説明

表示装置、携帯端末及び折り畳み型携帯端末

高機能化と高付加価値化を実現した、表示装置、携帯端末を提供することを課題とする。透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び第2の表示画面方向に発光する発光素子を有する。そして、前記基板の一表面に第1の偏光板を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の偏光板を有することを特徴とする表示装置、携帯端末を提供することを課題とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は携帯電話機やPDA(personal digital assistant)などの携帯端末に関し、特に、発光素子を具備し、表示画面を表裏に有する両面表示パネルを有する携帯端末に関する。
また本発明は、表示画面を表裏に有する表示装置に関する。さらに本発明は、イメージセンサ機能を有し、かつ表示画面を表裏に有する表示装置に関する。
【背景技術】
近年、発光装置として、液晶素子を用いた画素を有する液晶ディスプレイ(LCD)に代わり、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等を代表とする発光素子を用いた発光装置の研究開発が進められている。これらの発光装置は、発光型ゆえの高画質、広視野角、バックライトを必要としないことによる薄型、軽量等の利点を活かして、携帯端末の表示画面として幅広く利用されている。
携帯端末は、その使用目的の多角化によって高付加価値が求められ、最近では、通常の表示面の裏側にサブ表示面を設けたものが提供されている(例えば特許文献1参照)。
(特許文献1) 特開2001−285445号公報
なお、携帯端末の内、携帯電話機においては、第1及び第2の筐体がヒンジを介して連結された、所謂折り畳み型が市場の主流となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本来の表示面に加え、サブ表示面を設けた携帯端末は、バックライト等を含むモジュールが占める容積に加え、それらを駆動するコントロールIC等を実装した基板等が占める容積も無視できないものになる。特に最近提供されている携帯端末は、軽薄短小化が著しく、高付加価値化とのトレードオフとなっている。
また、サブ表示面を設けた折り畳み型携帯端末は、第1の表示画面と第2の表示画面とが表裏に背中合わせになっているため、折角2つの表示画面を具備しているにも関わらず、携帯電話機を開けた状態、又は閉じた状態の両方の状態において、排他的に一方しか利用することができなかった。また、内側の表示画面を確認するためには、携帯電話機を開けた状態にしなければならないため、不便を感じることが多かった。
さらに、移動体通信市場では、携帯電話機の新規加入の減少傾向が続いており、市場の伸び悩みがはっきりしてきている。そこで、新規加入の増減や機種選択を左右する大きな要素となる携帯電話機の機能には、さらなる高機能化、高付加価値化が求められている。
そこで本発明は、容積の小さいモジュール化の可能なパネルを用いることで、高付加価値化を実現した携帯端末を提供することを課題とする。また、折り畳み型携帯端末において、開閉しなくても、表示画面を確認することができる携帯端末を提供することを課題とする。さらに、市場の活性化のため、さらなる高機能化、高付加価値化を実現した携帯端末を提供することを課題とする。また本発明は、高機能化と高付加価値化を実現した表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明においては以下の手段を講じる。
本発明は、両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体がヒンジを介して連結された折り畳み型携帯端末であることを特徴とする。そして、前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有することを特徴とする。
また別の構成として、前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の第1の画素及び第1の表示画面を有し、前記一表面と反対の表面にマトリクス状に配置された複数の第2の画素及び第2の表示画面を有し、前記複数の第1及び第2の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有することを特徴とする。
さらに別の構成として、前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子と、光電変換素子とを有することを特徴とする。本構成を有する携帯端末において、発光素子は、被写体の情報を読み取る際の光源としての役割と、画像を表示する役割の2つの役割を果たす。そして、両面表示パネルは、被写体の情報を読み取るイメージセンサ機能と、画像を表示する表示機能の2つの機能を有する。
本発明は、第1の筐体に複数の両面表示パネルが具備された携帯端末であることを特徴とする。そして、この複数のパネルは、互いに異なる情報を表示することを特徴としており、前記特徴により、表示画面に立体的な映像を表示したり、例えば警告表示と通常の表示などの複数の画像を重ね合わせたりすることができる。また、第1の筐体に3枚の両面表示パネルを配置する場合には、前記第1両面表示パネルは赤の表示素子を有し、前記第2両面表示パネルは緑の表示素子を有し、前記第3両面表示パネルは青の表示素子を有することで、カラー画像を表示することができる。
本発明は、第1の筐体に両面表示パネル及びマイクロホンが具備され、第2の筐体には操作ボタン及びスピーカが具備されることを特徴とする。そのため、スピーカを有する第2の筐体を耳に当てて、マイクロホンを有する第1の筐体を口に当てて操作することが好適である。
本発明は、前記両面表示パネルの一表面、及び前記一表面と反対の表面の各々に偏光板を有することを特徴とする。本構成によると、両面表示パネル自体が透明ではなくなるため、周囲のものが透けて見えることはない。
上記構成を有する本発明は、表裏の各々に表示画面を具備した両面表示パネルを用いることで小型化を実現し、さらに開閉しなくても表示画面を確認することができる携帯端末を提供することができる。そのため、さらなる高機能化、高付加価値化を実現した携帯端末を提供することができる。
また、発光素子は、透光性の第1の電極と、該第1の電極上に接し、且つ赤、緑及び青の各色の光を発する有機化合物を含む層と、該有機化合物を含む層上に接する透光性の第2の電極とを有し、前記第1の電極を通過する発光と前記第2の電極を通過する発光の透過率、吸収率及び反射率から選択された一つ又は複数は、同一であることを特徴とする。上記特徴により、前記陽極を介して発せられる上面への発光と、前記陰極を介して発せられる下面への発光の色調が均一であり、高品質な画像表示が得られる表示装置、携帯端末を提供することができる。
本発明は、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、前記複数の画素の各々は、前記基板の一表面及び前記基板の一表面と反対の表面に発光する発光素子を有し、前記基板の一表面に第1の偏光板を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の偏光板を有する表示装置を提供することを特徴とする。また、前記基板の一表面に、第1の1/2波長板及び第1の1/4波長板の一方又は両方を有し、前記基板の一表面と反対の表面に、第2の1/2波長板及び第2の1/4波長板の一方又は両方を有することを特徴とする。また、620nmにピークを有する赤色発光素子と、530nmにピークを有する緑色発光素子と、450nmにピークを有する青色発光素子を用いると仮定したとき、各々の発光素子を構成する積層体の膜厚を調節することにより、陰極側と陽極側の透過率及び反射率並びに吸収率から選択された一つ又は複数を、同一又はほぼ同一にすることができる。そして、透過率及び反射率並びに吸収率から選択された1つまたは複数の値を用いて、赤、緑及び青の色度座標を算出すると、色度図において、青、緑、及び青の3つの色度座標は、陰極側と陽極側とで、同一又はほぼ同一の三角形を形成する。その結果、上面への発光および下面への発光ともに色調が均一、且つ、高品質な画像表示が得られる。また、よりきれいな黒表示と高コントラスト化を実現する。なお本発明における表示装置とは、発光素子を基板とカバー材との間に封入したパネル(両面表示パネル)、前記パネルにIC等を実装したモジュール、画像を表示する機能を有するディスプレイなどを範疇に含む。つまり表示装置は、パネル、モジュール及びディスプレイ等の総称に相当する。
【発明の効果】
上記構成を有する本発明は、表裏の各々に表示画面を具備した両面表示パネルを用いることで小型化を実現し、さらに開閉しなくても表示画面を確認することができる携帯端末を提供する。そのため、さらなる高機能化、高付加価値化を実現した携帯端末を提供することができる。
また、両面表示パネルを用いることで、斬新なデザインを設計することができ、携帯端末に高付加価値化を図ることができる。両面表示パネルはどこから見ても見やすい視認性の高い表示が可能で、コントラスト比が高く、優れた表示品質を有し、且つ自発光型であるため、バックライトのような光源が不要で、薄型のパネルを提供することが可能であるため、携帯端末には特に有効である。
さらに、表裏の各々に表示画面を具備した両面表示パネルを用いることで、高機能化と高付加価値化を実現した表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の折り畳み型携帯端末を説明する図である。
図2は、本発明の折り畳み型携帯端末の使用方法を示す図である。
図3は、両面表示パネルの断面図である。
図4は、イメージセンサ機能を含む両面表示パネルの断面図及び回路図である。
図5は、両面表示パネルの断面図である。
図6は、本発明の折り畳み型携帯端末を説明する図である。
図7は、本発明の折り畳み型携帯端末の構成を説明するブロック図である。
図8は、切り換え回路を説明するブロック図である。
図9は、本人認証システムを説明するフローチャートである。
図10は、両面表示パネルを説明する図である。
図11は、EL素子の積層モデル図である。
図12は、EL素子における積層の各膜厚を示す図である。
図13は、透過率、吸収率、および反射率を示す図である。
図14は、多層膜のモデル図である。
図15は、TFTおよびEL素子を示す断面図である。
図16は、本発明の折り畳み型携帯端末を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。例えば、本実施の形態では、携帯端末のうち携帯電話機について示すが、その他PDAやノートパソコンなどの携帯端末に本発明を適用することは容易である。また、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。また以下の実施の形態においては、スイッチ素子や駆動素子として、薄膜トランジスタ(TFT)を用いた例を挙げるが、本発明はこれに特に限定されない。例えば、MOSトランジスタ、有機トランジスタ、分子トランジスタ等も同様に用いることができる。
(実施の形態1)
本発明を適用した携帯端末において第1の実施の形態となる携帯電話機の詳細な構成について、図1を用いて説明する。図1(A)〜(F)において、101は両面表示パネル、102は受話部であるスピーカ、103は送話部であるマイクロホン、104は本端末を操作するための操作ボタン、105は第1の筐体、106は第2の筐体、107は電源供給源であるバッテリ、108は本端末を駆動するためのICなどを具備するモジュール、109は両面表示パネル101を駆動するモジュール、110は第1の筐体105と第2の筐体106を折り畳み可能なように連結するヒンジ(蝶番ともいう)である。なお図示していないが、本端末には、撮影する機能を有するカメラ、電磁波を受信するアンテナなどを具備してもよい。またストラップ、イヤホンマイク、ステレオイヤホンセットなどの付属品を具備してもよい。
本発明は、両面表示パネル101及び送話部であるマイクロホン103が同じ筐体(ここでは第1の筐体105)に具備され、操作ボタン104及び受話部であるスピーカ102が同じ筐体(ここでは第2の筐体106)に具備されることを特徴とする。つまり、スピーカ102を有する第2の筐体106は耳に当てて、マイクロホン103を有する第1の筐体105は口に当てるため、本端末を操作する際、第2の筐体106を上に、第1の筐体105を下にくるように用いる。また、操作ボタン104を操作する際には、第2の筐体106を使用者の方向に向けて用いる。
また本発明は、両面表示パネル101を用いることを特徴とする。両面表示パネル101とは、透光性を有する基板の一表面と反対の表面の合わせて2つの表面に表示画面を有するものである。換言すると、透光性を有する基板の表裏それぞれに表示画面を有し、該表示画面により画像を表示する。透光性を有する基板の表裏の一方又は両方には、複数の画素が具備される。そして、前記複数の画素の各々には、表示素子が具備され、好適には自発光型の発光素子を用いる。つまり、本発明で用いる両面表示パネル101は、透光性を有する基板上に表裏に発光する表示素子を具備するものであり、透明ディスプレイとも称される。そのため、第1の筐体105及び第2の筐体106の一方又は両方に透光性を有する材料を用いた場合、その携帯端末は、スケルトンタイプの携帯端末となり、デザイン性がさらに向上する。
本携帯端末の使用者は、両面表示パネル101を見る方向によっては、通常の表示ではなく、簡単に水平反転した表示を見ることができる。従って、第1の筐体105及び第2の筐体106を開いた状態と閉じた状態の2つの状態において、センサや操作ボタン104による命令に従って、切り換え回路を用いて両面表示パネル101に表示される画像を簡単に水平反転できるようにすることが好ましい。
さらに本発明は、第1の筐体105と第2の筐体106がヒンジ110を介して連結されているために、折り畳み可能であることを特徴とする。本特徴により、携帯端末の小型化及び表示画面の大型化が実現される。
図1(A)〜(C)は、ヒンジ110により連結された第1の筐体105及び第2の筐体106が開いた状態であり、図1(A)は内側から見た場合、図1(B)は側面から見た場合、図1(C)は外側から見た場合を示す。図1(A)(C)において、両面表示パネル101には画像が表示されている。図1(A)に示す内側の表示画面と、図1(C)に示す外側の表示画面では、表裏に背中合わせの関係となっているため、水平反転した関係になっている。また図1(B)において、両面表示パネル101が、表裏の各々に表示画面を有していることが分かる。
図1(D)〜(F)は、ヒンジにより連結された第1の筐体105及び第2の筐体106が閉じた状態であり、図1(D)は第1の筐体105から見た場合、図1(E)は側面から見た場合、図1(F)は第2の筐体106から見た場合を示す。図1(D)において、両面表示パネル101は透光性を有するために、第2の筐体106に具備された操作ボタン104を確認することができる。
図2には、実際に使用者が携帯端末を操作している状態を示す。図2(A)は両面表示パネル101を見ている状態であり、使用者の掌紋が両面表示パネル101を介して確認することができる。図2(B)は指で操作ボタン104を操作している状態であり、使用者の手が両面表示パネル101を介して確認することができる。
なお、図2において示すように、使用者は、携帯端末を手で挟むようにもつため、操作ボタン104は、第2の筐体106の一方の面だけでなく、第1の筐体105と第2の筐体106の側面に配置してもよい。そうすると、さらに操作がしやすくなる。但し、不用意に操作される可能性もあるため、側面に配置された操作ボタン104を配置する場合にはロック機能も一緒に配置するとよい。
本発明は、折り畳み型携帯端末に両面表示パネル101を用いることを大きな特徴としており、図2(A)に示すように持つことで、両面表示パネル101を手で隠すことができる。この持ち方は、両面表示パネル101に大事な情報を表示している場合に、他人に見られるといった心配がなく、プライバシーの管理に有効である。また、操作ボタン104を操作する際には、手をずらすことで簡単に操作することが可能で、片手で操作することもできる。
上記構成を有する本発明は、表裏の各々に表示画面を具備した両面表示パネルを用いることで小型化を実現し、さらに開閉しなくても表示画面を確認可能な携帯端末を提供することができる。従って、さらなる高機能化、高付加価値化を実現した携帯端末を提供することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、第1及び第2の表示画面を有する両面表示パネル101の構成について詳細に説明する。図3(A)にはトランジスタを用いたアクティブ型、図3(B)にはパッシブ型を示す。
図3(A)において、透光性を有する基板200上に、駆動用トランジスタ201、第1の電極(画素電極)202、発光層203及び第2の電極(対向電極)204が設けられている。第1の電極202、発光層203及び第2の電極204の積層体が発光素子225に相当する。そして本発明では、第1の電極202及び第2の電極204は透光性を有する材料により形成されることを特徴とする。そのため、発光素子225は、基板200に向かう第1の方向と、第1の方向とは反対の第2の方向に発光し、第1の表示領域205と第2の表示領域206を有する。なお、第1の電極202及び第2の電極204を構成する透光性材料とは、ITO(インジウムスズ酸化物)等の透明導電膜、又は光を透過できる厚さで形成されたアルミニウム等を用いたものを指す。
図3(B)において、透光性を有する基板200上に第1の電極(画素電極)260、発光層261及び第2の電極(対向電極)262が設けられている。第1の電極260、発光層261及び第2の電極262の積層体が発光素子225に相当する。またバンクとして機能する絶縁膜263及び樹脂膜264が設けられている。
このように、パッシブ型の場合には、発光層261を電極で挟んだ構造をしている。発光層261としては、無機材料を主成分とした材料を用いてもよく、その場合、第1の電極260と発光層261の間、又は第2の電極262と発光層261の間に絶縁層を設けてもよい。この絶縁層としては、成膜表面の吸着反応を利用した熱CVD法を用いて、酸化アルミニウム(Al)と酸化チタニウム(TiO)を交互に積層した構造を用いるとよい。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、第1及び第2の表示画面を有し、さらにイメージセンサ機能を有する両面表示パネル101の構成について詳細に説明する。
図4(A)は、透光性を有する基板200上に形成された駆動用トランジスタ201、透光性材料により形成された第1の電極(画素電極)202、発光層203及び透光性材料により形成された第2の電極(対向電極)204が設けられている。発光素子225は、基板200に向かう第1の方向と、第1の方向とは反対の第2の方向に発光する。そして、第2の電極204上に形成された絶縁膜235上に、P型層231、I型(真性)層232及びN型層233の積層体からなる光電変換素子238と、P型層231に接続された電極230、N型層233に接続された電極234が設けられる。
上記構成を有する両面表示パネル101は、光源として発光素子225、イメージセンサ素子として光電変換素子238を用いる。発光素子225及び光電変換素子238は同一の基板200上に配置されており、発光素子225から発せられる光は、被写体237において反射して、その反射した光は光電変換素子238に入射する。そうすると、光電変換素子238の両電極間の電位差は変化し、その変化した電位差に応じて両電極間に電流が流れ、その流れた電流量を検知することで、被写体237の情報を得ることができる。そして、得られた情報は、発光素子225を用いて表示することができる。なお、イメージセンサ機能を用いる際には、光源から発せられる光が被写体において反射するように、携帯端末を折り畳んだ状態で用いることが好ましい。
つまり、発光素子225は、被写体の情報を読み取る際の光源としての役割と、画像を表示する役割の2つの役割を果たす。そして、両面表示パネル101は、被写体の情報を読み取るイメージセンサ機能と、画像を表示する表示機能の2つの機能を有する。このような2つの機能を有しているにも関わらず、イメージセンサ機能を用いる際には通常必要である光源や光散乱板を別個に設ける必要がないため、本実施の形態における両面表示パネル101を用いると、大幅な小型化、薄型化及び軽量化が実現する。
上記構成を有する両面表示パネルの等価回路の一例について、図4(B)を用いて説明する。図4(B)には一つの画素250を示し、画素250は発光素子225を有する副画素217と、光電変換素子238を有する副画素249を有する。副画素217は、信号線220、電源線221、走査線222、ビデオ信号の入力を制御するスイッチ用トランジスタ223、入力されたビデオ信号に応じた電流を発光素子225に供給する駆動用トランジスタ224を有する。なおこの副画素217の構成は、図3(A)に示したトランジスタと発光素子を有する断面構造における、代表的な回路構成としても適用することができる。
また、副画素217は、駆動用トランジスタ224のゲート・ソース間電圧を保持する容量素子227を有する。但し、ゲート・ソース間電圧を保持する容量として、ゲート容量や寄生容量で賄うことができる場合は、容量素子227を新たに設けなくてもよい。また、発光素子225の第2の電極204は対向電源226に接続する。
一方、副画素249は、信号線240、電源線241、走査線242、243、光電変換素子238の両電極間の電位差をリセットするリセット用トランジスタ246、光電変換素子238の両電極間の電位差によりそのソース・ドレイン間に流れる電流量が決定する増幅用トランジスタ245と、光電変換素子238から読み取られた信号の駆動回路への入力を制御するスイッチ用トランジスタ244を有する。また、光電変換素子238のP型層231とN型層233の一方は電源248に接続する。
なお、ここでは、アクティブ型の発光素子と、光電変換素子とを同一基板上に形成する形態を示したが、図3(B)に図示したようなパッシブ型の発光素子と光電変換素子とを同一基板上に形成してもよい。また、一画素に発光素子225及び光電変換素子238を有する場合を図示したが、画素毎に光電変換素子238を設ける必要はなく、読み取る被写体や携帯端末の用途に従って、複数の画素毎に光電変換素子238を設けてもよい。そうすると、発光素子225の開口率が拡大するため、明るい画像を提供することができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、第1及び第2の表示画面を有する両面表示パネル101の構成について、上記の実施の形態とは異なる場合について説明する。
図5(A)において、点線で囲んだ266と267の部分の断面構造は、絶縁膜268、269が形成されている以外は、図3(A)に示した断面構造と同じであるので、詳細な説明は省略する。そして、以下には、図5(A)に示した両面表示パネルの作製方法の一例について簡単に説明する。
まず、石英やガラス基板からなる第1の基板上に、266、267に示す部分の断面構造と同じになるように、トランジスタ201及び発光素子225を形成する。形成された発光素子225上に絶縁膜を形成し、絶縁膜上に接着剤を形成し、接着剤上に両面テープを貼り付け、両面テープ上に第2の基板を貼り付ける。その後、物理的手段により、第1の基板を剥離すると、トランジスタ201の下部に形成された下地膜が露出する。続いて、露出した下地膜に接着剤を形成し、この接着剤を用いて第3の基板に貼り付ける。そして最後に、第2の基板を剥離すると、第3の基板にトランジスタ201及び発光素子225を形成することができる。この場合、第3の基板として、例えばプラスチック基板などの温度に脆弱な基板を用いてもよい。可撓性を有するプラスチック基板を用いたパネルを用いると、用途が格段に広がる。また、プラスチック基板は軽量であるため、携帯端末には特に有効である。なお第3の基板に貼り付ける際には、トランジスタなどの半導体素子が表裏で重なるようにすることが好ましい。
上記構成を有する携帯端末を用いると、パネル101に表示される画像を重ね合わせることができる。例えば、図5(B)に示すように、基板200上の一表面に形成された発光素子を用いて動物の画像を表示し、また前記一表面とは反対の表面に形成された発光素子を用いて、背景の画像を表示する。そうすると、遠近感が表現されて、映像を立体的に表示することができる。
また別の使用方法として、カメラにより撮影した画像を表示画面に表示する場合、一表面に画像を表示し、この一表面とは反対の表面にキャラクターなどを用いたフレームを重ね合わせたり、一表面に人物を含む画像を表示し、この一表面とは反対の表面に台詞が入った吹き出しを重ね合わせたりしてもよい。さらに、一表面に受信メールを表示し、この一表面とは反対の表面に着信や新規メールといった警告が重ね合わせるようにしてもよい。そうすると、着信や新規メールを受け取った際に表示画面が切り替わることがなく、携帯端末に大きな付加価値を提供する構成となる。
なお、ここでは、図3(A)で示したアクティブ型の素子を貼り合わせる形態を示したが、図3(B)に示したパッシブ型の素子を貼り合わせてもよい。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、第1及び第2の表示画面を有する両面表示パネルを複数枚重ねて配置した携帯端末の構成について説明する。
図6(A)において、3枚の両面表示パネル270〜272が重ねて配置されており、これに伴って、パネル270〜272を駆動するモジュール273〜275が重ねて配置されている。3枚のパネルの各々は、図3〜図5のいずれかの構成を有している。但し、図4のイメージセンサ素子を有する構成のパネルは、なるべく被写体に近い方が好ましいため、筐体に一番近い位置(パネル270かパネル272)にくるように配置することが好適である。
そして、3枚のパネルに表示された画像を重ね合わせることで、カラー画像を表示する。例えば、図6(D)に示すように、パネル270で青(B)、パネル271で緑(G)、パネル272で赤(R)の画像を表示し、それらの画像を重ね合わせることで、図6(E)に示すカラー画像を表示することができる。この際、パネル270〜272において、図6(B)に示すようにRGBの各色を表示する表示素子を全面に配置してもよいし、図6(C)に示すようにRGBの各色を表示する表示素子をそれぞれ重ならないように配置してもよい。なお、図6(B)、(C)は図6(A)における領域276の拡大図を示す。
また上記とは別の形態として、2枚の両面表示パネルを重ねて配置した携帯端末の場合に、図6(F)に示すように一方のパネルにディジタル表示、他方のパネルにアナログ表示をしてもよい。そうすると、アナログ表示とディジタル表示が重なった表示を確認することができるため、大変便利である。また、実施の形態4において上述したように、一方のパネルに画像を表示し、他方のパネルにフレームや台詞の入った吹き出しを表示したり、一方のパネルに受信メールを表示し、他方のパネルに着信や新規メールといった警告を表示したりするようにしてもよい。
さらに上記とは別の形態として、複数枚(好ましくは2〜7枚)の両面表示パネルを重ねて配置し、各々の両面表示パネルは同じ映像を表示しているものの、各パネルに表示される映像の色の明るさを変えることで、立体的な画像(3D画像)を表示してもよい。これは、明るさの比率を変えると、映像の中の同じ物体が近くに見えたり、遠くに見えたりする点を活用したものである。
このように、複数枚のパネルを重ねた構成を有する携帯端末は、大幅な高機能化、高付加価値化を実現する。
なお、上記の複数枚の両面表示パネルを重ねる構成は、携帯端末だけではなく、表示装置として用いたり、他の電子機器に適用したりすることができる。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の携帯端末に搭載する両面表示パネルについて、上記とは異なる形態について図10を用いて説明する。
つまり、本実施の形態では、第1及び第2の表示画面を有する両面表示パネル101の構成について、上記の実施の形態とは異なる場合について説明する。
図10(A)(B)において、5010、5020は偏光板であり、5030は両面表示パネルである。図10(A)は正面から見た図、図10(B)は側面図であり、本形態では、両面表示パネル5030の表裏に偏光板5010、5020を配置する。
上記構成を有する本パネルは、偏光板5010、5020を設けており、透明ではないため、パネル5030を介して周囲の風景が見えることはない。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
発光素子の両電極の材料、つまり陰極および陽極の材料を透光性とし、基板や封止基板として透光性のものを用いた場合、有機化合物を含む層からの発光は、陰極を通過する発光と、陽極を透過する発光との2通りの表示が同時に行える。
なお、発光素子は、一対の電極間に、有機化合物を含む層を挟んだ構造を有する。そして、一対の電極のうち、一方は陽極であり、他方は陰極である。
しかし、光学距離の違いによる干渉効果のため、上面からの発光と下面からの発光とで光学特性(色調など)に差を生ずる。陰極および陽極の材料を透光性とした、赤、緑、青の3種類の発光素子(EL素子)を用いてフルカラーの両面表示パネルを作製した場合、色座標が上面からの発光と、下面からの発光とで異なってしまう問題がある。色座標が異なると、上面と下面とで同じ階調表示を行うことが不可能となる。
光学距離は各波長によって異なるため、フルカラーの場合にはRGBでそれぞれ有機化合物を含む層、陽極、陰極、保護膜などの膜厚を制御する必要がある。
そこで本実施の形態では、陰極および陽極の材料を透光性とした発光素子(EL素子)において、上面への発光および下面への発光ともに色調が均一、且つ、高品質な画像表示が得られる構成の発光素子について説明する。
まず、図11に示す積層モデルを用いてシミュレーションを行った。
3種類(R、G、B)のEL素子に共通する層の膜厚、即ち、陰極となる金属薄膜の膜厚と、その上に形成する透明導電膜の膜厚とを調節することにより、上面からの発光と下面からの発光との色調を同一にした。
図11に示すようにITOの陽極、発光層を含む複数の有機化合物を含む層(EL層)、金属薄膜(Ag、銀)の陰極、ITOの透明電極、SiN(窒化珪素)の保護膜を順次積層したEL素子において、EL層は発光層の発光界面を境にして陰極側と陽極側とに分けられる。なお、波長によって材料の屈折率は異なっており、図11では最大屈折率の値を示している。
なお図11において、dは陽極側の薄膜の厚さであり、Dは陰極側の薄膜の厚さである。
発光層の発光界面から陽極に向かう光は、陽極と、TFTを含む層と、透明基板とを通過して外部発光に寄与する。また、発光層の発光界面から陰極に向かう光も、金属薄膜と、透明電極と、保護膜と、空隙と、透明基板とを通過して外部発光に寄与する。
Agからなる金属薄膜とEL層の屈折率段差と、Agからなる金属薄膜と透明電極の屈折率段差は、他の隣接層の屈折率差よりも格段に大きい。本実施の形態では、この金属薄膜と透明電極の膜厚を調節して陰極側からの発光と陽極側からの発光とを合わせる。
つまり、金属薄膜と透明電極の膜厚を調節して、陰極側からの発光の透過率及び反射率並びに吸収率と、陽極側からの発光の透過率及び反射率並びに吸収率を合わせる。
フルカラー表示を行う際、620nmにピークを有する赤色発光素子と、530nmにピークを有する緑色発光素子と、450nmにピークを有する青色発光素子とを用いると仮定する。実際、EL素子からの発光は急峻なピークではなく、幅のひろいピークを示す。
この3つの波長域(620nm、530nm、450nm)において、上面からの発光と、下面からの発光との透過率、反射率、および吸収率をそれぞれシミュレーションにより求めると、陰極となる金属薄膜としてAgを用いる場合、6nm〜10nm、代表的には8nmとし、その上の透明導電層(ITO)を240nm〜290nm、380nm〜500nm、代表的には260nmとすると、R、G、Bのそれぞれにおいて、上面からの発光と下面からの発光との透過率、反射率、および吸収率をほぼ同一にできる。
こうして、本実施の形態の構成により、上面への発光および下面への発光ともに色調が均一、且つ、高品質な画像表示が得られる。
なお、EL層は、陽極側から順に、HIL(ホール注入層)、HTL(ホール輸送層)、EML(発光層)、ETL(電子輸送層)、EIL(電子注入層)の順に積層する。具体的には、HILとしてCuPc、HTLとしてα−NPD、ETLとしてBCP、EILとしてBCP:Liをそれぞれ用いる。なお、EMLは、R、G、Bのそれぞれの発光色に対応したドーパントをドープしたAlqを用いればよい。
なお、Agの膜厚が5nm以下になると電気抵抗率が高くなってしまう。また、Agはオーム接触がよい材料である。さらに、Agは、後に形成されるITOのスパッタ法によるダメージからEL層を保護する効果もある。また、Agの膜厚が11nm以上となると光の透過率が低くなってしまうため好ましくない。Agは、成膜レートを調節することによって、薄い膜厚でも密着性よく安定な膜質を得やすい材料である。また、透明導電層(ITO)が240nm未満であれば、上面からの発光と下面からの発光との透過率、反射率、および吸収率に差が生じてしまう。また、透明導電層(ITO)は、成膜時間を考慮にいれると500nmよりも薄いほうがよい。
また、R、G、Bのそれぞれにおいて、上面からの発光と下面からの発光との透過率、反射率、および吸収率をほぼ同一にできるのは、Agの膜厚は8nm、透明導電層の膜厚260nmであり、各層の厚さを図12に示す。図12に示すように、陽極側の発光は、33nmのEL層(HTL/HIL)、110nmのITO、100nmの窒化珪素膜(SP−SiN)、1000nmのアクリル樹脂、100nmの酸化窒化珪素膜(SiON)、110nmの酸化珪素膜(SiO、図ではGIと表記)、100nmの酸化窒化珪素膜(SiON)、50nmの窒化酸化珪素膜(SiNO)、ガラス基板を順に通過するものと仮定する。また、陰極側の発光は、90nmのEL層(ETL/EIL)、8nmのAg、260nmのITO、100nmの窒化珪素膜(SP−SiN)、空気、ガラス基板を順に通過するものと仮定する。なお、ガラス基板と窒化珪素膜の間にある空気は0nm、即ち、厚さがないものと仮定している。また、図12の設定数値にあわせた時の透過率、反射率、および吸収率を図13に示す。
図13に示す上記反射率と上記透過率は、以下に示す手順で多層膜のシミュレーションを行って求める。
図14に示すような第N層多層膜を考えた場合、第1層からの反射率Rは、式(1)・・・R=(r+rexp(−2iδ))/(1+rexp(−2iδ))で表される。
図14において、nは屈折率、dは膜厚、rはフレネル反射係数、φは入射角、Rは振幅反射率(以下反射率と表記)である。つまり、nは第(j−1)層と第j層との界面における屈折率、dは第j層の厚さ、rは第j層のフレネル反射係数、φは第(j−1)層から第j層に入射する光の入射角、Rは第j層からの反射率である。また、式(1)において、iは虚数単位(i=−1)、δは位相差を示す。例えば、δは、光が第1層を往復したときの位相差を示す。
第1層をRで表される反射率をもつ境界と見なせば、第2層からの反射率Rは、式(2)・・・R=(r+Rexp(−2iδ))/(1+rexp(−2iδ))で表される。
上記手順を最上層まで順次進めていくことによって、多層膜の反射率を得ることができる。実際のシミュレーションでは以下の漸化式をサブルーチン化することによってプログラムを作成する。
そして、上記の式(1)、(2)を一般化した、第j層からの反射率Rは、式(3)・・・R=(rj+1+Rj−1exp(−2iδ)/(1+rj+1j−1exp(−2iδ))で表される。なお、式(3)は、R=r、δ=(2π/λ)ncosφのときに成立する。
ただし、本実施の形態でのシミュレーションでは垂直入射の場合のみを仮定したので、cosφ=1である。透過率についても同様の手順で求めることができる。第j層の振幅透過率(以下透過率と表記)Tの漸化式は、式(4)・・・T=Tj+1j−1exp(−iδ)/(1+rj+1j−1exp(−2iδ))で表される。なお、式(4)は、T=t、δ=(2π/λ)ncosφのときに成立する。
なお、式(4)において、tはフレネル透過係数である。つまり、tは第j層のフレネル透過係数である。
なお、透過率についてもcosφ=1とする。
以上の手順により,多層膜の反射率と透過率を求めることができる。また、吸収率は、1−(反射率+透過率)で求めることができる。
上記のように、620nmにピークを有する赤色発光素子と、530nmにピークを有する緑色発光素子と、450nmにピークを有する青色発光素子を用いると仮定したとき、各々の発光素子を構成する積層体の膜厚を調節することにより、陰極側と陽極側の透過率及び反射率並びに吸収率から選択された一つ又は複数を、同一又はほぼ同一にすることができる。そして、透過率及び反射率並びに吸収率から選択された1つまたは複数の値を用いて、赤、緑及び青の色度座標を算出すると、色度図において、青、緑、及び青の3つの色度座標は、陰極側と陽極側とで、同一又はほぼ同一の三角形を形成する。その結果、上面への発光および下面への発光ともに色調が均一、且つ、高品質な画像表示が得られる。
つまり、本発明の構成要素である発光素子は、透光性である第1の電極と、該第1の電極上に接し、且つ赤、緑及び青の各色の光を発する有機化合物を含む層と、該有機化合物を含む層上に接する透光性である第2の電極とを有する。そして、第1の電極を通過する発光と第2の電極を通過する発光の透過率、吸収率及び反射率から選択された一つ又は複数は、同一又はほぼ同一であることを特徴とする。
また、ここでは金属薄膜をAgとした例を示したが、仕事関数の小さい材料、例えば、Al、Li、Ca、またはこれらの合金MgAg、MgIn、AlLi、CaF、またはCaNを用いることができる。また、透明電極としてITO(酸化インジウム酸化スズ合金)とした例を示したが、In−ZnO(酸化インジウム酸化亜鉛合金)、ZnO(酸化亜鉛)、ITSO(Siを含む酸化インジウム酸化スズ合金)等を用いることができる。これらの材料を用いる場合には材料の屈折率を考慮して膜厚を決定すればよい。
また、本発明は、3種類(R、G、B)のEL素子を用いてフルカラー表示を行う発光装置に限らず、白色発光のEL素子とカラーフィルタとを組み合わせてフルカラー表示を行う両面表示パネルや、青色発光のEL素子と色変換層とを組み合わせてフルカラー表示を行う両面表示パネルにも適用することができる。
つまり、本発明の構成要素である発光素子は、透光性である第1の電極と、該第1の電極上に接し、白色の光を発する有機化合物を含む層と、該有機化合物を含む層上に接する透光性である第2の電極とを有する。また、第1の電極上に設けられた第1のカラーフィルタと、第2の電極上に設けられた第2のカラーフィルタを有する。そして、第1の電極及び第1のカラーフィルタを通過する発光と、第2の電極と第2のカラーフィルタを通過する発光の透過率、吸収率及び反射率から選択された一つ又は複数は、同一又はほぼ同一である。
本実施の形態は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態について、図16(A)〜(F)を用いて説明する。図16(A)は開いた状態で内側から見た図、図16(B)は開いた状態の断面図、図16(C)は開いた状態で外側から見た図、図16(D)は閉じた状態で第1の筐体9311側から見た図、図16(E)は閉じた状態の断面図、図16(F)は第2の筐体9312側から見た図である。本発明の折り畳み型携帯端末は、受話部9301と両面表示パネル9307を有する第1の筐体9311と、送話部9304と操作ボタン9303を有する第2の筐体9312を有し、ヒンジを介して、折り畳みができるように連結されている(図16(B)参照)。
両面表示パネル9307の表裏には、第1の表示画面9305と第2の表示画面9306が設けられる。また、両面表示パネル9307の表裏には、偏光板9308、9309が貼られている。2枚の偏光板9308、9309は、その偏光方向が交差するように配置することで外光を遮断することができる。交差する角度は、40度乃至90度、好ましくは70度乃至90度、より好ましくは90度とすればよい。上記構成により、表示を行う領域以外は、黒の表示を行うため、どちらの側から見ても、背景が透けてみえることがない。
つまり、偏光板9308、9309の配置により、両面表示パネル9307に外光が透過することなく、発光素子から発光した光のみが透過するため、コントラストが向上する。
偏光板9308、9309は、一方又は双方を回動自在とする手段を付加して、交差する角度を変えることにより両面表示パネル9307の透過率を変化させることもできる。すなわち、調光機能を付加することもできる。また、偏光板9308、9309の外側には、反射防止膜または反射防止フィルムを設け、反射率を低減させると表示品位を高めることができる。その他にも1/2波長板又は1/4波長板(若しくは当該フィルム)を付加しても良い。このように光学機能性フィルムを付加することで、表示品質が向上し、特に黒色のしずみ込みが良いものとすることができる。
1/2波長板(λ/2板、位相差板ともいう)は、結晶軸とそれに直交する軸との間に位相差π(180°)を与える機能を有する。また、1/4波長板(λ/4板、位相差板ともいう)は、結晶軸とそれに直交する軸との間に位相差π/2(90°)を与える機能を有する。つまり、結晶軸に対し45°方位で直線偏光を入射させた場合は円偏光となり、逆に円偏光入射時は方位45°の直線偏光となって出射する。そして、1/2波長板と1/4波長板の一方又は両方は、両面表示パネル9307の表面に貼り付けられ、偏光板9308、9309は、1/2波長板と1/4波長板の一方又は両方の表面に貼り付けられる。波長板の配置により、パネルで反射した外光は、偏光板の偏光軸と90度異なる偏光軸を有するので、偏光板を透過しない。つまり、両面表示パネル9307の内部の反射による不要光を削減し、よりきれいな黒表示、高コントラスト化を実現する。
本発明の折り畳み型携帯端末は、開閉検知手段を有し、当該手段は、第1の筐体9311に設けられた突起9313と、第2の筐体9312に設けられた穴9314及び制御手段9315から構成される。第1の筐体9311と第2の筐体9312が閉じた状態になると、突起9313が穴9314の下部に配置された制御手段9315に接する状態となり、そうすると、第1の表示画面9305において通常表示を行うように設定される。一方、第1の筐体9311と第2の筐体9312を開いた状態にすると、制御手段9315に接する突起がない状態となり、そうすると、第2の表示画面9306において通常表示を行うように設定される。なお、開閉検知手段は、上記構成に制約されず、通常のボタンを用いて、使用者が行ってもよい。
なお、上記の波長板及び偏光板を有する両面表示パネル101は、表示装置として用いたり、携帯端末だけではなく、他の電子機器へ適用してもよい。
【実施例】
【実施例1】
本実施例では、本発明の折り畳み型携帯端末の構成要素とそれらの関係について、図7に示すブロック図を用いて説明する。
最初に、携帯端末のうち携帯電話機を例に挙げると、基幹となる構成要素として、両面表示パネル101、受話部であるスピーカ102、送話部であるマイクロホン103、使用者が操作する操作ボタン104が挙げられる。
図4に示したように、両面表示パネル101は、イメージセンサ306を有していてもよく、各々は、コントローラ301、センサコントローラ302により制御される。また操作ボタン104はボタンコントローラ303により制御される。これらのコントローラは、CPU300により集中して管理される。また、CPU300は、フラッシュメモリ310、DRAM311及びVRAM312などの記憶媒体、外部インターフェイス309、開閉検知センサ308、赤外線通信307等に接続される。
また、両面表示パネル101は、切り換え回路321に接続する。切り換え回路321は、両面表示パネル101が含む2つの表示画面における表示を制御する役割を担うものであり、具体的には、両面表示パネル101が含む2つの表示画面のうち、どちらの表示画面に通常表示を行うかを制御する役目を担う。
使用者が操作ボタン104を操作すると、ボタンコントローラ303、CPU300及びコントローラ301を介して両面表示パネル101に情報が表示される。また、使用者がイメージセンサ306を操作するときも同じような経路をたどり、センサコントローラ302、CPU300及びコントローラ301を介して両面表示パネル101に情報が表示される。
使用者が相手の話を聞く拡声器となるスピーカ102は、使用者の耳に届くまでに、以下のような回路を介する。まず、送受信回路320において、相手の話の情報を受け取り、その後、CPU300を介してデータ処理回路313に当該情報が供給される。そして、D/A変換回路315において、アナログの信号に変換され、変換されたアナログ信号がアンプ317において増幅されて、最終的にスピーカ102に供給される。なお、マイクロホン103を介して、自分の声を相手の携帯端末に供給するためには、逆の経路をたどれる。つまり、マイクロホン103からアンプ316、A/D変換回路314を介して、自分の声の情報がデータ処理回路313に伝達され、最終的に送受信回路320に供給され、相手の携帯端末に届けられる。
また、撮影する機能を有するカメラ305はカメラコントローラ304により制御され、該カメラコントローラはCPU300により管理される。カメラ305により撮影された画像は、フラッシュメモリ310などの記憶媒体に保存され、CPU300を介して、使用者による操作ボタン104の操作に従って、両面表示パネル101に表示される。
図7には、本携帯端末の構成要素をいくつか挙げたが、本発明はこれに限定されず、その他の構成要素を具備してもよい。
本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例2】
本実施例では、本発明の携帯端末の一構成要素である切り換え回路について、図面を用いて説明する。
本発明の携帯端末は、両面表示パネル101を搭載しており、見る向きによっては、通常の表示ではなく、水平反転した表示を簡単に見ることができる。そこで、図9(B)のフローチャートに示すように、まず電源をオンした後、折り畳み型携帯端末の2つの筐体の開いた状態及び閉じた状態を認識する開閉検知センサ308や操作ボタン104を起動する。続いて、切り換え回路321も起動する。そして、開閉検知センサ308又は操作ボタン104から信号が供給され、該信号がパネル101に供給される。そうすることで、両面表示パネル101に表示される映像を簡単に水平反転できるようにすることが好ましい。
上記構成により、表示を簡単に変えて、使用者が通常表示を見ることができる。なお、表示の切り換えは、開閉検知センサ308と操作ボタン104のどちらを用いてもよい。開閉検知センサ308を用いる場合は、筐体を開いた状態では内側の表示画面において通常表示を行って、筐体を閉じた状態では外側の表示画面で通常表示を行うように、自動的に表示の切り換えを行うとよい。
そこで本実施例では、両面表示パネル101に表示される映像を水平反転する方法の一例について説明する。ここでは、両面表示パネル101が信号線駆動回路401、走査線駆動回路402及び画素部403を有する場合を例に挙げて説明する。
切り換え回路321は、図8(A)に示すように、両面表示パネル101が有する信号線駆動回路401及び走査線駆動回路402を制御する。そして、分割駆動を行わない場合には、切り換え回路321により、スタートパルスを供給する箇所を切り換える。より詳しくは、通常表示を行う場合、1列目1行目が最初に動作するように、スタートパルス(S−SP1、G−SP2)を供給する。一方、水平反転表示を行う場合、最終列目最終行目が最初に動作するようにスタートパルス(S−SP2、G−SP2)を供給する。そうすると、両面表示パネル101に表示される画像を簡単に水平反転させることができる。
分割駆動を行う場合には、走査線駆動回路402の動作は通常の動作と同じで、信号線駆動回路401の動作を工夫する。本実施例では、ビデオ線406が4本配置され、画素404が8個配置された場合を例に挙げて説明する。
通常表示を行う場合、図8(B)に示すように、画素A〜Hの8つの画素の各々には、ビデオ信号(1)〜(8)が順に供給される。これは、通常のパネルの走査と同じである。一方、水平反転表示を行う場合には、図8(C)に示すように、画素A〜Hの8つの画素の各々には、ビデオ信号(8)〜(1)が順に供給されるようにする。つまり、水平反転動作を行う場合には、ビデオ線406に供給するビデオ信号を変える。例えば、通常表示では、1本目のビデオ線にビデオ信号(1)、(5)が供給されていたのに対し、水平反転表示では、1本目のビデオ線にビデオ信号(8)、(4)が供給されるようにする。そうすると、簡単に、両面表示パネル101に表示される画像を水平反転することができる。
なお、両面表示パネル101に時間階調表示を適用する場合には、ビデオ信号をメモリに読み込んだ後、時間階調表示用の信号に変換する。従って、この場合には、ビデオ信号をメモリに読み込む際、ビデオ信号を読み込む順番を適宜変えることで、通常表示又は水平反転表示に対応することが好ましい。
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例3】
本実施例では、本携帯端末に用いられるシステムについて、図面を用いて説明する。
上記の実施の形態において、図4を用いて説明した構成の両面表示パネル101を用いると、表示機能と読み取り機能の2つの機能を有する携帯端末を提供することができる。本実施例では、この読み取り機能を活かした本人認証システムについて、図7と、図9(A)のフローチャートを用いて説明する。
まず、両面表示パネル101内に設けられたイメージセンサ306を用いて、本人の生体情報を読み取る。ここで、生体情報とは、人間が生まれつき持っている身体的な特徴で、なおかつ人間の個体識別が可能な情報を意味する。代表的な生体情報としては、指紋、掌紋等が挙げられる。本携帯端末の筐体のサイズ、両面表示パネル101のサイズを考慮すると、指の指紋、特に親指の指紋を生体情報として読み取ることが好ましい。しかし、本発明はこれに限定されず、掌紋でもよいし、マイクロホン103を用いて入手した声紋を生体情報として用いてもよい。
得られた生体情報は、予め携帯端末内に設けられた記憶媒体に蓄えられた生体情報と、CPU300を介して、比較照合される。ここで、2つの情報が合致すれば、使用者は本携帯端末の正しい所有者と認証されて、該使用者は続けて、処理(ここではインターネット接続処理)を行うことができる。そして、この処理が終わると、次の操作にうつることができる。なお、仮に得られた生体情報が、合致しなければ、再度読み取り動作を行う。
本実施例に示す本人認証システムは、例えば、課金制の通信処理や、携帯端末の記憶媒体の書き換え処理など、他人に操作されると困る全ての処理の前に行うことが好ましい。そうすることによって、携帯端末を用いた不正な処理を防ぐことができる。
本実施例は、上記の実施の形態、実施例と自由に組み合わせることが可能である。
【実施例4】
本実施例では、両面出射型の発光装置(両面表示パネル)について、図15を用いて説明する。
図15(A)は画素部の一部の断面を示す図である。また、図15(B)には発光領域における積層構造を簡略化したものを示す。図15(B)に示すように上面と下面の両方に発光を放出することができる。なお、発光領域の配置、即ち画素電極の配置としてはストライプ配列、デルタ配列、モザイク配列などを挙げることができる。
図15(A)において、500は第1の基板、501、501a、501bは絶縁層、502はTFT、508が第1の電極(透明導電層)、509は絶縁物(隔壁、土手とも呼ばれる)、510はEL層、511は第2の電極、512は透明保護層、513は空隙、514は第2の基板、519は透明導電層である。
第1の基板500上に設けられたTFT502(pチャネル型TFT)は、発光するEL層510に流れる電流を制御する素子であり、504はドレイン領域(またはソース領域)である。また、506は第1の電極508とドレイン領域(またはソース領域)504とを接続するドレイン電極(またはソース電極)である。また、ドレイン電極506と同じ工程で電源供給線やソース配線などの配線507も同時に形成される。ここでは第1の電極508とドレイン電極506とを別々に形成する例を示したが、同一としてもよい。第1の基板500上には下地絶縁膜(ここでは、下層を窒化絶縁膜、上層を酸化絶縁膜)となる絶縁層501aが形成されており、ゲート電極505と活性層との間には、ゲート絶縁膜(図示せず)が設けられている。また、501bは有機材料または無機材料からなる層間絶縁膜である。また、ここでは図示しないが、一つの画素には、他にもTFT(nチャネル型TFTまたはpチャネル型TFT)を一つ、または複数設けている。また、ここでは、一つのチャネル形成領域503を有するTFTを示したが、特に限定されず、複数のチャネルを有するTFTとしてもよい。
加えて、ここではトップゲート型TFTを例として説明したが、TFT構造に関係なく本発明を適用することが可能であり、例えばボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや順スタガ型TFTに適用することが可能である。
また、508は、透明導電膜からなる第1の電極、即ち、EL素子の陽極(或いは陰極)である。透明導電膜としては、ITO、In−ZnO、ZnO等を用いることができる。
また、第1の電極508の端部(および配線507)を覆うように、絶縁物509(バンク、隔壁、障壁、土手などと呼ばれる)を有している。絶縁物509としては、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、感光性または非感光性の有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)、またはこれらの積層などを用いることができるが、ここでは窒化シリコン膜で覆われた感光性の有機樹脂を用いる。なお、有機樹脂の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物の上端部のみに曲率半径を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物509として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、或いは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
また、有機化合物を含む層510は、蒸着法または塗布法を用いて形成する。本実施例では、有機化合物を含む層510を蒸着装置で成膜を行い、均一な膜厚を得る。なお、信頼性を向上させるため、有機化合物を含む層510の形成直前に真空加熱(100℃〜250℃)を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、蒸着法を用いる場合、真空度が5×10−3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10−4〜10−6Paまで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着の際、予め、抵抗加熱により有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッターが開くことにより基板500の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板500に蒸着される。
なお、EL層(有機化合物を含む層)510は、陽極側から順に、HIL(ホール注入層)、HTL(ホール輸送層)、EML(発光層)、ETL(電子輸送層)、EIL(電子注入層)の順に積層する。代表的には、HILとしてCuPc、HTLとしてα−NPD、ETLとしてBCP、EILとしてBCP:Liをそれぞれ用いる。
また、EL層(有機化合物を含む層)510としては、フルカラー表示とする場合、具体的には赤色、緑色、青色の発光を示す材料層をそれぞれ蒸着マスクを用いた蒸着法、またはインクジェット法などによって適宜、選択的に成膜すればよい。
また、上記EL層の積層構造に限定されず、緑色の発光を示すEL層(有機化合物を含む層)510を形成する場合、α−NPDを60nm成膜した後、同一の蒸着マスクを用いて、緑色の発光層としてDMQDが添加されたAlqを40nm成膜し、電子輸送層としてAlqを40nm成膜し、電子注入層としてCaFを1nm成膜する。また、青色の発光を示すEL層(有機化合物を含む層)510を形成する場合、α−NPDを60nm成膜した後、同一のマスクを用いて、ブロッキング層としてBCPを10nm成膜し、電子輸送層としてAlqを40nm成膜し、電子注入層としてCaFを1nm成膜する。また、赤色の発光を示すEL層(有機化合物を含む層)510を形成する場合、α−NPDを60nm成膜した後、同一のマスクを用いて、赤色の発光層としてDCMが添加されたAlqを40nm成膜し、電子輸送層としてAlqを40nm成膜し、電子注入層としてCaFを1nm成膜する。
また、白色発光として、カラーフィルタや色変換層などを別途設けることによってフルカラー表示可能な発光表示装置としてもよい。簡単な表示のみを行う表示装置、照明装置として使用する場合、単色発光(代表的には白色発光)とすればよい。例えば、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。また、赤色発光する有機化合物膜や緑色発光する有機化合物膜や青色発光する有機化合物膜を適宜選択し、重ねて混色させることによって全体として白色発光を得ることも可能である。
また、511は、導電膜からなる第2の電極、即ち、発光素子の陰極(或いは陽極)である。第2の電極511の材料としては、MgAg、MgIn、AlLi、CaF、CaNなどの合金、または周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミニウムとを共蒸着法により形成した透光性を有する金属薄膜を用いる。ここでは、第2の電極511を通過させて発光させる両面出射型であるので、6nm〜10nmのアルミニウム膜、もしくはLiを微量に含むアルミニウム膜を用いる。第2の電極511としてAl膜を用いる構成とすると、有機化合物を含む層510と接する材料を酸化物以外の材料で形成することが可能となり、発光装置の信頼性を向上させることができる。また、6nm〜10nmのアルミニウム膜を形成する前に陰極バッファ層としてCaF、MgFまたはBaFからなる透光性を有する層(膜厚1nm〜5nm)を形成してもよい。
また、上面からの発光と下面からの発光との透過率、吸収率、および反射率を同一とするため、および陰極の低抵抗化を図るため、6nm〜10nmの金属薄膜上に透明導電層519(ITO、In−ZnO、ZnO等)を、膜厚範囲240nm〜290nm、或いは380nm〜500nmで形成すればよい。こうして上面からの発光と下面からの発光との表示における色調の差をなくす。また、陰極の低抵抗化を図るため、発光領域とならない領域の第2の電極511上に補助電極を設けてもよい。また、陰極形成の際には蒸着による抵抗加熱法を用い、蒸着マスクを用いて選択的に形成すればよい。
また、512はスパッタ法または蒸着法により形成する透明保護層であり、金属薄膜からなる第2の電極511を保護するとともに水分の侵入を防ぐ封止膜となる。透明保護層512は、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜(SiNO膜(組成比N>O)またはSiON膜(組成比N<O))、炭素を主成分とする薄膜(例えばDLC膜、CN膜)を用いることができる。これらの無機絶縁膜は水分に対して高いブロッキング効果を有しているが、膜厚が厚くなると膜応力が増大してピーリングや膜剥がれが生じやすい。
こうして形成された透明保護層512は、有機化合物を含む層を発光層とする発光素子の封止膜として最適である。なお、基板間隔を確保するためのギャップ材を含有するシール材(図示せず)によって、第2の基板514と第1の基板500とが貼り合わされている。
また、保護層として、陰極511上に第1の無機絶縁膜と、応力緩和膜と、第2の無機絶縁膜との積層を形成してもよい。例えば、陰極を形成した後、第1の無機絶縁膜を5nm〜50nm形成し、蒸着法で吸湿性および透明性を有する応力緩和膜(有機化合物を含む層など)を10nm〜100nm形成し、さらに再度、第2の無機絶縁膜を5nm〜50nm形成すればよい。また、応力緩和膜と無機絶縁膜との積層を2以上繰り返し積層してもよい。
また、本実施例では第2の基板514を構成する材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。また、本実施例では、一対の基板間を空隙(不活性気体)513とした例を示したが、透明なシール材を一対の基板間に充填してもよい。充填するシール材としては、透光性を有している材料であれば特に限定されず、代表的には紫外線硬化または熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。また、透明なシール材を一対の基板間に充填することによって、一対の基板間を空間(不活性気体)とした場合に比べて全体の透過率を向上させることができる。
また、本実施例は、実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【実施例5】
本発明の構成要素である発光素子の構造について説明する。発光素子は、ガラス、石英、金属や有機物等の絶縁表面を有する基板の一表面に設けられた導電層、発光層及び導電層の積層体に相当する。発光素子は、発光層が複数の層からなる積層型、発光層が一つの層からなる単層型、発光層が複数の層からなるがその境界が明確ではない混合型のいずれでもよい。また、発光素子の積層構造には、下から陽極に相当する導電層\発光層\陰極に相当する導電層を積層する順積み構造、下から陰極に相当する導電層\発光層\陽極に相当する導電層を積層する逆積み構造があるが、発光素子を駆動するトランジスタの導電型や電流の流れる向きに応じて、適切な構造を選択するとよい。発光層には有機材料(低分子、高分子、中分子)、有機材料と無機材料を組み合わせた材料、シングレット材料、トリプレット材料又はそれらを組み合わせた材料のいずれを用いてもよい。また発光素子から発せられる光には、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが含まれて、本発明はその一方又は両方を用いることができる。発光素子は、広視野角、バックライトを必要としないことによる薄型、軽量を実現し、また応答速度が速いために動画の表示に適する。このような発光素子を用いた表示装置を用いることにより、高機能化と高付加価値化が実現する。本実施例は、上記の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有し、
前記基板の一表面に第1の偏光板を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の偏光板を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有し、
前記基板の一表面に、第1の1/2波長板及び第1の1/4波長板の一方又は両方と、第1の偏光板とを有し、
前記基板の一表面と反対の表面に、第2の1/2波長板及び第2の1/4波長板の一方又は両方と、第2の偏光板とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、前記第1の偏光板と前記第2の偏光板のなす角度は、40度乃至90度であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体はヒンジを介して連結し、
前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項5】
両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体はヒンジを介して連結し、
前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有し、
前記基板の一表面に第1の偏光板を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の偏光板を有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項6】
両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体はヒンジを介して連結し、
前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有し、
前記基板の一表面に、第1の1/2波長板及び第1の1/4波長板の一方又は両方と、第1の偏光板とを有し、
前記基板の一表面と反対の表面に、第2の1/2波長板及び第2の1/4波長板の一方又は両方と、第2の偏光板とを有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項7】
両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体はヒンジを介して連結し、
前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子と、光電変換素子とを有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項8】
両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体はヒンジを介して連結し、
前記両面表示パネルは、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の第1の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面にマトリクス状に配置された複数の第2の画素及び第2の表示画面を有し、
前記複数の第1及び第2の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項9】
複数の両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体はヒンジを介して連結し、
前記複数の両面表示パネルの各々は、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項10】
第1乃至第3の両面表示パネルを有する第1筐体と、操作ボタンを有する第2筐体はヒンジを介して連結し、
前記第1乃至前記第3の両面表示パネルの各々は、透光性を有する基板の一表面にマトリクス状に配置された複数の画素及び第1の表示画面を有し、前記基板の一表面と反対の表面に第2の表示画面を有し、
前記複数の画素の各々は、前記第1の表示画面及び前記第2の表示画面方向に発光する発光素子を有し、
前記第1の両面表示パネルは赤の表示素子を有し、前記第2の両面表示パネルは緑の表示素子を有し、前記第3の両面表示パネルは青の表示素子を有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項11】
請求項5又は請求項6において、前記第1の偏光板と前記第2の偏光板のなす角度は、40度乃至90度であることを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項12】
請求項4乃至請求項10のいずれか一項において、前記複数の画素の各々は、前記発光素子を制御する複数のトランジスタを有することを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項13】
請求項4乃至請求項10のいずれか一項において、前記第1の筐体にはマイクロホンが具備され、前記第2の筐体にはスピーカが具備されることを特徴とする折り畳み型携帯端末。
【請求項14】
請求項4乃至請求項10のいずれか一項において、前記発光素子は、透光性の第1の電極と、該第1の電極上に接し、且つ赤、緑及び青の各色の光を発する有機化合物を含む層と、該有機化合物を含む層上に接する透光性の第2の電極とを有し、
前記第1の電極を通過する発光と前記第2の電極を通過する発光の透過率、吸収率及び反射率から選択された一つ又は複数は、同一であることを特徴とする折り畳み型携帯端末。

【国際公開番号】WO2004/077386
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【発行日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−553530(P2004−553530)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001809
【国際出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】