説明

衣料用液体洗浄剤組成物

【課題】 高い洗浄性能と衣類を傷めず洗い上げる効果(ケア効果)とを有し、更に再汚染防止性が向上した衣料用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】 (a)炭素数8〜14のアルキル基を有する特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、(b)炭素数16〜20のアルキル基を有する特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び(c)特定の重合性不飽和カルボン酸又はその塩に由来する構成単位(c1)と特定の重合性不飽和炭化水素に由来する構成単位(c2)と含む共重合体を含有する衣料用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の洗濯用の液体洗浄剤に関する期待としては、皮脂汚れに対する高い洗浄性能や衣類を傷めず洗い上げる(衣類等のケア効果)等の意識が高まっており、これらを両立させる事は液体洗浄剤の課題の一つである。
【0003】
例えば、非イオン界面活性剤と、特定比率の陽イオン界面活性剤/陰イオン界面活性剤とを組み合わせることで、皮脂汚れに対し高い洗浄性能を有し、また柔軟化効果に優れた液体洗浄剤が提案されている(特許文献1)。また、非イオン界面活性剤と、洗濯時の衣類の絡まりを抑制させる剤としてのアミノ変性シリコーンとを組み合わせた液体洗浄剤の開発も行われている(特許文献2)。
【0004】
したがって、皮脂汚れや固体粒子汚れに対する高い洗浄性能、汚れの再汚染防止と洗濯時の衣類傷みの抑制を両立する技術が求められていた。
【特許文献1】特開平11−217585号公報
【特許文献2】特開2002−249799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の界面活性剤の組み合わせでは、皮脂汚れや固体粒子の洗浄性能、及び汚れの再汚染防止性能については不充分であり、また洗濯・乾燥後の柔軟化効果は認知されるが、衣類を傷めず洗い上げる効果(洗濯時の衣類の絡まり抑制効果)は不充分であった。また、特許文献2の液体洗浄剤は、皮脂汚れに対する洗浄性能、柔軟化効果、洗濯時の衣類の絡まりを抑制させる効果は高いものの、固体粒子汚れ、及び汚れの再汚染防止性性能の向上効果は充分ではなかった。従って、液体洗浄剤において、皮脂汚れや固体粒子汚れに対する高い洗浄性能、汚れの再汚染防止性能、洗濯時の衣類傷みの抑制の全てを満足できる技術が求められていた。
【0006】
本発明の課題は、高い洗浄性能、衣類を傷めず洗い上げる効果(ケア効果)を有し、更に再汚染防止性が向上した衣料用液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(a)炭素数2〜3のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30であり、アルキル基の炭素数が8〜14であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル〔以下、(a)成分という〕、(b)炭素数2〜3のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30であり、アルキル基の炭素数が16〜20であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル〔以下、(b)成分という〕、及び(c)下記一般式(c1)で表される化合物(c1)に由来する構成単位(c1)と、下記一般式(c2)で表される化合物(c2)に由来する構成単位(c2)とを含み、全構成単位中、構成単位(c1)と構成単位(c2)の合計が80質量%以上である共重合体〔以下、(c)成分という〕を含有する衣料用液体洗浄剤組成物に関する。
【0008】
【化5】

【0009】
〔式中、R1〜R4は、同一又は異なっていても良い水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、又はカルボキシ基もしくはその塩である。ただし、R1〜R4のうち、少なくとも1つはカルボキシ基又はその塩である。〕
【0010】
【化6】

【0011】
〔式中、R5〜R8は、同一又は異なっていても良い水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、
【0012】
【化7】

【0013】
−O−R9、−COO−R9、又は−OCO−R9である。ただし、R5〜R8の全てが水素原子となることはない。R9は炭素数1〜30のアルキル基又はフェニル基である。〕
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、洗浄性能、衣類を傷めず洗い上げる効果(ケア効果)及び再汚染防止性に優れた衣料用液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<(a)成分>
本発明の(a)成分は、炭素数2〜3のアルキレンオキサイド(以下、AOと表記する)の平均付加モル数が10〜30であり、アルキル基の炭素数が8〜14であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。AOはエチレンオキサイド(以下、EOと表記する)とプロピレンオキサイド(以下、POと表記する)であり、EOを含むことが好ましい。EOとPOの両方を含む場合、ランダム付加でも、ブロック付加でも何れでもよい。AOの平均付加モル数は10〜22が好ましい。(a)成分のアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、また1級、2級、3級の何れでもよい。なお、(a)成分は、炭素数2〜3のAO以外のAOを含むこともできるが、炭素数2〜3のAOが全AO中80〜100モル%、更に90〜100モル%であることが好ましい。
【0016】
<(b)成分>
本発明の(b)成分は、炭素数2〜3のAOの平均付加モル数が10〜30であり、アルキル基の炭素数が16〜20であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。AOはEOとPOであり、EOを含むことが好ましい。EOとPOの両方を含む場合、ランダム付加でも、ブロック付加でも何れでもよい。AOの平均付加モル数は1〜20、特に1〜15が好ましい。(b)成分のアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、また1級、2級、3級の何れでもよい。
【0017】
<(c)成分>
本発明の(c)成分は、上記一般式(c1)で表される化合物(c1)に由来する構成単位(c1)と、上記一般式(c2)で表される化合物(c2)に由来する構成単位(c2)とを含み、全構成単位中、構成単位(c1)と構成単位(c2)の合計が80質量%以上、好ましくは90質量%以上である共重合体である。該共重合体は、重合性不飽和カルボン酸又はその塩である化合物(c1)と重合性不飽和炭化水素である化合物(c2)との共重合体である。(c)成分は、重合性不飽和カルボン酸を用い、共重合後に一部又は全部を中和して塩としたものでもよい。また、化合物(c1)が複数のカルボキシ基を有する場合、無水物となっていてもよい。構成単位(c1)、構成単位(c2)は、共重合時に対応する化合物により導入されたものでも、共重合体に後から導入されたものでも、いずれでもよい。
【0018】
(c)成分の製造には、化合物(c1)、化合物(c2)以外の単量体を用いることもできるが、全単量体中、化合物(c1)と化合物(c2)の合計が80質量%以上であり、90質量%以上であることが好ましい。また、構成単位(c1)と構成単位(c2)のモル比は、(c1)/(c2)=10/90〜90/10、更に20/80〜80/20であることが好ましく、製造時の化合物(c1)と化合物(c2)のモル比もこの範囲とすることが好ましい。
【0019】
化合物(c1)は、カルボキシ基又はその塩を有するビニルモノマーである。該モノマーとしては例えば、(メタ)アクリル酸[(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物のことをいう]及びその塩類、スチレンカルボン酸及びその塩類、マレイン酸系モノマー[無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、並びにマレイン酸モノアミド又はそれらの2種類以上からなる混合物のことをいう]及びその塩類並びにイタコン酸及びその塩類等であり、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
【0020】
また、化合物(c2)としては、下記モノマー群(c2−1)〜(c2−6)から選ばれるモノマーが好ましく挙げられる。
【0021】
(c2−1)炭素数1〜22の無置換もしくは置換の、飽和もしくは不飽和アルキル基またはアラルキル基を有するビニルエーテル類。例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、ミリスチルビニルエーテル、パルミチルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等が挙げられる。
【0022】
(c2−2)炭素数1〜7の無置換もしくは置換の、飽和もしくは不飽和アルキル基またはアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0023】
(c2−3)スチレン類。例えば、スチレン、4−エチルスチレン、α―メチルスチレン等が好ましい。
【0024】
(c2−4)ビニルエステル類。例えば、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル等が好ましい。
【0025】
(c2−5)炭素数8〜30、好ましくは炭素数12〜22の飽和もしくは不飽和アルキル基またはアラルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル。例えば、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等が挙げられる。
【0026】
(c2−6)ブテン、ヘキセン、ペンテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン等の炭素数3〜30のアルケン類が挙げられる。
【0027】
化合物(c2)としては、スチレン、4−エチルスチレン、α―メチルスチレンが好ましい。
【0028】
(c)成分は、化合物(c1)、化合物(c2)以外の単量体に由来する構成単位を含むことができる。その他の単量体としては、以下のものが挙げられる。
【0029】
(x1)スルホン酸基又はその塩を有するビニルモノマー。該モノマーとしては例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−アルキル(炭素数1〜4)プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸モノマー等が挙げられ、これらから選ばれる1種以上を用いることができる。
【0030】
(x2)リン酸基もしくはホスホン酸基又はその塩を有するビニルモノマー。該モノマーとしては例えば、(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数1〜4)リン酸、ビニルホスホン酸等が挙げられる。
【0031】
(x3)無置換、あるいは窒素上に炭素数1〜12の飽和もしくは不飽和のアルキル基またはアラルキル基を有する置換(メタ)アクリルアミド類。例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。
【0032】
(x4)N−ビニル脂肪族アミド類。例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等が好ましい。
【0033】
(x5)アルキレンオキサイド類。例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好ましい。
【0034】
(x6)環状イミノエーテル類。例えば2−メチル−2−オキサゾリン、2−フェニル−2−オキサゾリン等が好ましい。
【0035】
(x7)N−メチルバレロラクタム類のような、ポリアミド類の製造に用いられる単量体。
【0036】
(x8)ポリエチレングリコール、ヘキサメチレンジイソシアナート、及びN−メチル−ジエタノールアミンまたは1,4−ブタンジオール等、ポリウレタンのような重付加物の製造に用いられる単量体。
【0037】
(x9)窒素に結合した飽和もしくは不飽和の炭素数8〜30、好ましくは炭素数12〜22のアルキル基またはアラルキル基を、1又は2有する置換(メタ)アクリルアミド。例えば、N-ラウリル(メタ)アクリルアミド、N-ジオクチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0038】
(x10)2価アルコールと2価カルボン酸とから成るポリエステル類の製造に用いられる単量体。例えば、ポリエチレングリコールとテレフタル酸、あるいは1,4−ブタンジオールとコハク酸等が挙げられる。
【0039】
これら化合物(c1)やその他の単量体の塩類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、総炭素数1〜22のアルキルもしくはアルケニルアンモニウム、炭素数1〜22のアルキル若しくはアルケニル置換ピリジニウム、総炭素数1〜22のアルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸等が挙げられ、ナトリウム、カリウムの様なアルカリ金属塩が好ましい。
【0040】
(c)成分の分子量は、重量平均分子量で3000〜800万、更に3000〜100万が好ましい。この重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、ポリエチレングリコール(PEG)換算で平均分子量を決定したものである。
【0041】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を5〜55質量%、更に5〜40質量%、更に10〜20質量%含有することが洗浄性能の点で好ましい。また、(b)成分を0.5〜55質量%、更に0.5〜10質量%、更に0.5〜7.5質量%、更に0.5〜5質量%含有することが衣類ケア効果と配合安定性の点で好ましい。また、(c)成分を0.1〜10質量%、更に0.1〜7.5質量%、更に0.1〜5質量%含有することが再汚染防止性の点で好ましい。
【0042】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物における界面活性剤の含有量は、5.5〜65質量%、更に7〜40質量%であることが好ましい。そして、全界面活性剤中、(a)成分と(b)成分の合計の質量比〔[(a)+(b)]/全界面活性剤〕が0.055〜0.55、更に0.07〜0.3であることが好ましい。
【0043】
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物においては、(a)成分と(b)成分の質量比が、(a)/(b)=95/5〜50/50、更に93/7〜80/20であることが、洗浄性能、衣類ケア効果の点で好ましい。
【0044】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、(d)下記一般式(d1)で表されるアミン又はその酸塩〔以下、(d)成分という〕を含有することが化繊の摩擦低減、褪色防止、柔軟化の点で好ましい。
【0045】
【化8】

【0046】
〔式中、R1dは炭素数14〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R2dは炭素数1〜5のアルキレン基であり、Xは−COO−、−CONR5d−、−OCO−、−NR5dCO−から選ばれる基である。ここで、R5dは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。R3d、R4dは、同一又は異なっていても良い炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又はR1d−X−R2d−である。〕
【0047】
組成物中の(d)成分の含有量は、0.1〜5質量%、更に0.1〜2質量%が好ましい。(d)成分の具体例としては、ラウリルアミドプロピルジメチルアミン、ミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジエタノールアミン、ステアリルアミドプロピルジエタノールアミン等の脂肪族アミドアルキル三級アミン及びそれらの塩、パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル三級アミン及びそれらの塩等が挙げられ、これらの中でもミリスチルアミドプロピルジメチルアミン、パルミチルアミドプロピルジメチルアミン、ステアリルアミドプロピルジメチルアミン、ベヘニルアミドプロピルジメチルアミン、オレイルアミドプロピルジメチルアミン、及びこれらの塩が好ましく、特にはステアリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩が好ましい。
【0048】
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物においては、(c)成分と(d)成分の質量比が、(c)/(d)=99/1〜30/70、更に80/20〜40/60であることが、再汚染防止性、柔軟性の点で好ましい。
【0049】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、他の界面活性剤、例えば陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、その他の非イオン界面活性剤等を配合することができる。
【0050】
本発明に使用できる陰イオン界面活性剤としては、下記(I)〜(IV)等が挙げられる。組成物の陰イオン界面活性剤の含有量は0〜20質量%、特に5〜15質量%が好ましい。
【0051】
(I)平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)ベンゼンスルホン酸塩
(II)平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルコール1モルに対し、平均0.5〜6モルのEOを付加したポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩
(III)平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル(又はアルケニル)硫酸塩
(IV)平均炭素数8〜20の脂肪酸塩
【0052】
また、これらの陰イオン界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム等のアルカリ土類金属、モノ、ジ、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アンモニウム等が使用でき、特にナトリウム、カリウム、モノエタノールアミンが好ましい。
【0053】
また、液の安定性及び泥汚れ洗浄性の点で、両性界面活性剤を配合してもよい。両性界面活性剤としてアルキルカルボベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン、アルキルアミドアミン型ベタイン及びアルキルイミダゾリン型ベタインなどが配合できる。組成物中の両性界面活性剤の含有量は0〜5質量%が好ましい。
【0054】
また、陽イオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル(炭素数8〜22が好ましい。)第4級アンモニウム塩が挙げられる。具体例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、椰子アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロライド、N−ラウロイルアミドプロピル−N’−トリメチルアンモニウムクロライド、N−ミリストイルアミドプロピル−N’−トリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。本発明においては、これらの中でも、牛脂アルキルトリメチルアンモニウムクロライドやステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジミリスチルジメチルアンモニウムクロライドが好ましい。また、長鎖アルキル基の組成が炭素数16と18の混合組成である第4級アンモニウム塩も好ましい。
【0055】
その他の非イオン界面活性剤として、次の一般式で表されるアルキル多糖界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド等が挙げられ、これら他の非イオン界面活性剤の組成物中の含有量は、0〜5質量%が好ましい。
【0056】
10−(OR11)ij
〔式中、R10は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜18のアルキル基、アルケニル基、又はアルキルフェニル基、R11は炭素数2〜4のアルキレン基、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基、iは平均値0〜6の数、jは平均値1〜10の数を示す。〕
【0057】
更に本発明の衣料用液体洗浄剤組成物には、次の成分を、それぞれ次の範囲で配合することができる。
【0058】
(i)アルカリ金属の水酸化物、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、及び、2−アミノエタノール、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、イソプロパノールアミン混合物(モノ,ジ,トリの混合物)等のアルカノールアミン、等のアルカリ剤0.01〜10質量%
【0059】
(ii)(ii-1)エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルカノール類、(ii-2)プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、(ii-3)ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、平均分子量約200のポリエチレングリコール、平均分子量約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量約2000のポリプロピレングリコールなどのポリグリコール類、(ii-4)ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチルグリセリンエーテル、2−メチルグリセリンエーテル、1,3−ジメチルグリセリンエーテル、1−エチルグリセリンエーテル、1,3−ジエチルグリセリンエーテル、トリエチルグリセリンエーテル、1−ペンチルグリセリルエーテル、2−ペンチルグリセリルエーテル、1−オクチルグリセリルエーテル、2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキルエーテル類、(ii-5)2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテル、平均分子量約480のポリエチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ベンジルオキシエタノール、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルエーテル、ポリオキシアルキレンフェニルエーテル等の芳香族エーテル類、等の水混和性有機溶剤0.1〜15質量%。これらは、減粘剤、可溶化剤、相調整剤、洗浄力向上剤等としての機能も有する。
【0060】
(iii)パラトルエンスルホン酸、安息香酸塩(防腐剤としての効果もある)、並びに尿素等の減粘剤及び可溶化剤0.01〜30質量%
【0061】
(iv)ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸塩、イミノ二酢酸塩、ジエチレントリアミン五酢酸塩、グリコールエーテルジアミン四酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩及びトリエチレンテトラミン六酢酸塩等のアミノポリ酢酸塩、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸及びクエン酸等の金属イオン捕捉剤0.1〜20質量%
【0062】
(v)ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、カルボキシメチルセルロース、重量平均分子量5000以上のポリエチレングリコール、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、及び特開昭59−62614号公報の請求項1〜21(1頁3欄5行〜3頁4欄14行)記載のポリマー等の再汚染防止剤及び分散剤0.01〜10質量%
【0063】
(vi)ポリビニルピロリドン等の色移り防止剤0.01〜10質量%
【0064】
(vii)過炭酸ナトリウムまたは過硼酸ナトリウム等の漂白剤0.01〜10質量%
【0065】
(viii)テトラアセチルエチレンジアミン、特開平6−316700号の一般式(I−2)〜(I−7)で表される漂白活性化剤等の漂白活性化剤0.01〜10質量%
【0066】
(ix)アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ及びセルラーゼ等の酵素0.001〜2質量%
【0067】
(x)塩化カルシウム、硫酸カルシウム、ギ酸、ホウ酸(ホウ素化合物)等の酵素安定化剤0.001〜2質量%
【0068】
(xi)チノパールCBS(チバスペシャリティケミカルズ製)やホワイテックスSA(住友化学社製)等の蛍光染料0.001〜1質量%
【0069】
(xii)シリカ、(c)成分以外のシリコーン等の消泡剤0.01〜2質量%
【0070】
(xiii)ブチルヒドロキシトルエン、ジスチレン化クレゾール、亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム等の酸化防止剤0.01〜2質量%
【0071】
(xiv)青味付け剤
【0072】
(xv)香料
【0073】
(xvi)抗菌防腐剤
【0074】
本発明の衣料用液体洗浄剤組成物は、上記(a)〜(c)成分及び任意成分と、残部の水とからなるが、20℃におけるpHが6〜11、更に7〜9.5の液体組成物であることが好ましい。
【0075】
また、本発明の衣料用液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は50〜500mPa・s、更に75〜300mPa・s、特に100〜250mPa・sが好ましい。
【実施例】
【0076】
表1に示す液体洗浄剤組成物を調製し、得られた組成物を用いて下記の洗浄力、再汚染防止性、及び布帛ケア効果についての評価を行った。その結果を表1に示す。
【0077】
(1)洗浄力評価
(襟あか布の調製)
JIS K3362:1998 記載の襟あか布を調製する。
(洗浄条件及び評価方法)
JIS K 3362:1998記載の衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法に準じ、表1の液体洗浄剤組成物と洗浄力判定用指標洗剤の洗浄力を比較した。表1の液体洗浄剤組成物の使用濃度を1.33g/Lとした。
洗浄力の判定は、指標洗剤より勝る場合を「◎」、指標洗剤と同等の場合を「○」、指標洗剤より劣る場合を「×」とした。
【0078】
(2)再汚染防止性
木綿の白布(金巾2003布)を10cm×10cmに裁断し、5枚1組とした。評価用洗剤水溶液1リットルに園芸用鹿沼赤土を加え、ターゴトメーターにて次の条件で試験を行なった。
<実験条件>
洗浄時間:10分
洗浄剤濃度:0.08質量%
水の硬度:4°DH
水の温度:20℃
濯ぎ:20℃水道水にて5分間流水濯ぎ
【0079】
再汚染防止能は、洗浄前の原布(白布)及び試験後の汚染布の460nmにおける反射率を自記色彩計(島津製作所製)にて測定し、次式によって再汚染防止率を求めた。
再汚染防止率(%)=(試験後の反射率/原布の反射率)×100
再汚染防止性の判定は、指標洗剤より勝る場合を「◎」、指標洗剤と同等の場合を「○」、指標洗剤より劣る場合を「×」とした。
【0080】
(3)布帛ケア効果(MA試験布)
(3-1)前処理布の調整
全自動洗濯機(東芝、AW-D802VP)を準備し、洗濯水量を45Lに設定し、これに合計2木綿Tシャツ10枚(約2.2kg)を入れた。更にコンパクト型粉末洗剤(アタック、花王(株))を標準使用量に従い投入し、洗濯8分、脱水3分、ため濯ぎ2回、脱水3分行ない、乾燥機で乾燥させた。この洗濯サイクルを5回繰り返し、前処理布とした。
【0081】
(3-2)布帛ケア試験(MA試験布)
上記前処理布のTシャツの内、4枚の胸の部分にTestfabrics,Inc.社製のMA(Machine Action)試験布をミシンで縫いつけた。MA試験布は、Frants Szaras;“The mechanical action in washing machines.MA−test pieces instruction and application.”(1982)による。
【0082】
全自動洗濯機(東芝、AW-D802VP)を準備し、洗濯水量を45Lに設定し、上記MA試験布を縫い付けたTシャツを含む木綿Tシャツを計10枚(約2.2kg)を入れた。洗濯機に表1の洗浄剤組成物37.5mLを投入し、洗濯8分、脱水3分、ため濯ぎ2回、脱水6分の洗濯工程を行ない、乾燥せずにTシャツからMA試験布を取り外し、ほつれた糸の本数を測定した。
【0083】
(3-3)布帛ケア評価判定基準
判定は4枚のMA試験布のほつれた糸の平均値を求め、比較例1で洗浄したMA試験布のほつれた糸の本数の平均値と比較を行ない、以下に示す基準で採点した。
◎:比較例1に比べほつれた糸の本数がかなり少ない(差が15本/枚以内)
○:比較例1に比べほつれた糸の本数が少ない
△:比較例1と比べほつれた糸の本数がほぼ同じ
×:比較例1と比べほつれた糸の本数が多い
【0084】
【表1】

【0085】
表中の成分は以下のものである。また、水酸化ナトリウムの「調整量」とは、組成物のpH(20℃)を6〜11とする量である。
・非イオン界面活性剤a1:炭素数12のアルキル基を有する直鎖1級アルコールにEOを平均13モル付加させたもの
・非イオン界面活性剤a2:炭素数12、13、14のアルキル基が混在(炭素数12のアルキル基/炭素数13のアルキル基/炭素数14のアルキル基=20/50/30、質量比)する直鎖2級アルコールにEOを平均7モル付加させたもの
・非イオン界面活性剤a3:炭素数12のアルキル基を有する直鎖第1級アルコールにEOを平均8モル、POを平均2モル、ランダム付加させたもの
・非イオン界面活性剤b1:炭素数18のアルキル基を有する直鎖1級アルコールにEOを平均6モル付加させたもの
・非イオン界面活性剤b2:炭素数16と18のアルキル基が混在(炭素数16のアルキル基/炭素数18のアルキル基=70/30、質量比)する直鎖1級アルコールにEOを平均7モル付加させたもの
・非イオン界面活性剤b3:炭素数18のアルケニル基が90質量%以上含まれる直鎖1級アルコールにEOを平均9モル付加させたもの
・共重合体c1:無水マレイン酸−ジイソブチレン共重合体(無水マレイン酸/ジイソブチレン=50/50、モル比、重量平均分子量5000)
・共重合体c2:アミレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩(アミレン/無水マレイン酸=50/50、モル比、重量平均分子量15000)
・ポリアクリル酸:重量平均分子量10000、ナトリウム塩
・アミン1:ステアリルアミドプロピルジメチルアミン
・陽イオン界面活性剤1:モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、長鎖アルキル基は、炭素数16と18のアルキル基が混在(炭素数16のアルキル基/炭素数18のアルキル基=70/30、質量比)する。
・陽イオン界面活性剤2:ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウムクロライド、長鎖アルキル基は、何れも、炭素数16と18の混合アルキル基(炭素数16のアルキル基/炭素数18のアルキル基=70/30、質量比)
・陰イオン界面活性剤1:炭素数10〜14の直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸
・陰イオン界面活性剤2:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムエステル(EO平均付加モル数2.5、アルキル基の炭素数12)
・陰イオン界面活性剤3:炭素数12〜14のアルキル基を有するヤシ油系脂肪酸
・酵素:デュライザイム16.0L(プロテアーゼ、ノボザイム社)
・蛍光染料:チノパールCBS−X(日本チバガイギー株式会社製)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)炭素数2〜3のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30であり、アルキル基の炭素数が8〜14であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、(b)炭素数2〜3のアルキレンオキサイドの平均付加モル数が10〜30であり、アルキル基の炭素数が16〜20であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、及び(c)下記一般式(c1)で表される化合物(c1)に由来する構成単位(c1)と、下記一般式(c2)で表される化合物(c2)に由来する構成単位(c2)とを含み、全構成単位中、構成単位(c1)と構成単位(c2)の合計が80質量%以上である共重合体を含有する衣料用液体洗浄剤組成物。
【化1】


〔式中、R1〜R4は、同一又は異なっていても良い水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、又はカルボキシ基もしくはその塩である。ただし、R1〜R4のうち、少なくとも1つはカルボキシ基又はその塩である。〕
【化2】


〔式中、R5〜R8は、同一又は異なっていても良い水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、フェニル基、
【化3】


−O−R9、−COO−R9、又は−OCO−R9である。ただし、R5〜R8の全てが水素原子となることはない。R9は炭素数1〜30のアルキル基又はフェニル基である。〕
【請求項2】
(d)下記一般式(d1)で表されるアミン又はその酸塩を含有する請求項1記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【化4】


〔式中、R1dは炭素数14〜22のアルキル基又はアルケニル基であり、R2dは炭素数1〜5のアルキレン基であり、Xは−COO−、−CONR5d−、−OCO−、−NR5dCO−から選ばれる基である。ここで、R5dは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。R3d、R4dは、同一又は異なっていても良い炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基、又はR1d−X−R2d−である。〕
【請求項3】
(a)成分を5〜55質量%、(b)成分を0.5〜55質量%、(c)成分を0.1〜10質量%含有する請求項1又は2記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(a)成分と(b)成分の質量比が、(a)/(b)=95/5〜50/50である請求項1〜3の何れか1項記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
界面活性剤を5〜60質量%含有し、全界面活性剤中、(a)成分と(b)成分の合計の質量比〔[(a)+(b)]/全界面活性剤〕が0.055〜0.55である請求項1〜4の何れか1項記載の衣料用液体洗浄剤組成物。
【請求項6】
(c)成分と(d)成分の質量比が、(c)/(d)=99/1〜70/30である請求項2〜5の何れか1項記載の衣料用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2006−291069(P2006−291069A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114655(P2005−114655)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】