説明

触媒材料および製造方法

本発明は、触媒材料に関し、詳細には、少なくとも900℃の温度で熱的に安定なゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ、および該触媒材料を製造する方法に関する。前記触媒材料は、炭化水素加工の分野における適用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メソ細孔質触媒に関し、詳細には、高い熱的安定性を有するゼオライトに包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブ、および該触媒材料を製造する方法に関する。上記触媒材料は、炭化水素加工の分野における適用に適している。
【背景技術】
【0002】
触媒材料としてのメソ細孔質モレキュラーシーブは、そのユニークな性質(例えば、非常に高い表面積を有する均一の大きな孔を有し、この孔の大きさは2〜50mmまで変動可能である)のために、科学者の関心をひいた。しかし、当該技術分野で既知のメソ細孔質モレキュラーシーブは、熱および熱水にそれほど安定ではないものが多く、孔の壁面は不定形であり、弱酸性の性質を有する。それに加え、炭化水素を加工した後の使用済み触媒の再生中に、メソ細孔質モレキュラーシーブが壊れてしまう場合がある。
【0003】
微小面積(d<2mm)の孔径を有する結晶材料は、産業規模で触媒として、および触媒のキャリアとして使用される。ゼオライトはこのような材料の周知の例である。ゼオライトは、その空間的な性質(例えば大きな表面積、大きな吸収能力および吸収能力を制御できる可能性)のために広く使用されている。ゼオライト構造中に活性部位を作り、活性部位を確立し、酸部位の強度および量を制御することができる。ゼオライトの孔径は、典型的に、0.4〜1.2nmの範囲であり、ゼオライトの熱安定性および化学安定性は高い。しかし、ゼオライトの孔径よりも大きな分子サイズを有する分子を加工する能力は制限されており、ゼオライトはいくつかの反応において比較的速く不活性化する。
【0004】
米国特許第5,198,203号は、規則的な一連のメソ細孔質モレキュラーシーブ(M41Sと称され、90年代のはじめに開発された)を開示する。M41Sは、シリカ前駆体およびアルミナ前駆体を含む水溶液とCi2i(CH3)N+−カチオン(i>7)とから熱水条件で作成されるメソ細孔質モレキュラーシーブ材料の一種である。この群の最もよく知られているものは六方晶系MCM−41、立方系MCM−48および平板構造のMCM−50である。メソ細孔質モレキュラーシーブの孔径は2〜10mmに制御することができ、この組成物は純粋なシリカまたはメタロシリカ(例えば、A1−置換シリカ、V−置換シリカおよびTi−置換シリカ)を含有してもよい。M41S群のメソ細孔質モレキュラーシーブ材料はもともと不定形であり、孔の並びは規則的である。
【0005】
非常に大きい孔の結晶相を含む材料の合成組成物は、米国特許第5,246,689号および同第5,334,368号に開示される。この材料は無機の多孔質の、1.3〜20nmの孔径を有する非層状構造である。1個の相の孔径分布はいくらか規則的である。X線回折パターン中のd間隔の少なくとも1つのピークは1.8nmである。
【0006】
EP0748652は、狭い孔径分布を有するメソ細孔質材料(MSA)の一種を開示する。この材料は不定形であり、全体的に不規則である。この材料のBET表面積は672〜837m2/gの範囲である。
【0007】
合成的に作られたメソ細孔質材料は酸性ではないか、または酸性が低い。メソ細孔質材料中の酸部位の量は、メソ細孔質材料のシリカ構造中のアルミニウムの組み込みが増えると増加する。しかし、上述のように、メソ細孔質材料の酸性度は、ゼオライトの酸性度よりも低い。
【0008】
メソ細孔質材料を製造するための種々の方法は当該技術分野で既知である。メソ細孔質モレキュラーシーブの熱安定性および熱水安定性、および酸性度を高めるための企て(例えば、メソ細孔質構造中に触媒的に活性な種を導入すること)がなされてきた。原理的に、合成方法は、有機薬剤を用いてケイ素源溶液を製造し、溶液のpHを沈殿が生じるpH値になるまで調整し、沈殿を回収し、焼成する工程を含む。アルミニウム源は、高温で合成を始めるまえの任意の工程で溶液に添加される。いくつかの界面活性剤およびテンプレート(有機薬剤)、組成物、溶媒および反応条件が提案されている。
【0009】
米国特許第5,942,208号は、MCM−41と比べて熱水安定性が改良されたメソ細孔質材料の製造方法を記載する。種々の塩がこの方法で使用され、溶液のpHは弱酸性に調整されていた。
【0010】
EP0795517は、ケイ素源およびフッ素を含有する有機テンプレートの混合物が使用されたメソ細孔質材料の合成方法を提供する。
【0011】
米国特許第5,942,208号は、従来のメソ細孔質モレキュラーシーブよりも優れた熱安定性および熱水安定性を有するメソ細孔質モレキュラーシーブの製造について記載する。構造中に本質的な変化を与えずに材料を水中で12時間沸騰させる。
【0012】
安定で活性なメソ細孔質材料を製造するための代替アプローチは、メソ細孔の壁面にゼオライトを導入することである。米国特許第09/764,686号は、Y−ゼオライト種、MFIゼオライト種およびβ−ゼオライト種を使用したメソ細孔質材料の合成法を開示する。
【0013】
CN1349929は、L−ゼオライト前駆体溶液を使用したMSA−3およびMAS−8の製造法を教示する。
【0014】
Kloetstraら、Micropor.Mesopor.Mater.6(1996)287では、フォージャサイトおよびMCM−41の系中での合成について報告している。このアプローチは、ゼオライトおよびMCM−41の逐次合成に基づいている。
【0015】
Karlssonら、Micropor.Mesopor.Mater.27(1999)181では、ゼオライト/MCM−41相を同時合成するための混合テンプレートアプローチの使用を開示している。
【0016】
上記材料は、2種以上の相の混合物であってもよく、またはこの合成アプローチでゆるやかに結合したゼオライトおよびメソ細孔質材料によりゼオライトの上にMCM−41が成長し付着し、またはゼオライト種がゲルに添加されてもよい。
【0017】
2種の異なるテンプレートがメソ細孔質材料の合成に使用されている。このような製造方法の再現性をとるのは困難である場合がある。さらに、ゼオライトとメソ細孔質モレキュラーシーブとの化学的な相互作用が存在しない場合、得られた材料の熱安定性および熱水安定性は低いと考えられる。
【0018】
当該技術分野の技術水準によれば、メソ細孔質モレキュラーシーブは、活性相または支持体として触媒に広範囲に適用される。いくつかの炭化水素変換反応は、酸によって触媒される。酸による触媒機能に基づいて、ゼオライトはオレフィンの二重結合および骨格の異性化、パラフィンの異性化、分解、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴマー化、ナフテンの開環、アルキル化、芳香族のトランスアルキル化、芳香族化などに活性であることが知られている。金属または金属酸化物またはスルフィド相を有する二官能触媒は、改質、パラフィンの異性化、水素化分解、触媒的脱ろう、水素化脱硫、水素化脱酸素、水素化脱窒素およびいくつかの水素化反応のような反応に適用可能である。ゼオライトを使用する際に最も大きな欠点は、不活性化が起こりやすいことと、嵩高い分子の取り扱いが限定されることである。
【0019】
上述の内容に基づき、メソ細孔質モレキュラーシーブに基づく熱および熱水に安定な触媒材料、およびこのような熱および熱水に安定な触媒材料の製造方法の必要性が存在することがわかる。ゼオライト型の活性部位を有するが、反応物の活性部位に近づきやすく、反応物の拡散経路が短いこと、および生成物の二次反応およびコーキングを制限する触媒の必要性が存在することが明らかである。
【0020】
発明の目的
本発明の1つの目的は、ゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを有する、特に炭化水素変換反応用の新規で活性な触媒を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、ゼオライト型の酸性度を有する、機械的、熱的および熱水に安定なゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブである。
【0022】
本発明のなおさらなる目的は、ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ構造を有する前記触媒材料の製造方法である。
【0023】
本発明のなおさらなる目的は、炭化水素変換反応における、ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ構造を有する前記触媒材料の使用である。
【0024】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブの特徴、その製造方法の特徴、およびゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブの使用の特徴は、特許請求の範囲に述べられる。
【発明の開示】
【0025】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ構造を有する新規触媒、特に炭化水素変換反応に適した触媒の合成に関して以下の説明および理論的考察に限定することを望まないが、本発明の本質的な特徴を以下に議論する。
【0026】
本発明は、ゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを有する新規で活性な触媒材料に関する。本発明はさらに、ゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブの製造方法に関し、ここで、この合成は用意であり、再生可能であり、生成物は高い触媒活性を示す。
【0027】
ゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを有する触媒材料は、炭化水素変換反応に適しており、特に、高分子量の炭化水素の加工に適している。この新規触媒材料は、分解、水素化分解、開環、芳香族、特に多環芳香族の水素化、オレフィンの二量化、オリゴマー化、オレフィンおよびパラフィンの異性化、芳香族のアルキル化、エーテル化、水素化脱硫および改質、または当該技術分野の技術から既知の改変の触媒成分として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
発明の詳細な記載
高い機械安定性、熱安定性、および熱水安定性を有する本発明の新規触媒材料によって、当該技術分野の技術によるゼオライト触媒およびメソ細孔質触媒に関する問題を避けることができるか、または顕著に減らすことができることがわかっている。新規なゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブは、空気存在下で少なくとも900℃の温度で熱的に安定である。
【0029】
本発明は、機械的、熱的および熱水に安定なゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブの一群を提供する。この材料は、実施例に見られるように非常に再生率が高く、いくつかの炭化水素変換反応において優れた性質を示す。この群のゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブは、メソ細孔質材料(MM)と称される。メソ細孔質は、本明細書では、2〜15nmの孔を有し、その孔が規則的に並んでいる材料を意味する。
【0030】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブは、M41S群から選択されるメソ細孔質モレキュラーシーブを含み、M41S群は2ページに定義されるものであり、規則的に並んだ孔を有するメソ細孔質材料を含む。好ましくは、メソ細孔質モレキュラーシーブは、MCM−41群として知られるメソ細孔質アルミノシリケートから選択される。
【0031】
メソ細孔質モレキュラーシーブは、MFI、MTT、TON、AEF、MWWおよびFER構造のような10員環ゼオライトである中程度の孔を有するゼオライト、およびBEA、FAU、MOR構造のような12員環ゼオライトである大きな孔を有するゼオライトに包埋される。前記ゼオライト群の一例は、ZSM−5、ZSM−23、ZSM−22、SAPO−11、MCM−22、フェリエライト、β−ゼオライト、Y−ゼオライトおよびX−ゼオライトおよびモルデナイトである。好ましくは、ゼオライトは、MFI、MTT、AEF、MWW、MORまたはBEAゼオライトである。
【0032】
触媒材料は、0.01〜10wt%のアルミニウム(Al)を含有する。
【0033】
触媒、特に産業用途および商業用途に適した触媒は、本発明のゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブと、アルミナ、シリカ、クレイおよび当該技術分野の技術常識に従う任意の他のキャリアおよびそれらの組み合わせから選択されるキャリアとを含む。好ましくは、キャリアは、アルミナまたはシリカを含む。キャリアの量は、触媒の全重量に基づいて計算して10〜90wt%の範囲を変動する。
【0034】
本発明のゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを有する新規な触媒材料群は、1400〜500m2/g、好ましくは1200〜600m2/gの範囲の高い比表面積(BET)を示す。
【0035】
本発明の触媒材料のX線粉末回折パターンは、メソ細孔質モレキュラーシーブおよびゼオライト構造を示す。ゼオライトの単位セルの寸法は、触媒材料のAlの量に伴って変動する。単位セルのサイズはAlの量の増加に伴って減少し、0.2wt%のAlを含有する触媒材料では1.982nmであり、3.9wt%のAlを含有する触媒材料では1.972nmであり、ゼオライトの種類はMFIであった(材料コードはMM5である)。単位セルサイズの変化は、一般的にゼオライトにおいて観察される変化と反対である。
【0036】
ゼオライトの種類がBEAである場合(材料コードはMMBEである)、単位セルのサイズは1.428nm〜1.430nmであり、ゼオライトの種類がMWWである場合(材料コードはMMMW22である)、単位セルのサイズは1.406nm〜1.436nmであり、ゼオライトの種類がMORである場合(材料コードはMMMOである)、単位セルのサイズは1.800nm〜1.806nmである。
【0037】
メソ細孔質モレキュラーシーブMCM−41のd100間隔は、ゼオライト含量の増加に伴って減少する。d100は、MM5では4.4nm〜3.8nmであり、MMBEおよびMMMOでは4.1nm〜4.0nmであり、MMMWでは4.0nm〜4.2nmである。
【0038】
単位セルの寸法およびd100値は、純粋なゼオライトおよびそれらの機械的混合物のMCM−41相で同じである。
【0039】
100間隔および単位セルの寸法の変化は、本発明の触媒材料においてメソ細孔質モレキュラーシーブと包埋されたゼオライトとが正しく化学結合していることの明らかな証拠である。
【0040】
本発明の触媒材料の特徴であるゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブは、X線粉末回折、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡、窒素吸収を用いた比表面積の測定(BET)およびアンモニア−TPDおよびピリジン−FTIRを用いた酸性度の測定によって測定された。
【0041】
酸部位の全数は、触媒材料が強塩基分子(例えば、アンモニアまたはピリジン)に結合する能力によって測定することができる。全酸性度は、アンモニア−昇温脱離(TPD)およびピリジン−赤外分光法(FTIR)によるBronsted酸性度およびLewis酸性度によって測定された。
【0042】
触媒材料の酸性度は、構造中に導入されるAlの量およびゼオライト、MCM−41およびMM相中のアルミニウム(Al)含量を改変することによってさまざまに変えることができる。図1および図1bでは、本発明の触媒材料の酸性度とアルミニウム含量との相関関係が示されている。図1aは、種々のMM触媒材料中のAl含量の関数として全酸性度の線形性を示し、図1bは、ゼオライト材料およびMCM−41触媒材料がMM触媒材料の全酸性度からどの程度乖離しているかを示す。ゼオライトは、MM5、MMBEおよびMMMWサンプルよりもAl含量の関数として大量の酸性部位を示し、MCM−41は同様のアルミニウム含量で酸性度が低い。
【0043】
酸性度の決定には国際標準法は存在しないため、本明細書中で使用される方法を以下に記載する。
【0044】
酸性度の決定は、NH3−TPDで行なった。触媒材料の全酸性度は、Altamira AMI−100装置を用いてアンモニアの昇温脱離(NH3−TPD)によって測定した。サンプル量は40mgであった。全酸性度は、温度の関数としてNH3の脱離で測定した。200℃で吸収したNH3の量と100℃〜500℃で脱離したNH3の量からサンプルの酸性度を計算した。NH3−TPD装置には、Gow Mac社製の熱導電率検出器(TCD)が取り付けられた。20℃/minのランプ速度を適用し、温度を500℃まで線形に上げ、30分間保持した。He中の既知の体積の10%NH3のパルスを用いて定量した。
【0045】
さらに、酸性度を、ピリジン−FTIRを用いて決定した。サンプルの酸性度を、Bronsted酸部位およびLewis酸部位の定性的および定量的な決定のためにピリジン(≧99.5%、a.r.)をプローブ分子として用い、赤外分光法(ATI Mattson FTER)で測定した。サンプルを薄い自立型ウェハ(10〜12mg/cm2)にプレスした。ピリジンを100℃で30分間最初に吸収させ、次いで酸部位の強度の分布を得るために、異なる温度(250℃、300℃および450℃)で排出することにより脱離させた。2cm-1のスペクトル分解能で全スペクトルを100℃で記録した。1545cm-1および1450cm-1のスペクトル帯をそれぞれ、Bronsted酸部位(BAS)およびLewis酸部位(LAS)を同定するために使用した。
【0046】
BASおよびLASの量を、モル減衰係数を用いて対応するスペクトル帯の強度から計算した。
【0047】
酸部位は、触媒材料の表面に位置している。全表面積および孔容積をN2−吸収および脱離を用いて評価した。平均メソ細孔表面積およびメソ細孔の直径をBJH(Barrer−Joyner−Halenda)式を利用したN2−脱離から評価した。孔径は、反応物および生成物の両方のサイズを限定する効果を有する。微細孔のサイズは、ゼオライトの構造に依存する。IUPACによれば、2nm未満の直径の孔は微細孔と定義され、2〜50nmの直径の孔はメソ細孔と定義される。
【0048】
MMBEのN2−吸収脱離等温線を図2に示す。メソ細孔の直径は、メソ細孔質モレキュラーシーブ中では2.6nmであるのに対し、包埋された材料ではほぼ同様の2.4〜2.7nmに維持されている。
【0049】
MMBE中のメソ細孔の直径分布を示すBJH脱離を添付の図3に示す。
【0050】
表面積および全孔容積は、以下の表1に示されるように、ゼオライトがメソ細孔質モレキュラーシーブに包埋されると減少する。表1には、MM53、MMBEおよびMMMWの表面積、孔容積および孔径、および比較としてMCM−41、MFIおよびBEAのデータが含まれる。
【0051】
【表1】

【0052】
ゼオライトはX線回折(XRD)によって同定される。適切な内部標準が使用されれば、XRDパターンから、ゼオライトおよびMCM−41相の単位セルの直径を測定することができる。α−Al23またはTiO2(ルチル)を内部標準として使用した。
【0053】
MFIの単位セルのサイズを、α−Al23を内部標準として用いてASTM D 3942−97法によって測定した。
【0054】
BEAの単位セルを、TiO2を内部標準として用い、22°2θでの[302]反射を用いて、改変されたASTM D 3942−97法によって測定した。
【0055】
MWWの単位セルを、α−Al23を内部標準として用い、7.2°2θでの[100]反射を用いて、改変されたASTM D 3942−97法によって測定した。
【0056】
MMMOの単位セルのサイズを、内部標準を用いずにピーク位置から概算した。概算は、a0=2*d[100]/√3である。
【0057】
メソ細孔質モレキュラーシーブ(MCM−41)の単位セルのサイズを、J.S.Beckerら、J.Am.Chem.Soc.14(1992)10834に記載される方法によって概算した。
【0058】
ゼオライトの単位セルのサイズは、ゼオライト骨格に組み込まれたAlの量に依存する。Al原子はSi原子より大きく、そのため単位セルのサイズは、典型的に、ほとんどのゼオライトでAlの量が増加するにつれて大きくなる。対照的に、包埋されたゼオライトでは、表2からわかるように(MFI、BEA、MWWおよびMORのa0値)、単位セルの直径がMM5触媒材料中のAlの量が増加するにつれて小さくなる。MCM−41の単位セルの直径(UCD)の変化は、Alの量と相関関係にはなく、MFI相の強度が増加するにつれて増加する。単位セルの直径の変化はメソ細孔質モレキュラーシーブと包埋されたゼオライトとが正しく化学結合しているという明確な証拠である。
【0059】
MCM−41、およびメソ細孔質モレキュラーシーブ(MCM−41)に包埋されたMFI、BEA、MWWおよびMORゼオライトのアルミニウム含量および単位セルの直径を以下の表2に示す。
【0060】
【表2】

【0061】
本発明の触媒材料の熱安定性を、包埋された材料を空気中1000℃の温度にさらすことによって試験した。焼成したMM5のXRD回折パターンを図4に示す。図5に示されるとおり、1000℃で熱処理した後にも同じパターンが得られた。この観察結果は、本発明の触媒材料が少なくとも1000℃までの温度では熱的に安定であるという証拠となる。
【0062】
本発明の触媒材料のナノ構造を、(HRTEM)(0.24nmの点解像度を有するPhilips CM−200FEG透過型電子顕微鏡)を用いて高解像度透過型電子顕微鏡で試験した。組成物をEDS(NORAN Voyagerエネルギー分散X線分光計)で測定した。図6aには、本発明のβ−ゼオライトに包埋されたメソ細孔質材料のHRTEM図を示す。比較のために、図6bには、規則正しいMCM−41材料のHRTEM図を示す。
【0063】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを製造する方法を以下に詳細に記載する。
【0064】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを製造する方法は、以下の工程を含む:
(a)ゼオライト核のためにケイ素源およびアルミニウム源および構造指向剤(テンプレートR)、またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体からゼオライト核を製造する工程、および場合により前記構造指向剤を段階焼成手法を用いて除去する工程;
(b)メソ細孔質モレキュラーシーブのゲル混合物をケイ素源、場合によりアルミニウム源、および界面活性剤(S)から製造する工程;
(c)工程(a)で製造したゼオライト核またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体を工程(b)で得られたメソ細孔質モレキュラーシーブのゲル混合物に導入し、ゼオライト核またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体をモレキュラーシーブゲル中で均質化し、分散させる工程;
(d)工程(c)の混合物を攪拌下でゲル熟成させる工程;
(e)約100℃〜約200℃の温度、および結晶が生成するまで静止状態または攪拌する動的状態を含む十分な条件下で混合物を維持することによって工程(d)の混合物を熱水合成する工程;
(f)前記結晶を回収する工程;
(g)前記固体生成物を洗浄する工程;
(h)前記固体生成物を乾燥する工程、および
(i)段階焼成手法を用いて前記界面活性剤(S)を部分的または全体的に除去し、工程(a)で除去されない場合には前記テンプレートRを部分的または全体的に除去し、ゼオライト触媒に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを得る工程。
【0065】
工程(a)では、ゼオライト核はケイ素源およびアルミニウム源および構造指向剤(テンプレートR)から製造される。ケイ素源は、酸化ケイ素、好ましくはコロイド状シリカ、固体シリカおよびフュームドシリカから選択される。
【0066】
アルミニウム源が、硫酸アルミニウム(Al2(SO43・18H2O)、水酸化アルミニウム水和物、アルミネート、アルミニウムイソプロポキシドおよびアルミナから選択される。
【0067】
適切なテンプレートは、所望なゼオライト構造を得る目的で選択される。典型的に使用されるテンプレートの例は、アルキルアンモニウムヒドロキシド、アルキルアンモニウムハロゲン化物、アルキルアミンヒドロキシドおよびアルキルアミンハロゲン化物、例えば、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピペリジン、ピロリジン、オクチルアミン、エチレンジアミン、1,6−ジアミノヘキサンおよびヘキサメチレンイミンである。
【0068】
工程(a)の温度は40〜200℃であり、製造は静止状態または動的状態で行なうことができる。最後に、工程(a)では、テンプレートは、場合により段階焼成手法としてしられる熱処理手順によって除去される。処理温度は350〜900℃の範囲である。テンプレートは、代替的には、工程(a)で除去されない場合には工程(i)で除去されてもよいが、好ましくは工程(a)でテンプレートが除去される。
【0069】
工程(b)では、メソ細孔質モレキュラーシーブゲルは、ケイ素源、場合によりアルミニウム源、および界面活性剤(S)から製造される。ケイ素源は、有機基を有するケイ素化合物および無機ケイ素源から選択される。有機基を有するケイ素源は、テトラエトキシシラン(TEOS)、ケイ酸テトラメチルアンモニウムまたはケイ酸テトラエチルアンモニウムなどである。無機ケイ素源は、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、コロイド状シリカ、固体シリカまたはフュームドシリカである。アルミニウム源は、硫酸アルミニウム(Al2(SO43・18H2O)、水酸化アルミニウム水和物、アルミネート、アルミニウムイソプロポキシドおよびアルミナから選択される。界面活性剤は、所望なメソ細孔質相を得る目的で選択される。使用される適切な界面活性剤は、一般式Cn2n+1(CH33*NXを有するアルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化化合物(式中、n=12〜18、X=Cl、Br)である。好ましくは、界面活性剤は、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよびセチルトリエチルアンモニウムブロミドからなる群から選択される。工程(b)の温度は、20〜100℃であり、製造は攪拌下で行なう。
【0070】
工程(c)では、工程(a)で製造したゼオライト核またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体が、攪拌下でモレキュラーシーブゲルに導入される。作成した混合物を均一にし、ゼオライト核またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体を分散させる。生成物の酸性度を調整するために、さらなるアルミニウム源を添加してもよい。このさらなるアルミニウム源は、アルミニウムアルコキシドから選択される有機配位子を有するアルミニウム源であり、好ましくはアルミニウムイソプロポキシドである。工程(c)の攪拌速度は50〜1000rpmである。処理時間は10〜500分である。
【0071】
工程(d)では、ゲルを攪拌下で熟成する。攪拌速度は200〜1000rpmであり、ゲル熟成時間は30〜1800分である。
【0072】
工程(e)では、熱水合成は100〜200℃の温度で行なわれる。熱水合成の時間は、所望な材料に依存して10時間〜300時間で変動させることができる。熱水合成は、結晶が生成するまで混合物を攪拌する動的モードで行なわれる。
【0073】
工程(f)では、工程(e)で得た結晶を、例えば、ろ過または当該技術分野で既知の別の方法で回収する。必要な場合、回収(例えばろ過)前に混合物のpHを6〜8に調整する。
【0074】
工程(g)では、工程(f)で得られた固体生成物を洗浄液として例えば水を用いて十分に洗浄する。水温は室温〜60℃である。所望ではない水溶性物質がすべて固体生成物から除去されたら、洗浄を終了する。
【0075】
工程(h)では、当該技術分野で既知の方法によって溶媒を除去するために固体生成物を乾燥する。
【0076】
工程(i)では、界面活性剤(S)を段階焼成手法として知られる熱処理手順によって部分的または完全に除去する。テンプレート(R)は、場合により、界面活性剤の除去と同時に工程(i)で除去されてもよい。処理温度は350〜900℃の範囲であり、加熱速度は0.2〜10℃/minである。処理中の雰囲気は酸化雰囲気であり、最終工程では、材料は典型的には空気中で処理される。ゼオライト触媒に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブが得られる。
【0077】
製造方法において、ゲル溶液をメソ細孔質モレキュラーシーブから製造し、次いで、ゼオライト核化剤を適切な合成条件で添加し、アルミニウム源をゼオライト核化剤で置換する。適切には、アルミニウム源は、アルミニウムアルコキシド、好ましくはアルミニウムイソプロポキシドである。
【0078】
好ましくは、界面活性剤は、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミドまたはセチルトリエチルアンモニウムブロミドである。
【0079】
好ましくは、蒸留水または脱イオン水が溶媒および材料の洗浄に使用される。
【0080】
ゼオライト核は、構造指向剤を含まないアルミノシリケート前駆体であり、部分的または完全に結晶であってもよい。結晶サイズが変動するため、結晶サイズはXRDで検出される場合もあれば、検出されない場合もある。しかし、結晶の形態は走査型電子顕微鏡で観察することができる。ゼオライト核は、界面活性剤存在下では本発明の触媒材料の合成中に準安定相を有し、メソ細孔質モレキュラーシーブの壁面と化学結合する。
【0081】
アルミノシリケート核がメソ細孔質モレキュラーシーブゲル溶液に十分に分散した後、界面活性剤の存在下でゲル熟成時間中に、核−界面活性剤の中間相複合体が生成し、これによりメソ細孔質材料の壁面の化学結合が強まり、結晶性が高まる。
【0082】
ゼオライト核のためのアルミノシリケート前駆体は、当該技術分野で既知の技術から、ゼオライト構造型、例えば、MFI、BEA、TON、MOR、MWW、AEFおよびFAUのために製造することができる(EP23089、米国特許第3308069号、EP102716、EP23089)。構造MFIおよびBEAのゼオライト核のためのアルミノシリケート前駆体の製造の2つの例は、本明細書中に与えられる。しかし、他の上述のゼオライトも同様に適していることは明らかである。
【0083】
アルミノシリケート前駆体から製造したゼオライト核は、ゲル製造において適切に使用される。ゲル熟成時間中、核化プロセスを経る化学的相互作用および結合が起こる。ゲル熟成により、核化プロセスが促進され、二次的な核化もゼオライト核形成で起こり、それにより、複合体の「ゼオライト核−界面活性剤中間相」を形成し、これは微細相と中間相とのあいだの結合の化学的性質を高める。微細相はゼオライト構造の形成のもととなり、中間相はメソ細孔質構造の形成のもととなる。
【0084】
「ゼオライト核−界面活性剤中間相」の形成は、アルカリ媒体中に界面活性剤を添加した後にゼオライト核が導入される場合に、またはその添加前に界面活性剤の水溶液中にゼオライト核を浸した後にゲル熟成時間がある場合に起こりやすい。
【0085】
試薬、特に界面活性剤およびゼオライト核を導入し、ゼオライト核を前処理し、ゲルを熟成するプロセスの順序は、微細孔とメソ細孔モレキュラーシーブ材料との結合の化学的性質を作り出すのに重要である。高い酸性度を有するゼオライト材料に包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブを得るために、アルミニウム源はゼオライト核の添加後でゲル熟成時間の前に導入される。
【0086】
ゲル製造中のゼオライト核導入後に激しく攪拌することは、ゲル溶液中のゼオライト核の均一性および分散性を高めるために重要である。
【0087】
得られた触媒材料は、場合により、アンモニウムイオン交換および焼成を経て対応するプロトン形態に変換されてもよい。アンモニウムイオン交換のための適切な供給源となる材料は、硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムのようなアンモニウム塩である。触媒材料をアンモニウム塩の水溶液で25〜80℃の温度で1〜6時間の適切な時間間隔で処理する。アンモニウムカチオンを処理中に材料のアルカリまたはアルカリカチオンと交換する。イオン交換度は、処理時間、アンモニウム溶液の濃度および温度を変えることによって変えることができる。イオン交換処理の後、得られた材料を乾燥し、アンモニウムイオンをプロトンとアンモニアに分解するために焼成する。
【0088】
本発明の触媒材料であるゼオライトに包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブの改変は、沈殿、堆積、カプセル化、および選択的な除去からなる群から選択される方法で行なうことができる。
【0089】
含浸およびイオン交換は堆積方法である。含浸では、液体相から堆積が起こり、吸着、イオン交換および選択的な反応が支持体の表面で起こる。液体の除去中、単一層よりも結晶が表面に生成する。イオン交換では、希釈した溶液を使用し、所望な金属カチオンを溶液から固体材料のカチオンまたはプロトンを高官する材料と交換する。改質のための手順および方法の選択は、標的反応に依存する。一般的に、イオン交換方法は、金属の含浸立が低く、分散度が高いときに必要とされる。
【0090】
合成終了後の界面活性剤の除去は、高い表面積と酸性度を有するゼオライトに包埋されたメソ細孔モレキュラーシーブを得るために必要である。焼成温度、加熱速度および持続時間が、表面積、孔径分布および骨格中のアルミニウムの位置に影響を与える場合がある。合成されたゼオライトに包埋されたメソ細孔モレキュラーシーブの窒素吸収によって決定される非常に大きな表面積およびアンモニアのTPDによって決定される変動する強い酸性度は、段階焼成手法が界面活性剤を除去するのに非常に適した方法であることを確認する。
【0091】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブからのテンプレートの除去も段階焼成手法で行なわれる。
【0092】
メソ細孔質材料の合成は、さらなるアルミニウム源を用いてまたは用いずに行なわれてもよい。触媒材料の合成には1個のテンプレートを必要とするのみである。
【0093】
触媒材料は、当該技術分野で既知の任意の方法を用いてキャリアに組み込まれてもよい。
【0094】
この合成方法により、メソ細孔質材料中のゼオライト材料の化学結合によって孔の壁面の結晶性が増加し、それにより所望なゼオライトの性質が導入され、同時にメソ細孔質構造がインタクトで維持される。本方法では、生成物を合成するためのゲル溶液中でたった1種類のテンプレートのみが必要である。
【0095】
ゼオライトの小さな結晶が、メソ細孔質材料の合成で「核」として使用され、「核」の濃度およびゼオライト結晶のサイズを変えることができる。この方法により、ゼオライト核の濃度が増加し、メソ細孔質モレキュラーシーブ中の大量の微細孔構造に包埋され、メソ細孔質の壁面の結晶性が上がる。材料の熱安定性および熱水安定性および酸性度が影響を受ける。ゼオライト核のサイズの変動は、材料の形状の選択性に影響を与える場合がある。
【0096】
X線粉末回折パターン、走査型電子顕微鏡および窒素吸収性の結果により、本発明のゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ、例えば、MFI、BEA、MWWおよびMOR構造の熱安定性および熱水安定性を確認する。
【0097】
さらに、異なる炭化水素変換反応(例えば、n−ブタンおよび1−ブテンの異性化および1−デセンオリゴマー化)で使用した触媒の完全なまたはほぼ完全な再生および触媒活性の保持は、触媒材料の安定性を示す。
【0098】
本製造方法は、メソ細孔質モレキュラーシーブの固有の酸性度を設計することを可能にする。メソ細孔質モレキュラーシーブ材料の固有の酸性度は、アルミニウム源を用いて設計することができ、ゲル溶液および異なるゼオライト核のSi/Al比を変えることができる。アンモニアのTPDおよび異なる試験反応(例えばn−ブタン異性化)H−MM5、H−MMBEおよびH−MMMW触媒の特性決定の結果は、酸性度を変えた材料を首尾よく設計できることを確認する。
【0099】
メソ細孔質材料の孔壁面はMCM−41では不定形であるが、ゼオライトの導入により結晶性が増大する。本発明の生成物のゼオライト単位セルは、ゼオライトおよびメソ細孔質モレキュラーシーブの機械的な混合物とは異なっており、メソ細孔質モレキュラーシーブの単位セルは、機械的な混合物よりも大きくなっている。
【0100】
生成物のさらに本質的な特徴は、大多数のゼオライト相がメソ細孔質モレキュラーシーブと化学的に結合していることである。生成物は空気存在下で少なくとも900℃の温度で熱的に安定である。
【0101】
本発明のゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブおよびこのような材料を製造するための方法は、当該技術分野で開示される技術とは顕著に異なっており、いくつかの利点を有する。
【0102】
XRDおよびSEMの図および表面積の測定結果からわかるように、新規なMFI構造に包埋されたMM5メソ細孔質モレキュラーシーブは少なくとも1000℃まで熱的に安定であり、MMBEメソ細孔質モレキュラーシーブは少なくとも900℃まで熱的に安定である。
【0103】
MM5、MMBE、MMMWおよびMMMOのカチオン形態(例えば実施例に示されるNa形態)を、硝酸アンモニウム水溶液のイオン交換により対応するMM5、MMBE、MMMWおよびMMMOのプロトン形態に変換し、100℃で乾燥し、500℃で焼成しても、XRDパターンに示されるように構造変化はなく、このことは、新規材料が熱水に安定であることを示す。MCM−41の構造は、高温で水と接触すると壊れることが知られている。
【0104】
MM5、MMBE、MMMWおよびMMMOの金属による修飾は、例えば、貴金属による修飾、特にヘキサクロロ白金酸の水溶液を用いて80℃で24時間で製造される実施例の白金による修飾の後、100℃で乾燥し、450℃で焼成しても、XRDパターンに示されるようにMM5およびMMBEの構造に影響を与えなかった。このことは、この材料が酸性媒体中で安定であることを示す。
【0105】
MFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブのプロトン形態は、n−ブタンおよび1−ブテンの異性化反応で非常に高い活性を示した。H−MM5触媒は、酸性度が増加するにつれてn−ブタン変換率も増加した。
【0106】
MFIおよびBEA構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブのプロトン形態は、i−オレフィンの二量化に非常に高い活性を示した。H−MM5およびH−MMBE触媒は、酸性度が高まるにつれて1−デセン変換率が高くなった。MFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブのプロトン形態は、イソブテンの二量化に非常に高い活性を示し、触媒は不活性化されなかった。
【0107】
H−MM5およびH−MMBE触媒材料は、空気存在下で完全に再生された。再生された材料は、n−ブタンおよび1−ブテンの異性化および1−デセンのオリゴマー化において新しい触媒とほぼ同じ触媒活性を示した。MCM−41触媒の主要な問題の1つは再生であることがよく知られている。すなわち、メソ細孔質構造が再生後に破壊される。両方の反応における新しいゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料の触媒活性の保持は、再生後の構造が安定であることを明確に示す。
【0108】
Pt−MM5は、n−ブタンの異性化において非常に高い変換率を示し、再生後の触媒材料はその触媒活性を保持していた。
【0109】
Pt−MMBEは、開環生成物に対して高い選択率を示した。
【0110】
そのために、MM5およびMMBEメソ細孔質材料について、熱安定性および熱水安定性を高めるための合成後の改変は必要ではない。新規材料の高い熱安定性および熱水安定性は、ゼオライトに包埋するのに、例えば、上述の方法を用いてMFIおよびBEA構造をメソ細孔質モレキュラーシーブの壁面に包埋するのに魅力的である。
【0111】
この新しいメソ細孔質材料の一群は、活性材料でさらに改変することなく、オレフィンの二量化、オレフィンのオリゴマー化、オレフィンの異性化、炭化水素の分解、芳香族のアルキル化、低分子炭化水素の芳香族化、エーテル化、脱水および開環反応の触媒として適用することができる。金属で修飾された材料は、当該技術分野で既知の様式を用いて改変される場合、低分子パラフィンの異性化に高い活性を示した。同様に、金属で修飾された材料は、長鎖パラフィンの異性化、水素化、水素化分解、水素化脱硫、水素化脱酸素、水素化脱窒素、脱水、改質、Fisher−Tropsch反応および酸化反応に活性である。触媒中の金属は、当該技術分野で既知の様式で改変される場合、金属形態、酸化物形態、またはスルフィド形態または任意の他の形態であることができる。
【0112】
本発明の材料は、吸着、吸収または選択的な除去のような種々の分離技術で使用することができる。
【0113】
以下の例示的な実施例は、本発明およびその実際の実施形態をよりよく理解するために与えられるが、本発明がいかなる様式でもこれらの実施例に限定されないことは当業者に明らかである。
【実施例】
【0114】
実施例1(比較例)
米国特許第3,926,784号によるZSM−5ゼオライトの製造
出発物質は、ケイ酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、トリイソプロピルアミンブロミド(TPABr)、塩化ナトリウム、硫酸および水であった。
【0115】
溶液Aをケイ酸アルミニウム3.5gと水4.4Lとを混合することによって製造した。
【0116】
溶液Bを硫酸アルミニウム107g、TPABr438g、NaCl 1310g、H2SO4292gおよび水6Lを混合することによって製造した。攪拌速度250r/minで攪拌しながら溶液AとBを反応器に入れた。温度を100℃まで徐々に上げ、圧力を8barまで上げた。攪拌下で6日間反応させた。反応器を冷却した。生成した固体生成物(ZSM−5)をろ過し、温水で洗浄し、110℃で一晩乾燥させた。生成物を焼成してテンプレートを除去し、硝酸アンモニウムでイオン交換し、焼成してプロトン形態のゼオライト(H−ZSM−5)を製造した。
【0117】
実施例2〜4(比較例)
EP0784652によるMSA型材料の製造
MSA型材料の合成に使用される出発物質は、アルミニウムイソプロポキシド(Al−i−C37O)3、オルトケイ酸テトラエチル(Si(C25O)4)およびテトラプロピルアンモニウムヒドロキシドの水溶液(TPA−OH)であった。
【0118】
TPA−OH、(Al−i−C37O)3、および水を60℃で40分間混合した。得られた溶液を85℃まで加熱すると、透明な溶液が得られた。次いで、Si(C25O)4液を滴下漏斗で添加した。得られた混合物を3時間攪拌した。反応混合物を攪拌しながら20時間冷却した。冷却後、生成したアルコールおよび水を留去し、固体ゲルを100℃で乾燥させた。乾燥固体を粉砕し、550℃で8時間焼成した。
【0119】
以下の表3に、MSA型触媒の製造および得られたMSA型触媒の性質について記載する。
【0120】
【表3】

【0121】
実施例5(比較例)
メソ細孔質モレキュラーシーブH−MCM−41の製造
Na−MCM−41を溶液A、BおよびCを製造することによって合成した。
【0122】
フュームドシリカと蒸留水とを攪拌下で15分間混合することによって溶液Aを製造した。攪拌下でケイ酸テトラメチルアンモニウムをケイ酸ナトリウムに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。攪拌下で20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミドを蒸留水に溶解させることによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに攪拌しながらゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを溶液AとBとの混合物に攪拌しながらゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。次いで、アルミニウムイソプロポキシドをゲル溶液(A+B+C)に攪拌下で添加し、得られた混合物を攪拌しながら2時間ゲル熟成させた。pHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で48時間合成した。合成が終わったら、反応器をクエンチし、メソ細孔質材料をろ過し、蒸留水で洗浄した。得られたNa−MCM−41を110℃で乾燥させ、550℃で10時間焼成した。ナトリウム形態のNa−MCM−41を1M 硝酸アンモニウム水溶液で80℃で2時間イオン交換し、得られたNH4−MCM−41を蒸留水で洗浄し、乾燥させ、焼成した。
【0123】
実施例6〜8
MFIゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ
MFIゼオライト核の製造
3種類の異なる溶液A、BおよびCをMFIゼオライト核製造のために作成した。フュームドシリカ10.5gを蒸留水81.2mLに添加することによって溶液Aを製造した。NaOH2.2gおよびAl(OH)30.3gを蒸留水9.4mLに溶解することによって溶液Bを製造した。溶液Bを溶液Aに添加し、得られたゲル混合物を20分間攪拌した。テトラプロピルアンモニウムブロミド3.7gを水3.8mLに溶解し、20分間攪拌することにより溶液Cを製造した。溶液Cをゲル混合物(A+B)に添加し、15分間攪拌し、水55mLを添加した。得られたゲル混合物をあと20分間攪拌した。150℃で18時間合成した。合成が終わったら、生成物をろ過し、蒸留水で洗浄し、乾燥し、焼成し、MFIゼオライト核を得た。
【0124】
実施例6a
アルミニウム源を用いない、MFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブNa−MM5−96h−4ZSの合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM5−96h−4ZSを合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0125】
次いで、上述のように製造したMFI核4.2gを、激しく攪拌しながら(r.m.p.340)20分間、ゲル溶液(A+B+C)に分散させた。ゲルを激しく攪拌しながら(r.m.p.340)あと35分間、MFIを均一に分散させた。次いで、ゲル溶液を周囲温度で攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。合成が終わったら、反応器を30分間冷却し、MFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を得て、この材料を蒸留水と混合し、ろ過し、蒸留水で3時間十分に洗浄した。Na−MM5−96h−4ZSを乾燥し、マッフルオーブン中で10時間、段階焼成手法を用いて450℃で焼成した。
【0126】
実施例6b
上記材料のプロトン形態であるH−MM5−96h−4ZSの製造
Na−MM5−96h−4ZS(上で製造したナトリウム形態)10gを、1M 硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムの水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、得られたNH4−MM5−96h−4ZSを蒸留水で十分に洗浄し、乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で焼成した。
【0127】
得られたH−MM5−96h−4ZSのXRDパターンは、Na−MM−5−96h−4ZSのXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0128】
実施例7
アルミニウム源を用いた、MFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM5−96h−4ZS−2AIの合成
【0129】
実施例7a
Na−MM5−96h−4ZS−2AIの合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM5−96h−4ZS−2AIを合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、得られた混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0130】
次いで、MFI核4.2gを、激しく攪拌しながら(r.m.p.340)20分間、ゲル溶液(A+B+C)に分散させた。ゲルを激しく攪拌しながら(r.m.p.340)あと35分間、MFIを均一に分散させた。アルミニウムイソプロポキシド2.3gを添加し、20分間攪拌した。次いで、得られたゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。合成が終わったら、反応器をクエンチし、得られたメソ細孔質材料をろ過し、蒸留水で十分に洗浄した。得られたNa−MM5−96h−4ZS−2AIを乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて焼成した。
【0131】
実施例7b
H−MM5−96h−4ZS−2AIの合成
Na−MM5−96h−4ZS−2AI(上で製造)10gを、1M 硝酸アンモニウム水溶液で室温で24時間イオン交換した。イオン交換した後、メソ細孔質材料を十分に洗浄し、乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で4時間焼成した。得られたH−MM5−96h−4ZS−2AIのXRDパターンは、Na−MM−5−96h−4ZS−2AIのXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0132】
実施例8
アルミニウム源を用いた、MFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM5−96h−4ZS−2AI−35の合成
【0133】
実施例8a
Na−MM5−96h−4ZS−2AI−35の合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM5−96h−4ZS−2AI−35を合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ4.5gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、得られた混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、得られた混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。次いで、実施例6で製造したMFI核4.2gを、激しく攪拌しながら(r.m.p.340)20分間、ゲル溶液(A+B+C)に分散させた。ゲルを激しく攪拌しながら(r.m.p.340)あと35分間、MFIを均一に分散させた。次いで、アルミニウムイソプロポキシド2.3gをこの混合物に添加し、20分間攪拌した。次いで、ゲル溶液を周囲温度で攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。合成が終わったら、反応器をクエンチし、得られたメソ細孔質材料をろ過し、蒸留水で十分に洗浄した。得られたNa−MM5−96h−4ZS−2AI−35を乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で焼成した。
【0134】
実施例8b
H−MM5−96h−4ZS−2AI−35の製造
Na−MM5−96h−4ZS−2AI−35(上で製造)10gを、1M 硝酸アンモニウム水溶液で室温で24時間イオン交換した。イオン交換した後、メソ細孔質材料を十分に洗浄し、乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で焼成した。
【0135】
H−MM5−96h−4ZS−2AI−35のXRDパターンは、Na−MM5−96h−4ZS−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0136】
実施例9
白金修飾されたMM5材料であるPt−H−MM5−96h−4ZS−2AI
H−MM5−96h−4ZS−2AI 5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたMM−5−96h−2AIを100℃で乾燥し、450℃で焼成した。図5に示されたPt−H−MM−5−96h−4ZS−2AIのXRDパターンは、親化合物のNa−MM−5−96h−2AIのXRDパターンと類似しており、このことは、ゼオライトに包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。
【0137】
実施例10
白金修飾されたMM5材料であるPt−H−MM5−96h−4ZS−2AI−35の製造
H−MM5−96h−4ZS−2At35 5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたMM−5−96h−2AI−35を100℃で乾燥し、450℃で焼成した。
【0138】
Pt−H−MM−5−96h−4ZS−2AI−35のXRDパターンは、Na−MM−5−96h−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは、ゼオライトに包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。
【0139】
実施例11〜13
BEA構造に包埋されたメソ細孔質材料の製造
BEAゼオライト核の製造
攪拌下で10分間、NaAlO2 7.8gを蒸留水60mLと混合し、この溶液に、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEA−OH、40%)74gを添加し、20分間攪拌した。コロイド状シリカ145.4gを上記溶液に添加し、25分間攪拌した。
【0140】
得られたゲルをオートクレーブに入れ、テフロン(登録商標)カップに入れた。静置状態で150℃で65時間合成した。合成が終わったら、生成物をろ過し、蒸留水で洗浄し、110℃で乾燥し、550℃で7時間焼成し、BEAゼオライトを得た。
【0141】
実施例11a
アルミニウム源を用いない、BEA構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MMBE−96h−4Bの合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MMBE−96h−4Bを合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、得られた混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0142】
次いで、上で製造したBEAゼオライト核前駆体3.7gを激しく攪拌しながら(r.m.p.350)ゲル混合物(A+B+C)に添加し、ゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。
【0143】
100℃で96時間合成した。合成が終わったら、反応器をクエンチし、得られたメソ細孔質材料をろ過し、蒸留水で十分に洗浄した。得られたNa−MM−BE−96h−4Bを乾燥し、段階焼成手法を用いて焼成した。
【0144】
実施例11b
H−MMBE−96h−4Bの製造
Na−MMBE−96h−4B(上で製造)10gを、1M 硝酸アンモニウム水溶液で室温で24時間イオン交換した。イオン交換した後、メソ細孔質材料を十分に洗浄し、乾燥し、段階焼成手法を用いて焼成した。
【0145】
H−MMBE−96h−4BのXRDパターンは、Na−MMBE−96h−4BのXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0146】
実施例12
アルミニウム源を用いた、BEA構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MMBE−96h−4B−2AIの合成
【0147】
実施例12a
Na−MMBE−96h−4B−2AIの合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM−BE−96h−4B−2AIを合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、得られた混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、得られた混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0148】
次いで、BEAゼオライト核前駆体(上で製造)3.7gを激しく攪拌しながら(r.m.p.350)ゲル混合物(A+B+C)に添加し、25分間攪拌し、次いで、アルミニウムイソプロポキシド1.9gを添加し、20分間攪拌した。得られたゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。合成が終わったら、反応器をクエンチし、メソ細孔質材料をろ過し、蒸留水で十分に洗浄した。得られたNa−MMBE−96h−4B−2AIを乾燥し、段階焼成手法を用いて10時間焼成した。
【0149】
実施例12b
H−MMBE−96h−4B−2AIの製造
Na−MMBE−96h−4B−2AI(上で製造)10gを、1M 硝酸アンモニウム水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、メソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて焼成した。
【0150】
H−MMBE−96h−4B−2AIのXRDパターンは、Na−MMBE−96h−4B−2AIのXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0151】
実施例13
アルミニウム源を用いた、BEA構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MMBE−96h−4B−2AI35の合成
【0152】
実施例13a
Na−MMBE−96h−4B−2AI−35の合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MMBE−96h−4B−2AI−35を合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ4.4gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。次いで、BEAゼオライト核前駆体(上で製造)3.7gを激しく攪拌しながら(r.m.p.350)ゲル混合物(A+B+C)に添加し、混合物を25分間攪拌した。次いで、アルミニウムイソプロポキシド1.9gを添加し、20分間攪拌した。得られたゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。合成が終わったら、反応器をクエンチし、メソ細孔質材料をろ過し、蒸留水で十分に洗浄した。得られたNa−MMBE−96h−4B−2AI−35を乾燥し、段階焼成手法を用いて焼成した。
【0153】
実施例13b
H−MMBE−96h−4B−2AI−35の製造
Na−MMBE−96h−4B−2AI−35(上で製造)10gを、1M 硝酸アンモニウム水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、メソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて焼成した。
【0154】
H−MMBE−96h−4B−2AI−35のXRDパターンは、Na−MMBE−96h−4B−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0155】
実施例14
白金修飾されたMMBE材料であるPt−H−MMBE−96h−4B−2AI
H−MMBE−96h−4B−2AI−35(上で製造)5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたH−MM−5−96h−2AIを乾燥し、焼成した。Pt−H−MMBE−96h−4B−2AIのXRDパターンは、親化合物であるNa−MM−BE−96h−4B−2AIのXRDパターンと類似しており、このことは、新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。H−MMBE−96h−4B−2AIをPt修飾したことは親構造に影響を与えなかった。
【0156】
実施例15
白金修飾されたMMBE材料であるPt−H−MMBE−96h−4B−2AI−35の製造
H−MMBE−96h−4B−2AI−35 5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたMM−5−96h−2AIを乾燥し、焼成した。Pt−H−MMBE−96h−4B−2AI−35のXRDパターンは、親化合物であるNa−MMBE−96h−4B−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは、ゼオライトに包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。H−MMBE−96h−4B−2AI−35をPt修飾したことは親構造に影響を与えなかった。
【0157】
実施例16〜18
イオン交換を用いたPt−H−MMBEの製造
各H−MMBE材料2g(H−MMBE−96h−4B(実施例16)、H−MMBE−96h−4B−2AI(実施例17)およびH−MMBE−96h−4B−2AI−35(実施例18))を2Lフラスコに秤量した。イオン交換水1Lを添加した。還流コンデンサをフラスコ上部に取り付けた。フラスコを水浴に入れ、温度70℃で110で振とうした。フラスコをこの条件で1時間放置した。次いで、還流コンデンサを排気部分を有する滴下漏斗に変えた。0.01M Pt溶液52mLを滴下漏斗に秤量した。Pt溶液をゆっくりと(1分間に約15滴)フラスコに滴下した。温度70℃、110で振とうした。Ptを53分間かけて添加した。滴下漏斗を還流コンデンサに変え、フラスコをこの条件で24時間放置した。
【0158】
反応混合物をフラスコから取り出して焼結ガラスのるつぼを用いて吸引ろ過した。得られた材料をイオン交換水1Lを用いてフラスコ中で洗浄し、再びろ過した。この操作を2回行なった。2回目の洗浄後、焼結ガラスのるつぼを80℃のオーブンに16時間入れた。
【0159】
16時間の乾燥後、材料をるつぼに移し、オーブンで焼成した。温度は0.2℃/minの速度で21℃から300℃まで上げていった。
【0160】
実施例19〜28
MWWゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ
MWWゼオライト核の製造
2種類の溶液AおよびBをMWWゼオライト核製造のために作成した。ケイ酸ナトリウム87.58gを蒸留水42mLに攪拌下で15分間添加し、この溶液にヘキサメチレン16.7gを25分間かけて滴下し、20分間攪拌することによって溶液Aを製造した。濃硫酸7.35gを蒸留水224mLに添加し、10分間攪拌し、その後に硫酸アルミニウム8.9gを添加し、20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながらゆっくりと添加した。ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、300mLのオートクレーブに入れた。回転モードで150℃で96時間合成した。合成が終わったら、生成物をろ過し、蒸留水で洗浄し、110℃で乾燥し、550℃で8時間焼成し、MWWゼオライト核前駆体を得た。
【0161】
実施例19a
アルミニウム源を用いない、MWW構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM−4MW22の合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM−4MW22を合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、すべての溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0162】
その後、上で製造したMWWゼオライト核前駆体4.22gを、激しく攪拌しながら(r.m.p.340)20分間、ゲル溶液(A+B)に添加した。ゲルを攪拌しながら(r.m.p.340)あと35分間、MFIを均一に分散させた。その後、ゲル溶液を周囲温度で攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。
【0163】
合成が終わったら、反応器を30分間冷却し、MWW構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水と混合し、ろ過し、蒸留水で3時間十分に洗浄した。合成したNa−MM−4MW22を110℃で乾燥し、マッフルオーブン中で10時間、段階焼成手法を用いて550℃で焼成した。
【0164】
実施例19b
H−MM−4MW22の製造
Na−MM−4MW22(上で製造したナトリウム形態)10gを、1M 硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムの水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、得られたNH4−MM−4MW22メソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、110℃で12時間乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で4時間焼成した。
【0165】
実施例20
アルミニウム源を用いた、MWW構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM−4MW22−2−AIの合成
【0166】
実施例20a
Na−MM−4MW22−2AIの合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM−4MW22−2AIを合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.10gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを溶液(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、すべての溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0167】
上で製造したMWWゼオライト核4.2gを、激しく攪拌しながら(r.m.p.340)20分間、ゲル溶液(A+B+C)に添加した。ゲルを激しく攪拌しながら(r.m.p.340)あと35分間、MFIを均一に分散させた。次いで、アルミニウムイソプロポキシド2.3gを添加し、20分間攪拌した。その後、ゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)周囲温度で3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップを300mLオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。
【0168】
合成が終わったら、反応器をクエンチし、MWW構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水と混合し、ろ過し、蒸留水で3時間十分に洗浄した。合成したNa−MM−4MW22−2AIを110℃で乾燥し、段階焼成手法を用いて550℃で10時間焼成した。
【0169】
実施例20b
H−MM−4MW22−2AIの製造
Na−MM−4MW22−2AI(上で製造したナトリウム形態)10gを、1M 硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムの水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、得られたNH4−MM−4MW22−2AIメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、110℃で12時間乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で4時間焼成した。
【0170】
得られたH−MM−4MW22−2AIのXRDパターンは、Na−MM−4MW22−2AIのXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0171】
実施例21
アルミニウム源を用いた、MWW構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM−4MW22−2AI−35の合成
【0172】
実施例21a
Na−MM−4MW22−2AI−35の合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM−4MW22−2AI−35を合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ4.5gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.10gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、得られた混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、溶液Bを添加した後、得られた混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを溶液(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0173】
実施例19で製造したMWWゼオライト核4.2gを、激しく攪拌しながら(r.m.p.340)20分間、ゲル混合物(A+B+C)に分散させた。ゲルを攪拌しながら(r.m.p.340)あと35分間、MWWを均一に分散させた。次いで、アルミニウムイソプロポキシド2.3gを混合物に添加し、20分間攪拌した。次いで、得られたゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)周囲温度で3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップを300mLオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。
【0174】
合成が終わったら、反応器をクエンチし、MWW構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を得て、この材料を蒸留水と混合し、ろ過し、蒸留水で3時間十分に洗浄した。合成したNa−MM−4MW22−2AI−35を110℃で乾燥し、マッフルオーブン中で10時間、段階焼成手法を用いて550℃で焼成した。
【0175】
実施例21b
H−MM−4MW22−2AI−35の製造
Na−MM−4MW22−2AI−35(上で製造したナトリウム形態)10gを、1M 硝酸アンモニウム水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、得られたNH4−MM−4MW22−2AI−35メソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、110℃で12時間乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で4時間焼成した。
【0176】
得られたH−MM−4MW22−2AI−35のXRDパターンは、Na−MM−4MW22−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0177】
実施例22
白金修飾されたH−MM−4MW22−2AIの製造
H−MM−4MW22−2AI 5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたH−MM−4MW22−2AIを100℃で乾燥し、450℃で焼成した。Pt−H−MM−4MW22−2AIのXRDパターンは、親化合物のNa−MM−4MW22−2AIのXRDパターンと類似しており、このことは、MWW構造に包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。
【0178】
実施例23
白金修飾されたH−MM−4MW22−2AI−35の製造
H−MM−4MW22−2AI−35 5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたH−MM−4MW22−2AI−35を100℃で乾燥し、450℃で焼成した。Pt−H−MM−4MW22−2AI−35のXRDパターンは、親化合物であるNa−MM−4MW22−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは、MWW構造に包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。
【0179】
実施例24〜28
MORゼオライト構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ
MORゼオライト核の製造
2種類の溶液AおよびBをMORゼオライト核前駆体製造のために作成した。
【0180】
Ludox AS 30 37.8gをピペリジン6.7gに添加し、15分間攪拌することにより溶液Aを製造した。蒸留水44mLを水酸化ナトリウム4.6gに添加し、10分間攪拌し、硫酸アルミニウム5.9gを添加し、あと15分間攪拌することにより溶液Bを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら15分かけてゆっくりと添加した。ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、300mLのオートクレーブに入れた。回転モードで200℃で48時間合成した。合成が終わったら、生成物をろ過し、蒸留水で洗浄し、110℃で乾燥し、550℃で10時間焼成し、MORゼオライト核前駆体を得た。
【0181】
実施例24a
アルミニウム源を用いない、MOR構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM−MO−4MQ−96hの合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM−MO−4MO−96hを合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.1gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、すべての溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、すべての溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0182】
次いで、上で製造したMORゼオライト核前駆体3.7gを激しく攪拌しながら(r.m.p.350)ゲル混合物(A+B+C)に20分間で添加した。ゲルを攪拌しながら(r.m.p.340)あと30分間、MORを均一に分散させた。その後、ゲル溶液を周囲温度で攪拌しながら(r.m.p.180)3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップをオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。
【0183】
合成が終わったら、反応器をクエンチし、MOR構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水と混合し、ろ過し、蒸留水で3時間十分に洗浄した。合成したNa−MM−MO−4MO−96hを110℃で乾燥し、段階焼成手法を用いて550℃で10時間焼成した。
【0184】
実施例24b
H−MM−MO−4MO−96hの製造
Na−MM−MO−4MO−96h(上で製造したナトリウム形態)10gを、1M 硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムの水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、得られたNH4−MM−MO−4MO−96hメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、110℃で12時間乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で4時間焼成した。
【0185】
得られたH−MM−MO−4MO−96hのXRDパターンは、Na−MM−MO−4MO−96hのXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0186】
実施例25
アルミニウム源を用いた、MOR構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM−MO−4MO−96h−2AIの合成
【0187】
実施例25a
Na−MM−MO−4MO−2AIの合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM−MO−4MO−96h−2AIを合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ8.3gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.10gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、得られた混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.34gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、すべての溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、すべての溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0188】
実施例23で製造したMORゼオライト核前駆体3.7gを激しく攪拌しながら(r.m.p.350)25分間、ゲル混合物(A+B+C)に添加し、次いでアルミニウムイソプロポキシド1.9gを激しく攪拌しながら(r.m.p.350)ゲルに添加し、ゲルを30分間攪拌した。その後、ゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)周囲温度で3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップを300mLオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。
【0189】
合成が終わったら、反応器を30分間クエンチし、MOR構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水と混合し、ろ過し、蒸留水で3時間十分に洗浄した。合成したNa−MM−MO−4MO−96h−2AIを110℃で乾燥し、段階焼成手法を用いて550℃で10時間焼成した。
【0190】
実施例25b
H−MM−MO−4MO−96h−2AIの製造
Na−MM−MO−4MO−96h−2AI(上で製造したナトリウム形態)10gを、1M 硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムの水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、得られたNH4−MM−MO−4MO−96h−2AIメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、110℃で12時間乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で4時間焼成した。
【0191】
得られたH−MM−MO−4MO−96h−2AIのXRDパターンは、Na−MM−4MO−96h−2AIのXRDパターンと類似しており、このことは新規メソ細孔質材料の水処理および熱処理によりこの構造の安定性に影響を与えないことを示す。
【0192】
実施例26
アルミニウム源を用いた、MOR構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであるNa−MM−MO−4MO−2AI−35の合成
【0193】
実施例26a
Na−MM−MO−4MO−2AI−35の合成
溶液A、BおよびCを製造することによってNa−MM−MO−4MO−96h−2AI−35を合成した。攪拌しながら(r.m.p.196)20分間、フュームドシリカ4.5gと蒸留水51.7gとを混合することによって溶液Aを製造した。攪拌しながら(r.m.p.180)ケイ酸テトラメチルアンモニウム18.10gをケイ酸ナトリウム11.7gに添加し、混合物を20分間攪拌することによって溶液Bを製造した。激しく攪拌しながら(r.m.p.336)20分間、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド26.3gを蒸留水174.3gに溶解することによって溶液Cを製造した。溶液Bを溶液Aに激しく攪拌しながら(r.m.p.320)ゆっくりと(15分かけて)添加し、すべての溶液Bを添加した後、混合物をあと20分間攪拌した。溶液Cを混合物(A+B)に激しく攪拌しながら(r.m.p.336)ゆっくりと(20分間かけて)添加し、すべての溶液Cを添加した後に、混合物をあと20分間攪拌した。
【0194】
実施例45で製造したMORゼオライト核前駆体3.7gを激しく攪拌しながら(r.m.p.320)25分間、ゲル混合物(A+B+C)に添加した。次いでアルミニウムイソプロポキシド1.9gを添加し、ゲルを20分間攪拌した。その後、ゲルを攪拌しながら(r.m.p.180)周囲温度で3時間熟成させた。ゲルのpHを調整し、ゲルをテフロン(登録商標)カップに入れ、このテフロン(登録商標)カップを300mLオートクレーブに入れた。100℃で96時間合成した。
【0195】
合成が終わったら、反応器を30分間クエンチし、MOR構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水と混合し、ろ過し、蒸留水で3時間十分に洗浄した。合成したNa−MM−MO−4MO−96h−2AI−35を110℃で乾燥し、段階焼成手法を用いて550℃で10時間焼成した。
【0196】
実施例26b
H−MM−MO−4MO−96h−2AI−35の製造
Na−MM−MO−4MO−2AI−35(上で製造したナトリウム形態)10gを、1M 硝酸アンモニウムまたは塩化アンモニウムの水溶液で周囲温度で24時間イオン交換した。イオン交換した後、得られたNH4−MM−MO−4MO−2AI−35メソ細孔質モレキュラーシーブ材料を蒸留水で十分に洗浄し、110℃で12時間乾燥し、マッフルオーブン中で段階焼成手法を用いて450℃で4時間焼成した。
【0197】
実施例27
白金修飾されたH−MM−MO−4MO−96h−2AI−35の製造
H−MM−MO−4MO−96h−2AI−35 5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたMM−MO−4MO−96h−2AI−35を100℃で乾燥し、450℃で焼成した。Pt−H−MM−MO−4MO−96h−2AIのXRDパターンは、親化合物のNa−MM−MO−4MO−96h−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは、MWW構造に包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。
【0198】
実施例28
白金修飾されたH−MM−MO−4MO−96h−2AI−35の製造
H−MM−MO−4MO−2AI−35 5gを含浸法を用いて2wt%のPtに含浸した。2wt%のPtへの含浸は、ヘキサクロロ白金酸水溶液を用いて80℃で24時間、ロータリエバポレーター中で行なった。2wt%のPtに含浸されたHMM−MO−4MO−2AI−35を100℃で乾燥し、450℃で焼成した。Pt−H−MM−MO−4MO−96h−2AI−35のXRDパターンは、親化合物であるNa−MM−MO−4MO−96h−2AI−35のXRDパターンと類似しており、このことは、MOR構造に包埋された新規メソ細孔質モレキュラーシーブが熱水中で安定であることを示す。
【0199】
実施例29
熱安定性試験
本発明の材料を空気中で24時間、700℃、800℃、900℃、および1000℃の温度に加熱することによって熱安定性試験を行なった。この処理の後、材料をBETおよびXRDで分析した。1000℃で処理したサンプルのXRD図の例を図5に示す。材料の構造の違いは、BETまたはXRDで検出されなかった。
【0200】
実施例30
機械安定性試験
本発明の材料の機械安定性試験を、20000Newtonの圧力で材料の粉末をプレスすることによって行なった。作成したタブレットをくずし、ふるいを使って粒径でフラクションに分けた。ふるった粉末の異なるフラクションのXRDおよびBET測定をXRDおよびBETによって分析した。XRD図の違いまたはBET表面積および孔径分布の違いは観測されなかった。結果を以下の表4に示し、機械安定性試験のN2−吸収測定値結果を示す。
【0201】
【表4】

【0202】
実施例31
本方法の再現性
本発明の材料を製造する同じ手順(実施例8)を異なるスケールで繰り返した。各バッチは表5に示されたものと非常に類似した性質を示し、再現性のある結果が得られた。
【0203】
【表5】

【0204】
実施例32〜41
触媒として本発明の材料を用いた1−デセンのオリゴマー化
触媒として本発明の材料を用いた1−デセンのオリゴマー化は高い活性を示し、本発明の触媒は不活性化しにくく、再生可能であることが示された。本発明の触媒材料および当該技術分野の技術水準に基づく比較例の触媒を、1−デセンのオリゴマー化で試験した。攪拌しながらバッチ反応器で試験を行った。反応温度は200℃であった。反応時間は24時間であった。反応器の圧力は約20barであった。
【0205】
反応生成物をGCおよびGC−蒸留によって分析し、分子の炭素数に基づいてピークを同定した。20を超える炭素数の分子は、GC−分析の潤滑剤成分であると同定した。343℃より高い温度の沸点を持つ分子はGC−蒸留の潤滑剤成分であると同定した。
【0206】
本試験に使用した触媒は、空気中540℃の温度でマッフルオーブンで再生した。
【0207】
1−デセンオリゴマー化反応の結果を以下の表6にまとめた。
【0208】
【表6】

【0209】
実施例42および43
本発明の材料を触媒として用いたイソブテンの反応
イソブテンの反応について、本発明の材料を触媒として用いて試験を行なったところ、高い活性を示し、不活性化しにくいことが示された。固定床反応器中、WHSV 20を用いて100℃の温度で20barで触媒を試験した。触媒の高い活性が観察され、不活性化が起きないことが観察された。イソブテンの反応の一例として、実施例8の触媒を比較例の触媒(実施例1)と比較した(イソブテン二量化について図7)。
【0210】
実施例44〜47
本発明の材料を触媒として用いたパラフィン異性化試験
n−ブタン異性化試験反応の目的は、本発明のMFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブ中の相互作用の化学的性質、強いBronsted酸部位の形成、および新規材料の熱水安定性を確認することである。n−ブタンの異性化を触媒の酸性度を評価する試験反応として使用した。プロトン形態の新規メソ細孔質モレキュラーシーブ触媒を用いてn−ブタンの異性化を行ない、酸としての性質を評価した。H−形態(H−MM5−96h−4ZS−2AI−35)触媒は、最も低いSi/Al比率でn−ブタンの変換率が最も高くなるという現象が観察され、このことは本発明のMFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブが強いBronsted酸を形成し、正しい化学結合を形成していることを明らかに示すものである。
【0211】
H−形態およびPt−H−MM5触媒の再生を空気存在下、450℃で2時間行なった。再生の目的は、触媒活性が復活し得るか否かを評価することであり、それに加えて、再生プロセス中に水が生成するため、触媒再生中の触媒の熱水安定性を評価することである。H−形態およびPt修飾された触媒の両方ともが完全に触媒活性を保持していることが確認され、この構造の熱水安定性が確認された。
【0212】
n−ブタンからイソブタンへの異性化を、石英製の固定床マイクロ反応器中でプロトン形態の触媒および2wt%のPt−H−MM5−96h−4ZS−2AI触媒を用いて観察した。大気圧付近の圧力で実験を行ない、使用した触媒の量は0.3〜1.0gであった。反応物のn−ブタンをキャリアガスとして水素を用いて反応器に入れた。生成物の分析はFI検出器およびキャピラリーカラムを取り付けたガスクロマトグラフを用いてオンラインで行なった。n−ブタン異性化試験反応の結果を表7に示す。表7には、n−ブタン異性化を450℃の温度で、WHSV 1.23h-1、n−ブタン/水素比1:1での結果を示す。
【0213】
【表7】

【0214】
実施例48および49
本発明の材料を触媒として用いた1−ブテンの異性化
1−ブテン異性化試験反応の目的は、本発明のMFI構造に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブの相互作用の化学的性質、強いBronsted酸部位の形成、および新規材料の熱水安定性を確認することである。
【0215】
1−ブテンの異性化を、1−ブテンからiso−ブテンへの異性化を観察するための試験反応として使用した。さらなる目的は、使用した触媒の再生能力を試験し、再生後に触媒が触媒活性を保持しているか否かを評価することである。1−ブテン異性化に使用した触媒は再生可能であることがわかった。さらに、再生された触媒は、対応する新しい触媒(97mol%)とほぼ同じ1−ブテンの変換率(97.2mol%)を示し、このことは触媒の熱水安定性をも示す。
【0216】
1−ブテンのイソブテンへの異性化を、石英製の固定床マイクロ反応器中でプロトン形態のH−MM5−96h−4ZS−2AI触媒を用いて観察した。大気圧付近の圧力で実験を行ない、温度は350℃、WHSV 10h-1であった。反応物の1−ブテンをキャリアガスとして窒素を1:1の比率で用いて反応器に入れた。生成物の分析はFI検出器およびキャピラリーカラムを取り付けたガスクロマトグラフでオンラインで行なった。重い化合物の液体生成物のサンプリングを容易にするために、コンデンサをGCの下流に配置した。操作開始10分後(TOS)に最初のサンプルを採取した。最初の10サンプルを1時間間隔で採取し、その後のサンプルは3時間ごとに採取した。
【0217】
実施例50
本発明の材料を触媒として用いた開環試験
デカリン開環反応での本発明の触媒の活性および選択性を、50mLのオートクレーブ中、250℃で20barの水素圧で試験した。デカリン(10mL、約9.0g)を、250℃で還元した触媒1gを含有する反応器に室温で入れた。水素を用いて圧力を10barまで上げた。次いで、反応器を250℃の油浴に入れた。反応器の温度が250℃に達したら、水素圧を20barに調整した。反応時間は5時間であった。次いで、反応器をすばやく−10℃まで冷却した。冷却後に反応器の重さを計測した。オートクレーブ中の圧力を開放した。触媒を含有する生成物をサンプル容器に取り、GC−サンプルをフィルターをつけた針で採取した。実施例16で製造した本発明の触媒を用いたデカリンの変換率は81%であり、開環生成物の選択率は32%であった。
【0218】
実施例51および52
本発明の材料を触媒として用いた水素化分解
水素化分解反応における本発明の触媒(実施例17の触媒)の活性および選択率を、オートクレーブ中300℃で(実施例51)および350℃で(実施例)30barの水素圧で試験した。パラフィン混合物(約80g)を、400℃で還元した触媒2gを含有する反応器に室温で加えた。圧力を水素で30barまで上げた。反応器の温度が300℃(実施例51)または350℃(実施例52)に達したら、水素圧を30barに調整した。反応時間は65時間であった。冷却後に反応器の重さを計測した。オートクレーブ中の圧力を開放した。生成物をGCで分析した。パラフィンの変換率は60%(実施例51)および65%(実施例52)であり、水素化分解の生成物の選択率は実施例51および52の両方で100%であった。
【図面の簡単な説明】
【0219】
【図1a】本発明の触媒材料の酸性度とアルミニウム含量との相関関係を示す。種々のMM触媒材料中のAl含量の関数として全酸性度の線形性を示す。
【図1b】本発明の触媒材料の酸性度とアルミニウム含量との相関関係を示す。ゼオライト材料およびMCM−41触媒材料がMM触媒材料の全酸性度からどの程度乖離しているかを示す。
【図2】MMBEのN2−吸収脱離等温線を示す。
【図3】MMBE中のメソ細孔の直径分布を示すBJH脱離を示す。
【図4】焼成したMM5のXRD回折パターンを示す。
【図5】1000℃で熱処理した後のMM5のXRD回折パターンを示す。
【図6a】本発明のβ−ゼオライトに包埋されたメソ細孔質材料のHRTEM図を示す。
【図6b】規則正しいMCM−41材料のHRTEM図を示す。
【図7】イソブテンの二量化について、実施例8の触媒を比較例の触媒(実施例1)と比較した結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブであって、少なくとも900℃の温度で熱的に安定であることを特徴とする触媒材料。
【請求項2】
1400〜500m2/g、好ましくは1200〜600m2/gの範囲の比表面積を有することを特徴とする請求項1記載の触媒材料。
【請求項3】
M41S群から選択されるメソ細孔質モレキュラーシーブ、好ましくはMCM−41またはMCM−48から選択されるメソ細孔質モレキュラーシーブを含むことを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の触媒材料。
【請求項4】
MFI、MTT、TON、AEF、MWWおよびFERゼオライトから選択される中程度の孔を有するゼオライト、またはBEA、FAU、MORゼオライトから選択される大きな孔を有するゼオライトを含み、好ましくは前記ゼオライトがMFI、MTT、AEF、BEA、MWWまたはMORゼオライトであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の触媒材料。
【請求項5】
前記メソ細孔質モレキュラーシーブがMCM−41またはMCM−48であり、前記ゼオライトがMFIまたはBEAまたはMWWまたはMORゼオライトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒材料。
【請求項6】
プロトン形態、カチオン形態または金属で修飾された形態であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の触媒材料。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒材料90〜10wt%と、キャリア10〜90wt%とを含むことを特徴とする触媒。
【請求項8】
ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブの製造方法であって:
(a)ゼオライト核のためにケイ素源およびアルミニウム源および構造指向剤、またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体からゼオライト核を製造する工程、および場合により前記構造指向剤を段階焼成手法を用いて除去する工程;
(b)メソ細孔質モレキュラーシーブのゲル混合物をケイ素源、場合によりアルミニウム源、および界面活性剤から製造する工程;
(c)工程(a)で製造したゼオライト核またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体を工程(b)で得られたメソ細孔質モレキュラーシーブのゲル混合物に導入し、ゼオライト核またはシリケートまたはアルミノシリケート前駆体をモレキュラーシーブゲル中で均質化し、分散させる工程;
(d)工程(c)の混合物を攪拌下でゲル熟成させる工程;
(e)約100℃〜約200℃の温度、および結晶が生成するまで静止状態または攪拌する動的状態を含む十分な条件下で混合物を維持することによって工程(d)の混合物を熱水合成する工程;
(f)前記結晶を回収する工程;
(g)前記固体生成物を洗浄する工程;
(h)前記固体生成物を乾燥する工程、および
(i)段階焼成手法を用いて前記界面活性剤(S)を部分的または全体的に除去し、工程(a)で除去されない場合には前記構造指向剤を部分的または全体的に除去し、ゼオライト触媒に包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを得る工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
工程(a)中の前記ケイ素源が、酸化ケイ素、好ましくはコロイド状シリカ、固体シリカおよびフュームドシリカから選択されることを特徴とする、ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを製造するための請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程(b)中の前記ケイ素源が、有機基を有するケイ素化合物および無機ケイ素源から選択され、好ましくは前記有機基を有するケイ素源が、テトラエトキシシラン、ケイ酸テトラメチルアンモニウムまたはケイ酸テトラエチルアンモニウムであり、前記無機ケイ素源が、ケイ酸ナトリウム、水ガラス、コロイド状シリカ、固体シリカまたはフュームドシリカであることを特徴とする、ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを製造するための請求項8または9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記アルミニウム源が、硫酸アルミニウム(Al2(SO43・18H2O)、水酸化アルミニウム水和物、アルミネート、アルミニウムイソプロポキシドおよびアルミナから選択されることを特徴とする、ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを製造するための請求項8〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記界面活性剤が、一般式Cn2n+1(CH33*NXを有するアルキルトリメチルアンモニウムハロゲン化化合物(式中、n=12〜18、X=Cl、Br)から選択され、好ましくは、前記界面活性剤が、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミドおよびセチルトリエチルアンモニウムブロミドであることを特徴とする、ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを製造するための請求項8〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記追加のアルミニウム源が、アルミニウムアルコキシド、好ましくはアルミニウムイソプロポキシドから選択されることを特徴とする、ゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブを製造するための請求項8〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
炭化水素の加工のための、好ましくはオレフィンの二量化、オレフィンのオリゴマー化、オレフィンの異性化、炭化水素の分解、芳香族のアルキル化、低分子炭化水素の芳香族化、エーテル化、脱水および開環反応のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒材料、または請求項7記載の触媒、または請求項8〜13のいずれか1項の記載にしたがって製造されたゼオライトに包埋されたメソ細孔質モレキュラーシーブの使用。
【請求項15】
低分子パラフィンの異性化、長鎖パラフィンの異性化、水素化、水素化分解、水素化脱硫、水素化脱酸素、水素化脱窒素、脱水、改質、Fisher−Tropsch反応および酸化反応における請求項6記載の触媒材料の使用。
【請求項16】
1−デセンのオリゴマー化、イソブテンの二量化、n−ブタンの異性化、1−ブテンの異性化およびデカリンの開環における請求項13または14のいずれか1項に記載の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−525187(P2008−525187A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548857(P2007−548857)
【出願日】平成17年12月23日(2005.12.23)
【国際出願番号】PCT/FI2005/050484
【国際公開番号】WO2006/070073
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(505081261)
【Fターム(参考)】