説明

表示装置

【課題】透明基板の片面に配設された複数の単結晶薄膜半導体発光素子からの光を両面から出射させることができる表示装置を提供する。
【解決手段】透明基板110の片面に複数の単結晶薄膜半導体発光素子111を配設した表示装置10であって、複数の単結晶薄膜半導体発光素子は、母材基板101から剥離された単結晶薄膜半導体層から構成され、単結晶薄膜半導体発光素子は、発光層(活性層)113とこの発光層(活性層)を挟んだ2層の非発光層112、114とを備え、前記単結晶薄膜半導体発光素子111の表面に、非光透過層122、124と、他の発光層123を有する他の単結晶薄膜半導体層からなる他の単結晶薄膜半導体発光素子121とを積層した

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶薄膜半導体発光素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶半導体材料を用いた発光素子は、有機材料を用いた発光素子と比較して長寿命であり、大電流での駆動も可能であり、長寿命・高輝度の表示装置を実現するための素子として極めて有用である。従来、一般的には、表示装置用のこれら単結晶半導体発光素子の実装形態は、表示する側にその発光領域となる発光面を向けて実装基板上に配設している。このため、素子の発光領域の反対側である母材基板側からの発光は、その母材基板での光の吸収のため、不可能であった。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている表示装置は、母材基板である半導体基板上に発光領域を形成し、これら複数の発光素子の発光面側を実装基板である透明基板の表面側に向けてマイクロバンプボンディング方式等によりフリップチップボンディング実装を行って、透明基板の裏面側から光を出射して表示するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−250591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この特許文献に記載の表示装置においては、発光領域から出射された光は母材基板において吸収され、その母材基板側からの表示、すなわち、実装面と反対側の面からの表示は困難であった。
【0006】
したがって、前記の単結晶半導体発光素子及びそれを用いた表示装置においては、母材基板での光の吸収を解消することによって、発光素子及びその表示装置の格段の性能向上及び用途拡大が期待される。
【0007】
本発明は、前記従来技術における表示装置の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、透明基板の片面に配設された複数の単結晶薄膜半導体発光素子からの光を両面から出射させることができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前記の目的を達成するための表示装置に関するものであり、以下のような特徴を有する。
【0009】
透明基板の片面に分子間力により直接接合された複数の単結晶薄膜半導体発光素子と前記複数の単結晶薄膜半導体発光素子の各々に順次点灯制御信号をスキャンさせて駆動する駆動制御回路とを設けた表示装置であって、前記複数の単結晶薄膜半導体発光素子は、母材基板から剥離された単結晶薄膜半導体層から構成され、前記単結晶薄膜半導体発光素子は、発光層とこの発光層を挟んだ2層の非発光層とを備え、前記単結晶薄膜半導体発光素子の表面に、非光透過層と、他の発光層を有する他の単結晶薄膜半導体層からなる他の単結晶薄膜半導体発光素子とを積層したことを特徴とする。
【0010】
このようにすることで、母材基板での光の吸収が解消され単結晶薄膜半導体発光素子からの光を発光層の両面側から出射させることができる。
【0011】
又、前記2層の非発光層のエネルギバンドギャップは、前記発光層(活性層)のエネルギバンドギャップより大きい値を有することが好適である。そして、前記非光透過層は、前記2つの発光層(活性層)から各々出射される光を吸収又は反射する層であることが好適である。
【0012】
更に、この発明の表示装置は、前記非光透過層の両側に設けられた2つの単結晶薄膜半導体発光素子を独立に点灯制御する駆動制御回路を設けたことを特徴とする。このようにすることによって、透明基板の表裏両面側で独立した画像を表示させることができる。そして、前記複数の単結晶薄膜半導体発光素子は、1次元状又は2次元状に配設されている
【0013】
このようにすることによって、母材基板での光の吸収が解消され単結晶薄膜半導体発光素子からの光を発光層の両面側から出射させることができると共に、透明基板の表裏両面において画像を表示することができる。
【0014】
なお、この発明の表示装置は、前記複数の単結晶薄膜半導体発光素子への点灯信号入力のスキャン方向を、所定の時間間隔(周期)で反転させ、前記透明基板の表裏両面で所定の表示を表示させる駆動制御回路を設けることができるこのようにすることによって、透明基板の表裏両面側で同一の画像を一定周期で表示させることができる。
【0015】
又、この発明の表示装置は、前記単結晶薄膜半導体発光素子の表面に、非光透過層と、他の発光層(活性層)を有する他の単結晶薄膜半導体層からなる他の単結晶薄膜半導体発光素子とを積層することができる
【0016】
更に、この発明の表示装置は、前記非光透過層の両側に設けられた2つの単結晶薄膜半導体発光素子を独立に点灯制御する駆動制御回路を設けたことを特徴とする。このようにすることによって、透明基板の表裏両面側で独立した画像を表示させることができる。このようにすることによって、透明基板の表裏両面側に独立した画像を表示させることができると共に、透明基板の表裏両面側において表示画素のサイズ及び配列ピッチを変えることができる。
【0017】
なお、前記透明基板の片面に、2つの前記単結晶薄膜半導体発光素子を互いに隣接配設し、一方の前記単結晶薄膜半導体発光素子は表面に第1の非光透過層を備え、他方の前記単結晶薄膜半導体発光素子と前記透明基板との間に第2の非光透過層を備えることができる。
【0018】
この場合、前記第1の非光透過層及び第2の非光透過層は、2つの前記単結晶薄膜半導体発光素子から各々出射される光を吸収又は反射する層であることが好適である。
【0019】
、前記互いに隣接配設された2つの前記単結晶薄膜半導体発光素子は、1次元状又は2次元状に複数組配設されることができる
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、透明基板の片面に配設された複数の単結晶薄膜半導体発光素子からの光を両面から出射させることができる表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の表示装置の単結晶薄膜半導体発光素子の製造工程の概要を示す斜視図である。
【図2】本発明の表示装置の第1の実施形態及び第2の実施形態を説明する断面概略図である。
【図3】本発明の表示装置の第3の実施形態を説明する断面概略図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の表示装置概略図であり、(a)は、断面概略図であり、(b)は、平面概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における表示装置の構成及び動作説明図である。
【図6】(a)は、本発明の表示装置の実施例1を示す断面構造図である。(b)は、本発明の表示装置の実施例2を示す断面構造図である。(c)は、本発明の表示装置の実施例3を示す断面構造図である。
【図7】本発明の変形例1を示す表示装置の平面図である。
【図8】本発明の変形例2を示す3端子構造の単結晶薄膜半導体発光素子の断面構造図である。
【図9】本発明の実施例4の表示装置の構成とその動作を説明するための平面図である。
【図10】本発明の実施例4の表示装置の動作を説明するための断面構造図である。
【図11】本発明の実施例5のAlGaInP系単結晶薄膜半導体発光素子の断面構造図である。
【図12】本発明の実施例6のGaN系単結晶薄膜半導体発光素子の断面構造図である。
【図13】本発明の実施例7の表示装置の動作を説明するための断面構造図である。
【図14】本発明の実施例8の表示装置の構成とその動作を説明するための平面図である。
【図15】本発明の実施例8の表示装置の動作を説明するための断面構造図である。
【図16】本発明の変形例3の表示装置の動作を説明するための断面構造図である。
【図17】本発明の実施例9の表示装置の動作を説明するための断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を参照して、この発明の実施形態につき説明する。なお、これらの図は、この発明が理解できる程度に概略的に示してあり、以下に説明する数値的及びその他の条件は、単なる好適例であり、この発明はこの実施形態にのみ何等限定されるものではない。又、断面図では、図の複雑化を防ぐため断面を表すハッチング等を省略して示してある。
【0023】
先ず、本発明の実施形態として、構成要素の1つである単結晶薄膜半導体発光素子の製造工程の概要について、図1(a)乃至図1(d)を参照して説明する。
【0024】
[単結晶薄膜半導体発光素子の製造工程の概要]
先ず、単結晶薄膜半導体層102を母材基板101上に犠牲層103を挟んで、単結晶薄膜半導体発光素子111の仕様に基づき、例えば有機金属化学気相成長結晶成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等により形成した後、少なくとも犠牲層103が露出するように、単結晶薄膜半導体層102を単結晶薄膜半導体発光素子111の仕様に基づき、島状に分離エッチングする(図1(a))。この分離エッチング方法は、ウェットエッチング法又はドライエッチング法を用いることができる。又、このとき、犠牲層103のエッチングレートは、単結晶薄膜半導体層102及び母材基板101のエッチングレートよりも大きいことが必要である。
【0025】
次に、犠牲層103を、母材基板101及び単結晶薄膜半導体層102に対し、前記エッチングレートの差を利用し、選択的にエッチング除去して、単結晶薄膜半導体層102を単結晶薄膜半導体発光素子111となるように母材基板101から剥離する(図1(b))。図示しないが、単結晶薄膜半導体層102を母材基板101から剥離する際には、単結晶薄膜半導体層102を支持するための支持体を単結晶薄膜半導体層102の上に設けて剥離する。
【0026】
そして、透明基板110上に剥離した単結晶薄膜半導体発光素子111を加圧・密着させて、分子間力によって単結晶薄膜半導体発光素子111を透明基板110上に接合する(図1(c)及び(d))。このとき、単結晶薄膜半導体発光素子111と透明基板110との間には接着剤は設けない。その後、単結晶薄膜半導体発光素子111上の支持体(図示しない)を除去する。
【0027】
[単結晶薄膜半導体発光素子の厚さ範囲]
ここで、単結晶薄膜半導体発光素子111の厚さ範囲は、0.3μm乃至10μmの範囲が好適である。この厚さの下限値である0.3μmは、単結晶薄膜半導体層102によって発光素子を構成する場合、高発光効率の発光素子を作製するために必要とされる厚さである。又、厚さの上限値である10μmは、透明基板110と接合した単結晶薄膜半導体発光素子111上の電極と透明基板110上の配線電極とを接続するための接続配線をフォトリソグラフィ技術を用いて形成する場合に断線・欠陥・欠損することなく良好に形成するために安全係数も考慮した厚さである。
【0028】
[透明基板の要件]
ここで、透明基板110は、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、石英基板、サファイヤ基板やZnO基板等の酸化物基板、あるいは、GaN基板、AlNやSiNなどの窒化物基板を使用することができる。そして、透明基板110上に配設された単結晶薄膜半導体発光素子111からの発光波長に対して、高い透過率を有することが必要である。具体的には、透過率の基準は用途によって定めることができるが、発光波長に対して50%以上の透過率を有する透明基板とすることが好適である。
【0029】
[透明基板と単結晶薄膜半導体発光素子との接合構造]
透明基板110と単結晶薄膜半導体発光素子111との接合構造については、前記製造工程の概略で説明したように、接着剤を使用せずに分子間力によって直接接合した形態を好適とするが、直接接合のための透明な誘電体層を透明基板110上に設け、その表面に直接接合した構成であってもよい。更に、接着のための透明材料層を設けて接着した構成であってもよい。
【0030】
[第1乃至第3の実施形態の素子構造及び発光形態の説明]
次に、本発明の表示装置の実施形態について、透明基板の片面に配設された単結晶薄膜半導体発光素子の構造及び発光形態について、図2及び図3を参照して説明する。
【0031】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の単結晶薄膜半導体発光素子の構造及び発光形態は、図2(a)に示すように、透明基板110の片面に単結晶薄膜半導体発光素子111を直接接合して、この単結晶薄膜半導体発光素子111の表裏両面から光を出射させるものである。この形態における単結晶薄膜半導体発光素子111の構造の要件は、発光層(活性層)113の両側の2層の非発光層112、114において発光層(活性層)113から出射される光の吸収ができるだけ小さくなるように、非発光層112、114のエネルギバンドギャップ値を発光層(活性層)113のエネルギバンドギャップ値より大きくすることが要件となる。この要件を満たすことによって、発光層(活性層)113からの出射光115、116を単結晶薄膜半導体発光素子111の両面側から出射させることができる。その結果、透明基板110の片面に配設された単結晶薄膜半導体発光素子111の表裏両面から出射される光を透明基板の表裏両面で表示させる表示装置10を具現することができる。尚、この実施形態における単結晶薄膜半導体発光素子の厚さ範囲は、2μm乃至3μmであることが更に好適である。
【0032】
前記説明の第1の実施形態では、発光層(活性層)をこの発光層(活性層)よりもエネルギバンドギャップ値の大きい非発光層で挟んだダブルへテロ接合構造となっているが、ダブルへテロ接合構造に限らず、発光層(活性層)の片側にエネルギバンドギャップ値の大きい非発光層を設けたシングルへテロ接合構造又は発光層(活性層)と同じ組成(同じエネルギバンドギャップ値)の半導体層で異なる導電型の非発光層を設けたホモ接合構造とすることもできる。ホモ接合構造の場合には、このホモ接合構造(ホモ接合を構成するする)半導体積層構造の活性層)の上下に活性層よりもエネルギバンドギャップ値の小さい非発光層をコンタクト層あるいは分子間力接合層として設けることもできる。
【0033】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の単結晶薄膜半導体発光素子の構造及び発光形態は、図2(b)に示すように、前記第1の実施形態の単結晶薄膜半導体発光素子111の表面に、非光透過層120と、他の発光層(活性層)123を有する他の単結晶薄膜半導体層からなる他の単結晶薄膜半導体発光素子121とを積層した構成である。この単結晶薄膜半導体発光素子121を構成する発光層(活性層)123と2層の非発光層122、124とのエネルギバンドギャップ値の要件は、単結晶薄膜半導体発光素子111の場合と同様に、非発光層122、124のエネルギバンドギャップ値を発光層(活性層)123のエネルギバンドギャップ値より大きくすることが要件となる。尚、この実施形態における2つの単結晶薄膜半導体発光素子111、121と非光透過層120との合計厚さの範囲は、4μm乃至7μmであることが更に好適である。そして、この実施形態においては、非透過層120は、各々の発光層(活性層)113、123から出射される光を吸収又は反射することが要件である。この要件を満たすことによって、発光層(活性層)113、123からの出射光116、117、126及び127は、非透過層120の両側に、すなわち、それぞれの単結晶薄膜半導体発光素子111、121側に出射することができる。その結果、透明基板110の表裏両面側で独立した光を表示させる表示装置20を具現することができる。
【0034】
[第3の実施形態]
そして、本発明の第3の実施形態の単結晶薄膜半導体発光素子の構造及び発光形態は、図3に示すように、透明基板110の片面に、2つの単結晶薄膜半導体発光素子111、131を互いに隣接配設し、一方の単結晶薄膜半導体発光素子111は表面に第1の非光透過層130を備え、他方の単結晶薄膜半導体発光素子131と透明基板110との間に第2の非光透過層140を備えた構成である。この形態における要件は、2つの単結晶薄膜半導体発光素子111、131の各活性層(活性層)113、133と各非発光層112、114、132、134とのエネルギバンドギャップ値の関係は、前記第1の実施形態及び第2の実施形態と同様である。尚、この実施形態における単結晶薄膜半導体発光素子の厚さ範囲は、2μm乃至3μmであることが更に好適である。又、第1の非光透過層130及び第2の非光透過層140は、各々の発光層(活性層)113、133から出射される光を吸収又は反射することが要件である。この要件を満たすことによって、発光層(活性層)113、133からの出射光116、117、及び出射光136、137は、それぞれ、第1の非光透過層130及び第2の非光透過層132の反対側に出射される。その結果、透明基板110の表裏両面側で独立した光を表示させる表示装置30を具現することができる。
【0035】
[実施形態の表示装置の構成・動作・効果]
前記各実施形態の単結晶薄膜半導体発光素子の構造及び発光形態の特徴を基に、表示装置の実施形態についての構成・動作・効果を説明する。
【0036】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、単結晶薄膜半導体層から構成される単結晶薄膜半導体発光素子111を透明基板110の片面に接合して2次元状に配列した構成とし、これら2次元状の単結晶薄膜半導体発光素子アレイに一定の時間周期で、画素となる単結晶薄膜半導体発光素子の点灯制御データの転送方向を逆転させることにより、一定周期で透明基板表裏両面側に同等の表示を行う表示装置10を具現することである。
【0037】
第1の実施形態における表示装置の構成及び動作について、図4及び図5を参照して説明する。
【0038】
図4(a)及び(b)は、第1の実施形態の表示装置10の概略断面図、及び、その概略平面図である。複数の単結晶薄膜半導体発光素子111が透明基板110上に2次元状に配列されていて、各単結晶薄膜半導体発光素子111は、透明基板110上に形成した縦方向および横方向の配線150と接続され、更に、これらの配線150は透明基板110上に設けた駆動制御回路160と接続される。この駆動制御回路160は透明基板110上に設けず、透明基板110の外部に設けた構成にしてもよい。
【0039】
次に、図5を参照して、この第1の実施形態の表示装置10の動作を説明する。2次元状のアレイに配列された単結晶薄膜半導体発光素子111には、発光領域141、電極領域142が形成されており、接続配線144、143を介して、透明基板110上のy方向配線151及びx方向配線152と接続されている。なお、図5では、構成例の1例として発光領域141からの接続配線144は発光領域141上の電極コンタクトを兼用している。
【0040】
この第1の実施形態の表示装置10において、例えば、x方向配線152で、このx方向配線152に接続された単結晶薄膜半導体発光素子111で点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111の接続をONにして、y方向配線151をスキャン方向AでスキャンすることでONにし、一定時間画像を表示した後、点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111のアドレスを左右反転して、点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111のx方向配線152との接続をONにして、y方向配線151のスキャンする方向を反転し、スキャン方向BでスキャンすることでONにする駆動制御回路160を設けた構成とする。
【0041】
点灯動作は、例えば、各発光素子に発光を保持するための容量素子やトランジスタ及びこの容量素子やトランジスタの動作制御を行うために、配線を設け、点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111をこの表示装置全体で同時に点灯するようにx方向配線152及びy方向配線151の選択と合わせて、各発光素子に設けた容量素子あるいはトランジスタを動作させて、2次元状のアレイを構成する単結晶薄膜半導体発光素子111を同時点灯させるようなアクティブマトリクス駆動による駆動制御が可能な配線と素子の構成及び駆動制御回路160の構成としてもよい。すなわち、透明基板110の表側から見た場合の点灯パターンと裏側で見た場合の点灯パターンを一定周期で反転させ、透明基板110の表裏側両面で同一の画像を一定周期で表示させる点灯制御を行う駆動制御回路160を備えた表示装置10が具現される。
【0042】
具体的な動作としては、この第1の実施形態の表示装置10の構成の2次元状のアレイは、例えばx方向配線152で、このx方向配線152に接続された単結晶薄膜半導体発光素子111で点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111の接続をONにして、y方向配線151をスキャン方向AでスキャンすることでONにすると、この第1の実施形態の表示装置10は、透明基板110の表面側(単結晶薄膜半導体発光素子111を接合している面側)から見て所望の画像を表示する。一方、当然のことながら、その画像を透明基板110の裏面側(単結晶薄膜半導体発光素子111を接合している面と反対側)から見た場合には、表側の画像と左右反転した画像が表示される。表側で一定時間画像を表示した後、点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111のアドレスを左右反転して、点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111のx方向配線152の接続をONにして、y方向配線151をス
キャンする方向を反転し、スキャン方向BでスキャンすることでONにすると、透明基板110の裏面から見て所望の画像が表示される。これを一定時間周期で繰り返すことにより、基板の表側と裏側とで同一の画像を一定周期で表示させることができる。
【0043】
なお、点灯動作は、点灯する単結晶薄膜半導体発光素子111を表示装置10の2次元状のアレイ全体で同時に点灯するようにx方向配線152、y方向配線151を選択してこの表示装置10の2次元状のアレイを構成する単結晶薄膜半導体発光素子111を同時点灯させるようにしてもよい。この場合であっても、透明基板110の表面側から見た場合の点灯パターンと裏面側から見た場合の点灯パターンを一定周期で反転させることによって、透明基板110の表裏両面側で同一の画像を一定周期で表示させることができる。
【0044】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態の表示装置10は、透明基板110上に単結晶半導体薄膜発光素子111を2次元状に配列した透明基板110の表裏両面側から光を出射する表示装置10の構成とし、単結晶半導体薄膜発光素子111の点灯パターンを一定周期で反転するように動作する駆動制御回路160を備えた表示装置10としたので、透明基板110の表裏両面側で同一画像を表示することができる表示装置10を具現するものである。
【0045】
又、この第1の実施形態では、単結晶半導体薄膜発光素子111の点灯表示パターンを一定周期で左右反転させるような動作をさせる構成としたが、透明基板110の表面側と裏面側とで表示する画像(すなわち、表裏両面側から見た場合に左右反転していない所望の画像)の周期を適宜変えて表示してもよいし、表示する画像を表裏両面側で異なる画像とすることも可能である。又、複数の単結晶半導体薄膜発光素子111の配列は必ずしも規則正しく、例えばn×mのマトリクス状に、配列されていなくともよい。
【0046】
[第1の実施形態の実施例及び変形例]
次に、この発明の第1の実施形態の表示装置10を具現化するための具体的な実施例及び変形例を図6乃至図8を参照して説明する。
【0047】
図6(a)乃至(c)は、第1の実施形態の具体的な単結晶薄膜半導体発光素子111の代表的な化合物半導体材料系の発光素子例についてその断面構造図を示したものである。ここでは素子構造を模式的に示したものであり、これらの単結晶薄膜半導体発光素子を構成する各半導体層の厚さやサイズの詳細を示すものではない。又、これらの具体例に限定されず、種々の変形も可能である。
【実施例1】
【0048】
先ず、AlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子を光源とした第1の実施形態の表示装置について図6(a)を参照して説明する。
【0049】
透明基板110上にAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子111−1が接合されて表示装置10−1を構成している。AlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子111−1の構成は、透明基板110表面側から、GaAs層161、AltGa1-tAs層162、GaAs層163、AlxGa1-xAs層164、AlyGa1-yAs層(活性層)165、AlzGa1-zAs層166、GaAs層167の順序で形成されている。そして、発光層であるAlyGa1-yAs層(活性層)165から出射される出射光115、116が透明基板110の表裏両面側から出射される。この場合、Alの組成は、y<x,z,tであることが望ましい。
【実施例2】
【0050】
次に、図6(b)に示すように、AlGaInP系単結晶薄膜半導体発光素子111−2の実施例では、透明基板110側から、GaAs層171、(AltGa1-ts1In1-s1P層172、GaAs層173、(AlxGa1-xs2In1-s2P層174、(AlyGa1-ys2In1-s2P層(活性層)175、(AlzGa1-zs2In1-s2P層176、GaAs層177の順序で形成されている。各半導体層の組成は例えば、0.49≦s1=s2≦0.51、y<x,zとすることができる。又、活性層175は、(AlqGa1-qs2In1-s2P/(AlrGa1-rs2In1-s2P層の積層構造としてもよい。量子井戸構造となるように層厚を選定してもよい。組成は、所望の発光波長によって決めることができる。例えば組成を、q=1,r=0,s2=0.5としてもよい。
【実施例3】
【0051】
次に、図6(c)に示すように、GaN系単結晶薄膜半導体発光素子111−3の実施例では、透明基板110側から、AlN層181、GaN層182、InxGa1-xN層/GaN層の積層層(活性層)183、AlyGa1-yN層184、GaN層185の順序で形成されている。この場合、GaN層182、InxGa1-xN層/GaN層の積層層(活性層)183及びAlyGa1-yN層184の構成をn−AlzGa1-zN層(z≧0)とp−AlyGa1-yN層(y≧0)の間に活性層としてInxGa1-xN層(x≧0)を挟んだ構成としてもよい。
【0052】
[変形例1]
第1の実施形態においては、表示装置10を構成する複数の単結晶薄膜半導体発光素子は同一材料である必要はない。すなわち、図7に示したように異なる材料の単結晶薄膜半導体発光素子111を配列した構成であってもよい。変形例1として、表示装置10−2には、異なる発光波長の単結晶薄膜半導体発光素子111a、111b、111cを、例えば、3色の発光要素であるR、G、Bの発光特性の単結晶薄膜半導体発光素子として構成することによりカラー表示の可能な表示装置10を具現することができる。構成としては、単結晶薄膜半導体発光素子111a、111b、111c、前記透明基板110、y方向配線153、x方向配線154、駆動制御回路170である。
【0053】
[変形例2]
又、以上の実施例及び変形例は2端子発光素子について説明したが、第1の各実施形態の単結晶薄膜半導体発光素子は、例えば、図8に示すような3端子構造の発光素子であってもよい。変形例2として、3端子構造の単結晶薄膜半導体発光素子111−4はAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子である。具体的な構造としては、図示しない透明基板110側から、n−GaAs層191、n−AltGa1-tAs層192、n−GaAs層(カソードコンタクト層)193、n−AlxGa1-xAs層194、n−AlyGa1-yAs層(活性層)195、p−AlzGa1-zAs層196、n−AlrGa1-rAs層(ゲートコンタクト層)197、p−AlsGa1-sAs層198、p−GaAs層(アノードコンタクト層)199、アノード電極201、ゲート電極202、カソード電極203である。
【0054】
[第2の実施形態の実施例]
次に、本発明の第2の実施形態の実施例について、その構成とその動作説明を図9乃至図13を参照して説明する。この第2の実施形態の表示装置20は、単結晶薄膜半導体発光素子111(図2(b))の表面に、非光透過層と、他の発光層(活性層)を有する他の単結晶薄膜半導体層からなる他の単結晶薄膜半導体発光素子121とを積層した構造である。そして、この非光透過層は、2つの発光層(活性層)から各々出射される光を吸収又は反射する層である。又、更に、この発明の表示装置20は、非光透過層の両側に設けられた2つの単結晶薄膜半導体発光素子111、121を独立に点灯制御する駆動制御回路180を設けたことを特徴としている。その結果、透明基板の表裏両面側で独立した画像の表示を具現するものである。
【実施例4】
【0055】
具体的な実施例として、複数のAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子から構成される実施例を図9及び図10を参照して説明する。図9は第2の実施形態の実施例の表示装置20−1の平面図であり、図10は図9におけるA−A線に沿って切断したAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子の断面構造図である。
【0056】
表示装置20−1は、図9に示すように、複数のAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子を透明基板110上に2次元状に配設し、各AlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子は共通電極252が共通配線257に接続され、上部n側電極253及び下部n側電極254が個別に、上部n側制御配線256及び下部n側制御配線255に接続されている。そして、駆動制御回路180によって独立に単結晶薄膜半導体発光素子(上部)220及び単結晶薄膜半導体発光素子(下部)230を駆動制御する。
【0057】
そして、第2の実施形態の実施例の表示装置20−1の構成要素である2つの単結晶薄膜半導体発光素子の構成は、図10に示すように、透明基板110側からn−GaAs/n−AltGa1-tAs/n−GaAs層(n型導通層)234、n−Alz2Ga1-z2As層233、n−Aly2Ga1-y2As層(活性層)232及びp−Alx2Ga1-x2As層231から構成される単結晶薄膜半導体発光素子(下部)230、そして、非光透過層としてのp−GaAs層(吸収層)240を挟みその上側に、p−Alz1Ga1-z1As層224、n−Aly1Ga1-y1As層(活性層)223、n−Alx1Ga1-x1As層222及びn−GaAs層221から構成される単結晶薄膜半導体発光素子(上部)220によって構成されている。又、電極及び配線は、絶縁膜251を層間絶縁膜として、共通電極252、上部n側電極253、下部n側電極254、下部n側制御配線255が形成されている。
【0058】
この実施例の場合、Al組成は、y1<x1,z1、及び、y2<x2,z2である。y1=y2とすれば、p−GaAs層(吸収層)240の上下の活性層、n−Aly1Ga1-y1As層(活性層)223及びn−Aly2Ga1-y2As層(活性層)232から発光する光の波長は同一である。このp−GaAs層(吸収層)240の厚さは、例えば0.5μm〜1μmとすることで、上下の活性層からの光を吸収し非光透過層としての役割を奏する。又、このp−GaAs層(吸収層)240の導電型を変更して、例えば、n−GaAs層(半導体層224側)/高抵抗GaAs層/p−GaAs層(半導体層231側)として、その上側の単結晶薄膜半導体発光素子(上部)220の構成をn−AlGaAs224、n−AlGaAs223、p−AlGaAs222、p−GaAs221のような構成として、上方の単結晶薄膜半導体発光素子(上部)220に、単結晶薄膜半導体発光素子(下部)230とは独立に、n側電極、p側電極を設けるなど、種々の変形が可能である。
【0059】
そして、各単結晶薄膜半導体発光素子の発光層(活性層)からの光は、この実施例では、非光透過層としてのp−GaAs層(吸収層)240で吸収されるため、このp−GaAs層(吸収層)240と反対方向の光が出射光116、126として出射される。
【実施例5】
【0060】
第2の実施形態でのAlGaInP系単結晶薄膜半導体発光素子の場合について図11を参照して説明する。図11は、第2の実施形態でのAlGaInP系単結晶薄膜半導体発光素子の断面を示す断面構造図である。
【0061】
非光透過層としてのp−GaAs層(吸収層)240を挟みその上側に、単結晶薄膜半導体発光素子(上部)320として、p−(Alx1Ga1-x1y1In1-y1P層321、n−(Alx2Ga1-x2y1In1-y1P層(活性層)322、n−(Alx3Ga1-x3y1In1-y1P層323及びn−GaAs層324が形成されている。この場合、組成比としては、0.49≦y1≦0.51、x2<x1,x3とする。そして、p−GaAs層(吸収層)240の下側には、単結晶薄膜半導体発光素子(下部)330として、p−(Alz3Ga1-z3y1In1-y1P層336、n−(Alz2Ga1-z2y1In1-y1P層(活性層)335、n−(Alz1Ga1-z1y1In1-y1P層334、n−GaAs層333、n−(Als1Ga1-s1y1In1-y1P層332及びn−GaAs層331が形成されている。この場合、組成比として、例えば、0.49≦y1≦0.51、z2<z1,z3とする。又、n−(Alz2Ga1-z2y1In1-y1P層(活性層)335は積層構造であってもよく、例えばノンドープの量子井戸構造としてもよい。例えば、(Alt1Ga1-t1y1In1-y1P/(Alt2Ga1-t2y1In1-y1Pの積層であってもよい。
【実施例6】
【0062】
第2の実施形態でのGaN系単結晶薄膜半導体発光素子の場合について図12を参照して説明する。図12は、第2の実施形態でのGaN系単結晶薄膜半導体発光素子の断面を示す断面構造図である。
【0063】
非光透過層としてのInx3Ga1-x3N層(吸収層)360を挟みその上側に、単結晶薄膜半導体発光素子(上部)340として、p−GaN層341、ノンドープInx1Ga1-x1N層342a/ノンドープGaN層342bの積層層(活性層)342、n−Aly1Ga1-y1N層343及びn−GaN層344が形成されている。そして、Inx3Ga1-x3N層(吸収層)360の下側には、単結晶薄膜半導体発光素子(下部)350として、p−Aly2Ga1-y2N層354、ノンドープInx2Ga1-x2N/ノンドープGaNの積層層(活性層)353、n−GaN352、AlN層351、が形成されている。この場合、組成比として、例えば、x3>x1,x2が好適である。
【0064】
又、実施例5及び実施例6の非光透過層としての吸収層に代えて、AlGaAs系やAlGaInP系では、AlAs/AlxGa1-xAs(x≧0)、又は、GaN系(窒化物系)では、AlN/AlxGa1-xN(x≧0)等の半導体積層構造による反射層を用いても好適である。
【実施例7】
【0065】
次に、第2の実施形態の実施例として、非光透過層として金属層(反射層)を使用した場合についてのAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子の断面図と第2の実施形態の表示装置20−2としての動作説明を、図13を参照して説明する。
【0066】
この表示装置20−2のAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子の構造としては、実施例4でのAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子と同様である。透明基板110上に非光透過層としての金属層(反射層、共通電極)454を挟んでその上側に、単結晶薄膜半導体発光素子(上部)420として、p−GaAs層425、p−Alz1Ga1-z1As層424、n−Aly1Ga1-y1As層(活性層)423、n−Alx1Ga1-x1As層422及びn−GaAs層421が形成されている。そして、金属層(反射層、共通電極)454の下側に、単結晶薄膜半導体発光素子(下部)430として、p−GaAs層431、p−Alx2Ga1-x2As層432、n−Aly2Ga1-y2As層(活性層)433、n−Alz2Ga1-z2As層434及びn−GaAs/n−AltGa1-tAs/n−GaAs層(n型導通層)435が形成されている。
【0067】
この実施例においては、金属層(反射層、共通電極)454は、前記実施例4での共通電極の役割も兼ねている。したがって、金属層(反射層、共通電極)454は、その上下側の単結晶薄膜半導体発光素子の単結晶薄膜半導体層材料系によって低抵抗オーミックコンタクトが形成できる金属を選択する必要がある。例えば、AlGaAs系及びAlGaInP系であれば、GaAs層と低抵抗オーミックコンタクトを形成する、Ti/Pt/Au/Ti等を使用する。又、GaN系の場合には、例えば、Ni/Au/Ti等を使用する。この実施例において使用する金属層(反射層、共通電極)454の最上層の金属のTiは、金属層(反射層、共通電極)454の上の単結晶薄膜半導体発光素子(上部)420を接合するために設ける誘電体層461との密着性を高めるために設ける。すなわち、この実施例では、金属層(反射層、共通電極)454の上側に設ける単結晶薄膜半導体発光素子(上部)420は、この誘電体層461に分子間力接合により直接接合されている。単結晶薄膜半導体発光素子420は、誘電体層461上に直接接合されることが好適であるが、低融点半田や透明な導電性ペースト又は接着剤等を用いて接合することも可能である。
【0068】
又、電極及び配線は、絶縁膜451を層間絶縁膜として、金属層(反射層、共通電極)454を共通電極とし、上部n側電極452、p側電極453、下部n側電極455が形成されている。
【0069】
そして、この実施例では、各単結晶薄膜半導体発光素子の発光層(活性層)からの光は、非光透過層としての金属層(反射層、共通電極)454で反射されるため、出射光116、117、126及び127として透明基板110の表裏両面から出射される。
【0070】
前記説明では、非光透過層としての反射層が金属層である場合を具体例として説明したが、反射層として金属層に限らず、屈折率差の大きな誘電体薄膜を積層した誘電体材料積層構造であってもよい。例えば、ZrO2/SiO2,MgO/SiO2等を用いることができる。その他、高屈折率材料と低屈折率材料とを組み合わせた積層層を用いてもよい。例えば、高屈折率材料としては、HfO2、Sc23、Y23、ThO、MgO及びAl23等であり、低屈折率材料としては、NdF3、LaF3、ThF4、SiO2、MgF2、LiF及びNaF等を用いることができる。この積層層の反射層を用いる場合には、この反射層を誘電体層461と金属層454の間に設けることができる。又、この積層層の反射層は、誘電体層461の代替として設けてもよい。
【0071】
[第3の実施形態の実施例]
次に、本発明の第3の実施形態の実施例及び変形例について、その構成とその動作説明を図14乃至図17を参照して説明する。この第3の実施形態の表示装置30−1は、透明基板110の片面に、2つの単結晶薄膜半導体発光素子520、530を互いに隣接配設し、一方の単結晶薄膜半導体発光素子は表面に第1の非光透過層553を備え、他方の単結晶薄膜半導体発光素子と透明基板との間に第2の非光透過層560を備えた構造である。そして、第1の非光透過層553及び第2の非光透過層560は、隣接配設した2つの単結晶薄膜半導体発光素子520、530から各々出射される光を吸収又は反射する層である。そして、互いに隣接配設した2つの単結晶薄膜半導体発光素子520、530は、1次元状又は2次元状に配設されている。更に、この実施形態の表示装置30−1は、透明基板110上に隣接配設した2つの単結晶薄膜半導体発光素子520、530を独立に点灯制御する駆動制御回路190を設けたことを特徴とする。その結果、透明基板110の表裏両面側に独立した画像を表示させると共に、透明基板110の表裏両面側において表示画素のサイズ及び配列ピッチを変えた画像の表示を具現するものである。
【実施例8】
【0072】
具体的な実施例として、互いに隣接配設した2つのAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子から構成される実施例を図14及び図15を参照して説明する。図14は第3の実施形態の実施例の表示装置30−1の平面図であり、図15は図14におけるA−A線に沿って切断したAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子の断面構造図である。
【0073】
表示装置30−1は、透明基板110上に互いに隣接配設した2つのAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子(右部及び左部)530、520を2次元状に配設し、各AlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子(右部及び左部)530、520は、共通電極554が共通配線573に接続され、金属層(反射層)553及び電極552が個別に、制御配線571及び572に接続されている。そして、駆動制御回路190によって独立に単結晶薄膜半導体発光素子(右部)530及び単結晶薄膜半導体発光素子(左部)520を駆動制御する(図14)。
【0074】
そして、第3の実施形態の実施例の表示装置30−1の構成要素である隣接する2つの単結晶薄膜半導体発光素子(右部及び左部)530、520の構成は、単結晶薄膜半導体発光素子(右部)530では、表面に第1の非光透過層としての金属層(反射層)553を備え、その下側に単結晶薄膜半導体発光素子(右部)530として、GaAs層531、Alz1Ga1-z1As層532、Aly1Ga1-y1As層(活性層)533、Alx1Ga1-x1As層534、GaAs層535、Alt1Ga1-t1As層536及びGaAs層537が透明基板110上に形成されている。又、単結晶薄膜半導体発光素子(左部)520は、透明基板110上に第2の非光透過層としての金属層(反射層)560を挟み、その上側に単結晶薄膜半導体発光素子(左部)520として、GaAs層527、Alt2Ga1-t2As層526、GaAs層525、Alx2Ga1-x2As層524、Aly2Ga1-y2As層(活性層)523、Alz2Ga1-z2As層522及びGaAs層521が形成されている。又、電極及び配線は、絶縁膜551を層間絶縁膜として、共通電極554、単結晶薄膜半導体発光素子(右部)530の個別電極としての金属層(反射層)553及び単結晶薄膜半導体発光素子(左部)520の個別電極としての電極552が形成されている(図15)。透明基板110上に設けた金属層(反射層) 560は、例えば、Ti,Ti/AuGeNi(GaAs層527側)、Ti/Pt/Au(GaAs層527側)、Ti/Cu(GaAs層527側)及びTi/Pt(GaAs層527側)等を使用することができる。
【0075】
従って、この実施例では、隣接する2つの単結晶薄膜半導体発光素子の発光層(活性層)533、523からの光は、非光透過層としての金属層(反射層)553及び金属層(反射層)560で反射されるため、出射光116、117、136及び137として出射される。
【0076】
[変形例3]
又、前記実施例8の変形例として、図16に示すように、透明基板110と隣接する2つの単結晶薄膜半導体発光素子との間に誘電体層561を設けても、第3の実施形態は表示装置30−2として具現される。この変形例3では、隣接する2つの単結晶薄膜半導体発光素子の構造及びその他の電極等は、実施例8と同様であり、異なる点は、誘電体層561が設けられていることである。この誘電体層561は2つの単結晶薄膜半導体発光素子520,530の発光層からの光に対して透明、すなわち、光透過する有機材料層や、酸化物層及び窒化物層等の無機材料層を用いることができる。
【0077】
従って、この変形例3では、隣接する2つの単結晶薄膜半導体発光素子の発光層(活性層)533、523からの光は、この誘電体層561を透過して、非光透過層としての金属層(反射層)553及び金属層(反射層)560で反射され、出射光116、117、136及び137として出射される。
【実施例9】
【0078】
更に、第3の実施形態の実施例として、第3の実施形態の実施例の表示装置30−3の構造断面図と動作について図17を参照して説明する。
【0079】
表示装置30−3は、この実施形態の構成要素である第1の非光透過層及び第2の非光透過層として、2つの単結晶薄膜半導体発光素子の発光層(活性層)から光を吸収する吸収層を、それぞれ2つの単結晶薄膜半導体発光素子内に設けている。そして、透明基板110上に誘電体層561を挟み、互いに隣接配設した2つのAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子(右部及び左部)630、620を2次元状に配設し、各AlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子(右部及び左部)630、620は、共通電極554と、金属層553及び電極552が個別に設けられている。
【0080】
具体的には、この第3の実施形態の実施例の表示装置30−3の構成要素である隣接する2つの単結晶薄膜半導体発光素子(右部及び左部)630、620の構成は、単結晶薄膜半導体発光素子(右部)630では、表面の金属層553の下側に、GaAs層(吸収層)631、Alz1Ga1-z1As層632、Aly1Ga1-y1As層(活性層)633、Alx1Ga1-x1As層634、GaAs層635、Alt1Ga1-t1As層636及びGaAs層637が形成されている。一方、単結晶薄膜半導体発光素子(左部)620では、透明基板110上に誘電体層561を挟み、GaAs層(吸収層)625、Alx2Ga1-x2As層624、Aly2Ga1-y2As層(活性層)623、Alz2Ga1-z2As層622及びGaAs層621が形成されている。又、電極及び配線は実施例8と同様に、絶縁膜551を層間絶縁膜として、共通電極554、単結晶薄膜半導体発光素子(右部)630の個別電極としての金属層553及び単結晶薄膜半導体発光素子(左部)620の個別電極としての電極552が形成されている。
【0081】
従って、この実施例では、隣接する2つの単結晶薄膜半導体発光素子の発光層(活性層)633、623からの光は、非光透過層としてのGaAs層(吸収層)631及び625で吸収され、出射光116及び136として出射される。
【0082】
以上、第3の実施形態の実施例及び変形例の説明は、単結晶薄膜半導体発光素子としてAlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子を用いた表示装置について行ったが、AlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子に限らず、第1及び第2に実施形態において説明したAlGaAsP系及びGaN系単結晶薄膜半導体発光素子についても、同様に具現することは明らかである。
【0083】
本発明の実施形態としては、構成する発光素子として主に発光ダイオード(LED:Light Emitting Diodes)を例に挙げて説明したが、この発明はLEDに限らず、発光素子としてレーザダイオード(LD:Laser Diodes)であっても有効である。ちなみに、LDの発光型としては、面発光型のLD(SE:Surface Emitting LD)素子等が好適であり、アンクールドLD等の具現も期待できる。
【0084】
又、本発明においては、表示装置としての発光素子を主体としたが、異種材料素子や異種機能素子の集積化、例えば、単結晶薄膜半導体発光素子と単結晶薄膜半導体受光素子との組み合わせによる両面表示機能及び両面センサ機能との組み合わせを特徴とする超薄型両面表示センサ装置等の実現も期待できる。
【0085】
又、発光、受光及び表示装置としてではなく、本発明の構成要素である単結晶薄膜半導体の形態、すなわち、デバイスの有効動作層領域以外の母材基板を除去した形態の利用が考えられる。例えば、高温動作による素子温度上昇を抑制するという目的で、高出力高周波半導体電子デバイス、例えば、窒化物半導体高電子移動度トランジスタ(HEMT;High Electron Mobility Transistor)等への適用も考えられる。
【符号の説明】
【0086】
10 表示装置(第1の実施形態)
10−1 表示装置(第1の実施形態の実施例)
10−2 表示装置(第1の実施形態の変形例)
20 表示装置(第2の実施形態)
20−1 表示装置(第2の実施形態の実施例)
20−2 表示装置(第2の実施形態の実施例)
30 表示装置(第3の実施形態)
30−1 表示装置(第3の実施形態の実施例)
30−2 表示装置(第3の実施形態の変形例)
30−3 表示装置(第3の実施形態の実施例)
101 母材基板
102 単結晶薄膜半導体層
103 犠牲層
110 透明基板
111、121、131 単結晶薄膜半導体発光素子
111a、111b、111c 異なる発光波長の単結晶薄膜半導体発光素子
111−1 AlGaAs系単結晶薄膜半導体発光素子
111−2 AlGaInP系単結晶薄膜半導体発光素子
111−3 GaN系単結晶薄膜半導体発光素子
111−4 3端子構造の単結晶薄膜半導体発光素子
112、114、122、124、132、134 非発光層
113、123、133 発光層(活性層)
115、116、117、126、127、136、137 出射光
120 非光透過層
130 第1の非透過層
140 第2の非透過層
141 発光領域
142 電極領域
143、144 接続配線
150 配線
151、153 y方向配線
152、154 x方向配線
160、170、180、190 駆動制御回路
A、B スキャン方向
165 AlyGa1-yAs層(活性層)
175 (AlyGa1-ys2In1-s2P層(活性層)
183 InxGa1-xN層/GaN層の積層層(活性層)
195 n−AlyGa1-yAs層(活性層)
201 アノード電極
202 ゲート電極
203 カソード電極
220 単結晶薄膜半導体発光素子(上部)
223 n−Aly1Ga1-y1As層(活性層)
230 単結晶薄膜半導体発光素子(下部)
232 n−Aly2Ga1-y2As層(活性層)
234 n型導通層
240 p−GaAs層(吸収層)
251 絶縁膜
252 共通電極
253 上部n側電極
254 下部n側電極
255 下部n側制御配線
256 上部n側制御配線
257 共通配線
320 単結晶薄膜半導体発光素子(上部)
322 n−(Alx2Ga1-x2y1In1-y1P層(活性層)
330 単結晶薄膜半導体発光素子(下部)
335 n−(Alz2Ga1-z2y1In1-y1P層(活性層)
340 単結晶薄膜半導体発光素子(上部)
342 ノンドープInx1Ga1-x1N/ノンドープGaNの積層層(活性層)
343 n−Aly1Ga1-y1N層
350 単結晶薄膜半導体発光素子(下部)
353 ノンドープInx2Ga1-x2N/ノンドープGaNの積層層(活性層)
360 Inx3Ga1-x3N層(吸収層)
420 単結晶薄膜半導体発光素子(上部)
423 n−Aly1Ga1-y1As層(活性層)
430 単結晶薄膜半導体発光素子(下部)
433 n−Aly2Ga1-y2As層(活性層)
435 n−GaAs/n−AltGa1-tAs/n−GaAs層(n型導通層)
451 絶縁膜
452 上部n側電極
453 p側電極
454 金属層(反射層、共通電極)
455 下部n側電極
461 誘電体層
520 単結晶薄膜半導体発光素子(左部)
523 Aly2Ga1-y2As層(活性層)
525 GaAs層
530 単結晶薄膜半導体発光素子(右部)
533 Aly1Ga1-y1As層(活性層)
552 電極
553 金属層(反射層)
554 共通電極
560 金属層(反射層)
561 誘電体層
571 制御配線
572 制御配線
573 共通配線
620 単結晶薄膜半導体発光素子(左部)
623 Aly2Ga1-y2As層(活性層)
625 GaAs層(吸収層)
630 単結晶薄膜半導体発光素子(右部)
631 GaAs層(吸収層)
633 Aly1Ga1-y1As層(活性層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板の片面に分子間力により直接接合された複数の単結晶薄膜半導体発光素子と前記複数の単結晶薄膜半導体発光素子の各々に順次点灯制御信号をスキャンさせて駆動する駆動制御回路とを設けた表示装置であって、
前記複数の単結晶薄膜半導体発光素子は、母材基板から剥離された単結晶薄膜半導体層から構成され、
前記単結晶薄膜半導体発光素子は、発光層とこの発光層を挟んだ2層の非発光層とを備え
前記単結晶薄膜半導体発光素子の表面に、非光透過層と、他の発光層を有する他の単結晶薄膜半導体層からなる他の単結晶薄膜半導体発光素子とを積層した
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記2層の非発光層のエネルギバンドギャップは、前記発光層のエネルギバンドギャップより大きい値を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記非光透過層は、前記2つの発光層から各々出射される光を吸収又は反射する層であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記非光透過層の両側に設けられた2つの単結晶薄膜半導体発光素子を独立に点灯制御する駆動制御回路を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の単結晶薄膜半導体発光素子は、1次元状又は2次元状に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のうち何れか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−74752(P2012−74752A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−8172(P2012−8172)
【出願日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【分割の表示】特願2008−222816(P2008−222816)の分割
【原出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】