説明

複合機のメンテナンスモード認証装置、プログラム、及びメンテナンスモードを有する複合機

【課題】第三者が近くにいてもメンテナンスモードへの認証用入力を盗まれることはなく、また外部装置等のハードウェアを必要とすることなく、高い利便性で簡便にかつ高い信頼性によって、メンテナンスモードの認証を可能とする。
【解決手段】複合機10は、メンテナンスモードによって所定のメンテナンスが可能に設定されたものであり、複合機10に組み込まれたメンテナンスモード認証装置によってユーザの認証を行い、認証結果に応じてメンテナンスモードの使用を許可する。ここで、メンテナンスモードを使用可能とするためのユーザ認証を、複写すると原画おどおりに複写できない認証パターンが印刷された認証用紙20を用いて行う。この認証用紙20の認証パターンを複合機10によってスキャンして読み込むことで、メンテナンスモード認証装置がその読み込んだ認証パターンに基づいて認証を行い、認証が成功した場合にメンテナンスモードに入る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メンテナンスモード認証装置、プログラム、及びメンテナンスモードを有する複合機に関し、より詳細には、複合機の各種設定を行うメンテナンスモードに入るための認証技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コピー,プリンタ,ファクス,スキャナなどの機能を一体化して省スペース化したOA機器であるデジタル複合機が普及している。例えば、業務用に販売される複合機においては、安定した画像形成機能を維持するために、定期的にサービスマンもしくは特定の管理者(以降、「サービスマン等」と記載)によるメンテナンスが実施されている。このようなメンテナンスにおいては、サービスマン等が所定の操作を行うことにより、通常のモードからメンテナンスモードに移行することによって、各種のメンテナンスを実行することができる。
【0003】
メンテナンスモードは、ユーザには使用権限が与えられてなく、サービスマン等のみが使用権限を与えられ、ユーザには操作できないモードによって複合機のメンテナンスを行うように設定されたものである。
【0004】
上記のようなメンテナンスモードへの移行に関して、例えば、特許文献1では、複数のキーを組み合わせて操作することにより、メンテナンスモードに移行できるようにした画像形成装置が開示されている。ここでは、例えば、ズームキーにより変倍率を59%に指定し、テンキーにより通紙枚数を989にセットし、予め設定された数値確認キー等の特定キーを3秒以上押し続けることにより、メンテナンスモードに移行する。すなわち、複合機に備えられている操作キーを特定の順序で操作することによって、メンテナンスモードへの移行が可能となるようにしている。
【0005】
また、特許文献2には、外部装置を接続してメンテナンスを行うようにした画像形成装置が開示されている。ここでは、メンテナンスを行うに際し、ハンディツールなどと呼ばれる外部装置を用い、画像形成装置本体に外部装置の接続状態を検知する検知手段を設け、画像形成装置が、この検知手段の検知結果に基づいて、通常モードとメンテナンスモードとのいずれか一方の動作モードを選択して実行するようにしている。
【特許文献1】特開平10−91047号公報
【特許文献2】特開平5−35014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の技術においては、サービスマン等が画像形成装置の操作キーに対して特定の操作を行うことでメンテナンスモードへの移行を可能としているが、例えば、操作キーに対する特定の操作を、そばにいる第三者に盗み見られた場合に、本来権限のない第三者がメンテナンスモードを利用できるようになってしまう、という問題が生じる。
【0007】
また上記特許文献2の技術においては、上記特許文献1のような第三者にキー操作を盗み見られるというような問題は発生しないが、外部装置を用いてメンテナンスモードの権限の認証を行うため、各サービスマン等に対して郵送等によって外部装置を配布する必要があり、利便性に問題があった。
【0008】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、第三者が近くにいてもメンテナンスモードへの認証用入力を盗まれることはなく、また外部装置等のハードウェアを必要とすることなく、高い利便性で簡便にかつ高い信頼性によって、メンテナンスモードの認証を可能とするメンテナンスモード認証装置、プログラム及び複合機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、第1の技術手段は、所定のメンテナンスを行うためのメンテナンスモードを有する機器に備えられ、通常の使用モードからメンテナンスモードに移行する際に、所定の認証を行って認証が成功した場合にメンテナンスモードへの移行を許可するメンテナンス認証装置であって、メンテナンス認証装置は、認証を行うための認証パターンが印刷された認証用紙からスキャナ装置で読み込んだ認証パターンを入力し、メンテナンス認証装置に保持された認証用情報と、入力した認証パターンとを照合することにより、認証を行うことを特徴としたものである。
【0010】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、メンテナンスモード認証装置は、認証パターンが複数印刷された認証用紙から読み込まれた複数の認証パターンを入力し、複数の認証パターンのうち、少なくとも1つの認証パターンにおいて認証が成功した場合に、メンテナンスモードへの移行の許可を行うことを特徴としたものである。
【0011】
第3の技術手段は、請求項1に記載の複合機のメンテナンスモード認証装置であって、メンテナンスモード認証装置は、メンテナンスモードにおける使用可能な機能を示す機能リストを記録した機能リストテーブルを保持し、機能リストテーブルは、1または複数の機能リストを保持可能で、各機能リスト毎に、機能リスト名、パスワード、及び使用可能な機能一覧を関係付けて記録可能とし、メンテナンスモード認証装置は、スキャナ装置から読み込んだ認証パターンに対して、機能リストテーブルを参照して機能リスト毎に認証を行い、認証が成功した機能リストに該当する機能のみを使用可能として、メンテナンスモードへの移行を許可することを特徴としたものである。
【0012】
第4の技術手段は、第3の技術手段において、メンテナンスモード認証装置は、認証パターンが複数印刷された認証用紙から読み込まれた複数の認証パターンを入力し、複数の認証パターンのそれぞれに対して、機能リスト毎に認証を行うことを特徴としたものである。
【0013】
第5の技術手段は、第1ないし第4のいずれか1の技術手段において、メンテナンスモード認証装置は、認証パターンとしてバーコードに情報がエンコードされたパターンが入力したときに、バーコードにエンコードされた情報をデコードし、デコードした情報と、認証情報とを照合することにより、認証を行うことを特徴としたものである。
【0014】
第6の技術手段は、請求項1ないし5のいずれか1に記載のメンテナンスモード認証装置の機能を実現するためのプログラムである。
【0015】
第7の技術手段は、請求項1ないし5のいずれか1に記載のメンテナンスモード認証装置と、スキャナ装置とを有する複合機であって、スキャナ装置は、通常のスキャナ装置では複写したときに原画どおりに複写できない画像を読み取る機能を有し、複写不可能な画像で認証パターンが形成された認証用紙から、認証パターンを読み取り、メンテナンスモード認証装置は、スキャナ装置が読み取った認証パターンを入力して認証を行うことを特徴としたものである。
【0016】
第8の技術手段は、請求項6に記載のプログラムを保持するプログラム記憶装置と、スキャナ装置とを有する複合機であって、スキャナ装置は、通常のスキャナ装置では複写したときに原画どおりに複写できない画像を読み取る機能を有し、複写不可能な画像で認証パターンが形成された認証用紙から、認証パターンを読み取り、プログラム記憶装置に記憶されたプログラムは、スキャナ装置が読み取った認証パターンを用いて認証を実行することを特徴としたものである。
【0017】
第9の技術手段は、第7または第8の技術手段において、スキャナ装置は、複原画どおりに複写できない画像として、蛍光インクにより画像形成された認証パターンを読み取る機能を有することを特徴としたものである。
【0018】
第10の技術手段は、第7または第8の技術手段において、スキャナ装置は、原画どおりに複写できない画像として、可視光に対して透明な画像として形成された認証パターンを読み取る機能を有することを特徴としたものである。
【0019】
第11の技術手段は、第10の技術手段において、可視光に対して透明な画像は、赤外線吸収インクもしくは紫外線吸収インクにより形成された画像であることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高い利便性で簡便にかつ高い信頼性によって、メンテナンスモードの認証が可能となる。
特に、メンテナンスモードに移行する際に、パスワード等の特定の操作入力による認証と違い、第三者が横で見ていてもパスワードを盗むことが不可能となり、メンテナンスの信頼性を高めることができる。また、認証用紙に印刷された認証パターンは、通常のスキャナ装置では複写したときに原画どおりに複写できないパターンであるため、原画が印刷された原紙をサービスマン等が持ち帰ってしまえば、第三者は認証できなくなる。また、サービスマン等が行うハードウェアキー操作による認証と異なり、認証パターンを電子メール等でサービスマン等に渡すことができ、利便性が高まる。
【0021】
また、本発明によって、サービスマン等の操作者に対し、必要最低限の機能のみ操作を許可することが可能となり、セキュリティ面での安全性が高まる。さらに操作可能な機能リストを組み合わせた機能リストテーブルを用いて、各機能リスト毎に認証を行うことにより、さらに柔軟な機能リスト別の認証が可能となる。
【0022】
また、認証パターンが複数印刷された認証用紙を用いることにより、サービスマン等は、メンテナンスを行う対象機器の機種ごとに、別々の認証用紙を準備する必要がなく、高い利便性を提供できる。さらに、複数の機種、及び機能リストに対応した認証パターンを複数印刷した認証用紙を用いることにより、複数の機種への対応に加えて、複数の機能リストに対応した柔軟な機能別認証を可能とすることができる。
【0023】
また、原画どおりに複写できない認証パターンを読み取るために、蛍光インク、あるいは可視光に対して透明なインク(例えば、赤外線吸収インクや紫外線吸収インク)を読み取る機能を、複合機のスキャナ装置に備えることにより、認証用紙に印刷された認証パターンの読み込みを確実に行うことができる。
【0024】
上記のような蛍光インクによる認証用紙を印刷する際には、インクジェットプリンタを用いることができ、安価な設備で認証用紙を作成することができる。
また、可視光に対して透明なインクにより認証パターンが印刷された認証用紙を用いることにより、悪意を持った第三者は、認証用紙上に認証パターンが印字されているという事実を知ることができないため、セキュリティ面での安全性が高まる。この場合、スキャナ装置に備えられている光源を、赤外線もしくは紫外線も照射できるものに変更し、光センサを、赤外線もしくは紫外線も感知できるものに変更するだけで実現可能であり、ハードウェアのコストアップを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1は、本発明のメンテナンス認証装置を適用した複合機における動作イメージを説明するための図である。
複合機10は、メンテナンスモードによって所定のメンテナンスが可能に設定されたものであり、複合機10に組み込まれたメンテナンスモード認証装置によってユーザの認証を行い、認証結果に応じてメンテナンスモードの使用を許可する。
【0026】
本発明においては、メンテナンスモードを使用可能とするためのユーザ認証を、通常のスキャナ装置をもった複写機や複合機で複写すると、原画どおりに複写できない認証パターンが印刷された認証用紙20を用いて行うことを特徴としている。従って、このような認証パターンを通常の複合機等で複写しても、原画どおりに複写することができず、認証が無効になる。
この認証用紙20の認証パターンを複合機10によってスキャンして読み込むことで、メンテナンスモード認証装置がその読み込んだ認証パターンに基づいて認証を行い、認証が成功した場合にメンテナンスモードに入る。認証パターンの複写を不可能とする技術手段の具体例については後述する。
【0027】
図2は、本発明のメンテナンス認証装置を適用する複合機の構成例を説明するための図である。複合機10は、原稿等、媒体に記録された画像を読み取るためのスキャナ装置11と、複合機10全体の各要素を制御するための中央処理装置(CPU)12と、複合機を動作させるための各種プログラムを記録するプログラム記憶装置(ROM)13と、データ記憶装置(RAM)14と、複合機を操作するための入力を受け付けるキー入力装置15と、各種情報を表示するための表示装置16と、本発明に係わるメンテナンスモード認証装置17と、データ保管装置(HDD)18と、画像やテキストを印刷出力するプリンタ装置19と、を有している。なお、メンテナンスモード認証装置17は、プログラムの状態で、プログラム記憶装置14に記憶された状態で存在する場合もあり、当該プログラムによってメンテナンスモード認証装置17と同様の機能を実現することができる。
【0028】
以下に、本発明に係わるメンテナンスモード認証装置の実施形態について具体的に説明する。各実施形態のメンテナンスモード認証装置は、上記図2に示すごとくの複合機10に適用可能であるが、図2の構成に限定されることなく、メンテナンスモードを有して、その認証を行ってアクセスを制限するようにした複合機等に適用することができる。
【0029】
(実施形態1)
図3は、本発明の第1の実施形態を説明するための図で、本実施形態の認証に使用する認証用紙の一例を示す図である。図1に示すように、本例の認証用紙20には、ヘッダ部21と認証部22とが印刷されている。ヘッダ部21には、例えば、使用する複合機の機種名とそのVersion情報(例えば、複合機を動作させるファームウェアのVersion情報)が記載されていて、対象機種に応じた認証用紙の選択を容易にしている。
【0030】
認証部22は、本認証用紙を用いて認証行うための画像である認証パターンが印刷された部分であり、この認証部22の認証パターンが、通常のスキャナ装置で複写すると原画どおり複写できない画像として形成されている。これによって、本認証用紙20を複写した紙を用いても、複合機10の認証が無効となり、メンテナンスモードを使用することができない。
【0031】
メンテナンスモードを使用するサービスマン等は、上記のような認証用紙20を複合機10のコンタクトガラス上の所定位置に乗せて、スキャナ装置11によってその認証部22の認証パターンを読み込む。メンテナンスモード認証装置17は、読み込んだ認証パターンの情報と予め保持している認証用情報とを照合し、その照合結果に応じてメンテナンスモードへの移行の可否を判断する。認証用情報は、メンテナンスモード認証装置17の内部メモリに保持しておくが、この他、プログラム記憶装置13、またはデータ保管装置18もしくはデータ記憶装置14に記憶しておくようにしてもよい。
【0032】
認証部22に形成される認証パターンの一例として、認証パターンを二次元バーコードの画像として形成する。ここでは、ヘッダ部21に記録された機種名情報及びVersion情報、及び、後述する機能リスト名、パスワード等を必要に応じてエンコードして、二次元バーコードを生成し、この二次元バーコードを上記の認証パターンとして画像形成する。二次元バーコードは、図3に示すようなマトリックス型のみならず、スタック型のものでもよい。この他、認証パターンとして一次元のバーコードを用いてもよい。
また、認証パターンにエンコードする情報は、上記の機種名情報やVersion情報のみならず、メンテナンスモード認証装置17で認証可能な情報であれば適宜設定することができる。
【0033】
スキャナ装置11で読み込まれた認証パターンは、メンテナンスモード認証装置17でデコードされ、メンテナンスモード認証装置17で保持している認証用情報と比較照合して認証が行われ、メンテナンスモードへの移行の可否が判断される。上記認証が成功してメンテナンスモードへ移行する場合、中央処理装置12がメンテナンスモードを起動する。
【0034】
上記の認証パターンの他の例として、機種名やVersion情報等の元の文字列をMB5等の暗号化アルゴリズムで暗号化して生成した文字列を印字してもよい。また、後述する可視光で透明なインクを用いるのであれば、暗号化せずに文字列をそのまま印字することも考えられる。この他、画像情報自体を認証用情報としてメンテナンスモード認証装置17で保持し、スキャナ装置11が読み込んだ画像情報と、上記の認証用情報との一致度に応じて認証の可否を判断するようにしてもよい。
【0035】
次に、複写すると原画どおりに複写できず、認証が無効となる画像の形成手段の具体例について説明する。上述のように、認証部22には認証パターンが形成されている。
原画どおりに複写できない認証パターンは、蛍光インクを用いることによって実現することができる。そして、複合機10のスキャナ装置11に蛍光インクを読み取る機能を付与しておく。これによって、蛍光インクで画像形成された認証部22の認証パターンをスキャナ装置11で読みとることができるようになり、メンテナンスモード認証装置17は、読み取った認証パターンの画像情報を認証用情報と照合して、メンテナンスモードへの移行の可否を判断することができる。
【0036】
上記蛍光インクで形成された画像は、通常のスキャナ装置を用いた複写機や複合機では原画どおりに複写できないため、認証用紙20を複写したものでは、本複合機のメンテナンスモード認証装置17で認証することができない。すなわち、本例のような認証用紙20による画像情報の照合を行うことにより、認証部22に認証パターンが画像形成された原紙をサービスマン等が携行し、複合機10でメンテナンスを行った後に、その原紙を持ち帰ってしまえば、権限のない第三者がメンテナンスモードを許可なく使用することを防止することができる。また認証用紙20に画像形成された認証パターンは、第三者が見ても安全であり、サービスマン等が第三者の目を気にする必要もなくなり、信頼性の高いセキュリティを実現することが可能となる。
【0037】
上記のような蛍光インクによる画像は、インクジェットプリンタを用いて形成することができるため、安価な汎用の設備で簡便に認証用紙を作成することができる。
【0038】
原画どおりに複写できない認証パターンを形成するための他の手段として、可視光域で透明なインク、例えば、赤外線吸収インク、あるいは紫外線吸収インクを用いることができる。複合機10のスキャナ装置11には、使用する認証用紙20に応じて赤外線吸収インク、または紫外線吸収インクを読み取る機能を付与しておく。例えば、スキャナ装置11に備えられている光源を、使用する認証用紙20に応じて赤外線もしくは紫外線を照射できるものに変更し、スキャナ装置11の光センサを赤外線もしくは紫外線を感知できるものに変更することで、ハードウェアのコストアップを抑えて上記の機能を実現することができる。
【0039】
上記の構成によって、赤外線吸収インクまたは紫外線吸収インクで画像形成された認証部22の認証パターンをスキャナ装置11で読みとることができるようになり、メンテナンスモード認証装置17は、読み取った画像情報を認証用情報と照合して、メンテナンスモードへの移行の可否を判断することができる。
【0040】
赤外線吸収インクまたは紫外線吸収インクで形成された認証パターンは、通常のスキャナ装置を用いた複写機や複合機では複写できないため、認証用紙20を複写したものでは、本複合機のメンテナンスモード認証装置17で認証することができない。本例のような認証用紙20による認証パターンの照合を行うことにより、認証パターンが画像形成された原紙をサービスマン等が携行し、複合機10でメンテナンスを行った後に、その原紙を持ち帰ってしまえば、権限のない第三者がメンテナンスモードを許可なく使用することを防止できる。また認証用紙20に画像形成された認証パターンは、可視光域では透明であるため、第三者は認証用紙20上に認証用の画像が形成されているという事実を知ることができない。従ってサービスマン等は第三者の目を気にする必要がなくなり、信頼性の高いセキュリティを実現することが可能となる。
【0041】
また、上記のような原画どおりに複写できない認証パターンの画像データは、電子メール等によりサービスマン等に渡すことができるため、例えば遠隔地であっても印刷装置を用いて認証用紙20を作成することができ、高い利便性を享受することができる。
上記のような蛍光インクや、紫外線吸収インクもしくは赤外線吸収インクを用いて認証パターンを形成する手法は、後述する各実施形態において適用することができる。
【0042】
図4は、本発明の第1の実施形態に関わる認証処理を説明するためのフローチャートである。
まず、サービスマン等が、メンテナンスモード認証装置17で認証を行うための認証用紙を印刷する(ステップS1)。ここでは認証用紙として、上記図3に示した形式の認証用紙20を印刷するものとする。
そして、印刷した認証用紙20を、メンテナンスモード認証装置17が組み込まれた複合機10のスキャナ装置11でスキャンする(ステップS2)。メンテナンスモード認証装置17では、スキャンされた認証用紙20の認証パターンを照合して、認証が成功したかどうかを判断する(ステップS3)。そして認証が成功すれば、メンテナンスモードに入り(ステップS4)、認証が失敗すれば、複合機10の表示装置16に認証が失敗した旨を表示する(ステップS5)。
【0043】
(実施形態2)
図5は、本発明の第2の実施形態を説明するための図で、本実施形態の認証に使用する認証用紙の一例を示す図である。本実施形態に用いる認証用紙20は、複合機の複数の機種に対応できるように、機種毎に異なる認証用パターンが複数の認証部22に併記して印刷されている。また、複数の認証部22のそれぞれに対応するヘッダ部21を設け、対応する機種名やファームウェア等のVersion情報を印刷しておく。
そして、複合機10では、上記のような複数の認証パターンが併記された認証用紙20をスキャナ装置11にてスキャンして、複数の認証パターンを読み込み、メンテナンスモード認証装置17において、その読み込んだ認証パターンの情報と、予め保持している認証用情報とを照合し、その照合結果に応じてメンテナンスモードへの移行の可否を判断する。
【0044】
このときに、本実施形態では、メンテナンスモード認証装置17は、読み込んだ複数の認証パターンのうち、自機種の認証用情報で認証可能な認証パターンがひとつでも存在すれば、メンテナンスモードへの移行を許可する。
【0045】
このように、複数の認証用パターンからの認証を可能とすることにより、サービスマン等は、機種毎に別々の認証用紙を携行する必要がなく、最低限の認証用紙で複数の機種のメンテナンスを可能とすることができる。
【0046】
図6は、本発明の第2の実施形態に関わる認証処理を説明するためのフローチャートである。
まず、サービスマン等が、メンテナンスモード認証装置17で認証を行うための認証用紙を印刷する(ステップS11)。ここでは認証用紙として、上記図5に示した形式の認証用紙20を印刷するものとする。
そして、印刷した認証用紙20をメンテナンスモード認証装置17が組み込まれた複合機10のスキャナ装置11でスキャンする(ステップS12)。スキャンした認証用紙20には、複数の認証パターンが印刷されているため、複数の認証パターンの数だけ、繰り返して認証を行う(ステップS13〜S15)。ここでは、それぞれの認証パターン毎に認証を行って、認証パターンの数だけ認証が成功するまで認証を繰り返すが、いずれかの認証パターンで認証が成功すれば、その時点でメンテナンスモードに入るようにする(ステップS17)。また、認証パターンの数だけ認証を行っても認証が成功しなかった場合は、認証失敗の旨を表示装置16に表示する(ステップS16)。
【0047】
(実施形態3)
図7は、本発明の第3の実施形態を説明するための図で、本実施形態のメンテナンスモード認証装置が保持する機能リストテーブルの一例を示す図である。メンテナンスモード認証装置17は、メンテナンスモードで使用する複数の機能のうち、特定の機能のみを使用できるようにするために機能リストテーブルを保持しておくことができる。機能リストテーブルには、例えば、図7に示すように、特定の機能を指定する機能リスト(A〜D)と、各機能リストを使用するためのパスワード(P1〜P4)を設定することができる。図示するように、機能リストは、複数設定が可能であり、ユーザが所望の機能リストを選択することにより、特定の機能のみを限定して使用可能とすることができる。また、パスワードは機能リスト毎に異なる情報を設定しておくことにより、機能リスト毎にパスワード管理が可能となる。
【0048】
図8は、本発明の第3の実施形態に使用する認証用紙の一例を示す図である。上記のように、メンテナンスモード認証装置17に機能リストテーブルを設定した場合に、認証用紙20としては図8に示すような認証用紙20を用いることができる。
図8に示す認証用紙20は、機能リストテーブルに設定された特定の機能リストのみを認証できるようになっている。すなわち、認証用紙のヘッダ部21には、図3の例で示したごとくの複合機の機種名及びVersion情報に加えて、特定の機能リストを示す(図8の例では機能リストA)情報が記載される。
【0049】
そして認証部22に画像形成される認証パターンは、機種名及びVersion情報に加えて機能リスト名、及びパスワード情報をエンコードしてバーコードとして書き込んでおく。また、バーコードを使用しない場合にも、メンテナンスモード認証装置17で、機能リスト別に認証可能な画像を設定する。
【0050】
そして、複合機10では、上記のような複数の認証パターンが書き込まれた認証用紙をスキャナ装置11にてスキャンして複数の認証パターンを読み込み、メンテナンスモード認証装置17において、その読み込んだ認証パターンの情報と予め保持している認証用情報とを照合し、その照合結果に応じてメンテナンスモードへの移行の可否と、このときの使用可能な機能リストとを判断する。このとき、メンテナンスモード認証装置17では、機能リストテーブルに登録された各機能リストのそれぞれを認証モードとして、各認証モード毎に認証を行っていき、入力した認証パターンとの間で認証可能な機能リストが存在すれば、メンテナンスモードへ移行し、認証された認証モードの機能リストに応じた機能のみの操作を許可する。
このように、複合機のメンテナンスモードにおける特定の機能のみの操作を許可することで、安全面における信頼性を高めることができる。
【0051】
図9は、本発明の第3の実施形態に関わる認証処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
まず、サービスマン等が、メンテナンスモード認証装置17で認証を行うための認証用紙を印刷する(ステップS21)。ここでは認証用紙として、上記図8に示した形式の認証用紙20を印刷するものとする。
そして、印刷した認証用紙20を、メンテナンスモード認証装置17が組み込まれた複合機10のスキャナ装置11でスキャンする(ステップS22)。メンテナンスモード認証装置17では、スキャナ装置11で読み込んだ認証パターンに対して、複数の認証モード(機能リストテーブルに記録された各機能リスト)の数だけ、繰り返して認証を行う(ステップS23〜S25)。
【0052】
ここでは、それぞれの認証モード(機能リスト)毎に認証を行って、認証モードの数だけ認証が成功するまで認証を繰り返すが、いずれかの認証モードで認証が成功すれば、その時点でメンテナンスモードに入り、認証モードに応じた機能の操作を許可する(ステップS27)。また、認証モードの数だけ認証を行っても認証が成功しなかった場合は、認証失敗の旨を表示装置に表示する(ステップS26)。
【0053】
(実施形態4)
図10及び図11は、本発明の第4の実施形態を説明するための図で、本実施形態の認証に使用する認証用紙の例をそれぞれ示す図である。
本実施形態では、メンテナンスモード認証装置17に上記のごとくの機能リストテーブルを設定した場合に、認証用紙として図10に示すような認証用紙20を用いることができる。
本実施形態の認証用紙20には、対象機種及びその機能リストが特定可能な認証用パターンを複数併記して印刷してある。複数の認証用パターンのそれぞれは、図8に示すごとくのもので、例えば、複合機の機種名及びVersionを特定できる情報に加えて、機能リスト、パスワード情報が記録される。
【0054】
この場合、同一の機種で異なる機能リストを認証する場合に、図10のような認証用紙20を使用することができる。また、図11では、機種,Versionと機能リストとの組み合わせが異なる認証用パターンを複数併記している。
【0055】
複合機10では、上記のような複数の認証パターンが併記された認証用紙20をスキャナ装置11にてスキャンして、複数の認証パターンを読み込み、メンテナンスモード認証装置17において、その読み込んだ認証部パターンの情報と予め保持している認証用情報とを照合し、その照合結果に応じてメンテナンスモードへの移行の可否と、このときの使用可能な機能リストとを判断する。
【0056】
このときに、本例では、メンテナンスモード認証装置17は、読み込んだ複数の認証パターンのうち、認証可能な複合機の機種であって、機能リストテーブルの認証用情報で認証可能な認証パターンが存在すれば、認証可能な機能リストの機能に限定したメンテナンスモードへの移行を許可する。
【0057】
図12は、本発明の第4の実施形態に関わる認証処理を説明するためのフローチャートである。
まず、サービスマン等が、メンテナンスモード認証装置で認証を行うための認証用紙を印刷する(ステップS31)。ここでは認証用紙として、上記図10または図11に示した形式の認証用紙20を印刷するものとする。
そして、印刷した認証用紙20を、メンテナンスモード認証装置17が組み込まれた複合機10のスキャナ装置17でスキャンする(ステップS32)。スキャンした認証用紙20には、複数の認証パターンが印刷されているため、各認証パターン毎に、複数の認証モード(機能リストテーブルに記録された各機能リスト)の数だけ、繰り返して認証を行う。すなわち、認証モード(機能リスト)の数だけ認証を繰り返す処理を、複数の認証パターンの数だけ繰り返して実行する(ステップS33〜S37)。
【0058】
ここで、いずれかの認証モードで認証が成功すれば、認証モードに応じた機能の操作を許可する(ステップS40)。そして、認証パターンの数だけ認証を繰り返した後、操作を許可された機能があるかどうかを判断し(ステップS38)、ステップS40で許可された機能があれば、メンテナンスモードに入り(ステップS41)、許可された機能がなければ、認証失敗の旨を表示装置に表示する(ステップS39)。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、スキャナ装置による画像読み込み機能を備え、メンテナンスモードへの認証を経てメンテナンスを行うようにした、各種の画像処理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明のメンテナンス認証装置を適用した複合機における動作イメージを説明するための図である。
【図2】本発明のメンテナンス認証装置を適用する複合機の構成例を説明するための図である。
【図3】本発明の第1の実施形態を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に関わる認証処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態を説明するための図で、本実施形態の認証に使用する認証用紙の一例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に関わる認証処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態を説明するための図で、本実施形態のメンテナンスモード認証装置が保持する機能リストテーブルの一例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に使用する認証用紙の一例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に関わる認証処理の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第4の実施形態を説明するための図で、本実施形態の認証に使用する認証用紙の例を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施形態を説明するための他の図で、本実施形態の認証に使用する認証用紙の他の例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に関わる認証処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
10…複合機、11…スキャナ装置、12…中央処理装置(CPU)、13…プログラム記憶装置(ROM)、14…データ記憶装置(RAM)、15…キー入力装置、16…表示装置、17…メンテナンスモード認証装置、18…データ保管装置(HDD)、19…プリンタ装置、20…認証用紙、21…ヘッダ部、22…認証部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のメンテナンスを行うためのメンテナンスモードを有する機器に備えられ、通常の使用モードから前記メンテナンスモードに移行する際に、所定の認証を行って認証が成功した場合に前記メンテナンスモードへの移行を許可するメンテナンス認証装置であって、
該メンテナンス認証装置は、認証を行うための認証パターンが印刷された認証用紙からスキャナ装置で読み込んだ該認証パターンを入力し、該メンテナンス認証装置に保持された認証用情報と、前記入力した認証パターンとを照合することにより、前記認証を行うことを特徴とするメンテナンスモード認証装置。
【請求項2】
請求項1に記載のメンテナンスモード認証装置において、前記メンテナンスモード認証装置は、前記認証パターンが複数印刷された認証用紙から読み込まれた該複数の認証パターンを入力し、該複数の認証パターンのうち、少なくとも1つの認証パターンにおいて前記認証が成功した場合に、前記メンテナンスモードへの移行の許可を行うことを特徴とするメンテナンスモード認証装置。
【請求項3】
請求項1に記載の複合機のメンテナンスモード認証装置であって、前記メンテナンスモード認証装置は、前記メンテナンスモードにおける使用可能な機能を示す機能リストを記録した機能リストテーブルを保持し、該機能リストテーブルは、1または複数の機能リストを保持可能で、各機能リスト毎に、機能リスト名、パスワード、及び使用可能な機能一覧を関係付けて記録可能とし、
前記メンテナンスモード認証装置は、前記スキャナ装置から読み込んだ認証パターンに対して、前記機能リストテーブルを参照して前記機能リスト毎に認証を行い、認証が成功した機能リストに該当する機能のみを使用可能として、メンテナンスモードへの移行を許可することを特徴とするメンテナンスモード認証装置。
【請求項4】
請求項3に記載のメンテナンスモード認証装置において、該メンテナンスモード認証装置は、前記認証パターンが複数印刷された認証用紙から読み込まれた該複数の認証パターンを入力し、該複数の認証パターンのそれぞれに対して、前記機能リスト毎に認証を行うことを特徴とするメンテナンスモード認証装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1に記載のメンテナンスモード認証装置において、該メンテナンスモード認証装置は、前記認証パターンとしてバーコードに情報がエンコードされたパターンが入力したときに、該バーコードにエンコードされた情報をデコードし、該デコードした情報と、前記認証情報とを照合することにより、認証を行うことを特徴とするメンテナンスモード認証装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1に記載のメンテナンスモード認証装置の機能を実現するためのプログラム。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれか1に記載のメンテナンスモード認証装置と、スキャナ装置とを有する複合機であって、前記スキャナ装置は、通常のスキャナ装置では複写したときに原画どおりに複写できない画像を読み取る機能を有し、該複写不可能な画像で前記認証パターンが形成された前記認証用紙から、前記認証パターンを読み取り、前記メンテナンスモード認証装置は、前記スキャナ装置が読み取った認証パターンを入力して前記認証を行うことを特徴とする複合機。
【請求項8】
請求項6に記載のプログラムを保持するプログラム記憶装置と、スキャナ装置とを有する複合機であって、前記スキャナ装置は、通常のスキャナ装置では複写したときに原画どおりに複写できない画像を読み取る機能を有し、該複写不可能な画像で前記認証パターンが形成された前記認証用紙から、前記認証パターンを読み取り、前記プログラム記憶装置に記憶されたプログラムは、前記スキャナ装置が読み取った認証パターンを用いて前記認証を実行することを特徴とする複合機。
【請求項9】
請求項7または8に記載の複合機において、前記スキャナ装置は、前記複原画どおりに複写できない画像として、蛍光インクにより画像形成された認証パターンを読み取る機能を有することを特徴とする複合機。
【請求項10】
請求項7または8に記載の複合機において、前記スキャナ装置は、前記原画どおりに複写できない画像として、可視光に対して透明な画像として形成された認証パターンを読み取る機能を有することを特徴とする複合機。
【請求項11】
請求項10に記載の複合機において、前記可視光に対して透明な画像は、赤外線吸収インクもしくは紫外線吸収インクにより形成された画像であることを特徴とする複合機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−41906(P2006−41906A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218728(P2004−218728)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】