複眼撮像装置を用いた顔認証システム
【課題】顔認証システムにおいて、精度の良い顔認証を行い、かつ、システムのサイズを小型化し、システムの製造コストを抑制する。
【解決手段】顔認証システム1は、複眼撮像装置2と、顔認証装置4と、ID番号が記憶されたカード3とを含む。顔認証装置4は、カード3に記憶されたID番号を読み取るためのカード装着部42と、記憶部とを備える。記憶部には、予め認証対象者の顔の3次元情報が、ID番号に対応した状態で記憶されている。複眼撮像装置2は、9個の光学レンズと、1つのエリアセンサとを備え、光学レンズの各々の光軸は、互いに平行である。顔認証システム1は、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像し、顔画像の3次元情報を取得し、記憶部から読み出した顔画像の3次元情報と、撮像した顔画像の3次元情報とを照合して、これらの情報が同一の場合、認証OKと判断する。そのため、複数台の撮像装置を設ける必要がない。
【解決手段】顔認証システム1は、複眼撮像装置2と、顔認証装置4と、ID番号が記憶されたカード3とを含む。顔認証装置4は、カード3に記憶されたID番号を読み取るためのカード装着部42と、記憶部とを備える。記憶部には、予め認証対象者の顔の3次元情報が、ID番号に対応した状態で記憶されている。複眼撮像装置2は、9個の光学レンズと、1つのエリアセンサとを備え、光学レンズの各々の光軸は、互いに平行である。顔認証システム1は、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像し、顔画像の3次元情報を取得し、記憶部から読み出した顔画像の3次元情報と、撮像した顔画像の3次元情報とを照合して、これらの情報が同一の場合、認証OKと判断する。そのため、複数台の撮像装置を設ける必要がない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証システムに関し、特に複眼撮像装置を用いた顔認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から個人認証を行う方法として、認証対象者の顔を撮像して照合し、顔認証を行う顔認証システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のシステムは、撮像した顔画像の2次元情報を用いて顔認証を行うものである。しかし、この種の2次元情報を用いた顔認証システムでは、顔写真等を用いた成りすましが行われる可能性があるため、顔認証の精度が低いという問題がある。
【0003】
上記問題に対して、顔認証の精度を向上させるために、認証対象者の顔の3次元形状に基く3次元特徴点情報を利用する顔認証システムが知られている。例えば、この種のシステムとしては、2台のカメラを用いて、認証対象者の顔を異なる2方向から撮像して3次元情報を取得し、認証を行う顔認証システム(例えば、特許文献2参照)や、2台のカメラを用いて認証対象者の顔の3次元形状を測定し、測定した情報に基いて3次元特徴点情報を取得し、取得した3次元特徴点情報を顔画像の2次元情報に加えることで顔認証の精度を向上させる顔認証システム(例えば、特許文献3参照)がある。
【0004】
上述したように、顔認証システムにおいて顔認証の精度を向上させるためには、カメラの台数を増やすことにより、認証対象者の顔の3次元形状の測定精度を向上させればよい。しかし、カメラの台数が増えると、顔認証システムの製造コストを抑制できず、また、顔認証システムのサイズを小型化できないという問題が生じる。
【0005】
ところで、特許文献4には、撮像装置の近傍に凸面鏡を備えた顔認証システムが開示されている。しかし、このシステムでは、認証対象者の顔の3次元形状の測定が行えないため、精度の良い顔認証が行えない。また、このシステムでは、凸面鏡が撮像の際の認証対象者の視線から外れた位置にあるため、認証対象者にとって、凸面鏡を視認しながら顔の位置を適切な撮像位置に合わせることが難しいという問題ある。
【0006】
また、特許文献5には、カードの中に撮像装置が内蔵された顔認証システムが開示されている。しかし、このシステムでは、認証対象者の顔の3次元形状の測定が行えないため、精度の良い顔認証を行えない。
【0007】
また、特許文献6には、オフアキシャル反射面を構成要素とする複眼撮像装置を備える顔認証システムが開示されている。しかし、このシステムは、オフアキシャル反射面を構成要素とするため光学系の構成が複雑になり、顔認証システムのサイズを小型化しにくい。
【特許文献1】特開2003−317036号公報
【特許文献2】特開2006−221377号公報
【特許文献3】特開2007−58397号公報
【特許文献4】特開2007−4613号公報
【特許文献5】特開2003−187208号公報
【特許文献6】特開2000−105435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、精度の良い顔認証を行うことができ、かつ、システムのサイズを小型化することができると共に、システムの製造コストを抑制することができる顔認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、認証対象者の顔を撮像するための複眼撮像装置と、予め取得した認証対象者の3次元の顔画像情報を記憶する記憶手段とを備え、前記複眼撮像装置を用いて認証対象者の顔を撮像した後、前記記憶手段に記憶されている顔画像情報と照合することにより、顔認証を行う顔認証システムにおいて、前記複眼撮像装置は、被写体からの反射光を受光して光電変換を行い、画像信号を出力する1つのエリアセンサと、前記エリアセンサに対して、被写体からの光を結像させるように配置された複数の光学系とを有し、前記複数の光学系のうちの各々の光軸が、他の全ての光学系の光軸と平行であり、前記複眼撮像装置を用いて取得した3次元の顔画像情報と、前記記憶手段に記憶された3次元の顔画像情報とを照合することにより顔認証を行うものである。
【0010】
請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、前記顔認証システムは、前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶されたカードと、前記カードが装着され、該カードに記憶された識別情報を読み取るためのカード読み取り手段とをさらに備え、前記複眼撮像装置は、前記カードに内蔵され、前記カードが前記カード読み取り手段に装着されているとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像するものである。
【0011】
請求項3の発明は、上記請求項1の発明において、前記顔認証システムは、前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶された非接触型ICカードと、前記非接触型ICカードに内蔵されたICチップと通信を行うことにより、前記識別情報を読み取るためのカードリーダとをさらに備え、前記複眼撮像装置が、前記非接触型ICカードに内蔵され、前記非接触型ICカードに記憶されている前記識別情報が前記カードリーダによって読み取られるとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像するものである。
【0012】
請求項4の発明は、上記請求項1の発明において、前記顔認証システムは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に配設されるミラーをさらに備え、前記複眼撮像装置が、前記ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されるものである。
【0013】
請求項5の発明は、上記請求項2の発明において、前記カードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されるものである。
【0014】
請求項6の発明は、上記請求項3の発明において、前記非接触ICカードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されるものである。
【0015】
請求項7の発明は、上記請求項4に記載の発明において、前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、凸面であるものである。
【0016】
請求項8の発明は、上記請求項4に記載の発明において、前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、平面であるものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、複眼撮像装置は、1つのエリアセンサと、複数の光学系とを有し、複数の光学系のうちの各々の光軸が、他の全ての光学系の光軸と平行である。これにより、複数台の撮像装置を設けることなしに、認証対象者の顔の3次元形状の測定が可能であるため、顔認証の精度を向上させることができる。また、複数台の撮像装置を設ける必要がないため、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0018】
請求項2の発明によれば、複眼撮像装置がカードに内蔵されているので、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、複眼撮像装置は、非接触型ICカードに内蔵されているので、複眼撮像装置2の撮像方向を認証対象者が自由に調整することができる。そのため、顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、認証対象者の顔の3次元形状の測定を精度良く行うことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、複眼撮像装置が、認証対象者によって視認されるミラーの面の中心近傍に配設されるので、認証対象者はミラーを視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができる。従って、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができるので、顔認証の精度を向上させることができる。
【0021】
請求項5及び請求項6の発明によれば、複眼撮像装置が、認証対象者によって視認される凸面ミラーの面の中心近傍に配設されるので、認証対象者は凸面ミラーを視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができる。従って、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができるので、顔認証の精度を向上させることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、認証対象者によって視認されるミラーの面が凸面であるので、ミラーの設置面積を小型化することができるため、ミラーを備える顔認証システムのサイズを小型化することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1の実施形態に係る顔認証システムについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る顔認証システム1の外観を示し、図2は、認証対象者を識別するID番号(識別情報)が記憶されたカード3の外観を示し、図3は、顔認証システム1の概略構成を示す。顔認証システム1は、認証対象者の顔を撮像した後、予め記憶された顔画像情報と照合して認証するシステムである。
【0025】
顔認証システム1は、認証対象者の顔を撮像するための複眼撮像装置2と、顔認証装置4と、ID番号等の情報が記憶されたカード3とを含むシステムである。複眼撮像装置2は顔認証装置4に内蔵されている。
【0026】
複眼撮像装置2は、1つのエリアセンサと、複数の光学レンズ等の光学系とを有する。複眼撮像装置2の構成の詳細については後述する。
【0027】
顔認証装置4は、複眼撮像装置2と、各種メッセージ等を表示するための表示部41と、カード3が装着され、装着されたカード3に記憶されたID番号等の情報を読み取るためのカード装着部(カード読み取り手段)42と、認証対象者によって操作され、顔認証システム1に対して各種処理の指示を行うための操作部43と、各種情報を記憶する記憶部(記憶手段)44と、インターネットを介して各種サーバと通信するための通信部45とを備える。
【0028】
記憶部44には、予め認証対象者の顔の3次元情報が、認証対象者のID番号に対応した状態で記憶されている。認証対象者の顔の3次元情報は、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像し、撮像した顔画像の情報に基いて取得した情報である。
【0029】
カード3は、図2に示すように、接触型のICチップ31を有している。ICチップ31には、認証対象者のID番号等の情報が記憶されている。ICチップ31の表面は外部接触端子となっており、カード3がカード装着部42に装着されたとき、ICチップ31の表面がカード装着部42内の接触端子(図示せず)と接触することにより、ICチップ31の動作電力が得られると共に、ICチップ31内の情報の読み書きが行われる。なお、カード3が磁気ストラップを有し、磁気ストラップに認証対象者のID番号等の情報が記憶されていてもよい。
【0030】
次に、複眼撮像装置2の詳細構成について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、複眼撮像装置2の正面図であり、図5は、上記図4に示す白抜き矢印方向から見た複眼撮像装置2の光学系の概略構成を示す側断面図である。
【0031】
複眼撮像装置2は、3行3列の9個の光学レンズ21a〜21iと、被写体からの反射光を受光して光電変換を行い、画像信号を出力する1つのエリアセンサ24とを備える。また、複眼撮像装置2は、光学レンズ21a〜21iとエリアセンサ24との間に配置され、光学レンズ21a〜21iから出射する光から可視光のみを透過させる光学フィルタ23と、光学レンズ21a〜21iの上方に配置され、各光学レンズ21a〜21iへの不要な外光入射を遮断するための絞り部材22と、光学レンズ21a〜21iとエリアセンサ24との間の空間を光軸Lに直交する面上において区画する遮光ブロック25とをさらに備えている。光学レンズ21a〜21iの各々の光軸Lは、図5に示すように、互いに平行である。
【0032】
顔認証システム1において複眼撮像装置2は、顔認証を行うために認証対象者の顔のみを撮像すればよい。認証対象者の顔のみを撮像する場合、複眼撮像装置2から認証対象者までの距離は、30センチ〜50センチ程度でよく、この距離においては、光学レンズ21a〜21i間の基線長が短くても、十分に認証対象者の顔の3次元形状を測定することが可能である。
【0033】
エリアセンサ24は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)から構成される。
【0034】
遮光ブロック25は、各光学レンズ21a〜21iの間に設置され、エリアセンサ24上を区画する。これにより、各光学レンズ21a〜21iから出射する光が互いに干渉することを防ぎ、エリアセンサ24は精度良く撮像を行うことができる。
【0035】
次に、複眼撮像装置2による撮像手順について説明する。被写体(認証対象者)からの光は、絞り部材22によって一定の光量に規制されて各光学レンズ21a〜21iに入射する。そして、各光学レンズ21a〜21iから出射する光は、光学フィルタ23を介してエリアセンサ24に到達し、エリアセンサ24上に9個の像を形成する。
【0036】
エリアセンサ24上に形成された9個の像は、それぞれ画像信号に変換されてエリアセンサ24から出力され、制御用マイコン40(図3参照)に入力される。制御用マイコン40は、入力された画像信号に基いて顔画像の3次元情報を取得し、顔認証処理を行う。なお、顔認証処理の詳細については後述する。
【0037】
次に、顔認証処理の手順について説明する。まず、認証対象者が、カード装着部42にカード3を挿入して装着させると、カード装着部42はカード3のICチップ31に記憶されたID番号を読み出し、読み出したID情報を制御用マイコン40に送信する。
【0038】
制御用マイコン40は、読み出されたID番号に基いて、予め記憶部44に記憶された認証対象者の顔の3次元情報を読み出す。そして、制御用マイコン40は、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像し、顔画像の3次元情報を取得する。なお、複眼撮像装置2を用いて認証対象者を撮像するタイミングは、認証対象者が複眼撮像装置2に近づいたときであってもよい。
【0039】
顔画像の3次元情報とは、具体的には、例えば、撮像した9個の顔画像から、顔輪郭領域や、目、鼻、及び口の領域を特定して3次元形状の測定を行うことにより得られた顔画像の3次元情報である。
【0040】
そして、制御用マイコン40は、記憶部44から読み出した顔画像の3次元情報と、撮像した顔画像の3次元情報とを照合して、これらの情報が同一の場合、認証OKと判断する。
【0041】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2は、1つのエリアセンサ24と、複数の光学レンズ21a〜21iとを有し、光学レンズ21a〜21iのうちの各々の光軸Lが、互いに平行である。そのため、従来のように複数台の撮像装置を設けることなしに、認証対象者の顔の3次元形状の測定が可能であるため、顔認証の精度を向上させることができる。また、複数台の撮像装置を設ける必要がないため、顔認証システム1を小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る顔認証システムについて、図6を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、ミラー5をさらに備えていること以外は、第1の実施形態に示した顔認証システムと同様の構成である。図6(a)は、ミラー5に認証対象者の顔が映る前の状態を示し、図6(b)は、ミラー5に認証対象者の顔が映る状態を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第1の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0043】
ミラー5は、図6(a)に示すように、表示部41の上方に配設される。ミラー5の反射面の中心近傍には、複眼撮像装置2が配設されている。複眼撮像装置2の撮像方向は、ミラー5の反射面に対して垂直な方向である。
【0044】
認証対象者は顔認証を行うとき、図6(b)に示すように、ミラー5に映った自己の顔の像P1を視認可能である。このとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向するので、複眼撮像装置2は、認証対象者の顔を正面から撮像可能である。
【0045】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2が、認証対象者によって視認されるミラー5の反射面の中心近傍に配設されるので、認証対象者は、ミラー5に映った自己の顔の像P1を視認可能であり、このとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向する。そのため、認証対象者はミラーを視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0046】
また、認証対象者がミラー5の反射面に映る自己の像を見ながら、複眼撮像装置2の箇所に自己の鼻が重なるように顔の位置を調整することにより、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0047】
また、第1の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係る顔認証システムについて、図7を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、凸面ミラー6をさらに備えていること以外は、第1の実施形態に示した顔認証システムと同様の構成である。図7(a)は、凸面ミラー6に認証対象者の顔が映る前の状態を示し、図7(b)は、凸面ミラー6に認証対象者の顔が映る状態を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第1の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0049】
凸面ミラー6は、図7(a)に示すように、表示部41の上方に配設される。凸面ミラー6の反射面は凸面形状であり、凸面ミラー6の反射面の中心近傍には、複眼撮像装置2が位置している。複眼撮像装置2の撮像方向は、認証対象者の顔が凸面ミラー6の反射面に対向するときに認証対象者と対向する方向である。
【0050】
認証対象者が顔認証を行うとき、図7(b)に示すように、認証対象者は、凸面ミラー6の反射面に映った自己の顔の像P2を視認可能である。このとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向するので、複眼撮像装置2は、認証対象者の顔を正面から撮像可能である。
【0051】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2が、認証対象者によって視認される凸面ミラー6の反射面の中心近傍に配設され、かつ、認証対象者は、凸面ミラー6に映った自己の顔の像P2を視認可能であるとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向するので、認証対象者は凸面ミラー6を視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができる。従って、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができるので、顔認証の精度を向上させることができる。
【0052】
また、凸面ミラー6の反射面が凸面形状であるので、凸面ミラー6の設置面積が小さくても認証対象者の顔の全体を写すことができる。そのため、凸面ミラー6のサイズを小型化することができ、凸面ミラー6を備える顔認証システム1のサイズを小型化することができる。
【0053】
また、認証対象者が凸面ミラー6の反射面に映る自己の像を見ながら、複眼撮像装置2の箇所に自己の鼻が重なるように顔の位置を調整することにより、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0054】
また、第1の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0055】
次に、本発明の第4の実施形態に係る顔認証システムについて、図8乃至図10を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、カード3が複眼撮像装置2をさらに備えており、顔認証装置4が複眼撮像装置2を備えていないこと、及び顔認証装置4のカード装着部42が表示部41の側面に設けられていること以外は、第1の実施形態に示した顔認証システム1と同様の構成である。
【0056】
図8は、カード3の外観を示し、図9は、カード3の概略構成を示す。図10(a)は、カード装着部42にカード3が装着される前の状態の顔認証システム1の外観を示し、図10(b)は、カード装着部42にカード3を装着した状態の顔認証システム1の外観を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第1の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0057】
図8及び図9に示すように、カード3は、制御用マイコン30と、ICチップ31と、複眼撮像装置2とを備える。複眼撮像装置2によって撮像された複数の画像信号は、制御用マイコン30に送信され、制御用マイコン30は、複眼撮像装置2から受信した複数の画像信号を顔認証装置4に送信する。なお、制御用マイコン30、複眼撮像装置2、及びICチップ31の動作電力は、カード装着部42にカード3を装着した際に、外部接触端子であるICチップ31を介してカード装着部42から得られる。
【0058】
次に、顔認証処理の手順を説明する。まず、認証対象者が、カード装着部42にカード3を挿入して装着すると、カード装着部42はカード3のICチップ31に記憶されたID番号を読み出し、制御用マイコン40に送信する。
【0059】
制御用マイコン40は、読み出されたID番号に基いて、予め記憶部44に記憶された認証対象者の顔の3次元情報を読み出す。そして、制御用マイコン40は、カード3に対して、複眼撮像装置2を用いて、認証対象者の顔を撮像する旨の指示を行う。カード3の複眼撮像装置2は、制御用マイコン40から送信された指示に基いて認証対象者の顔を撮像し、得られた複数の画像信号を制御用マイコン30が顔認証装置4の制御用マイコン40に送信する。
【0060】
そして、制御用マイコン40は、受信した複数の画像信号に基いて顔画像の3次元情報を取得し、顔認証処理を行う。なお、顔認証処理については第1の実施形態に示す処理と同様であるため説明を省略する。
【0061】
なお、本実施形態では、顔認証システム1の制御用マイコン40によって顔認証処理を行う例を示したが、カード3の制御用マイコン30によって顔認証処理が行われるものであってもよい。この場合、カード3のICカード3には認証対象者の顔の3次元情報が予め記憶され、カード3の制御用マイコン30は、複眼撮像装置2によって撮像された複数の画像に基いて顔画像の3次元情報を取得した後、ICチップ31に記憶された認証対象者の顔画像の3次元情報と照合する。そして、この認証の結果、これらの情報が同一の場合、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して、顔認証がOKである旨の認証結果を送信する。一方、この認証の結果、これらの顔画像の3次元情報が一致しない場合、カード3の制御用マイコン30は、顔認証がNGである旨の認証結果を、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して送信する。
【0062】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2がカード3に内蔵されているので、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0063】
また、第1の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0064】
なお、本実施形態に係る顔認証システム1において、カード3の表面に、反射面が凸面形状である凸面ミラーを配設すると共に、複眼撮像装置2を凸面ミラーの中心近傍に配置させ、第3の実施形態に示す顔認証システムのように、認証対象者が自己の像を見ながら顔認証を行う構成であってもよい。
【0065】
次に、本発明の第5の実施形態に係る顔認証システムについて、図11乃至図14を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、接触型のカードの変わりに非接触型ICカード7を備え、顔認証装置4が、カード装着部の代わりに非接触型ICカード7と無線通信を行うためのカードリーダライタ46を備えていること以外は、第4の実施形態に示した顔認証システム1と同様の構成である。
【0066】
図11は、非接触型ICカード7の外観を示し、図12は、非接触型ICカード7の概略構成を示す。図13は、顔認証システム1の外観を示し、図14は、非接触型ICカード7をカードリーダライタ46にかざして顔認証を行う際の動作を説明する図を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第4の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0067】
非接触型ICカード7は、図11及び図12に示すように、複眼撮像装置2と、アンテナコイル71と、アンテナコイル71を介して顔認証装置4と通信を行うICチップ72と、制御用マイコン70とを備える。
【0068】
アンテナコイル71は、カードリーダライタ46から送信された電波を受信して、電磁誘導によって、制御用マイコン70及びICチップ72の動作電力を得ると共に、この電波を利用してカードリーダライタ46とのデータ通信を行う。
【0069】
ICチップ72は、非接触型ICカード7に内蔵されており、ICチップ72には、認証対象者のID番号等の情報が記憶されている。
【0070】
カードリーダライタ46は、アンテナコイル(図示せず)を備え、電波を利用して非接触型ICカード7と無線通信を行う。カードリーダライタ46は、図13に示すように、顔認証装置4の表面近傍に配設されている。
【0071】
次に、顔認証処理の手順について、図14を参照して説明する。まず、認証対象者が、非接触型ICカード7をカードリーダライタ46に近づけると、非接触型ICカード7は、カードリーダライタ46のアンテナコイルによって発生する誘導電流により動作電力を得ることにより動作する。そして、ICチップ72に記憶されたID番号をカードリーダライタ46に送信し、カードリーダライタ46が受信したID番号を制御用マイコン40に送信する。
【0072】
制御用マイコン40は、受信したID番号に基いて、予め記憶部44に記憶された認証対象者の顔の3次元情報を読み出す。そして、制御用マイコン40は、非接触型IC7に対して、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像する旨の指示を行う。非接触型ICカード7の複眼撮像装置2は、制御用マイコン40から送信された指示に基いて認証対象者の顔を撮像する。そして、非接触型ICカード7の制御用マイコン70が、撮像によって得られた複数の画像信号を顔認証装置4の制御用マイコン40に、アンテナコイル71を介して送信する。
【0073】
そして、制御用マイコン40は、受信した複数の画像信号に基いて顔画像の3次元情報を取得し、顔認証処理を行う。なお、顔認証処理については第1の実施形態に示す処理と同様であるため説明を省略する。
【0074】
なお、本実施形態では、顔認証システム1の制御用マイコン40によって顔認証処理を行う例を示したが、非接触型ICカード7の制御用マイコン70によって顔認証処理が行われるものであってもよい。この場合、非接触型ICカード7のICチップ72には認証対象者の顔の3次元情報が予め記憶され、非接触型ICカード7の制御用マイコン70は、複眼撮像装置2によって撮像された画像に基いて顔画像の3次元情報を取得した後、ICチップ72に記憶された認証対象者の顔画像の3次元情報と照合する。そして、この認証の結果、これらの情報が同一の場合、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して、顔認証がOKである旨の認証結果を送信する。一方、認証の結果、これらの顔画像の3次元情報が一致しない場合、カード3の制御用マイコン30は、顔認証がNGである旨の認証結果を、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して送信する。
【0075】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2は、非接触型ICカード7に内蔵されているので、複眼撮像装置2の撮像方向を認証対象者が自由に調整することができる。そのため、顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、認証対象者の顔の3次元形状の測定を精度良く行うことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0076】
また、複眼撮像装置2が、非接触型ICカード7に内蔵されているので、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。また、第4の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0077】
なお、本実施形態に係る顔認証システム1において、非接触型ICカード7の表面に、反射面が凸面形状である凸面ミラーを配設すると共に、複眼撮像装置2を凸面ミラーの中心近傍に配置させ、第3の実施形態に示す顔認証システムのように、認証対象者が自己の像を見ながら顔認証を行う構成であってもよい。
【0078】
本発明は、上記各実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、複眼撮像装置2が3行3列の9個の光学レンズを備え、9個の画像信号を取得する例を示したが、これに限られず、任意の数の光学レンズ等の光学系を有して、任意の数の画像信号を取得するものであってもよい。
【0079】
また、顔認証装置4は、予め記憶された認証対象者の顔の3次元情報を、インターネット通信等を介してサーバ等から取得するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る顔認証システムの外観を示す斜視図。
【図2】上記顔認証システムのカードの外観を示す斜視図。
【図3】上記顔認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図4】上記顔認証システムの複眼撮像装置の正面図。
【図5】上記複眼撮像装置の概略構成を示す側断面図。
【図6】(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係る顔認証システムの外観を示す図。
【図7】(a)(b)は、本発明の第3の実施形態に係る顔認証システムの外観を示す図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る顔認証システムのカードの外観を示す斜視図。
【図9】上記顔認証システムのカードの概略構成を示すブロック図。
【図10】(a)(b)は、上記顔認証システムの外観を示す斜視図。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る顔認証システムのカードの外観を示す斜視図。
【図12】上記顔認証システムのカードの概略構成を示すブロック図。
【図13】上記顔認証システムの外観を示す斜視図。
【図14】上記顔認証システムの顔認証動作を示す説明図。
【符号の説明】
【0081】
1 顔認証システム
2 複眼撮像装置
3 カード
4 顔認証装置
5 ミラー
6 凸面ミラー(ミラー)
7 非接触型ICカード
21a〜21i 光学レンズ(光学系)
24 エリアセンサ
31 ICチップ
42 カード装着部(カード読み取り手段)
44 記憶部(記憶手段)
46 カードリーダライタ(カードリーダ)
72 ICチップ
L 光軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証システムに関し、特に複眼撮像装置を用いた顔認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から個人認証を行う方法として、認証対象者の顔を撮像して照合し、顔認証を行う顔認証システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のシステムは、撮像した顔画像の2次元情報を用いて顔認証を行うものである。しかし、この種の2次元情報を用いた顔認証システムでは、顔写真等を用いた成りすましが行われる可能性があるため、顔認証の精度が低いという問題がある。
【0003】
上記問題に対して、顔認証の精度を向上させるために、認証対象者の顔の3次元形状に基く3次元特徴点情報を利用する顔認証システムが知られている。例えば、この種のシステムとしては、2台のカメラを用いて、認証対象者の顔を異なる2方向から撮像して3次元情報を取得し、認証を行う顔認証システム(例えば、特許文献2参照)や、2台のカメラを用いて認証対象者の顔の3次元形状を測定し、測定した情報に基いて3次元特徴点情報を取得し、取得した3次元特徴点情報を顔画像の2次元情報に加えることで顔認証の精度を向上させる顔認証システム(例えば、特許文献3参照)がある。
【0004】
上述したように、顔認証システムにおいて顔認証の精度を向上させるためには、カメラの台数を増やすことにより、認証対象者の顔の3次元形状の測定精度を向上させればよい。しかし、カメラの台数が増えると、顔認証システムの製造コストを抑制できず、また、顔認証システムのサイズを小型化できないという問題が生じる。
【0005】
ところで、特許文献4には、撮像装置の近傍に凸面鏡を備えた顔認証システムが開示されている。しかし、このシステムでは、認証対象者の顔の3次元形状の測定が行えないため、精度の良い顔認証が行えない。また、このシステムでは、凸面鏡が撮像の際の認証対象者の視線から外れた位置にあるため、認証対象者にとって、凸面鏡を視認しながら顔の位置を適切な撮像位置に合わせることが難しいという問題ある。
【0006】
また、特許文献5には、カードの中に撮像装置が内蔵された顔認証システムが開示されている。しかし、このシステムでは、認証対象者の顔の3次元形状の測定が行えないため、精度の良い顔認証を行えない。
【0007】
また、特許文献6には、オフアキシャル反射面を構成要素とする複眼撮像装置を備える顔認証システムが開示されている。しかし、このシステムは、オフアキシャル反射面を構成要素とするため光学系の構成が複雑になり、顔認証システムのサイズを小型化しにくい。
【特許文献1】特開2003−317036号公報
【特許文献2】特開2006−221377号公報
【特許文献3】特開2007−58397号公報
【特許文献4】特開2007−4613号公報
【特許文献5】特開2003−187208号公報
【特許文献6】特開2000−105435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、精度の良い顔認証を行うことができ、かつ、システムのサイズを小型化することができると共に、システムの製造コストを抑制することができる顔認証システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、認証対象者の顔を撮像するための複眼撮像装置と、予め取得した認証対象者の3次元の顔画像情報を記憶する記憶手段とを備え、前記複眼撮像装置を用いて認証対象者の顔を撮像した後、前記記憶手段に記憶されている顔画像情報と照合することにより、顔認証を行う顔認証システムにおいて、前記複眼撮像装置は、被写体からの反射光を受光して光電変換を行い、画像信号を出力する1つのエリアセンサと、前記エリアセンサに対して、被写体からの光を結像させるように配置された複数の光学系とを有し、前記複数の光学系のうちの各々の光軸が、他の全ての光学系の光軸と平行であり、前記複眼撮像装置を用いて取得した3次元の顔画像情報と、前記記憶手段に記憶された3次元の顔画像情報とを照合することにより顔認証を行うものである。
【0010】
請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、前記顔認証システムは、前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶されたカードと、前記カードが装着され、該カードに記憶された識別情報を読み取るためのカード読み取り手段とをさらに備え、前記複眼撮像装置は、前記カードに内蔵され、前記カードが前記カード読み取り手段に装着されているとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像するものである。
【0011】
請求項3の発明は、上記請求項1の発明において、前記顔認証システムは、前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶された非接触型ICカードと、前記非接触型ICカードに内蔵されたICチップと通信を行うことにより、前記識別情報を読み取るためのカードリーダとをさらに備え、前記複眼撮像装置が、前記非接触型ICカードに内蔵され、前記非接触型ICカードに記憶されている前記識別情報が前記カードリーダによって読み取られるとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像するものである。
【0012】
請求項4の発明は、上記請求項1の発明において、前記顔認証システムは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に配設されるミラーをさらに備え、前記複眼撮像装置が、前記ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されるものである。
【0013】
請求項5の発明は、上記請求項2の発明において、前記カードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されるものである。
【0014】
請求項6の発明は、上記請求項3の発明において、前記非接触ICカードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されるものである。
【0015】
請求項7の発明は、上記請求項4に記載の発明において、前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、凸面であるものである。
【0016】
請求項8の発明は、上記請求項4に記載の発明において、前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、平面であるものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、複眼撮像装置は、1つのエリアセンサと、複数の光学系とを有し、複数の光学系のうちの各々の光軸が、他の全ての光学系の光軸と平行である。これにより、複数台の撮像装置を設けることなしに、認証対象者の顔の3次元形状の測定が可能であるため、顔認証の精度を向上させることができる。また、複数台の撮像装置を設ける必要がないため、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0018】
請求項2の発明によれば、複眼撮像装置がカードに内蔵されているので、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0019】
請求項3の発明によれば、複眼撮像装置は、非接触型ICカードに内蔵されているので、複眼撮像装置2の撮像方向を認証対象者が自由に調整することができる。そのため、顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、認証対象者の顔の3次元形状の測定を精度良く行うことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、複眼撮像装置が、認証対象者によって視認されるミラーの面の中心近傍に配設されるので、認証対象者はミラーを視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができる。従って、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができるので、顔認証の精度を向上させることができる。
【0021】
請求項5及び請求項6の発明によれば、複眼撮像装置が、認証対象者によって視認される凸面ミラーの面の中心近傍に配設されるので、認証対象者は凸面ミラーを視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができる。従って、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができるので、顔認証の精度を向上させることができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、認証対象者によって視認されるミラーの面が凸面であるので、ミラーの設置面積を小型化することができるため、ミラーを備える顔認証システムのサイズを小型化することができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の第1の実施形態に係る顔認証システムについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る顔認証システム1の外観を示し、図2は、認証対象者を識別するID番号(識別情報)が記憶されたカード3の外観を示し、図3は、顔認証システム1の概略構成を示す。顔認証システム1は、認証対象者の顔を撮像した後、予め記憶された顔画像情報と照合して認証するシステムである。
【0025】
顔認証システム1は、認証対象者の顔を撮像するための複眼撮像装置2と、顔認証装置4と、ID番号等の情報が記憶されたカード3とを含むシステムである。複眼撮像装置2は顔認証装置4に内蔵されている。
【0026】
複眼撮像装置2は、1つのエリアセンサと、複数の光学レンズ等の光学系とを有する。複眼撮像装置2の構成の詳細については後述する。
【0027】
顔認証装置4は、複眼撮像装置2と、各種メッセージ等を表示するための表示部41と、カード3が装着され、装着されたカード3に記憶されたID番号等の情報を読み取るためのカード装着部(カード読み取り手段)42と、認証対象者によって操作され、顔認証システム1に対して各種処理の指示を行うための操作部43と、各種情報を記憶する記憶部(記憶手段)44と、インターネットを介して各種サーバと通信するための通信部45とを備える。
【0028】
記憶部44には、予め認証対象者の顔の3次元情報が、認証対象者のID番号に対応した状態で記憶されている。認証対象者の顔の3次元情報は、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像し、撮像した顔画像の情報に基いて取得した情報である。
【0029】
カード3は、図2に示すように、接触型のICチップ31を有している。ICチップ31には、認証対象者のID番号等の情報が記憶されている。ICチップ31の表面は外部接触端子となっており、カード3がカード装着部42に装着されたとき、ICチップ31の表面がカード装着部42内の接触端子(図示せず)と接触することにより、ICチップ31の動作電力が得られると共に、ICチップ31内の情報の読み書きが行われる。なお、カード3が磁気ストラップを有し、磁気ストラップに認証対象者のID番号等の情報が記憶されていてもよい。
【0030】
次に、複眼撮像装置2の詳細構成について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、複眼撮像装置2の正面図であり、図5は、上記図4に示す白抜き矢印方向から見た複眼撮像装置2の光学系の概略構成を示す側断面図である。
【0031】
複眼撮像装置2は、3行3列の9個の光学レンズ21a〜21iと、被写体からの反射光を受光して光電変換を行い、画像信号を出力する1つのエリアセンサ24とを備える。また、複眼撮像装置2は、光学レンズ21a〜21iとエリアセンサ24との間に配置され、光学レンズ21a〜21iから出射する光から可視光のみを透過させる光学フィルタ23と、光学レンズ21a〜21iの上方に配置され、各光学レンズ21a〜21iへの不要な外光入射を遮断するための絞り部材22と、光学レンズ21a〜21iとエリアセンサ24との間の空間を光軸Lに直交する面上において区画する遮光ブロック25とをさらに備えている。光学レンズ21a〜21iの各々の光軸Lは、図5に示すように、互いに平行である。
【0032】
顔認証システム1において複眼撮像装置2は、顔認証を行うために認証対象者の顔のみを撮像すればよい。認証対象者の顔のみを撮像する場合、複眼撮像装置2から認証対象者までの距離は、30センチ〜50センチ程度でよく、この距離においては、光学レンズ21a〜21i間の基線長が短くても、十分に認証対象者の顔の3次元形状を測定することが可能である。
【0033】
エリアセンサ24は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)から構成される。
【0034】
遮光ブロック25は、各光学レンズ21a〜21iの間に設置され、エリアセンサ24上を区画する。これにより、各光学レンズ21a〜21iから出射する光が互いに干渉することを防ぎ、エリアセンサ24は精度良く撮像を行うことができる。
【0035】
次に、複眼撮像装置2による撮像手順について説明する。被写体(認証対象者)からの光は、絞り部材22によって一定の光量に規制されて各光学レンズ21a〜21iに入射する。そして、各光学レンズ21a〜21iから出射する光は、光学フィルタ23を介してエリアセンサ24に到達し、エリアセンサ24上に9個の像を形成する。
【0036】
エリアセンサ24上に形成された9個の像は、それぞれ画像信号に変換されてエリアセンサ24から出力され、制御用マイコン40(図3参照)に入力される。制御用マイコン40は、入力された画像信号に基いて顔画像の3次元情報を取得し、顔認証処理を行う。なお、顔認証処理の詳細については後述する。
【0037】
次に、顔認証処理の手順について説明する。まず、認証対象者が、カード装着部42にカード3を挿入して装着させると、カード装着部42はカード3のICチップ31に記憶されたID番号を読み出し、読み出したID情報を制御用マイコン40に送信する。
【0038】
制御用マイコン40は、読み出されたID番号に基いて、予め記憶部44に記憶された認証対象者の顔の3次元情報を読み出す。そして、制御用マイコン40は、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像し、顔画像の3次元情報を取得する。なお、複眼撮像装置2を用いて認証対象者を撮像するタイミングは、認証対象者が複眼撮像装置2に近づいたときであってもよい。
【0039】
顔画像の3次元情報とは、具体的には、例えば、撮像した9個の顔画像から、顔輪郭領域や、目、鼻、及び口の領域を特定して3次元形状の測定を行うことにより得られた顔画像の3次元情報である。
【0040】
そして、制御用マイコン40は、記憶部44から読み出した顔画像の3次元情報と、撮像した顔画像の3次元情報とを照合して、これらの情報が同一の場合、認証OKと判断する。
【0041】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2は、1つのエリアセンサ24と、複数の光学レンズ21a〜21iとを有し、光学レンズ21a〜21iのうちの各々の光軸Lが、互いに平行である。そのため、従来のように複数台の撮像装置を設けることなしに、認証対象者の顔の3次元形状の測定が可能であるため、顔認証の精度を向上させることができる。また、複数台の撮像装置を設ける必要がないため、顔認証システム1を小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0042】
次に、本発明の第2の実施形態に係る顔認証システムについて、図6を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、ミラー5をさらに備えていること以外は、第1の実施形態に示した顔認証システムと同様の構成である。図6(a)は、ミラー5に認証対象者の顔が映る前の状態を示し、図6(b)は、ミラー5に認証対象者の顔が映る状態を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第1の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0043】
ミラー5は、図6(a)に示すように、表示部41の上方に配設される。ミラー5の反射面の中心近傍には、複眼撮像装置2が配設されている。複眼撮像装置2の撮像方向は、ミラー5の反射面に対して垂直な方向である。
【0044】
認証対象者は顔認証を行うとき、図6(b)に示すように、ミラー5に映った自己の顔の像P1を視認可能である。このとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向するので、複眼撮像装置2は、認証対象者の顔を正面から撮像可能である。
【0045】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2が、認証対象者によって視認されるミラー5の反射面の中心近傍に配設されるので、認証対象者は、ミラー5に映った自己の顔の像P1を視認可能であり、このとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向する。そのため、認証対象者はミラーを視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0046】
また、認証対象者がミラー5の反射面に映る自己の像を見ながら、複眼撮像装置2の箇所に自己の鼻が重なるように顔の位置を調整することにより、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0047】
また、第1の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態に係る顔認証システムについて、図7を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、凸面ミラー6をさらに備えていること以外は、第1の実施形態に示した顔認証システムと同様の構成である。図7(a)は、凸面ミラー6に認証対象者の顔が映る前の状態を示し、図7(b)は、凸面ミラー6に認証対象者の顔が映る状態を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第1の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0049】
凸面ミラー6は、図7(a)に示すように、表示部41の上方に配設される。凸面ミラー6の反射面は凸面形状であり、凸面ミラー6の反射面の中心近傍には、複眼撮像装置2が位置している。複眼撮像装置2の撮像方向は、認証対象者の顔が凸面ミラー6の反射面に対向するときに認証対象者と対向する方向である。
【0050】
認証対象者が顔認証を行うとき、図7(b)に示すように、認証対象者は、凸面ミラー6の反射面に映った自己の顔の像P2を視認可能である。このとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向するので、複眼撮像装置2は、認証対象者の顔を正面から撮像可能である。
【0051】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2が、認証対象者によって視認される凸面ミラー6の反射面の中心近傍に配設され、かつ、認証対象者は、凸面ミラー6に映った自己の顔の像P2を視認可能であるとき、認証対象者の顔と複眼撮像装置2とは対向するので、認証対象者は凸面ミラー6を視認しながら、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができる。従って、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができるので、顔認証の精度を向上させることができる。
【0052】
また、凸面ミラー6の反射面が凸面形状であるので、凸面ミラー6の設置面積が小さくても認証対象者の顔の全体を写すことができる。そのため、凸面ミラー6のサイズを小型化することができ、凸面ミラー6を備える顔認証システム1のサイズを小型化することができる。
【0053】
また、認証対象者が凸面ミラー6の反射面に映る自己の像を見ながら、複眼撮像装置2の箇所に自己の鼻が重なるように顔の位置を調整することにより、自己の顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、撮像位置のズレによる顔認証の失敗を防ぐことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0054】
また、第1の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0055】
次に、本発明の第4の実施形態に係る顔認証システムについて、図8乃至図10を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、カード3が複眼撮像装置2をさらに備えており、顔認証装置4が複眼撮像装置2を備えていないこと、及び顔認証装置4のカード装着部42が表示部41の側面に設けられていること以外は、第1の実施形態に示した顔認証システム1と同様の構成である。
【0056】
図8は、カード3の外観を示し、図9は、カード3の概略構成を示す。図10(a)は、カード装着部42にカード3が装着される前の状態の顔認証システム1の外観を示し、図10(b)は、カード装着部42にカード3を装着した状態の顔認証システム1の外観を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第1の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0057】
図8及び図9に示すように、カード3は、制御用マイコン30と、ICチップ31と、複眼撮像装置2とを備える。複眼撮像装置2によって撮像された複数の画像信号は、制御用マイコン30に送信され、制御用マイコン30は、複眼撮像装置2から受信した複数の画像信号を顔認証装置4に送信する。なお、制御用マイコン30、複眼撮像装置2、及びICチップ31の動作電力は、カード装着部42にカード3を装着した際に、外部接触端子であるICチップ31を介してカード装着部42から得られる。
【0058】
次に、顔認証処理の手順を説明する。まず、認証対象者が、カード装着部42にカード3を挿入して装着すると、カード装着部42はカード3のICチップ31に記憶されたID番号を読み出し、制御用マイコン40に送信する。
【0059】
制御用マイコン40は、読み出されたID番号に基いて、予め記憶部44に記憶された認証対象者の顔の3次元情報を読み出す。そして、制御用マイコン40は、カード3に対して、複眼撮像装置2を用いて、認証対象者の顔を撮像する旨の指示を行う。カード3の複眼撮像装置2は、制御用マイコン40から送信された指示に基いて認証対象者の顔を撮像し、得られた複数の画像信号を制御用マイコン30が顔認証装置4の制御用マイコン40に送信する。
【0060】
そして、制御用マイコン40は、受信した複数の画像信号に基いて顔画像の3次元情報を取得し、顔認証処理を行う。なお、顔認証処理については第1の実施形態に示す処理と同様であるため説明を省略する。
【0061】
なお、本実施形態では、顔認証システム1の制御用マイコン40によって顔認証処理を行う例を示したが、カード3の制御用マイコン30によって顔認証処理が行われるものであってもよい。この場合、カード3のICカード3には認証対象者の顔の3次元情報が予め記憶され、カード3の制御用マイコン30は、複眼撮像装置2によって撮像された複数の画像に基いて顔画像の3次元情報を取得した後、ICチップ31に記憶された認証対象者の顔画像の3次元情報と照合する。そして、この認証の結果、これらの情報が同一の場合、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して、顔認証がOKである旨の認証結果を送信する。一方、この認証の結果、これらの顔画像の3次元情報が一致しない場合、カード3の制御用マイコン30は、顔認証がNGである旨の認証結果を、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して送信する。
【0062】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2がカード3に内蔵されているので、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。
【0063】
また、第1の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0064】
なお、本実施形態に係る顔認証システム1において、カード3の表面に、反射面が凸面形状である凸面ミラーを配設すると共に、複眼撮像装置2を凸面ミラーの中心近傍に配置させ、第3の実施形態に示す顔認証システムのように、認証対象者が自己の像を見ながら顔認証を行う構成であってもよい。
【0065】
次に、本発明の第5の実施形態に係る顔認証システムについて、図11乃至図14を参照して説明する。本実施形態に係る顔認証システム1は、接触型のカードの変わりに非接触型ICカード7を備え、顔認証装置4が、カード装着部の代わりに非接触型ICカード7と無線通信を行うためのカードリーダライタ46を備えていること以外は、第4の実施形態に示した顔認証システム1と同様の構成である。
【0066】
図11は、非接触型ICカード7の外観を示し、図12は、非接触型ICカード7の概略構成を示す。図13は、顔認証システム1の外観を示し、図14は、非接触型ICカード7をカードリーダライタ46にかざして顔認証を行う際の動作を説明する図を示す。なお、各図において、同一の符号を付した部材は、第4の実施形態と同様の部材であることを示し、その説明を省略する。
【0067】
非接触型ICカード7は、図11及び図12に示すように、複眼撮像装置2と、アンテナコイル71と、アンテナコイル71を介して顔認証装置4と通信を行うICチップ72と、制御用マイコン70とを備える。
【0068】
アンテナコイル71は、カードリーダライタ46から送信された電波を受信して、電磁誘導によって、制御用マイコン70及びICチップ72の動作電力を得ると共に、この電波を利用してカードリーダライタ46とのデータ通信を行う。
【0069】
ICチップ72は、非接触型ICカード7に内蔵されており、ICチップ72には、認証対象者のID番号等の情報が記憶されている。
【0070】
カードリーダライタ46は、アンテナコイル(図示せず)を備え、電波を利用して非接触型ICカード7と無線通信を行う。カードリーダライタ46は、図13に示すように、顔認証装置4の表面近傍に配設されている。
【0071】
次に、顔認証処理の手順について、図14を参照して説明する。まず、認証対象者が、非接触型ICカード7をカードリーダライタ46に近づけると、非接触型ICカード7は、カードリーダライタ46のアンテナコイルによって発生する誘導電流により動作電力を得ることにより動作する。そして、ICチップ72に記憶されたID番号をカードリーダライタ46に送信し、カードリーダライタ46が受信したID番号を制御用マイコン40に送信する。
【0072】
制御用マイコン40は、受信したID番号に基いて、予め記憶部44に記憶された認証対象者の顔の3次元情報を読み出す。そして、制御用マイコン40は、非接触型IC7に対して、複眼撮像装置2を用いて認証対象者の顔を撮像する旨の指示を行う。非接触型ICカード7の複眼撮像装置2は、制御用マイコン40から送信された指示に基いて認証対象者の顔を撮像する。そして、非接触型ICカード7の制御用マイコン70が、撮像によって得られた複数の画像信号を顔認証装置4の制御用マイコン40に、アンテナコイル71を介して送信する。
【0073】
そして、制御用マイコン40は、受信した複数の画像信号に基いて顔画像の3次元情報を取得し、顔認証処理を行う。なお、顔認証処理については第1の実施形態に示す処理と同様であるため説明を省略する。
【0074】
なお、本実施形態では、顔認証システム1の制御用マイコン40によって顔認証処理を行う例を示したが、非接触型ICカード7の制御用マイコン70によって顔認証処理が行われるものであってもよい。この場合、非接触型ICカード7のICチップ72には認証対象者の顔の3次元情報が予め記憶され、非接触型ICカード7の制御用マイコン70は、複眼撮像装置2によって撮像された画像に基いて顔画像の3次元情報を取得した後、ICチップ72に記憶された認証対象者の顔画像の3次元情報と照合する。そして、この認証の結果、これらの情報が同一の場合、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して、顔認証がOKである旨の認証結果を送信する。一方、認証の結果、これらの顔画像の3次元情報が一致しない場合、カード3の制御用マイコン30は、顔認証がNGである旨の認証結果を、顔認証装置4の制御用マイコン40に対して送信する。
【0075】
上述したように、本実施形態に係る顔認証システム1によれば、複眼撮像装置2は、非接触型ICカード7に内蔵されているので、複眼撮像装置2の撮像方向を認証対象者が自由に調整することができる。そのため、顔の位置を容易に適切な撮像方向に合わせることができるので、認証対象者の顔の3次元形状の測定を精度良く行うことができ、顔認証の精度を向上させることができる。
【0076】
また、複眼撮像装置2が、非接触型ICカード7に内蔵されているので、顔認証システムを小型化できると共に、製造コストを抑制できる。また、第4の実施形態に示す顔認証システム1と同様の効果が得られる。
【0077】
なお、本実施形態に係る顔認証システム1において、非接触型ICカード7の表面に、反射面が凸面形状である凸面ミラーを配設すると共に、複眼撮像装置2を凸面ミラーの中心近傍に配置させ、第3の実施形態に示す顔認証システムのように、認証対象者が自己の像を見ながら顔認証を行う構成であってもよい。
【0078】
本発明は、上記各実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記各実施形態では、複眼撮像装置2が3行3列の9個の光学レンズを備え、9個の画像信号を取得する例を示したが、これに限られず、任意の数の光学レンズ等の光学系を有して、任意の数の画像信号を取得するものであってもよい。
【0079】
また、顔認証装置4は、予め記憶された認証対象者の顔の3次元情報を、インターネット通信等を介してサーバ等から取得するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る顔認証システムの外観を示す斜視図。
【図2】上記顔認証システムのカードの外観を示す斜視図。
【図3】上記顔認証システムの概略構成を示すブロック図。
【図4】上記顔認証システムの複眼撮像装置の正面図。
【図5】上記複眼撮像装置の概略構成を示す側断面図。
【図6】(a)(b)は、本発明の第2の実施形態に係る顔認証システムの外観を示す図。
【図7】(a)(b)は、本発明の第3の実施形態に係る顔認証システムの外観を示す図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る顔認証システムのカードの外観を示す斜視図。
【図9】上記顔認証システムのカードの概略構成を示すブロック図。
【図10】(a)(b)は、上記顔認証システムの外観を示す斜視図。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る顔認証システムのカードの外観を示す斜視図。
【図12】上記顔認証システムのカードの概略構成を示すブロック図。
【図13】上記顔認証システムの外観を示す斜視図。
【図14】上記顔認証システムの顔認証動作を示す説明図。
【符号の説明】
【0081】
1 顔認証システム
2 複眼撮像装置
3 カード
4 顔認証装置
5 ミラー
6 凸面ミラー(ミラー)
7 非接触型ICカード
21a〜21i 光学レンズ(光学系)
24 エリアセンサ
31 ICチップ
42 カード装着部(カード読み取り手段)
44 記憶部(記憶手段)
46 カードリーダライタ(カードリーダ)
72 ICチップ
L 光軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象者の顔を撮像するための複眼撮像装置と、
予め取得した認証対象者の3次元の顔画像情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記複眼撮像装置を用いて認証対象者の顔を撮像した後、前記記憶手段に記憶されている顔画像情報と照合することにより、顔認証を行う顔認証システムにおいて、
前記複眼撮像装置は、
被写体からの反射光を受光して光電変換を行い、画像信号を出力する1つのエリアセンサと、
前記エリアセンサに対して、被写体からの光を結像させるように配置された複数の光学系とを有し、
前記複数の光学系のうちの各々の光軸が、他の全ての光学系の光軸と平行であり、
前記複眼撮像装置を用いて取得した3次元の顔画像情報と、前記記憶手段に記憶された3次元の顔画像情報とを照合することにより顔認証を行うことを特徴とする顔認証システム。
【請求項2】
前記顔認証システムは、
前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶されたカードと、
前記カードが装着され、該カードに記憶された識別情報を読み取るためのカード読み取り手段とをさらに備え、
前記複眼撮像装置は、前記カードに内蔵され、
前記カードが前記カード読み取り手段に装着されているとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像することを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項3】
前記顔認証システムは、
前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶された非接触型ICカードと、
前記非接触型ICカードに内蔵されたICチップと通信を行うことにより、前記識別情報を読み取るためのカードリーダとをさらに備え、
前記複眼撮像装置が、前記非接触型ICカードに内蔵され、
前記非接触型ICカードに記憶されている前記識別情報が前記カードリーダによって読み取られるとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像することを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項4】
前記顔認証システムは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に配設されるミラーをさらに備え、
前記複眼撮像装置が、前記ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されることを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項5】
前記カードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、
前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されることを特徴とする請求項2に記載の顔認証システム。
【請求項6】
前記非接触ICカードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、
前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されることを特徴とする請求項3に記載の顔認証システム。
【請求項7】
前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、凸面であることを特徴とする請求項4に記載の顔認証システム。
【請求項8】
前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、平面であることを特徴とする請求項4に記載の顔認証システム。
【請求項1】
認証対象者の顔を撮像するための複眼撮像装置と、
予め取得した認証対象者の3次元の顔画像情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記複眼撮像装置を用いて認証対象者の顔を撮像した後、前記記憶手段に記憶されている顔画像情報と照合することにより、顔認証を行う顔認証システムにおいて、
前記複眼撮像装置は、
被写体からの反射光を受光して光電変換を行い、画像信号を出力する1つのエリアセンサと、
前記エリアセンサに対して、被写体からの光を結像させるように配置された複数の光学系とを有し、
前記複数の光学系のうちの各々の光軸が、他の全ての光学系の光軸と平行であり、
前記複眼撮像装置を用いて取得した3次元の顔画像情報と、前記記憶手段に記憶された3次元の顔画像情報とを照合することにより顔認証を行うことを特徴とする顔認証システム。
【請求項2】
前記顔認証システムは、
前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶されたカードと、
前記カードが装着され、該カードに記憶された識別情報を読み取るためのカード読み取り手段とをさらに備え、
前記複眼撮像装置は、前記カードに内蔵され、
前記カードが前記カード読み取り手段に装着されているとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像することを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項3】
前記顔認証システムは、
前記認証対象者を識別するための識別情報が記憶された非接触型ICカードと、
前記非接触型ICカードに内蔵されたICチップと通信を行うことにより、前記識別情報を読み取るためのカードリーダとをさらに備え、
前記複眼撮像装置が、前記非接触型ICカードに内蔵され、
前記非接触型ICカードに記憶されている前記識別情報が前記カードリーダによって読み取られるとき、前記複眼撮像装置は認証対象者の顔を撮像することを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項4】
前記顔認証システムは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に配設されるミラーをさらに備え、
前記複眼撮像装置が、前記ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されることを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項5】
前記カードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、
前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されることを特徴とする請求項2に記載の顔認証システム。
【請求項6】
前記非接触ICカードは、前記認証対象者が自己の顔を視認可能である位置に凸面ミラーを有し、
前記複眼撮像装置は、前記凸面ミラーの、前記認証対象者によって視認される面の中心近傍に配設されることを特徴とする請求項3に記載の顔認証システム。
【請求項7】
前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、凸面であることを特徴とする請求項4に記載の顔認証システム。
【請求項8】
前記認証対象者によって視認される前記ミラーの面は、平面であることを特徴とする請求項4に記載の顔認証システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−223786(P2009−223786A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69837(P2008−69837)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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