054】
尚、取付部成形用ポリマー材料と筒状中空シール部成形用ポリマー材料が熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)の場合には、加熱機57を省略して、押出成形装置50から加熱されて溶融状態で押し出される中間横断面形状のウェザーストリップ13Aを冷却水槽等の冷却機58で冷却してウェザーストリップ13A本体(押出成形装置50で押出成形された未固化状態の樹脂部分)を固化させる処理工程を実行して、ウェザーストリップ13A本体を冷却固化させる。
【0055】
この後、中間横断面形状のウェザーストリップ13Aをトリム材冷間ロール成形装置59に供給し、このトリム材冷間ロール成形装置59により、図12に示す仮折り曲げ部16bをほぼ平坦形に曲げ戻す加工を行い中間横断面形状のウェザーストリップ13Aの取付部14を最終横断面形状(図1参照)に成形する最終横断面成形工程を実行する。
【0056】
このトリム材冷間ロール成形装置59は、ウェザーストリップ13Aを上下方向に挟む複数対(例えば3対)の成形ローラ60A〜60C,61A〜61Cが上流側から下流側に向かって並べて配置され、最下流部の成形ローラ60C,61Cの外周面に、ウェザーストリップ13Aの取付部14を最終横断面形状に成形するための成形面が設けられている。トリム材冷間ロール成形装置59は、各成形ローラ60A〜60C,61A〜61Cで、中間横断面形状のウェザーストリップ13Aを該ウェザーストリップ13Aに埋設された中間横断面形状の芯材16Cと共に徐々に変形させて最終横断面形状(取付部14と芯材16の横断面形状が共にU字状となり、フランジ12を挟持できる図1の形状)に成形して、最終横断面形状にウェザーストリップ13を連続して成形する。これにより、最終横断面形状のウェザーストリップ13を効率良く形成することができる。
【0057】
この後、トリム材冷間ロール成形装置59から連続して送り出される最終横断面形状のウェザーストリップ13を引取機62で引き取りながら切断機63に供給し、この切断機63から下流側に所定間隔だけ離れて配置された位置センサ64(例えば、発光素子64aと受光素子64bとからなる光センサ)でウェザーストリップ13の先端部を検出する毎に切断機63でウェザーストリップ13を切断することで、ウェザーストリップ13を所定の長さ寸法で切断する。これにより、芯材16が埋設されたウェザーストリップ13の製造が完了する。
【0058】
以上説明した本実施例1では、芯材16が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工される前に、芯材16に予備捻り加工を施して、予め特定方向(折り曲げ加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させておくようにしたので、その後、芯材16が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工されたときの芯材片部22の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を相殺又は矯正して、隣り合う芯材片部22の幅方向端末が長手方向で略一直線になるように加工することができ、長手方向で隣り合う芯材片部22の縁部間に段差が生じることを回避できる。
【0059】
これにより、ロール成形で折り曲げ加工された後の芯材16が埋設されたウェザーストリップ13を製造した場合に、ロール成形で折り曲げ加工されたときの芯材片部22の捩れ塑性変形によってウェザーストリップ13の芯材16が埋設された部分の表面に凹凸が発生せず、また芯材片部22の一部が外部に露出するのを未然に防止することができ、ウェザーストリップ13の外観性(装飾性)を向上させることができる。
【0060】
また、芯材片部22が外部に露出しないため、ウェザーストリップ13の製造作業者、組付作業者、使用者(例えばウェザーストリップ13を組み付けた自動車の乗員)等の人体や衣服に芯材片部22が接触したり、引っ掛かったりすることがなく、安全性を向上させることができる。
【0061】
更に、芯材片部22の露出を防止するためにウェザーストリップ13のポリマー材料部分を厚くする必要がないため、ウェザーストリップ13のポリマー材料部分を薄くすることができ、その分、ポリマー材料の使用量を削減して、ウェザーストリップ13を軽量化することができる。
【0062】
また、芯材16の長手方向で芯材片部22の縁部間に段差が生じない(芯材片部22が略一直線になる)ため、ウェザーストリップ13を製造する際に、押出成形ラインの中で芯材片部22が周辺部材(例えば、押出成形型51の内部構成部材等)に引っ掛かることを未然に防止することができる。このため、芯材片部22の引っ掛かりに起因する芯材16の供給不能が発生せず、ウェザーストリップ13を安定して製造することができる。
【0063】
更に、芯材16の長手方向で隣り合う芯材片部22の幅方向の端末の縁部間に段差が生じない(即ち隣り合う芯材片部22の幅方向の端末が長手方向で略一直線になる)ため、押出成形型51のガイド溝52に芯材16が連続して供給される際に、芯材片部22がガイド溝52に強く擦れることを回避して、ガイド溝52の摩耗を低減することができる。このため、ガイド溝52と芯材16との位置関係を長期に亘って正確に保つことができ、その結果、ウェザーストリップ13内の芯材16の位置のばらつきが少ない安定した品質のウェザーストリップ13を製造することができる。
【0064】
また、本実施例1では、捻り加工ローラ37,38を回転駆動して該捻り加工ローラ37,38の間に芯材16を挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで予備捻り加工を行うようにしたので、捻り加工ローラ37,38に芯材16を連続的に供給して予備捻り加工を連続的に行うことができ、予備捻り加工が施された芯材16を効率良く製造することができる。
【実施例2】
【0065】
次に、図15を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0066】
前記実施例1では、捻り加工ローラ37,38を用いて予備捻り加工を行うようにしたが、本実施例2では、図15に示すように、プレス型65を用いて予備捻り加工を行うようにしている。尚、図15の実線はプレス型65が閉じた状態を示し、図15の二点鎖線はプレス型65が開いた状態を示している。
【0067】
図15に示すように、予備捻り加工用のプレス型65には、パンチ66とダイ67が帯板状の芯材16Aを表面S1と裏面S2の両側から挟むように配置され、パンチ66とダイ67の成形面に、芯材16Aの長手方向に並んだ多数の芯材片部22を同時に捻り塑性変形させるための多数の凹凸パターン68,69が設けられている。この凹凸パターン68,69は、前述した成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nでロール成形加工される際の該成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nの外周成形面と芯材16Bの移動方向との関係によって特定される方向(ロール成形での折り曲げ加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させる形状に形成されている。本実施例2では、凹凸パターン68,69は、芯材片部22の移動方向下流側22bが表面S1よりも下方に変位して移動方向上流側22aが裏面S2よりも上方に変位する方向(つまり芯材片部22の移動方向下流側22bが凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位して移動方向上流側22aが凸形成形ローラ48A〜48Nの外周成形面側に変位する方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させる形状に形成されている。
【0068】
この予備捻り加工用のプレス型65は、打ち抜き加工用のプレス装置30のベッド30Aの下流側の半分にプレス型31(図7参照)と並べて配置されている。この場合、打ち抜き加工用のプレス型31を昇降駆動するプレス装置30で予備捻り加工用のプレス型65を昇降駆動して、打ち抜き加工用のプレス型31の昇降動作と予備捻り加工用のプレス型65の昇降動作を同期させるようにしても良い。或は、打ち抜き加工用のプレス型31を昇降駆動するプレス装置30の下流側に配置した別のプレス装置で予備捻り加工用のプレス型65を昇降駆動して、打ち抜き加工用のプレス型31の昇降動作と予備捻り加工用のプレス型65の昇降動作を同期させるようにしても良い。
【0069】
以上説明した本実施例2では、プレス型65で芯材16を挟んで加圧することで予備捻り加工を行うようにしたので、プレス型65で一度に芯材16の長手方向に並んだ多数の芯材片部22を同時に挟んで予備捻り加工を行うことができ、予備捻り加工が施された芯材16を効率良く製造することができる。
【0070】
尚、上記各実施例1,2では、芯材素材送出工程、芯材形成工程、予備捻り工程、中間横断面成形工程、押出成形工程、処理工程、最終横断面成形工程等を全て同期させて連続して行ってウェザーストリップ13を製造するようにしたが、予備捻り加工が施された芯材16の製造のみを行う場合には、芯材素材送出工程と芯材形成工程と予備捻り工程を実行した後、例えば、予備捻り加工が施された芯材16(予備捻り加工後の芯材16B)を、アンコイラ27に芯材素材21が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールであるリコイラ70(図7の二点鎖線参照)に巻き付ける芯材巻取工程を実行するようにしても良い。この場合、リコイラ70や該リコイラ70の回転駆動装置等が芯材巻取手段に相当する。
【0071】
また、ウェザーストリップ13を製造する場合には、長手方向に芯材片部22と空間部24とを交互に設けた形状の芯材16(予備捻り加工前の芯材16Aに相当)を外部から入手して、芯材素材送出工程と芯材形成工程を省略し、予備捻り工程以降の工程を実行するようにしても良い。この場合、例えば、予備捻り加工前の芯材16が巻き付けられたアンコイラ(芯材用リール)を配置し、このアンコイラから予備捻り加工前の芯材16を外周側から解いて送出ローラで長手方向に連続して送り出す芯材送出工程を実行して、予備捻り加工前の芯材16を予備捻り装置36に供給する。
【0072】
或は、予備捻り加工が施された芯材16(予備捻り加工後の芯材16Bに相当)を外部から入手して、芯材素材送出工程と芯材形成工程と予備捻り工程を省略し、中間横断面成形工程以降の工程を実行するようにしても良い。この場合、例えば、予備捻り加工後の芯材16が巻き付けられたアンコイラ(前述したリコイラ70)を配置し、このアンコイラから予備捻り加工済みの芯材16を外周側から解いて送出ローラで長手方向に連続して送り出す芯材送出工程を実行して、予備捻り加工後の芯材16を芯材冷間ロール成形装置47に供給する。
【0073】
この際、予備捻り加工が施された芯材16を製造するメーカーの製造ラインの仕様によっては、予備捻り加工後の芯材16が巻き付けられたアンコイラを通常通りに配置すると、アンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が、芯材16を芯材冷間ロール成形装置47に供給するときの所定の正規の姿勢とは表裏が反転した姿勢になることがある。ここで、正規の姿勢とは、芯材片部22の移動方向下流側が凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位して移動方向上流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢(図11では、芯材片部22の移動方向下流側が下方に変位して移動方向上流側が上方に変位した姿勢)である。
【0074】
アンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が正規の姿勢とは表裏が反転した姿勢になる場合には、例えば、次の(1) 〜(3) のいずれかの方法で、芯材冷間ロール成形装置47に供給される予備捻り加工後の芯材16の姿勢を正規の姿勢にすることができる。
【0075】
(1) アンコイラを図7に図示する姿勢とは上下に反転させて配置して、アンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が正規の姿勢となるようにする。
(2) アンコイラから送り出された予備捻り加工後の芯材16を図7に図示する芯材冷間ロール成形装置47の前までに反転装置で表裏反転させて、芯材冷間ロール成形装置47に供給される予備捻り加工後の芯材16の姿勢を正規の姿勢にする。
(3) 予備捻り加工が施された芯材16を製造するメーカーの製造ラインにおいて、芯材片部22を捻り塑性変形させる方向を逆にして、図7に図示する姿勢のアンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が正規の姿勢となるようにする。
【0076】
その他、本発明の適用範囲は、筒状中空シール部を備えた押出成形品(ウェザーストリップ)に限定されず、筒状中空シール部を備えていない押出成形品に本発明を適用しても良い。更に、自動車のドア開口縁や窓開口縁に装着される押出成形品に限定されず、芯材が埋設された押出成形品や押出成形品に埋設される芯材に広く適用して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例1におけるウェザーストリップの断面図である。
【図2】芯材の予備捻り加工前の状態を示す平面図である。
【図3】芯材の予備捻り加工後の状態を示す平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】中間横断面形状の芯材の断面図である。
【図6】中間横断面形状の芯材の平面図である。
【図7】ウェザーストリップの製造装置の前半部分の概略構成図である。
【図8】ウェザーストリップの製造装置の後半部分の概略構成図である。
【図9】予備捻り装置を出口側から見た断面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】芯材冷間ロール成形装置の成形ローラの幅方向外側の折り曲げ部に相当する位置を側方から見た断面図である。
【図12】芯材冷間ロール成形装置の最下流部の成形ローラを出口側から見た断面図である。
【図13】押出成形装置を側方から見た断面図である。
【図14】押出成形型を出口側から見た図である。
【図15】実施例2のプレス型を側方から見た図である。
【符号の説明】
【0078】
13…ウェザーストリップ(押出成形品)、16…芯材、21…芯材素材、22…芯材片部、23…連結部、24…空間部、27…アンコイラ(素材用リール)、29…送出ローラ(芯材素材送出手段)、30…プレス装置(芯材形成手段)、36…予備捻り装置(予備捻り手段)、37,38…捻り加工ローラ、47…芯材冷間ロール成形装置、48A〜48N…凸形成形ローラ、49A〜49N…凹形成形ローラ、50…押出成形装置、51…押出成形型、56…硬化処理装置、59…トリム材冷間ロール成形装置、65…プレス型
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー材料製の押出成形品に埋設される長尺な芯材及びその芯材の製造方法と製造装置並びに押出成形品の製造方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両のドア開口縁や窓開口縁のフランジには、該フランジに沿って長尺なトリム材が装着される。このトリム材は、ゴムや熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)等のポリマー材料によって横断面が略U字状の取付部を有する形状に押出成形され、その略U字状の取付部で開口縁のフランジを両側から挟むことでフランジに固定されるようになっている。このようなトリム材は、横断面が取付部に対応した略U字状の長尺な補強用の芯材(例えば厚さ0.25mm〜1.0mm程度の冷間圧延鋼板等の金属板、JIS表示でSPCC)を取付部に埋設して一体化することで、取付部を芯材で補強して開口縁のフランジに取付部を安定して固定できるようにしている。
【0003】
ところで、車両のドア開口縁や窓開口縁のフランジは、長手方向で二次元的又は三次元的に曲がっているため、トリム材は、押出成形で略直線状に成形されたものが開口縁のフランジの曲がり形状に合わせて曲げられて装着される。このため、トリム材に埋設される芯材は、トリム材の曲がりに追随して自在に曲げられるように、長手方向に所定間隔で複数の空間部が形成された種々の芯材(魚骨芯材や竜骨芯材ということもある)が用いられる。
【0004】
このような芯材の製造方法としては、例えば、帯板状の芯材素材の長手方向に所定間隔で複数の空間部をプレス加工(打ち抜き加工)により形成することで長手方向に櫛の歯状の芯材片部(以下単に「芯材片部」ということもある)と空間部とを交互に設けた形状の芯材を形成するようにしたものがある。
【0005】
また、特許文献1(特開昭58−76343号公報)に記載されているように、帯板状の芯材素材の長手方向に所定間隔で複数のスリットをスリッターロール加工により形成し、スリットが形成されていない部分を長手方向に圧延してスリットを長手方向に拡大して空間部を形成することで長手方向に芯材片部と空間部とを交互に設けた形状の芯材を形成するようにしたものもある。
【0006】
このような芯材を埋設したポリマー材料製の押出成形品を製造する場合には、芯材を外周成形面が凸形状の凸形成形ローラと外周成形面が凹形状の凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して通過させて横断面U字状(例えば最終横断面形状であるU字状又はそれよりも幾分拡開した中間横断面形状であるU字状)にロール成形で折り曲げ加工した後に、押出成形品を成形する押出成形型に横断面U字状の芯材を連続して供給しながらポリマー材料を供給して、押出成形品を成形すると共に該押出成形品に横断面U字状の芯材を埋設して一体化することがある。
【特許文献1】特開昭58−76343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工された芯材を埋設した押出成形品は、芯材が埋設された部分の表面が平坦にならず、表面に凹凸が発生したり、芯材片部の一部が外部に露出したりして、押出成形品の外観性(装飾性)を損ねることがある。
【0008】
本発明者らの調査によると、芯材を平坦な平板形状から横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工したときに、横断面U字状の芯材の両側の芯材片部がそれぞれ移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部の移動方向上流側が横断面U字状の外側に変位して移動方向下流側が横断面U字状の内側に変位する方向)に捩れ変形していることが判明した。このような各芯材片部の捩れ変形によって、芯材片部の幅方向端末が長手方向で一直線にならず隣り合う芯材片部の縁部間に段差が生じるため、押出成形品の芯材が埋設された部分の表面に凹凸が発生したり、芯材片部の一部が外部に露出すると考えられる。
【0009】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、芯材が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工される際の芯材片部の捩れ変形による不具合を防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材であって、芯材は、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられると共に、成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を施すようにしたものである。
【0011】
このように、芯材が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工(以下単に「ロール成形加工」ということもある)される前に、芯材に予備捻り加工を施して、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部を捻り塑性変形させておくことで、その後、芯材が横断面U字状にロール成形加工されたときの芯材片部の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部の捻り塑性変形を相殺又は矯正(以下「矯正」という)して芯材片部の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工することができ、長手方向で隣り合う芯材片部の縁部間に段差が生じることを回避できる。
【0012】
これにより、ロール成形加工された後の芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造した場合に、押出成形品の芯材が埋設された部分の表面に凹凸が発生したり、芯材片部の一部が外部に露出することを未然に防止することができ、押出成形品の外観性(装飾性)を向上させることができる。
【0013】
また、芯材片部が外部に露出しないため、押出成形品の製造作業者、組付作業者、使用者(例えば押出成形品を組み付けた自動車の乗員)等の人体や衣服に芯材片部が接触したり、引っ掛かったりすることがなく、安全性を向上させることができる。
【0014】
更に、芯材片部の露出を防止するために押出成形品のポリマー材料部分を厚くする必要がないため、押出成形品のポリマー材料部分を薄くすることができ、その分、ポリマー材料の使用量を削減して、押出成形品を軽量化することができる。
【0015】
また、長手方向で芯材片部の縁部間に段差が生じない(芯材片部が一直線になる)ため、押出成形品を製造する際に、押出成形ラインの中で芯材片部が周辺部材(例えば、押出成形型の内部構成部材等)に引っ掛かることを未然に防止することができる。このため、芯材片部の引っ掛かりに起因する芯材の供給不能が発生せず、押出成形品を安定して製造することができる。
【0016】
更に、長手方向で芯材片部の縁部間に段差が生じない(芯材片部が一直線になる)ため、押出成形型のガイド溝に芯材が連続して供給される際に、芯材片部がガイド溝に強く擦れることを回避して、ガイド溝の摩耗を低減することができる。このため、ガイド溝と芯材との位置関係を長期に亘って正確に保つことができ、その結果、芯材の位置のばらつきが少ない安定した品質の押出成形品を製造することができる。
尚、本願発明において横断面U字状とは、厳密にU字状に限定されず、開いたU字やV字を含む。
【0017】
また、本発明の芯材を製造する場合には、請求項3のように、長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出工程と、芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成工程と、芯材が成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、予備捻り加工が施された芯材を素材用リールに芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取工程とを実行するようにすると良い。このようにすれば、本発明の芯材を容易に製造して芯材用リールに巻き付けた状態にすることができる。
【0018】
この場合、請求項4のように、予備捻り工程において、芯材を表裏両側から挟むように配置された少なくとも一対の捻り加工ローラを回転駆動して該捻り加工ローラの間に芯材を挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで芯材片部の予備捻り加工を行うようにしても良い。このようにすれば、捻り加工ローラに芯材を長手方向に連続的に供給して、捻り加工ローラにより予備捻り加工を連続的に行うことができ、本発明の芯材を効率良く製造することができる。
【0019】
或は、請求項5のように、予備捻り工程において、芯材を表裏両側から挟むように配置されたプレス型で芯材を挟んで加圧することで芯材片部の予備捻り加工を行うようにしても良い。このようにすれば、プレス型で一度に芯材の長手方向に並んだ多数の芯材片部を同時に挟んで予備捻り加工を行うことができ、本発明の芯材を効率良く製造することができる。
【0020】
また、本発明の芯材を製造する装置は、請求項7のように、長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出手段と、芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成手段と、芯材が成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り手段と、予備捻り加工が施された芯材を素材用リールに芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取手段とを備えた構成とすると良い。このようにすれば、本発明の芯材を容易に製造して芯材用リールに巻き付けた状態にすることができる。
【0021】
また、本発明の押出成形品を製造する場合には、請求項8のように、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられると共に、成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に芯材片部を捻り塑性変形させることで芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工が施された状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を入手して、芯材用リールから予備捻り加工が施された芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、芯材片部の移動方向下流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が下流側よりも相対的に凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って成形ローラに連続して供給して、予備捻り加工が施された芯材を凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、予備捻り加工による芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、押出成形品を成形する押出成形型に横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら押出成形型にポリマー材料を供給して押出成形品を成形すると共に該押出成形品に芯材を埋設する押出成形工程と、押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程とを実行するようにすると良い。尚、処理工程では、ポリマー材料がゴムの場合には加硫によって硬化させることができ、ポリマー材料が熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)の場合には冷却によって固化させることができる。
【0022】
或は、請求項10のように、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に芯材片部と空間部とが交互に設けられた状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を入手して、芯材用リールから芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、予備捻り工程と横断面成形工程と押出成形工程と処理工程とを同期して連続的に実行するようにしても良い。
【0023】
或は、請求項11のように、芯材素材送出工程と芯材形成工程と予備捻り工程と横断面成形工程と押出成形工程と処理工程とを同期して連続的に実行するようにしても良い。
予備捻り加工が施されていない芯材が横断面U字状に折り曲げ加工されると、横断面U字状の芯材の両側の芯材片部がそれぞれ移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部の移動方向下流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位する方向)に捩れ変形するため、請求項8,10,11のように、横断面成形工程において、予備捻り加工が施された芯材を、芯材片部の移動方向下流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って成形ローラに連続して供給して、予備捻り加工が施された芯材を横断面U字状になるよう折り曲げ加工するようにすれば、ロール成形加工されたときの芯材片部の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部の捻り塑性変形を矯正して芯材片部の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工することができる。
【0024】
尚、本発明は、予備捻り加工の際に、芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とのうちの一方の側のみを芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に変位させるようにしても良いが、請求項2、6、9、12のように、予備捻り加工の際に、芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させるようにしても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1を図1乃至図14に基づいて説明する。
図1に示すように、車体パネルの側部や後部又はルーフのドア開口縁11のフランジ12には、該フランジ12に沿って長尺なウェザーストリップ13(押出成形品)が装着される。このウェザーストリップ13は、ゴム又は熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)等の弾性ポリマー材料の押出成形により、横断面略U字状の取付部14と、スポンジ材料製の筒状中空シール部15とが一体的に形成され、取付部14には、後述する長尺な芯材16が押出成形と同時にインサート押出成形(複合押出成形ともいう)により埋設されている。
【0027】
また、取付部14の車外側側壁17の内側面及び車内側側壁18の内側面には、それぞれ互いに対向する方向に向けて突出する保持リップ19が一体的に形成されている。車体パネルのドア開口縁11のフランジ12にウェザーストリップ13の取付部14を被せたときに、保持リップ19が弾性変形してフランジ12を車内側と車外側の両側から挟むことで、ウェザーストリップ13がフランジ12に装着される。このようにウェザーストリップ13の取付部14でフランジ12を両側から挟むことでウェザーストリップ13をフランジ12に安定して固定することができる。その際、保持リップ19を弾性変形させてフランジ12に当接させることで保持リップ19の弾性力によってウェザーストリップ13をフランジ12に固定することができる。
【0028】
更に、取付部14の車内側側壁18の外側面には、車内側に向けて突出する遮蔽リップ20が一体的に形成されている。ウェザーストリップ13がフランジ12に装着されたときに、遮蔽リップ20と取付部14(車内側側壁18)との間に、車内の内装部材(図示せず)の端末が差し込まれて遮蔽リップ20によって覆われるようになっている。
【0029】
このウェザーストリップ13は、該ウェザーストリップ13を押出成形する際にポリマー材料で補強用の芯材16を被覆することで該芯材16を取付部14に埋設して一体化する。これにより、取付部14を芯材16で補強してフランジ12に取付部14を安定して固定できるようにしている。
【0030】
ところで、車体パネルのドア開口縁11のフランジ12は、長手方向で二次元的又は三次元的に曲がっている(ねじれを含む)ため、ウェザーストリップ13は、押出成形で略直線状に成形されたものがフランジ12の曲がり形状に合わせて曲げられて装着される。このため、ウェザーストリップ13に埋設される芯材16は、ウェザーストリップ13の曲がりに追随して自在に曲げられるように、長手方向に所定間隔で後述する空間部24(図2参照)が形成されている。
【0031】
次に、図2乃至図6を用いて、ウェザーストリップ13に埋設される芯材16について説明する。
図2に示すように、後述する芯材形成工程で、長尺な帯板状の芯材素材21(図7参照)を打ち抜き加工(プレス加工)することにより、長手方向に所定間隔で複数の空間部24を形成して隣り合う空間部24の間にそれぞれ芯材片部22を残すことで長手方向に芯材片部22と空間部24とが交互に設けられると共に、芯材片部22が連結部23で長手方向に連結された帯板状の芯材16(以下、帯板状の芯材16を「芯材16A」と表記する)を製造する。本実施例1では、芯材片部22を連結する連結部23が長手方向に沿って1列に設けられ、隣り合う芯材片部22の間の空間部24が1列の連結部23によって2つの領域に分割されている。尚、連結部23を2列以上に設けるようにしても良い。
【0032】
各芯材片部22は、それぞれ芯材16Aの幅方向における両端部が半円状に面取り又は両端部の角部が所定角度(例えば45°)で面取りされ、芯材片部22の端部がウェザーストリップ13を突き破って外部に露出することを防止するようにしている。
【0033】
ところで、本発明者らの調査によると、帯板状の芯材16Aを中間横断面形状又は最終横断面形状である横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工したときに、横断面U字状の両側の芯材片部22がそれぞれロール成形ラインの移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部22の移動方向上流側が横断面U字状の外側に変位し、一方、移動方向下流側が横断面U字状の内側に変位する方向)に捩れ変形することが判明した。
【0034】
このような芯材片部22の捩れ変形に起因する不具合を防止するために、本実施例1では、図3及び図4に示すように、帯板状の芯材16Aが横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工(以下単に「ロール成形加工」ということもある)される前に、後述する予備捻り工程で、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させることで芯材片部22の移動方向下流側22bと移動方向上流側22aとが芯材16の厚さ方向で互いに逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を施して、予備捻り加工が施された芯材16(以下、予備捻り加工が施された芯材16を「芯材16B」と表記する)を製造する。
【0035】
この後、図5及び図6に示すように、後述する中間横断面成形工程で、予備捻り加工が施された芯材16Bを長手方向に連続して中間横断面形状である横断面U字状になるようにロール成形加工して、中間横断面形状である横断面U字状の芯材16(以下、中間横断面形状の芯材16を「芯材16C」と表記する)を製造する。
【0036】
このように、帯板状の芯材16Aがロール成形加工される前に、芯材16Aに予備捻り加工を施して、予め特定方向(ロール成形加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させておくことで、その後、予備捻り加工が施された芯材16Bが横断面U字状にロール成形加工されたときの芯材片部22の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を矯正して芯材片部22の幅方向端末と隣り合う芯材片部22の幅方向端末とが長手方向で一直線になるようにしている。
【0037】
以下、図7乃至図14を用いて、ウェザーストリップ13の製造装置及び製造方法(芯材16の製造装置及び製造方法を含む)を説明する。
まず、図7,図9及び図10を用いて芯材16の製造装置及び製造方法を説明する。
図7に示すように、長尺な帯板状の芯材素材21が連続して複数の層状に巻き付けられたアンコイラ27(素材用リール)が配置され、このアンコイラ27から芯材素材21を外周側から解いて送出ローラ29(芯材素材送出手段)で長手方向に連続して送り出す芯材素材送出工程を実行して、芯材素材21をプレス装置30(芯材形成手段)に供給する。アンコイラ27と送出ローラ29との間には、抵抗溶接機又は接合接着テープ貼着機等の芯材接合機28が配置され、アンコイラ27に巻き付けられた芯材素材21を全て供給し終えて次のアンコイラ27に交換する場合に、芯材接合機28により、先のアンコイラ27から供給した芯材素材21の長手方向の終端部と、次のアンコイラ27から供給される芯材素材21の長手方向の始端部とを溶接又は接合接着テープ等で接続して連続させる。
【0038】
プレス装置30には、芯材素材21のうちの幅方向で芯材片部22になる部分と連結部23になる部分とを残して空間部24に相当する部分を部分的に除去するプレス型31(パンチとダイ)が設けられている。このプレス型31で芯材素材21を打ち抜き加工して芯材片部22になる部分と連結部23になる部分とを残して空間部24に相当する部分を除去する。これにより、長手方向に所定間隔(本実施例では同一ピッチ)で複数の空間部24を形成して隣り合う空間部24の間に芯材片部22を残すことで長手方向に芯材片部22と空間部24とが交互にそれぞれ同一ピッチで設けられると共に、芯材片部22が連結部23で連結された帯板状の芯材16A(図2参照)を形成する芯材形成工程を実行する。
【0039】
この後、プレス装置30から芯材16Aを引取ローラ32で引き取って貯溜部33に供給し、この貯溜部33に芯材16Aが湾曲した状態で一時的に溜められる。貯溜部33には、溜められている芯材16Aの長さ(貯溜量)が所定範囲内であることを確認するための2組の位置センサ34(例えば、発光素子34a1 ,34a2 と受光素子34b1 ,34b2 とからなる光センサ)が配置され、この位置センサ34の出力に基づいて送出ローラ29、プレス装置30や引取ローラ32を駆動制御することで、貯溜部33に溜められている芯材16Aの長さを所定範囲内に維持するようになっている。
【0040】
この貯溜部33に溜められた芯材16Aを送出ローラ35で長手方向に一定速度で連続して送り出して予備捻り装置36(予備捻り手段)に供給する。この予備捻り装置36により、帯板状の芯材16Aが中間横断面形状(横断面U字状)にロール成形で折り曲げ加工される前に予め特定方向に芯材片部22を捻り塑性変形させる予備捻り加工を芯材16Aに対して行う予備捻り工程を実行する。
【0041】
図9及び図10に示すように、予備捻り装置36には、回転駆動される一対の捻り加工ローラ37,38が芯材16Aを表裏両側から挟むように配置され、各捻り加工ローラ37,38の外周面に、芯材16Aの芯材片部22を捻り塑性変形させるための凹凸パターン39,40が周方向に沿って芯材片部22の所定ピッチと同一ピッチで設けられている。この凹凸パターン39,40は、後述する成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nによるロール成形で折り曲げ加工される際の該成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nの外周成形面と芯材16Bの移動方向との関係によって特定される方向(ロール成形による折り曲げ加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させる形状に形成されている。本実施例1では、凹凸パターン39,40は、予備捻り工程における芯材片部22の移動方向下流側22bが芯材16Aの表面(図10において上側の面)S1下方に変位し、移動方向上流側22aが芯材16Aの裏面(図10において下側の面)S2上方に変位する方向(つまり芯材片部22の移動方向下流側22bが後述する凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位して移動方向上流側22aが後述する凸形成形ローラ48A〜48Nの外周成形面側に変位する方向)に芯材片部22の幅方向端末が傾斜角度αとなるように捻り塑性変形させる形状に形成されている。ここで、傾斜角度αは、ロール成形による折り曲げ加工によって生じる前記角度αとは逆方向の芯材片部22の捩れ変形の角度で相殺又は矯正される角度とする。
【0042】
各捻り加工ローラ37,38の回転軸41,42が平ギヤ43,44を介して連結され、駆動モータ等(図示せず)で下側の捻り加工ローラ38の回転軸42を回転駆動することで、各捻り加工ローラ37,38が互いに逆方向に同一周速度で回転駆動されるようになっている。捻り加工ローラ37,38を回転駆動して該捻り加工ローラ37,38の間に芯材16Aを挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで、予め特定方向に芯材片部22を捻り塑性変形させておく予備捻り加工を連続的に行う。これにより、前記傾斜角度αとなる予備捻り加工が施された芯材16B(図3及び図4参照)の製造が完了する。
【0043】
尚、前記予備捻り加工では、芯材片部22の移動方向下流側22bが表面S1の下側に、移動方向上流側22aが裏面S2の上側になるように両方の側を共に変位させる例を示した。但し、本発明は、これに限定されず、芯材片部22の移動方向上流側22aを表面S1と一致させ移動方向下流側22bのみを表面S1より下側に変位させても良く、或は、逆に、芯材片部22の移動方向下流側22bを表面S1と一致させ移動方向上流側22aのみを表面S1より上側に変位させても良い。上記の変位形態は他の実施例にも同様に適用できる。
【0044】
また、捻り塑性変形させる芯材片部22の範囲又は領域は、後述するロール成形による折り曲げ加工で塑性変形される両側の曲げ部(図12の16a,16a部分)を中心として折り曲げ加工により塑性変形が及んでいる範囲と少なくとも部分的に一致する部分である。
【0045】
この後、図7に示すように、予備捻り加工が施された芯材16Bを芯材冷間ロール成形装置47に供給する。この芯材冷間ロール成形装置47により、予備捻り加工が施された芯材16Bを長手方向に連続して中間横断面形状である横断面U字状(本実施例1では最終横断面形状よりも幾分拡開した形状)になるようにロール成形で折り曲げ加工する中間横断面成形工程を実行して、中間横断面形状である横断面U字状の芯材16C(図5及び図6参照)を製造する。
【0046】
この芯材冷間ロール成形装置47は、芯材16Bに前記捻り塑性変形の変位と逆方向に変位させる押圧力が加わるよう上下方向から挟む外周成形面が凸形状で回転駆動される複数の凸形成形ローラ48A〜48Nと、外周成形面が凹形状で凸形成形ローラ48A〜48Nと同一の角速度で逆方向に回転駆動される複数の凹形成形ローラ49A〜49Nとが上流側から下流側に向けて並べて配置され、図12に示すように、最下流部の成形ローラ48N,49Nの外周面に、芯材16Bを中間横断面形状である横断面U字状に折り曲げ加工するロール成形加工を行うための成形面が設けられている。中間横断面形状(横断面U字状)に加工された芯材16Cは、最終横断面形状よりも幾分拡開した形状であり、芯材16Cの幅方向の両側で2箇所の折り曲げ部16aが所定の曲げ角度及び所定の曲率半径で折り曲げられ、幅方向中央の仮折り曲げ部16bが折り曲げ部16aと逆方向に所定の曲げ角度及び所定の曲率半径で折り曲げられた形状である。
【0047】
本実施例1では、図11に示すように、凸形成形ローラ48A〜48Nが図面上で上側に配置され、凹形成形ローラ49A〜49Nが下側に配置されている。ここで、予備捻り加工が施されていない芯材が横断面U字状にロール成形加工されると、横断面U字状の芯材の幅方向の両側の芯材片部がそれぞれ移動方向上流側に向かって拡開する方向(芯材片部の移動方向下流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位し、芯材片部の移動方向上流側が凹形成形ローラの外周成形面側に変位する方向)に捩れ変形する。そこで、図11に示すように、予備捻り加工が施された芯材16Bを、その長手方向の表面S1及び裏面S2を基準として、芯材片部22のロール成形時の移動方向下流側22bが表面S1よりも凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位し、芯材片部22の移動方向上流側22aが裏面S2よりも凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢(芯材片部22の移動方向下流側22bが表面S1よりも下方に変位し、芯材片部22の移動方向上流側22aが裏面S2よりも上方に変位した姿勢)に保って凸形成形ローラ48A〜48Nと凹形成形ローラ49A〜49Nとの間に連続して供給する。
【0048】
これにより、予備捻り加工が施された幅方向が略直線状の芯材16Bの横断面形状を徐々にU字状に近付けるように折り曲げて塑性変形させ、芯材16Bを凸形成形ローラ48A〜48N側が内側となる横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工を行って、中間横断面形状である横断面U字状の芯材16Cを連続して成形する。このロール成形で折り曲げ加工する際に、芯材片部22の折り曲げ加工される部分に予備捻り加工の傾斜角度αと逆方向に発生する捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を相殺又は矯正して捻りの傾斜角度αを0にし、隣り合う芯材片部22の幅方向端末が長手方向で一直線になるように加工する(図6参照)。
【0049】
このとき、折り曲げて塑性変形される範囲は、図12に示す幅方向の両側の折り曲げ部16a,16a及び中央部の仮折り曲げ部16bの曲線で示す範囲である。図1で示す車外側側壁17及び車内側側壁18に対応する部分は平坦状のままで折り曲げ塑性変形されないままである。
【0050】
尚、前記U字状に成形される際に、芯材16Bの芯材片部22は、折り曲げ部16a,16a,16bの部分で凸形成形ローラ48A〜48Nと凹形成形ローラ49A〜49Nとで挟まれて折り曲げ加工されると共に、前記折り曲げ部16a,16a,16bで長手方向に沿って厚さが減少するように幾分圧延される。従って、前記の折り曲げ加工と圧延に伴って芯材片部22内に発生する内部応力によって前記した捻り加工と逆方向の変位が生じて捻り変位が相殺又は矯正されると推定する。
【0051】
この後、芯材冷間ロール成形装置47から送り出される中間横断面形状の溝形の芯材16Cを押出成形装置50に連続して供給する。この押出成形装置50により、所定の中間横断面形状(図14参照)のウェザーストリップ13Aを押出成形して、中間横断面形状のウェザーストリップ13Aの取付部14に中間横断面形状の芯材16Cを埋設する押出成形工程を実行する。
【0052】
図13及び図14に示すように、押出成形装置50は、中間横断面形状(取付部14の横断面形状が最終横断面形状よりも拡開した形状)のウェザーストリップ13Aを押出成形する押出成形型51を備え、この押出成形型51の入口側(上流側)に、中間横断面形状の芯材16Cを押出成形型51の中で姿勢を維持させて案内するガイド溝52が形成された芯材ガイド53が設けられている。押出成形型51内に中間横断面形状がU字形の溝形の芯材16Cを長手方向に連続して供給しながら、押出成形型51内に取付部成形用ポリマー材料P1と筒状中空シール部成形用ポリマー材料P2をそれぞれ別々の供給口54,55から連続して供給して、中間横断面形状のウェザーストリップ13A(取付部14、筒状中空シール部15等)を押出成形する。これにより、中間横断面形状の芯材16Cをポリマー材料で被覆して中間横断面形状のウェザーストリップ13Aの取付部14に中間横断面形状の芯材16Cを埋設して一体化する。
【0053】
この後、図8に示すように、取付部成形用ポリマー材料と筒状中空シール部成形用ポリマー材料がゴムの場合には、押出成形装置50から押し出される中間横断面形状のウェザーストリップ13Aを硬化処理装置56に供給する。この硬化処理装置56は、加熱機57(例えば高周波加熱機と熱風加熱機)でウェザーストリップ13Aを加熱してウェザーストリップ13A本体(押出成形装置50で押出成形された未加硫状態のゴム部分)を加硫させて硬化させる処理工程を実行する。ウェザーストリップ13A本体を加硫させて硬化させた後、必要に応じて冷却水槽等の冷却機58でウェザーストリップ13Aを冷却する。
【0054】
尚、取付部成形用ポリマー材料と筒状中空シール部成形用ポリマー材料が熱可塑性合成樹脂(熱可塑性エラストマーを含む)の場合には、加熱機57を省略して、押出成形装置50から加熱されて溶融状態で押し出される中間横断面形状のウェザーストリップ13Aを冷却水槽等の冷却機58で冷却してウェザーストリップ13A本体(押出成形装置50で押出成形された未固化状態の樹脂部分)を固化させる処理工程を実行して、ウェザーストリップ13A本体を冷却固化させる。
【0055】
この後、中間横断面形状のウェザーストリップ13Aをトリム材冷間ロール成形装置59に供給し、このトリム材冷間ロール成形装置59により、図12に示す仮折り曲げ部16bをほぼ平坦形に曲げ戻す加工を行い中間横断面形状のウェザーストリップ13Aの取付部14を最終横断面形状(図1参照)に成形する最終横断面成形工程を実行する。
【0056】
このトリム材冷間ロール成形装置59は、ウェザーストリップ13Aを上下方向に挟む複数対(例えば3対)の成形ローラ60A〜60C,61A〜61Cが上流側から下流側に向かって並べて配置され、最下流部の成形ローラ60C,61Cの外周面に、ウェザーストリップ13Aの取付部14を最終横断面形状に成形するための成形面が設けられている。トリム材冷間ロール成形装置59は、各成形ローラ60A〜60C,61A〜61Cで、中間横断面形状のウェザーストリップ13Aを該ウェザーストリップ13Aに埋設された中間横断面形状の芯材16Cと共に徐々に変形させて最終横断面形状(取付部14と芯材16の横断面形状が共にU字状となり、フランジ12を挟持できる図1の形状)に成形して、最終横断面形状にウェザーストリップ13を連続して成形する。これにより、最終横断面形状のウェザーストリップ13を効率良く形成することができる。
【0057】
この後、トリム材冷間ロール成形装置59から連続して送り出される最終横断面形状のウェザーストリップ13を引取機62で引き取りながら切断機63に供給し、この切断機63から下流側に所定間隔だけ離れて配置された位置センサ64(例えば、発光素子64aと受光素子64bとからなる光センサ)でウェザーストリップ13の先端部を検出する毎に切断機63でウェザーストリップ13を切断することで、ウェザーストリップ13を所定の長さ寸法で切断する。これにより、芯材16が埋設されたウェザーストリップ13の製造が完了する。
【0058】
以上説明した本実施例1では、芯材16が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工される前に、芯材16に予備捻り加工を施して、予め特定方向(折り曲げ加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させておくようにしたので、その後、芯材16が横断面U字状にロール成形で折り曲げ加工されたときの芯材片部22の捩れ変形によって、予備捻り加工による芯材片部22の捻り塑性変形を相殺又は矯正して、隣り合う芯材片部22の幅方向端末が長手方向で略一直線になるように加工することができ、長手方向で隣り合う芯材片部22の縁部間に段差が生じることを回避できる。
【0059】
これにより、ロール成形で折り曲げ加工された後の芯材16が埋設されたウェザーストリップ13を製造した場合に、ロール成形で折り曲げ加工されたときの芯材片部22の捩れ塑性変形によってウェザーストリップ13の芯材16が埋設された部分の表面に凹凸が発生せず、また芯材片部22の一部が外部に露出するのを未然に防止することができ、ウェザーストリップ13の外観性(装飾性)を向上させることができる。
【0060】
また、芯材片部22が外部に露出しないため、ウェザーストリップ13の製造作業者、組付作業者、使用者(例えばウェザーストリップ13を組み付けた自動車の乗員)等の人体や衣服に芯材片部22が接触したり、引っ掛かったりすることがなく、安全性を向上させることができる。
【0061】
更に、芯材片部22の露出を防止するためにウェザーストリップ13のポリマー材料部分を厚くする必要がないため、ウェザーストリップ13のポリマー材料部分を薄くすることができ、その分、ポリマー材料の使用量を削減して、ウェザーストリップ13を軽量化することができる。
【0062】
また、芯材16の長手方向で芯材片部22の縁部間に段差が生じない(芯材片部22が略一直線になる)ため、ウェザーストリップ13を製造する際に、押出成形ラインの中で芯材片部22が周辺部材(例えば、押出成形型51の内部構成部材等)に引っ掛かることを未然に防止することができる。このため、芯材片部22の引っ掛かりに起因する芯材16の供給不能が発生せず、ウェザーストリップ13を安定して製造することができる。
【0063】
更に、芯材16の長手方向で隣り合う芯材片部22の幅方向の端末の縁部間に段差が生じない(即ち隣り合う芯材片部22の幅方向の端末が長手方向で略一直線になる)ため、押出成形型51のガイド溝52に芯材16が連続して供給される際に、芯材片部22がガイド溝52に強く擦れることを回避して、ガイド溝52の摩耗を低減することができる。このため、ガイド溝52と芯材16との位置関係を長期に亘って正確に保つことができ、その結果、ウェザーストリップ13内の芯材16の位置のばらつきが少ない安定した品質のウェザーストリップ13を製造することができる。
【0064】
また、本実施例1では、捻り加工ローラ37,38を回転駆動して該捻り加工ローラ37,38の間に芯材16を挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで予備捻り加工を行うようにしたので、捻り加工ローラ37,38に芯材16を連続的に供給して予備捻り加工を連続的に行うことができ、予備捻り加工が施された芯材16を効率良く製造することができる。
【実施例2】
【0065】
次に、図15を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分には同一符号を付して説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0066】
前記実施例1では、捻り加工ローラ37,38を用いて予備捻り加工を行うようにしたが、本実施例2では、図15に示すように、プレス型65を用いて予備捻り加工を行うようにしている。尚、図15の実線はプレス型65が閉じた状態を示し、図15の二点鎖線はプレス型65が開いた状態を示している。
【0067】
図15に示すように、予備捻り加工用のプレス型65には、パンチ66とダイ67が帯板状の芯材16Aを表面S1と裏面S2の両側から挟むように配置され、パンチ66とダイ67の成形面に、芯材16Aの長手方向に並んだ多数の芯材片部22を同時に捻り塑性変形させるための多数の凹凸パターン68,69が設けられている。この凹凸パターン68,69は、前述した成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nでロール成形加工される際の該成形ローラ48A〜48N,49A〜49Nの外周成形面と芯材16Bの移動方向との関係によって特定される方向(ロール成形での折り曲げ加工によって芯材片部22が捩れ変形する方向と逆方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させる形状に形成されている。本実施例2では、凹凸パターン68,69は、芯材片部22の移動方向下流側22bが表面S1よりも下方に変位して移動方向上流側22aが裏面S2よりも上方に変位する方向(つまり芯材片部22の移動方向下流側22bが凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位して移動方向上流側22aが凸形成形ローラ48A〜48Nの外周成形面側に変位する方向)に芯材片部22を捻り塑性変形させる形状に形成されている。
【0068】
この予備捻り加工用のプレス型65は、打ち抜き加工用のプレス装置30のベッド30Aの下流側の半分にプレス型31(図7参照)と並べて配置されている。この場合、打ち抜き加工用のプレス型31を昇降駆動するプレス装置30で予備捻り加工用のプレス型65を昇降駆動して、打ち抜き加工用のプレス型31の昇降動作と予備捻り加工用のプレス型65の昇降動作を同期させるようにしても良い。或は、打ち抜き加工用のプレス型31を昇降駆動するプレス装置30の下流側に配置した別のプレス装置で予備捻り加工用のプレス型65を昇降駆動して、打ち抜き加工用のプレス型31の昇降動作と予備捻り加工用のプレス型65の昇降動作を同期させるようにしても良い。
【0069】
以上説明した本実施例2では、プレス型65で芯材16を挟んで加圧することで予備捻り加工を行うようにしたので、プレス型65で一度に芯材16の長手方向に並んだ多数の芯材片部22を同時に挟んで予備捻り加工を行うことができ、予備捻り加工が施された芯材16を効率良く製造することができる。
【0070】
尚、上記各実施例1,2では、芯材素材送出工程、芯材形成工程、予備捻り工程、中間横断面成形工程、押出成形工程、処理工程、最終横断面成形工程等を全て同期させて連続して行ってウェザーストリップ13を製造するようにしたが、予備捻り加工が施された芯材16の製造のみを行う場合には、芯材素材送出工程と芯材形成工程と予備捻り工程を実行した後、例えば、予備捻り加工が施された芯材16(予備捻り加工後の芯材16B)を、アンコイラ27に芯材素材21が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールであるリコイラ70(図7の二点鎖線参照)に巻き付ける芯材巻取工程を実行するようにしても良い。この場合、リコイラ70や該リコイラ70の回転駆動装置等が芯材巻取手段に相当する。
【0071】
また、ウェザーストリップ13を製造する場合には、長手方向に芯材片部22と空間部24とを交互に設けた形状の芯材16(予備捻り加工前の芯材16Aに相当)を外部から入手して、芯材素材送出工程と芯材形成工程を省略し、予備捻り工程以降の工程を実行するようにしても良い。この場合、例えば、予備捻り加工前の芯材16が巻き付けられたアンコイラ(芯材用リール)を配置し、このアンコイラから予備捻り加工前の芯材16を外周側から解いて送出ローラで長手方向に連続して送り出す芯材送出工程を実行して、予備捻り加工前の芯材16を予備捻り装置36に供給する。
【0072】
或は、予備捻り加工が施された芯材16(予備捻り加工後の芯材16Bに相当)を外部から入手して、芯材素材送出工程と芯材形成工程と予備捻り工程を省略し、中間横断面成形工程以降の工程を実行するようにしても良い。この場合、例えば、予備捻り加工後の芯材16が巻き付けられたアンコイラ(前述したリコイラ70)を配置し、このアンコイラから予備捻り加工済みの芯材16を外周側から解いて送出ローラで長手方向に連続して送り出す芯材送出工程を実行して、予備捻り加工後の芯材16を芯材冷間ロール成形装置47に供給する。
【0073】
この際、予備捻り加工が施された芯材16を製造するメーカーの製造ラインの仕様によっては、予備捻り加工後の芯材16が巻き付けられたアンコイラを通常通りに配置すると、アンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が、芯材16を芯材冷間ロール成形装置47に供給するときの所定の正規の姿勢とは表裏が反転した姿勢になることがある。ここで、正規の姿勢とは、芯材片部22の移動方向下流側が凹形成形ローラ49A〜49Nの外周成形面側に変位して移動方向上流側が凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢(図11では、芯材片部22の移動方向下流側が下方に変位して移動方向上流側が上方に変位した姿勢)である。
【0074】
アンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が正規の姿勢とは表裏が反転した姿勢になる場合には、例えば、次の(1) 〜(3) のいずれかの方法で、芯材冷間ロール成形装置47に供給される予備捻り加工後の芯材16の姿勢を正規の姿勢にすることができる。
【0075】
(1) アンコイラを図7に図示する姿勢とは上下に反転させて配置して、アンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が正規の姿勢となるようにする。
(2) アンコイラから送り出された予備捻り加工後の芯材16を図7に図示する芯材冷間ロール成形装置47の前までに反転装置で表裏反転させて、芯材冷間ロール成形装置47に供給される予備捻り加工後の芯材16の姿勢を正規の姿勢にする。
(3) 予備捻り加工が施された芯材16を製造するメーカーの製造ラインにおいて、芯材片部22を捻り塑性変形させる方向を逆にして、図7に図示する姿勢のアンコイラから送り出される予備捻り加工後の芯材16の姿勢が正規の姿勢となるようにする。
【0076】
その他、本発明の適用範囲は、筒状中空シール部を備えた押出成形品(ウェザーストリップ)に限定されず、筒状中空シール部を備えていない押出成形品に本発明を適用しても良い。更に、自動車のドア開口縁や窓開口縁に装着される押出成形品に限定されず、芯材が埋設された押出成形品や押出成形品に埋設される芯材に広く適用して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施例1におけるウェザーストリップの断面図である。
【図2】芯材の予備捻り加工前の状態を示す平面図である。
【図3】芯材の予備捻り加工後の状態を示す平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】中間横断面形状の芯材の断面図である。
【図6】中間横断面形状の芯材の平面図である。
【図7】ウェザーストリップの製造装置の前半部分の概略構成図である。
【図8】ウェザーストリップの製造装置の後半部分の概略構成図である。
【図9】予備捻り装置を出口側から見た断面図である。
【図10】図9のB−B断面図である。
【図11】芯材冷間ロール成形装置の成形ローラの幅方向外側の折り曲げ部に相当する位置を側方から見た断面図である。
【図12】芯材冷間ロール成形装置の最下流部の成形ローラを出口側から見た断面図である。
【図13】押出成形装置を側方から見た断面図である。
【図14】押出成形型を出口側から見た図である。
【図15】実施例2のプレス型を側方から見た図である。
【符号の説明】
【0078】
13…ウェザーストリップ(押出成形品)、16…芯材、21…芯材素材、22…芯材片部、23…連結部、24…空間部、27…アンコイラ(素材用リール)、29…送出ローラ(芯材素材送出手段)、30…プレス装置(芯材形成手段)、36…予備捻り装置(予備捻り手段)、37,38…捻り加工ローラ、47…芯材冷間ロール成形装置、48A〜48N…凸形成形ローラ、49A〜49N…凹形成形ローラ、50…押出成形装置、51…押出成形型、56…硬化処理装置、59…トリム材冷間ロール成形装置、65…プレス型
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材であって、
前記芯材は、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられると共に、前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工が施されていることを特徴とする芯材。
【請求項2】
前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工が前記予備捻り加工として施されていることを特徴とする請求項1に記載の芯材。
【請求項3】
ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出工程と、
前記芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成工程と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を前記素材用リールに前記芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取工程と
を含むことを特徴とする芯材の製造方法。
【請求項4】
前記予備捻り工程において、前記芯材を表裏両側から挟むように配置された少なくとも一対の捻り加工ローラを回転駆動して該捻り加工ローラの間に前記芯材を挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで芯材片部の前記予備捻り加工を行うことを特徴とする請求項3に記載の芯材の製造方法。
【請求項5】
前記予備捻り工程において、前記芯材を表裏両側から挟むように配置されたプレス型で前記芯材を挟んで加圧することで芯材片部の前記予備捻り加工を行うことを特徴とする請求項3に記載の芯材の製造方法。
【請求項6】
前記予備捻り工程において、前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工を前記予備捻り加工として行うことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の芯材の製造方法。
【請求項7】
ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材を製造する装置であって、
長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出手段と、
前記芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成手段と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り手段と、
前記予備捻り加工が施された芯材を前記素材用リールに前記芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取手段と
を備えていることを特徴とする芯材の製造装置。
【請求項8】
外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工された後の長尺な芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられると共に、前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工が施された状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を用い、
前記芯材用リールから前記予備捻り加工が施された芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、前記芯材片部の移動方向下流側が前記凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、前記芯材片部の移動方向上流側が前記下流側よりも相対的に前記凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って前記成形ローラに連続して供給して、前記予備捻り加工が施された芯材を前記凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、前記予備捻り加工による前記芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、
前記押出成形品を成形する押出成形型に前記横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら前記押出成形型にポリマー材料を供給して前記押出成形品を成形すると共に該押出成形品に前記芯材を埋設する押出成形工程と、
前記押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程と
を含むことを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項9】
前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工が前記予備捻り加工として施されていることを特徴とする請求項8に記載の押出成形品の製造方法。
【請求項10】
外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工された後の長尺な芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を用い、
前記芯材用リールから前記芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、前記芯材片部の移動方向下流側が前記凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、前記芯材片部の移動方向上流側が前記下流側よりも相対的に前記凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って前記成形ローラに連続して供給して、前記予備捻り加工が施された芯材を前記凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、前記予備捻り加工による前記芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、
前記押出成形品を成形する押出成形型に前記横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら前記押出成形型にポリマー材料を供給して前記押出成形品を成形すると共に該押出成形品に前記芯材を埋設する押出成形工程と、
前記押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程と
を含むことを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項11】
外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工された後の長尺な芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出工程と、
前記芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成工程と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、前記芯材片部の移動方向下流側が前記凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、前記芯材片部の移動方向上流側が前記下流側よりも相対的に前記凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って前記成形ローラに連続して供給して、前記予備捻り加工が施された芯材を前記凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、前記予備捻り加工による前記芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、
前記押出成形品を成形する押出成形型に前記横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら前記押出成形型にポリマー材料を供給して前記押出成形品を成形すると共に該押出成形品に前記芯材を埋設する押出成形工程と、
前記押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程と
を含むことを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項12】
前記予備捻り工程において、前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工を前記予備捻り加工として行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の押出成形品の製造方法。
【請求項1】
ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材であって、
前記芯材は、長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられると共に、前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工が施されていることを特徴とする芯材。
【請求項2】
前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工が前記予備捻り加工として施されていることを特徴とする請求項1に記載の芯材。
【請求項3】
ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出工程と、
前記芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成工程と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を前記素材用リールに前記芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取工程と
を含むことを特徴とする芯材の製造方法。
【請求項4】
前記予備捻り工程において、前記芯材を表裏両側から挟むように配置された少なくとも一対の捻り加工ローラを回転駆動して該捻り加工ローラの間に前記芯材を挟んで加圧しながら長手方向に連続して移動させることで芯材片部の前記予備捻り加工を行うことを特徴とする請求項3に記載の芯材の製造方法。
【請求項5】
前記予備捻り工程において、前記芯材を表裏両側から挟むように配置されたプレス型で前記芯材を挟んで加圧することで芯材片部の前記予備捻り加工を行うことを特徴とする請求項3に記載の芯材の製造方法。
【請求項6】
前記予備捻り工程において、前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工を前記予備捻り加工として行うことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の芯材の製造方法。
【請求項7】
ポリマー材料製の押出成形品に埋設される前に、外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工される長尺な芯材を製造する装置であって、
長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出手段と、
前記芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成手段と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り手段と、
前記予備捻り加工が施された芯材を前記素材用リールに前記芯材素材が巻き付けられていたときに半径方向外側に位置して外周側になっていた方が半径方向内側に位置する内周側となるように芯材用リールに巻き付ける芯材巻取手段と
を備えていることを特徴とする芯材の製造装置。
【請求項8】
外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工された後の長尺な芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられると共に、前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工が施された状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を用い、
前記芯材用リールから前記予備捻り加工が施された芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、前記芯材片部の移動方向下流側が前記凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、前記芯材片部の移動方向上流側が前記下流側よりも相対的に前記凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って前記成形ローラに連続して供給して、前記予備捻り加工が施された芯材を前記凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、前記予備捻り加工による前記芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、
前記押出成形品を成形する押出成形型に前記横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら前記押出成形型にポリマー材料を供給して前記押出成形品を成形すると共に該押出成形品に前記芯材を埋設する押出成形工程と、
前記押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程と
を含むことを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項9】
前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工が前記予備捻り加工として施されていることを特徴とする請求項8に記載の押出成形品の製造方法。
【請求項10】
外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工された後の長尺な芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた状態で芯材用リールに巻き付けられた芯材を用い、
前記芯材用リールから前記芯材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材送出工程と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、前記芯材片部の移動方向下流側が前記凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、前記芯材片部の移動方向上流側が前記下流側よりも相対的に前記凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って前記成形ローラに連続して供給して、前記予備捻り加工が施された芯材を前記凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、前記予備捻り加工による前記芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、
前記押出成形品を成形する押出成形型に前記横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら前記押出成形型にポリマー材料を供給して前記押出成形品を成形すると共に該押出成形品に前記芯材を埋設する押出成形工程と、
前記押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程と
を含むことを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項11】
外周成形面が凸形状で一方向に所定の角速度で回転する凸形成形ローラと外周成形面が凹形状で前記凸形成形ローラと逆方向に同一の角速度で回転する凹形成形ローラとの間を長手方向に連続して前記成形ローラの上流側から下流側に通過させて横断面U字状になるようにロール成形で折り曲げ加工された後の長尺な芯材が埋設されたポリマー材料製の押出成形品を製造する方法であって、
長尺な帯板状の芯材素材が連続して複数層に巻き付けられた素材用リールから該芯材素材を半径方向外側に位置する外周側から解いて送り出す芯材素材送出工程と、
前記芯材素材の幅方向の一部に長手方向に所定間隔で複数の空間部を打ち抜き加工により形成して隣り合う空間部の間に芯材片部を残すことで長手方向に前記芯材片部と前記空間部とが交互に設けられた芯材を形成する芯材形成工程と、
前記芯材が前記成形ローラで折り曲げ加工される際の該成形ローラの外周成形面と該芯材の移動方向との関係によって特定される方向に前記芯材片部を捻り塑性変形させることで前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側との少なくともいずれか一方の側が前記芯材の厚さ方向で他方の側に対して相対的に逆方向に変位した状態に加工する予備捻り加工を行う予備捻り工程と、
前記予備捻り加工が施された芯材を、その長手方向の軸線を基準として、前記芯材片部の移動方向下流側が前記凹形成形ローラの外周成形面側に変位し、前記芯材片部の移動方向上流側が前記下流側よりも相対的に前記凸形成形ローラの外周成形面側に変位した姿勢に保って前記成形ローラに連続して供給して、前記予備捻り加工が施された芯材を前記凸形成形ローラ側が内周側となる横断面U字状になるよう折り曲げ加工すると共に、前記予備捻り加工による前記芯材片部の捻り塑性変形を矯正して該芯材片部の幅方向端末と隣り合う芯材片部の幅方向端末とが長手方向で一直線になるように加工する横断面成形工程と、
前記押出成形品を成形する押出成形型に前記横断面U字状の芯材を長手方向に連続して供給しながら前記押出成形型にポリマー材料を供給して前記押出成形品を成形すると共に該押出成形品に前記芯材を埋設する押出成形工程と、
前記押出成形品のポリマー材料部分を硬化又は固化させる処理工程と
を含むことを特徴とする押出成形品の製造方法。
【請求項12】
前記予備捻り工程において、前記芯材片部の折り曲げ加工時の移動方向下流側と移動方向上流側とを両方とも前記芯材の厚さ方向で互いに逆方向に変位させる加工を前記予備捻り加工として行うことを特徴とする請求項10又は11に記載の押出成形品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−95065(P2010−95065A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265836(P2008−265836)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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