説明

表示処理装置、画像形成システム、表示処理方法およびプログラム

【課題】プリンタの装置構成に関わらずに、実際の印刷結果に近いプレビュー表示を実現する。
【解決手段】ホスト装置は、指定情報を受け付ける入力制御部120と、受け付けた指定情報に基づいて、記録媒体に付与する表面効果の種類と表面効果を付与する記録媒体における領域を特定する光沢制御版データを生成する光沢制御版生成部122と、印刷装置の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な表面効果の種類に置き換えるためのテーブル番号を取得する取得部125と、取得部で取得されたテーブル番号を用いて、指定情報により指定された表面効果の種類を、実現可能な表面効果の種類に置き換える置換部126と、置換部による置き換えが行われた光沢制御版データに基づいて、プレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部127と、プレビュー画像を表示する表示部14と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示処理装置、画像形成システム、表示処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CMYKの4色のトナーの他に、色材が入っていない無色のトナーであるクリアトナーを搭載した画像形成装置が存在する。このようなクリアトナーにより形成されたトナー像は、CMYKのトナーにより画像が形成された記録媒体上に定着される。これにより、記録媒体の面において視覚的な効果や触覚的な効果(表面効果という)が実現される。このような画像形成装置において、印刷前に、クリアトナーによる印刷の仕上がり具合を確認するために、プレビュー表示を行うという技術が知られている。例えば特許文献1には、印刷前に、クリアトナーで印刷したい画像部分をプレビュー表示する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、プリンタの装置構成などにより、指定された表面効果が実現できないような場合は、実際の印刷結果と、プレビュー表示との差異が大きくなってしまう。すなわち、プリンタの装置構成によっては、実際の印刷結果に近いプレビュー表示を実現できないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プリンタの装置構成に関わらずに、実際の印刷結果に近いプレビュー表示を実現可能な表示処理装置、画像形成システム、表示処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の表示処理装置は、画像データにおいて表面効果が与えられる領域および当該表面効果の種類を指定する指定情報の入力を受け付ける受付部と、前記指定情報に基づいて、記録媒体に付与する表面効果の種類と前記表面効果を付与する記録媒体における領域を特定する光沢制御版データを生成する光沢制御版生成部と、前記画像データに基づいて前記記録媒体に画像を形成する印刷手段の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない前記表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な前記表面効果の種類に置き換えるための置換情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記置換情報を用いて、前記指定情報で指定された前記表面効果の種類を、実現可能な前記表面効果の種類に置き換える置換部と、前記置換部による置き換えが行われた前記光沢制御版データに基づいて、前記印刷手段が実行する印刷の結果を推定した画像を示すプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、前記プレビュー画像生成部で生成された前記プレビュー画像を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の画像形成システムは、画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する印刷手段と、前記印刷手段が実行する印刷の結果を推定した画像を示すプレビュー画像を表示する表示処理装置とを備えた画像形成システムであって、前記表示処理装置は、画像データにおいて表面効果が与えられる領域および当該表面効果の種類を指定する指定情報の入力を受け付ける受付部と、前記指定情報に基づいて記録媒体に付与する表面効果の種類と前記表面効果を付与する記録媒体における領域を特定する光沢制御版データを生成する光沢制御版生成部と、前記印刷手段の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない前記表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な前記表面効果の種類に置き換えるための置換情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された前記置換情報を用いて、前記指定情報で指定された前記表面効果の種類を、実現可能な前記表面効果の種類に置き換える置換部と、前記置換部による置き換えが行われた前記光沢制御版データに基づいて、前記プレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、前記プレビュー画像生成部で生成された前記プレビュー画像を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の表示処理方法は、画像データにおいて表面効果が与えられる領域および当該表面効果の種類を指定する指定情報の入力を受け付ける第1ステップと、前記指定情報に基づいて、記録媒体に付与する表面効果の種類と前記表面効果を付与する記録媒体における領域を特定する光沢制御版データを生成する第2ステップと、前記画像データに基づいて前記記録媒体に画像を形成する印刷手段の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない前記表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な前記表面効果の種類に置き換えるための置換情報を取得する第3ステップと、前記第3ステップで取得した前記置換情報に応じて、前記指定情報で指定された前記表面効果の種類を、実現可能な前記表面効果の種類に置き換える第4ステップと、前記第4ステップによる置き換えが行われた前記光沢制御版データに基づいて、前記印刷手段が実行する印刷の結果を推定した画像を示すプレビュー画像を生成する第5ステップと、前記第5ステップで生成した前記プレビュー画像を表示する第6ステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明のプログラムは、上述の表示処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、印刷結果に近いプレビュー表示を実現可能な表示処理装置、画像形成システム、表示処理方法およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1実施形態の画像形成システムの概略構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、有色版の画像データの一例を示す図である。
【図3】図3は、光沢の有無に関する表面効果の種類を例示する図である。
【図4】図4は、光沢制御版の画像データをイメージとして示した図である。
【図5】図5は、クリア版の画像データの一例を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態のDFEの構成例を示すブロック図である。
【図7】図7は、参照テーブルの一例を示す図である。
【図8】図8は、表面効果選択テーブルの一例を示す図である。
【図9】図9は、画像データおよびオンオフ情報が、プリンタ機や後処理機へ分配される様子を示す概念図である。
【図10】図10は、指定された表面効果の種類と、生成されるクリアトナー版の画像データと、グロッサのオンオフ情報と、実現可能な表面効果の種類との対応関係を示す図である。
【図11】図11は、光沢制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、装置構成取得処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、表面効果選択テーブルの一例を示す図である。
【図14】図14は、画像データおよびオンオフ情報が、プリンタ機や後処理機へ分配される様子を示す概念図である。
【図15】図15は、指定された表面効果の種類と、生成されるクリアトナー版の画像データと、グロッサのオンオフ情報と、実現可能な表面効果の種類との対応関係を示す図である。
【図16】図16は、ホスト装置の構成例を示すブロック図である。
【図17】図17は、画像処理アプリケーションにより表示される画面例を示す図である。
【図18】図18は、画像処理アプリケーションにより表示される画面例を示す図である。
【図19】図19は、濃度値選択テーブルの一例を示す図である。
【図20】図20は、ホスト装置で生成された光沢制御版の画像データの一例を示す図である。
【図21】図21は、印刷データの構成を概念的に示す模式図である。
【図22】図22は、プレビュー画像表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図23】図23は、指定された表面効果の種類を、印刷装置の装置構成で実現可能な表面効果の種類に置き換えた光沢制御版の画像データの一例を示す図である。
【図24】図24は、第2実施形態の印刷装置の概略構成例を示す図である。
【図25】図25は、第2実施形態のDFEの構成例を示す図である。
【図26】図26は、参照テーブルの一例を示す図である。
【図27】図27は、表面効果選択テーブルの一例を示す図である。
【図28】図28は、印刷制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図29】図29は、指定された表面効果の種類と、生成されるクリアトナー版の画像データと、グロッサのオンオフ情報と、実現可能な表面効果の種類との対応関係を示す図である。
【図30】図30は、第3実施形態の印刷システムの構成を例示する図である。
【図31】図31は、第3実施形態のサーバ装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図32】図32は、第3実施形態のホスト装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図33】図33は、第3実施形態のホストによる処理の一例を示すフローチャートである。
【図34】図34は、第3実施形態のサーバ装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【図35】図35は、ホスト装置、DFE及びサーバ装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図36】図36は、置換テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る表示処理装置、画像形成システム、表示処理方法およびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施形態では、本発明に係る表示処理装置を、ホスト装置に適用した例を挙げて説明するが、これに限定されるものではなく、本発明に係る表示処理装置の適用対象となる装置は任意である。例えば本発明に係る表示処理装置は、媒体上に画像を形成する画像形成装置に適用することもできる。
【0012】
<A:第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る画像形成システム100の概略構成例を示すブロック図である。図1に示すように、画像形成システム100は、ホスト装置10と、印刷装置(印刷手段)20とを備える。
【0013】
<A−1:印刷装置の構成>
説明の便宜上、まず印刷装置20の具体的な構成を説明する。印刷装置20は、DFE(Digital Front End)30と、MIC(Mechanism I/F Contoroller)40と、プリンタ機50と、後処理機60とが接続されて構成される。
【0014】
DFE30は、MIC40を介してプリンタ機50と通信を行い、プリンタ機50での画像の形成を制御する。また、DFE30には、後述のホスト装置10が接続される。DFE30は、ホスト装置10から後述の印刷データを受信し、当該印刷データに基づいて、CMYKの各トナーおよび無色(透明色)のクリアトナーに応じたトナー像を形成するための画像データを生成する。そして、その生成した画像データを、MIC40を介してプリンタ機50および後処理機60の各々へ送信する。
【0015】
プリンタ機50には、CMYKの各トナーとクリアトナーとが少なくとも搭載されており、各トナーに対して感光体、帯電器、現像器及び感光体クリーナーを含む作像ユニット、及び露光器等が搭載されている。
【0016】
ここで、クリアトナーとは、色材を含まない透明な(無色の)トナーである。なお、透明(無色)とは、例えば、透過率が70%以上であることを示す。
【0017】
プリンタ機50は、MIC40を介してDFE30から送信された画像データに応じて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成して、これを記録媒体としての紙に転写する。転写されたトナー像は、不図示の定着機において、所定の範囲内の温度(通常温度)での加熱および加圧が加えられて媒体上に定着する。これにより、紙に画像が形成される。なお、紙は記録媒体の一例であり、記録媒体としてはこれに限定されるものではない。例えば記録媒体として、合成紙やビニール等も適用することができる。
【0018】
図1の例では、後処理機60は、プリンタ機50に接続されるグロッサ70と、グロッサ70に接続される通常定着後処理装置80と、通常定着後処理装置80に接続される低温定着後処理装置90とを含んで構成される。グロッサ70は、DFE30によりオン又はオフが制御され、オンにされた場合に、プリンタ機50により紙に形成された画像を高温及び高圧で加圧し、その後、冷却して本外から画像が形成された紙を剥離する。これにより、記録媒体に形成された画像全体において所定量以上のトナーが付着した各画素のトナーの総付着量は均一に圧縮される。従って、グロッサ70は、プリンタ機50が形成した記録媒体上の該トナー像を該記録媒体に再定着し、該記録媒体上の該トナー像の表面の平滑度をより向上させることで該トナー像の光沢度を高めることができる。
【0019】
通常定着後処理装置80には、クリアトナー及び当該クリアトナーを定着させるための定着機が搭載されており、DFE30が生成した後述のクリアトナー版の画像データが入力される。通常定着後処理装置80は、入力されたクリアトナー版の画像データを用いて、クリアトナーによるトナー像を、グロッサ70により加圧された紙上に形成された画像に重ねて形成する。そして、記録媒体上に形成されたトナー像は、定着機において通常温度での加熱および加圧が加えられて紙上に定着する。
【0020】
低温定着後処理装置90には、クリアトナー及び当該クリアトナーを定着させるための定着機が搭載されており、DFE30が生成した後述のクリアトナー版の画像データが入力される。低温定着後処理機90Bは、入力されたクリアトナー版の画像データを用いてクリアトナーによるトナー像を、グロッサ70および通常定着後処理装置80により加圧された記録媒体上に形成された画像に重ねて形成する。そして、記録媒体上に形成されたトナー像は、定着機において通常温度よりも低い温度(低温)での加熱および加圧が加えられて記録媒体上に定着する。
【0021】
ここで、ホスト装置10からDFE30に入力される画像データ(原稿データ)について概要を説明する。ホスト装置10では、予めインストールされた画像処理アプリケーションにより画像データが生成されて、DFE30に送信される。このような画像処理アプリケーションでは、RGB版やCMYK版などの各色版における各色の濃度の値(濃度値という)を画素毎に規定した画像データに対して、特色版の画像データを取り扱うことが可能である。特色版とは、CMYKやRGBなどの基本的なカラーの他に、白、金、銀といった特殊なトナーやインクを付着させるための画像データであり、このような特殊なトナーやインクを搭載したプリンタ向けのデータである。特色版は色再現性を向上させるためにCMYKの基本カラーにRを追加することや、RGBの基本カラーにYを追加することもある。通常、クリアトナーも特色の1つとして取り扱われていた。本実施の形態では、この特色としてのクリアトナーを、転写紙に付与する視覚的または触覚的な効果である表面効果を形成するため、および、転写紙に、上記表面効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像を形成するために用いる。
【0022】
このため、ホスト装置10の画像処理アプリケーションは、入力された画像データに対して、有色版の画像データの他、特色版の画像データとして、ユーザの指定により、光沢制御版の画像データおよび/またはクリア版の画像データとを生成する。
【0023】
ここで、有色版の画像データとは、画素毎にRGBやCMYK等の有色の濃度値を規定した画像データである。この有色版の画像データでは、ユーザによる色の指定により、1画素を8ビットで表現される。図2は、有色版の画像データの一例を示す説明図である。図2において、「A」、「B」、「C」等の描画オブジェクトごとにユーザが画像処理アプリケーションで指定した色に対応する濃度値が付与される。
【0024】
また、光沢制御版の画像データとは、転写紙に付与する視覚的または触覚的な効果である表面効果に応じたクリアトナーを付着させる制御を行うため、当該表面効果の与えられる領域および当該表面効果の種類を特定した画像データである。
【0025】
この光沢制御版の画像データは、RGB版やCMYK版と同様に画素毎に8ビットで「0」〜「255」の範囲の濃度値で表され、この濃度値に、表面効果の種類が対応付けられる(濃度値は16ビットや32ビット、または0〜100%で表してもよい)。また、同一の表面効果を与えたい範囲には実際に付着するクリアトナーの濃度と関係なく同一の値が設定されるため、領域を示すデータがなくとも必要に応じて画像データから容易に領域が特定できる。即ち、光沢制御版の画像データによって、表面効果の種類と、表面効果を与える領域とが表される(領域を表すデータを別途付与してもよい)。
【0026】
ここで、ホスト装置10は、ユーザが画像処理アプリケーションにより指定した描画オブジェクトに対する表面効果の種類を、描画オブジェクトごとに光沢制御値としての濃度値として設定してベクタ形式の光沢制御版の画像データ(光沢制御版データ)を生成する。
【0027】
なお、有色画像版の画像データ、光沢制御版の画像データ、及びクリア版の画像データは、共にページ単位で構成される。
【0028】
表面効果の種類としては、大別して、光沢の有無に関するものや、表面保護や、情報を埋め込んだ透かしや、テクスチャなどがある。光沢の有無に関する表面効果については、図3に例示されるように、大別して4種類あり、光沢の度合い(光沢度)の高い順に、鏡面光沢(PG:Premium Gloss)、ベタ光沢(G:Gloss)、網点マット(M:Matt)及びつや消し(PM:Premium Matt)等の各種類がある。これ以降、鏡面光沢を「PG」、ベタ光沢を「G」、網点マットを「M」、つや消しを「PM」と呼ぶ場合がある。
【0029】
鏡面光沢やベタ光沢は、光沢を与える度合いが高く、逆に、網点マットやつや消しは、光沢を抑えるためのものであり、特に、つや消しは、通常の記録媒体が有する光沢度より低い光沢度を実現するものである。同図中において、鏡面光沢はその光沢度Gsが80以上、ベタ光沢は一次色あるいは二次色のなすベタ光沢度、網点マットは一次色、かつ網点30%の光沢度、つや消しは光沢度10以下を表している。また、光沢度の偏差をΔGsで表し、10以下とした。このような表面効果の各種類に対して、光沢を与える度合いが高い表面効果に高い濃度値が対応付けられ、光沢を抑える表面効果に低い濃度値が対応付けられる。その中間の濃度値には、透かしやテクスチャなどの表面効果が対応付けられる。透かしとしては、例えば、文字や地紋などが用いられる。テクスチャは、文字や模様を表すものであり、視覚的効果の他、触覚的効果を与えることが可能である。例えば、ステンドグラスのパターンをクリアトナーによって実現することができる。表面保護は、鏡面光沢やベタ光沢で代用される。なお、処理対象の画像データによって表される画像のどの領域に表面効果を与えるのかや、その領域にどの種類の表面効果を与えるのか、については、画像処理アプリケーションを介してユーザにより指定される。画像処理アプリケーションを実行するホスト装置10では、ユーザにより指定された領域を構成する画素について、ユーザ指定の表面効果に対応する濃度値がセットされることにより、光沢制御版が生成される。濃度値と表面効果の種類との対応関係については後述する。
【0030】
図4は、光沢制御版の画像データの一例を示す説明図である。図4の光沢制御版の例では、ユーザにより、描画オブジェクト「ABC」に表面効果「PG(鏡面光沢)」が付与され、描画オブジェクト「(長方形の図形)」に表面効果「G(ベタ光沢)」が付与され、描画オブジェクト「(円形の図形)」に表面効果「M(網点マット)」が付与された例を示している。なお、各表面効果に設定された濃度値は、後述の濃度値選択テーブルで、表面効果の種類に対応して定められた濃度値である。
【0031】
クリア版の画像データとは、上記表面効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像を特定した画像データである。図5は、クリア版の画像データの一例を示す説明図である。図5の例では、ユーザにより、ウォータマーク「Sale」が指定されている。
【0032】
このように、特色版の画像データである、光沢制御版の画像データおよびクリア版の画像データは、ホスト装置10の画像処理アプリケーションにより、有色版の画像データとは別のプレーンで生成される。また、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ、クリア版の画像データの各画像データの形式には、PDF(Portable Document Format)形式が用いられるが、各版のPDFの画像データを統合して原稿データとして生成される。なお、各版の画像データのデータ形式は、PDFに限定されるものではなく、任意の形式を用いることができる。
【0033】
ホスト装置10では、上記有色版の画像データと、光沢制御版の画像データ及び/またはクリア版の画像データと、を統合した原稿データに、更にジョブコマンドを含む印刷データを、DFE30へ出力する。ジョブコマンドは、例えば、プリンタの設定、集約の設定、両面の設定などをプリンタに対して指定するコマンドである。ジョブコマンドとして、JDF(Job Definition Format)が用いられているが、これに限られるものではない。例えば、JDFは、集約の設定として「片面印刷・ステープル有り」を指定するコマンドである。また、印刷データは、PostScriptのようなページ記述言語(PDL)に変換されてもよいし、DFE30が対応していれば、PDF形式のままでもよい。なお、以下では、透明画像の指定がなくクリア版の画像データが生成されない場合を例に挙げて説明する。
【0034】
次に、DFE30の構成について説明する。図6は、DFE30の概略構成例を示すブロック図である。図6に示すように、DFE30は、I/F部31と、I/F部32と、記憶部33と、入力部34と、制御部35とを含んで構成される。I/F部31は、ホスト装置10との間で通信を行うためのインタフェース装置である。I/F部32は、MIC40との間で通信を行うためのインタフェース装置である。記憶部33は各種のデータを記憶する手段である。入力部34は、ユーザが各種の操作入力を行うための手段であり、例えばキーなどのデバイスで構成され得る。
【0035】
制御部35は、DFE30全体を制御する手段であり、CPU、ROMおよびRAMなどを含んで構成されるコンピュータである。図6に示すように、制御部35が有する機能には、レンダリングエンジン101、Si1部102、TRC103、Si2部104、ハーフトーンエンジン105、装置構成取得部106、優先情報受付部107、クリアプロセッシング108、Si3部109、テーブル番号特定部110、テーブル番号送信制御部111などが含まれる。これらの機能は、制御部35のCPUがROM等に格納された各種プログラムをRAM上に展開して実行することにより実現される。また、これらの機能のうちの少なくとも一部を個別の回路(ハードウェア)で実現することも可能である。Si1部102、Si2部104およびSi3部107はいずれも、画像データを分離する(separate)機能と、画像データを統合する(integrate)機能とを有するものである。
【0036】
レンダリングエンジン101には、ホスト装置10から印刷データが入力される。レンダリングエンジン101は、入力された印刷データを言語解釈して、ベクター形式をラスタ形式に変換すると共に、RGB形式で表現された色空間をCMYK形式の色空間に変換して、CMYKの色版の各8ビットの画像データおよび8ビットの光沢制御版の画像データを出力する。
【0037】
Si1部102は、CMYKの各8ビットの画像データをTRC103に出力し、8ビットの光沢制御版の画像データをクリアプロセッシング108へ出力する。
【0038】
TRC103には、Si1部102を介してCMYKの各8ビットの画像データが入力される。TRC103は、入力された画像データに対してキャリブレーションにより生成された1D_LUTのガンマカーブでガンマ補正を行う。画像処理としては、ガンマ補正の他にトナーの総量規制等がある。総量規制とは、記録媒体上の1画素において、プリンタ機70でのせることが可能なトナー量に限界があるため、ガンマ補正後のCMYK各8ビットの有色版データを制限する処理である。ちなみに、総量規制を越えて印刷した場合、転写不良や定着不良により画質が劣化してしまう。当実施例では関連するガンマ補正のみを取り上げて説明している。Si2部104は、TRC103でガンマ補正されたCMYKの各8ビットの画像データを、インバースマスクを生成するためのデータとしてクリアプロセッシング108へ出力する。ハーフトーンエンジン105には、Si2部104を介してガンマ補正後のCMYKの各8ビットの画像データが入力される。ハーフトーンエンジン105は、入力されたCMYKの各8ビットの画像データに対してハーフトーン処理を行う。これにより、CMYKの各2ビットの画像データが生成され、当該ハーフトーン処理後のCMYK各2ビットの画像データがSi3部109へ出力される。なお、2ビットは一例であり、これに限定されるものではない。
【0039】
装置構成取得部106は、印刷装置20の装置構成を示す装置構成情報を取得する。上述したように、本実施形態の印刷装置20では、後処理機60として、グロッサ70と、通常定着後処理装置80と、低温定着後処理装置90とが搭載されている。ここでは、装置構成情報は、後処理機60として何が搭載されているのかを示す情報であるが、これに限られるものではない。要するに、装置構成情報は、印刷装置20の装置構成を示す情報であればよい。装置構成情報はMIC40によって取得され、MIC40から装置構成取得部106に対して入力される。装置構成取得部106は、取得した装置構成情報を、クリアプロセッシング108へ出力する。
【0040】
優先情報受付部107は、「光沢優先」および「種類優先」のうちの何れかを指定する優先情報の入力を受け付け、その受け付けた優先情報をクリアプロセッシング108へ出力する。優先情報は、ユーザが入力部34を操作することにより入力される。ユーザは、「光沢優先」を指定する優先情報を入力することもできるし、「種類優先」を指定する優先情報を入力することもできる。なお、「光沢優先」とは、ユーザ指定の表面効果を、より光沢度の高い表面効果に置き換えることを示す。また、「種類優先」とは、ユーザ指定の表面効果を、最も光沢度の高い鏡面光沢(PG)を含まない表面効果に置き換えることを示す。
【0041】
クリアプロセッシング108は、入力された装置構成情報および優先情報に対応する表面効果選択テーブル(後述)を参照して、グロッサ70のオン又はオフを決定すると共に、入力された光沢制御版の画像データを用いて、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版の画像データを生成する。以下、具体的な内容を説明する。
【0042】
ここで、記憶部33には、装置構成情報および優先情報と、テーブル番号との関係を記憶する参照テーブルが格納される。図7は、参照テーブルの一例を模式的に示す図である。図7に示すように、例えば後処理機60として、グロッサ70と通常定着後処理装置80と低温定着後処理装置90とが搭載されている場合は、優先情報によって「光沢優先」および「種類優先」の何れが指定されているかに関わらず、当該装置構成情報および優先情報に対応するテーブル番号は「1」である。また、例えば後処理機60として、グロッサ70と低温定着後処理装置90とが搭載され、かつ、優先情報によって「光沢優先」が指定されている場合は、当該装置構成情報および優先情報に対応するテーブル番号は「2」である。ここでは、テーブル番号は、装置構成情報および優先情報に応じて特定される情報であると捉えることができる。
【0043】
また、記憶部33には、複数種類のテーブル番号と1対1に対応する複数種類の表面効果選択テーブルが格納される。各表面効果選択テーブルは、「0%」〜「98%」の範囲で表現される光沢制御版の画像データの濃度値と、「0」〜「255」の256段階で表現される光沢制御版の画像データの濃度値と、ユーザにより指定された表面効果の種類と、グロッサ70のオンおよびオフの何れかを指定するオンオフ情報と、クリアトナー版の画像データの濃度値の決定方法と、実現可能な表面効果の種類とを対応付けて記憶する。図8は、テーブル番号「1」に対応する表面効果選択テーブルの例を示す図である。各表面効果選択テーブルの内容は、装置構成情報および優先情報に応じて決定され、テーブル番号ごとに異なる。
【0044】
クリアプロセッシング108は、図7に示す参照テーブルを参照しながら、入力された装置構成情報および優先情報に対応するテーブル番号を特定し、その特定したテーブル番号に対応する表面効果選択テーブルを記憶部33から読み出す。例えば、本実施形態の装置構成情報は、後処理機60として、グロッサ70と通常定着後処理装置80と低温定着後処理装置90とが搭載されていることを示す情報であるので、優先情報によって「光沢優先」および「種類優先」の何れが指定されているかに関わらず、クリアプロセッシング108は、入力された装置構成情報および優先情報に対応するテーブル番号として「1」を特定し、その特定したテーブル番号「1」に対応する表面効果選択テーブル(図8参照)を記憶部33から読み出す。
【0045】
図8の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「238」〜「255」(94%〜98%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はPG(鏡面光沢)、オンオフ情報は「オン」、プリンタ機50で用いられる第1のクリアトナー版の画像データClr−1における当該画素の濃度値は「インバースマスク1」により求められて8ビットで表現され、通常定着後処理装置80で用いられる第2のクリアトナー版の画像データClr−2、および、低温定着後処理装置90で用いられる第3のクリアトナー版の画像データClr−3の各々における当該画素の濃度値は無く(「no data」)、実現可能な表面効果の種類は「PG」であることが示されている。
【0046】
ここで、インバースマスクとは、表面効果を与える対象の領域を構成する各画素上のCMYKのトナー及びクリアトナーを合わせた総付着量が均一になるようにするためのものである。具体的には、CMYK版の画像データにおいて当該対象の領域を構成する画素の表す濃度値を全て加算し、その加算値を所定値から差し引いた画像データがインバースマスクとなる。例えば、上述のインバースマスク1は以下の式1で表される。
【0047】
Clr=100−(C+M+Y+K) 但し、Clr<0となる場合、
Clr=0・・・(式1)
【0048】
式1において、Clr,C,M,Y,Kは、クリアトナー及びC,M,Y,Kの各トナーのそれぞれについて、各画素における濃度値から換算される濃度率を表すものである。即ち、式1によって、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量にクリアトナーの付着量を加えた総付着量を、表面効果を与える対象の領域を構成する全ての画素について100%にする。なお、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量が100%以上である場合には、クリアトナーは付着させずに、その濃度率は0%にする。これは、C,M,Y,Kの各トナーの総付着量が100%を超えている部分は定着処理により平滑化されるためである。このように、表面効果を与える対象の領域を構成する全ての画素上の総付着量を100%以上にすることで、当該対象の領域においてトナーの総付着量の差による表面の凸凹がなくなり、この結果、光の正反射による光沢が生じるのである。但し、インバースマスクには、式1以外により求められるものがあり、インバースマスクの種類は複数有り得る。
【0049】
例えば、インバースマスクは、各画素にクリアトナーを均一に付着させるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、ベタマスクともいい、以下の式2で表される。
Clr=100・・・(式2)
【0050】
尚、表面効果を与える対象の画素の中でも、100%以外の濃度率が対応付けられるものがあるようにしても良く、ベタマスクのパターンは複数有り得る。
【0051】
また、例えばインバースマスクは、各色の地肌露出率の乗算により求められるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、例えば以下の式3で表される。
Clr=100×{(100−C)/100}×{(100−M)/100}×{(100−Y)/100}×{(100−K)/100}・・・(式3)
上記式3において、(100−C)/100は、Cの地肌露出率を示し、(100−M)/100は、Mの地肌露出率を示し、(100−Y)/100は、Yの地肌露出率を示し、(100−K)/100はKの地肌露出率を示す。
【0052】
また、例えばインバースマスクは、最大面積率の網点が平滑性を律すると仮定した方法により求められるものであってもよい。この場合のインバースマスクは、例えば以下の式4で表される。
Clr=100−max(C,M,Y,K)・・・(式4)
上記式4において、max(C,M,Y,K)は、CMYKのうち最大の濃度値を示す色の濃度値が代表値となることを示す。
【0053】
要するに、インバースマスクは、上記式1〜式4の何れかの式により表されるものであればよい。
【0054】
また、図8の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「212」〜「232」(84%〜90%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はG(ベタ光沢)、オンオフ情報は「オン」、第1のクリアトナー版の画像データClr−1における当該画素の濃度値は「インバースマスクm」により求められて8ビットで表現され、第2のクリアトナー版の画像データClr−2における当該画素の濃度値は「ベタ」により求められて2ビットで表現され、第3のクリアトナー版の画像データClr−3における当該画素の濃度値は無く(「no data」)、実現可能な表面効果の種類は「G」であることが示されている。なお、当該インバースマスクmは、上述の式1とは異なる式で表される(式2〜式4のうちの何れかの式で表される)。これは、PG(鏡面光沢)の場合とは、平滑化されるトナーの総付着量が異なるからである。また、ベタとは、表面効果を与える対象の領域を構成する各画素上にクリアトナーを均一に付着させるためのものである。具体的には、例えば上記式2で表される。なお、表面効果を与える対象の画素の中でも、100%以外の濃度率が対応付けられるものがあるようにしても良く、ベタのパターンは複数有り得る。
【0055】
また、図8の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「23」〜「43」(10%〜16%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はM(網点マット)、オンオフ情報は「オン」、第1のクリアトナー版の画像データClr−1における当該画素の濃度値は「no data」、第2のクリアトナー版の画像データClr−2における当該画素の濃度値は「halftone−n」により求められて2ビットで表現され、第3のクリアトナー版の画像データClr−3における当該画素の濃度値は「no data」、実現可能な表面効果の種類は「M」であることが示されている。なお、ハーフトーンとは、クリアトナーに中間調処理を施し、表面に凹凸を付与し乱反射させることで光沢度を低くするためのものである。中間調処理には複数あり、その中の一つを示す表現としてhalftone−nと記載している。なお、後述するように、本実施形態では、ユーザにより、表面効果の種類としてM(網点マット)が指定された場合、光沢制御版の画像データにおいてMが指定された領域内の各画素の濃度値は、「23」〜「43」の範囲内の何れかの値に共通に設定される。
【0056】
また、図8の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「1」〜「17」(0%〜6%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はPM(つや消し)、オンオフ情報は「オン」、第1のクリアトナー版の画像データClr−1および第2のクリアトナー版の画像データClr−2の各々における当該画素の濃度値は「no data」、第3のクリアトナー版の画像データClr−3における当該画素の濃度値は「ベタ」により求められて2ビットで表現され、実現可能な表面効果の種類は「PM」であることが示されている。
【0057】
本実施形態では、クリアプロセッシング108は、図8の表面効果選択テーブルを参照して、グロッサ70のオン又はオフを決定するとともに、入力された光沢制御版の画像データを用いて、8ビットの第1のクリアトナー版の画像データClr−1、2ビットの第2のクリアトナー版の画像データClr−2、および、2ビットの第3のクリアトナー版の画像データClr−3の各々を生成する。そして、クリアプロセッシング108は、8ビットの第1のクリアトナー版の画像データClr−1に対してハーフトーン処理を行い、2ビットの第1のクリアトナー版の画像データClr−1に変換する。そして、クリアプロセッシング108は、グロッサ70のオンおよびオフの何れかを指示するオンオフ指示情報と、各2ビットのクリアトナー版の画像データ(Clr−1〜Clr−3)とをSi3部109へ出力する。
【0058】
Si3部109は、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの画像データと、クリアプロセッシング108が生成した各2ビットのクリアトナー版の画像データ(Clr−1〜Clr−3)とを統合し、統合した画像データをMIC40に出力するとともに、クリアプロセッシング108から供給されたオンオフ指示情報をMIC40に出力する。本実施形態において、例えば1ページ内においてPG、G、MおよびPMの各々が指定されていた場合、DFE30からは各々2ビットの7つの画像データ(CMYK+Clr−1+Clr−2+Clr−3)と、グロッサ70の「オン」を指示するオンオフ指示情報とがMIC40へ出力される。
【0059】
この場合、図9に例示されるように、DFE30は、MIC40を介して、CMYKの色版の画像データおよび第1のクリアトナー版の画像データClr−1をプリンタ機50に出力する。また、DFE30は、MIC40を介して、「オン」を指示するオンオフ指示情報をグロッサ70へ出力する。これを受けて、グロッサ70はオン状態に遷移する。さらに、DFE30は、MIC40を介して、第2のクリアトナー版の画像データClr−2を通常定着後処理装置80へ出力し、第3のクリアトナー版の画像データClr−3を低温定着後処理装置90へ出力する。
【0060】
図9の例では、プリンタ機50は、MIC40から出力されたCMYKの色版の画像データ及び第1のクリアトナー版の画像データClr−1を用いて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成してこれを記録媒体に転写した後に定着させる。これによって記録媒体に、CMYKのトナーの他クリアトナーが付着されて、画像が形成される。その後、搬送路に沿って記録媒体が搬送されて、オン状態になっているグロッサ70の位置に到ると、当該グロッサ70は、当該記録媒体(プリンタ機50による画像形成領域を含む領域)を高温及び高圧で加圧する。
【0061】
通常定着後処理装置80は、MIC40から出力された第2のクリアトナー版の画像データClr−2を用いてクリアトナーによるトナー像を形成し、グロッサ70を通過した記録媒体上に当該トナー像を重ねて、通常温度での加熱および加圧を与えて記録媒体に定着させる。そして、低温定着後処理装置90は、MIC40から出力された第3のクリアトナー版の画像データClr−3を用いてクリアトナーによるトナー像を形成し、通常定着後処理装置80を通過した記録媒体上に当該トナー像を重ねて、低温での加熱および加圧を与えて記録媒体に定着させる。
【0062】
以上により、図10に示すように、ユーザによってPG(鏡面光沢)が指定された領域においては、PGとしての効果が実現され、ユーザによってG(ベタ光沢)が指定された領域においては、Gとしての効果が実現される。また、ユーザによってM(網点マット)が指定された領域においては、Mとしての効果が実現され、ユーザによってPM(つや消し)が指定された領域においては、PMとしての効果が実現される。すなわち、後処理機60として、グロッサ70と通常定着後処理装置80と低温定着後処理装置90とが搭載されている装置構成では、PG(鏡面光沢)、G(ベタ光沢)、M(網点マット)、PM(つや消し)の4種類全ての表面効果を実現することができる。なお、表面効果を与える領域として指定されていない領域には、いずれの表面効果も与えられない。
【0063】
再び図6に戻って説明を続ける。テーブル番号特定部110は、ホスト装置10からのテーブル番号要求(後述)をI/F部31を介して受信した場合、記憶部33に記憶された参照テーブル(図7)を参照して、装置構成取得部106で取得された装置構成情報および優先情報受付部107で受け付けた優先情報に対応するテーブル番号を特定する。テーブル番号送信制御部111は、後述のテーブル番号要求に対する応答として、テーブル番号特定部110で特定されたテーブル番号をホスト装置10へ送信するようにI/F部31を制御する。
【0064】
次に、本実施形態のDFE30が実行する光沢制御処理の手順について説明する。図11は、光沢制御処理の一例を示すフローチャートである。まず、DFE30は、ホスト装置10から後述の印刷データを受信すると(ステップS1)、その受信した印刷データを言語解釈して、ベクター形式をラスタ形式に変換すると共に、RGB形式で表現された色空間をCMYK形式の色空間に変換して、CMYKの色版の各8ビットの画像データおよび8ビットの光沢制御版の画像データを得る(ステップS2)。次に、DFE30は、CMYKの色版の各8ビットの画像データに対してキャリブレーションにより生成された1D_LUTのガンマカーブでガンマ補正を行い、ガンマ補正後の画像データに対して、プリンタ機50に出力するためのCMYK各2ビットの画像データのデータ形式に変換するハーフトーン処理を行い、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの画像データを得る(ステップS3)。
【0065】
次に、DFE30の装置構成取得部106は、印刷装置20の装置構成を示す装置構成情報を取得する装置構成情報取得処理を実行する(ステップS4)。装置構成取得部106は取得した装置構成情報をクリアプロセッシング108へ出力する。
【0066】
図12には、ステップS4における装置構成情報取得処理を示した。
【0067】
装置構成取得部106は、MIC40に、印刷装置20にグロッサ70が搭載されているか否かの問い合わせ信号を出力する。そして、MIC40から問い合わせ結果を示す信号を受け付けると、グロッサ70が搭載されているか否かを判別する(ステップS101)。そして、グロッサ70が搭載されていると判別した場合には(ステップS101:Yes)、装置構成取得部106は、グロッサ70が搭載されていることを示すグロッサフラグをオンにする(ステップS102)。
【0068】
グロッサ70が搭載されていないと判別した場合には(ステップS101:No)、ステップS103へ進む。また上記ステップS102の処理後もステップS103へ進む。次に、装置構成取得部106は、MIC40に、印刷装置20に、通常定着後処理装置80が搭載されているか否かの問い合わせ信号を出力する。そして、MIC40から問い合わせ結果を示す信号を受け付けると、通常定着後処理装置80が搭載されているか否かを判別する(ステップS103)。そして、通常定着後処理装置80が搭載されていると判別した場合には(ステップS103:Yes)、装置構成取得部106は、通常定着後処理装置80が搭載されていることを示す通常定着後処理装置フラグをオンにする(ステップS104)。
【0069】
通常定着後処理装置80が搭載されていないと判別した場合には(ステップS103:No)、ステップS105へ進む。また上記ステップS104の処理後もステップS105へ進む。次に、装置構成取得部106は、MIC40に、印刷装置20に、低温定着後処理装置90が搭載されているか否かの問い合わせ信号を出力する。そして、MIC40から問い合わせ結果を示す信号を受け付けると、低温定着後処理装置90が搭載されているか否かを判別する(ステップS105)。そして、低温定着後処理装置90が搭載されていると判別した場合には(ステップS105:Yes)、装置構成取得部106は、低温定着後処理装置90が搭載されていることを示す低温定着後処理装置フラグをオンにする(ステップS106)。
【0070】
そして、低温定着後処理装置90が搭載されていないと判別した場合には(ステップS105:No)、本ルーチンを終了する。また上記ステップS106の処理後も本ルーチンを終了する。
【0071】
再び図11に戻って説明を続ける。上述のステップS4の後、DFE30のクリアプロセッシング108は、図4の参照テーブルを参照して、入力された装置構成情報および優先情報に対応するテーブル番号を特定し、その特定したテーブル番号に対応する表面効果選択テーブルを記憶部33から読み出す(ステップS5)。次に、DFE30のクリアプロセッシング108は、読み出した表面効果選択テーブルを参照して、オンオフ情報を決定すると共に、入力された光沢制御版の画像データを用いて、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリアトナー版の画像データを生成する(ステップS6)。次に、DFE30は、ステップ3で得たハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの画像データと、ステップS6で適宜生成した2ビットのクリアトナー版の画像データと、ステップS6で決定したオンオフ情報とをMIC40に対して出力する(ステップS7)。以上により、光沢制御処理が終了する。
【0072】
ところで、上述したように、後処理機60として、グロッサ70と、通常定着後処理装置80と、低温定着後処理装置90とが搭載されている場合は、PG、G、MおよびPMの全ての種類を実現できるが、例えばグロッサ70、通常定着後処理装置80および低温定着後処理装置90のうちの少なくとも1つが搭載されていない場合は、当該装置構成では実現できない表面効果が発生する。この場合、DFE30は、当該装置構成では実現できない表面効果を、当該装置構成で実現可能な表面効果に置き換えて印刷を実行させる。
【0073】
一例として、通常定着後処理装置80が搭載されておらず、「光沢優先」が指定されている場合を想定する。図7からも理解されるように、後処理機60として、グロッサ70と低温定着後処理装置90とが搭載され、優先情報によって「光沢優先」が指定されている場合は、当該装置構成情報および優先情報に対応するテーブル番号は「2」となる。この場合、クリアプロセッシング108は、テーブル番号「2」に対応する表面効果選択テーブルを記憶部33から読み出す。
【0074】
図13は、テーブル番号「2」に対応する表面効果選択テーブルの一例を示す図である。クリアプロセッシング108は、図10の表面効果選択テーブルを参照して、グロッサ70のオン又はオフを決定するとともに、入力された光沢制御版の画像データを用いて、クリアトナー版の画像データを生成する。この場合は、通常定着後処理装置80が搭載されていないので、第2のクリアトナー版の画像データClr−2は生成されずに、プリンタ機50で用いられる第1のクリアトナー版の画像データClr−1と低温定着後処理装置90で用いられる第3のクリアトナー版の画像データClr−3とが生成される。
【0075】
図13の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「238」〜「255」(94%〜98%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はPG(鏡面光沢)、オンオフ情報は「オン」、第1のクリアトナー版の画像データClr−1における当該画素の濃度値は「インバースマスク1」により求められて8ビットで表現され、第3のクリアトナー版の画像データClr−3における当該画素の濃度値は無く(「no data」)、実現される表面効果の種類は「PG」であることが示されている。
【0076】
また、図13の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「212」〜「232」(84%〜90%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はG(ベタ光沢)、オンオフ情報は「オン」、第1のクリアトナー版の画像データClr−1における当該画素の濃度値は「インバースマスクm」により求められて8ビットで表現され、第3のクリアトナー版の画像データClr−3における当該画素の濃度値は無く(「no data」)、実現される表面効果の種類は「PG」であることが示されている。
【0077】
また、図13の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「23」〜「43」(10%〜16%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はM(網点マット)、オンオフ情報は「オン」、第1のクリアトナー版の画像データClr−1における当該画素の濃度値は「no data」、第3のクリアトナー版の画像データClr−3における当該画素の濃度値は「ベタ」により求められて2ビットで表現され、実現される表面効果の種類は「PM」であることが示されている。
【0078】
さらに、図13の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「1」〜「17」(0%〜6%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はPM(つや消し)、オンオフ情報は「オン」、第1のクリアトナー版の画像データClr−1における当該画素の濃度値は「no data」、第3のクリアトナー版の画像データClr−3における当該画素の濃度値は「ベタ」により求められて2ビットで表現され、実現される表面効果の種類は「PM」であることが示されている。
【0079】
クリアプロセッシング108は、図13の表面効果選択テーブルを参照して、グロッサ70のオン又はオフを決定するとともに(この場合はオン)、入力された光沢制御版の画像データを用いて、8ビットの第1のクリアトナー版の画像データClr−1、および、2ビットの第3のクリアトナー版の画像データClr−3を生成する。クリアプロセッシング108は、8ビットの第1のクリアトナー版の画像データClr−1に対してハーフトーン処理を行い、2ビットの第1のクリアトナー版の画像データClr−1に変換する。そして、DFE30は、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの画像データと、クリアプロセッシング108が生成した各2ビットのクリアトナー版の画像データ(Clr−1、Clr−3)とを統合し、統合した画像データおよびオンオフ指示情報をMIC40に出力する。
【0080】
例えば1ページ内においてPG、G、MおよびPMの各々が指定されていた場合、DFE30からは各々2ビットの6つの画像データ(CMYK+Clr−1+Clr−3)と、グロッサ70のオンを指示するオンオフ指示情報とがMIC40へ出力される。この場合、図14に例示されるように、DFE30は、MIC40を介して、CMYKの色版の画像データおよび第1のクリアトナー版の画像データClr−1をプリンタ機50に出力する。また、DFE30は、MIC40を介して、オンオフ情報をグロッサ70へ出力する。これを受けて、グロッサ70はオン状態に遷移する。さらに、DFE30は、MIC40を介して、第3のクリアトナー版の画像データClr−3を低温定着後処理装置90へ出力する。
【0081】
プリンタ機50は、MIC40から出力されたCMYKの色版の画像データ及び第1のクリアトナー版の画像データClr−1を用いて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成してこれを記録媒体に転写した後に定着させる。これによって記録媒体に、CMYKのトナーの他クリアトナーが付着されて、画像が形成される。その後、搬送路に沿って記録媒体が搬送されて、オン状態になっているグロッサ70の位置に到ると、当該グロッサ70は、当該記録媒体(プリンタ機50による画像形成領域を含む領域)を高温及び高圧で加圧する。
【0082】
低温定着後処理装置90は、MIC40から出力された第3のクリアトナー版の画像データClr−3を用いてクリアトナーによるトナー像を形成し、グロッサ70を通過した記録媒体上に当該トナー像を重ねて、低温での加熱および加圧を与えて記録媒体に定着させる。
【0083】
以上により、図15に示すように、ユーザによってPG(鏡面光沢)が指定された領域においては、PGとしての表面効果が実現され、ユーザによってG(ベタ光沢)が指定された領域においては、PGとしての効果が実現される。つまり、印刷装置20の装置構成では実現できない表面効果Gが、当該装置構成で実現可能な表面効果PGに置き換えられている。また、ユーザによってM(網点マット)が指定された領域においては、PMとしての効果が実現され、ユーザによってPM(つや消し)が指定された領域においては、PMとしての効果が実現される。すなわち、印刷装置20の装置構成では実現できない表面効果Mが、当該装置構成で実現可能な表面効果PMに置き換えられている。
【0084】
<A−2:ホスト装置10の構成>
次に、ホスト装置10の構成を説明する。図16は、ホスト装置10の概略構成例を示すブロック図である。図16に示すように、ホスト装置10は、I/F部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、制御部15とを含んで構成される。I/F部11は、DFE30との間で通信を行うためのインタフェース装置である。記憶部12は各種のデータを記憶する手段である。入力部13は、ユーザが各種の操作入力を行うための手段であり、例えばキーボードやマウスなどのデバイスで構成され得る。表示部14は、各種画面を表示するための手段であり、例えば液晶パネルなどで構成され得る。
【0085】
制御部15は、ホスト装置10全体を制御する手段であり、CPU、ROMおよびRAMなどを含んで構成されるコンピュータである。図16に示すように、制御部15が有する機能には、入力制御部120、表示制御部121、版データ生成部122、印刷データ生成部123、テーブル番号要求部124、取得部125、置換部126、プレビュー画像生成部127、プレビュー画像表示制御部128などが含まれる。これらの機能は、制御部15のCPUがROM等に格納された各種プログラムをRAM上に展開して実行することにより実現される。また、これらの機能のうちの少なくとも一部を個別の回路(ハードウェア)で実現することも可能である。
【0086】
入力制御部(受付部)120は、入力部13からの各種入力を受け付けて入力を制御する。例えばユーザは、入力部13を操作することにより、記憶部12に記憶された各種画像(例えば写真、文字、図形、これらを合成した画像等)のうち表面効果を与えるべき画像、すなわち有色版の画像データ(以下、「対象画像」と呼ぶ場合もある。)を指定する画像指定情報を入力することができる。なお、これに限らず、画像指定情報の入力方法は任意である。表示制御部121は、表示部14に対する各種情報の表示を制御する。本実施の形態では、表示制御部121は、入力制御部120で画像指定情報を受け付けた場合、その画像指定情報で指定された画像を記憶部12から読み出し、その読み出した図2に示すような画像を画面上に表示するように表示部14を制御する。
【0087】
そして、ユーザは、表示部14に表示された対象画像を確認しながら、入力部13を操作することにより、表面効果を与える領域および当該表面効果の種類を指定する指定情報を入力することができる。なお、指定情報の入力方法は、これに限られるものではなく、任意である。
【0088】
より具体的には、表示制御部121は、例えば、図17に例示される画面を表示部14に表示させる。この図17は、Adobe System(R)社が販売しているIllustratorにプラグインを組み込んだ場合に表示される画面の例である。図17に示される画面では、処理対象である対象画像データ(有色版の画像データ)によって表される画像が表示され、ユーザが入力部13を介してマーカー追加ボタンを押下して、表面効果を与えたい領域を指定する操作入力を行うことで、表面効果を与える領域が指定される。ユーザは表面効果を与える全ての領域に対してこのような操作入力を行うことになる。そして、ホスト装置10の表示制御部121は、例えば、指定された領域毎に、図18に例示される画面を表示部14に表示させる。図18に示される画面では、表面効果を与えるものとして指定された各領域において当該領域の画像が表され、当該画像に対して与えたい表面効果の種類を指定する操作入力を入力部13を介して行うことで、当該領域に対して与える表面効果の種類が指定される。表面効果の種類として、図3の鏡面光沢やベタ光沢は図18では「インバースマスク」と表記されており、図3の鏡面光沢やベタ光沢を除く他の効果は、図18のステンドグラスや万線パターンや網目パターンやモザイクスタイルと、網点マット、ハーフトーンとして表記されており、各々の表面効果が指定可能であることが示されている。
【0089】
図16に戻り、版データ生成部122は、有色版の画像データ、光沢制御版の画像データ、クリア版の画像データをそれぞれ生成する。すなわち、版データ生成部122は、入力制御部120で、対象画像の描画オブジェクトに対するユーザによる色指定を受け付けた場合、当該色指定に従って、有色版の画像データを生成する。
【0090】
また、版データ生成部122は、入力制御部120で、表面効果以外のウォータマークやテクスチャ等の透明画像及び透明画像を付与する領域の指定を受け付けた場合、当該ユーザからの指定に従って、透明画像および透明画像を付与する転写紙における領域とを特定するためのクリア版データを生成する。
【0091】
また、版データ生成部122は、入力制御部123で指定情報(表面効果を与える領域および当該表面効果の種類)を受け付けた場合、当該指定情報に基づいて、転写紙において表面効果が与えられる領域および当該表面効果の種類を特定可能な光沢制御版の画像データを生成する。ここで、版データ生成部122は、光沢制御値で示す表面効果を付与する領域を、対象画像の画像データの描画オブジェクトの単位で指定した光沢制御版の画像データを生成する。
【0092】
ここで、記憶部12には、ユーザにより指定された表面効果の種類と、当該表面効果の種類に対応する光沢制御版の濃度値とを記憶する濃度値選択テーブルが格納される。図19は、濃度値選択テーブルの一例を示す図である。図19の例では、ユーザにより「PG」が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「98%」であり、「G」が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「90%」であり、「M」が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「16%」であり、「PM」が指定された領域に対応する光沢制御版の濃度値は「6%」である。また、記憶部12には、上述した複数種類の表面効果選択テーブル(複数種類のテーブル番号と1対1に対応する複数種類の表面効果選択テーブル)が格納される。すなわち、本実施形態では、上述した複数種類の表面効果選択テーブルは、DFE30およびホスト装置10の各々に搭載されている。
【0093】
版データ生成部122は、図19に示す濃度値選択テーブルを参照しながら、ユーザにより所定の表面効果が指定された描画オブジェクトの濃度値(光沢制御値)を、当該表面効果の種類に応じた値に設定することで、光沢制御版の画像データを生成する。例えばユーザにより、図2の対象画像のうち、「ABC」と表示される領域に「PG」、長方形の領域に「G」、円形の領域に「M」を与えることが指定された場合を想定する。この場合、版データ生成部122は、ユーザにより「PG」が指定された領域(「ABC」)の濃度値を「98%」に設定し、「G」が指定された領域(「長方形」)の濃度値を「90%」に設定し、「M」が指定された領域(「円形」)の濃度値を「16%」に設定することで、図20に示されるような光沢制御版の画像データを生成する。版データ生成部122で生成された光沢制御版の画像データは、点の座標と、それを結ぶ線や面の方程式のパラメータ、および、塗り潰しや特殊効果などの描画情報の集合として表現されるベクター形式の画像データである。本実施形態では、版データ生成部122で生成される光沢制御版の画像データの形式としてPDF形式が用いられるが、これに限られるものではなく、光沢制御版の画像データの形式は任意である。版データ生成部122は、光沢制御版の画像データと、対象画像の画像データ(有色版の画像データ)と、クリア版の画像データとを統合した原稿データを生成して印刷データ生成部123へ渡す。
【0094】
印刷データ生成部123は、原稿データに基づいて印刷データを生成する。印刷データは、光沢制御版の画像データと、対象画像の画像データと、クリア版の画像データと、例えばプリンタの設定、集約の設定、両面の設定などをプリンタに対して指定するジョブコマンドとを含んで構成される。図21は、印刷データの構成例を概念的に示す模式図である。図21の例では、ジョブコマンドとして、JDF(Job Definition Format)が用いられているが、これに限られるものではない。図21に示すJDFは、集約の設定として「片面印刷・ステープル有り」を指定するコマンドである。また、印刷データは、PostScriptのようなページ記述言語(PDL)に変換されてもよいし、DFE30が対応していれば、PDF形式のままでもよい。
【0095】
テーブル番号要求部124は、テーブル番号の取得を要求するテーブル番号要求をDFE30に対して送信するようにI/F部11を制御する。取得部125は、テーブル番号要求に対する応答としてのテーブル番号をDFE30から取得する。
【0096】
置換部126は、取得部125で取得されたテーブル番号に対応する表面効果選択テーブルを記憶部12から読み出す。そして、置換部126は、その読み出した表面効果選択テーブルを参照して、版データ生成部122で生成された光沢制御版の画像データ、または、印刷データに含まれる光沢制御版の画像データにおいてユーザにより指定された表面効果の種類を、実現可能な表面効果の種類に置き換える。例えば取得部125で取得されたテーブル番号が「2」であった場合、当該テーブル番号2に対応する表面効果選択テーブルは図10に示す表面効果選択テーブルとなる。この場合、ユーザにより指定された表面効果「G」は、実現可能な表面効果「PG」に置き換えられ、ユーザにより指定された表面効果「M」は、実現可能な表面効果「PM」に置き換えられる。
【0097】
プレビュー画像生成部127は、置換部126による置き換えが行われた光沢制御版の画像データと、対象画像の画像データ(有色版の画像データ)とに基づいて、印刷装置20が実行する印刷の結果を推定した画像を示すプレビュー画像を生成する。プレビュー画像表示制御部128は、プレビュー画像生成部127で生成されたプレビュー画像を表示するように表示部14を制御する。
【0098】
次に、本実施形態のホスト装置10が実行するプレビュー画像表示処理を実行する。図22は、ホスト装置10(制御部15)が実行するプレビュー画像表示処理の一例を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理の例では、透明画像の指定がなくクリア版の画像データが生成されない場合の例で説明する。
【0099】
図22に示すように、まず入力制御部120が画像指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS11の結果:YES)、画像表示制御部121は、受け付けた画像指定情報で指定された画像を表示するように表示部14を制御する(ステップS12)。次に、入力制御部120が指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS13の結果:YES)、版データ生成部122は、受け付けた指定情報に基づいて、光沢制御版の画像データを生成する(ステップS14)。そして、版データ生成部122は、光沢制御版の画像データと対象画像の画像データとを統合した原稿データを生成して印刷データ生成部123へ渡す。
【0100】
次に、印刷データ生成部123は、原稿データに基づいて印刷データを生成する(ステップS15)。次に、入力制御部120が、プレビュー画像の表示を要求するプレビュー要求の入力を受け付けた場合(ステップS16の結果:YES)、テーブル番号要求部124は、テーブル番号要求をDFE30へ送信するようにI/F部11を制御する(ステップS17)。
【0101】
次に、取得部125が、テーブル番号要求に対する応答としてのテーブル番号をDFE30から取得した場合(ステップS18の結果:YES)、置換部126は、取得部125で取得されたテーブル番号に対応する表面効果選択テーブルを記憶部12から読み出す(ステップS19)。次に、置換部126は、その読み出した表面効果選択テーブルを参照して、版データ生成部122で生成された光沢制御版の画像データにおいてユーザにより指定された表面効果の種類を、実現可能な表面効果の種類に置き換える(ステップS20)。
【0102】
一例として、取得部125で取得されたテーブル番号が「2」であった場合、つまりは、後処理機60として、グロッサ70と低温定着後処理装置90とが搭載され(通常定着後処理装置80は搭載されず)、「光沢優先」が指定されている場合(図7参照)を想定する。この場合、装置構成情報および優先情報に対応する表面効果選択テーブルは図13の表面効果選択テーブルとなる。この場合、置換部126は、図13の表面効果選択テーブルを参照しながら、光沢制御版の画像データにおいてユーザにより指定された表面効果の種類を、実現可能な表面効果の種類に置き換える。図20の光沢制御版の画像データを例に挙げて説明すると、ユーザにより表面効果「G」が指定された長方形の領域に与えられる表面効果の種類は「PG」に置き換えられ(図13参照)、ユーザにより「M」が指定された円形の領域に与えられる表面効果の種類は「PM」に置き換えられる(図13参照)。すなわち、置換部126は、ユーザにより「G」が指定された長方形の領域の濃度値を「90%」から「98%」に置き換え、「M」が指定された円形の領域の濃度値を「16%」から「6%」に置き換えることで、図23に示されるような光沢制御版の画像データを生成する。
【0103】
次に、プレビュー画像生成部127は、ステップS20の置き換えが行われた前記光沢制御版の画像データと、対象画像の画像データとに基づいて、プレビュー画像を生成する(ステップS21)。そして、プレビュー画像表示制御部128は、プレビュー画像生成部127で生成されたプレビュー画像を表示するように表示部14を制御する(ステップS22)。その後、入力制御部120が、印刷の実行を指示する印刷指示の入力を受け付けると、ホスト装置10は、ステップS15で生成した印刷データをDFE30へ送信するが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0104】
本実施形態では、表面効果の種類に対応する表示パターンが予め定められており、「PG」が与えられる領域については、「PG」に対応する表示パターン(例えば右上から左下へ向かう複数の斜線で表されるパターン)で表示され、「G」が与えられる領域については、「G」に対応するパターン(例えば左上から右下へ向かう複数の斜線で表されるパターン)で表示され、「M」が与えられる領域については、「M」に対応するパターン(互いに並列に水平方向に延びる複数の直線で表されるパターン)で表示され、「PM」が与えられる領域については、「PM」に対応するパターン(互いに並列に垂直方向に延びる複数の直線で表されるパターン)で表示される。なお、これに限らず、表面効果の表示方法は任意であり、有色のレイヤー表示を行ってもよいし、3D表示を行って光源の設定をし、光の反射で光沢を表現してもよい。また、ユーザの指定とは異なる種類の表面効果に種類に置き換えられた領域を強調して表示することもできる。強調表示の方法は任意であり、例えば色を変えて表示してもよいし、点滅表示や警告表示を行ってもよい。
【0105】
また、上述のステップS18で取得したテーブル番号とは異なるテーブル番号に対応する表面選択効果テーブルを用いた置き換えを行い、その結果に基づくプレビュー画像を表示することもできる。例えば取得したテーブル番号が「2」であっても、当該テーブル番号「2」に対応する表面効果選択テーブルに基づくプレビュー表示と併せて、テーブル番号「3」に対応する表面効果選択テーブルを用いて置き換えを行い、その結果に基づくプレビュー表示を行うこともできる。この場合、後処理機60の装置構成は同じであっても、「光沢優先」が指定された場合のプレビュー画像と、「種類優先」が指定された場合のプレビュー画像とを比較できるので、ユーザは、「光沢優先」および「種類優先」の何れかで印刷を実行するのか判断することが可能になる。
【0106】
以上に説明したように、本実施形態では、ユーザにより指定された表面効果の種類を、印刷装置20の装置構成で実現可能な表面効果の種類に置き換えた光沢制御版の画像データに基づいてプレビュー表示が行われるので、実際の印刷結果に近いプレビュー表示を実現できるという有利な効果を奏する。
【0107】
<B:第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、テーブル番号は、装置構成情報および後述の回数情報に応じて特定され、そのテーブル番号に対応する表面効果選択テーブルが、ホスト装置10およびDFE30の各々に設けられる。以下、第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。第1実施形態と共通する部分については、同一の符号を付して適宜に説明を省略する。
【0108】
図24は、第2実施形態の印刷装置20の概略構成例を示す図である。図24に示すように、印刷装置20は、第1搬送路150と、第2搬送路160と、切替部170とを備える。第1搬送路150は、記録媒体を、プリンタ機50から後処理機60へ搬送し、後処理機60を通過した記録媒体を外部へ搬送するための搬送路である。図24に示すように、第1搬送路150の搬送方向は、プリンタ機50側から後処理機60側へ向かう方向Aである。第2搬送路160は、後処理機60を通過した記録媒体を、第1搬送路150のうちプリンタ機50よりも上流側の位置へ戻すための搬送路である。記録媒体は、第1搬送路150で搬送されているときは、プリンタ機50や後処理機60によって各種処理が行われ得る状態であり、第2搬送路160で搬送されているときは、各種処理が行われない。
【0109】
図24に示すように、第2搬送路160の搬送方向は、第1搬送路150の搬送方向Aとは反対の方向Bである。切替部170は、DFE30の制御の下、後処理機60を通過した記録媒体の搬送路を、第1搬送路150および第2搬送路160のうちの何れかに切り替える手段である。
【0110】
本実施形態では、ユーザは、入力部34を操作することにより、1回の印刷において、記録媒体が前記第1搬送路150で搬送される回数(プリンタ機50および後処理機60を通過する回数)を指定する回数情報を入力することができる。なお、回数情報の入力方法は任意であり、これに限られるものではない。回数情報として「1」が指定された場合を「1パス」が指定されたと呼び、「2」が指定された場合を「2パス」が指定されたと呼ぶこともできる。DFE30は、記録媒体が、1回の印刷において第1搬送路150で搬送される回数が、ユーザにより入力された回数情報で指定された回数となるように切替部170を制御する。
【0111】
図25は、本実施形態のDFE30の構成例を示すブロック図である。図25に示すように、制御部35が有する機能として、優先情報受付部107の代わりに回数情報受付部112が含まれる点が第1実施形態と相違する。回数情報受付部112は、回数情報の入力を受け付け、その受け付けた回数情報をクリアプロセッシング108へ出力する。クリアプロセッシング108は、入力された装置構成情報および回数情報に対応する表面効果選択テーブル(後述)を参照して、グロッサ70のオン又はオフを決定すると共に、入力された光沢制御版の画像データを用いて、クリアトナーを付着させるための2ビットのクリア版のクリア画像データ(クリアトナー版の画像データ)を生成する。以下、具体的な内容を説明する。
【0112】
ここで、記憶部33には、装置構成情報および回数情報と、テーブル番号とを対応付けて記憶する参照テーブルが格納される。図26は、参照テーブルの一例を示す図である。
【0113】
また、記憶部33には、複数種類のテーブル番号と1対1に対応する複数種類の表面効果選択テーブルが格納される。各表面効果選択テーブルは、「0%」〜「98%」の範囲で表現される光沢制御版の画像データの濃度値と、「0」〜「255」の範囲で表現される光沢制御版の画像データの濃度値と、ユーザにより指定された表面効果の種類と、グロッサ70のオンおよびオフの何れかを指定するオンオフ情報と、クリアトナー版の画像データの濃度値の決定方法と、実現可能な表面効果の種類とを対応付けて記憶する。各表面効果選択テーブルの内容は、装置構成情報および回数情報に応じて決定され、テーブル番号ごとに異なる。
【0114】
クリアプロセッシング108は、図26に示す参照テーブルを参照しながら、入力された装置構成情報および回数情報に対応するテーブル番号を特定し、その特定したテーブル番号に対応する表面効果選択テーブルを記憶部33から読み出す。例えば、後処理機60として、グロッサ70と低温定着後処理装置90とが搭載され、「2パス」が指定された場合を想定する。この場合、図26からも理解されるように、装置構成情報および回数情報に対応するテーブル番号は「4」となる。
【0115】
図27は、テーブル番号「4」に対応する表面効果選択テーブルの例を示す図である。図27の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「238」〜「255」(94%〜98%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はPG(鏡面光沢)、1回目の搬送時のオンオフ情報は「オン」、2回目の搬送時のオンオフ情報は「オフ」、1回目の搬送時に用いられる第1のクリアトナー版の画像データClr−1(以下、単に「Clr−1」と表記する)における当該画素の濃度値は「インバースマスク1」により求められて8ビットで表現され、2回目の搬送時に用いられるClr−1における当該画素の濃度値は無く、1回目の搬送時に用いられる第3のクリアトナー版の画像データClr−3(以下、単に「Clr−3」と表記する)における当該画素の濃度値は無く、2回目の搬送時に用いられるClr−3における当該画素の濃度値は無く、実現される表面効果の種類は「PG」であることが示されている。
【0116】
また、図27の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「212」〜「232」(84%〜90%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はG(ベタ光沢)、1回目の搬送時のオンオフ情報は「オン」、2回目の搬送時のオンオフ情報は「オフ」、1回目の搬送時に用いられるClr−1における当該画素の濃度値は「インバースマスクm」により求められ、2回目の搬送時に用いられるClr−1における当該画素の濃度値は「ベタ」により求められ、1回目の搬送時に用いられるClr−3における当該画素の濃度値は無く、2回目の搬送時に用いられるClr−3における当該画素の濃度値は無く、実現される表面効果の種類は「G」であることが示されている。
【0117】
また、図27の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「23」〜「43」(10%〜16%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はM(網点マット)、1回目の搬送時のオンオフ情報は「オン」、2回目の搬送時のオンオフ情報は「オフ」、1回目の搬送時に用いられるClr−1における当該画素の濃度値は無く、2回目の搬送時に用いられるClr−1における当該画素の濃度値は「halftone−n」により求められ、1回目の搬送時に用いられるClr−3における当該画素の濃度値は無く、2回目の搬送時に用いられるClr−3における当該画素の濃度値は無く、実現される表面効果の種類は「M」であることが示されている。
【0118】
さらに、図27の例では、光沢制御版の画像データに含まれる画素の濃度値が「1」〜「17」(0%〜6%)の場合、当該画素の濃度値に対応して、ユーザにより指定された表面効果の種類はPM(つや消し)、1回目の搬送時のオンオフ情報は「オン」、2回目の搬送時のオンオフ情報は「オフ」、1回目の搬送時に用いられるClr−1における当該画素の濃度値は無く、2回目の搬送時に用いられるClr−1における当該画素の濃度値は無く、1回目の搬送時に用いられるClr−3における当該画素の濃度値は無く、2回目の搬送時に用いられるClr−3における当該画素の濃度値は「ベタ」により求められ、実現される表面効果の種類は「PM」であることが示されている。
【0119】
再び図25に戻って説明する。クリアプロセッシング108は、図27の表面効果選択テーブルを参照して、1回目の搬送時および2回目の搬送時の各々におけるグロッサ70のオン又はオフを決定するとともに(この場合、1回目は「オン」、2回目は「オフ」)、入力された光沢制御版の画像データを用いて、1回目の搬送時および2回目の搬送時の各々における8ビットのClr−1を生成する。そして、1回目の搬送時および2回目の搬送時の各々における8ビットのClr−1に対してハーフトーン処理を行い、2ビットのClr−1に変換してSi3部109へ出力する。Si3部109は、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの画像データと、1回目の搬送時に用いられる各2ビットのClr−1およびClr−3とを統合した第1画像データを生成するとともに、ハーフトーン処理後のCMYKの各2ビットの画像データと、2回目の搬送時に用いられる各2ビットClr−1およびClr−3とを統合した第2画像データを生成する。
【0120】
そして、DFE30は、第1画像データおよび第2画像データに基づく印刷を実行するようにプリンタ機50および後処理機60を制御する印刷制御処理を実行する。図28は、DFE30が実行する印刷制御処理の一例を示すフローチャートである。図28に示すように、まずDFE30は、第1画像データに基づく印刷(画像形成)を実行するように、プリンタ機50および後処理機60を制御する(ステップS30)。より具体的には、DFE30は、MIC40を介して、CMYKの色版の画像データ、および、1回目の搬送に用いられるClr−1をプリンタ機50に出力する。また、DFE30は、MIC40を介して、「オン」を指定するオンオフ情報をグロッサ70へ出力する。これを受けて、グロッサ70はオン状態に遷移する。さらに、DFE30は、MIC40を介して、1回目の搬送時に用いられるClr−3を低温定着後処理装置90へ出力する。
【0121】
プリンタ機50は、MIC40から出力されたCMYKの色版の画像データ及び1回目の搬送時に用いられるClr−1を用いて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成してこれを記録媒体に転写した後に定着させる。これによって記録媒体に、CMYKのトナーおよびクリアトナーが付着されて、画像が形成される。その後、搬送路に沿って記録媒体が搬送されて、オン状態になっているグロッサ70の位置に到ると、当該グロッサ70は、当該記録媒体を高温及び高圧で加圧する。
【0122】
低温定着後処理装置90は、MIC40から出力されたClr−3を用いてクリアトナーによるトナー像を形成し、グロッサ70を通過した記録媒体上に当該トナー像を重ねて、低温での加熱および加圧を与えて記録媒体に定着させる。以上により、第1画像データに基づく印刷が終了する(1回目の搬送時における印刷が終了する)。
【0123】
次に、DFE30は、指定された回数情報に応じて、後処理機60を通過した記録媒体の搬送路を、第1搬送路150および第2搬送路160の何れかに切り替える切替制御を実行する(ステップS31)。回数情報で「1」が指定された場合は、DFE30は、後処理機60を通過した記録媒体の搬送路を、第1搬送路150へ切り替えるように切替部170を制御する一方、回数情報で「2」が指定された場合は、DFE30は、後処理機60を通過した記録媒体の搬送路を、第2搬送路160へ切り替えるように切替部170を制御するという具合である。ここでは、回数情報で「2」が指定されているので、DFE30は、後処理機60を通過した記録媒体の搬送路を、第2搬送路160へ切り替えるように切替部170を制御する。
【0124】
次に、処理はステップS32に移行し、DFE30は、記録媒体の搬送路が第2搬送路160に切り替えられたか否かを判定する。記録媒体の搬送路が第2搬送路160に切り替えられたと判定された場合(ステップS32:YES)、処理はステップS33に移行する一方、記録媒体の搬送路が第2搬送路160に切り替えられていないと判定された場合(ステップS32:NO)、処理は終了する。
【0125】
ステップS33では、DFE30は、第2画像データに基づく印刷(画像形成)を実行するように、プリンタ機50および後処理機60を制御する。より具体的には、DFE30は、MIC40を介して、CMYKの色版の画像データ、および、2回目の搬送時に用いられるClr−1をプリンタ機50に出力する。また、DFE30は、MIC40を介して、「オン」を指定するオンオフ情報をグロッサ70へ出力する。これを受けて、グロッサ70はオン状態に遷移する。さらに、DFE30は、MIC40を介して、2回目の搬送時に用いられるClr−3を低温定着後処理装置90へ出力する。
【0126】
プリンタ機50は、MIC40から出力されたCMYKの色版の画像データ及び2回目の搬送時に用いられるClr−1を用いて、露光器から光ビームを照射して各トナーに応じたトナー像を感光体上に形成してこれを記録媒体に転写した後に定着させる。これによって記録媒体に、CMYKのトナーおよびクリアトナーが付着されて、画像が形成される。その後、搬送路に沿って記録媒体が搬送されて、オン状態になっているグロッサ70の位置に到ると、当該グロッサ70は、当該記録媒体を高温及び高圧で加圧する。
【0127】
低温定着後処理装置90は、MIC40から出力された2回目の搬送時に用いられるClr−3を用いてクリアトナーによるトナー像を形成し、グロッサ70を通過した記録媒体上に当該トナー像を重ねて、低温での加熱および加圧を与えて記録媒体に定着させる。以上により、第2画像データに基づく印刷が終了(2回目の搬送時における印刷が終了)し、印刷制御処理が終了する。以上の印刷制御処理が実行されることにより、図29に示されるように、ユーザによってPG(鏡面光沢)が指定された領域においては、PGとしての効果が実現され、ユーザによってG(ベタ光沢)が指定された領域においては、Gとしての効果が実現される。また、ユーザによってM(網点マット)が指定された領域においては、Mとしての効果が実現され、ユーザによってPM(つや消し)が指定された領域においては、PMとしての効果が実現される。すなわち、後処理機60として、通常定着後処理装置80が搭載されていなくても、PG(鏡面光沢)、G(ベタ光沢)、M(網点マット)、PM(つや消し)の4種類全ての表面効果を実現することができる。なお、表面効果を与える領域として指定されていない領域には、いずれの表面効果も与えられない。
【0128】
また、本実施形態では、ホスト装置10の記憶部12にも、上述した複数種類の表面効果選択テーブルが格納される。その他の構成は第1実施形態と同じである。第2実施形態においても、ユーザにより指定された表面効果の種類を、実現可能な表面効果の種類に置き換えた光沢制御版の画像データに基づいてプレビュー表示が行われるので、実際の印刷結果に近いプレビュー表示を実現できるという有利な効果を奏する。
【0129】
<C:第3実施形態>
上述の各実施形態では、ホスト装置10がプレビュー画像表示処理を実行するように構成したが、これに限定されるものではない。
【0130】
すなわち、一の装置で行っていた複数の処理のいずれかを、一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成にしてもよい。
【0131】
その一例として、本実施形態に係る画像形成システムでは、ホスト装置の機能の一部を、ネットワーク上のサーバ装置上に実装している。
【0132】
図30は、本実施形態に係る画像形成システム100Dの構成を例示する図である。図30に示すように、画像形成システム100Dは、ホスト装置110と、印刷装置20と、を備えている。
【0133】
本実施形態では、ホスト装置110が、インターネット等のネットワークを介して、サーバ装置3060と接続された構成となっている。また、本実施形態では、上記実施形態のホスト装置10における版データ生成部122、印刷データ生成部123、テーブル番号要求部124、取得部125、置換部126、および、プレビュー画像生成部127の機能を、サーバ装置3060に設けた構成となっている。なお、印刷装置20の構成は、上記実施形態と同様である。
【0134】
すなわち、具体的には、本実施形態では、ホスト装置110がインターネット等のネットワーク(クラウド)を介して、単一のサーバ装置3060に接続し、サーバ装置3060は、上記実施形態の版データ生成部122、印刷データ生成部123、テーブル番号要求部124、取得部125、置換部126、および、プレビュー画像生成部127の機能を設けて、サーバ装置3060で、プレビュー画像を生成する処理を行うように構成している。
【0135】
まず、サーバ装置3060について説明する。図31は、本実施形態にかかるサーバ装置3060の機能的構成を示すブロック図である。サーバ装置3060は、記憶部3070と、版データ生成部3301と、印刷データ生成部3302と、テーブル番号要求部3303と、取得部3304と、置換部3305と、プレビュー画像生成部3306と、通信部3065と、を主に備えている。
【0136】
記憶部3070は、HDDやメモリ等の記憶媒体であり、上述の濃度値選択テーブルや複数種類の表面効果選択テーブルなどの各種のデータを記憶する。版データ生成部3301、印刷データ生成部3302、テーブル番号要求部3303、取得部3304、置換部3305、および、プレビュー画像生成部3306の各々の機能は、上記実施形態のホスト装置10における版データ生成部122、印刷データ生成部123、テーブル番号要求部124、取得部125、置換部126、および、プレビュー画像生成部127の各々の機能と同様である。通信部3065は、ホスト装置110との間で通信を行うためのインタフェース装置である。
【0137】
次に、ホスト装置110について説明する。
【0138】
図32は、ホスト装置110を示す機能ブロック図である。ホスト装置110は、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、制御部3015と、I/F部3011とを主に備える。制御部3015は、入力制御部120と、表示制御部121と、プレビュー画像表示制御部128とを備える。入力制御部120、表示制御部121、および、プレビュー画像表示制御部128の各々の機能は、上記実施形態と同様である。I/F部3011は、DFE30およびサーバ装置3060の各々との間でデータのやり取りを行うことができる。
【0139】
次に、本実施形態のホスト装置110およびサーバ装置3060により実行されるプレビュー画像表示処理について説明する。
【0140】
図33は、ホスト装置110が実行する処理の手順を示すフローチャートである。図33に示すように、まず入力制御部120が画像指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS3601の結果:YES)、画像表示制御部121は、受け付けた画像指定情報で指定された画像を表示するように表示部14を制御する(ステップS3602)。次に、入力制御部120が指定情報の入力を受け付けた場合(ステップS3603の結果:YES)、I/F部3011は、サーバ装置3060に対して、印刷データの生成要求を、入力された画像指定情報および指定情報とともに送信する(ステップS3604)。
【0141】
そして、サーバ装置3060で、印刷データが生成されたら、I/F部3011が当該印刷データを受信する(ステップS3605)。次に、入力制御部120が、プレビュー画像の表示を要求するプレビュー要求の入力を受け付けた場合(ステップS3606の結果:YES)、I/F部3011は、プレビュー画像の生成要求をサーバ装置3060へ送信する(ステップS3607)。
【0142】
そして、サーバ装置3060で、プレビュー画像が生成されたら、I/F部3011が当該プレビュー画像を受信する(ステップS3608)。次に、プレビュー画像表示制御部128は、サーバ装置3060で生成されたプレビュー画像を表示するように表示部14を制御する(ステップS3609)。
【0143】
図34は、サーバ装置3060が実行する処理の手順を示すフローチャートである。図34に示すように、通信部3065が、ホスト装置110から印刷データの生成要求と画像指定情報と指定情報とを受信したら(ステップS3701)、版データ生成部3301は、まず、画像指定情報に基づいて、有色版の画像データを生成する(ステップS3702)。次に、版データ生成部3301は、指定情報に基づいて、光沢制御版の画像データを生成する(ステップS3703)。そして、版データ生成部3301は、有色版の画像データと、光沢制御版の画像データとを統合した原稿データを生成して印刷データ生成部3302へ渡す。
【0144】
次に、印刷データ生成部3302は、原稿データに基づいて印刷データを生成し、通信部3065は、印刷データの生成要求に対する応答として、生成した印刷データをホスト装置110へ送信する(ステップS3704)。
【0145】
次に、通信部3065が、ホスト装置110からプレビュー画像の生成要求を受信したら(ステップS3705)、テーブル要求取得部3303は、通信部3065を介して、テーブル番号要求をDFE30に送信する(ステップS3706)。次に、取得部3304が、テーブル番号要求に対する応答としてのテーブル番号を、通信部3065を介してDFE30から取得した場合(ステップS3707の結果:YESの場合)、置換部3304は、取得部3304で取得されたテーブル番号に対応する表面効果選択テーブルを記憶部3070から読み出す(ステップS3708)。次に、置換部3304は、その読み出した表面効果選択テーブルを参照して、版データ生成部3301で生成された光沢制御版の画像データにおいてユーザにより指定された表面効果の種類を、実現可能な表面効果の種類に置き換える(ステップS3709)。次に、プレビュー画像生成部3306は、ステップS3709の置き換えが行われた光沢制御版の画像データと、有色版の画像データとに基づいて、プレビュー画像を生成する(ステップS3710)。そして、通信部3065は、プレビュー画像の生成要求に対する応答として、生成したプレビュー画像をホスト装置110へ送信する(ステップS3711)。
【0146】
以上説明したように、本実施形態では、プレビュー画像の生成を、クラウド上のサーバ装置3060で行っているので、上記実施形態の効果の他、複数のホスト装置110が存在する場合でも、プレビュー画像の生成を一括して行うことができ、管理者の便宜となる。
【0147】
なお、本実施形態では、クラウド上の単一のサーバ装置3060に、版データ生成部3301、印刷データ生成部3302、テーブル番号要求部3303、取得部3304、置換部3305、および、プレビュー画像生成部3306を設けた構成としたが、これに限定されるものではない。
【0148】
例えば、クラウド上に2以上のサーバ装置を設け、上記各処理を、2以上のサーバ装置で分散させて実行するように構成してもよい。なお、各処理の各サーバ装置への分散の形態はこれに限定されるものではなく、任意に行うことができる。
【0149】
すなわち、ホスト装置110に、入力部13、表示部14、入力制御部120、表示制御部121、及びI/F部3011等の最低限の構成を設ければ、各処理の一部または全部をクラウド上の一つのサーバ装置に集中して設けたり、複数のサーバ装置に分散させて設けたりすることは任意に行うことができる。
【0150】
言い換えると、上述の例のように、一の装置で行っていた複数の処理のいずれかを、一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成にすることができる。
【0151】
また、上記の「一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成」の場合、一の装置で行われた処理で発生したデータ(情報)を一の装置から他の装置に出力する処理、そのデータを他の装置が入力する処理等、一の装置と他の装置間、さらには、他の装置間同士で行われるデータの入出力処理を含むような構成となる。
【0152】
つまり、他の装置が1つの場合では、一の装置と他の装置間で行われるデータの入出力処理を含むような構成となり、他の装置が2以上の場合では、一の装置と他の装置間、及び、第一の他の装置・第二の他の装置間のように他の装置間同士でデータの入出力処理を含むような構成となる。
【0153】
また、本実施形態では、サーバ装置3060などの1または複数のサーバ装置を、クラウド上に設けているが、これに限定されるものではない。例えば、サーバ装置3060などの1または複数のサーバ装置を、イントラネット上に設ける等、あらゆるネットワーク上に設けた構成としてもよい。
【0154】
次に、上述した実施形態のホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060のハードウェア構成について説明する。図30は、本実施形態のホスト装置11、11A、110、DFE30、及びサーバ装置3060のハードウェア構成例を示すブロック図である。本実施形態のホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060は、CPUなどの制御装置1010と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの主記憶装置1020と、HDD、CDドライブ装置などの補助記憶装置1030と、ディスプレイ装置などの表示装置1040と、キーボードやマウスなどの入力装置1050と、を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0155】
本実施形態のホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0156】
また、本実施形態のホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態のホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態のホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060で実行される制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0157】
本実施形態のホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060で実行されるプログラムは、上述した各部を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記記憶媒体から制御プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、上記各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。なお、上述の実施形態では、ホスト装置10、110、DFE30、及びサーバ装置3060が本実施形態に係る処理を実行しているが、これに限らず、本実施形態に係る処理を実行する装置の種類は任意であり、例えばPCで処理を実行することもできる。
【0158】
なお、例えば、ホスト装置10(110)と印刷装置20を一体的に形成して1つの画像形成装置として構成するようにしてもよい。また、MIC40とプリンタ機50とを一体的に構成してもよい。さらに、上記実施形態の画像形成システムでは、MIC40を備えた構成としているが、これに限定されるものではない。上述したMIC40が行う処理、機能をDFE30等の他の装置にもたせて、MIC40を設けない構成としてもよい。
【0159】
また、例えばホスト装置10は、上述の表面効果選択テーブルの代わりに、図36に示されるような置換テーブルを有する構成であってもよい。置換テーブルは、前述のテーブル番号に対応付けられる。図36の置換テーブルは、図7に示すテーブル番号「2」に対応する置換テーブルである。図36に示すように、置換テーブルは、光沢制御版の画像データの濃度値と、ユーザにより指定された表面効果の種類と、実現可能な表面効果の種類とを対応付けて記憶する。この構成であっても、ホスト装置10は、DFE30から取得したテーブル番号に対応する置換テーブルを記憶部12から読み出し、その読み出した置換テーブルを用いて、図22のステップS20の置き換えを行うことができるので、上述の各実施形態と同様の効果を達成できる。
【0160】
また、例えばホスト装置10が表面効果選択テーブルを有していない構成であってもよい。この構成では、ホスト装置10は、プレビュー要求の入力を受け付けた場合(図22のステップS16の結果:YES)、DFE30にアクセスして、そのときの印刷装置20の装置構成および優先情報(または回数情報)に対応する表面効果選択テーブルの情報(データ構造)を取得する。そして、ホスト装置10は、その取得した表面効果選択テーブルの情報を参照しながら、光沢制御版の画像データにおいてユーザにより指定された表面効果の種類を、実現可能な表面効果の種類に置き換えることができる。さらに、表面効果選択テーブルが、画像形成システム100とは別個のサーバ装置などの外部装置に格納される構成であってもよい。この構成では、ホスト装置10およびDFE30は、必要に応じて、当該外部装置にアクセスして表面効果選択テーブルの情報を取得するという具合である。
【0161】
要するに、ホスト装置10は、印刷装置20の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な表面効果の種類に置き換えるための置換情報を取得できればよい。また、置換情報の種類は任意であり、上述の各実施形態のように、印刷装置20の装置構成および優先情報(または回数情報)に応じて特定されるテーブル番号を置換情報として採用することもできるし、表面効果選択テーブルの情報(データ構造)を置換情報として採用することもできる。
【符号の説明】
【0162】
10,110 ホスト装置
11 I/F部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 制御部
20 印刷装置
30 DFE
31 I/F部
32 I/F部
33 記憶部
34 入力部
35 制御部
50 プリンタ機
60 後処理機
70 グロッサ
80 通常定着後処理装置
90 低温定着後処理装置
100 画像形成システム
101 レンダリングエンジン
102 Si1部
103 TRC
104 Si2部
105 ハーフトーンエンジン
106 装置構成取得部
107 優先情報受付部
108 クリアプロセッシング
109 Si3部
110 テーブル番号特定部
111 テーブル番号送信制御部
112 回数情報受付部
120 受付部
121 光沢制御版生成部
121 対象画像表示制御部
122,3301 版データ生成部
123,3302 印刷データ生成部
124,3303 テーブル番号要求部
125,3304 取得部
126,3305 置換部
127,3306 プレビュー画像生成部
128 プレビュー画像表示制御部
150 第1搬送路
160 第2搬送路
170 切替部
3060 サーバ装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0163】
【特許文献1】特開2008−145784号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データにおいて表面効果が与えられる領域および当該表面効果の種類を指定する指定情報の入力を受け付ける受付部と、
前記指定情報に基づいて、記録媒体に付与する表面効果の種類と前記表面効果を付与する記録媒体における領域を特定する光沢制御版データを生成する光沢制御版生成部と、
前記画像データに基づいて前記記録媒体に画像を形成する印刷手段の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない前記表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な前記表面効果の種類に置き換えるための置換情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記置換情報を用いて、前記指定情報で指定された前記表面効果の種類を、実現可能な前記表面効果の種類に置き換える置換部と、
前記置換部による置き換えが行われた前記光沢制御版データに基づいて、前記印刷手段が実行する印刷の結果を推定した画像を示すプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、
前記プレビュー画像生成部で生成された前記プレビュー画像を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする表示処理装置。
【請求項2】
複数種類の前記置換情報と1対1に対応し、前記指定情報により指定される前記表面効果の種類と、実現可能な前記表面効果の種類とを対応付けて記憶する複数種類のテーブルをさらに備え、
前記置換部は、前記取得部で取得された前記置換情報に対応する前記テーブルを用いて、前記指定情報で指定された前記表面効果の種類を、実現可能な前記表面効果の種類に置き換える、
ことを特徴とする請求項1に記載の表示処理装置。
【請求項3】
前記置換情報は、前記装置構成と、前記装置構成により実現できる複数種類の前記表面効果のうち最も光沢度の高い種類の前記表面効果に置き換えることを示す光沢優先、および、最も光沢度の高い種類の前記表面効果以外の前記表面効果に置き換えることを示す種類優先のうちの一方を指定可能な優先情報とに応じた情報である、
ことを特徴とする請求項2に記載の表示処理装置。
【請求項4】
画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する印刷手段と、前記印刷手段が実行する印刷の結果を推定した画像を示すプレビュー画像を表示する表示処理装置とを備えた画像形成システムであって、
前記表示処理装置は、
画像データにおいて表面効果が与えられる領域および当該表面効果の種類を指定する指定情報の入力を受け付ける受付部と、
前記指定情報に基づいて記録媒体に付与する表面効果の種類と前記表面効果を付与する記録媒体における領域を特定する光沢制御版データを生成する光沢制御版生成部と、
前記印刷手段の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない前記表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な前記表面効果の種類に置き換えるための置換情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された前記置換情報を用いて、前記指定情報で指定された前記表面効果の種類を、実現可能な前記表面効果の種類に置き換える置換部と、
前記置換部による置き換えが行われた前記光沢制御版データに基づいて、前記プレビュー画像を生成するプレビュー画像生成部と、
前記プレビュー画像生成部で生成された前記プレビュー画像を表示する表示部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
前記印刷手段は、
有色の有色トナー及び無色のクリアトナーによるトナー像を前記記録媒体に形成するプリンタ機と、
前記プリンタ機が形成した前記記録媒体上の前記トナー像を該記録媒体に再定着し、該記録媒体上の該トナー像の表面の平滑度をより向上させることで該トナー像の光沢度を高める第1装置、及び前記光沢制御版データに基づいて生成される無色の画像データであるクリアトナー版データを用いて、前記クリアトナーによるトナー像を前記記録媒体に形成して所定の温度で定着させる複数の第2装置の内の少なくとも1以上を有する後処理機と、を備え、
前記置換情報は、前記後処理機の構成に応じた情報である、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記印刷手段は、
前記記録媒体を、前記画像形成部から前記後処理機へ向けて搬送し、前記後処理機を通過した前記転写紙を外部へ搬送するための第1搬送路と、
前記後処理機を通過した前記転写紙を、前記外部へ搬送せずに、前記第1搬送路のうち前記画像形成部よりも上流側の位置へ戻すための第2搬送路と、
前記後処理機を通過した前記転写紙の搬送路を、前記第1搬送路および前記第2搬送路の何れかに切り替える切替部と、を備え、
前記置換情報は、1回の印刷において、前記転写紙が前記第1搬送路で搬送される回数を指定する回数情報と、前記装置構成とに応じて特定される、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
画像データにおいて表面効果が与えられる領域および当該表面効果の種類を指定する指定情報の入力を受け付ける第1ステップと、
前記指定情報に基づいて、記録媒体に付与する表面効果の種類と前記表面効果を付与する記録媒体における領域を特定する光沢制御版データを生成する第2ステップと、
前記画像データに基づいて前記記録媒体に画像を形成する印刷手段の装置構成に応じた情報であって、当該装置構成では実現できない前記表面効果の種類を、当該装置構成で実現可能な前記表面効果の種類に置き換えるための置換情報を取得する第3ステップと、
前記第3ステップで取得した前記置換情報に応じて、前記指定情報で指定された前記表面効果の種類を、実現可能な前記表面効果の種類に置き換える第4ステップと、
前記第4ステップによる置き換えが行われた前記光沢制御版データに基づいて、前記印刷手段が実行する印刷の結果を推定した画像を示すプレビュー画像を生成する第5ステップと、
前記第5ステップで生成した前記プレビュー画像を表示する第6ステップと、を備える、
ことを特徴とする表示処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の表示処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−77292(P2013−77292A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−180281(P2012−180281)
【出願日】平成24年8月15日(2012.8.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】