説明

蓄電池駆動電車の給電システム

【課題】 非電化区間を走行する電気車両に電源として搭載された蓄電装置を充電するための電力供給装置のさらなる小型化を図ることができる蓄電池駆動電車の給電システムを提供する。
【解決手段】 電力供給装置16と、非電化区間を走行可能な電気車両1とからなる給電システムであって、電力供給装置16は、交流を直流に整流する整流器4と、この整流器4と並列に接続されるニッケル水素電池5と、ニッケル水素電池5からDC/DCコンバータ6を介して電気車両1に電流を供給するための充電ポスト21とを有し、電気車両1は、充電ポスト21から供給される電流を入力するパンタグラフ14と、このパンタグラフ14に接続された蓄電装置11と、回生機能を有する電力変換器12と、蓄電装置11を電源として電力変換器12を介して電力が供給される車両走行用電動機13とを有するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両用の交通システムに係り、特に電力供給が無い非電化区間を走行可能な電気車両に好適な蓄電池駆動電車の給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力供給が無い非電化区間を走行可能な蓄電手段搭載型の電気車両の開発が進められている。この電気車両は、車両に蓄電池もしくはキャパシタ等の蓄電手段を搭載し、車両が充電設備のある車両基地または駅に停車している間に、次の充電設備のある箇所までに車両の走行や車両内機器などで消費される電気車両の運行に必要な電力(以下、単に「必要電力」という)が蓄電手段に充電されるように構成されている。また、充電設備のある車両基地及び駅には、車両に搭載された蓄電手段に電力を供給するための変電設備が必要となる。
【0003】
上記の蓄電手段搭載型の電気車両に必要電力を充電するためには、車両が充電設備のある車両基地または駅に停車している短時間のうちに充電を完了しなければならず、定格の大きな容量の変圧器と整流器等で構成される変電設備を用いる必要があり、これを当該箇所に設置することは多大な設備投資を必要とすると共に、変電設備を据え付けるためのスペースも広く必要とする。
【0004】
また、短時間で変電設備から必要電力を車両に供給するためには大電流が必要であり、そのためには、高圧または特別高圧に対応した設備が必要となり、設備費用の上昇や機器スペースの増大を招く。
【0005】
そこで、変電設備の容量を低減し、充電設備の小型化を目指した構成の一例が、例えば特許文献1に記載されている。
【0006】
特許文献1には、電気車両に蓄電手段として電気二重層キャパシタを搭載し、電気二重層キャパシタに蓄えられたエネルギーを電源とし、車両走行用モータを駆動するようにした構成が記載されている。また、各駅に設置される電力供給装置として、交流を直流に整流する整流器と、この整流器と並列に接続される電気二重層キャパシタとチョッパ部との直列回路とを備え、この電気二重層キャパシタに充電された電荷をチョッパ部を介して電気車両に供給し、電気車両に搭載された電気二重層キャパシタを充電するようにした構成が記載されている。
【特許文献1】特開2006−232102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1に記載の構成では、電気車両用の充電設備である電力供給装置に電気二重層キャパシタが用いられている。電気二重層キャパシタは、SOC(state of charge)の変動に対する電圧の変動が大きいため、電圧の変動がチョッパ部の許容電圧範囲内となるようにするためには大容量の電気二重層キャパシタを用いなければならず、電気二重層キャパシタが大型化する。また、逆にチョッパ部の許容電圧範囲を広くしようとすれば、チョッパ部が大型化する。いずれにしても装置全体として小型化を図るには限界がある。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、き電線がない非電化区間を走行する電気車両に電源として搭載された蓄電装置を充電するための充電設備である電力供給装置のさらなる小型化を図ることができる蓄電池駆動電車の給電システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の蓄電池駆動電車の給電システムは、電力供給装置と、蓄電装置を搭載した電気車両とからなる給電システムであって、前記電力供給装置は、交流を直流に整流する整流器と、この整流器と並列に接続されるニッケル水素電池と、前記ニッケル水素電池がDC/DCコンバータを介して前記電気車両に電流を供給するための電流供給部とを有し、前記電気車両は、前記電流供給部と電気的な接続及び切り離しが可能な電流入力部と、この電流入力部に接続された前記蓄電装置と、回生機能を有する電力変換器と、前記蓄電装置を電源として前記電力変換器を介して電力が供給される車両走行用電動機とを有するように構成されている。
【0010】
この構成によれば、電力供給装置にニッケル水素電池を用いている。ニッケル水素電池は、体積エネルギー密度が高く、SOCの変動による電圧変動が小さく電池容量を有効利用できるため、他の二次電池や電気二重層キャパシタに比べて小容量で小型のものを用いることができ、広大な設置面積を必要とせず、電力供給装置のさらなる小型化が図れ、設備費が安価になる。
【0011】
また、前記電力供給装置は、前記ニッケル水素電池と前記電流供給部との間に直流遮断器が設けられていてもよい。この直流遮断器は、前記電気車両に搭載の蓄電装置の充電開始時に作動させるものであってもよい。更には、事故電流が流れたときに、これを検出し、開路する負荷遮断器であってもよい。
【0012】
また、前記電力供給装置の前記電流供給部は、前記直流遮断器の反ニッケル水素電池側の一端に接続された導体からなり、前記電気車両の前記電流入力部は、前記電気車両に配設された集電体からなるように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記集電体は、パンタグラフ又は第3軌条方式の集電靴であってもよい。
【0014】
また、前記電気車両の前記蓄電装置はニッケル水素電池からなるものでもよい。
【0015】
ニッケル水素電池は、キャパシタや他の二次電池と比較して、SOCの広い範囲において車両走行用の電力変換器の可動電圧範囲(例えば設定電圧の上下20%以内の範囲)内の電圧とすることができるため、電気車両の蓄電装置をニッケル水素電池によって構成することにより、電気車両にチョッパのような充放電制御装置を搭載する必要がなく、電気車両に搭載する蓄電装置の小型化が可能になり、車両での搭載スペース縮小や車両重量の軽減が図れる。
【0016】
また、前記電力供給装置もしくは前記電気車両の前記ニッケル水素電池は、1つ以上の電池モジュールによって構成され、前記電池モジュールは、それぞれ、対向して設けられた板状の正極集電体と負極集電体と、前記正極集電体と前記負極集電体の間に配したセパレータと、前記正極集電体に接する正極セルと前記負極集電体に接する負極セルとを有する複数の単位電池が、互いに隣り合う一方の前記単位電池の正極集電体と他方の前記単位電池の負極集電体とが対向するように積層されてなり、かつ、互いに隣り合う前記単位電池の間に気体または液体からなる伝熱媒体の流通経路が設けられてあってもよい。
【0017】
この構成によれば、ニッケル水素電池の発熱を効果的に抑えることができ、電池の劣化を抑制し、電池の長寿命化を図ることができる。また、電池モジュールを上記のように単位電池が積層された構成とすることにより電池モジュールの等価的な内部抵抗をより小さく抑えることができる。上記のように単位電池が積層された電池モジュールを用いてニッケル水素電池を構成することにより、より小型化を図り、設置面積を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上に説明した構成を有し、き電線がない非電化区間を走行する電気車両に電源として搭載された蓄電装置を充電するための電力供給装置のさらなる小型化を図ることができる蓄電池駆動電車の給電システムを提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態の蓄電池駆動電車の給電システムの概略構成図である。
【0021】
電気車両1は、パンタグラフ(電流入力部)14と電気的に接続された蓄電装置11と、回生機能を有する電力変換器12と、蓄電装置11から電力変換器12を介して電力が供給される車両走行用の電動機13とを搭載し、電動機13によって車輪15が駆動され、き電線が無い非電化区間のレール22上を走行することが可能に構成されている。蓄電装置11としては、後述するようにニッケル水素電池を用いることが好ましいが、他の二次電池や電気二重層キャパシタを用いた構成も可能である。
【0022】
図1には車両基地又は充電設備のある駅に設備された充電ステーションが示されている。これらの充電ステーションには、電気車両1の蓄電装置11を充電するための充電設備として電力供給装置16が設置されている。電力供給装置16は、電力会社等の商用電源に接続された電力回線Pwから交流遮断器2を介して受電する変圧器3と、変圧器3に接続された整流器4と、整流器4と並列に接続されたニッケル水素電池5とを備えている。さらに、ニッケル水素電池5の直流電力を入力とするDC/DCコンバータ6がニッケル水素電池5に接続されている。ニッケル水素電池5の正極側外部端子は、整流器4の正側端子とDC/DCコンバータ6の正側入力端子との夫々に接続され、ニッケル水素電池5の負極側外部端子は、整流器4の負側端子とDC/DCコンバータ6の負側入力端子との夫々に接続されている。そして、DC/DCコンバータ6の正側出力端子は直流遮断器20を介して電流供給部をなす充電ポスト21に電気的に接続され、DC/DCコンバータ6の負側出力端子はレール22に電気的に接続されている。
【0023】
電気車両1は、充電ステーション以外の場所では、パンタグラフ14を降ろして走行し、充電ステーションにて、パンタグラフ14を上昇させて充電ポスト21に接触させ、電気車両1に搭載された蓄電装置11の充電が行われる。電気車両1が走行中において、特にその加速時には、蓄電装置11からの直流電力が電力変換器12によって交流に変換され、車両走行用の電動機13に供給される。また、減速時には、電動機13において発生する回生電力が電力変換器12によって直流に変換されて蓄電装置11へ供給され、蓄電装置11が充電される。なお、この例では、パンタグラフ14を昇降するように構成されているが、パンタグラフ14が充電ポスト21に対し弾性付勢される突放方式等、他の方式の構成であってもよい。
【0024】
例えば図1右側に示す充電設備のある駅のように、充電ステーションに電気車両1が停車していないとき、交流遮断器2が投入され、交流電力回線Pwからの交流は変圧器3を介して整流器4に入力され、整流器4によって直流に変換された後、ニッケル水素電池5へ流入し、ニッケル水素電池5が充電される。これにより、ニッケル水素電池5は、電気車両1に対して充分電力供給が可能となる充電状態を維持しながら待機している。電気車両1への充電は、電気車両が停車中に行なう必要がある都合上、短時間で行なわなければならないが、本願の構成をとることにより、ニッケル水素電池5への充電はこのような時間的制約はなく、ゆっくりと行なうことができるので、大電流による充電を必要としないため、変圧器3と整流器4の容量を小さくできる。
【0025】
なお、充電設備のある車両基地や駅に電気車両1が停車していない場合は、直流遮断器20は遮断状態としてもよい。
【0026】
なお、整流器4とニッケル水素電池5との間に図示しない直流遮断器を設けてもよい。この直流遮断器は、例えばニッケル水素電池5の充電が不要なときや保守点検を行なうときに開路させるものである。
【0027】
また、図1に示す充電設備のある車両基地のように、充電ステーションに電気車両1が進入して停車すると、電気車両1の蓄電装置11は充電ポスト21と電気的に接続された状態になる。その後、直流遮断器20を投入して導通状態とし、ニッケル水素電池5を、DC/DCコンバータ6、直流遮断器20、充電ポスト21及びパンタグラフ14を介して電気車両1の蓄電装置11へ急速放電させる。その結果、短時間で蓄電装置11は次の充電ステーションまで十分に走行可能な状態に充電される。
【0028】
この場合、ニッケル水素電池5から電気車両上の蓄電装置11にDC/DCコンバータ6を介して直接充電することになるので、エネルギーのロスが小さくなるという特徴を有する。すなわち、変圧器や整流器等からなる変電設備の内部抵抗は、ニッケル水素電池に比べて大きく、例えば10倍というデータもあるが、このためジュール損が大きくなるからである。特に電気車両が停車中の短時間に充電する場合、充電電流は大電流となるが、ジュール損が電流の2乗に比例することを考えれば、本願発明は大きな省エネ効果があるといえる。更に、内部抵抗に起因する電圧降下を考えれば、内部抵抗が小さなニッケル水素電池に比べて内部抵抗の大きな変電設備は、その分電圧降下が大きいので充電に要する時間は長くなる。
【0029】
また、電気車両1は、駅構内進入に当たってはブレーキがかけられて減速し、その際、車両走行用の電動機13には回生電力が発生する。この回生電力は、電力変換器12を介して蓄電装置11に供給され、蓄電装置11を充電する。このように、電動機13が回生状態となる度に蓄電装置11は充電されるので、充電ステーションに到着時には相当量のエネルギーが蓄積され、停車中における電力供給装置16からの充電は次の充電ステーションまでの走行に要する電力不足分のみでよい。このため、ニッケル水素電池5から電気車両1への電力供給量は少なくてすみ、より一層の短時間による電力供給が可能になる。そして、整流器4からニッケル水素電池5に充電する時間を長くとることが可能になるとともに、少ない電力充電ですむので、整流器4の容量を小さくできて低圧受電が可能となり、変圧器3も低圧設備とすることができ、設備の小型化及び設備費の削減に寄与する。
【0030】
図2は、本実施の形態における電気車両1の一例を示す概略構成図である。
【0031】
この電気車両1は、蓄電装置11としてニッケル水素電池11aを、電力変換器12として可変電圧可変周波数制御インバータ12a(以下、「インバータ12a」と略記する)を、車両走行用電動機13として誘導電動機13aをそれぞれ搭載している。
【0032】
ニッケル水素電池11aの正極側外部端子には、高速度遮断器7と電磁接触器8とフィルタリアクトル9とを介して可変電圧可変周波数制御インバータ12a(以下、「インバータ12a」と略記する)の正側入力端子が接続され、インバータ12aの負側入力端子にはニッケル水素電池11aの負極側外部端子が接続されている。また、フィルタリアクトル9とともにローパスフィルタを構成するフィルタコンデンサ10が、インバータ12aと並列に接続されている。インバータ12aの出力端子には、車輪15を駆動するための車両走行用の誘導電動機13aが接続されている。
【0033】
さらに、ニッケル水素電池11aの正極側外部端子には、高速度遮断器7aと電磁接触器8aとフィルタリアクトル9aとを介して定電圧定周波数制御インバータ18(以下、「インバータ18」と略記する)の正側入力端子が接続され、インバータ18の負側入力端子にはニッケル水素電池11aの負極側外部端子が接続されている。また、フィルタリアクトル9aとともにローパスフィルタを構成するフィルタコンデンサ10aが、インバータ18と並列に接続されている。インバータ18の出力端子には、負荷19が接続されている。この負荷19は、空調装置、車内照明装置、ブレーキ用コンプレッサ等の補機である。
【0034】
制御装置17は、運転手の運転操作による運転指令台からの指令信号や、誘導電動機13aに取り付けられている速度センサからの回転速度等に応じて、インバータ12a、18、高速度遮断器7,7a及び電磁接触器8,11を制御する。電磁接触器8,11は、運転指令台の電源スイッチのオン、オフに応じて、オン、オフする。高速度遮断器7,7aは過電流を遮断するための保護回路である。
【0035】
また、ニッケル水素電池11aの正極側外部端子はパンタグラフ14に接続され、負極側外部端子は車輪15に接続されており、充電ステーションにて、充電ポスト21からパンタグラフ14を介して直流電力が供給されることにより、ニッケル水素電池11aの充電が行われる。
【0036】
電気車両1の走行中において、その加速時には、ニッケル水素電池11aからの直流電力はインバータ12aに供給され、インバータ12aは、供給された直流電力を運転指令台からの指令速度に応じた周波数、電圧の3相交流電力に変換し、誘導電動機13aへ出力する。誘導電動機13aは、インバータ12aから供給された三相交流電力により駆動される。さらにニッケル水素電池11aからの直流電力はインバータ18に供給され、インバータ18は、供給された直流電力を定電圧、定周波数の3相交流電力に変換し、負荷19へ出力する。
【0037】
また、電気車両1の減速時には、誘導電動機13aが発電機として作動し、インバータ12aはコンバータ運転されて誘導電動機13aからの3相交流電力を直流電力に変換してニッケル水素電池11aへ出力する。このときニッケル水素電池11aが充電される。
【0038】
ニッケル水素電池11aは、インバータ12a,18の許容入力電圧範囲内の電圧に相当する電池電圧を有するように構成され、放電を行うとともに、回生ブレーキ時にインバータ12aからの回生電力で充電を行う。
【0039】
充電ステーションにて、ニッケル水素電池5からDC/DCコンバータ6に入力される直流電力は所定電圧の直流電力に変換されて出力され、電気車両1のニッケル水素電池11aが充電される。例えば、充電初期においては定電流で充電を行うことにより、急速な充電を可能とし、充電末期においては定電圧で充電を行うことにより、電池の寿命を短くすることがなく、安全にかつ効率よく充電する。かかる制御機能はDC/DCコンバータ6に兼ね備えさせてもよいし、DC/DCコンバータ6とは別に制御装置(図示せず)を設けてもよい。また、図2のように、蓄電装置11として、SOCの変動に対して電池電圧の変動が小さいニッケル水素電池11aを搭載することにより、DC/DCコンバータを電気車両1に搭載する必要がなく、装置を小型化でき、コスト的にも有利である。
【0040】
図3は、図2の電気車両1を用いた場合の充電設備の設置場所の一例を示す概略図である。図3において、電力供給装置本体16aと充電ポスト21とを備えた電力供給装置16は、図1と同様のものであり、電力供給装置本体16aが図1の交流遮断器2と変圧器3と整流器4とニッケル水素電池5とDC/DCコンバータ6と直流遮断器20とによって構成されている。
【0041】
この場合、電気車両1には、図2のように蓄電装置11としてニッケル水素電池11aが搭載されている。充電ステーションは、充電設備がある車両基地A及び駅B1、B2であり、駅C1,C2,C3は、充電設備がなく、充電ステーションではない。電気車両1に蓄電装置11としてニッケル水素電池11aを用いることにより、小型で高容量のニッケル水素電池11aを搭載して走行距離を長くすることができ、全ての駅に充電設備を設けなくてもよい。
【0042】
なお、充電ポスト21とパンタグラフ14に代えて、第三軌条方式による第三軌条と集電靴とを用いてもよい。この場合、充電ステーションには、充電ポスト21に代えて第三軌条が設けられ、電気車両1には、パンタグラフ14に代えて、第三軌条と接触する集電靴が設けられる。要するに、充電ステーションにおいて、DC/DCコンバータ6の正側出力端子と負側出力端子との間に車上の蓄電装置11が電気的に接続されればよい。
【0043】
また、整流器4は、全波整流器または半波整流器であってもよい。好ましくは、IGBT等の制御素子を用いて構成される電力変換器いわゆるAC/DCコンバータであってもよい。また、交流電力回線Pwは、商用電力系統であることが多いが、これに限定されるものではなく、自家発電等の電力系統であってもよい。
【0044】
また、電気車両1として、鉄道車両を例示しているが、路面電車、LRV(超低床路面電車)、トロリーバス、その他人を運ぶ手段であればよく、好ましくは鉄道車両であるが、これに限定されない。
【0045】
充電ステーションのニッケル水素電池5及び車上のニッケル水素電池11aは、複数の単位電池が直列接続されてなる電池モジュールによって構成されており、単数の電池モジュールで構成されていてもよいし、複数の電池モジュールが直列接続された直列電池モジュールで構成されていてもよい。あるいは、上記単数の電池モジュールまたは上記直列電池モジュールが並列接続されて構成されていてもよい。並列接続すれば電池容量が大きくなるとともに、等価的な内部抵抗は低下する。
【0046】
図4は、各種電池等のSOC(state of charge)に対する電圧変化を示すSOC特性図である。曲線aはニッケル水素電池の電圧変化、曲線bは鉛蓄電池の電圧変化、曲線cはリチウムイオン電池の電圧変化、曲線dは電気二重層キャパシタの電圧変化を示す。
【0047】
SOCの変動に対する電圧変化(ΔV/ΔSOC)は、ニッケル水素電池で約0.1、鉛蓄電池で約1.5、リチウムイオン電池で約2、電気二重層キャパシタで約3になっている。つまり、同じ電圧変化とすれば、ニッケル水素電池は、鉛蓄電池の1/15に、リチウムイオン電池の1/20に、電気二重層キャパシタの1/30に小さくできる。
【0048】
図4に示すように、曲線aで示されるニッケル水素電池は、他の電池等に比較してSOCの広い範囲Sで安定した電圧特性を有する。すなわち、ニッケル水素電池は、SOCの変動に対して電池電圧の変動が小さい。これに比べて、曲線b、c、dで示される他の電池等では、SOCの変動に対して電圧の変動が大きい。例えば、SOCの中央値でみれば、ニッケル水素電池では、中央値の電圧をV1とし電圧変動が範囲dV1内におさまるように使用する場合、SOCのほぼ全ての範囲において使用することができ、電池容量を有効に利用することができる。これに対し、鉛蓄電池を中央値の電圧をV2とし電圧変動が範囲dV2内におさまるように使用する場合には、SOCが狭い範囲でしか使用することができず、電池容量を有効に利用できない。同様に、リチウムイオン電池を中央値の電圧をV3とし電圧変動が範囲dV3内におさまるように使用する場合には、SOCが狭い範囲でしか使用することができず、電池容量を有効に利用できない。同様に、電気二重層キャパシタを中央値の電圧をV4とし電圧変動が範囲dV4内におさまるように使用する場合には、SOCが狭い範囲でしか使用することができず、容量を有効に利用できない。ここで、電圧変動範囲の大きさは、dV1/V1=dV2/V2=dV3/V3=dV4/V4とする。
【0049】
したがって、SOCが範囲Sの中ほど、例えばSOCが40〜60パーセントのときの電池電圧が整流器4の出力電圧と等しいか略等しいニッケル水素電池5を用いれば、ニッケル水素電池5の充放電が繰り返されることによりその充電状態が変動しても、DC/DCコンバータによる電圧調整機能を用いることなく、電池電圧の変動を非常に小さく抑えながら充電することができ、電池容量を有効に利用することができる。
【0050】
ニッケル水素電池は、図4の曲線aの特性により示されるように、SOCのほぼ全ての範囲で電池電圧の変動範囲をSOCの中央値の電圧V1の±20%以下の範囲内に収めることができる。
【0051】
一般的な鉄道車両及び鉄道のき電線の許容電圧範囲は、定格電圧(例えば600V,750Vまたは1500V)の±20%程度であるため、既存の変電所などの既存設備を利用して電力供給装置16を構成しても、電池の容量を有効に利用することが可能である。
【0052】
一方、ニッケル水素電池と比較して他の種類の二次電池や電気二重層キャパシタでは、SOCに対する電圧変化の傾斜が大きいので、SOCの中央値の電圧の±20%程度の範囲では、有効な容量は比較的少なくなる。即ち、ニッケル水素電池以外の鉛蓄電池やリチウムイオン電池等の二次電池を使用すれば、ニッケル水素電池と比較して結果的に多数の電池が必要になり、広大な設置面積が必要となり、更に設備費が高価となる。また、電気二重層キャパシタを使用しても、非常に大きな電気二重層キャパシタが必要になり、広大な設置面積が必要となり、更に設備費が高価となる。
【0053】
以上、述べたように、ニッケル水素電池はSOCの変動による電圧変動が小さく、また、一般的に体積エネルギー密度が高いため、多数の単位電池を用いた高容量のニッケル水素電池であっても、小型化を図ることができ、広大な設置面積を必要としない。したがって、電力供給装置16にニッケル水素電池5を用いることにより、他の二次電池や電気二重層キャパシタを用いた場合に比べて、電力供給装置16のさらなる小型化が図れ、広大な設置面積を必要とせず、設備費が安価になる。
【0054】
また、ニッケル水素電池は、図4の曲線aの特性で示されるように、SOCの広い範囲において略一定電圧であるため、整流器4の出力電圧と、ニッケル水素電池5のSOCの例えば中央付近の電圧が等しいか略等しい場合は、ニッケル水素電池5の充電のための充電制御用のDC/DCコンバータは不要である。キャパシタや他の二次電池の場合には、充電制御用のDC/DCコンバータが必要であることと比較すると、構成がシンプルであり、コスト的にも有利である。
【0055】
また、ニッケル水素電池5から電気車両1の蓄電装置11へ急速放電を行う場合においても、ニッケル水素電池5は、図4の曲線aの特性で示されるように、SOCの広い範囲において略一定電圧であるため、DC/DCコンバータ6により電流値と電圧を制御する範囲は狭く、DC/DCコンバータ6の役割が小さくて済むため、DC/DCコンバータ6を小型化でき、コスト的にも有利である。この場合、電気車両1の蓄電装置11は急速充電され、その充電初期においては定電流で充電を行い、充電末期においては定電圧で充電を行うように制御することが一般的であるが、蓄電装置11として、SOCの広い範囲において略一定電圧であるニッケル水素電池11aを搭載することは、DC/DCコンバータを電気車両1に搭載する必要がなく、有利である。
【0056】
また、後述する構成例のように単位電池が積層された電池モジュールを用いてニッケル水素電池5を構成することにより、より小型化を図り、設置面積を小さくすることができる。
【0057】
また、ニッケル水素電池は内部抵抗が小さいため、電池内部で発生する発熱量が少なく、熱損失が少ないだけでなく、電池自体の放熱装置を少なくすることが可能になる。
【0058】
また、図2のように、車載する蓄電装置11としてニッケル水素電池11aを用いた場合、ニッケル水素電池11aの充放電が繰り返されることによりその充電状態が変動しても電池電圧の変動を非常に小さく抑えることができるので、電池容量を有効に利用することができる。
【0059】
二次電池をDC/DCコンバータのような充放電制御装置を介さずにインバータ12a,18に接続する場合は、電池全体がもっているエネルギー量の中で充放電可能である範囲は、インバータ12a,18の入力電圧の変動に対応するSOCの範囲であり、その範囲でしか電池内にある電力が有効に活用されない。ニッケル水素電池は、インバータ12a,18の許容入力電圧範囲で、SOCの範囲の大半がカバーされるため、電池内の容量が有効に利用される。
【0060】
一方、ニッケル水素電池と比較して他の種類の二次電池や電気二重層キャパシタでは、SOCに対する電圧変化の傾斜が大きいので、SOCの中央値の電圧の±20%程度の範囲では、有効な容量は比較的少なくなる。即ち、車載する蓄電装置11として、ニッケル水素電池以外の鉛蓄電池やリチウムイオン電池等の二次電池を使用すれば、ニッケル水素電池と比較して結果的に多数の電池が必要になり、大きな設置スペースが必要となり、更に設備費が高価となる。また、電気二重層キャパシタを使用しても、非常に大きな電気二重層キャパシタが必要になり、大きな設置スペースが必要となり、更に設備費が高価となる。電気車両1に蓄電装置11を搭載するスペースは限られているため、従来、他の種類の二次電池や電気二重層キャパシタを用いた場合には、充放電制御装置であるDC/DCコンバータを用いて、充放電電圧をコントロールすることによって容量の多くを使用するようにしている。しかし、DC/DCコンバータは高価であるため、やはり設備費が高価となる。
【0061】
図2のように、車載する蓄電装置11としてニッケル水素電池11aを用いることにより、小型化を図り、設置スペースを小さくすることができるとともに、設備費を安価にできる。電気車両1に蓄電装置11を搭載するスペースは限られているため、小型化できるニッケル水素電池11aを用いることはより有利である。
【0062】
この車載するニッケル水素電池11aについても、後述する構成例のように単位電池が積層された電池モジュールを用いて構成することにより、より小型化を図り、搭載スペースを小さくすることができる。
【0063】
次に、本実施の形態に用いるニッケル水素電池5、11aを構成する電池モジュールの構成例について述べる。
【0064】
〔電池モジュールの一構成例〕
図5は、図6に示す一構成例の電池モジュールにおいて、強制冷却を行うファンと風洞(空気流通空間)により冷却を行う構成を示した斜視図である。電池モジュール81は下部に空気が流通する空気流通空間82を備えており、吸気ファン83aと83bによって吸い込まれた空気は空気流通空間82から電池モジュール81内の伝熱空間を経て上部の空気流通空間84を経て外部に放出される。これにより電池モジュール81を冷却し、電池の発熱を抑えることができる。図5における矢印は空気の流れる方向を示す。
【0065】
図6は、一構成例の電池モジュールの横断面図である。図7は、図6の電池モジュールに用いられている伝熱板の斜視図である。
【0066】
この電池モジュール81は、複数の単位電池を積層したものである。各単位電池は、対向して設けられた正極集電体99と負極集電体100の間に、アルカリ電解液中で腐食など変質せず、イオンは透過するが電子を透過させない蛇腹状のセパレータ101が交互に両集電体に近接するように配置され、蛇腹状のセパレータ101と正極集電体99とで区画される空間に電解質溶液102とともに正極活物質を含有する正極シート103を配置し、蛇腹状のセパレータ101と負極集電体100とで区画される空間に電解質溶液102とともに負極活物質を含有する負極シート104を配置し、正極シート103と負極シート104がセパレータ101を挟んで交互に組み込まれている。単位電池はセパレータ101を蛇腹状とすることにより、正極シート103、負極シート104を、多数セルとして単位電池の中に積層することができ、大容量化が容易である。また、これにより電極面積が大きくなり、隣り合うセル間を非常に小さな抵抗で繋ぐことができるためセル間を繋ぐケーブルが不要となり、電池が全体としてコンパクトになる。
【0067】
また、正極シート103は正極集電体99に接し、負極シート104は負極集電体100に接している。そして、隣り合う2個の単位電池の間には、一方の単位電池の正極集電体99ともう一方の単位電池の負極集電体100に接するように図7に示す伝熱板96が挿入されている。この伝熱板96の空気通流孔97は正極シート103と負極シート104の上下方向に一致している。各単位電池の正極集電体99と負極集電体100との間は、セパレータ101によって正極セルと負極セルとに2分割され、セパレータ101と正極集電体99とで区画され正極シート103が配置される領域が正極セルとなり、セパレータ101と負極集電体100とで区画され負極シート104が配置される領域が負極セルとなる。
【0068】
図6に示すように、単位電池の電流を通すとともに熱伝導性のよい金属で構成された正極集電体99と負極集電体100が、それぞれ正極シート103及び負極シート104と直接接触し、その上、各集電体99,100が、電気的に正極集電体99と負極集電体100をつなぐ役割を果たす伝熱板96と接触しているため、電池反応の結果発生した熱は、各正極シート103から正極集電体99の方向へ効率的に伝達され、さらに正極集電体99から伝熱板96の空気通流孔97を流通する空気に伝達されて外部に放出されるとともに、各負極シート104から負極集電体100の方向へ効率的に伝達され、さらに負極集電体100から伝熱板96の空気通流孔97を流通する空気に伝達されて外部に放出されるので、電池モジュール81の温度を電池反応をスムーズに実行することができる適正な範囲に維持することができる。
【0069】
105は統括正極集電体、106は統括負極集電体、107と108は絶縁板である。統括正極集電体105の中央部に接続用の正極端子(図示せず)が取り付けられ、統括負極集電体106の中央部に接続用の負極端子(図示せず)が取り付けられる。
【0070】
正極シート103は、例えば、正極活物質と導電性フィラーと樹脂に溶剤を加えてペースト状にしたものを基板上に塗布して板状に成形し、硬化させたものであり、負極シート104は、例えば、負極活物質と導電性フィラーと樹脂に溶剤を加えてペースト状にしたものを基板上に塗布して板状に成形し、硬化させたものである。正極活物質および負極活物質としては、すべての公知の活物質材料を用いることができる。導電性フィラーとしては、炭素繊維、炭素繊維にニッケルメッキしたもの、炭素粒子、炭素粒子にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、繊維状ニッケル、ニッケル粒子、ニッケル箔を単独または組み合わせて用いることができる。樹脂としては、軟化温度120℃までの熱可塑性樹脂、硬化温度が常温から120℃までの樹脂、蒸発温度120℃以下の溶剤に溶解する樹脂、水に可溶な溶剤に溶解する樹脂、アルコールに可溶な溶剤に溶解する樹脂などを用いることができる。基板としては、ニッケル板などの電気伝導性のある金属板を用いることができる。
【0071】
伝熱板96は、アルミニウムを素材としてニッケルメッキを施したもので、空気の流通経路として上下方向に貫通した通流孔97が多数設けられている。この伝熱板96を正極集電体99と負極集電体100の間に挿入して、吸気ファン83aと83bによって吸い込んだ空気を通流孔97を流通させることができる。伝熱板96は、正極集電体99と負極集電体100に接して正極集電体99と負極集電体100を電気的に接続するための部材であり、電気伝導性を有する。その点で、アルミニウムは電気抵抗が比較的低く、熱伝導率が比較的大きいので、伝熱板96として好ましい特性を有しているが、酸化しやすいという欠点を有している。そこで、アルミニウム板にニッケルメッキを施したものは、ニッケルメッキを施すことにより接触抵抗を低下させることができるので、伝熱板96としてさらに好ましい。
【0072】
上記の電池モジュール81では、互いに隣り合う単位電池の間に、伝熱媒体の流通経路となる通流孔97を設けた伝熱板96が設けられているため、電池モジュール81を効果的に冷却し、電池の発熱を効果的に抑えることができ、電池の劣化を抑制し、電池の長寿命化を図ることができる。また、電池モジュール81を上記のように単位電池が積層された構成とすることにより電池モジュールの等価的な内部抵抗をより小さく抑えることができる。また、単位電池を上記の構造とすることにより、正極シート103及び負極シート104が電極板となり、電極板面積の増大及び電極板間隔の狭小化を実現でき、電池のより小型化及び高容量化を図ることができるため、ニッケル水素電池をより小型化し、設置スペースを小さくすることができる。
【0073】
なお、通流孔97を設けた伝熱板96に代えて、通流孔97を設けていない多孔質の部材(例えば多孔質のアルミニウム板)からなる伝熱板(以下、「多孔質伝熱板」という)を用いてもよい。この多孔質伝熱板では、多孔質とすることで、伝熱面積を増やし、伝熱部材としての役割を果たし、電池反応により発生した熱を放散し、電池の劣化を抑えることができる。一方、この多孔質伝熱板を放熱部材として利用する以外に、蓄熱部材として利用することもできる。すなわち、電池反応により発生した熱が密閉構造の電池内にこもることは電池の劣化が促進されるので好ましいことではないが、電池反応をスムーズに実行するためには、電池構成部材は一定の温度範囲(約25℃〜50℃)にあることが好ましい。そこで、多孔質伝熱板から強制的に放熱するのではなく、場合によっては、電池構成部材を一定温度以上、例えば約25℃以上とするために、放熱を抑えるように、一部の多孔質伝熱板の外面に断熱材を貼着することもできる。同様に、多孔質伝熱板をファンで強制冷却を行う構造の場合、電池構成部材が一定温度以下の場合には、ファンを稼働させないことにより放熱を抑えるようにすることができる。
【0074】
電池が大型化すると、表面積も大きくなり、表面を冷却するだけでは電池内部の冷却が不充分なことが多い。本構成例のように、電池が複数の単位電池を積層した構造である場合、隣り合う2つの単位電池の間に挟まれ、一方の単位電池の正極集電体99と他方の単位電池の負極集電体100に挟まれた伝熱板96を冷却すると電池内部も効果的に冷却することが可能である。
【0075】
なお、積層される各単位電池の他の例としては、正極集電体である正極板と負極集電体である負極板との間に電解質溶液を装入するとともに、正極セルと負極セルの間に、アルカリ電解液中で腐食など変質せず、イオンは透過するが電子を透過させないセパレータを介在させ、正極セル内に正極活物質を装入し、負極セル内に負極活物質を装入してなる構成のものを用いてもよい。この構成の場合、セパレータは平面状のものであり、この平面状のセパレータによって正極セルと負極セルとが仕切られている。正極セルと負極セルには、共通の電解質溶液として例えばKOH水溶液が用いられ、正極セルの電解質溶液には正極の粉体活物質として水酸化ニッケル粉が混入され、負極セルの電解質溶液には負極の粉体活物質として水素吸藏合金粉が混入されている。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明に係る蓄電池駆動電車の給電システムは、電力供給装置の小型化を図り、かつ設備費を安価にできる蓄電池駆動電車の給電システム等として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態の蓄電池駆動電車の給電システムの概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における電気車両の一例を示す概略構成図である。
【図3】図2の電気車両を用いた場合の充電設備の設置場所の一例を示す概略図である。
【図4】各種電池等のSOC(state of charge)に対する電圧変化を示すSOC特性図である。
【図5】一構成例の電池モジュールにおいて、強制冷却を行うファンと風洞により冷却を行う構成を示した斜視図である。
【図6】一構成例の電池モジュールの横断面図である。
【図7】一構成例の電池モジュールに用いられる伝熱板の斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1 電気車両
2 交流遮断器
3 変圧器
4 整流器
5 ニッケル水素電池
6 DC/DCコンバータ
11 蓄電装置
11a ニッケル水素電池
12 電力変換器
12a 可変電圧可変周波数制御インバータ
13 車両走行用電動機
13a 誘導電動機
14 パンタグラフ
15 車輪
16 電力供給装置
20 直流遮断器
21 充電ポスト
22 レール
81 電池モジュール
82 空気流通空間
83a 吸気ファン
83b 吸気ファン
84 空気流通空間
96 伝熱板
97 空気通流孔
99 正極集電体
100 負極集電体
101 イオン透過性セパレータ
102 電解質溶液
103 正極シート
104 負極シート
105 統括正極集電体
106 統括負極集電体
107 絶縁板
108 絶縁板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給装置と、蓄電装置を搭載した電気車両とからなる給電システムであって、
前記電力供給装置は、
交流を直流に整流する整流器と、この整流器と並列に接続されるニッケル水素電池と、前記ニッケル水素電池がDC/DCコンバータを介して前記電気車両に電流を供給するための電流供給部とを有し、
前記電気車両は、
前記電流供給部と電気的な接続及び切り離しが可能な電流入力部と、この電流入力部に接続された前記蓄電装置と、回生機能を有する電力変換器と、前記蓄電装置を電源として前記電力変換器を介して電力が供給される車両走行用電動機とを有するように構成された、蓄電池駆動電車の給電システム。
【請求項2】
前記電力供給装置は、前記ニッケル水素電池と前記電流供給部との間に直流遮断器が設けられた、請求項1に記載の蓄電池駆動電車の給電システム。
【請求項3】
前記電力供給装置の前記電流供給部は、前記直流遮断器の反ニッケル水素電池側の一端に接続された導体からなり、前記電気車両の前記電流入力部は、前記電気車両に配設された集電体からなる、請求項2に記載の蓄電池駆動電車の給電システム。
【請求項4】
前記集電体は、パンタグラフ又は第3軌条方式の集電靴である、請求項3に記載の蓄電池駆動電車の給電システム。
【請求項5】
前記電気車両の前記蓄電装置はニッケル水素電池からなる、請求項1に記載の蓄電池駆動電車の給電システム。
【請求項6】
前記電力供給装置もしくは前記電気車両の前記ニッケル水素電池は、1つ以上の電池モジュールによって構成され、
前記電池モジュールは、
それぞれ、対向して設けられた板状の正極集電体と負極集電体と、前記正極集電体と前記負極集電体の間に配したセパレータと、前記正極集電体に接する正極セルと前記負極集電体に接する負極セルとを有する複数の単位電池が、互いに隣り合う一方の前記単位電池の正極集電体と他方の前記単位電池の負極集電体とが対向するように積層されてなり、かつ、互いに隣り合う前記単位電池の間に気体または液体からなる伝熱媒体の流通経路が設けられた、請求項5に記載の蓄電池駆動電車の給電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−23785(P2010−23785A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190630(P2008−190630)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】