説明

計測プローブを交換するためのモジュール又はツール

計測プローブのタスクモジュールまたはスタイラスを交換するための装置を開示する。一の実施形態において、スタイラスモジュール(18)がプローブの保持モジュール(16)に磁気的に保持される。水平ピン(38)は保管装置(32)から延在し、スタイラスモジュール(18)の開口(40)に係合する。これは、スタイラスモジュールが保持モジュールの垂直方向の移動により分離されることを可能にする。保持モジュールに対するスタイラスモジュールの傾斜をコントロールするために、ピン(38)は、スタイラスモジュールと保持モジュールとの間の磁気結合力の合成ベクトルに達する又はこれを越えて延在し、合成ベクトルは、この実施形態においては、スタイラスモジュールの中心線(42)に沿っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測プローブのモジュールおよび他のツールを交換するための装置に関する。特に、本発明は、プローブが設置されるマシンの動きを使ってプローブのモジュールまたはツールを交換するための装置に関する。マシンは、一般に、座標計測機(CMM)、工作機械、マニュアルの座標測定アームなどの座標位置決め装置である。 モジュールまたはツールは、プローブのスタイラスモジュールまたはスタイラスであるかもしれない。
【背景技術】
【0002】
本出願人の先願である特許文献1は、(検知モジュールなどの)保持モジュールと(スタイラスモジュールなどの)タスクモジュールを含むタッチプローブを開示する。タスクモジュールは、磁気的に共に保持される2つのモジュールの運動学的係合要素を介して保持モジュールの反復可能なポジションに解放可能に設置される。複数の保管ポートを含むマガジンは、タスクモジュールのハウジングに備わる。保管ポートのそれぞれは、平行なドッキングインサートを有する1対のジョーを有するベースを含む。
【0003】
プローブは、当該プローブをタスクモジュールが挿入される保管ポートに搬送するマシンの中空軸に設置できる。タスクモジュールは、その上部エッジがドッキングインサートの下面に隣接している円形リップを有する。
【0004】
タスクモジュールは、中空軸の上方への動きにより、保持モジュールから分離される。タスクモジュールが保管ポートにより保持されると、これは磁気力に対して作用し、モジュール間の接触を断つ。
【0005】
このようなマガジンとタスクモジュールは単一の継続的な動きにおいて、(専用のモーターや電磁石などの)追加のマシン装置なしで、保持モジュールによるタスクモジュールの係合、および、保管ポートからのタスクモジュールの解放を可能にする。
【0006】
特許文献2は、モジュールプローブから、磁気的に結合されたタスクモジュールを分離するための保管ポートを開示する。保管ポートのアームはタスクモジュールと係合し、ピボットに関して回転可能であり、アームとしたがってタスクモジュールをピボットに関して回転させ、傾斜動作によってタスクモジュールとプローブの間の接触を断つように、タスクモジュールは上方に引かれる。
【0007】
特許文献3は、プローブから、磁気的に結合されたスタイラスを分離するためのさらなる保管ポートを開示する。ポートはピンを有する。それはスタイラスの穴に係合する。これはポートにおいてプローブの上方の動きに対してスタイラスを保持する。上方の動きは、ポートにおけるスタイラスの傾斜を生じさせる。
【0008】
モジュール間、または、スタイラスとプローブとの間に、大きい磁気力が存在する場合には、マシンの中空軸は、それらを分離するための十分な力を適用することができない、または、十分な力を適用することから反対の効果を被るかもしれない。タスクモジュールまたはスタイラスのそのような傾斜は、中空軸により適用された適当な力とマッチさせるためには、それらの間の力を減らすためには有利であるかもしれない。しかしながら、中空軸が十分な力を適用することができる場合には、モジュール(または、スタイラスおよびプローブ)を直接に引き離すことが有利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第0566719号明細書
【特許文献2】米国特許第7024783号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1669713号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3においてさえ、保管ポートの1対のジョーの使用は、保管ポートとタスクモジュールの間の2つ以上の接触のエリアを結果として生じさせる(すなわち、個々のジョーとタスクモジュール)。製造公差のため、2つのジョーが水平であることを保証することはほとんど不可能である。 従って、保持モジュールから引き離すと、タスクモジュールにいくらかの傾斜が発生する。傾斜は、運動学的係合要素のスライドを生じさせるという不利を有する。過度なスライディングは、摩耗とデブリを発生させる可能性あり、運動学的係合要素をクリーニングすることを必要とさせる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は請求項に示す装置を提供する。いくつかの実施形態においては、これが、タスクモジュールまたはツールの傾斜を低減または防止する。他において、傾斜は望ましい方法でコントロールされる。例えば、保持モジュールまたはプローブが、保管装置と完全に位置合わせされない場合に、保持モジュールまたはプローブに対する傾斜を減らすように、保管装置に対する傾斜が許容される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の好適な実施形態は以下の図面を参照して説明される。
【図1】CMMに設置されたモジュールプローブを示す図である。
【図2】保管ポートに隣接したモジュールプローブの側面図である。
【図3】保管ポートと係合したモジュールプローブの側面図である。
【図4】モジュールプローブの保持モジュールと係合解除される、保管ポートと係合したタスクモジュールの側面図である。
【図5】保管ポートと係合したタスクモジュールの詳細を示し、タスクモジュール上の突出部を示す図である。
【図6】保管ポートと係合したタスクモジュールの詳細を示し、保管ポートの係合部材の突出部を示す図である。
【図7】保管ポートと係合したタスクモジュールの詳細を示し、保管ポートのタスクモジュールと係合部材の両方の突出部を示す図である。
【図8】保管ポートに保持されたタスクモジュールの回転を制限するための保持手段を含む保管ポートの実施形態を説明する図である。
【図9】保管ポートに保持されたタスクモジュールの回転を制限するための保持手段を含む保管ポートの実施形態を説明する図である。
【図10】保管ポートに保持されたタスクモジュールの回転を制限するための保持手段を含む保管ポートの代替の実施形態を説明する図である。
【図11】保管ポートに保持されたタスクモジュールの回転を制限するための保持手段を含む保管ポートの代替の実施形態を説明する図である。
【図12】保管ポートに係合するタスクモジュールの詳細を示す図であって、係合部材と開口の両方が矩形断面を有する。
【図13】係合部材がフォーク状で回転可能な保管ポートの一実施形態を示す図である。
【図14A】タスクモジュールの磁石の配置を説明する図である。
【図14B】タスクモジュールの磁石の配置を説明する図である。
【図14C】タスクモジュールの磁石の配置を説明する図である。
【図15A】先行技術に係るマガジンに保管されたタスクモジュールの平面図である。
【図15B】本発明に係るマガジンに保管されたタスクモジュールの平面図である。
【図16】本発明に係るタスクモジュールを保管するための回転式マガジンの平面図である。
【図17】タスクモジュールと保持モジュールの間の機械結合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、中空軸12が(図示しない)CMMのモーターにより、X、Y、およびZに動かされうる座標計測機(CMM)10を示す。モジュール式の測定プローブ14は、中空軸12に設置され、CMMの中空軸12に取り付けられる保持モジュール16、および、保持モジュール16に解放可能に設置されるタスクモジュール18を含む。保持モジュールは、プローブの検知メカニズムを収容する検知モジュールを含んでいてもよく、タスクモジュールはスタイラスモジュールを含んでいてもよい。保持モジュールは、プローブヘッドを備えていても良く、これは、例えば1つ以上の軸線に関して回転を生じさせることができ、タスクモジュールはプローブを含んでいてもよい。
【0014】
保持モジュール16におけるタスクモジュール18の位置は、保持モジュール16の下面の一組の協働要素とともに、タスクモジュールの上面の一組の協働要素の間の係合により規定される。これらの協働要素は、例えば、他のモジュールにおいて同様に間隔をおいて配置された3対のボールと係合可能なモジュールの一つにおけるプローブの長手方向の軸線に関して120度毎に間隔をおいて配置された3つの円筒形ローラーを含む。これは、保持モジュール16におけるタスクモジュール18の位置が反復可能である運動学的搭載を構成する。協働要素の個々のセットは、係合において、保持およびタスクモジュールの双方において提供された磁石の間の吸引力によって保持される。協働要素の適当な配置は、ここに参照により含まれている本出願人の先願である欧州特許EP0566719とEP0501710において開示されている。もちろん、保持およびタスクモジュールの双方に磁石ではなく、それらの一方のみに磁石を設けることも可能であり、これは、鉄などの磁気的に吸着する材料で形成される他の要素と協働する。
【0015】
プローブのモジュール式の構造は、例えば、スタイラスモジュールのように、タスクモジュールの自動的な交換を可能にする。真にフレキシブルな測定システムを提供するためには、複数のタスクモジュールは、一のタスクモジュールから他のタスクモジュールへの自動的な交換を可能にするために、マシンの作業エリア内に保持されなければならない。
【0016】
タスクモジュールを収納するために、CMMにおいて保管ポートが提供される。マガジンにおいていくつかの保管ポートは共に収容されうる。保管ポートに収納されたタスクモジュールは、保持モジュールによりピックアップされ、あるいは、タスクモジュールは空の保管ポートに保持モジュールにより積み重ねられる。この方法において、プローブは、タスクモジュールを交換し、その結果、作業に最も適したものが使用される。
【0017】
保管ポートは、図2〜13を参照して説明される。
【0018】
図2は、本発明の保管ポートの第1の実施形態を説明する。保管ポート32は、ベース34、ベースから垂直に延在するサポート36、サポートから水平に延在している係合部材38を含む。 係合部材はタスクモジュールとの係合のための係合部分を有する。これは係合領域のすべてまたは一部を含むかもしれない。
【0019】
簡素化されたモジュールプローブ14はまた示され、保持モジュール16とタスクモジュール18を含む。保持モジュール16は、CMM(または、他の座標位置決め装置)または他のプローブモジュールの中空軸に搭載可能である。図2において説明された実施形態では、タスクモジュール18はスタイラスモジュールであり、変形可能なスタイラス8を加工物接触先端9とともに備えている。保持モジュール16とタスクモジュール18は、相互に係合する際に、それらの協働面24、26において保持モジュール16に対するタスクモジュール18の位置を規定する係合要素20、22の協働セットを有する。
【0020】
タスクモジュール18は、タスクモジュールと保持モジュールの磁石28、30によって保持モジュールに磁気的に保持される。個々のモジュールは、他のモジュールと協働する表面に1つ以上の磁石を備える。磁石は、タスクモジュールを保持モジュールに保持する力を生じさせる。図14Aと図14Bは、3つの磁石60の位置を示すタスクモジュールの平面図と側面図をそれぞれ示す。これらの磁石60により生じた力62の合成ベクトルの位置が示される。 図14Cは、磁石がタスクモジュールの中心線に関して等しくは分配されないタスクモジュールの上端の平面図である。このケースにおいて、合成力のベクトルの位置は、中心から偏心する。
【0021】
モジュールを共に保持する力は、他の方法によっても与えられ、例えば、電磁的であってもよく、真空引きや、メカニカル(例えば、スナップフィット)であってもよい。個々のケースにおいては、モジュールにより経験された力の合成ベクトルが存在する。図17は、モジュールが、メカニカルに解放可能な接続を使って解放可能に結合されたモジュールプローブを示す。タスクモジュールは、その上面から突出している接続ピン80を有する。保持モジュールは、その下面にハウジング内の凹部84につながる開口82を有し、この中にリセプタクル86が設けられる。モジュールが結合される際には、タスクモジュールの接続ピン80は保持モジュールのリセプタクル86に挿入される。この例においては、接続ピンは、拡大した直径のヘッド88を有し、リセプタクルは、弾性サポート92に設置された2つのボール90を含む。サポートの弾性は、拡大した直径のヘッドのまわりでボールが変形し、ヘッドの下の接続ピンを保持することを可能にする。
【0022】
タスクモジュール18は係合構造を備え、細長い開口40を含む。これは、タスクモジュールの上面24と概ね平行であり、したがって、タスクモジュールと保持モジュールの間の合成結合力を概ね横切る。係合部材が開口に挿入される際には、タスクモジュールと保持モジュールの間の結合力の合成ベクトル
まで、あるいは、これを越えて通過する。合成ベクトルは、この実施形態では、タスクモジュールの中心線42に沿っている。結合力の合成ベクトルに達する、あるいは、これを越えて延在するように係合部材を構成することにより、合成の吸引力がモーメントを生じさせずに細長い部材を通じて作用するので、モジュールの分離または接続のステップの間に、細長い部材がいかなる傾斜あるいはてこ作用をしないことが保障される。最適な結果のために、係合部材は、結合力の合成ベクトルの位置を妨害(インターセプト)する。
【0023】
使用において、モジュール式のプローブは、マシンのテーブルに対して中空軸により動かされる。それは、マシンのX、Y、およびZモーターによる動きにより駆動される。 タスクモジュールは、モジュールプローブの細長い部材が、タスクモジュールの細長い開口と一列に並べるように、モジュールプローブを保管ポートに位置決めすることにより、配置される。モジュールプローブは、係合部材がタスクモジュールの開口に挿入されるまで、マシンにより水平に動かされる。図2は、部材38の細長い部分がタスクモジュール18の開口40と位置合わせされるように位置決めされたモジュールプローブ14を示す。図3は、細長い部材38がタスクモジュール18の開口40に挿入されるとともに、タスクモジュール18が、保管ポート32に配置されるように位置決めされたプローブ14を示す。
【0024】
モジュールを分離するためには、マシンの中空軸12は上方に動かされて、保持モジュール16を上方に引く。 タスクモジュール18は、開口40に挿入された細長い部材38により規制され、従って、2つのモジュールの間の磁気の接続を断ち、それによりモジュールを分離する。図4は、2つのモジュールが分離された際に、マシンの中空軸12により上方に引かれている保持モジュール16を示す。
【0025】
さらに、タスクモジュール18をピックアップするためには、マシンは、保持モジュール16とタスクモジュール18の面24、26と係合要素20、22が位置合わせされるまで、中空軸12と保持モジュール16をタスクモジュール18の上方の位置に垂直に移動させる。
【0026】
中空軸と保持モジュールは、下方に向けて垂直に動かされるので、2つのモジュールの係合要素20、22が係合し、2つのモジュールは、磁気吸引力によって係合した状態で保持される。中空軸は、それと結合された保持モジュールとタスクモジュールを保管ポートから離れるように動かすために、保管ポートからその時水平に動かされて、それにより、タスクモジュールが係合部材から離れる。
【0027】
タスクモジュールの開口などの構造と係合する単一の細長い部材の使用は、保管ポートと複数の保管ポートで形成されたマガジンをコンパクトにするのに有益である。欧州特許EP0566719において説明されるように、図15Aは、保管ポート72の先行技術のマガジン70の平面図を示す。図15Bは、係合部材38にタスクモジュールがサポートされる本発明に係る保管ポートのマガジン74を示す。図15Bに示すマガジン74は、タスクモジュールがよりコンパクトな構成で収容されることを可能にする。 図16は、中心サポート78のまわりで複数の係合部材38が放射状に分配される小さい容積の回転式マガジン76を含むマガジンの平面図であり、これにより、複数のタスクモジュールがコンパクトな構成で収納されることを可能にする。これは、特に、ビジョンマシンなどの小さな作業容積を持つマシンに適している。
【0028】
単一の細長い部材の使用は、製造コストが安い簡素な保管ポートを提供できるという点で有利である。
【0029】
タスクモジュールの開口を通して挿入された単一の細長い部材の使用は、保管ポートの機械公差のための、保持モジュールに対するタスクモジュールの傾斜をモジュールの分離と接続の間に減らすことができる点で有利である。
【0030】
単一の細長い部材によって、タスクモジュールは長手方向の軸線に関して回転可能であり、それにより、保持モジュールを矩形のままにしておくことを可能にする。細長い部材と開口の直径の間に十分なギャップがあるならば、水平で、長手方向の軸線と直角な軸線に関する回転も可能である。これは、細長い部材とタスクモジュールとの間の接触を、タスクモジュールの係合と退避の間に、合成力ベクトル(これはタスクモジュールの中心線と位置合わせされる)の位置と位置合わせされた小さい領域またはポイントに制限することによりさらに改善できる。
【0031】
接触の小さい領域またはポイントは、図2〜4において説明された基本的な構成を修正することによって達成される。
【0032】
図5において説明された実施形態において、タスクモジュールの開口は、タスクモジュールの中心線と位置合わせされたその下面に、突出部を備える。 タスクモジュールが係合部材と係合し、モジュールが引き離されている時には、係合部材は突出部と接触し、それにより、保持モジュールの上方への動きからの力がタスクモジュールの中心線と位置合わせされることを保証する 。
【0033】
逆に言えば、突出部は、係合部材とタスクモジュールが係合した際に、タスクモジュールの中心線と位置合わせされるように、係合部材の上面に備わっていても良い。突出部は、係合部材とタスクモジュールが係合する際に、お互いに位置合わせされるように、タスクモジュールと係合部材の双方に配置されていてもよい。
【0034】
図6は係合部材の下側の突出部を示し、図7はタスクモジュールの開口と係合部材の突出部を示す。
【0035】
図5〜図7の実施形態における突出部は、合成吸引力の位置とアラインメントされるように配置される。これは、合成吸引力が1つ以上の突出部を通じて作用し、タスクモジュールは突出部に関して回転できる利点を有し、それは、保持モジュールが矩形のままであることを保証する。
突出部が無い場合には、細長い部材の長手方向の軸線のまわりでタスクモジュールが回転するのに対して、ここでは、タスクモジュールは、水平で、かつ、細長い部材の長手方向の軸線と直角な軸線のまわりでも回転可能である。
【0036】
タスクモジュールは、好適には、細長い部材における突出部は、合成力ベクトルと位置合わせされるように配置される。これは、単にこの目的を達成するために、中空軸を、X、Y、Z座標に移動させるために、マシンのモーターを使用して達成できる。代わりに、メカニカルストップは保管ポートに設けられ、タスクモジュールが保管ポートに挿入されて、メカニカルストップに隣接する時に、それが正確に位置決めされるように配置される。
【0037】
図8において説明された実施形態においては、係合部材は円形断面を有し、タスクモジュールの開口も円形断面を有し、開口の内径は、係合部材の外径よりわずかに大きい。この構成により、タスクモジュールは、細長い部材の中心軸線のまわりで回転可能である。これは、タスクモジュールが引き離される、または、保持モジュールと係合する際に、タスクモジュールは保持モジュールと位置合わせされるまで回転可能であるという利点を有する。タスクモジュールは回転可能である一方で、タスクモジュールの開口の位置は、好適には、重心が開口の下方にあり、タスクモジュールがその位置を保持する。
【0038】
保持手段は、また、許容量を越えてタスクモジュールが回転することを防止するために、保管ポートに提供される。 図8および図9は、保持手段の第1のタイプを示す。それは、U字形のマウント50を含む。タスクモジュールが保管ポートに保持される際に、係合部材は、図8に示すような、タスクモジュールとU字形のサポートとの間の接触なしで、タスクモジュールをサポートする。しかしながら、所定量を越えてタスクモジュールが回転すると、マウント50は、ストップとして作用し、図9に示すように、タスクモジュールと接触し、さらなる回転を防止する。
【0039】
代替的には、図10および図11に示すように、第2のタイプの保持手段は、フォーク形状のサポート52を含むことも可能である。フォーク形状のサポート52は、保管ポートのサポート36に配置され、タスクモジュールが保管ポートに保持される際に、スタイラスのいずれかの側において延在している一の突出部を有する。前述のように、図10に示したように、タスクモジュールは、直立した位置にある時には、フォークとスタイラスとの間に接触は全くないけれども、一定量を越える回転においては、フォーク状突出部は、ストップとして作用し、図11に示すように、タスクモジュールのさらなる回転を防止する。
【0040】
これらの保持手段は、開口がタスクモジュールの重心の下方に配置されることを可能にし、例えば、開口はスタイラスに配置されうる。
【0041】
タスクモジュールの係合手段および開口は、これらの2つの間にキーを提供するように形成される。例えば、図12は、矩形断面をもつ係合手段38および開口40を示す。このケースで、係合手段および開口の相対的な寸法は、係合手段が開口に挿入でき、かつ、制限された量の回転は可能であるように規定される。この実施形態においては、開口と細長い部材との間のキーイングが回転を規制するので、ストップとして作用する追加の規制部材が不要である。
【0042】
さらなる実施形態は、図13に示される。この実施形態においては、係合部材38は、タスクモジュールとの係合のために、フォーク状の係合領域54を有する。図13は、フォーク状の係合領域との係合に適するタスクモジュール18も示している。タスクモジュールは、環状の凹部57を備え、これにフォークは係合可能である。代替的には、タスクモジュールは、フォーク状の係合領域またはフォーク状の領域に係合するための円形状のリップなどのフランジとの係合のための2つの直線状の凹部または開口を備えることができる。
【0043】
フォーク状の係合領域は、その長手方向の軸線に関して回転可能なように、回転可能に設置される。図13は、サポートに搭載するための係合領域のマウント領域58、フォーク状の係合領域54、および、長手方向の軸線56に関してマウント領域に対してフォーク状の係合領域を回転可能にするためのマウント領域58と係合領域54との間のベアリングとを示している。この構成は、フォーク状の係合領域に係合したタスクモジュールの回転を可能にし、それにより、モジュールが接続され、または、接続が絶たれる際に、正確なアラインメントを保証する。
【0044】
本発明の上述した実施形態において、タスクモジュールまたはスタイラスモジュールが参照された。本発明は、スタイラスモジュールのハウジングにスタイラスが変形可能に設置される欧州特許EP0566719に開示されたタイプのスタイラスモジュールに限定されないと理解されるべきである。上記の実施形態は、簡単な、または、交換可能なスタイラス、あるいは、計測プローブのための他のツールに等しく適用可能である。
【0045】
保管ポートまたは保管装置の係合部材は、プローブのタスクモジュールを完全に通過しておよび越えて延在するように示されたけれども、これは必須ではない。部分的にのみプローブのタスクモジュールを通じて延在していてもよい。タスクモジュールの受容開口は、それを完全に貫通して延在するのではなく、めくら穴であってもよい。
【0046】
また、モジュールプローブにおいて、スタイラスと加工物との間の接触を検出するためのセンサーがスタイラスまたはタスクモジュール、あるいは、保持モジュールのいずれかに配置されていてもよいと理解されるべきである。公知のように、スタイラスが設置される運動学的係合要素を通じる電気回路や、ひずみゲージなどの他のセンサーを備えていてもよい。
【0047】
さらに、例えば、水平に延在する要素または垂直方向の動きのように、ここでは、水平および垂直方向が参照されたが、これらは、必ず完全に水平であることまたは垂直であることではなく、名目のまたはおおよその方向を意図すると理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解放可能に結合されたタスクモジュールまたはツールをプローブ又はプローブの保持モジュールから分離する、および/または、解放可能に結合されたタスクモジュールまたはツールをプローブ又はプローブの保持モジュールへ接続するための保管装置であって、前記タスクモジュールまたはツールは、前記プローブ又はプローブの保持モジュールに、これらの間の合成結合力によって解放可能に結合され、前記タスクモジュールまたはツールは、前記合成結合力を概ね横切る方向の少なくとも一の細長い受容開口を有し、
前記保管装置は、前記タスクモジュール又はツールの少なくとも一の前記受容開口に係合するための、前記合成結合力を概ね横切る方向の少なくとも一の係合部材を備え、
前記係合部材は、当該係合部材が少なくとも一の受容構造に係合する際に、
前記タスクモジュール又はツールと前記プローブ又は保持モジュールとの間の前記結合力の合成ベクトルに実質的に達する又はこれを超えて延在するように形成されている、保管装置。
【請求項2】
単一の前記細長い係合部材を備える、請求項1に記載の保管装置。
【請求項3】
前記係合部材が前記少なくとも一の受容開口と係合する際に、前記合成ベクトルの位置と交差するように前記係合部材が形成されている請求項1または請求項2に記載の保管装置。
【請求項4】
前記係合部材は、その表面に突出部を含む、請求項1ないし3のいずれかに記載の保管装置。
【請求項5】
前記係合部材は、当該係合部材が少なくとも一の受容開口と係合する際に、前記合成ベクトルが前記突出部を通じて作用するように構成される、請求項4に記載の保管装置。
【請求項6】
前記係合部材は、長手方向の軸線を有し、前記少なくとも一の受容開口と係合する際に、前記長手方向の軸線に関してのタスクモジュールの回転を少なくとも規制可能に構成されている、請求項1ないし5のいずれかに記載の保管装置。
【請求項7】
前記係合部材は、長手方向の軸線を有し、当該係合部材が少なくとも一の受容開口と係合する際に、水平でかつ前記長手方向の軸線と直交する軸線に関するタスクモジュールの回転を少なくとも規制可能に構成される、請求項1ないし6のいずれかに記載の保管装置。
【請求項8】
前記少なくとも一の係合部分が前記タスクモジュールに係合している際に、記係合部材の長手方向の軸線に関する前記タスクモジュールの回転を規制する少なくとも一の保持手段をさらに含む請求項1ないし7のいずれかに記載の保管装置。
【請求項9】
前記少なくとも一の保持手段は、少なくとも一のメカニカルストップを含む請求項8に記載の保管装置。
【請求項10】
前記少なくとも一の保持手段は、前記係合部材の構成を含む請求項8に記載の保管装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに係る構造を有する少なくとも一の保管装置を含むマガジン。
【請求項12】
プローブ又はプローブの保持モジュールに解放可能に結合するのに適したタスクモジュールまたはツールであって、
前記タスクモジュールまたはツールと前記プローブ又は保持モジュールとの間に解放可能な結合であって、これらの間に合成力を生み出す結合を提供するために、前記プローブまたは保持モジュールにおいて少なくとも一の対応結合要素と係合する少なくとも一の結合要素と、
保管装置の係合要素と係合するための前記ハウジングにおける少なくとも一の受容開口であって、前記係合部材が当該少なくとも一の受容開口と係合する際に、前記合成力のベクトルに達する又はこれを越えるように延在する少なくとも一の受容開口とを備える、タスクモジュールまたはツール。
【請求項13】
前記少なくとも一の受容開口が、合成吸引力と位置合わせされる突出部を含む請求項11または12に記載のタスクモジュール。
【請求項14】
少なくとも一の受容構造を有する解放可能に結合されたタスクモジュールをモジュールプローブから分離する、および/又は、当該タスクモジュールへ接続するための保管装置であって、
長手方向の軸線を有し、前記タスクモジュールの少なくとも一の受容構造と係合のための少なくとも一の係合部分を有する係合部材を備え、
前記少なくとも一の係合部分は、少なくとも一の長手方向の軸線と水平でかつ前記長手方向の軸線に対して垂直な軸線とに関する前記タスクモジュールの回転を少なくとも規制可能にするように構成され、前記少なくとも一の係合部分は、前記少なくとも一の受容構造と係合する、保管装置。
【請求項15】
前記係合部材は、突出部をその表面に含む請求項14に記載の保管装置。
【請求項16】
前記少なくとも一の係合部分は、前記タスクモジュールに係合する際に、前記係合部材の長手方向の軸線に関する前記タスクモジュールの回転を規制するための少なくとも一の保持手段をさらに含む請求項14または15に記載の保管装置。
【請求項17】
前記少なくとも一の保持手段は、少なくとも一のメカニカルストップを含む請求項16に記載の保管装置。
【請求項18】
請求項14〜17のいずれかに係る構造を有する少なくとも一の保管装置を含むマガジン。
【請求項19】
解放可能に結合されたタスクモジュールまたはツールをプローブ又はプローブの保持モジュールから分離する、および/または、解放可能に結合されたタスクモジュールまたはツールをプローブ又はプローブの保持モジュールへ接続するための保管装置であって、前記タスクモジュールまたはツールは、前記プローブ又はプローブの保持モジュールに、これらの間の合成結合力によって解放可能に結合され、前記タスクモジュールまたはツールは、少なくとも一の細長い受容構造を有し、
前記保管装置は、前記タスクモジュールまたはツールの少なくとも一の受容構造との係合のための、少なくとも一の細長い係合部材を備え、
前記係合部材は、当該係合部材が前記少なくとも一の受容構造に係合する際に、前記タスクモジュールと前記モジュールプローブとの間の結合力の合成ベクトルに実質的に達する又はこれを越えて延在するように形成されている、保管装置。
【請求項20】
プローブ又はプローブの保持モジュールへ解放可能に結合するのに適したタスクモジュールまたはツールであって、
前記タスクモジュールまたはツールと前記プローブ又は保持モジュールとの間に解放可能な結合であって、これらの間に合成力を生み出す結合を提供するために、前記プローブ又は保持モジュールの少なくとも一の対応結合要素に係合するための少なくとも一の結合要素と、
少なくとも一の受容構造が上に延在する保管装置の前記係合要素に係合するためのハウジングにおける少なくとも一の受容構造であって、前記係合部材が前記少なくとも一の受容構造に係合する際に、前記合成力のベクトルに達する又はこれを越えるように延在する少なくとも一の受容構造と、を備えるタスクモジュール又はツール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−539467(P2010−539467A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524570(P2010−524570)
【出願日】平成20年9月15日(2008.9.15)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003099
【国際公開番号】WO2009/034341
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】