説明

血栓性心血管イベントの危険がある患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態を治療するための併用療法

本発明は血栓性心血管イベントの危険があり、血栓性心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法を受けている哺乳動物患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態の治療方法として、シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態を治療するために有効な量のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤とアスピリンの併用に起因する胃腸毒性を低減するために有効な量の式(I):


の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩を患者に同時又は逐次経口投与することを含む方法に関する。医薬組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
シクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害剤は非ステロイド抗炎症薬(NSAID)として知られる類の薬剤のサブクラスである。NSAIDは炎症プロセスに伴うプロスタグランジンにより誘発される疼痛及び膨張を緩和する作用があるが、炎症プロセスに無関係のプロスタグランジンにより調節される他のプロセスにも影響を与える。従って、最も一般的なNSAIDを高用量で使用すると、生命にかかわる潰瘍を含む重度副作用を生じる恐れがあり、その治療効力が制限される。NSAIDの代用薬としてコルチコステロイドを使用することもできるが、特に長期投与が必要な場合には更に激しい副作用がある。
【0002】
従来のNSAIDは酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)を含むヒトアラキドン酸/プロスタグランジン経路で酵素を阻害することによりプロスタグランジンの生産を妨げることが分かっている。COX酵素には生理機能に関与するCOX−1と炎症組織に誘導されるCOX−2の2種類のアイソフォームがあることが発見され、新規アプローチが採られるようになった。従来のNSAIDはこの酵素の両方の形態を阻害するが、炎症に関連する誘導性COX−2酵素が同定され、炎症をより有効に緩和し、副作用を軽減する有効な阻害ターゲットとなった。COX−2阻害剤としての活性をもつ化合物としてロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))、エトリコキシブ(ARCOXIA(登録商標))、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))及びバルデコキシブ(BEXTRA(登録商標))等の多数の化合物が同定されており、この分野で大いに研究が進められている。
【0003】
シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される慢性疾患又は病態をもつ多くの患者は高齢者であるため、脳梗塞、心筋虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作(TIA;一過性黒内障)、可逆性虚血性神経障害、及び任意血管床(内蔵、腎臓、大動脈、末梢等)における同様の任意血栓性イベント等の血栓性心血管イベントの危険が大きい。更に、慢性関節リウマチや全身性紅斑性狼瘡等の慢性炎症病態をもつ患者は血栓性心血管イベントの危険が大きいことも証明されている。このような患者はこのようなイベントの危険を低減するのに適した低用量アスピリン療法等の治療を行うことが望ましい。しかし、ラットモデルにアスピリンと選択的COX−2阻害剤を併用投与した結果、どちらか一方のみで生じるよりも実質的に重度の胃損傷を生じたと報告されている。Fiorucciら,Gastroenterology,vol.123,pp.1598−1606,2002参照。従って、NSAIDに勝るCOX−2選択的阻害剤の大きな利点はアスピリンの併用により相殺される可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及びアスピリンと併用投与した場合に一酸化窒素放出化合物の不在下のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤とアスピリンの併用に比較して予想外に改善された胃腸安全性プロフィルを生じる特定類の1,2−二硝酸塩化合物の併用を提案する。従って、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態の治療に有効であり、血小板を有効に抑制し、従って、血栓性心血管イベントの危険を低減し、潜在的に腎副作用を低減すると同時にCOX−2阻害剤と低用量アスピリンの併用投与に比較してGI潰瘍形成又は出血の危険を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
本発明は血栓性心血管イベントの危険があり、血栓性心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法を受けている哺乳動物患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態の治療方法として、シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態を治療するために有効な量のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤とアスピリンの併用に起因する胃腸毒性を低減するために有効な量の式I:
【0006】
【化16】

の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩を患者に同時又は逐次経口投与することを含む方法に関する。医薬組成物にも関する。
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は血栓性心血管イベントの危険があり、血栓性心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法を受けているヒト患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態の治療方法として、シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態を治療するために有効な量のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤とアスピリンの併用に起因する胃腸毒性を低減するために有効な量の式I:
【0008】
【化17】

[式中、Rは
【0009】
【化18】

から構成される群から選択され、
上記式中、
r及びtは独立して0〜10であり、
d、e、f及びgは独立して0〜10であり、
Arはフェニル、ナフチル、ビフェニル及びHETから構成される群から選択され、
X、Y及びZは結合、−O−、−S(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−及び−O−C(O)−O−から構成される群から独立して選択され、但し、Xが結合以外の場合にはrは0以外であり、Yが結合以外の場合にはdは0以外であり、kは0、1又は2であり、
各R及びR
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)C1−4アルコキシ、
(4)C1−4アルキルチオ、
(5)OH、
(6)CN、
(7)CO及び
(8)−C0−6−ONOから構成される群から独立して選択され、
同一炭素原子上の2個のR基は相互に結合してカルボニル基を形成してもよく、
は水素及びC1−6アルキルから構成される群から選択され、
HETはベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニルから構成される群から選択される。]の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩を患者に同時又は逐次経口投与することを含む方法に関する。
【0010】
本発明の1態様は式Iの化合物とシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を同時投与する上記方法に関する。
【0011】
本発明の別の態様は式Iの化合物とシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を逐次投与する上記方法に関する。
【0012】
本発明の別の態様はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、LAS34475及びGW406381から構成される群から選択される上記方法に関する。この態様には、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブである上記方法が含まれる。
【0013】
本発明の別の態様はRが
【0014】
【化19】

(式中、Xは結合であり、各々Rは水素であり、RはOHである。)である上記方法に関する。
【0015】
本発明の別の態様はRが
【0016】
【化20】

(式中、Xは−O−C(O)−又は−C(O)−O−であり、各々Rは水素であり、Rは水素であり、rとtは両方が0よりも大きい。)である上記方法に関する。
【0017】
本発明の別の態様はRが
【0018】
【化21】

(式中、Arはフェニルであり、
fとeは両方が0であり、
ZとYは独立してS(O)、−O−C(O)−又は−C(O)−O−である。)である上記方法に関する。
【0019】
本発明の別の態様は式Iの一酸化窒素供与化合物が
【0020】
【化22】


から構成される群から選択される上記方法に関する。
【0021】
本発明の別の態様はRが
【0022】
【化23】

(式中、RはC1−6アルキルであり、nは1〜8である。)から選択される上記方法に関する。
【0023】
本発明の別の態様は血栓性心血管イベントが血栓性又は血栓塞性脳梗塞、心筋虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作及び可逆性虚血性神経障害から構成される群から選択される上記方法に関する。
【0024】
本発明の別の態様はシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態が変形性関節症、慢性関節リウマチ、慢性及び急性疼痛、原発性月経困難症、通風、強直性脊椎炎並びに滑液包炎から構成される群から選択される上記方法に関する。
【0025】
本発明の別の態様は式I:
【0026】
【化24】

[式中、Rは
【0027】
【化25】

から構成される群から選択され、
上記式中、
r及びtは独立して0〜10であり、
d、e、f及びgは独立して0〜10であり、
Arはフェニル、ナフチル、ビフェニル及びHETから構成される群から選択され、
X、Y及びZは結合、−O−、−S(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−及び−O−C(O)−O−から構成される群から独立して選択され、但し、Xが結合以外の場合にはrは0以外であり、Yが結合以外の場合にはdは0以外であり、kは0、1又は2であり、
各R及びR
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)C1−4アルコキシ、
(4)C1−4アルキルチオ、
(5)OH、
(6)CN、
(7)CO
(8)−C0−6−ONOから構成される群から独立して選択され、
は水素及びC1−6アルキルから構成される群から選択され、
HETはベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニルから構成される群から選択される。]の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物に関する。
【0028】
本発明の別の態様はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、LAS34475及びGW406381から構成される群から選択される上記医薬組成物に関する。この態様において、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブである上記医薬組成物に関する。また、この態様において、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤が12.5mg、25mg及び50mgから構成される群から選択される量で存在するロフェコキシブである上記医薬組成物に関する。
【0029】
本発明は12.5mg、25mg及び50mgから構成される群から選択される量のロフェコキシブと下式:
【0030】
【化26】

のNO供与化合物を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物に関する。
【0031】
本発明の別の態様は式I:
【0032】
【化27】

(式中、Rは
【0033】
【化28】

であり、
上記式中、Xは結合であり、各々Rは水素であり、RはOHである。)の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物に関する。
【0034】
本発明の別の態様は式I:
【0035】
【化29】

(式中、Rは
【0036】
【化30】

であり、
上記式中、Xは−O−C(O)−又は−C(O)−O−であり、各々Rは水素であり、Rは水素であり、rとtは両方が0よりも大きい。)の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物に関する。
【0037】
本発明の別の態様は式I:
【0038】
【化31】

(式中、Rは
【0039】
【化32】

であり、
上記式中、Arはフェニルであり、
fとeは同時に0であり、
ZとYは独立してS(O)、−O−C(O)−又は−C(O)−O−である。)の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物に関する。
【0040】
本発明の別の態様は
【0041】
【化33】


から構成される群から選択される一酸化窒素供与化合物とシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物に関する。
【0042】
本発明の別の態様は式I:
【0043】
【化34】

(式中、Rは
【0044】
【化35】

であり、
上記式中、RはC1−6アルキルであり、nは1〜8である。)の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物に関する。
【0045】
本発明の別の態様は上記医薬組成物を投与することを含むシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態の治療方法に関する。この態様には、シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態が変形性関節症、慢性関節リウマチ、慢性及び急性疼痛、原発性月経困難症、通風、強直性脊椎炎並びに滑液包炎から構成される群から選択される上記方法が含まれる。また、この態様には、患者が血栓性心血管イベントの危険があり、患者が血栓性心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法を受けている上記方法が含まれる。本発明は心血管イベントが血栓性又は血栓塞性脳梗塞、心筋虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作及び可逆性虚血性神経障害から構成される群から選択される上記方法にも関する。
【0046】
本発明の別の態様において、医薬組成物を投与する患者はフィブリン血小板塞栓に起因する虚血性脳卒中又は一過性脳虚血をもち、前記患者は1日1回約50〜約325mgのアスピリン療法を受けている。別の態様において、患者は心筋梗塞の前歴をもつか又は不安定狭心症をもち、前記患者は1日1回約75〜約325mgのアスピリン療法を受けている。別の態様において、患者は慢性安定狭心症をもち、前記患者は1日1回約75〜約325mgのアスピリン療法を受けている。
【0047】
以下の略語は以下に指定する意味をもつ:
AD−ミックス−α=シャープレス不斉ジヒドロキシル化用試薬(市販品)
AD−ミックス−β=シャープレス不斉ジヒドロキシル化用試薬(市販品)
DMAP=4−(ジメチルアミノ)ピリジン
EA=酢酸エチル
Hex=ヘキサン
RT=室温
THP=テトラヒドロフラン。
【0048】
「シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される慢性疾患又は病態の治療」なる用語はシクロオキシゲナーゼ−2酵素を阻害することにより治療又は予防される任意急性又は慢性疾患又は病態の治療又は予防を意味する。この用語は各種病態の疼痛、発熱及び炎症の緩和を意味し、このような病態としてはリウマチ熱、インフルエンザや他のウイルス感染症に伴う症状、風邪、腰痛及び頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防治療を含む)、歯痛、捻挫、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎(慢性関節リウマチを含む)、変形性関節疾患(変形性関節症)、通風及び強直性脊椎炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格系疼痛症候群(例えば滑液包炎)、火傷、外傷、並びに外科及び歯科処置後や外科疼痛の早期治療後の疼痛が挙げられる。更に、この用語は細胞悪性形質転換及び転移性腫瘍増殖の抑制、従って癌の治療も意味する。この用語は更に子宮内膜症及びパーキンソン病の治療と、糖尿病網膜症や腫瘍血管新生に生じるようなシクロオキシゲナーゼに媒介される増殖疾患の治療も意味する。「治療」なる用語は上記疾患又は病態の徴候及び症状を緩和するように患者を治療することのみならず、上記疾患又は病態の発症又は進行を予防するように無症候患者を予防処置することも意味する。
【0049】
「血栓性心血管イベント」とは血小板凝集、血栓症、及びそれに伴う虚血性臨床イベントに起因することが知られている型の任意突発イベントとして定義され、血栓性又は血栓塞性脳梗塞、心筋虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作(TIA;一過性黒内障)、可逆性虚血性神経障害、及び任意血管床(内蔵、腎臓、大動脈、末梢等)における同様の任意血栓性イベントが挙げられる。
【0050】
「血栓性心血管イベントの危険が大きい患者」は当業者により容易に診断することができる。例えば、このような患者としてはフィブリン血小板塞栓に起因する虚血性脳卒中又は一過性脳虚血をもつ患者、心筋梗塞の前歴又は不安定狭心症をもつ患者、及び慢性安定狭心症をもつ患者が挙げられる。血栓性心血管イベントの危険因子としては、高血圧、高コレステロール血症、糖尿病、慢性腎障害、喫煙、及びこのようなイベントの前歴又は家族歴が挙げられる。上記危険因子の1種以上をもつ患者が本発明の範囲に含まれる。本発明の血栓性心血管イベントの危険がある患者は心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法を受けている。「心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法」なる用語は当分野で自明の通り、これらの病態に低用量アスピリンを処方することである。患者への薬剤併用投与は患者自身による投与と第三者による患者への投与の両方を含む。
【0051】
「治療するために有効な量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床技術者により求められる生物又は医学的応答を組織、系、動物又はヒトに誘発する薬剤の量を意味する。この用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床技術者により組織、系、動物又はヒトで防止することが求められる生物又は医学的イベントの発生の危険を防止又は低減する薬剤の量も意味する。シクロオキシゲナーゼ−2の阻害剤はNSAIDの従来の用量レベルまでの用量レベルで投与することができる。本発明で使用される式Iの化合物の適切な用量レベルは以下に記載する通りである。本化合物は1日1回又は2回のレジメンで投与することができる。
【0052】
血管処方では、1日1回約30mg〜約1g、好ましくは約80mg〜約650mgの用量のアスピリンを一般に投与する。
【0053】
「シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤とアスピリンの併用に起因する胃腸毒性を低減するために有効な量」なる用語はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤とアスピリンの併用に起因する胃腸毒性を低減するために十分な一酸化窒素を送達する式Iの化合物の量を意味する。適切な用量レベルは当業者が判断することができるが、一般に適切なレベルは約1〜約1000mgである。
【0054】
「同時投与」なる用語は複数の物質を実質的に同時に投与することを意味する。「同時投与」なる用語は2種の物質を単独医薬剤形で投与することのみならず、各活性物質を別々の医薬製剤で投与することも意味する。別々の製剤を使用する場合には、ほぼ一度、即ち同時に投与することができる。
【0055】
「逐次投与」なる用語は複数の物質を別々に時差的に投与することを意味する。即ち、式IのNO供与化合物とCOX−2阻害剤の有益な医薬効果が実質的に一度に患者に得られるように複数の物質を逐次投与することができる。従って、例えばCOX−2選択的阻害剤と式IのNO供与化合物の両者を1日1回投与する場合には、これらの2種の物質の逐次投与間の間隔は12時間までとすることができる。
【0056】
本発明の医薬組成物はシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と式Iの化合物又は医薬的に許容可能なその塩を活性成分として含有しており、更に医薬的に許容可能なキャリヤーと場合により他の治療成分を加えることができる。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は無機塩基と有機塩基を含む医薬的に許容可能な非毒性塩を生じる塩基から製造される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第2鉄、第1鉄、リチウム、マグネシウム、第2マンガン、第1マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂(例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が挙げられる。
【0057】
本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸と有機酸を含む医薬的に許容可能な塩を生じる酸から塩を製造することができる。このような酸としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、1,2−エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、蓚酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、ピバル酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、10−ウンデセン等が挙げられる。
【0058】
「シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤」なる用語はシクロオキシゲナーゼ−2酵素の阻害剤であり、従って、上記のようなシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患の治療に有用な化合物を意味する。この活性はシクロオキシゲナーゼ−1よりもシクロオキシゲナーゼ−2を選択的に阻害する能力により示される。従って、1アッセイでは、本発明の化合物がシクロオキシゲナーゼに媒介される疾患を治療する能力はアラキドン酸、シクロオキシゲナーゼ−1又はシクロオキシゲナーゼ−2及び式Iの化合物の存在下で合成されるプロスタグランジンE(PGE)の量を測定することにより実証することができる。IC50値はPGE合成を未阻害対照に比較して得られる阻害の50%まで戻すために必要な阻害剤の濃度を表す。「シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤」なる用語は塩、水和物及び多形体を含む任意形態の化合物を意味する。
【0059】
式Iの化合物により放出される一酸化窒素は胃腸及び潜在的に腎安全性プロフィルの改善に役立つと考えられる。従って、本発明はシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される慢性疾患又は病態の治療を提供し、血栓性心血管イベント及び潜在的に腎副作用の危険を有効に低減すると同時に、GI潰瘍形成又は出血の危険を低減する。従って、高血圧及び心血管病患者と潜在的に腎不全患者は、本発明の複合薬を投与すると、現在入手可能なNSAID及びシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤よりも著しく有益である。
【0060】
本発明の複合薬は各種病態の疼痛、発熱及び炎症の緩和に有用であり、このような病態としてはリウマチ熱、インフルエンザや他のウイルス感染症に伴う症状、風邪、腰痛及び頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防治療を含む)、歯痛、捻挫、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎(慢性関節リウマチを含む)、変形性関節疾患(変形性関節症)、通風及び強直性脊椎炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格系疼痛症候群(例えば滑液包炎)、火傷、外傷、並びに外科及び歯科処置後や外科疼痛の早期治療後の疼痛が挙げられる。更に、本発明の複合薬は細胞悪性形質転換及び転移性腫瘍増殖を抑制すると思われるので、癌の治療に使用することができる。本発明の複合薬は子宮内膜症とパーキンソン病の治療又は予防にも有用であると思われる。
【0061】
本発明の複合薬は更に収縮性プロスタノイドの合成を防止することによりプロスタノイドによる平滑筋収縮を抑制し、従って、月経困難症、早産及び喘息の治療に有用であると思われる。
【0062】
本発明は特に消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎又は胃腸障害の再発病歴をもつ患者;GI出血、低プロトロンビン血症等の貧血を含む凝固障害、血友病又は他の出血障害(血小板機能低下又は障害に関係するものを含む);腎疾患(例えば腎機能障害);外科手術又は抗凝固剤投与前の患者;並びにNSAIDによる喘息を生じやすい患者のように従来の非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が禁忌となるような場合にこのような非ステロイド抗炎症薬の代用薬として有用であろう。
【0063】
同様に、本発明は従来のNSAIDを他の物質又は成分と現在併用投与している製剤におけるこれらのNSAIDの部分又は完全置換として有用であろう。従って、別の側面では、本発明は上記のようなシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患の治療用医薬組成物として、上記のようなシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤及び式Iの化合物と、アセトミノフェン又はフェナセチンを含む別の疼痛緩和剤;コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルヒネ、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン及びペンタゾシン等のオピオイド鎮痛薬;カフェイン等の興奮剤;H2−アンタゴニスト;水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム;シメチコン;フェニルエフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン、又はレボ−デゾキシエフェドリン等の消炎剤;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、又はデキストロメトルファン等の鎮咳薬;利尿薬;鎮静又は非鎮静抗ヒスタミン薬;並びにオメプラゾール等のプロトンポンプ阻害剤等の1種以上の成分を含有する医薬組成物に関する。偏頭痛の治療又は予防のために、本発明はリザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン及びナラトリプタン等の5−HTアゴニストとの併用投与にも関する。更に、本発明はシクロオキシゲナーゼに媒介される疾患の治療方法として、このような治療を必要とする患者に非毒性治療有効量の式Iの化合物を場合により上記成分の1種以上と併用投与する方法に関する。
【0064】
本発明の複合薬の活性物質は従来の医薬的に許容可能な非毒性キャリヤー、アジュバント及びビークルを含有する用量単位製剤として経口、局所、非経口、吸入スプレー又は経直腸投与することができる。本明細書で使用する非経口なる用語は皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は輸液技術を意味する。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ等の温血動物の治療に加え、本発明の化合物はヒトの治療にも有効である。
【0065】
上記のように、上記のようなシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患の治療用医薬組成物は場合により1種以上の上記成分を添加することができる。
【0066】
活性成分を含有する医薬組成物は例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁液、飛散性散剤もしくは顆粒剤、エマルション、ハードもしくはソフトカプセル、又はシロップもしくはエリキシル剤等の経口使用に適した形態とすることができる。経口用組成物は医薬組成物を製造するために当分野で公知の任意方法により製造することができ、このような組成物は医薬的にエレガントで口当たりのよい製剤を提供するために甘味剤、フレーバー剤、着色剤及び防腐剤から構成される群から選択される1種以上の物質を添加することができる。錠剤は錠剤の製造に適した医薬的に許容可能な非毒性賦形剤との混合物として活性成分を含有する。これらの賦形剤としては例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤;顆粒化剤及び崩壊剤(例えばコーンスターチ、又はアルギン酸);結合剤(例えば澱粉、ゼラチン又はアラビアガム)及び滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)が挙げられる。錠剤はコーティングしなくてもよいし、胃腸管での崩壊と吸収を遅らせることにより長期持続作用を提供するように公知技術によりコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延剤を使用することができる。錠剤は制御放出用浸透圧治療用錠剤を形成するように米国特許第4,256,108号;4,166,452号;及び4,265,874号に記載されている技術によりコーティングしてもよい。
【0067】
経口用製剤は活性成分を不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合したハードゼラチンカプセルの形態でもよいし、活性成分を水又は油性媒体(例えば落花生油、流動パラフィン、又はオリーブ油)と混合したソフトゼラチンカプセルの形態でもよい。
【0068】
水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物として活性材料を含有する。このような賦形剤としては懸濁剤(例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガム及びアラビアガム);分散剤又は湿潤剤として天然ホスファチド(例えばレシチン)又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、又は脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又は脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)が挙げられる。水性懸濁液は更に、1種以上の防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はn−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上のフレーバー剤、及び1種以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリン又はアスパルテーム)を添加することができる。
【0069】
液体製剤は自己乳化性薬剤送達システム及びNanoCrystal(登録商標)技術の使用を含む。シクロデキストリン包接錯体も使用することができる。
【0070】
油性懸濁液は植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)に活性成分を懸濁することにより製剤化することができる。油性懸濁液は増粘剤(例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコール)を添加することができる。口当たりのよい経口製剤にするように上記のような甘味剤やフレーバー剤を添加してもよい。これらの組成物はアスコルビン酸等の酸化防止剤の添加により防腐処理することができる。
【0071】
水を加えて水性懸濁液を調製するのに適した飛散性散剤及び顆粒剤は分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の防腐剤との混合物として活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は上記のものが例示される。例えば甘味剤、フレーバー剤及び着色剤等の他の賦形剤も添加することができる。
【0072】
本発明の医薬組成物は水中油エマルションの形態でもよい、油相は植物油(例えばオリーブ油又は落花生油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤としては天然ホスファチド(例えば大豆レシチン)及び脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導されるエステル又は部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。エマルションは更に甘味剤とフレーバー剤を添加することができる。
【0073】
シロップ及びエリキシル剤は甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロース)を加えて製剤化することができる。このような製剤は更に粘膜保護剤、防腐剤、フレーバー剤及び着色剤を添加することができる。医薬組成物は滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は上記のような適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して公知技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用製剤は非経口投与に許容可能な非毒性希釈剤又は溶剤中の滅菌注射溶液又は懸濁液でもよく、例えば1,3−ブタンジオール溶液とすることができる。使用可能な許容可能なビークル及び溶剤としては水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。更に、従来通りに滅菌不揮発油を溶剤又は懸濁媒体として使用する。この目的には、合成モノ又はジグリセリド等の任意無刺激性不揮発油を使用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸も注射剤の製造に使用される。
【0074】
本発明の活性成分は薬剤の直腸投与用座剤形態で投与することもできる。これらの組成物は常温では固体であるが、直腸温度で液体となり、従って直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより製造することができる。このような材料はカカオバターとポリエチレングリコールである。
【0075】
局所用には、活性成分を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等を使用する。(本願の目的では、局所投与はマウスウォッシュと嗽薬を含む。)
【0076】
本発明の医薬組成物は更にtween 80、tween 20、ビタミンE TPGS(コハク酸d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000)及びGelucire(登録商標)等の吸収促進剤を添加することができる。
【0077】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤の用量レベルは当分野で公知である。一般に、このような用量レベルは約0.01mg〜約140mg/kg患者体重/日、又は患者1人1日当たり約0.5mg〜約7gが上記病態の治療に有用である。例えば、化合物約0.01〜50mg/kg患者体重/日、又は患者1人1日当たり約0.5mg〜約3.5g、好ましくは患者1人1日当たり2.5mg〜1gを投与することにより炎症を有効に治療することができる。
【0078】
単一剤形を製造するためにキャリヤー材料と併用することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方式により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤は組成物全体の約5〜約95%とすることができる適量のキャリヤー材料と各活性成分0.5mg〜5gを配合することができる。用量単位形態は一般に活性成分約1mg〜約500mg、具体的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、又は1000mgを含有する。
【0079】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、投与方式、排泄速度、薬剤併用及び治療する特定疾患の重篤度等の種々の因子によって異なる。
【0080】
式Iの化合物は1個以上の不斉中心を含むことができ、従ってラセミ化合物及びラセミ混合物、単一エナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在することができる。本発明は式Iの化合物のこのような全異性形を含むものとする。
【0081】
本明細書に記載する化合物にはオレフィン二重結合を含むものもあり、特に指定しない限り、E及びZ幾何異性体を含むものとする。
【0082】
本明細書に記載する化合物には、異なる水素結合点をもつために互変異性体として存在するものもある。このような1例はケト−エノール互変異性体として知られるケトンとそのエノール形である。個々の互変異性体とその混合物も式Iの化合物に含まれる。
【0083】
例えば適切な溶媒(例えばメタノール又は酢酸エチル又はその混合物)からの分別結晶により式Iの化合物をエナンチオマーのジアステレオ異性体対に分離することができる。こうして得られたエナンチオマー対を従来手段(例えば分解剤として光学活性酸の使用)により個々の立体異性体に分離することができる。
【0084】
あるいは、光学的に純粋な出発材料又は既知立体配置の試薬を使用して立体選択的合成により一般式Iの化合物の任意エナンチオマーを得ることもできる。
【0085】
本発明は1種以上の立体異性体の形態、実質的に純粋な形態又は立体異性体の混合物の形態の式Iの化合物も含む。このような全異性体が本発明に含まれる。
【0086】
(生物活性測定アッセイ)
アスピリンと併用投与した場合の本発明の複合薬の胃保護効果は以下のアッセイで評価することができる。
【0087】
雄Wistarラット(200〜250g)を実験に使用する前に16〜18時間絶食させた。アスピリン、ロフェコキシブとアスピリン(別々に投与)、又は試験化合物とロフェコキシブとアスピリン(別々に投与)を0.5%メトセル中1ml/kgの投与用量で実験の朝に投与した。3時間後に動物をCO吸入により安楽死させ、胃を摘出し、食塩水でリンスし、撮像処理用に調製した。デジタルカメラを使用して胃の顕微鏡写真を撮影し、観測者に処理群を知らせずにイメージングソフトウェアを使用して胃糜爛を測定した。胃糜爛の長さ(mm)を測定し、各胃からの全糜爛の合計長を求め、胃損傷スコアとして使用した。
【0088】
このモデルはS.Fiorucciら,Gastroenterology,vol.123,pp.1598−1606,2002及びM.Souzaら,Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.,vol.285,pp.G54−G61,2003にも記載されている。
【0089】
(合成方法)
本発明の化合物は以下の合成スキーム:
【0090】
【化36】

に従って合成することができる。
【0091】
(代表的実施例)
式Iの化合物を以下に例証する。
【実施例1】
【0092】
酢酸5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル
【0093】
【化37】

【0094】
ステップ1:酢酸5,6−ジブロモヘキシル
【0095】
【化38】

【0096】
−78℃のヘキス−5−エン−1−オール(30.9g,309mmol)とDMAP(41.5g,340mmol,1.1当量)のCHCl(750mL,0.4M)溶液に無水酢酸(32.1mL,340mmol,1.1当量)を加えた。反応混合物を室温で1時間撹拌した。20%EA/Hexを使用して生成物をシリカゲルプラグに通すと、所望生成物(42.7g,収率=97%)が無色油状物として得られた。化合物を臭素化に直接使用した。−78℃の酢酸ヘキス−5−エン−1−イル(42.7g,300mmol)のCHCl(600mL,0.5M)溶液に臭素(330mL,330mmol,1.1当量)を加えた。反応混合物を−78℃で15分間撹拌した後、室温まで加温した。溶媒を蒸発させると、所望生成物(89g,収率=98%)が黄色がかった油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 4.38−4.32(m,1H),4.04(t,2H),3.95−3.93(m,1H),3.84−3.80(m,1H),2.16−2.10(m,1H),1.98(s,3H),1.90−1.82(m,1H),1.72−1.62(m,3H),1.56−1.48(m,1H)。
【0097】
ステップ2:酢酸5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル
【0098】
【化39】

【0099】
室温の酢酸5,6−ジブロモヘキシル(89g,295mmol)のCHCN(600mL,0.282M)溶液に硝酸銀(200g,1180mmol,4当量)を加えた。反応混合物を80℃で一晩撹拌した後、蒸発乾涸した。残渣をEtOAcに懸濁し、音波処理し、シリカゲルプラグで濾過し、EAで洗浄した。勾配(EA/Hex0→5%5分間,5→55%30分間,55→70%10分間)を使用して生成物をコンビフラッシュ3x120gシリカゲルカートリッジにより精製すると、所望生成物(65.2g,収率=83%)が黄色がかった油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 5.52−5.46(m,1H),5.00(dd,1H),4.72(dd,1H),4.05−4.03(m,2H),1.96(s,3H),1.88−1.84(m,2H),1.71−1.65(m,2H),1.60−1.50(m,2H)。
【実施例2】
【0100】
二硝酸6−ヒドロキシヘキサン−1,2−ジイル
【0101】
【化40】

【0102】
0℃の酢酸5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル(31.3g,118mmol)のTHF−EtOH(1:1,0.492M)溶液に水酸化ナトリウム溶液(2N,126mL,251mmol,2.1当量)を5分間かけて滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液でクエンチし、EAで3回抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。勾配(EA/Hex0→5%5分間,5→55%30分間,55→70%10分間)を使用して生成物をコンビフラッシュ2x120gシリカゲルカートリッジにより精製すると、所望生成物(24.5g,収率=92%)が薄黄色がかった油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 5.53−5.47(m,1H),5.00(dd,1H),4.72(dd,1H),3.55(d,2H),3.50(t,1H),1.88−1.80(m,2H),1.58−1.51(m,4H)。
【実施例3】
【0103】
二硝酸5−ヒドロキシペンタン−1,2−ジイル
【0104】
【化41】

【0105】
−78℃の酢酸ペント−4−エン−1−イル(30g,234mmol)のジクロロメタン(468mL,0.5M)溶液に臭素(257mL,257mmol,1.1当量)を加えた。反応混合物を−78℃で15分間撹拌した後、室温まで加温した。次に反応混合物を蒸発させると所望化合物(67g,収率=99%)が得られ、次段階で直接使用した。室温の酢酸4,5−ジブロモペンチル(75g,260mmol)のアセトニトリル(600mL,0.433M)溶液に硝酸銀(177g,1040mmol,4当量)を加えた。反応混合物を80℃で一晩撹拌した。溶媒を留去し、粗反応混合物をEtOAcに懸濁し、シリカゲルパッドで濾過し、EtOAc(1L)で洗浄した後、蒸発させた。所望化合物(65.5g,収率=99%)が黄色がかった油状物として得られ、次段階で直接使用した。0℃の酢酸4,5−ビス(ニトロオキシ)ペンチル(26g,103mmol)のTHF−EtOH(1:1,0.468M)溶液に水酸化ナトリウム溶液(2N,110mL,219mmol,2.1当量)を5分間かけて滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液でクエンチし、希釈し、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。勾配(EA/Hex0→5%5分間,5→55%30分間,55→70%10分間)を使用して生成物をコンビフラッシュ120gシリカゲルカートリッジにより精製すると、所望生成物(11.5g,収率=53%)が薄黄色がかった油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 5.60−5.56(m,1H),5.06−4.98(m,1H),4.76(dd,1H),3.80(t,1H),3.63(m,2H),2.00−1.86(m,2H),1.73−1.67(m,2H)。
【実施例4】
【0106】
4−ニトロ安息香酸(5R)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル
【0107】
【化42】

【0108】
ステップ1:4−ニトロ安息香酸ヘキス−5−エン−1−イル
【0109】
【化43】

【0110】
0℃のヘキス−5−エン−1−オール(20.0g,200mmol)のCHCl(350mL,0.57M)溶液にトリエチルアミン(33.7mL,240mmol,1.2当量)、DMAP(1.22g,10mmol,0.05当量)、次いで塩化4−ニトロベンゾイル(39g,210mmol,1.05当量)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を飽和NHCl溶液でクエンチし、CHClで3回抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。勾配(EA/Hex0→5%5分間,5→25%30分間,25→40%10分間)を使用して生成物をコンビフラッシュ2x120gシリカゲルカートリッジにより精製すると、所望生成物(35g,収率=70%)が黄色がかった油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 8.36(d,2H),8.26(d,2H),5.87−5.79(m,1H),5.03(d,1H),4.94(d,1H),4.38(t,2H),2.14(m,2H),1.84−1.78(m,2H),1.60−1.54(m,2H)。
【0111】
ステップ2:4−ニトロ安息香酸(5R)−5,6−ジヒドロキシヘキシル
【0112】
【化44】

【0113】
0℃のAD−ミックス−β(34g)のt−BuOH−HO(1:1,0.077M)溶液に4−ニトロ安息香酸ヘキス−5−エン−1−イル(6g,24.07mmol)を加えた。反応混合物を0℃で一晩撹拌した。反応混合物をEA250mLで希釈し、メタ重亜硫酸ナトリウム10gを加えてクエンチし、0℃で30分間撹拌した。混合物を室温で1時間撹拌した後、EtOAcで3回抽出し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。化合物をエーテルで再結晶し、冷室で二晩撹拌すると、標記化合物3.3gが白色固体として得られた(モッシャー誘導体分析によると、e.e.中>99%)。H NMR(500MHz,アセトン):δ 8.36(d,2H),8.27(d,2H),4.38(t,2H),3.62−3.54(m,3H),3.49−3.45(m,1H),3.41−3.35(m,1H),1.87−1.77(m,2H),1.69−1.62(m,1H),1.59−1.49(m,2H),1.46−1.40(m,1H)。
【0114】
ステップ3:4−ニトロ安息香酸(5R)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル
【0115】
【化45】

【0116】
−78℃の硝酸(8mL,178mmol,15.75当量)のCHCl(20mL,0.565M)溶液に硫酸(2mL,37.5mmol,3.32当量)を加え、次いで4−ニトロ安息香酸(5R)−5,6−ジヒドロキシヘキシル(2.5g,8.83mmol)のCHCl(10mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷(約200g)に注ぎ、CHClで3回抽出した。有機層を合わせて水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。勾配(EA/Hex0→5%5分間,5→40%25分間,40→70%10分間)を使用して生成物をコンビフラッシュ120gシリカゲルカートリッジにより精製すると、所望生成物(3.1g,収率=91%)が黄色がかった粘性油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 8.35(d,2H),8.26(d,2H),5.56−5.52(m,1H),5.03(dd,1H),4.75(dd,1H),4.41(t,2H),1.98−1.88(m,4H),1.76−1.66(m,2H)。
【実施例5】
【0117】
4−ニトロ安息香酸(5S)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル
【0118】
【化46】

【0119】
ステップ2で使用した試薬AD−ミックス−βの代わりにAD−ミックス−αを使用した以外は実施例4のステップ1−3に記載した手順に従うことにより標記化合物を製造した。
【実施例6】
【0120】
二硝酸(2R)−6−ヒドロキシヘキサン−1,2−ジイル
【0121】
【化47】

【0122】
0℃の4−ニトロ安息香酸(5R)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシル(3.1g,8.3mmol)のTHF−EtOH(1:1,0.5M)溶液に2N水酸化ナトリウム(10mL,20mmol,2当量)を5分間かけて滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO溶液でクエンチし、EtOAcで3回抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させた。勾配(EA/Hex0→5%5分間,5→55%30分間,55→70%10分間)を使用して生成物をコンビフラッシュ120gシリカゲルカートリッジにより精製すると、所望生成物(1.51g,収率=81%)が無色油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 5.52−5.48(m,1H),5.01(dd,1H),4.72(dd,1H),3.56−3.50(m,3H),1.88−1.81(m,2H),1.54−1.50(m,4H)。
【実施例7】
【0123】
二硝酸(2S)−6−ヒドロキシヘキサン−1,2−ジイル
【0124】
【化48】

【0125】
使用した試薬4−ニトロ安息香酸(5R)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシルの代わりに4−ニトロ安息香酸(5S)−5,6−ビス(ニトロオキシ)ヘキシルを使用した以外は実施例6の手順に従うことにより標記化合物を製造した。
【実施例8】
【0126】
二硝酸(2S)−プロパン−1,2−ジイル
【0127】
【化49】

【0128】
−78℃の硝酸(200mL)のCHCl(400mL)溶液に硫酸(50mL)を加えた後、(2S)−プロパン−1,2−ジオール(10g)のCHCl(50mL)溶液を加えた。反応混合物を0℃で3時間撹拌した。反応混合物を氷(約1000g)に注ぎ、CHClで3回抽出した。有機層を合わせて水、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発させると、所望生成物(18.6g)が黄色がかった油状物として得られた。H NMR(500MHz,アセトン):δ 5.62−5.53(m,1H),4.94(dd,1H),4.71(dd,1H),1.46(d,3H)。
【実施例9】
【0129】
二硝酸(2R)−プロパン−1,2−ジイル
【0130】
【化50】

【0131】
使用した試薬(2S)−プロパン−1,2−ジオールの代わりに(2R)−プロパン−1,2−ジオールを使用した以外は実施例8の手順に従うことにより標記化合物を製造した。
【0132】
本発明の他の例としては、式IIの化合物又は式IIIの化合物:
【0133】
【化51】

(式中、RはC1−6アルキルであり、nは1〜8の整数である)が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血栓性心血管イベントの危険があり、血栓性心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法を受けているヒト患者におけるシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態の治療方法であって、シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態を治療するために有効な量のシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤とアスピリンの併用に起因する胃腸毒性を低減するために有効な量の式I:
【化1】

[式中、Rは
【化2】

から構成される群から選択され、
上記式中、
r及びtは独立して0〜10であり、
d、e、f及びgは独立して0〜10であり、
Arはフェニル、ナフチル、ビフェニル及びHETから構成される群から選択され、
X、Y及びZは結合、−O−、−S(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−及び−O−C(O)−O−から構成される群から独立して選択され、但し、Xが結合以外の場合にはrは0以外であり、Yが結合以外の場合にはdは0以外であり、kは0、1又は2であり、
各R及びR
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)C1−4アルコキシ、
(4)C1−4アルキルチオ、
(5)OH、
(6)CN、
(7)CO
(8)−C0−6−ONOから構成される群から独立して選択され、
同一炭素原子上の2個のR基は相互に結合してカルボニル基を形成してもよく、
は水素及びC1−6アルキルから構成される群から選択され、
HETはベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニルから構成される群から選択される。]の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩を患者に同時又は逐次経口投与することを含む前記方法。
【請求項2】
式Iの化合物とシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を同時投与する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Iの化合物とシクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を逐次投与する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、LAS34475及びGW406381から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Rが
【化3】

(式中、Xは結合であり、各々Rは水素であり、RはOHである。)である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
Rが
【化4】

(式中、Xは−O−C(O)−又は−C(O)−O−であり、各々Rは水素であり、Rは水素であり、rとtは両方が0よりも大きい。)である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
Rが
【化5】

(式中、Arはフェニルであり、
fとeは同時に0であり、
ZとYは独立してS(O)、−O−C(O)−又は−C(O)−O−である。)である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
式Iの一酸化窒素供与化合物が
【化6】


から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
Rが
【化7】

(式中、RはC1−6アルキルであり、nは1〜8である。)から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
血栓性心血管イベントが血栓性又は血栓塞性脳梗塞、心筋虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作及び可逆性虚血性神経障害から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態が変形性関節症、慢性関節リウマチ、慢性及び急性疼痛、原発性月経困難症、通風、強直性脊椎炎並びに滑液包炎から構成される群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
式I:
【化8】

[式中、Rは
【化9】

から構成される群から選択され、
上記式中、
r及びtは独立して0〜10であり、
d、e、f及びgは独立して0〜10であり、
Arはフェニル、ナフチル、ビフェニル及びHETから構成される群から選択され、
X、Y及びZは結合、−O−、−S(O)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−及び−O−C(O)−O−から構成される群から独立して選択され、但し、Xが結合以外の場合にはrは0以外であり、Yが結合以外の場合にはdは0以外であり、kは0、1又は2であり、
各R及びR
(1)水素、
(2)ハロ、
(3)C1−4アルコキシ、
(4)C1−4アルキルチオ、
(5)OH、
(6)CN、
(7)CO及び
(8)−C0−6−ONOから構成される群から独立して選択され、
は水素及びC1−6アルキルから構成される群から選択され、
HETはベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニルから構成される群から選択される。]の一酸化窒素供与化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する医薬組成物。
【請求項14】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブ、エトリコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ルミラコキシブ、LAS34475及びGW406381から構成される群から選択される請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
シクロオキシゲナーゼ−2選択的阻害剤がロフェコキシブである請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
12.5mg、25mg及び50mgから構成される群から選択される量のロフェコキシブが存在する請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
12.5mg、25mg及び50mgから構成される群から選択される量のロフェコキシブと、下式:
【化10】

の一酸化窒素供与化合物を医薬的に許容可能なキャリヤーと共に含有する請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
Rが
【化11】

(式中、Xは結合であり、各々Rは水素であり、RはOHである。)である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項19】
Rが
【化12】

(式中、Xは−O−C(O)−又は−C(O)−O−であり、各々Rは水素であり、Rは水素であり、rとtは両方が0よりも大きい。)である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項20】
Rが
【化13】

(式中、Arはフェニルであり、
fとeは両方が0であり、
ZとYは独立してS(O)、−O−C(O)−又は−C(O)−O−である。)である請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項21】
式Iの一酸化窒素供与化合物が
【化14】

から構成される群から選択される請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項22】
Rが
【化15】

(式中、RはC1−6アルキルであり、nは1〜8である。)から選択される請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項12に記載の医薬組成物を投与することを含むシクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態の治療方法。
【請求項24】
シクロオキシゲナーゼ−2に媒介される疾患又は病態が変形性関節症、慢性関節リウマチ、慢性及び急性疼痛、原発性月経困難症、通風、強直性脊椎炎並びに滑液包炎から構成される群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
患者が血栓性心血管イベントの危険があり、患者が血栓性心血管イベントの危険を低減するためのアスピリン療法を受けている請求項23に記載の方法。
【請求項26】
心血管イベントが血栓性又は血栓塞性脳梗塞、心筋虚血、心筋梗塞、狭心症、一過性脳虚血発作及び可逆性虚血性神経障害から構成される群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項27】
患者がフィブリン血小板塞栓に起因する虚血性脳卒中又は一過性脳虚血をもち、前記患者が1日1回約50〜約325mgのアスピリン療法を受けている請求項23に記載の方法。
【請求項28】
患者が心筋梗塞の前歴をもつか又は不安定狭心症をもち、前記患者が1日1回約75〜約325mgのアスピリン療法を受けている請求項23に記載の方。
【請求項29】
患者が慢性安定狭心症をもち、前記患者が1日1回約75〜約325mgのアスピリン療法を受けている請求項23に記載の方法。

【公表番号】特表2007−519641(P2007−519641A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549813(P2006−549813)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【国際出願番号】PCT/CA2005/000082
【国際公開番号】WO2005/070868
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(305042046)メルク フロスト カンパニー (5)
【Fターム(参考)】