説明

薄膜電極セラミック基板及びその製造方法

【課題】本発明は、薄膜電極セラミック基板及びその製造方法に関する。
【解決手段】薄膜電極セラミック基板は、セラミック基板と、セラミック基板の表面に形成されたエッチング防止金属層と、エッチング防止金属層上に形成された薄膜電極パターンと、薄膜電極パターン上に形成されたメッキ層と、を含み、薄膜電極パターンの各エッジ部は前記エッチング防止金属層と接することを特徴とする。薄膜電極セラミック基板は、セラミック基板の表面に陰刻形状のエッチング防止金属層を形成することにより、セラミック基板の表面と薄膜電極パターンとの間、及び薄膜電極パターンの間でエッチング液によって発生するアンダーカットを防止できる。また、薄膜電極パターンのエッジ部のセラミック基板表面の金属層に対する接着力が向上されることができ、薄膜電極パターン全体の固着力を向上させることができるため、薄膜電極パターンの耐久性及び信頼性を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜電極セラミック基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、移動通信技術の発達につれて、この分野で用いられる電子部品の小型化、複合化、モジュール化及び高周波化が進んでいる。このような要求に応えるべく、高温同時焼成(HTCC)または低温同時焼成(LTCC)セラミック多層基板が幅広く用いられている。
【0003】
現在、移動通信の高周波モジュール、マイクロ波コネクタ、ケーブルアセンブリ、半導体チップなどをテストするプローブカード(Probe card)用の高集積多層基板の表面に、既存の電極印刷方式でなく、薄膜電極パターンを適用したセラミック基板の要求が増加している。これは、既存の印刷電極パターンに比べ、薄膜電極パターンは、セラミック基板の表面に微細パターンを実現することができ、メッキ厚さの増加が可能であるという長所を有するためである。
【0004】
HTCCセラミック多層基板は、1500℃以上の温度で熱処理して多層基板を形成する。HTCCセラミック多層基板の材料は、94%以上のアルミナを主原料として使用し、添加剤として少量のSiOを使用して、電極パターンの材料としては高温焼成が可能なタングステン(W)を主に使用する。
【0005】
HTCCセラミック多層基板は、機械的強度及び耐薬品性に優れるため、基板の表面に薄膜電極パターンを形成して高集積化パッケージとして多く応用されている。しかし、高温焼成されたタングステン(W)電極パターンの電気伝導度が銀(Ag)または銅(Cu)に比べ低いため、高周波特性が劣るという欠点を有しており、熱膨脹係数がシリコーン半導体素子に比べ2倍程度大きいため、熱膨脹係数の整合(Matching)が要求される応用分野において大きな問題点となっている。
【0006】
これに対して、LTCCセラミック多層基板は、900℃以下の温度で熱処理して多層基板を形成する。900℃以下の低温で用いるために、融点の低いSiOを多く使用し、アルミナを相対的に少なく使用する。焼成温度が900℃以下になるため、電極パターンの材料として銀(Ag)または銅(Cu)を使用することができ、受動素子である抵抗、インダクタ及びコンデンサを基板の内部に内蔵することにより、電子部品の小型化、複合化、モジュール化及び高周波化に広く用いられている。
【0007】
しかし、LTCCセラミック多層基板は、SiOを多く含有するため、フッ化水素酸(HF)のような強酸または水酸化カリウム(KOH)のような強塩基性の化学物質を用いるエッチング工程において、SiOが含まれた基板の表面がエッチングされやすいため、LTCCセラミック多層基板の表面に形成された薄膜電極パターンの固着力が低下するという問題を有している。
【0008】
図1は従来方式を利用してセラミック多層基板の表面に薄膜電極パターンを形成する過程を示す図面である。
【0009】
まず、第1段階は、セラミック多層基板10上に微細な薄膜電極層11、12を形成する段階である。第2段階は、上記微細な電極層上に感光性保護層13を形成する段階であり、第3段階は、セラミック多層基板10の表面に形成しようとする電極パターンを具現するために、前記感光性保護層13を露光及び現像する段階である。第4段階は、現像により除去された前記感光性保護層13の部分にメッキ層14を形成する段階であり、第5段階は、前記感光性保護層13を除去する段階である。最後に、前記電極層11、12を順にエッチングすることにより、多層セラミック基板10の表面に最終の電極パターン11、12及びメッキパターン14が残るようになる。
【0010】
前記電極層11、12は例えば、チタン(Ti)電極11と銅(Cu)電極12とからなり、ここで問題となる工程は、セラミック基板10に形成されるチタン(Ti)電極11のエッチング工程である。一般的にチタンをエッチングする際に用いるエッチング液(etchant)は、フッ化水素酸(HF)のような強酸または水酸化カリウム(KOH)のような強塩基性の化学物質である。
【0011】
従って、図2に示すように、前記Ti電極11をエッチングする際、多量のSiOが含まれたセラミック多層基板の表面がエッチングされやすいという問題が生じる。また、基板10の表面とチタン電極11との間、及びチタン電極11と銅電極12との間にアンダーカット(undercut)が発生(A部分)するため、薄膜電極パターンの形成が困難であり、薄膜電極パターンを形成しても基板の表面との固着力が低下するという問題点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−141001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、セラミック多層基板の表面に薄膜電極パターンを形成する際、セラミック基板の表面と薄膜電極パターンとが接するエッジ部において、前記薄膜電極パターンのエッチング工程で用いるエッチング液によるアンダーカットが発生しない薄膜電極セラミック基板を提供することをその目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、前記薄膜電極セラミック基板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の課題を解決するための薄膜電極セラミック基板は、セラミック基板と、前記セラミック基板の表面に形成されたエッチング防止金属層と、前記エッチング防止金属層上に形成された薄膜電極パターンと、前記薄膜電極パターン上に形成されたメッキ層と、を含み、前記薄膜電極パターンの各エッジ部は前記エッチング防止金属層と接することを特徴とする。
【0016】
前記エッチング防止金属層は、前記薄膜電極パターンの幅より大きく形成されることができる。
【0017】
前記エッチング防止金属層は、前記薄膜電極パターンの各エッジ部と接する領域を除き、一定間隔で離隔されるか、または互いに連結された構造を有することができる。
【0018】
前記エッチング防止金属層は、前記セラミック基板の表面に陰刻に形成されることが好ましい。
【0019】
前記エッチング防止金属層は、前記セラミック基板の表面と同一の高さに形成されることが好ましい。
【0020】
前記エッチング防止金属層は、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、及び金(Au)からなる群から選択される1種以上の材料で形成されることができる。
【0021】
前記メッキ層は、1層以上で含まれることができる。
【0022】
前記メッキ層は、銅(Cu)層/ニッケル(Ni)層/金(Au)層が順に構成されることができる。
【0023】
本発明の他の課題を解決するための薄膜電極セラミック基板の製造方法は、セラミック基板の表面にエッチング防止金属層を形成する第1段階と、前記エッチング防止金属層に薄膜電極層を形成する第2段階と、前記薄膜電極層上に感光性保護層を形成する第3段階と、前記感光性保護層を露光、現像する第4段階と、前記感光性保護層が現像された領域にメッキ層を形成する第5段階と、前記感光性保護層を除去する第6段階と、前記薄膜電極層をエッチングし、薄膜電極パターンを形成する第7段階と、を含むことを特徴とする。
【0024】
前記エッチング防止金属層は、前記セラミック基板の表面に陰刻に形成されることが好ましい。
【0025】
また、本発明の一実施形態によると、前記エッチング防止金属層は、焼成されたセラミック基板に陰刻のパターンを形成する段階と、前記陰刻パターンにエッチング防止金属層の形成材料を満たす段階と、を経て形成されることができる。
【0026】
また、本発明の他の一実施形態によると、前記エッチング防止金属層は、セラミック基板を焼成する前に、前記セラミック基板の内部にエッチング防止金属層を形成する段階と、前記セラミック基板を焼成する段階と、前記エッチング防止金属層が形成されたセラミック基板の表面を研磨する段階と、を経て形成されることができる。
【0027】
また、感光性保護層を露光及び現像する第4段階で、前記感光性保護層が現像される領域の幅は、前記エッチング防止金属層の幅より小さく形成されることが好ましい。
【0028】
前記、第7段階のエッチングは、前記薄膜電極層を構成する各電極を順にエッチングすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
本発明による薄膜電極セラミック基板は、セラミック基板の表面に陰刻形状のエッチング防止金属層を形成することにより、セラミック基板の表面と薄膜電極パターンとの間、及び薄膜電極パターンの間でエッチング液によって発生するアンダーカットを防止することができる。
【0030】
また、薄膜電極パターンのエッジ部のセラミック基板の表面金属層に対する接着力を向上させることができる。これにより、薄膜電極パターン全体の固着力を向上させることができるため、薄膜電極パターンの耐久性及び信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】従来方式による薄膜電極セラミック基板の製造過程を示す図面である。
【図2】図1に示す従来方式により薄膜電極セラミック基板を製造する際、薄膜電極パターンとセラミック基板で発生する不良を説明するための断面形状である。
【図3】本発明の薄膜電極セラミック基板の断面構造である。
【図4】本発明の薄膜電極セラミック基板の断面構造である。
【図5】本発明の一実施形態による薄膜電極セラミック基板の製造過程を示す図面である。
【図6】本発明の一実施形態によるエッチング防止金属層の製造例を示す図面である。
【図7】本発明の一実施形態によるエッチング防止金属層の製造例を示す図面である。
【図8】実施例と比較例のセラミック基板の表面に形成された薄膜電極パターンの固着強度の実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明をより詳細に説明すると次のとおりである。
【0033】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するために用いられ、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で用いられたように、単数型は文脈上異なる場合を明白に指摘するものでない限り、複数型を含むことができる。また、本明細書で用いられる「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は言及された形状、数字、段階、動作、部材、要素、及び/またはこれらの組み合わせが存在することを特定するものであり、一つ以上の他の形状、数字、段階、動作、部材、要素、及び/またはこれらの組み合わせの存在または付加を排除するものではない。
【0034】
本発明の請求範囲及び明細書全体に亘って記載された「電極層」は、セラミック基板の全面に前記電極層を構成する材料が塗布された状態を意味する。
【0035】
本発明の請求範囲及び明細書全体に亘って記載された「電極パターン」は、前記「電極層」をエッチングした後、セラミック基板に形成された電極層を意味する。
【0036】
本発明の請求範囲及び明細書全体に亘って記載された「薄膜」は、その厚さが約0.5μm以内、好ましくは約0.2μm以内の微細に塗布された状態を意味する。
【0037】
本発明の請求範囲及び明細書全体に亘って記載された「エッチング防止金属層がセラミック基板の表面に陰刻に形成される」ということは、前記エッチング防止金属層がセラミック基板の表面に凹状に、または、表面から内側に前記エッチング防止金属層が形成されることを意味する。
【0038】
本発明は、セラミック基板に薄膜の電極パターンが形成された薄膜電極セラミック基板及びその製造方法に関するものである。
【0039】
本発明の一実施形態による薄膜電極セラミック基板は、図4に示すとおりであり、これを参照すると、セラミック基板110と、前記セラミック基板110の表面に形成されたエッチング防止金属層121と、前記エッチング防止金属層121上に形成された薄膜電極パターン111、112と、前記薄膜電極パターン111、112上に形成されたメッキ層114と、を含み、前記薄膜電極パターン111、112の各エッジ部は、前記エッチング防止金属層121と接することを特徴とする。
【0040】
一般的に、セラミック基板の表面と薄膜電極パターンとの間のアンダーカット(undercut)現象は、主に薄膜電極パターンのエッジ部で発生する。このようなアンダーカット不良は、前記セラミック基板の表面が薄膜電極パターンの材料によってエッチングされて発生する。
【0041】
従って、本発明では、前記薄膜電極パターンの材料によってエッチングされないエッチング防止金属層121をセラミック基板110の表面に形成し、前記薄膜電極パターン111、112の各エッジ部がセラミック基板110の表面でなく、前記エッチング防止金属層121と接する(点線のサークル部分)ようにした。従って、薄膜電極パターンの固着強度が向上された薄膜電極セラミック基板を製造することができる。
【0042】
本発明のセラミック基板110は、多数の層が積層されるセラミック基板であり、高温同時焼成セラミック基板、低温同時焼成セラミック基板などがあり得るが、これに限定されるものではない。しかし、融点の低いSiOを多く用いる低温同時焼成セラミック基板で、より有用に用いられることができる。
【0043】
本発明では特別に、前記セラミック基板110の表面にエッチング防止金属層121を含むが、前記エッチング防止金属層121は前記セラミック基板110の表面に陰刻に形成されることが好ましい。
【0044】
従って、本発明による前記エッチング防止金属層121は、前記セラミック基板110の表面に陰刻に形成され、実質的に前記セラミック基板110と同一の高さに形成されることが好ましい。
【0045】
本発明の一実施形態によると、前記エッチング防止金属層121は、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、金(Au)からなる群から選択される1種以上の材料で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
本発明によるエッチング防止金属層は、セラミック基板を焼成する前に形成してもよく、またはセラミック基板を焼成した後に形成してもよい。
【0047】
セラミック基板を焼成する前にエッチング防止金属層を形成する場合、前記セラミック基板の内部にエッチング防止金属層を形成し、前記セラミック基板を焼成した後、一定部分研磨して前記エッチング防止金属層を露出させる方法を利用する。
【0048】
また、セラミック基板を焼成した後にエッチング防止金属層を形成する場合、焼成されたセラミック基板に陰刻のパターンを形成し、前記陰刻パターンにエッチング防止金属の材料を満たす段階を経て形成することができる。
【0049】
図3を参照すると、本発明による前記エッチング防止金属層121a、121bは、セラミック基板110上に形成された薄膜電極パターン111、112が占める幅より広く形成されることが好ましい。
【0050】
即ち、前記エッチング防止金属層121a、121bの幅は、前記薄膜電極パターン111、112の幅より広いことが好ましい。また、前記エッチング防止金属層121a、121bは、前記薄膜電極パターン111、112のエッジ部と接するように形成される構造であれば、図3に示すように前記エッチング防止金属層121a、121bはその間が一定間隔で離隔されて形成されてもよく、図4に示すようにエッチング防止金属層121が連結された構造を有してもよい。
【0051】
また、前記薄膜電極パターン111、112上には、1層以上のメッキ層114を含む。前記メッキ層は、銅(Cu)層/ニッケル(Ni)層/金(Au)層が順に構成されることができる。
【0052】
以下、添付図面を参照して本発明による薄膜電極セラミック基板の製造方法を説明する。
【0053】
図5を参照すると、まず、セラミック基板110の表面に、最終的に形成しようとする薄膜パターン形状のエッジ部において面方向に薄膜パターンのエッジ部より大きい幅を有するエッチング防止金属層121を形成する第1段階を行う。
【0054】
前記セラミック基板110の表面へのエッチング防止金属層121の形成は、図6に示すように、焼成が完了したセラミック基板の表面に形成することができる。この場合、焼成されたセラミック基板110に陰刻のパターン120を形成し、前記陰刻パターン120にエッチング防止金属層を形成するための材料を満たすことによりエッチング防止金属層121を形成する。
【0055】
また、図7に示すように、セラミック基板を焼成する前に、セラミック基板110の内部にエッチング防止金属層121を形成し、前記セラミック基板110を焼成する。焼成が完了した後、表面(Cで示した部分)を研磨し、セラミック基板110の表面に前記エッチング防止金属層121を露出させて形成することもできる。
【0056】
本発明によるエッチング防止金属層は、薄膜電極パターンの形成工程の効率性及び最終平坦度を確保するために、セラミック基板の表面と同一の高さを有し、段差がないように形成することが有利である。
【0057】
次に、前記エッチング防止金属層121に薄膜電極層111、112を形成する第2段階を行う。前記薄膜電極層は、単層または2層以上の多層に形成されることができ、その層の数は特に限定されない。
【0058】
本発明の一形態では、セラミック基板の表面にシード(seed)薄膜層の機能をする第1の薄膜電極層111と、前記第1の薄膜電極層111上の第2の薄膜電極層112と、を前記エッチング防止金属層121が形成されたセラミック基板110の全面に形成する。
【0059】
前記第1の薄膜電極層111は、チタン(Ti)またはクロム(Cr)で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0060】
また、前記第2の薄膜電極層112は、銅(Cu)またはニッケル(Ni)で形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0061】
また、必要に応じて、前記薄膜電極層は、単層または2層以上に形成されることもでき、その層の数が特に限定されるものではない。
【0062】
次に、前記薄膜電極層の全面に感光性保護層113を形成する第3段階を行う。前記感光性保護層113は、フォトレジスト(Photoresist)組成物またはドライフィルムを用いて前記薄膜電極層上に形成することができる。前記フォトレジスト組成物またはドライフィルムの材料は、特に限定されず、当業界で用いられるものであれば使用可能である。
【0063】
また、セラミック基板の表面に形成しようとする薄膜パターンを具現するために、前記感光性保護層113を露光及び現像する第4段階を行う。前記露光及び現像工程を経て形成された感光性保護層113は、前記セラミック基板110の表面に形成されたエッチング防止金属層121の断面に含まれるようにする。即ち、図5に示すように、第4段階を経て形成された感光性保護層113間の間隔Bは、最終の薄膜電極パターンが形成される間隔と同一である。従って、前記薄膜電極パターンのエッジ部がエッチング防止金属層121と接するように、前記感光性保護層113間の間隔Bは、エッチング防止金属層121の幅より小さく形成されることが好ましい。
【0064】
本発明による感光性保護層113は、15〜40μmの厚さに形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0065】
次に、前記感光性保護層が現像された領域にメッキ層114を形成する第5段階を行う。前記メッキ層114は、1層以上に構成されることができ、電気メッキによってCu層/Ni層/Au層が順に形成されることができるが、これに限定されるものではない。
【0066】
次に、前記感光性保護層113を除去する第6段階を行う。
【0067】
最後に、前記薄膜電極層111、112をエッチングする第7段階を行うことができる。前記薄膜電極層のエッチングは、前記薄膜電極層を構成する各電極を順にエッチングすることが好ましく、この際のエッチング液は通常のものを用いることができる。
【0068】
前記エッチング段階を経ることにより、微細薄膜電極パターン111、112が前記感光性保護層113のパターン間の間隔と同一の間隔Bで形成された最終の薄膜電極セラミック基板が得られる。また、前記薄膜電極パターン111、112は、セラミック基板110と直接接することなく、セラミック基板の表面に形成されたエッチング防止金属層121と接するようにした。
【0069】
従って、本発明による前記エッチング防止金属層121は、エッチング液(etchant)として用いられるフッ化水素酸(HF)のような強酸または水酸化カリウム(KOH)のような強塩基性の化学物質に対してエッチングされないため、薄膜電極パターンのエッジ部で発生するアンダーカット不良を防止することができる。
【0070】
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を例示するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されることに解釈されてはならない。また、以下の実施例では、特定化合物を利用して例示したが、これらの均等物を用いた場合においても、同等類似の程度の効果を奏することができるということは、当業者において自明である。
【0071】
実施例
図5に示す一連の工程を経て、薄膜電極セラミック基板を製造した。
【0072】
まず、セラミック基板の表面に、一定厚さに陰刻のパターニングを施し、前記陰刻パターンに銀(Ag)粉末ペーストを満たしてエッチング防止金属層を形成した。次に、前記エッチング防止金属層が形成されたセラミック基板表面に、第1の薄膜電極層としてチタン(Ti)を全面コーティングし、前記第1の薄膜電極層上に第2の薄膜電極層として銅(Cu)を全面コーティングした。
【0073】
次に、フォトレジスト組成物を前記第2の薄膜電極層上に約30μmの厚さに塗布し、感光性保護層を形成した。また、前記感光性保護層を露光及び現像した。前記感光性保護層上に電気メッキ法を利用して、銅層/ニッケル層/金層が順に積層されたメッキ層を形成した。
【0074】
次に、前記感光性保護層を除去し、第2の薄膜電極層を銅エッチング液(pH6〜7)を利用してエッチングした。最後に、第1の薄膜電極層をHFを利用してエッチングし、微細な薄膜電極パターンが形成されたセラミック基板を製造した。
【0075】
比較例
前記実施例で、エッチング防止金属層を形成せず、図1に示す一連の工程を経て薄膜電極セラミック基板を製造した。
【0076】
実験例:薄膜電極パターンの固着強度の実験
前記実施例及び比較例により製造された薄膜電極パターンのセラミック基板に対する固着強度をBST(Ball Shear Test)測定方法を利用して測定し、その結果を図8に示した。
【0077】
図8の結果によると、比較例のように従来方式で製作した薄膜電極パターンの場合、固着強度が平均12N/mmであることに比べ、セラミック基板にエッチング防止金属層を適用した本発明の実施例による薄膜電極パターンの固着強度は36N/mm程度で、約3倍程度が向上されたことを確認することができる。
【符号の説明】
【0078】
10、110 セラミック基板
11、12、111、112 薄膜電極層
13、113 感光性保護層
114 メッキ層
121 エッチング防止金属層
A アンダーカット(undercut)不良が発生した部分
B 感光性保護層間の間隔、薄膜電極パターンの間隔
C 研磨ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミック基板と、
前記セラミック基板の表面に形成されたエッチング防止金属層と、
前記エッチング防止金属層上に形成された薄膜電極パターンと、
前記薄膜電極パターン上に形成されたメッキ層と
を含み、
前記薄膜電極パターンの各エッジ部は、前記エッチング防止金属層と接するものである薄膜電極セラミック基板。
【請求項2】
前記エッチング防止金属層は、前記薄膜電極パターンの幅より大きく形成されるものである請求項1に記載の薄膜電極セラミック基板。
【請求項3】
前記エッチング防止金属層は、前記薄膜電極パターンの各エッジ部と接する領域を除き、一定間隔で離隔されて形成されるものである請求項1または2に記載の薄膜電極セラミック基板。
【請求項4】
前記エッチング防止金属層は、前記セラミック基板の表面に陰刻に形成されるものである請求項1から3の何れか1項に記載の薄膜電極セラミック基板。
【請求項5】
前記エッチング防止金属層は、前記セラミック基板の表面と同一の高さに形成されるものである請求項1から4の何れか1項に記載の薄膜電極セラミック基板。
【請求項6】
前記エッチング防止金属層は、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、及び金(Au)からなる群から選択される1種以上の材料で形成されるものである請求項1から5の何れか1項に記載の薄膜電極セラミック基板。
【請求項7】
前記メッキ層は、1層以上で含まれるものである請求項1から6の何れか1項に記載の薄膜電極セラミック基板。
【請求項8】
前記メッキ層は、銅(Cu)層、ニッケル(Ni)層、及び金(Au)層が順に構成されるものである請求項7に記載の薄膜電極セラミック基板。
【請求項9】
セラミック基板の表面にエッチング防止金属層を形成する第1段階と、
前記エッチング防止金属層に薄膜電極層を形成する第2段階と、
前記薄膜電極層上に感光性保護層を形成する第3段階と、
前記感光性保護層を露光及び現像する第4段階と、
前記感光性保護層が現像された領域にメッキ層を形成する第5段階と、
前記感光性保護層を除去する第6段階と、
前記薄膜電極層をエッチングし、薄膜電極パターンを形成する第7段階と、
を含む薄膜電極セラミック基板の製造方法。
【請求項10】
前記エッチング防止金属層は、前記セラミック基板の表面に陰刻に形成されるものである請求項9に記載の薄膜電極セラミック基板の製造方法。
【請求項11】
前記エッチング防止金属層は、
焼成されたセラミック基板に陰刻パターンを形成する段階と、
前記陰刻パターンにエッチング防止金属層の形成材料を満たす段階と
を経て形成されるものである請求項9または10に記載の薄膜電極セラミック基板の製造方法。
【請求項12】
前記エッチング防止金属層は、セラミック基板を焼成する前に、
前記セラミック基板の内部にエッチング防止金属層を形成する段階と、
前記セラミック基板を焼成する段階と、
前記エッチング防止金属層が形成されたセラミック基板の表面を研磨する段階と
を経て形成されるものである請求項9から11の何れか1項に記載の薄膜電極セラミック基板の製造方法。
【請求項13】
前記感光性保護層を露光及び現像する第4段階で、
前記感光性保護層が現像される領域の幅は、前記エッチング防止金属層の幅より小さく形成される請求項9から12の何れか1項に記載の薄膜電極セラミック基板の製造方法。
【請求項14】
前記第7段階のエッチングは、前記薄膜電極層を構成する各電極を順にエッチングするものである請求項9から13の何れか1項に記載の薄膜電極セラミック基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−38415(P2013−38415A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159689(P2012−159689)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】