説明

蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液、その製造法及び材料をマーキングするためのその使用

分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも1μmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物、及び、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在でラジカル懸濁重合させることにより得ることができるポリマーの水性分散液、該分散液の製造法、及び、分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも100nmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物、及び、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在でラジカル懸濁重合又はラジカルミニエマルション重合させることにより得ることができるポリマーの水性分散液並びに該ポリマー分散液からその都度乾燥により得ることができる少なくとも1種の蛍光色素を含有する粉末の、材料をマーキングするための使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、少なくとも1μmの粒度を有しかつ蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液、分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも1μmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物の存在でラジカル懸濁重合させることによるそのような分散液の製造法、及び、そのように得ることができる水性分散液又はそこから得ることができるポリマー粉末の、材料のマーキングのための使用に関する。
【0002】
WO−A−99/40123から、分散されたポリマー粒子が有機色素を均質に、つまり分子分散で分配されて含有する水性ポリマー分散液の製造方法は公知である。そのような水性分散液は、有機色素を溶解して含有するエチレン性不飽和モノマーを、水中油型エマルションの形で、ラジカル形成する重合開始剤の存在で重合させ、その際、本質的に、色素含有の、主に<500nmの直径を有するモノマー液滴のエマルションの分散相を形成させることによるミニエマルション重合により製造される。本発明の有利な実施態様において、重合の際に架橋作用を有するモノマーを含有するモノマー混合物が使用される。前記ポリマー分散液は沈殿安定性である。この分散した粒子は、100〜400nmの平均粒度を有する。前記粒子は、通常の乾燥方法を用いて水性分散液から得ることができる。前記の色素含有のポリマー分散液は、例えば高分子の有機及び無機材料の顔料添加のために、印刷インキ及びインクジェット印刷用のインキの顔料添加のために使用される。
【0003】
色素含有ポリマー粒子が1000nmを下回る平均粒度を有する他の色素含有ポリマー分散液は、EP−A−1191041から公知である。色素として、有機色素の他にUV吸収剤及び蛍光増白剤が挙げられる。該ポリマー粒子は、色素を少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマーに溶解させ、前記溶液を水中に乳化させて通常のマクロエマルションを形成させ、前記マクロエマルションを均質化して1000nmを下回る平均液滴サイズを有するミニエマルションを形成させ、前記ミニエマルションをラジカル形成性重合開始剤、少なくとも1種の非イオン性界面活性化合物0.1〜20質量%及び少なくとも1種の両親媒性重合体1〜50質量%(それぞれ使用したモノマーに対する)の存在で重合させることにより製造される。このポリマー粒子は、少なくとも1種の有機色素、蛍光増白剤又はUV吸収剤0.5〜50質量%を均質に分配して含有し、これは有機色素がポリマーマトリックス中に単分子で溶解しているか又は二分子凝集体又は高分子凝集体の形で存在していると解釈される。
【0004】
WO−A−2004/037867からはアルキルジケテンを含有する水性ポリマー分散液が公知であり、このポリマー分散液はアルキルジケテンの存在で疎水性モノエチレン系不飽和モノマーのミニエマルション重合により得られる。この分散液は、紙用のサイズ剤として、皮革、天然及び合成繊維及び織物用の疎水化剤として使用される。
【0005】
B.J. Battersby, G.A. Lawrie,A.P.R. Johnston及びM. Trauは、Chem. Commun., 2002,1435-1441において、蛍光色素、ナノ結晶及び金属を用いるコロイド懸濁液の光学的コード化を報告している。このように例えば、直径3〜6μmのコロイドは、蛍光色素又は錯体で結合したランタニドの投入により光学的にマーキングされている。コロイドマーキングの他の種類は、コロイドの間隙にセレン化カドミウムナノ結晶が提供された硫化亜鉛を入れること又は金属イオンを電気化学的に堆積させることである。このコロイドは、例えば、蛍光顕微鏡又はサイトメータを用いて互いに区別することができる。
【0006】
WO−A−99/52708から、ガス状、液体又は固体の材料のマーキング法は公知であり、その際、後に同定されるべきガス状、液体又は固体の材料に、キャリアマイクロ粒子に結合している十分な量の着色マイクロ粒子及び/又はナノ粒子が添加される。使用される粒子は、例えば架橋したポリスチレンからなり、かつ約5.5μmの直径を有する。該粒子は例えば3種の異なる蛍光色素を用いて8種の異なる色素濃度で着色又はコード化されるため、コード化された512の異なる粒子の群が得られる。個々の群は例えばサイトメータを用いて同定されることができる。例えば製造者が製造バッチ及び製造年月日をこのようにして証明するために、コード化された粒子は、物質、例えば食塩結晶のマーキングのために使用される。
【0007】
DE−A2004027416から、コード化されたマイクロ粒子を用いた材料のマーキング法は公知であり、その際、以下
(i)少なくとも1種の水溶性モノエチレン系不飽和モノマーを、分子中に少なくとも2個の二重結合を有する少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーの存在で、油中水型の逆相懸濁重合によって、懸濁剤としてのドープされたナノ粒子の存在で重合させ、
(ii)非水溶性モノエチレン系不飽和モノマーと、モノマー混合物に対して0〜10質量%の、分子中に少なくとも2個の二重結合を有する少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマーとを乳化重合させ、その際、分散相の安定化のための乳化剤として、ドープされたナノ粒子を使用し、
(iii)少なくとも一種のエチレン系不飽和モノマーを、エチレン系不飽和二重結合を有する共重合性色素と一緒に重合させ、そして場合により前記粒子を凝集させ、
(iv)水中で実質的に不溶性のポリマー粒子に、少なくとも1種の色素を吸着させ、かつ場合により前記粒子を凝集させ、
(v)電磁放射線の吸収、発光及び/又は散乱が異なる少なくとも2種の異なるマイクロ粒子群を凝集させて平均粒度300nm〜500μmの凝集体にし、
(vi)少なくとも1種の水と混和可能な有機溶剤中の溶液から少なくとも1種の非水溶性色素を沈殿させ、水中で実質的に不溶性のポリマー粒子にするか、又は
(vii)水溶性色素の静電引力により沈殿させ、反対に帯電した水中で実質的に不溶性のポリマー粒子にする
ことにより得られるコード化されたマイクロ粒子が使用される。
【0008】
(i)及び(ii)による重合の際には、例えば少なくとも色素、周期系の希土類元素の群からの化合物でドープされているか又は放射性であるナノ粒子が使用される。
【0009】
EP−B−0692517から、以下
(A)アクリル酸又はメタクリル酸のC1〜C8−アルキルエステル69.9〜99.8質量%、
(B)共重合性モノエチレン系不飽和モノマー0〜29.9質量%、
(C)共重合性の多官能性の架橋作用を有するモノマー0.1〜30.0質量%、
からの混合物を、
(D)(A)及び(B)の合計に対して0.1〜15.0質量%の、クマリン又はペリレン系列からの非極性蛍光色素
の存在で懸濁重合させる、蛍光顔料の製造法は公知である。モノマーをインペラ撹拌機を用いて水中に乳化させた場合には、蛍光色素を含有する水中に分散されたポリマー粒子の直径は0.1〜3mmの範囲内であり、モノマーを強力剪断ユニット、例えばUltra-Turrax(登録商標)を用いて水中に分散させた場合には、該直径は1〜100μmであり、かつエマルションは引き続き重合される。しかしながら、そのように得ることができる水性ポリマー分散液は幅広い粒度分布を有する。
【0010】
従って本発明は、少なくとも1μmの粒度を有し、かつ出来る限り均一な粒度分布を有する蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液を提供するという課題に基づいている。そのようなポリマー分散液は、特に単一粒子分析に関して重要であり、それというのも、例えば1〜100μmの粒径は特に有利に分析により測定し得るためである。
【0011】
上記課題は、本発明により、分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも1μmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物、及び、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在でラジカル懸濁重合させることにより得ることができる、少なくとも1μmの粒度を有しかつ蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液によって解決される。
【0012】
水中に分散されたポリマー粒子の合成は、本発明によれば懸濁重合により行われる。上記のEP−B−0692517から公知である方法とは対照的に、本発明による方法において、モノマー、少なくとも1種の蛍光色素及び界面活性化合物の他に付加的に、水中で極めてわずかにのみ可溶性である補助溶剤が蛍光色素のために疎水性物質として使用される。疎水性物質の水溶解度は例えば(25℃及び1013mbarで)<0.1g/l、有利に<0.01g/lである。通常ミニエマルション重合の際に使用される全ての疎水性化合物を使用することができる。WO−A−99/40123、第7頁、第27行〜第8頁、第20行を参照のこと。しかしながら、ミニエマルションの製造とは異なり、本発明によれば、水中の、少なくとも1種の蛍光色素を含有する、少なくともモノマーと疎水性物質とからの溶液の乳化の場合、少なくとも1μmの平均粒度を有する水中油型エマルションを得る場合のようには強力に剪断されない。従って、水中油型エマルションの平均粒度はミニエマルションに慣用の粒度を明らかに上回る。乳化されたモノマー液滴から、均一に分配された蛍光色素を含有する分散されたポリマー粒子が生じる。前記方法は、ミニ懸濁重合とも呼称され得る。
【0013】
本発明によれば、少なくとも1種の蛍光色素を含有し、1〜100μmの範囲内の平均粒度を有し、かつ疎水性化合物の排除下に製造されるポリマー分散液よりも狭い粒度分布を有するポリマーの水性分散液が得られる。EP−B−0692517を参照のこと。公知の方法に対して、本発明による方法において、より少ない凝固物が形成され、その上更に、副反応としての乳化重合は極めて十分に抑制される。
【0014】
エチレン系不飽和モノマーとして、例えば以下
(a)アクリル酸のC1〜C18−アルキルエステル、メタクリル酸のC1〜C18−アルキルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、クロロスチレン及び/又はα−メチルスチレンの群からの疎水性モノマー、
(b)場合により、エチレン系不飽和C3〜C6−カルボン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸、上記酸の塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、C1〜C6−カルボン酸のC1〜C8−ヒドロキシアルキルエステル、ジ−C1〜C3−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキルアクリレート、ジ−C1〜C3−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルホルムアミド及び/又はN−ビニルピロリドンの群からの親水性のモノマー、及び
(c)場合により、少なくとも2個の二重結合を分子内に有する少なくとも1種の架橋作用を有するモノマー
が挙げられる。
【0015】
群(a)のモノマーは、懸濁重合の際に、単独で、相互に混合して、並びにモノマー(b)及び/又は(c)と組み合わせて使用されてよい。群(a)のモノマーの例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert.−ブチルアクリレート、sec.−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec.−ブチルメタクリレート、tert.−ブチルメタクリレート、ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタリレート、ヘプチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、パルミチルメタクリレート及びステアリルメタクリレート並びに酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、クロロスチレン及び/又はα−メチルスチレンである。前記群の有利に使用されるモノマーは、メチルメタクリレート及びスチレンである。
【0016】
場合によりポリマーの親水変性のために使用される群(b)のモノマーは、例えば、エチレン系不飽和C3〜C6−カルボン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸、上記酸の塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、C1〜C6−カルボン酸のC1〜C8−ヒドロキシアルキルエステル、ジ−C1〜C3−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキルアクリレート、ジ−C1〜C3−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルホルムアミド及び/又はN−ビニルピロリドンの群から選択されている。
【0017】
エチレン系不飽和カルボン酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びビニル酢酸である。エチレン系不飽和カルボン酸並びにスルホ基含有モノマーは、重合の際に、遊離酸の形、並びに、部分的又は完全に、アルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、アンモニア又はアミンで中和された形で使用されてよい。大抵は、酸性モノマーのナトリウム塩、カリウム塩又はアンモニウム塩が使用される。しかしながら、酸性モノマーは、重合の際に、アミン、例えばブチルアミン、モルホリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミンで中和された形で、及び部分的又は完全に中和された形で使用されてよい。ヒドロキシアルキルエステルのうち、特に、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート及び2−ヒドロキシプロピルメタクリレートが挙げられる。
【0018】
塩基性モノマーの例は、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジ−n−プロピルアミノエチルアクリレート及びジ−n−プロピルアミノエチルメタクリレートである。塩基性モノマーは、遊離塩基として、鉱酸、飽和カルボン酸又はスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸又はベンゼンスルホン酸との塩として、並びに4級化された(例えば塩化メチル、塩化エチル、塩化n−プロピル、硫酸ジメチル、塩化n−ヘキシル、塩化シクロヘキシル又は塩化ベンジルで4級化された)形で、重合の際に使用されてよい。
【0019】
群(b)のモノマーは、単独か又は組み合わせて重合の際に使用されてよい。有利に、前記群から、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルホルムアミド及びN−ビニルピロリドンが使用される。
【0020】
群(c)のモノマーとして、少なくとも2個の二重結合を分子内に有する架橋作用を有するモノマーが使用される。そのようなモノマーの例は、多価アルコール及びエチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸及びメタクリル酸からのエステル、例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリアルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのアクリレート及びメタクリレート、又は、例えば100〜5000の分子量を有するエチレンオキシド及びプロピレンオキシドからのブロックコポリマー、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリットトリアクリレート、ペンタエリトリットトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート、ペンタエリトリットテトラメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニル尿素及びメチレンビスアクリルアミドである。有利に、アリルメタクリレート、ブタンジオール−1,4−ジアクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレートが架橋剤として挙げられる。
【0021】
重合の際に使用されるモノマー混合物は、例えば以下
(a)少なくとも1種の疎水性モノマー60〜100質量%、
(b)少なくとも1種の親水性モノマー0〜30質量%、及び
(c)少なくとも2個の二重結合を有する少なくとも1種の架橋作用を有するモノマー0〜40質量%
を含有する。
【0022】
有利に、重合の際に、以下
(a)少なくとも1種の疎水性モノマー60〜99.9質量%、
(b)少なくとも1種の親水性モノマー0〜30質量%、及び
(c)少なくとも1種の架橋作用を有するモノマー0.1〜25質量%、特に5〜15質量%
を含有するモノマー混合物が使用される。
【0023】
蛍光色素は当業者に公知である。蛍光色素は、例えば従来技術で挙げられたWO−A−99/40123、第10頁、第14行〜第25頁、第25行及びEP−B−0692517、第3頁、第7行〜第6頁、第1行に記載されている。適当な蛍光色素には、例えば、クマリン色素、ペリレン色素、テリレン色素、クアテリレン色素、ナフタルイミド色素、シアニン色素、キサンテン色素、オキサジン色素、アントラセン色素、ナフタセン色素、アントラキノン色素又はチアジン色素のクラスが含まれる。有利に、水中油型エマルションの水相中よりも油相中でより高い溶解性を有する蛍光色素が使用される。例えば、色素は油相中で少なくとも0.001質量%、有利に少なくとも0.01質量%の溶解度を有するのが望ましい。
【0024】
蛍光色素を含有し、かつ少なくとも1μmの平均粒度を有する微細粒ポリマーの水性分散液を製造するために、例えば、まず、少なくとも1種の蛍光色素を、少なくとも1種の当該モノマーと少なくとも1種の疎水性化合物とからなる混合物に溶解させ、次いで、該溶液を、少なくとも1種の界面活性化合物を含有する水相中に乳化させるというように行うことができる。水相中への油相の乳化は、例えば、高速で運転される撹拌機を用いて、又は、ロータ−ステータ−原理により運転される装置、例えばUltra-Turrax(登録商標)を用いて実施されてよい。油滴の平均粒度が少なくとも1μm〜100μm、有利に1.1〜25μmである水中油型エマルションが得られる。
【0025】
少なくとも1種の蛍光色素を含有するポリマーの本発明による水性分散液の主成分は疎水性物質である。これについての例は、疎水性の非重合性有機化合物、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンである。疎水性の非重合性有機化合物とは、例えば(25℃及び1013mbarで)<0.01g/lの水中での溶解度を有する全ての化合物と解釈される。これについての例は、10〜50個のC原子、有利に10〜24個のC原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素、10〜24個のC原子を有するアルコール、テトラアルキルシラン、オリーブ油、ペルフルオロメチルデカリン及び/又はC4〜C6−ジカルボン酸のジ−n−ブチルエステルである。前記群からの特に有利に使用される疎水性化合物は、ヘキサデカン及び液体パラフィン、例えば工業用又は医学用ホワイトオイルである。そのようなホワイトオイルは例えばCAS−No.8042−47−5で入手可能である。これは、C15〜C50の範囲内の炭素数を有する飽和炭化水素の複合的組合せとしての石油−鉱油である。疎水性の非重合性有機化合物の混合物、例えばヘキサデカンとホワイトオイルとの混合物を使用することもできる。該疎水性化合物は、別の疎水性化合物と同様に、モノマーに対して例えば0.5〜50質量%の量で、有利に1〜20質量%の量で使用される。
【0026】
疎水性物質として、更に、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンのホモポリマー又はC2〜C6−オレフィンからのコポリマーが挙げられる。この種のポリマーは、例えば以下のものである。
【0027】
(i)100〜1000の平均分子量Mwを有する、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ブテン−2、ペンテン−1又はヘキセン−1からのホモポリマー、
(ii)100〜1000の平均分子量Mwを有する、(i)で挙げられたモノマー少なくとも2種からのコポリマー、及び/又は
(iii)少なくとも100の平均分子量Mwを有するポリイソブチレン。
【0028】
群(i)のポリマーの例は、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1及びヘキセン−1の低分子ホモポリマーである。これは例えばエチレンのオリゴマー、例えば、Shell社からNeodene(登録商標)の商標で市販されている、及び、BP社からα−オレフィンとして例えばAO 2026で市販されている、並びに、Chevron-Phillips Corporation社から市販されている、1分子中に特に8〜12個の炭素原子を有するポリマーである。化合物(i)として、更に、Exxon-Mobil社から市販されているテトラマープロペン及びOxeno社から市販されているテトラブテンが挙げられる。化合物(i)は1つの二重結合を含む。該化合物は例えば100〜10000、有利に150〜2000の平均分子量Mwを有する。
【0029】
化合物(ii)の例は、エチレンとプロピレンとからのコポリマー、エチレンとブテン−1とからのコポリマー、エチレンとブテン−2とからのコポリマー、エチレンとヘキセン−1とからのコポリマー、プロピレンとブテン−1とからのコポリマー、及び、プロピレンとブテン−1とブテン−2とからのコポリマー並びに他の組合せである。前記コポリマーは同様になお1つのエチレン系不飽和二重結合を含む。該化合物は例えば100〜10000、有利に150〜2000の平均分子量Mwを有する。
【0030】
群(iii)の化合物として、ポリイソブチレンが挙げられる。ポリイソブチレンは有利に少なくとも100、有利に少なくとも150の平均分子量Mwを有する。平均分子量Mwは、例えば200〜10000の範囲内にある。大抵、当該ポリイソブチレンの平均分子量Mwは少なくとも400であり、有利に500〜4000の範囲内にある。
【0031】
適当なポリイソブチレンは市販されている。これについての例は、BASF Aktiengesellschaft社のGlissopal(登録商標)商標及びOppanol(登録商標)商標、例えばGlissopal(登録商標)550、Glissopal(登録商標)1000、Glissopal(登録商標)1300、Glissopal(登録商標)2300、Oppanol B10及びOppanol B12である。ポリイソブチレンは、例えばBF3触媒下でのイソブテンのカチオン重合により製造される。ポリイソブチレンは、例えば少なくとも80%、有利に少なくとも85%の、高いα−オレフィン基含分を有する。ポリイソブチレンは、BF3とは異なるルイス酸、例えばAlY3、TiY4、SnY4及びZnY2とのいわゆる「リビング」重合によっても製造することができ、その際、上記式において、置換基Yはフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を表す。少なくとも80%のα−オレフィン基含分を有するポリイソブチレンが有利に使用される。本発明により(iii)として使用することのできる化合物の他の例は、BP社からIndopol(登録商標)の商品名で市販されている、180〜6000の範囲内の分子量を有する標識L2-L-50並びにH-7〜H-18000を有するポリイソブチレンである。しかしながら前記ポリイソブチレンは、同様にα−オレフィン基を約10%まで含むに過ぎない。
【0032】
重合法に応じて、前記ポリマーについての多分散度(PDI)、即ち、質量平均分子量と数平均分子量とからの比は、1.05〜10の範囲内、有利に1.05〜5の範囲内、特に1.05〜2.0の範囲内である。多分散度(PDI)並びに数平均分子量及び質量平均分子量の測定法は、例えばAnalytiker-Taschenbuch,第4巻,第433-442頁,ベルリン,1984に記載されている。
【0033】
前記群からの有利に使用される疎水性化合物は、例えば(i)テトラマープロペン及びテトラマーブテン、(ii)それぞれ150〜2000の分子量を有する、エチレンとプロピレンとからのコポリマー、エチレンとブテン−1とからのコポリマー、エチレンとブテン−2とからのコポリマー、エチレンとヘキセン−1とからのコポリマー、プロピレンとブテン−1とからのコポリマー、及び、プロピレンとブテン−1とブテン−2とからのコポリマー、及び/又は(iii)200〜10000の範囲内の分子量を有するポリイソブチレンである。
【0034】
他の適当な疎水性物質は、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンである。
【0035】
水中油型エマルションを安定化させるために、慣用の少なくとも1種の界面活性化合物が使用される。前記界面活性剤は、それぞれ全体の分散液に対して、例えば15質量%までの量で、例えば、0.05〜15質量%、有利に0.05〜5質量%、特に0.1〜2質量%の量で使用される。前記界面活性剤は、水相中、有機相中又は双方の相中に存在する。前記界面活性剤は有利に乳化の前に水相に添加される。原則として、全ての界面活性剤を使用することができる。有利に使用される界面活性剤は、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤、並びに例えば1000〜100000の平均分子量Mwを有する両親媒性ポリマーである。適当な界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及び/又はエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド15〜50モルのC12〜C22−アルコール1モルへの付加生成物である。
【0036】
水中油型エマルションは、付加的に、場合により使用される両親媒性ポリマーを用いて安定化されてもよい。両親媒性ポリマーが使用される場合には、該ポリマーは、重合の際に使用されるモノマーに対して例えば0.05〜15質量%、有利に0.5〜5質量%の量で使用される。両親媒性ポリマーの例は、以下の単位
(i)疎水性モノエチレン系不飽和モノマー、及び
(ii)モノエチレン系不飽和カルボン酸、モノエチレン系不飽和スルホン酸、モノエチレン系不飽和ホスホン酸又はそれらの混合物及び/又は塩基性モノマー
を含有するコポリマーである。
【0037】
適当な疎水性モノエチレン系不飽和モノマー(i)は、例えばスチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、C2〜C18−オレフィン、モノエチレン系不飽和C3〜C5−カルボン酸と一価アルコールとからのエステル、ビニルアルキルエーテル、ビニルエステル又はそれらの混合物である。モノマーの前記群のうち、有利に、イソブテン、ジイソブテン、スチレン及びアクリル酸エステル、例えばエチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート及びsec.−ブチルアクリレートが使用される。
【0038】
両親媒性コポリマーは、親水性モノマー(ii)として、有利に、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、アクリルアミド−プロパン−3−スルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルホスホン酸又はそれらの混合物を重合導入された形で含有する。酸性モノマーは、遊離酸の形か、又は部分的又は完全に中和された形で存在してよい。
【0039】
他の適当な親水性モノマーは、塩基性モノマーである。塩基性モノマーは、疎水性モノマー(i)と、単独で、又は上記の酸性モノマーと混合して重合されてよい。塩基性モノマーと酸性モノマーとからの混合物が使用される場合、それぞれ重合導入された酸性モノマーと塩基性モノマーとのモル比に応じてアニオン又はカチオンに帯電した両性コポリマーが生じる。
【0040】
塩基性モノマーは、例えばジ−C1〜C2−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキル(メタ)アクリレート又はジアリルジメチルアンモニウムクロリドである。塩基性モノマーは、遊離塩基、有機酸又は無機酸との塩の形で、又はアルキルハロゲン化物で4級化された形で存在してよい。塩基性モノマーがカチオン性となる塩形成ないし4級化は、部分的又は完全に行われてよい。そのような化合物についての例は、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート及び/又はジメチルアミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド及び/又はジアリルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0041】
遊離酸の形の両親媒性コポリマーが十分に水溶性でない場合、該コポリマーは水溶性塩の形で使用され、例えば相応するアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩が使用される。前記塩は、例えば、両親媒性コポリマーの遊離酸基を塩基で部分的又は完全に中和することにより製造され、例えば、中和のために、苛性ソーダ液、苛性カリ液、酸化マグネシウム、アンモニア又はアミン、例えばトリエタノールアミン、エタノールアミン、モルホリン、トリエチルアミン又はブチルアミンが使用される。有利に、両親媒性コポリマーの酸基はアンモニア又は苛性ソーダ液で中和される。そのようなモノマーを重合導入により含有する塩基性モノマーないしコポリマーの水溶性を、鉱酸、例えば塩酸又は硫酸を用いた部分的又は完全な中和により、又は有機酸、例えば酢酸又はp−トルエンスルホン酸の添加により、高めることができる。両親媒性コポリマーの分子量は、例えば1000〜100000であり、有利に1500〜10000の範囲内である。両親媒性コポリマーの酸価は例えば50〜500、有利に150〜350mgKOH/ポリマーgである。
【0042】
以下
(i)イソブテン、ジイソブテン、スチレン又はそれらの混合物95〜45質量%、及び
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸の半エステル又はそれらの混合物5〜55質量%、
を重合導入により含有する両親媒性コポリマーは特に有利である。特に有利に、以下
(i)スチレン45〜80質量%、
(ii)アクリル酸55〜20質量%、及び場合により
(iii)付加的に他のモノマー
を重合導入により含有するコポリマーが、ミニエマルションのための安定剤として使用される。コポリマーは場合により他のモノマー(iii)としてマレイン酸半エステルの単位を重合導入により含有してよい。そのようなコポリマーは、例えば、スチレン、ジイソブテン又はイソブテン又はそれらの混合物と無水マレイン酸とからのコポリマーを水の不在で共重合させ、該コポリマーを重合に引き続きアルコールと反応させることにより得ることができ、その際、コポリマー中の無水物基1モル当たり5〜50モル%の一価アルコールが使用される。適当なアルコールは、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール及びtert.−ブタノールである。しかしながら、コポリマーの無水物基を多価アルコール、例えばグリコール又はグリセリンと反応させることもできる。しかしながらこの場合、反応は、多価アルコールのOH基1つだけが無水物基と反応する限りにおいて行われる。コポリマーの無水物基がアルコールと完全に反応されない場合、アルコールと反応しない無水物基の開環が水の添加により行われる。
【0043】
水中油型エマルションの安定剤として適当な他の化合物は、例えば市販のモノエチレン系不飽和酸のポリマー、並びに、例えばWO−A−96/34903に記載されているようなN−ビニルホルムアミドのポリアルキレングリコールへのグラフトポリマーである。グラフトされたビニルホルムアミド単位は、場合により、例えば10%まで加水分解されていてよい。グラフトされたビニルホルムアミド単位の割合は、ポリアルキレングリコールに対して有利に20〜40質量%である。有利に、2000〜10000の分子量を有するポリエチレングリコールが使用される。
【0044】
更に、水中油型エマルションの安定化のために、両性イオンのポリアルキレンポリアミン及び両性イオンのポリエチレンイミンが挙げられる。そのような化合物は、例えばEP−B−0112592から公知である。前記化合物は、例えば、ポリアルキレンポリアミン又はポリエチレンイミンをまず例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドでアルコキシル化し、アルコキシル化生成物を引き続き例えばメチルブロミド又はジメチルスルフェートで4級化し、次いで、この4級化されたアルコキシル化生成物をクロロスルホン酸又は三酸化硫黄で硫酸化することにより得ることができる。両性イオンのポリアルキレンポリアミンの分子量は、例えば1000〜9000、有利に1500〜7500である。両性イオンのポリエチレンイミンは、有利に1500〜7500ダルトンの範囲内の分子量を有する。別の上記の安定剤は、場合により界面活性剤と組み合わせて、エマルションの安定化のために使用される。上記の安定剤が使用される場合には、モノマーに対して例えば0.05〜15質量%、有利に0.5〜5質量%の量で使用される。
【0045】
安定な水性ポリマー分散液を得るために、前記重合は場合によりなお付加的に保護コロイドの存在で実施することができる。保護コロイドは、一般に500を上回る、有利に1000より高い平均分子量Mwを有する。保護コロイドの例は、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、酢酸ビニル及び/又はプロピオン酸ビニルのポリエチレングリコールへのグラフト重合体、片側又は両側がアルキル基、カルボキシル基又はアミノ基で末端基封鎖されているポリエチレングリコール、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド及び/又は多糖類、例えば特に水溶性デンプン、デンプン誘導体及びタンパク質である。このような生成物は、例えばRoempp, Chemie Lexikon第9版、第5巻、第3569頁又はHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie,第4版、第14/2巻、IV章Umwandlung von Cellulose und Staerke, E. Husemann及びR. Werner著,第862〜915頁及びUllmanns Encyklopedia for Industrial Chemistry,第6版、第28巻、第533頁以降の多糖類(Polysaccharides)の項に記載されている。
【0046】
例えば全ての種類のデンプン、例えばアミロースもアミロペクチンも、天然デンプン、疎水性又は親水性に変性したデンプン、アニオン性デンプン、カチオン性に変性されたデンプン、分解されたデンプンが適していて、その際、デンプンの分解は例えば酸化、熱、加水分解又は酵素によって行うことができ、かつその際デンプンの分解には天然のデンプンも変性されたデンプンも使用することができる。他の適当な保護コロイドは、デキストリン及び架橋された水溶性デンプンであり、これらは水で膨潤可能である。
【0047】
有利に、保護コロイドとして、天然の水溶性デンプン(これは例えばデンプン蒸解を用いて水溶性の形に変換することがでる)、並びにアニオン性に変性されたデンプン、例えば酸化されたジャガイモデンプンが使用される。特に分子量低下にさらされたアニオン性に変性されたデンプンが有利である。この分子量低下は、有利に酵素により実施される。この分解されたデンプンの平均分子量Mwは、例えば500〜100000、有利に1000〜30000である。この分解されたデンプンは、例えば固有粘度[η]0.04〜0.5dl/gを有する。そのようなデンプンは、例えばEP−B−0257412及びEP−B−0276770に記載されている。重合の際に保護コロイドを使用する場合には、使用された量は、例えば重合の際に使用したモノマーに対して0.5〜50、特に5〜40質量%、大抵10〜30質量%である。
【0048】
ポリマーの特性を変性するために、重合を場合により少なくとも1種の重合調節剤の存在で実施することができる。重合調節剤の例は、結合した形で硫黄を有する有機化合物、例えばドデシルメルカプタン、チオジグリコール、エチルチオエタノール、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−n−オクチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、ジイソプロピルジスルフィド、2−メルカプトエタノール、1,3−メルカプトプロパノール、3−メルカプトプロパン−1,2−ジオール、1,4−メルカプトブタノール、チオグリコール酸、3−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、チオ酢酸及びチオ尿素、アルデヒド、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド及びプロピオンアルデヒド、有機酸、例えばギ酸、ギ酸ナトリウム又はギ酸アンモニウム、アルコール、例えば特にイソプロパノール並びにリン化合物、例えば次亜リン酸ナトリウムである。重合の際に調節剤を使用する場合に、それぞれの使用される量は、例えば重合で使用されるモノマーに対して0.01〜5、有利に0.1〜1質量%である。
【0049】
水中油型エマルションはラジカル重合される。重合は大抵少なくとも1種のラジカル重合開始剤の存在で行われる。重合開始剤として、重合を引き起こすことができる全ての化合物が挙げられる。主に、これはペルオキシド、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物及びレドックス触媒である。開始剤の例は、WO−A−99/40123、第32頁45行〜第34頁9行から推知することができる。重合は高エネルギー線、例えばUV線又は化学線又は放射線の作用により引き起こされることができ、その際、場合により少なくとも1種の増感剤の存在で作業される。有利に、油相中で溶解する開始剤が使用される。ミニエマルション中のモノマーの重合は、電気化学的に、マイクロ波放射を用いて、及び/又は超音波の作用により行うこともできる。重合温度は、例えば0〜120℃であり、その際この重合は耐圧装置中で100℃を上回る温度で高めた圧力で行われる。大抵、水中油型エマルションの懸濁重合は0〜95℃の温度範囲内で行われる。
【0050】
本発明の対象は、更に、分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも1μmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物の存在でラジカル懸濁重合させることによる、少なくとも1μmの平均粒度を有しかつ蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液の製造法において、懸濁重合を、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在で実施することを特徴とする方法である。
【0051】
懸濁重合は、例えば、モノマーに対して0.5〜50質量%、有利に1〜20質量%の、疎水性の非重合性有機化合物、少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在で実施される。懸濁重合は、有利に、ヘキサデカン及び/又はホワイトオイル0.5〜50質量%の存在で、特に有利にヘキサデカン及び/又はホワイトオイル2〜20質量%の存在で実施される。
【0052】
そのように製造された本発明による分散液の残留モノマー含分は、例えばP. H. H. Araujo, C. Sayer, J. G. R. Poco, R. Giudici著,Polymer Engineering and Science, 2002 (42), 1442-1468に記載されているような、又はEP1375530B1に開示されているような化学的脱臭により低減され得る。
【0053】
水性分散液の固体含分は、例えば10〜60質量%、有利に20〜45質量%であり、大抵30〜45質量%の範囲内である。
【0054】
分散されたポリマー粒子は、疎水性物質及び少なくとも1種の蛍光色素を含有する。該ポリマー粒子は、例えば1〜100μm、有利に1.1〜25μm、大抵1.1〜4μmの平均粒度を有し、かつ少なくとも1種の蛍光色素を例えば0.001〜10質量%、大抵0.01〜1.0質量%の量で含有する。ここで記載される微細粒のポリマーの粒度は、光散乱によって測定されうるような質量平均粒度である。このための方法は、例えばH. Wiese, D. Distler, Waessrige Polymerdispersionen, Wiley-VCH 1999, 第4.2.1章,第40頁以降及びそこに引用された刊行物並びにH. Auweter, D. Horn, J. Colloid Interf. Sci. 105 (1985) 399, D. Lilge, D. Horn, Colloid Polym. Sci. 269 (1991) 704又はH. Wiese, D. Horn, J. Chem. Phys. 94 (1991) 6429の記載から当業者によく知られている。
【0055】
分散された粒子は、一様な粒度分布を有する。一様性は、例えばいわゆる均一性
【化1】

により特徴付けられ、その際、diはサイズクラスiの平均直径であり、Xiはサイズ分布に対する前記サイズクラスの測定された寄与分を表し、d(v,0.5)は体積平均メジアンを表し、合計はそれぞれ全てのサイズクラスiにわたって算出したものである(マスターサイザー(Mastersizer)参照マニュアル、Malvern Instruments Ltd., Spring Lane South, Malvern, Worcs. WR14 1AT, U.K.)。そのように定義された均一性は体積平均からの偏差の総和であるため、低い値はより高い均一性を表す。本発明により製造された粒子は、Mie理論による評価を用いた散乱光測定において、1.0を下回る均一性を有する。
【0056】
水性分散液の乾燥により、少なくとも1μmの平均粒度を有しかつ少なくとも1種の蛍光色素を含有するポリマー粒子が粉末の形で得られる。乾燥法についての例は、噴霧乾燥及び凍結乾燥である。個々の粒子は、粉末において、大抵は複数の単一粒子の凝集体として存在する。該粒子は、例えば乾燥又は湿式粉砕にかけられてよい。例えば、単一粒子の凝集体は粉砕されて1〜100μmの平均粒度を有する粒子にされてよい。しかしながら、粉砕工程の際に、10〜1000nm、大抵200〜1000nmの平均粒度を有する単一粒子も生じうる。その場合、前記粒度は、例えばWO−A−99/40123から公知である方法によりミニエマルション重合により製造されるポリマー粒子について特徴付けられている範囲内である。
【0057】
本発明の対象は更に、分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも10nmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物、及び、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在でラジカル懸濁重合又はラジカルミニエマルション重合させることにより得ることができることを特徴とするポリマーの水性分散液、並びに、前記ポリマー分散液からその都度乾燥により得ることができる少なくとも1種の蛍光色素を含有する粉末の、材料のマーキングのための使用である。
【0058】
有利に、少なくとも1種の蛍光色素及び疎水性物質を含有し、かつ分散された粒子の平均粒度1μm〜100μm、特に1.1〜25μmを有するポリマーの、懸濁重合により製造可能な水性分散液が、材料のマーキングのために使用される。しかしながら、WO−A−99/40123から公知である方法によるミニエマルション重合により得ることができる、<500nmの平均粒度を有する水性分散液(その際、適当な分散液は少なくとも1種の蛍光色素を含有する)、並びに、ポリマー粒子が>500nm〜1000nmの平均粒度を有しかつ少なくとも1種の蛍光色素を含有する分散液を使用することもできる。そのような分散液は、例えば、少なくとも1種の疎水性のエチレン系不飽和モノマー、少なくとも1種の疎水性物質及び少なくとも1種の蛍光色素の溶液からの、水中で乳化された液滴の平均粒度が、>500nm〜1000nmの範囲内の値となるように乳化し、かつそのように得ることができる水中油型エマルションを公知の方法で懸濁重合の方法によりラジカル重合することによって製造されることができる。
【0059】
本発明による水性分散液並びにミニエマルション重合により得ることができる、その都度少なくとも1種の蛍光色素及び疎水性物質を含有するポリマーの水性分散液、並びに、該分散液から、例えば噴霧乾燥により製造可能なポリマー粉末は、例えば、テキスタイル、紙、紙製品、塗料、建築工業用の出発物質、接着剤、燃料、プラスチックシート、紙塗工剤、紙サイズ剤、植物保護のための液体調製物、医薬組成物及び化粧品、包装材、紙及びデータ記録媒体の印刷のための印刷用インキのマーキングに使用される。本発明による水性分散液並びにミニエマルション重合により得ることができる、その都度少なくとも1種の蛍光色素及び疎水性物質を含有するポリマーの水性分散液、並びに、該分散液から例えば噴霧乾燥により製造可能なポリマー粉末の、全ての種類の包装材のマーキングのための使用は、特に実用上重要である。使用は、この場合例えば、直接、例えばポリマー分散液を、又は印刷インキと一緒に噴霧することにより行われてよい。包装材は、例えば紙、板紙、厚紙、プラスチックシート、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル又はポリアミドからのシートであるか、又は、複合材料、例えば紙と少なくとも1種のプラスチックシートとからの複合物、金属箔と少なくとも1種のプラスチックシートとからの複合物、例えば錠剤の包装のためのブリスターフィルム、又は少なくとも2種の異なるプラスチックシートからの複合物であってよい。プラスチックシートは、場合により、分散液、例えばポリビニリデンクロリド分散液で、片面又は両面を被覆されていてよい。上記の複合物の場合、既に上記したように、紙又は紙製品ないしプラスチックシートは、本発明により使用すべき分散液、又は、ミニエマルション重合により得ることができる、その都度少なくとも1種の蛍光色素及び疎水性物質を含有するポリマーの水性分散液、又は該分散液からその都度得ることができるポリマー粉末を用いてマーキングされる。
【0060】
少なくとも1種の蛍光色素を含有する水性分散液は、有利に、紙、紙製品、塗料、接着剤、紙塗工剤、紙サイズ剤及び植物保護のための液体調製物のマーキングのために使用される。該水性分散液はこの場合、例えば、マーキングすべき物質に、大抵は、材料の内部又は上部のマーキングが裸眼で識別できないか又は実質的に識別できないと見積もられる量で添加される。マーキングの識別は、例えばレーザー走査顕微鏡法を用いて、蛍光顕微鏡を用いて、又は蛍光分光計を用いて行われる。水性分散液の固体含分は、通常1〜70質量%、有利に10〜50質量%である。前記分散液は、直接か、又は分散媒体、有利に水で希釈した後に、材料のマーキングに使用されることができる。
【0061】
材料をマーキングするために、少なくとも1種の蛍光色素を含有する水性ポリマー分散液又は該水性ポリマー分散液から取得された粉末は、少なくとも、蛍光色素がマーキングされた材料において検出可能であるような量で使用される。例えば、紙、紙塗工剤、サイズ剤、接着剤、セメント流動化剤、建築分野におけるプライマー及び塗料のマーキングのために、少なくとも1種の蛍光色素を含有する少なくとも1種の型のポリマー分散液粒子0.01〜25質量%、有利に0.1〜5質量%が使用される。例えば、本発明によりマーキングされた紙塗工剤は、塗布装置を用いて原紙に例えば11g/m2の量で塗布され、かつ塗布された紙は乾燥される。
【0062】
この場合、紙塗工剤は、少なくとも1種の蛍光色素を含有する本発明による水性分散液に加えて、紙塗工剤に慣用の成分、例えば顔料、分散剤、増粘剤及びバインダーを含有する。バインダーは、通常、有利に少なくとも40質量%、有利に少なくとも60質量%、特に有利に少なくとも80質量%がいわゆる主モノマーからなるエマルションポリマーである。
【0063】
有利な主モノマーは、C1〜C10−アルキル(メタ)アクリレート及びアルキル(メタ)アクリレートとビニル芳香族化合物、特にスチレンとの混合物(包括的にポリアクリレートバインダー組成物とも呼称される)又は2個の二重結合を有する炭化水素、特にブタジエン、又はこの種の炭化水素とビニル芳香族化合物、特にスチレンとの混合物(包括的にポリブタジエンバインダー組成物とも呼称される)である。
【0064】
ポリブタジエンバインダー組成物の場合、ブタジエンとビニル芳香族化合物(特にスチレン)との質量比は例えば10:90〜90:10、有利に20:80〜80:20であってよい。
【0065】
主モノマーに加えて、前記ポリマーは、別のモノマー、例えばカルボン酸基、スルホン酸基又はホスホン酸基を有するモノマーを含有してよい。カルボン酸基が好ましい。例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸又はフマル酸及びアコニット酸を挙げることができる。エマルションポリマー中のエチレン系不飽和酸の含分は一般に5質量%未満である。
【0066】
別のモノマーは、例えば、ヒドロキシル基も有するモノマー、特にC1〜C10−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート又はアミド、例えば(メタ)アクリルアミドである。
【0067】
この種のバインダーは例えばStyronal(登録商標)及びAcronal(登録商標)の商品名で(どちらもBASF Aktiengesellschaftより)入手可能である。
【0068】
本発明によれば、まずこのバインダーが、少なくとも1種の蛍光色素を含有する本発明による水性分散液と混合される。そのように得られたバインダー組成物は、その後、紙塗工剤の製造に使用される。
【0069】
従って、バインダーと、少なくとも1種の蛍光色素を含有する本発明による水性分散液とを含有するバインダー組成物も本発明の対象である。
【0070】
更に、そのようなバインダー組成物を含有する紙塗工剤も本発明の対象である。
【0071】
紙は、製紙の際に、少なくとも1種の蛍光色素を含有する水性ポリマー分散液を含有する紙サイズ剤を使用することによりマーキングされてもよい。紙の適当な内添サイズ剤は、例えばアルキルジケテン又はアルケニルコハク酸無水物又はロジンサイズの水性ポリマー分散液、水性エマルションである。紙の表面サイズ剤も少なくとも1種の蛍光色素を含有する水性ポリマー分散液を含有してよいため、それ自体をマーキングし、更には紙及び紙製品のマーキングに使用される。
【0072】
従って、少なくとも1種の蛍光色素を含有する本発明による水性分散液を含有する紙サイズ剤も本発明の対象である。
【0073】
紙及び紙製品をマーキングするためには、当然のことながら、少なくとも1種の蛍光色素を含有する水性分散液又は該水性分散液から取得された粉末を、紙又は紙製品、例えば板紙又は厚紙の表面に直接施与することも可能である。少なくとも1種の蛍光色素を含有する水性ポリマー分散液の、紙製品への施与は、例えばサイズプレスを用いて、又は噴霧装置を用いて行うことができる。製品を例えばバーコードとして部分的にマーキングするために、マーキングに必要な水性分散液を紙製品の一部にのみ噴霧又は印刷することも同様に可能である。そのようなマーキングは、特に包装材料に関して重要である。1種の蛍光色素を含有するポリマー粒子は、例えば共焦点レーザー走査顕微鏡法を用いて箇所の特定が可能であり、かつ蛍光分光法により明らかにマーキングされた材料上で同定されることができる。
【0074】
燃料、特に暖房用油のマーキングのために、少なくとも1種の蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液又は該水性分散液から噴霧乾燥により得ることができる粉末が、燃料に対して例えば0.00001〜1質量%、有利に0.0001〜0.1質量%の量で使用され、ここで、分散液に関する記載は分散液の固体含分に関するものである。植物保護のための液体調製物、医薬組成物及び化粧品のマーキングのために、少なくとも1種の蛍光色素を含有する水性ポリマー分散液のポリマー粒子又はそこから噴霧乾燥により得ることができる粉末が、例えば0.00001〜1質量%、有利に0.0001〜0.2質量%、大抵0.0001〜0.1質量%の量で使用される。植物保護のための液体調製物は、通常、例えば農薬、除草剤又は殺真菌剤のエマルション又は分散液のような液体調製物である。
【0075】
本発明により材料のマーキングのために使用される少なくとも1種の蛍光色素を含有するポリマー粒子は耐光性である。該ポリマー粒子は更にマイグレーション安定性を有しており、即ちブリードしない。
【0076】
実施例
実施例1
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)) 250g
NaNO2 52.5mg
アリルメタクリレート 30g
メチルメタクリレート 270g
黄色蛍光色素イエロー083(Lumogen(登録商標)F) 0.06g
ヘキサデカン 15g
混合物を室温で5000rpmの回転数で30分間分散させ、次いで、アンカースターラーを備えた2L釜に移した。tert−ブチルペルピバレート1.575gを添加し、釜を1時間以内で60℃に加熱した。釜の内容物を引き続き70℃で2時間にわたって加熱し、その後、30分間で85℃に加熱し、かつこの温度で1時間保持した。tert−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液7gを添加し、水20g中のアスコルビン酸0.4gの溶液を1時間にわたって供給した。釜を引き続き室温に冷却した。
【0077】
2.0μmの体積平均粒度及びMie理論(Malvern Mastersizer)により光散乱分析を用いて測定された0.5の均一性を有する狭い粒度分布を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られ、その際、粒子に関して、1.49の屈折率及び0の吸収指数をベースとした。固体含分は30.85質量%であった。
【0078】
実施例2
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 441.45g
ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)15/79(水中で10%)) 45g
Culminal(登録商標)MHPC 100(水中で5%)メチルヒドロキシプロピルセルロース 180g
NaNO2 52.5mg
ブタンジオールジアクリレート 30g
メチルメタクリレート 270g
黄色蛍光色素イエロー083(Lumogen(登録商標)F) 0.06g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。2.6μmの平均粒度及び0.5の均一性を有する狭い粒度分布を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は29.6質量%であった。
【0079】
実施例3
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)部分加水分解されたポリビニルアルコール 250g
NaNO2 52.5mg
アリルメタクリレート 15g
メチルメタクリレート 285g
黄色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F イエロー083) 0.1g
橙色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F オレンジ240) 0.1g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド300) 0.1g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。1.8μmの平均粒度及び0.4の均一性を有する狭い粒度分布を有する、架橋され、3種の蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は31.5質量%であった。
【0080】
実施例4
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 250g
NaNO2 52.5mg
アリルメタクリレート 30g
メチルメタクリレート 270g
黄色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F イエロー083) 0.06g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド300) 0.3g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。体積平均粒度1.8μm及び0.5の均一性を有する狭い粒度分布を有する、架橋され、2種の蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は31質量%であった。
【0081】
実施例5
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 250g
NaNO2(水中で2.5%) 2.1g
ブタンジオールジアクリレート 30g
メチルメタクリレート 270g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド305) 0.09g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。
【0082】
2.4μmの平均粒度及び0.5の均一性を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。凝固物10gが認められた。物理的脱臭後に、該分散液の固体含分は33.4質量%であった。
【0083】
実施例6
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 250g
NaNO2(水中で2.5%) 52.5g
アリルメタクリレート 30g
メチルメタクリレート 270g
黄色蛍光色素(Lumogen(登録商標)イエロー083) 0.03g
橙色蛍光色素(Lumogen(登録商標)オレンジ240) 0.06g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド) 0.09g
ヘキサデカン 15g
混合物を室温で6500rpmの回転数で60分間分散させ、次いで、アンカースターラーを備えた2L釜に移した。tert−ブチルペルピバレート1.575gを添加し、釜を1時間以内で65℃に加熱した。釜の内容物を引き続き70℃で2時間にわたって加熱し、その後、30分間で85℃に加熱し、かつこの温度で1時間保持した。tert−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液7gを添加し、水20g中のアスコルビン酸0.4gの溶液を1時間にわたって供給した。釜を引き続き室温に冷却した。
【0084】
1.91μmの平均粒度及び0.5の均一性を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は31.7質量%であった。
【0085】
実施例7
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 502.7g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)15/79(水中で10%)] 30g
Culminal(登録商標)MHPC 100(水中で5%)メチルヒドロキシプロピルセルロース 120g
NaNO2 52.5mg
ブタンジオールジアクリレート 120g
メチルメタクリラート 150g
メタクリル酸 30g
黄色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F イエロー083) 0.06g
ヒドロキノンモノメチルエーテル 0.015g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。
【0086】
平均粒度4.9μmの、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は30.3質量%であった。
【0087】
実施例8
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 250g
NaNO2(水中で2.5%) 2.1g
アリルメタクリレート 30g
メチルメタクリレート 240g
n−ブチルアクリレート 30g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド305) 0.09g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。
【0088】
2.1μmの平均粒度及び0.4の均一性を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。凝固物6gが認められ、該分散液の固体含分は29.9質量%であった。
【0089】
実施例9
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 370.1g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 208.3g
NaNO2(水中で2.5%) 1.75g
ブタンジオールジアクリレート 25g
メチルメタクリレート 225g
エチルヘキシルチオグリコラート 0.75g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド305) 0.08g
ヘキサデカン 12.5g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。
【0090】
1.6μmの平均粒度及び0.4の均一性を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られ、該分散液の固体含分は28.3質量%であった。
【0091】
実施例10
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 250g
NaNO2(水中で2.5%) 2.1g
ブタンジオールジアクリレート 1.35g
メチルメタクリレート 298.65g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド305) 0.09g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行った。
【0092】
1.9μmの平均粒度及び0.5の均一性を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られ、該分散液の固体含分は31.4質量%であった。
【0093】
実施例11
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 250g
NaNO2(水中で2.5%) 2.1g
メチルメタクリレート 300g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド305) 0.09g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例1に記載の通りに行い、その際、tert.−ブチルペルピバレートの全量を3つの等しい部分に分配した。第一の部分を60℃で添加し、第二の部分を65℃で添加し、第三の部分を70℃で添加した。
【0094】
1.5μmの平均粒度及び0.4の均一性を有する、未架橋の、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られ、該分散液の固体含分は31.3質量%であった。
【0095】
実施例12
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)40/88(水中で10%)] 250g
NaNO2 2.1mg
1,4−ブタンジオールジアクリレート 30g
メチルメタクリレート 270g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド) 0.09g
ホワイトオイル(CAS−No.8042−47−5) 15g
混合物を室温で5000rpmの回転数で30分間分散させ、次いで、アンカースターラーを備えた2L釜に移した。tert−ブチルペルピバレート2.1gを添加し、釜を1時間以内で60℃に加熱した。釜の内容物を引き続き2時間にわたって70℃に加熱し、その後、30分間で85℃に高め、かつこの温度で1時間保持した。tert−ブチルヒドロペルオキシドの10%水溶液7gを添加し、水20g中のアスコルビン酸0.4gの溶液を1時間にわたって供給した。釜を引き続き室温に冷却した。
【0096】
1.2μmの平均粒度及び広い粒度分布を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は27.6質量%であった。
【0097】
実施例13
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)44/88(水中で10%)] 250g
NaNO2 2.1mg
1,4−ブタンジオールジアクリレート 24g
メチルメタクリレート 216g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド) 0.09g
ヘキサデカン 60g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例12に記載の通りに行った。
【0098】
1.2μmの平均粒度及び広い粒度分布を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は29.0質量%であった。
【0099】
実施例14
ディスペンサ撹拌機を備えた2L釜(直径5cm)に以下の混合物を装入した:
水 450g
ポリビニルアルコール[Mowiol(登録商標)26/88(水中で10%)] 250g
NaNO2 2.1mg
1,4−ブタンジオールジアクリレート 30g
メチルメタクリレート 270g
赤色蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド) 0.09g
ヘキサデカン 15g
混合物の乳化及びモノマーの重合を実施例12に記載の通りに行った。
【0100】
1.2μmの平均粒度及び狭い粒度分布を有する、架橋され、蛍光色素で着色された粒子の分散液が得られた。該分散液の固体含分は29.0質量%であった。
【0101】
適用例
紙塗工液の調製物
撹拌機を備えた1Lの大きさの容器中で、以下の表に示す塗工液を調合した。pH値は約9であり、粘度を1000mPasに調節した。
【0102】
【表1】

【0103】
当該分野において慣用の表記法で、表の第一のデータ欄(1)は、使用された出発物質の固体含分を示し、後続の6つの欄(2)〜(7)のそれぞれは、それぞれ適用例に関して、顔料(この場合、Hydrocarb 90 + Amazon 88)100部に対する相対濃度を示す。
【0104】
マーカー分散液1として、実施例3により製造された分散液を使用した。
【0105】
マーカー分散液2は実施例3による分散液と同様に製造されたものであるが、但し、同じ色素全濃度で、赤色の蛍光色素(Lumogen(登録商標)F レッド300)の色素のみを含有していた。
【0106】
マーカー分散液3は同様に実施例3と同様に製造されたものであるが、但し、色素Lumogen(登録商標)F レッド300及びLumogen(登録商標)F イエロー083を同じ割合で含有していた。分散液は2色の粒子からなっていた。
【0107】
塗工液を、引き続き、Scheufelen社の原紙に、ドクターブレードを用いて15g/m2の塗布質量が得られるように塗布した。引き続き、そのように塗布された紙を適当な乾燥ユニットで乾燥させた。裸眼では、蛍光マーカー粒子による紙のマーキングを確認できなかったが、レーザー走査顕微鏡法を用いた分光試験では、マーキングに使用した全ての粒子タイプの明らかな同定が可能であった。
【0108】
紙サイズ剤のマーキング
本発明により製造されたマーカー粒子を紙の表面加工において使用した。そのために、マーカー分散液1、2及び3を、アクリレートコポリマーの標準分散液であるBasoplast(登録商標)400DSと混合し、次いで、該混合物をデンプン水溶液に撹拌混入した(合成生成物対デンプンの比は約1:100)。完成混合物は8〜15%の固体含分を有しており、かつこの形で薄膜として紙にブレード塗布した。塗布質量はデンプンに関して約2g/m2であり、これはポリマーに関して0.02g/m2に相当する。レーザー走査顕微鏡法を用いた分光試験において、使用したマーカー粒子を明らかに同定することができた。
【0109】
シート被覆のマーキング
シール可能なアクリレートEpotal(登録商標)A 816の45%分散液1kg中に、実施例3によるマーカー分散液か、又は、Lumogen(登録商標)F - レッド300ないしLumogen(登録商標)F - レッド300及びLumogen(登録商標)F - オレンジ240のタイプの色素の同じ全濃度を有する単色又は二色の粒子の実施例3と同様に製造された分散液0.75mlないし1.5ml及び15mlを混合し、該混合物を、エアブラシを用いて、予め電気的に前処理しかつPU分散液(Epotal(登録商標)P 350)で下塗りしたBOPPシート(ExxonMobil社のMB 200)に施与した。レーザー走査顕微鏡法を用いた分光試験において、使用したマーカー粒子を明らかに同定することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1μmの粒度を有しかつ蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液において、分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも1μmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物、及び、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在でラジカル懸濁重合させることにより該水性分散液を得ることができることを特徴とする水性分散液。
【請求項2】
エチレン系不飽和モノマーとして、以下
(a)アクリル酸のC1〜C8−アルキルエステル、メタクリル酸のC1〜C8−アルキルエステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、スチレン、クロロスチレン及び/又はα−メチルスチレンの群からの疎水性モノマー、
(b)場合により、エチレン系不飽和C3〜C6−カルボン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸、上記酸の塩、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、C1〜C6−カルボン酸のC1〜C8−ヒドロキシアルキルエステル、ジ−C1〜C3−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキルアクリレート、ジ−C1〜C3−アルキルアミノ−C2〜C4−アルキルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルホルムアミド及び/又はN−ビニルピロリドンの群からの親水性のモノマー、及び
(c)場合により、少なくとも2個の二重結合を分子内に有する少なくとも1種の架橋作用を有するモノマー
が使用される、請求項1記載の水性分散液。
【請求項3】
重合の際に使用されるモノマー混合物が、以下
(a)少なくとも1種の疎水性モノマー60〜100質量%、
(b)少なくとも1種の親水性モノマー0〜30質量%、及び
(c)少なくとも2個の二重結合を有する少なくとも1種の架橋作用を有するモノマー0〜40質量%
を含有する、請求項1又は2記載の水性分散液。
【請求項4】
重合の際に使用されるモノマー混合物が、以下
(a)少なくとも1種の疎水性モノマー60〜99.9質量%、
(b)少なくとも1種の親水性モノマー0〜30質量%、及び
(c)少なくとも1種の架橋作用を有するモノマー0.1〜25質量%
を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項5】
疎水性の非重合性有機化合物として、10〜50個のC原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素、10〜24個のC原子を有するアルコール、テトラアルキルシラン、オリーブ油、ペルフルオロメチルデカリン及び/又はC4〜C6−ジカルボン酸のジ−n−ブチルエステルが使用される、請求項1から4までのいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項6】
疎水性モノマーとして、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンのホモポリマー又はC2〜C6−オレフィンからのコポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンが使用される、請求項1から4までのいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項7】
疎水性の非重合性化合物として、ヘキサデカン及び/又はホワイトオイルを、モノマーに対して0.5〜50質量%の量で使用する、請求項1から5までのいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項8】
分散されたポリマー粒子が1.1〜25μmの平均粒度を有し、かつ少なくとも1種の蛍光色素を0.001〜10質量%の量で含有する、請求項1から7までのいずれか1項記載の水性分散液。
【請求項9】
分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも1μmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物の存在でラジカル懸濁重合させることによる、少なくとも1μmの平均粒度を有しかつ蛍光色素を含有するポリマーの水性分散液の製造法において、懸濁重合を、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在で実施することを特徴とする方法。
【請求項10】
懸濁重合を、モノマーに対して0.5〜50質量%の、疎水性の非重合性有機化合物、少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在で実施する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
懸濁重合を、モノマーに対して1〜20質量%の、疎水性の非重合性有機化合物、少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在で実施する、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
懸濁重合をヘキサデカン及び/又はホワイトオイル2〜10質量%の存在で実施する、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1μmの平均粒度を有しかつ少なくとも1種の蛍光色素を含有するポリマー粒子において、該ポリマー粒子を、請求項1から8までのいずれか1項記載の水性分散液の乾燥により得ることができることを特徴とするポリマー粒子。
【請求項14】
分散相が少なくとも1種のエチレン系不飽和モノマー中に溶解された少なくとも1種の蛍光色素を含有しかつ少なくとも100nmの平均粒度を有する水中油型エマルション中のエチレン系不飽和モノマーを、少なくとも1種の界面活性化合物、及び、モノマーに対して少なくとも0.5質量%の、少なくとも1種の疎水性の非重合性有機化合物、10000までの分子量Mwを有する少なくとも1種のC2〜C6−オレフィンからの疎水性ポリマー、5000までの分子量Mwを有するシロキサン及び/又は10000までの分子量Mwを有するポリスチレンの存在でラジカル懸濁重合又はラジカルミニエマルション重合させることにより得ることができるポリマーの水性分散液、並びに、前記ポリマー分散液からその都度乾燥により得ることができる少なくとも1種の蛍光色素を含有する粉末の、材料のマーキングのための使用。
【請求項15】
少なくとも1種の蛍光色素及び疎水性物質を含有し、かつ分散された粒子の平均粒度1μm〜100μm、特に1.1〜25μmを有するポリマーの懸濁重合により製造可能な水性分散液を、材料のマーキングのために使用する、請求項14記載の使用。
【請求項16】
水性分散液又は少なくとも1種の蛍光色素を含有するポリマー粒子を、テキスタイル、紙、紙製品、塗料、建築工業用の出発物質、接着剤、燃料、プラスチックシート、紙塗工剤、紙サイズ剤、植物保護のための液体調製物、医薬組成物及び化粧品、包装材、紙及びデータ記録媒体の印刷のための印刷用インキのマーキングのために使用する、請求項14又は15記載の使用。
【請求項17】
バインダー及び請求項1から8までのいずれか1項記載の水性分散液を含有するバインダー組成物。
【請求項18】
請求項17記載のバインダー組成物を含有する紙塗工剤。
【請求項19】
請求項1から8までのいずれか1項記載の水性分散液を含有する紙サイズ剤。

【公表番号】特表2009−520850(P2009−520850A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546366(P2008−546366)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069520
【国際公開番号】WO2007/074041
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】