説明

計算機ホログラム及び露光装置

【課題】照度ムラ及び光量損失を抑えると共に薄型化を実現し、所望の形状及び偏光状態の光強度分布(再生像)を形成することができる計算機ホログラムを提供する。
【解決手段】入射光の波面に位相分布を与えて所定面に光強度分布を形成する計算機ホログラムであって、入射光の偏光状態を変化させる第1の異方性セル及び第2の異方性セルと、入射光の偏光状態を変化させない第1の等方性セル及び第2の等方性セルと、を有し、前記第1の異方性セルの光学軸の方向と前記第2の異方性セルの光学軸の方向とが互いに異なり、前記第1の等方性セルの厚さと前記第2の等方性セルの厚さとが互いに異なることを特徴とする計算機ホログラムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計算機ホログラム及び露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィー(焼き付け)技術を用いて半導体メモリや論理回路などの微細な半導体デバイスを製造する際に、投影露光装置が従来から使用されている。投影露光装置は、レチクル(マスク)に描画された回路パターンを投影光学系によってウエハ等の基板に投影して回路パターンを転写する。
【0003】
投影露光装置の解像度Rは、露光光の波長λ、投影光学系の開口数(NA)及び現像プロセスなどによって定まるプロセス定数kを用いて、以下の数式1で与えられる。
【0004】
【数1】

【0005】
従って、露光光の波長を短くすればするほど、或いは、投影光学系のNAを上げれば上げるほど、解像度はよくなる。但し、露光光の波長が短くなると硝材の透過率が低下するため、現在の露光光を更に短波長化することは困難である。また、投影光学系のNAに反比例して焦点深度が小さくなること、及び、高NAの投影光学系を構成するためのレンズの設計及び製造は困難であることから、投影光学系の高NA化を進めることも難しい。
【0006】
そこで、プロセス定数kを小さくすることにより解像度の向上を図る超解像技術(RET:Resolution Enhanced Technology)が提案されている。かかるRETの1つとして、変形照明法(又は斜入射照明法)と呼ばれるものがある。
【0007】
変形照明法は、一般的に、光学系の光軸上に遮光板を有する開口絞りを、均一な面光源を形成するオプティカルインテグレータの射出面近傍に配置することによって、レチクルに対して露光光を斜めに入射させる。変形照明法は、開口絞りの形状(即ち、光強度分布の形状)に応じて、輪帯照明法や四重極照明法などを含む。また、変形照明法においては、露光光の利用効率(照明効率)を向上させるため、開口絞りの代わりに計算機ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)を用いた技術も提案されている。
【0008】
一方、投影光学系の高NA化に伴って、露光光の偏光状態を制御した偏光照明法も、投影露光装置の高解像度化には必要な技術となってきている。偏光照明法とは、基本的に、P偏光とS偏光のうち、光軸に対して同心円方向成分を有するS偏光のみを用いてレチクルを照明する照明法である。
【0009】
そこで、近年では、変形照明法(所望の形状(例えば、四重極形状)を有する光強度分布の形成)と偏光照明法(偏光状態の制御)とを同時に実現する技術が提案されている(特許文献1乃至3参照)。
【0010】
例えば、特許文献1は、変形照明法及び偏光照明法を1つの素子で実現する技術を開示している。特許文献1では、光強度分布の形状(再生像)をCGHで制御すると共に、構造複屈折を用いて偏光状態を制御している。具体的には、同一の偏光方向の光に対応した複数のCGH(以下、「サブCGH」と称する)を並列に配置して1つのCGHを構成し、偏光方向に応じた構造複屈折をサブCGH毎に適用している。
【0011】
特許文献2は、サブCGHに適用する偏光を制御する手段として偏光制御器を用いることで、所望の偏光を選択的に使用している。
【0012】
特許文献3は、変形照明法及び偏光照明法で代表的に形成される四重極形状の光強度分布において、4つの極のバランスを制御することが可能な技術を開示している。具体的には、特許文献3は、CGHを4分割してサブCGHを構成し、入射光の強度分布を変化させることで、CGHによる再生像の極のバランスを変化させることを可能としている。
【0013】
また、CGHの設計に関する技術についても従来から提案されている(非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−196715号公報
【特許文献2】特開2006−49902号公報
【特許文献3】特開2006−5319号公報
【非特許文献1】“Synthesis of digital holograms by direct binary search” APPLIED OPTICS / Vol.26,No.14 / July 1987 2788−2798
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来技術では、1つのCGHを複数に分割してサブCGHを構成しているため、入射光の強度分布がオプティカルインテグレータで補正しきれていない場合(例えば、CGHの一部にしか光が入射しない場合)、再生像に照度ムラが生じてしまう。
【0015】
また、複数のサブCGHを組み合わせた場合、サブCGHの境界で生じる構造の不連続性から不要な回折光が発生してしまうため、CGHによる再生像を劣化させてしまう。そこで、サブCGHの境界で生じる構造の不連続性を設計で解消することも考えられるが、設計コストが非常に増大するという別の問題が生じてしまう。
【0016】
また、偏光制御器で偏光を選択的に使用した場合、露光光の利用効率が著しく低下してしまう(即ち、光量損失が大きくなってしまう)。
【0017】
また、CGHは、一般的に、フーリエ変換を用いて無限に薄い素子として設計される。従って、CGHの設計や製造において、素子の薄型化は常に要求される課題である。
【0018】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みて、照度ムラ及び光量損失を抑えると共に薄型化を実現し、所望の形状及び偏光状態の光強度分布(再生像)を形成することができる計算機ホログラムを提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての計算機ホログラムは、入射光の波面に位相分布を与えて所定面に光強度分布を形成する計算機ホログラムであって、入射光の偏光状態を変化させる第1の異方性セル及び第2の異方性セルと、入射光の偏光状態を変化させない第1の等方性セル及び第2の等方性セルと、を有し、前記第1の異方性セルの光学軸の方向と前記第2の異方性セルの光学軸の方向とが互いに異なり、前記第1の等方性セルの厚さと前記第2の等方性セルの厚さとが互いに異なることを特徴とする。
【0020】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、例えば、照度ムラ及び光量損失を抑えると共に薄型化を実現し、所望の形状及び偏光状態の光強度分布(再生像)を形成する計算機ホログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0023】
図1は、本発明の一側面としての計算機ホログラム100を説明するための図である。計算機ホログラム100は、図1に示すように、入射光の波面に位相分布を与えて所定面PS(例えば、アパーチャの位置)に光強度分布(再生像)LIを形成する。また、計算機ホログラム100は、第1の方向の直線偏光(X軸方向を偏向方向とする直線偏光)としてのX偏光の波面及び第2の方向の直線偏光(Y軸方向を偏向方向とする直線偏光)としてのY偏光の波面に互いに異なる位相分布を与える。これにより、X偏光(入射光のX軸方向の直線偏光成分)が形成する第1の光強度分布LIとY偏光(入射光のY軸方向の直線偏光成分)が形成する第2の光強度分布LIとを異ならせることができる。なお、X偏光とY偏光とは、互いに直交する偏光である。
【0024】
以下、X偏光の波面及びY偏光の波面に互いに異なる位相分布を与える計算機ホログラム100について具体的に説明する。図2は、計算機ホログラム100を構成するセル構造を示す概略斜視図である。計算機ホログラム100は、図2に示すように、矩形形状の複数のセル110を有する。
【0025】
X偏光の波面及びY偏光の波面に互いに異なる位相分布を与えるためには、計算機ホログラム100は、各偏光方向に対して波面を独立に制御する必要がある。例えば、計算機ホログラム100として2段の計算機ホログラムを考えると、2つの偏光方向の各々に対して2値の位相を波面に与える必要がある。従って、計算機ホログラム100のセル110においては、4種類のセル構造が必要となる。図2に示すセル110a乃至110dの各々は、かかる4種類のセル構造のうちの1種類のセル構造を有する。計算機ホログラム100は、4種類のセル110を正方格子状に配列して構成されている。
【0026】
複数のセル110の各々は、図2に示すように、入射光の偏光状態を変化させる第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bと、入射光の偏光状態を変化させない第1の等方性セル110c及び第2の等方性セル110dとを含む。但し、第1の等方性セル110c及び第2の等方性セル110dの説明における入射光の偏光状態を変化させないとは、第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bと比較して、入射光の偏光状態を変化させないという意味である。従って、本実施形態では、X偏光に対する屈折率とY偏光に対する屈折率との差が0以上0.001以下であるセルを等方性セルとみなす。
【0027】
第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bは、第1の異方性セル110aの光学軸OAの方向と第2の異方性セル110bの光学軸OAの方向とが互いに異なるように構成されている。これにより、X偏光の波面をY偏光の波面よりも進ませるセルとX偏光の波面をY偏光の波面よりも遅らせるセルとを実現することができる。また、本実施形態では、第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bは、X偏光とY偏光に対応して、第1の異方性セル110aの光学軸OAの方向と第2の異方性セル110bの光学軸OAの方向とが垂直に交わるように構成されている。換言すれば、第1の異方性セル110aの光学軸OAの方向は、第2の異方性セル110bの光学軸OAの方向に直交する。ここで、光学軸とは、異方性媒質において屈折率が一定になり、偏光していない光を入射させても複屈折を発生せず、通常光線と異常光線が一致する、或いは、ずれが最小となる方向の軸のことである。
【0028】
第1の等方性セル110c及び第2の等方性セル110dは、第1の等方性セル110cの厚さ(Z方向の厚さ)hと第2の等方性セル110dの厚さ(Z方向の厚さ)hとが互いに異なるように構成されている。これにより、X偏光及びY偏光の両方の波面を進ませるセルとX偏光及びY偏光の両方の波面を遅らせるセルとを実現することができる。
【0029】
第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bの厚さ(Z方向の厚さ)h、第1の等方性セル110cの厚さhと第2の等方性セル110dの厚さhは、以下の3種類の屈折率(第1の屈折率乃至第3の屈折率)を用いて表すことができる。第1の屈折率は、第1の異方性セル110aのX偏光に対する屈折率及び第2の異方性セル110bのY偏光に対する屈折率nである。第2の屈折率は、第1の異方性セル110aのY偏光に対する屈折率及び第2の異方性セル110bのX偏光に対する屈折率nである。第3の屈折率は、第1の等方性セル110c及び第2の等方性セル110dの屈折率nである。本実施形態では、説明を簡単にするために、n>nとなる場合の例を示している。
【0030】
2段の計算機ホログラム100を構成する場合、位相をπずらす必要があり、これを実現するためには、第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bの厚さhは、以下の数式2を満足すればよい。
【0031】
【数2】

【0032】
また、第1の等方性セル110cの厚さhは、第1の異方性セル110aのX偏光に対する屈折率及び第2の異方性セル110bのY偏光に対する屈折率nによる波面と揃える波面を形成するために、以下の数式3を満足すればよい。
【0033】
【数3】

【0034】
また、第2の等方性セル110dの厚さhは、第1の異方性セル110aのY偏光に対する屈折率及び第2の異方性セル110bのX偏光に対する屈折率nによる波面と揃える波面を形成するために、以下の数式4を満足すればよい。
【0035】
【数4】

【0036】
本実施形態では、上述したように、n>nとなる場合の例を示したが、n<nとなる場合には、数式2、数式3及び数式4においてnとnを入れ替えればよい。
【0037】
第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bの厚さh、第1の等方性セル110cの厚さh及び第2の等方性セル110dの厚さhによって、複数のセル110は、図2に示すように、多段(厚さの異なる複数の領域)で構成されることになる。具体的な数値例として、第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bを異方性材料で構成し、n=1.6、n=1.4、n=1.5である場合を示す。この場合、第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bの厚さh、第1の等方性セル110dの厚さh及び第2の等方性セル110dの厚さhのそれぞれは、入射光の波長をλとして、2.5λ、2λ、3λとなる。このように、第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bの厚さh、第1の等方性セル110dの厚さh及び第2の等方性セル110dの厚さhは、波長λの数倍の厚さに収まっている。かかる厚さは、計算機ホログラムの厚さとして現実的である。
【0038】
投影露光装置の光源として、例えば、波長約193nmのArFエキシマレーザーや波長約248nmのKrFエキシマレーザーなどのエキシマレーザーを考えた場合、異方性セルとして用いることができる異方性材料の偏光方向による屈折率の差Δnは小さい。具体的には、ArFエキシマレーザーの波長板として用いられるフッ化マグネシウムの偏光方向による屈折率の差Δnは、波長約193nmに対して、0.014である。従って、第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bの厚さhは、数式2から、約36λとなる。
【0039】
図3は、計算機ホログラム100を構成する別のセル構造を示す概略斜視図である。計算機ホログラム100は、図3に示すように、複数のセル110を有する。図3に示す計算機ホログラム100のセル構造は、後述するように、図2に示す計算機ホログラム100のセル構造よりも薄く構成することが可能であり、計算機ホログラム100の更なる薄型化を実現することができる。
【0040】
複数のセル110の各々は、図3に示すように、入射光の偏光状態を変化させる第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1と、入射光の偏光状態を変化させない第1の等方性セル110c1及び第2の等方性セル110d1とを含む。
【0041】
第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1は、構造複屈折を生じる回折格子で構成され、例えば、0次以外の回折光の発生を防止するために、入射光の波長よりも小さいピッチPの周期構造を有する1次元回折格子で構成される。図3に示すように、第1の異方性セル110a1の周期構造の周期方向は、第1の異方性セル110a1の光学軸OAの方向と等しく、第2の異方性セル110b1の周期構造の周期方向は、第2の異方性セル110b1の光学軸OAの方向と等しい。また、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1は、第1の異方性セル110a1の光学軸OAの方向と第2の異方性セル110b1の光学軸OAの方向とが互いに異なるように構成されている。換言すれば、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1は、第1の異方性セル110a1の周期構造の周期方向と第2の異方性セル110b1の周期構造の周期方向とが互いに異なるように構成されている。これにより、X偏光の波面をY偏光の波面よりも進ませるセルとX偏光の波面をY偏光の波面よりも遅らせるセルとを実現することができる。なお、構造複屈折を生じる回折格子は、例えば、石英を用いた回折格子として特許文献1に開示されている。特許文献1は、石英は波長193nmでは1.56の屈折率を有し、構造複屈折領域の回折格子のデューティ比を1:1(=0.5)とすると、回折格子のピッチ方向の屈折率nは1.19、ピッチ直交方向の屈折率nIIは1.31となることを記載している。
【0042】
本実施形態では、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1は、X偏光とY偏光に対応して、第1の異方性セル110a1の周期構造の周期方向と第2の異方性セル110b1の周期構造の周期方向とが垂直に交わるように構成されている。換言すれば、第1の異方性セル110a1の周期構造の周期方向は、第2の異方性セル110b1の周期構造の周期方向に直交する。また、第1の異方性セル110a1の光学軸OAは、第1の異方性セル110aの光学軸OAと同様に、X軸に沿っていると考えることができる。第2の異方性セル110b1の光学軸OAは、第2の異方性セル110bの光学軸OAと同様に、Y軸に沿っていると考えることができる。従って、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1は、第1の異方性セル110a1の光学軸OAの方向と第2の異方性セル110b1の光学軸OAの方向とが垂直に交わるように構成されているとも言える。
【0043】
また、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1は、第1の異方性セル110a1の厚さと第2の異方性セル110b1の厚さとが等しくなるように構成されている。これにより、X偏光の波面をY偏光の波面よりも進ませる量及びX偏光の波面をY偏光の波面よりも遅らせる量を、位相にして、πにすることができる。本実施形態では、計算機ホログラム100が2段の計算機ホログラムである(即ち、2段の波面を生成する)ため、異方性セルの厚さは1種類となっている。計算機ホログラム100が2段よりも多い多段の計算機ホログラムである場合には、光学軸の方向が互いに異なり、且つ、厚さが等しい異方性セルのペアが、互いに異なる複数の厚さで構成される。換言すれば、2段よりも多い多段の計算機ホログラムにおいては、互いに異なる複数の厚さの異方性セルのペアが構成され、かかる異方性セルのペアにおいては、光学軸の方向が互いに異なる2つの異方性セルが構成される。
【0044】
第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1が構造複屈折を生じる回折格子で構成されている場合においても、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の厚さh’は、hをh’に置き換えた数式2を満足すればよい。同様に、第1の等方性セル110c1の厚さh’及び第2の等方性セル110d1の厚さh’のそれぞれは、hをh’に置き換えた数式3及びhをh’に置き換えた数式4を満足すればよい。
【0045】
具体的な数値例として、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1を波長λ=193nmに対応した石英で構成した場合を示す。上述したように、石英の屈折率を1.56、回折格子のピッチ方向の屈折率nを1.19、ピッチ直交方向の屈折率nIIを1.31とする。数式2乃至数式4を用いて、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の厚さh’、第1の等方性セル110c1の厚さh’及び第2の等方性セル110d1の厚さh’を求めるには、nをnとし、nIIをnとすればよい。この場合、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の厚さh’は、数式2から、4.17λとなる。かかる厚さは、波長板の1種類であるλ/2位相板の厚さと等しい。また、第1の等方性セル110c1の厚さh’及び第2の等方性セル110d1の厚さh’は、数式3及び4から、1.41λ及び2.31λとなり、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の厚さh’よりも薄くなる。このように、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の厚さh’、第1の等方性セル110c1の厚さh’及び第2の等方性セル110d1の厚さh’は、λ/2位相板の厚さに収まっている。X偏光とY偏光とを含む直線偏光を入射光とした場合、X偏光とY偏光に位相差としてπを与えるためには、λ/2位相板の厚さは必要となる。従って、計算機ホログラム100の厚さがλ/2位相板の厚さに収まっているということは、計算機ホログラム100の厚さが最低限の厚さになっていることを意味する。換言すれば、図3に示す計算機ホログラム100は、非常に薄型化されている。また、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の厚さh’(h’=4.17λ)は、複屈折材料をフッ化マグネシウムとして構成された第1の異方性セル110a及び第2の異方性セル110bと比較して、薄くなっている。
【0046】
本実施形態では、2段の計算機ホログラムである場合を例に説明したため、計算機ホログラム100は、1種類の厚さの異方性セルと、2種類の厚さの等方性セルとで構成されている。但し、本発明は2段の計算機ホログラムに限った技術ではなく、2段よりも多い多段の計算機ホログラムである場合には、かかる計算機ホログラムは、1種類よりも多い複数種類の厚さの異方性セルと、2種類よりも多い複数種類の厚さの等方性セルとで構成される。
【0047】
なお、本実施形態では、計算機ホログラム100のセル構造についてのみ説明したが、図2に示すように、材質の異なる物質(例えば、異方性セルと等方性セル)を結合させることは難しい。また、図3に示すように、構造複屈折を生じる回折格子で異方性セルを構成した場合には、かかる回折格子が宙に浮いた状態となっており、この状態を維持することは難しい。そこで、実際には、上述した異方性セル及び等方性セルは、例えば、石英などの基板上に配置されている。
【0048】
以下、計算機ホログラム100の具体的な設計例について説明する。
【0049】
まず、計算機ホログラム100が、図4に示すような四重極形状の光強度分布(ターゲット像)LIを形成する場合を説明する。図4に示す光強度分布LIは、X偏光が形成する第1の光強度分布LIと、Y偏光が形成する第2の光強度分布LIとで構成されている。また、第1の光強度分布LI及び第2の光強度分布LIにおける偏光方向PDは、同心円方向に沿っている(即ち、S偏光になっている)。図4は、計算機ホログラム100が形成する四重極形状の光強度分布LIの一例を示す図である。
【0050】
図5は、図4に示す光強度分布LIを形成するための計算機ホログラム100の構成を示す概略斜視図である。図4に示す光強度分布LIを形成するための計算機ホログラム100は、図3に示したセル構造で構成され、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1と、第1の等方性セル110c1及び第2の等方性セル110d1とを有する。換言すれば、図5に示す計算機ホログラム100は、図3に示した計算機ホログラム100の各セル構造を並び替えて構成されている。図5には、図4に示す光強度分布LIを形成するための計算機ホログラムの基本構造(2×2のセルで構成された1周期分の構造)を示すが、計算機ホログラム100は、実際には、X軸方向及びY軸方向に、かかる基本構造が繰り返し配置された構成となる。
【0051】
図6は、図5に示す計算機ホログラム100の各セルの厚さを示す図である。図6において、白黒の濃淡が各セルの厚さ(Z方向)を表しており、色が白に近い方が厚く、黒に近い方が薄いことを示している。図6に示す数値は、計算機ホログラム100における第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の内部の厚さ、及び、第1の等方性セル110c1及び第2の等方性セル110d1の厚さを示しており、単位はμmである。但し、図6に示す数値は、波長193nmに対する屈折率が1.56の石英で第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1を構成した場合の例である。
【0052】
図5及び図6を参照するに、図4に示す光強度分布LIを形成するための計算機ホログラム100は、X偏光に対しては、位相シフト量の差がπとなるセルがY軸に沿って上下に交互に配置された構成となっている。また、Y偏光に対しては、位相シフト量の差がπとなるセルがX軸に沿って左右に交互に配置された構成となっている。これにより、図5及び図6に示す計算機ホログラム100に対して、X偏光が入射するとY軸に沿った上下の±1次に強い回折光が得られ、Y偏光が入射するとX軸に沿った左右の±1次に強い回折光が得られることになる。従って、図5及び図6に示す計算機ホログラム100に対して、X偏光の強度とY偏光の強度とが等しい偏光状態を有する光が入射した場合、計算機ホログラム100からの回折光の光強度分布は、図4に示す光強度分布L1に一致する。
【0053】
図7は、X偏光の強度とY偏光の強度とが等しい偏光状態を有する光の一例を示す図である。図7に示す光は、X軸に対する偏光方向の角度PAが−45度である直線偏光である。従って、図7に示す光を入射光として選択することで、計算機ホログラム100は、図4に示す光強度分布L1を形成する。但し、図4に示すように、X偏光が形成する第1の光強度分布LIと、Y偏光が形成する第2の光強度分布LIとが完全に分離している光強度分布LIをターゲット像とする場合には、入射光として他の偏光状態も選択することができる。例えば、偏光方向のX軸に対する角度PAが45度である直線偏光であってもよい。また、X偏光の強度とY偏光の強度とが等しい偏光状態を有する円偏光や無偏光であってもよい。
【0054】
このように、本実施形態によれば、λ/2位相板の厚さに収まる厚さでありながら(即ち、薄型化を実現すると共に)、所望の形状及び偏光状態の光強度分布の一例としてS偏光による四重極形状の光強度分布を形成する計算機ホログラムを提供することができる。
【0055】
次に、計算機ホログラム100が、図8に示すような輪帯形状の光強度分布(ターゲット像)LIを形成する場合を説明する。図8に示す光強度分布LIにおける偏光方向PDは、複数の偏光方向PD乃至PDを含み、同心円方向に沿っている(即ち、S偏光になっている)。図8は、計算機ホログラム100が形成する輪帯形状の光強度分布LIの一例を示す図である。
【0056】
図9は、図8に示す光強度分布LIを形成するための計算機ホログラム100の各セルの厚さを示す図である。図9において、白黒の濃淡が各セルの厚さ(Z方向)を表しており、色が白に近い方が厚く、黒に近い方が薄いことを示している。図9に示す数値は、計算機ホログラム100における第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1の内部の厚さ、及び、第1の等方性セル110c1及び第2の等方性セル110d1の厚さを示しており、単位はμmである。但し、図6に示す数値は、波長193nmに対する屈折率が1.56の石英で第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1を構成した場合の例である。
【0057】
図8に示す光強度分布LIを形成するための計算機ホログラム100は、図3に示したセル構造で構成され、第1の異方性セル110a1及び第2の異方性セル110b1と、第1の等方性セル110c1及び第2の等方性セル110d1とを有する。換言すれば、図9に示す計算機ホログラム100は、図3に示した計算機ホログラム100の各セル構造を並び替えて構成されている。図9には、図8に示す光強度分布LIを形成するための計算機ホログラムの基本構造(16×16のセルで構成された1周期分の構造)を示すが、計算機ホログラム100は、実際には、X軸方向及びY軸方向に、かかる基本構造が繰り返し配置された構成となる。
【0058】
図8に示す光強度分布LIは、図4に示す光強度分布LIと異なり、X偏光が形成する光強度分布と、Y偏光が形成する光強度分布とが完全に分離されていない。換言すれば、図8に示す光強度分布LIは、X偏光及びY偏光の両方で形成される斜めの直線偏光PD及びPDを含んでいる。従って、図8に示す光強度分布LIを形成するための図9に示す計算機ホログラム100に入射させる入射光の偏光状態は限定される。図9に示す計算機ホログラム100は、X軸に対する偏光方向の角度PAが−45度である直線偏光(図7参照)を入射光とした場合に、図8に示す光強度分布LIを形成する。なお、円偏光を入射光とすることも可能であるが、この場合には、計算機ホログラム100の各セルの厚さを変更する必要がある。
【0059】
このように、本実施形態によれば、λ/2位相板の厚さに収まる厚さでありながら(即ち、薄型化を実現すると共に)、所望の形状及び偏光状態の光強度分布の一例としてS偏光による輪帯形状の光強度分布を形成する計算機ホログラムを提供することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、計算機ホログラムを構成するセルの数が少ない場合を例に説明したが、計算機ホログラムのセルの数を増加させても所望の形状及び偏光状態の光強度分布を形成することができる。計算機ホログラムを構成するセルの数を増加させることで、光強度分布(ターゲット像)を分割するピクセルサイズが小さくなり、なめらかな形状の光強度分布を形成することが可能となる。
【0061】
以下、図10を参照して、本発明に係る計算機ホログラム100を適用した露光装置1について説明する。図10は、本発明の一側面としての露光装置1の構成を示す図である。
【0062】
露光装置1は、本実施形態では、ステップ・アンド・スキャン方式でレチクル20のパターンをウエハ40に露光する投影露光装置である。但し、露光装置1は、ステップ・アンド・リピート方式やその他の露光方式も適用することができる。
【0063】
露光装置1は、図10に示すように、照明装置10と、レチクル20を支持するレチクルステージ(不図示)と、投影光学系30と、ウエハ40を支持するウエハステージ(不図示)とを有する。
【0064】
照明装置10は、転写用の回路パターンが形成されたレチクル20を照明し、光源16と、照明光学系18とを有する。
【0065】
光源16は、例えば、波長約193nmのArFエキシマレーザー、波長約248nmのKrFエキシマレーザーなどのエキシマレーザーを使用する。但し、光源16は、エキシマレーザーに限定されず、波長約157nmのFレーザーや狭帯域化した水銀ランプなどを使用してもよい。
【0066】
照明光学系18は、光源16からの光を用いてレチクル20を照明する光学系であり、本実施形態では、所定の照度を確保しながら所定の偏光状態でレチクル20を変形照明する。照明光学系18は、引き回し光学系181と、ビーム整形光学系182と、偏光制御部183と、位相制御部184と、射出角度保存光学素子185と、リレー光学系186と、多光束発生部187と、偏光状態調整部194と、計算機ホログラム100とを含む。また、照明光学系18は、リレー光学系188と、アパーチャ189と、ズーム光学系190と、多光束発生部191と、開口絞り192と、照射部193とを含む。
【0067】
引き回し光学系181は、光源16からの光を偏向してビーム整形光学系182に導光する。ビーム整形光学系182は、光源16からの光の断面形状の寸法の縦横比率を所望の値に変換して(例えば、断面形状を長方形から正方形にして)、光源16からの光の断面形状を所望の形状に整形する。ビーム整形光学系182は、多光束発生部187を照明するために必要な大きさ及び発散角を有する光束を形成する。
【0068】
偏光制御部183は、直線偏光子などで構成され、不要な偏光成分を除去する機能を有する。偏光制御部183で除去(遮光)される偏光成分を最小限にすることで、光源16からの光を効率よく所望の直線偏光にすることができる。
【0069】
位相制御部184は、偏光制御部183によって直線偏光となった光にλ/4の位相差を与えて円偏光に変換する。
【0070】
射出角度保存光学素子185は、例えば、オプティカルインテグレータ(複数の微小レンズより構成されるハエの目レンズやファイバー束等)で構成され、一定の発散角度で光を射出する。
【0071】
リレー光学系186は、射出角度保存光学素子185から射出した光を多光束発生部187に集光する。射出角度保存光学素子185の射出面と多光束発生部187の入射面は、リレー光学系186によって、互いにフーリエ変換の関係(物体面と瞳面又は瞳面と像面の関係)になっている。
【0072】
多光束発生部187は、偏光状態調整部194及び計算機ホログラム100を均一に照明するためのオプティカルインテグレータ(複数の微小レンズより構成されるハエの目レンズやファイバー束等)で構成される。多光束発生部187の射出面は、複数の点光源からなる光源面を形成する。多光束発生部187から射出された光は、円偏光として偏光状態調整部194に入射する。
【0073】
偏光状態調整部194は、位相制御部184によって円偏光となった光にλ/4の位相差を与えて所望の偏光方向となる直線偏光に変換する。偏光状態調整部194から射出された光は、直線偏光として計算機ホログラム100に入射する。
【0074】
計算機ホログラム100は、リレー光学系188を介して、アパーチャ189の位置に、光強度分布(例えば、図4に示すようなX偏光が形成する光強度分布LIとY偏光が形成する光強度分布LIとを含む光強度分布IL)を形成する。計算機ホログラム100は、上述した通りのいかなる形態をも適用可能であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0075】
アパーチャ189は、計算機ホログラム100によって形成される光強度分布のみを通過させる機能を有する。計算機ホログラム100とアパーチャ189とは、互いにフーリエ変換面の関係になるように配置されている。
【0076】
ズーム光学系190は、計算機ホログラム100によって形成される光強度分布を所定の倍率で拡大して多光束発生部191に投影する。
【0077】
多光束発生部191は、照明光学系18の瞳面に配置され、アパーチャ189の位置に形成された光強度分布に対応した光源像(有効光源分布)を射出面に形成する。多光束発生部191は、本実施形態では、ハエの目レンズやシリンドリカルレンズアレイなどのオプティカルインテグレータで構成される。なお、多光束発生部191の射出面近傍には、開口絞り192が配置される。
【0078】
照射部193は、コンデンサー光学系等を有し、多光束発生部191の射出面に形成される有効光源分布でレチクル20を照明する。
【0079】
レチクル20は、回路パターンを有し、図示しないレチクルステージに支持及び駆動される。レチクル20から発せされた回折光は、投影光学系30を介して、ウエハ40に投影される。露光装置1は、ステップ・アンド・スキャン方式の露光装置であるため、レチクル20とウエハ40とを走査することによって、レチクル20のパターンをウエハ40に転写する。
【0080】
投影光学系30は、レチクル20のパターンをウエハ40に投影する光学系である。投影光学系30は、屈折系、反射屈折系、或いは、反射系を使用することができる。
【0081】
ウエハ40は、レチクル20のパターンが投影(転写)される基板であり、図示しないウエハステージに支持及び駆動される。但し、ウエハ40の代わりにガラスプレートやその他の基板を用いることもできる。ウエハ40には、レジストが塗布されている。
【0082】
計算機ホログラム100は、上述したように、1つの偏光方向の波面だけではなく、全面にわたってX偏光の波面及びY偏光の波面に互いに異なる位相分布を与えるため、光量損失を実質的に発生させることなく、光強度分布LIを形成することができる。
【0083】
露光において、光源16から発せられた光は、照明光学系18によってレチクル20を照明する。レチクル20のパターンを反映する光は、投影光学系30によってウエハ40上に結像する。露光装置1が使用する照明光学系18は、計算機ホログラム100によって、照明ムラ及び光量損失を抑えると共に、所望の形状及び偏光状態の光強度分布を形成することができる。従って、露光装置1は、高いスループットで経済性よく高品位なデバイス(半導体素子、LCD素子、撮像素子(CCDなど)、薄膜磁気ヘッドなど)を提供することができる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一側面としての計算機ホログラムを説明するための図である。
【図2】図1に示す計算機ホログラムを構成するセル構造を示す概略斜視図である。
【図3】図1に示す計算機ホログラムを構成する別のセル構造を示す概略斜視図である。
【図4】図1に示す計算機ホログラムが形成する四重極形状の光強度分布の一例を示す図である。
【図5】図4に示す光強度分布を形成するための計算機ホログラムの構成を示す概略斜視図である。
【図6】図5に示す計算機ホログラムの各セルの厚さを示す図である。
【図7】X偏光の強度とY偏光の強度とが等しい偏光状態を有する光の一例を示す図である。
【図8】図1に示す計算機ホログラムが形成する輪帯形状の光強度分布の一例を示す図である。
【図9】図8に示す光強度分布を形成するための計算機ホログラムの各セルの厚さを示す図である。
【図10】本発明の一側面としての露光装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
1 露光装置
10 照明装置
16 光源
18 照明光学系
181 引き回し光学系
182 ビーム整形光学系
183 偏光制御部
184 位相制御部
185 射出角度保存光学素子
186 リレー光学系
187 多光束発生部
188 リレー光学系
189 アパーチャ
190 ズーム光学系
191 多光束発生部
192 開口絞り
193 照射部
194 偏光状態調整部
20 レチクル
30 投影光学系
40 ウエハ
100 計算機ホログラム
110 セル
110a及び110a1 第1の異方性セル
110b及び110b1 第2の異方性セル
110c及び110c1 第1の等方性セル
110d及び110d1 第2の等方性セル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光の波面に位相分布を与えて所定面に光強度分布を形成する計算機ホログラムであって、
入射光の偏光状態を変化させる第1の異方性セル及び第2の異方性セルと、
入射光の偏光状態を変化させない第1の等方性セル及び第2の等方性セルと、
を有し、
前記第1の異方性セルの光学軸の方向と前記第2の異方性セルの光学軸の方向とが互いに異なり、
前記第1の等方性セルの厚さと前記第2の等方性セルの厚さとが互いに異なることを特徴とする計算機ホログラム。
【請求項2】
前記第1の等方性セル及び前記第2の等方性セルは、第1の方向の直線偏光に対する屈折率と前記第1の方向に直交する第2の方向の直線偏光に対する屈折率との差が0以上0.001以下であることを特徴とする請求項1に記載の計算機ホログラム。
【請求項3】
前記第1の異方性セル及び前記第2の異方性セルは、構造複屈折を生じる回折格子を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の計算機ホログラム。
【請求項4】
前記第1の異方性セル及び前記第2の異方性セルは、前記入射光の波長よりも小さいピッチの周期構造を有する回折格子を含み、
前記第1の異方性セルの周期構造の周期方向は、前記第1の異方性セルの光学軸の方向と等しく、
前記第2の異方性セルの周期構造の周期方向は、前記第2の異方性セルの光学軸の方向と等しいことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の計算機ホログラム。
【請求項5】
前記第1の異方性セルの周期構造の周期方向は、前記第2の異方性セルの周期構造の周期方向に直交することを特徴とする請求項4に記載の計算機ホログラム。
【請求項6】
前記第1の異方性セルの厚さと前記第2の異方性セルの厚さとが等しいことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の計算機ホログラム。
【請求項7】
前記第1の異方性セルの光学軸の方向は、前記第2の異方性セルの光学軸の方向に直交することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の計算機ホログラム。
【請求項8】
光源からの光でレチクルを照明する照明光学系と、
前記レチクルのパターンを基板に投影する投影光学系と、
を有し、
前記照明光学系は、請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の計算機ホログラムを含むことを特徴とする露光装置。

【図1】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−162939(P2009−162939A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341122(P2007−341122)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】