説明

表示装置

【課題】ハードスイッチおよびタッチパネルの2種類の入力手段を有する表示装置の生産性を向上させる。
【解決手段】ハードスイッチとタッチパネル40とを有する表示装置に、表示装置の動作を制御する制御基板70と、ハードスイッチに対する操作を検出するスイッチ基板20と、制御基板70およびスイッチ基板20を接続するケーブル50とを設ける。また、タッチパネル40に、検出信号を外部に出力する出力電極を設ける。さらに、スイッチ基板20に、出力電極に接触する接触端子30と、ハードスイッチに対する操作の検出信号および接触端子30から入力されたタッチパネル40が検出した検出信号を、ケーブル50に出力する端子とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置の技術に関し、特に、タッチパネルとタッチパネルが出力する信号を受付ける制御基板との間の信号接続の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション装置や銀行のキャッシュディスペンサ等では、利用者からの各種要求を受付ける入力手段としてタッチパネルを利用したものが広く使われている。タッチパネルを利用した入力手段では、表示画面上で操作案内を行うことがでるため利用者の操作負担を軽減することができる。しかしながら、情報処理装置において、利用者からの入力を全てタッチパネルにより受付けるようにした場合、かえって操作が不便になることもある。例えば、電源のON−OFFや音声調整のための入力等の頻繁に利用する操作は、ハードスイッチを利用して受付けるようにした方が利用者にとり便利なこともある。
【0003】
従来から、タッチパネルを利用して各種要求を受付ける入力手段、およびボタン等のハードスイッチにより各種要求を受付ける入力手段の2種類の入力手段を備えた表示装置を有する情報処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1によれば、例えば、頻繁に利用する簡単な操作をハードスイッチで受付けて、情報処理装置に格納されたアプリケーションが提供する機能をタッチパネルからの操作により受付けるように設定することができるため利用者にとり便利である。
【0004】
【特許文献1】特開平09−50235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のようにハードスイッチおよびタッチパネルの2種類の入力手段を有する表示装置では、一般的に、タッチパネルからの信号およびハードスイッチからの信号のそれぞれが別のケーブルを介して制御基板に出力されていることが多い。そして、制御基板は、タッチパネルからの信号とハードスイッチからの信号とを別々のケーブルを介して受付けて、その受付けた信号を利用して各種の処理を行なう。
【0006】
しかしながら、タッチパネルからの信号およびハードスイッチからの信号をそれぞれ別々のケーブルを介して制御基板に出力した場合、以下のような問題を有する。つまり、表示装置では、制御基板とタッチパネル等の他に部品との接続にフレキシブルケーブルが利用されることが多い。このフレキシブルケーブルは、一般的に高価である。そのため、特許文献1のようにハードスイッチおよびタッチパネルの2種類の入力手段を設けた場合、装置自体のコストを増加させてしまう。なお、フレキシブルケーブルより安価な他のケーブル(単線の信号線)を利用して制御基板とタッチパネル等の接続を行なった場合、ケーブルの取り回し等の理由により装置の生産効率を悪化させてしまう。
【0007】
そこで、本発明の目的は、ハードスイッチおよびタッチパネルの2種類の入力手段を有する表示装置において、生産性を向上させ、かつ製造コストを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では、スイッチ基板に接触端子を設けて、タッチパネルに出力電極を設けて、タッチパネルの出力電極とスイッチ基板の接触端子とを接触させることでタッチパネルとスイッチ基板とを電気的に接続する。また、スイッチ基板と制御基板とをケーブルにより電気的に接続する。そして、スイッチ基板は、ハードスイッチから検出した信号をケーブルを介して制御基板に出力し、さらに、タッチパネルが検出した信号を接触端子を介して受付けて、その受付けたタッチパネルからの信号をケーブルを介して制御基板に出力するようにする。
【0009】
具体的には、本発明の一態様は、ハードスイッチとタッチパネルとを有する表示装置に適用される。
【0010】
そして、前記表示装置は、前記表示装置の動作を制御する制御基板と、前記ハードスイッチに対する操作を検出するスイッチ基板と、前記制御基板および前記スイッチ基板を接続するケーブルと、を有し、前記タッチパネルは、検出信号を外部に出力する出力電極を有し、前記スイッチ基板は、前記出力電極に接触する接触端子と、前記ハードスイッチに対する操作の検出信号および前記接触端子から入力された前記タッチパネルが検出した検出信号を、前記ケーブルに出力する出力端子とを有する。
【発明の効果】
【0011】
このように本発明によれば、ハードスイッチおよびタッチパネルの2種類の入力手段を有する表示装置において、ハードスイッチおよびタッチパネルがそれぞれ検出した信号を1本のケーブルを経由して制御基板に出力することができる。すなわち、本発明によれば、ハードスイッチおよびタッチパネルが検出したそれぞれの信号を1本のケーブルで制御基板に出力できるため、ケーブル数を減少させることにより製造原価を低減させることができる。また、本発明によれば、タッチパネルと制御基板との間で行うケーブル接続の工程をなくすことができるため生産効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
最初に本実施形態が適用された表示装置の概略構成について図1を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態が適用された表示装置の外観の概略を示した図である。
【0015】
図示するように、本実施形態の表示装置は、画像を表示する表示画面を有する表示部12と、表示部12を収納する筐体部11とを有する。筐体部11は、前面にフロントパネル10が設けられている。フロントパネル10には開口部が設けられている。そして、表示部12は、フロントパネル10の開口部を表示画面で塞ぐように筐体部11の内部で固定されている。また、フロントパネル10には、利用者からの各種操作を受付けるハードスイッチ21が1個以上設けられている。さらに、後述するが、表示部12は、前面にタッチパネルが設けられていて、タッチパネルにより利用者からの各種要求を受付けるように構成されている。
【0016】
続いて、本実施形態の表示装置の表示部12の具体的な構成について図2を用いて説明する。
【0017】
図2は、本発明の実施形態が適用された表示装置の表示部の構成を説明するための図である。図2では、図1における垂直面Bによる断面部分をA1、A2側から見た断面図を示している。なお、図2では、(a)図に表示装置の組立前の断面図示し、(b)図に表示装置の組立後の断面図を示している。また、図2では、説明を簡略化するために、筐体11についてはフロントパネル10以外の部分を省略する。
【0018】
さて、(a)図および(b)図に示すように、表示部12は、スイッチ基板20、接触端子30、タッチパネル40、画像を表示する液晶ディスプレイ(以下において「LCD(Liquid Crystal Display)」という)60、および表示装置全体を制御する制御基板70を有する。また、スイッチ基板20と制御基板70とはフレキシブルケーブル50により電気的に接続されている。ここで、フレキシブルケーブル50には、スイッチ基板20が検出した信号を出力するための信号線と、後述するタッチパネルから受付けた信号を出力するための信号線とが設けられている。なお、LCD60の構成については、従来技術により実現されるため、説明を省略する。
【0019】
スイッチ基板20は、ハードスイッチ21(図1参照)に接続されている。スイッチ基板20は、利用者がハードスイッチ21に対して行なった操作(例えば、ON−OFF操作や音声の強弱調整操作)に対する信号(ON−OFFを示す信号等)を検出する。また、スイッチ基板20は、信号を出力するための出力端子(図示しない)を有する。そして、スイッチ基板20は、自身が検出した信号(ハードスイッチ信号)を、出力端子からフレキシブルケーブル50を介して制御基板70に出力する。なお、ハードスイッチ信号は、フレキシブルケーブル50に設けられたハードスイッチ信号を出力するための信号線により制御基板70に出力される。また、スイッチ基板20は、タッチパネルが出力する信号を受付ける。スイッチ基板20は、その受付けた信号を、出力端子からフレキシブルケーブル50を介して制御基板70に出力する。なお、上記の受付けた信号は、フレキシブルケーブル50に設けられたスイッチ基板20が検出した信号を出力するための信号線を介して制御基板70に出力される。
【0020】
接触端子30は、スイッチ基板20に接続されていて、タッチパネル40上に設けられた出力電極41(図3参照)と接触することで、スイッチ基板20とタッチパネル40とを電気的に接続する。なお、スイッチ基板20とタッチパネル40とを接続させるための構成については後述する。
【0021】
タッチパネル40は、LCD60の表示画面の前面に配置されていて、表示画面の画像を透過させる。そして、タッチパネル40は、LCD60の画面上に表示される特定部分(例えばスイッチを表示する画像)をタッチする指等の接触物の接触位置(座標)を検出する。なお、タッチパネル40が行なう接触物の接触位置(座標)を検出する機能は、従来技術によるものとする。また、本実施形態では、タッチパネル40が有する接触物の接触位置(座標)を検出する機能の具体的な構成については、特に限定しない。例えば、タッチパネル40に、抵抗膜式タッチパネルを用いるようにしてもよいし、光学式タッチパネルや静電容量式タッチパネルを用いるようにしてもよい。
【0022】
タッチパネル40は、検出した座標を示す信号(タッチパネル信号)を自身に設けられた出力電極41に接触している接触端子30を介してスイッチ基板20に出力する。
【0023】
制御基板70は、スイッチ基板20が出力するハードスイッチ信号およびタッチパネル信号を、フレキシブルケーブル50を介して受付ける。そして、制御基板70は、受付けたハードスイッチ信号にしたがい表示装置の動作を制御する。また、制御基板70は、受付けたタッチパネル信号にしたがい表示装置の動作を制御する。
【0024】
続いて、本実施形態のタッチパネル40の構成について図3を用いて説明する。
【0025】
図3は、本発明の実施形態が適用された表示装置のタッチパネルの構成を説明するための図である。
【0026】
図示するように、タッチパネル40は、指等の接触物の接触(タッチ)を受ける領域42を有する。また、タッチパネル40には、領域42の周辺部分に検出したタッチパネル信号を出力するための出力電極41が設けられている。
【0027】
続いて、本実施形態のスイッチ基板20とタッチパネル40とを電気的に接続させる構成について図4を用いて説明する。
【0028】
図4は、本発明の実施形態が適用された表示装置のスイッチ基板20とタッチパネル40とを接続するための構成を説明するための図である。図4は、図2の断面図に示したスイッチ基板20、接触端子30、およびタッチパネル40を抜き出して拡大したものである。なお、図4では、上述した図2と同様、(a)図に組立前の断面図示し、(b)図に組立後の断面図を示している。
【0029】
さて、スイッチ基板20に接続されている接触端子30には、導電性を有するものを用いる。そして、接触端子30は、弾性を有することが望ましい。例えば、接触端子30には、板ばねを用いることができる。
【0030】
図示する例では、接触端子30に、タッチパネル40の出力電極41に接触させる接触面30aが略円弧形状に凸上に湾曲している板バネを用いた場合を例にしている。
【0031】
(a)図に示すように、組立前において、接触端子30は、押圧力を受けていない。そのため、接触端子30は、バネ部31が伸びた状態になっている。一方、表示装置が組み立てられた場合、接触端子30がタッチパネル40に設けられた出力電極41に押圧される。そのため、(b)図に示すように、接触端子30は、タッチパネル40に設けられた出力電極41に押圧されることで、接触面30aがたわみ、接触面30aと出力電極41とが接触する。
【0032】
このように、本実施形態では、タッチパネル40と制御基板70とを直接ケーブルで接続する構成を採用していない。タッチパネル40が検出した信号は、タッチパネル40の出力電極41に接触させた接触端子30を介してスイッチ基板20に出力される。そして、タッチパネル40が検出した信号は、スイッチ基板20からフレキシブルケーブル50を介して制御基板70に出力されている。
【0033】
すなわち、本実施形態では、ハードスイッチ21が受付けた信号とタッチパネル40が検出した信号とを1本のフレキシブルケーブル50で制御基板70に出力できるため、使用するフレキシブルケーブルの数を減少させることができ、結果的に製造コストを低減させることができる。また、本実施形態では、ケーブルを減少させることにより、ケーブルを通すためのスペースを減少させることができる。そのため、本実施形態によれば、小型化が要求されている表示装置において、その小型化の要求に対応することができる。
【0034】
さらに、本実施形態によれば、スイッチ基板20とタッチパネル40とを電気的接続する場合、両者を押圧して固定するだけでよい。本実施形態では、タッチパネル40が検出した信号を制御基板70に出力させるために、ケーブルを用いたコネクタの接続やハンダ付け等の作業を行なう必要がない。そのため、本実施形態の構成を採用することにより、作業工程を軽減することができ、表示装置の生産性を向上させることができる。
【0035】
また、従来のタッチパネルは、生産工程において、タッチパネルに信号線を出力するためのケーブルを接続する作業が行なわれることが多かった。これに対して、本実施形態では、上述したようにタッチパネルにケーブルを接続する必要がない。そのため、本実施形態によれば、タッチパネルの製造工程において、ケーブルを接続させる工程をなくすことができる。すなわち、本実施形態を採用することにより、タッチパネル自体の生産コストの低減を図ることができる。
【0036】
なお、本発明は以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、表示部にLCDを用いる場合を例にしたが特にこれに限定するものではない。例えば、LCDの代わりにCRT等の他の装置を用いるようにしてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、スイッチ基板20と制御基板70とをフレキシブルケーブル50で接続する場合を例にしたが、特にこれに限定するものではない。スイッチ基板20が検出した信号とタッチパネル40が検出した信号を1本のケーブルにより制御基板70に出力できるものであれば他のケーブルであってもかまわない。
【0038】
また、上述の説明では、本発明がタッチパネル付き表示装置に適用される場合を例にしたが、特にこれに限定するものではない。表示装置を有さない入力装置に適用することも可能である。この場合、例えば、表示装置を設ける代わりに、スイッチ等の操作部が直接印刷されたタッチパネルを設けるようにする。また、例えば、スイッチやボタン等が印刷された表示板の前面にタッチパネルを設けるようにする。
【0039】
また、本実施形態の表示装置は、種々の用途に適用可能である。例えば、ナビゲーション装置の表示部に本実施形態の表示装置を用いることができる。また、銀行やコンビニエンスストア等に設置されたATM機等の表示部に本実施形態の表示装置を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態が適用された表示装置の外観構成を示した図である。
【図2】本発明の実施形態が適用された表示装置の表示部の構成を説明するための図である。
【図3】本発明の実施形態が適用された表示装置のタッチパネルの構成を説明するための図である。
【図4】本発明の実施形態が適用された表示装置のスイッチ基板20とタッチパネル40とを接続するための構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0041】
10…フロントパネル、11…筐体部、12…表示部、20…スイッチ基板、21…ハードスイッチ、30…接触端子、40…タッチパネル、41…出力電極、50…フレキシブルケーブル、60…LCD、70…制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードスイッチとタッチパネルとを有する表示装置であって、
前記表示装置の動作を制御する制御基板と、
前記ハードスイッチに対する操作を検出するスイッチ基板と、
前記制御基板および前記スイッチ基板を接続するケーブルと、を有し、
前記タッチパネルは、検出信号を外部に出力する出力電極を有し、
前記スイッチ基板は、
前記出力電極に接触する接触端子と、
前記ハードスイッチに対する操作の検出信号および前記接触端子から入力された前記タッチパネルが検出した検出信号を、前記ケーブルに出力する出力端子とを有すること
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記接触端子は、弾性を有する導電性部材であること
を特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の表示装置であって、
前記ケーブルは、フレキシブルケーブルであること
を特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−78547(P2006−78547A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259570(P2004−259570)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】