説明

複合シート及びその製造方法

【課題】本発明は、粘着性が少なく、表面摩擦係数の低いコーティング面を有する複合シートとその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】プラスチックフィルム又は織物からなる基材15と、この基材15の片面に被覆された熱硬化性樹脂層16とを具備した複合シートであり、前記基材15主面に凹凸面17が機械的に形成されていることを特徴とする複合シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種プラスチックフィルムあるいは各種織物を基材とし、その片面もしくは両面に硬化性樹脂、ゴム等を塗工した複合シートおよびその製造方法に関する。更に詳細には、エアバッグ基材、離型シート、コンベアベルト、建築材料、あるいは、摺動材等に用いられるその表面が低摩擦である複合シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルム、あるいは、各種織物を基材とし、その片面に、もしくは両面にシリコーン、ウレタン等の硬化性の樹脂あるいはゴム等の塗工材料を被覆してなる複合シートは、種々の工業分野で、エアバッグ基材、離型シート、コンベアベルト、建築材料、あるいは、摺動材等に用いられている。
【0003】
例えば、基材としてのナイロン繊維の織物に、塗工材料としてのシリコーン、ポリウレタン、クロロプレンなどのゴムや樹脂を被覆した材料は、近年、自動車用エアバッグの基布として使用されている。ところで、このエアバッグを構成する基布には、高い気密性、耐熱性、耐摩耗性、難燃性などが求められ、材料として最も多用されているシリコーンは環境問題価格の低減などのために、溶剤型から無溶剤型への移行が行われてきている。
【0004】
しかしながら、有機溶剤で希釈して用いる溶剤型シリコーンに対し、希釈用の溶媒を一切使用しない無溶剤型シリコーンは、硬化工程で塗工層から揮散する物質がない。そのため、塗工面が平坦な鏡面構造をとりやすく、光沢に富んだ、密着し易い粘着性の高い塗工面を形成しやすい傾向がある。従って、その高い粘着性のため、バッグ展開時に折り畳まれたエアバッグの基布面同士、あるいは基布と当接物などとの間に、高い摩擦力を発生しやすい。
【0005】
そこで、従来から、塗工面上にタルクなどの微粉末の散布、不織布などの薄いシート材料を積層する方法等により、塗布面の粘着性を低減する方法が行われている。しかし、微粉末がエアバッグの製造工程や車体への取付け作業の際に飛散しあるいは不用意に他の部位に付着などし、又はコスト発生を伴う新たな積層工程を設ける必要があるなどの問題を有していた。
【0006】
また、滑り性を付与するためには塗工する無溶剤型シリコーン等の塗工液に滑り性を付与する充填材を添加する方法が知られている。例えば、特許文献1には、平滑剤と称するジメチルシリコーンオイルに代表される一種の潤滑剤、あるいは、無機化合物を無溶剤型シリコーン等の塗工液に添加して滑り性を付与する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、上記平滑剤、あるいは無機化合物の種類と充填量を加減することで滑り性をコントロールする方法である。従って、この方法には自ずと限界があり、充填量が過剰であるある場合は、塗工する樹脂と基布との密着性の低下、あるいは、特に無機化合物の場合は、塗工されたエアバッグ用基布自体の柔軟性の低下なども生じる可能性がある。また、前記特許文献1にも塗工液である無溶剤型シリコーンと添加物との相溶性が添加の条件の一つに挙げられており、添加物の種類にも限りがあるなどの問題点があった。
【0007】
更に、塗工材料として無溶剤シリコーン樹脂を使用した複合シートは、いわゆる、摺動材としても使用される。その場合、耐摩耗性、低摩擦性を付与するために、通常、シリコーン樹脂と相溶性のよいタルクなどの充填材が加えられるが、摺動材としては低摩擦の水準が不十分である。
【特許文献1】特開2004−332121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような技術的背景を鑑み、密着し易く、粘着性の高い塗工面を形成し易い傾向がある無溶剤性シリコーン樹脂等の塗工工程において塗工材料になんら添加物を加えることなく、粘着性が少なく、表面摩擦係数の低いコーティング面を有する複合シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
また、本発明は、摺動材料として使用される場合に、表面の摩擦を摺動材としての十分な水準まで低減できる複合シート及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、上記の密着し易く、粘着性の高い塗工面を形成し易い傾向がある無溶剤性シリコーン樹脂等の塗工液により形成されるシートの塗工面に表面形状(凹凸等)を組み入れることで表面の粘着性の低減、低摩擦化が実現でき、また、その表面形状を変化させることによって低摩擦性の程度をコントロールすることが可能であることを見出したものである。
【0010】
即ち、本願第1の発明に係る複合シートは、プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートであり、前記基材主面に凹凸形状面が機械的に形成されていることを特徴とする。
【0011】
本願第2の発明に係る複合シートの製造方法は、プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層を塗工すると同時に、前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成し硬化することを特徴とする。
【0012】
本願第3の発明に係る複合シートの製造方法は、プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層となる熱硬化性材料を塗工した後、熱硬化性材料が硬化する前に前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成することを特徴とする。
【0013】
本願第4の発明に係る複合シートの製造方法は、プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された充填材を含有する熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層を塗工すると同時に、前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成することを特徴とする。
【0014】
本願第5の発明に係る複合シートの製造方法は、プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された充填材を含有する熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層となる熱硬化性材料を塗工した後、熱硬化性材料が硬化する前に前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、密着し易く、粘着性の高い塗工面を形成し易い傾向がある無溶剤性シリコーン樹脂等の塗工液を使用する塗工工程において塗工液に何ら添加物を加えることなく、粘着性が少なく、表面摩擦係数の低いコーティング面を有する各種複合シートとその製造方法を提供することができる。また、密着し易く、粘着性の高い塗工面を形成し易い傾向がある無溶剤性シリコーン樹脂等の塗工液を使用する塗工工程において塗工液に充填材が加えられ、製造された複合シート表面の摩擦係数を低減する方法及びその方法により表面の摩擦係数を低減した複合シートを提供することができる。
【0016】
更に、本発明品は、表面に凹凸を有することから、相手材との接触面積が小さいので、静電気あるいは、氷結といった相手材と密接するような電気的、物理的な現象が発生した場合でも、摩擦係数を低く維持することができるという副次的な効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明について更に詳しく説明する。先ず、本発明に係る複合シートの製造方法を図4及び図5を参照して説明する。但し、本発明は、以下の方法に限定されない。
即ち、図4は、塗工機の巻き出し部(図示せず)より巻き出されたプラスチックフィルムあるいは織物からなるシート状の基材1に、塗工機を用いて塗工材料2を塗工する場合を示す。図4中の符番3a,3b,3cは夫々第1のロール、第2のロール、第3のロール、符番5は塗工治具としての加工用ロールを示す。第1のロール3aを経た基材1は、第2のロール3bで基材1の片面に塗工材料2が塗工される。また、加工用ロール5の周面には凹凸形状が施され、この加工用ロール5により基材1に塗工された塗工材料2に凹凸形状が付与されて、塗工面に凹凸形状を有したシート状基材4となる。基材1への塗工材料2の塗工と塗工面への凹凸形状の付与の時期は、略同時である。なお、前記加工用ロール5の代わりに、凹凸形状が施された塗工用のナイフを用いてもよい。凹凸形状が付与された基材4は、その後、第3のロール3cを経て炉(図示せず)に送られ、炉中で塗工面を硬化され、塗工面に凹凸形状を有する複合シートが作製される。
【0018】
図5は、塗工機の巻き出し部(図示せず)より巻き出されたプラスチックフィルムあるいは織物からなるシート状の基材1に、塗工機を用いて塗工材料2を塗工している場合を示す。図5の方法が図4と異なる点は、第4のロール(塗工冶具)11に凹凸形状を施すことなく、第4のロール11と第3のロール3cの間に凹凸加工を施した加工用ロール12を配置し、塗工材料2を塗工した基材1の塗工面に凹凸形状を付与することにある。いずれにしても、図5による方法は、塗工材料が塗工され、硬化する間に塗工面に凹凸形状を形成させる方法であれば、いかなる方法においても実施可能である。
【0019】
本発明において、複合シートとしては、例えば図1、図2及び図3に示す構成のものが知られている。図1の複合シートは、プラスチックフィルムもしくは織物からなる基材15の片面に、熱硬化性樹脂層16が被覆され、この熱硬化性樹脂層16の表面に等ピッチの凹凸面17が形成された構成となっている。図2の複合シートは、前記基材15の片面に凹凸面17が形成された熱硬化性樹脂層16が被覆され、この熱硬化性樹脂層16上に更に充填材を含有する充填材層18が形成された構成となっている。図3の複合シートは、前記基材15の両面に熱硬化性樹脂層16a,16bが被覆され、これらの熱硬化性樹脂層16a,16bの表面に凹凸面17が夫々形成された構成となっている。
【0020】
本発明に使用可能な塗工材料(塗工液)としては、本発明の目的である密着し易く、粘着性の高い塗工面を形成し易い傾向がある材料という観点から言えば、限定するものではないが、例えば、クロロプレン、クロルスルホン化オレフィン、シリコンゴム、ポリアミド系エラストマー、ポリスチレンブタジエン、ニトリルゴム、フッ素系ゴム、ポリウレタン等のエラストマーが挙げられる。また、本発明品である複合シートの表面に形成された凹凸形状を保持するという観点からすれば、高温で使用されても凹凸形状を保持する熱硬化性の材料が好ましい。しかしながら、表面に凹凸形状を形成させ摩擦係数を低下させるという観点から考えると、熱硬化性材料に限らず、熱可塑性の材料で、また、エラストマーだけではなく樹脂材料であっても本発明が適用可能であることは言うまでもない。
【0021】
また、前記の使用可能な材料の基材シートヘの塗工材料としては、当然のことながら、形成された表面の凹凸を硬化固定されるまで保持する必要があることから、高粘度で、且つ、チキソ性が大きいものが望ましい。例えば、塗工材料として付加反応型無溶剤シリコーンを使用する場合、100,000cP以上の粘度が好ましく、より好ましくは200,000cP以上の粘度の塗工材料がよい。100,000cP未満の場合は、当然のことながら樹脂が硬化する前に、表面に形成された凹凸が変形、もしくは、消滅し易くなる為あまり好ましくない。
【0022】
また、本発明に使用可能なプラスチックフィルムあるいは織物からなるシート状の基材としては、特には限定されず、使用する塗工材料の硬化温度に耐えるものであればいかなる材料を用いてもよい。
【0023】
また、塗工表面に形成させる凹凸の形状としては、特に限定されず、どのような形状でもよい。但し、塗工ナイフあるいは塗工ロール等の塗工冶具、もしくは、塗工冶具と硬化させる炉の間に配置されるプレートあるいはロール等への凹凸加工の容易さ、並びに、摩擦係数をコントロールするための凹凸形状の寸法の変更の容易さという観点から、例えば図6(A),(B)に示す形状に代表されるいわゆる櫛型形状(ロールの幅方向に平行に溝14が配置された形状)のロールが最も良い。但し、図6(A)は同ロールの横断面図、図6(B)は図6(A)の正面図である。図6の場合、塗工治具である加工用ロール12の塗工表面に形成された凹凸の山ピッチ(P)は0.8mm、凹凸の溝13の深さ(D)は0.6mm、加工用ロール12の内径は70mmである。
【0024】
本発明においては、熱硬化性樹脂層の表面に充填材を含有する充填材層を形成するか、もしくは充填材を含有する熱硬化性樹脂層にすることが、複合シートを摺動材として用いる場合に好ましい。この場合、充填材としては、塗工する材料の硬化温度に耐えるとともに、塗工する材料と相溶性があり、かつ摩擦係数を低減可能な材料であれば、いかなる材料を用いてもよい。塗工材料と相溶性に問題がなければ、摩擦係数をより著しく低減させるために低摩擦係数材料で知られるフッ素樹脂材料等を添加剤として使用することもできる。また、充填材を含有する複合シートは摺動材としての用途に限定されず、例えば、エアコンのエア吹き出し口で風量、吹き出しパターンを変えるために使用されるための摺動シート、スラスト軸受け材、すべり支承材料等として使用することもできる。
【0025】
次に、下記実施例、及び実施した摩擦試験結果により、更に本発明を詳述する。なお、本発明において、摩擦係数の評価を次に示す方法で行う。
(試験方法) 摩擦試験(ISO 8295に準拠)
(試験機器) 万能試験機TENSILON RTC1250A
(試験条件) 滑り片:SUS製ブロック(接触面積63mm×63mm)、重量200g
滑り速度:100mm/min
(試験内容) 摩擦係数の測定を行う面を上向きにセットし、その上に滑り片を乗せ、この滑り片を100mm/minで引っ張る時の摩擦係数を測定する。
【0026】
(実施例1)
シート状の基材として平織ガラスクロス(商品名:2116、Porcher社製)、塗工材料としてシリコーン樹脂(商品名:付加反応型シリコーンDC3730、ダウ・コーニング社製)を採用した。また、塗工面に凹凸形状を付与するために図5に示すような方式を採用し、第3のロール11と炉との中間に図6に示す構成の加工用ロール12を配置した状態で、ナイフコーターにてナイフ、オン・エアー法で塗工を実施し、その後200℃に設定された炉中で硬化させて、最終的に樹脂塗工量60g/mの表面に凹凸を有するシリコーン被覆ガラスクロスで構成される複合シートを得た。得られた複合シートは、図1のように、基材15の片面に熱硬化性樹脂層16を形成し、該熱硬化性樹脂層表面に凹凸面17を形成した構成となった。
【0027】
(実施例2)
シート状の基材として平織ガラスクロス(商品名:2116、Porcher社製)、塗工材料としてシリコーン樹脂(ダウ・コーニング社製付加反応型シリコーンDC3730)を採用し、ナイフコーターにてナイフ・オン・エアー法で樹脂塗工量55g/mの複合シート得た。その際、図5に示すような方式を採用し、第3のロール11と炉との中間に図6に構成の加工用ロール12を配置し、塗工面に凹凸形状を付与し、その後200℃に設定された炉中で硬化させ、塗工面上に凹凸形状を形成させた。次に、得られた複合シートにグラピアコーターでシリコーン樹脂(商品名:タルク入り付加反応型シリコーンDC3715、ダウ・コーニング社製)を樹脂塗工量5g/mだけ塗工液を塗り重ね、最終的に全体として樹脂塗工量が60g/mで表面に凹凸形状を有し、且つ、タルクを含有した表面を有するシリコーン被覆ガラスクロスで構成される複合シートを得た。得られた複合シートは、図2のように、基材15の片面に熱硬化性樹脂層16を形成し、該熱硬化性樹脂層表面に凹凸面17を形成し、更にこの熱硬化性樹脂層16上に充填材を含有した充填材層18を形成した構成となった。
【0028】
(比較例1)
塗工面に凹凸形状を付与するために、図5に示すように第3のロールと炉との中間に図6に示すような凹凸形状を施した加工用ロールを配置していない以外は、実施例1と同様な方法で、最終的に樹脂塗工量60g/mの表面に凹凸を形成していないシリコーン被覆ガラスクロスで構成される複合シートを得た。
【0029】
(比較例2)
塗工面に凹凸形状を付与するために、図5に示すように第3のロールと炉との中間に図6に示すような凹凸形状を施した加工用ロールを配置していない以外は、実施例2と同様の方法で、最終的に全体として樹脂塗工量が60g/mで表面に凹凸形状を形成していないが、タルクを含有した表面を有するシリコーン被覆ガラスクロスで構成される複合シートを得た。
【0030】
上記、実施例1,2と比較例1,2で得られた複合シートのそれぞれの塗工表面の摩擦係数の測定結果を下記表1に示す。実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2で得られた複合シート表面の摩擦係数を前述の条件で測定した。結果を以下の表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
上記表1より、塗工面の摩擦係数の比較結果より本発明品である塗工面に凹凸を有するが、充填材は含有していない複合シート(実施例1)及び、塗工面に凹凸形状を形成させ且つ塗工面に充填材を含有する複合シート(実施例2)の塗工面の摩擦係数が、塗工面に凹凸形状を形成していない複合シート(比較例1,比較例2)に比べて著しく摩擦係数が低いということが実証された。このことから、次のことが明らかである。
【0033】
1)密着し易く、粘着性の高い塗工面を形成し易い傾向がある塗工材料を使用する塗工工程において、塗工材料に何ら添加物を加えることなく、粘着性が少なく、表面摩擦の少ないコーティング面を有する各種複合シートを提供することができる。
2)凹凸面のみを有し、充填材を含有しない実施例1の複合シートより、凹凸形状及び充填材を含有する塗工面の両方を具備する実施例2の複合シートの表面摩擦係数がより低い。従って、塗工面に凹凸形状を形成させ且つ充填材を含有させることにより、更に、表面摩擦係数の低い塗工面を有する複合シートを提供することができる。
【0034】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、複合シートは基材の片面側に熱硬化性樹脂層を構成したシート、あるいは更にその上に充填材を含む充填材層を形成したシートに限らず、例えば図3のように基材の両面に熱硬化性樹脂層を形成した構成のシート、図示しないが、基材の両面に充填材入り熱硬化性樹脂層を形成した構成のシート、あるいは基材の両面に熱硬化性樹脂層を形成し、更にこの層上に充填材入り充填材層を形成した構成のシートでもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよく、使用する樹脂や充填材も上記実施形態でのべたものに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る複合シートの断面図を示す。
【図2】図2は、本発明の他の実施形態に係る複合シートの断面図を示す。
【図3】図3は、本発明の更に他の実施形態に係る複合シートの断面図を示す。
【図4】図4は、本発明に係る複合シートの製造方法の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、本発明に係る複合シートの製造方法の他の例を示す説明図である。
【図6】図6は、本発明に係る基材の塗工面に凹凸形状を形成するための塗工治具の説明図を示す。
【符号の説明】
【0036】
1,15…基材、2…塗工材料、3a,3b,3c,3d,11…ロール、4…凹凸形状を有したシート状基材、5,12…加工用ロール、13…溝、16,16a,16b…熱硬化性樹脂層、17…凹凸面、18…充填材層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートであり、前記基材主面に凹凸形状面が機械的に形成されていることを特徴とする複合シート。
【請求項2】
前記熱硬化性樹脂層上に充填材を含有する充填材層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の複合シート。
【請求項3】
プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層を塗工すると同時に、前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成し硬化することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項4】
プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層となる熱硬化性材料を塗工した後、熱硬化性材料が硬化する前に前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項5】
凹凸形状面を形成した後、この凹凸形状面上に充填材を含有する塗工液を塗布することを特徴とする請求項3もしくは請求項4記載の複合シートの製造方法。
【請求項6】
プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された充填材を含有する熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層を塗工すると同時に、前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成することを特徴とする複合シートの製造方法。
【請求項7】
プラスチックフィルム又は織物からなる基材と、この基材の片面又は両面に被覆された充填材を含有する熱硬化性樹脂層とを具備した複合シートの製造方法であり、前記基材に熱硬化性樹脂層となる熱硬化性材料を塗工した後、熱硬化性材料が硬化する前に前記基材の塗工面に機械的に凹凸形状面を形成することを特徴とする複合シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−229939(P2007−229939A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50628(P2006−50628)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(000211156)中興化成工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】