説明

表面清浄化部品の施工方法

【課題】半導体製造装置などにおける高純度ガス供給システムの現地での施工時間等を短縮する。
【解決手段】表面清浄化部品の施工方法は、複数個の表面清浄化部品2cを組み立てるに際し、高純度不活性ガスを流しながら、ガスの流れ方向に沿って上流側から下流側へと組み立てを行っていく。前記表面清浄化部品2cは、所定の表面清浄化を行った後、大気に暴露させる事なく高純度不活性ガスを充満させて気密封じを行ったものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造工場等に用いられる高純度ガス供給システムに適用して有効な技術に関するものである。
【0002】
本発明は、表面清浄化部品の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、半導体製造工程に用いられる高純度ガス供給システムにおいては、電界研磨処理、真空中での昇温脱離処理、クロム酸化膜不働態処理(Cr膜)等を行ったガス供給部品が使用されている。また、従来の高純度ガス供給システムの施工方法においては、現地で電解研磨処理をした部品を用いて、曲げ加工を行ったり、溶接を行ったりして組み立てを行っていた。
【0004】
電界研磨処理は、硫酸とリン酸をベースとした電界研磨液を用いて、処理部品を陽極、相対電極を陰極とし、処理部品と電極の間に直流電流を流しながら、研磨を行って行く処理方法で、このあと溶剤洗浄、純水洗浄を行って乾燥させる処理である。また、真空中での昇温脱離処理は、真空ポンプで処理室内を真空に引きながら加熱を行い、処理部品に付着している脱離成分を除去する処理方法である。また、クロム酸化膜不働態処理(Cr膜)は、酸化ガス雰囲気で、高温に加熱し、ステンレス表面にCr膜を形成させる処理方法である。
【0005】
また、下記特許文献1には、減圧下にて成膜又はエッチングを行う装置の非動作時には、該装置に超高純度ガスを送入するための配管をすくなくともある一定期間加熱するとともに、該配管から超高純度ガスを配管外に排出し、前記装置の動作時には該配管の加熱を停止して超高純度ガスを該装置の導入口を介して該配管から該装置内に送入することを特徴とする超高純度ガスの供給方法が、開示されている。
【特許文献1】特開昭63−12336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電界研磨処理においては、電界研磨液や洗浄液が残留しており、真空中での昇温脱離処理では、昇温加熱時に脱離成分を除去しても、冷却時、及び、真空雰囲気から大気雰囲気に戻す際に真空ポンプからのオイルバックにより、オイル成分が再付着するという問題点があり、クロム酸化膜不働態処理では、金属表面に膜を形成させるため、長時間の使用時に膜が剥離するという問題点があった。また、すべての処理に関して、処理後大気に暴露するため、大気中の有機物が付着するという問題点と、さらに、処理後の梱包方法においても、塩化ビニール等の樹脂フィルムにより封じられるため、樹脂中に含まれる軟化剤、可塑剤と呼ばれるディオクチルフタレイト(DOP)等の有機物が脱離し、再付着するという問題点があることがわかった。これらは、今まで有機物の高感度分析手法が、確立されておらず、検査が難しかったため、問題とされていなかったが、高純度アルゴンガスを用いた大気圧イオン化質量分析(APIMS)、高圧イオン化質量分析(HPIMS)といった高感度な分析手法により、確認できるようになった。
【0007】
さらに、本発明者は、ステンレス鋼材料、ニッケル材料、ニッケル蒸着材料、乃至ニッケルメッキ材料表面には、水素が高濃度で吸着しており、これが大気中の水分、有機物と結合を起こしやすく、一度結合すると脱離しにくいこと、有機物の種類によっては、水素と有機物の結合部を核として、有機物の凝縮が進行し、突起物が成長することを見いだした。また、表面の水素濃度を低減していれば、水分、有機物がステンレス鋼表面と結合しにくいだけでなく、脱離も容易であること、さらに、ステンレス鋼においては水素の脱離ピークが350℃にあり、水素の脱離とともに水分やほとんどの有機物が脱離し、350℃以上の温度が脱離効率が優れていることを見出した。
【0008】
また、例えばパッキン等の配管部品として、可塑剤を有する樹脂材料から成る樹脂部品を高純度ガス供給システムに使用した場合、その表面側領域にて樹脂中に含まれる例えばディオクチルテレフタレイト(DOP)等の可塑剤が脱離して、高純度ガス中に混入してしまうため、高純度ガスの純度が低下してしまうと共に、脱離した可塑剤が高純度ガス供給システムの他の箇所で再付着することになるという問題があった。
【0009】
さらに、例えば半導体ウェハの保管容器や半導体部品の保持容器が可塑剤を有する樹脂材料から構成されている場合、これらの容器は、従来純水による洗浄のみにより清浄化されているため、使用の際に、樹脂材料から可塑剤が脱離して、半導体ウェハや半導体部品に付着してしまう等の問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、高純度ガス供給部品(配管)からの水素、水分、有機物の除去技術及び再付着防止技術を提供し、この技術により表面清浄化部品を提供すること、また、磁気ディスク基板、光ディスク基板、半導体ウェハ、液晶、金属パッキン等の表面に有機物起因の突起物の成長を防止できる技術を提供すること、さらに、半導体製造装置等における高純度ガス供給システムの現地での施工時間や施工後のシステム立ち上げ時間(使用可能となるまでの時間)やメンテナンス時間を短縮できる技術を提供することにある。
【0011】
さらに、本発明は、可塑剤の脱離を低減するようにした、半導体ウェハの保管容器や半導体装置の保持容器等あるいはパッキン等の配管部品等の、可塑剤を有する樹脂材料を少なくとも一部に有するから成る物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここでは、前記課題を解決する技術手段として、下記第1乃至第52の態様を提示する。なお、下記第11の態様が請求項1乃至3に係る発明に相当し、下記第12の態様が請求項4乃至6に係る発明に相当し、下記第47の態様が請求項7乃至12に係る発明に相当している。
【0013】
第1の態様による表面清浄化方法は、ガス流路内に高純度不活性ガスを通流させた状態で、被表面清浄化部品の外周部より昇温加熱を行った後、室温まで冷却して、実質的に酸化膜を形成させる事なく、ガス流路内に吸着している水素、水分、有機物の吸着量を低減させるものである。この第1の態様による表面清浄化方法によれば、ガスの流路内は高純度不活性ガスが通流しているので、脱離成分はこのガスで希釈され速やかに排出されていくので、酸化膜を形成することなく表面の清浄化が行われる。しかし、高温の状態で高純度不活性ガスの通流を止めてしまうと、脱離した不純物や、滞留している不純物が冷却の過程で再付着し、せっかく清浄化した表面が汚染してしまう。このため、高純度不活性ガスを通流させた状態で略々室温まで冷却することが好ましい。
【0014】
第2の態様による表面清浄化方法は、前記第1の態様による表面清浄化方法において、たとえば、大気圧イオン化質量分析(APIMS)、高圧イオン化質量分析(HPIMS)といった水素、水分、有機物を高感度に検出する手段を備えるものである。この第2の態様による表面清浄化方法によれば、被表面清浄化部品から脱離した成分をモニタリングしながら表面清浄化が行えるため、表面清浄化の終点検出が可能となり、最適時間で処理を行うことが出来る。
【0015】
第3の態様による表面清浄化方法は、前記第1又は第2の態様による表面清浄化方法において、高純度不活性ガスとして、高純度アルゴンガスを用いるものである。この第3の態様による表面清浄化方法によれば、高純度不活性ガスのうちで表面に吸着している不純物の除去能力が最も優れているアルゴンガスを用いている。本発明者の研究では、アルゴンガスはヘリウムガスの約8倍、窒素ガスの約2倍の除去能力があることがわかった。これは、分子量にほぼ比例しており、分子の大きな不活性ガスが除去効果が高いことを示している。また、アルゴンガスは水素の分析をAPIMSやHPIMSを用いて行う場合、Ar・H(M/z=41)でモニタリングするが、高純度アルゴンではM/z=41のバックグランドの値は極めて低いので、低濃度から水素をモニタリング出来る。
【0016】
第4の態様による表面清浄化方法は、前記第1乃至第3のいずれかの態様による表面清浄化方法において、350℃以上の温度で昇温加熱を行うものである。この第4の態様による表面清浄化方法によれば、ステンレス鋼においては水素の脱離ピークが350℃にあり、水素の脱離とともに水分やほとんどの有機物が脱離し、350℃以上の温度が脱離効率が優れているためである。
【0017】
第5の態様による表面清浄化方法は、高純度不活性ガスを通流させた雰囲気で、金属材料、金属蒸着材料、乃至金属メッキ材料のいずれかを、少なくとも一部に有する被表面清浄化部品を昇温加熱した後、室温まで冷却して、実質的に酸化膜を形成させることなく、表面の水素濃度を低減させるものである。この第5の態様による表面清浄化方法によれば、金属材料表面の水素を完全に脱離させることにより、表面清浄化処理後の表面に水素結合を介して水分、有機物が再付着しにくくなり、付着した水分、有機物を核として有機物の凝縮が進行し、デンドライト状の突起物が成長するのを防止できる。金属材料の中でも、ニツケル、ステンレスのように水素を表面に貯蔵しやすい材料に最も効果があり、被表面清浄化部品としては、磁気ディスク基板、光ディスク基板、半導体ウェハ、液晶、金属パッキンが最も効果がある。
【0018】
第6の態様による表面清浄化装置は、ガスの流れ方向に沿って、高純度不活性ガス流入口、被表面清浄化部品、ガスサンプリング配管、高感度ガス分析装置の順序で構成され、被表面清浄化部品の外周部に加熱手段を備えるものである。この第6の態様による表面清浄化装置によれば、高純度不活性ガスを被表面清浄化部品に通流させながら被表面清浄化部品の外周部に備えられた加熱手段により、被表面清浄化部品を加熱することにより、表面に吸着している水素、水分、有機物を脱離させ、これをガスサンプリング配管を通して高感度ガス分析装置まで導いている。この場合、このガスサンプリング配管は、室温では水分、有機物が吸着してしまうため、高温に加熱することが好ましい。
【0019】
第7の態様による表面清浄化装置は、前記第6の態様による表面清浄化装置において、ガスサンプリング配管にガス切り替え手段を備えるものである。この第7の態様による表面清浄化装置によれば、ガスサンプリング配管に備えたガス切り替え手段により、複数の被表面清浄化部品を1台の高感度ガス分析装置で分析することが可能となり分析のコストを低減することが出来る。また、ガスの切り替えに際し、ガスサンプリングをしていない間も被表面清浄化部品にはガスを通流しておく必要があり、ガス切り替え手段の一方の出口は大気開放か、排気ダクト等に接続されていることが望ましい。
【0020】
第8の態様による表面清浄化装置は、前記第6又は第7の態様による表面清浄化装置において、全長の長い被表面清浄化部品において、加熱領域を複数に分轄して、加熱領域をガスの流れ方向に沿って上流側から下流側へ移動させて行く表面清浄化装置である。この第8の態様による表面清浄化装置によれば、被表面清浄化部品の全長が長いため、全てをいっきに加熱した場合、下流部で不純物濃度が高濃度となり、酸化膜が形成される恐れがある場合、いくつかに分割して加熱処理を行うものである。この際、加熱の順序は脱離成分の再付着を防止するためガスの流れ方向に沿って上流側から下流側へと移動する。
【0021】
第9の態様による表面清浄化部品は、前記第1乃至第5のいずれかの態様による表面清浄化処理を行った後、大気に暴露させる事なく高純度不活性ガスを充満させて気密封じを行った表面清浄化部品である。この第9の態様による表面清浄化部品によれば、表面清浄化処理後の気密封じにより、大気や、梱包材等に含まれる水分、有機物の再付着を防止することが出来る。
【0022】
第10の態様による表面清浄化部品は、前記第9の態様による表面清浄化部品において、当該表面清浄化部品の一部に高純度不活性ガス保有容器を備えるものである。この第10の態様による表面清浄化部品によれば、表面清浄化部品の接続(現地組み立て作業)に際し、高純度不活性ガスの保有容器に貯えられた高圧の高純度不活性ガスを放出(パージ)させながら接続を続けていくことが可能で、表面清浄化部品の内部への大気の流入を防止できる。この際、高純度不活性ガス保有容器は、終端に取り付けておくことが望ましく、被表面清浄化部品を接続したら、高純度不活性ガス保有容器は取り外して、工場側の高純度不活性ガスを放出(パージ)させながら接続を続けていくことが好ましい。
【0023】
第11の態様による表面清浄化部品の施工方法は、前記第9又は第10の態様による複数個の表面清浄化部品を組み立てるに際し、高純度不活性ガスを流しながら、ガスの流れ方向に沿って上流側から下流側へと組み立てを行っていくものである。この第11の態様による施工方法によれば、高純度不活性ガスを放出(パージ)させながら接続を続けていくため、表面清浄化部品内部に大気の流入がなく、水分、有機物の再吸着を防止できる。
【0024】
第12の態様による表面清浄化部品の施工方法は、表面清浄化処理工場にて、第9又は第10の態様による表面清浄化部品を製作し、輸送手段を用いて現地まで輸送し、現地にて組み立てを行うものである。この第12の態様による施工方法によれば、現地での曲げ加工、溶接等の時間のかかる作業が必要なく短時間での施工が可能となる。たとえば、従来の施工方法との施工時間の比較を行えば、本発明を用いた施工方法では、従来の約1/5で施工を行うことが出来る。また、部品の共通化が可能となり、高純度ガス供給システムの価格低減も可能となる。
【0025】
第13の態様による被表面清浄化物の表面清浄化方法は、ガス流路内に被表面清浄化物の被清浄化表面が露出し、前記被表面清浄化物の前記被清浄化表面が高い温度に保持された状態で、前記ガス流路内に高純度不活性ガスを通流させる第1の段階を備えたものである。なお、前記被表面清浄化物は、部品であっても、複数の部品が組み立てられたものであってもよい。また、前記被表面清浄化物の材質は何ら限定されるものではないが、後述する第16及び第17の態様にはその例を挙げている。
【0026】
この第13の態様による表面清浄化方法によれば、ガス流路内に被表面清浄化物の表面が露出し、被表面清浄化物の表面が高い温度に保持された状態で、ガス流路内に高純度不活性ガスが通流しているので、被表面清浄化物の表面からの不純物等の脱離成分はこのガスで希釈され速やかに排出されていくので、被表面清浄化物の表面の清浄化が行なわれる。
【0027】
第14の態様による表面清浄化方法は、前記第13の態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階の後に、前記ガス流路内に前記高純度不活性ガスを通流させながら、前記被表面清浄化物の前記被清浄化表面の温度を略々室温に戻す第2の段階を備えたものである。
【0028】
この第14の態様による表面清浄化方法によれば、被表面清浄化物の表面から脱離した不純物等の脱離成分や滞留している不純物が再付着するようなことがない。
【0029】
第15の態様による表面清浄化方法は、前記第14の態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階及びその後の前記第2の段階が、複数回繰り返されるものである。
【0030】
この第15の態様による表面清浄化方法によれば、複数回の第1及び第2の段階によって、高純度不活性ガスによる不純物等の除去が十分に行なわれるので、残存する不純物等の濃度がより一層低減される。
【0031】
第16の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第15のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記被表面清浄化物が、金属材料、金属蒸着材料及び金属メッキ材料のうちのいずれかを、前記被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有するものである。
【0032】
この第16の態様による表面清浄化方法によれば、金属部分の表面の水素、水分及び有機物等の不純物の吸着量が低減され、例えば水素が脱離されることにより、表面清浄化後に、水素結合を介して水分や有機物が再付着することが阻止され、付着した水分や有機物を核とする有機物が凝縮してデンドライト状の突起物が成長してしまうような事態が防止され得る。
【0033】
この場合、金属材料の中でも、特にニッケル、ステンレス鋼等のような水素を表面に貯蔵しやすい材料に効果があり、被表面清浄化物としては、アルミニウム等の金属から成る磁気ディスク基板、金属膜を表面に蒸着した光ディスク基板、そして半導体ウェハや液晶、さらには配管部品としての金属パッキン等が最も効果がある。
【0034】
第17の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第15のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記被表面清浄化物が、可塑剤を有する樹脂材料を、前記被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有するものである。
【0035】
この第17の態様による表面清浄化方法によれば、樹脂材料の表面に付着した水素、水分、有機物等の不純物の吸着量が低減されると共に、樹脂材料の表面側の部分に含まれていた可塑剤が脱離されて樹脂材料の表面側の可塑剤の濃度が内部側の可塑剤の濃度より低減される。これにより、表面清浄化後に、樹脂材料からの可塑剤の脱離及び再付着も防止され得る。
【0036】
この場合、樹脂材料を有する被表面清浄化物としては、例えば、半導体ウェハの保管容器、半導体装置の保持容器、樹脂パッキンを備えた配管部品やこれを含む配管等を挙げることができる。
【0037】
第18の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第17のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記被表面清浄化物が内部に流路を有し当該内部流路の壁面を前記被清浄化表面とする物品であり、当該物品が前記ガス流路の少なくとも一部を構成するように設置されるものである。前記物品としては、例えば、パイプ、バルブ等の配管部品やこれらの組立体である配管等を挙げることができる。
【0038】
この第18の態様による表面清浄化方法によれば、被表面清浄化物の内部流路を利用して、その内面に対して直接に高純度不活性ガスが導入される。従って、被表面清浄化物を高純度不活性ガス雰囲気中に保持するための処理室が不要となる。
【0039】
第19の態様による表面清浄化方法は、前記第18の態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階において、前記物品をその外側に配設された加熱手段により加熱することによって、前記被清浄化表面が高い温度に保持されるものである。
【0040】
この第19の態様による表面清浄化方法によれば、前記物品の外側に配設された加熱手段によって、被表面清浄化物の被清浄化表面が確実に所定の高温に保持され得る。
【0041】
第20の態様による表面清浄化方法は、前記第18の態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階において、前記高純度不活性ガスの温度が前記高純度不活性ガスが前記被清浄化表面に至る前に高くされていることによって、前記被清浄化表面が高い温度に保持されるものである。
【0042】
この第20の態様による表面清浄化方法によれば、前記物品の内部流路に導入される高純度不活性ガスが前以て加熱されることにより、この高い温度の高純度不活性ガスによって、被表面清浄化物の被清浄化表面が間接的に所定の高温に保持され得ることになり、前記物品を直接加熱する加熱手段が不要になる。
【0043】
第21の態様による表面清浄化方法は、前記第20の態様による表面清浄化方法において、前記物品の外面が保温材により覆われているものである。
【0044】
この第21の態様による表面清浄化方法によれば、前以て加熱された高純度不活性ガスが前記物品の内部流路に導入されたとき、この内部流路を流れる高純度不活性ガスが前記物品の外側の保温剤によって保温されることにより、前記物品の内部流路の下流側における高純度不活性ガスの温度低下が低減されることになり、高純度不活性ガスによる表面清浄化がより効果的に行なわれ得る。
【0045】
第22の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第17のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記ガス流路が処理室を有し、前記被表面清浄化物が前記処理室内に設置されるものである。
【0046】
この第22の態様による表面清浄化方法によれば、内部流路を有しない被表面清浄化物であっても、この被表面清浄化物を処理室内に収容することにより、所定の高い温度での高純度ガスによる表面清浄化が確実に行なわれ得る。
【0047】
第23の態様による表面清浄化方法は、前記第22の態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階において、前記処理室内の温度を前記処理室の外側に配設された加熱手段により上げることによって、被清浄化表面が高い温度に保持されるものである。
【0048】
この第23の態様による表面清浄化方法によれば、処理室の外側に配設された加熱手段によって、処理室内に収容された被表面清浄化物の被清浄化表面が確実に所定の高温に保持され得る。
【0049】
第24の態様による表面清浄化方法は、前記第22の態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階において、前記高純度不活性ガスの温度が前記高純度不活性ガスが前記処理室に至る前に高くされていることによって、前記被清浄化表面が高い温度に保持されるものである。
【0050】
この第24の態様による表面清浄化方法によれば、処理室内に導入される高純度不活性ガスが前以て加熱されることにより、この高い温度の高純度不活性ガスによって、処理室内に収容された被表面清浄化物の表面が間接的に所定の高温に保持され得ることになり、処理室を直接加熱する加熱手段が不要になる。
【0051】
第25の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第24のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記高純度不活性ガスが高純度アルゴンガスであるものである。
【0052】
この第25の態様による表面清浄化方法によれば、高純度不活性ガスとして、表面に吸着している不純物の除去能力が最も優れているアルゴンガスが使用されている。従って、表面清浄化後の不純物の濃度がより一層低減されることになる。
【0053】
第26の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第25のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階において保持される前記被清浄化表面の温度が、前記被表面清浄化物の使用温度より少なくとも10℃以上高い温度であるものである。
【0054】
この第26の態様による表面清浄化方法によれば、表面清浄化時の前記第1の段階における温度以下の温度においては不純物等の脱離が殆どないので、前述したしたように温度を設定しておくことによって、実際の使用温度で被表面清浄化部品の表面から不純物等が脱離し、再付着することが有効に防止され得る。
【0055】
第27の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第26のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記第1の段階において保持される前記被清浄化表面の温度が350℃以上の温度であるものである。
【0056】
この第27の態様による表面清浄化方法によれば、ステンレス鋼においては水素の脱離ピークが350℃にあり、水素の脱離とともに水分やほとんどの有機物が脱離し、350℃以上の温度での脱離効率が優れている。
【0057】
第28の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第27のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前記被清浄化表面を通流したガスの成分を高感度ガス分析装置でモニタしつつ行われるものである。高感度ガス分析装置としては、例えば、大気圧イオン化質量分析(APIMS)や高圧イオン化質量分析(HPIMS)を挙げることができる。
【0058】
この第28の態様による表面清浄化方法によれば、被表面清浄化物から脱離した成分をモニタリングしながら表面清浄化が行えるため、表面清浄化の終点検出が可能となり、最適時間で処理を行うことが出来る。
【0059】
第29の態様による表面清浄化方法は、内部に流路を有する物品の当該内部流路の壁面を清浄化する表面清浄化方法であって、当該物品の前記内部流路に高純度不活性ガスを通流させながら、前記物品を上流側から下流側に部分的に順次に加熱していくものである。
【0060】
この第29の態様による表面清浄化方法によれば、前記物品を上流側から下流側に部分的に順次加熱していくので、前記物品(配管や配管部品等)の全長が長い場合に、前記部品の全体が同時に加熱されて、下流側における不純物濃度が高濃度になることが防止される。
【0061】
第30の態様による表面清浄化方法は、前記第13乃至第29のいずれかの態様による表面清浄化方法において、前もって当該流路を真空引きする予備段階を備えたものである。この場合、前記第13乃至第28の態様に関しては、前記第1の段階の前に前記予備段階が行われ、前記第29の態様に関しては、高純度不活性ガスを通流させる前に前記予備段階が行われる。
【0062】
この第30の態様による表面清浄化方法によれば、被表面清浄化物の被清浄化表面の微細な孔内に入っている不純物等が前記真空引きにより当該孔から出てくるので、表面清浄化効果が高まる。
【0063】
第31の態様による表面清浄化装置は、内部に流路を有する物品の当該内部流路の壁面を清浄化する表面清浄化装置であって、前記物品の前記内部流路に高純度不活性ガスを導入するガス供給手段と、前記物品を加熱する加熱手段と、を備えたものである。
【0064】
この第31の態様による表面清浄化装置によれば、前記加熱手段により物品の内部流路の壁面が高い温度に保持された状態で、前記内部流路に高純度不活性ガスを通流させることができる。したがって、前記内部流路の壁面からの不純物等の脱離成分はこのガスで希釈され速やかに排出されていくので、前記物品の内部流路の壁面を清浄化することができる。また、その後、加熱手段を停止させれば、高純度不活性ガスを内部流路に通流させた状態で、前記内部流路の壁面の温度を略々室温に戻すことができるので、前記内部流路の壁面から脱離した不純物等の脱離成分や滞留している不純物が再付着するようなことがない。また、前記第31の態様では、前記物品の外側に配設された加熱手段によって、前記内部流路の壁面が確実に所定の高温に保持され得る。さらに、前記第31の態様では前記物品の内部流路を利用して、その内面に対して直接に高純度不活性ガスが導入される。従って、前記物品を高純度不活性ガス雰囲気中に保持するための処理室が不要となる。
【0065】
第32の態様による表面清浄化装置は、前記第31の態様による表面清浄化装置において、前記加熱手段が、前記物品の外面に前記物品の前記内部流路の方向に沿って配設されたワイヤ状のヒータであるものである。
【0066】
この第32の態様による表面清浄化装置によれば、ワイヤ状のヒータを前記物品の外面に前記内部流路の方向に沿って配設することにより、容易に加熱手段が配設されることになる。
【0067】
第33の態様による表面清浄化装置は、前記第31又は第32の態様による表面清浄化装置において、前記物品を冷却する冷却手段を備えたものである。
【0068】
この第33の態様による表面清浄化装置によれば、冷却手段を有しているので、前記物品の内部流路の壁面の温度を略々室温に戻す際に、その冷却時間を短縮することができる。
【0069】
第34の態様による表面清浄化装置は、内部に流路を有する物品の当該内部流路の壁面を清浄化する表面清浄化装置であって、前記物品の前記内部流路に高純度不活性ガスを導入するガス供給手段と、前記物品を上流側から下流側に部分的に順次に加熱する加熱手段と、を備えたものである。
【0070】
この第34の態様による表面清浄化装置によれば、前記第31の態様による表面清浄化装置と同様に、前記物品の内部流路の壁面を清静化することができるとともに、前記物品を上流側から下流側に部分的に順次加熱していくので、前記物品(配管や配管部品等)の全長が長い場合に、前記部品の全体が同時に加熱されて、下流側における不純物濃度が高濃度になることが防止される。
【0071】
第35の態様による表面清浄化装置は、ガス流路の少なくとも一部を構成し、被表面清浄化物が設置される処理室と、前記処理室に高純度不活性ガスを導入するガス供給手段と、前記処理室の温度を上げる加熱手段と、を備えたものである。
【0072】
この第35の態様による表面清浄化装置によれば、前記加熱手段により処理室の温度ひいては被表面清浄化物の被清浄化表面が高い温度に保持された状態で、前記被清浄化表面に高純度不活性ガスを通流させることができる。したがって、前記被清浄化表面からの不純物等の脱離成分はこのガスで希釈され速やかに排出されていくので、前記被清浄化表面を清浄化をすることができる。また、その後、加熱手段を停止させれば、高純度不活性ガスを内部流路に通流させた状態で、被清浄化表面の温度を略々室温に戻すことができるので、被表面清浄化面から脱離した不純物等の脱離成分や滞留している不純物が再付着するようなことがない。また、前記第35の態様では、処理室の外側に配設された加熱手段によって、処理室内に終了された被表面清浄化物の被清浄化表面が確実に所定の高温に保持され得る。さらに、前記第35の態様によれば、内部流路を有しない被表面清浄化物であっても、この被表面清浄化物を処理室内に収容することにより、所定の高い温度での高純度ガスによる表面清浄化が確実に行なわれ得る。
【0073】
第36の態様による表面清浄化装置は、前記第35の態様による表面清浄化装置において、前記処理室の温度を下げる冷却手段を備えたものである。
【0074】
この第36の態様による表面清浄化装置によれば、冷却手段を有しているので、処理室の温度ひいては被表面清浄化物の被清浄化表面の温度を略々室温に戻す際に、その冷却時間を短縮することができる。
【0075】
第37の態様による表面清浄化装置は、内部に流路を有する物品の当該内部流路の壁面を清浄化する表面清浄化装置であって、前記物品の前記内部流路に加熱された高純度不活性ガスと加熱されていない高純度不活性ガスとを切り換えて導入するガス供給手段とを備えたものである。
【0076】
この第37の態様による表面清浄化装置によれば、前記物品の内部流路に導入される高純度不活性ガスが前以て加熱されることにより、この高い温度の高純度不活性ガスによって、前記物品の内部流路の壁面が配管部品の表面が間接的に所定の高温に保持され得ることになり、前記物品を直接加熱する加熱手段が不要になる。
【0077】
第38の態様による表面清浄化装置は、前記第37の態様による表面清浄化装置において、前記物品の外面を覆う保温材を備えたものである。
【0078】
この第38の態様による表面清浄化装置によれば、前以て加熱された高純度不活性ガスが前記物品の内部流路に導入されたとき、この物品の内部流路を流れる高純度不活性ガスが前記物品の外側の保温剤によって保温されることにより、前記物品の内部流路の下流側における高純度不活性ガスの温度低下が低減されることになり、高純度不活性ガスによる表面清浄化がより効果的に行なわれ得る。
【0079】
第39の態様による表面清浄化装置は、ガス流路の少なくとも一部を構成し、被表面清浄化物が設置される処理室と、前記処理室に加熱された高純度不活性ガスと加熱されていない高純度不活性ガスとを切り換えて導入するガス供給手段と、を備えたものである。
【0080】
この第39の態様による表面清浄化装置によれば、内部流路を有しない被表面清浄化物であっても、この被表面清浄化物を処理室内に収容することにより、所定の高い温度での高純度ガスによる表面清浄化が確実に行なわれ得る。また、前記第39の態様によれば、処理室内に導入される高純度不活性ガスが前以て加熱されることにより、この高い温度の高純度不活性ガスによって、処理室内に収容された被表面清浄化物の被清浄化表面が間接的に所定の高温に保持され得ることになり、処理室を直接加熱する加熱手段が不要になる。
【0081】
第40の態様による表面清浄化装置は、前記第31乃至第39のいずれかの態様による表面清浄化装置において、前記高純度不活性ガスが高純度アルゴンガスであるものである。
【0082】
この第40の態様による表面清浄化装置によれば、高純度不活性ガスとして、表面に吸着している不純物の除去能力が最も優れているアルゴンガスが使用されている。従って、表面清浄化後の不純物の濃度がより一層低減されることになる。
【0083】
第41の態様による表面清浄化装置は、前記第31乃至第40のいずれかの態様による表面清浄化装置において、前記物品あるいは前記被表面清浄化物を通流したガスの成分をモニタする高感度ガス分析装置を備えたものである。
【0084】
この第41の態様による表面清浄化装置によれば、前記物品又は前記被表面清浄化物から脱離した成分をモニタリングしながら表面清浄化が行えるため、表面清浄化の終点検出が可能となり、最適時間で処理を行うことが出来る。
【0085】
第42の態様による物品は、可塑剤を有する樹脂材料を表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有する物品であって、表面に露出した樹脂材料部分における当該露出面のうちの少なくとも一部の領域において、露出面側の前記可塑剤の濃度が内部側の前記可塑剤の濃度より低いものである。
【0086】
可塑剤を有する樹脂材料を用いた従来の物品(例えば、半導体ウェハの保管容器や半導体装置の保持容器等あるいはパッキン等の配管部品)では当該樹脂材料中に可塑剤が均一に含まれるが、前記第42の態様による物品では、露出面側の可塑剤の濃度が内部側の可塑剤の濃度より低くなっているので、当該露出面(表面)からの可塑剤の脱離量が低減されることとなる。このような物品は、前記第13乃至第30の態様による表面清浄化方法や前記第31乃至第40の態様による表面清浄化装置を用いて表面清浄化を行うことにより得ることができる。
【0087】
第43の態様による表面清浄化物は、前記第13乃至第30のいずれかの態様による表面清浄化方法が行われたものである。
【0088】
第44の態様による表面清浄化物は、前記第43の態様による被表面清浄化物において、当該表面清浄化物が、内部に流路を有し当該内部流路の壁面を清浄化表面とする物品であり、前記第13乃至第30のいずれかの態様による表面清浄化方法が行われた後に、前記内部流路を大気に暴露させることなく前記内部流路内に高純度不活性ガスを充満させて前記内部流路の気密封じを行ったものである。
【0089】
この第44の態様による表面清浄化物によれば、表面清浄化後の保管や搬送の際に、大気や梱包材等に含まれる水分、有機物等の不純物の再付着が防止され得る。
【0090】
第45の態様による表面清浄化物は、前記第44の態様による被表面清浄化物において、内部に高圧の高純度不活性ガスを保有した高純度不活性ガス保有容器であって、その内部が前記内部流路に連通可能な高純度不活性ガス保有容器を備えたものである。
【0091】
この第45の態様による表面清浄化物によれば、当該被表面清浄化物が配管部品等である場合、当該表面清浄化部品の接続(現地組み立て作業)に際し、高純度不活性ガスの保有容器に貯えられた高圧の高純度不活性ガスを放出(パージ)させながら接続を続けていくことが可能で、表面清浄化部品の内部への大気の流入を防止できる。この際、高純度不活性ガス保有容器は、終端に取り付けておくことが望ましく、被表面清浄化部品を接続したら、高純度不活性ガス保有容器は取り外して、工場側の高純度不活性ガスを放出(パージ)させながら接続を続けていくことが好ましい。
【0092】
第46の態様による表面清浄化物は、前記第43の態様による表面清浄化物において、前記第13乃至第30のいずれかの態様による表面清浄化方法が行われた後に、当該表面清浄化物を大気に暴露させることなく前記内部に高純度不活性ガスを充満させた容器内に収容して前記容器の気密封じを行ったものである。
【0093】
この第46の態様による表面清浄化物によれば、表面清浄化後の保管や搬送の際に、大気や梱包材等に含まれる水分、有機物等の不純物の再付着が防止され得る。
【0094】
第47の態様による被表面清浄化部品の施工方法は、前記第44乃至第46のいずれかの態様による複数の被表面清浄化物であって、各々が配管装置の構成部品である複数の表面清浄化物を組み立てるに際し、高純度不活性ガスを流しながら、ガスの流れの方向に沿って上流側から下流側へと組み立てを行っていくものである。
【0095】
この第47の態様による施工方法によれば、高純度不活性ガスを放出(パージ)させながら接続を続けていくため、表面清浄化部品内部に大気の流入がなく、水分、有機物の再吸着を防止できる。
【0096】
第48の態様によるクリップ部材は、配管又は配管部品を外周の一部を除いて外周方向に包むとともに前記配管又は配管部品を挟持することにより、前記配管又は配管部品に対して固定されるバネ性を有するクリップ部材であって、ワイヤ状部材を前記配管又は配管部品の表面に当接した状態に保持する凹部を備えたものである。
【0097】
この第48の態様によるクリップ部材によれば、クリップ部材が配管部品の外面に対して容易に取り付けられると共に、ワイヤ状部材例えばワイヤ状のヒータが、配管又は配管部品の外面に対して確実に位置決めされ得る。したがって、このクリップ部材を用いれば、当該ヒータ等を配管又は配管部品に容易かつ着脱可能に配管部品の外面に取り付けることができる。
【0098】
第49の態様による半導体製造装置は、半導体装置の製造に用いられるガスが通流される配管を有する半導体製造装置において、前記配管に高純度不活性ガスを導入するガス供給手段と、前記配管を加熱する加熱手段と、を備えたものである。
【0099】
この第49の態様による半導体製造装置によれば、前記加熱手段により配管の内部流路の壁面が高い温度に保持された状態で、前記内部流路に高純度不活性ガスを通流させることができる。したがって、前記内部流路の壁面からの不純物等の脱離成分はこのガスで希釈され速やかに排出されていくので、前記配管の内部流路の壁面を清浄化することができる。また、その後、加熱手段を停止させれば、高純度不活性ガスを配管の内部流路に通流させた状態で、前記内部流路の壁面の温度を略々室温に戻すことができるので、前記内部流路の壁面から脱離した不純物等の脱離成分や滞留している不純物が再付着するようなことがない。したがって、前記第49の態様によれば、前記ガス供給手段及び加熱手段を当該半導体製造装置の組立完了後の使用開始前やその後に定期的又は必要に応じて作動させて、前記配管の表面清浄化を行えば、前記配管を通流するガス中の不純物が低減され、半導体製造の歩留りが向上するなどの利点が得られる。なお、前記第49の態様では、前記配管の外側に配設された加熱手段によって、前記配管の内部流路の壁面が確実に所定の高温に保持され得る。
【0100】
第50の態様による半導体製造装置は、半導体装置の製造に用いられるガスが通流される配管を有する半導体製造装置において、前記配管に高純度不活性ガスを導入するガス供給手段と、前記配管を上流側から下流側に部分的に順次に加熱する加熱手段と、を備えたものである。
【0101】
この第50の態様による半導体製造装置によれば、前記第49の態様と同様に、前記配管の内部流路の壁面を清浄化することができるとともに、前記配管を上流側から下流側に部分的に順次加熱していくので、前記配管の全長が長い場合に、前記配管の全体が同時に加熱されて、下流側における不純物濃度が高濃度になることが防止される。
【0102】
第51の態様による半導体製造装置は、半導体装置の製造に用いられるガスが通流される配管を有する半導体製造装置において、前記配管に加熱された高純度不活性ガスと加熱されていない高純度ガスとを切り換えて導入するガス供給手段と、を備えたものである。
【0103】
この第51の態様による半導体製造装置によれば、前記第49の態様と同様に、前記配管の内部流路の壁面を清浄化することができるとともに、前記配管に導入される高純度不活性ガスが前以て加熱されることにより、この高い温度の高純度不活性ガスによって、前記配管の内部流路の壁面が配管部品の表面が間接的に所定の高温に保持され得ることになり、前記配管を直接加熱する加熱手段が不要になる。
【0104】
第52の態様による半導体製造装置は、前記第51の態様による半導体製造装置において、前記配管の外面を覆う保温材を備えたものである。
【0105】
この第52の態様による半導体製造装置によれば、前以て加熱された高純度不活性ガスが前記配管の内部流路に導入されたとき、この配管の内部流路を流れる高純度不活性ガスが前記配管の外側の保温剤によって保温されることにより、前記配管の内部流路の下流側における高純度不活性ガスの温度低下が低減されることになり、高純度不活性ガスによる表面清浄化がより効果的に行なわれ得る。
【0106】
なお、前記第49乃至第52の態様による半導体製造装置は、いわゆる半導体製造プラントに相当するものである。
【発明の効果】
【0107】
本発明によれば、高純度ガス供給部品(配管)からの水素、水分、有機物の除去技術及び再付着防止技術、そして樹脂部品からの可塑剤の除去技術及び再付着防止技術を提供し、この技術により表面清浄化部品を提供できる。また、本発明によれば、磁気ディスク基板、光ディスク基板、半導体ウェハ、液晶、金属パッキン等の表面に有機物起因の突起物の成長を防止できる技術を提供できる。さらに、本発明によれば、高純度ガス供給システムの現地での施工時間や施工後のシステム立ち上げ時間(使用可能となるまでの時間)を短縮できる技術を提供できる。
【0108】
また、本発明によれば、ガス流路を構成する配管装置を備えた半導体製造装置の組立後の表面清浄化を迅速に行なうことができる技術を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0109】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0110】
図1は、本発明の一実施の形態による表面清浄化装置を示す概略構成図である。
【0111】
図1に示す表面清浄化装置は、ガスの流れ方向に沿って、高純度不活性ガス流入口1a、被表面清浄化物としての被表面清浄化部品2a、ガスサンプリング配管3a、高感度ガス分析装置4aの順序で構成され、被表面清浄化部品2aの外周部に加熱手段5aを備えるものである。加熱手段5aは、温度センサー6aを用いて温度調節器7aで温度を制御している。また、ガスサンプリング配管3aは、被表面清浄化部品2aから脱離した水分、有機物が再吸着しないように、外周部に加熱手段5Aを備え、温度センサー6Aを用いて温度調節器7Aで温度を制御している。また、被表面清浄化部品2aの下部には冷却ファン8が付いており、冷却時間を短縮出来るようになっている。
【0112】
前記高純度不活性ガス流入口1aには、図示しない高純度不活性ガス供給源が接続されている。
【0113】
被表面清浄化物としての前記被表面清浄化部品2aは、この実施の形態においては、内部に流路を有し当該内部流路の壁面を被清浄化表面とする物品のうちの部品、例えば、パイプ、バルブ、フィルタ等の配管部品となっている。もっとも、本実施の形態では、被表面清浄化物は、被表面清浄化部品2aに代えて、このような部品ではない前記物品、例えば、前記配管部品の組立体である配管等としてもよい。被表面清浄化物品2aは、金属材料、金属蒸着材料及び金属メッキ材料のうちのいずれかを、被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有するものであってもよい。また、被表面清浄化物品2aは、可塑剤を有する樹脂材料又は可塑剤を有しない樹脂材料を、被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有していてもよい。
【0114】
本実施の形態では、被表面清浄化物品2aが内部流路(図示せず)を有し当該内部流路の壁面を被清浄化表面としていることから、前記内部流路の入口端に前記高純度不活性ガス流入口1aが接続されると共に、前記内部流路の出口端にガスサンプリング配管3aが接続されている。
【0115】
前記ガスサンプリング配管3aは、被表面清浄化部品2aのガス流路を通過したガスを高感度ガス分析装置4aに導くためのものであり、高感度ガス分析装置4aに導入されたガスは当該分析装置4aから外部に排気される。
【0116】
前記高感度ガス分析装置4aは、導入されたガス中の不純物濃度を測定するための装置であり、例えば、大気圧イオン化質量分析装置(APIMS)や高圧イオン化質量分析装置(HPIMS)を用いることができる。
【0117】
前記加熱手段5a,5Aは、それぞれ被表面清浄化部品2a及びガスサンプリング配管3aの外周部に設けられたヒータ等から構成されており、それぞれ温度センサー6a,6Aからの検出温度に基づいて、温度調節器7a,7Aにより制御されて、これら被表面清浄化部品2a及びガスサンプリング配管3aを直接的に加熱することにより、被表面清浄化部品2a(ひいては、その被清浄化表面である内部流路の壁面)及びガスサンプリング配管3aを所定温度に保持するようになっている。
【0118】
前記加熱手段5a,5Aとしてのヒータは、例えばステンレスシーズヒータ等のワイヤ状のヒータやゴムタイプのヒータから構成されている。また前記温度センサー6a,6Aは、例えば熱電対から構成されている。
【0119】
前記冷却ファン8は、図1に示す例では、被表面清浄化部品2aの下方に配設されており、冷却手段として、被表面清浄化部品2aを強制的に空冷するものである。
【0120】
図2の実施の形態は、ガスサンプリング配管3bにガス切り替え手段9を備え、複数個の表面清浄化処理が行える表面清浄化装置で、ガスの流れ方向に沿って、高純度不活性ガス流入口1b、分岐管10を介して被表面清浄化部品2b、ガスサンプリング配管3b、順序で構成され、被表面清浄化部品2bの外周部に加熱手段5bを備えており、温度センサー6bを用いて温度調節器7bで温度を制御を行っている。また、図1の実施の形態と同様に、ガスサンプリング配管3bは、被表面清浄化部品2bから脱離した水分、有機物が再吸着しないように、外周部に加熱手段5Bを備え、温度センサー6Bを用いて温度調節器7Bで温度を制御している。さらに、ガスサンプリング配管3bにはガス切り替え手段9が付いており、一方の出口を大気に開放し、もう一方の出口が高感度ガス分析装置4bに接続されている。本実施の形態で説明したガス切り替え手段9は、複数個に別れたガス切り替え手段9を説明したが、図示は行わないが、複数個のガス切り替え流路を1個のガス切り替え手段9の中に備えた、ロータリー式ガス切り替えバルブを用いてもよい。なお、本実施の形態においても、被表面清浄化物品2bは、被表面清浄化物品2aと同様に、内部に流路を有し当該内部流路の壁面を被清浄化表面とする物品のうちの部品、例えば、配管部品とされている。
【0121】
前述した図1及び図2の各実施の形態によれば、図示しない高純度不活性ガス供給源から、高純度不活性ガス流入口1a,1bを介して、被表面清浄化部品2a,2bの内部に、高純度不活性ガス、例えばアルゴンガスが導入される。ここで、被表面清浄化部品2a,2bは、それぞれ加熱手段5a,5bにより加熱されて、所定温度に保持された状態において、被表面清浄化部品2a,2bの内部流路には、高純度不活性ガスが通流することになる。これにより、被表面清浄化部品2a,2bの内面に吸着されている水素、水分及び有機物等の不純物や樹脂部分中に含まれる可塑剤等の有機物(以下、不純物等)が脱離し、高純度不活性ガスによって希釈され、ガス流によって下流に流れて、被表面清浄化部品2a,2b内から速やかに排出される。なお、被表面清浄化物品2a,2bの内部流路の壁面(被清浄化表面)が高い温度に保持されていることから、不純物等の脱離効果が高まるのである。
【0122】
この場合、加熱手段5a,5bの加熱による所定温度は、例えば被表面清浄化部品2a,2bの使用温度より10℃以上高い温度に設定され、被表面清浄化部品2a,2bが金属材料例えばステンレス鋼から成る場合には、水素の脱離ピークである350℃以上に設定される。
【0123】
その後、加熱手段5a,5bによる加熱が中断され、冷却ファン8が作動することにより、被表面清浄化部品2a,2bは、強制空冷され、室温まで戻される。このとき、被表面清浄化部品2a,2b内には、高純度不活性ガスが通流しているので、前述したように脱離した不純物等が冷却に伴って被表面清浄化部品2a,2bの内面に再付着するようなことが防止される。
【0124】
なお、前記冷却ファン8は、強制空冷によって、被表面清浄化部品2a,2bの冷却を促進するためのものであり、省略されてもよい。冷却ファン8が省略された場合には、被表面清浄化部品2a,2bは、自然冷却によって、室温まで戻される。また、冷却ファン8による空冷の代わりに、冷却手段として、水冷方式等の他の方式の冷却手段も使用され得る。
【0125】
そして、この高純度不活性ガスは、この被表面清浄化部品2a,2bを通流した後、ガスサンプリング配管3a,3bそしてガス切り替え手段9(図2の場合)を介して、高感度ガス分析装置4a,4b内に導入され、その不純物濃度が検出される。これにより、被表面清浄化部品2a,2bの不純物濃度の低下が測定され、表面清浄化が確認され得る。
【0126】
ここで、具体的な実験例を以下に示す。被表面清浄化部品2a,2bとして、直径1/4インチ、全長8mのステンレス配管を使用して、高純度不活性ガスとして不純物濃度1ppb以下の高純度アルゴンガスを約1リットル/分で通流させて、200℃にて約1時間処理を行なった。
【0127】
ここで、最初に被表面清浄化部品2a,2bの内面が200℃になったとき、即ち表面清浄化処理前における排出ガスを、高感度ガス分析装置4aとして大気圧イオン化質量分析装置(APIMS)を用いて分析したところ、図5(a)のグラフに示すような結果が得られた。図5(a)において、横軸は質量数(m/z)を示し、縦軸はイオン強度(A)を示す(後述する図5(b)も同様)。図5(a)のグラフから明らかなように、水分HO及び有機物(例えばハイドロカーボン系有機物)が多量に検出されている。
【0128】
これに対して、表面清浄化処理後、即ち前記処理後に、一旦室温まで戻した後、再度200℃に加熱したとき、排出ガスの成分を分析したところ、図5(b)のグラフに示すような結果が得られた。図5(b)のグラフから明らかなように、水分HOの脱離が著しく低減し、有機物もほとんど検出されず、また図5(a)で全く見ることができなかった親イオンであるアルゴンイオンのピークも見られる等、被表面清浄化部品2a,2bの表面清浄化が確認された。
【0129】
これは、例えば図6(a)に示すように、被表面清浄化部品2a,2bの表面には、図示のように、ミクロ的に見ると、孔2eがあって、この孔2e内に、水素、水分や有機物等の不純物が入っている。これらの不純物が、前述した加熱手段5a,5bによる加熱によって膨張して、膨張した余分の不純物がこの孔2eから押し出されて脱離する。これにより、室温に戻されたとき、図6(b)に示すように、不純物が収縮すると共に、高純度不活性ガスを引き込むことになる。従って、孔2e内における不純物濃度が低下することにより、被表面清浄化部品2a,2bの表面が清浄化されるのである。このような原理は、被表面清浄化物品2a,2bの材質が、金属、樹脂(可塑剤を含んでいても含んでいなくても)などいずれの材質であっても、適用され得る。
【0130】
なお、前述したように前記孔2e内に不純物が入っているので、高純度不活性ガスを通流させる前に、予め前記不純物を当該孔2eから追い出すように、被表面清浄化物品2a,2bの内部流路を、図示しない真空ポンプで真空引きしておくことが好ましい。
【0131】
なお、被表面清浄化部品2a,2bが金属の場合、従来の真空中での加熱による表面処理やクロム酸化膜を作る表面処理においては、表面処理された被表面清浄化部品2a,2bの表面は、きつね色又は金色になるが、本発明による表面清浄化処理では、被表面清浄化部品2a,2bの表面は、金属光沢がそのまま現われるので、一見しただけで処理の違いが明白になる。
【0132】
さらに、図6(b)に示すように一度表面清浄化された被表面清浄化部品2a,2bが、再度加熱され高純度不活性ガスが通流された後、常温に戻されると、図6(c)に示すように、加熱によって不純物及び高純度不活性ガスが膨張して脱離し、その後常温に戻されたとき、再び高純度不活性ガスを引き込むことになるため、孔2e内における不純物濃度がより一層低下することになる。従って、高純度不活性ガスを通流させながらの加熱及び冷却を複数回繰り返すことによって、より不純物濃度の低い表面清浄化が達成されることになる。なお、この再度の高純度不活性ガスの通流しながらの加熱の前にも、被表面清浄化物品2a,2bの内部流路を、一旦、図示しない真空ポンプで真空引きしておくことが好ましい。
【0133】
なお、被表面清浄化物品2a,2bの全長が長い場合には、前記加熱手段5Aが、被表面清浄化物品2a,2bの内部流路に沿って複数部分に分割されていて、上流側から下流側に向かって順次に加熱を行なうように、制御されるようにしてもよい。あるいは、加熱領域の小さい加熱手段を用い、これを上流側から下流側にかけて移動させていってもよい。これにより、全長の長い被表面清浄化物品2a,2b全体が同時に加熱されて、その下流端における不純物濃度が高濃度になることが防止される。
【0134】
図3の実施の形態は、表面清浄化を行った後、大気に暴露させる事なく高純度不活性ガスを充満させて気密封じを行った表面清浄化部品(内部流路を有する物品)で、被表面清浄化部品2cの高純度不活性ガス流入口1cに、閉塞部材としてのオールメタルバルブ11cが取り付けられており、ガス流出口12cが閉塞部材としてのブラインドナット13c等で密閉されている。気密処理の行いかたは、まず、被表面清浄化部品2cの表面清浄化処理を行い、室温まで冷却した後、高純度不活性ガスを流しながら、ガス流出口12cをブラインドナット13cで閉めた後、最後にオールメタルバルブ11cを閉め、高純度不活性ガス流入口1cの対向面のオールメタルバルブ11cの接続口をガス供給系から取り外す。また、図示は行わないが、気密封じを行う、オールメタルバルブ11cは、ブラインドナットでもよい。
【0135】
図4の実施の形態は、被表面清浄化部品2dの両端にオールメタルバルブ11d、11Dを備え、オールメタルバルブ11Dの他方の接続口に高圧の高純度不活性ガスを充満した高純度不活性ガス保有容器14を備えるものである。この高純度不活性ガス保有容器14は、表面清浄化部品の組み立て時に、高純度不活性ガスを放出(パージ)させながら組み立てを行うためのもので、大気の流入を防ぎながら組み立てを行うことが出来る。また、図示は行わないが、気密封じを行う、オールメタルバルブ11dは、ブラインドナットでもよい。
【0136】
図7の実施の態様は、被表面清浄化部品2a,2bが配管部品としてのパイプである場合(配管の場合でもよい)に、この被表面清浄化部品2a,2bの外面に沿って、加熱手段5aとしてのワイヤ状のヒータ及び温度センサー6aとしての熱電対を固定するためのクリップ部材15である。
【0137】
このクリップ部材15は、バネ性を有しており、配管部品である被表面清浄化物品2a,2bを外周の一部(図7(b)では、上部)を除いて外周方向に包むとともに被表面清浄化物品2a,2bを挟持することにより、被表面清浄化物品2a,2bに対して固定されるものであり、さらに、ワイヤ状部材を被表面清浄化物品2a,2bの表面に当接した状態に保持する凹部15c,15dを有している。
【0138】
本実施の形態では、クリップ部材15は、例えば、樹脂板や金属板等からなり、中間片15eと、該中間片15eの両側に連続して斜めに起立した両側片15a,15bとから構成されている。側片15aと中間片15eとの間の内側角部分、及び、側片15bとの間の内側角部分が、前記凹部15c,15dとなっている。図7に示す状態においては、両側片15a,15bが互いに近づく方向に自身のバネ性により付勢されており、これにより各片15a,15b,15eが被表面清浄化物品2a,2bの3箇所に当接して当該被表面清浄化物品2a,2bを挟持している。
【0139】
ワイヤ状のヒータ5a及び熱電対6aは、配管部品である被表面清浄化部品2a,2bの長手方向に沿って、複数箇所にて、それぞれクリップ部材15によって、被表面清浄化部品2a,2bの外面に固定される。その際、クリップ部材15は、被表面清浄化部品2a,2bに対して、長手軸と垂直に押し込むことにより、両側片15a,15bが一旦外側に撓んだ後、被表面清浄化部品2a,2bを抱き込むように係合するので、容易に取り付けられ得る。
【0140】
図8は、図1及び図2に示した表面清浄化装置に使用される高純度不活性ガス供給源の一構成例を示している。
【0141】
この場合、高純度不活性ガス供給源16は、ガスボンベ等のガス貯蔵源16aと、ガス貯蔵源16aからの高純度不活性ガスの圧力を調整するためのレギュレータ16bと、ガス流量を計測するためのガス流量計17と、ガスの不純物を除去する純化器18と、から構成されている。これにより、純化器18を介して、高純度不活性ガスが供給されるようになっている。
【0142】
これに対して、前記高純度不活性ガス供給源16は、図9に示すように、前述した純化器18の下流に、さらにヒータ19a及び温度調整器19bから成る加熱部19を備えていてもよい。
【0143】
これにより、純化器18からの高純度不活性ガスは、図10に示すように、さらに加熱部19により例えば150℃に加熱された後、被表面清浄化部品2a,2b内に供給されることになる。この場合、被表面清浄化部品2a,2bの内部流路の壁面(被清浄化表面)は、加熱された高純度不活性ガスによって、間接的に加熱されることになるため、図1及び図2の表面清浄化装置における加熱手段5a,5bを省略してもよい。なお、図9に示す高純度不活性ガス供給源は、ヒータ19aを停止させれば加熱されていない高純度不活性ガスを供給することになるので、加熱された高純度不活性ガスと加熱されていない高純度不活性ガスとを切り換えて供給する手段を構成している。
【0144】
なお、加熱された高純度不活性ガスが導入される被表面清浄化部品2a,2bとして、図11に示すように、比較的長いガス流路を有する被表面清浄化物としての配管2fが使用される場合、好ましくは、配管2fの周りに、保温材20が配設されている。これにより、配管2fは、保温材20によって断熱されるので、配管2fを流れる高純度不活性ガスの放熱が低減され、配管2fの出口端付近における高純度不活性ガスの温度低下が抑制されることになる。
【0145】
図12の実施の態様による表面清浄化装置は、ガスの流れ方向に沿って、高純度不活性ガス流入口21、被表面清浄化物22aが収容される処理室22、ガスサンプリング配管23、高感度ガス分析装置24の順序で構成され、被表面清浄化物22aの外周部に加熱手段25aを備えるものである。加熱手段25aは、温度センサー26aを用いて温度調節器27aで温度を制御している。また、ガスサンプリング配管23aは、被表面清浄化物22aから脱離した水分、有機物が再吸着しないように、外周部に加熱手段25Aを備え、温度センサー26Aを用いて温度調節器27Aで温度を制御している。また、被表面清浄化物22aの下部には冷却ファン28が付いており、冷却時間を短縮出来るようになっている。
【0146】
前記図12に示す表面清浄化装置は、図1の表面清浄化装置に比較して、被表面清浄化物22aが処理室22内に収容されている点でのみ異なる構成になっている。
【0147】
前記処理室22は、気密構造に構成されていると共に、内部空間が、被表面清浄化物22aを収容し得る大きさに形成されている。そして、処理室22は、その入口端に、前記高純度不活性ガス流入口21が接続されると共に、その出口端に、ガスサンプリング配管23が接続されている。
【0148】
前記被表面清浄化物22aは、例えば金属材料から成る配管部品、例えばバルブ、フィルタだけでなく、磁気ディスク基板等のあらゆる材料から成る各種部品、さらには可塑剤を有する樹脂材料から成る樹脂製品、例えば半導体ウェハの保管容器、半導体装置の保持容器や、配管部品としてのパッキン等であってもよい。被表面清浄化物22aは、金属材料、金属蒸着材料及び金属メッキ材料のうちのいずれかを、被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有するものであってもよい。被表面清浄化物22aは、可塑剤を有する樹脂材料又は可塑剤を有しない樹脂材料を、被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有していてもよい。また、前記被表面清浄化物22aは、内部流路を有する物品であってもよいし、内部流路を有しない物品であってもよい。
【0149】
このような構成の表面清浄化装置によれば、図示しない高純度不活性ガス供給源から、高純度不活性ガス流入口21を介して、処理室22の内部に、高純度不活性ガス、例えばアルゴンガスが導入される。ここで、処理室22は、加熱手段25aにより加熱されて、所定温度に保持されているので、処理室22内に収容された被表面清浄化物22aの表面は、間接的にこの所定温度に保持されることになると共に、その外側の表面を高純度不活性ガスが通流することになる。これにより、被表面清浄化物22の表面に吸着されている水素、水分及び有機物等の不純物や樹脂材料中に含まれる可塑剤等の有機物(以下、不純物等)が脱離し、高純度不活性ガスによって希釈され、ガス流によって下流に流れて、処理室22から速やかに排出される。なお、被表面清浄化物品2a,2bの内部流路の壁面(被清浄化表面)が高い温度に保持されていることから、不純物等の脱離効果が高まるのである。
【0150】
この場合、加熱手段25aの加熱による所定温度は、例えば被表面清浄化物22aの使用温度より10℃以上高い温度に設定されると共に、樹脂部品を構成する樹脂材料の耐熱温度を考慮して、この耐熱温度より低い温度に設定される。
【0151】
その後、加熱手段25aによる加熱が中断され、冷却ファン28が作動することにより、処理室22は、強制空冷され、室温まで戻される。このとき、処理室22内には、高純度不活性ガスが通流しているので、前述したように被表面清浄化物22aの表面から脱離した不純物等が冷却に伴って、処理室22の内面や被表面清浄化物22aの表面に再付着するようなことが防止される。
【0152】
なお、前記冷却ファン28は、強制空冷によって、被表面清浄化物22aの冷却を促進するためのものであり、省略されてもよい。冷却ファン28が省略された場合には、被表面清浄化物22aは、自然冷却によって、室温まで戻される。また、冷却ファン28による空冷の代わりに、冷却手段として、水冷方式等の他の方式の冷却手段も使用され得る。
【0153】
そして、この高純度不活性ガスは、この処理室22を通流した後、ガスサンプリング配管23を介して、高感度ガス分析装置24内に導入され、その不純物濃度が検出される。これにより、被表面清浄化物22aの不純物濃度の低下が測定され、表面清浄化が確認され得る。
【0154】
なお、本実施の形態においても、図1及び図2の各実施の形態と同様に、高純度不活性ガスを通流させながらの加熱及び冷却を複数回繰り返してもよい。また、本実施の形態においても、高純度不活性ガスを通流させる前に、予め処理室22を図示しない真空ポンプで真空引きしておくことが好ましい。
【0155】
本実施の形態においても、図6を参照して説明した原理により表面の清浄化が行われる。
【0156】
前記被表面清浄化物22aが、可塑剤を有する樹脂材料を、被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有しているもの、例えば、可塑剤を有する樹脂材料からなるパッキンやフィルタや半導体ウエハの保管容器などである場合には、図6を参照して説明した原理により表面の清浄化が行われるのみならず、次に説明するように、当該樹脂材料の表面側領域に含まれていた可塑剤が脱離される。
【0157】
すなわち、図13(a)に示すように、前記表面清浄化処理前には、樹脂部品である被表面清浄化物22aの内部に、可塑剤22bが均一に含まれている。そして、被表面清浄化物22aの表面領域における可塑剤22bが、前述した加熱手段25aによる加熱によって、図13(b)に示すように、被表面清浄化物22aの表面から脱離する。このとき、被表面清浄化物22aの可塑剤22bがあった部分には、高純度不活性ガスが入り込むことになる。その結果、当該被表面清浄化物22aの表面側の可塑剤の濃度が内部側の可塑剤の濃度より低くなる。これにより、被表面清浄化物22aの表面が清浄化されることになり、当該被表面清浄化物22aの使用時には可塑剤の脱離量が低減される。なお、この点は、前述した図1及び図2の各実施の形態においも、被表面清浄化物品2a,2bが、可塑剤を有する樹脂材料を、被清浄化表面の少なくとも一部を形成する部分に少なくとも有していれば、同様である。
【0158】
従って、例えば被表面清浄化物22aとして、樹脂部品である半導体ウェハの保管容器が使用される場合、従来は純水で洗うだけの表面清浄化処理によって、半導体ウェハを保管するために使用されており、保管容器に残る可塑剤によって半導体ウェハが汚染されていたが、前述した表面清浄化処理によって、その表面側領域の可塑剤が脱離された半導体ウェハの保管容器によれば、保管する半導体ウェハの可塑剤による汚染が確実に防止され得る。
【0159】
なお、本実施の形態においても、図8に示すような高純度不活性ガス供給源16に代えて、図9に示すような高純度不活性ガス供給源16を用い、加熱手段25aを省略してもよい。
【0160】
また、前記処理室22を容器として図1及び図2における被表面清浄化物品2a,2bと同様に取り扱えるようにしておけば、被表面清浄化物22を収容した当該容器に関して、図3の場合や図4の場合と同様の状態を実現することができる。
【0161】
図14の実施の態様は、配管を有する半導体製造装置に関して、その配管を表面清浄化するようにした半導体製造装置である。すなわち、本実施の形態による半導体装置は、図1に示すような表面清浄化装置が組み込まれたものである。
【0162】
図14において、半導体製造装置30は、半導体装置の製造のために必要な処理ガスを供給する処理ガス供給源31と、半導体装置の製造プロセスが行われるプロセスチャンバ32と、処理ガス供給源31からの処理ガスをプロセスチャンバ32に導く配管33とを有している。
【0163】
さらに、半導体製造装置30は、配管33にその上流側から高純度不活性ガスを導入する高純度不活性ガス供給源34と、配管33を加熱する加熱手段35とを備えている。プロセスチャンバ32は、配管の一種、すなわち、ガス流路構成部分であるので、プロセスチャンバ32を加熱する加熱手段を設けておいてもよい。
【0164】
前記ガス供給源34は、図8に示したガス供給源16と同じ構成を有している。また、加熱手段35は、例えばワイヤ状のヒータであって、図7に示したクリップ部材15によって、配管31の外面に沿って固定されていると共に、温度センサー36を用いて、温度調節器37で温度を制御している。
【0165】
図面には示していないが、処理ガス供給源31から配管33へのガス供給と高純度不活性ガス供給源34からの配管33への高純度不活性ガス供給とは、切り換えて行うことができるようになっている。また、図面には示していないが、配管33を通流したガスを分析するための高感度ガス分析装置が設けられている。
【0166】
なお、ガス供給源34として、図9に示すガス供給源16と同じ構成を有するガス供給源を使用してもよく、この場合には、前記加熱手段35は省略され得る。この場合、好ましくは、配管33は、図11における配管2fと同様に、保温剤によって覆われる。
【0167】
このような構成の半導体製造装置30によれば、まず配管33を含む半導体製造装置30が組み立てられた後に、半導体製造装置30の使用開始前に、配管33の表面清浄化処理が行なわれる。即ち、ガス供給源34から高純度不活性ガスが、半導体製造装置30の配管33内に導入されると共に、配管33は、加熱手段35により加熱され、所定温度に保持される。
【0168】
その後、加熱手段35が遮断され、ガス供給源34からの高純度不活性ガスが通流された状態で、配管33が自然冷却され、室温に戻される。これにより、配管33の内面が表面清浄化されることになる。
【0169】
なお、本実施の形態においても、図1及び図2の各実施の形態と同様に、高純度不活性ガスを通流させながらの加熱及び冷却を複数回繰り返してもよい。また、本実施の形態においても、高純度不活性ガスを通流させる前に、予め配管33を図示しない真空ポンプで真空引きしておくことが好ましい。
【0170】
室温の高純度不活性ガスを単に流すだけの従来の表面清浄化処理では、配管33の内面が清浄化されるまでに1か月以上を要していたのに対して、本実施の形態による半導体製造装置30においては、約1日の表面清浄化処理によって、配管33の内面が清浄化され得る。
【0171】
さらに、前記半導体製造装置30においては、使用によって配管33内面に不純物等が付着した場合、再び前述した表面清浄化処理が行なわれることによって、不純物等が除去される。このような表面清浄化処理が定期的にあるいは不定期に行なわれる。この場合、配管33への加熱手段33の固定とガス供給源32、図示しない高感度ガス分析装置の接続は、半導体製造装置30の使用の際にもそのままにしておいてもよく、また表面清浄化処理を行なう毎に、行なうようにしてもよい。
【0172】
このように、前記半導体製造装置30によれば、使用時に前記配管を通流する処理ガス中の不純物が低減され、半導体製造の歩留りが向上するなどの利点が得られる。
【0173】
また、前記半導体製造装置30においては、配管33は比較的長いガス流路を有している。このため、前記加熱手段33が、配管33のガス流路に沿って複数部分に分割されていて、上流側から下流側に向かって順次に加熱を行なうように、制御されるようにしてもよい。あるいは、加熱領域の小さい加熱手段を用い、これを上流側から下流側にかけて移動させていってもよい。これにより、配管33全体が同時に加熱されて、その下流端における不純物濃度が高濃度になることが防止される。
【0174】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本発明に係る表面清浄化装置の一例を示した概略説明図である。
【図2】本発明に係る表面清浄化装置の他例を示した概略説明図である。
【図3】本発明に係る表面清浄化部品の一例を示した概略説明図である。
【図4】本発明に係る表面清浄化部品の他例を示した概略説明図である。
【図5】図1及び図2の表面清浄化装置による被表面清浄化物の不純物濃度を示すグラフであり、図5(a)は表面清浄化処理前の不純物濃度を示すグラフ,図5(b)は表面清浄化処理後の不純物濃度を示すグラフである。
【図6】本発明による表面清浄化方法における被表面清浄化部品の表面の拡大断面図であり、図6(a)は表面清浄化処理前の状態,図6(b)は一回の表面清浄化処理後の状態そして図6(c)は二回の表面清浄化処理後の状態を示す図である。
【図7】図1及び図2の表面清浄化装置で使用される加熱手段及び温度センサーを被表清浄化部品に取り付けるためのクリップ部材を示す図であり、図7(a)はその斜視図,図7(b)はその断面図である。
【図8】図1及び図2の表面清浄化装置で使用されるガス供給源の構成例を示すブロック図である。
【図9】図1及び図2の表面清浄化装置で使用されるガス供給源の他の構成例を示すブロック図である。
【図10】図9のガス供給源を被表面清浄化部品に取り付けた状態を示すブロック図である。
【図11】図9のガス供給源を比較的長い配管部品である被表面清浄化物に取り付けると共に、被表面清浄化部品の周りに保温剤を取り付けた状態を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る表面清浄化装置の他の例を示した概略説明図である。
【図13】図12の表面清浄化装置の表面清浄化処理による樹脂部品の表面領域の断面を示す図であり、図14(a)は表面清浄化前の状態、図14(b)は表面清浄化処理後の状態を示す拡大断面図である。
【図14】本発明に係る半導体製造装置の一例を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0176】
1a,1b,1c 高純度不活性ガス流入口
2a,2b,2c,2d 被表面清浄化部品
2e 孔
3a,3b ガスサンプリング配管
4a,4b 高感度ガス分析装置
5a,5A,5b,5B 加熱手段
6a,6A,6b,6B 温度センサー
7a,7A,7b,7B 温度調節器
8 冷却ファン
9 ガス切り替え手段
10 分岐管
11c,11d オールメタルバルブ
12 ガス流出口
13c ブラインドナット
14 高純度不活性ガス保有容器
15 クリップ部材
16 ガス供給源
16a ガス貯蔵源
16b レギュレータ
17 流量計
18 純化器
19 加熱部
20 保温材
21 高純度不活性ガス流入口
22 被表面清浄化部品
23 ガスサンプリング配管
24 高感度ガス分析装置
25a,25A 加熱手段
26a,26A 温度センサー
27a,27A 温度調節器
28 冷却ファン
30 半導体製造装置
31 処理ガス供給源
32 プロセスチャンバ
33 配管
34 高感度ガス分析装置
35 加熱手段
36 温度センサー
37 温度調整器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の表面清浄化部品を組み立てるに際し、高純度不活性ガスを流しながら、ガスの流れ方向に沿って上流側から下流側へと組み立てを行っていく表面清浄化部品の施工方法であって、
前記表面清浄化部品は、所定の表面清浄化を行った後、大気に暴露させる事なく高純度不活性ガスを充満させて気密封じを行ったものであり、
前記所定の表面清浄化は、高純度ガス供給部品において、ガス流路内に高純度不活性ガスを通流させた状態で、被表面清浄化部品の外周部より昇温加熱を行った後、室温まで冷却して、実質的に酸化膜を形成させる事なく、ガス流路内に吸着している水素、水分、有機物の吸着量を低減させる表面清浄化方法である、
ことを特徴とする表面清浄化部品の施工方法。
【請求項2】
複数個の表面清浄化部品を組み立てるに際し、高純度不活性ガスを流しながら、ガスの流れ方向に沿って上流側から下流側へと組み立てを行っていく表面清浄化部品の施工方法であって、
前記表面清浄化部品は、所定の表面清浄化を行った後、大気に暴露させる事なく高純度不活性ガスを充満させて気密封じを行ったものであり、
前記所定の表面清浄化は、高純度不活性ガスを通流させた雰囲気で、金属材料、金属蒸着材料、乃至金属メッキ材料のいずれかを、少なくとも一部に有する被表面清浄化部品を昇温加熱した後、室温まで冷却して、実質的に酸化膜を形成させることなく、表面の水素濃度を低減させる表面清浄化方法である、
ことを特徴とする表面清浄化部品の施工方法。
【請求項3】
前記表面清浄化部品は、その一部に高純度不活性ガス保有容器を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の表面清浄化部品の施工方法。
【請求項4】
表面清浄化処理工場にて、表面清浄化部品を製作し、輸送手段を用いて現地まで輸送し、現地にて組み立てを行う表面清浄化部品の施工方法であって、
前記表面清浄化部品は、所定の表面清浄化を行った後、大気に暴露させる事なく高純度不活性ガスを充満させて気密封じを行ったものであり、
前記所定の表面清浄化は、高純度ガス供給部品において、ガス流路内に高純度不活性ガスを通流させた状態で、被表面清浄化部品の外周部より昇温加熱を行った後、室温まで冷却して、実質的に酸化膜を形成させる事なく、ガス流路内に吸着している水素、水分、有機物の吸着量を低減させる表面清浄化方法である、
ことを特徴とする表面清浄化部品の施工方法。
【請求項5】
表面清浄化処理工場にて、表面清浄化部品を製作し、輸送手段を用いて現地まで輸送し、現地にて組み立てを行う表面清浄化部品の施工方法であって、
前記表面清浄化部品は、所定の表面清浄化を行った後、大気に暴露させる事なく高純度不活性ガスを充満させて気密封じを行ったものであり、
前記所定の表面清浄化は、高純度不活性ガスを通流させた雰囲気で、金属材料、金属蒸着材料、乃至金属メッキ材料のいずれかを、少なくとも一部に有する被表面清浄化部品を昇温加熱した後、室温まで冷却して、実質的に酸化膜を形成させることなく、表面の水素濃度を低減させる表面清浄化方法である、
ことを特徴とする表面清浄化部品の施工方法。
【請求項6】
前記表面清浄化部品は、その一部に高純度不活性ガス保有容器を備えたことを特徴とする請求項4又は5記載の表面清浄化部品の施工方法。
【請求項7】
各々が配管装置の構成部品である複数の表面清浄化物を組み立てるに際し、高純度不活性ガスを流しながら、ガスの流れの方向に沿って上流側から下流側へと組み立てを行っていく表面清浄化部品の施工方法であって、
前記表面清浄化物は、内部に流路を有し当該内部流路の壁面を清浄化表面とする物品であり、所定の表面清浄化方法が行われた後に、前記内部流路を大気に暴露させることなく前記内部流路内に高純度不活性ガスを充満させて前記内部流路の気密封じを行ったものであり、
前記所定の表面清浄化方法は、ガス流路内に前記被表面清浄化物の被清浄化表面が露出し、前記被表面清浄化物の前記被清浄化表面が高い温度に保持された状態で、前記ガス流路内に高純度不活性ガスを通流させる第1の段階を備えた、
ことを特徴とする表面清浄化部品の施工方法。
【請求項8】
前記表面清浄化物は、内部に高圧の高純度不活性ガスを保有した高純度不活性ガス保有容器であって、その内部が前記内部流路に連通可能な高純度不活性ガス保有容器を備えたことを特徴とする請求項7記載の表面清浄化部品の施工方法。
【請求項9】
各々が配管装置の構成部品である複数の表面清浄化物を組み立てるに際し、高純度不活性ガスを流しながら、ガスの流れの方向に沿って上流側から下流側へと組み立てを行っていく表面清浄化部品の施工方法であって、
前記表面清浄化物は、所定の表面清浄化方法が行われた後に、当該表面清浄化物を大気に暴露させることなく前記内部に高純度不活性ガスを充満させた容器内に収容して前記容器の気密封じを行ったものであり、
前記所定の表面清浄化方法は、ガス流路内に前記被表面清浄化物の被清浄化表面が露出し、前記被表面清浄化物の前記被清浄化表面が高い温度に保持された状態で、前記ガス流路内に高純度不活性ガスを通流させる第1の段階を備えた、
ことを特徴とする表面清浄化部品の施工方法。
【請求項10】
前記所定の表面清浄化方法は、前記第1の段階の後に、前記ガス流路内に前記高純度不活性ガスを通流させながら、前記被表面清浄化物の前記被清浄化表面の温度を略々室温に戻す第2の段階を備えたことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の表面清浄化部品の施工方法。
【請求項11】
前記所定の表面清浄化方法において、前記第1の段階及びその後の前記第2の段階が、複数回繰り返されることを特徴とする請求項10記載の表面清浄化部品の施工方法。
【請求項12】
前記所定の表面清浄化方法は、前もって当該流路を真空引きする予備段階を備えたことを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の表面清浄化部品の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−184635(P2007−184635A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−69672(P2007−69672)
【出願日】平成19年3月17日(2007.3.17)
【分割の表示】特願平9−227165の分割
【原出願日】平成9年8月8日(1997.8.8)
【出願人】(595115754)株式会社日本エイピーアイ (6)
【Fターム(参考)】