説明

表皮の貼着方法並びに貼着装置

【課題】湾曲面を有する成形基材の表面に表皮を真空成形により貼着する表皮の貼着方法並びに貼着装置であって、シワ、弛み等が生じることなく体裁良く表皮を真空貼着できる。
【解決手段】成形型20における成形基材2の先当たりポイントP近傍部分に成形基材2の一部をセットするセット用ブラケット50を配置し、このセット用ブラケット50を成形型20に対して常に上方にバネ付勢され、真空成形時には成形型20側に沈み込むように上下動可能に配置する。従って、真空成形時、成形基材2の先当たりポイントPに表皮3が当接した後、セット用ブラケット50が成形型20側に沈み込むことで、成形基材2を回動させながら貼着が行なわれるため、表皮3に適切なテンションが加わり、余りシワ等が発生することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、湾曲形状をなす成形基材の表面に非通気性シート材からなる表皮を真空成形により貼着する表皮の貼着方法並びに貼着装置に係り、特に成形基材の形状がどのような曲面形状に設定されていても、シワ、弛み等が生じることがなく、精度良く美麗に表皮を貼着できる表皮の貼着方法並びに貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、車両の室内側面に装着される内装部品としては、車体パネルの取付剛性、並びに形状保持性を備えた成形基材の表面に装飾性を有する表皮を貼着して構成されている。図9は、上記自動車用内装部品の代表的なものとして上下二分割構造のドアトリムにおけるドアトリムアッパー1A,1Bを示すもので、図9(a)は運転席側仕様のドアトリムアッパー1Aを示し、図9(b)は助手席側仕様のドアトリムアッパー1Bを示し、いずれにおいても成形基材2A,2Bの表面に表皮3A,3Bを貼着して構成されており、成形基材2A,2Bとしては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ABS樹脂等、汎用の熱可塑性樹脂を素材として、射出成形、コールドプレス成形、モールドプレス成形等、慣用の成形工法により所望の曲面形状に成形されている。また、その表面に貼着する表皮3A,3Bの貼着方法としては、以下に説明する真空成形工法が多用されている。
【0003】
この真空成形工法に使用する真空成形装置4としては、図10,図11に示すように、成形基材2A,2Bをセットする成形型5と表皮3A,3Bの原反表皮3(以下表皮3という)周縁を保持するクランプ装置6とから構成され、成形型5は真空吸引機構7が付設されている。すなわち、成形型5の型面には、真空吸引孔5aが多数開設されており、この真空吸引孔5aは、真空吸引管7aにより真空吸引ポンプ7bに接続している。
【0004】
次いで、この真空成形装置4を使用して成形基材2A,2Bの表面に表皮3A,3Bを真空貼着する工法について説明する。まず、別途型により所要形状に成形した成形基材2A,2Bを成形型5のセット部分にセットした後、表皮3については予め加熱軟化処理した状態でその周縁をクランプ装置6により保持し、成形基材2A,2Bの上面側から被せ、次いで、成形型5を上昇させるか、あるいはクランプ装置6を下降操作することにより、成形基材2A,2Bと表皮3とを圧着させ、その際、成形型5の真空吸引孔5aを通して真空吸引することで両者間にエア溜まりを発生させることなく成形基材2A,2Bの表面に表皮3を良好に貼着することができる。尚、成形基材2A,2Bには、予め接着剤が塗布されている。ここで、表皮を成形基材2A,2Bの製品表面側に真空貼着する従来例としては、特許文献1に詳細に記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−193830号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来の真空成形工法による表皮3の貼着方法においては、例えば、成形型5を上昇操作するか、あるいはクランプ装置6を下降操作した際、図12中Aで示す部位では成形基材2A,2Bと表皮3とが接着し、その後、図12中Bで示す部分の表皮3が真空吸引され、図12中矢印方向に沿って接着のタイムラグが生じ、結果的に図13に示すように、先当たりポイント部分にドローダウン等で生じた余剰表皮が溜まってシワCが発生し易く、外観不良品が多発するという欠点が指摘されている。従って、内装部品の造形形状に制約を受けたり、また、表皮3の素材である原反シートにドローダウンが生じないように加熱温度に制約を受ける等の問題点が生じていた。
【0007】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、成形基材の表面に表皮をシワ、弛み等が生じることなく美麗に貼着することができ、不良率を大幅に低減させることができるとともに、造形自由度を向上させ、しかも、表皮用シート材料にドローダウンが生じても、良好な成形性能が確保でき、成形性を高めた表皮の貼着方法並びに貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、湾曲形状をなす成形基材を成形型上にセットし、シート材からなる表皮を加熱軟化処理した後、成形基材の上面側から被せ、表皮の周縁をクランプ装置により保持した状態で成形型の上昇操作、あるいはクランプ装置の下降操作により、成形基材の周縁部と表皮とのシール状態を保ちつつ、成形型に付設した真空吸引機構を稼動させて真空吸引力により成形基材の表面に表皮を貼着する表皮の貼着方法において、前記成形型の上昇操作、あるいはクランプ装置の下降操作時、表皮と成形基材との先当たりポイントの近傍部分における成形型にセット用ブラケットを上下動自在に配設し、成形基材の端縁部をセット用ブラケットにセットした状態で成形型の上昇操作、あるいはクランプ装置の下降操作を実施した際、セット用ブラケットが成形型の型面側に沈み込み、成形基材におけるセット用ブラケットの反対側を基点に成形基材が回動することにより、表皮が貼着した先当たりポイントが成形型の外側方向に移動することで、表皮にテンションをかけた状態で表皮を貼着することが可能となり、シワ発生を回避するようにしたことを特徴とする。
【0009】
更に、本発明方法に使用する貼着装置は、湾曲形状をなす成形基材の上面にシート材からなる表皮を貼着する際に使用する表皮の貼着装置であって、この貼着装置は、真空吸引機構を付設してなる成形型と、表皮の周縁部分を保持するクランプ装置と、上記成形型、クランプ装置の少なくともいずれか一方側に昇降機構を備えるとともに、前記成形基材と表皮との先当たりポイントの近傍部分における成形型には、セット用ブラケットが設けられ、このセット用ブラケットはスプリングを介して常に成形型の型面から突出する方向にバネ付勢され、表皮の真空成形時には成形型の型面側に沈み込むように上下動可能に設けられていることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明方法を適用する対象としては、湾曲面を有する成形基材の表面に貼着される表皮である。成形基材の素材としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ABS樹脂等、熱可塑性樹脂全般が使用でき、射出成形、モールドプレス成形、コールドプレス成形等により所望の曲面形状に成形されており、真空成形が可能なように成形基材には真空吸引孔が多数開設されている。また、木質系基材、例えば、木質系マットをホットプレス成形により所望の曲面形状に成形した成形基材を使用することもできる。一方、表皮としては、非通気性であれば汎用の熱可塑性樹脂シート、あるいは熱可塑性樹脂シートにクッション層を裏打ちした積層シート材料等を使用することができる。
【0011】
次いで、表皮の貼着装置としては、真空吸引力を作用させる真空吸引機構を備えた成形型と、表皮の原反シートを保持するクランプ装置とから構成され、いずれか一方側に昇降手段が備わっていれば良い。また、成形型に設けられるセット用ブラケットは、下面に固定された支持パイプが成形型の貫通孔内に収容され、スプリングを介挿することで支持パイプは常時成形型から突出する上方向にバネ付勢されている。従って、セット用ブラケットは、下方向に押し下げる圧力を加えれば成形型の型面側に沈み込む方向に可動するとともに、外力を解除すれば成形型から突出する方向にバネ復帰する。
【0012】
以上の構成から明らかなように、成形基材を成形型上にセットする際、成形基材の一部をセット用ブラケット上にセットした後、加熱軟化処理した表皮の周縁部をクランプ装置で保持した状態で成形基材の上面側から被せ、成形型を上昇操作させるか、あるいはクランプ装置を下降操作させることで、まず成形基材の先当たりポイントに表皮が当接する。更に、成形型を上昇操作、あるいはクランプ装置の下降操作を続行することにより、先当たりポイント近傍に設けたセット用ブラケットが成形型側に押圧され、同時にセット用ブラケットで保持した成形基材が成形型側に沈み込み、成形基材におけるブラケット反対側を基点に成形基材が回動することにより、表皮が貼着した先当たりポイントが成形型の外側方向に移動することで、表皮に適切なテンションを付与でき、余りシワ等が発生することがないため、シワ発生を皆無とできる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明した通り、本発明に係る表皮の貼着方法並びに貼着装置によれば、貼着装置として成形型に上下動可能なセット用ブラケットを配設し、成形基材を成形型にセットする際、成形基材の一部をセット用ブラケット上に位置させて、成形基材と表皮との真空成形を行なえば、成形基材の先当たりポイントに表皮が当接した後、セット用ブラケットと成形基材とが成形型側に沈み込んで、成形基材が回動しながら表皮の貼着が行なわれるため、表皮に適切なテンションを付与することができ、シワ、弛み等が発生することがなく、表皮の貼着作業を円滑に実施することができる。また、シワ、弛み等を極力回避できるため、製品の造形自由度を拡大させることができるとともに、表皮のセット時におけるドローダウンをある程度許容することができるため、表皮の加熱温度を広範囲に設定できるという種々の効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る表皮の貼着方法並びに貼着装置において、上下二分割構成のドアトリムにおけるドアトリムアッパー(左右2個取りタイプ)に適用した具体例について添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、念のため付言すれば、本発明の要旨は特許請求の範囲に記載した通りであり、以下に説明する実施例の内容は、本発明の一例を単に示すものに過ぎない。
【実施例】
【0015】
図1は本発明に係る表皮の貼着装置の平面図、図2は同貼着装置の縦断面図、図3は同貼着装置におけるセット用ブラケットの設置箇所を示す説明図、図4は同貼着装置におけるセット用ブラケットの設置箇所の構成を示す拡大断面図、以下、図5乃至図8は本発明方法の各工程を示す各説明図である。尚、本発明方法の適用対象としては、従来例同様、上下二分割タイプのドアトリムにおけるドアトリムアッパー(左右2個取りタイプ)であり、ドアトリムアッパーの成形基材の表面に表皮を貼着する方法に適用している。
【0016】
図1乃至図4において、本発明に係る表皮の貼着装置10は、ドアトリムアッパー1A,1B2個取りタイプに使用されている。まず、成形型20には、成形基材2A,2Bをそれぞれ載置する左右対称の載置部20A,20Bが設定されている。そして、成形型20は、昇降シリンダ21により所定ストローク上下動可能であるとともに、真空吸引作用を達成するための真空吸引孔22が多数開設され、この真空吸引孔22は、真空吸引機構30と接続されている。具体的には真空吸引機構30は真空吸引ポンプ31、真空吸引管32からなり、真空吸引孔22は、真空吸引管32と連通している。
【0017】
一方、表皮3を保持するためのクランプ装置40が設けられており、このクランプ装置40は、図示しない搬送装置により加熱炉で表皮3を所定温度に加熱軟化処理した後、成形型20の所定位置まで搬送する。また、この実施例では、成形型20が所定ストローク上下動作を行なうために、昇降シリンダ21が付設されているが、成形型20を固定タイプとした場合には、クランプ装置40にシリンダを付設して、クランプ装置40を所定ストローク上下方向に可動させることで対応しても良い。
【0018】
そして、本発明に係る表皮3の貼着装置10は、真空吸引機構30を備えた成形型20と、表皮3の周縁を保持するクランプ装置40とから構成される点は従来構成と同様であるが、本発明の特徴は、図3,図4に示すように、成形型20の特に成形基材2の先当たりポイント(表皮3の真空貼着時、成形基材2A,2Bに対して表皮3が最初に接触するポイントを言う)に近い部分に成形基材2の一部を載置するセット用ブラケット50が上下動自在に設けられていることが特徴である。
【0019】
すなわち、このセット用ブラケット50は、一定幅を有し、かつ断面L字状をなす金属板から構成されているが、樹脂板でも良く、このセット用ブラケット50を支持する支持パイプ51が成形型20の貫通孔23内に収容されている。上記支持パイプ51は、成形型20の貫通孔23内に固定されているコアロッド52に遊嵌状に嵌め込まれ、スプリング53,54により支持パイプ51が常に上方にバネ付勢されるように構成され、支持パイプ51の下端に取り付けられているワッシャー55が下側のスプリング54の上端を受けている。そして、支持パイプ51の左右両側には、セット用ブラケット50の適正姿勢を維持するためにガイドロッド56がセット用ブラケット50の背面側に固着され、このガイドロッド56は、成形型20のガイド孔24内に貫通されている。よって、セット用ブラケット50は、成形型20に上下動可能に配置され、常時上方にバネ付勢され、上下動作時には、ガイドロッド56により適正姿勢を維持しつつ昇降する。
【0020】
次いで、図1乃至図4で示す構成の貼着装置10を使用して、成形基材2A,2Bの表面に表皮3を真空成形により貼着する各工程について説明する。まず、図5は成形基材2A,2B及び表皮3のセット工程を示すもので、左右側の成形基材2A,2Bを成形型20上にセットするが、この際、各成形基材2A,2Bのウエスト側端末をセット用ブラケット50に載せるようにセットする。
【0021】
一方、表皮3については、クランプ装置40により表皮3の周縁部分が保持され、図示しない加熱炉により所定温度に加熱軟化された状態で成形基材2A,2Bの上方に搬送される。そして、成形基材2A,2B、表皮3のセット工程が完了すれば、昇降シリンダ21が動作して、成形型20が所定ストローク上昇し、成形基材2A,2Bの先当たりポイントPに表皮3が当接する(図6参照)。
【0022】
更に、成形基材2A,2Bの先当たりポイントPに表皮3が先当たりした後、昇降シリンダ21の動作により、成形型20の上昇が続行して行なわれ、更に、真空吸引機構30が稼動して、表皮3が成形基材2A,2Bの製品面に真空貼着される。この時、表皮3から成形基材2A,2Bに下向き応力が加わるため、セット用ブラケット50が成形型20側に沈み込み、成形基材2A,2Bはそれぞれセット用ブラケット50の反対側を基点として回動する。その時に図7に示すように、図中Lで示すテンション付与エリアにおいて表皮3が引っ張られ、適切なテンションが加わり、先当たりポイントP付近に余りシワ等が生じることがない。
【0023】
図8は真空成形が完了した状態を示している。従って、表皮3の真空成形において、セット用ブラケット50が成形型20側に沈み込むことで、成形基材2A,2Bが回動し、表皮3に適切なテンションが加わることになり、シワ、弛み等の外観不良を皆無とでき、従来多発していた外観不良品をほぼ皆無とでき、生産性を高めることができるという利点がある。更に、シワ、弛み等が生じないため、複雑な曲面形状に設定することができ、製品の造形自由度を拡大させることができるとともに、適切なテンションを加えることで表皮3においてある程度のドローダウンを許容することが可能となることから、表皮3の加熱温度をかなり高く設定することができ、このことも成形性を高める大きな要因となっている。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上説明した実施例は、左右対称型のドアトリムアッパー1A,1Bであり、2個取りタイプに適用したが、成形基材に表皮を真空貼着する内装部品であれば、1個取り、多数個取りは問わない。また、用途も限定しない。更に、貼着装置10の構成として、実施例では成形型20に昇降シリンダ21の駆動により所定ストローク上下動させて成形基材2A,2Bと表皮3との圧着状態を保ったが、クランプ装置40に昇降手段を付設して成形型20を固定構造としても良い。また、成形基材2A,2Bとしては、真空吸引孔を多数開設した樹脂成形品の他に、木質系芯材を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る表皮の貼着装置を示す平面図である。
【図2】図1中II−II線断面図である。
【図3】図1に示す表皮の貼着装置におけるセット用ブラケットを示す説明図である。
【図4】図1に示す表皮の貼着装置におけるセット用ブラケットの成形型への取付構造を示す拡大断面図である。
【図5】本発明に係る表皮の貼着方法における成形基材並びに表皮のセット工程を示す説明図である。
【図6】本発明に係る表皮の貼着方法における成形基材の先当たりポイントに表皮が当接する状態を示す説明図である。
【図7】本発明に係る表皮の貼着方法における表皮にテンションを加えながら貼着する状態を示す説明図である。
【図8】本発明に係る表皮の貼着方法の真空成形完了時の状態を示す説明図である。
【図9】従来のドアトリムアッパーの構成を示す断面図である。
【図10】従来のドアトリムアッパーにおける成形基材の表面に表皮を貼着する際に使用する表皮の貼着装置の従来例を示す平面図である。
【図11】図10中XI−XI線断面図である。
【図12】従来の表皮の貼着方法における態様を示す説明図である。
【図13】従来の表皮の貼着方法における不具合点を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1,1A,1B ドアトリムアッパー
2,2A,2B 成形基材
3 表皮
10 貼着装置
20 成形型
21 昇降シリンダ
22 真空吸引孔
23 貫通孔
24 ガイド孔
30 真空吸引機構
31 真空吸引ポンプ
32 真空吸引管
40 クランプ装置
50 セット用ブラケット
51 支持パイプ
52 コアロッド
53,54 スプリング
55 ワッシャー
56 ガイドロッド
P 先当たりポイント
L テンション付与エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲形状をなす成形基材(2A,2B)を成形型(20)上にセットし、シート材からなる表皮(3)を加熱軟化処理した後、成形基材(2A,2B)の上面側から被せ、表皮(3)の周縁をクランプ装置(40)により保持した状態で成形型(20)の上昇操作、あるいはクランプ装置(40)の下降操作により、成形基材(2A,2B)の周縁部と表皮(3)とのシール状態を保ちつつ、成形型(20)に付設した真空吸引機構(30)を稼動させて真空吸引力により成形基材(2A,2B)の表面に表皮(3)を貼着する表皮の貼着方法において、
前記成形型(20)の上昇操作、あるいはクランプ装置(40)の下降操作時、表皮(3)と成形基材(2A,2B)との先当たりポイント(P)の近傍部分における成形型(20)にセット用ブラケット(50)を上下動自在に配設し、成形基材(2A,2B)の端縁部をセット用ブラケット(50)にセットした状態で成形型(20)の上昇操作、あるいはクランプ装置(40)の下降操作を実施した際、セット用ブラケット(50)が成形型(20)の型面側に沈み込み、成形基材(2A,2B)におけるセット用ブラケット(50)の反対側を基点に成形基材(2A,2B)が回動することにより、表皮(3)が貼着した先当たりポイント(P)が成形型(20)の外側方向に移動することで、表皮(3)にテンションをかけた状態で表皮(3)を貼着することが可能となり、シワ発生を回避するようにしたことを特徴とする表皮の貼着方法。
【請求項2】
湾曲形状をなす成形基材(2A,2B)の上面にシート材からなる表皮(3)を貼着する際に使用する表皮の貼着装置(10)であって、この貼着装置(10)は、真空吸引機構(30)を付設してなる成形型(20)と、表皮(3)の周縁部分を保持するクランプ装置(40)と、上記成形型(20)、クランプ装置(40)の少なくともいずれか一方側に昇降機構を備えるとともに、前記成形基材(2A,2B)と表皮(3)との先当たりポイント(P)の近傍部分における成形型(20)には、セット用ブラケット(50)が設けられ、このセット用ブラケット(50)はスプリング(53,54)を介して常に成形型(20)の型面から突出する方向にバネ付勢され、表皮(3)の真空成形時には成形型(20)の型面側に沈み込むように上下動可能に設けられていることを特徴とする表皮の貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−126428(P2008−126428A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310672(P2006−310672)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000124454)河西工業株式会社 (593)
【Fターム(参考)】