説明

表示装置

【課題】過電流による保護からの自動復帰が可能で、電源回路の保護機能を安価に構成でき、コストを低減することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】ベースに駆動電圧信号が入力され、エミッタから駆動電圧を出力する出力トランジスタと、出力トランジスタに過電流が流れたときにオンとなる第1トランジスタと、第1トランジスタがオンの時にオンとなり、出力トランジスタをオフとする第2トランジスタとを有し、出力トランジスタに過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、出力トランジスタが正常に動作している期間を正常動作期間するとき、過電流動作期間内に第1トランジスタと第2トランジスタとはオン・オフを繰り返し、出力トランジスタを間欠動作させ、過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、第1トランジスタと第2トランジスタとはオフとなり、出力トランジスタは、自動的に正常動作に復帰する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に係わり、特に、電源回路の過電流保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブ素子として薄膜トランジスタを使用するTFT方式の液晶表示装置は、高精細な画像を表示できるため、テレビ、パソコン用ディスプレイ等の表示装置として使用されている。
液晶表示装置は、基本的には、少なくとも一方が透明なガラス等からなる二枚の(一対の)基板の間に、液晶層を挟持した、所謂、液晶表示パネルを有し、この液晶表示パネルの基板に形成した画素形成用の各種電極に選択的に電圧を印加して、所定画素の点灯と消灯を行うもので、コントラスト性能、高速表示性能に優れている。
一般に、液晶表示装置は、液晶表示パネルと、ゲート・ドライバ部と、ソース・ドライバ部と、表示制御回路と、電源回路とで構成される。(下記特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−183329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した液晶表示装置の電源回路では、何らかの原因で出力がショートし、過電流が流れた場合、部品の異常発熱による信頼性問題を起さないような配慮が必要であり、保護回路を備える必要ある。
このような保護回路として、出力トランジスタのコレクタ電流を、ショート発生時に制限する方式(以下、方式1の保護回路という)と、出力トランジスタのバイアス電位をショート発生時に制御し、出力をカットオフする方式(以下、方式2の保護回路という)とが知られている。
しかしながら、前述の方式1の場合は、制限された電流が流れ続けることから、発熱に耐える部品を選定する必要があり、余分な部品コストが発生する。また、前述の方式2の場合は、システム復帰には回路のリセット動作が必要となるため、異常が取り除かれた後の出力自動復帰をさせたい用途には、適用できない。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、過電流による保護からの自動復帰が可能で、電源回路の保護機能を安価に構成でき、コストを低減することが可能な表示装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
(1)駆動回路を有する表示パネル(例えば、液晶表示パネル)と、前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、当該駆動電圧信号に基づき前記駆動電圧を出力する出力回路と、前記出力回路に過電流が流れたときに前記出力回路を保護する保護回路とを有する表示装置であって、前記出力回路に過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力回路が正常に動作している期間を正常動作期間するとき、前記保護回路は、前記過電流動作期間内に前記出力回路を間欠動作させ、前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記保護回路は、オフとなり、前記出力回路は、自動的に正常動作に復帰する。
【0006】
(2)駆動回路を有する表示パネル(例えば、液晶表示パネル)と、前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、当該駆動電圧信号に基づき前記駆動電圧を出力する出力回路と、前記出力回路に過電流が流れたときに前記出力回路を保護する保護回路とを有する表示装置であって、前記保護回路は、前記出力回路に過電流が流れていることを検出する検出回路と、前記検出回路において前記出力回路に過電流が流れていることを検出したときに前記出力回路を制御するバイアス回路とを備え、前記出力回路に過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力回路が正常に動作している期間を正常動作期間するとき、前記バイアス回路は、前記過電流動作期間内に前記出力回路を間欠動作させ、前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記バイアス回路は、オフとなり、前記出力回路は、自動的に正常動作に復帰する。
【0007】
(3)駆動回路を有する表示パネル(例えば、液晶表示パネル)と、前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、制御電極に、前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、第1電極から前記駆動電圧を出力する出力トランジスタと、前記出力トランジスタに過電流が流れた時にオンとなる第1トランジスタと、前記第1トランジスタがオンの時にオンとなり、前記出力トランジスタをオフとする第2トランジスタとを有し、前記出力トランジスタに過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力トランジスタが正常に動作している期間を正常動作期間するとき、前記過電流動作期間内に、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとは、オン・オフを繰り返し、前記出力トランジスタを間欠動作させ、前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとはオフとなり、前記出力トランジスタは、自動的に正常動作に復帰する。
【0008】
(4)駆動回路を有する表示パネル(例えば、液晶表示パネル)と、前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、制御電極に、前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、第1電極から前記駆動電圧を出力する出力トランジスタと、前記出力トランジスタの第2電極と、第1電源電圧が供給される第1電源線との間に接続される第1抵抗素子と、第1電極が前記第1電源線に接続され、制御電極が前記出力トランジスタの第2電極に接続される第1トランジスタと、前記第1トランジスタの第2電極と、第2電源電圧が供給される第2電源線との間に接続される第2抵抗素子と、第2電極が前記出力トランジスタの制御電極に接続され、第1電極が前記第2電源線に接続されるとともに、制御電極が、前記第1トランジスタの第2電極に接続される第2トランジスタとを有し、前記出力トランジスタに過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力トランジスタが正常に動作している期間を正常動作期間するとき、前記過電流動作期間内に、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとは、オン・オフを繰り返し、前記出力トランジスタを間欠動作させ、前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとはオフとなり、前記出力トランジスタは、自動的に正常動作に復帰する。
(5)(4)において、前記第2抵抗素子と前記第2電源線との間に、第3抵抗素子と第4抵抗素子の直列回路を有し、前記第2トランジスタの制御電極は、前記第3抵抗素子と前記第4抵抗素子の接続点に接続される。
(6)(4)または(5)において、前記出力トランジスタと、前記第1トランジスタと、前記第2トランジスタとは、バイポーラトランジスタである。
(7)(6)において、前記出力トランジスタと前記第2トランジスタは、npn型のバイポーラトランジスタであり、前記第1トランジスタは、pnp型のバイポーラトランジスタである。
【発明の効果】
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明によれば、過電流による保護からの自動復帰が可能で、電源回路の保護機能を安価に構成でき、コストを低減することが可能な表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す電源回路の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す出力回路と保護回路の回路構成を示す回路図である。
【図4】図2に示す出力回路と保護回路の回路構成の変形例を示す回路図である。
【図5】従来の電源回路の出力回路と保護回路の一例の回路構成を示す回路図である。
【図6】従来の電源回路の出力回路と保護回路の他の例の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[実施例]
図1は、本発明の実施例の液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。
本実施例の液晶表示装置は、液晶表示パネル21と、ドレイン・ドライバ部22と、ゲート・ドライバ部23と、表示制御回路24と、電源回路25とで構成される。
ドレイン・ドライバ部22は、複数のドレインドライバで構成され、当該複数のドレインドライバは、液晶表示パネル21の周辺部に設置される。例えば、複数のドレインドライバは、液晶表示パネル21の一対の基板の第1の基板(例えば、ガラス基板)の1辺の周辺部にCOG方式で実装される。あるいは、複数のドレインドライバは、液晶表示パネル21の第1の基板の辺の周辺部に配置されるフレキシブル回路基板にCOF方式で実装される。
同様に、ゲート・ドライバ部23は、複数のゲートドライバで構成され、当該複数のゲートドライバは、液晶表示パネル21の周辺部に設置される。例えば、複数のゲートドライバは、液晶表示パネル21の一対の基板の第1の基板(例えば、ガラス基板)の1辺(ドレインドライバが実装されている辺の以外の1辺)の周辺部にCOG方式で実装される。あるいは、複数のゲートドライバは、液晶表示パネル21の第1の基板の1辺(ドレインドライバが実装されている辺の以外の1辺)の周辺部に配置されるフレキシブル回路基板にCOF方式で実装される。
また、表示制御回路24と、電源回路25は、液晶表示パネル21の周辺部(例えば、液晶表示装置の裏側)に配置される回路基板にそれぞれ実装される。
【0012】
表示制御回路24は、パソコンやテレビ受信回路等の表示信号源(ホスト側)から入力する表示信号を、データの交流化等、液晶表示パネル21の表示に適したタイミング調整を行い、表示形式の表示データに変換して同期信号(クロック信号)と共にドレイン・ドライバ部22の各ドレインドライバと、ゲート・ドライバ部23の各ゲート・ドライバに入力する。
各ゲートドライバは、表示制御回路24の制御の基に走査線(ゲート線ともいう;GL)に選択走査電圧を順次供給し、また、各ドレインドライバは、映像線(ドレイン線、ソース線ともいう;DL)に映像電圧を供給して映像を表示する。電源回路25は液晶表示装置に要する各種の電圧を生成する。
液晶表示パネル21は、複数のサブピクセルを有し、各サブピクセルは、映像線(DL)と走査線(GL)とで囲まれた領域に設けられる。
各サブピクセルは、薄膜トランジスタ(TFT)を有し、薄膜トランジスタ(TFT)の第1の電極(ドレイン電極またはソース電極)は映像線(DL)に接続され、薄膜トランジスタ(TFT)の第2の電極(ソース電極またはドレイン電極)は画素電極(PX)に接続される。また、薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極は、走査線(GL)に接続される。
なお、図1において、LCは、画素電極(PX)と対向電極(CT)との間に配置される液晶層を等価的に示す液晶容量であり、Caddは、画素電極(PX)と対向電極(CT)との間に形成される保持容量である。なお、図1において、サブピクセルは、1個しか図示していないが、実際は、複数のサブピクセルがマトリクス状に配置される。
【0013】
図1に示す液晶表示パネル21において、列方向に配置された各サブピクセルの薄膜トランジスタ(TFT)の第1の電極は、それぞれ映像線(DL)に接続され、各映像線(DL)は列方向に配置されたサブピクセルに、表示データに対応する映像電圧を供給するドレインドライバに接続される。
また、行方向に配置された各サブピクセルにおける薄膜トランジスタ(TFT)のゲート電極は、それぞれ走査線(GL)に接続され、各走査線(GL)は、1水平走査時間、薄膜トランジスタ(TFT)のゲートに走査電圧(正または負のバイアス電圧)を供給するゲートドライバに接続される。
液晶表示パネル21に画像を表示する際、ゲートドライバは、走査線(GL)を、順次、例えば、上から下に向かって選択し、一方、ある走査線の選択期間中に、ドレインドライバは、表示データに対応する映像電圧を、映像線(DL)に供給する。
映像線(DL)に供給された電圧は、薄膜トランジスタ(TFT)を経由して、画素電極(PX)に印加され、最終的に、保持容量(Cadd)と、液晶容量(LC)に電荷がチャージされ、液晶分子をコントロールすることにより画像が表示される。
【0014】
液晶表示パネル21は、画素電極(PX)、薄膜トランジスタ(TFT)等が形成される第1の基板と、カラーフィルタ等が形成される第2の基板とを、所定の間隙を隔てて重ね合わせ、該両基板間の周縁部近傍に枠状に設けたシール材により、両基板を貼り合わせると共に、シール材の一部に設けた液晶封入口から両基板間のシール材の内側に液晶を封入、封止し、さらに、両基板の外側に偏光板を貼り付けて構成される。
なお、対向電極(CT)は、TN方式やVA方式の液晶表示パネルであれば第2の基板側に設けられる。IPS方式の場合は、第1の基板側に設けられる。
また、本発明は、液晶パネルの内部構造とは関係がないので、液晶パネルの内部構造の詳細な説明は省略する。さらに、本発明は、どのような構造の液晶パネルであっても適用可能である。
【0015】
[従来の電源回路の保護回路の一例]
図5は、従来の電源回路の出力回路と保護回路の一例の回路構成を示す回路図である。この図5は、前述の[発明が解決しようとする課題]の欄で説明した方式1の保護回路である。
図5において、TR1、TR2とは、npn型のバイポーラトランジスタである。TR1は、バッファ回路を構成する出力トランジスタであり、出力トランジスタ(TR1)は、駆動電圧信号生成回路(S−RF)から出力される駆動電圧信号(RF)を電流増幅して、駆動電圧(VOUT)としてコレクタ(C)から出力する。即ち、出力トランジスタ(TR1)は、ベース(B)に入力される駆動電圧信号(RF)を電流増幅して、駆動電圧(VOUT)としてコレクタ(C)から出力する。
また、トランジスタ(TR2)と抵抗素子(R1)とは、保護回路を構成する。
図5に示す出力回路では、駆動電圧(VOUT)が供給されている線路が短絡(所謂、ショート)する等の理由により、出力トランジスタ(TR1)に過電流が流れる(以下、過電流動作状態という)と、抵抗素子(R1)の電圧降下が大きくなり、トランジスタ(TR2)がオンとなる。トランジスタ(TR2)がオンとなると、出力トランジスタ(TR1)のベース電位が低下し、出力トランジスタ(TR1)のコレクタ電流を減少させる。
このように、図5に示す保護回路では、出力トランジスタ(TR1)が過電流動作状態になると、出力トランジスタ(TR1)のベース電流が減少する方向に制御され、出力トランジスタ(TR1)のコレクタ電流を一定値で制限して、出力トランジスタ(TR1)を過電流から保護している。
しかしながら、図5に示す保護回路では、出力トランジスタ(TR1)の過電流動作状態において、出力トランジスタ(TR1)のコレクタ電流がある一定の制限値で流れつづけることなる。そのため、出力トランジスタ(TR1)と、抵抗素子(R1)の発熱が大きくなるので、許容電力のより大きい部品を採用する必要がある。その結果として、部品サイズ、実装面積が大きくなり、部品コストが上昇する原因となる。
【0016】
[従来の電源回路の保護回路の他の例]
図6は、従来の電源回路の出力回路と保護回路の他の例の回路構成を示す回路図である。この図6は、前述の[発明が解決しようとする課題]の欄で説明した方式2の保護回路である。
図6において、TR1〜TR4は、npn型のバイポーラトランジスタである。TR1は、バッファ回路を構成する出力トランジスタであり、出力トランジスタ(TR1)には、駆動電圧信号生成回路(S−RF)から出力される駆動電圧信号(RF)が、出力制御トランジスタ(TR2)を介して入力される。
出力トランジスタ(TR1)は、ベース(B)に入力される駆動電圧信号を、電流増幅して、駆動電圧(VOUT)としてコレクタ(C)から出力する。
また、トランジスタ(TR3,TR4)と、抵抗素子(R5〜R8)と、ダイオード(D1)とは、保護回路を構成する。
図6に示す出力回路では、駆動電圧(VOUT)が供給されている線路が短絡(所謂、ショート)する等の理由により、出力トランジスタ(TR1)に過電流が流れ(以下、過電流動作状態という)、出力トランジスタ(TR1)のエミッタ電位が低下すると、ダイオード(D1)、抵抗素子(R5,R6)で設定した電圧値により、トランジスタ(TR3)がオフとなり、トランジスタ(TR4)のベース電位が上昇するので、トランジスタ(TR4)がオンとなる。
トランジスタ(TR4)がオンとなると、出力制御トランジスタ(TR2)がオフとなり、出力トランジスタ(TR1)がオフとなって、出力トランジスタ(TR1)を過電流から保護している。
しかしながら、図6に示す出力回路では、駆動電圧(VOUT)が供給されている線路の短絡等によって、出力トランジスタ(TR1)がオフとなった後で、線路の短絡等の過電流の原因が取り除かれたときの出力復帰のためには、駆動電圧信号生成回路(S−RF)から出力する駆動電圧信号(RF)をLowレベルにリセットする必要がある。
このように、図6に示す出力回路では、一時的な過電流の場合も、出力トランジスタ(TR1)がオフとなり、自動復帰することができない。
【0017】
[本発明の電源回路の一例]
図2は、図1に示す電源回路の回路構成を示すブロック図である。
図2において、S−BUは出力回路、S−BPは保護バイパス回路である。本実施例では、出力回路(S−BU)に過電流が発生すると、保護バイパス回路(S−BP)が、一時的に出力回路(S−BU)をオフとして、出力回路(S−BU)を保護する。
その後、自動的に出力回路(S−BU)のオフ状態は解除されるが、過電流動作状態が続いていれば、過電流の異常が取り除かれるまで、出力回路(S−BU)のオフ→出力回路(S−BU)のオン→出力回路(S−BU)のオフ、・・・を繰り返す。これにより、過電流による部品の発熱を抑えることができ、さらに、過電流の原因が取り除かれたときには、出力回路(S−BU)は、正常動作に自動的に復帰することができる。
このように、本実施例では、過電流による保護からの自動復帰が可能でありながら、出力回路(S−BU)の保護機能を安価に構成でき、価格低減が可能である。
【0018】
図3は、図2に示す出力回路と保護回路の回路構成を示す回路図である。
図3において、TR1,TR3は、npn型のバイポーラトランジスタ、TR2はpnp型のバイポーラトランジスタである。
TR1は、バッファ回路を構成する出力トランジスタであり、出力トランジスタ(TR1)は、駆動電圧信号生成回路(S−RF)から出力される駆動電圧信号(RF)を電流増幅し、駆動電圧(VOUT)としてコレクタ(C)から出力する。即ち、出力トランジスタ(TR1)は、ベース(B)に入力される駆動電圧信号(RF)を電流増幅して、駆動電圧(VOUT)としてコレクタ(C)から出力する。
本実施例において、駆動電圧信号生成回路(S−RF)で生成される駆動電圧信号(RF)とは、電流増幅される前の駆動電圧(VOUT)を意味する。即ち、駆動電圧(VOUT)は、バッファ回路を介して出力される、駆動電圧信号生成回路(S−RF)で生成される駆動電圧である。
ここで、ドレインドライバに入力される駆動電圧は、階調基準電圧と、ロジック用の電源電圧と、ロジック用の電源電圧よりも高電圧の高電圧電源電圧等があり、また、ゲートドライバに入力される駆動電圧は、薄膜トランジスタ(TFT)をオンとするゲートオン電圧と、薄膜トランジスタ(TFT)をオフとするゲートオフ電圧と、ロジック用の電源電圧等がある。
【0019】
また、トランジスタ(TR2,TR3)と、抵抗素子(R4〜R6)は、保護回路を構成する。
本実施例の出力回路では、例えば、図2のAに示すように、駆動電圧(VOUT)が供給されている線路が短絡(所謂、ショート)する等の理由により、出力トランジスタ(TR1)に過電流が流れる(以下、過電流動作状態という)と、抵抗素子(R2)の電圧降下が大きくなり、トランジスタ(TR2)がオンとなる。
トランジスタ(TR2)がオンとなると、抵抗素子(R4)の電圧降下が大きくなり、トランジスタ(TR3)のベース電位が上昇し、トランジスタ(TR3)がオンとなるので、出力トランジスタ(TR1)のベース電位が低下し、出力トランジスタ(TR1)がオフとなる。
出力トランジスタ(TR1)がオフとなると、抵抗素子(R2)の電圧降下がなくなるので、トランジスタ(TR2)がオフ、トランジスタ(TR3)がオフとなり、その結果、出力トランジスタ(TR1)がオンとなり、出力トランジスタ(TR1)が復帰する。
この状態で、過電流動作状態が継続しているならば、抵抗素子(R2)の電圧降下により再び出力トランジスタ(TR1)がオフとなる。
このように、図3の出力回路では、過電流動作状態の期間内に、トランジスタ(TR2)とトランジスタ(TR3)とはオン・オフを繰り返し、出力トランジスタ(TR1)を間欠動作させ、過電流動作状態から正常動作状態に移行したときに、トランジスタ(TR2)とトランジスタ(TR3)とはオフとなり、出力トランジスタ(TR1)は、自動的に正常動作に復帰する。
【0020】
以上説明したように、本実施例では、過電流動作状態が継続している期間内は、出力トランジスタ(TR1)の間欠動作により、回路保護を行い、これにより、回路部品の過電流による発熱を防いでいる。
そして、過電流動作状態から正常動作状態に移行した時には、出力トランジスタ(TR1)は自動的に正常動作に復帰することができる。このように、本実施例では、過電流動作状態のときには部品に大電流が生じない保護方式となっているため、部品の定格電力マージンを大きくする必要はなく、部品コストを低減することができる。
なお、図4に示すように、出力トランジスタ(TR1)およびトランジスタ(TR3)として、npn型のバイポーラトランジスタに代えて、pnp型のバイポーラトランジスタを使用し、トランジスタ(TR3)として、pnp型のバイポーラトランジスタに代えて、npn型のバイポーラトランジスタを使用することも可能である。
さらに、TR1〜TR4のバイポーラトランジスタに代えて、電界効果トランジスタなどのユニポーラトランジスタを使用することも可能である。
なお、前述の実施例では、本発明を液晶表示装置に適用した実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、有機EL表示装置などの他の表示装置に適用可能であることはいうまでもない。
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
21 液晶表示パネル
22 ドレイン・ドライバ部
23 ゲート・ドライバ部
24 表示制御回路
25 電源回路
TR1〜TR4 トランジスタ
R1〜R8 抵抗素子
D1 ダイオード
S−BU 出力回路
S−RF 駆動電圧信号生成回路
S−BP 保護バイパス回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路を有する表示パネルと、
前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、
前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、
前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、当該駆動電圧信号に基づき前記駆動電圧を出力する出力回路と、
前記出力回路に過電流が流れたときに前記出力回路を保護する保護回路とを有する表示装置であって、
前記出力回路に過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力回路が正常に動作している期間を正常動作期間するとき、
前記保護回路は、前記過電流動作期間内に前記出力回路を間欠動作させ、
前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記保護回路はオフとなり、前記出力回路は自動的に正常動作に復帰することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
駆動回路を有する表示パネルと、
前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、
前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、
前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、当該駆動電圧信号に基づき前記駆動電圧を出力する出力回路と、
前記出力回路に過電流が流れたときに前記出力回路を保護する保護回路とを有する表示装置であって、
前記保護回路は、前記出力回路に過電流が流れていることを検出する検出回路と、
前記検出回路において前記出力回路に過電流が流れていることを検出したときに前記出力回路を制御するバイアス回路とを備え、
前記出力回路に過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力回路が正常に動作している期間を正常動作期間するとき、
前記バイアス回路は、前記過電流動作期間内に前記出力回路を間欠動作させ、
前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記バイアス回路はオフとなり、前記出力回路は自動的に正常動作に復帰することを特徴とする表示装置。
【請求項3】
駆動回路を有する表示パネルと、
前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、
前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、
制御電極に、前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、第1電極から前記駆動電圧を出力する出力トランジスタと、
前記出力トランジスタに過電流が流れた時にオンとなる第1トランジスタと、
前記第1トランジスタがオンの時にオンとなり、前記出力トランジスタをオフとする第2トランジスタとを有し、
前記出力トランジスタに過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力トランジスタが正常に動作している期間を正常動作期間するとき、
前記過電流動作期間内に、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとは、オン・オフを繰り返し、前記出力トランジスタを間欠動作させ、
前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとはオフとなり、前記出力トランジスタは自動的に正常動作に復帰することを特徴とする表示装置。
【請求項4】
駆動回路を有する表示パネルと、
前記駆動回路に駆動電圧を供給する電源回路とを備え、
前記電源回路は、駆動電圧信号を生成する駆動電圧信号生成回路と、
制御電極に、前記駆動電圧信号生成回路で生成された駆動電圧信号が入力され、第1電極から前記駆動電圧を出力する出力トランジスタと、
前記出力トランジスタの第2電極と、第1電源電圧が供給される第1電源線との間に接続される第1抵抗素子と、
第1電極が前記第1電源線に接続され、制御電極が前記出力トランジスタの第2電極に接続される第1トランジスタと、
前記第1トランジスタの第2電極と、第2電源電圧が供給される第2電源線との間に接続される第2抵抗素子と、
第2電極が前記出力トランジスタの制御電極に接続され、第1電極が前記第2電源線に接続されるとともに、制御電極が、前記第1トランジスタの第2電極に接続される第2トランジスタとを有し、
前記出力トランジスタに過電流が継続して流れている期間を過電流動作期間、前記出力トランジスタが正常に動作している期間を正常動作期間とするとき、
前記過電流動作期間内に、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとは、オン・オフを繰り返し、前記出力トランジスタを間欠動作させ、
前記過電流動作期間から正常動作期間に移行したときに、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタとはオフとなり、前記出力トランジスタは自動的に正常動作に復帰することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
前記第2抵抗素子と前記第2電源線との間に、第3抵抗素子と第4抵抗素子の直列回路を有し、
前記第2トランジスタの制御電極は、前記第3抵抗素子と前記第4抵抗素子の接続点に接続されることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記出力トランジスタと、前記第1トランジスタと、前記第2トランジスタとは、バイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記出力トランジスタと前記第2トランジスタは、npn型のバイポーラトランジスタであり、
前記第1トランジスタは、pnp型のバイポーラトランジスタであることを特徴とする請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示装置は、液晶表示装置であり、
前記表示パネルは、液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−73306(P2012−73306A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216374(P2010−216374)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】