説明

葉状農作物の選別・包装システム、および、葉状農作物の選別・包装方法

【課題】大葉等の葉状農作物をそのサイズや形状等に基づいて選別し、これをきれいに積み重ねた束とし、さらにこれを包装することのできる葉状農作物の選別・包装システムの提供。
【解決手段】葉状農作物aを搬送供給する供給コンベアBと、その葉状農作物aを1枚ずつ取り出す取出装置Cと、上各葉状農作物aのサイズを判定する葉状農作物検査手段と、その判定結果に基づいて各葉状農作物a……を選別し、積み重ねて束とする選別ロボットE1,E2と、上記束を包装する自動包装機Hとを備えた葉状農作物の選別・包装システム。また、積み重ねた状態の葉状農作物a……を、1枚ずつ取り出してそのサイズを判定し、その判定結果に基づいて葉状農作物a……を選別し、束にして搬送し、これを包装する葉状農作物の選別・包装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大葉(青シソの葉)のような、大きさが不均一で形状も不安定な葉状農作物を選別して包装する葉状農作物の選別・包装システムおよび葉状農作物の選別・包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大葉等の葉状農作物の収穫後、その選別・結束・袋詰め等の一連の作業は多くの場合手作業で行われているが、その作業の省力化・作業コストの低減ための機構や装置として、たとえば特許文献1〜3に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載された葉状農作物束作り機構は、サイズや良否に基づいて予め選別してベルトに乗載され搬送される大葉を、リフト板により1対の保持板の間へ押し上げ嵌入させ、その保持板の間に束として積み重ねて保持させるようにしたものである。しかしながら、この機構は、束を作るだけのものであるから、事前に大葉の選別作業を要し、また、束として積み重ねられた大葉を手作業等により取り出して包装する作業が別途必要となるものである。
【0004】
特許文献2に記載された葉状農作物束作り機構は、大葉を積み重ねて束を作るとともにこれをいわゆるビニタイ(金属線を樹脂フィルムにて被覆したもの)で結束するものであるから、予め大葉をサイズや形状に基づいて選別して荷受けコンベアに供給しなければならないものである。
【0005】
特許文献3に記載された葉状農作物整列供給機構は、積み重ねられた束の上側から大葉を1枚ずつ取り出して所定位置に供給する機構にすぎない。
【特許文献1】特開平10−35888号公報
【特許文献2】特開平11−59622号公報
【特許文献3】特開平11−91723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、大葉等の葉状農作物をそのサイズや形状等に基づいて選別し、これをきれいに積み重ねた束とし、さらにこれを包装することのできる葉状農作物の選別・包装システム、および、葉状農作物の選別・包装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明は、複数の葉状農作物aを積み重ねた状態で搬送供給する供給コンベアBと、その供給コンベアBにより搬送される葉状農作物aを1枚ずつ取り出す取出装置Cと、上記取出装置Cにより供給される各葉状農作物aのサイズを、当該葉状農作物aの画像データに基づいて判定する葉状農作物検査手段と、その判定結果に基づいて各葉状農作物a……を選別し、選別コンベアF1〜F5の積み重ね位置において積み重ねて束とする選別ロボットE1,E2と、上記葉状農作物aの束を包装する自動包装機Hとを備えた葉状農作物の選別・包装システムである。
【0008】
請求項2記載の本発明は、上記選別コンベアF1より供給される葉状農作物aの束を上下反転させて上記自動包装機Hに送出する反転コンベアGを備えた請求項1記載の葉状農作物の選別・包装システムである。
【0009】
請求項3記載の本発明は、上記各葉状農作物aの画像データに基づいて、上記選別ロボットE1,E2が、複数枚の葉状農作物a……を、その位置および向きを合わせて上記選別コンベアF1〜F5の積み重ね位置に積み重ねて束とする請求項1または2記載の葉状農作物の選別・包装システムである。
【0010】
請求項4記載の本発明は、上記供給コンベアBが、複数枚積み重ねた葉状農作物a……を収容した複数の搬送カートリッジA……を間欠搬送する請求項1,2または3記載の葉状農作物の選別・包装システムである。
【0011】
請求項5記載の本発明は、上記選別コンベアF1〜F5が、選別ロボットE1,E2により積み重ね位置に順次載置される葉状農作物a……が所定枚数になったときに、そのコンベアベルトf1〜f5を1ピッチ送る請求項1,2,3または4記載の葉状農作物の選別・包装システムである。
【0012】
請求項6記載の本発明は、上記取出装置Cが、回転テーブル31に上下動自在な吸着機構33を設けてなり、上記供給コンベアBの取り出し位置26の葉状農作物aを1枚ずつ吸着して取り出し、これを順次葉状農作物検査手段の検査装置Dへ移載する請求項1,2,3,4または5記載の葉状農作物の選別・包装システムである。
【0013】
請求項7記載の本発明は、葉状農作物検査手段の検査装置Dが、吸引孔43を開設した透明な吸引板42を備えた検査テーブル41を備え、上記取出装置Cにより吸引板42に乗載された葉状農作物aを吸引孔43を通じて負圧により吸引して固定可能である請求項6記載の葉状農作物の選別・包装システムである。
【0014】
請求項8記載の本発明は、積み重ねた状態で供給される複数の葉状農作物a……を、上のものから順に1枚ずつ取り出してそのサイズを判定し、その判定結果に基づいて葉状農作物a……を選別し積み重ねて束にして搬送し、この束を包装する葉状農作物の選別・包装方法である。
【0015】
請求項9記載の本発明は、上記葉状農作物a……を、それらの位置および向きを合わせて積み重ねて上記束とする請求項8記載の葉状農作物の選別・包装方法である。
【0016】
請求項10記載の本発明は、上記葉状農作物a……の束を上下反転してから自動包装機Hに供給し包装する請求項8または9記載の葉状農作物の選別・包装方法である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、大葉等の葉状農作物をそのサイズや形状等に基づいて選別し、これをきれいに積み重ねた束とし、さらにこれを包装することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【実施例1】
【0019】
本実施例の葉状農作物の選別・包装システムは、概括的には、収穫された大葉a等の葉状農作物(以下、単に「大葉a」という。)を複数枚重ねて収容する複数の搬送カートリッジA……を循環させる供給コンベアBと、その供給コンベアBの取出位置において上記各搬送カートリッジA内に積み重ねられた大葉aを上から1枚ずつ取り出す取出装置Cと、この取出装置Cが取り出した大葉aを載置してそのサイズや形状等を検査判定する検査装置Dと、その検査・判定結果に基づいて検査装置D上の大葉aを所定の選別コンベアF1〜F5に移載して選別する選別ロボットE1,E2と、選別された大葉aをそれぞれ所定枚数積み重ねた束にして移送する上記選別コンベアF1〜F5と、選別コンベアF1から供給される大葉aの束を上下反転させる反転コンベアGと、その反転コンベアGから供給される大葉aの束を包装する自動包装機H等からなるものである。
【0020】
上記搬送カートリッジAは次のとおりのものである。
1は平面ほぼ方形をなすベースプレートで、その前縁(図4では下側)中央には大葉a……の茎を受入するだけの間隔を空けて左右2本の案内軸2,3が立設されている。また、ベースプレート1の前後方向ほぼ中央にも、大葉aの先端を受入するだけの間隔を空けて左右2本の案内軸4,5が立設されている。この案内軸4,5は、ベースプレート1に対して前後方向に摺動させて、収容する大葉aの大きさに合わせて所望の位置に固定することができるようになっている。
6は上記ベースプレート1の上側に配設された底板で、これは、平面方形をなし、その左右両縁に側板6’,6’を起立形成しているものである。
また、この底板6は、上記案内軸2,3を挿通させた切欠き7および上記案内軸4,5を挿通させた前後方向に長い挿通孔8,9を備えており、ベースプレート1に開設された押上孔(図示しない)を通じて下方から押し上げられることでその案内軸2〜5にガイドされつつベースプレート1から上方に移動可能になっている。
上記案内軸2〜5は、底板6上に載置された大葉a……のズレを防止するものである。
【0021】
10,10は、上記ベースプレート1の後縁の左右両端にそれぞれ固定されたボスで、このボス10,10には後方に突出させた軸11,11が回動自在に取り付けられている。
12,12は、その軸11,11にそれぞれ固定された回動板である。
その回動板12,12の前面には、ゴム等の柔軟な材質からなる厚さ0.5mm〜1mm程度の薄板状のフィン13,13を固定したフィン支持腕14,14がそれぞれ固定され、また、後面の内側寄りの位置には、回転自在なローラ15,15を固定したローラ軸16,16がそれぞれ固定されている。
上記フィン13,13は、上記底板6上に積み重ねて載置された大葉a……の位置ずれや、崩れ落ち等を抑えるためのもので、上記ローラ15,15が下がった状態では、ベースプレート1の内方に向き水平な状態となり、上記底板6上に載置された大葉aを押さえるようになっており(図4)、上記ローラ15,15を押し上げると、上記回動板12,12が軸11,11回りに回動し、上記フィン13,13は正面から見ていわばハの字形に上方に開き、大葉aを載置する作業を行い易い状態となる(図5,6)。
この搬送カートリッジAは、上記底板6上に数十枚の大葉aを収容できるものである。
【0022】
上記供給コンベアBは、多数の上記搬送カートリッジA……を、平面楕円状の軌道21に沿って循環させるようになっているものである。上記各搬送カートリッジA……は、軌道21の内周に位置させた1対のスプロケット(一方のみを図示し符号22aを付した)に掛け回したチェーン23に対して等間隔に固定され、そのスプロケット22aを駆動モータ22’で回転させることで間欠的に移動しながら循環するようになっている。
24は、上記軌道21の一側(大葉aを各搬送カートリッジA……に乗載供給する供給位置25)の内周に、循環する上記各搬送カートリッジA……のローラ15……に当接してこれを押し上げることができよう配設された所要長さの押上げガイドである。
供給位置25に至った各搬送カートリッジA……のローラ15,15は押上ガイド24に乗り上げるので、該搬送カートリッジA……の上記フィン13,13はハの字形に開く。したがって、この供給位置25において、収穫され選別・包装しようとする大葉aを搬送カートリッジAに対して容易に乗載できる。
また、搬送カートリッジA……は、供給位置25を通り過ぎると、ローラ15,15が押上ガイド24から降りるのに伴い上記フィン13,13が閉じ、乗載された大葉aの束の位置ずれや崩れ落ちを防ぎながら搬送する。
【0023】
26は上記軌道21の、上記供給位置25の反対側の、大葉aが取り出される取り出し位置である。この取り出し位置26の下方には電動シリンダ27が配設され、上下方向に伸縮するそのロッドの上端には押上部材28が固定されている。
取り出し位置26に位置する搬送カートリッジAは、伸張した上記押上部材28をベースプレート1の上記押上孔を通じて受入することができ、その押上部材28は、上記底板6を上方に押し上げるようになっている。
【0024】
取り出し位置26の上方には、該取り出し位置26にある搬送カートリッジA内の最上面の大葉aのレベル(高さ)を検出する距離センサ29と、その搬送カートリッジA内の大葉aの有無を検出する大葉検出センサ30が配設されている。
上記電動シリンダ27は、上記距離センサ29の検出に基づいて制御されるもので、搬送カートリッジA内に積み重ねられた大葉aが上記取出装置Cにより順次取り出されても、常に最上面の大葉aのレベルが、取出装置Cによる取出しが可能な高さの範囲に収まるよう、そのロッドを伸張させて押上部材28により上記底板6を上昇させる。これにより、上記取出装置Cによる大葉aの取出しが確実に行える。
また、上記大葉検出センサ30により、取り出し位置26の搬送カートリッジA内の大葉aが全て取り出されて無くなったことが検出されたときには、次の搬送カートリッジAが取り出し位置26に移動するまで、上記供給コンベアBの駆動モータ22’を回転するようになっている。
【0025】
上記取出装置Cは次のようなものである。
31は、基台32上に水平に支持され、モータ32’により回転駆動される平面円形の回転テーブルで、この回転テーブル31の縁部には90°おきに4セットの吸着機構33……が設けられている。
各吸着機構33は、エアシリンダ34により上下動自在に支持された支持部材35に、下方に向けた3つの吸着器36……を三角形の各頂点に位置させた配置で取り付けているものである。
各吸着器36……は、吸引ポンプ等の吸引装置(図示しない)にエアホース(図示しない)により接続されており、負圧によって大葉aを吸着することができるものである。
この吸着器36は、圧縮スプリング37(図8(a))を内蔵することによって、基部36’の下端に上下摺動自在に組み込まれた摺動パッド36”を下方に付勢した状態にしており、摺動パッド36”は、その圧縮スプリング37を縮めながら上方に10mm程度のストロークだけ上方に摺動することができる。
したがって、この吸着器36は、大葉aを押し潰すことなく確実に吸着することができる。
すなわち、大葉aはそのサイズや形状が不均一で、薄く重量も軽いうえに収穫後の保管環境等により硬さが大きく変化するものであるが、この吸着器36は、大葉aの最上面の高さがある程度不均一であっても、圧縮スプリング37のストローク分だけ、ばらつき、凸凹を吸収するバッファ的な効果を奏するとともに、大葉aに対する押しつけ圧力を一定にできるので、大葉aの打痕や傷の発生を防止することにもなる。
【0026】
この取出装置Cは、上記供給コンベアBの取り出し位置26において、搬送カートリッジA内の大葉a……を1枚ずつ上記吸着器36により吸着して上方に引き上げ、回転テーブル31を反時計回りに間欠的に回転させることにより、後記の裏面検査をし、さらに上記検査装置Dへと移載する。
すなわち、吸着した大葉aを90°回転させ、裏面検査位置38で一旦停止させ、その後90°回転させて上記検査装置Dへと移載する。
39は、上記裏面検査位置38の下方に配設された裏面検査機構で、上記吸着器36に吸着され該裏面検査位置38に位置する大葉aの下面(裏面)を照らす照明装置とこれを撮影し各大葉aの裏面画像データを得るためのカメラとを備えている。
【0027】
なお、回転テーブル31に設ける上記吸着機構33の数は必ずしも4セットにしなくてもよく、機械全体の構成や処理能力に応じ3セットや5セットあるいはそれ以外の数としても良い。
【0028】
上記検査装置Dは次のようなものである。
41は平面円形の検査テーブルで、42は、その検査テーブル41の上板41’に90°おきに嵌合固定されている吸引板である。
この吸引板42は、アクリル板等からなる透明なもので、細かい吸引孔43……を多数開設してある。
検査テーブル41は、モータ44によって回転され、また、上記吸引孔43……には吸引ポンプ等の吸引装置を接続してある。
上記取出装置Cによって、受け取り位置45において吸引板42に乗載された大葉aは、吸引孔43……の負圧で吸引され該吸引板42上に完全に広げられた状態で、かつ検査テーブル41の回転による遠心力がかかってもずれないように固定される。
この状態で検査テーブル41が時計回りに回転すると、上記大葉aは、まず90°回転した位置である第1検査位置46に移動され、続いてさらに90°回転した位置である第2検査位置47に移動され、最終的にさらに90°回転して取り出し位置48へと移動される。
【0029】
上記第1検査位置46および第2検査位置47の、上板41’の下側には、両検査位置46,47の大葉aを下方(裏面側)から照らす照明装置48,49が配設してある。
また、両検査位置46,47の上方にはその大葉aを上方(表面側)から撮影するCCDカメラ等のカメラ50,51が配設されている。
【0030】
第1検査位置46では、上記照射装置48で下方より吸引板42上の大葉aに照明を当てつつ上記カメラ50により大葉aを撮影して第1の画像データを得る。
また、第2検査位置47では、上記照射装置49で照明を当てた大葉aを上記カメラ51により撮影して第2の画像データ(カラー画像データ)を得る。
【0031】
この検査装置Dとともに葉状農作物検査手段を構成する図示しないパーソナルコンピュータ等の演算制御装置は、大葉aの1枚ごとについて、上記第1の画像データに基づいて、吸引板42へ載置した位置、載置した向き、サイズ等、具体的には、図13に示すように、吸引板42上の所定の原点イを基準とした大葉aの基点(葉身の基部の中央の点)ロのx軸方向およびy軸方向の座標(x,y)、その基点ロと仮想先端点(葉の両側辺の仮想延長線の交点)ハを結んだ直線のy軸に対する角度θ1、基点ロと仮想先端点ハを結んだ直線が基点ロと葉の最先端点ニを結んだ直線となす角θ2、葉の最大長さh、葉の面積s、穴あきjの有無等を認識する。
そして、上記h,sの値等に基づくサイズ判定、具体的には、Lサイズ(葉身の基部から先端までの長さが8.5cm〜11cm程度の出荷可能なサイズ),2Lサイズ(Lサイズよりも大きいもの),Mサイズ(Lサイズより小さいもの)のいずれであるかを判定し、また、θ2の値に基づいて大葉aの先曲がりの判定をし(ある程度曲がっている大葉aは不良品(NG)と判定する。)、さらに、上記x,y,θ1の値に基づいて、選別ロボットE1,E2を駆動し、選別コンベアF1〜F5の積み重ね位置において複数の大葉aをきれいに重ね合わせるための駆動パラメータを算出する。
【0032】
また、上記演算制御装置は、上記第2の画像データおよび裏面画像データに基づいて、先枯れk,変色m等の有無により製品としての良否を判定する。
【0033】
なお、上記両検査位置46,47におけるカメラ50,51による撮影は、大葉aを吸引孔43……を通じて吸引をしながらこれを完全に広げた状態で行うので、正確な検査・判定ができる。また、検査テーブル41の回転による遠心力で載置位置がずれてしまうようなこともない。
【0034】
上記選別ロボットE1,E2は、上記検査装置Dの一側(図1では上方)の左右両側に設置されたいわゆるスカラ型ロボット(水平多関節型ロボット)で、上記検査装置Dの取り出し位置48にある大葉aを、上記取出装置Cの吸着機構33と同様の吸着機構によって吸着して、上記葉状農作物検査手段による検査・判定結果に基づいて選別し、選別コンベアF1〜F5のいずれかに移載するものである。
その選別コンベアF1〜F5への大葉aの移載は、各大葉aごとに算出される上記選別ロボットE1,E2の駆動パラメータに基づいて、複数の大葉aを、位置および向きを合わせて、すなわち、その茎と先端と葉の根元とをきれいに揃えて乗載し、所要設定枚数(5〜20枚程度)の束を作りながら行う。
なお、選別ロボットは、1台または3台以上としてもよい。
【0035】
上記選別コンベアF1は、上記選別ロボットE1,E2の両者が大葉aを載置できる位置に配設され、そのコンベアベルトf1の始端近傍の積み重ね位置において、上記選別ロボットE1およびE2から、Lサイズの大葉aの供給を受け、これを所要の設定枚数だけ重ねた束とし、この束を、その搬送終端に接続された上記反転コンベアGへと間欠的に順次搬送するものである。
すなわち、大葉aが所定枚数積み重ねられるまではコンベアベルトを停止させた状態とし、積み重ね位置において所定枚数が積み重ねられたときに1ピッチ分だけコンベアベルトf1を送る。その搬送時の速度は約150mm/sである。
【0036】
上記選別コンベアF2,F3は、上記左側の選別ロボットE1により大葉aを載置できる位置に配設され、各々の積み重ね位置においてそれぞれ2Lサイズの大葉aとMサイズの大葉aの供給を、上記選別ロボットE1から受け、選別コンベアF1と同様にこれを所要設定枚数重ねた束にして順次搬送するものである。
【0037】
上記選別コンベアF4,F5は、上記左側の選別ロボットE2により大葉aを載置できる位置に配設され、それぞれの積み重ね位置において、2Lサイズの大葉aと、Mサイズの大葉aの供給を、上記選別ロボットE2から受け、選別コンベアF1,F2と同様にこれを所要枚数重ねた束にして順次搬送するものである。
【0038】
なお、不良の大葉aは図示しないシュートを介して不良品コンベアで排出,集積される。
【0039】
上記反転コンベアGは上記選別コンベアF1から、表を上に向けた状態で供給される大葉aの束を上下反転させて上記自動包装機Hのコンベアベルト91に供給するものである。
吸着器36による吸着は、大葉aの裏面よりも表面のほうが行いやすいので、その吸着を確実に行えるよう、上記選別コンベアF1までは、大葉aは表面を上に向けた状態で移送される。
これに対し、大葉aの束の自動包装機Hによる包装にあたっては、包装フィルムの溶着を上面側で行わざるを得ず、また、大葉aの表面側に包装フィルムの溶着部分が位置すると、商品としては見映えも悪く問題であるから、自動包装機Hへ移送する前段階に設置したこの反転コンベアGで大葉aの束を上下反転させることにより、大葉aの裏面側に包装フィルムの溶着部分を位置させるように包装できるようにしている。
その反転コンベアGのは次のとおりのものである。
【0040】
反転コンベアGは、互いの間に大葉aの束を挟持して搬送する上下1対のコンベア61,62を、上下反転自在な回転枠63内に配設しているものである。
回転枠63は、その前後の円環枠63a,63b間に中空のフレーム63cを固定したもので、上記コンベア61,62は、該回転枠63に軸支されたベルトローラ64a,64b,64c間、および、ベルトローラ66a,66b,66c間にそれぞれ無端状のコンベアベルト68,69を巻回して、その両コンベアベルト68,69の対向面を近接させた状態にしてある。
一方のコンベア61は、回転枠63の外面に固定されたモータ65の軸に固定されたスプロケット70,チェーン71,ベルトローラ64aに固定されたスプロケット72を介して駆動される。
他方のコンベア62は、上記モータ65の軸に固定された歯車73,これと噛合し反対方向に回転する歯車74,その歯車74と同軸に固定されたスプロケット75と上記ベルトローラ66aとの間に掛け回されたチェーン76を介して駆動される。
これにより、上記コンベアベルト68,69の対向面は進行方向を同じにして、大葉aの束を挟持して搬送するようになっている。
【0041】
上記回転枠63は、上記円環枠63a,63bの部分において、架台77上の支持枠78に取り付けられたツバ付きローラ79……によって支持され、前後左右にガタを生じることなくスムーズに上下反転回動をすることが可能となっている。
【0042】
80は上記回転枠63を上下反転回動させるための反転機構である(図10)。
81は上記支持枠77および架台76に固定されたシリンダで、上下方向に伸縮可能なそのシリンダ81のロッド82には、固定板83を介してラック84が固定されている。このラック84は、案内ボス85,86により上下摺動自在に案内されている。
87は、上記ラック84に対向して噛合され、該ラック84の上下動に伴い回転するピニオンギヤである。
88はこのピニオンギヤ87と同軸に固定されたスプロケットで、これは、上記円環枠63aの外周に固定されたチェーン89に噛合している。
よって、上記シリンダ81を伸縮させることにより、回転枠63は上下反転回動する。
【0043】
なお、そのコンベアベルト68,69の速度は、約50〜150mm/sの範囲で可変となっており、選別コンベアF1から大葉aの束を受け入れるときには該選別コンベアF1の速度にあわせ、また、大葉aの束を自動包装機Hへ送り出すときには該自動包装機Hのコンベアベルト91の速度に合わせて運転される。
【0044】
上記自動包装機Hは、そのコンベアベルト91(搬送速度約50mm/s)に、上記反転コンベアGからの、裏を上に向けた状態の大葉aの束の供給を受け、これを1束ごとに、巻物状の長尺の包装フィルムで被包し、適宜フィルムを切断,溶着するものである。
【0045】
上記構成からなる葉状農作物の選別・包装システムは、供給コンベアBの駆動モータ22’,その取り出し位置の電動シリンダ27,取出装置Cのモータ32’,吸着機構33のエアシリンダ34,同吸着機構33の吸着器36に負圧をかける吸引ポンプ,裏面検査機構39の照明装置とカメラ,検査装置Dのモータ44,照明装置48,49,カメラ50,51,反転コンベアGのモータ65,シリンダ81等の各部を、上記演算制御装置により制御することで、大葉a……の選別および包装を行うものである。
その葉状農作物の選別・包装方法は、以下の工程に従って行われる。
【0046】
<1>供給コンベアへの供給工程
収穫された大葉a……は、供給コンベアBの供給位置25においてフィン13,13を開いた状態の搬送カートリッジA……に、数十枚ずつ表面を上方に向け積み重ねた状態にして、順次収容される。
各搬送カートリッジA……は、軌道21に沿って回動され、収容している大葉a……を順次取り出し位置26へ搬送してそこで停止する。
【0047】
<2>供給コンベアからの取出工程
大葉a……を収容した搬送カートリッジAが取り出し位置26で停止すると、その上方に位置する取出装置Cの吸着機構33の吸着器36……が、エアシリンダ34の縮退駆動により下降し、その摺動パッド36”が最上面の大葉aの上面に当接する。
続いて、吸着器36……は、吸引装置の駆動による負圧により大葉aを吸着する。
【0048】
吸着された大葉a……は、上記エアシリンダ34の伸長駆動により上方に引き上げられる。この引上げの際、上記フィン13,13により、下側の大葉aが一緒に引き上げられることが妨げられるので、1枚ずつ確実に引上げができる。
すなわち、大葉aの形状(外輪のギザギザ等)や水分状態によっては上の大葉aを吸着し上昇させたとき、その下の大葉aが引っ掛かったり、くっついたりして取り出したものの下に垂れ下がることが起こりうるが、フィン13,13によって、下のものを押さえ、また、引上げ途中のものに引っ掛かった葉を引き離す効果が期待できる。
【0049】
吸着器36により引き上げられた大葉aは、取出装置Cの回転テーブル31が反時計回りに90°回転することにより、裏面検査位置38に移動される。
この位置において、裏面検査機構39のカメラにより大葉aの裏面が撮影され、取得される裏面画像データに基づいて大葉aの裏面の色検査と、吸着器36による吸着が確実に行われているかの確認が行われる。
【0050】
続いて回転テーブル31をさらに反時計回りに90°回転させ、エアシリンダ34を縮退駆動することにより吸着器36で吸引している大葉aを検査装置Dの受け取り位置45の吸引板42の上に降ろし、続いて吸着器36の吸引を停止することにより大葉aは検査装置Dに移載される。
【0051】
搬送カートリッジA内の大葉a……は、順次、上記のようにして1枚ずつ取り出され、検査装置Dへ移載供給される。
なお、搬送カートリッジAから大葉aを1枚ずつ取り出してゆくと、積み重ねられている大葉aの高さは徐々に低くなり吸着機構33による吸着動作が不安定となるおそれがある。そこで、距離センサ29による最上面の大葉aのレベルの検出に基づいて電動シリンダ27を駆動し、押上部材28によって搬送カートリッジAの底板6を押し上げることにより、吸着位置を一定に保ち確実な吸着を行う。
【0052】
搬送カートリッジAから大葉aを順次取り出すことにより、搬送カートリッジA内の大葉aA……が全て取り出されたことが大葉検出センサ30により検出されたら、上記供給コンベアBの駆動モータ22’を駆動して、次順位の搬送カートリッジAを取り出し位置26に移動させ、引き続いて、この搬送カートリッジA内の大葉a……の取り出しが行われる。
【0053】
<3>検査工程
上記取出装置Cにより、検査装置Dの受け取り位置45において吸引板42上に大葉aが乗載された後、その大葉aは吸引板42の吸引孔43……を通じて吸引され、広げた状態にして該吸引板42上に固定される。
【0054】
吸引状態のままで、検査テーブル41を時計回りに90°回転させることで、その大葉aは第1検査位置46に移動する。
第1検査位置46においては、照射装置48で下方より照らされた大葉aをカメラ50により上方から撮影することで上記第1の画像データを得る。
【0055】
続いて、吸引状態のまま、さらに検査テーブル41を時計回りに90°回転させることで、上記の大葉aは第2検査位置47に移動する。
第2検査位置47においては、照明装置49で下方より照らされた大葉aをカメラ51により撮影し、上記第2の画像データを得る。
【0056】
その後、検査テーブル41はさらに時計回りに90°回転し、大葉aを取り出し位置48に移動させる。ここで、吸引孔43……を通じた吸引は停止される。
各大葉a……は、各々の上記画像データに基づいて演算制御装置において良否およびサイズが判定され、いずれの選別コンベアF1〜F5(またはシュート)へ移動するかが決定される。
【0057】
<4>選別・積み重ね工程
検査装置Dの取り出し位置48の大葉aは、演算制御装置における良否判定およびサイズ判定により、選別ロボットE1またはE2によって、選別コンベアF1〜F5または不良品排出用のシュートのいずれかへ移動し選別される。
【0058】
選別コンベアF1〜F5への移動の場合、各大葉aは、上記演算制御装置で算出された駆動パラメータに基づき、各コンベアベルトf1〜f5の積み重ね位置の所定の積み重ね原点を基準にして、位置および向きを調整し、茎と葉身の根元とその先端とを揃えて、先行する大葉aに積み重ねて載置される。
【0059】
<5>搬送工程
選別コンベアF1〜F5はそれぞれ、順次載置される大葉a……が、5〜20枚程度の適宜設定した枚数の束となった時点で、その束を1ピッチ移動する。
なお、Lサイズの大葉aの移載を受ける選別コンベアF1は、その束を、自動包装機Hによる包装のために、上記反転コンベアGへ搬送するが、一方、選別コンベアF2〜F5に移載された2Lサイズ、Mサイズのものは、通常、トレイ詰め等され加工原料等として用いられる。
【0060】
<6>反転工程
選別コンベアF1から排出される大葉aの束は、これと同速の反転コンベアG完全に乗り移り、そのコンベア61,62間に挟持される。
当初選別コンベアF1と同速で運転されているそのコンベア61,62は、大場aの束を受け入れると、自動包装機Hのコンベア速度と同速になるよう減速される。
続いて、シリンダ81のロッド82が伸張して回転枠63を回動させ、上記コンベア61,62を上下反転させる。
反転コンベアGは、反転状態のまま大葉aの束を自動包装機Hのコンベアベルト91に排出し、その後、ロッド82を縮退させて回転枠63を元の状態に戻すとともにコンベア61,62の速度を選別コンベアF1と同速に増速し、後続の大葉aの束の受入れをする。
【0061】
<7>包装工程
上記反転コンベアGから大葉aの束の供給を受けた自動包装機Hは、これを1束ごとに、巻物状の長尺の包装フィルムで被包し、適宜フィルムを切断,溶着して包装を完了する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施例に係る葉状農作物の選別・包装システムの平面図である。
【図2】その選別・包装システムの要部拡大平面図である。
【図3】その選別・包装システムの一部破断正面図である。
【図4】搬送カートリッジの平面図である。
【図5】その側面図である。
【図6】その正面図である。
【図7】取出装置の吸着機構の平面図である。
【図8】(a)は上記吸着機構のエアシリンダを上昇駆動したときの一部破断側面図、(b)はそのエアシリンダを下降駆動し葉状農作物を吸着した状態の側面図である。
【図9】反転コンベアの平面図である。
【図10】その正面図である
【図11】図9のI−I線縦断面図である。
【図12】図10のII-II線縦断面図である。
【図13】葉状農作物の平面図である。
【符号の説明】
【0063】
a 大葉(葉状農作物)
A 搬送カートリッジ
B 供給コンベア
C 取出装置
D 検査装置
E1,E2 選別ロボット
F1〜F5 選別コンベア
G 反転コンベア
H 自動包装機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の葉状農作物を積み重ねた状態で搬送供給する供給コンベアと、
その供給コンベアにより搬送される葉状農作物を1枚ずつ取り出す取出装置と、
上記取出装置により供給される各葉状農作物のサイズを、当該葉状農作物の画像データに基づいて判定する葉状農作物検査手段と、
その判定結果に基づいて各葉状農作物を選別し、選別コンベアの積み重ね位置において積み重ねて束とする選別ロボットと、
上記葉状農作物の束を包装する自動包装機とを備えたことを特徴とする葉状農作物の選別・包装システム。
【請求項2】
上記選別コンベアより供給される葉状農作物の束を上下反転させて上記自動包装機に送出する反転コンベアを備えたことを特徴とする請求項1記載の葉状農作物の選別・包装システム。
【請求項3】
上記各葉状農作物の画像データに基づいて、上記選別ロボットが、複数枚の葉状農作物を、その位置および向きを合わせて上記選別コンベアの積み重ね位置に積み重ねて束とすることを特徴とする請求項1または2記載の葉状農作物の選別・包装システム。
【請求項4】
上記供給コンベアが、複数枚積み重ねた葉状農作物を収容した複数の搬送カートリッジを間欠搬送することを特徴とする請求項1,2または3記載の葉状農作物の選別・包装システム。
【請求項5】
上記選別コンベアが、選別ロボットにより積み重ね位置に順次載置される葉状農作物が所定枚数になったときに、そのコンベアベルトを1ピッチ送ることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の葉状農作物の選別・包装システム。
【請求項6】
上記取出装置が、回転テーブルに上下動自在な吸着機構を設けてなり、上記供給コンベアの取り出し位置の葉状農作物を1枚ずつ吸着して取り出し、これを順次葉状農作物検査手段の検査装置へ移載するものであることを特徴とする請求項1,2,3,4または5記載の葉状農作物の選別・包装システム。
【請求項7】
葉状農作物検査手段の検査装置が、吸引孔を開設した透明な吸引板を備えた検査テーブルを備え、上記取出装置により吸引板に乗載された葉状農作物を吸引孔を通じて負圧により吸引して固定可能であることを特徴とする請求項6記載の葉状農作物の選別・包装システム。
【請求項8】
積み重ねた状態で供給される複数の葉状農作物を、上のものから順に1枚ずつ取り出してそのサイズを判定し、その判定結果に基づいて葉状農作物を選別し積み重ねて束にして搬送し、この束を包装することを特徴とする葉状農作物の選別・包装方法。
【請求項9】
上記葉状農作物を、それらの位置および向きを合わせて積み重ねて上記束とすることを特徴とする請求項8記載の葉状農作物の選別・包装方法。
【請求項10】
上記葉状農作物の束を上下反転してから自動包装機に供給し包装することを特徴とする請求項8または9記載の葉状農作物の選別・包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−331782(P2007−331782A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−164449(P2006−164449)
【出願日】平成18年6月14日(2006.6.14)
【出願人】(000130455)株式会社サークル鉄工 (14)
【出願人】(505010191)株式会社オーツーコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】