説明

複合認証装置

【課題】本人拒否が発生してしまった場合において、セキュリティ性を確保しつつ、本人拒否が発生した登録者を救済して利便性を向上させることができる複合認証装置を提供する。
【解決手段】複合認証装置において、そのタグの所持者を識別するための固有のID情報を有するRFIDタグと、タグ検出範囲内のRFIDタグのID情報を読み取りRFID認証を行うRFID認証手段と、人の生体情報を読み取り生体認証を行う生体認証手段と、RFID認証手段のRFID認証結果と生体認証手段の生体認証結果とに少なくとも基づいて、最終的な認証が成功したか否かを判定する判定手段と、を備え、判定手段は、生体認証手段の生体認証結果を少なくとも要件に含む所定の仮登録実施条件が成立した場合には生体情報の仮登録を行い、生体認証手段は、仮登録以後、当該仮登録の生体情報を用いて生体認証を行う構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複合認証装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においては、個人認証装置として、認証対象となる人の生体情報を取得することにより本人認証を行う生体認証装置と、タグ内の情報を無線通信に読み取ることができるRFID(Radio Frequency IDentification)タグとを組み合わせて用いる複合認証装置というものが知られている。
【0003】
図14は、この従来における複合認証装置の構成の一例を示すものである。この図において、6はタグ検出範囲内にあるRFIDタグのID情報を読み取るためのRFID読取部、7は通行を許可された者のIDである登録済みのID情報が記憶されているRFID登録情報記憶部、8はこのRFID読取部6から送られたID情報とRFID登録情報記憶部7に記憶されている登録済みのID情報とを照合してID認証処理を行うRFID認証部である。
【0004】
また、9は生体情報を読み取るための生体情報読取部、10は通行を許可された者の顔画像を登録済みの生体情報として記憶する生体登録情報記憶部、11は生体情報読取部9により読み取られた生体情報と生体登録情報記憶部10から取得した生体情報とを照合して生体認証処理を行う生体認証部である。
そして、12はID認証結果及び生体認証結果に基づいて、最終的な認証が成功か否か(通行を許可するか否か)を判定するための所定の判定条件を満たしているか否かを判定する判定部、13は認証操作者に対して判定部12における認証判定結果を表示する表示部、14は複合認証装置に対する認証操作やこの認証操作に対する認証結果等を通行情報として記憶する通行情報記憶部である。
【0005】
また、従来における複合認証装置の他の例としては、例えば、特許文献1−3に記載されているようなものもある。特許文献1に記載されているものは、RFIDタグから指紋の生体認証情報を読み取り、指紋認識装置が読み取った指紋の生体情報との照合によって個人認証を行うものである。そして、この指紋による認証に成功した場合には、さらに顔画像を撮影して登録し、以後、この登録した顔画像を用いて個人認証を行うことができるようにしたものである。
【0006】
特許文献2には、RFIDタグに記録された固有IDに基づく認証と生体認証とを併用するようにしたものが記載されている。
また、特許文献3には、個人の生体情報を予め生体情報テーブルに記憶しておき、RFIDタグから読み取ったIDに対応する生体情報を読み出して照合を行う複合認証装置が記載されている。この特許文献3に記載された複合認証装置は、RFIDタグからIDを読み取ると、このIDに対応する生体情報を生体情報テーブルから読み出して事前に照合用テーブルに格納しておく。そして、その後に生体認証装置により生体情報が読み取られると、この読み取られた生体情報と照合用テーブルに格納された生体情報とを照合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−293172号公報
【特許文献2】特開2006−119775号公報
【特許文献3】特開2007−066107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、生体情報を認証に用いる生体認証においては、認証に用いる生体情報の状態が登録時と照合時とで必ずしも同一ではないため、この状態の違いによって認証精度が左右されてしまう。そして、このため、登録者本人が照合操作を行ったにも関わらず、認証が許可されない場合である本人拒否(FR:False Reject)が発生する場合が存在する。
【0009】
しかしながら、上述した従来の複合認証装置においては、本人拒否が発生した場合にどのように対処するのかについては一切考慮がなされていない。従って、何らかの原因によって、ある特定の登録者において本人拒否が連続して発生してしまった場合、当該登録者は、本来認証されるはずであるのにも関わらず何度も認証に失敗してしまうため、利便性が著しく低下してしまうという課題がある。特に、登録者の顔画像を生体情報として用いる場合、顔画像を撮影する環境(例えば明るさ等)の影響を受けやすい。
【0010】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、ある登録者において本人拒否が発生してしまった場合において、セキュリティ性を確保しつつ、本人拒否が発生した登録者を救済して利便性を向上させることができる複合認証装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る複合認証装置においては、そのタグの所持者を識別するための固有のID情報を有するRFIDタグと、タグ検出範囲内の前記RFIDタグの前記ID情報を読み取りRFID認証を行うRFID認証手段と、人の生体情報を読み取り生体認証を行う生体認証手段と、前記RFID認証手段のRFID認証結果と前記生体認証手段の生体認証結果とに少なくとも基づいて、最終的な認証が成功したか否かを判定する判定手段と、を備え、前記判定手段は、前記生体認証手段の生体認証結果を少なくとも要件に含む所定の仮登録実施条件が成立した場合には生体情報の仮登録を行い、前記生体認証手段は、前記仮登録以後、当該仮登録の生体情報を用いて生体認証を行う構成とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明は複合認証装置において、ある登録者において本人拒否が発生してしまった場合において、セキュリティ性を確保しつつ、本人拒否が発生した登録者を救済して利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の構成概略を示す平面図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の仮登録実施に至る動作を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の仮登録操作における動作を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の認証動作を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の不審人物登録動作を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の不審人物検出動作を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の複数タグ検出時における仮登録実施に至る動作を説明する図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置のRFID検出・認証処理の流れを示すフロー図である。
【図10】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の照合予定リスト更新処理の流れを示すフロー図である。
【図11】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の生体認証処理の流れを示すフロー図である。
【図12】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の仮登録処理の流れを示すフロー図である。
【図13】この発明の実施の形態1に係る複合認証装置の不審者照合処理の流れを示すフロー図である。
【図14】従来における複合認証装置の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0015】
実施の形態1.
図1から図13は、この発明の実施の形態1に係るものである。図1に複合認証装置の構成概略を示す。
この図1において、1は、当該複合認証装置が設置された施設内において仕切られて入退室制限が課された区画の1つである部屋である。この部屋1には、人がこの部屋1内に出入りするための出入口が設けられている。この出入口は扉2により開閉される。そして、この扉2は図示しない電気錠により施解錠可能である。
【0016】
この扉2を通過して部屋1に対して入退室しようとする人は、例えばIDカード等のRFIDタグ3を携行している。このRFIDタグ3には、このタグの所有者を識別する識別子である各タグに固有のIDがID情報として予め記憶されている。そして、扉2又は扉2の近傍の壁面には、RFIDタグ3に記憶されたID情報を読み取るためのRFIDタグリーダ機能を有する複合認証装置本体4が設置されている。この複合認証装置本体4によりRFIDタグ3に記憶された情報を読み取ることができる範囲は、複合認証装置本体4を中心とした略円形の範囲である。この範囲は、図1においてタグ検出範囲5として示されている。
【0017】
また、複合認証装置本体4は、前述したRFIDタグリーダ機能の他に、生体認証機能も併せ持っている。ここでは、生体認証に用いる生体情報として、人の顔を撮影した顔画像を採用した場合について説明する。なお、人の指表面や目等を撮影し、指紋・虹彩・静脈等の他の生体情報を得て認証に用いることも可能である。もちろん、複数の生体情報を組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0018】
図2は複合認証装置の全体構成を示すブロック図である。
複合認証装置本体4には、タグ検出範囲5内にあるRFIDタグ3のID情報を読み取るためのRFID読取部6が備えられている。RFID登録情報記憶部7には、通行を許可された者のIDである登録済みのID情報が記憶されている。RFID読取部6で読み取られたタグ検出範囲5のRFIDタグ3のID情報は、RFIDタグ3の認証を行うためのRFID認証部8へと送られる。そして、RFID認証部8では、このRFID読取部6から送られたID情報とRFID登録情報記憶部7に記憶されている登録済みのID情報とを照合してID認証処理を行う。
【0019】
複合認証装置本体4には、生体情報を読み取るための生体情報読取部9も備えられている。ここでは、生体認証に用いる生体情報として人の顔画像を採用しているため、この生体情報読取部9は、例えば、人の顔画像を撮影するためのカメラから構成されている。このカメラは、撮影範囲に人の顔が入っていることを認識し、この認識した撮影範囲内の人の顔を撮影する機能を有している。
【0020】
生体登録情報記憶部10は、通行を許可された者の顔画像を登録済みの生体情報として記憶している。この生体登録情報記憶部10は、顔画像と当該顔画像の所有者のID情報とを対応付けた状態で記憶している。
生体情報読取部9により認識されて撮影された(読み取られた)生体情報である顔画像は、生体認証を行うための生体認証部11へと送られる。生体認証部11は、通行が許可された顔画像(生体登録情報)を、生体登録情報記憶部10から取得する。そして、生体情報読取部9により読み取られた生体情報と生体登録情報記憶部10から取得した生体情報とを照合して生体認証処理を行う。
【0021】
RFID認証部8におけるID認証結果と生体認証部11における生体認証結果とは、判定部12へと送られる。この判定部12は、これらのID認証結果及び生体認証結果に基づいて、最終的に認証成功か否か(通行を許可するか否か)を判定するための所定の判定条件を満たしているか否かを判定する。所定の判定条件が満たされていると判定した場合には、通行が許可される。この場合、判定部12から電気錠の動作を制御する電気錠制御部(図示せず)へと解錠指令が送られる。そして、電気錠制御部はこの解錠指令に従って電気錠を解錠する。所定の判定条件が満たされていないと判定した場合には、通行は許可されない。この場合は、解錠指令は出力されず電気錠は施錠された状態が維持される。
【0022】
複合認証装置本体4には表示部13が備えられている。この表示部13は、認証操作者に対して、判定部12における認証判定結果を表示するものである。すなわち、判定部12での認証判定により通行が許可された場合には認証が成功し通行が許可された旨が表示される。また、判定部12での認証判定により通行が許可されなかった場合には認証に失敗し通行不許可である旨が表示される。
【0023】
複合認証装置本体4に対する認証操作や、この認証操作に対する認証結果等は、通行情報として通行情報記憶部14に記憶される。また、認証操作、認証結果や判定部12での判定により、所定の通知情報が発生した場合には、管理者通知部15により施設内の図示しない管理室の(複合認証装置の)管理者へと、この所定の通知情報が通知される。
【0024】
複合認証装置本体4の周囲に形成されるタグ検出範囲5は、RFID電波制御部16によりその大きさが制御されている。すなわち、RFID電波制御部16は、RFID読取部6から放射する電波強度等を制御することによりタグ検出範囲5の大きさを制御している。
【0025】
さらに、生体登録情報記憶部10には、生体登録情報一時記憶部10aが設けられている。この生体登録情報一時記憶部10aは、後に述べる仮登録した生体情報を一時的に記憶しておくものである。また、通行情報記憶部14には、通行情報一時記憶部14aが設けられている。この通行情報一時記憶部14aは、認証結果のうち、特に、生体認証部11における生体認証に失敗した際の記録を、それぞれのID情報毎に整理した状態で、一時的に記憶しておくものである。判定部12は、この通行情報一時記憶部14aに記憶された情報に基づいて、仮登録を実施するか否かを判定する。そして、所定の仮登録実施条件が満たされていると判定される場合には、生体登録情報一時記憶部10aに生体情報を仮登録する。
【0026】
図3は、複合認証装置が仮登録実施に至る動作、すなわち、仮登録条件の判定動作を示すものである。ここでは、生体登録情報記憶部10に登録されている総人数が5人であり、タグ検出範囲5内には、1つのRFIDタグ3、すなわち、1人の認証操作者が存在する場合を例に挙げて説明する。
【0027】
タグ検出範囲5内にはRFIDタグ3を所持した1人の認証操作者がいる。RFID読取部6はこのタグ検出範囲5内のRFIDタグ3からID情報を読み取る。そして、RFID認証部8において、この読み取ったID情報についてRFID登録情報記憶部7の記録内容を参照しつつID認証を行う。ここでは、このRFIDタグ3にはIDが「1」のID情報が記憶されており、ID認証は成功したとする。
【0028】
この認証操作者が、複合認証装置本体4の前にくると生体情報読取部9により当該認証操作者の生体情報が読み取られる(カメラにより顔画像を撮影する)。そして、生体認証部11において、この読み取った生体情報(図中の生体認証操作実施照合データ)と生体登録情報記憶部10に登録されている生体情報との総当り照合が行われる。この照合の結果、読み取った生体情報は、生体登録情報記憶部10に記憶されている生体情報のいずれとも生体認証閾値以下であって、生体認証NG(失敗)となったとする。
【0029】
この生体認証NG(失敗)となった旨は、当該生体認証操作者のID情報とともに通行情報一時記憶部14aに登録される。この際、この生体認証NG時の生体情報(顔画像)も併せて記憶される。ここでは、「ID:1」の操作者が時刻20:19:48、20:20:04及び20:21:15の3回認証操作を行い、これらの3回とも生体認証NGとなったとする。
【0030】
判定部12は、通行情報一時記憶部14aの記憶内容に基づいて、所定の仮登録実施条件が成立したか否かを判定する。ここでは、この所定の仮登録実施条件は、同一IDにおいて、所定の一定期間である仮登録実施判定期間内に、所定の一定回数である仮登録実施判定回数以上、生体認証NGが発生する、という条件であるとする。そして、例えば、この仮登録実施判定期間は5分間、仮登録実施判定回数は3回であるとする。この条件について図3の例でみてみると、通行情報一時記憶部14aに記憶されている情報によれば、時刻20:19:48からの約2分間でID:1の操作者が連続3回生体認証NGとなっている。すなわち、仮登録実施条件は満たされている。従って、判定部12は仮登録実施条件が満たされたと判定し、仮登録操作が実施される。一方、生体認証NGがあったとしても同一IDにおいて仮登録実施判定期間内に仮登録実施判定回数以上の生体認証NGがなかった場合には、仮登録実施条件は満たされず、複合認証装置は通常の状態が維持される。
【0031】
図4は複合認証装置におけるこの仮登録操作を説明するものである。
仮登録操作が実施に移されると、まず、複合認証装置本体4は、タグ検出範囲5を縮小させる。このタグ検出範囲5の縮小は、RFID電波制御部16によりRFID読取部6が発する電波強度等を制御することにより行われる。この際、タグ検出範囲5の大きさは、複合認証装置本体4の前にあるRFIDタグ3の1つのみがタグ検出範囲5内に入る程度に調整される。具体的には、複合認証装置本体4のRFID読取部6を中心とする半径数cm程度の大きさにタグ検出範囲5が縮小される。
【0032】
なお、これに対し、仮登録操作が実施されていない通常の状態においては、タグ検出範囲5は複合認証装置本体4のRFID読取部6を中心とする半径約1m程度の大きさに調整されている。この仮登録操作が実施されていない通常の状態のタグ検出範囲5内には、複数のRFIDタグ3が同時に存在し得る。RFID読取部6は、タグ検出範囲5内に複数のRFIDタグ3を検出した場合には、これら複数のRFIDタグ3のID情報を読み取って、続く生体認証におけるいわゆる先読みを実現することができる。
【0033】
タグ検出範囲5を縮小した後は、生体情報の仮登録を行う。まず、RFID読取部6によりタグ検出範囲5内のRFIDタグ3のID情報を読み取る。次に、生体情報読取部9により複合認証装置本体4の前の操作者の生体情報を読み取る(カメラにより操作者の顔画像を撮影する)。ここで、タグ検出範囲5は複合認証装置本体4の前にある1つのRFIDタグ3のみがタグ検出範囲5内に入る程度に縮小されている。従って、RFID読取部6により読み取ったRFIDタグ3の所持者と、生体情報読取部9により読み取った生体情報の持ち主とは同一人物であると見なすことができる。
【0034】
そこで、ここで読み取った生体情報(図中の仮登録実施登録データ)を、読み取ったID情報に対応付けて生体登録情報一時記憶部10aに登録(仮登録)する。この際、この仮登録データの有効期限も併せて登録される。この有効期限は、当該仮登録を行った時刻から所定の一定時間である仮登録有効時間を加えた時刻とする。
【0035】
そして、生体情報の仮登録が完了すると、複合認証装置本体4は、管理者通知部15から、当該仮登録に関する情報を管理者へと通知する。当該仮登録に関する情報とは、まず、生体登録情報一時記憶部10aに記憶されている当該仮登録を行ったID情報及びこのID情報に対応付けられた仮登録実施登録データの生体情報である。また、加えて、通行情報一時記憶部14aに記憶されている当該仮登録を行ったIDの生体認証NGとなった認証結果情報も管理者へと通知される。こうして、生体情報の仮登録及び仮登録情報の通知が行われると、仮登録操作が終了する。
【0036】
図5は複合認証装置の認証動作を説明する図である。ここでは、図3の場合と同じく、生体登録情報記憶部10に登録されている総人数が5人であり、タグ検出範囲5内には、「1」のID情報を持つ1つのRFIDタグ3、すなわち、1人の認証操作者が存在する場合を例に挙げて説明する。そして、生体登録情報一時記憶部10aには、ID:1に対して有効期限が21:21:00までの仮登録データが記憶されているとする。なお、仮登録実施中ではない通常の状態であるので、タグ検出範囲5は通常の大きさである。
【0037】
この状態において、まず、RFID読取部6はこのタグ検出範囲5内のRFIDタグ3からID情報「1」を読み取る。そして、RFID認証部8において、この読み取ったID情報についてRFID登録情報記憶部7の記録内容を参照しつつID認証を行う。ID認証が成功すると、次に、生体情報読取部9は認証操作者の生体情報を読み取る。そして、生体認証部11において、この読み取った生体情報(図中の生体認証操作実施照合データ)と生体登録情報記憶部10に登録されている生体情報との総当り照合が行われる。
【0038】
また、生体登録情報一時記憶部10aに、RFID認証部8において認証されたIDに対する有効期限が過ぎていない仮登録データが記憶されている場合には、生体認証部11は、この仮登録データとも照合を行う。ここでは、生体登録情報一時記憶部10aに、ID:1に対する有効期限21:21:00までの仮登録データが記憶されており、認証操作はこの有効期限内の20:21:15に行われたとする。そして、有効な仮登録データも含めた照合により、所定の生体認証閾値以上の合致があった場合には、生体認証OK(成功)となり、操作者の通行が許可される。
【0039】
図6は複合認証装置の不審人物登録動作を説明するものである。このように、タグ検出範囲5内にRFIDタグ3が検出されていない状態で、生体情報読取部9で生体情報が読み取られた場合(ここでは、カメラの撮影画像に人の顔が認識された場合)、当該生体情報の持ち主は、RFIDタグ3を所持することなく認証を受けようとする不審者であると推定する(例えば、RFIDタグ3を所持している正統な登録者とともにRFIDタグ3を所持していないものが通行しようとするいわゆる「共連れ」等)。
【0040】
ID情報が読み取られていない状態で生体情報読取部9により生体情報が読み取られた場合には、当該生体情報(図中の生体認証操作実施照合データ)の照合が行われる。この照合においては、当該生体情報と、生体登録情報記憶部10に記憶された登録生体情報との総当り照合が行われる。また、生体登録情報一時記憶部10aに既に有効な不審者の生体情報が登録されている場合には、この生体登録情報一時記憶部10aに記憶された不審者の生体情報も総当り照合の照合相手として加えられる。この図6の例においては、生体登録情報一時記憶部10aに記憶されている不審者1の有効期限が21:21:00であり、問題としている生体情報の検出時刻が20:31:15である。従って、この不審者1の生体情報も照合相手となる。
【0041】
そして、この照合の結果、ID情報が読み取られていない状態で読み取られた生体情報が、生体登録情報記憶部10及び生体登録情報一時記憶部10aに登録されている生体情報のいずれとも合致の程度が所定の生体認証閾値以下である場合、この生体情報読取部9により読み取られた生体情報は、新たな不審者のものであると判断できる。そこで、当該生体情報を新たな不審者(不審者2)として生体登録情報一時記憶部10aに登録する。この際、この不審者登録データの有効期限も併せて登録される。この有効期限は、当該不審者登録を行った時刻から所定の一定時間である不審者登録有効時間を加えた時刻とする。
【0042】
不審者登録が行われると、不審者登録が行われた旨及び当該不審者登録の生体情報及び有効期限等が、管理者通知部15を介して通知される。
【0043】
図7は複合認証装置の不審人物検出動作を説明するものである。タグ検出範囲5内にRFIDタグ3が検出されていない状態で、生体認証操作が行われ、生体情報読取部9で生体情報が読み取られた場合(カメラの撮影画像に人の顔が認識された場合)、前述したように、当該生体情報(図中の生体認証操作実施照合データ)と、生体登録情報記憶部10に記憶された登録生体情報との総当り照合が行われる。また、生体登録情報一時記憶部10aに既に有効な不審者の生体情報が登録されている場合には、この生体登録情報一時記憶部10aに記憶された不審者の生体情報も総当り照合の照合相手として加えられる。
【0044】
この図7の例においては、生体登録情報一時記憶部10aに記憶されている不審者1の有効期限が21:21:00、不審者2の有効期限が21:31:00であり、問題としている生体情報の検出時刻が20:31:15である。従って、この不審者1及び不審者2の生体情報も照合相手となる。
【0045】
そして、このような生体認証部11における照合の結果、生体情報読取部9で読み取られた生体情報が、生体登録情報一時記憶部10aに記憶されている不審者1の生体情報と、生体認証閾値以上の合致がみられたとする。この場合、判定部12は、当該生体認証操作者は不審者1であると判定する。そして、管理者通知部15を介して不審者1を検出した旨を通知する。なお、この場合、当然認証はNGとなる。
【0046】
ところで、前述したように、この複合認証装置においては、仮登録操作中でない通常時には、タグ検出範囲5に複数のRFIDタグ3が存在し得る。そして、複数のRFIDタグ3が検出された状態で生体認証操作が行われて生体認証NGとなった場合、当該生体認証操作を行った操作者が前記複数のRFIDタグ3のうちのどのRFIDタグ3の所有者であるのかというのが問題となる。前述した仮登録を行うには、生体認証NGとなったIDを決定することが必要だからである。
【0047】
このような複数タグ検出時における仮登録実施に至る動作を図8に示す。ここでは、生体登録情報記憶部10に登録されている総人数が5人であり、タグ検出範囲5内には、2つのRFIDタグ3、すなわち、2人の認証操作者が存在する場合を例に挙げて説明する。これらのRFIDタグ3はID「1」及びID「2」のID情報をそれぞれ有するものとする。
【0048】
まず、RFID読取部6はタグ検出範囲5内の2つRFIDタグ3からそれぞれのID情報を読み取る。そして、RFID認証部8において、この読み取ったID情報についてRFID登録情報記憶部7の記録内容を参照しつつID認証を行う。ここで読み取ったID情報は、ID「1」及びID「2」である。このID認証に成功すると、次に、生体認証が行われる。すなわち、複合認証装置本体4の前にいる生体認証操作者の生体情報が、生体情報読取部9により読み取られる。そして、生体認証部11において、この読み取った生体情報(図中の生体認証操作実施照合データ)と生体登録情報記憶部10に登録されている生体情報との総当り照合が行われる。
【0049】
この照合の結果、読み取った生体情報は、生体登録情報記憶部10に記憶されている生体情報のいずれとも生体認証閾値以下であって、生体認証NGとなったとする。この場合、この生体認証NGとなった旨は、通行情報一時記憶部14aに登録される。この際、この生体認証NGの旨は、仮登録実施条件の成立判定に用いるために、当該生体認証操作者のID情報とともに通行情報一時記憶部14aに記憶される。しかしながら、複合認証装置本体4は2つのID情報を検出している状態であるため、これらのID情報のうちどちらのID情報の操作者が当該生体認証操作者であるかを決定する必要がある。
【0050】
この、どちらのID情報の操作者が当該生体認証操作者であるかの決定は、次のようにして行われる。すなわち、先の生体認証の照合において、読み取られた生体情報(生体認証操作実施照合データ)と生体登録情報記憶部10に登録されている生体情報とは、いずれも合致度が生体認証閾値以下であって生体認証NGとなった。しかし、ここで、当該生体認証操作者はID「1」かID「2」のいずれかであるので、判定部12は、読み取られた生体情報(生体認証操作実施照合データ)と生体登録情報記憶部10に登録されているID「1」の生体情報との合致度(スコア)と、読み取られた生体情報(生体認証操作実施照合データ)と生体登録情報記憶部10に登録されているID「2」の生体情報との合致度(スコア)と、を比較する。そして、この合致度(スコア)が良い方(すなわち、より本人らしい方)のIDを当該生体認証操作者のIDとする。
【0051】
このようにして、当該生体認証操作者のIDが決定されると、通行情報一時記憶部14aに、当該生体認証操作者のID、生体認証NGとなった時刻及び生体認証NGとなった旨並びに生体認証NG時の生体情報が、通行情報一時記憶部14aに登録される。ここでは、「ID:1」の操作者が時刻20:19:48、20:20:04及び20:21:15の3回認証操作を行い、これらの3回とも生体認証NGとなったとする。
【0052】
判定部12は、通行情報一時記憶部14aの記憶内容に基づいて、所定の仮登録実施条件が成立したか否かを判定する。ここでは、先の図3の例と同じく、この所定の仮登録実施条件は、同一IDにおいて、所定の一定期間である仮登録実施判定期間内に、所定の一定回数である仮登録実施判定回数以上、生体認証NGが発生する、という条件であるとし、例えば、この仮登録実施判定期間は5分間、仮登録実施判定回数は連続3回であるとする。通行情報一時記憶部14aに記憶されている情報によれば、時刻20:19:48からの約2分間でID:1の操作者が連続3回生体認証NGとなっており仮登録実施条件は満たされている。従って、判定部12は仮登録実施条件が満たされたと判定し、仮登録操作が実施される。
【0053】
図9は複合認証装置のRFID検出・認証処理の流れを示すフロー図である。
まず、複合認証装置本体4の電源が投入されると、ステップS1において、タグ検出範囲5にRFIDタグ3が存在するか否かのRFID検出処理が行われる。次に、ステップS2において、RFIDタグ3が検出できたか否かが確認される。これらステップS1及びS2は、RFIDタグ3が検出できるまで繰り返される。
【0054】
そして、ステップS2において、RFIDタグ3が検出できた場合には、ステップS3へと進む。このステップS3においては、RFID読取部6は、ステップS2で検出したRFIDタグ3に記憶されているID情報を読み出し、RFID登録情報記憶部7から登録データを読み出す。続くステップS4において、RFID認証部8は、RFIDタグ3から読み出したID情報とRFID登録情報記憶部7から読み出した登録データとの照合を行ってRFID認証処理を行う。そして、続くステップS5において、ステップS4のRFID認証処理の結果、RFID認証が可能であるか(成功したか)否かについて確認される。
【0055】
このステップS5において、RFID認証が可能でなくRFID認証に失敗した場合には、ステップS1に戻る。一方、RFID認証が可能でありRFID認証に成功した場合には、ステップS6へと進む。このステップS6においては、生体認証における照合を行う予定であるIDをリストアップした第1の照合予定リストに、先のステップS5でRFID認証に成功したIDを追加登録する。このステップS6の後はステップS1へと戻り、以上の処理が繰り返される。
【0056】
図10は複合認証装置の照合予定リスト更新処理の流れを示すフロー図である。
まず、複合認証装置本体4の電源が投入されると、ステップS7において、所定の一定時間が経過した否かが確認される。そして、この所定の一定時間毎に、ステップS8からS11までの処理が順に実行される。この所定の一定時間は例えば数百ミリ秒程度とする。
【0057】
ステップS7から移行したステップS8においては、照合予定リストの更新処理が開始される。次のステップS9においては、先の図9の動作フローにおいて追加登録がなされた第1の照合予定リストを読み出す。続くステップS10おいては、この読み出した第1の照合予定リストの登録内容でもって、第2の照合予定リストの登録内容を上書きする。そして、続くステップS11において、第1の照合予定リストの登録内容を消去する。このステップS11の後はステップS7へと戻り、以上の処理が繰り返される。このようにして、第2の照合予定リストの登録内容は、タグ検出範囲5内に存在するRFIDタグ3の最新の状態を、常に保持することができる。
【0058】
図11は複合認証装置の生体認証処理の流れを示すフロー図である。
まず、複合認証装置本体4の電源が投入されると、ステップS12において、生体情報読取部9によって生体情報の検出処理が行われる。そして、続くステップS13において、この生体情報検出処理の結果、生体情報が検出できたか否かが確認される。このステップS13において生体情報が検出できなかったことが確認された場合には、ステップS12へと戻る。一方、生体情報が検出できたことが確認された場合には、ステップS14へと進む。
【0059】
ステップS14においては、生体認証部11は、生体情報読取部9で読み取った生体情報と生体登録情報記憶部10に記憶されている生体情報とを照合し生体認証処理を行う。そして、続くステップS15において、ステップS14の生体認証処理の結果、生体認証が可能であるか(成功したか)否かについて確認される。このステップS15において、生体認証に成功したことが確認された場合には、ステップS16へと進み第2の照合予定リストの登録内容を読み出す。
【0060】
ステップS16に続くステップS17においては、先のステップS15において生体認証に成功したことが確認されたIDが、第2の照合予定リストに登録されているIDと一致するか否かが確認される。このステップS17において、生体認証に成功したことが確認されたIDが第2の照合予定リストに登録されているIDと一致することが確認された場合には、ステップS18へと進む。このステップS18においては解錠処理が行われる。ステップS18の後はステップS23へと移行する。一方、ステップS17において、生体認証に成功したことが確認されたIDが第2の照合予定リストに登録されているIDと一致しないことが確認された場合には、ステップS18を飛ばしてステップS23へと移行する。
【0061】
一方、ステップS15において、生体認証に失敗したことが確認された場合には、ステップS19へと進み第2の照合予定リストの登録内容を読み出す。ステップS19に続くステップS20においては、先のステップS15において生体認証に失敗したことが確認されたIDが、第2の照合予定リストに登録されているIDとして1以上含まれているか否かが確認される。このステップS20において、生体認証に失敗したことが確認されたIDが第2の照合予定リストに登録されているIDとして1以上含まれていることが確認された場合には、ステップS21へと進む。このステップS21においては、図12のフロー図に示す仮登録処理が実行される。ステップS21の後はステップS23へと移行する。
【0062】
一方、ステップS20において、生体認証に失敗したことが確認されたIDが第2の照合予定リストに登録されているIDとして1以上含まれていないことが確認された場合には、ステップS22へと進む。このステップS22においては、図13のフロー図に示す不審者照合処理が実行される。ステップS22の後はステップS23へと移行する。
【0063】
ステップS18、S21又はS22から移行したステップS23においては、以上においてなされた認証操作や認証操作の認証結果を、通行情報として通行情報記憶部14に記憶する。そして、続くステップS24において、表示部13にこれまで認証操作の結果を表示する処理を行う。
【0064】
図12は図11のステップS21における仮登録処理の流れを示すフロー図である。
まず、ステップS25において、判定部12は、通行情報一時記憶部14aに記憶されている通行情報を読み出す。次に、ステップS26において、判定部12は予め設定されている所定の仮登録実施条件を取得する。続くステップS27において、判定部12は、通行情報一時記憶部14aの記憶内容に基づいて、仮登録実施条件が成立したか否かを判定する。このステップS27において、仮登録実施条件が成立しないと判定された場合には、仮登録処理は終了し、図11のステップS23に復帰する。
【0065】
一方、ステップS27において、仮登録実施条件が成立したと判定された場合には、ステップS28へと進む。このステップS28においては、RFID電波制御部16により、RFID読取部6のアンテナ動作が制御され、タグ検出範囲5が縮小される。このタグ検出範囲5の縮小は、前述したように、タグ検出範囲5の大きさが、複合認証装置本体4の前にあるRFIDタグ3の1つのみがタグ検出範囲5内に入る程度に調整される。
【0066】
続くステップS29において、所定の仮登録実施制限時間がまだタイムアウトしていないかどうかが確認される。このステップS29において、仮登録実施制限時間がまだタイムアウトしていないことが確認された場合にはステップS30へと進み、生体情報読取部9による生体情報検出処理が行われる。そして続くステップS31において、生体情報が検出できたか否かが確認される。このステップS31において、生体情報が検出できた場合には、ステップS32へと進む。
【0067】
ステップS32においては、第2の照合予定リストの登録内容が読み出される。そして、続くステップS33において、第2の照合予定リストに登録されているIDの数が1であるか否かが確認される。このステップS33において、第2の照合予定リストに登録されているIDの数が1であることが確認された場合には、ステップS34へと進む。このステップS34においては、ステップS30で検出した生体情報を生体登録情報一時記憶部10aに仮登録する処理が行われる。
【0068】
一方、ステップS31において生体情報が検出できなかった場合、及び、ステップS33において第2の照合予定リストに登録されているIDの数が1でないことが確認された場合には、ステップS29へと戻り、仮登録実施制限時間がタイムアウトするまで生体情報検出処理が繰り返される。
【0069】
ステップS34の後、及び、ステップS29において仮登録実施制限時間がタイムアウトしたことが確認された場合には、ステップS35へと移行する。このステップS35においては、以上の仮登録処理の結果について管理者通知部15を介して通知される。続くステップS36において、RFID電波制御部16により、RFID読取部6のアンテナ動作が制御され、タグ検出範囲5が通常の状態に復元される。そして、仮登録処理は終了し、図11のステップS23に復帰する。
【0070】
図13は図11のステップS22における不審者照合処理の流れを示すフロー図である。
まず、ステップS37において、生体登録情報一時記憶部10aに不審者のものとして記憶されている生体情報を読み出す。続くステップS38において、生体情報読取部9により読み取られた生体情報と、先のステップS37で不審者のものとして生体登録情報一時記憶部10aから読み出した生体情報とを照合して生体認証処理を行う。
【0071】
そして、続くステップS39において、生体情報読取部9により読み取られた生体情報が生体登録情報一時記憶部10aの不審者の生体情報と合致して認証された否かが確認される。このステップS39において、生体情報読取部9により読み取られた生体情報が生体登録情報一時記憶部10aの不審者の生体情報と合致して認証された場合は、ステップS41へと進み、既に登録されている不審者が検出されたとして管理者通知部15を介して通知する。そして、図11のステップS23に復帰する。
【0072】
一方、ステップS39において、生体情報読取部9により読み取られた生体情報が生体登録情報一時記憶部10aの不審者の生体情報と合致せず認証されなかった場合は、未登録の不審者が検出されたとしてステップS40へと進む。このステップS40においては、生体情報読取部9により読み取られた生体情報を、新たな不審者のものとして生体登録情報一時記憶部10aに登録する。そして、ステップS41へと進み、新たに不審者登録を行ったとして、管理者通知部15を介して通知した後、図11のステップS23に復帰する。
【0073】
以上のように構成された複合認証装置は、そのタグの所持者を識別するための固有のID情報を有するRFIDタグ3と、タグ検出範囲5内のRFIDタグ3のID情報を読み取りRFID認証を行うRFID認証手段(RFID読取部6、RFID登録情報記憶部7及びRFID認証部8)と、人の生体情報を読み取り生体認証を行う生体認証手段(生体情報読取部9、生体登録情報記憶部10及び生体認証部11)と、RFID認証手段のRFID認証結果と生体認証手段の生体認証結果とに少なくとも基づいて、最終的な認証が成功したか否かを判定する判定手段(判定部12)と、を備え、この判定手段は、生体認証手段の生体認証結果を少なくとも要件に含む所定の仮登録実施条件が成立した場合には生体情報の仮登録を行い、生体認証手段は、仮登録以後、当該仮登録の生体情報を用いて生体認証を行うものである。
【0074】
このため、ある登録者において本人拒否が複数回発生してしまった場合において、セキュリティ性を確保しつつ、本人拒否が発生した登録者を救済して利便性を向上させることができる。
【0075】
また、判定手段は、タグ検出範囲5内にRFIDタグ3が検出されていない状態で、生体認証手段により生体情報が読み取られた場合には、この読み取られた生体情報を不審者の生体情報として登録し、生体認証手段は、不審者の生体情報の登録以後、タグ検出範囲5内にRFIDタグ3が検出されていない状態で、生体認証手段により生体情報が読み取られた場合には、不審者の生体情報を用いて生体認証を行うようにすることで、RFIDタグ3を所持することなく生体認証を受けて不正に認証を成功させようとする不審者を検出するこができ、セキュリティ性を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 部屋
2 扉
3 RFIDタグ
4 複合認証装置本体
5 タグ検出範囲
6 RFID読取部
7 RFID登録情報記憶部
8 RFID認証部
9 生体情報読取部
10 生体登録情報記憶部
10a 生体登録情報一時記憶部
11 生体認証部
12 判定部
13 表示部
14 通行情報記憶部
14a 通行情報一時記憶部
15 管理者通知部
16 RFID電波制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そのタグの所持者を識別するための固有のID情報を有するRFIDタグと、
タグ検出範囲内の前記RFIDタグの前記ID情報を読み取りRFID認証を行うRFID認証手段と、
人の生体情報を読み取り生体認証を行う生体認証手段と、
前記RFID認証手段のRFID認証結果と前記生体認証手段の生体認証結果とに少なくとも基づいて、最終的な認証が成功したか否かを判定する判定手段と、を備え、
前記判定手段は、前記生体認証手段の生体認証結果を少なくとも要件に含む所定の仮登録実施条件が成立した場合には生体情報の仮登録を行い、
前記生体認証手段は、前記仮登録以後、当該仮登録の生体情報を用いて生体認証を行うことを特徴とする複合認証装置。
【請求項2】
前記仮登録の生体情報は、前記仮登録の時から所定の仮登録有効時間だけ有効であるとすることを特徴とする請求項1に記載の複合認証装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記タグ検出範囲内に前記RFIDタグが検出されていない状態で、前記生体認証手段により前記生体情報が読み取られた場合には、この読み取られた前記生体情報を不審者の生体情報として登録し、
前記生体認証手段は、前記不審者の生体情報の登録以後、前記タグ検出範囲内に前記RFIDタグが検出されていない状態で、前記生体認証手段により前記生体情報が読み取られた場合には、前記不審者の生体情報を用いて生体認証を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の複合認証装置。
【請求項4】
前記不審者の生体情報は、登録の時から所定の不審者登録有効時間だけ有効であるとすることを特徴とする請求項3に記載の複合認証装置。
【請求項5】
前記仮登録実施条件は、同一の前記ID情報について、所定の仮登録実施判定期間内に、所定の仮登録実施判定回数以上、生体認証に失敗することであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の複合認証装置。
【請求項6】
前記生体認証手段における生体認証に失敗した際の記録を、それぞれの前記ID情報毎に整理した状態で、一時的に記憶する一時記憶手段を備え、
前記判定手段は、前記一時記憶手段に記憶された情報に基づいて、前記仮登録実施条件が成立したか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の複合認証装置。
【請求項7】
RFID認証手段の前記タグ検出範囲の大きさを制御するタグ検出範囲制御手段を備え、
前記判定手段により前記仮登録実施条件が成立したと判定された場合に、タグ検出範囲制御手段により前記タグ検出範囲を、生体認証の操作者が所持する前記RFIDタグの1つのみが前記タグ検出範囲内に入る程度に縮小することを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の複合認証装置。
【請求項8】
タグ検出範囲制御手段により前記タグ検出範囲を縮小した時から所定の仮登録実施制限時間が経過すると前記タグ検出範囲を通常の大きさに復元させることを特徴とする請求項7に記載の複合認証装置。
【請求項9】
前記タグ検出範囲内に複数の前記RFIDタグが検出されている状態で、生体認証手段における生体認証に失敗した場合、この生体認証に失敗した操作者の前記ID情報を、この生体認証における合致度に基づいて決定することを特徴とする請求項5から請求項8のいずれかに記載の複合認証装置。
【請求項10】
前記生体情報の前記仮登録が行われると、その旨及び当該仮登が行われた前記生体情報を複合認証装置の管理者へと通知する管理者通知手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の複合認証装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−89063(P2012−89063A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237403(P2010−237403)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】