説明

薬物送達用治療組成物で被覆上皮に対するもの及びそれを介するもの

重合体フォーム及びフィルムであって、鼻、口腔又は鞘の粘膜、及び唇及び陰嚢の角質化又は非角化上皮に向けられ、及びそれらを介して治療上の薬剤を送達するためのものである。重合体フォーム、又は吸収性若しくは非吸収性のフィルムは、その内部に組み込まれる治療上の薬剤を含み、前記薬剤は、前記フォーム又はフィルムが、鼻、口腔、又は鞘の唇又は陰嚢の表面上皮に配置されると、前記フォーム又はフィルムから放出される。フォーム又はフィルムは、ゲル化、膨張及び分解の制御可能な速度を持ち、及び装置中に予備成形されるか、又はより一層複雑な薬物送達系の表面に対して被膜として塗布される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、鼻、口又は鞘(vaginal)の腔の被覆上皮に対するもの、及びそれらを介するもの、並びに唇(labia)及び陰嚢の上皮を介するもので、治療上の薬剤を搬送するのに適切な治療上の組成物に関する。本発明は、特に、治療上の薬剤及び重合体、更に随意に、粘膜付着性薬剤(mucoadhesive agents)、透過増強物質(penetrations enhancers)、放出修飾物質(release modifiers)及び/又は他の添加剤及び賦形剤が併用されて含まれる組成物に関する。これらの組成物は、治療上の薬剤を中に組み込んで含む、固体構造又は半固形又は液体の調製物の、生分解性又は生物非分解性のフォーム(泡沫)又はフィルムとして調製することができ、前記組成物を、鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮の表面上か、又はその直近に配置した場合に、前記薬剤を放出する。前記組成物に存在する特定の成分の存在に依存して、本発明の組成物は、被覆上皮に対して場所的に作用するか、又はかかる上皮を経由し体循環に搬送されるかのいずれかである。本発明の組成物は、ゲル化、膨張及び分解の制御可能な速度を持つ。組成物は、フォームのタンポン、タンポン様シリンダ、ストリップ、パッド、ピロウ、チューブ、シート、スフィア、タブレット、リング又はビーズ、又は片面又は両面フィルムシート等のような装置中に予備成形されるか、又は前記組成物によって被覆される従来のタンポン、タンポン様装置、ペッサリ、リング、ストリップ、パッド、ピロウ、シート、チューブ、スフィア、タブレット又はビーズのような、第2の成分として、異なる材料から作成される装置を含むより一層複雑な薬物送達系(システム)の表面に、1種の成分として適用されるかのいずれかである。液体組成物を供給し、及び上皮表面上に噴霧することによって迅速にゲル化してフォーム層になる噴霧可能な系として貯蔵する。フィルムは、望ましい形状及び寸法を持つシートとして予備成形されるか、又は粘膜、唇又は陰嚢の上皮表面に噴霧され、それは、その表面でゲル化し、及びフォーム、フィルム、又はゲルを形成するか、又は表面に塗布され、及び鞘、鼻、頬側、陰嚢又は唇の装置のかかる表面を覆い、及び被覆する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景及び関連する開示)
皮膚、陰嚢及び唇の上皮、及び鞘又は鼻及び口の腔を裏打ちする粘膜は、外部環境に対する保護障壁として役立ち、そのために細菌やウイルスが排除され、この経路から体内へ入ることを阻止される。有害な細菌及びウイルスを排除するのに加え、上述の障壁は、また、皮膚、唇、陰嚢又は粘膜に適用される薬品、薬物及び薬理学的な薬剤の排除という点でも極めて有効である。この障壁は数層から構成される。
【0003】
皮膚では、角質層は角化層を現し、表皮は一層の重層扁平上皮細胞から形成され、真皮は、表皮と噛み合う薄い一層の細胞から形成され、及び基底膜は、体循環に至る毛管網を覆う。
【0004】
皮膚と同様に、鼻、鞘又は口の腔、唇及び陰嚢の被覆上皮は、複数層の重層された、扁平上皮によって裏打ちされ、これが、細菌及び他の外来物質を排除するための保護障壁を形成する。鼻、鞘又は口の腔を裏打ちする上皮は、粘液分泌性粘膜の表面を現す。したがって、粘膜とは、体腔や導管を裏打ちする粘液分泌膜である。唇は、非粘膜性の非角質化上皮によって形成される。陰嚢は、皮膚の角質層とは同じでない、非粘膜性のやや角化した上皮によって形成される。
【0005】
細菌、ウイルス及び種々の化学薬品の侵入を阻止する障壁が存在するために、これらの組織を経由して薬理学的な薬剤を搬送しようとすると問題が生じる。鼻、頬側又は鞘の投薬の治療上の効果は、今日まで、主に外部又は内部の局所的使用に制限されていた。したがって、局所的、又は鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮を介して体循環に向け、便利に、効率的に及び実際的に薬物送達を可能とする組成物が提供されることは、有利である。
【0006】
皮膚障壁を介する薬理学的な薬剤の通過を可能とするために、これらの障壁を介する透過を高める化合物を発見し、及び/又は開発するための試みがなされた。これらの透過増強物質の最もよく知られるものはジメチルスルホキシド(DMSO)である。DMSOは、速やかに細胞膜の特性を変えて、物質が細胞の間、細胞の中に、又は細胞を経由して通過することを可能にする能力を持つ。これらの独特の特性は、この化合物を、実験室において、透過増強物質として、及び細胞凍結のための凍結保護物質として有用なものにする。残念なことに、DMSOはヒトへの使用には安全ではなく、及び米国食品医薬品局によってヒトへの使用が禁止されている。
【0007】
第2の皮膚浸透増強物質は、エトキシジグリコール(ethoxydiglycol)であり、その商品名トランスクトール〔TRANSCUTOLR(商標)〕で知られ、近年開発され、及び局所使用のために導入され、主に、皮膚の日焼け剤を、皮膚の表皮中に、及び真皮層中に搬送するのを促進するために使用されている。
【0008】
クロナゼパムの経皮搬送のための浸透増強物質としてのエトキシジグリコールのインビトロ評価が記載されている(例えば、非特許文献1)。この刊行物は、エトキシジグリコール単独、又はプロピレングリコールとの併用における、人工膜及びカルボポル(carbopol)ヒドロゲルからの摘出された(生体外)のラビットの耳皮膚を介するクロナゼパムの影響を評価する。この論文は、調剤物(formulation)中のエトキシジグリコールの含量の関数として、皮膚を介する薬物の浸透の増加を記載し、及び透過性及び担体の特性を持つプロピレングリコールと組み合わせた場合、エトキシジグリコールがクロナゼパムのための良好な促進性担体であり、及び皮膚中への及び皮膚を横切る薬物の流動を増加させることを結論付けている。
【0009】
しかしながら、最近まで、エトキシジグリコールは、鼻、頬及び鞘の粘膜を横切るか、又は唇又は陰嚢を介して体循環中への薬物の貫粘膜送達のために用いられていないか、又はそれを促進することが示されていないか、又はかかる特性を持つことが記載されていない。経鞘送達を促進するエトキシジグリコールの先の使用は、本発明者によって開示されたもので、及びかかる使用は、特許等(例えば、特許文献1〜6参照)に記載してあり、すべてを参考として本明細書に組み込む。
【非特許文献1】European J. Pharm. Sci.(欧州薬学誌)、9:365-372(2000年)
【特許文献1】米国特許第6,086,909号
【特許文献2】米国特許第6,197,327 B1号
【特許文献3】米国特許第6,416,779 B1号
【特許文献4】米国特許第6,572,874 B1号
【特許文献5】係属出願番号第10/226,667号、2002年8月21日出願
【特許文献6】係属出願番号第10/349,029号、2003年1月22日出願
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの特許及び出願は粘膜及び貫粘膜の薬物送達を記述する一方で、これらの組成物は、調製するとき、有効で、便利で、実際的で、単純で、機能的で、柔らかく及び馴染み易く、非侵入的であり、噴霧性とするとき、陰嚢、唇、鞘、口腔、又は鼻の上皮の表面に簡単に確立され、又はフォーム及びフィルムとして調製するとき、乾燥してフィルム状にされ、及び角質化及び非角化上皮の表面に簡単に確立されるという利点を提供するが、それらの特許等は、生分解性又は非分解性組成物を使うかかる送達を綿密に記述してはいない。
【0011】
したがって、唇、陰嚢、鞘、鼻又は口の腔の角質化又は非角化上皮に対する薬理学的な薬剤の送達を促進し、及びこれらの組織の局所的な又はそれらを介する全身的な(general)体循環への薬理学的に活性な薬剤の接近を容易にする利用可能な治療上の組成物を持つことは有利である。
【0012】
最近、鞘粘膜を介して子宮に薬物を送達するための経鞘組成物が発見され、及び特許文献1、3、4及び2に記載されている。これらの組成物は、典型的には、経粘膜調剤物として、好ましくは、前記経粘膜調剤物を組み込まれる装置として調製される。
【0013】
今回、特別に調剤される組成物、特に、固体、半固形又は液状のフォーム又はフィルムに調剤されるものが、鼻、頬、鞘、唇又は陰嚢の上皮を介する全身的な循環に流入する、経唇、経陰嚢又は経粘膜薬物送達を有効に防止する前述の保護障壁によって起こる一般に観察される諸問題を克服することができことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明の目的は、鼻、口、又は鞘の腔、及び唇及び陰嚢を裏打ちする角質化及び非角化上皮に対する治療上の薬剤の送達のための、及びそれらを介するもののための治療上有用な組成物を提供することである。かかる送達には、調製されるとき、柔らかく、馴染み易く、及び非侵入的で、及び陰嚢、唇、鼻、口腔、又は鞘の腔の表面に簡単に適合可能な、生分解性又は非分解性のフォーム及びフィルムの調剤物に形成される組成物が包含される。
【0015】
本明細書に言及するすべての特許、特許出願及び刊行物は、参考として本明細書に組み込む。
【0016】
(発明の概要)
本発明の1つの局面は、固体、半固形、又は液状の調剤物として、異なる剛性及び粘性の生分解性又は非分解性のフォーム又はフィルムに調剤される、少なくとも1種の基材重合体化合物又はその混合物、及び治療上有効な薬剤を含む治療上有用な組成物である。
【0017】
この発明の別の局面は、生分解性又は非分解性の、固体、半固形又は液状のフォーム又はフィルムに調剤される基材重合体を含む治療上の組成物であり、前記組成物は、付加的に、粘膜付着性薬剤、放出修飾物質、透過増強物質、吸着促進物質(sorption promoter)及び/又は別の薬理学的に許容可能な賦形剤及び添加剤を含む。
【0018】
本発明の更に別の局面は、場所的で局所のか、又は全身的な循環に向けての、鞘、鼻、口腔、唇、陰嚢の局所的なか、又は経上皮的な治療上有効な薬剤の送達のために特に適切な、重合体性のフォーム又はフィルムの組成物である。
【0019】
本発明の更にもう1つの局面は、重合体性のフォーム又はフィルムの組成物であり、抗炎症剤、局所麻酔剤、カルシウムチャネル拮抗剤、カリウムチャネル遮断剤(blockers)、β-アドレナリン性作用剤、血管拡張剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤(anti-fungal)、抗精神病剤、抗骨粗しょう剤、抗片頭痛剤、抗HIV剤、抗てんかん剤、抗新生物性剤、化学療法剤、抗-精神病薬、抗神経発生剤(anti-neurogenerative agents)、オピオイド鎮痛剤、及びタンパク質及びペプチドのような、生物工学的に導かれる薬理学的な薬剤からなる群より選ばれる治療上有効な薬剤をその中に組み込んで持つ。
【0020】
本発明の更に別の局面は、局所的にか、又は全身的に、全体の血液循環に対して、治療上の薬剤を送達するための重合体性の生物-分解性又は非分解性のフォーム又はフィルムの組成物を用いるための方法であり、ここでは、前記組成物は、抗炎症剤、局所麻酔剤、カルシウムチャネル拮抗剤、カリウムチャネル遮断剤、β-アドレナリン性作用剤、血管拡張剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤、抗精神病剤、抗骨粗しょう剤、抗てんかん剤、抗-精神病薬、抗神経発生剤、抗片頭痛剤、抗HIV剤、抗新生物性剤、及び化学療法性薬剤、及びタンパク質及びペプチドのような生物工学的に導かれる薬理学的な薬剤からなる群より選ばれる治療上有効な薬剤を含む。
【0021】
本発明の更にもう1つの局面は、鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮に向ける、及び/又はそれらを介する、治療上の薬剤を送達するための、生分解性又は非分解性の粘膜性、経粘膜性、唇性、経唇性、陰嚢性及び経陰嚢性のフォーム又はフィルムの組成物であり、前記組成物は、約1から約95%までが、微結晶性セルロース、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジビニルグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコライド(polyglycolide)、ポリメタクリル酸、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸塩(グルタメート)、ポリプロピレンフマル酸塩(フマレート)、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリブチレンテレフタル酸塩(テレフタラート)、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリ-1-ビニル2-ピロリジノン(pyrrolidinone)、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、ポリスチレン-ジビニルベンゼン、ポリ-ビス(p-カルボキシ-フェノキシプロパン)-コ-セバシン酸のようなポリ無水化物、ポリヒドロキシアルカン酸塩(アルカノアート)、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸塩(ブチラート)、ポリ-β-ブチロラクトン、アルキル置換シリカゲル、テトラエチルオルトケイ酸塩(シリケート)、ジメチルジエトキシシラン、ペクチン、コラーゲン、又はそれらの混合物からなる群より選ばれる重合体からなり、そこで、前記組成物は、タンポン、タンポン様シリンダ、ストリップ、パッド、ピロウ、チューブ、フィルム、シート、スフィア、タブレット、リング又はビーズのような装置中に予備成形されるフォームに調製されるか、又はフィルムとして調製され、又は1種の成分として、より一層複雑な薬物送達系に組み込まれるか、又はその表面に適用され、その薬物送達系は、第2の成分として、従来のタンポン、タンポン様装置、ペッサリ、リング、ストリップ、パッド、ピロウ、シート、チューブ、スフィア、タブレット又はビーズのような、異なる材料から作成される装置を含み、これらは前記フォーム又はフィルムによって部分的にか、又は全体的に覆われるか、又は被覆され、そこでは、前記組成物は、固体、半固形又は液状の調製物として供給され、及び貯蔵され、この調製物は、上皮組織又は装置の表面に接触すると、その物理的外観を維持するか、又は急速に変えて、投与の部位での解剖学的な及び治療上の要求に適応する。
【0022】
本発明のなおもう1つの局面は、薬理学的に有効な薬剤の単独での投与のためか、又は鼻、口又は鞘の腔への挿入のための装置に組み込んでか、又は唇又は陰嚢に近接して設置される、フォームタブレット又は溶解性フォームタブレットである。
【0023】
本発明の更にもう1つの局面は、鼻、口腔、鞘、唇又は陰嚢の上皮の表面上に配置するのに適切な薬理学的に有効な薬剤を含む生分解性又は非分解性のフィルムである。
【0024】
(定義)
本明細書で用いるように:
“被覆上皮”は、本体の外表面を覆うか、又は腔を裏打ちする複数の層において、細胞が構築された組織を意味する。組織学的には、上皮組織は、被覆上皮及び腺上皮に分けることができる。本発明は、鼻、頬及び鞘の上皮のような被覆粘液分泌性上皮のみならず、被覆される唇及び陰嚢の角化上皮にも関する。
“粘膜性(粘膜に関する)”は、薬物の場所的な鞘、鼻又は頬の粘液分泌性上皮に対する送達を意味する。
“経粘膜性”は薬物の全身的な鞘、鼻又は頬の粘液分泌上皮を介する体循環への送達を意味する。
“頬側(口腔)性”は薬理学的な薬剤の口腔を裏打ちする粘膜に対する送達を意味する。
“唇性”は薬理学的な薬剤の場所的な唇に対する送達を意味する。
“経唇性”は薬理学的な薬剤の全身的な非粘膜性の非角化唇上皮を介する体循環への送達を意味する。
“陰嚢性”は薬物の場所的な陰嚢に対する送達を意味する。
“経陰嚢性”は薬物の全身的な陰嚢の非粘膜性の軽度に角質化した上皮を介する体循環への送達を意味する。
“角化”は角質化組織を意味する。
“薬剤”、“薬理学的に有効な薬剤”、“薬理学的に許容可能な薬剤”、“薬理学的な薬剤”、“活性な薬理学的に許容可能な薬剤”又は“薬物”は、ヒト対象を含む哺乳動物に対し、粘膜性又は唇性又は陰嚢性上皮を介して投与されるとき、生物学的か、又は治療上の効果を誘発する、自然のか、又は合成の化学的化合物を意味する。
“薬学的な薬剤”又は“薬学的に許容可能な薬剤”は賦形剤を意味し、典型的には、薬理学的に不活性である。
“放出修飾物質”又は“担体”は、薬物の組成物から放出を支援することが可能な化合物を意味する。
“アルギン酸”はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウム塩のようなその塩を意味する。
“非イオン化性グリコール誘導体”は、脂肪性グリコールの合成でか、又は非自然的に(non-naturally)生じる、複合物(conjugate)、又は商標名TRANSCUTOLRの下で知られているエトキシジグリコールのような、脂肪性グリコールと脂肪族又は芳香族アルコール又はエーテルとの複合物、又はそれらの混合物を意味する。
“TRANSCUTOLR”は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルの名の下でも知られるエトキシジグリコールを意味する。
“AVICELR(アビセル)”は公称サイズ50ミクロン(μm)の微結晶性セルロースを意味し、FMC Biopolymers(バイオ重合体社)から商業上入手できる。
“NOVEONR(ノベオン)”はジビニルグリコールによって架橋されるポリカルボフィル又はポリアクリル酸を意味する。
“ポロクサマー(Poloxamer)”は、エチレンオキシド-プロピレンオキシドのブロック共重合体の1族を意味し、また、ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンの共重合体として知られる。
“カルボポル”は、ポリアルケニルポリエーテルを用い軽度に架橋されるポリアクリル酸重合体を意味し、B. F. Goodrich(グッドリッチ社)から商業上入手できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(発明の詳細な記載)
本発明は、治療上有用な生分解性又は非分解性のフォーム又はフィルムの組成物、及び治療上の薬剤を、鼻、頬、鞘、唇又は陰嚢の上皮に対して、及びそれを横切って全身的な体循環中に、局所的に上皮にか、又は経上皮により送達するための方法を記載する。
【0026】
本発明のフォーム又はフィルムの組成物は、薬理学的に活性な薬剤を、鞘、鼻又は頬側の上皮に対して場所的に直接か、又は鞘、鼻、頬側、唇又は陰嚢の上皮の透過を介する全身的な体循環に向けて、有効に送達するのを可能にする。この新しい組成物は、新しい送達経路と併用して、薬剤の不活性化を招くことが多い経口投与とか、又は注入を必要とする侵襲的な静脈内、筋肉内、皮膚又は皮下の経路の送達、医師の診察室への訪問及び/又は医療担当者の介助とに関連する問題点を回避する。
【0027】
鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の局所的な上皮性、又は経上皮性の投与からなるこの新しく発見された経路は、非侵襲的であり、医療担当者の介助又は医師の診察室への訪問を要せず、経口的送達にとって必要とされる薬物の過剰投与量の必要を排除し、及び全ての点でより一層便利で、実際的で、かつ経済的である。本発明による、鞘、鼻、頬側、唇又は陰嚢の上皮を横断する薬物の経上皮的送達は、消化管吸収、肝臓代謝及び腎臓不活性化を迂回し、薬物を、場所的にか、又は直接的に全身の血液循環に送達する。さらに、フォーム又はフィルムの組成物は、著しく実際的で、非侵入的で及び適合性であり、なぜなら、それらは、柔らかく、及び馴染み易く、及び組織表面に簡単に適合可能だからである。
【0028】
フォーム組成物は、生分解性又は非分解性のいずれかでよく、及び組織表面の輪郭を簡単になぞる、構造的フォームに予備成形することができる。フィルム組成物は、単独で、鼻、頬側、鞘又は唇の、1層又は多層の片面又は両面のフィルム挿入体として便利に用いられるか、又は陰嚢及び他の組織表面上に設置又は噴霧されるか、又は非フィルム性装置に対する被膜として、更にはフォーム装置上の被膜としても用いることができる。
【0029】
さらに、本発明の組成物は、それらの処理と相俟ったその成分の化学的特性により、可変の薬物安定性、可溶性及び組織への吸収性を有する薬物のように、可変の化学的特性を有する薬物の送達を促進し、及び可能とし、及びこれらの薬物のより一層高い投与量の投与で観察される副作用の排除を可能とするが、その理由は、薬物が、組成物の粘膜付着性、接着性及び透過性の特性によって支援され、場所的にか、又は血液循環中に直接的に送達されるからである。これらの可変の化学的特性は、粘膜付着剤又は放出修飾性薬剤、典型的に、親水性又は疎水性の重合体を、単独でか、又は別の重合体と併用して、及び/又は更に、薬物に依存して、適切な透過増強物質又は吸着促進物質及び/又は放出修飾物質と併用して作用する化合物の存在に依存する。
【0030】
(I. 治療組成物)
本発明に従う治療上の組成物は、親水性又は疎水性の重合体成分、好ましくは、親水性重合体成分を本質的に含み、薬理学的に有効な薬剤と併用され、前記組み合わせは、重合体のフォーム又はフィルムに加工される。この組み合わせは、治療上の薬剤を、鼻、口腔又は鞘の粘膜上皮に向けて、及びそれらを介して、並びに唇及び陰嚢の非角化又は軽度に角化した上皮を介して、効果的に送達することを見出した。フォーム又はフィルム中に組み込まれる治療上の薬剤は、前記組成物を鞘、鼻又は口腔の粘膜上皮及び唇及び陰嚢の上皮の表面に配置する際、前記組成物から放出され、及び場所的にか、又は組織を貫通して作用するか、又はその両方である。本発明にかかるフォーム又はフィルムは、ゲル化、膨張及び分解の調節可能な速度を持つ。
【0031】
本発明のフォーム又はフィルムの組成物は、少なくとも2種の成分であって、すなわち、重合体、好ましくは、親水性重合体又はその混合物で、それは、典型的には、粘膜付着性又は担体の特性を持つもの、及び治療上の薬剤又はその混合物を含むが、付加的に、別の粘膜付着性薬剤、放出修飾物質、透過増強物質、吸着促進物質及び/又は別の薬学的に許容可能な賦形剤及び添加剤を含んでもよい。
【0032】
本発明のフォーム又はフィルム組成物は、治療上の薬剤を、場所的にか、又は全体的な循環に対して、局所的な、及び経上皮性の鞘、鼻、頬側、唇及び陰嚢の送達にとって特に適切である。代表的な治療上の薬剤は、抗炎症剤、局所麻酔剤、カルシウムチャネル拮抗剤、カリウムチャネル遮断剤、β-アドレナリン性作用剤、血管拡張剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗カビ剤、抗精神病剤、抗骨粗しょう剤、抗片頭痛剤、抗HIV剤、抗新生物性剤、抗てんかん剤、抗神経変性剤及び化学療法性剤、及びタンパク質及びペプチドのような生物工学的に導かれる薬理学的な薬剤である。
【0033】
本発明の組成物は、好ましくは、固体、半固形又は液状のフォーム又はフィルムに調剤される。
【0034】
(A. フォーム調剤物)
薬理学的な薬剤の送達のために適切なフォーム調剤物は、特定の形状の固体構造物又は半固形又は液状の調製物中に予備成形されるフォームを含み、それは、上皮組織又は装置の表面に接触してフォーム層を形成する。薬理学的に有効な薬剤は、フォーム形成前か、又は予め作製される重合体性フォームの骨格の内部孔又はフォーム又はフィルムの被膜又は表面の被覆によって組み込むことができる。
【0035】
薬物及び他の添加剤は、予め作製される重合体性のフォームの骨格に対し、塩化メチレン又はエタノール中の薬物又は添加剤の希釈溶液をフォームに噴霧することによって添加することができる。好ましくは、溶液の量、温度、及び周囲の空気速度を、溶液が、フォーム内部にか、又はその表面に吸収される直後に溶媒が蒸発するように選ぶ。この処理は、丸剤に被膜を塗布するときに用いられるものと同様である。
【0036】
フォームの1グラム当たりに適用される溶液の容量は、フォームの実質的部分が被覆されるように選ばれる。適切な溶液容量を決めたならば、薬物濃度は、単位重量又は単位容量当たりの望ましい薬物投与量が得られるように選ばれる。
【0037】
あるいはまた、薬物及び添加剤は乳剤(emulsion、乳濁液)被覆によって組み込むことができ、その場合、重合体溶液において調製される油中水型又は水中油型乳濁液を、真空の適用によって、予め作製されるフォームの骨格を通して押し出す。溶媒の蒸発後、次いで、薬物及び添加剤を含有する重合体フィルムを、多孔性骨格の表面上に堆積させる。この乳剤被覆の処理パラメータはこの技術の熟練のものに既知であり、及び骨格構造の内部からの薬理学的な薬剤の安定性及び放出を最適化するのに要求される、任意の種類の処理、添加剤及び設備は、本発明の範囲内であると意図される。
【0038】
(1. フォームの作製)
本発明は、鼻、頬側、鞘、唇及び陰嚢の角化及び非角化上皮に向けて、及びそれらを介して治療上の薬剤を送達するのに適切なフォーム組成物に関する。固体、半固形又は液状構造を有する生分解性又は非分解性のフォームの前記組成物は、この技術で既知の処理によって、これは重合体の基材に多孔性を導入するもので、すなわち、凍結乾燥、通気、フリーズドライ法、炭化水素型取り(hydrocarbon templating)、塩又は粒子浸出(leaching)、ゲル又は溶媒流延(casting)、気体膨脹、焼結、高い内相乳濁液(high internal phase emulsion)の重合、及び3次元重合体印刷(polymer printing)のような、自由形態作製技術によって調製することができる。フォームを作製するのに最も好ましい処理は凍結乾燥であり、これを以下に詳述する。本発明に含まれるフォームの作製に用いることができる処理の運用の例は以前に開示されている。例えば、Proc. Natl. Acad. Sci. USA,(プロシーディングス・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ) 97, 1970-1975 (2000年); Polymer(重合体), 35, 1068-1077 (1994); J. Biomat. Sci. Polym. Ed.(ジャーナル・オブ・バイオマテリアルズ・サイエンス-重合体・エディション), 7, 23-28 (1995); Biomaterials(バイオマテリアルズ), 17, 1417-1422 (1996); J. Biomed. Mat. Res.(ジャーナル・オブ・バイオメディカル・マテリアルズ・リサーチ), 30, 449-461 (1996); J. Controlled Rel.(ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース), 40, 77-87 (1996); Biomaterials, 24, 3133-3137 (2003)及びJ. Controlled Rel., 87, 57-68 (2003)を参照。
【0039】
凍結乾燥フォームは、各種の重合体から、好ましくは、親水性重合体から製造するのが可能な、連続気泡の、高い表面積の、生分解性又は非分解性の構築物である。フォーム材料は、それらの意図する用途に従って合わせられる化学的及び物理的特性を調整することによって特徴付けられる。
【0040】
整調できる(tuneable)特性には、親水性、流体吸収の速度、分解プロファイル及び溶解速度、その尺度は、フォームが完全に消失するのに必要な時間である、が包含される。フォーム又はフィルムの薬物放出、水分取り込み(摂取)及び溶解を図1〜3に例示する。
【0041】
したがって、本発明は、水和して速やかにゲルを形成し、及び比較的広い面積にわたり拡散することが可能なフォームであることができる。本発明はまた、水和してゲルを緩徐に形成し、及び数時間又は数日にわたって治療上の薬剤の持続的放出を提供するフォームであることもできる。これらの特性は、図1及び3で見られるように、重合体、重合体の互いに対し、又は薬物に対してか、及び/又は添加剤に対する比率を変えることによって有利に修飾することができる。
【0042】
典型的には、凍結乾燥フォームは、以下の区分Cにおいて挙げるように、基材物質として働く適切な重合体、好ましくは、親水性重合体、又はその混合物を、メタノール、エタノール、グリセリン、メチレン、塩化物、プロピレングリコール、炭酸プロピレン、グリコフロール、セチルアルコール、ジフルオルエタン(difluroethane, difluoroethane)及びイソプロピルアルコールのような、水性又は非水性溶媒、好ましくは、精製水において、1から10%(w/w)までの溶液を調製するのに必要な量において溶解することによって調製される。あるいはまた、薬物及び添加剤を有する重合体性の溶液は、酢酸、シクロヘキサン、アセトニトリル、tert-ブタノール、エタノール、及びイソプロパノール中でか、又は水性又は非水性溶媒の混合物において調製することができる。
【0043】
組成物は、選定される薬理学的な薬剤又は2種又はそれよりも多い種類のかかる薬剤の混合物の、約0.01から約2000mg又はそれよりも多くまでの適切な量を、適切な溶媒、好ましくは、精製水中に溶解し、この溶液を重合体の溶液と一緒に、約10分から約数時間まで、好ましくは、約15〜60分間混合し、前記混合物を、約-60℃から約-100℃までで、好ましくは、約-80℃で、望ましい形状に、例えば、前記混合物を、凍結前に、望ましい形状のバイアル、パン、プレート、チューブ、等にか、又はフォームのシートに注ぐことによって凍結し、及び凍結するとき、前記シートを望ましい形状の構造物に切断し、及び前記凍結混合物を、任意の種類の適切な凍結乾燥機又は凍結乾燥設備の使用によって凍結乾燥することによって調製される。凍結乾燥の条件及び機器及び設備はこの技術で既知であり、及び任意の種類の凍結乾燥処理又は設備が本発明の範囲内にあると意図される。
【0044】
典型的には、重合体又は重合体混合物及び薬物溶液を、前述したように、まず、少なくとも15分間、及び典型的には少なくとも30分間、完成する凍結乾燥フォームにとって望ましい形状及び寸法の形態において凍結する。水溶液の場合、凍結温度は0℃から-80℃及び好ましくは-10℃未満である。凍結後、凍結試料を、型から、随意に短時間、型の外面を温めることによって取り出すか、又は除去する。凍結試料を、予め溶媒の凝固点未満の温度に冷却されるトレーに移す。次いで、減圧下に、試料を、0℃から-80℃までで、及び好ましくは-20℃未満で、約48時間から約144時間まで、凍結乾燥(フリーズ-ドライ)によってフォームに転換する。フォーム又はフィルムの厚さ及び組成に応じてより一層短い時間又はより一層多い時間が必要とされることがある。水分を排除した後、フォーム又はフィルムを、室温にまで、典型的には、まだ減圧下にある間に、温める。この手法は、治療上有用なフォーム又はフィルムを生じさせ、その内部に組み込まれる薬剤を含む。
【0045】
別選択として、独立気泡フォームを通気処理によって調製することができる。この処理では、重合体溶液を、Oakes(オークス)ミキサのような混合機において、高せん断力混合羽根によって急速に混合する一方、空気又は別の気体を注入する。得られるフォームを、鋳型中に計量するか、又は基材フィルム上に薄層として広げることができる。次いで、フォームを、周囲条件の下、又は加熱を用いて乾燥させることができる。
【0046】
あるいはまた、上記フォームを前述の手法に従って凍結し、及び凍結乾燥することができる。
【0047】
(2. 生分解性及び非分解性のフォーム)
1具体例において、本発明は、鼻、頬側、鞘、唇、及び陰嚢上皮に向けてか、又はそれらを介して治療上の薬剤を送達するためのフォームに調剤される組成物に関する。本発明のフォームの物理的及び化学的特性は、それらの意図する使用を最適化するように調整することができ、このことは、前記組成物を用い、フォーム中に組み込まれる薬理学的に活性な薬剤の放出速度を制御することによって達成される。送達装置からの薬物の放出は、拡散又は侵食によってか、又は両者の併用によって起こり得、薬剤の、鼻、頬側、鞘、唇、又は陰嚢の上皮に対してか、又はそれらを介する、直接的にか、制御されたか、又はパルス状の送達が導かれる。
【0048】
薬物放出の速度は、薬物の物理化学的特性、フォームの組成、及び投与の部位での周囲の媒質に依存し、そこでは、pH、イオン強度、温度、緩衝能、酵素活性、及び細胞活性が、影響を持つ変数のほんのわずかの例である。
【0049】
フォームの骨格は、投与の部位での、各種機構によってより一層小さな単位又は重合体への分解を受ける組成物から作製されるが、生分解性系として分類される。生分解性重合体は、好ましくは、塊又は表面の侵食によって薬物放出を可能とするように設計されており、及びこれらには、天然及び合成重合体の単独、又は代表的ではあるが制限的ではない例の、アルギン酸塩(アルギネート)、デキストラン、セルロース、コラーゲン、及びそれらの化学的誘導体のような多糖類、アルブミン及びゼラチンのようなタンパク質及びそれらの共重合体及びブレンド、ポリラクチド、ポリグリコリド及びその共重合体(コ-ポリマー)、ポリエチレンテレフタル酸塩、ポリブチル酸、ポリ吉草酸(polyvaleric acid)、ポリラクチド-コ-カプロラクトン、ポリ無水物(polyanhydride)、ポリオルトエステルのようなポリヒドロキシ酸、及びそれらのブレンド及びコ-ポリマーとの併用が包含される。
【0050】
本発明における非分解性フォーム系は、組成物が投与の部位での送達系の3次元的機能の破壊に抵抗し、薬物の放出を主として組成物からの拡散によって可能とするシステムである。単独か、又は生分解性重合体と組み合わせて用いて、本発明によって記載されるような望ましい特徴を有するフォーム組成物を作製することが可能な、非分解性重合体の代表的ではあるが制限的ではない例には、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ポリビニル、ポリメタクリル酸、及びそれらの誘導体の単独又はそれらのコ-ポリマー性混合物が包含される。
【0051】
(3. フォームの形状)
フォーム組成物は、この技術で既知の適切な処理を用いて、ある範囲の寸法、及びフォームフィルム、ピロウ、チューブ、シリンダ、スフィア、タブレット、リング、ビーズ又は任意の他の望ましい形状を含む様々な形状において、凍結乾燥によって調製することができ、それらは、重合体基質において多孔性を導入するもので、すなわち、凍結乾燥、通気又はフリーズドライ、炭化水素型取り、塩又は粒子浸出、ゲル又は溶媒流延、気体膨脹、焼結、高い内相乳濁液の重合、及び3次元重合体印刷のような自由形態作製技術である。
【0052】
フォームは、タンポン、タンポン様シリンダ、ストリップ、パッド、ピロウ、チューブ、フィルム、シート、スフィア、タブレット、リング、ビーズ又は任意の他の望ましいと考えられる形状のような装置として予備成形されるか、又は1成分として、より一層複雑な薬物送達系の表面に適用され、これは、第2成分として、例えば、前記フォームによって覆われる、通常の鞘タンポン、タンポン様装置、ペッサリ、リング、ストリップ、パッド、ピロウ、シート、チューブ、スフィア、タブレット又はビーズのような異なる材料から作成される装置を含む。
【0053】
薬物含有フォームは、薬物がフォームの中に組み込まれ、及びフォームの1部分である独立型薬物送達プラットフォームとして利用することができ、又はそれらは、座剤、タンポン、又はタンポン様装置をも包含し得るより一層複雑な薬物送達系の1成分として用いることができる。薬物は、固体、半固形、又は液状構造のフォーム形成前に、組成物中に組み込むことができ、又はそれは、予め作製される重合体フォーム骨格の内部孔又は表面の部分的にか、又は全体的な被覆によって組み込むことができる。
【0054】
薬物を堆積させるのに好ましい経路は、濃縮薬物溶液を用いフォームを噴霧することであり、次いで、溶媒を乾燥させることである。
【0055】
薬物及び他の添加剤は、塩化メチレン又はエタノールにおける薬物又は添加剤の希薄溶液を用いるフォームの噴霧によって、凍結乾燥フォームに添加することができる。好ましくは、溶液の量、温度及び周囲気流速度は、溶液がフォーム内部に吸収された直後に溶媒を蒸発させるようなものである。この処理は、丸剤に被膜を塗布するときに用いられる工程と同様である。
【0056】
フォーム1グラム当たりに適用される溶液の容量は、フォームの実質的部分が被覆されるように選ばれるべきである。適切な溶液容量を決めたならば、薬物濃度を、単位重量又は単位容量当たりの望ましい薬物投与量が得られるように選定する。
【0057】
あるいはまた、好ましさは劣るが、薬物溶液をフォームの上にノズルによって計量することができる。この方法は、前述の噴霧法のものに比べ、被覆度の均一性が低く、及び溶媒除去も遅くなる。
【0058】
(4. フォームからの薬物の放出)
使用の際、予備成形されるフォーム装置は、鼻、口、鞘の腔におけるか、又は唇及び陰嚢を覆う上皮に近接して設置されるか、又は投与直後に多孔性フォーム構造を生成する適切な組成物を用い、例えば、噴霧可能な又はゲル化可能な組成物を用いて、望ましい投与の部位でのインシトゥにおいてフォームが形成される。接触の時間は、薬物の望ましい治療上の作用、及びフォーム組成物からの薬剤の放出プロファイルによって定められる。上皮との最も好ましい接触は、インビボ配置後少なくとも2時間である。薬理学的に活性な薬剤の最適な放出は、本発明の教示により、72時間までに達することができる。より一層長い薬物放出が、長期の持続性(徐放性)の延長性薬物放出を可能とする重合体及び/又は添加剤の混合物を利用することによって可能である。
【0059】
放出プロファイルは、当業者に明らかなように、組み込まれる重合体及び他の添加剤の組成を変えることによって、それは多孔性及び密度に影響を及ぼし、並びに装置の寸法を変えることによって制御される。生分解性フォーム系は、投与の部位での成分との相互作用によりより一層小さい単位に崩壊を開始する。装置の破壊が起こるにつれて、薬物は、即時の、制御されたか、又はパルス状の放出速度論に従ってフォームから放出される。
【0060】
好ましくは、活性な原料を上皮との接触後少なくとも8時間連続的に放出させる。パルス状放出が最初の数時間望まれることがあり、その後最大72時間までより一層緩徐な“維持”放出が続く。同様の薬物送達プロファイルは、生物非分解性フォーム系を用いて達成することができるが、この場合、薬理学的に活性な薬剤の上皮組織に向けたか、又はこれを介する送達の速度は、主として溶解によって制御される。
【0061】
本発明にかかる装置は、良好な付着特性を持ち、投与部位での上皮との密接な接触を維持する。付着には、本装置における重合体組成物と、水又はイオンのような、投与部位での成分との相互作用を必要とすることがある。
【0062】
あるいはまた、本発明におけるフォーム組成物は、投与後に、装置の固有の付着特性を促進する賦形剤を含んでよい。装置の付着は、使われるとき、装置の位置決めを確保するのを可能とし、及び疾病の治療に有利な時間枠にわたる活性な薬剤の望ましい送達を確実にする。
【0063】
活性な原料は、本質的に投与された上皮の表面に影響を及ぼし、これが疾病の局所的又は場所的な処置をもたらすか、又はあるいは、1次作用が、投与部位とは明らかに分離される治療上の標的で起こり、及び従って、上皮組織を横切って体循環に移送される活性な薬剤の全身的な分布に依存することもある。鞘上皮を覆う粘液層と接触すると、凍結乾燥フォームは先ず流体を吸着し、これは、溶解によって活性薬剤の放出を開始し、及び同時に、フォーム構造のゲルへの分解処理を支持し、このゲルは、更に溶液に溶解するのに先立つ長期間の間、スマトリプタンを送達するのに良好な構造的完全性を保持する。この特長は、装置の付着を容易にし、及び活性原料の送達速度の制御を助ける。
【0064】
本発明にかかる装置に求められ、フォーム又はフィルム装置構造がもはや明らかでなくなる時点まで、液体に対する実質的な溶解を達する時間は、溶解時間と呼ばれ、及びこれは、インビトロ溶解技術を用いて定めることができる。完全溶解時点で、生分解性フォームは、鼻汁、唾液又は鞘流体内のより一層小さい重合体単位として完全に拡散される。したがって、装置を除去する必要は無く、及び鼻、頬側又は鞘の腔からの正常な排出が、生理的な鞘分泌の連続流によって完了される。
【0065】
溶解パターン及び水分摂取は図3で見られる。本発明にかかるフォーム又はフィルムからの薬物放出は制御可能であり、及び設計によって変化させることができる。具体的には、特定の重合体は、フォーム又はゲルへのより一層速い水分摂取を可能とし、より一層速い薬物放出をもたらす。他の重合体又は混合物、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものは、より一層緩徐な水分摂取、及び薬物放出速度の低下に寄与する。水分摂取の速度はフォームの薬物放出の性能を示す1種の指標である。フォームから水分摂取速度を定めるために、微結晶性セルロース(Avicel)及びHPMCを単独で又は併用して評価した。この検討のためのに、フォームを例5〜7に従って調製した。
【0066】
(B. フィルム組成物)
1具体例では、本発明は、治療上の薬剤の、局所的な、又は経上皮的な、鞘、頬側、鼻、唇又は陰嚢の送達のためのフィルムに調剤される重合体に関する。本発明の重合体フィルムは、フィルムに加工される、様々な重合体溶液から調製される広い表面積のシートである。
【0067】
フォームと同様、本発明のフィルムは、それらの意図される用途に従い調整が可能な制御された化学的及び物理的特性によって特徴付けられる。整調できる特性には、親水性、流体吸収の速度、及び溶解速度を含む分解プロファイルが包含される。したがって、本発明のフィルムは、溶解又は侵食、又はこれらの機構の組み合わせによって、活性原料を放出し、これらの機構は、フィルム組成物と、投与部位での、流体及びイオンを含むが、それらに制限されない成分との相互作用に依存する場合がある。このことは、フィルムの望ましい生物付着特性を達成し、及び薬剤の放出速度を、数時間又は数日間の治療内容(therapeutic regimen)によって求められるように調節する。
【0068】
典型的に、フィルムは、以下に挙げるような、基材物質として働く、適切な重合体、好ましくは親水性重合体、又はその混合物を、約1から約10%(w/w)までの溶液を調製するのに必要な量で、メタノール、エタノール、グリセリン、メチレン、塩化物、プロピレングリコール、炭酸プロピレン、グリコフロール、セチルアルコール、ジフルオルエタン及びイソプロピルアルコール、好ましくは精製水のような、水性又は非水性溶媒において、溶解することによって調製される。次いで、選定される薬理学的薬剤又は2種又はそれよりも多い種類のかかる薬剤の混合物を、約0.01から約2000mgまでの、及び場合によってはそれを超える適切な量で、水性又は非水性溶媒、好ましくは精製水に溶解する。双方の溶液を、約10分から約数時間、好ましくは約15〜60分間混ぜ合わせ、前記混合物を平坦な表面又はガラス板のような平板上に、約0.5から約2mmまでの、好ましくは約1mmの層となるように、例えば、TLC塗布機を用いて広げ、及び25℃でそれが水気を帯びている限り乾燥させ、完全に蒸発(脱水)させる。フィルム層は典型的には約24から約148時間までで、通常、約70時間で乾燥する。あるいはまた、フィルムは、前記混合物を噴霧し、及び乾燥させることによって調製してもよい。
【0069】
代わりの具体例では、薬物及び添加剤を有する重合体溶液は、酢酸、シクロヘキサン、アセトニトリル、tert-ブタノール、エタノール、及びイソプロパノールにおいてか、又は水性及び非水性溶媒の混合液において調製してもよい。
【0070】
(1. 単層フィルム及び多層フィルム)
薬物を含有する単層フィルムは、そのフィルムが両側で組織に接触する場合、特に有用な適用となる。したがって、薬物は、フィルムの両側から外に拡散することができる。
【0071】
2層フィルム又は2層を超えるフィルムは、第二層について区別できる機能が要求されるとき、有用である。例えば、頬側適用について、薬物溶出層が粘膜に対して最も好ましい。しかし、その反対側で、第二の障壁フィルム層は、唾液及び消化器系への薬物の損失を防止するのに有用であり得る。有用な障壁フィルム重合体には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びナイロンが包含される。
【0072】
多層フィルムの機能的な例として、多層フィルムは、上述の障壁フィルム、薬物の主要な貯蔵所として働く中間層、及び粘膜付着性物質及び/又は放出修飾物質を含む第三層からなり、第三層は、本体に接触し、及び組織に対するフィルムの接着性及び薬物が貯蔵層から放出される速度を制御する。
【0073】
(2. フィルム対フォームの組成物)
重合体フィルムは、材料の均一な層であり、通常4mm未満の厚さで、少なくとも部分的に構造的完全性を提供する重合体から構成される。フィルムは、随意に、多数層構造を持つことができ、そこでは各層が区別できる組成を持つ。普通、フィルム中に閉じ込められた空気は容量にして10%よりずっと少ない。最大0.5インチ(約1.27cm)厚のより一層厚い重合体層を通常、シートと称する。
【0074】
この発明のフィルムについて、その生産法は少なくとも1種の重合体の溶液を創ることである。この溶液は、付加的な可溶性及び不溶性の重合体、薬物、transcutol(トランスクトール)、賦形剤、等を含むことができる。溶液は、平坦な面(ガラス、紙、又は別の重合体シート)の上に均一に広げるか、又は噴霧し、及び周囲条件の下で、又は随意に若干の熱を用いて乾燥させることができる。溶媒を蒸発させた後、フィルムが残り、これを剥がすことができる。フィルムは、それらの薄さのために、鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の適用に対して良好な患者の安心を提供する。
【0075】
対照的に、重合体性フォームは、前述するように、重合体組成物からなることができ、これは、少なくとも10%、及び通常は50%を超える、空気又は別のガスによって満たされる空隙容量を含む。凍結乾燥フォームについては、これは重合体と添加剤の溶液から始める。普通、少なくとも1種の重合体が水溶性である。溶液を望ましい形状の鋳型中に注入した後、溶液を凍結して固体とする。凍結溶液を、随意に鋳型から除去した後、低温、例えば、-40℃で、及び低圧で、水分が低レベルに減少するまで凍結乾燥する。乾燥条件下の試料を温めた後、鋳型の形状において凍結乾燥フォームが得られる。フォームは、柔らかい三次元装置であり、鞘及び唇の処置に特に便利であり得る。
【0076】
(C. フォーム又はフィルムの組成物生産用の基材物質)
本発明のフォーム又はフィルムの組成物調製用の基材物質は、親水性又は疎水性、好ましくは親水性重合体である。これらの重合体は、単一でか、又は相互に併用して用いることができる。それらは、可変の濃度で、及び2種又は数種の重合体の混ぜ合わせのときには可変の比率で用いることができる。
【0077】
基材重合体の非排他的な一覧表には、セルロース及びセルロース誘導体、微結晶性セルロース、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリプロプレングリコール、ジビニルグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドが包含される。他の可能な重合体には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリメタクリル酸、ポリ-γ-ベンジル-L-グルタミン酸塩、ポリプロピレンフマル酸塩、ポリ-ε-カプロラクトン、ポリ-ブチレンテレフタル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリ-1-ビニル-2-ピロリジノン、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、ポリスチレン-ジビニルベンゼン、ポリビスp-カルボキシ-フェノキシプロパン-コ-セバシン酸のようなポリ無水物、ポリ-β-ヒドロキシ酪酸塩又はポリ-β-ブチロラクトンのようなポリヒドロキシアルカン酸塩、及びテトラエチルオルトケイ酸塩及びジメチルジエトキシシランのようなアルキル置換シリカゲルが包含される。
【0078】
(1. 親水性重合体)
フォーム又はフィルムの製造に適切な親水性重合体の例には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール(PEG)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム塩、ペクチン、ゼラチン、コラーゲン、ポリビニルピロリドン、ポロクサマー、カルボポルのようなアクリル酸を基とする重合体、noveon(ノベオン)、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、キトサン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレンオキシド、フィブロネクチン、ヒアルロン酸、カラヤゴム(karaya gum)のような多糖類ゴム、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、デキストラン、キサンタンガム、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド、GentrezTM(商標)として商業上入手できる、架橋ポリメチルビニルエーテル-コ-マレイン酸無水物、ゼラチン、コーンスターチ及びそれらの混合物が包含される。
【0079】
(2. 疎水性重合体)
フォーム及び又はフィルムの形成に適切な疎水性重合体の例は、とりわけ、ポリプロピレンオキシド、ポリアミド、ポリスチレン、及びポリメタクリル酸である。
【0080】
フォーム及びフィルムの調製のために適切で、及び好ましい基材物質の例を、表1に列挙する。
【0081】
【表1】


用いるアルギン酸はアルギン酸ナトリウム塩である。
【0082】
(3. 添加剤)
フォーム及びフィルム調剤物は、単に、2種の成分、はっきり言うと、前述の重合体及び以下のD節において説明する治療上の薬剤を含むことができ、又はそれらは、放出修飾物質、粘膜付着性薬剤、及び/又は透過増強物質/吸着促進物質、充填剤、染料等、又は他の薬学的に許容可能な賦形剤及び添加剤のような、様々な賦形剤及び添加剤が包含される追加の成分を含有することができる。
【0083】
(a. 粘膜付着性薬剤)
前述のように、本発明のフォーム又はフィルムの組成物は重合体を含むが、重合体は粘膜付着特性を持っていてもよいし、又は持たなくてもよい。多くの場合、重合体、特に親水性重合体は、ある程度の粘膜付着特性を持つ。かかる特性は、本発明の組成物の、粘膜、唇又は陰嚢の上皮に対して付着するための能力を有利に支持するが、それは、組成物の組織に対する場所的な付着のための完全な粘膜付着性を達成するのにか、又は薬理学的な薬剤の経上皮的、経唇的又は経陰嚢的な送達に対し十分な支持を提供するのに十分であるかもしれず、又は十分でないかもしれない。かかる場合、組成物は更に別の粘膜付着性薬剤を都合よく含み、組織との、延長されている、及び密接な接触、組成物の組織に対する付着及び薬物の粘膜、唇又は陰嚢の表面との相互作用を達成することができる。
【0084】
フィルム又はフォーム装置の粘膜に対する付着を高めるのに用いられる粘膜付着性薬剤は、好ましくは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリラクチド-コ-グリコライド、キトサン、キトサンエステル又は塩化トリメチレン(trimethylene chloride)キトサン、アルギン酸ナトリウム、ポロクサマー、カルボポル、ペクチン、又は別のセルロース誘導体のような重合体である。ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)は、本発明における使用のために特に好ましく、その理由は、それがフォーム又はフィルム調製用の基材の1種であり得るからである。粘膜付着性薬剤の他の例には、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリカルボフィル及びカルボポルが包含される。
【0085】
粘膜付着性薬剤は、典型的には、約0.5から約10%まで存在する。
【0086】
(b. 透過増強物質/吸着促進物質)
経粘膜、経唇又は経陰嚢の組成物を用いる薬物の体循環への送達のために、組成物は付加的に吸着促進物質又は透過増強物質を含有する。
【0087】
吸着促進物質又は透過増強物質は、イオン化性及び非イオン化性分子のいずれか一方又は双方であり、上皮の物理的及び/又は生化学的な障壁特性を変え、薬理学的に活性な薬剤の体循環に対する高められた移送をもたらす。
【0088】
イオン化性浸透増強物質には、陽イオン性、陰イオン性、及び双性イオン性の賦形剤が包含され、これらは、鞘、鼻、口の腔及び唇又は陰嚢の表面の被覆上皮を横切る、親水性及び親油性の薬物分子の搬送を改善するのに適切である。
【0089】
好ましい陰イオン性浸透増強物質には、脂肪酸の誘導体、胆汁酸、リン酸エステル、カルボン酸塩(カルボキシレート)、及び硫酸塩/スルホン酸塩が包含される。簡単にするために、ナトリウム対イオンが陰イオン性浸透増強物質として示されるが、これは制限的なものではなく、目下この技術において熟練のものに既知のものか、又は将来発見されるであろう任意の他の生物適合性対イオンが包含される。
【0090】
具体的には、好ましい陰イオン性浸透増強物質には、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミトレイン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラウリル(laryl, lauryl)ザルコシン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸(サクシネート)ナトリウム、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸(taurochenodexoycholate, taurochenodeoxycholate)ナトリウム、グリコールケノデゾキシコール酸(chenodesoxycholate)ナトリウム、コリルザルコシン酸(cholylsarcosine)ナトリウム、N-メチルタウロコール酸ナトリウム、タウロ-24,25-ジヒドロフシジン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-10オレイルエーテルリン酸2ナトリウム、リン酸又は無水物による脂肪アルコール又は脂肪アルコールエトキシレート(ethoxylate)のエステル化生成物、カルボン酸(カルボキシレート)エーテル、スクシニル化モノグリセリド、ステアリルフマル酸ナトリウム、コハク酸水素ステアリン酸(steaoryl, stearoyl)プロピレングリコール、モノ-及びジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ-及びジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のグリセリル-ラクトエステル、脂肪酸の乳酸エステル(lactylic ester)、アルギン酸の塩、エトキシル化(ethoxylated)アルキル硫酸塩(サルフェート)、アルキルベンゼンスルホン、スルホン酸α-オレイン(スルホネート)、イセチオン酸(イセチオネート)アシル、タウリン酸アシル(acyl taurate)、スルホン酸アルキルグリセリルエーテル、オクチルスルホコハク酸2ナトリウム、ウンデシレンアミデオ(amideo)-MEA-スルホコハク酸2ナトリウム、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸ナトリウム、グリチルレチン酸、エチレンジアミン四酢酸塩(アセテート)及びクエン酸ナトリウムが包含される。
【0091】
陽イオン性浸透増強物質には、アンモニウム及びピリジニウム塩が包含される。簡単にするために、塩化物対イオンを陽イオン性浸透増強物質として示すが、これは制限的なものでなく、目下この技術における熟練のものに既知のものか、又は将来発見されるであろう任意の他の生物適合性対イオンが包含される。具体的に言うと、好ましい陽イオン性浸透増強物質には、キトサン、トリメチルキトサン、ポリ-L-アルギニンキトサン、ポリ-L-リジンキトサン、アミン化ゼラチン、塩化ヘキサデシルトリアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、塩化ジイソブチルフェノキシエトキシジメチルベンジルアンモニウム、塩化エチルピリジニウム、塩化イソプロピルピリジニウム、N-ラウリル,N,N-ジメチルグリシン、N-カプリル,N,N-ジエチルグリシン、ポリオキシエチレン-15ココナツアミン、ポリ-L-リジン、ポリ-L-アルギニンが包含される。
【0092】
双性イオン浸透増強物質には、自然に発生するか、及び合成化合物が包含され、これらは、投与の部位で同時に存在する正及び負電荷を見せる。具体的には、好ましい双性イオン浸透増強物質には、レシチン、リゾレシチン、ヒドロキシル化レシチン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジデカノイル(didecanoyl)-L-α-ホスファチジルコリン、ラウロイルカルニチン(laurolylcarnitine, lauroylcarnitine)、アシルカルニチン、パルミトイル-D,L-カルニチンが包含される。
【0093】
これら増強物質の濃度は、化合物毎に大きく変動するが、それらは、好ましくは約0.01から約60%まで、より一層好ましくは約10から約15%までの濃度で用いられる。
【0094】
非イオン化性グリコールエーテル誘導体は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エステル、又は例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレイルエーテルのような、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びエトキシジグリコール、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェノールのような、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、及びポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、例えば、ポリオキシエチレンコレステロールエーテルのような、ポリオキシエチレンステロール、及びポリオキシエチレンダイズステロールエーテル、及び例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン、ジメチル-β-シクロデキストリン、メチル化-β-シクロデキストリン、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンのようなシクロデキストリン、及びソルビトールからなる群より選ばれる化合物によって代表されるグリセロールエステルを有するグリコール誘導体である。
【0095】
非イオン化性グリコールエステル誘導体は、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、又はポリオキシエチレン植物性油又は水素化油、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレン、ジラウリン酸ポリオキシエチレン、モノ及びジオレイン酸ポリオキシエチレンのような、ポリオキシエチレングリコールエステル、例えば、ラウリン酸ポリオキシエチレングリセリル及びオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルのような、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸プロピレングリコール及びステアリン酸プロピレングリコールのような、ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル、例えば、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン及びトリステアリン酸ポリオキシエチレンのようなポリオキシエチレングリセリド、例えば、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ(カスター)油、ポリオキシエチレン扁桃(アーモンド)油、ポリオキシエチレン杏仁油、ポリオキシエチレンカプリル酸又はカプリン酸グリセリドのようなポリオキシエチレン植物油又は水素添加油、及びラウロイルマクロゴールグリセリドからなる群より選ばれる化合物によって代表される前記誘導体である。
【0096】
グリセロールエステルを有する非イオン化性グリコール誘導体は、グリセロールエステルを有するグリコール誘導体、例えば、オレイン酸ポリオキシエチレン及びステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルによって代表される。
【0097】
本発明に従うフォーム又はフィルムを形成するのに用いられる重合体組成物では、可変性又は非イオン化性増強物質は、重量で、約0.01から約60%まで、好ましくは約5から約25%まで、最も好ましくは約10から約15%までの量として存在する。
【0098】
最も好ましい非イオン化性グリコール誘導体は、エトキシジグリコールであり、TRANSCUTOLRとして知られ、Gattefosse(ガッテフォッシ社)、ウェストウッド、N. J.(米国ニュージャージー州)から商業上入手できる。
【0099】
(c. 放出修飾物質)
粘膜、経粘膜、唇、経唇、陰嚢、又は経陰嚢性のフォーム又はフィルム組成物から望ましい薬物放出を達成するために、薬理学的な薬剤を、随意に、媒介物(vehicle)又は担体中に組み込み、それらに対して薬物は低い親和性を持ち、及びフォーム又はフィルムからの薬物放出を促進するか、又はかかる放出の速度を修飾することができる。そのために、親油性薬物は、親水性修飾物質に組み込まれ、及び親油性薬物は、親水性担体中に組み込まれる。
【0100】
親水性修飾物質には、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール8000、ポロクサマー、ポリオキシエチレングリセルココエート及びカルボポルが包含される。
【0101】
疎水性修飾物質には、Suppocire(スポシーレ)AS2、Suppocire AS2X、Suppocire CM、Witepsol(ウィテップソル)H15、Witepsol W25、ミネラル油、コーン油、パラフィン油、菜種(カノーラ)油、ヒマシ油、綿実油、レシチン、ピーナツ油、ゴマ油、ダイズ油及び水素化植物性油が包含される。
【0102】
放出修飾物質は、組成物の中に、重量で、約5%から約70%までの量として存在してよい。
【0103】
(d. 追加の賦形剤及び添加剤)
(1. 可溶化剤)
可溶化(solubilizing)剤を用い、装置の製造の間、調剤における薬剤の可溶性を高めるか、あるいはまた、装置の使用の間、組織の流体における薬剤の可溶性を高める。
【0104】
任意の薬学的に許容可能な可溶化剤を用いることができる。好ましい可溶化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、シクロデキストラン、グリコフロール、プロピレングリコール、炭酸プロピレン(カーボネート)及び表面活性剤である。
【0105】
可溶化剤は、典型的には、約5%から約30%までの量として添加される。
【0106】
(2. 緩衝化剤)
緩衝化剤は、薬剤の放出を制御するか、又は高めるために、装置の直近の環境のpHを制御するために用いられる。任意の薬学的に許容可能な緩衝剤又はその混合物を本発明の目的のために用いることができる。模範的な緩衝剤は、メタリン酸カリウム、リン酸カリウム、第1酢酸ナトリウム(monobasic sodium acetate)、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸、酒石酸、トリスクエン酸及びトリエタノールアミンである。
【0107】
緩衝剤は、典型的には、約1%から約10%までの量として添加される。
【0108】
(3. 充填剤)
充填剤は、装置の寸法を増すか、又は使い勝手を改善するために用いられる不活性な原料である。任意の薬学的に許容可能な充填剤を、本発明の目的のために都合よく用いることができる。典型的な充填剤は、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素、二酸化チタン、パラフィン、ステアリン酸、タルク、ワックス及びステアリン酸亜鉛である。
【0109】
充填剤は、典型的には、約5%から約15%までの量として添加される。
【0110】
(4. 保存剤)
保存剤は、貯蔵の間、微生物の増殖を防止するために用いられる。すべての薬学的に適切な保存剤を用いることができる。好ましい保存剤は、塩化ベンザルコニウム、プロピルパラベン、ベンジルアルコール、ソルビン酸、フェノール、フェニルエチルアルコール、BHA及びBHTである。
【0111】
保存剤は、典型的には、約0.01%から約5%までの量として添加される。
【0112】
(5. 可塑剤)
可塑剤は、フィルム又はフォームを軟化させるのに用いる化合物である。典型的な可塑剤は、2〜3例を挙げると、グリセリン、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール及びトリアセチンである。
【0113】
可塑剤は、典型的には、約5%から約25%までの量として添加される。
【0114】
(6. 表面活性剤)
Tween(トゥイーン)80、ラウリル硫酸ナトリウム及びBrij(ブリジ)のような表面活性剤を、必要に応じ、0.01%から約5%までの量で有利に添加することができる。
【0115】
(7. 抗酸化剤)
フォーム及びフィルムについて用いられるのが好適な抗酸化剤は、アスコルビン酸、BHA、BHT、亜硫酸水素ナトリウム、ビタミンE、ピロ亜硫酸ナトリウム及び没食子酸プロピルから選ばれ、及び約0.1%から約3%までの量として添加することができる。
【0116】
(D. 薬理学的な薬剤)
本発明のフォーム又はフィルム組成物は、薬理学的な薬剤又は2種又はそれよりも多い種類の薬剤の混合物の場所的なか、又は経上皮的な送達に適切であり、それは、鞘、鼻、頬側、唇又は陰嚢の上皮に場所的に送達されるとき、治療上の効果を行使するか、又は鞘、鼻、頬側、唇又は陰嚢の上皮を介して体循環に送達することができる。
【0117】
(a. 代表的薬理学的因子)
本発明のフォーム又はフィルムを用い、好都合に送達することができる代表的な薬理学的な薬剤は、抗炎症剤、カルシウム又はカリウムチャネル拮抗剤、β-アドレナリン性作用剤、血管拡張剤、局所麻酔剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗精神病剤、抗てんかん剤、抗カビ剤、抗骨粗しょう剤、抗片頭痛剤、抗HIV剤、抗神経変性剤、抗癌剤、オピオイド鎮痛剤、及びタンパク質及びペプチドのような、生物工学的に導かれる薬理学的な薬剤の群である。これらの薬物の非制限的な代表的例は、非ステロイド性抗炎症の薬物であり、それには、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナック、フェニルブタゾン、ブロムフェナック(bromfenac)、フェナマート(fenamate)、スリンダク、ナブメトン、ケトロラック、及びナプロキセンが包含される。
【0118】
カルシウムチャネル拮抗剤の例には、ジルチアゼム(diltiazem, diltaizem)、アイスラピジン(israpidine)、ニモジピン、フェロジピン、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、及びベプリジルが包含される。
【0119】
カリウムチャネル遮断剤の例には、ドフェチリド、アルモカラント(almokalant)、セマチリド、アンバシリド、アジミリド(azimilide)、テジサミル(tedisamil)、ソタロール、ピロキシカム、及びイブチリド(ibutilide)が包含される。
【0120】
β-アドレナリン性作用薬の例には、テルブタリン、サルブタモール、メタプロテレノール、及びリトドリンが包含される。
【0121】
血管拡張剤には、ニトログリセリン、イソソルビドジナイトレート、及びイソソルビドモノナイトレートが包含される。
【0122】
シクロオキシゲナーゼ(COX)抑制剤の例は、アセチルサリチル酸、ナプロキセン、ケトプロフェン、ケトロラック、インドメタシン、フェナマート、イブプロフェン、ジクロフェナック、テノキシカム(teroxicam, tenoxicam)、ブロムフェナック(bromfenal, bromfenac)、セレコキシブ、ナブメトン、フェニルブタゾン、ロフェコキシブ(rofecoxis, rofecoxib)、スリンダク、メロキシカム、及びフロスリド(flosulide)である。
【0123】
局所麻酔剤の例には、リドカイン、メピバカイン、エチドカイン、ブピバカイン、塩酸2-クロロプロカイン、プロカイン、及び塩酸テトラカインが包含される。
【0124】
抗骨粗しょう症性薬物の例は、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート(tiludronate)、イバンドロネート、アルパドロネート(alpadronate)、レシドロネート(residronate)、ネリドロネート(neridronate)及びゾレドロン酸からなる群より選ばれるビスホスホネートである。
【0125】
抗カビ、抗菌性薬物の例は、ミコナゾール、テルコナゾール、イソコナゾール、フェンチコナゾール(fenticonazole)、フルコナゾール、ニスタチン、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、メトロニダゾール、クリンダマイシン、5-フルオラシル(fluoracil)、アシクロビル、AZT、ファモビル(famovir)、ペニシリン、テトラサイクリン、エリスロマイシン、アンプレナビル、アミビジン(amividine)、ガンシクロビル、インジバリス(indivaris)、ラピナビス(lapinavis)、ネルフィナビル、リフォナビル(rifonavir)及びサギナール(saguinar)である。
【0126】
抗片頭痛剤の例は、アルモトリプタン(almotriptan)、エレトリプタン、フロバトリプタン(flavotriptan, flovatriptan)、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、ボセンタン及びレーンピタント(lanepitant)である。
【0127】
抗悪性腫瘍性又は化学療法性の薬物の例は、ビンクリスチン、シスプラチン(cisplastin、cisplatin)、ドキソルビシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、コルヒチン、ジゴキシン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、メトトレキセート、ゲムシタビン、ミトキサントロン、(トポテカン、)テニポシド(teniposide)、ビンブラスチン及びマイトマイシン(mytomycin, mitomycin)Cである。
【0128】
抗HIV剤の例は、サキナビル、リトナビル、インジナビル、アムプレナビル、ネルフィナビル、ロピナビル及びガンシクロビルである。
【0129】
抗悪心性(antinausea)薬物の例は、アプレピタント(aprepitant)、シクリジン、ドラセトロン(dolasetron)、ドムペリドン、ドロナビノール、レボナントラドール(levonantradol)、メトクロプラミド、ナビロン(nabilone)、オンダンセトロン、プロクロルペラジン、プロメタジン及びトロピセトロン(tropisetron)である。
【0130】
オピオイド鎮痛剤の例は、ブプレノルフィン、ダイノルフィンA、フェンタニル、メト-エンケファリン(Met-enkaphalin, enkephalin)、モルフィン、ナロキソン、ペンタゾシン(pentazosine, pentazocine)、及びスピラドリン(spiradoline)である。
【0131】
抗てんかん性薬物の例は、カルバマゼピン、クロナゼパム、フェノバルビタール、フェニトイン、プリミドン、及びバルプロ酸塩である。
【0132】
神経発生性疾病の処置のための抗精神病性薬物の例は、ブロモクリプチン、カルビドパ、ガランタミン(galantamine, galanthamine)、メマンチン、ペルゴリド、セレギリン、タクリン、及びトリヘキシフェニジルである。
【0133】
精神医学的疾患の処置のための薬物の例は、アルプラゾラム、アミトリプチリン、アモキサピン、ブプロピオン、ブスピロン、クロルジアゼポキシド、クロルプロマジン、クロザピン、ジアゼパム、フルオキセチン、フルフェナジン、ハロペリドール、イミプラミン、ロキサピン(loxapine)、マプロチリン(metrotiline, maprotiline)、オキサゼパム、パロキセチン、ペルフェナジン(perephenazine, perphenazine)、フェネルジン、ピモジド、プラゼパム、プロトリプチリン、リスペリドン、セレギリン、セルトラリン、チオリダジン(thoridazine, thioridazine)、及びトラゾドンである。
【0134】
抗悪心性薬物の例は、アプレピタント、シクリジン、ドラセトロン、ドムペリドン、ドロナビノール、レボナントラドール、メトクロプラミド、ナビロン、オンダンセトロン、プロクロルペラジン、プロメタジン及びトロピセトロンである。
【0135】
生物工学的に導かれる薬物の例は、インスリン、カルシトニン、ソマトスタチン、バソプレシン、ロイプロリド(luprolide、leuprolide)、オキシトシン、ビバリルジン(bivalirudin)、インテグリリン(integrilin)、ナトレコル(natrecor)、アバレリックス(abarelix)、ガストリンG17ペプチド、ジコノチド(ziconotide)、セレポート(cereport)、インターロイキン、ヒト化抗体及び成長ホルモンである。
【0136】
(b. 薬理学的な薬剤の用量)
薬理学的な薬剤を、場所的にか、又は全身的に治療上有効な量において添加する。典型的に、薬物は、以下に示すように、約0.01から約2000mgまでの量で添加される。場合によって、特に反復投与が行なわれる場合、用量は2000mgを超え、最大20,000mgにまで及ぶことがある。
【0137】
カルシウムチャネル拮抗剤:ベプリジル(50-1600mg)、ジルチアゼム(30-1500mg)、フェロジピン(1-50mg)、アイスラピジン(1-20mg)、ニカルジピン(30-600mg)、ニフェジピン(15-650mg)、ニモジピン(100-1400mg)、ベラパミル(100-1500mg)。
【0138】
カリウムチャネル遮断剤:アルモカラント、アンバシリド、アジミリド、ドフェチリド(0.2-5mg)、イブチリド(0.3-5mg)、セマチリド、ソタロール(80-1300mg)、テジサミル。
【0139】
β-アドレナリン性作用剤:メタプロテレノール(20-240mg)、リトドリン(100-2000mg)、サルブタモール(0.1-5mg)、テルブタリン(1-60mg)
【0140】
血管拡張剤:イソソルビドジナイトレート(10-500mg)、イソソルビドモノナイトレート(10-250mg)、ニトログリセリン(2-150mg)。
【0141】
シクロオキシゲナーゼ抑制剤:アセチルサリチル酸(5-8000mg)、ブロムフェナック、セレコキシブ(100-2400mg)、ジクロフェナック(50-800mg)、フェナマート、フロスリド、イブプロフェン(600-6,000mg)、インドメタシン(30-600mg)、ケトプロフェン(50-1200mg)、ケトロラック(5-200mg)、メロキシカム(2-60mg)、ナブメトン(500-4,000mg)、ナプロキセン(100-3000mg)、フェニルブタゾン(phylbutazone, phenylbutazone)、ロフェコキシブ(50-200mg)。
【0142】
局所麻酔剤:2-クロロプロカイン(50-2400mg)、ブピバカイン(50-1600mg)、エチドカイン、リドカイン(10-150mg)、メピバカイン(25-1600mg)、プロカイン(150-3,000mg)、テトラカイン。
【0143】
抗骨粗しょう症性薬物:アレンドロネート(2-160mg)、アルパドロネート、クロドロネート(1-3200mg)、エチドロネート(2-1400mg)、イバンドロネート(0.01-100mg)、ネリドロネート(0.1-200mg)、パミドロネート(1-3,000mg)、レシドロネート(0.05-50mg)、チルドロネート(0.02-400mg)、ゾレドロン酸(0.05-150mg)。
【0144】
抗菌性薬物:アシクロビル(100-4,000mg)、アンプレナビル(150-7,200mg)、ラミブジン(amivudine, lamivudine)(10-1200mg)、ブトコナゾール、クリンダマイシン(75-20,000mg)、クロトリマゾール(5-200mg)、エコナゾール(2-100mg)、エリスロマイシン(100-16,000mg)、ファモビル、フェンチコナゾール、フルコナゾール(50-1600mg)、ガンシクロビル(250-12,000mg)、インジナビル(400-9,600mg)、イソコナゾール、ケトコナゾール(1-6400mg)、ロピナビル(50-2000mg)、メトロニダゾール(100-10,000mg)、ミコナゾール(600-15,000mg)、ネルフィナビル(300-10,000mg)、ニスタチン(0.5-12 Mio U)、ペニシリンVK(100-8000mg)、リトナビル(150-4800mg)、サキナビル(300-15,000mg)、テルコナゾール(2-400mg)、テトラサイクリン(300-16,000mg)。
【0145】
抗片頭痛性薬物:アルモトリプタン(2-100mg)、ボセンタン(50-1000mg)、ジヒドロエルゴタミン(1-20mg)、エレトリプタン(1-400mg)、エルゴタミン、フロバトリプタン(flavotriptan, flovatriptan)、レーンピタント、ナラトリプタン(0.5-20mg)、リザトリプタン(2-120mg)、スマトリプタン(10-800mg)、ゾルミトリプタン(0.5-40mg)。
【0146】
抗新生物性/化学療法性薬物:アクチノマイシンD、シスプラチン(5-400mg/m2)、コルヒチン(0.1-50mg)、シクロホスファミド(50-800mg)、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン(50-2,500mg/m2)、エトポシド、ゲムシタビン(70-4,000mg/m2)、イリノテカン、メトトレキセート(0.2-40mg)、ミトキサントロン(0.05-2mg/m2)、マイトマイシン(mytomycin, mitomycin)C、パクリタキセル、テニポシド、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン(1-200mg)。
【0147】
生物工学的に導かれる薬物:アバレリックス、ビバリルジン(0.5-1000mg)、カルシトニン(100-20,000IU)、セレポート、ガストリンG17ペプチド、成長ホルモン、ヒト化抗体、インスリン、インテグリリン(0.1-1400mg)、インターロイキン、ロイプロリド、ナトレコル(0.001-2mg)、オキシトシン(0.01-10,000U)、ソマトスタチン、バソプレシン(0.1-40,000U)、ジコノチド。
【0148】
抗悪心性薬物:アプレピタント(40-600mg)、シクリジン、ドラセトロン(25-400mg)、ドムペリドン、ドロナビノール(1-60mg/m2)、レボナントラドール、メトクロプラミド(10-200mg)、ナビロン、オンダンセトロン(4-75mg)、プロクロルペラジン(5-600mg)、プロメタジン(5-200mg)、トロピセトロン。
【0149】
オピオイド鎮痛剤:ブプレノルフィン(0.5-2000mg)、ダイノルフィンA、フェンタニル(0.1-10mg)、メト-エンケファリン、モルフィン(30-1000mg)、ナロキソン(0.1-3000mg)、ペンタゾシン(50-1500mg)、スピラドリン。
【0150】
抗てんかん性薬物:カルバマゼピン(100-9,600mg)、クロナゼパム(3-60mg)、フェノバルビタール(15-800mg)、フェニトイン(150-1200mg)、プリミドン(5-3000mg)、バルプロ酸塩(350-12,000mg)。
【0151】
神経変性の疾病における薬物:ブロモクリプチン(0.5-400mg)、カルビドパ(5-400mg)、ガランタミン(galantamine, galanthamine)(4-100mg)、メマンチン、ペルゴリド(0.02-20mg)、セレギリン(2-40mg)、タクリン(20-650mg)、トリヘキシフェニジル(trihexypehenidyl, trihexyphenidyl)(0.5-40mg)。
【0152】
精神医学的疾患における薬物:アルプラゾラム(0.2-40mg)、アミトリプチリン(5-400mg)、アモキサピン(25-1200mg)、ブプロピオン(25-1800mg)、ブスピロン(5-250mg)、クロルジアゼポキシド(5-1200mg)、クロルプロマジン(10-3200mg)、クロザピン(5-1200mg)、ジアゼパム(1-200mg)、フルオキセチン(5-350mg)、フルフェナジン(0.2-40mg)、ハロペリドール(0.5-400mg)、イミプラミン(10-1200mg)、ロキサピン(10-1000mg)、マプロチリン(10-1000mg)、オキサゼパム(20-600mg)、パロキセチン(5-250mg)、ペルフェナジン(10-300mg)、フェネルジン(20-400mg)、ピモジド(0.5-40mg)、プラゼパム、プロトリプチリン(10-300mg)、リスペリドン(0.1-20mg)、セレギリン(2-40mg)、セルトラリン(10-800mg)、チオリダジン(thoridazine, thioridazine)、トラゾドン(50-1200mg)。
【0153】
(c. 均一性及びフォーム又はフィルムの組成物からの薬理学的薬剤の放出)
本発明のフォーム又はフィルムが薬物送達にとって有効であるかどうか、従って治療目的に対して適切であるかどうかを定めるため、フォーム又はフィルムからの薬物の放出及びその均一性を決定した。
【0154】
均一性、回収の%で表すもの、及びフォームからの薬理学的薬剤の放出を、アルギン酸ナトリウム塩におけるケトロラックトロメタミンを含む、凍結乾燥フォームロッドを用いて定めた。
【0155】
例5に従って調製したフォームにおけるケトロラックの分布の均一性をUV吸光度法によって測定した。脱イオン水中のケトロラックに関する標準曲線を、アルギン酸単独について、ケトロラック(7.4%)及びアルギン酸、ナトリウム塩(92.6%)を含有するケトロラック溶液及びケトロラック(3.8%)、アルギン酸(48.1%)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(48.1%)の混合物について、322.5nm(光路長12.31mm)でのUV吸光度を測定することによって開発した。薬物を含まない、対照として働くアルギン酸単独溶液は、無視し得るほどの吸収しか持たなかった。
【0156】
この検討のために、7.4%のケトロラック及び92.6%のアルギン酸を含有する混合物から調製した3種のフォームロッドA、B及びCを分析用に選定した。フォームロッドの両端から、約2mmの不規則な物質を切り取った。かみそりの刃を用い、各フォームロッドを、長さ9mmの、5つのより一層短い筒型部分に分けた。各部分の重量を記録した。各部分を、高強度(high intensity)混合機を用い200mLの脱イオン水中に分散させた。各溶液について322.5nmでのUV吸光度を記録した。
【0157】
標準曲線から、溶液のug/mLでのケトロラック濃度を次の関係から算出した:吸光度=0.051×濃度+0.0001。
【0158】
各フォームの部分について、濃度に200 mLを乗じると、その部分におけるケトロラックの重量(μg)が得られる。各部分について、ケトロラックの重量をそのフォーム部分の重量で除すと、部分当たりのケトロラックの重量が、フォーム1mg当たりのケトロラックのμgにおいて得られる。最後に、得られる結果を、調剤物からの理想値(73.4ug/フォームmg)で除すと、各フォーム部分について回収されたケトロラックの%が得られる。
結果を表2に示す。
【0159】
【表2】


理想的な、100%の、ケトロラックの回収はフォーム1mg当たり73.4ugである。
アルギン酸ナトリウム塩(AA)溶液濃度は水100g当たり2.5gのアルギン酸を含んだ。
ケトロラックトロメタミンの濃度はフォーム重量の7.43%を表した。ケトロラック:AAの比は2:25であった。
【0160】
表2に見られるように、3種のロッド全てにおいて平均回収率は100%に極めて近く、はっきり言うと、それぞれ95.7、97.4及び97.7%であった。結果は、薬物が薬物対重合体の約2:25の比で存在するとき、ケトロラックのほとんど100%の放出がアルギン酸ナトリウム塩から調製したフォームから達成されることを示す。
【0161】
上記の検討を、更に、pH4.22のリン酸緩衝液中のアルギン酸ナトリウム塩/HPMCフォームからのケトロラックトロメタミンの放出に拡大した。その検討のために、ケトロラックの濃度は7.4%であり、120mgフォームに対して正規化した。フォームをアルギン酸ナトリウム塩/HPLC混合物から調製した。
【0162】
結果は図1に見られ、それは、ケトロラック、アルギン酸及びHPMCの混合物から調製されるフォームが、ケトロラック及びアルギン酸だけから調製されるものよりも、より一層緩徐で、より一層制御されたケトロラックの放出を持つことを示す。
図1に示す結果は、ケトロラック、アルギン酸ナトリウム塩、及びHPMCの混合物から調製されたフォーム群が、ケトロラック及びアルギン酸ナトリウム塩だけから調製されるものよりも、より一層緩徐で、より一層制御されたケトロラックの放出を持つことを示す。
【0163】
図1に見られるように、ケトロラックのおよそ93%はアルギン酸フォームから2時間で放出され、一方、50:50のAA:HPMCフォームからは同じ時間で薬物のおよそ54%が放出された。
【0164】
これらの結果は、フォームからの薬物の緩徐な対急速な放出の点を例示する。放出の速度は、基材の交換によってか、又は基材物質を組み合わせ、及びそれらの互いに対してのか、又は薬物に対するそれらの比率を変えることによって好都合に制御し、及び規制することができる。
【0165】
データは更に、凍結乾燥したアルギン酸又はアルギン酸/HPMC混合物におけるケトロラックの分布が極めて均一であることを示す。
【0166】
図1に見られるように、ケトロラックのおよそ93%は、2時間でアルギン酸フォームから放出されるが、アルギン酸/HPMCフォーム(50:50)からは同じ時間におよそ54%の薬物が放出された。
【0167】
これらの結果は、フォームからの薬物の緩徐な対急速な放出の点を例示する。放出の速度は、基材の交換によってか、又は基材物質を組み合わせ、及びそれらの互いに対してのか、又は薬物に対するそれらの個々の比率を変えることによって好都合に制御し、及び規制することができる。
【0168】
データは更に、凍結乾燥したアルギン酸又はアルギン酸/HPMC混合物におけるケトロラックの分布が極めて均一であることを示す。
【0169】
同じ種類の実験をフィルム組成物について実行し、そこでは、pH4.2での、ケトロラックのアルギン酸フィルムから合成鞘流体への放出を定めた。
【0170】
図2に見られるように、2時間間隔では、約55%のケトロラックが、96.2%のアルギン酸(ナトリウム塩)及び3.8%のケトロラックからなる溶液から調製したフィルムから放出された。フィルムは例7に従って調製した。
【0171】
同じ種類の実験をフィルム組成物について行い、そこでは、pH4.2でのアルギン酸フィルムからのケトロラックの合成鞘流体中への放出を測定した。図2に見られるように、2時間後、約55%のケトロラックが、96.2%のアルギン酸ナトリウム塩及び3.8%のケトロラックからなる溶液から調製したフィルムから放出された。フィルムは例7に従い調製した。
【0172】
(d. フォームからの薬物放出)
本発明のフォーム又はフィルムからの薬物放出は制御可能であり、設計によって変えることが可能である。具体的には、ある種の重合体は、フォーム又はゲルへの急速な水分摂取を可能とし、薬物の速やかな放出をもたらすが、一方、他の重合体又は混合物、特に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものは、薬物放出速度の低下に寄与する。
【0173】
水分摂取及びフォームからの薬物放出を定めるために、微結晶性セルロース(AVICEL)、HPMCを、単独か、又は種々の濃度での組み合わせにおいて試験した。この検討のために調製したフォームは例4〜6に従う。
【0174】
この検討の結果を図3に示す。図3は、AVICEL/HPMC混合物(95.2%/4.8%)から調製したフォームが、それぞれを同量(50%/50%)含むAVICEL/HPMCから調製されたか、又はHPMCから単に調製されたフォームよりも、はるかに急速に、より一層大量の水を取り上げることをはっきり示す。
【0175】
図3は、AVICEL/HPMC混合物から調製したフォームについて、水分摂取が微結晶性セルロース(AVICEL)の比率に依存することを例証する。HPMCに対する比率がより一層高いときより一層速やかな水分摂取が観察される。HPMCは水分摂取を遅らせる。
【0176】
(e. 薬物放出の修飾)
薬理学的に活性な薬剤の急速放出特性を有するフォーム又はフィルム層を製造するために、重合体又は重合体の混合物を選定して、水和した重合体層における薬物の溶解性を高める。高溶解性の薬物については、セルロース誘導体のような吸湿性重合体を単独でか、又は例えば、界面活性剤のような粘性を低下させる賦形剤と組み合わせて用いる。あるいはまた、低溶解性薬物の溶解は、ポリエチレン又はポリプロピレンのような疎水性重合体の小画分を組み込むこと、及び溶解性増強物質及び/又は表面活性剤の使用によって加速させることができる。
【0177】
制御されたか、又は持続的な放出は、水和によって粘性を増加させる重合体か、又は薬物の溶解性を低下させる重合体を組み込むことによって達成される。非晶質対結晶質のような、異なる物理的形態の複数の薬物粒子の組み込みは、また、フォーム又はフィルム装置からの薬物の放出を遅らせることができる。持続を伴う急速放出層との組み合わせを含む平衡的取り組みは、疾病の治療に有利であり得るパルス状放出を達成させる。
【0178】
場所的なフォーム、フィルム、及び噴霧は、典型的には、粘着付着性薬剤を、重量で約0.5%から約10%までの濃度、約1%から約10%までの透過増強物質、及び約1%から約10%までの緩衝化剤を含み、そこでは、薬物対重合体比は約1-15からに対して約85-99までである。
【0179】
経粘膜、経唇又は経陰嚢性のフォーム及びフィルムは、典型的には、粘着付着性薬剤を重量で約0.5%から約25%までの濃度、約5%から約25%までの透過増強物質、及び約1%から約10%までの緩衝化剤を含み、そこでは、薬物対重合体比は約1-15からに対して約85-99までである。
【0180】
本発明の局所的なフォーム又はフィルムは、少なくとも1種の親水性又は疎水性の重合体、好ましくは、粘膜付着特性を持つ重合体及び薬理学的な薬剤を含む。重合体の粘膜付着特性が僅かである場合、又は重合体が粘膜付着特性を持たない場合には、粘膜付着性薬剤を添加する。
【0181】
経粘膜薬物送達は、薬物の、鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮を直接的に介する体循環中への搬送を可能とし、それによって、侵襲的な静脈内のか、又は比較的効果の低い経口での投与が回避される。
【0182】
(II. 治療上の組成物)
本発明の治療的な組成物は、局所的な鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の組成物であるか、又は鼻、頬側又は鞘の粘膜を介するか、又は唇又は陰嚢の上皮を介して薬物を体循環に送達する経上皮組成物のいずれかである。
【0183】
(d. 局所的な鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢のフォーム又はフィルム)
本発明の局所的なフォーム又はフィルムは、少なくとも1種の親水性又は疎水性の重合体、好ましくは粘膜付着特性を持つ重合体及び薬理学的な薬剤を含む。重合体の粘膜付着特性が僅かである場合、又は重合体が粘膜付着特性を持たない場合には、粘膜付着性薬剤を添加する。
【0184】
(B. 経上皮組成物)
経上皮薬物送達は、薬物を、鼻、頬側、鞘の粘膜を介してか、又は唇又は陰嚢の上皮を介して直接体循環に搬送することを可能とし、それによって、侵襲的な静脈内のか、又は比較的効果の低い経口での投与が回避される。
【0185】
本発明の経粘膜又は経上皮的なフォーム又はフィルムは、典型的には、少なくとも1種の親水性又は疎水性の重合体基材、好ましくは粘膜付着特性を持つ重合体、透過増強物質又は吸着促進物質及び薬理学的な薬剤を含む。重合体の粘膜付着特性が僅かである場合、又は重合体基材が粘膜付着特性を持たない場合には、粘膜付着性薬剤を添加する。
【0186】
(C. 特定の模範的なフォーム又はフィルムの組成物)
特定の、好ましい局所的な、及び経上皮的なフォーム又はフィルムの組成物は、速やかなか、又は緩徐な薬物送達のために調剤された、1種の重合体、好ましくは粘膜付着性重合体又は重合体の混合物を含むものである。これらの組成物は及びまた、薬物溶液又は粉末を都合よく組み込むことができる、空のフォーム又はフィルムを包含する。また、フォーム又はフィルムが、タンポンのような、及びかかる装置からの薬物放出の規制のために用いられる重合体(重合体群)に応じて、それらの使用に応じて、通常の装置の被膜のために用いられる組成物も包含される。
【0187】
したがって、局所的使用のための速やかな薬物放出のためには、組成物は、大抵、AVICEL様重合体を適切な粘膜付着性薬剤と組み合わせて含むが、一方、緩徐な放出のためには、組成物は、主に、粘膜付着特性を持つが、主に薬物の放出を規制することができるHPMC様重合体を含むことになる。
【0188】
本発明のフォーム又はフィルムの組成物は、本質的には、約0.01mgから約2000mgまでの、及び場合によってはそれより多い、有効量の薬理学的薬剤の併用から構成され、前記薬剤は、前述のD節において模範的に列挙した薬剤の群からか、又は経粘膜送達にとって適切な任意の他の薬物から選ばれ、1種の重合体又はその混合物から調製され、及び好ましくは少なくとも1種、又は数種の透過増強物質及び/又は放出修飾物質及び/又は追加の粘膜付着性薬剤及び/又は追加の無毒な薬理学的に許容可能な生物適合性賦形剤を含むフォーム又はフィルム中に組み込まれる。
【0189】
前記組成物は、典型的には、鼻、頬側又は鞘の腔への挿入か、又は唇又は陰嚢上への配置に適切な形状において適切なフォーム又はフィルムとして調剤され、前記組成物は更に随意に、鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の装置の中に組み込まれるか、又はかかる装置を覆う。
【0190】
特定の代表的組成物を表3に列挙する。
【0191】
【表3】


AA=アルギン酸、ナトリウム塩〔Sigma(シグマ社)〕
HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロースUSP〔Dow Chemical(ダウケミカル社)〕
Ktr=ケトロラックトロメタミンUSP〔Quimica Sintetica(クイミカ・シンテチカ社)〕
Avicel=Avicel NF、Ph-101〔FMC Biopolymer(バイオポリマー社)〕、公称粒子寸法50ミクロン(μm)
重量%=フォームにおける乾燥成分の重量%
【0192】
本発明の経粘膜又は経上皮性の組成物を調製するための一般的方法では、0.01から2000mgまでの薬物を、溶媒、薬物の性質に応じて水性又は非水性の溶媒中に溶解し、及びフォーム又はフィルム調製に用いる重合体又は重合体混合物と組み合わせ、及び前述のようなフォーム及びフィルムの作製に適切な処理、好ましくは、前述のような、凍結乾燥、通気、噴霧乾燥又は乾燥にかける。他の添加剤を前述のように加えてよく、又は加えなくてもよい。得られるフォーム又はフィルムは、独立型の装置として形成するか、又は鞘内のタンポン、フォーム坐剤、フォームタブレット、フォームペッサリ、等のような装置の中に組み込むか、又は頬側溶解性タブレット、ストリップ又はパッチ中に成形するか、又はフォームカプセル、ゲルカプセル又は頬側、鼻挿入に適切であり、及びこれらの用途に適切な他の形態中に組み込むことができ、又は前述のように、独立の、非フォーム、非フィルム装置の中に組み込むか、又はその被膜として用いることができる。
【0193】
典型的には、経上皮的な鞘、唇及び陰嚢の送達のためには、組成物は、鼻又は頬側の経粘膜的送達のためのものよりもより一層高い割合の粘膜付着性薬剤及び透過増強物質を含むことになり、その理由は、鼻及び頬側の粘膜の障壁特性がより一層制限的でなく、及び血液供給が、鞘粘膜におけるものよりもより一層粘膜表面に近いからである。唇又は陰嚢使用については、フォーム又はフィルムは、より一層大量の粘膜付着性薬剤を含み、及び透過増強物質の量も、概してより一層多くなり、その理由は、これらの組成物が、非角化のか、又は角化した非粘膜性上皮を横断しなければならないからである。
【0194】
本発明の組成物に従うフォーム又はフィルムは、鞘、鼻、頬側、唇又は陰嚢の上皮を介する直接的な体循環への浸透によって薬物を送達するのに有用である。粘膜付着性重合体は、フォーム又はフィルムの被覆上皮に対する付着を高め、及びこれらの組成物中に随意に存在するグリコール誘導体は、粘膜を介して、特に、もしもそのグリコール誘導体がなければ、鼻、口腔、鞘、唇又は陰嚢の上皮の障壁を横断することができない薬物の浸透を高める。
【0195】
さらに、グリコール誘導体によって可溶化された薬物化合物は、適切な粘膜付着性薬剤と併用において、薬物と粘膜表面との長期の接触を可能とし、それによって、更に、化合物の送達の効率が高められる。
【0196】
(III. 調剤及び装置)
本発明の各フォーム又はフィルムの組成物は、その特定の使用のために、はっきり言えば、局所的なか、又は経上皮性の鞘、鼻、頬側又は唇、経唇、陰嚢又は経陰嚢性のフォーム又はフィルムとしての使用のために調剤される。
【0197】
(A. 調剤物)
調剤物は、送達経路の意図する用途用に特別に調製される。
【0198】
したがって、鼻の経上皮性投与用には、組成物を、フォーム又はフィルムとして、好ましくは、噴霧可能なフォーム又はゲル化可能なフィルムとして調剤される。
【0199】
頬側の経上皮性送達用には、組成物は、フォームのタブレット又はカプセル、又はゲルのフォーム又は噴霧剤として調剤されるか、又は頬側パッチ、ストリップ、浸透可能なパッド又はバッグ、等のような頬側の空間に挿入可能な装置に微細な形で組み込まれる(microincorporate)。
【0200】
鞘の経粘膜送達用には、組成物は、フォームタンポン、フォームリング、フォームペッサリ、フォーム坐剤又はフォームスポンジとして調剤される。これらのそれぞれは、通常のタンポン、鞘リング、ペッサリ、坐剤又は鞘スポンジのような、鞘内の装置中に都合良く組み込むことができる。
【0201】
唇の経上皮送達用には、フォーム又はフィルムは、ストリップ、ピロウ、パッド、蝶型(butterfly)包帯のような唇に好都合に取付可能な構造を取る。
【0202】
陰嚢の経上皮送達用には、組成物は、好ましくは、液体又は半液状体として調剤され、これは、好都合に噴霧されるか、又はその他のやり方で陰嚢に対して塗布される。
【0203】
陰嚢の経上皮送達用には、フォーム又はフィルムは、取付可能なストリップとして調剤されるか、又はゲル化可能なフィルムとして噴霧される。
【0204】
低度の放出のためには、生物付着性フォームタブレット、ストリップ、パッド、又はフィルムは、本質的に、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリアクリル酸からなる。これらのフォーム又はフィルムは、一旦唇又は陰嚢の上皮の上か、又はその直近に設置されると、最大5日間薬物を放出する。
【0205】
これらのすべての経粘膜投与において、薬物はまた、先ず、フォーム又はフィルムに組み込むことができる溶液、懸濁液、クリーム、ローション、ペースト、軟膏又はゲルとして調剤され、及び鼻又は頬側の腔又は鞘、唇又は陰嚢に適用することができる。
【0206】
追加の適切な添加剤及び賦形剤の選定は、特定の経粘膜送達経路の正確な性質及び薬物が送達される形態に依存する。したがって、実際の調剤は、薬理学的な薬剤の特性及びその活性原料(原料群)が、フォーム又はフィルムに調剤されるのか、又は間接的にクリーム、ローション、フォーム、軟膏、ペースト、溶液、又はゲルとして調剤され、次いで、これがフォーム又はフィルムに取り込まれるのかに依存し、並びに活性原料(原料群)の同一性にも依存する。
【0207】
(2. 装置)
本発明に従う治療上のフォーム又はフィルムは、独立の装置であってよく、又はそれは1種の成分として、フォーム又はフィルムを、及び第2の成分として、本明細書に記載するフォーム又はフィルムと異なる物質から作成される装置又は調剤物を含む、より一層複雑な組立体(assembly)の一部となることができる。かかる他の装置は、例えば、ストリップ、パッド、スフィア、ピロウ、タンポン、タンポン様装置、鞘リング、スポンジ又はペッサリのような構造装置の形態でよく、又はそれは、タブレット、ペースト、坐剤、生物付着性タブレット、生物付着性微粒子、クリーム、ローション、軟膏、又はゲルのような調剤物の形態であってよい。
【0208】
タンポンのような構造装置は、フォーム又はフィルムによって完全にか、又は部分的に被覆するか、覆うことができ、又はフォーム又はフィルムは、装置の内部にか、又は装置のある部分内に任意の好都合な配置において挿入することができる。
【0209】
選択的に、薬物は、非フォーム、非フィルム装置の中に組み込むことができ、及び空のフォーム又はフィルムの組成物を用いて、単に放出速度の制御のためだけに、かかる装置を被覆し、又は覆うことができる。
【0210】
(IV. 送達経路)
本発明は、治療上の薬剤を、鼻、口腔又は鞘の粘膜上皮に向けてか、又はそれらを介して、並びに唇及び陰嚢の角化又は非角化上皮を介して送達するための重合体性のフォーム又はフィルムに関する。特に、本発明は、治療上の薬剤を内部に組み込む、固体、半固形又は液体のフォーム又はフィルムに関しており、前記薬剤は、前記フォーム又はフィルムを、鼻、頬側又は鞘の粘膜、唇又は陰嚢の表面上に配置することによって、前記フォーム又はフィルムから放出される。本発明のフォームは、ゲル化、膨張及び分解の制御可能な速度を持つ。
【0211】
骨粗しょう症、炎症、痛み、前立腺癌及び他の新生物性増殖、カビ、細菌、ウイルスのか、又は寄生性の感染及び他の病状(medical condition)のような、種々の疾病の本発明の方法を用いることによる処置は、かかる病態の処置に適切な治療上の薬剤を、鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮に直接に接触させることを包含する。かかる直接接触は、種々の疾病又は病状の、即時の、連続的な、及び効果的な処置を可能とする。経上皮経路を用いる薬物の全身送達は、消化管によるか、又は肝臓代謝による薬剤の不活性化を排除する。かかる直接的処置はまた、患部組織の処置のために治療上求められるような薬剤の用量のみの使用を可能とする。
【0212】
これらの各処置について、薬物は、前述したように異なって調剤される。簡単には、活性薬物は、粘膜、唇又は陰嚢の上皮に付着し、及び直接的にそれらを横切るか、又はそれらを介して搬送されるように調剤される。全身的循環に向けた経上皮性送達については、薬物の特性のために必要であり、及び適切である場合には、付着から搬送及び鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮を介する薬物の透過までを促進する添加剤が添加される。
【0213】
(A. 鞘送達)
鞘薬物送達系は、とりわけ、月経困難症、骨粗しょう症、新生物性増殖、片頭痛、神経変性疾病、鞘又は全身性感染を含む種々の病態の処置のための、鞘上皮に対する薬物の持続的送達を提供する。
【0214】
鞘送達は、内部に組み込む薬物を持つフォーム装置又はフィルムによって達成することができ、又はそれは、通常の鞘タンポン、リング、ペッサリ、タブレット又は坐剤で、例えば、フォーム又はフィルムで被覆されるか、又はそれを含むもののような、固形物体送達系でよい。代わりに、それは、長期の鞘上皮の接触を維持するのに十分な厚さを持つフォーム又はフィルム中に組み込まれるペースト又はゲルでよい。代わりに、フォーム又はフィルムは、例えば、生物付着性粒子の溶液、ローション、又は懸濁液を含む液体の薬物が含浸される坐剤の壁又はスポンジ又は他の吸収性物質上の被膜を提供し得る。鞘上皮に対して効果的に処置薬剤を送達する任意の形態の薬物送達系が、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0215】
鞘内の局所送達には、治療上有効な薬剤を単独でか、又は担体、粘膜付着性薬剤、吸着増強物質又は透過促進物質との混合物において含むフォーム又はフィルムを、鞘上皮及び粘膜に接触させることが包含される。
【0216】
鞘内の送達は、本発明のフォーム又はフィルムの組成物を鞘に送達することによって直接か、又は前述のように、鞘装置中に組み込まれる鞘に対する本発明の組成物を送達することによってかのいずれかで達成される。フォーム又はフィルムの組成物、又はそれらの組成物によって被覆されるか、又はそれらの組成物を内部に組み込む装置は、鞘上皮に密接な接触状態にか、又はその直近に設置され、そこで、薬剤は、組成物又は装置から放出されるか、又はフォーム又はフィルムの装置から放出されるかのいずれかであり、及びフォーム又はフィルムは、直接にか、又は粘膜付着性化合物の作用を介して、それが鞘上皮及び粘膜と接触するか、又はこれに付着するかのいずれかであり、そこでは、それが鞘壁を透過し、及び子宮にか、及び/又は鞘の粘膜に吸収されるか、又はそれを介して搬送されることによって血液循環に送達される。
【0217】
このフォーム又はフィルムを用いる鞘粘膜を介する薬物の送達は、全身的な生物利用能(バイオアベイラビリティ)を十分に改善し、及び血漿におけるこれらの薬物の濃度を大きく増加させる。
【0218】
(B. 頬側送達)
薬物の頬側送達のための経上皮性のフォーム又はフィルムは、直接的な鼻粘膜を介する薬物の体循環への搬送を可能にし、それによって、侵襲的な静注のか、又は効果の低い経口での投与が回避される。
【0219】
1具体例において、本発明は頬側送達系に関し、それは、口腔を裏打ちする上皮と相互作用するように設計され、そこでは、これらの装置から放出される薬物が、局所的に頬側の粘膜に対して作用するか、又は頬側の上皮の障壁を好首尾に横断し、及び粘膜及び粘膜下領域に達し、そこで、それらが、投与部位とははっきりと隔てられる標的への分配のための体循環に接近する。
【0220】
頬側経路を経る薬物送達は、双方の性別の患者に対して適用可能であり、高い服薬率(compliance)を実現し、なぜなら、この送達は非侵襲的で、及び投与部位への容易な接近を与えるからである。頬側粘膜は血管が豊富で、体循環への接近を容易にする。さらに、頬側粘膜から吸収される薬物は、鞘経路と同様に肝臓の初回通過代謝を避けられる。
【0221】
(C. 鼻送達)
さらに別の具体例では、本発明はまた、鼻粘膜に対する、フォーム及びフィルムの薬物送達装置の投与に関し、そこでは、組み込む薬物が鼻の上皮に放出されるか、又は上皮障壁を浸透してより一層深い粘膜組織に達し、そこで、それは、分配のための体循環に接近することができる。鼻の経路は、鼻腔からの血液排出も肝臓の初回通過代謝を迂回するために、全身性の標的を持つ薬物の、ほとんどか、又はまったく分解を伴わない速やかな吸収を提供するという利点を持つ。この経路は、鼻の調製物の投与が簡単なために、患者には歓迎される。特に興味深いのは、生体の免疫系と相互作用し、及び免疫防御を推進するように設計されるタンパク質(すなわち、ワクチン)のような生物工学を基とする薬物のための鼻の送達の取り組みである。鼻を介する免疫系への接近は、鼻の関連リンパ性組織(NALT)の形態における上皮下の僅か数層の細胞層しか提供されない。
【0222】
(D. 唇送達)
本発明は、外側の非角化粘膜の唇の上皮を介する送達に関する。
【0223】
本発明では、フォーム又はフィルムは、治療上の及び/又は対症的な抗炎症性、鎮痛性、化学療法的、抗新生物性、抗骨粗しょう性、抗カビ性、抗菌性、抗ウイルス性又は殺寄生生物性(parasiticidal, antiparasitic)の薬物を、非角化の唇の上皮に対してか、又はこの障壁を介して、薬理学的に活性な薬剤を体循環に直接向けて投与することが包含される。
【0224】
フォーム又はフィルムの組成物又は薬用装置は、必要に応じてか、又は治療内容に従って、1日当たり1回、2回又は数回適用される。装置、又は例えば、フォーム又はフィルムの組成物を含むか、又は組成物によって覆われるパッドのようなその活性な部分は、典型的には、乾燥したか、又は湿潤の形態で供給されるか、又は挿入に先立ち濡らされる。
【0225】
唇上皮を介する薬物送達のためのフォーム又はフィルムの雌性用装置は、典型的には、テープ、小型ピロウ、ミニパッド、小型で好ましくは矩形のパッド又は蝶型に接続された2本のテープ又はパッドの組み合わせのような挿入体であり、又は唇に取り付けられるこれらの1種又は2種は鞘挿入体によって適所に保持されてもよい。唇投与の利点は、装置がパッドであれテープであれ、2種の装置及び/又は装置の両面に投薬することができ、及びこれらの2種の挿入体を陰核の両側に沿って同時に適用し得ることである。
【0226】
本発明の1具体例は、唇の蝶型パッド、1対の唇パッド又は唇の装置を適所に保持するための唇の蝶型のものと鞘の挿入体との組み合わせ体の設計を持つ雌性用フォーム又はフィルムの装置である。上記双方の装置は、前記装置の内部に組み込まれる、クリーム、ローション、フォーム、軟膏、微粒子、ナノ粒子、微小乳剤、溶液、又はゲルとして調剤される薬理学的薬剤の封じ込めのためにか、又は受け入れられ、含有されるようにか、又は含浸されるように修飾される。
【0227】
代わりに、薬物を、フォームパッド又はスポンジ上の被膜中に組み込むか、又は坐剤としてのフォームパッド内部に含めることができ、スポンジ、錠剤、又はその他の吸収性物質を、生体接着性粒子の溶液、ローション、又は懸濁液を用いて含浸させることができ、パッドの形に成形して用いてもよい。
【0228】
唇を介する薬物送達のための雌性用装置は、概して、唇に取り付けるか、又は適用可能である任意の構造のものである。装置は独立型であってよく、又はスリップのような何らかの構造的支持体に取り付けられてもよい。
【0229】
典型的には、前述の装置の他に、雌性用装置は、唇に直接取り付けが可能なか、又はスリップ、ストラップ、等のような何かの構造的支持体に装着される、フォームテープ、接着テープ、包帯、パッド、ポーチ又はバッグであってよい。
【0230】
本装置は、随意に、血流を高めるか、及び/又は薬物放出及び送達を促進するために、電池電源式加熱装置を含むことができる。電池は、パッドに取り付けるか、又はスリップ又はストラップのウェストバンドに取り付けてもよい。
【0231】
(E. 陰嚢送達)
本発明のフォーム又はフィルムは、治療上の、抗炎症性、鎮痛性、化学療法性、抗骨粗しょう性、抗新生物性、抗カビ性、抗菌性、抗ウイルス性又は殺寄生生物性の薬理学的薬剤の、陰嚢の角化上皮に向けてか、又はこの障壁を介して、その薬理学的に活性な薬剤を前立腺、睾丸に対してか、又は薬物の全身的送達のための体循環に対して直接送達する投与を可能とする。
【0232】
本発明は、全身的送達で認められる問題点の多くを、局所的な組成物又は特別に調剤される治療上の薬剤を含む装置を用いて、薬物療法の搬送を、非粘膜性陰嚢上皮に対して直接向けることによって克服することができるという発見に関する。特別に調剤されるフォーム又はフィルムの組成物は、経陰嚢性送達のために、装置から陰嚢に放出される薬物の付着を促進する。随意に、かかる組成物は、経陰嚢上皮の薬物透過及び吸収を促進する、追加の成分を含む。
【0233】
経陰嚢的処置のための方法には、局所的なフォーム又はフィルムの組成物、又は薬物の陰嚢上皮に対する付着性を促進するために少なくとも1種の粘膜接着剤、及び随意に透過増強物質との併用で調剤される薬物を含む局所的組成物を含む装置を提供することによって、軽度に角化した陰嚢上皮に対して直接に、薬物又は薬物を含む装置を、必要なだけ長時間の延長される期間、接触させることを含む典型的な局所的処置を包含する。
【0234】
本発明の1具体例は、薬理学的薬剤を、非粘膜性で、軽度に角化した陰嚢組織を介して送達するためのフォーム又はフィルムから作成されたか、又はこれで被覆された雄性用装置に関する。装置は、陰嚢上皮との連続的な接触を提供し、それによって、装置の中に組み込まれる本発明の組成物の治療効果を確保する。
【0235】
典型的には、雄性用装置は、陰嚢に直接取り付けることができるか、又はストラップ、運動用サポータ、サスペンダ、等のような何かの構造的支持体に装着されるフォーム又はフィルムのテープ、接着テープ、包帯、パッド、又はテープ、包帯又はパッドの組合せであるが、また、陰嚢上に噴霧されるフォーム又はフィルムのゲルであってもよい。
【0236】
フォーム又はフィルムの組成物又はフォーム又はフィルム被覆装置は、鼻、口腔又は鞘の腔に対してか、又は唇又は陰嚢に対して、必要に応じてか、又は治療内容に従って、1日に1回、2回又は数回投与又は適用される。それは、1回適用されて、数時間又は数日間被覆上皮上に放置されてよく、又は種々の間隔で繰り返し適用されてもよい。装置、又は例えば、独立型のフォーム又はフィルムの被覆パッド又は組成物を含むパッドのような、その活性部分は、典型的に、乾燥又は湿潤の形態で供給されるか、又は鼻、口腔又は鞘の腔又は唇又は陰嚢中への据付に先立って濡らされてもよい。
【実施例】
【0237】
(例1)
(ケトコナゾールフォーム)
本例はケトコナゾールを含むフォームの調製を例示する。
【0238】
ポリエチレングリコール400をFluka Chemika(フルカ・ケミカ社)から入手し、アルギン酸ナトリウム塩をSigma-Aldrich(シグマ-アルドリッチ社)から入手し、及びケトコナゾール(USP 24、微小化)をQuimica Sintetica S.A.から入手した。
【0239】
ケトコナゾールを、ポリエチレングリコール(PEG)400中に溶解し、均一な10mg/mL溶液を形成した。アルギン酸ナトリウム塩を蒸留水中に溶解し、5.0w/w%溶液を生成した。アルギン酸溶液の45ミリリットル(45.0mL)を、5.0mLのケトコナゾール/PEG400溶液と合わせ、及びこれらの溶液を70℃で15分間一緒に混合した。この溶液の5ミリリットル(5.0mL)分液を、5.0mLのプラスチック注射筒に注ぎ、及び-80℃で凍結した。次に、凍結した円筒形の試料を、注射筒鋳型から取り出し、及びVirtis Unitop (ビルティス・ユニトップ)1000Lのshelf lyophilizer(棚状凍結乾燥機)を用いて凍結乾燥した。筒形のケトコナゾール含有重合体性フォームが得られた。
【0240】
(例2)
(鞘送達用薬物含有フォームの調製)
本例は、ケトコナゾールの局所鞘送達用フォームの調製のための処理を記載する。
【0241】
ケトコナゾール(USP 24、微小化)をQuimica Sintetica S.A.から入手し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel@ K, HPMC K15M)をDow Chemical、Midland(ミッドランド)、米国ミシガン州から入手した。ポリソルベート80(Tween@80)を、Spectrum Chemical Manufacturing Corp.(スペクトラム・ケミカル・マニュファクチャリング社)、Gardena(ガルデーナ)、米国カリフォルニア州から入手した。
【0242】
フォームは、ビーカ中で、1.0gm(グラム)のTween80を100.0mLの蒸留水に加えることによって調製した。溶液を80℃に加熱し、及び次に2.5gmのMethocel(メトセル)を添加した。機械的攪拌を用いて均一溶液を調製した。溶液を60℃に冷却し、及び2.0gmのケトコナゾールを添加した。機械的攪拌を用いて得られる調剤物を完全に混合した。
【0243】
18本の5.0mLプラスチック注射筒を薬物含有溶液で満たし、及び冷凍庫に-80℃で1時間置いた。次いで、溶液の凍結した筒状体を注射筒から排出し、Virtis Unitop 1000L凍結乾燥機中に置いた。次に、筒状体を解凍して、筒形のケトコナゾール含有フォーム試料を生産した。
【0244】
(例3)
(局所鞘送達用薬物含有フォームの調製)
本例は、ケトコナゾールの経鞘送達用フォームの調製のための処理を記載する。
【0245】
ケトコナゾール(USP 24、微小化)をQuimica Sintetica S.A.から入手し、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(Methocel@ K, HPMC K15M)をDow Chamical、Midland、米国ミシガン州から入手した。ポリソルベート80(Tween@80)を、Spectrum Chemical Manufacturing Corp.、Gardena、米国カリフォルニア州から入手した。すべての他の薬品はSigma Aldrich、St. Louis(セントルイス)、米国ミズーリ州から入手した。
【0246】
クエン酸/リン酸緩衝液(pH=5.0)を、0.1モルのクエン酸溶液と0.2モルのリン酸水素2ナトリウム溶液とを用いて調製した。100ミリリットルの溶液を、49.0mLのクエン酸溶液を51.0mLのリン酸水素2ナトリウム溶液に添加することによって調製した。
【0247】
フォームを、ビーカ中で、1.0gmのTweenを80から100.0mLのクエン酸/リン酸緩衝液に加えることによって調製した。溶液を80℃に加熱し、及び次に2.5gmのメトセルを加えた。機械的攪拌を用いて均一溶液を調製した。溶液を60℃に冷却し、及び2.000mgのケトコナゾールを添加した。得られる調剤物を、機械的攪拌を用いて完全に混合した。
【0248】
18本の5.0mLプラスチック注射筒を薬物含有溶液で満たし、及び冷凍庫に-80℃で1時間置いた。次いで、溶液の凍結した筒状体を注射筒から排出し、及びVirtis Unitop 1000L凍結乾燥機中に置いた。次に、筒状体を解凍して、筒形のケトコナゾール含有フォームサンプルを生産した。
【0249】
(例4)
(経鞘送達用薬物含有フォームの調製)
本例は、ケトコナゾールの経鞘送達用フォームの調製のための処理を記載する。
【0250】
フォームは、2.5gmのメトセルを100.0mLの蒸留水に加え、及び溶液を80℃に加熱することによって調製した。機械的攪拌を用いて均一溶液を調製した。溶液を60℃に冷却し、及び2.0gmのケトコナゾールを添加した。
【0251】
18本の5.0mLプラスチック注射筒を薬物含有液で満たし、及び冷凍庫に-80℃で1時間置いた。次いで、溶液の凍結した筒状体を注射筒から排出し、及びVirtis Unitop 1000L凍結乾燥機中に置いた。次に、筒状体を解凍して、筒形のケトコナゾール含有フォーム試料を生産した。
【0252】
(例5)
(ケトロラック含有フォーム)
本例は、アルギン酸/ヒドロキシプロピルメチルセルロース基材を用いる、ケトロラック含有フォームの調製を記載する。
【0253】
0.2015gのケトロラックトロメタミンを、70-80C(℃)で攪拌しながら、100.0mLの脱イオン水と混合し、次いで、1.2507gのヒドロキシプロピルメチルセルロース、次いで1.2503gのアルギン酸を連続攪拌しながら添加することによって、溶液を調製した。これらの温かい溶液を、10mL分液として10mL注射筒に分配した。試料を-80℃で18時間凍結した。室温で短時間温めた後、試料を、注射筒から予め-40℃に冷却した金属製パン上に排出した。-20℃で117時間減圧下で凍結乾燥し、次いで、減圧しながら5時間周囲温度まで温めることによって、試料をフォームに変えた。得られるフォームを乾燥条件下に貯蔵した。
【0254】
(例6)
(ケトラック含有アルギン酸フォーム)
本例は、ケトロラックトロメタミンを含有するアルギン酸フォームの調製を記載する。
【0255】
0.2002gのケトロラックトロメタミンを、70-80℃で攪拌しながら100.0mLの脱イオン水と混合し、次いで、2.5023gのアルギン酸を連続攪拌しながら添加することによって、溶液を調製した。
【0256】
温かい溶液を、10mL分液として10mLのプラスチック製注射筒に分配した。試料を-80℃で18時間凍結した。室温で短時間温めた後、試料を、注射筒から予め-40℃に冷却した金属製パンに排出した。-20℃で117時間減圧下で凍結乾燥し、次いで、減圧しながら5時間周囲温度まで温めることによって、試料をフォームに変えた。得られるフォームを乾燥条件下に貯蔵した。
【0257】
(例7)
(ケトロラック含有アルギン酸フィルム)
本例は、ケトロラックトメタミンを含むアルギン酸フィルムの調製を記載する。
【0258】
2.5gのアルギン酸を50.0mLの脱イオン水と80℃で攪拌しながら混合することによって、溶液を調製した。室温に冷却後、100mgのケトロラックを添加し、及び1時間攪拌した。溶液を、4インチ直径の鋳型に注ぎ、及び室温に70時間乾燥させた。得られるフィルムを乾燥条件下に貯蔵した。
【0259】
(例8)
(ヒドロキシプロピルメチルセルロース-アビセルフォーム)
本例は、基材として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び微結晶性セルロース誘導体を用いるフォームの調製を記載する。
【0260】
1.0046のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び20.0192gのアビセルPH-101微結晶性セルロースを、79.0gの脱イオン水と約70℃で攪拌しながら混合することによって、溶液を調製した。温かい溶液を5mL分液として5mLのプラスチック注射筒に分配した。室温に冷却した後、試料を-80℃で2時間凍結した。室温で短時間温めた後、試料を、注射筒から予め-20℃に冷却した金属製パン上に排出した。-20℃で90時間及び-10℃で2時間フリーズドライすることによって、試料をフォームに変えた。次いで、試料を減圧下22時間周囲温度に温めた。得られるフォームロッドを乾燥条件下に貯蔵した。
【0261】
(例9)
(ヒドロキシプロピルメチルセルロースのフォーム)
本例は、基材として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び微結晶性セルロース誘導体を用いるフォームの調製を記載する。
【0262】
5.0014のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び5.0050gのアビセルPH-101微結晶性セルロースを、90.0gの脱イオン水と約70℃で攪拌しながら混合することによって、溶液を調製した。温かい溶液を5mL分液として5mLプラスチック注射筒に分配した。室温に冷却させた後、試料を-80℃で2時間凍結した。室温で短時間温めた後、試料を、注射筒から予め-20℃に冷却した金属製パン上に排出した。-20℃で90時間及び-10℃で2時間フリーズドライすることによって、試料をフォームに変えた。次いで、試料を減圧下22時間周囲温度に温めた。得られるフォームロッドを乾燥条件下に貯蔵した。
【0263】
(例10)
(ヒドロキシプロピルメチルセルロースのフォーム)
本例は、基材として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び微結晶性セルロース誘導体を用いるフォームの調製を記載する。
【0264】
5.0044のヒドロキシプロピルメチルセルロース及び20.0017gのアビセルPH-101微結晶性セルロースを、75.0gの脱イオン水と約70℃で攪拌しながら混合することによって、溶液を調製した。温かい溶液を5mL分液として5mLプラスチック注射筒に分配した。室温に冷却させた後、試料を-80℃で2時間凍結した。室温で短時間温めた後、試料を、注射筒から予め-20℃に冷却した金属製パン上に排出した。-20℃で90時間、-10℃で2時間フリーズドライすることによって、試料をフォームに変えた。次いで、試料を減圧下22時間周囲温度に温めた。得られるフォームロッドを乾燥条件下に貯蔵した。
【0265】
(例11)
(トランスクトール及びケトロラックトロメタミンを含むアルギン酸-HPMCフォーム)
本例は、透過増強物質トランスクトール及びケトロラックトロメタミンを含むアルギン酸/HPMCフォームの調製を記載する。
【0266】
0.20gのケトロラックトロメタミンを、70-80℃で攪拌しながら100.0mLの脱イオン水と混合し、次いで、1.25gのヒドロキシプロピルメチルセルロース、次いで1.25gのアルギン酸を連続攪拌しながら添加することによって、溶液を調製した。温かい溶液を、10mL分液として10mL注射筒に分配した。試料を-80℃で18時間凍結した。室温で短時間温めた後、試料を、注射筒から予め-40℃に冷却した金属製パン上に排出した。20℃で117時間減圧下でフリーズドライし、次いで、減圧しなかが5時間周囲温度まで温めることによって、試料をフォームに変えた。約4cm長、及び160mg重量に切断したフォームロッドに、塩化メチレン中の1.6%トランスクトールトロメタミン約1.0mLを噴霧した。穏やかな加熱を用いて塩化メチレンを蒸発させ、フォームロッドにおいて約16mgのトランスクトールトロメタミンが残留した。得られるフォームは乾燥条件下に貯蔵した。
【0267】
(例12)
(シクロデキストリンBを含むHPMCフォーム)
本例は、シクロデキストリンBを含むHPMCフォームの調製を記載する。
【0268】
組成:
フォーム#1 フォーム#2 フォーム#3
HPMC 2.4992g 2.5100g 2.4906g
(95.21%) (91.0%) (83.2%)
ベータ-シクロデキストリン 0.1258g 0.2940g 0.5015g
(4.79%) (9.02%) (16.8%)
水 97.5g 97.5g
BCD:HPMC比 1:20 1:10 1:5
【0269】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、β-シクロデキストリン(gyclodextrin, cyclodextrin)、及び脱イオン水を、約70℃で攪拌しながら混合すすることによって、溶液を調製した。温かい溶液を、5mL分液として5mLプラスチック注射筒に分配した。室温に冷却した後、試料を-80℃で35分間凍結した。室温で短時間温めた後、試料を、注射筒から予め-20℃に冷却した金属製パン上に排出した。-20℃で117時間及び-10℃で49時間フリーズドライすることによって、試料をフォームに変えた。次いで、試料を減圧下4.5時間周囲温度に温めた。全ての場合に、柔らかい白色フォームロッドが生産された。これらのフォームロッドを乾燥条件下に貯蔵した。
【0270】
(例13)
(アルギン酸フィルム)
本例はアルギン酸フィルムの調製を記載する。
【0271】
アルギン酸ナトリウム塩を、Sigma-Aldrichから入手し、及び蒸留水中に溶解して5.0w/w%溶液を生産した。アルギン酸及び水を、磁気攪拌バーを用い80℃で少なくとも2時間混合して、均一な溶液を形成した。粘ちょうなアルギン酸溶液の、厚さが300mmから2.0mmの範囲の複数層を、手動の薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート塗布機(plate coater、CAMAG、スイス国)を用いて、ガラス板(20×20cm2)上に被覆した。溶液の層を、25℃で24時間乾燥させ、及び得られる重合体フィルムをガラスプレートから剥がした。清澄で、屈曲性に富む、親水性アルギン酸フィルムが得られた。
【0272】
(例14)
(アルギン酸アレンドロネートナトリウムのフィルム)
本例はアレンドロネート(アレンドロン酸塩)を含むアルギニン酸フィルムの調製を記載する。
【0273】
アルギン酸ナトリウム塩をSigma-Aldrichから入手し、及び蒸留水中に溶解し、前述の方法を用いて5.0w/w%溶液を生産した。アレンドロン酸ナトリウム(ロット#ASFPG04)を、Albany Molecular Research(アルバニー・モレキュラー・リサーチ社)、Alabany(アルバニー)、米国ニューヨーク州より入手し、及び50.6mgを、25.0mLのアルギン酸溶液に添加した。溶液を、50mLのプラスチック製円錐形管(conical tube)において手首運動型振とう機(wrist action shaker)を用い、25℃で少なくとも1時間かき混ぜて、清澄で、均一な溶液を形成した。粘ちょうなアルギン酸アレンドロン酸ナトリウム溶液を、手動の薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート塗布機(CAMAG、スイス国)を用いて、ガラス板(20×20cm2)上におよそ1.0mm厚の複数層として被覆した。溶液の層を、25℃で24時間乾燥させ、及び得られる重合体フィルムをガラス板から剥がした。清澄で、屈曲性に富む、親水性アルギン酸アレンドロン酸ナトリウムのフィルムが得られた。
【0274】
(例15)
(アルギン酸塩酸メトクロプラミドのフィルム)
本例はメトクロプラミドを含むアルギン酸フィルムの調製を記載する。
【0275】
アルギン酸ナトリウム塩をSigma-Aldrichから入手し、及び蒸留水中に溶解して、前述の方法を用いて5.0w/w%溶液を生産した。塩酸メトクロプラミドを、ICN Biomedicals, Inc.(ICNバイオメディカルズ社)、Aurora(オーロラ)、米国オハイオ州より入手し、及び51.6mgを、25.0mLのアルギン酸溶液に添加した。溶液を、50mLのプラスチック円錐形管において手首運動型振とう機を用いて25℃で少なくとも1時間かき混ぜて、清澄で、均一な溶液を形成した。粘ちょうなアルギン酸塩酸メトクロプラミド溶液を、手動の薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート塗布機(CAMAG、スイス国)を用いて、ガラス板(20×20cm2)上におよそ1.0mm厚の複数層として被覆した。溶液の層を、25℃で24時間乾燥させ、及び得られる重合体フィルムをガラス板から剥がした。清澄で、屈曲性に富む、親水性アルギン酸/塩酸メトクロプラミドのフィルムが得られた。
【0276】
(例16)
(HPMC/アレンドロン酸ナトリウムフィルム)
本例はアレンドロン酸塩含有フィルムの調製のために用いら手法を記載する。
【0277】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、Dow Chemical Company(ダウケミカル社)(Methocel K15M)から入手し、及び蒸留水中に溶解して、前述の方法を用いて2.5w/w%溶液を生産した。アレンドロン酸ナトリウム(ロット#ASPGO04)を、Albany Molecular Research、Albany、米国ニューヨーク州より入手し、及び49.0mgを25.0mLのHPMC溶液に添加した。溶液を、50mLのプラスチック円錐形管において手首運動型振とう機を用いて25℃で少なくとも1時間かき混ぜて、清澄で、均一な溶液を形成した。粘ちょうなHPMC/アレンドロン酸ナトリウム溶液を、手動の薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート塗布機(CAMAG、スイス国)を用いて、ガラス板(20×20cm2)上におよそ1.0mm厚の複数層として被覆した。溶液の層を、25℃で24時間乾燥させ、及び得られる重合体フィルムをガラス板から剥がした。清澄で、屈曲性に富む、親水性HPMC/アレンドロン酸ナトリウムフィルムが得られた。
【0278】
(例17)
(HPMC/塩酸メトクロプラミドフィルム)
本例はメトクロプラミドを含むフィルムの調製のために用いられる手法を記載する。
【0279】
ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、Dow Chemical Company(Methocel K15M)から入手し、及び蒸留水中に溶解して、前述の方法を用いて2.5w/w%溶液を生産した。塩酸メトクロプラミドを、ICN Biomedicals, Inc.、Aurora、米国オハイオ州より入手し、及び50.8mgを、25.0mLのHPMC溶液に添加した。溶液を、50mLのプラスチック円錐形管において手首運動型振とう機を用いて25℃で少なくとも1時間かき混ぜて、清澄で、均一な溶液を形成した。粘ちょうなHPMC/塩酸メトクロプラミド溶液を、手動の薄層クロマトグラフィ(TLC)プレート塗布機(CAMAG、スイス国)を用いて、ガラス板(20×20cm2)上におよそ1.0mm厚の複数層として被覆した。溶液の層を、25℃で24時間乾燥させ、及び得られる重合体フィルムをガラス板から剥がした。清澄で、屈曲性に富む、親水性HPMC/塩酸メトクロプラミドフィルムが得られた。
【0280】
(例18)
(薬理学的薬剤を含むフォーム又はフィルムの調製)
本例は、種々の薬理学的薬剤の、粘膜性、経粘膜性、陰嚢性、経陰嚢性、唇性、経唇性の送達のためのフォーム又はフィルムの調製を記載する。
【0281】
下記の薬物の各1種を表示の用量において、粘膜性、経粘膜性、唇性、経唇性、陰嚢性又は経陰嚢性の投与のために、フォーム又はフィルムを、いずれかの例1から17に従って調製した。その薬剤と用量は:アスピリン(975mg)、ピロキシカム(20mg)、インドメタシン(50mg)、フェナマート(500mg)、スリンダク(200mg)、ナブメトン(750mg)、ケトロラック(detorolac, ketorolac)(10mg)、イブプロフェン(200mg)、フェニルブタゾン(50mg)、ブロムフェナック(50mg)、ナプロキセン(550mg)、リドカイン(100mg)、メピバカイン(0.2mg)、エチドカイン(200mg)、ブピバカイン(100mg)、塩酸2-クロロプロカイン(100mg)、プロカイン(200mg)、テトラカイン塩酸(20mg)、ジルチアゼム(60mg)、アイスラピジン(10mg)、ニモジピン(30mg)、フェロジピン(450mg)、ニフェジピン(90mg)、ニカルジピン(30mg)、リトドリン(150mg)、ベプリジル(300mg)、ドフェチリド(1mg)、アルモカラント(1mg)、セマチリド(1mg)、アンバシリド(1mg)、アジミリド(1mg)、テジサミル(100mg)、ソタロール(240mg)、イブチリド(1mg)、テルブタリン(5mg)、サルブタモール(1mg)、ピロキシカム(20mg)、硫酸メタプロテレノール(20mg)、ニトログリセリン(3mg)、イソソルビドジナイトレート(40mg)、イソソルビドモノナイトレート(120mg)である。他の薬物は、D節において前述したような量において同じやり方で調剤してよい。
【0282】
望ましい用量を送達するのに必要な薬物投与量は、組成物における活性原料の濃度及び透過増強物質又は粘膜付着性薬剤の量に依存する。本発明の組成物の鞘の経粘膜投与のための治療上の用量範囲は患者の大きさに従い変動する。
【0283】
(例19)
(経粘膜の鼻送達用のケトロラック含有フィルム溶液の調製)
本例は、経粘膜性エトキシジグリコール含有鼻組成物の調製を記載する。
【0284】
高せん断力混合機を用い、1gのケトロラックトロメタミン、1.5gのTween 80、1.0gのポリカルボフィル、0.05gの塩化ナトリウム、及び2.5gのソルビトールを、44gの脱イオン水中に分散させた。溶液は、0.2ミクロンMillipore(ミリポア社)フィルタを通過させて滅菌する。得られる半透明な混合物は、鼻組織上に噴霧するか、又は広げるのに適切であった。
【0285】
(例20)
(ケトロラックを含む経粘膜フォームゲル組成物の調製)
本例は経鞘送達用の、ケトロラック含有経粘膜ゲル組成物の調製を記載する。
【0286】
ケトロラックトロメタミン(1g)、Tween80(5g)、プロピレングリコール(10g)、及びエトキシジグリコール(Transcutol P)(15g)を、高せん断力混合機によって混ぜながら200mLビーカにおいて70-80℃に加熱した脱イオン水(44g)に添加した。トリアセチン(20g)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(5g)を、温度を維持し及び混合しながら、徐々に添加した。冷却によって、粘性が、混合物がゲルの一貫性を持つまで上昇した。
【0287】
(例21)
(パミドロネートを含む頬側フォームパッドの調製)
本例はパミドロネート(パミドロン酸塩)を含む頬側パッドの調製を記載する。
【0288】
Sigma、St. Louis、米国ミズーリ州から商業上入手可能な、未標識(unlabeled)のパミドロネートの用量は、0.2mg/kg体重であった。パミドロネートの頬側パッドは、綿、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はフォームパッドを、例4で記載したのと同様にして調製したパミドロネート溶液中に浸して調製する。
【0289】
(例22)
(粘膜付着性頬側フィルム)
本例は、経粘膜送達用の、親水性薬物としてペプチド薬物のサケのカルシトニンを含む、粘膜付着性頬側フィルムの調製を記載する。
【0290】
サケのカルシトニン(分子量=3.4kD)をBachem(バケム社)〔Torrance(トーランス)、米国カリフォルニア州〕から購入した。50:50ポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)を、Boehringer Ingelheim(ベーリンガーインゲルハイム社)〔Ingelheim(インゲルハイム)、ドイツ国〕から入手した。グルタミン酸キトサン、医薬等級(分子量=150kD)を、Pronova Biochemical AS(プロノバ・バイオケミカル社)〔Oslo(オスロ)、ノルウェー国〕から受領した。メタノール、ジクロロメタン、及びグリセロールはSigma Chemical(St. Louis、米国ミズーリ州)から購入した。メタノール中の2%(w/w)サケカルシトニンの0.5mL及びクロロホルム中の20%(w/w)のポリ(D,L-ラクチド-コ-グリコリド)の4.5mLによって調製した溶液5gを、0.5%(w/w)グリセロールと共にキトサン水溶液(2%, w/w)中に15℃で攪拌(9500 rpm)しながら滴下することによって、水中油型乳剤を形成した。混合物を20分間攪拌下に維持し、CAMAG TLCプレート塗布機を用いてガラス板上に広げて薄層とし、及び30℃に保持して溶媒を蒸発させた。
【図面の簡単な説明】
【0291】
【図1】アルギン酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースフォームからのケトロラックトロメタミンのpH4.2リン酸緩衝液中への放出を例示する。
【図2】アルギン酸フィルムからのケトロラックのpH4.2での合成鞘流体中への放出を示す。
【図3】異なる百分率の混合物での、水摂取及びヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース-アビセルフォームの溶解を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬理学的に有効な薬剤を、鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮に局所的にか、又は鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮を介して体循環中に送達するための重合体のフォーム又はフィルムの組成物であって、少なくとも1種の基材重合体又は複数の基材重合体の混合物及び薬理学的に有効な薬剤を含む、組成物。
【請求項2】
前記基材重合体が、親水性、疎水性であるか、又は双方の混合物である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記基材重合体が、ヒドロプロピルメチルセルロース、ゼラチン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム塩、ポリエチレングリコール、ペクチン、コラーゲン、ポロクサマー、カルボポル、微結晶性セルロース、ポリアクリル酸、ポリプロピレングリコール、ジビニルグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリラクチド、ポリグリコライド、ポリメタクリル酸、ポリ‐γ‐ベンジル‐L‐グルタミン酸塩、ポリプロピレンフマル酸塩、ポリ‐ε‐カプロラクトン、ポリ‐ブチレンテレフタル酸塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリ‐1‐ビニル2‐ピロリジノン、2,5‐ジメチル‐1,5‐ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、ポリスチレン‐ジビニルベンゼン、ポリビスp‐カルボキシ‐フェノキシプロパン‐コ‐セバシン酸、ポリ‐β‐ヒドロキシ酪酸塩、ポリ‐β‐ブチロラクトン、テトラエチルオルトケイ酸塩及びジメチルジエトキシシランからなる群より選ばれる、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
重合体が、ヒドロプロピルメチルセルロース、ゼラチン、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム塩、ポリエチレングリコール、ペクチン、コラーゲン、ポロクサマー、カルボポル又は微結晶性セルロースである、請求項2記載の組成物。
【請求項5】
さらに、透過増強物質、吸着促進物質、粘膜付着性薬剤、親水性又は疎水性の放出修飾物質、又はそれらの混合物を含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記粘膜付着性薬剤が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリラクチド‐コ‐グリコライド、キトサン、キトサンエステル又は塩化トリメチレンキトサン、アルギン酸ナトリウム、ポロクサマー、カルボポル、ペクチン、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリカルボフィルからなる群より選ばれ、
前記透過増強物質が、カプロン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、パルミトレイン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、リノール酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ラウリルザルコシン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ウルソデオキシコール酸ナトリウム、ケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、グリコールケノデゾキシコール酸ナトリウム、コリルザルコシン酸ナトリウム、N‐メチルタウロコール酸ナトリウム、タウロ‐24,25‐ジヒドロフシジン酸ナトリウム、ポリオキシエチレン‐10オレイルエーテルリン酸2ナトリウム、リン酸又は無水物による脂肪アルコール又は脂肪アルコールエトキシレートのエステル化生成物、カルボン酸エーテル、スクシニル化モノグリセリド、ステアリルフマル酸ナトリウム、コハク酸水素ステアリン酸プロピレングリコール、モノ‐及びジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ‐及びジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のグリセリル‐ラクトエステル、脂肪酸の乳酸エステル、アルギン酸の塩、エトキシル化アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン、スルホン酸α‐オレフィン、イセチオン酸アシル、タウリン酸アシル、スルホン酸アルキルグリセリルエーテル、オクチルスルホコハク酸2ナトリウム、ウンデシレンアミデオ‐MEA‐スルホコハク酸2ナトリウム、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ポリアクリル酸、ヒアルロン酸ナトリウム、グリチルレチン酸、エチレンジアミン四酢酸塩、クエン酸ナトリウム、キトサン、トリメチルキトサン、ポリ‐L‐アルギニンキトサン、ポリ‐L‐リジンキトサン、アミノ化ゼラチン、塩化ヘキサデシルトリアンモニウム、塩化デシルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、塩化ジイソブチルフェノキシエトキシジメチルベンジルアンモニウム、塩化エチルピリジニウム、塩化イソプロピルピリジニウム、N‐ラウリル,N,N‐ジメチルグリシン、N‐カプリル,N,N‐ジエチルグリシン、ポリオキシエチレン‐ココナツアミン、ポリ‐L‐リジン、ポリ‐L‐アルギニン、レシチン、リゾレシチン、ヒドロキシル化レシチン、リゾホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ジデカノイル‐L‐α‐ホスファチジルコリン、ラウロイルカルニチン、アシルカルニチン、パルミトイル‐D,L‐カルニチン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンモノオレイルエーテル、エトキシジグリコール、ポリオキシエチレンノニルフェノール、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ポリオキシエチレンダイズステロールエーテル、α‐シクロデキストリン、β‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリン、ジメチル‐β‐シクロデキストリン、メチル化‐β‐シクロデキストリン、2‐ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、ソルビトール、ポリオキシエチレングリコールエステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリド、ポリオキシエチレン植物性油又は水素化油、モノオレイン酸ポリオキシエチレン、ジラウリン酸ポリオキシエチレン、ジオレイン酸ポリオキシエチレン、ラウリン酸ポリオキシエチレングリセリル、オレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、オレイン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリオキシエチレン扁桃油、ポリオキシエチレン杏仁油、ポリオキシエチレンカプリル酸グリセリド、ポリオキシエチレンカプリン酸グリセリド、ラウロイルマクロゴールグリセリドからなる群より選ばれ、及び
前記放出修飾物質が、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール8000、ポロクサマー、ポリオキシエチレングリセリルココエート、カルボポル、スポシーレAS2X、スポシーレCM、ウィテップソルH15、ウィテップソルW25、ミネラル油、コーン油、パラフィン油、菜種油、ヒマシ油、綿実油、レシチン、ピーナツ油、ゴマ油、ダイズ油及び水素化植物性油からなる群より選ばれる、
請求項5記載の組成物。
【請求項7】
前記粘膜付着性薬剤が約0.5%から約10%の重量で存在し、前記透過増強物質が約0.1%から約60%の重量で存在し、前記放出修飾物質が約5%から約70%の重量で存在する、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
さらに、薬理学的に許容可能な添加剤又は賦形剤を含む、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
前記添加剤又は賦形剤が、可溶化剤、緩衝化剤、充填剤、保存剤、可塑剤、表面活性剤又は抗酸化剤である、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
基材重合体が、単独又は組み合わせで、更に、抗骨粗しょう剤、非ステロイド性抗炎症剤、カルシウムチャネル拮抗剤、局所麻酔剤、カリウムチャネル拮抗剤、β‐アドレナリン性作用剤、血管拡張剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、抗カビ剤、抗ウイルス剤、抗微生物性剤、抗寄生生物剤、抗てんかん剤、抗片頭痛剤、抗HIV剤、抗神経変性剤、抗精神病剤、化学療法剤又は抗新生物性剤及びオピオイド鎮痛剤からなる群より選ばれる薬理学的に有効な薬剤と組み合わされる、請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記非ステロイド性抗炎症性の薬物が、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、フェニルブタゾン、ブロムフェナック、フェナマート、スリンダク、ナブメトン、ケトロラック、及びナプロキセンからなる群より選ばれ;
前記カルシウムチャネル拮抗剤が、ジルチアゼム、アイスラピジン、ニモジピン、フェロジピン、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン及びベプリジルからなる群より選ばれ;
前記カリウムチャネル遮断剤が、ドフェチリド、アルモカラント、セマチリド、アンバシリド、アジミリド、テジサミル、ソタロール、ピロキシカム、及びイブチリドからなる群より選ばれ;
前記β‐アドレナリン性作用剤が、テルブタリン、サルブタモール、メタプロテレノール、及びリトドリンからなる群より選ばれ;
前記COX‐2又はCOX‐1の抑制剤が、ナプロキセン、ケトプロフェン、ケトロラック、インドメタシン、ジクロフェナック、テノキシカム、セレコキシブ、メロキシカム及びフロスリドからなる群より選ばれ;
前記血管拡張剤が、ニトログリセリン、イソソルビドジナイトレート及びイソソルビドモノナイトレートからなる群より選ばれ;
前記ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロネート(zoledronate)、アルパドロネート、レジドロネート及びネリドロネートからなる群より選ばれ;
前記抗真菌剤が、ミコナゾール、テルコナゾール、イソコナゾール、フェンチコナゾール、チオコナゾール、フルコナゾール、ニスタチン、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、メトロニダゾール及びイトラコナゾールからなる群より選ばれ;
前記抗菌剤が、メトロニダゾール、クリンダマイシン、テトラマイシン(tetramycin)、エリスロマイシン、ドキシサイクリン(doxicycline、doxycycline)、ロメフロキサシン(lumefloxacin、lomefloxacin)、ノルフロキサシン、アフロキサム(afloxam)、シプロフラキシン(ciproflaxin)、アジスロマイシン(azitromycin、azithromycin)、セフロトキシム(cefltoxime)からなる群より選ばれ;
前記選定される殺寄生生物性剤がメトロニダゾール及びクロトリマゾールであり;
前記抗ウイルス剤がアシクロビル又はAZTであり;
前記抗片頭痛剤が、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、ボセンタン及びレーンピタントであり;
前記抗癌剤が、ビンクリスチン、シスプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、メトトレキセート、及びゲムシタビンであり;
前記抗HIV剤が、サキナビル、リトナビル、インジナビル、アンプレナビル、ネルフィナビル、ロピナビル及びガンシクロビルであり;及び
前記生物工学によって導かれるタンパク質又はペプチドが、インスリン、カルシトニン、バゾプレシン、ロイプロリド、ソマトスタチン、オキシトシン、ビバリルジン、インテグリリン、ナトレコル、アバレリックス、ガストリンG17ペプチド、ジコノチド、セレポート、インターロイキン、ヒト化抗体及び成長ホルモンである
請求項10記載の組成物。
【請求項12】
鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の装置の表面に投与される、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
フォームとして調剤される請求項12記載の組成物。
【請求項14】
フォームが可変の形状及び寸法を持つ、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記フォームが、シート、チューブ、タンポン、シリンダ、ピロウ、ストリップ、パッド、スフィア、タブレット、リング、又はビーズとして形作られる装置に予備成形される、請求項14記載の組成物。
【請求項16】
フィルムとして調剤される請求項12記載の組成物。
【請求項17】
フィルムが可変の厚み及び寸法を持つ、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
フィルムが、鼻、頬側、鞘、又は唇の装置の被膜として用いられる、請求項12記載の組成物。
【請求項19】
前記フォーム又はフィルムが凍結乾燥又は通気によって調製される、請求項18記載の組成物。
【請求項20】
装置であって、請求項1〜18のいずれか一項記載の重合体のフォーム又はフィルムの組成物を含み、前記装置が、治療上有効な薬剤を、鼻、頬側、鞘、又は唇に局所的に送達するのに適切であり、前記装置が前記組成物によって被覆されているか、又は前記組成物が前記装置中に組み込まれているかのいずれかである、装置。
【請求項21】
装置が、タンポン、タンポン様装置、リング、スポンジ、ペッサリ、坐剤、ピロウ、パッド、ストリップ、シリンダ、スフィア、又はビーズであり、及び前記組成物が、フォーム又はフィルムの被膜であるか、又は前記装置中に組み込まれているフォーム又はフィルムである、請求項20記載の装置。
【請求項22】
鼻、頬側、鞘、唇又は陰嚢の上皮に向けられるか、又はそれらを介して、薬物を局所的にか、又は全身的に送達するための方法であって、前記方法が、基材重合体及び薬理学的に有効な薬剤から本質的になるフォーム又はフィルムの組成物を、鞘、鼻、頬側、唇又は陰嚢の上皮に接触させる工程を含む、方法。
【請求項23】
薬理学的に有効な薬剤が、非ステロイド性抗炎症剤、抗プロスタグランジン剤、プロスタグランジン抑制剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、カルシウムチャネル遮断剤、カリウムチャネル遮断剤、β‐アドレナリン性作用剤、血管拡張剤、抗生剤、抗真菌剤(antimycotic)、ビスホスホネート、抗悪心剤、抗精神病剤、抗片頭痛剤、抗HIV剤、抗癌剤、化学療法剤、生物工学的に導かれるタンパク質又はペプチド、抗てんかん剤、オピオイド鎮痛剤からなる群より選ばれ、
粘膜に投与される前記組成物における前記薬理学的薬剤の量が、約0.01から約2000mgまでの薬理学的薬剤の治療上有効な投与量を体循環に送達するのに十分である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記非ステロイド性抗炎症性の薬物が、アスピリン、イブプロフェン、インドメタシン、フェニルブタゾン、ブロムフェナック、フェナマート、スリンダク、ナブメトン、ケトロラック、及びナプロキセンからなる群より選ばれ;
前記カルシウムチャネル拮抗剤が、ジルチアゼム、アイスラピジン、ニモジピン、フェロジピン、ベラパミル、ニフェジピン、ニカルジピン、及びベプリジルからなる群より選ばれ;
前記カリウムチャネル遮断剤が、ドフェチリド、アルモカラント、セマチリド、アンバシリド、アジミリド、テジサミル、ソタロール、ピロキシカム及びイブチリドからなる群より選ばれ;
前記β‐アドレナリン性作用剤が、テルブタリン、サルブタモール、メタプロテレノール、リトドリンからなる群より選ばれ;
前記シクロオキシゲナーゼ抑制剤が、ナプロキセン、ケトプロフェン、ケトロラック、インドメタシン、ジクロフェナック、テノキシカム、セレコキシブ、メロキシカム及びフロスリドからなる群より選ばれ;
前記血管拡張剤が、ニトログリセリン、イソソルビドジナイトレート、及びイソソルビドモノナイトレートからなる群より選ばれ;
前記ビスホスホネートが、アレンドロネート、クロドロネート、エチドロネート、パミドロネート、チルドロネート、イバンドロネート、ゾレドロネート、アルパドロネート、レジドロネート及びネリドロネートからなる群より選ばれ;
前記抗カビ剤が、ミコナゾール、テルコナゾール、イソコナゾール、フェンチコナゾール、チオコナゾール、フルコナゾール、ニスタチン、ケトコナゾール、クロトリマゾール、ブトコナゾール、エコナゾール、メトロニダゾール及びイトラコナゾールからなる群より選ばれ;
前記抗菌剤が、メトロニダゾール、クリンダマイシン、テトラマイシン、エリスロマイシン、ドキシサイクリン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、アフロキサム、シプロフラキシン、アジスロマイシン、セフロトキシムからなる群より選ばれ;
前記選定される殺寄生生物性剤がメトロニダゾール及びクロトリマゾールであり;
前記抗ウイルス剤がアシクロビル又はAZTであり;
前記抗片頭痛剤が、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン、ボセンタン及びレーンピタントであり;
前記抗癌剤が、ビンクリスチン、シスプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、パクリタキセル、ドセタキセル、シクロホスファミド、メトトレキセート、及びゲムシタビンであり;
前記抗HIV剤が、サキナビル、リトナビル、インジナビル、アンプレナビル、ネルフィナビル、ロピナビル及びガンシクロビルであり;及び
前記生物工学によって導かれるタンパク質又はペプチドが、インスリン、カルシトニン、バゾプレシン、ロイプロリド、ソマトスタチン、オキシトシン、ビバリルジン、インテグリリン、ナトレコル、アバレリックス、ガストリンG17ペプチド、ジコノチド、セレポート、インターロイキン、ヒト化抗体及び成長ホルモンである
請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記組成物を、鞘上皮を介して送達する、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記組成物を、鼻粘膜を介して送達する、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記組成物を、頬粘膜を介して送達する、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記組成物を、陰嚢上皮を介して送達する、請求項24記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−512409(P2006−512409A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502233(P2005−502233)
【出願日】平成15年10月31日(2003.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2003/034643
【国際公開番号】WO2004/041118
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(503014528)ユーエムディー, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】