説明

衝撃吸収構造体

【課題】従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供する。
【解決手段】変形により応力が集中する部位に、引張荷重特性、引張変位特性、圧縮荷重特性、及び、圧縮変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材を所定方向に対して交互に配置することにより、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃吸収構造体に関し、特に、高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軽量且つ高強度の構造部材として、アルミ等の他に繊維強化材料が用いられている。繊維強化材料は、複合材料を繊維で強化したものであり、繊維強化ゴム(FRR)、繊維強化金属(FRM)、繊維強化セラミックス(FRC)、繊維強化プラスチック(FRP)等が知られている。これらのうち、繊維強化材料として最もよく利用されるFRPは、マトリクス(素地)としてプラスチックを用い、強化材として炭素やガラス等の繊維を用いたものである。
【0003】
FRPの強化材として炭素繊維を用いたものは、炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRPという)と呼ばれる。CFRPは、先端複合材料の中核に位置し、軽量、高強度、高弾性率の材料として、航空分野、宇宙分野等において欠くことのできない構造材料である。CFRP材としては、炭素繊維の配向に応じて異なる構造及び性質を有する、ユニダイレクショナル材(UD材)やクロス材が知られている。UD材は、炭素繊維を薄く一方向に並べてエポキシ樹脂等により成型した素材形態である。一方、クロス材は、炭素繊維の織物又は編物を、エポキシ樹脂等により成型した素材形態である。これらのCFRP材は、鉄のおよそ25%の重量と軽量ながら、耐熱性及び耐蝕性に優れる。
【0004】
ところで、従来より、自動車の衝撃吸収構造体として、燃費向上の観点から軽量で、且つ高強度の構造部材であるアルミニウム材やアルミニウム合金材が用いられている。しかしながら、特に、フロントピラー、センターピラー、リアピラー等の自動車側部に使用されるビーム材においては、衝突時の衝撃から乗員を保護するために、より優れたエネルギー吸収効率を有する構造体が求められている。
【0005】
例えば、自動車の側部構造材に設置されるフレームでは、単一材料を押出成型やプレス成型し、断面形状を閉断面化、大断面化して強度及び剛性を上げ、衝突時のエネルギー吸収量の増大が図られている。一般に、側面衝突時の変形モードは、センターピラーを例に挙げると、上部サイドルーフレールと下部サイドシルを支点として折れ曲がる曲げ変形である。従って、側部構造材としては、曲げ変形の荷重に対する耐久力が強く、曲げによるたわみが小さいことが望まれる。
【0006】
また、自動車の側部構造材であるピラーでは、アルミニウム材又はアルミニウム合金材を用いた場合、同じ重量で大きな断面2次モーメントを得るために中空構造が採用されている。このようなアルミニウム等の衝撃吸収部材は、衝撃によって加わる荷重が最大強度に達した直後に荷重強度が急激に減少するという性質がある。これは、加わる荷重が降伏点を越えると、小さな荷重で容易に衝撃吸収部材が変形するため、一旦降伏点を越えると車体の変形量が大きいことを意味する。即ち、降伏点を越えると耐え得る荷重が小さくなり、小さい荷重で大きな車体の変形を生じるため、荷重と変位の積で算出されるエネルギー吸収量は小さくなる。従って、ピラー等の衝撃吸収部材としては、荷重が最大強度に達して降伏点を越えた後、降伏点近傍の荷重が引き続き加わったとしても、一定の変位に達するまでは荷重強度を保持し続けるものであることが望まれる。
【0007】
これに関し、アルミ中空形材において、衝撃により引張応力が発生する引張部位側に、FRP材を隣接して一体化させた部材が提案されている(特許文献1参照)。これは、衝撃により圧縮応力が発生する圧縮部位側に塑性変形が容易な部材を使用し、引張部位側に高強度の軽量部材を使用したものであり、圧縮部位側で衝撃吸収を受け持つ一方で、引張部位側では衝撃による変形量を減少させ、大きなエネルギー吸収量と小さな変形量を実現させる技術である。
【特許文献1】特開平06−101732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1で開示された衝撃吸収部材では、荷重が加わる衝撃吸収部材の一点に荷重と変形が集中するため、衝撃吸収部材のエネルギー吸収量は、大部分が圧縮部位を構成する部材の強度に依存してしまう。さらには、アルミとFRPがボルトにより接合されているため、荷重による変形に伴ってボルト接合部に応力が集中し、接合部から破断に至るおそれがある。ボルトの代わりに接着剤を用いたとしても、ビーム剤全体の強度が接着剤の強度に依存してしまう。
【0009】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、変形により応力が集中する部位に、引張荷重特性、引張変位特性、圧縮荷重特性、及び、圧縮変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材を所定方向に対して交互に配置することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0011】
(1) 中空の衝撃吸収部材を複数接合して形成された衝撃吸収構造体であって、前記衝撃吸収部材は、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、を有し、前記衝撃吸収部材の端部が接合する端部接合部位は、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置されて形成されている衝撃吸収構造体。
【0012】
(1)の発明によれば、衝撃吸収部材の端部接合部位には、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置される(以下、交互配置構造という)。端部接合部位は、ねじり変形による応力が集中する部位であり、この端部接合部位に、変形して荷重を伝える特性と、大きな荷重を発生する特性を交互に有する衝撃吸収構造体である。このため、端部接合部位に生ずるねじり変形による応力を効率的に分散でき、より高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【0013】
交互配置構造を構成する部材としては、中空の衝撃吸収部材となる構造部材であれば特に限定されず、例えば、繊維強化プラスチック、繊維強化金属、鉄、アルミニウム、樹脂等が用いられる。これらのうち、繊維強化プラスチックが好ましく用いられ、CFRPがより好ましく用いられる。また、本発明に係る衝撃吸収構造体は、自動車の他、自転車、航空機、電車、あるいは建築の構造部材としても利用することができ、自動車等の車両側部に常用されるアルミニウムもしくはアルミニウム合金からなるビーム材が好適である。衝撃吸収部材は、一般的には長手方向と短手方向を有し、衝撃時には、長手方向に対して略直角に曲げ変形を行うことにより衝撃の吸収を行うものである。なお、衝撃吸収部材は四角柱などの断面多角形形状には限定されず、円筒形状であってもよく、場所によって断面形状が異なっていてもよい。なお、交互配置構造は、衝撃吸収部材の端部接合部位にのみ限定されるものではなく、後述するように、曲げモーメントが極値となる部位や圧縮部位側に設けられる補強部位にも適用することができる。
【0014】
(2) 中空の衝撃吸収部材を複数接合して形成された衝撃吸収構造体であって、前記衝撃吸収部材は、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、を有し、前記圧縮部位が衝撃を受けることにより発生する曲げモーメントが極値となる部位は、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置されて形成されている衝撃吸収構造体。
【0015】
(2)の発明によれば、圧縮部位が衝撃を受けることにより発生する曲げモーメントが極値となる部位には、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置される。曲げモーメントが極値となる部位は、曲げモーメントによる応力が集中する部位であり、この曲げモーメントが極値となる部位に、変形して荷重を伝える特性と、大きな荷重を発生する特性を交互に有する衝撃吸収構造体である。このため、曲げモーメントが極値となる部位に生ずる曲げモーメントによる応力を効率的に分散でき、より高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。なお、交互配置構造を構成する部材としては、(1)の発明と同様のものを用いることができる。
【0016】
(3) 中空の衝撃吸収部材を複数接合して形成された衝撃吸収構造体であって、前記衝撃吸収部材は、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、を有し、前記衝撃吸収部材の前記圧縮部位及び前記引張部位のうち一方の側には、前記応力による変形を抑制する補強部位が設けられ、断面の図心を含む中立面から前記補強部位までの最小寸法は、前記中立面から前記圧縮部位及び前記引張部位のうち他方までの最大寸法に等しく、前記補強部位は、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置されて形成されている衝撃吸収構造体。
【0017】
(3)の発明によれば、衝撃吸収部材には補強部位が設けられ、この補強部位に、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置される。補強部位が設けられる部分は、圧縮部位及び引張部位のうち一方の側であり、高剛性で変形して荷重を伝える作用を備えていない部分である。具体的には、断面の図心を含む中立面から補強部位までの最小寸法が、中立面から圧縮部位及び引張部位のうち他方までの最大寸法に等しくなるように補強部位が設けられる。補強部位は、変形して荷重を伝える特性と、大きな荷重を発生する特性を交互に有するため、変形して荷重を広範囲に伝えることができる。従って、補強部位に集中する応力を効率的に分散でき、より高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。なお、交互配置構造を構成する部材としては、(1)及び(2)の発明と同様のものを用いることができる。
【0018】
(4) 前記部材は、繊維強化材である(1)から(3)いずれか記載の衝撃吸収構造体。
【0019】
(5) 前記繊維強化材は、炭素繊維強化プラスチックである(4)記載の衝撃吸収構造体。
【0020】
(6) 前記繊維強化材は、UD材である(4)又は(5)記載の衝撃吸収構造体。
【0021】
(7) 前記繊維強化材は、クロス材である(4)又は(5)記載の衝撃吸収構造体。
【0022】
(8) (1)から(7)いずれか記載の衝撃吸収構造体を用いた自動車。
【0023】
自動車においては乗員の保護対策のために、例えば、フロントピラー、センターピラー、リアピラー等の自動車側部に使用されるビーム材として中空の衝撃吸収部材が使用されており、優れた衝撃エネルギー吸収が期待されている。このため、本発明に係る衝撃吸収構造体は、自動車に使用されるビーム材などに特に好適に使用できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、従来よりも高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
<第一実施形態>
[端部接合部位に交互配置構造を適用した衝撃吸収構造体]
本発明の第一実施形態に係る衝撃吸収構造体は、衝撃吸収部材の端部接合部位に交互配置構造を適用した衝撃吸収構造体である。本実施形態に係る衝撃吸収構造体は、例えば、図1に示すような自動車400のBピラー等に適用することができる。図1におけるA付近の拡大図を図2に示す。図2における自動車400のBピラー410は、側面衝突時に曲げ変形を受ける構造部材の一つである。側面衝突時には、Bピラー410の端部接合部位420にねじり変形が生じ、端部接合部位420に大きな応力が発生するため、Bピラー410の耐力が低下し、Bピラー410はエネルギー吸収能力を喪失する。このため、本実施形態に係る衝撃吸収構造体は、ねじり変形を受けるBピラー410の端部接合部位420に交互配置構造を適用したものである。
【0027】
ここで、曲げ変形を受ける自動車の衝撃吸収部材に荷重が加わったときの概念図を、図3、図4に示した。図3は、従来の衝撃吸収部材500に荷重が加わったときの概念図であり、図4は、図3におけるB付近の拡大図である。また、図5は、交互配置構造を適用した本発明に係る衝撃吸収部材550に荷重が加わったときの概念図である。
【0028】
一般にピラー材は、上部サイドルーフレールと下部サイドシルを支点(図3、図5における支点700)として折れ曲がるような三点曲げを受ける。図3の衝撃吸収部材500では、衝撃による荷重時に(図3の矢印方向)、図4に示すように、荷重が直接かかる衝撃吸収部材の中心部にのみ荷重と変形が集中する。これは、衝撃吸収部材が長手方向に対して、均一の部材から形成されているために、荷重がかかる部分に集中的に負荷がかかるからである。
【0029】
一方、図5に示すように、本発明により得られる衝撃吸収部材550を用いた場合、一定の荷重に対して、この荷重を衝撃吸収部材の広範囲で受けとめることにより荷重と変形の集中を回避し(図5の点線枠内)、エネルギー吸収効率を向上させることができると考えられる。このように、荷重を衝撃吸収部材の広範囲で受け止めるためには、荷重の分散や変形の分散が必要である。そこで、衝撃吸収部材の長手方向に対して、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、圧縮最大変位特性が異なる部材を適宜、配置することで、荷重と変形が複雑に分散し、個々の荷重量や変形量は小さくなり、荷重を衝撃吸収部材の広範囲で受け止めることができると考えられる。
【0030】
本実施形態で適用する交互配置構造は、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性の少なくとも一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材を交互に配置したものである。具体的には、繊維配向角が45度と−45度のCFRPのUD材を積層したもの(以下、CFRPのUD材[45/−45]とする)と、繊維配向角が0度と90度のCFRPのUD材を積層したもの(以下、CFRPのUD材[0/90]とする)とを交互に配置した構造が好ましく用いられる。積層回数については、特に限定されず、交互配置の向き及び形状についても特に限定されない。例えば、図6〜図9に示すような様々なパターンが可能である。また、CFRPのUD材[45/−45]及びCFRPのUD材[0/90]それぞれが配置される幅についても、本発明の効果を奏する範囲内において特に限定されることはない。なお、図6〜図9に示す交互配置構造は、いずれもCFRPのUD材[45/−45]430とCFRPのUD材[0/90]440とを交互に配置したものである。
【0031】
ここで、「繊維配向角」とは、衝撃吸収部材の重心を通って長手方向に延びる中心軸と繊維方向から定まる角度である。また、「繊維方向」とは、UD材やクロス材等の繊維強化材を形成する際に、繊維を一方向に揃えることにより決定される繊維の向きである。繊維強化材を用いた衝撃吸収構造体の荷重特性は、繊維配向角に影響されるため、繊維配向角を適宜設定することにより、高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【0032】
「引張最大荷重特性」とは、部材に引張荷重を課したときに、この部材が破壊に至るまでの荷重の大きさ(最大荷重)、及び、変形の大きさ(引張による歪み)から特徴付けられる部材の特性である。「圧縮最大荷重特性」とは、部材に圧縮荷重を課したときに、この部材が破壊に至るまでの荷重の大きさ(最大荷重)、及び、変形の大きさ(圧縮による歪み)から特徴付けられる部材の特性である。「引張最大変位特性」とは、部材に引張荷重を課したときに、この部材が破壊に至る時の変形量(引張による歪み)と、このときの荷重の大きさ(最大荷重)とから特徴付けられる部材の特性である。「引張最大荷重特性」とは異なり、ある一定荷重に対する変位の量によって部材の特性を判断する。「圧縮最大変位特性」とは、部材に圧縮荷重を課したときに、この部材が破壊に至る時の変形量(圧縮による歪み)と、このときの荷重の大きさ(最大荷重)とから特徴付けられる部材の特性である。「圧縮最大荷重特性」と異なり、ある一定荷重に対する変位の量によって部材の特性を判断する。
【0033】
本実施形態に係る衝撃吸収構造体は、例えば、帯状のプレプリグを複数形成し、このプレプリグを中空の構造部材に互いに重ならないように所定の間隔を空けて巻き付けた後、プレプリグを硬化させて繊維強化部材を構造部材上に交互に形成させることにより、製造することができる。また、後述する他の実施形態に係る衝撃吸収構造体も同様にして製造することができる。
【0034】
本実施形態に係る衝撃吸収構造体について、図10に示すH型構造物300にモデル化した構造を用いて説明する。H型構造物300は、長さ1000mmの衝撃吸収部材320の両端部を、両端部が固定支持された長さ2000mmの二つの部材に接合して形成されるものであり、交互配置構造が適用された長さ60mmの端部接合部位350を有する。このH型構造物300が、長手方向に対して略直角に曲げ変形を受けたときに、端部接合部位350に加わる応力について、図11及び図12を用いて説明する。図11は、H型構造物300を真横から見た図である。また、図12は、図10におけるC付近、即ち、端部接合部位350を拡大した図である。図11に示すように、衝撃吸収部材320の長手方向に対して略直角に荷重が加わると、その両端に位置する端部接合部位350には、ねじり変形による応力が集中する。端部接合部位350に生ずるねじり変形は、図12に示すように、H型構造物300におけるせん断変形と同様と見なすことができる。せん断荷重は引張荷重と圧縮荷重に分解できるため、端部接合部位350に交互配置構造を採用することにより、変形を受け持つ領域と荷重を受け持つ領域とを形成でき、ねじり変形による応力の集中を回避できる。
【0035】
本実施形態で好ましく用いられるCFRPのUD材[45/−45]及びCFRPのUD材[0/90]の応力歪み特性を図13に示す。図13は、いずれのUD材にも繊維として東邦テナックス(株)製カーボン繊維HTAを用い、マトリクスとしてエポキシ樹脂(#112)を用いたときのものである。図13から明らかであるように、CFRPのUD材[0/90]は、応力には強い(小さな歪みで、大きな応力を保持する)が、一定の歪みで破壊してしまうため、強くて脆い特性を有する。これに対して、CFRPのUD材[45/−45]は、応力には弱い(小さな応力で、大きく歪む)が、部材自体が長く歪んでから破壊するという、弱くて伸びる特性を有する。これらの部材は、各々の曲線の端部において破壊され、引張最大荷重で10倍程度の差があり、引張最大変位では50倍以上の差がある。
【0036】
H型構造物を全てCFRPのUD材[0/90]で構成したものと、H型構造物の端部接合部位にCFRPのUD材[45/−45]とCFRPのUD材[0/90]との交互配置構造を適用したものについて、荷重変位特性を比較した結果を図14に示す。また、両者のエネルギー吸収量を比較した結果を図15に示す。図14及び図15から明らかであるように、端部接合部位に交互配置構造を適用した本実施形態に係る衝撃吸収構造体は、高い荷重を保ちながらさらに変形量が増加するため、エネルギー吸収率が高い。即ち、荷重及び変位に差がある部材を端部接合部位に交互配置することによって、従来より高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【0037】
<第二実施形態>
[曲げモーメントが極値となる部位に交互配置構造を適用した衝撃吸収構造体]
本発明の第二実施形態に係る衝撃吸収構造体は、圧縮部位が衝撃を受けることにより発生する曲げモーメントが極値となる部位に、交互配置構造を適用した衝撃吸収構造体である。本実施形態で適用した交互配置構造は、第一実施形態のものと同様であり、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性の少なくとも一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材を交互に配置したものである。具体的には、CFRPのUD材[45/−45]とCFRPのUD材[0/90]とを交互に配置したものが好ましく用いられる。なお、積層回数については、特に限定されない。
【0038】
一般的に、はりの支持方法には移動支持、ピン支持、及び、固定支持の3通りがあるのに対して、自動車の構造部材の支持方法は、ピン支持と固定支持の組合せである。中空構造を維持したまま、剛性の高い部材に接合した箇所は固定支持と見なすことができ、構造材のアウターとインナーを合わせて中実構造とし、スポット溶接した箇所はピン支持と見なせる。例えば、図16に示す自動車衝撃吸収構造体100のフロントピラーロアー110等は、両端(図16におけるD付近及びE付近)が高剛性部材に接合されているため、固定支持同士の組み合わせであるのに対して、フロントロアクロスメンバー130等は、両端(図16におけるH付近及びI付近)がバンパビームにスポット溶接されているため、ピン支持同士の組み合わせである。また、フロントロアメンバー120等は、一方の端部(図16におけるG付近)がスポット溶接され、もう一方の端部(図16におけるF付近)は高剛性部材に接合されているため、ピン支持と固定支持との組み合わせである。これらの部材は、その支持方法の違いによって、圧縮部位が衝撃を受けることにより発生する曲げモーメントの分布が異なったものとなる。曲げモーメントが極値となる部位では、大きな曲げ応力が発生するため、この応力を分散させることを目的として交互配置構造を適用したものが本実施形態に係る衝撃吸収構造体である。
【0039】
本実施形態に係る衝撃吸収構造体のうち、両端が固定支持の組み合わせである構造体について、図17に示す両端が固定支持されたモデル構造体150を用いて説明する。このモデル構造体は、長さが600mmの衝撃吸収部材の両端を高剛性部材に接合したものであり、長手方向の略中央部に対して略直角に荷重が加わった場合(図17の矢印方向)に発生する曲げモーメントは、図17に示す通り、長手方向の中央部、及び、両端部において極値を示す。このため、この構造物では、長手方向の中央部、及び、両端部に交互配置構造が採用されている。より具体的には、長手方向の中央部、及び、両端部において、CFRPのUD材[45/−45]160とCFRPのUD材[0/90]170との交互配置構造が採用されている。なお、その他の部位は、CFRPのUD材[0/90]170で構成されている。
【0040】
モデル構造体150と、両端が固定支持されて構造部材の全ての部位がCFRPのUD材[0/90]で構成されたものとについて、荷重変位特性を比較した結果を図18に示す。また、両者のエネルギー吸収量を比較した結果を図19に示す。これらの図から明らかであるように、構造部材を全てCFRPのUD材[0/90]で構成したものよりも、モデル構造体150、即ち、曲げモーメントが極値となる部位にCFRPのUD材[45/−45]160とCFRPのUD材[0/90]170との交互配置構造を採用した本実施形態に係る衝撃吸収構造体の方が、変形領域を拡大してより高いエネルギー吸収効率を有する。これは、両端が固定支持の組み合わせによる支持方法に限られず、ピン支持同士の組み合わせやピン支持と固定支持との組み合わせによる支持方法の場合であっても同様である。即ち、いずれの支持方法であっても、曲げモーメントが極値となる部位に交互配置構造を適用することにより、高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【0041】
<第三実施形態>
[補強部位に交互配置構造を適用した衝撃吸収構造体]
本発明の第三実施形態に係る衝撃吸収構造体は、補強部位に交互配置構造を適用した衝撃吸収構造体である。本実施形態で適用した交互配置構造は、第一実施形態及び第二実施形態のものと同様であり、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性の少なくとも一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材を交互に配置したものである。具体的には、CFRPのUD材[45/−45]とCFRPのUD材[0/90]とを交互に配置したものが好ましく用いられる。なお、積層回数については、特に限定されない。
【0042】
自動車の構造部材には、デザイン上要求される形状の他、ドア等の別部品を取り付けるためのマウント部を有する形状や、剛性を確保するための形状等様々なものがある。例えば、図20に示す断面が長方形の衝撃吸収部材240では、図心200を含む中立面290から圧縮部位210までの寸法と、引張部位220までの寸法は等しい。これに対して、図21に示すような断面形状の衝撃吸収部材250では、図心260を含む中立面295から圧縮部位270までの寸法と引張部位280までの寸法は異なる。このように、断面形状が図心に対して非対称で不均一なものは、図心を含む中立面から圧縮部位までの最小寸法と、中立面から引張部位までの最大寸法とは等しくない。従って、このような断面形状の場合、荷重方向に対して中立面からの寸法が大きい場合は断面係数が大きな値となるので、大きな曲げモーメントに耐えることができる。一方、中立面からの寸法が小さい、即ち、断面係数が小さい部位は大きな曲げモーメントに耐えられず、先に破壊してしまうため、構造部材のエネルギー吸収という観点では効率が悪い。そこで、長手方向に断面が変化するような衝撃吸収構造体において、図21に示すように、中立面295から圧縮部位270までの最小寸法と、中立面295から引張部位280までの最大寸法とが等しくない領域の圧縮部位270側に補強部位230を設け、この補強部位230に交互配置構造を適用したものが本実施形態に係る衝撃吸収構造体である。なお、本実施形態においては、補強部位は圧縮部位側に限定されず、引張部位側に設けられるものであってもよい。この場合には、中立面から補強部位までの最小寸法は、中立面から圧縮部位までの最大寸法に等しいものとなる。
【0043】
ここで、「図心」とは、図形の面積の大きさを力と考えてその合力を求めたときに、その作用点に相当するものである。また、「中立面」とは、各断面における「図心」を含む面であって、圧縮応力及び引張応力がいずれも作用しない面である。
【0044】
本実施形態に係る衝撃吸収構造体について、図22に示すモデル化した構造を用いて説明する。図22は、筒状のモデル構造体600を横からみた図であり、荷重(図22における矢印の向き)が加わる圧縮部位670側には、圧縮応力による変形を抑制する補強部位630が設けられている。そして、各断面の図心を含む中立面650から補強部位630までの最小寸法は、中立面650から引張部位680までの最大寸法に等しく、補強部位630には交互配置構造が採用されている。具体的には、CFRPのUD材[45/−45]610とCFRPのUD材[0/90]620とが交互に配置されている。図22においてX−X’方向に切断したときの断面図を図23に、Y−Y’方向に切断したときの断面図を図24に示す。図24における断面では、中立面650から圧縮部位670までの最小寸法と、中立面650から引張部位680までの最大寸法とは等しいため、交互配置構造を採用している部位は見られない。これに対して、図23における断面では、これらの寸法は異なっているため、中立面650から圧縮部位670までの最小寸法が中立面650から引張部位680までの最大寸法よりも大きい部位、即ち、補強部位630に交互配置構造が採用されている。
【0045】
本実施形態に係る衝撃吸収構造体は、例えば、自動車のBピラー等に適用することができる。図25は、本実施形態に係る衝撃吸収構造体を適用した自動車のBピラー750を示しており、図25におけるJ付近を拡大した図が図26である。図26に示すように、断面形状が不均一な部分には補強部位730が設けられ、補強部位730はCFRPのUD材[45/−45]710とCFRPのUD材[0/90]720とが交互に配置されている。図27は、Bピラー750を横から見た図であり、荷重は図27の矢印方向に加わる。また、このBピラー750をX−X’方向に切断したときの断面図を図28に、X−X’方向に切断したときの断面図を図29に、X−X’方向に切断したときの断面図を図30に、X−X’方向に切断したときの断面図を図31に示す。これらの図に示すように、Bピラー750のような長手方向に断面形状が変化する構造体に対して、中立面850から圧縮部位770及び引張部位780までの寸法によって補強部位730の位置が特定される。位置が特定された補強部位730に交互配置構造を適用することにより、高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【0046】
<変形例>
第一実施形態〜第三実施形態に係る衝撃吸収構造体で適用される交互配置構造は、いずれも、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性の少なくとも一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材を交互に配置したものである。これに対して、これら一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部分が交互に配置された一種の部材を配置することにより形成される交互配置構造が変形例として挙げられる。具体的には、CFRPのクロス材等を、構造体の端部接合部位、曲げモーメントが極値となる部位、補強部位に配置したものが挙げられる。CFRPのクロス材は炭素繊維の織物又は編物であり、炭素繊維同士がクロスする部分とクロスしていない部分とでは荷重特性や変位特性が異なる。このため、CFRPのクロス材を構造体の端部接合部位、曲げモーメントが極値となる部位、補強部位に配置することにより、高いエネルギー吸収効率を有する衝撃吸収構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る衝撃吸収構造体が好適に用いられる自動車構造部材を示す図面である。
【図2】図1におけるA付近の拡大図である。
【図3】従来の衝撃吸収部材に荷重が加わったときの荷重と変形の範囲を示す模式図である。
【図4】図3におけるB付近の拡大図である。
【図5】交互配置構造を適用した衝撃吸収部材に荷重が加わったときの荷重と変形の範囲を示す模式図である。
【図6】交互配置構造の向き及び形状の一態様を示す図面である。
【図7】交互配置構造の向き及び形状の一態様を示す図面である。
【図8】交互配置構造の向き及び形状の一態様を示す図面である。
【図9】交互配置構造の向き及び形状の一態様を示す図面である。
【図10】H型構造物を示す図面である。
【図11】H型構造物の端部接合部位におけるねじり変形による応力を説明するための図面である。
【図12】図10におけるC付近の拡大図である。
【図13】CFRPのUD材[45/−45]及びCFRPのUD材[0/90]の応力歪み特性を示す図面である。
【図14】CFRPのUD材[0/90]のみで構成された衝撃吸収構造体と、第一実施形態に係る衝撃吸収構造体との荷重変位特性を比較した図面である。
【図15】CFRPのUD材[0/90]のみで構成された衝撃吸収構造体と、第一実施形態に係る衝撃吸収構造体とのエネルギー吸収量を比較した図面である。
【図16】自動車衝撃吸収構造体の斜視図である。
【図17】両端が固定支持されたモデル構造体を示す図面である。
【図18】両端が固定支持されたモデル構造体と、CFRPのUD材[0/90]のみで構成されたものとの荷重変位特性を比較した図面である。
【図19】両端が固定支持されたモデル構造体と、CFRPのUD材[0/90]のみで構成されたものとのエネルギー吸収量を比較した図面である。
【図20】衝撃吸収部材の断面形状の違いによる図心と補強部位の位置を説明するための図面である。
【図21】衝撃吸収部材の断面形状の違いによる図心と補強部位の位置を説明するための図面である。
【図22】長手方向に断面形状が変化する筒状のモデル構造体を示す図面である。
【図23】図22におけるX−X’断面図である。
【図24】図22におけるY−Y’断面図である。
【図25】第三実施形態に係る衝撃吸収構造体を適用した自動車のBピラーの斜視図である。
【図26】図25におけるJ付近の拡大図である。
【図27】第三実施形態に係る衝撃吸収構造体を適用した自動車のBピラーを示す図面である。
【図28】図27におけるX−X’断面図である。
【図29】図27におけるX−X’断面図である。
【図30】図27におけるX−X’断面図である。
【図31】図27におけるX−X’断面図である。
【符号の説明】
【0048】
100 自動車衝撃吸収構造体
110 フロントピラーロアー
120 フロントロアメンバー
130 フロントロアクロスメンバー
150 両端が固定支持されたモデル構造体
160、430、610、710 CFRPのUD材[45/−45]
170、440、620、720 CFRPのUD材[0/90]
200、260、660、690、800、810、820、830 図心
210、270、670、770 圧縮部位
220、280、680、780 引張部位
230、630、730 補強部位
290、295、650、850 中立面
300 H型構造物
320 衝撃吸収部材
350、420 端部接合部位
400 自動車
410、750 Bピラー
500 従来の衝撃吸収部材
550 交互配置構造を適用した衝撃吸収部材
600 筒状のモデル構造体
700 支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空の衝撃吸収部材を複数接合して形成された衝撃吸収構造体であって、
前記衝撃吸収部材は、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、を有し、
前記衝撃吸収部材の端部が接合される端部接合部位は、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置されて形成されている衝撃吸収構造体。
【請求項2】
中空の衝撃吸収部材を複数接合して形成された衝撃吸収構造体であって、
前記衝撃吸収部材は、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、を有し、
前記圧縮部位が衝撃を受けることにより発生する曲げモーメントが極値となる部位は、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置されて形成されている衝撃吸収構造体。
【請求項3】
中空の衝撃吸収部材を複数接合して形成された衝撃吸収構造体であって、
前記衝撃吸収部材は、衝撃を直接受けることにより圧縮応力が発生する圧縮部位と、この圧縮部位に対向し引張応力が発生する引張部位と、を有し、
前記衝撃吸収部材の前記圧縮部位及び前記引張部位のうち一方の側には、前記応力による変形を抑制する補強部位が設けられ、
断面の図心を含む中立面から前記補強部位までの最小寸法は、前記中立面から前記圧縮部位及び前記引張部位のうち他方までの最大寸法に等しく、
前記補強部位は、引張最大荷重特性、圧縮最大荷重特性、引張最大変位特性、及び、圧縮最大変位特性よりなる群から選択される一以上の特性によって特徴付けられる二種以上の部材が所定方向に対して交互に配置されて形成されている衝撃吸収構造体。
【請求項4】
前記部材は、繊維強化材である請求項1から3いずれか記載の衝撃吸収構造体。
【請求項5】
前記繊維強化材は、炭素繊維強化プラスチックである請求項4記載の衝撃吸収構造体。
【請求項6】
前記繊維強化材は、UD材である請求項4又は5記載の衝撃吸収構造体。
【請求項7】
前記繊維強化材は、クロス材である請求項4又は5記載の衝撃吸収構造体。
【請求項8】
請求項1から請求項7いずれか記載の衝撃吸収構造体を用いた自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2006−44440(P2006−44440A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−227744(P2004−227744)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】