説明

荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法及び装置

【課題】本発明は荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法及び装置に関し、非点補正・フォーカスの自動調整を行なう方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】X,Y方向に周期的なパターンを持つ調整用試料からの強度分布信号に対してトリミングを行なって第1のフーリエ級数展開を行ない周期パターンを求める手段25と、この周期パターンに対してトリミング領域を決定して第2のフーリエ級数展開を行なう手段25と、前記第1のフーリエ級数展開と第2のフーリエ級数展開の結果の差分を求める演算手段25と、該演算手段25により求めた差分と非点補正量及びフォーカス値を記憶する記憶手段27と、該記憶手段27に記憶されたものの中から差分が最小となる時の非点補正量とフォーカス値が最適になるものを読み出して荷電粒子ビーム装置の動作を調整する非点補正・フォーカス調整手段28とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法及び装置に関する。更に詳しくはフーリエ級数展開を用いて補正用基準値と測定画像の差分を求め、この差分により非点補正量及びフォーカス値を求めるようにした荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム装置により任意の図形を描画する際、高い描画精度を得るためには、描画面において荷電粒子ビームの非点収差の補正、フォーカスの調整が必要となる。これらの調整法は、荷電粒子ビームの面積により異なる。荷電粒子ビームの検出器により、良好なS/N比が得られるほど荷電粒子ビームの面積が大きい場合、図7に示す構成を用いて調整を行なうことができる。
【0003】
図7は荷電粒子ビームの走査を示す図である。図において、1は波形成形した荷電粒子ビーム、2は荷電粒子ビーム1の下方に配置された荷電粒子の透過を防ぐエッジ、3はエッジ2の下に設けられた荷電粒子を検出する荷電粒子検出器である。荷電粒子ビーム1をエッジ2に対して図に示す方向に走査し、その走査量に対して荷電粒子の検出量をプロトコルすると、図8に示すようなものとなる。図8は荷電粒子検出量特性を示す図である。縦軸は荷電粒子検出量、横軸は荷電粒子偏向量(走査量)である。
【0004】
エッジ2の真上で荷電粒子ビーム1が全て遮られる場合には荷電粒子検出器3は荷電粒子を検出することができず、荷電粒子検出量は0である。エッジが除々に狭くなってくると、荷電粒子ビーム1を通すようになり、荷電粒子検出器3の出力は図に示すように直線的に増加していく。そして、エッジ2が荷電粒子ビーム1を遮蔽しなくなったら、荷電粒子検出器3はもろに荷電粒子ビーム1を受けてしまい、その出力は図に示すように飽和する。
【0005】
実際には、荷電粒子ビーム1は荷電粒子検出器3において非点収差、フォーカスのずれを含み、荷電粒子の面積内の分布は一様でないため、図8よりなまった波形がプロットされる。そのため、荷電粒子検出量の波形が最も図8のようにシャープになる時の非点補正量、フォーカスを探すことで、非点補正、フォーカス調整を行なうことができる。
【0006】
一方、良好なS/N比が得られるほど荷電粒子ビームの面積が大きくない場合、例えばスポットビーム型の荷電粒子ビーム装置の場合、ノイズが含まれるようになるため、この方法で精度のよい調整を行なうことはできない。そのため、予め用意しておいた非点補正用のパターン上を荷電粒子ビームで走査し、SEM像を求め、目視によりその像をクリアにすることにより非点補正、フォーカス調整を行なう。
【0007】
従来のこの種の装置としては、試料上に電子ビームを二次元走査して得られた検出信号を抽出し、抽出した信号に対して2次元空間でのフーリエ変換を行なってパワースペクトルを算出し、パワースペクトルを2値化した画像を求め、この画像を処理して非点収差の強さと方向を求め、非点収差の強さと方向とから非点収差を補正する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。また、電子ビームを試料面上のマーク上に2次元的に走査して2次元信号をえ、得られた2次元信号のフーリエ変換の違いによって決定される第1の評価関数を求めて非点収差の方向を決定し、該第1の評価関数から第2の評価関数を求め、該第2の評価関数の焦点設定に対する変化より合焦点位置を求める場合において、第2の評価関数の値が非点収差がない場合の合焦点位置付近の2箇所以上で合焦点位置の候補を与え、その内の2箇所でのフーリエ変換信号を用いて第1の評価関数を求め、これにより非点収差の方向を求める技術が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0008】
また、非点収差ビームに関して、試験片の2つの画像を対物レンズの異なる2つの設定で生成し、この各画像に対して2次元フーリエ変換を行なって非点収差のスメアリングの方向を決定し、これら2つの設定間で内挿処理を介して上記の最適な焦点の位置を決定する技術が知られている(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開平10−106469号公報(段落0016〜0025、図1)
【特許文献2】特開平11−145042号公報(段落0021〜0033、図3、図4)
【特許文献3】特開2005−79100号公報(段落0020〜0029、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述のスポットビーム方式のSEM像の目視による非点補正・フォーカスの調整方法の場合、以下に示すような問題がある。
1)図7,図8に示す方法による調整に比べて時間がかかる。
2)調整に時間がかかる結果、試料汚染が起こり、精度を出しにくい。
3)調整結果に個人差が現れやすい。
【0010】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、非点補正・フォーカスを自動調整することができる荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)請求項1記載の発明は、荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法であって、X,Y方向に周期的なパターンを持つ調整用試料からの強度分布信号に対してトリミングを行なった後、第1のフーリエ級数展開を行ない(ステップ1)、前記調整用試料の試料像に対して微分か又は相関関数の演算から周期パターンを求め(ステップ2)、この周期パターンに対してトリミング領域を決定して第2のフーリエ級数展開を行ない(ステップ3)、前記第1のフーリエ級数展開と第2のフーリエ級数展開の結果の差分を求め、差分とフォーカス値及び非点補正量を記憶し(ステップ4)、前記ステップ1からステップ4を必要な回数繰り返して、求めた差分が最小であった時の非点補正量、フォーカス値を荷電粒子ビーム装置に設定する(ステップ5)ことを特徴とする。
(2)請求項2記載の発明は、荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整装置であって、X,Y方向に周期的なパターンを持つ調整用試料からの強度分布信号に対してトリミングを行なった後、第1のフーリエ級数展開を行なう第1の演算手段と、前記調整用試料の試料像に対して微分か又は相関関数の演算から周期パターンを求める第2の演算手段と、この周期パターンに対してトリミング領域を決定して第2のフーリエ級数展開を行なう第3の演算手段と、前記第1のフーリエ級数展開と第2のフーリエ級数展開の結果の差分を求める第4の演算手段と、該第4の演算手段により求めた差分と非点補正量及びフォーカス値を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されたものの中から非点補正量とフォーカス値が最適になるものを読み出して調整する非点補正・フォーカス調整手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
(1)請求項1記載の発明によれば、最初にオペレータが必要な情報を入力するだけで、荷電粒子ビーム装置の非点補正とフォーカス値の調整を自動で行なうことができる。
(2)請求項2記載の発明によれば、最初にオペレータが必要な情報を入力するだけで、荷電粒子ビーム装置の非点補正とフォーカス値の調整を自動で行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
先ずフォーカス、非点調整用試料を準備する。この非点調整用試料のSEM像と、理想的な試料の図形情報に対して2次元フーリエ級数展開を行ない、それらのスペクトルが最も一致するようにフォーカス、非点補正量を調整する。ここで、高速な処理を行なうため、フーリエ級数展開にはFFT(高速フーリエ変換)を用いる。しかしながら、一般的に解析的なフーリエ級数展開に対し、実際の強度分布にFFTを行なう場合は、近似的手法を用いた近似解しか求めることはできない。
【0014】
そこで、2次元において直交する方向に対して周期的な試料を用意する。図1にその例を示す。FFTを行なう領域の強度分布が周期的である場合、FFTはフーリエ級数展開に帰結するため、FFTの誤差の要因である打ち切り誤差を回避することができる。
【0015】
FFTを行なうための周期的な領域を用意するためには、図1に示す試料のSEM像から周期を抽出し、トリミング(領域決定)を行なう必要がある。周期的であることが保証されているパターンの周期を求める方法は多数考えられるが、例として微分による方法と相関関数による方法とが考えられる。
【0016】
period(x,y)=(dz/dx)+(dz/dy) (1)
【0017】
【数1】

【0018】
(1)式は微分による方法の場合を示す式、(2)式は相関関数による方法の場合を示す式である。
図2に図1に示すパターンのSEM像、図3に(1),(2)式の演算により求められた周期パターンを示す。図3において、白点若しくは黒点の間隔が1周期を示す。図2,図3は本発明の一実施例におけるディスプレイ上に表示した表示画面中のメイン画面の一例を中間調画像の写真で示している。点線は周期のトリミングの一例を示している。図3のような強度分布情報から実際にFFTを行なう領域を決める方法として、周期Tx,Ty、トリミングオフセットa,bを変数として以下に示す(3)式の示す差分が最小になるようにフィッティングしトリミング領域を決定することができる。
【0019】
Σn|xn−(nTx+a)|+Σm|ym−(mTy+b)| (3)
ここで、n,mはSEM像中のx,y方向の周期数、xn,ymは(1),(2)式の演算結果において極大若しくは極小の強度を持つ座標を示す。この結果、トリミング領域は
x範囲:a〜nTx+a、y範囲:b〜mTy+b (4)
となる。
【0020】
この領域に対してFFTを演算する時には、本来FFTによりフーリエ変換を行なう際に必要である、窓関数等の近似処理は不要になり、演算結果は周期信号に対するフーリエ級数展開となる。FFT演算領域即ちn,mをいくつにするかは次の2点の兼ね合いにより決定する。一つ目は(4)式のフィッティングにはある程度n,mが大きくないと精度が悪いということである。二点目はn,mが大きすぎると1周期分の周波数領域の範囲がn,m値に反比例して減少してしまうことである。SEM像のスペクトルがどのくらい高周波成分を含んでいるかでn,mの最適値は異なる。
【0021】
次に、試料のSEM像及び図4に示すような理想的な(即ち2値の)試料の図形情報に対して(4)式によりトリミングを行ない、FFT級数展開を演算し、規格化する。そして、演算結果の差分が最も小さい時のフォーカス値、非点補正調整量が最適な調整量となる。なお、理想的な(2値の)図形情報は(4)式によるトリミングの必要はない。最初から(4)式を満たす図形情報を用意してFFTをすればすむ。
【0022】
以上の手順には、n,mの選定以外には人間の判断は取り除かれており、コンピュータ等の演算により自動化できる。そのため、SEM像観察時にリアルタイムでFFT級数展開演算結果を比較しながら、フォーカス、非点補正調整量を算出し、最適値を求めることができる。具体的には、基準パターンのトリミングのフーリエ級数展開と、SEM像からトリミングして求めたフーリエ級数展開の差分を求める。差分が最小となる時のフォーカス値と非点補正量を最適値とする。
【0023】
このように、本発明によれば、最初にオペレータが入力するn,mの選定以外には全て自動で荷電粒子ビーム装置の非点補正とフォーカス値の調整を行なうことができる。
図5は本発明の動作を示すフローチャートである。先ず、調整用試料とSEM像中のx,y方向の周期数n,mを選択する(S1)。ステップS1だけがマニュアル入力で、他はコンピュータによる自動演算である。以下の自動演算は演算手段で行われる。ここで、演算手段としては、通常はコンピュータが用いられる。次に、試料の理想的な強度分布に対してトリミングを行ない(理想的な図形情報はトリミングは不要で、最初から周期的な図形情報を用意する)、FFT演算結果を求める(S2)。ここで、試料の理想的な強度分布とは、図4に示すような2値で表されるような強度分布のことである。
【0024】
次に、調整用試料のSEM像を表示する(S3)。ここで、表示されるSEM像は、図2に示すような像のことである。このSEM像を表示することで、オペレータは試料の表示状態、ひいては非点補正・フォーカスの自動調整の必要性を認識することができる。次に、フォーカス,非点補正量を設定もしくは微小変化させる(S4)。次に、SEM像に対して(1)式又は(2)式の演算を行ない、周期パターンを求める(S5)。周期パターンとは、例えば図3に示すようなパターンである。
【0025】
次に、Tx,Ty,a,bを振りながらステップS5で求めた周期パターンに対し(3)式を演算し、FFT演算領域(トリミング)を求める(S6)。次に、ステップS6で求めた領域に対してFFTを行ない、ステップS2で求めた理想的なFFT結果との差を求める(S7)。次に、このようにして求めた差分とフォーカス値、非点補正量をメモリに記憶しておく(S8)。
【0026】
次に、フォーカス値,非点補正量をトリミング領域の全領域振ったかをチェックする(S9)。全領域振っていない場合には、ステップS4に戻り、フォーカス値と非点補正量を微小変化させる。全領域振った場合には、ステップS8で求めた差分が最小であった時のフォーカス値,非点補正量を荷電粒子ビーム装置に設定する(S10)。このようにして、非点補正・フォーカスの自動調整を行なうことができる。本発明によれば、オペレータに熟練者は不要であり、しかも高速でかつ自動的に非点補正とフォーカスの自動調整を行なうことができる。
【0027】
図6は本発明の一実施の形態を示す構成図である。図において、11は電子ビームを発生する電子銃、12は該電子銃11から発生する電子ビーム、13は電子ビーム12をブランキングするブランキング電極、14はブランキング絞りである。15は電子ビーム12を集束する第1レンズ、16は同じく第2レンズ、17は電子ビーム12を試料の描画材料面上に細かく絞る対物レンズである。
【0028】
18は電子ビーム12が照射される試料の描画材料面、19は主偏向器の動作と併せて試料上に電子ビームを走査する副偏向器、20は試料上に電子ビームを走査する主偏向器、21は非点補正器である。22は電子ビーム12が試料の描画材料面18に照射されることにより、該描画材料面18の表面から放出される2次電子、23は該2次電子22を検出する2次電子検出器である。24は該2次電子検出器23の出力を受けてSEM像を形成するSEM像形成ユニット、25は該SEM像形成ユニット24の出力を受けてトリミング、フーリエ級数展開、差分スペクトル算出を行なう演算ユニットである。該演算ユニット25としては、例えばコンピュータが用いられる。また、副偏向器19及び主偏向器20からは、SEM像形成ユニット24に走査位置情報が与えられている。
【0029】
26は演算ユニット25に対してSEM像中のx,y方向の周期数n,mを入力する操作部である。該操作部26としては、例えばキーボードが用いられる。その他のマウス等の座標入力装置も操作部26に含まれる。27は演算ユニット25により演算された結果に基づく差分スペクトルデータを記憶する差分スペクトルメモリである。28は演算ユニット25からの信号を受けてフォーカス信号及び非点補正信号を与えるフォーカス・非点補正量走査ユニットで、その出力はフォーカス調整信号が対物レンズ17に与えられ、非点補正信号が非点補正器21に与えられる。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0030】
先ず、調整用の試料(描画材料面)18が用意され、次にSEM像中のx,y方向の周期数n,mがオペレータにより操作部26から演算ユニット25に与えられる。該演算ユニット25は、試料の理想的な強度分布に対してトリミングを行ない、FFT演算結果を求める。この間において、電子銃11から出射された電子ビーム12は第1レンズ15,第2レンズ16で集束された後、主偏向器20及び副偏向器19により試料上を2次元走査する。この場合において、対物レンズ17により細かく絞られた電子ビーム12が試料18上を走査することになる。
【0031】
電子ビーム12が試料18面を走査することにより、試料表面から放出された2次電子22が2次電子検出器23により検出され、電気信号に変換される。この2次電子検出器23により電気信号に変換された2次電子像は、続くSEM像形成ユニット24に入る。該SEM像形成ユニット24は、主偏向器20及び副偏向器19から入ってくる位置情報を元にSEM像を形成する。なお、主偏向器20及び副偏向器19には、図示しない駆動ユニットから偏向信号が与えられる。このSEM像は装置の表示部(図示せず)に表示される。次に、演算ユニット25はフォーカス,非点補正量を設定又は微小変化させる。
【0032】
演算ユニット25は、これにより得られたSEM像に対して(1)式又は(2)式による演算を行ない、周期パターンを求める。次に、演算ユニット25は、Tx,Ty,a,bを振りながら前記周期パターンに対して(3)式を演算し、FFT演算領域を求める。次に、求めた演算領域に対してFFTを行ない、前記試料の理想的な強度分布に対してトリミングを行ない、FFT演算により求めたフーリエ級数展開との差分を求める。そして、演算ユニット25により演算された差分スペクトルデータは差分スペクトルメモリ27に記憶される。また、非点補正量及びフォーカス値もフォーカス・非点補正量走査ユニット28から差分スペクトルメモリ27に与えられ記憶される。
【0033】
そして、フォーカス,非点補正量を微小変化させたものに対して、前記手順を繰り返し、差分スペクトルデータを求め、フォーカス値、非点補正量が差分スペクトルメモリ27に記憶される。このようにして、差分スペクトルメモリ27には、複数のフォーカス値,非点補正量,差分が記憶される。
【0034】
演算ユニット25は、この記憶されたデータの中から最も最適なデータ、即ち最も差分が小さくなるフォーカス値と非点補正量を読み出し、フォーカス・非点補正量走査ユニット28に与える。この結果、非点補正・フォーカスを自動調整することができる電子顕微鏡が得られることになる。
【0035】
上述の実施の形態では電子ビーム装置を用いた場合を例にとったが、本発明はこれに限るものではない。その他の荷電粒子ビーム装置についても同様に適用することができる。また、本発明はスポットビーム型荷電粒子ビーム装置のみならず、可変面積型荷電粒子ビーム装置についても適用することができる。
【0036】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば非点補正・フォーカスを自動調整することができる荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】非点補正・フォーカス調整用パターンの例を示す図である。
【図2】図1に示すパターンのSEM像例を示す図である。
【図3】(1),(2)式により抽出された図2に示す像の周期パターンを示す図である。
【図4】図1試料の理想的な強度分布(2値)を示す図である。
【図5】本発明の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態を示す構成図である。
【図7】荷電粒子ビームの走査を示す図である。
【図8】荷電粒子検出量特性を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
11 電子銃
12 電子ビーム
13 ブランキング電極
14 ブランキング絞り
15 第1レンズ
16 第1レンズ
17 対物レンズ
18 試料の描画材料面
19 副偏向器
20 主偏向器
21 非点補正器
22 2次電子
23 2次電子検出器
24 SEM像形成ユニット
25 演算ユニット
26 操作部
27 スペクトルメモリ
28 フォーカス・非点補正量走査ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法であって、
X,Y方向に周期的なパターンを持つ調整用試料からの強度分布信号に対してトリミングを行なった後、第1のフーリエ級数展開を行ない(ステップ1)、
前記調整用試料の試料像に対して微分か又は相関関数の演算から周期パターンを求め(ステップ2)、
この周期パターンに対してトリミング領域を決定して第2のフーリエ級数展開を行ない(ステップ3)、
前記第1のフーリエ級数展開と第2のフーリエ級数展開の結果の差分を求め、差分とフォーカス値及び非点補正量を記憶し(ステップ4)、
前記ステップ1からステップ4を必要な回数繰り返して、求めた差分が最小であった時の非点補正量、フォーカス値を荷電粒子ビーム装置に設定する(ステップ5)、
ことを特徴とする荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整方法。
【請求項2】
荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整装置であって、
X,Y方向に周期的なパターンを持つ調整用試料からの強度分布信号に対してトリミングを行なった後、第1のフーリエ級数展開を行なう第1の演算手段と、
前記調整用試料の試料像に対して微分か又は相関関数の演算から周期パターンを求める第2の演算手段と、
この周期パターンに対してトリミング領域を決定して第2のフーリエ級数展開を行なう第3の演算手段と、
前記第1のフーリエ級数展開と第2のフーリエ級数展開の結果の差分を求める第4の演算手段と、
該第4の演算手段により求めた差分と非点補正量及びフォーカス値を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶されたものの中から非点補正量とフォーカス値が最適になるものを読み出して調整する非点補正・フォーカス調整手段と、
を有することを特徴とする荷電粒子ビーム装置における非点補正・フォーカスの自動調整装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−112684(P2008−112684A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296001(P2006−296001)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】