製袋包装機
【課題】フィルムを切断する際に切断箇所の近傍を溶着することができる製袋包装機を提供する。
【解決手段】製袋包装機の横シール機構6は、フィルムのシールを行なうための1対のシールジョー71を備えるとともに、フィルムの切断を行なうための切断機構20として、突起状の切断刃21と平坦状の受け刃22とを対向配置して備えている。横シール工程においては切断刃21に対して、ヒータ72により熱が印可されるとともに、エアバイブレータ30により水平面内での振動が与えられる。これにより、切断刃21からフィルムに対して与えられる圧力が変化し、圧力が比較的低いときはフィルムの溶着がなされ、圧力が比較的高いときはフィルムの切断がなされる。これにより、フィルムの切断箇所の近傍が溶着されることになる。
【解決手段】製袋包装機の横シール機構6は、フィルムのシールを行なうための1対のシールジョー71を備えるとともに、フィルムの切断を行なうための切断機構20として、突起状の切断刃21と平坦状の受け刃22とを対向配置して備えている。横シール工程においては切断刃21に対して、ヒータ72により熱が印可されるとともに、エアバイブレータ30により水平面内での振動が与えられる。これにより、切断刃21からフィルムに対して与えられる圧力が変化し、圧力が比較的低いときはフィルムの溶着がなされ、圧力が比較的高いときはフィルムの切断がなされる。これにより、フィルムの切断箇所の近傍が溶着されることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムから包装袋を形成する製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スナック菓子やキャンディ等の食品の包装には、包材としてのフィルムをシール(熱溶着)することで包装袋を形成する製袋包装機が使用されている。
【0003】
縦ピロー型と呼ばれる製袋包装機では、まず、シート状のフィルムがその側縁部が重ねられて筒状に形成される。続いて、そのフィルムが鉛直下方に搬送されつつ、重なった側縁部が縦方向(鉛直方向)にシール(縦シール)され、さらに、包装袋の下部に相当する位置が横方向(水平方向)にシール(横シール)されることにより、中間体としての上部が開口した中間体袋が形成される。そして、その開口部に対して上方から被包装物が供給され、中間体袋に被包装物が充填される。その後、中間体袋において包装袋の上部に相当する位置がさらに横シールされ、その横シールされた位置の近傍が切断されることにより、被包装物及び所定量のエアが詰められた一の包装袋が形成される。
【0004】
一般に、このような製袋包装機においては、複数の包装袋を連続かつ高速に形成できるように、先行する包装袋の上部のための横シール(上部シール)と、後続の包装袋の下部のための横シール(下部シール)とを一回の横シール工程内で行い、かつ、この同一の横シール工程内でフィルムの切断をも行うようになっている。
【0005】
図12は、従来の製袋包装機における、横シール工程を行う横シール機構の概略構成を示す図である。横シール機構は、1対のシールジョー101をフィルムfの搬送経路を挟んで水平方向に対向配置して備えている。横シール工程では、これら2つのシールジョー101がヒータによって加熱され、面対向するシール面102によってフィルムfが押圧されることで横シールがなされる。シールジョー101はそれぞれ、上下の中央位置に切欠部103を備え、シール面102は上下2つの部位に分離されている。上方のシール面102aは下部シールを行うように機能し、下方のシール面102bは上部シールを行うように機能する。
【0006】
また、一方のシールジョー101の切欠部103には、フィルムfを切断するための鋭利な刃を有するカッター105が設けられている。上述した横シールが完了すると、このカッター105が水平移動され、他方のシールジョー101の切欠部103に突入される。これにより、上部シール位置と下部シール位置との中間位置でフィルムfが切断され、包装袋201が形成されることになる。
【0007】
なお、上述したシール機構を開示した先行先行文献として、例えば、以下の文献が存在する。
【0008】
【特許文献1】特公昭55−35284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図12に示すような従来の製袋包装機においては、フィルムfの切断箇所は切欠部103の対向位置(上部シール位置と下部シール位置との中間位置)であるため、フィルムfの切断箇所の近傍ではシールはなされていない。したがって、図12に示すように、生成された包装袋201の端部202の近傍は、フィルムが溶着されておらず離間可能な状態となる。
【0010】
また一方で、フィルムにおいて縦シールと横シールとが重複してなされる箇所や、横シールの方向の両端部などでは、フィルムの厚みや屈曲などの影響により、横シールによる溶着力が他の箇所より低下する傾向がある。したがって、図12に示すように包装袋の端部(切断箇所に相当する端部)の近傍が溶着されていないと、このような箇所においてエア漏れが生じる可能性がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フィルムを切断する際に切断箇所の近傍を溶着することができる製袋包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、フィルムの側縁部を重ねて筒状に形成し、重なった前記側縁部を第1方向にシールするとともに、前記第1方向に直交する第2方向に前記フィルムをシールすることで、前記フィルムから包装袋を形成する製袋包装機であって、前記フィルムにおける前記第2方向のシールの対象位置の近傍を前記第2方向に切断する切断手段と、前記切断手段を振動させる振動手段と、前記切断手段を加熱する加熱手段と、を備えている。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の製袋包装機において、前記切断手段は、突起状の切断刃と、平坦状の受け刃とを前記フィルムの搬送経路を挟んで互いに対向配置させて備えている。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃を振動させる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃を前記第1方向に直交する平面内で振動させる。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが対向する方向に沿って前記切断刃を振動させる。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項4に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記平面内で前記切断刃を回転運動させる。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項2に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが接触したとき、非接触のときよりも振動数を高める。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし7の発明によれば、熱を与えられた切断手段が振動しつつフィルムを切断するため、フィルムを切断する際に切断箇所の近傍を、切断方向の全体にわたって確実に溶着することができる。特にエア漏れが生じやすい、第1方向のシールと第2方向のシールとが重複してなされる箇所や、第2方向の両端部も確実に溶着されるため、包装袋の端部のエア漏れを確実に防止することができる。
【0020】
また、特に請求項2の発明によれば、切断刃と受け刃とが対向配置されるため、切断刃が溶着に適した鈍刀であっても、切断刃と受け刃とでフィルムを挟み込むことでフィルムに対して切断可能な圧力を与えることができ、フィルムを確実に切断できる。
【0021】
また、特に請求項3の発明によれば、切断刃を振動させるため、切断刃のフィルムへの圧力を可変にすることができる。そして、圧力が比較的低いときは切断刃はフィルムを溶着するように作用し、圧力が高いときは切断刃はフィルムを切断するように作用するため、フィルムの溶着、及び、切断を確実に行うことができる。
【0022】
また、特に請求項4の発明によれば、切断刃が第1方向には振動されないため、フィルムを第2方向に確実に切断できる。
【0023】
また、特に請求項5の発明によれば、フィルムの溶着、及び、切断をさらに確実に行うことができる。
【0024】
また、特に請求項6の発明によれば、フィルムの切断方向たる第2方向に沿った切断刃の移動が生じるため、フィルムの切断をさらに確実に行うことができる。
【0025】
また、特に請求項7の発明によれば、迅速にフィルムを切断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.全体構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る製袋包装機の斜視図である。この製袋包装機1は、スナック菓子やキャンディ等の食品の被包装物を連続的に袋詰めする機能を有する縦ピロー型の包装装置である。図1においては、製袋包装機1の上部に、コンピュータスケール9が配置された様子を示している。コンピュータスケール9は、計量部91にて被包装物を計量し、排出シュート92を介して被包装物を一定重量ごとに製袋包装機1に供給する計量装置である。
【0028】
図1に示すように、製袋包装機1は主として、装置本体部2と、装置本体部2に包材としてのシート状のフィルムを供給するフィルム供給部3とを備えて構成されている。装置本体部2のハウジング4の正面側には、ユーザからの操作を受付ける操作スイッチ41と、ユーザに各種情報を提供する液晶ディスプレイ42とが配置されている。さらに、装置本体部2のハウジング4の内部には、装置全体を統括的に制御するためのマイクロコンピュータを備えた制御部(図示省略)が設けられている。
【0029】
なお、以下の説明においては、方向及び向きを示す際に、適宜、図中に示す3次元のXYZ直交座標を用いる。このXYZ軸はハウジング4に対して相対的に固定される。ここで、Z軸方向は鉛直方向、Y軸方向は奥行方向(Y軸−側が正面側)であり、X軸方向は正面側から見た場合の左右方向である。
【0030】
また、装置本体部2の内部において、コンピュータスケール9の排出シュート92の直下となる位置には、フィルムを用いて被包装物を包装する包装部5が配置されている。
【0031】
図2は、包装部5の概略構成を示す図である。図に示すように、包装部5は、コンピュータスケール9から供給される被包装物Arを受け止める集合シュート51と、被包装物Arをその内部に導通するチューブ52と、フィルムfを供給するセーラ部53と、フィルムfを縦シールする縦シール機構56と、フィルムfを搬送する1対のプルダウンベルト55と、フィルムfを横シールするとともに切断する横シール機構6とを備えている。
【0032】
フィルム供給部3からセーラ部53に供給されるフィルムfは、セーラ部53とチューブ52との間隙を通過することにより、その側縁部fvが重ねられて筒状に形成される。そして、プルダウンベルト55により筒状のフィルムfがチューブ52に沿って鉛直下方(Z軸−側)に搬送されつつ、重ね合わされたフィルムfの側縁部fvが縦シール機構56により縦方向(Z軸方向)に縦シールされる。
【0033】
続いて、縦シールされた筒状のフィルムfにおいて包装袋の下部に相当する位置が、横シール機構6により横方向(Y軸方向)に沿って横シールされ、包装袋の中間体として、下部が溶着されているが上部は開口した状態の中間体袋Piが形成される。中間体袋Piが形成されると、この中間体袋Pi内に一定重量の被包装物Arが集合シュート51及びチューブ52の内部を介して投入される。被包装物Arが収容された中間体袋Piは、プルダウンベルト55によりさらに搬送され、包装袋の上部に相当する位置が、横シール機構6により横方向(Y軸方向)に沿って横シールされるとともに、この横シールの対象位置の近傍上部が横方向(Y軸方向)に沿って切断される。このような工程により、被包装物Ar及び所定量のエア(不活性ガス等)が封入された一の包装袋Paが生成されることになる。なお以下、包装袋の下部に相当する位置の横シールを「下部シール」といい、包装袋の上部に相当する位置の横シールを「上部シール」という。
【0034】
<1−2.横シール機構>
本実施の形態の製袋包装機1においては、複数の包装袋を連続かつ高速に形成できるように、先行する包装袋の上部のための「上部シール」、後続の包装袋の下部のための「下部シール」、及び、「フィルムの切断」は、横シール機構6により一回の横シール工程内においてなされるようになっている。
【0035】
横シール機構6は、第1ユニット61と第2ユニット62との2つのユニットを備えて構成されている。2つのユニット61,62はそれぞれ、一のシールジョー71を備えている。これら2つのシールジョー71は、互いにフィルムfの搬送経路を挟んでX軸方向に沿って対向するように配置されており、それぞれのシール面は搬送経路に向けられている。
【0036】
2つのユニット61,62は双方共に、X軸方向に延設されたガイドレール(図示省略)に沿って駆動機構(図示省略)により直線的に移動可能となっている。このような構成により、2つのシールジョー71の状態は、フィルムfを挟んでシール面が互いに接触した状態(図2に示す状態)と、フィルムfの搬送経路から離れてシール面が互いに離間した状態との間で変更される。なお、本明細書においては、直接的な接触のみならず、フィルムfを挟んでの間接的な接触(押圧状態)も「接触」と表現する。
【0037】
製袋包装機1においては、フィルムfの搬送及びその停止が連続的に繰り返されるようになっている。フィルムfが搬送される際には2つのユニット61,62(シールジョー71)は離間されているが、フィルムfの搬送が停止されると、2つのユニット61,62が互いに接近する方向に駆動されてシールジョー71のシール面が接触する。横シール工程(「下部シール」、「上部シール」、及び、「フィルムの切断」)は、このように2つのユニット61,62のシール面が互いに接触した状態でなされる。なお以下、横シール工程がなされる期間を「横シール期間」という。横シール期間は、例えば、0.1秒程度とされる。
【0038】
横シール機構6はまた、「フィルムの切断」を行うための切断機構を備えている。図3及び図4は、切断機構20を含む横シール機構6の主要構成を示す図である。図3は正面側(Y軸−側)からの横シール機構6の構成、図4は上面側(Z軸+側)からの横シール機構6の構成をそれぞれ示している。これらの図中に示す一点鎖線Rは、フィルムの搬送経路のX軸方向における中心位置を示している。またこれらの図中では、2つユニット61,62が備えるシールジョーの71のシール面77が互いに接触している状態を示している。
【0039】
横シール機構6の切断機構20は、切断刃21と受け刃22との2つの刃から構成される。切断刃21は第1ユニット61に設けられる一方で、受け刃22は第2ユニット62に設けられている。切断刃21及び受け刃22はそれぞれ、シールジョー71の上下中央位置にY軸方向に沿って形成される切欠部78に設けられている。
【0040】
図5は、図3に示す2つのシールジョー71の近傍の拡大図である。シールジョー71のシール面77は上下2つの部位に分離されており、これら2つのシール面77a,77bの間に切欠部78が形成されている。フィルムfにおいて、上方のシール面77aが接触する位置は下部シールの対象位置(以下、「下部シール位置」という。)となり、下方のシール面77bが接触する位置は上部シールの対象位置(以下、「上部シール位置」という。)となる。
【0041】
図に示すように第1ユニット61のシールジョー71の切欠部78には、切断刃21がX軸方向に沿って配置されている。一方、第2ユニット62シールジョー71の切欠部78には、受け刃22がX軸方向に沿って配置されている。
【0042】
切断刃21のX軸+側の端部21aと、受け刃22のX軸−側の端部22aとは、フィルムの搬送経路を挟んでX軸方向において対向して配置されており、これら端部21aと端部22aとが当接することで「フィルムの切断」がなされるようになっている(詳細は後述)。このため以下、端部21a,22aをそれぞれ「刃先」と呼ぶ。これら刃先21a,22aは、フィルムをY軸方向に切断可能にY軸方向に沿って延びており(図4参照。)、そのY軸方向の幅は切断対象となるフィルムのY軸方向の幅よりも大きくされている。
【0043】
切断刃21の刃先21aは、X軸+側に向かって徐々に細くなるように突起しているが、その突起の先端部は尖っておらず曲面形状を有している。このため、切断刃21の刃先21aのみをフィルムfに対して単に押し当てるだけでは、フィルムを切断することは不可能となっている。一方で、受け刃22の刃先21aは平坦面となっている。
【0044】
また、切断刃21は、第1ユニット61のシール面77よりも刃先21aがX軸+側に突出するように配置されている。一方で、受け刃22は、第2ユニット62のシール面77よりも、刃先22aがX軸+側に後退して位置するように配置されている。したがって、2つのユニット61,62のシール面77が互いに接触した状態においては、切欠部78の対向位置(下部シール位置と上部シール位置との中間位置)に存在するフィルムfは、切断刃21の刃先21aにより常に押圧され、第2ユニット62の切欠部78内へX軸+側に押し込まれた状態とされる。
【0045】
またところで、シールジョー71の内部にはヒータ72が設けられている。このヒータ72によりシールジョー71の全体が加熱され、熱を有した2つのシール面77によってフィルムがX軸方向の双方から押圧されることにより、フィルムがシール(溶着)されることになる。また、切断刃21及び受け刃22はシールジョー71に隣接して配置されることから、シールジョー71に与えられた熱は切断刃21及び受け刃22にも印加され、切断刃21及び受け刃22の双方はシールジョー71とほぼ同一の温度まで加熱されるようになっている。
【0046】
<1−3.切断刃の振動>
図3及び図4に戻り、第1ユニット61は、振動体としてのエアバイブレータ30を備えており、このエアバイブレータ30により、切断刃21は水平面(XY平面)内において振動されるようになっている。
【0047】
エアバイブレータ30は、エアを取り込む吸気口31と、エアを排出する排気口32と、Z軸方向に沿った回転軸を中心に回転するロータ33と、を備えている。ロータ33は、その中央位置が回転軸と異なるように偏心して配置されており、吸気口31から流入するエア量に応じた回転数で回転する。エアバイブレータ30では、このようなロータ33の回転運動により水平面(XY平面)内での振動が発生する。
【0048】
第1ユニット61は、シール期間内において、エアバイブレータ30によって振動される振動部材と、ハウジング4に対して相対固定される固定部材とに大別される。図3及び図4においては、第1ユニット61の振動部材をハッチングで示している。なお、第2ユニット62は、受け刃22を含む構成全体が、シール期間内においてハウジング4に対して相対固定される。
【0049】
第1ユニット61の固定部材は主として、シールジョー71と、シールジョー71を固定するジョーベース73と、バネハウジング75とから構成され、ジョーベース73とバネハウジング75とは、軸状部材である4本のリニアシャフト74によって接続されている。4本のリニアシャフト74はX軸方向に沿って互いに平行に、上部と下部とにそれぞれ2本ずつ配置される。なお、図4においては便宜上、上部の2本のリニアシャフト74の図示を省略している。
【0050】
一方、第1ユニット61の振動部材は主として、切断刃21と、そのX軸−側において切断刃21を固定する支持ブロック81と、振動軸84と、2つのリニアブッシュ82とを備えている。
【0051】
支持ブロック81は、正面側(Y軸−側)からみてL字状に屈曲された形状を有し、鉛直方向(Z軸方向)に延びる第1部材81aと、水平方向(X軸方向)に伸びる第2部材81bとを備えている。そして、鉛直方向の第1部材81aにエアバイブレータ30が固設され、水平方向の第2部材81bに、切断刃21、振動軸84及びリニアブッシュ82が固設されている。したがって、エアバイブレータ30で発生した振動は、支持ブロック81を介して振動部材の全体に伝達される。
【0052】
振動軸84は、支持ブロック81のX軸−側に配置されている。したがって、図に示すように、切断刃21、支持ブロック81及び振動軸84が、X軸方向に沿ってX軸+側からこの順に配置される。振動軸84は、バネハウジング75に対して移動自在に貫入され、バネハウジング75の内部に設けられる皿バネ76によってX軸+側に付勢される。これにより、切断刃21にはX軸+側への付勢力が与えられることになる。
【0053】
リニアブッシュ82は、円筒部材を有している。そして、2つのリニアブッシュ82の円筒部材の内部にはそれぞれ、下部の2本のリニアシャフト74のうちの一が貫入されている。つまり、リニアブッシュ82は、リニアシャフト74に対してX軸方向に移動自在とされる。また、リニアブッシュ82の円筒部材内には、ベアリングに採用されるような複数のボールが配置されており、円筒部材とリニアシャフト74との間には、いくらかの遊びを有しつつ、これら複数のボールが介在することになる。これにより、リニアブッシュ82は、リニアシャフト74に対してY軸方向にも移動可能とされる。したがって、振動部材は、固定部材に対してXY平面内で移動可能に配置されることになる。
【0054】
このような構成により、エアバイブレータ30が水平面(XY平面)内での振動を発生させると、その振動が切断刃21に伝達され、切断刃21が水平面(XY平面)内にて振動することになる。
【0055】
<1−4.横シール工程>
次に、上述した構成を有する横シール機構6によってなされる横シール工程について説明する。
【0056】
前述したように、製袋包装機1においては、フィルムの搬送及びその停止が連続的に繰り返されており、フィルムの搬送が停止されると、2つのユニット61,62が互いに接近するように駆動される。そして、2つのユニット61,62のシールジョー71のシール面77が互いに接触することで、横シール工程が開始される。
【0057】
この横シール工程においては、ヒータ72によって加熱された2つのユニット61,62のシール面77によって、フィルムがX軸方向の双方から挟み込まれることでフィルムの横シールがなされる。すなわち、上方のシール面77aの対向位置(下部シール位置)のフィルムには下部シールがなされ、下方のシール面77bの対向位置(上部シール位置)のフィルムには上部シールがなされる。
【0058】
また、このような横シールとともに、切断刃21及び受け刃22により、切欠部78の対向位置(下部シール位置と上部シール位置との中間位置)に存在するフィルムが挟み込まれ、その切断がなされる。以下、下部シール位置と上部シール位置との近傍に位置し、切欠部78の対向位置に存在するフィルムを、「対象フィルム」という。
【0059】
切断刃21及び受け刃22は、ヒータ72によって常時加熱されている。また、本実施の形態のエアバイブレータ30も常時駆動されており、これにより、切断刃21は常時振動される。さらに前述のように、切断刃21の刃先21aは、第1ユニット61のシール面77よりもX軸+側に突出している。したがって、横シール期間においては、このように加熱された、かつ、振動された切断刃21によって、対象フィルムが常時押圧されることになる。このような動作により、対象フィルムが切断されるとともに、対象フィルムの切断箇所の近傍の溶着がなされる。つまり、対象フィルムの切断と溶着とが同時になされることになる。以下、この原理について説明する。
【0060】
図6及び図7は、エアバイブレータ30によって生じる振動のX軸方向に沿った振幅を示す図である。図6に示すように、エアバイブレータ30が駆動すると、XY平面内における回転運動としての回転振動W1と、X軸方向に沿った直線振動W2とが発生する。回転振動W1の周期T1は直線振動W2の周期T2と比較して長く、また、回転振動W1の振幅も直線振動W2の振幅と比較して大きくなる。切断刃21には、これら回転振動W1と直線振動W2とが重畳された図7に示す如き重畳振動W3が与えられることになる。この重畳振動W3に関しては、回転振動W1と同じく周期T1(例えば、0.01秒程度)で同一波形が繰り返される。
【0061】
実際の横シール工程においては、切断刃21の刃先21aがある位置よりもX軸+側へ移動すると、切断刃21は受け刃22と接触する。このため、実際の横シール工程における、切断刃21の刃先21aと受け刃22の刃先22aとの間の刃間距離は、図8に示すように変化する。すなわち、切断刃21と受け刃22とが離間する離間期間P1と、切断刃21と受け刃22とが接触している接触期間P2とが交互に繰り返されることになる。
【0062】
また、切断刃21から対象フィルムに与えられる圧力(以下、「刃圧力」という。)は、図9に示すように変化する。図8と図9とを比較してわかるように、離間期間P1においては、刃間距離と刃圧力とは逆に作用し、刃間距離が短いほど刃圧力は大きく、刃間距離が長いほど刃圧力は小さくなる。一方、接触期間P2においては、切断刃21と受け刃22との接触により、刃圧力が離間期間P1と比較して格段に大きくなり、また、切断刃21に与えられる振動はそのまま刃圧力に変化される。このため、接触期間P2では、比較的大きな刃圧力が細かく変化することとなる。
【0063】
このように、刃圧力は、離間期間P1と接触期間P2との間で比較的大きく変化し、かつ、各期間P1,P2内においても細かく変化することになる。そして、刃圧力が所定値SPを超える期間(図中の期間P3)では、切断刃21は対象フィルムを切断するように作用する。一方で、刃圧力が所定値SP未満の期間では、切断刃21は対象フィルムの切断ではなく切断対象となる箇所の近傍を溶着するように作用する。前述したように、切断刃21の刃先21aは曲面形状であり、切断刃21がこのような鈍刀であることが、フィルムの溶着に有効に寄与する。つまり、一の切断刃21が、対象フィルムの切断及び溶着の双方を行うように作用するわけである。
【0064】
また、「離間期間P1と接触期間P2との間で状態が移行する際の刃圧力の大きな変化」及び「接触期間P2における刃圧力の細かな変化」は、対象フィルムの切断のために有効に寄与する。さらに、切断刃21はXY平面内にて回転運動されるため、接触期間P2において、切断刃21は対象フィルムに当接したままY軸方向にも移動する。この切断方向たるY軸方向への切断刃21の移動も、対象フィルムの切断のために有効に寄与することになる。また、切断刃21と受け刃22との双方が加熱されることから、受け刃22の熱もまた対象フィルムの溶着に有効に寄与することになる。このような原理によって、対象フィルムの切断及び溶着の双方が同時になされることになる。
【0065】
以上、第1の実施の形態について説明したように、本実施の形態の製袋包装機1では、突起状の切断刃21と平坦状の受け刃22とがフィルムの搬送経路を挟んで互いに対向配置されており、加熱されかつ振動された切断刃21がフィルムの切断対象となる位置に押圧される。したがって、フィルムを切断する際に切断箇所の近傍を溶着することができ、これにより生成される包装袋の上下端部はY軸方向の全体にわたって確実に溶着される。このため、縦シールと横シールとが重複してなされる箇所や、横シールの方向(Y軸方向)の両端部など、エア漏れが生じやすい箇所においても確実に溶着がなされるため、包装袋の端部(切断箇所に相当する端部)におけるエア漏れを確実に防止することができる。
【0066】
また、製袋包装機1では、切断刃21を振動させるため、切断刃21のフィルムへの圧力(刃圧力)を可変にすることができる。そして、刃圧力が比較的低いときは切断刃21はフィルムを溶着するように作用し、刃圧力が高いときは切断刃21はフィルムを切断するように作用するため、フィルムの溶着、及び、切断を確実に行うことができる。また、切断刃21を水平面(XY平面)内で振動させるため、切断刃21が鉛直方向に振動せず、フィルムにおいて切断対象となる水平位置を確実に切断できる。
【0067】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の製袋包装機1の構成は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、エアバイブレータ30の回転数が制御可能である点で、第1の実施の形態と相違している。
【0068】
図10は、エアバイブレータ30の回転数の制御に係る製袋包装機1の構成を示すブロック図である。図に示すように、エアバイブレータ30には、空気供給装置となるコンプレッサ13から、ロータ33を駆動させるためのエアが供給される。そして、このコンプレッサ13からエアバイブレータ30までの空気流路としてのエア供給管14には、電空変換弁12が介挿されている。
【0069】
電空変換弁12は、与えられる電気信号の値に応じて、エア供給管14を流れるエア量を調節する弁である。電空変換弁12への電気信号は、製袋包装機1の全体を制御する制御部10から発信される。また前述したように、エアバイブレータ30のロータ33は、流入するエア量に応じた回転数で回転振動する。このため、本実施の形態の制御部10は、電気信号の値を調整することで、エアバイブレータ30の振動数を制御することが可能となっている。
【0070】
また、本実施の形態の横シール機構6には、切断刃21と受け刃22との接触を検出するための接触検出部15が設けられている。接触検出部15は、例えば、切断刃21と受け刃22とによって電気的な回路が構成されるか否かによって、それらの接触を検出するようになっている。接触検出部15による検出結果は、制御部10に入力される。制御部10は、この検出結果に基づき、横シール工程においてエアバイブレータ30の振動数を制御する。
【0071】
図11は、横シール工程おいて制御部10によってなされる、エアバイブレータ30の振動数の制御動作の流れを示す図である。
【0072】
横シール工程が開始されると、これと同時に、制御部10から電空変換弁12への電気信号の出力が開始され、エアバイブレータ30の振動が開始される(ステップS1)。このとき、エアバイブレータ30の振動数は、所定の第1振動数に制御される。そして以降、シールジョー71のシール面77による横シールが完了するまで(ステップS6にてNoの間)、ステップS2〜S5の工程が繰り返しなされて、切断刃21と受け刃22との接触/非接触応じてエアバイブレータ30の振動数が制御される。
【0073】
すなわち、まず、接触検出部15により切断刃21と受け刃22とが接触しているか否かが検出される(ステップS2)。そして、切断刃21と受け刃22とが接触していないとき(ステップS3にてNo:離間期間P1に相当)は、制御部10から電空変換弁12への電気信号の値により、エアバイブレータ30の振動数は第1振動数に制御される(ステップS4)。一方、切断刃21と受け刃22とが接触したとき(ステップS3にてYes:接触期間P2に相当)は、制御部10から電空変換弁12への電気信号の値により、エアバイブレータ30の振動数は第1振動数よりも高い第2振動数に制御される(ステップS5)。つまり、切断刃21と受け刃22とが非接触のときは振動数が比較的低くされ、切断刃21と受け刃22とが接触したときは振動数が比較的高くされる。前述したように、横シール工程においては、離間期間P1と接触期間P2とが交互に繰り返されることから、これに応じてエアバイブレータ30の振動数が高い期間と低い期間とが交互に繰り返されることになる。
【0074】
シール面77による横シールが完了すると(ステップS6にてYes)、制御部10から電空変換弁12への電気信号の出力が停止され、エアバイブレータ30の振動が停止されることになる(ステップS7)。
【0075】
切断刃21と受け刃22とが接触すると、その接触によって切断刃21の振動が抑制されるため、接触期間P2における刃圧力の変化も抑制されることになる(図9の接触期間P2を参照。)。前述したように、「接触期間P2における刃圧力の細かな変化」は対象フィルムの切断のために有効に寄与することから、刃圧力の変化が抑制されると対象フィルムの切断作用も抑制され、対象フィルムの切断に時間を要することになる。このため、本実施の形態のように、切断刃21と受け刃22とが接触したときに非接触のときよりも振動数を高めることで、フィルムの切断に要する時間を短縮することができることになる。
【0076】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0077】
例えば、上記実施の形態においては、振動体としてエアバイブレータ30を採用することで、切断刃21に対して回転振動と及び直線振動とが重畳された重畳振動を与えていたが、振動体として直線振動のみが可能な電磁フィーダ等を採用し、切断刃と受け刃とが対向する方向(X軸方向)に沿った直線振動のみを切断刃21に対して与えるようにしてもよい。これによっても、フィルムの切断と溶着とを同時に行うことが可能である。
【0078】
また、上記実施の形態においては、製袋包装機の一例として縦ピロー型の製袋包装機について説明を行ったが、横ピロー型の製袋包装機など、フィルムの側縁部を重ねて筒状に形成し、重なった側縁部を第1方向にシールするとともに、第1方向に直交する第2方向にフィルムをシールすることで、フィルムから包装袋を形成する包装機であれば、どのようなものであっても本発明に係る技術を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の斜視図である。
【図2】包装部の概略構成を示す図である。
【図3】正面側からの横シール機構の主要構成を示す図である。
【図4】上面側からの横シール機構の主要構成を示す図である。
【図5】シールジョーの拡大図である。
【図6】エアバイブレータによって生じる振動の振幅を示す図である。
【図7】エアバイブレータによって生じる振動の振幅を示す図である。
【図8】切断刃と受け刃との間の刃間距離の変化を示す図である。
【図9】切断刃がフィルムに与える圧力の変化を示す図である。
【図10】エアバイブレータの振動数の制御に係る構成を示す図である。
【図11】エアバイブレータの振動数の制御動作の流れを示す図である。
【図12】従来の製袋包装機における横シール機構の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 製袋包装機
21 切断刃
22 受け刃
30 エアバイブレータ
71 シールジョー
72 ヒータ
77 シール面
78 切欠部
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムから包装袋を形成する製袋包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スナック菓子やキャンディ等の食品の包装には、包材としてのフィルムをシール(熱溶着)することで包装袋を形成する製袋包装機が使用されている。
【0003】
縦ピロー型と呼ばれる製袋包装機では、まず、シート状のフィルムがその側縁部が重ねられて筒状に形成される。続いて、そのフィルムが鉛直下方に搬送されつつ、重なった側縁部が縦方向(鉛直方向)にシール(縦シール)され、さらに、包装袋の下部に相当する位置が横方向(水平方向)にシール(横シール)されることにより、中間体としての上部が開口した中間体袋が形成される。そして、その開口部に対して上方から被包装物が供給され、中間体袋に被包装物が充填される。その後、中間体袋において包装袋の上部に相当する位置がさらに横シールされ、その横シールされた位置の近傍が切断されることにより、被包装物及び所定量のエアが詰められた一の包装袋が形成される。
【0004】
一般に、このような製袋包装機においては、複数の包装袋を連続かつ高速に形成できるように、先行する包装袋の上部のための横シール(上部シール)と、後続の包装袋の下部のための横シール(下部シール)とを一回の横シール工程内で行い、かつ、この同一の横シール工程内でフィルムの切断をも行うようになっている。
【0005】
図12は、従来の製袋包装機における、横シール工程を行う横シール機構の概略構成を示す図である。横シール機構は、1対のシールジョー101をフィルムfの搬送経路を挟んで水平方向に対向配置して備えている。横シール工程では、これら2つのシールジョー101がヒータによって加熱され、面対向するシール面102によってフィルムfが押圧されることで横シールがなされる。シールジョー101はそれぞれ、上下の中央位置に切欠部103を備え、シール面102は上下2つの部位に分離されている。上方のシール面102aは下部シールを行うように機能し、下方のシール面102bは上部シールを行うように機能する。
【0006】
また、一方のシールジョー101の切欠部103には、フィルムfを切断するための鋭利な刃を有するカッター105が設けられている。上述した横シールが完了すると、このカッター105が水平移動され、他方のシールジョー101の切欠部103に突入される。これにより、上部シール位置と下部シール位置との中間位置でフィルムfが切断され、包装袋201が形成されることになる。
【0007】
なお、上述したシール機構を開示した先行先行文献として、例えば、以下の文献が存在する。
【0008】
【特許文献1】特公昭55−35284号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、図12に示すような従来の製袋包装機においては、フィルムfの切断箇所は切欠部103の対向位置(上部シール位置と下部シール位置との中間位置)であるため、フィルムfの切断箇所の近傍ではシールはなされていない。したがって、図12に示すように、生成された包装袋201の端部202の近傍は、フィルムが溶着されておらず離間可能な状態となる。
【0010】
また一方で、フィルムにおいて縦シールと横シールとが重複してなされる箇所や、横シールの方向の両端部などでは、フィルムの厚みや屈曲などの影響により、横シールによる溶着力が他の箇所より低下する傾向がある。したがって、図12に示すように包装袋の端部(切断箇所に相当する端部)の近傍が溶着されていないと、このような箇所においてエア漏れが生じる可能性がある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、フィルムを切断する際に切断箇所の近傍を溶着することができる製袋包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、フィルムの側縁部を重ねて筒状に形成し、重なった前記側縁部を第1方向にシールするとともに、前記第1方向に直交する第2方向に前記フィルムをシールすることで、前記フィルムから包装袋を形成する製袋包装機であって、前記フィルムにおける前記第2方向のシールの対象位置の近傍を前記第2方向に切断する切断手段と、前記切断手段を振動させる振動手段と、前記切断手段を加熱する加熱手段と、を備えている。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の製袋包装機において、前記切断手段は、突起状の切断刃と、平坦状の受け刃とを前記フィルムの搬送経路を挟んで互いに対向配置させて備えている。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃を振動させる。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃を前記第1方向に直交する平面内で振動させる。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが対向する方向に沿って前記切断刃を振動させる。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項4に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記平面内で前記切断刃を回転運動させる。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項2に記載の製袋包装機において、前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが接触したとき、非接触のときよりも振動数を高める。
【発明の効果】
【0019】
請求項1ないし7の発明によれば、熱を与えられた切断手段が振動しつつフィルムを切断するため、フィルムを切断する際に切断箇所の近傍を、切断方向の全体にわたって確実に溶着することができる。特にエア漏れが生じやすい、第1方向のシールと第2方向のシールとが重複してなされる箇所や、第2方向の両端部も確実に溶着されるため、包装袋の端部のエア漏れを確実に防止することができる。
【0020】
また、特に請求項2の発明によれば、切断刃と受け刃とが対向配置されるため、切断刃が溶着に適した鈍刀であっても、切断刃と受け刃とでフィルムを挟み込むことでフィルムに対して切断可能な圧力を与えることができ、フィルムを確実に切断できる。
【0021】
また、特に請求項3の発明によれば、切断刃を振動させるため、切断刃のフィルムへの圧力を可変にすることができる。そして、圧力が比較的低いときは切断刃はフィルムを溶着するように作用し、圧力が高いときは切断刃はフィルムを切断するように作用するため、フィルムの溶着、及び、切断を確実に行うことができる。
【0022】
また、特に請求項4の発明によれば、切断刃が第1方向には振動されないため、フィルムを第2方向に確実に切断できる。
【0023】
また、特に請求項5の発明によれば、フィルムの溶着、及び、切断をさらに確実に行うことができる。
【0024】
また、特に請求項6の発明によれば、フィルムの切断方向たる第2方向に沿った切断刃の移動が生じるため、フィルムの切断をさらに確実に行うことができる。
【0025】
また、特に請求項7の発明によれば、迅速にフィルムを切断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.全体構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る製袋包装機の斜視図である。この製袋包装機1は、スナック菓子やキャンディ等の食品の被包装物を連続的に袋詰めする機能を有する縦ピロー型の包装装置である。図1においては、製袋包装機1の上部に、コンピュータスケール9が配置された様子を示している。コンピュータスケール9は、計量部91にて被包装物を計量し、排出シュート92を介して被包装物を一定重量ごとに製袋包装機1に供給する計量装置である。
【0028】
図1に示すように、製袋包装機1は主として、装置本体部2と、装置本体部2に包材としてのシート状のフィルムを供給するフィルム供給部3とを備えて構成されている。装置本体部2のハウジング4の正面側には、ユーザからの操作を受付ける操作スイッチ41と、ユーザに各種情報を提供する液晶ディスプレイ42とが配置されている。さらに、装置本体部2のハウジング4の内部には、装置全体を統括的に制御するためのマイクロコンピュータを備えた制御部(図示省略)が設けられている。
【0029】
なお、以下の説明においては、方向及び向きを示す際に、適宜、図中に示す3次元のXYZ直交座標を用いる。このXYZ軸はハウジング4に対して相対的に固定される。ここで、Z軸方向は鉛直方向、Y軸方向は奥行方向(Y軸−側が正面側)であり、X軸方向は正面側から見た場合の左右方向である。
【0030】
また、装置本体部2の内部において、コンピュータスケール9の排出シュート92の直下となる位置には、フィルムを用いて被包装物を包装する包装部5が配置されている。
【0031】
図2は、包装部5の概略構成を示す図である。図に示すように、包装部5は、コンピュータスケール9から供給される被包装物Arを受け止める集合シュート51と、被包装物Arをその内部に導通するチューブ52と、フィルムfを供給するセーラ部53と、フィルムfを縦シールする縦シール機構56と、フィルムfを搬送する1対のプルダウンベルト55と、フィルムfを横シールするとともに切断する横シール機構6とを備えている。
【0032】
フィルム供給部3からセーラ部53に供給されるフィルムfは、セーラ部53とチューブ52との間隙を通過することにより、その側縁部fvが重ねられて筒状に形成される。そして、プルダウンベルト55により筒状のフィルムfがチューブ52に沿って鉛直下方(Z軸−側)に搬送されつつ、重ね合わされたフィルムfの側縁部fvが縦シール機構56により縦方向(Z軸方向)に縦シールされる。
【0033】
続いて、縦シールされた筒状のフィルムfにおいて包装袋の下部に相当する位置が、横シール機構6により横方向(Y軸方向)に沿って横シールされ、包装袋の中間体として、下部が溶着されているが上部は開口した状態の中間体袋Piが形成される。中間体袋Piが形成されると、この中間体袋Pi内に一定重量の被包装物Arが集合シュート51及びチューブ52の内部を介して投入される。被包装物Arが収容された中間体袋Piは、プルダウンベルト55によりさらに搬送され、包装袋の上部に相当する位置が、横シール機構6により横方向(Y軸方向)に沿って横シールされるとともに、この横シールの対象位置の近傍上部が横方向(Y軸方向)に沿って切断される。このような工程により、被包装物Ar及び所定量のエア(不活性ガス等)が封入された一の包装袋Paが生成されることになる。なお以下、包装袋の下部に相当する位置の横シールを「下部シール」といい、包装袋の上部に相当する位置の横シールを「上部シール」という。
【0034】
<1−2.横シール機構>
本実施の形態の製袋包装機1においては、複数の包装袋を連続かつ高速に形成できるように、先行する包装袋の上部のための「上部シール」、後続の包装袋の下部のための「下部シール」、及び、「フィルムの切断」は、横シール機構6により一回の横シール工程内においてなされるようになっている。
【0035】
横シール機構6は、第1ユニット61と第2ユニット62との2つのユニットを備えて構成されている。2つのユニット61,62はそれぞれ、一のシールジョー71を備えている。これら2つのシールジョー71は、互いにフィルムfの搬送経路を挟んでX軸方向に沿って対向するように配置されており、それぞれのシール面は搬送経路に向けられている。
【0036】
2つのユニット61,62は双方共に、X軸方向に延設されたガイドレール(図示省略)に沿って駆動機構(図示省略)により直線的に移動可能となっている。このような構成により、2つのシールジョー71の状態は、フィルムfを挟んでシール面が互いに接触した状態(図2に示す状態)と、フィルムfの搬送経路から離れてシール面が互いに離間した状態との間で変更される。なお、本明細書においては、直接的な接触のみならず、フィルムfを挟んでの間接的な接触(押圧状態)も「接触」と表現する。
【0037】
製袋包装機1においては、フィルムfの搬送及びその停止が連続的に繰り返されるようになっている。フィルムfが搬送される際には2つのユニット61,62(シールジョー71)は離間されているが、フィルムfの搬送が停止されると、2つのユニット61,62が互いに接近する方向に駆動されてシールジョー71のシール面が接触する。横シール工程(「下部シール」、「上部シール」、及び、「フィルムの切断」)は、このように2つのユニット61,62のシール面が互いに接触した状態でなされる。なお以下、横シール工程がなされる期間を「横シール期間」という。横シール期間は、例えば、0.1秒程度とされる。
【0038】
横シール機構6はまた、「フィルムの切断」を行うための切断機構を備えている。図3及び図4は、切断機構20を含む横シール機構6の主要構成を示す図である。図3は正面側(Y軸−側)からの横シール機構6の構成、図4は上面側(Z軸+側)からの横シール機構6の構成をそれぞれ示している。これらの図中に示す一点鎖線Rは、フィルムの搬送経路のX軸方向における中心位置を示している。またこれらの図中では、2つユニット61,62が備えるシールジョーの71のシール面77が互いに接触している状態を示している。
【0039】
横シール機構6の切断機構20は、切断刃21と受け刃22との2つの刃から構成される。切断刃21は第1ユニット61に設けられる一方で、受け刃22は第2ユニット62に設けられている。切断刃21及び受け刃22はそれぞれ、シールジョー71の上下中央位置にY軸方向に沿って形成される切欠部78に設けられている。
【0040】
図5は、図3に示す2つのシールジョー71の近傍の拡大図である。シールジョー71のシール面77は上下2つの部位に分離されており、これら2つのシール面77a,77bの間に切欠部78が形成されている。フィルムfにおいて、上方のシール面77aが接触する位置は下部シールの対象位置(以下、「下部シール位置」という。)となり、下方のシール面77bが接触する位置は上部シールの対象位置(以下、「上部シール位置」という。)となる。
【0041】
図に示すように第1ユニット61のシールジョー71の切欠部78には、切断刃21がX軸方向に沿って配置されている。一方、第2ユニット62シールジョー71の切欠部78には、受け刃22がX軸方向に沿って配置されている。
【0042】
切断刃21のX軸+側の端部21aと、受け刃22のX軸−側の端部22aとは、フィルムの搬送経路を挟んでX軸方向において対向して配置されており、これら端部21aと端部22aとが当接することで「フィルムの切断」がなされるようになっている(詳細は後述)。このため以下、端部21a,22aをそれぞれ「刃先」と呼ぶ。これら刃先21a,22aは、フィルムをY軸方向に切断可能にY軸方向に沿って延びており(図4参照。)、そのY軸方向の幅は切断対象となるフィルムのY軸方向の幅よりも大きくされている。
【0043】
切断刃21の刃先21aは、X軸+側に向かって徐々に細くなるように突起しているが、その突起の先端部は尖っておらず曲面形状を有している。このため、切断刃21の刃先21aのみをフィルムfに対して単に押し当てるだけでは、フィルムを切断することは不可能となっている。一方で、受け刃22の刃先21aは平坦面となっている。
【0044】
また、切断刃21は、第1ユニット61のシール面77よりも刃先21aがX軸+側に突出するように配置されている。一方で、受け刃22は、第2ユニット62のシール面77よりも、刃先22aがX軸+側に後退して位置するように配置されている。したがって、2つのユニット61,62のシール面77が互いに接触した状態においては、切欠部78の対向位置(下部シール位置と上部シール位置との中間位置)に存在するフィルムfは、切断刃21の刃先21aにより常に押圧され、第2ユニット62の切欠部78内へX軸+側に押し込まれた状態とされる。
【0045】
またところで、シールジョー71の内部にはヒータ72が設けられている。このヒータ72によりシールジョー71の全体が加熱され、熱を有した2つのシール面77によってフィルムがX軸方向の双方から押圧されることにより、フィルムがシール(溶着)されることになる。また、切断刃21及び受け刃22はシールジョー71に隣接して配置されることから、シールジョー71に与えられた熱は切断刃21及び受け刃22にも印加され、切断刃21及び受け刃22の双方はシールジョー71とほぼ同一の温度まで加熱されるようになっている。
【0046】
<1−3.切断刃の振動>
図3及び図4に戻り、第1ユニット61は、振動体としてのエアバイブレータ30を備えており、このエアバイブレータ30により、切断刃21は水平面(XY平面)内において振動されるようになっている。
【0047】
エアバイブレータ30は、エアを取り込む吸気口31と、エアを排出する排気口32と、Z軸方向に沿った回転軸を中心に回転するロータ33と、を備えている。ロータ33は、その中央位置が回転軸と異なるように偏心して配置されており、吸気口31から流入するエア量に応じた回転数で回転する。エアバイブレータ30では、このようなロータ33の回転運動により水平面(XY平面)内での振動が発生する。
【0048】
第1ユニット61は、シール期間内において、エアバイブレータ30によって振動される振動部材と、ハウジング4に対して相対固定される固定部材とに大別される。図3及び図4においては、第1ユニット61の振動部材をハッチングで示している。なお、第2ユニット62は、受け刃22を含む構成全体が、シール期間内においてハウジング4に対して相対固定される。
【0049】
第1ユニット61の固定部材は主として、シールジョー71と、シールジョー71を固定するジョーベース73と、バネハウジング75とから構成され、ジョーベース73とバネハウジング75とは、軸状部材である4本のリニアシャフト74によって接続されている。4本のリニアシャフト74はX軸方向に沿って互いに平行に、上部と下部とにそれぞれ2本ずつ配置される。なお、図4においては便宜上、上部の2本のリニアシャフト74の図示を省略している。
【0050】
一方、第1ユニット61の振動部材は主として、切断刃21と、そのX軸−側において切断刃21を固定する支持ブロック81と、振動軸84と、2つのリニアブッシュ82とを備えている。
【0051】
支持ブロック81は、正面側(Y軸−側)からみてL字状に屈曲された形状を有し、鉛直方向(Z軸方向)に延びる第1部材81aと、水平方向(X軸方向)に伸びる第2部材81bとを備えている。そして、鉛直方向の第1部材81aにエアバイブレータ30が固設され、水平方向の第2部材81bに、切断刃21、振動軸84及びリニアブッシュ82が固設されている。したがって、エアバイブレータ30で発生した振動は、支持ブロック81を介して振動部材の全体に伝達される。
【0052】
振動軸84は、支持ブロック81のX軸−側に配置されている。したがって、図に示すように、切断刃21、支持ブロック81及び振動軸84が、X軸方向に沿ってX軸+側からこの順に配置される。振動軸84は、バネハウジング75に対して移動自在に貫入され、バネハウジング75の内部に設けられる皿バネ76によってX軸+側に付勢される。これにより、切断刃21にはX軸+側への付勢力が与えられることになる。
【0053】
リニアブッシュ82は、円筒部材を有している。そして、2つのリニアブッシュ82の円筒部材の内部にはそれぞれ、下部の2本のリニアシャフト74のうちの一が貫入されている。つまり、リニアブッシュ82は、リニアシャフト74に対してX軸方向に移動自在とされる。また、リニアブッシュ82の円筒部材内には、ベアリングに採用されるような複数のボールが配置されており、円筒部材とリニアシャフト74との間には、いくらかの遊びを有しつつ、これら複数のボールが介在することになる。これにより、リニアブッシュ82は、リニアシャフト74に対してY軸方向にも移動可能とされる。したがって、振動部材は、固定部材に対してXY平面内で移動可能に配置されることになる。
【0054】
このような構成により、エアバイブレータ30が水平面(XY平面)内での振動を発生させると、その振動が切断刃21に伝達され、切断刃21が水平面(XY平面)内にて振動することになる。
【0055】
<1−4.横シール工程>
次に、上述した構成を有する横シール機構6によってなされる横シール工程について説明する。
【0056】
前述したように、製袋包装機1においては、フィルムの搬送及びその停止が連続的に繰り返されており、フィルムの搬送が停止されると、2つのユニット61,62が互いに接近するように駆動される。そして、2つのユニット61,62のシールジョー71のシール面77が互いに接触することで、横シール工程が開始される。
【0057】
この横シール工程においては、ヒータ72によって加熱された2つのユニット61,62のシール面77によって、フィルムがX軸方向の双方から挟み込まれることでフィルムの横シールがなされる。すなわち、上方のシール面77aの対向位置(下部シール位置)のフィルムには下部シールがなされ、下方のシール面77bの対向位置(上部シール位置)のフィルムには上部シールがなされる。
【0058】
また、このような横シールとともに、切断刃21及び受け刃22により、切欠部78の対向位置(下部シール位置と上部シール位置との中間位置)に存在するフィルムが挟み込まれ、その切断がなされる。以下、下部シール位置と上部シール位置との近傍に位置し、切欠部78の対向位置に存在するフィルムを、「対象フィルム」という。
【0059】
切断刃21及び受け刃22は、ヒータ72によって常時加熱されている。また、本実施の形態のエアバイブレータ30も常時駆動されており、これにより、切断刃21は常時振動される。さらに前述のように、切断刃21の刃先21aは、第1ユニット61のシール面77よりもX軸+側に突出している。したがって、横シール期間においては、このように加熱された、かつ、振動された切断刃21によって、対象フィルムが常時押圧されることになる。このような動作により、対象フィルムが切断されるとともに、対象フィルムの切断箇所の近傍の溶着がなされる。つまり、対象フィルムの切断と溶着とが同時になされることになる。以下、この原理について説明する。
【0060】
図6及び図7は、エアバイブレータ30によって生じる振動のX軸方向に沿った振幅を示す図である。図6に示すように、エアバイブレータ30が駆動すると、XY平面内における回転運動としての回転振動W1と、X軸方向に沿った直線振動W2とが発生する。回転振動W1の周期T1は直線振動W2の周期T2と比較して長く、また、回転振動W1の振幅も直線振動W2の振幅と比較して大きくなる。切断刃21には、これら回転振動W1と直線振動W2とが重畳された図7に示す如き重畳振動W3が与えられることになる。この重畳振動W3に関しては、回転振動W1と同じく周期T1(例えば、0.01秒程度)で同一波形が繰り返される。
【0061】
実際の横シール工程においては、切断刃21の刃先21aがある位置よりもX軸+側へ移動すると、切断刃21は受け刃22と接触する。このため、実際の横シール工程における、切断刃21の刃先21aと受け刃22の刃先22aとの間の刃間距離は、図8に示すように変化する。すなわち、切断刃21と受け刃22とが離間する離間期間P1と、切断刃21と受け刃22とが接触している接触期間P2とが交互に繰り返されることになる。
【0062】
また、切断刃21から対象フィルムに与えられる圧力(以下、「刃圧力」という。)は、図9に示すように変化する。図8と図9とを比較してわかるように、離間期間P1においては、刃間距離と刃圧力とは逆に作用し、刃間距離が短いほど刃圧力は大きく、刃間距離が長いほど刃圧力は小さくなる。一方、接触期間P2においては、切断刃21と受け刃22との接触により、刃圧力が離間期間P1と比較して格段に大きくなり、また、切断刃21に与えられる振動はそのまま刃圧力に変化される。このため、接触期間P2では、比較的大きな刃圧力が細かく変化することとなる。
【0063】
このように、刃圧力は、離間期間P1と接触期間P2との間で比較的大きく変化し、かつ、各期間P1,P2内においても細かく変化することになる。そして、刃圧力が所定値SPを超える期間(図中の期間P3)では、切断刃21は対象フィルムを切断するように作用する。一方で、刃圧力が所定値SP未満の期間では、切断刃21は対象フィルムの切断ではなく切断対象となる箇所の近傍を溶着するように作用する。前述したように、切断刃21の刃先21aは曲面形状であり、切断刃21がこのような鈍刀であることが、フィルムの溶着に有効に寄与する。つまり、一の切断刃21が、対象フィルムの切断及び溶着の双方を行うように作用するわけである。
【0064】
また、「離間期間P1と接触期間P2との間で状態が移行する際の刃圧力の大きな変化」及び「接触期間P2における刃圧力の細かな変化」は、対象フィルムの切断のために有効に寄与する。さらに、切断刃21はXY平面内にて回転運動されるため、接触期間P2において、切断刃21は対象フィルムに当接したままY軸方向にも移動する。この切断方向たるY軸方向への切断刃21の移動も、対象フィルムの切断のために有効に寄与することになる。また、切断刃21と受け刃22との双方が加熱されることから、受け刃22の熱もまた対象フィルムの溶着に有効に寄与することになる。このような原理によって、対象フィルムの切断及び溶着の双方が同時になされることになる。
【0065】
以上、第1の実施の形態について説明したように、本実施の形態の製袋包装機1では、突起状の切断刃21と平坦状の受け刃22とがフィルムの搬送経路を挟んで互いに対向配置されており、加熱されかつ振動された切断刃21がフィルムの切断対象となる位置に押圧される。したがって、フィルムを切断する際に切断箇所の近傍を溶着することができ、これにより生成される包装袋の上下端部はY軸方向の全体にわたって確実に溶着される。このため、縦シールと横シールとが重複してなされる箇所や、横シールの方向(Y軸方向)の両端部など、エア漏れが生じやすい箇所においても確実に溶着がなされるため、包装袋の端部(切断箇所に相当する端部)におけるエア漏れを確実に防止することができる。
【0066】
また、製袋包装機1では、切断刃21を振動させるため、切断刃21のフィルムへの圧力(刃圧力)を可変にすることができる。そして、刃圧力が比較的低いときは切断刃21はフィルムを溶着するように作用し、刃圧力が高いときは切断刃21はフィルムを切断するように作用するため、フィルムの溶着、及び、切断を確実に行うことができる。また、切断刃21を水平面(XY平面)内で振動させるため、切断刃21が鉛直方向に振動せず、フィルムにおいて切断対象となる水平位置を確実に切断できる。
【0067】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の製袋包装機1の構成は第1の実施の形態とほぼ同様であるが、エアバイブレータ30の回転数が制御可能である点で、第1の実施の形態と相違している。
【0068】
図10は、エアバイブレータ30の回転数の制御に係る製袋包装機1の構成を示すブロック図である。図に示すように、エアバイブレータ30には、空気供給装置となるコンプレッサ13から、ロータ33を駆動させるためのエアが供給される。そして、このコンプレッサ13からエアバイブレータ30までの空気流路としてのエア供給管14には、電空変換弁12が介挿されている。
【0069】
電空変換弁12は、与えられる電気信号の値に応じて、エア供給管14を流れるエア量を調節する弁である。電空変換弁12への電気信号は、製袋包装機1の全体を制御する制御部10から発信される。また前述したように、エアバイブレータ30のロータ33は、流入するエア量に応じた回転数で回転振動する。このため、本実施の形態の制御部10は、電気信号の値を調整することで、エアバイブレータ30の振動数を制御することが可能となっている。
【0070】
また、本実施の形態の横シール機構6には、切断刃21と受け刃22との接触を検出するための接触検出部15が設けられている。接触検出部15は、例えば、切断刃21と受け刃22とによって電気的な回路が構成されるか否かによって、それらの接触を検出するようになっている。接触検出部15による検出結果は、制御部10に入力される。制御部10は、この検出結果に基づき、横シール工程においてエアバイブレータ30の振動数を制御する。
【0071】
図11は、横シール工程おいて制御部10によってなされる、エアバイブレータ30の振動数の制御動作の流れを示す図である。
【0072】
横シール工程が開始されると、これと同時に、制御部10から電空変換弁12への電気信号の出力が開始され、エアバイブレータ30の振動が開始される(ステップS1)。このとき、エアバイブレータ30の振動数は、所定の第1振動数に制御される。そして以降、シールジョー71のシール面77による横シールが完了するまで(ステップS6にてNoの間)、ステップS2〜S5の工程が繰り返しなされて、切断刃21と受け刃22との接触/非接触応じてエアバイブレータ30の振動数が制御される。
【0073】
すなわち、まず、接触検出部15により切断刃21と受け刃22とが接触しているか否かが検出される(ステップS2)。そして、切断刃21と受け刃22とが接触していないとき(ステップS3にてNo:離間期間P1に相当)は、制御部10から電空変換弁12への電気信号の値により、エアバイブレータ30の振動数は第1振動数に制御される(ステップS4)。一方、切断刃21と受け刃22とが接触したとき(ステップS3にてYes:接触期間P2に相当)は、制御部10から電空変換弁12への電気信号の値により、エアバイブレータ30の振動数は第1振動数よりも高い第2振動数に制御される(ステップS5)。つまり、切断刃21と受け刃22とが非接触のときは振動数が比較的低くされ、切断刃21と受け刃22とが接触したときは振動数が比較的高くされる。前述したように、横シール工程においては、離間期間P1と接触期間P2とが交互に繰り返されることから、これに応じてエアバイブレータ30の振動数が高い期間と低い期間とが交互に繰り返されることになる。
【0074】
シール面77による横シールが完了すると(ステップS6にてYes)、制御部10から電空変換弁12への電気信号の出力が停止され、エアバイブレータ30の振動が停止されることになる(ステップS7)。
【0075】
切断刃21と受け刃22とが接触すると、その接触によって切断刃21の振動が抑制されるため、接触期間P2における刃圧力の変化も抑制されることになる(図9の接触期間P2を参照。)。前述したように、「接触期間P2における刃圧力の細かな変化」は対象フィルムの切断のために有効に寄与することから、刃圧力の変化が抑制されると対象フィルムの切断作用も抑制され、対象フィルムの切断に時間を要することになる。このため、本実施の形態のように、切断刃21と受け刃22とが接触したときに非接触のときよりも振動数を高めることで、フィルムの切断に要する時間を短縮することができることになる。
【0076】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0077】
例えば、上記実施の形態においては、振動体としてエアバイブレータ30を採用することで、切断刃21に対して回転振動と及び直線振動とが重畳された重畳振動を与えていたが、振動体として直線振動のみが可能な電磁フィーダ等を採用し、切断刃と受け刃とが対向する方向(X軸方向)に沿った直線振動のみを切断刃21に対して与えるようにしてもよい。これによっても、フィルムの切断と溶着とを同時に行うことが可能である。
【0078】
また、上記実施の形態においては、製袋包装機の一例として縦ピロー型の製袋包装機について説明を行ったが、横ピロー型の製袋包装機など、フィルムの側縁部を重ねて筒状に形成し、重なった側縁部を第1方向にシールするとともに、第1方向に直交する第2方向にフィルムをシールすることで、フィルムから包装袋を形成する包装機であれば、どのようなものであっても本発明に係る技術を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る製袋包装機の斜視図である。
【図2】包装部の概略構成を示す図である。
【図3】正面側からの横シール機構の主要構成を示す図である。
【図4】上面側からの横シール機構の主要構成を示す図である。
【図5】シールジョーの拡大図である。
【図6】エアバイブレータによって生じる振動の振幅を示す図である。
【図7】エアバイブレータによって生じる振動の振幅を示す図である。
【図8】切断刃と受け刃との間の刃間距離の変化を示す図である。
【図9】切断刃がフィルムに与える圧力の変化を示す図である。
【図10】エアバイブレータの振動数の制御に係る構成を示す図である。
【図11】エアバイブレータの振動数の制御動作の流れを示す図である。
【図12】従来の製袋包装機における横シール機構の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 製袋包装機
21 切断刃
22 受け刃
30 エアバイブレータ
71 シールジョー
72 ヒータ
77 シール面
78 切欠部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムの側縁部を重ねて筒状に形成し、重なった前記側縁部を第1方向にシールするとともに、前記第1方向に直交する第2方向に前記フィルムをシールすることで、前記フィルムから包装袋を形成する製袋包装機であって、
前記フィルムにおける前記第2方向のシールの対象位置の近傍を前記第2方向に切断する切断手段と、
前記切断手段を振動させる振動手段と、
前記切断手段を加熱する加熱手段と、
を備えることを特徴とする製袋包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の製袋包装機において、
前記切断手段は、突起状の切断刃と、平坦状の受け刃とを前記フィルムの搬送経路を挟んで互いに対向配置させて備えることを特徴とする製袋包装機。
【請求項3】
請求項2に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃を振動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項4】
請求項3に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃を前記第1方向に直交する平面内で振動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項5】
請求項4に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが対向する方向に沿って前記切断刃を振動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項6】
請求項4に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記平面内で前記切断刃を回転運動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項7】
請求項2に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが接触したとき、非接触のときよりも振動数を高めることを特徴とする製袋包装機。
【請求項1】
フィルムの側縁部を重ねて筒状に形成し、重なった前記側縁部を第1方向にシールするとともに、前記第1方向に直交する第2方向に前記フィルムをシールすることで、前記フィルムから包装袋を形成する製袋包装機であって、
前記フィルムにおける前記第2方向のシールの対象位置の近傍を前記第2方向に切断する切断手段と、
前記切断手段を振動させる振動手段と、
前記切断手段を加熱する加熱手段と、
を備えることを特徴とする製袋包装機。
【請求項2】
請求項1に記載の製袋包装機において、
前記切断手段は、突起状の切断刃と、平坦状の受け刃とを前記フィルムの搬送経路を挟んで互いに対向配置させて備えることを特徴とする製袋包装機。
【請求項3】
請求項2に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃を振動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項4】
請求項3に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃を前記第1方向に直交する平面内で振動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項5】
請求項4に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが対向する方向に沿って前記切断刃を振動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項6】
請求項4に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記平面内で前記切断刃を回転運動させることを特徴とする製袋包装機。
【請求項7】
請求項2に記載の製袋包装機において、
前記振動手段は、前記切断刃と前記受け刃とが接触したとき、非接触のときよりも振動数を高めることを特徴とする製袋包装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−36328(P2006−36328A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222296(P2004−222296)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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