説明

表示装置

【課題】画素電極または共通電極で反射された光同士の光の干渉に起因する干渉光が画像
表示部上に表示されるのを抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】この表示装置(ヘッドアップディスプレイシステム100)は、液晶表示パ
ネル13が、バックライト12から光が凹面鏡14に向かって出射される光出射方向と、
液晶表示パネル13の表面の法線方向とが所定の角度となるように傾けられて配置される
とともに、スリット321は、光出射方向に対して液晶表示パネル13の表面の法線方向
が傾けられた方向に略平行に延びるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、液晶表示パネルを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネルを含む表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、バックライトと、液晶表示パネルと、ミラーと、ウィンドシール
ドガラスとを備えるヘッドアップディスプレイシステム(表示装置)が開示されている。
上記特許文献1に開示されたヘッドアップディスプレイシステムでは、バックライトから
発光された光が、液晶表示パネルを透過するとともにミラーに反射され、ミラーに反射さ
れた光がウィンドシールドガラス(画像表示部)を透過することにより、液晶表示パネル
に表示される画像がウィンドシールドガラス上に表示される。
【0004】
【特許文献1】特開2007−52383号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイシステムでは、太陽
光などによって、ウィンドシールドガラスから光が入射し、この光がミラーを介して液晶
表示パネルに入射することが考えられる。そして、液晶を挟持する電極と水平な方向に電
界が発生する横方向電界モードのように、液晶表示パネルの画素の画素電極または共通電
極の一方にスリットが設けられている場合、液晶表示パネルに入射され、画素電極または
共通電極で反射された光同士の間で光の干渉が発生し、ウィンドシールドガラス上に干渉
光が表示されるという問題点が考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つ
の目的は、画素電極または共通電極で反射された光同士の光の干渉に起因する干渉光が画
像表示部上に表示されるのを抑制することが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の一の局面による表示装置は、複数の画素を含む液晶表示パネルと、液晶表示
パネルと対向するように配置された光源と、液晶表示パネルの光源が配置される側とは反
対側に配置される光学部材と、液晶表示パネルに表示される画像が投影される画像表示部
とを備え、画素は、液晶と液晶に電圧を印加する同一基板側に配置された画素電極および
共通電極とを含み、画素電極または共通電極のうち液晶層側の電極にはスリットが設けら
れ、液晶表示パネルは、光源から光が光学部材に向かって出射される光出射方向と、液晶
表示パネルの表面の法線方向とが所定の角度となるように傾けられて配置されるとともに
、スリットは、光出射方向に対して液晶表示パネルの表面の法線方向が傾けられた方向に
略平行に延びるように形成されている。
【0008】
この一の局面による表示装置では、上記のように、液晶表示パネルを光源から光が光学
部材に向かって出射される光出射方向と、液晶表示パネルの表面の法線方向とが所定の角
度となるように傾けて配置することによって、光学部材側から液晶表示パネルに入射した
光(たとえば太陽光)を、液晶表示パネルから光学部材に向かう方向と所定の角度ずらし
て反射させることができるので、液晶表示パネルから反射された光(正反射光)が画像表
示部に表示されるのを抑制することができる。また、画素電極または共通電極の一方にス
リットが設けられることにより、画素電極または共通電極の一方に反射した光は、この反
射した光同士の間で光の干渉が起きる。この干渉光は、スリットが形成される方向に対し
て直角方向に現れる。そして、この干渉光が正反射光とともに画像表示部に表示されるが
、スリットを、光出射方向に対して液晶表示パネルの表面の法線方向がずれる方向(たと
えば下方)に略平行に延びるように形成することによって、干渉光は、液晶表示パネルが
傾けられる方向に対して直角方向(たとえば横方向)に発生する。そして、液晶表示パネ
ルを、光源から光が光学部材に向かって出射される光出射方向と、液晶表示パネルの表面
の法線方向とが所定の角度(たとえば下方に)ずれるように傾けて配置することによって
、たとえば横方向に発生する干渉光を、液晶表示パネルから光学部材に向かう方向と所定
の角度ずらして反射させることができるので、干渉光が光学部材を介して画像表示部に表
示されるのを抑制することができる。なお、スリットを、光出射方向に対して液晶表示パ
ネルの表面の法線方向がずれる方向(たとえば下方)に略垂直(たとえば横方向)に延び
るように形成する場合、干渉光は、液晶表示パネルが傾けられる方向に沿った方向(たと
えば上下方向)に発生する。このとき、液晶表示パネルを下方に傾けても、干渉光は上下
方向に形成されているので、干渉光が光学部材に反射されるのを抑制することができない
。その結果、干渉光が画像表示部に表示されてしまう。
【0009】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、液晶表示パネルが傾けられる所定
の角度は、少なくとも、光学部材側から液晶表示パネルに入射し、液晶表示パネルの光学
部材側の表面で反射した光が、光学部材に入射しない角度以上である。このように構成す
れば、液晶表示パネルの光学部材側の表面で反射した光が光学部材に入射するのを抑制す
ることができるので、干渉光が画像表示部に表示されるのを抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による表示装置において、スリットの長手方向と光出射方向に対して液晶
表示パネルの表面の法線方向が傾けられた方向とのなす角が10度以下であるように構成
してもよい。
【0011】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、光学部材は、凹面鏡からなり、液
晶表示パネルと凹面鏡とは、光出射方向に平行な直線上に配置され、画像表示部は、光源
から出射され、凹面鏡に反射される光の反射方向に配置されている。このように構成すれ
ば、液晶表示パネルから出射した光(画像)を凹面鏡を介して、容易に、画像表示部に表
示することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、光源から出射された光は、凹面鏡により上方に反射され、液晶
表示パネルは、液晶表示パネルの表面の法線方向が光出射方向に対して下方に所定の角度
ずれるように傾けられている。このように構成すれば、外部から入射した光が凹面鏡に反
射し、この反射光が液晶表示パネルに入射しても、液晶表示パネルが下方に所定の角度ず
れるように傾けられているので、この入射した光は、凹面鏡から所定の角度下方にずれる
ように反射する。これにより、液晶表示パネルに反射した光が凹面鏡により反射され、画
像表示部に反射光が表示されるのを抑制することができる。
【0013】
上記光学部材が凹面鏡からなる表示装置において、好ましくは、光源から出射された光
は、凹面鏡により上方に反射され、液晶表示パネルは、液晶表示パネルの表面の法線方向
が光出射方向に対して横方向に所定の角度ずれるように傾けられている。このように構成
すれば、外部から入射した光が凹面鏡に反射し、この反射光が液晶表示パネルに入射して
も、液晶表示パネルが横方向に所定の角度ずれるように傾けられているので、この入射し
た光は、凹面鏡から所定の角度横方向にずれるように反射する。これにより、液晶表示パ
ネルに反射した光が凹面鏡に反射され、画像表示部に反射光が表示されるのを抑制するこ
とができる。
【0014】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、光学部材は、凸レンズからなり、
液晶表示パネルと凸レンズとは、光源から光が出射される光出射方向に平行な直線上に配
置され、画像表示部は、光源から出射された光が、凸レンズを透過する方向に配置されて
いる。このように構成すれば、液晶表示パネルから出射した光を凸レンズを介して、容易
に、画像表示部に透過させることができる。
【0015】
この場合、好ましくは、液晶表示パネルは、液晶表示パネルの表面の法線方向が凸レン
ズに向かって出射される光出射方向に対して所定の角度ずれるように傾けられている。こ
のように構成すれば、外部から入射した光が凸レンズを透過し、この入射光が液晶表示パ
ネルに入射しても、液晶表示パネルが光出射方向に対して所定の角度ずれるように傾けら
れているので、この入射した光は、光学部材に対して所定の角度ずれるよう反射する。こ
れにより、液晶表示パネルに反射した光が凸レンズを透過し、画像表示部に反射光が表示
されるのを抑制することができる。
【0016】
上記一の局面による表示装置において、液晶表示パネルは、光学部材に対向する側に偏
光板を備え、偏光板の透過軸は、光出射方向に対して液晶表示パネルの表面の法線方向が
傾けられた方向に直交する方向になるように構成してもよい。
【0017】
上記一の局面による表示装置において、好ましくは、画素電極と同一基板側に配置され
、画素電極に接続される薄膜トランジスタと、画素電極と共通電極との間に挟持される絶
縁膜とをさらに備え、液晶は、スリットを介して画素電極と共通電極との間に発生する電
界により駆動されるように構成されている。このように構成すれば、画素電極と共通電極
との間に基板と略平行な方向に電界を発生する横方向電界モードにより液晶を駆動するこ
とができるので、視野角を広くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの全体構成を
示す図である。図2は、本発明の第1実施形態による液晶表示パネルとバックライトとを
示す図である。図3〜図7は、本発明の第1実施形態による液晶表示パネルの構成を説明
するための図である。まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態によるヘッド
アップディスプレイシステム100の構造について説明する。なお、第1実施形態では、
表示装置の一例であるヘッドアップディスプレイシステム100に本発明を適用した場合
について説明する。
【0020】
第1実施形態によるヘッドアップディスプレイシステム100は、図1に示すように、
たとえば自動車に搭載されており、ヘッドアップディスプレイ部1と、ヘッドアップディ
スプレイ部1から出射される光(画像)が表示されるフロントガラス2とから構成されて
いる。なお、フロントガラス2は、本発明の「画像表示部」の一例である。
【0021】
ヘッドアップディスプレイ部1は、筐体11と、バックライト12と、液晶表示パネル
13と、凹面鏡14とから構成されている。ここで、第1実施形態では、バックライト1
2と、液晶表示パネル13と、凹面鏡14とは、バックライト12から出射される光の光
出射方向に平行な直線上に配置されており、フロントガラス2は、バックライト12から
出射され凹面鏡14に反射される光の反射方向に配置されている。なお、バックライト1
2および凹面鏡14は、それぞれ、本発明の「光源」および「光学部材」の一例である。
このように、第1実施形態では、凹面鏡14は、パックライト12から出射され、フロン
トガラス2に表示される光の光路上に配置されている。バックライト12と凹面鏡14と
は、液晶表示パネル13を挟んで対向するように配置されている。また、筐体11には、
開口部111が設けられており、ヘッドアップディスプレイ部1から光が出射されるよう
に構成されている。たとえば、液晶表示パネル13と凹面鏡14までの距離L1は、約1
.0mであり、凹面鏡14と後述する画像の虚像までの距離L2は、平面的に見て、約2
.0mである。ここで、第1実施形態では、図2に示すように、液晶表示パネル13は、
バックライト12から凹面鏡14に向けて出射される光の光出射方向と、液晶表示パネル
13の表面の法線方向とがZ2方向(下向き)に15°ずれるように傾けて配置されてい
る。なお、図2では、簡略化のために後述する1つの画素電極32の表面上に形成される
スリット321が図示されている。また、第1実施形態では、液晶表示パネル13が傾け
られる角度は、少なくとも、凹面鏡14から液晶表示パネル13に光が入射し、画素電極
32に当たって反射した光が凹面鏡14に入射しない角度以上であればよいが、あまり傾
けられる角度を大きくするとバックライト12からの光が液晶表示パネル13を透過する
光の量が少なくなるため、10°〜20°程度の範囲とすることが好ましく、この範囲に
なるように凹面鏡14のサイズおよび液晶表示パネル13と凹面鏡14との距離L1等を
設定するのが良い。
【0022】
また、液晶表示パネル13は、図3に示すように、表示部21と、駆動IC22と、V
ドライバ23と、HSW(水平スイッチ)24と、COM25とを備えている。表示部2
1には、複数の画素26がマトリックス状に配置されている。駆動IC22は、液晶表示
パネル13を駆動するための機能を有するとともに、後述する液晶35に印加される電位
差(階調電圧)を制御する機能を有する。Vドライバ23およびHSW24には、それぞ
れ、複数のゲート線27およびデータ線28が接続されているとともに、複数のゲート線
27およびデータ線28は、図4に示すように、互いに直交するように配置されている。
また、Vドライバ23は、ゲート線27の駆動回路としての機能を有する。また、HSW
24は、駆動IC22から供給される信号を時分割により分割するとともに、分割された
信号を、複数のデータ線28のうちから対応するデータ線28にそれぞれ出力するスイッ
チ機能を有する。COM25は、画素26の共通電極33の電位を制御する機能を有する

【0023】
また、各々の画素26は、図2に示すバックライト12からの光を透過させるとともに
、その透過光により画像を表示させるように構成されている。
【0024】
図4に示すように、画素26は、n型のTFTからなる画素トランジスタ31と、画素
電極32と、共通電極33と、保持容量34とにより構成されている。なお、画素トラン
ジスタ31は、本発明の「薄膜トランジスタ」の一例である。画素トランジスタ31のド
レイン領域Dは、データ線28に接続されている。また、画素トランジスタ31のソース
領域Sは、画素電極32と、保持容量34の一方の電極とに接続されている。また、画素
トランジスタ31のゲートGは、ゲート線27に接続されている。また、共通電極33の
他方の電極と保持容量34の他方の電極とは、COM25(図3参照)に接続されている

【0025】
また、図5および図6に示すように、基板41の表面上には、ITOなどからなる共通
電極33が形成され、共通電極33の表面上には、絶縁膜42が形成されている。また、
絶縁膜42の表面上には、ITOなどからなる画素電極32が形成されている。ここで、
第1実施形態では、図2および図5に示すように、画素電極32には、スリット321が
設けられており、スリット321は、図1に示す液晶表示パネル13から出射される光の
光出射方向に対して液晶表示パネル13の表面の法線方向がずれる方向(Z方向)に略平
行に延びるように形成されている。なお、画素電極32には、図4に示す画素トランジス
タ31が接続されている。
【0026】
また、基板41に対向するように基板43が設けられ、基板43と画素電極32(絶縁
膜42)との間には、液晶35が挟持されている。また、第1実施形態では、基板43の
表面上には、偏光板44が設けられ、偏光板44の透過軸は、バックライト12からの光
の光出射方向に対して液晶表示パネル13の表面の法線方向が傾けられた方向(Z2方向
)に直交する方向(Y方向)になるように構成されている。また、第1実施形態では、図
6および図7に示すように、基板41側に画素電極32および共通電極33が配置される
とともに、基板41と平行に配向された液晶35が、基板41表面にほぼ平行な電界(図
7の矢印A方向)が印加された際に、基板41とほぼ平行な面内で回転する(図5の矢印
B方向)、FFS(Fringe−Field−Switching)方式により構成さ
れている。なお、上記のように、画素電極32および共通電極33をともに一方の基板4
1側に配置することにより、液晶35に対して基板41表面にほぼ平行な方向に電界を印
加する構成を、横方向電界モードという。
【0027】
図8〜図10は、本発明の第1実施形態による液晶表示パネルから反射される反射光を
説明するための図である。次に、図1および図8〜図10を参照して、本発明の第1実施
形態によるヘッドアップディスプレイシステム100の動作について説明する。
【0028】
まず、図1に示すように、バックライト12から液晶表示パネル13に向けて光が出射
される。液晶表示パネル13を透過した光は、凹面鏡14に入射される。凹面鏡14は、
バックライト12の光出射方向(X1方向)に対して傾けて配置されており、液晶表示パ
ネル13を透過した光は、上方(Z1方向)に反射される。そして、凹面鏡14に反射さ
れた光(画像)が、フロントガラス2の表面に表示される。このとき運転者は、フロント
ガラス2の表面に表示される画像を目視することが可能となる。なお、実際には、運転者
は、液晶表示パネル13からフロントガラス2までの経路(光路)の長さに応じた分フロ
ントガラス2の外側に離れて現れる虚像を見る。
【0029】
次に、図8に示すように、太陽光などがフロントガラス2に入射した場合、入射光は、
凹面鏡14に反射されるとともに、液晶表示パネル13に入射され、液晶表示パネル13
によって反射される。そして、この反射光(正反射光50)は、液晶表示パネル13が、
Z2方向(下方)に15°ずれるように傾けて配置されていることにより、図10に示す
ように、正反射光50は、凹面鏡14の下方に反射される。そして、正反射光50が凹面
鏡14を介してフロントガラス2に表示されることはない。なお、液晶表示パネル13が
、バックライト12の光出射方向と液晶表示パネル13の表面の法線方向とが一致するよ
うに配置された場合(図8の点線で示された液晶表示パネル13a)、正反射光50aは
、図10に示すように、凹面鏡14に反射され、フロントガラス2の表面上に表示される

【0030】
また、図9に示すように、液晶表示パネル13に入射された光は、スリット321が設
けられる画素26の画素電極32の表面において反射し、この反射光は、反射光同士で光
の干渉が発生する。なお、干渉光51は、図10に示すように、スリット321が形成さ
れるZ方向(図5参照)と垂直なY方向に複数発生する。
【0031】
そして、液晶表示パネル13が、バックライト12の光出射方向と液晶表示パネル13
の表面の法線方向とが一致するように配置された場合(図8の点線で示された液晶表示パ
ネル13a)、干渉光51は、図10に示すように、凹面鏡14に反射され、フロントガ
ラス2の表面上に表示される。ここで、第1実施形態では、液晶表示パネル13が、バッ
クライト12の光出射方向と液晶表示パネル13の表面の法線方向とが下方(Z2方向)
に15°ずれるように傾けて配置されていることにより、干渉光52は、図10に示すよ
うに、凹面鏡14の下方に反射され、フロントガラス2の表面上には表示されない。
【0032】
第1実施形態では、上記のように、液晶表示パネル13をバックライト12から凹面鏡
14に向かって出射される光の光出射方向と、液晶表示パネル13の表面の法線方向とが
15°下方にずれるように傾けて配置することによって、上方から入射した太陽光が凹面
鏡14に反射し、液晶表示パネル13に入射した光を、液晶表示パネル13から凹面鏡1
4に向かう方向と15°下方にずらして反射させることができる。これにより、液晶表示
パネル13から反射された光(正反射光50)がフロントガラス2に表示されるのを抑制
することができる。また、スリット321を、光出射方向に対して液晶表示パネル13の
表面の法線方向がずれる下方(Z2方向)に略平行に延びるように形成することによって
、干渉光52は、横方向(Y方向)に発生する。そして、液晶表示パネル13を、バック
ライト12から凹面鏡14に向かって出射される光の光出射方向と、液晶表示パネル13
の表面の法線方向とが下方に15°ずれるように傾けて配置することによって、横方向(
Y方向)に発生する干渉光52を、凹面鏡14の下方に反射させることができる。これに
より、干渉光52がフロントガラス2に表示されるのを抑制することができる。
【0033】
また、第1実施形態では、上記のように、液晶表示パネル13が傾けられる角度は、少
なくとも、凹面鏡14側から液晶表示パネル13に光が入射し、液晶表示パネル13に当
たって反射した光が凹面鏡14に入射しない角度以上にすることによって、液晶表示パネ
ル13に当たって反射した光が凹面鏡14に入射することが抑制されるので、正反射光お
よび干渉光がフロントガラス2に表示されるのを抑制することができる。
【0034】
また、第1実施形態では、上記のように、凹面鏡14を、液晶表示パネル13からフロ
ントガラス2までの光の光路上に配置することによって、液晶表示パネル13から出射し
た光が凹面鏡14に反射され、この反射された光(画像)をフロントガラス2に表示する
ことができる。
【0035】
また、第1実施形態では、上記のように、液晶表示パネル13と凹面鏡14とを、光出
射方向に平行な直線上に配置し、フロントガラス2を、バックライト12から出射され、
凹面鏡14に反射される光の反射方向に配置することによって、液晶表示パネル13から
出射した光(画像)を凹面鏡14を介して、容易に、フロントガラス2に表示することが
できる。
【0036】
また、第1実施形態では、上記のように、液晶35を、スリット321を介して画素電
極32と共通電極33との間に発生する横方向の電界により駆動することによって、視野
角を広くすることができる。
【0037】
(第2実施形態)
図11は、本発明の第2実施形態による上方から見たヘッドアップディスプレイシステ
ムの全体構成を示す図である。図12は、本発明の第2実施形態による液晶表示パネルの
画素電極の平面図である。図1、図11および図12を参照して、この第2実施形態では
、上記第1実施形態と異なり、液晶表示パネル13が横方向(水平方向)に傾けて配置さ
れているヘッドアップディスプレイシステム101について説明する。
【0038】
この第2実施形態によるヘッドアップディスプレイシステム101の構成は、液晶表示
パネル13が傾けられる方向が異なる以外は、図1に示す上記第1実施形態と同様である
。そして、第2実施形態では、図11に示すように、液晶表示パネル13は、液晶表示パ
ネル13の表面の法線方向が光出射方向に対して横方向(水平方向)(Y方向)に15°
ずれるように傾けられている。
【0039】
また、第2実施形態では、図12に示すように、画素電極32aには、スリット321
aが設けられており、スリット321aは、図11に示す液晶表示パネル13から出射さ
れる光の光出射方向に対して液晶表示パネル13の表面の法線方向がずれる方向(Y方向
)に略平行に延びるように形成されている。
【0040】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0041】
図13は、本発明の第2実施形態による凹面鏡に反射される光を説明するための図であ
る。次に、図11〜図13を参照して、本発明の第2実施形態によるヘッドアップディス
プレイシステム101の動作について説明する。
【0042】
液晶表示パネル13に表示される画像を、フロントガラス2に表示させる動作は、上記
第1実施形態と同様である。
【0043】
次に、図11に示すように、太陽光などが上方からフロントガラス2にZ2方向に入射
した場合、入射光は、凹面鏡14に反射され、液晶表示パネル13に入射される。そして
、液晶表示パネル13からの反射光(正反射光50)は、液晶表示パネル13が、横方向
(Y方向)に15°ずれるように傾けて配置されていることにより、正反射光50は、図
13に示すように、凹面鏡14の横側に反射され、フロントガラス2に表示されることは
ない。なお、液晶表示パネル13が、バックライト12の光出射方向と液晶表示パネル1
3の表面の法線方向とが一致するように配置された場合(図11の点線で示された液晶表
示パネル13a)、正反射光50aは、図13に示すように、凹面鏡14に反射され、フ
ロントガラス2の表面上に表示される。
【0044】
また、液晶表示パネル13に入射された光は、図12に示す、スリット321aが設け
られる画素26の画素電極32aの表面において反射し、この反射光は、反射光同士で光
の干渉が発生する。なお、干渉光は、図13に示すように、スリット321aが形成され
るY方向(図12参照)と垂直なZ方向に複数発生する。
【0045】
そして、液晶表示パネル13が、バックライト12の光出射方向と液晶表示パネル13
の表面の法線方向とが一致するように配置された場合(図11の点線で示された液晶表示
パネル13a)、干渉光51は、図13に示すように、凹面鏡14を介してフロントガラ
ス2の表面上にZ方向に表示される。ここで、第2実施形態では、液晶表示パネル13が
、バックライト12の光出射方向と液晶表示パネル13の表面の法線方向とが横方向(Y
方向)に15°ずれるように傾けて配置されていることにより、干渉光52は、図13に
示すように、凹面鏡14の横方向に反射され、フロントガラス2の表面上には表示されな
い。
【0046】
第2実施形態では、上記のように、液晶表示パネル13は、液晶表示パネル13の表面
の法線方向が光出射方向に対して横方向に15°ずれるように傾けることによって、外部
から入射した光が凹面鏡14に反射し、この反射光が液晶表示パネル13に入射しても、
液晶表示パネル13が横方向に15°ずれるように傾けられているので、この入射した光
は、凹面鏡14から15°横方向にずれるように反射する。これにより、液晶表示パネル
13に反射した光が凹面鏡14に反射され、フロントガラス2に反射光が表示されるのを
抑制することができる。
【0047】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0048】
(第3実施形態)
図14は、本発明の第3実施形態による横方向から見たヘッドアップディスプレイシス
テムの全体構成を示す図である。図14を参照して、この第3実施形態では、上記第1実
施形態と異なり、凸レンズ15を介してフロントガラス2に画像を表示するヘッドアップ
ディスプレイシステム102について説明する。
【0049】
第3実施形態によるヘッドアップディスプレイシステム102は、図14に示すように
、ヘッドアップディスプレイ部1aと、ヘッドアップディスプレイ部1aから出射される
光(画像)が表示されるフロントガラス2とから構成されている。
【0050】
ヘッドアップディスプレイ部1aは、バックライト12と、液晶表示パネル13と、凸
レンズ15とから構成されている。なお、凸レンズ15は、本発明の「光学部材」の一例
である。ここで、第3実施形態では、バックライト12と、液晶表示パネル13と、凸レ
ンズ15とは、バックライト12から出射される光の光出射方向に平行な直線上に配置さ
れている。また、ヘッドアップディスプレイ部1aには、開口部111aが設けられてお
り、ヘッドアップディスプレイ部1aから光が出射されるように構成されている。また、
凸レンズ15から光が出射される方向には、フロントガラス2が配置されている。また、
第3実施形態では、液晶表示パネル13は、バックライト12から凸レンズ15に向けて
出射される光の光出射方向と、液晶表示パネル13の表面の法線方向とがX方向に15°
ずれるように傾けて配置されている。また、画素電極32のスリットは、X方向に平行に
形成される。
【0051】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0052】
次に、図14を参照して、本発明の第3実施形態によるヘッドアップディスプレイシス
テム102の動作について説明する。
【0053】
まず、図14に示すように、バックライト12から液晶表示パネル13に向けて光が出
射される。液晶表示パネル13を透過した光は、凸レンズ15に入射される。そして、凸
レンズ15を透過した光(画像)が、フロントガラス2の表面に表示される。運転者は、
フロントガラス2の表面に表示される画像を目視することが可能となる。なお、実際には
、運転者は、液晶表示パネル13からフロントガラス2までの経路(光路)の長さに応じ
た分フロントガラス2の外側に離れて現れる虚像を見る。
【0054】
次に、太陽光などがフロントガラス2に入射した場合、入射光は、凸レンズ15を透過
し、液晶表示パネル13に入射される。ここで、第3実施形態では、液晶表示パネル13
が、バックライト12の光出射方向と液晶表示パネル13の表面の法線方向とが横方向(
X方向)に15°ずれるように傾けて配置されていることにより、フロントガラス2から
入射し、液晶表示パネル13に反射された光と、反射光の間の干渉光とは、フロントガラ
ス2の表面上には表示されない。
【0055】
第3実施形態では、上記のように、液晶表示パネル13と凸レンズ15とを、バックラ
イト12から光が出射される光出射方向に平行な直線上に配置し、フロントガラス2を、
バックライト12から出射された光が、凸レンズ15を透過する方向に配置することによ
って、液晶表示パネル13から出射した光を凸レンズ15を介して、容易に、フロントガ
ラス2に透過させることができる。
【0056】
また、第3実施形態では、上記のように、液晶表示パネル13を、液晶表示パネル13
の表面の法線方向が凸レンズ15に向かって出射される光出射方向に対して15°横方向
にずれるように傾けることによって、外部から液晶表示パネル13に入射した光は、凸レ
ンズ15に対して15°横方向にずれるよう反射するので、液晶表示パネル13に反射し
た光が凸レンズ15を透過し、フロントガラス2に表示されるのを抑制することができる

【0057】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0058】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと
考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範
囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が
含まれる。
【0059】
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、画素電極にスリットを設ける例を示したが、
本発明はこれに限らず、共通電極にスリットを設けてもよい。この場合、基板の上方に画
素電極を形成し、画素電極の上方に絶縁膜を挟んで共通電極が形成される。
【0060】
また、上記第1〜第3実施形態では、それぞれ、液晶表示パネルを、Z方向、Y方向お
よびX方向に対して傾けて配置する例を示したが、本発明はこれに限らず、液晶表示パネ
ルを、Z方向、Y方向およびX方向以外の方向に傾けて配置してもよい。
【0061】
また、上記第1実施形態では、スリットを、Z方向に平行に形成する例を示したが、本
発明はこれに限らず、図15に示す変形例のように、画素電極32bのスリット322を
、Z方向に対して、10°以下の範囲(たとえば5°程度)で傾けて形成してもよい。こ
の場合、液晶の配向方向をY方向とすることができるため、液晶表示パネルの凹面鏡側に
配置する偏光板の透過軸をY方向と平行とすることができる。凹面鏡からフロントガラス
に向かう画像の光に対して、傾いて配置されているため、この傾いている方向に直交する
方向の偏光として入射されるようになり、フロントガラスに入射する画像の光を効率よく
反射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイシステムの全体構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶表示パネルとバックライトとを示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態による液晶表示パネルの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶表示パネルの画素部分における等価回路図である。
【図5】本発明の第1実施形態による液晶表示パネルの画素電極の平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による画素において、電極にオフ電圧を印加した際の液晶の配向状態について説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態による画素において、電極にオン電圧を印加した際の液晶の配向状態について説明するための図である。
【図8】本発明の第1実施形態による液晶表示パネルに太陽光が入射する様子を説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態による画素電極に反射される反射光の干渉を説明するための図である。
【図10】本発明の第1実施形態による凹面鏡に反射される光を説明するための図である。
【図11】本発明の第2実施形態による上方から見たヘッドアップディスプレイシステムの全体構成を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態による液晶表示パネルの画素電極の平面図である。
【図13】本発明の第2実施形態による凹面鏡に反射される光を説明するための図である。
【図14】本発明の第3実施形態による横方向から見たヘッドアップディスプレイシステムの全体構成を示す図である。
【図15】本発明の第1実施形態の変形例による液晶表示パネルの画素電極の平面図である。
【符号の説明】
【0063】
2 フロントガラス(画像表示部)
12 バックライト(光源)
13 液晶表示パネル
14 凹面鏡(光学部材)
15 凸レンズ(光学部材)
26 画素
31 画素トランジスタ(薄膜トランジスタ)
32、32a、32b 画素電極
33 共通電極
41 基板
42 絶縁膜
44 偏光板
321、321a、322 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を含む液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルと対向するように配置された光源と、
前記液晶表示パネルの前記光源が配置される側とは反対側に配置される光学部材と、
前記液晶表示パネルに表示される画像が投影される画像表示部とを備え、
前記画素は、液晶と前記液晶に電圧を印加する同一基板側に配置された画素電極および
共通電極とを含み、
前記画素電極または前記共通電極のうち前記液晶層側の電極にはスリットが設けられ、
前記液晶表示パネルは、前記光源から光が前記光学部材に向かって出射される光出射方
向と、前記液晶表示パネルの表面の法線方向とが所定の角度となるように傾けられて配置
されるとともに、前記スリットは、前記光出射方向に対して前記液晶表示パネルの表面の
法線方向が傾けられた方向に略平行に延びるように形成されている、表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示パネルが傾けられる所定の角度は、少なくとも、前記光学部材側から前記
液晶表示パネルに入射し、前記液晶表示パネルの前記光学部材側の表面で反射した光が、
前記光学部材に入射しない角度以上である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記スリットの長手方向と前記光出射方向に対して前記液晶表示パネルの表面の法線方
向が傾けられた方向とのなす角が10度以下である、請求項1または2に記載の表示装置

【請求項4】
前記光学部材は、凹面鏡からなり、
前記液晶表示パネルと前記凹面鏡とは、前記光出射方向に平行な直線上に配置され、
前記画像表示部は、前記光源から出射され、前記凹面鏡に反射される光の反射方向に配
置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光源から出射された光は、前記凹面鏡により上方に反射され、
前記液晶表示パネルは、前記液晶表示パネルの表面の法線方向が前記光出射方向に対し
て下方に所定の角度ずれるように傾けられている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記光源から出射された光は、前記凹面鏡により上方に反射され、
前記液晶表示パネルは、前記液晶表示パネルの表面の法線方向が前記光出射方向に対し
て横方向に所定の角度ずれるように傾けられている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記光学部材は、凸レンズからなり、
前記液晶表示パネルと前記凸レンズとは、前記光源から光が出射される前記光出射方向
に平行な直線上に配置され、前記画像表示部は、前記光源から出射された光が、前記凸レ
ンズを透過する方向に配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
前記液晶表示パネルは、前記液晶表示パネルの表面の法線方向が前記凸レンズに向かっ
て出射される前記光出射方向に対して所定の角度ずれるように傾けられている、請求項7
に記載の表示装置。
【請求項9】
前記液晶表示パネルは、前記光学部材に対向する側に偏光板を備え、前記偏光板の透過
軸は、前記光出射方向に対して前記液晶表示パネルの表面の法線方向が傾けられた方向に
直交する方向である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項10】
前記画素電極と同一基板側に配置され、前記画素電極に接続される薄膜トランジスタと

前記画素電極と前記共通電極との間に挟持される絶縁膜とをさらに備え、
前記液晶は、前記スリットを介して前記画素電極と前記共通電極との間に発生する電界
により駆動されるように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の表示装置


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−192977(P2009−192977A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35663(P2008−35663)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】