説明

薬学的製剤のタンパク質安定化されたリポソーム製剤

本発明は、タンパク質安定化されたリポソームに関する。特に、本発明は、タンパク質安定化リポソーム、タンパク質安定化リポソームの作製、およびタンパク質安定化リポソームの投与のための組成物および方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本出願は、2002年11月6日に出願されたU.S.仮出願番号60/424,230号に対する優先権を主張し、この全明細書は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0002】
1.発明の分野
本発明は、一般に薬物送達の分野に関する。より詳しくは、少なくとも1つの薬学的製剤を含むタンパク質安定化された脂質製剤を調製し、投与するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
リポソームは、リン脂質小胞であり、非中毒性および生物分解可能の天然に存在する物質で主に構成される(Lasic 1993)。これらは、閉じ込められた水性内部コンパートメントを含む少なくとも1つの脂質二重層膜から構成される。それぞれの分子の一端が水溶性であるので、水と組み合わせたときに、リン脂質は直ちに球体を形成するが、反対側は、水に不溶性である。水に添加された水溶性の薬物は、疎水性末端の凝集内にトラップされ;脂溶性の薬物は、リン脂質層に組み込まれる。
【0004】
リポソームは、特に薬物送達のために有用である。リポソームは、多くの治療的な適用のために、特に全身投与後に標的細胞に薬物をデリバリーするために使用されてきた(Drummond et al., 1999; Gibbson and Paphadjopoulos 1988; Lasic and Paphadjopoulos 1998; Olson et al., 1982; Rahman et al., 1982; Working et al., 1994a; Working et al., 1994b; Working et al., 1996; Working et al., 1999; Mayer et al., 1989)。薬学的製剤のリポソーム製剤は、遊離型で注射される薬物よりも優れていることが多い。特定の癌薬物のデリバリーに使用するときに、リポソームは、薬物の毒性から健康な細胞を保護するのを補助し、脆弱な組織(たとえば、腎臓、および肝臓)中でのこれらの濃縮を防止し、嘔気、疲労、および髪減少の一般的な副作用を少なくし、または排除する。例えば、抗癌薬ビンクリスチンのリポソーム製剤は、L1210白血病細胞に対して、遊離のビンクリスチンよりも優れた有効性を示し、副次的な毒性を減少した。また、リポソームは、特定のワクチン、酵素、またはインスリンを体にデリバリーするために使用されてきた。また、これらは、欠損した疾患を引き起こす遺伝子と置き換えるために、正常な遺伝子を細胞に運ぶために実験的に使用されてきた。
【0005】
市販のリポソームによる薬物送達は、リポソームの安定性が増強され、毒性が減少され、薬物動態が改善され、血液循環時間が増強され、標的部位におけるリポソームの蓄積が増大されるためであることに注意されたい。毒性の減少は、リポソームが感受性の高い組織に対する薬物の暴露、およびその後のダメージを減少する能力によって生じるであろう(Allen et al. 1991)。実際に、医薬の使用のために承認された最初のリポソーム薬の腫瘍製剤(oncology formalations)は、アントラサイクリン・ダウノルビシン(DaunoXome; Nextstar Pharmaceuticals, Boulder, CO)、 EVACET(The Liposome Company, Inc., Princeton, NJ)およびDOX [ Doxil; Alza Corporation, Palo Alto, CA (CAELYX in Europe)]であった。
【0006】
薬物送達の媒体としてのリポソームの使用により、多くの有望な結果を生じた。リポソーム内のアンフォテリシンBの治療係数の改善における主要な進歩は、癌患者における全身性の真菌感染に対抗する際に証明された(Olsen et al. 1982)。この抗真菌剤のリポソームの閉じ込めにより、毒性の著しい減少を生じる。また、リポソームは、ドキソルビシン(Williams et al. 1993)、ビンクリスチン(Woodle et al. 1992)、ビンブラスチン、アクチノマイシン-D、アラビノシド、シトシン、ダウノマイシン(Julliano and Stamp 1978)、ミトキサントロン、エピルビシン、ダウノルビシン(Madden et al 1990)、およびパクリタキセル(Suffness 1995)をデリバリーする際に有効であることが見いだされた。リポソームの薬物送達システムにおいて、薬物が高度に疎水性の場合、主に二重層コンパートメントと会合する傾向がある(Sharma et al., 1995, 1997)。
【0007】
いくつかの方法がリポソームの生産のために利用された。天然のリン脂質二重層の小胞化は、天然の過程でないので、十分に定義されたリポソームを産生するために、物理的および化学的な方法が使用される。通常、これらの方法は、高エネルギーを入力して(たとえば、超音波処理、高圧、および/または高温)、準安定リポソーム相として低臨界ミセル濃度のリン脂質を分散させることを必要とする(Lasic and Paphadjopoulos 1998)。
【0008】
リポソームの調製のための1つの方法は、水中油型エマルジョンの溶媒の蒸発を含む。油相は、1つまたは複数の薬学的製剤、コレステロール、および脂質を含み、水相は、乳化剤を含む。エマルジョンは、2つの混和しない液体(通常、油および水)からなり、液体の一方が、他方の中に小さな球状液滴として分散する。
【0009】
薬物送達のために有用性を有することに加えて、リポソーム様のエマルジョンは、マヨネーズ、ミルク、マーガリン、およびバターなどのいくつかの食品中に見いだすことができる。油および水のエマルジョンを含む大部分の食品において、液滴の直径は、通常0.1〜100μmの間のどこかである(Dickinson and Stainsby, 1982, Dickinson, 1992)。エマルジョンは、油および水相の分布に従ってうまい具合に分類することができる。水相に分散する油滴からなる系は、水中油型またはO/Wエマルジョン(たとえば、マヨネーズ、ミルク、クリームその他)と呼ばれている。油相に分散された水滴からなる系は、油中水型またはW/Oエマルジョンと呼ばれる(たとえば、マーガリン、バター、およびスプレッド)。2つの別々の混和しない液体をエマルジョンに変換するか、または既存のエマルジョンの液滴のサイズを減少させる方法は、均質化として知られている。
【0010】
薬物送達および食品中のエマルジョンのために使用される両方のリポソームにおいて、組成物の小胞構造の分解を観察した。「エマルジョン安定性」の用語は、概して、エマルジョンが時間とともにその性質の変化に抵抗する能力を記述するために使用される。エマルジョンは、クリーミング、沈降、凝結、癒合、および相転移を含む種々の物理的な方法によって不安定になる可能性がある。クリーミングおよび沈降は、重力分離の両形態である。クリーミングは、これらが周囲の液体よりも低い密度を有するという事実により液滴の上方へ移動することを記載するが、沈降は、これらが周囲の液体よりも高い密度を有するという事実により液滴の下方へ移動することを記載する。凝結および癒合は、液滴の凝集の両タイプである。凝結は、2つ以上の液滴が共になって、その中の液滴がこれらの個々の完全性を保持した凝集体を形成するときに生じるが、癒合は、2つ以上の液滴が共に結合して、単一のより大きな液滴を形成する方法である。広範な液滴の癒合は、最終的に試料の上部に別々の油の層を形成することができ、「オイリング・オフ」として知られている。
【0011】
熱力学は、主に相分離の原因である。エマルジョンは、純粋な油および純水を共に均質化することによって作製される場合、2つの相は、水の層(より高い密度)の上に、油の層(より低い密度)からなる系に迅速に分離する。これは、液滴がこれらの隣のものと結合する傾向があるためであり、これにより、最終的に完全な相分離に至る。
【0012】
時間にともなうリポソーム構造の破壊および早まった薬物漏出は、薬物送達の媒体としてリポソームを使用するための有意かつ潜在的に非常に危険な問題を提示する。長期貯蔵、凍結乾燥、および再構成の間のリポソームからの薬物漏出は、予測性を減少させ得るし、リポソームを使用する薬物送達の毒性を増大し得る。特には、リポソームからの薬物の早まった放出および漏出は、血漿成分中に薬物のより速い分布を生じ、毒性が増大され、腫瘍部位で放出される薬物の濃度が減少される。さらに、ペグ化された(pegylated)リポソームのドキソルビシンについては、手掌-足底エリスロ感受性不全(erythrodysaesthesia)または手-足症候群として既知の皮膚毒性の新規の用量限定形態が記載されていた(Gordon et al. 1995)。したがって、リポソーム安定性を増大し、早まった薬物漏出を排除するために、リポソーム・デザインを改善する必要がある。
【0013】
食品産業において、乳化剤および/または糊料の使用は、より安定なエマルジョンを産生するために使用されてきた。エマルジョンは、通常熱力学的に不安定な系である。均質化の前に乳化剤および/または糊料として既知の物質を含めることによって、適切な期間(数分、数時間、数日、数週、数月、または数年)動力学的に安定な(準安定性)エマルジョンを形成することができる。
【0014】
乳化剤は、均質化の間に新たに形成された液滴の表面に吸着し、液滴が共に凝集するほど十分に近接するのを防止する保護膜を形成する界面活性分子である。大部分の乳化剤は、同じ分子中に極性および無極性の領域を有する分子である。食品産業に使用される最も一般的な乳化剤は、脂肪酸のショ糖エステル、モノジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸の塩類などの、両親媒性のタンパク質、小分子界面活性物質、およびモノグリセリドである(Krog, 1990)。
【0015】
糊料は、エマルジョンの連続相の粘性を増大するために使用される成分であり、これらは、液滴の動作を遅延させることによってエマルジョンの安定性を増強する。安定剤は、エマルジョンの安定性を増強するために使用することができ、従って、乳化剤または糊料のいずれの成分であってもよい。
【0016】
効果的な乳化剤は、時間とともに油および水の相の目に見える分離がないエマルジョンを生じる。いくらかのエマルジョンの破壊が生じた場合であっても、相分離が長時間ヒトの目に見えるようにはならないであろう。乳化剤の効率を決定するより定量的な方法は、時間とともにエマルジョンの粒度分布の変化を測定することである。効果的な乳化剤は、粒度分布が時間とともに変化しないエマルジョンを生じるが、低品質の乳化剤は、粒径が癒合および/または凝結によって増大するエマルジョンを生じる。エマルジョン安定性の動態は、時間とともに粒径が増大する割合を測定することによって確立することができる。
【0017】
水中油型エマルジョンにおいて、タンパク質は、大部分が表面活性剤および乳化剤として使用される。o/wエマルジョンに使用される食品タンパク質のうちの1つは、ホエータンパク質である。ホエータンパク質は、4つのタンパク質:β-ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、ウシ血清アルブミン、および免疫グロブリンを含む(Tornberg, 1990)。商業的には、等電点〜5を有するホエータンパク質単離物(WPI)(Tomberg, 1990)をo/wエマルジョン調製のために使用した。Hunt(1995)によれば、自立(self-supporting)ゲルを作製するために8%のホエータンパク質濃度を用いた。後に、自立ゲルを生じるホエータンパク質の限界濃度は、4〜5%減少したことが知られている。90℃または121℃および50mMを上回るイオン強度での加熱処理を使用して、2% w/w程度の低濃度のホエータンパク質濃度でゲルを生じさせることができる(Hunt et al, 1995)。
【0018】
ホエーに由来するタンパク質は、食品産業において乳化剤として広く使用されている (Phillips et al, 1994; Dalgleish, 1996)。これらは、均質化の間に油滴の表面に吸着して、液滴が癒合するのを防止する保護膜を形成する。ホエータンパク質単離物(WPI)によって安定化されるエマルジョンの生理化学的性質は、水性相組成(たとえば、イオン強度、およびpH)および製品の処理および貯蔵条件(たとえば、加熱、冷却、および機械的撹拌)に関連する。エマルジョンは、WPIの等電点周辺で凝結する傾向があるが、より高いか、またはより低いpHで安定する(Philips et al, 1994)。凝結に対する抵抗性は、液滴間でのコロイド性の相互作用、すなわちファンデルワールス力、静電反発力、および立体的な力の面から解釈されるであろう(Philips et al, 1994; Dalgleish, 1996)。ファンデルワールス相互作用は、かなり長距離である。同様に荷電した液滴間の静電的相互作用は、反発的であり、これらの大きさおよび範囲は、イオン強度の増加と共に減少する。近距離の相互作用は、界面層程度の厚み以下の液滴の分離に重要となる(たとえば、立体的、熱的ゆらぎ、および水和力; Israelachvili, 1992)。このような相互作用は、界面層の厚みよりも離れた距離ではごくわずかであるが、層が重なるときには、強く反発し、液滴が近くにくるのを防止する。
【0019】
乳化剤および糊料は、食品産業において首尾よく使用されてきたが、薬物送達のリポソーム安定性を改善する有意な必要性がなおも存在する。大部分の小分子化学療法薬は、i.v.投与を経て広範囲にわたる分布を有するので(Chanber and Longo, 1996; Speth et al., 1988)、これは、健康な組織において高レベルの毒性であるために、狭い治療係数を生じる。より安定なリポソームを産生するための方法により、より一貫した薬物動態を生じ、一方でリポソームのデリバリーの利点を保持したままとなる。
【発明の開示】
【0020】
発明の概要
本発明は、タンパク質分子で脂質製剤、好ましくはリポソームを保護して、リポソームからの薬物漏出を最小化するか、または排除することによって、従来技術の欠陥を克服する。特に、本発明は、少なくとも1つの親油性の薬学的製剤を含むタンパク質安定化された脂質製剤を調製する方法であって;1つまたは複数のリン脂質を含む有機溶液を調製する段階、該有機溶液に少なくとも1つの薬学的製剤を混合する段階、エマルジョン形成タンパク質を含む水溶液に該有機混合物を注入して、エマルジョンを形成する段階、および該エマルジョンから有機溶媒を除去して、タンパク質安定化された脂質製剤を形成する段階を含む方法を提供する。
【0021】
本発明の一つの態様において、この方法の脂質製剤は、タンパク質安定化されたリポソームを含む。本発明のもう一つの態様において、リポソーム形成成分は、さらにコレステロールを含む。リポソーム形成成分は、PEG-リン脂質を含んでいてもよい。本発明の特定の態様において、PEG-リン脂質は、ポリ(エチレングリコール)誘導体化ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)および/またはポリ(エチレングリコール)誘導体化セラミド(PEG-CER)を含む。親油性の薬学的製剤は、実質的に水不溶性薬学的製剤としてさらに同定される。本発明の方法を使用して、リン脂質および親油性の薬学的製剤は、約0.01:25〜約1:10の薬物:脂質(w/w)の範囲の比で有機溶液に含まれていてもよい。
【0022】
本発明は、好ましくはエマルジョン形成タンパク質を使用する。本発明の特定の態様において、該エマルジョン形成タンパク質は、アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、インスリン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、α-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、リパーゼ、または酵素を含む。本発明の一つの態様において、好ましいエマルジョン形成タンパク質は、アルブミンである。
【0023】
また、本発明において、水溶液のpHは変更してもよい。本発明の一つの態様において、該水溶液は、約6.0〜7.6の間のpHである。本発明のいくつかの態様において、エマルジョン形成タンパク質は、約0.1%〜約20%(w/v)、より好ましくは約1%〜約10%(w/v)の水溶液を含む。
【0024】
エマルジョンは、好ましくは:該混合物を約1000〜約24,000回転数/分、より好ましくは3000〜約10,000回転数/分の間で撹拌する段階、および5,000〜30,000 PSI、より好ましくは10,000〜30,000 PSIの高圧ミクロ流動化または均質化に撹拌した混合物を供する段階を含む工程によって形成される。本発明の特定の態様において、混合物は、回転ホモジナイザーなどのホモジナイザーを使用して撹拌してもよい。本発明のその他の態様において、脂質製剤は、濾過され;たとえば、脂質製剤は、0.20または0.22ミクロンフィルターによって濾過されてもよい。その他の態様において、脂質製剤は、水性懸濁液中での再構成に適した粉末を提供するように凍結乾燥され;たとえば、脂質製剤は、ショ糖、マンニトール、もしくはトレハロースなどの1つまたは複数の凍結保護物質の存在下で凍結乾燥してもよい。
【0025】
薬学的薬剤は、好ましくは以下を含む:心臓血管薬、呼吸器薬、交感神経様作用薬、コリン様薬物、アドレナリン作動性またはアドレナリン作動性ニューロン遮断薬、鎮痛薬/解熱薬、麻酔薬、抗喘息薬、抗菌薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗真菌薬、降圧薬、抗炎症性の、抗悪性腫瘍薬、抗不安薬、免疫抑制因子、抗片頭痛薬剤、鎮静剤/催眠薬、抗狭心症薬、精神病薬、抗躁病薬、抗不整脈薬、抗関節炎薬、抗痛風薬、抗凝固薬、血小板溶解薬、抗線維素溶解薬、血液流動薬、抗血小板剤、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、抗ヒスタミン剤/鎮痒薬、カルシウム調節に有用な薬剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、消毒剤、気管支拡張薬、ホルモン、血糖降下薬、脂質低下性の薬剤、タンパク質、核酸、赤血球新生刺激に有用な薬剤、抗潰瘍/抗逆流薬、制嘔吐剤/制吐薬、脂溶性ビタミン、ミトタン、ビサジン(visadine)、ハロニトロソ尿素、アンスロサイクリン(anthrocycline)、またはエリプチシン。本発明の種々の態様において、薬学的製剤は、プロスシラリジン-A、オレアンドリン、ジギトキシン、ジゴキシン、オドロシド(odoroside)-A、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ara-C誘導体、ジフィリン(diphyllin)、ジャスティシジン(justicidin)-A、ジフィリン(diphyllin)誘導体、クライスタチン(cleistanthin)A、クロロキン、アンフォテリシンB、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリン、カンプトセシン、7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトセシン、10-ヒドロキシ-カンプトセシン、カンプトセシン誘導体、ポドフィロトキシン、ポドフィロトキシン誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ジヒドロ・アルテミシニン、ミトキサントロン、アンフォテリシンB、エポシロン(epothilone)-A、エポシロン-B、エポシロン-C、エポシロン-D、エポシロン誘導体、ベンズ[c]-フェナントリジンアルカロイド誘導体、ケレリトリン・アルカロイド誘導体またはシスプラチンである。
【0026】
本発明の脂質製剤(好ましくはリポソーム)を作製するために、好ましくはリン脂質が使用される。1つまたは複数の該リン脂質には、水素付加された大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、モノシアロガンゴリオシド(monosialogangolioside)、スフィンゴミエリン(SPM)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、もしくはジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)の1つまたは複数を含む。本発明の特定の態様において、脂質-タンパク質に対する薬学的製剤の比率は、約0.0005〜約1(w/w)、より好ましくは約0.0005〜約0.5(w/w)、より好ましくは約0.001〜約0.1(w/w)の範囲である。
【0027】
また、ナノ粒子を作製するために脂質製剤を物理的に混合するための方法を本発明で使用してもよい。本発明の特定の態様において、脂質製剤は、粒径を減少させるために高ずり応力に供される。特に、脂質製剤は、好ましくは、約220nm未満、より好ましくは約80〜160nmの間、より好ましくは約100〜120nmの間のサイズを有するナノ粒子を含むものとして定義される。
【0028】
また、本発明は、親油性の薬学的製剤を含むタンパク質安定化された脂質製剤であって、上記した方法のいずれかによって調製される製剤を含む。
【0029】
本発明のもう一つの態様は、患者の疾患を治療する方法であって:疾患の治療が表示された親油性の薬学的製剤薬物を得る段階、該薬学的製剤のタンパク質安定化された脂質製剤を調製する段階;および疾患の治療のために有効な脂質製剤の薬学的製剤の量を、該患者に投与する段階を含む方法を含む。本発明の本側面において、該薬学的製剤のタンパク質安定化された脂質製剤は、上記した方法に従って調製される。特定の態様において、疾患は、高増殖性疾患であり、薬学的製剤は抗高増殖性の薬剤である。本発明の特定の態様において、製剤は、非経口的に;好ましくは緩徐な注入または大量瞬時投与によって投与される。
【0030】
添付の図面は、本願明細書の一部を形成し、本発明の特定の側面をさらに証明するために含まれる。本発明は、本明細書に示される特定の態様の詳細な説明と組み合わせて、これらの図面の1つまたは複数を参照することでよりよく理解されると思われる。
【0031】
例示的態様の説明
本発明は、タンパク質分子でリポソームを保護して、リポソームからの薬物漏出を最小化するか、または排除することによって、従来技術の欠陥を克服する。タンパク質は、リポソーム周辺で一様にシェルを被覆または形成しているので、薬物は、リポソームのいずれのさらなる分解からも保護されている。本発明の方法は、また、リポソーム・コンパートメント内部に高濃度の薬物を閉じ込めるために使用することができる。
【0032】
I.定義
脂質製剤は、エマルジョンおよびリポソームを含む。リポソームは:多小胞のリポソーム、多重膜リポソーム、および単層のリポソームを含む。
【0033】
本明細書において使用されるものとして、「ミクロン」の用語は、1/1,000ミリメートルの測定の単位をいう。
【0034】
本明細書において使用されるものとして、「生体適合性の」用語は、それが導入される生物系において、いずれの有害な方法でも目に見えるほど変化させず、または影響を及ぼさない物質を記載する。
【0035】
本明細書において使用されるものとして、「細胞増殖性疾患」または「高増殖性疾患」の用語は、多細胞生物に対する害(たとえば、不快または減少した平均余命)を生じる多細胞生物の細胞(群)の異常に増大され、および/または抑制されていない増殖によって生じる障害をいう。細胞増殖性疾患は、動物またはヒトにおいて生じ得る。癌は、細胞増殖性疾患の例であり、本発明の特定の態様は、癌の治療に関する。
【0036】
「エマルジョン形成タンパク質」は、均質化の間に新たに形成された脂質製剤液滴(好ましくは、リポソームの液滴)の表面に吸着し、脂質製剤液滴(好ましくはリポソームの液滴)が、共に凝集するのに十分に近接するのを防止する保護膜を形成し、脂質製剤(好ましくはエマルジョン、より好ましくはリポソーム)の連続相の粘性を増大し、または脂質製剤液滴の動作を遅延させることによって、脂質製剤(好ましくはエマルジョン、より好ましくはリポソーム)の安定性を増強する何らかのタンパク質をいう。
【0037】
II.脂質製剤
本発明は、脂質製剤に関する。脂質製剤は、エマルジョンおよびリポソームを含む。
【0038】
a.リポソーム
本発明は、実質的に水不溶性薬学的製剤のタンパク質安定化されたリポソーム(PSL)ナノ粒子製剤のための方法、並びにこのような製剤を調製し、および使用する方法を提供する。これらのPSLナノ粒子製剤の利点は、実質的に水不溶性薬学的製剤が溶解または沈殿した形態で閉じこめられることである。これらの組成物は、緩徐な注入によって、もしくは大量瞬時投与によって、またはその他の非経口的もしくは経口デリバリー経路によって、ナノ粒子または懸濁液の形態で送達することができる薬理学的に活性な薬剤の超低毒性形態を提供することが観察された。これらのPSLナノ粒子は、400nm以下、好ましくは200nm以下、およびより好ましくは120nm以下のサイズを有し、ナノ粒子の表面上に被覆された親水性のタンパク質を有する。
【0039】
リン脂質は、好ましくはリポソームの重要な部分を形成する。リン脂質は、これらの最も単純な形態において、2つの脂肪酸およびリン酸基に結合されたグリセロールから構成される。生じるホスファチジン酸と呼ばれる化合物は、水溶性の領域(荷電したリン酸基)とともに脂溶性の領域(脂肪酸成分)を含む。また、大部分のリン脂質は、リン酸結合したさらなる化学基を有する。たとえば、これは、コリンと関係があってもよく;生じるリン脂質は、ホスファチジルコリン、またはレシチンと呼ばれている。その他のリン脂質は、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン、およびホスファチジルエタノールアミンを含む。脂溶性部分は、その他のリン脂質の脂溶性部分と会合するが、水溶性領域は、周囲の溶媒に曝露されたままである。細胞膜のリン脂質は、水溶性部分によって両側で内部が保護された脂溶性部分で満たされたシートの2分子内に形成する。この安定な構造が細胞膜にその完全性を与える。
【0040】
リポソームの成分は、リポソームの物理的な特徴を決定する。リポソームは、好ましくは主成分であるリン脂質と共に、両親媒性脂質分子からなる。最も一般的には、ホスファチジルコリンは、主要構成要素として使用される。ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、糖脂質、およびステロールを含むその他の脂質も加えられることが多い。リポソームの物理的な特徴は、pH、イオン強度、および相転移温度に依存する。相転移は、ゆるくパックされたあまり整然としていない液体状態として既知の構造に対して、密にパックされた整然としたゲル状態と呼ばれる構造からなる。相転移温度(Tc)は、アシル鎖長、飽和度、および極性頭基に依存する。たとえば、高度な不飽和アシル鎖および様々な鎖長を有する卵ホスファチジルコリンのTcは、-15℃である。しかし、完全に飽和したジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)では、Tcは、50℃以上である。ほとんどのリポソーム製剤は、調製の間により密にパックされた二重層系を形成するようにコレステロールを含む。コレステロールは、相転移を排除する傾向があるので、ホスファチジルコリンに対するコレステロールの添加は、二重層の溶融挙動を変化させる。コレステロールの添加は、液体状態の二重層に対して凝縮効果を有し、強力に二重層透過性を減少させる。
【0041】
b.エマルジョン
また、本発明は、エマルジョンの使用を利用することができる。大部分のエマルジョンは、異なる生理化学的性質を有する3つの領域:液滴内部、連続相、および界面を含むと考えるができる。エマルジョン内の分子は、これらの濃度および極性に従ってそれ自体をこれらの3つの領域に分配する(Wedzicha, 1988)。無極性分子は、主に油相に、極性分子は水相に、および両性分子は界面に位置する傾向がある。平衡時でさえ、異なる領域間の分子の連続的な交換があり、系を通る分子の質量輸送に依存する割合で生じることに留意する必要がある。また、分子は、エマルジョンの環境条件のいくつかの変化(たとえば、口内の温度または希釈の変化)があると、1つの領域から別の領域に移動するであろう。エマルジョン内の分子の位置および質量輸送は、食品の芳香、風味の放出、テクスチュア、および物理化学的な安定性に対して有意な影響を有する(Dickinson and Stainsby, 1982, Wedzicha et al, 1991, Coupland and McClements, 1996)。
【0042】
エマルジョンの多くの性質は、これらの動的な性質に関して理解することができるだけである。均質化によるエマルジョンの形成は、非常にダイナミックなプロセスであり、液滴の激しい破壊およびバルク液体から界面領域への界面活性分子の迅速な移動を含む。これらの形成後でさえも、エマルジョンの液滴は、これらのブラウン運動、重力、または適用された機械的な力のために継続的に運動し、頻繁に互いに衝突している(Melik and Fogler, 1988, Dukhin and Sjoblorn, 1996)。液滴の継続的な移動および相互作用は、温度または時間の変化などの種々の不安定化プロセスのために、時間とともにエマルジョンの性質の進化を引き起こす。
【0043】
たいていエマルジョンの最も重要な性質は、これらが含む液滴のサイズによって決定される(Dickinson and Stainsby, 1982, Dickinson, 1992)。従って、エマルジョン中の液滴のサイズを制御し、予測し、および測定することが重要である。エマルジョンの全ての液滴が同一サイズである場合、エマルジョンは、単分散のものと称するが、サイズ分布が存在する場合は、エマルジョンは、多分散系のものと称する。単分散のエマルジョン中の液滴のサイズは、液滴直径(d)または半径(r)などの単一の数によって完全に特徴づけることができる。単分散のエマルジョンは、実験測定の解釈が多分散系エマルジョンのものよりも非常に単純であるので、時々基礎学科のために使用される。それにもかかわらず、均質化によるエマルジョンは、常に液滴サイズの分布を含み、したがってこれらの液滴サイズの詳細は、単分散系のものよりも複雑になる。理想的には、エマルジョンの完全な粒度分布(すなわち、系の各々の液滴のサイズ)に関する情報を有することが望ましい。多くの状況において、液滴の平均サイズおよび分布の幅についての知識で十分である(Hunter, 1986)。
【0044】
III.タンパク質安定化リポソーム(PSL)
本発明は、一つの重要な側面において、細胞増殖疾患、癌を含む、ヒトの種々の疾患の治療における薬学的製剤を含むPSLナノ粒子製剤の使用に向けられる。より詳しくは、本発明は、毒性が減少され、血流において長時間循環し、および薬物を腫瘍部位などの標的部位に送達することができる、新規のPSLナノ粒子製剤の使用に向けられる。これらのPSLナノ粒子製剤は、これまでに通常低毒性を有するその遊離型の薬学的製剤のそれぞれよりも高いか、または実質的に同等の有効性である。もう一つの側面において、本発明は、宿主の固形腫瘍の治療のために有用であり、かつ宿主の抗癌薬のそれぞれの治療係数を増大するためにも有用である組成物および方法を提供する。薬学的組成物は、卵ホスファチジルコリン(EPC)、水素付加された大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、モノシアロガングリオシド、およびスフィンゴミエリン(SPM);ポリ(エチレングリコール)誘導体化-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)、ポリ(エチレングリコール)-誘導体化セラミド(PEG-CER)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジステアロイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジステアロイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、およびジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)などの誘導体化された小胞形成脂質、コレステロール、並びにタンパク質の混合物を含むPSLナノ粒子製剤である。
【0045】
多くの種類の脂質がリポソームを作製するために使用されるであろう。小胞を形成する脂質は、以下を含み:卵ホスファチジルコリン(EPC)、水素付加された大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、モノシアロガングリオシドおよびスフィンゴミエリン(SPM);ポリ(エチレングリコール)誘導体化-ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)および/またはポリ(エチレングリコール)-誘導体化セラミド(PEG-CER)などの誘導体化された小胞形成脂質;並びにコレステロールは、1つまたは複数の実質的に水不溶性薬学的製剤と共に有機溶媒に溶解される。リン脂質は、合成または卵子もしくは大豆などの天然の供与源のいずれかに由来することができる。リン脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイル-ホスファチジルコリン(DMPC)、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)、およびジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)であることができる。安定化されたタンパク質を作製するために、リポソームのナノ粒子、実質的に水不溶性薬学的製剤、脂質、およびその他の薬剤は、適切な溶媒(たとえば、クロロホルム、塩化メチレン、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチル・ホルムアミド、メチル・ピロリジノンなど、並びにこれらのいずれか2つ以上の混合物)に溶解される。脂質-タンパク質に対する実質的に水不溶性薬学的製剤の重量比は、0.01〜1の間、好ましくは0.1〜1の間で変化する。本発明の実施に使用するために想定されるさらなる溶媒は、ダイズ油、やし油、オリーブ油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、オレンジ油、リモネン油、C1-C20アルコール、C2-C20エステル、C3-C20ケトン、ポリエチレングリコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、およびこれらの組み合わせを含む。
【0046】
エマルジョン形成タンパク質は、好ましくはPSLを作製するために使用される。一つの態様において、タンパク質安定化リポソームのナノ粒子を作製するために、安定なナノ液滴の形成のための安定化剤または乳化剤として作用するように、タンパク質(たとえば、ヒト血清アルブミン)が添加される(水相に)。エマルジョン形成タンパク質は、好ましくは約0.05〜25%(w/v)の範囲、より好ましくは約0.5%〜5%(w/v)の範囲の濃度で添加される。
【0047】
タンパク質安定化リポソームのナノ粒子の生産のために、エマルジョンは、好ましくは高圧および高剪断力下で均質化することによって形成される。このような均質化は、好ましくは高圧ホモジナイザーで行われ、典型的には約3,000〜30,000 psiまでの範囲の圧力で操作される。好ましくは、このようなプロセスは、約6,000〜25,000 psiまでの範囲の圧力で行われる。生じるエマルジョンは、実質的に水不溶性薬学的製剤、脂質、およびその他の薬剤を含む非水溶媒の非常に小さなナノ液滴を含む。許容される均質化方法は、高圧均質化、高剪断ミキサー、超音波処理、高剪断インペラなどの高剪断およびキャビテーションを与える方法を含む。
【0048】
最後に、溶媒を、好ましくは減圧下で蒸発させて、リポソームおよびタンパク質内に実質的に水不溶性薬学的製剤のタンパク質安定化リポソームのナノ粒子で構成されるコロイド系を得る。許容される蒸発方法は、回転乾燥機、流下膜式蒸発装置、スプレー乾燥機、凍結乾燥機などの使用を含む。溶剤の蒸発に続いて、液体懸濁液を乾燥して、薬理学的に活性な薬剤およびタンパク質を含む粉末を得てもよい。生じる粉末は、いずれか都合のよいときに、生理食塩水、緩衝食塩水、水、緩衝化水性媒体、アミノ酸の溶液、ビタミンの溶液、炭水化物の溶液など、並びにこれらのいずれか2つ以上の組み合わせなどの適切な水溶培地に再分散させて、哺乳類に投与することができる懸濁液を得ることができる。この粉末を得るために想定される方法は、凍結乾燥、噴霧乾燥などを含む。
【0049】
本発明の特定の態様によれば、実質的に水不溶性薬学的製剤を含む異常に小さなサブミクロンのリポソームの粒子、すなわち直径200ナノメートル未満である粒子の形成のための方法が提供される。このような粒子は、液体懸濁液の形態で使用する前に滅菌濾過することができる。本発明の製剤プロセスの最終産物(すなわち、実質的に水不溶性薬学的製剤粒子)の滅菌過能力は、高圧蒸気殺菌法などの従来の手段によって高濃度のタンパク質(たとえば、血清アルブミン)を含む分散液を殺菌することは不可能であるので、非常に重要である。
【0050】
実質的に水不溶性薬学的製剤の滅菌濾過可能なタンパク質安定化リポソームの粒子(すなわち、粒子<200nm)は、好ましくは実質的に水不溶性薬学的製剤、脂質、およびその他の薬剤を実質的に水に混ざらない有機溶媒(たとえば、クロロホルムなど、たとえば約5%未満の水への溶解度を有する溶媒)に高濃度で溶解することによって形成され、これにより実質的に水不溶性薬学的製剤、脂質、およびその他の薬剤を含む油相を形成する。好ましい溶媒は、本明細書に記載してある。次に、水混和性の有機溶媒(たとえば、エタノールなど、たとえば約10%を超える水への溶解度を有する溶媒)を、総有機相の約1%〜99% v/v、より好ましくは約5%〜25% v/vの範囲の終濃度で油相に添加する。水混和性の有機溶媒は、酢酸エチル、エタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、アセトン、ジメチルスホキシド、ジメチル・ホルムアミド、メチル・ピロリジノンなどの溶媒から選択することができる。または、水混和性の溶媒を有する水に混ざらない溶媒の混合物を最初に調製し、続いて実質的に水不溶性薬学的製剤、脂質、およびその他の薬剤を混合物に溶解する。
【0051】
次の段階では、好ましくは上記の通りのヒト血清アルブミンまたは他の何らかの適切な安定化剤を水性培地に溶解する。この成分は、安定なナノ液滴の形成のための安定化剤として作用する。任意に、第1の有機溶媒(たとえば、クロロホルム)の十分な量は、これを飽和濃度近くにするように水相に溶解される。別々の、有機相(これは、ここでは実質的に水不溶性薬学的製剤、第1の有機溶媒、および第2の有機溶媒を含む)の測定量を、有機相の相画分が約0.5%〜015% v/vの間、より好ましくは1%〜8% v/vの間になるように飽和した水相に添加する。次に、マイクロおよびナノ液滴に構成される混合物を、好ましくは低剪断力で均質化することによって形成させる。これは、さまざまな方法で達成することができ、当業者によって、たとえば約2,000〜約15,000 rpmまでの範囲で作動する従来の研究室ホモジナイザーを使用して容易に確認することができる。これは、好ましくは高圧下(すなわち、約3,000〜30,000 psiまでの範囲)での均質化によって行われる。生じる混合物は、水性タンパク質溶液(たとえば、ヒト血清アルブミン)、実質的に水不溶性薬学的製剤、脂質、その他の薬剤、第1の溶媒、および第2の溶媒を含む。最後に、溶媒を、好ましくは減圧下で迅速に蒸発して、非常に小さなナノ粒子(すなわち、約50nm〜200nmの直径の範囲の粒子)の形態のコロイド分散系(リポソームの実質的に水不溶性薬学的製剤およびタンパク質)を得て、こうして滅菌濾過することができる。粒子の好ましいサイズ範囲は、製剤および操作パラメーターに応じて、約50nm〜170nmの間である。
【0052】
本発明に従って調製されたタンパク質安定化リポソームのナノ粒子は、たとえば適切な温度-時間プロフィールで凍結乾燥することによって、そこから水を除去することによってさらに粉末形態に変換されてもよい。タンパク質(たとえば、ヒト血清アルブミン)それ自体は、凍結保護物質として作用し、粉末は、水、塩類溶液、または緩衝液の添加によって容易に再構成することができ、マンニトール、ショ糖、グリシンなどの従来の凍結保護物質を使用する必要がない。必要ではないが、もちろん、従来の凍結保護物質が望まれるならば、本発明の製剤に添加してもよいことが理解される。実質的に水不溶性薬学的製剤を含むリポソームのシェルは、比較的小体積で薬理学的に活性な薬剤の高用量のデリバリーが可能である。
【0053】
本発明のこの態様によれば、好ましくは実質的に水不溶性薬学的製剤を含むリポソームは、約10ミクロン以下の横断面の直径を有する。5ミクロン未満の横断面の直径がより好ましいが、静脈内の投与経路のためには、1ミクロン未満の横断面の直径が現在最も好ましい。
【0054】
本発明に従って安定化剤および/またはタンパク質形成エマルジョンとして使用するための想定されるタンパク質は、アルブミン(35個のシステイン残基を含む)、免疫グロブリン、カゼイン、インスリン(6つのシステインを含む)、ヘモグロビン(α2 β2単位につき6つのシステイン残基含む)、リゾチーム(8つのシステイン残基を含む)、免疫グロブリン、α-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、リパーゼなどを含む。タンパク質、ペプチド、酵素、抗体、およびこれらの組み合わせは、本発明に使用することが想定される安定剤の一般的なクラスである。現在使用するために好ましいタンパク質は、アルブミンである。また、特異的な位置にナノ粒子をターゲットするために特異抗体を利用してもよい。
【0055】
本発明の組成物の調製において、実質的に水不溶性薬学的製剤を懸濁または溶解するために多種多様な有機培地を使用することができる。本発明の実施に使用されることが想定される有機培地は、薬理学的に活性な薬剤を懸濁または溶解することができるが、シェルを産生するために使用される重合体、または薬理学的に活性な薬剤自体のいずれにも化学的に反応しない任意の非水系の液体を含む。例には、植物油(たとえば、ダイズ油、オリーブ油など)、やし油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、オレンジ油、リモネン油、4〜30炭素原子を有する脂肪族、脂環式、もしくは芳香族炭化水素(たとえば、n-ドデカン、n-デカン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼンなど)、2〜30炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族アルコール(たとえば、オクタノールなど)、2〜30炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族エステル(たとえば、カプリル酸エチル(オクタノン酸)など)、2〜30炭素原子を有するアルキル、アリール、もしくは環状エーテル(たとえば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなど)、1〜30炭素原子を有するアルキルもしくはハロゲン化アリール(および任意に、複数のハロゲン置換基、たとえばCH3Cl、CH2Cl2、CH2Cl-CH2Clなど)、3〜30炭素原子を有するケトン(たとえば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ポリアルキレングリコール(たとえば、ポリエチレングリコールなど)、またはこれらのいずれか2つ以上の組み合わせを含む。
【0056】
本発明の実施に使用されることが想定される有機培地の特に好ましい組み合わせは、典型的には約200℃以下の沸点を有し、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、ベンゼンなどの揮発性液体(すなわち、薬理学的に活性な薬剤に対して高度な溶解度を有し、使用されるその他の有機培地に可溶性である溶媒)を、より高分子量の(より不安定でない)有機培地とともに含む。その他の有機培地に添加するときに、これらの揮発性の添加物は、有機培地への薬理学的に活性な薬剤の溶解度をドライブするのを助ける。この工程は、通常時間を要するので、これは望ましい。溶解に続いて、揮発成分を蒸発によって除去してもよい(任意に真空下で)。
【0057】
タンパク質(上記の通りに調製される)によって安定化される実質的に水不溶性薬学的製剤を含むリポソームは、生体適合性の水性液体中の懸濁液として送達される。この液体は、水、塩類溶液、適切な緩衝液を含む溶液、アミノ酸、糖、タンパク質、炭水化物、ビタミン、もしくは脂肪等などの栄養的薬剤を含む溶液から選択されてもよい。
【0058】
長期の貯蔵安定性を増大するために、PSLナノ粒子製剤をショ糖、マンニトール、トレハロース等などの1つまたは複数の保護剤の存在下において凍結し、凍結乾燥してもよい。凍結乾燥されたPSLナノ粒子製剤の再水和により、懸濁液は、本質的に以前充填した全ての実質的に水不溶性薬学的製剤および粒径を保持する。再水和は、単に精製水もしくは滅菌水を添加することによって、または0.9%の塩化ナトリウム注射、または5%のブドウ糖溶液に続いて懸濁液を穏やかにゆらすことによって達成される。PSLナノ粒子製剤中の実質的に水不溶性薬学的製剤の能力は、凍結乾燥および再構成の後に失われない。
【0059】
本発明のPSLナノ粒子製剤は、その遊離型で投与される実質的に水不溶性薬学的製剤よりも有毒でないことが示される。本発明において、脂質組成、粒径、および脂質-タンパク質に対する実質的に水不溶性薬学的製剤の比率を変化させることに関して、本発明のPSLナノ粒子製剤の有効性を、細胞増殖性の活性についてヒト株化細胞および動物モデルなどの種々の系で調査した。さらにまた、種々の肉腫を有するマウスおよび腫瘍のない健康なマウスの体重に対する、PSLナノ粒子製剤およびこれらの遊離型の種々の実質的に水不溶性薬学的製剤の効果を調査した。種々の正常および腫瘍細胞におけるDNA断片化に対する、PSLナノ粒子製剤およびこれらの遊離型の種々の実質的に水不溶性薬学的製剤の効果を調査する。しかし、これらの実施例は、いかなる形であれ本発明の範囲を限定し、または制限することは企図されず、本発明の技術を実施するために排他的に利用されなければならない条件、パラメータ、試薬、または開始材料を提供するものとして解釈されるべきでない。
【0060】
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を証明するために含められる。実施例に開示した技術は、本発明者によって本発明の実施においてうまく機能することが見いだされた代表的技術であることが当業者によって認識されるべきであり、したがって、その実施のために好ましい態様を構成するとみなすことができる。しかし、当業者であれば、本開示を考慮して、開示されている特定の態様に多くの変更をすることができ、本発明の精神と範囲から逸脱することなく同様のまたは同じ結果を得ることができることを認識するはずである。
【0061】
実施例1
PSL-プロスシラリジン-Aの調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルム:エタノール混合液に溶解した。たとえば、600mgのDSPC、208mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルム:および0.7mLのエタノール(9.0:1.0 vol/vol)の混合液に溶解した。70mgのプロスシラリジン-A(Sigma-Aldrich Co, USA)を上記のクロロホルム・エタノール溶液に添加し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000-10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works、Germany)によってプレホモジナイズした。生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc, USA)。圧力は、20,000〜30,000 psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0062】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene、USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0063】
また、その他の強心配糖体オレアンドリン、オドロシド-A、ネリイホリン(neriifolin)、およびジギトキシンを含むPSL-ナノ粒子製剤を調製するために上記方法を使用した。
【0064】
実施例2
PSL-N-ペンタノイル-デアセチル-コルヒチンの調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルム:エタノール(約8.5:1.5 vol/vol)混合液に溶解した。たとえば、600mgのDSPC、270mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルムおよび0.7mLのエタノール(9.0:1.0 vol/vol)の混合液に溶解した。70mgのN-ペンタノイル-デアセチル-コルヒチン(既知の手順を使用してコルヒチンから合成、図1で構築)を上記のクロロホルム・エタノール溶液に添加し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000〜10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works、Germany)によってプレホモジナイズした。
【0065】
生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc、USA)。圧力は、20,000〜30,000 psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0066】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene, USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0067】
また、同様の方法で、その他のコルヒチン誘導体N-(1-アダマンタンカルボキシル)-デアセチル-コルヒチンおよびN-(シクロヘキシルアセチル)-デアセチル-コルヒチンを含むPSL-ナノ粒子製剤を調製するために、上記の方法を使用した。
【0068】
実施例3
PSL-パクリタキセルの調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルム:エタノール(約8.5:1.5 vol/vol)混合液に溶解した。たとえば、600mgのDSPC、270mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルムおよび0.7mLのエタノール(9.0:1.0 vol/vol)の混合液に溶解した。100mgのパクリタキセル(中国から得た)を上記のクロロホルム・エタノール溶液に添加し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000〜10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works、Germany)によってプレホモジナイズした。生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc, USA)。圧力は、20,000〜30,000 psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0069】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene、USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0070】
実施例4
PSL-シクロスポリンの調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルム:エタノール(約8.5:1.5 vol/vol)混合液に溶解した。たとえば、600mgのDSPC、270mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルムおよび0.7mLのエタノール(9.0:1.0 vol/vol)の混合液に溶解した。100mgのシクロスポリン(中国から得た)を上記のクロロホルム・エタノール溶液に添加し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000〜10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works, Germany)によってプレホモジナイズした。生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc、USA)。圧力は、20,000〜30,000 psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0071】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene, USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0072】
実施例5
PSL-ビンブラスチンの調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルム:エタノール(約8.5:1.5 vol/vol)混合液に溶解した。たとえば、600mgのDSPC、270mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルムおよび0.7mLのエタノール(9.0:1.0 vol/vol)の混合液に溶解した。100mgのビンブラスチン(中国から得た)を上記のクロロホルム・エタノール溶液に添加し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000〜10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works, Germany)によってプレホモジナイズした。生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc, USA)。圧力は、20,000〜30,000 psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0073】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene, USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0074】
実施例6
PSL-7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトセシン(SN-38)の調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルムに溶解した。たとえば、600mgのDSPC、230mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルムに溶解した。25mgの7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトセシン(SN-38)(Abatra Corporation, China)を1.0mLのジメチルスルホキシドに溶解し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000〜10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works, Germany)によってプレホモジナイズした。生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc, USA)。圧力は、20,000〜30,000 psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0075】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene, USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0076】
実施例7
PSL-ジヒドロ-アルテミシニンの調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルム:エタノール(約8.5:1.5 vol/vol)混合液に溶解した。たとえば、600mgのDSPC、270mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルムおよび0.7mLのエタノール(9.0:1.0 vol/vol)の混合液に溶解した。100mgのジヒドロ-アルテミシニン(中国から得た)を上記のクロロホルム・エタノール溶液に添加し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000〜10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works, Germany)によってプレホモジナイズした。生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc, USA)。圧力は、20,000〜30,000 psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0077】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene, USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0078】
実施例8
PSL-ポドフィロトキシンの調製
約55:40:5のモル比のDSPC:コレステロール:PEG2000-DSPE((Northern Lipids Ltd, Canada)を含む脂質混合物を、クロロホルム:エタノール(約8.5:1.5 vol/vol)混合液に溶解した。たとえば、600mgのDSPC、270mgのコレステロール、および100mgのPEG2000-DSPEを6mLのクロロホルムおよび0.7mLのエタノール(9.0:1.0 vol/vol)の混合液に溶解した。100mgのポドフィロトキシン(インドから得た)を上記のクロロホルム・エタノール溶液に添加し、これが溶解されるまで振盪した。50mLの無菌Type I水溶液に2mgのヒト・アルブミン(Sigma-Aldrich Co, USA)を溶解することによって4%のヒト・アルブミン溶液を調製した。ヒト・アルブミン溶液のpHは、1N塩酸または1N水酸化ナトリウム溶液のいずれかの滅菌水溶液を加えることによって6.5〜6.7に合わせた。上記の有機溶液をアルブミン相に添加し、混合物を6000〜10000 RPMでIKAホモジナイザー(IKA Works, Germany)によってプレホモジナイズした。生じるエマルジョンを高圧ホモジナイゼーションに供した(Avestin Inc, USA)。圧力は、20,000〜30,000psiの間で変動させ、乳化プロセスは、3〜6パスの間続けた。均質化の間に、エマルジョンを温度制御された熱交換器(Julabo, USA)からホモジナイザーを通して冷却剤を循環することによって、2〜5℃の間に冷却した。これにより、均一かつ極めて微細な水中油型乳剤を生じた。次いで、エマルジョンを回転乾燥機(Buchi, Switzerland)へ移し、迅速にナノ粒子懸濁液に蒸発させた。10〜50mm Hgでの隔膜真空ポンプ(Laboport)によって、蒸発の間に蒸発装置圧をセットし、蒸発の間の浴温は、50℃にセットした。
【0079】
懸濁液の粒径は、Malvern Zetasizerでの光子相関分光法によって決定した。懸濁液中のトレハロース二水和物の濃度が、4〜9重量%の範囲であるように、凍結保護物質トレハロース二水和物(Sigma-Aldrich Co, USA)を懸濁液に添加した。懸濁液を0.22μmのフィルター(Nalgene, USA)を通して滅菌濾過した。懸濁液の粒径は、30〜220nmの間であった。懸濁液を-40℃未満で凍結させて、凍結乾燥した。凍結乾燥されたケーキは、さらに使用する前に再構成させた。粒径は、凍結乾燥および再構成に続いてこれといって変化しなかった。
【0080】
実施例9
PSL-プロスシラリジン-Aの調製
脂質混合物(卵スフィンゴミエリン:ホスファチジルコリン:コレステロール:PEG2000-DSPE = 1:1:1:0.02 モル比)を、実施1に記載のクロロホルム:エタノール(9.5:0.5 vol/vol)混合液に溶解した。100mgのプロスシラリジン-Aを上記の溶液に添加し、約1:10(wt/wt)の脂質に対する薬物比を生じた。PSL-プロスシラリジン-Aを調製するために、実施例1に記載されている上記手順を使用した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0081】
実施例10
PSL-プロスシラリジン-Aの調製
PSL-プロスシラリジン-Aを調製するために実施例1に記載されている上記手順を使用した。しかし、脂質(PEG2000-DSPE)の代わりに、PEG2000-セラミドを使用した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0082】
実施例11
PSL-ポドフィロトキシンの調製
PSL-ポドフィロトキシンを調製するために実施例8に記載されている上記手順を使用した。脂質混合物(ジステアリルホスファチジルコリン:コレステロール:PEG2000-セラミド = 1.5:1:0.02 モル比)を、クロロホルム:エタノール(8:2 vol/vol)混合液に溶解した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0083】
実施例12
PSL-ジギトキシンの調製
PSL-ジギトキシンの調製のために実施例1に記載されている上記手順を使用した。脂質混合物(ジステアリルホスファチジルコリン:コレステロール = 2:1モル比)をクロロホルム:エタノール(8:2 vol/vol)混合液に、またはクロロホルムもしくはジクロロメタンに溶解した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0084】
実施例13
PSL-オレアンドリン(Oleandrin)の調製
PSL-オレアンドリン(Oleandrin)を調製するために、実施例1に記載されている上記手順を使用した。脂質混合物(卵ホスファチジルコリン:コレステロール = 55:45モル比)をクロロホル:エタノール(8:2 vol/vol)混合液に、またはクロロホルムもしくはジクロロメタンに溶解した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0085】
実施例14
PSL-パクリタキセルの調製
PSL-パクリタキセルを調製するために実施例4に記載されている上記手順を使用した。脂質混合物(1,2-ジ(2,4-テトラデカジエノイル)-3-ホスファチジルコリン:コレステロール = 2:1モル比)をクロロホルム:エタノール(8:2 vol/vol)混合液に、またはクロロホルムもしくはジクロロメタンに溶解した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0086】
実施例15
PSL-プロスシラリジン-Aの調製
PSL-プロスシラリジン-Aを調製するために実施例1に記載されている上記手順を使用した。しかし、脂質(DSPC)の代わりに、卵リン脂質を使用した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0087】
実施例16
PSL-ポドフィロトキシンの調製
実施例9に記載されている上記手順をPSL-ポドフィロトキシンに使用した。しかし、脂質(DSPC)の代わりに、部分的に水素付加されたホスファチジルコリンを使用した。凍結乾燥前および再構成後の懸濁液の粒径は、50〜220nmの間であった。
【0088】
本明細書に開示され、主張される組成物および方法の全ては、本開示を考慮して過度の実験なしで作製し、実施することができる。本発明の組成物および方法は、好ましい態様に関して記載してあるが、本発明の概念、精神、および範囲から逸脱することなく、本組成物および方法、並びに本明細書に記載されている方法の工程に、または工程の順序にバリエーションを適用してもよいことが当業者には明らかである。より詳細には、化学的および生理的に関連する特定の薬剤を本明細書に記載されている薬剤に置換してもよいと共に、同じまたは同様の結果が達成されることが認識されると思われる。全てのこのような同様の置換および修飾は、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の精神、範囲、および概念の範囲内であると考えられることが当業者には明らかである。
【0089】
参照文献
以下の参照文献は、これらが本明細書に記載されるものに対する例示的な手順またはその他の詳細の補充を提供する範囲において、明確に参照として本明細書に組み入れられる。





【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】N-ペンタノイル-デアセチルコルヒチンの化学構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの親油性の薬学的製剤を含むタンパク質安定化された脂質製剤を調製する方法であって:
(a)1つまたは複数のリン脂質を含む有機溶液を調製する段階;
(b)該有機溶液に少なくとも1つの薬学的製剤を混合する段階;
(c)エマルジョン形成タンパク質を含む水溶液に該有機混合物を注入して、エマルジョンを形成する段階;および、
(d)該エマルジョンから有機溶媒を除去して、タンパク質安定化された脂質製剤を形成する段階
を含む方法。
【請求項2】
脂質製剤が、タンパク質安定化されたリポソームを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
リポソーム形成成分が、コレステロールをさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
リポソーム形成成分が、PEG-リン脂質をさらに含む、請求項2記載の方法。
【請求項5】
PEG-リン脂質が、ポリ(エチレングリコール)誘導体化ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(PEG-DSPE)および/またはポリ(エチレングリコール)誘導体化セラミド(PEG-CER)を含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
親油性の薬学的製剤が、実質的に水不溶性薬学的製剤としてさらに同定される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
リン脂質および親油性の薬学的製剤が、約0.01:25〜約1:10の薬物:脂質(w/w)の範囲の比で有機溶液に含まれる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
エマルジョン形成タンパク質が、アルブミン、免疫グロブリン、カゼイン、インスリン、ヘモグロビン、リゾチーム、免疫グロブリン、α-2-マクログロブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、リパーゼ、または酵素を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
エマルジョン形成タンパク質がアルブミンである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
水溶液が、約6.0〜7.6の間のpHである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
エマルジョン形成タンパク質が、約0.1%から約20%(w/v)の水溶液を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
エマルジョン形成タンパク質が、約1%〜約10%(w/v)の水溶液を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
エマルジョンが:
(a)混合物を約1,000〜約24,000回転数/分で撹拌する段階;および
(b)5,000〜30,000 PSIの高圧ミクロ流動化または均質化に撹拌した混合物を供する段階
を含む工程によって形成される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
エマルジョンが:
(a)混合物を約3,000〜約10,000回転数/分で撹拌する段階;および
(b)10,000〜30,000 PSIの高圧ミクロ流動化または均質化に撹拌した混合物を供する段階
を含む工程によって形成される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
混合物が、ホモジナイザーを使用して撹拌される、請求項13記載の方法。
【請求項16】
混合物が、回転ホモジナイザーを使用して撹拌される 請求項15記載の方法。
【請求項17】
脂質製剤が濾過される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
脂質製剤が、0.20または0.22ミクロンのフィルタによって濾過される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
脂質製剤が凍結乾燥され、水性懸濁液中での再構成に適した粉末を提供する、請求項1記載の方法。
【請求項20】
脂質製剤が、1つまたは複数の凍結保護物質の存在下において凍結乾燥されている、請求項19記載の方法。
【請求項21】
凍結保護物質が、ショ糖、マンニトール、またはトレハロースである、請求項20記載の方法。
【請求項22】
薬学的製剤が、心臓血管薬、呼吸器薬、交感神経様作用薬、コリン様薬物、アドレナリン作動性またはアドレナリン作動性ニューロン遮断薬、鎮痛薬/解熱薬、麻酔薬、抗喘息薬、抗生物質、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗真菌薬、降圧薬、抗炎症性、抗新生物薬、抗不安薬、免疫抑制因子、抗片頭痛薬剤、鎮静剤/催眠薬、抗狭心症薬、精神病薬、抗躁病薬、抗不整脈薬、抗関節炎薬、抗痛風薬、抗凝固薬、血小板溶解薬、抗線維素溶解薬、血液流動薬、抗血小板剤、抗痙攣薬、抗パーキンソン病薬、抗ヒスタミン剤/鎮痒薬、カルシウム調節に有用な薬剤、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗微生物薬、消毒剤、気管支拡張薬、ホルモン、血糖降下薬、脂質低下性の薬剤、タンパク質、核酸、赤血球新生刺激に有用な薬剤、抗潰瘍/抗逆流薬、制嘔吐剤/制吐薬、脂溶性ビタミン、ミトタン、ビサジン、ハロニトロソ尿素、アンスロサイクリン、またはエリプチシンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項23】
薬学的製剤が、プロスシラリジン-A、オレアンドリン、ジギトキシン、ジゴキシン、オドロシド-A、コルヒチン、コルヒチン誘導体、ara-C誘導体、ジフィリン、ジャスティシジン-A、ジフィリン誘導体、クライスタンチンA、クロロキン、アンフォテリシンB、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロスポリン、カンプトセシン、7-エチル-10-ヒドロキシ-カンプトセシン、10-ヒドロキシ-カンプトセシン、カンプトセシン誘導体、ポドフィロトキシン、ポドフィロトキシン誘導体、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ジヒドロ・アルテミシニン、ミトキサントロン、アンフォテリシンB、エポシロン-A、エポシロン-B、エポシロン-C、エポシロン-D、エポシロン誘導体、ベンズ[c]-フェナントリジンアルカロイド誘導体、ケレリトリン・アルカロイド誘導体、またはシスプラチンである、請求項22記載の方法。
【請求項24】
1つまたは複数のリン脂質が、水素付加された大豆ホスファチジルコリン(HSPC)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、モノシアロガンゴリオシド、スフィンゴミエリン(SPM)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、またはジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG)の1つまたは複数を含む、請求項1記載の方法。
【請求項25】
脂質-タンパク質に対する薬学的製剤の比が、約0.0005〜約1(w/w)の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項26】
脂質-タンパク質に対する薬学的製剤の比が、約0.0005〜約0.5(w/w)の範囲である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
脂質-タンパク質に対する薬学的製剤の比が、約0.001〜約0.1(w/w)の範囲である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
脂質製剤が、粒径を減少させるために高ずり応力に供される、請求項1記載の方法。
【請求項29】
脂質製剤が、約220nm未満のサイズを有するナノ粒子を含むものとしてさらに定義される、請求項1記載の方法。
【請求項30】
ナノ粒子が、約80〜160nmの間のサイズを有する、請求項29記載の方法。
【請求項31】
ナノ粒子が、約100〜120nmの間のサイズを有する、請求項30記載の方法。
【請求項32】
親油性の薬学的製剤を含むタンパク質安定化された脂質製剤であって、請求項1〜31のいずれか一項記載の方法によって調製される製剤。
【請求項33】
患者の疾患を治療する方法であって:
(a)疾患の治療用に指示された親油性の薬学的製剤を得る段階;
(b)該薬学的製剤のタンパク質安定化された脂質製剤を調製する段階;および
(c)疾患の治療に有効な脂質製剤の薬学的製剤の量を該患者に投与する段階
を含む方法。
【請求項34】
薬学的製剤のタンパク質安定化された脂質製剤が請求項1に従って調製される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
疾患が高増殖性疾患であり、薬学的製剤が抗高増殖性の薬剤である、請求項33記載の方法。
【請求項36】
製剤が非経口的に投与される、請求項33記載の方法。
【請求項37】
製剤が緩徐な注入または大量瞬時投与によって投与される、請求項36記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−508126(P2006−508126A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−551766(P2004−551766)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/035297
【国際公開番号】WO2004/043363
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(505166395)アザヤ セラピューティクス インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】