説明

表示機能付きスイッチ群、及びこれを備える携帯電子機器、及びこの機器を用いた事業形態

【課題】本発明は表示領域の割合が広く、効率の良い表示が可能で、操作した際にはクリック感触により十分な操作感が得られる表示機能付きスイッチ群を実現することにある。
【解決手段】本発明は複数の透明なキートップと、開口部を備えるスイッチ回路基板と、ひとつの表示装置とから構成されるスイッチ群であって、キートップは側面の一部に突き出し部を有し、この突き出し部に対応した位置に操作感を与える弾性部材を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は携帯電話や携帯情報端末などの携帯電子機器に係り、特に表示装置と、表示機能を有する押しボタンスイッチを有する携帯電子機器、及び該機器を用いた事業形態に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、携帯電話や携帯情報端末などの携帯電子機器はテキスト情報や画像情報を表示する表示装置と、押しボタンスイッチ等の入力装置が備えられている。
【0003】押しボタンスイッチは通常、その機能がキートップ部に施された刻印や印刷により表記されている。また、より視覚的な効果を高めるため、スイッチに発光ダイオードを備えて、スイッチの切り替えにより発光,非発光を切り替えたり、発光色を切り替えるものが知られている。
【0004】しかしながら、携帯電話や携帯情報機器などの電子機器は近年、機能が多様化しており、ひとつのスイッチに複数の機能を持たせることが必要になってきている。この場合、ひとつのキートップに複数の機能を刻印あるいは印刷により表記すると、機能の表記が小さくなり視認性が悪くなったり、全ての機能をキートップに表記できなくなっている。
【0005】ところで、スイッチには予め定められた表記だけでなく、任意の画像を表示することができるスイッチが知られている。このような表示機能を備えたスイッチとしては、キートップ上に画像表示素子を設けたスイッチが特開平8−129923号公報に記載されている。また、キートップ内に設けられた液晶パネルと、液晶パネルを照明する面発光手段と、液晶パネルの表示を映し出すスクリーン窓を有するスイッチが特開平9−204148号公報に記載されている。
【0006】これらのスイッチはいずれもスイッチ1個に表示装置を1個備えるため、携帯電話のように10個以上のスイッチを必要とする機器では、部品点数の増加や、機器の複雑化により、大型化したり、重量が重くなる。このため小型・軽量が望まれる携帯情報機器には好ましくない。
【0007】また、表示機能を備えるスイッチとしては表示装置の上にタッチパネルを配置する構成が知られている。タッチパネルはキートップのように個々に独立して分離された領域がなく、その表面はほぼ平坦である。また、一般にタッチパネルはスイッチを押した場合にほとんど変形することがない。さらに隣り合うスイッチとスイッチの間には物理的な境界がないため、どのスイッチを押しているか判別しずらく、十分な操作感が得られない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】携帯電話や携帯情報端末などの携帯電子機器では多機能化や、情報インフラ(基礎設備)の充実により表示すべき画像情報の量、及び質が年々向上している。このため携帯電子機器ではテキストや静止画、あるいは動画などの画像情報を同時により多く表示するために、より大きな面積の表示部が望まれている。
【0009】一方、押しボタンスイッチ等の入力装置においては操作性の面からスイッチはある一定以上の大きさが必要とされる。さらに、携帯電子機器の多機能化によりスイッチひとつあたりに複数の機能が割り当てられるようになったため、ひとつのキートップに複数の機能を表記する従来のスイッチでは機能の表示が小さくなり視認性が悪くなったり、全ての機能をキートップ部に表示できなくなっている。
【0010】従って、携帯電子機器における押しボタンスイッチなどの入力装置の占める領域についてもより大きな面積が望まれている。
【0011】しかしながら、携帯性が最も重視される携帯電子機器では、機器が小型,軽量であることが望まれるため、表示部と、スイッチ群から成る入力装置は限られた面積をお互いに分け合うことになり、結果として表示部及びスイッチ群はともに十分な領域を確保することができない。
【0012】本発明は上記状況に鑑みなされたもので、その目的は表示領域の割合が広く、効率の良い表示が可能で、操作した際にはクリック感触により十分な操作感が得られる表示機能付きスイッチ群を実現することにある。
【0013】また、本発明の他の目的は大きな表示領域と操作性の高い入力手段の両立を実現し、使用者の使い勝手を向上した携帯電子機器を提供することにある。
【0014】また、本発明の他の目的は表示機能付きスイッチ群を備える携帯電子機器を利用した新規な事業形態を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本出願の一実施態様によれば、本発明のスイッチ群は、可視光に対して透明な複数のキートップと、該キートップに対応した位置に接点を有するスイッチ回路基板と、スイッチ回路基板の裏面に配置した表示装置とから構成されるスイッチ群であって、前記キートップは側面に突き出し部を有し、該突き出し部は隣接配置されるキートップの突き出し部と互い違いとなるように、キートップの側面の一部の領域のみに形成されており、前記スイッチ回路基板は、該キートップの突き出し部の裏面に対応した位置に操作感を与える弾性部材を備え、さらに、前記キートップを介して、前記表示装置の画像を観察するための貫通穴、あるいは透明部材からなる開口部を有し、前記スイッチ回路基板の裏面に配置する表示装置はひとつとするというものである。
【0016】本出願の別の実施態様によれば、本発明の携帯電子機器では最大の表示領域を有するメイン表示部と、キートップに表示機能を有するスイッチ群を備え、該スイッチ群を上記スイッチ群とするというものである。また、本発明の携帯電子機器では機器において最大の表示領域を有するメイン表示部と、表示機能を備えたスイッチ群を有する携帯電子機器であって、メイン画面の表示に関連した機能を表示機能を備えたスイッチ群の各キートップに表示し、所望の機能が表示されたキートップを一回押すだけで、あるいは、操作確認のための表示がメイン表示部に表示され、同じキートップをもう1回押すことで、その機能を実行するようする。
【0017】本出願のさらに別の実施態様によれば、本発明の携帯電子機器に係る事業形態は、メイン表示部と表示機能付きスイッチ群を備える携帯電子機器を所有する携帯端末ユーザーと、携帯電話通信事業者や広告代理店などからなる事業者と、宣伝広告情報を一般大衆に伝えたい個人や法人、あるいはオンラインで予約を受け付けるなどの機能を実行したい団体などからなる顧客との間で成立する事業形態であって、該顧客が広告したい情報や、実行したい機能を事業者に伝えてデータの作成や機能の運用を依頼する段階と、事業者が顧客の要求に基づき、携帯電子機器のメイン表示部及び、表示機能付きスイッチ群に表示するデータなどを作成する段階と、携帯端末ユーザーの携帯電子機器のメイン表示部に表示された画像に関連する機能や情報を事業者が顧客の要求に基づき選択して、表示機能付きスイッチ群に表示するためのデータとして携帯電子機器に送信する段階と、携帯端末ユーザーが所望の情報や、実行したい機能を要求する画面が表示されたキートップを押し、該要求信号を事業者に送信する段階と、携帯端末ユーザーからの要求により事業者がメイン表示部用の画像や機能を提供するためのデータを携帯電子機器に送信する段階と、事業者が携帯電子機器に送信したデータ量を顧客毎に積算する段階と、事業者が積算したデータ量に基づいてサービス料を算出し、顧客に課金する段階とを得た後、顧客がサービスの対価を事業者に支払うことで成立するというものである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る携帯電子機器の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】図1は本発明の一実施形態である携帯電子機器1の概略構成を示す正面図である。携帯電子機器1はアンテナ10,スピーカー20,メイン表示部40,メイン表示部保護部材30などを有する第1の筐体410と、表示機能を有するスイッチ群からなる表示機能付き入力部100と、マイクロフォン60などを有する第2の筐体400とから構成され、第1の筐体410と第2の筐体400をヒンジ部50にて開閉可能に連結したものである。メイン表示部40は携帯電子機器1で主たる表示部として使用される表示部で携帯電子機器で最も大きな表示領域を有する表示部のことを示す。メイン表示部保護部材30はメイン表示部40を構成する表示装置の画像光を透過する板状の透明な材質からなり、メイン表示部40を外部からの圧力や粉塵などの異物から保護するものである。
【0020】尚、携帯電子機器1は送信/受信部や信号処理回路等から構成される無線通信部や、中央演算処理装置などからなる制御部,メモリ,バッテリなどが第1の筐体410及び第2の筐体400内に適切に配置されており、いわゆる携帯電話として機能するものである。
【0021】メイン表示部40は薄型,軽量で低消費電力である表示装置を用いれば良い。このような表示装置としては光の透過光量、及び、もしくは反射光量を調整することで画像を表示するいわゆる非発光型の表示素子と、必要に応じて備えられるバックライト或いはフロントライトなどの照明装置を組合せた表示装置を用いることができる。このような表示装置としては液晶表示装置が好適である。
【0022】また、メイン表示部40としては素子自らが発光する、いわゆる自発光型表示装置を用いることができる。このような表示装置としては有機エレクトロルミネッセンス、あるいは有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diodes)と呼ばれる素子で構成される表示装置(以下、OLED表示装置と呼ぶ)が好適である。
【0023】図2は携帯電子機器1の表示機能付きスイッチ群100の断面A−A′を示す概略構成図である。
【0024】表示機能付きスイッチ群100は、複数のキートップ320と、スイッチ回路基板310からなるスイッチ部300と、スイッチ部300の背面に備えられる表示装置200から構成される。
【0025】キートップ320はキートップの背面が透けて見える透明な部材から構成され、表示装置200に形成される画像をキートップ表面側から観察する際に影響がない位置に突き出し部321が形成されている。
【0026】キートップ320は第2の筐体400及びスイッチ回路基板310上に設けらたドーム部311により突き出し部321が保持される。
【0027】スイッチ回路基板310は絶縁基板上に各キートップ320に対応する複数の接点や、配線,絶縁層を有するスイッチ回路を有し、さらに各キートップ320の直下部に、表示装置200からの表示光215が透過する開口部330を有する。
【0028】スイッチ回路基板310の背面に配置される表示装置はメイン表示部40に使用される表示装置と同様、薄型,軽量で低消費電力である表示装置を用いれば良い。このような表示装置としては光の透過光量、及び、もしくは反射光量を調整することで画像を表示する液晶表示素子などの非発光型の表示素子と、必要に応じて備えられるバックライトなどの照明装置を組合せた表示装置を用いることができる。
【0029】また、スイッチ回路基板310の背面に配置される表示装置としては素子自らが発光する、いわゆる自発光型表示装置を用いることができる。このような表示装置としてはOLED表示装置が好適である。OLED表示装置は照明装置が不要なことから液晶表示装置より薄型,軽量になるため携帯性が重要視される携帯電子機器では有利な表示装置である。
【0030】ここではスイッチ回路基板310の背面に配置される表示装置200が液晶表示素子220とバックライト210から構成される液晶表示装置の場合を説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】液晶表示素子220は画像信号に応じて光の透過量を調節することで画像を形成するもので、TFT(Thin-Film Transistor)等のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス駆動のTN(Twisted Nematic)型液晶表示素子を用いることができる。
【0032】液晶表示素子220は比較的低い駆動電圧で高いコントラスト比が得られるものであれば良く、アクティブマトリクス駆動の液晶表示素子としてはこの他に、IPS(In Plane Switching)型,MVA(Multi-domain Vertical Alained)型,マルチプレックス駆動のものとしてはSTN(Super Twisted Nematic)型などを用いることができる。
【0033】バックライト210はLED(Light Emitting Diodes)などからなる光源211と、裏面に微細な溝、あるいは白色顔料のドット印刷などによる光散乱手段212が形成されたアクリル樹脂などの透明部材からなる導光板213と、導光板213の表面側に配置したプリズムシートや光拡散シートなどのシート類214から構成される。
【0034】この構成において、光源211から出射し、導光板213に入射した光は導光板213内を伝播するが、導光板裏面に施された光散乱手段212に至った光は光の進行方向が変わり、その一部が導光板表面側から出射する。導光板213から出射した光はプリズムシートや拡散シートなどのシート類214により光の進行方向やその分布が変えられた後、液晶表示素子220に照射される。
【0035】液晶表示素子220は背面から入射する照明光の透過量を表示制御部(不図示)から伝えられる画像情報に応じて制御し、画像光215を形成する。
【0036】表示装置200で形成された画像光215はスイッチ回路基板310の開口部330、及びキートップ320を透過して機器使用者2000に観察されることになる。
【0037】尚、隣り合うキートップとキートップの間は表示領域として有効に利用されない。つまり、液晶表示素子220の表示面の一部はその表示がキートップを介して使用者から見えない。従って、このキートップの表示に寄与しない部分を照明する必要はないのでバックライト210は液晶表示素子220のキートップの背面に相当する位置を効率良く照明するようにすればよい。つまり、導光板213裏面の光散乱手段212は、液晶表示素子220の表示面うち、表示がキートップを介して使用者から見える領域に対応した部分のみに形成すればよい。この場合はバックライト210から出射し、導光板213に入射した光を効率良く液晶表示素子の有効な表示領域に導くことで光の利用効率が上がり、その分、バックライトの消費電力が低くできるので、携帯電子機器全体の消費電力を低くできる。
【0038】尚、バックライトは光源や導光板等から構成するほか、EL(エレクトロルミネッセンス)素子からなる面状の光源を用いることができる。この場合も、EL素子の発光領域を複数に分割して液晶表示素子の有効な表示領域を効率良く照明するように構成すれば表示装置の消費電力が低くなり、携帯電子機器全体の消費電力も低くできる。
【0039】次にスイッチ回路基板310のドーム部311について説明する。図3はスイッチ回路基板310のドーム部311の概略断面図である。
【0040】ドーム部311は金属製のドーム形状をしたメタルドーム312と、メタルドーム312をコンタクトフィルム314上に図示しない粘着層を介して固定するカバーテープ313を有する。コンタクトフィルム314は弾力性のある材質からなり、メタルドーム312の直下に位置する背面側の領域に導電性の膜からなる可動接点317を備える。コンタクトフィルム314の可動接点317の直下部にはスイッチ回路基板310上に形成された固定接点316が配置される。
【0041】また、コンタクトフィルム314の可動接点317およびその近傍を除く部分には可動接点317と固定接点316の接触を妨げることがない厚さのスペーサー315を備える。
【0042】キートップ320が機器使用者の指1000などで押された場合、キートップの突き出し部321がドーム部311を押し下げる。この際、メタルドーム312及びカバーテープ313は弾性変形し、同時にコンタクトフィルム314も押し下げられて可動接点317が固定接点316に接触し、電気的に接続されて図示しない制御部が該当するキートップが押されたことを検知する。
【0043】キートップ320に加わる力がなくなると、メタルドーム312やコンタクトフィルム314は自発的に元の形状に戻るため、可動接点317と固定接点316は離れて電気的接続が解除される。
【0044】メタルドーム312はキートップ320が押されたときキートップの突き出し部321から力が加わり、その頂上部が反転して逆反り状に変形する。また、キートップ320に加わる力がなくなると、メタルドーム312はキートップの突き出し部を押し返し、自発的に元の形状に復元する。この一連のメタルドーム312の変形は機器使用者にクリック感触を与えて、特定のキートップを押したという確かな操作感を与える。
【0045】なお、メタルドーム312の変形や可動接点317と固定接点316の接続をより集中的に行うためにキートップの突き出し部321はその底部にメタルドームよりも小さな底面積の柱状の突起部323を設けてもよい。
【0046】ところで、表示機能付きスイッチ部100は表示領域が広いことが見易さの観点から望ましい。表示機能付きスイッチ部の表示領域を大きくするにはキートップにおいて突き出し部以外のキートップ背面の表示装置の表示を見ることができる領域(以下、キートップの有効表示領域)を大きくすると良い。
【0047】また、複数のキートップを配列したときに、その有効表示領域の隙間を小さくできれば、複数のキートップでひとつの大きな画面を表示する際に継ぎ目が小さい良好な画像を表示できる。
【0048】そこで、本発明に係る表示機能付きスイッチ部のキートップは突き出し部が隣り合うキートップの突き出し部と互い違いになるように構成する。図4は表示機能付きスイッチの複数のキートップの一部配列を示す平面図であり、キートップ320aの図中下方向にキートップ320bが配置され、図中右方向にキートップ320cが配置される場合を示している。また、図5はキートップ320とスイッチ回路基板310の一部を示す概略斜視図である。
【0049】キートップ320は柱状の透明体の側面に突き出し部321を形成したもので、キートップを介して見ることができる表示装置の表示領域を大きくするために突き出し部は小さくすることが望ましい。
【0050】また、複数のキートップでひとつの画像を表示する場合を考慮して、隣り合うキートップどうしの有効表示領域の隙間が小さくなるようにキートップの有効表示領域の形状は最密充填が可能な形状、即ち三角形,四角形,六角形などの多角形を基調とする形状とするとよい。特に四角形は縦方向,横方向ともに一直線に整列配置できるので機器使用者にとってスイッチの位置がわかりやすくなり、さらに複数のキートップを整列配列した結果を四角形にできるため、四角形を基調とした形状となることが多い携帯電子機器とは形状の相性が良いので有効表示領域の形状は四角形にすることが望ましい。この場合、図4に示す通り4角形の角を小さく丸めるなど、多少のアレンジを加えることはかまわないだろう。尚、テンキーとしての表示を行わないようなキートップについては縦方向,横方向にキートップを整列配置する必要がないのでキートップの有効表示領域の形状は丸,楕円,半円,十字など機器使用者が使いやすい形状とすると良い。
【0051】キートップの突き出し部はキートップの有効表示領域を形成するキートップ中央の柱状部分の側面部のキートップの最上面よりも低い位置に段差を形成するように設けられる。この際、隣り合って配置されるキートップの突き出し部どうしが互い違いになるように突き出し部の幅L2はこの突き出し部が形成されるキートップの有効表示領域322側面の幅L1の半分以下となるように形成すると良い。また、突き出し部はキートップの全ての側面に、例えば上から見た場合に回転対称となる位置にバランスよく設けると良い。
【0052】図4に例示する通り、キートップは隣り合うキートップの突き出し部が互い違いに配置される(図中、キートップ320aの突き出し部321aはキートップ320bの突き出し部321bと、また、キートップ320aの突き出し部321dはキートップ320cの突き出し部321cとそれぞれ互い違いに配列される)ことで隣り合うキートップの有効表示領域の間の隙間は小さくなる。例えばキートップの側面部の全周に連続した突き出し部を設けた場合と比べるとキートップの有効表示領域の隙間は半分程度に小さくできる。
【0053】これは所定の領域内に複数のキートップを配置する場合には隣り合うキートップの有効表示領域どうしの隙間が小さくなる分だけ個々のキートップの有効表示領域が大きくなるため、表示できる情報が多くて見やすい表示機能付きスイッチ群を実現できるという効果がある。また、複数のキートップでひとつの大きな画面を表示する際には継ぎ目が小さい良好な画像を表示できるという効果がある。
【0054】尚、図5に例示する通り、キートップの突き出し部321はキートップの底面側に所定の幅gの隙間を設けるとよい。これは突き出し部の底面部が機器使用者に見えないように光学的に分離するためである。
【0055】このように隙間を設けるほかに、突き出し部の底面を着色することで、突き出し部の底面部が機器使用者に見えても目立たないようにしても良い。
【0056】尚、図5に例示したキートップでは突き出し部の底面がキートップの有効表示領域の底面よりも長さhだけ突き出している。これはキートップが押された際、キートップの有効表示領域の底面がスイッチ回路基板に触れてキートップの裏面やスイッチ回路基板が損傷することを防止するためである。
【0057】また、スイッチ回路基板の開口部330はキートップの有効表示領域322よりも大きくすることが望ましい。これは、スイッチ回路基板裏面に配置した表示装置の表示をキートップを介して観察する際に表示装置の表示がスイッチ回路基板に遮られることがないようにするためのである。
【0058】この場合、スイッチ回路基板310の開口部330がスイッチ回路基板310を貫通する穴であれば、キートップの有効表示領域の底面部はスイッチ回路基板に接触することがないので、キートップの有効表示領域の底面がキートップの突き出し部の底面より突き出ていてもよい。ただし、この突き出る長さはキートップが押し込まれた場合にスイッチ回路基板の裏面からはみ出さない程度にすることが、スイッチ回路基板の裏面に配置した表示装置を損傷しないために必要である。
【0059】上記の通り、キートップ320は突き出し部が第2の筐体400とスイッチ回路基板310上のドーム部311とで保持される。図5に例示する通り、キートップの有効表示領域322が四角形を基調とした形状の場合にはキートップの有効表示領域322の4つの側面にそれぞれひとつずつ突き出し部321e,321f,321g,321hが形成される。これに対応して、スイッチ回路基板310のキートップの突き出し部の直下部に対応する位置にドーム部が配置される。図中、4つのドーム部311aが図示のキートップの突き出し部に対応しており、ドーム部311bはこのキートップと隣り合う図示しないキートップの突き出し部に対応するものである。
【0060】この例の場合、一つのキートップに対してドーム部が4つあるがドーム部の下部には上記の通り、可動接点と固定接点が設けられており、4つのドーム部のうち、少なくともひとつのドーム部で、その下部の可動接点が固定接点に接触し、電気的に接続されれば図示しない制御部が該当するキートップが押されたことを検知する。
【0061】尚、キートップを押した際にスイッチ回路基板の背面に配置した表示装置に直接力が加わることがないようにスイッチ回路基板には剛性のある基板を用い、表示装置とスイッチ回路基板との間にはスペースを設け、さらに図示しない緩衝部材を設けるなどしても良い。
【0062】また、上記説明ではメタルドームによりキートップを押した際のクリック感触を得ていたが、本発明はキートップを押した場合、クリック感触が得られる構造を有するものであれば上記構成に限定されるものではない。
【0063】ところで、上記の通り、スイッチ回路基板310の開口部330はスイッチ基板回路310の背面に備えられる表示装置200の画面をキートップ320を介して観察する際に表示装置200の画像光215が通過するためのものであり、スイッチ回路基板310を貫通する穴であれば良い。この場合、表示装置200からの表示光215は開口部330で損失することなくキートップ320に入射し、機器使用者は明るい表示を観察することができる。また、スイッチ回路基板310は開口部の分だけ質量が減るため、機器全体が軽量化できる。
【0064】あるいは、開口部330は透明な部材で覆われていてもよい。この場合はスイッチ回路基板の基板自体に透明な部材を使用し、キートップ320の下部に相当する位置に配線や接点など光を妨げるものを形成しないことで実現すれば良い。また、開口部330の位置に穴が形成されたスイッチ回路基板の剛性を高めるために穴の部分を透明な部材で覆っても良い。
【0065】あるいは、開口部330に凸レンズ,凹レンズ,フレネルレンズ,ホログラムなどの光学素子を形成し、表示装置200からの表示光215を効率良くキートップ320に導くようにしてもよい。この場合、表示装置200からの表示光215が効率良くキートップ320を介して機器使用者に観察されるため、明るく見やすい表示が得られる。また、同じ明るさの表示であれば表示装置200の消費電力を下げられるので、携帯電子機器を低消費電力化できる。
【0066】尚、キートップ320の表面や裏面に凸状或いは凹状のレンズを形成し、表示装置200上の表示を機器の仕様に応じて拡大あるいは縮小表示するようにしてもよい。この際、スイッチ回路基板310の開口部330にレンズなどの光学素子を形成し、キートップ部の表面及び裏面形状と連動して表示装置200上の表示を機器使用者に拡大あるいは縮小した形で表示するようにしてもよい。
【0067】上記の通り、本発明に係る表示機能付きスイッチ群100では複数のキートップに対してひとつの表示装置を配置する。このため、キートップひとつに、表示装置をひとつ備えるような場合と比べて部品点数が減るので、容積や重量が小さくなり、コストが低くなるという効果がある。また、大きさや形が異なるキートップを配置しても表示装置の表示可能領域がキートップが配置される領域と同じ、あるいはそれより大きければ表示装置には格別の変更を必要としないので機器設計の自由度が高まる。
【0068】図6は図1に示す本発明の携帯電子機器1のブロック図である。この携帯電子機器はアンテナ10,送信/受信部11,信号処理部12などからなる無線通信部13と、無線通信を制御する通信制御部71,中央演算処理部72,表示制御部73などからなる制御部70と、スイッチ部300及び表示装置200からなる表示機能付きスイッチ群100と、メイン表示部40,マイクロフォン60,スピーカー20,メモリ80などから構成される。
【0069】この機器で通話をする場合、アンテナ10で受信した電波は送信/受信部11でうけて、信号処理部12を介して制御部70に伝えられる。制御部70は受信情報のうち電話番号などのテキスト情報や画像情報をメイン表示部40、あるいは表示機能付きスイッチ群の表示装置200に表示する。また、制御部70は受信情報のうち音声情報をスピーカ20に伝え、スピーカ20は音声を出力する。また、機器使用者の音声はマイクロフォン60でうけられて、制御部70に伝えられ、無線通信部13を介して通話相手先に無線送信される。
【0070】制御部70はスイッチ部300が操作されると、操作されたスイッチに割り当てられた機能をメモリ80から読み出し実行する。例えば、所定のスイッチが操作された場合、メモリ80に記憶されているメニューなどの画像情報を読み出し、メイン表示部40や表示機能付きスイッチ群の表示装置200に読み出された情報を表示したり、送信されてきた画像情報をメイン表示部40や表示機能付きスイッチ群の表示装置200に表示して、スイッチ部の各接点には新たな機能を割り当てる。
【0071】次に本発明の携帯電子機器の動作の一例を図面を参照しながら説明する。図7及び図8は本発明の一実施形態である携帯電子機器1の動作状況の一例を示す概略正面図である。各図にはそれぞれ2種類の動作状況を例示している。また、図9及び図10は携帯電子機器の動作の一例を示すフローチャートである。
【0072】電源を入れると、携帯電子機器1は受信待ち受け状態となる。図7の左側の図に示す通りメイン表示部40が観察可能で、表示機能付きスイッチ群100が操作可能なように携帯電子機器1が開いた状態では、メイン表示部40には時計,電波の状況,バッテリの残量などの情報が表示され、表示機能付きスイッチ群100には数字や通話スイッチなどの電話機としての機能が表示された初期機能状態表示状態となる(ステップ1)。
【0073】機器使用者が「機能」と表示されたキートップ320Aを押すと「機能」スイッチが入り(ステップ2)、図7の右側の図に例示する通り、メイン表示部40に機能メニューが表示され(ステップ3)、表示機能付きスイッチ群100の各キートップに機能が表示され、各キートップに対応した接点に表示に対応した機能が割り当てられる(ステップ4)。
【0074】この際、メイン表示部40に表示される情報には限りがあるが、本発明の携帯電子機器では表示機能付きスイッチ群にも情報を表示できるため一度により多くの情報を機器使用者に対して表示できる。例えばメイン表示部40に機能のメニューを表示し、表示機能付きスイッチ群100の各キートップには機能メニューの項目の下の階層のメニューを表示することができる。具体的には例えばメイン表示部40のメニューに「メール」という機能が表示され、表示機能付きスイッチ群100のキートップには「メール」機能の下の階層のメニューとして、「受信メール」,「送信メール」,「メール作成」などの機能が表示される。従って、従来の機器では、別の階層の情報を見ようとする場合にはそのためのスイッチ操作が必要であったが、本発明の機器では複数の階層の情報を同時に見ることができるため利便性が向上するという効果がある。
【0075】次に機器使用者が特定のキートップ(例えば「メール作成」と表示されたキートップ320B)を押すと、スイッチが入り(ステップ5)、図示しない制御部で押されたキートップが検知され、対応する機能が判定される(ステップ6)。次に図8の左側の図に例示する通り、検知された機能に基づいて選択された機能を確認するための表示(以下、選択機能確認表示)45がメイン表示部40に表示される(ステップ7)。この際、選択機能確認表示45はスイッチが入る前の画像にオーバーラップする形でウィンドウ状に表示するようにすると機器使用者に見易く、注意がより喚起されるので誤操作を防ぐという観点からより好ましい。
【0076】機器使用者が選択機能確認表示45を確認した上で同じキートップを押し(ステップ8)、同じスイッチが入ったことが確認される(ステップ9)と選択された機能が実行される(ステップ10)。あるいは、「戻る」と表示されたキートップ320Cなど、別のキートップを押して異なるスイッチが入ると元の状態(ステップ3及びステップ4)に戻り、選択機能確認表示45は消える。
【0077】選択された機能が実行されると図8の右側の図に例示する通り、メイン表示部40に選択された機能に対応した画面が表示がされ(ステップ11)、表示機能付きスイッチ群100の各キートップには選択された機能に対応した機能が表示されて各キートップに対応した接点に表示に対応した機能が割り当てられる(ステップ12)。
【0078】このように押されたキートップに表示された機能を実行する前に、選択機能確認表示45をメイン表示部40に表示するのは機器使用者の誤操作を防ぐためである。このことは表示機能付きスイッチ群100を使用する場合に特に有用である。つまり、表示機能付きスイッチ群100を使用する場合、各キートップに表示される機能を実行しようとして機器使用者がキートップに指を置くと、キートップに表示される機能は機器使用者の指の死角となり見えなくなる。機能が見えない状態でキートップを押すと、機器使用者の所望の機能とは別のキートップを押していても確認できないため誤操作の原因となる。特にメールの送信や、ウエブからの情報取得など課金される機能を実行する場合には誤操作により意図しない費用が発生するなど機器使用者に損害を与える場合があるので、誤操作を防ぐ仕組みがあることは機器使用者にとって有益となる。
【0079】尚、キートップを押した際に実行される機能には誤操作となっても機器使用者に損害を与えず、むしろキートップが押されるとすぐに実行されることが望ましい機能がある。このような機能としては例えば電話番号の入力や、メール作成時の文字の入力などの機能がある。
【0080】このような場合は機器使用者が特定のキートップを押し、スイッチが入ると(ステップ13)、押されたキートップが検知され、対応する機能が判定される段階(ステップ14)において、誤操作しても機器使用者に損害を与えない機能と判定すると選択機能確認表示(ステップ16)及び、同じスイッチの再度の入力(ステップ17)なしで選択された機能が即実行される(ステップ15)。
【0081】上記の通り、キートップが押された際に、選択機能確認表示を行い、もう一度同じキートップを押さないと機能を実行しないようにすることで誤操作による機器使用者の損害を防ぐとともに、すぐに実行したい機能は余分な段階を得ることなく即実行することで、使い勝手のよい機器を提供することができる。
【0082】図11は本発明の携帯電子機器1の動作状態の一例を示す概略正面図である。メイン表示部40には予めメモリに記憶された動画情報や、受信した動画情報をリアルタイムに表示する。この際、表示機能付きスイッチ群100の各々のキートップには動画再生,早送り,巻き戻し、一時停止などの動画表示に関する機能を表示し、キートップが押された場合は、押されたキートップの表示に対応した機能が実行される。この場合、機能やメニューなど動画以外の情報をメイン表示部40に表示する必要がないので、メイン表示部40に表示領域全域に大きく見やすい表示ができるという効果がある。
【0083】また、本発明の携帯電子機器では表示機能付きスイッチ群100のキートップの一部に異なるコンテンツ、あるいは異なる場面の画像を表示し、見たい場面、あるいは見たいコンテンツが表示されたキートップを押すとメイン表示部40に所望の画像を瞬時に表示するようにすることができる。この場合、機器使用者にとっては1回、あるいは選択した機能を確認するためにもう1回の合計2回のキー操作で所望の機能を実現できるため、使い勝手の良い画像表示手段を提供することができる。
【0084】図12は本発明の携帯電子機器1の動作状態の他の一例を示す概略正面図である。これは表示機能付きスイッチ群100を構成する複数のキートップでひとつの画像を表示する場合を例示している。
【0085】本発明の携帯電子機器に係る表示機能付きスイッチ群では、複数のキートップに対して、ひとつの表示装置を備える。このため、複数のキートップを介してひとつの画像を表示する場合には表示装置に表示されている画面を1倍で表示するのであればキートップとキートップの間隙などの画像の継ぎ目を考慮した特別な画像信号処理をしなくても、表示装置に表示した画像は自然な画像として表示できる。
【0086】特に、キートップの突き出し部の工夫によりキートップの有効表示領域が広く、隙間が小さいので継ぎ目の小さい見やすい画像が得られる。
【0087】次に本発明に係る表示機能付きスイッチ群100の他の実施の形態について説明する。図13は携帯電子機器の表示機能付きスイッチ群100の断面を示す概略構成図である。本実施の形態は図2を参照して説明した表示機能付きスイッチ群において、スイッチ回路基板310の背面に配置する表示装置を液晶表示装置からOLED表示装置250に変更し、キートップ320の有効表示領域の視認側(表面側)にあらたに円偏光板360を配置したもので、上記実施の形態と同様の箇所には同じ符号を付けて詳細な説明は省略する。
【0088】本実施の形態でスイッチ回路基板310の背面に配置するOLED表示装置250は素子自らが発光する、いわゆる自発光型表示装置である。自発光型表示装置では液晶表示装置のような照明装置が不要なことからより、薄型,軽量になるため携帯性が重要視される携帯電子機器では有利である。
【0089】OLED表示装置250の画素部はおおまかに述べると、透明電極と、発光層と、光反射性の金属からなる反射電極とを積層した構造となっている。光は通常、発光層から全方位に等方的に出射し、そのうち透明電極側に向かった光は透明電極を通過し出射する。一方、反射電極に向かった光は反射電極で反射して、発光層及び透明電極を通過して出射する。OLED表示装置は各画素に配置した発光層の発光動作を制御することで表示を行うため、反射電極を反射率の高い電極にして透明電極側から出射する光量を増やすようにすることが、明るい画像を得るために重要である。
【0090】ところで、このような構造では発光していない状態では反射電極が反射率の高い鏡のような状態であるため、周囲が明るい環境下では周囲の景色が写り込んだり、黒表示が十分に暗くならずコントラスト比が低下するという課題を生ずる。その上、表示機能付きスイッチ群としてはさらにスイッチ回路基板の開口部330に透明体を配置する場合にはこの透明体と空気との界面や、キートップ320の表面や裏面の空気との界面、及びOLED表示装置250の視認側表面と空気との界面での反射が画質に悪影響を与える。
【0091】本実施の形態ではキートップ320の最表面(視認側の表面)に円偏光板360を配置することでこの課題を解消する。図14は本実施の形態における円偏光板360の作用を説明するための図であり、表示機能付きスイッチ群の概略構成を示す一部断面図である。
【0092】円偏光板360は偏光板361と1/4波長板362から構成される。円偏光板360は以下の通り作用する。周囲から表示機能付きスイッチ群に入射する外光3000は一般に無偏光であり、偏光板361を通過する際、特定の1方向に偏光面を持つ直線偏光は透過し、これと偏光面が直交する直線偏光は吸収される。偏光板361を透過した直線偏光は1/4波長板362の作用を受けて円偏光となる。1/4波長板362を通過した光はキートップ320の裏面320rと、スイッチ回路基板310の開口部330の表面330f及び裏面330rと、OLED表示装置250の表面250f及び反射電極251などで反射した際、結果として位相がπずれて回転方向が逆の円偏光になる。各部で反射した光は再び1/4波長板362に入射し、これを通過する際その作用を受けて今度は偏光板361で吸収される直線偏光に変換されて偏光板361で吸収されるため外部には戻らなくなる。つまり、外光の反射の大部分は偏光板で吸収されるため黒表示が暗くなり明るい環境下でのコントラスト比が著しく改善される。
【0093】ところで、携帯電子機器の電源を切る場合、表示機能付きスイッチ群の表示装置としてOLED表示装置やTN型液晶表示装置などの表示にメモリー性のない表示装置を使用すると表示が消えるため、各キートップの機能がわからなくなる。そこで、電源スイッチとして機能するスイッチのキートップ近傍の筐体には刻印或いは印刷などにより機能(例えば図1において「電源」という表記401)を表記するとよい。この場合、機器使用者はキートップの表示が消えていても電源スイッチの位置がわかり、電源を入れればキートップに機能が表示されるので使用上は問題とならないだろう。
【0094】尚、電源が入っていない場合にもキートップに表示を維持するために、表示機能付きスイッチ群の表示装置として表示にメモリー性を有する表示装置を使用しても良い。このような表示装置としては電気泳動表示装置や、強誘電液晶表示装置を使用できる。
【0095】次に本発明の携帯電子機器の他の実施の形態について説明する。図15は本発明の一実施形態である携帯電子機器2の概略構成を示す正面図である。また、図16は携帯電子機器2の概略構成を示す断面図である。
【0096】携帯電子機器2は筐体420にアンテナ10,スピーカー20,メイン表示部保護部材30,メイン表示部40,表示機能付きスイッチ群100,マイクロフォン60などを備えている。携帯電子機器2は図1などを参照して説明した上記実施の形態の携帯電子機器のように2つの筐体をヒンジ部で開閉可能に連結した、いわゆる折り畳みタイプと異なり、開閉機構のないストレートタイプであるが、基本的な構成は同様であり、同様な部位には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
【0097】本実施の形態の特徴はメイン表示部40と表示機能付きスイッチ群100の表示装置としてひとつの表示装置270を共用することにある。つまり、メイン表示部保護部材30の裏面側、及び表示機能付きスイッチ群100のスイッチ回路基板310の裏面側にひとつの表示装置270を配置し、表示装置270のメイン表示部保護部材30の裏面側に相当する表示領域をメイン表示部40として使用し、表示機能付きスイッチ群100のキートップ320の裏面に相当する表示領域を表示機能付きスイッチ群100の表示装置として使用する。図17は表示装置270の表示状態を例示する正面図である。図中、領域271でメイン表示部用の表示を行い、領域272で表示機能付きスイッチ群100用の表示を行う。
【0098】表示装置270は薄型,軽量で低消費電力である表示装置を用いれば良い。このような表示装置としては光の透過光量、及び、もしくは反射光量を調整することで画像を表示するいわゆる非発光型の表示素子と、必要に応じて備えられるバックライト或いはフロントライトなどの照明装置を組合せた表示装置を用いることができる。このような表示装置としては液晶表示装置が好適である。あるいは素子自らが発光する、いわゆる自発光型表示装置を用いることができる。このような表示装置としてはOLED表示装置が好適である。
【0099】本実施の形態では表示装置がひとつなので、メイン表示部と表示機能付きスイッチ群とにそれぞれ別の表示装置を設ける場合と比べると、部材が減るため、軽量化と低コスト化ができるという効果がある。
【0100】次に本発明の携帯電子機器に係る事業について図面を参照しながら説明する。図18は本事業に関する携帯電子機器の状態の一例を示す概略正面図である。また、図19は本事業の全体構成を示す概念図である。
【0101】本事業は本発明の携帯電子機器の特徴を生かした事業であり、広告代理店510や携帯電話通信事業者520などの事業者と、携帯電子機器の一般使用者(以下、携帯端末ユーザー)530と、顧客500との間で成立する事業である。
【0102】本事業では広告情報を確実に、かつ効率よく一般大衆に伝えたい個人や法人、あるいはオンラインで予約を受け付けるなどの機能を実行したい飲食店や宿泊施設などが顧客500となる。また、携帯電話通信事業者520と広告代理店510とが事業者となるが、携帯電話事業者が広告代理店の事業を兼任する場合であってもよいし、それぞれの事業者が事業の段階ごとに複数の事業者に細分化されていてもよい。
【0103】本事業は基本的に顧客が広告したい情報や、実行したい機能を事業者に伝え、データの作成や機能の運用を依頼する。事業者は顧客の要求に基づき、携帯電子機器のメイン表示部及び、表示機能付きスイッチ群に表示するデータなどを作成する。
【0104】携帯端末ユーザーは携帯電子機器でいろいろなコンテンツを視聴したり、機能を実行するが、この際、携帯電子機器のメイン表示部に表示される情報に関連した機能や情報を事業者(携帯電話事業者)が顧客との契約に基づいて選択し、携帯電子機器に送信する。携帯電子機器は受信したデータを表示機能付きスイッチ群の各キートップに表示する。各キートップに表示される情報は、顧客の要求に基づき事業者により作成されたもので、顧客が伝えたい詳細な情報や、実行してほしい機能を要求するための表示である。
【0105】携帯端末ユーザーはキートップの表示を見て、知りたい情報や、実行したい機能があれば該当するキートップを押すことで、その要求信号が事業者に送信される。事業者は携帯端末ユーザーからの要求によりメイン表示部用の画像や機能を提供するためのデータを携帯電子機器に送信し、携帯電子機器は受信したデータをもとにメイン表示部の表示等を行う。
【0106】事業者はこのようにして携帯電子機器に送信したデータ量を顧客毎に積算する。事業者は顧客に対し、積算したデータ量に従い課金し、顧客はサービスに対する対価を事業者に支払う。
【0107】尚、携帯端末ユーザーには情報の入手や、機能の実行において、通信料を含めて費用が発生しないことがこのサービスがより多く利用されるために有効と成るだろう。
【0108】また、事業者と顧客との契約により、サービスの料金は予め定めた一定の額とする定額制や、携帯端末ユーザーに送信したデータ量に応じた従量制や、これらの組み合わせから適宜選択すればよい。
【0109】尚、事業者が複数の場合、各事業者間でのサービスの提供とその対価の支払いがそれぞれでなされることは述べるまでもないだろう。
【0110】次に本事業の一例を段階毎に説明する。図2020,図21,図22は本事業の一例を示すフローチャートである。ここでは携帯端末ユーザーがGPSアンテナが装備され、GPS機能により位置を特定できる携帯電子機器を使用する場合を説明する。
【0111】顧客は広告したい情報と実行したい機能を事業者に伝えてデータの作成や機能の運用を依頼する(ステップ101)。
【0112】事業者は顧客の要求に基づき、携帯電子機器のメイン表示部及び、表示機能付きスイッチ群に表示するデータを作成する(ステップ102)。
【0113】携帯端末ユーザーが地図情報の要求と、位置情報を送信する(ステップ103)。
【0114】事業者は携帯端末ユーザーの位置情報に基づき、メイン表示部用の地図情報と、その地図情報に含まれる地域にあるお店の情報を要求する画面や、お店を予約する機能を要求する画面のデータを携帯電子機器に送信する(ステップ104)。
【0115】携帯電子機器では図18に例示する通り、メイン表示部40に地図情報を表示し、表示機能付きスイッチ群100のキートップの一部にメイン表示部40に表示された地図内にある特定のお店の詳細な情報を要求することを意図する画像や、特定のお店を予約する機能を実行することを意図する画像が表示される(ステップ105及び106)。
【0116】携帯端末ユーザーが所定の機能が表示されたキートップを押し、スイッチが入ると(ステップ107)、押されたキートップの位置が検知され、キートップに表示されている機能を判定して(ステップ108)、選択した機能を確認するための画像がメイン表示部40に表示される(ステップ109)。
【0117】携帯端末ユーザーが同じキートップを押し(ステップ110)、同じスイッチが入ると(ステップ111)、携帯電子機器から事業者に情報、あるいは機能を要求する信号が送信される(ステップ112)。
【0118】事業者は携帯電子機器からの要求信号に応じて、要求されたデータを送信する(ステップ113)。この際、送信した情報量を顧客であるお店毎に積算する(ステップ114)。
【0119】事業者は送信データの積算量に応じて顧客に課金し、サービスの対価を顧客に要求する(ステップ115)。顧客はサービス料金を事業者に支払う(ステップ116)。
【0120】本事業では特に事業者から携帯電子機器に送信される詳細な情報は、携帯端末ユーザー自らが興味をもち要求したものなので宣伝や広告としての効果が大きく、課金は送信したデータ量に基づいて行うことができるので、顧客にとっては費用対効果の面で非常に効率の良い宣伝,広告ができるという効果がある。
【0121】上述の通り、本発明の表示機能付きスイッチ群は、表示領域の割合が広く効率の良い表示が可能で、操作した際にはクリック感触により十分な操作感が得られるという効果がある。さらに、隣り合うキートップの隙間が狭く複数のキートップでひとつの画像を表示した場合にも良好な画像が得られるスイッチ群を提供できる。
【0122】また、本発明の携帯電子機器では上記表示機能付きスイッチ群を採用することで大きな表示領域と操作性の高い入力手段の両立を実現した携帯電子機器を提供できる。さらに、所望の機能が表示されたキートップを一回押すだけで、あるいは、操作確認のための表示がメイン表示部に表示され、同じキートップをもう1回押すだけで、その機能を実行できる使い勝手の良い携帯電子機器を提供できる。
【0123】また、本発明では顧客にとって費用対効果の面で非常に効率の良い宣伝,広告等が可能な新規事業を提供できる。
【0124】
【発明の効果】本発明によれば、表示領域の割合が広く、効率の良い表示が可能な表示機能付きスイッチ群および、このようなスイッチ群を有する携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の携帯電子機器の概略構成を示す正面図である。
【図2】本発明の表示機能付きスイッチ群の断面を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係るスイッチ回路基板のドーム部の概略断面図である。
【図4】本発明に係る表示機能付きスイッチ群の複数のキートップの一部配列を示す平面図である。
【図5】本発明のキートップとスイッチ回路基板の一部を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の携帯電子機器のブロック図である。
【図7】本発明の携帯電子機器の動作状態の一例を示す概略正面図である。
【図8】本発明の携帯電子機器の動作状態の一例を示す概略正面図である。
【図9】本発明の携帯電子機器の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の携帯電子機器の動作の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の携帯電子機器の動作状態の一例を示す概略正面図である。
【図12】本発明の携帯電子機器の動作状態の一例を示す概略正面図である。
【図13】本発明の表示機能付きスイッチ群の断面を示す概略構成図である。
【図14】本発明における円偏光板の作用を説明するための表示機能付きスイッチ群の概略構成を示す一部断面図である。
【図15】本発明の携帯電子機器の概略構成を示す正面図である。
【図16】本発明の携帯電子機器の概略構成を示す断面図である。
【図17】本発明に係る表示装置の表示状態を例示する正面図である。
【図18】本発明に係る事業に関する携帯電子機器の状態の一例を示す概略正面図である。
【図19】本発明に係る事業の全体構成を示す概念図である。
【図20】本発明に係る事業の一例を示すフローチャートである。
【図21】本発明に係る事業の一例を示すフローチャートである。
【図22】本発明に係る事業の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,2…携帯電子機器、10…アンテナ、11…送信/受信部、12…信号処理部、13…無線通信部、20…スピーカ、30…メイン表示部保護部材、40…メイン表示部、45…選択機能確認表示、50…ヒンジ部、60…マイクロフォン、70…制御部、71…通信制御部、72…中央演算処理部、73…表示制御部、80…メモリ、100…表示機能付きスイッチ群、200…表示装置、210…バックライト、211…光源、212…光散乱手段、213…導光板、214…シート類、220…液晶表示素子、250…OLED表示装置、270…表示装置、300…スイッチ部、310…スイッチ回路基板、311…ドーム部、312…メタルドーム、313…カバーテープ、314…コンタクトフィルム、315…スペーサー、316…固定接点、317…可動接点、320,320a,320b,320c,320A,320B,320C…キートップ、321,321e,321f,321g,321h…キートップの突き出し部、322…有効表示領域、323…突起部、330…開口部、360…円偏光板、361…偏光板、362…1/4波長板、400…第2の筐体、410…第1の筐体、420…筐体、500…顧客、510…広告代理店、520…携帯電話通信事業者、530…携帯端末ユーザー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】可視光に対して透明な複数のキートップと、該複数のキートップのそれぞれのキートップに対応した位置に接点を有するスイッチ回路基板と、スイッチ回路基板の裏面に配置した表示装置とから構成されるスイッチ群であって、前記キートップは突き出し部を有し、該突き出し部は隣接配置されるキートップの突き出し部と互い違いとなるように、キートップの側面の一部の領域のみに形成されており、前記スイッチ回路基板は、該キートップの突き出し部の裏面に対応した位置に弾性部材を備え、さらに、前記キートップを介して、前記表示装置の画像を観察するための貫通穴、あるいは透明部材からなる開口部を有し、前記スイッチ回路基板の裏面に配置する表示装置がひとつであることを特徴とする表示機能付きスイッチ群。
【請求項2】前記キートップ、あるいは前記スイッチ回路基板の開口部の少なくとも一方がレンズ効果を生じる形状となっていることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付きスイッチ群。
【請求項3】前記キートップの最表面に円偏光板を備えたことを特徴とする表示機能付きスイッチ群。
【請求項4】前記表示装置にひとつの画像を表示することで、前記複数のキートップに表示される画像がひとつの画像として表示されることを特徴とする請求項1に記載の表示機能付きスイッチ群。
【請求項5】最大の表示領域を有するメイン表示部と、キートップに表示機能を有するスイッチ群を備える携帯電子機器に於いて、該スイッチ群が請求項1に記載の表示機能付きスイッチ群であること特徴とする携帯電子機器。
【請求項6】メイン表示部を構成する表示装置と、表示機能付きスイッチ群を構成する表示装置が、透明な板状部材から成るメイン表示部保護部材、及びスイッチ回路基板の裏面に配置した単一の表示装置であることを特徴とする請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】機器において最大の表示領域を有するメイン表示部と、表示機能を備えたスイッチ群を有する携帯電子機器であって、メイン画面の表示に関連した機能を表示機能を備えたスイッチ群の各キートップに表示し、所望の機能が表示されたキートップを一回押すだけで、その機能を実行するようにしたことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項8】機器において最大の表示領域を有するメイン表示部と表示機能を備えたスイッチ群を有する携帯電子機器であって、メイン画面の表示に関連した機能を表示機能を備えたスイッチ群の各キートップに表示し、所望の機能が表示されたキートップを一回押すと、操作確認のための表示がメイン表示部に表示され、さらに同じキートップをもう1回押すことで、その機能を実行するようにしたことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項9】メイン表示部と表示機能付きスイッチ群を備える携帯電子機器を所有する携帯端末ユーザーと、携帯電話通信事業者や広告代理店などからなる事業者と、宣伝広告情報を一般大衆に伝えたい個人や法人、あるいはオンラインで予約を受け付けるなどの機能を実行したい団体などからなる顧客との間で成立する事業形態であって、該顧客が広告したい情報や、実行したい機能を事業者に伝えてデータの作成や機能の運用を依頼する段階と、事業者が顧客の要求に基づき、携帯電子機器のメイン表示部及び、表示機能付きスイッチ群に表示するデータなどを作成する段階と、携帯端末ユーザーの携帯電子機器のメイン表示部に表示された画像に関連する機能や情報を事業者が顧客の要求に基づき選択して、表示機能付きスイッチ群に表示するためのデータとして携帯電子機器に送信する段階と、携帯端末ユーザーが所望の情報や、実行したい機能を要求する画面が表示されたキートップを押し、該要求信号を事業者に送信する段階と、携帯端末ユーザーからの要求により事業者がメイン表示部用の画像や機能を提供するためのデータを携帯電子機器に送信する段階と、事業者が携帯電子機器に送信したデータ量を顧客毎に積算する段階と、事業者が積算したデータ量に基づいてサービス料を算出し、顧客に課金する段階とを得た後、顧客がサービスの対価を事業者に支払うことで成立することを特徴とする事業形態。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図9】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図10】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2003−303526(P2003−303526A)
【公開日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−108685(P2002−108685)
【出願日】平成14年4月11日(2002.4.11)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】