説明

薄膜部材の製造装置およびその製造方法

【課題】成膜処理時の成膜状況に応じてシート状基材を温度制御して、薄膜部材の品質をより向上させた薄膜部材の製造装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】成膜ロール6の胴部60の外周表面60aにシート状基材2を密着させた状態で回転搬送させながら、シート状基材2の表面に薄膜を形成してシート状の薄膜部材を製造する薄膜部材の製造装置において、成膜ロール6は、シート状基材2の表面に成膜処理を行う成膜処理部4の対向位置に配設され、胴部60の表面内側の軸心方向に沿って、かつ胴部60の円周方向に配設された複数の媒体路64・64・・・と、成膜処理部4に対して近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで、胴部60の単位回転位相あたりの媒体路64・64・・・への温調媒体の供給量を変更して、前記胴部の外周表面の温度を所定の回転位相ごとに温調する温調機構と、を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜部材の製造装置およびその製造方法の技術に関し、より詳細には、成膜ロールの胴部表面にシート状基材を密着させた状態で回転搬送させながら、シート状基材の表面に薄膜を形成してシート状の薄膜部材を製造する薄膜部材の製造装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート状基材に対して薄膜処理を行ってシート状の薄膜部材を製造する薄膜部材の製造装置の構成は公知であり、具体的には、巻出ロールから巻き出されたシート状基材を成膜ロールの胴部表面に密着させた状態で、かかるシート状基材を回転搬送させながら、シート状基材の表面に薄膜を形成してシート状の薄膜部材を製造し、かかる薄膜部材を巻取ロールにより巻き取るようにした構成が公知となっている。
【0003】
通常、薄膜部材の製造装置では、蒸着法又はスパッタリング法などのPVD法やCVD法などの様々な成膜法により、長尺のシート状基材に対してセラミックや金属、有機化合物などの機能性薄膜が連続成膜される。特に、半導体製品や電子部品の製造には、かかる成膜法の中でもスパッタリング法が広く採用されており、近年では、リチウムイオン二次電池の電極(負極)の形成手法としてもスパッタリング法が実用化されつつある。
【0004】
例えば、リチウムイオン二次電池等の二次電池は、シート状電極が用いられ、かかるシート状の正極シート電極と負極シート電極とがセパレータを介して捲回され、電解液が充填される電池ケース内に配設されることで構成されている。薄膜部材の製造装置を用いることで、正極シート電極としては、アルミニウム箔やステンレス箔などの金属箔からなる集電体シートの表面に、リチウム−コバルト複合酸化物やリチウム−マンガン複合酸化物などを含む正極活物質が層状に成膜される。一方、負極シート電極としては、銅箔やステンレス箔などの金属箔からなる集電体シートの表面に、黒鉛やコークスなどを含む負極活物質が層状に成膜される。
【0005】
ところで、薄膜部材の製造装置を用いてシート状基材の表面に成膜処理を行う際には、成膜時のシート状基材の温度管理が、製造される薄膜部材の品質、具体的には、構造品質(配列、密着度)及び外観品質(しわ、傷、荒れ、縮み)に大きな影響を及ぼす。特に、上述したスパッタリング等の成膜法では、成膜処理を行う成膜処理部からの輻射熱や、シート状基材の表面に成膜粒子が付着したことによる凝縮潜熱などによって、シート状基材が高温になるため、成膜処理時には、膜生成のタイミングや進捗、膜種、膜構造、用途などに応じて、シート状基材が適正温度となるように制御・管理することが重要となる。
【0006】
これまでにもシート状基材の温度制御方法として多くの技術が提案されており、例えば、特許文献1には、シート状基材が成膜ロール上を走行する前に、少なくとも一つからなるシート状基材を加熱する加熱機構が設けられ、かつ、この加熱機構においてシート状基材が成膜ロールに入る際に成膜ロールの温度より高く維持・制御する制御機構を設けた構成が開示されている。
【0007】
また、上述した特許文献1に開示される加熱機構を別途設けるだけでなく、シート状基材を温度管理するために、成膜ロールの胴部の外周表面を温度制御することで間接的にシート状基材を温度管理するようにした構成も提案されている。例えば、特許文献2には、成膜ロールの内部に温媒路が設けられ、成膜処理時に温媒路に熱媒体が循環されて成膜ロールの表面温度を制御するようにした構成が開示されている。
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1又は特許文献2に開示されるように、従来の薄膜部材の製造装置の構成では、成膜処理時の成膜状況に応じてシート状基材を温度制御できないため、成膜ロールの位相ごとにシート状基材に温度ムラが生じてしまい、その結果、製造される薄膜部材の品質に劣るという課題があった。具体的には、従来の薄膜部材の製造装置の構成では、成膜ロールにてシート状基材を成膜処理する際に、以下のような課題があった。
【0009】
まず、成膜処理部に近い部分や、搬送方向の後方で長時間に渡って成膜処理が行われる部分などのように、シート状基材において温度上昇の高い部分が偏在して生じた場合であっても、従来の薄膜部材の製造装置では、成膜ロールの回転位相ごとに胴部の外周表面を必要な温度に温調することができないため、シート状基材の温度分布にばらつきが生じてしまい、製造される薄膜部材の膜厚方向の膜構造が不均一になるという課題があった。
また、シート状基材に対する成膜の付着はシート状基材の温度に影響を受け、特に、成膜し始めの部分(つまりシート状基材と成膜との境界部分)の付着力を確保するためには、成膜温度が高い方が好ましいとされているが、従来の薄膜部材の製造装置の構成では、成膜ロールにおける所定変位だけの温度を上げることができないため、製造される薄膜部材において成膜が剥離してしまう場合があった。
また、成膜ロールにシート状基材が接触し始める部分で急冷されたり、成膜処理後にシート状基材が成膜ロールに接触して急冷されたりして、上述したように薄膜部材にしわが発生してしまう場合があった。
【0010】
さらに、従来の薄膜部材の製造装置の構成では、シート状基材に複数の成膜を積層させる場合や、シート状基材の表面に下地処理や前処理(イオンボンバードなど)を要する場合などに、一つの成膜ロールでは処理できなかったため、複数の成膜ロールを配設する必要があり、装置機構が複雑になるとともに、成膜ロール間での温度管理が困難であった。
【0011】
なお、特許文献3には、一対の冷却ロール(成膜ロール)のロールギャップに溶湯を注入して鋳片を連続して鋳造する連続鋳造装置において、溶湯と接触し始める部分の冷却度合いを他の部分よりも緩和させる部分冷却手段を備えた冷却ロールの構成が開示されているが、かかる装置構成は、シート状基材の表面に成膜処理して成膜部材を製造するための構成ではなく、また、成膜部材の品質を向上させるという観点から、成膜処理時における成膜ロールと成膜処理部との配置関係や、成膜処理時の成膜状況に応じたシート状基材の温度制御などについては何ら開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−350117号公報
【特許文献2】特開2005−325399号公報
【特許文献3】特開2007−210020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明では、薄膜部材の製造装置およびその製造方法に関し、前記従来の課題を解決するもので、成膜処理時の成膜状況に応じてシート状基材を温度制御して、薄膜部材の品質をより向上させた薄膜部材の製造装置およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
すなわち、請求項1においては、成膜ロールの胴部の外周表面にシート状基材を密着させた状態で回転搬送させながら、該シート状基材の表面に薄膜を形成してシート状の薄膜部材を製造する薄膜部材の製造装置において、前記成膜ロールは、シート状基材の表面に成膜処理を行う成膜処理部の対向位置に配設され、前記胴部の表面内側の軸心方向に沿って、かつ胴部の円周方向に配設された複数の媒体路と、前記成膜処理部に対して近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで、前記胴部の単位回転位相あたりの前記媒体路への温調媒体の供給量を変更して、前記胴部の外周表面の温度を所定の回転位相ごとに温調する温調機構と、を具備してなるものである。
【0016】
請求項2においては、前記温調機構は、前記成膜処理部に対して近づく側の回転位相部分と遠ざかる側の回転位相部分とで、前記媒体路への温調媒体の供給量を変更するものである。
【0017】
請求項3においては、前記温調機構は、前記媒体路に温調媒体を給排する給排給路と、前記給排給路と前記媒体路とを所定の回転位相間で連通させ、連通された媒体路にのみ前記給排給路の温調媒体を給排する切換部材とを具備してなるものである。
【0018】
請求項4においては、前記切換部材は、切欠量が異なる複数の部位を有する連通部が形成されるものである。
【0019】
請求項5においては、成膜ロールの胴部の外周表面にシート状基材を密着させた状態で回転搬送させながら、該シート状基材の表面に薄膜を形成してシート状の薄膜部材を製造する薄膜部材の製造方法において、前記成膜ロールを、シート状基材の表面に成膜処理を行う成膜処理部の対向位置に配設し、前記成膜ロールに、前記胴部の表面内側の軸心方向に沿って、かつ胴部の円周方向に配設された複数の媒体路を設けて、前記成膜処理部に対して近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで、前記胴部の単位回転位相あたりの前記媒体路への温調媒体の供給量を変更して、前記胴部の外周表面の温度を所定の回転位相ごとに温調するものである。
【0020】
請求項6においては、前記成膜処理部に対して近づく側の回転位相部分と遠ざかる側の回転位相部分とで、前記媒体路への温調媒体の供給量を変更するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、成膜処理時の成膜状況に応じてシート状基材を温度制御して、薄膜部材の品質をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例に係る薄膜部材の製造装置の全体的な構成を示した図。
【図2】成膜ロールの平面断面図。
【図3】切換部材の平面図。
【図4】成膜ロールの軸方向断面図。
【図5】温調機構における温調媒体の供給量の変化を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、本実施例の薄膜部材の製造装置1の全体構成について、以下に概説する。
図1に示すように、本実施例の薄膜部材の製造装置1は、セラミックや金属、有機化合物などからなる機能性薄膜を、蒸着法や、スパッタリング法や、CVD法などの既存の成膜法によって真空環境下でシート状基材2の表面に対して成膜処理を行う装置であって、具体的には、真空炉3と、成膜処理部4と、シート状基材2を搬送する搬送部5と、搬送部5に設けられた成膜ロール6等とで構成されている。
【0024】
本実施例の薄膜部材の製造装置1を用いて製造される薄膜部材としては、例えば、リチウムイオン二次電池の電極体などが挙げられる。通常、リチウムイオン二次電池の電極体(シート状電極)は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極(負極シート電極)及び正極(正極シート電極)と、その他の電解質やセパレータなどにより形成され、具体的には、単一又は複数の正極集電体と、各々の正極集電体の両面に形成される正極活物質層と、単一又は複数の負極集電体と、各々の負極集電体の両面に形成される負極活物質層とを有している。なお、電解質として固体電解質を用いる場合には、セパレータを用いることなく、正極活物質層及び負極活物資層との間に無機固体電解質層が直接に積層されるのが一般的である。
【0025】
シート状基材2は、長尺状の部材であって、薄膜部材の製造装置1を用いてリチウムイオン二次電池の電極体を製造する場合には、正極シート電極では、シート状基材2としてアルミニウム箔やステンレス箔などの金属箔からなる集電体シートが用いられ、負極シート電極では、シート状基材2として銅箔やステンレス箔などの金属箔からなる集電体シートが用いられる。また、正極活物質層は、例えば、リチウム−コバルト複合酸化物やリチウム−マンガン複合酸化物などから形成され、負極活物質層は、例えば、黒鉛やコークスなどから形成され、それぞれ集電体シートの表面に層状に成膜される。また、無機固体電解質は、正極材料や負極材料などを考慮して、その材料が適宜選択され、例えば、硫化物系の無機固体電解質や酸化物系の無機固体電解質などが挙げられる。
【0026】
本実施例の薄膜部材の製造装置1では、所定のシート状基材2の表面に所定の成膜処理を行うことで、上述した正極活物質層、負極活物質層、及び無機固体電解質がそれぞれ層状に成膜される。
【0027】
真空炉3は、後述する成膜処理部4・搬送部5・成膜ロール6等が収容され、図示せぬ真空排気装置によって所定の真空度に維持可能に構成されている。また、真空炉3には所定ガス(作用ガス(アルゴンガスなど)や反応ガス(酸素ガスなど))を導入する図示せぬガス導入装置が接続されており、成膜処理を行う際には、かかるガス導入装置より真空炉3内に所定ガスが導入され、所定ガス雰囲気が形成される。なお、この真空炉3における真空度やガス流量等は、所定の成膜条件に応じて適宜決定される。
【0028】
成膜処理部4は、真空蒸着(抵抗加熱、高周波誘電加熱、電子ビーム加熱など加熱方法は問わない)、スパッタリング(マグネトロンスパッタリング(DCスパッタ、高周波スパッタなど))、CVD(プラズマCVD、熱CVD、光CVDなど)、イオンブレーディング、プラズマ放電、グロー放電、電子線照射、紫外線照射、材料噴霧など、シート状基材2の表面に公知の方法で成膜を行う機能を持った装置である。
【0029】
なお、ここでは成膜処理部4の構成の詳細な説明は省略するが、例えば、本実施例の薄膜部材の製造装置1にてスパッタリング法により成膜処理を行う場合には、成膜処理部4としては、通常、所定のターゲットを備えたカソードが構成される。スパッタリング法は、アルゴンなどの不活性ガスが存在する真空中で、グロー放電などにより加速されたアルゴンイオンなどの陽イオンをターゲット(蒸着物質)に衝突させて蒸着物質をスパッタ蒸発させ、シート状基材2の表面に薄膜層を形成させる方法であり、成膜処理部4として設けられるカソードにおいて、ターゲットがスパッタリングされることで、カソードの対向位置に配設されるシート状基材2の表面に薄膜が形成される。
【0030】
搬送部5は、搬送装置として機能する種々の部材より構成されており、シート状基材2をロール状に巻装して保持する巻出ロール50と、後述する成膜ロール6にて所定の成膜処理されたシート状基材2をロール状に巻き取って回収する巻取ロール51等とで構成されている。搬送部5において、巻出ロール50より巻き出されたシート状基材2は、後述する成膜ロール6の胴部60の外周表面60aに密着された状態で回転搬送されながら成膜処理部4にてシート状基材2の表面に薄膜が形成され、その後巻取ロール51にて巻き取られる。
【0031】
図2に示すように、成膜ロール6は、シート状基材2の表面に成膜処理を行う成膜処理部4の対向位置に配設されたドラム状の部材であって、成膜処理時に外周表面60aにシート状基材2が密着される胴部60と、胴部60の軸心方向に沿って設けられた軸部66・67とで構成されており、軸部66・67が装置本体側の支持フレーム10・11に回転自在に軸支されることで、搬送部5により搬送されるシート状基材2が胴部60の外周表面60aに密着された状態で回転搬送される。
【0032】
具体的には、成膜ロール6は、胴部60の外周表面60aが形成される略円柱形状の外ロール部62と、外ロール部62の内部空間に挿嵌され、外ロール部62の内周面と外周面とが密着した状態で固定される内ロール部63と、胴部60の外周表面60aを温調する温調媒体が給排される媒体路64への温調媒体の供給量を変更して胴部60の外周表面60aの温度を所定の回転位相ごとに温調する温調機構等とで構成されている。
【0033】
外ロール部62は、薄肉のロールスリーブとして構成され、成膜方法や成膜プロセスに応じてその壁厚や材質などが適宜設定される。内ロール部63は、外周面が外ロール部62の内周面に密着されるようにして外ロール部62に挿嵌され、外ロール部62と一体的に回転される。この内ロール部63の側壁には、一方の端面から外周面を経て他方の端面へと連続される媒体路64が穿設されるとともに、中心部には温調媒体排出用の挿通孔63aが軸心方向に沿って穿設されている。
【0034】
媒体路64は、胴部60の表面内側の軸心方向に沿って、かつ胴部60の円周方向に対して等間隔となるように、内ロール部63の外周面に溝状に穿設された複数の媒体路64a・64a・・・と、挿通孔63aと媒体路64aの両端部とを接続するように胴部60の軸中心から略放射状に延出される内ロール部63の両端面に穿設された媒体路64aに対応する複数の媒体路64b・64b・・・及び媒体路64c・64c・・・等とで構成されている。
【0035】
媒体路64aは、内ロール部63が外ロール部62に挿嵌された状態で、胴部60の外周表面60a内側の軸心方向に沿って、すなわち外ロール部62のロール表面の内周側に沿って穿設されている。また、媒体路64bは、内ロール部63において軸部66が取り付けられる端面に穿設され、媒体路64cは、軸部67が取り付けられる端面に穿設されている。この媒体路64b及び媒体路64cは、軸部66・67が成膜ロール6の支持フレーム10・11に取り付けられた状態で媒体路64a及び挿通孔63aと連結されることで、後述する温調媒体の給排経路(媒体路64)を構成している。
【0036】
軸部66は、成膜ロール6の一方の端面に取り付けられ、支持フレーム10に回転自在に支持されている。軸部66は、軸中心部に給排孔66aが貫設され、この給排孔66aに内部中空状の中空管68が挿通されている。
【0037】
中空管68は、両端部が開口されて、一端に温調媒体排出用の排出口68aが形成されるとともに、給排孔66aの内径よりもその外径が小さくなるように形成されている。そのため、中空管68が軸部66の給排孔66aに挿入され、給排孔66aの軸中心部に位置固定された状態で、中空管68の外周面と給排孔66aの内周面との間に空間Sが形成される。また、中空管68の排出口68aが設けられる側の一端部は、給排孔66aより装置外側に突出される。
【0038】
軸部66の端部には、この空間Sと外部空間とを連結する供給口69aが設けられた供給部69が取り付けられており、この排出口68a及び供給口69aが図示せぬパイプ等を介して温調媒体の給排装置と連結されている。
【0039】
中空管68の他方の端部は、軸部66に挿通された状態で内ロール部63の端面にまで到達され、内ロール部63の挿通孔63aに向けて開口されている。この中空管68の他方の端部と挿通孔63aとの連結部分には、ストッパ部材68bが設けられており、このストッパ部材68bによって、挿通孔63aと中空管68との内径差によって温調媒体が漏出するのを防止して、挿通孔63a内の温調媒体が全て中空管68に送られ、また空間S内の温調媒体が全て媒体路64bに送られるようにしている。
【0040】
軸部67は、成膜ロール6の他方の端面に取り付けられ、他方の支持フレーム11に回転自在に支持される。なお、軸部67は、成膜ロール6内を循環する温調媒体が胴部60との接合部などにおいて装置外に漏出しないように取り付けられる。
【0041】
胴部60は、軸部66・67と一体的に回転されるが、上述した中空管68及び供給部69は、支持フレーム10・11に対して相対位置変動不能に固定されている。換言すると、軸部66・67が回転されても中空管68及び供給部69は、これに連動して回転することなく、支持フレーム10・11に対して相対位置が固定されている。
【0042】
また、本実施例の薄膜部材の製造装置1は、上述した構成部品の他に、成膜ロール6に送られるシート状基材2を予備加熱するための加熱装置7が設けられている。加熱装置7は、シート状基材2の搬送方向(図1における矢印方向)に対して巻出ロール50の下流側であって成膜処理部4の上流側に配設される。この加熱装置7によって、成膜ロール6に送られるシート状基材2が所定温度となるように加熱される。
【0043】
次に、温調機構について、以下に詳述する。
図2及び図3に示すように、本実施例の薄膜部材の製造装置1は、成膜ロール6において複数の媒体路64(媒体路64a・64c・64c)に温調媒体が給排されることで、成膜ロール6の胴部60の外周表面60aを温調する温調機構が設けられており、成膜処理時の成膜状況に応じてシート状基材2を温度制御できるように構成されている。なお、本実施例では温調媒体として、水や油等の液状媒体が用いられる。
【0044】
具体的には、媒体路64に温調媒体を給排する給排給路と、かかる給排給路と媒体路64とを所定の回転位相間で連通させ、連通された媒体路64にのみ給排給路の温調媒体を給排する切換部材70等とで構成されており、この温調機構により、成膜処理部4に対して近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで、胴部60の単位回転位相あたりの媒体路64への温調媒体の供給量が変更され、胴部60の外周表面60aの温度を所定の回転位相ごとに温調される。
【0045】
給排経路は、図示せぬ温調媒体の給排装置の温調媒体を媒体路64に給排するための経路であって、具体的には、上述した軸部66、中空管68、及び供給部69等とで形成される。温調媒体は、軸部66に設けられた供給部69の供給口69aより図示せぬ給排装置より給排経路に供給され、軸部66内部の空間Sを通って複数の媒体路64・64・・・に供給される。媒体路64においては、空間Sから供給された温調媒体がまず媒体路64bに到達され、次いで媒体路64b→媒体路64a→媒体路64cへと送られる。媒体路64に供給される温調媒体の流量は、各媒体路64a等においてそれぞれ同じであり、温調媒体が媒体路64aを通過する際に胴部60の外周表面60aが温調される。そして、媒体路64(媒体路64c)に送られた温調媒体は、給排経路としての内ロール部63の挿通孔63aを介して中空管68の排出口68aより装置外に排出される。
【0046】
切換部材70は、略円筒形状に形成され、軸中心部に中空管68が挿通される孔70aが貫設され、一部が平面視扇型に切り欠きされて連通部71が形成されている。切換部材70は、中空管68が孔70aに挿通された状態で、中空管68の外周面に密着して固定され、さらに中空管68が軸部66の給排孔66aに挿入された状態で、内ロール部63の端面に形成された媒体路64bと略同一平面上に位置されるようにして成膜ロール6に取り付けられる。
【0047】
切換部材70は、成膜ロール6に取り付けられた状態で、連通部71が所定の媒体路64bと対向するように配設されて、連通部71と対向する所定の媒体路64bが空間Sと連通されるとともに、一方で連通部71と対向しない所定の媒体路64bが空間Sと遮断される。換言すると、切換部材70によって、連通部71が形成された部位では媒体路64bと空間Sとが連通され、媒体路64への温調媒体の給排が可能とされるとともに、連通部71以外の部位では、媒体路64bと空間Sとが遮断されて、媒体路64への温調媒体の供給が不可とされる。
【0048】
切換部材70は、中空管68に取り付けられることで、成膜ロール6が回転されても胴部60(外ロール部62及び内ロール部63)に対して相対位置が変動することなく固定されている。つまり、切換部材70は、胴部60の所定の回転位相に対して連通部71が形成された部位が固定されている。そのため、胴部60が回転されることによっても、切換部材70の連通部71によって空間Sと連通される所定の回転位相部分の媒体路64(媒体路64b)が変更されることなく、胴部60の所定の回転位相間において温調媒体を供給可能な媒体路64(媒体路64b)と供給不可の媒体路64(媒体路64b)とを制限することができる。
【0049】
また、本実施例の切換部材70は、胴部60の所定の回転位相間において温調媒体を供給可能な媒体路64(媒体路64b)と供給不可の媒体路64(媒体路64b)とを制限するだけでなく、温調媒体を供給可能な媒体路64への温調媒体の供給量(媒体流量)をも制限するように形成されている。具体的には、連通部71は、切換部材70の一部が平面視扇型に切り欠きされることで形成され、この連通部71の切欠量が所定の部位に応じて変更されている。このように連通部71の切欠量を変更することで、連通部71の切欠量が少ない部位においては媒体路64に供給される温調媒体の供給量を少なくし、一方で切欠量が多い部位においては媒体路64に供給される温調媒体の供給量を多くすることができる。
【0050】
図3に示したように、本実施例の連通部71には、切欠量の異なる3つの部位が形成されており、切換部材70の端面から円周方向に向けて徐々に切欠量が増大する第一部位71aと、第一部位71aと連続してさらに円周方向に向けて徐々に切欠量が増大する第二部位71bと、第二部位71bに連続して円周方向に向けて切換部材70の端面まで徐々に切欠量が減少する第三部位71cとが形成されている。このように、連通部71が各部位71a〜71cにおいてそれぞれ切欠量が徐々に変更されるように形成されることで、胴部60の所定の回転位相部位において、連通部71を介して媒体路64に供給される温調媒体の供給量が変更される。
【0051】
ここで、図4及び図5を参照しながら、本実施例の温調機構による胴部60(の外周表面60a)の温度制御のプロセスについて、以下に詳述する。以下、一例として所定のシート状基材2に対してスパッタリング法により成膜処理を行う場合について説明する。
【0052】
スパッタリング法により成膜処理を行う場合には、まず、真空炉3内が所定の真空度まで減圧され、かつ所定の成分ガス雰囲気にされた状態で、搬送部5にて、巻出ロール50よりシート状基材2が巻き出されて、加熱装置7にてシート状基材2が所定の温度となるように予備加熱される。予備加熱されたシート状基材2は、成膜ロール6に送られて、接触部分P1にて胴部60の外周表面60aに接触され、成膜ロール6により所定温度に温調されながら胴部60の外周表面60aに密着された状態で回転搬送される(図1参照)。
【0053】
胴部60により回転搬送されるシート状基材2は、成膜処理部4に近接する成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3に至る間に徐々に成膜処理部4にて成膜処理が行われる。そして、成膜処理終了部分P3を経過して成膜処理が行われたシート状基材2は、離脱部分P4にて胴部60の外周表面60aから離脱して、巻取ロール51にてシート状基材2がロール状に巻き取られる。
【0054】
ここで、本実施例の温調機構では、切換部材70が接触部分P1の位相から離脱部分P4の位相間に向けて連通部71が開口されるように固定されており、接触部分P1の位相から離脱部分P4の位相間に位置する媒体路64(媒体路64b)と連通部71とが連通される。つまり、接触部分P1の位相から離脱部分P4の位相間に位置する媒体路64へは温調媒体が供給され、一方、それ以外の位相間に位置する媒体路64へは温調媒体が供給されない。そして、成膜ロール6が回転されると、中空管68に固定された切換部材70に対して連通部71に対向する媒体路64が回転方向に沿って順次切り換えられて、温調媒体を供給可能な媒体路64が切り換えられる。
【0055】
なお、本実施例では、接触部分P1の位相から離脱部分P4の位相間に同時に位置される媒体路64の数は最大で14箇所であり、切換部材70を介して同時に温調媒体を供給可能な媒体路64の数が14箇所となるように構成されている。ただし、温調媒体を供給可能な媒体路の数はこれに限定されない。
【0056】
このようにして、切換部材70にて接触部分P1の位相から離脱部分P4の位相間に位置する媒体路64(媒体路64b)と連通部71とが連通された状態で、切換部材70において、連通部71の第一部位71aが接触部分P1から成膜処理開始部分P2の位相間に位置され、同様に、連通部71の第二部位71bが成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3の位相間に位置され、連通部71の第三部位71cが成膜処理終了部分P3から離脱部分P4の位相間に位置される。
【0057】
図5を参照しながら、胴部60の単位回転位相あたりの媒体路64への温調媒体の供給量(流量)を説明すると、まず、連通部71が位置されない回転位相部位においては、温調媒体が遮断されて流れない。接触部分P1から成膜処理開始部分P2の位相間においては、上述したように連通部71の第一部位71aが位置されるため、接触部分P1から成膜処理開始部分P2に向けて、第一部位71aの切欠量が増大するに従って媒体路64への温調媒体の供給量が増大していく。
【0058】
成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3の位相間においては、連通部71の第二部位71bが位置されるため、接触部分P1から成膜処理開始部分P2の位相間よりも多く、かつ、成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3に向けて第二部位71bの切欠量が増大するに従って媒体路64への温調媒体の供給量が増大していく。そして、成膜処理終了部分P3から離脱部分P4の位相間においては、連通部71の第三部位71cが位置されるため、成膜処理終了部分P3から離脱部分P4に向けて、第三部位71cの切欠量が減少するに従って媒体路64への温調媒体の供給量が増大していき、やがて離脱部分P4の回転位相部位で温調媒体の供給が遮断される。
【0059】
このように、本実施例の温調機構では、成膜処理部4に対して近い回転位相部分である成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3の位相間と、遠い回転位相部分である接触部分P1から成膜処理開始部分P2の位相間及び成膜処理終了部分P3から離脱部分P4の位相間で、胴部60の単位回転位相あたりの媒体路64への温調媒体の供給量が変更され、胴部60の外周表面60aの温度が所定の回転位相ごとに温調される。また、本実施例の温調機構は、成膜処理部4に対して近づく側の回転位相部分である接触部分P1から成膜処理開始部分P2の位相間と、遠ざかる側の回転位相部分である成膜処理終了部分P3から離脱部分P4の位相間とで、胴部60の単位回転位相あたりの媒体路64への温調媒体の供給量が変更される。
【0060】
以上のように、本実施例の薄膜部材の製造装置1では、成膜ロール6がシート状基材2の表面に成膜処理を行う成膜処理部4の対向位置に配設され、胴部60の表面内側の軸心方向に沿って、かつ胴部60の円周方向に対して等間隔となるように配設された複数の媒体路64・64・・・と、成膜処理部4に対して近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで、胴部60の単位回転位相あたりの媒体路64・64・・・への温調媒体の供給量を変更して、胴部60の外周表面60aの温度を所定の回転位相ごとに温調する温調機構とを具備してなるため、温調媒体により胴部60の外周表面60aが温調される際には、その供給量の違いにより温調度合いに差がつけられ、所定の回転位相ごとに胴部60の外周表面60aの温度を制御・管理することができ、ひいては、成膜処理時の成膜状況に応じてシート状基材2を温度制御して、薄膜部材の品質をより向上させることができるのである。
【0061】
すなわち、媒体路64には接触部分P1の位相に到達して初めて温調媒体が供給され始め、媒体路64を通る温調媒体からの冷却熱が外ロール部62の外周面である胴部60の外周表面60aに伝達する間に、温調ロール6が所定の回動角度だけ回転される。一方で、シート状基材2は、成膜処理部4に近づくにつれて、成膜処理部4からの輻射熱や、シート状基材2の表面に成膜粒子が付着したことによる凝縮潜熱などによって高温になる。そのため、成膜処理時にシート状基材2の温度を一定に保つべく、成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3の位相間で、媒体路64を通る温調媒体の供給量をより多くすることで、胴部60の外周表面60aの温度を積極的に下げて、シート状基材2が常に適正温度となるように制御・管理することができるのである。
【0062】
また、本実施例の薄膜部材の製造装置1では、成膜処理部4に近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで温調媒体の供給量を変更するだけでなく、さらに、成膜処理部4に対して近づく側の回転位相部分と遠ざかる側の回転位相部分とで温調媒体の供給量を変更するように構成されており、具体的には、接触部分P1から成膜処理開始部分P2の位相間や成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3の位相間において、媒体路64を通る温調媒体の供給量を徐々に増大させることで、成膜処理部4に近づくにつれて高温になるシート状基材2の温度を一定に保つことができる一方で、成膜処理終了部分P3から離脱部分P4の位相間では媒体路64を通る温調媒体の供給量を徐々に減少させることで、成膜処理部4に遠ざかるにつれて温度が下がるシート状基材2の温度を一定に保つことができる。
【0063】
このように、本実施例の構成とすることで、成膜処理部4に近い部分や、搬送方向の後方で長時間に渡って成膜処理が行われる部分などように、シート状基材2において温度上昇の高い部分が偏在して生じた場合であっても、成膜ロール6の回転位相ごとに胴部60の外周表面60aを必要な温度に温調することできるため、シート状基材2の温度分布のばらつきを低減して、製造される薄膜部材の膜厚方向の膜構造を均一することができ、また、製造される薄膜部材における成膜の剥離を防止することができる。さらに、成膜ロール6にシート状基材2が接触し始める部分で急冷されたり、成膜処理後にシート状基材2が成膜ロールに接触して急冷されたりすることを防止できるため、薄膜部材のしわの発生を防ぐことができる。
【0064】
また、本実施例の薄膜部材の製造装置1に設けられる温調機構は、媒体路64に温調媒体を給排する給排給路と、給排給路と媒体路64とを所定の回転位相間で連通させ、連通された媒体路64にのみ給排給路の温調媒体を給排する切換部材70とを具備してなり、特に、かかる切換部材70に切欠量の異なる複数の各部位71a・71b・71cを形成するものであるため、構造が簡素であるとともに、連通部71の位置の設定や切欠量の調整次第で、成膜ロール6による温調特性を様々に設定することができる。
【0065】
なお、薄膜部材の製造装置1及びその製造方法の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0066】
すなわち、上述した実施例の薄膜部材の製造装置1では、一の成膜ロール6に対して一の成膜処理部4が設けられた構成について説明したが、成膜処理部4の配置構成はこれに特に限されない。例えば、1バッチで連続して複数の成膜処理を行う場合には、一の成膜ロール6に対して複数の成膜処理部4を配設することができる。かかる場合には、各成膜処理部4における成膜方法やシート状基材2の温度プロファイル等の成膜状況に応じて、温調機構により成膜ロール6の回転位相ごとに胴部60の外周表面60aがそれぞれ必要な温度に温調される。
【0067】
また、上述した実施例の薄膜部材の製造装置1では、温調機構により、成膜処理部4に対向する側の回転位相部分(特に、成膜処理開始部分P2から成膜処理終了部分P3の位相間)を中心に胴部60(の外周表面60a)を温度制御する構成について説明したが、例えば、成膜処理部4に対向する側とは反対側の回転位相部分において胴部60の外周表面60aの温度を下げて、真空炉3中に浮遊する成膜粒子が胴部60の外周表面60aに付着するのを防止するように構成してもよい。
【0068】
また、上述した実施例の搬送部5では、上述した実施例のように巻出ロール50や巻取ロール51の他に、複数のガイドロールを設けて、巻出ロール50より巻き出されたシート状基材2がかかるガイドロールにより導かれて、巻取ロール51に巻き取られるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 薄膜部材の製造装置
2 シート状基材
3 真空炉
4 成膜処理部
5 搬送部
6 成膜ロール
60 胴部
60a 外周表面
64 媒体路
70 切換部材
71 連通部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成膜ロールの胴部の外周表面にシート状基材を密着させた状態で回転搬送させながら、該シート状基材の表面に薄膜を形成してシート状の薄膜部材を製造する薄膜部材の製造装置において、
前記成膜ロールは、
シート状基材の表面に成膜処理を行う成膜処理部の対向位置に配設され、
前記胴部の表面内側の軸心方向に沿って、かつ胴部の円周方向に配設された複数の媒体路と、
前記成膜処理部に対して近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで、前記胴部の単位回転位相あたりの前記媒体路への温調媒体の供給量を変更して、前記胴部の外周表面の温度を所定の回転位相ごとに温調する温調機構と、
を具備してなることを特徴とする薄膜部材の製造装置。
【請求項2】
前記温調機構は、前記成膜処理部に対して近づく側の回転位相部分と遠ざかる側の回転位相部分とで、前記媒体路への温調媒体の供給量を変更することを特徴とする請求項1に記載の薄膜部材の製造装置。
【請求項3】
前記温調機構は、
前記媒体路に温調媒体を給排する給排給路と、
前記給排給路と前記媒体路とを所定の回転位相間で連通させ、連通された媒体路にのみ前記給排給路の温調媒体を給排する切換部材とを具備してなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄膜部材の製造装置。
【請求項4】
前記切換部材は、切欠量が異なる複数の部位を有する連通部が形成されることを特徴とする請求項3に記載の薄膜部材の製造装置。
【請求項5】
成膜ロールの胴部の外周表面にシート状基材を密着させた状態で回転搬送させながら、該シート状基材の表面に薄膜を形成してシート状の薄膜部材を製造する薄膜部材の製造方法において、
前記成膜ロールを、シート状基材の表面に成膜処理を行う成膜処理部の対向位置に配設し、
前記成膜ロールに、前記胴部の表面内側の軸心方向に沿って、かつ胴部の円周方向に配設された複数の媒体路を設けて、
前記成膜処理部に対して近い回転位相部分と遠い回転位相部分とで、前記胴部の単位回転位相あたりの前記媒体路への温調媒体の供給量を変更して、前記胴部の外周表面の温度を所定の回転位相ごとに温調することを特徴とする薄膜部材の製造方法。
【請求項6】
前記成膜処理部に対して近づく側の回転位相部分と遠ざかる側の回転位相部分とで、前記媒体路への温調媒体の供給量を変更することを特徴とする請求項5に記載の薄膜部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−242200(P2010−242200A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−95198(P2009−95198)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】