説明

記録再生装置

【課題】高齢者は、記録再生装置に記録された音の小さいシーン、コントラストの低いシーン、被写体の動きが速いシーンなどの視聴において、見づらい、聴こえにくいといった不便を感じる可能性がある。これらのシーンを高齢者が快適に視聴できる記録再生装置を提供する。
【解決手段】ユーザ毎に動き、色、及び音に関するプロファイルを作成する。再生するときユーザプロファイルを選択し、プロファイルを利用して、映像情報の再生速度、色相情報、及び音声情報を変化させて再生する。ダビングするときユーザプロファイルを選択し、プロファイルを利用して変換した映像情報を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録再生装置に関し、例えば、記録した映像情報を再生するユーザに応じて映像情報の色や音声を制御する記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、例えば、特開2003−18505号公報(特許文献1)がある。該公報には、「[課題]ビデオデータ、音声データ、字幕などの副映像データが多重化されて記録された光ディスクからの情報を再生する際に、会話が無い状況が長く続いているシーンを飛ばして、次の会話シーンから再生を開始できる情報再生装置を提供する。」(要約参照)と記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−18505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、日本の人口における高齢者の割合が増加しており、高齢者による記録再生装置の利用も多くなっている。一般的に高齢者は、加齢と共に水晶体の黄変や青錐体感度の低下に伴い色の識別能力が低下し、認識できる色数が減少する。また、加齢に伴う聴力低下及び周囲の妨害音の影響によって音声が聞こえにくくなったりする。また、視力や運動能力の減退によって、動きの速い物体を正確に目で追うのが困難になる。したがって、高齢者が記録再生装置にて映像情報を視聴する際に、聴こえにくいという不快感を感じる可能性がある。しかしながら、現在流通している多くの記録再生装置は、高齢者による利用を想定して設計及び製造がなされておらず、前述のような問題を解決することができない。そこで、問題解決のために本発明は、高齢者が見やすい色、聞きやすい音声で映像情報を再生する機能を提供する。
【0005】
前記特許文献1(特開2003−18505号公報)に開示された技術では、映像情報に含まれる、会話の無いシーンを検出し、該シーンを飛ばして次の会話シーンから再生開始することができる。この技術を用いれば、音量が小さくて聴こえにくいために高齢者が不快感を感じるようなシーンを飛ばして再生することが可能になると考えられる。しかしこの技術では、音量の小さいシーンは必ず飛ばされてしまうため、高齢者は飛ばされたシーンを視聴することができなくなってしまう。そのため、全てのシーンを不足なく、心地よく視聴したいという高齢者のニーズに応えることができない。
【0006】
そこで、本発明ではこのような課題に鑑み、高齢者が心地よく全ての映像情報を視聴可能にする記録再生装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を、本発明では一例として特許請求の範囲記載の構成により解決する。より具体的には、撮像素子を有する映像情報入力手段と、前記映像情報入力手段から入力された映像情報を第一及び/又は第二の記録媒体に記録する記録手段と、前記映像情報入力手段から入力された動画映像情報を前記記録手段が前記記録媒体に記録するよう制御する動画記録制御手段と、前記映像情報入力手段から入力された静止画映像情報を前記記録手段が前記記録媒体に記録するよう制御する静止画記録制御手段と、前記第一の記録媒体から前記第二の記録媒体に映像情報を複製する複製手段と、前記映像情報を表示する表示部と、前記記録媒体に記録した前記映像情報を再生する再生手段と、前記記録媒体に記録した前記映像情報を再生する際に、映像情報の再生速度を変化させる映像情報再生速度変換手段と、前記記録媒体に記録した前記映像情報を再生する際に、映像情報の色相情報を変化させる色相変換手段と、前記記録媒体に記録した前記映像情報を再生する際に、映像情報の音声情報を変化させる音声変換手段と、前記一覧画面で前記映像情報再生速度変換手段によって変換された映像情報とそれ以外の映像情報をユーザが識別可能にするための映像情報識別手段と、前記映像情報再生速度変換手段や前記色相変換手段や前記音声変換手段に必要な特徴量をユーザが設定するための特徴量設定手段と、を有する記録再生装置を用いる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高齢者が心地よく映像情報を視聴することができる。
【0009】
上記以外の課題・手段・効果は、後述する実施例によって明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を、複数種類の記録媒体を備えたビデオカメラを例に、図面を用いて詳細に説明する。本実施例のビデオカメラでは、動画を記録するための記録媒体をユーザが前記複数の記録媒体から自由に選択することができる。なお、これらの記録媒体は記録装置に内蔵するタイプでなくても良く、USB(Universal Serial Bus)やeSATA(External Serial Advanced Technology Attachment)などで接続された外付タイプの記録媒体でも構わない。なお、本実施例では、ユーザがボタン操作などを行って撮影を開始してから再びボタン操作などを行って撮影を終了するまでの間にビデオカメラに記録された動画映像情報をシーンと呼び、ユーザが同様の操作をするたびにシーン数が増加するものとする。
(1)記録再生装置の構成
図1は、本実施例を実行するためのブロック図である。なお、記録媒体としてはDVDやBD(Blu-ray Disc)などのディスク媒体や半導体メモリ、HDDなどを使用する。また、DVDにはDVD−R、DVD−RW、DVD−RAM、DVD+R、DVD+RWのように複数あるがその種類は、特に限定しない。もちろん、BDやHD(High Definition)−DVDも同様にどの種類でも構わない。他にも、CD(Compact Disc)、MD(Mini Disc)など、他の記録媒体に適用可能である。本実施例では、第一の記録媒体としてHDDを想定し、第二の記録媒体としてDVD−RAMを想定する。
【0011】
システム制御部101は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを持ち、システム全体を制御する。また、ユーザからの入力情報はユーザインタフェース102から得られ、入力情報はシステム制御部101にて処理される。103のレンズを通して得られた光を104のCCD(Charge Coupled Diode)が電気信号に変換する。105はA/D変換器であり、CCD104から得られたアナログ電気信号をデジタル信号に変換し、106のCODEC(COmpressor/DECompressor)へ信号を渡す。A/D変換器105からの信号はCODEC106で符号化され、符号化された映像情報は、107のRAM(Random Access Memory)に蓄積される。108の顔認識実行部では、映像情報に顔の映像が含まれているか否かを顔認識を行って判断したり、顔の映像を用いた顔認証を行う。暗号化・復号化実行部では、映像情報の暗号化や復号化を行う。HDD制御部110とドライブ制御部111は、それぞれHDD112とDVD113へのアクセスを制御する部分である。RAM107に蓄積された映像情報は、HDD制御部110やDVD制御部111を通してHDD112やDVD113に記録される。また、シーン管理情報も、同様にしてHDD112やDVD113に記録される。表示部114は、映像を表示するためのディスプレイ装置である。以下、表示部114を液晶ディスプレイ(LCD)として説明するが、有機ELディスプレイ等であっても良い。なお、図示していないが、バッテリ駆動機能などの、一般的なビデオカメラの機能は全て搭載しているものとする。
【0012】
本実施例では、第一の記録媒体HDDに動画映像情報を記録し、後に第二の記録媒体DVDに動画映像情報をダビングする、という使用方法を想定して説明するが、第二の記録媒体DVDに動画映像情報を記録し、後に第一の記録媒体HDDに動画映像情報をダビングする、という使用方法でも構わない。
(2)シーン管理情報
本実施例では、全てのシーンがそれぞれ管理情報を持つ。以降は、これをシーン管理情報と呼ぶ。シーン管理情報とは、シーンに関する全ての情報を管理するためのものであり、例えば、ビデオカメラに記録した各シーンに対応したID,シーンのファイル名,シーンを保存している場所などを記録するためのものである。
【0013】
図2に、シーン管理情報の一例を示す。201には、ビデオカメラに記録した各シーンに対応するIDを記録する。202には、該シーンのファイル名と、該シーンが保存されている場所を示すパスを記録する。203には、該シーンがどのプロファイルを利用して変換されたかを示す情報である。本実施例では、プロファイルごとに割り当てられたIDを記録する。204には、202に記載のシーンを203に記録されているIDのプロファイルを利用して変換したシーンのファイル名と、該シーンが保存されている場所を示すパスを記録する。該シーンがプロファイルを利用した変換がなされていないシーンである場合は、203以降には何も記録しない。つまり、203以降に情報が記録されていれば該シーンはプロファイルを利用した変換が行われたシーンであり、そうでないシーンは変換されていないシーンであることを示す。一つのシーンを複数のプロファイルを利用して変換して複数のシーンを作成した場合は、作成したシーンの数だけ、203と204のデータを追加する。なお、プロファイルの作成方法については後述する。
(3)プロファイルの作成
図3に、ビデオカメラに記録されたシーンの一覧を表示する、シーン一覧画面の一例を示す。301には、シーンのサムネイル画像を表示する。シーン一覧画面を利用することによって、 ユーザが見たいシーンを効率良く探し出すことができる。
【0014】
次に、プロファイルを利用して変換したシーンの再生について説明する。本実施例では、高齢者が快適にシーンを視聴できるように映像情報を変換したシーンを再生する機能を「はっきり再生」と呼ぶ。
【0015】
本実施例では、高齢者がシーンの視聴の際にストレスを感じる要因を、(A)色、(B)音、(C)動き、という三つに分類した。また、それぞれの要素をパラメタ化してユーザごとに設定値を変更することで、各ユーザに最適な設定値を持つプロファイルを作成する。
【0016】
図4を用いて、プロファイルを作成する全体的な処理の流れについて説明する。ステップS401で、ユーザはメニュー操作を行って「プロファイル作成」を実行する。次にステップS402で図5のような作成プロファイル選択画面を表示し、どのプロファイルを作成するのかをユーザに問う。ステップS402でユーザが「すべて」を選択した場合は、ステップS403で色・音・動きすべてのプロファイルを作成し、処理を終了する。ステップS402でユーザが色乃至音乃至動きを選択した場合は、ステップS404で、該当する要素のプロファイルを作成し、処理を終了する。
【0017】
図5に、作成プロファイル選択画面の一例を示す。音のプロファイルを作成したいユーザは、ボタン群501のうち、音ボタンを選択すれば良い。
【0018】
次に図6を用いて、プロファイルを作成する処理の詳細について説明する。前述のステップS402でユーザが作成するプロファイルの種類を選択すると、ステップS601でプロファイル作成画面を表示する。プロファイル作成画面は、色音動きそれぞれの要素に対して用意する。ステップS602でユーザは、プロファイル作成画面で指示されたとおりに入力を行い、ユーザによる入力完了後、ステップS603でユーザからの入力を利用してプロファイルを作成し、図7のようなプロファイルリストを更新する。
【0019】
図7に、プロファイルリストの一例を示す。701の列には、ユーザごとに作成したプロファイルを区別するためのIDを記録する。702の行は、色音動きに対するユーザの苦手な要素を示す。703にはユーザが苦手な要素であれば1を、そうでなければ0を記録する。図では、ユーザ01は、要素a、要素b、要素e、要素fが苦手であるという設定になっている。要素aとは、例えば、黄色が見えにくい、といった色に関する要素であり、ユーザ01はこの要素が1なので、映像情報内の黄色い部分をより濃くすることで、ユーザ01に特化した「はっきり再生」を実現できる。また、要素bは、例えば、あるレベル以下の音量が聴こえにくい、という音に関する要素であり、ユーザ01はこの要素が1なので、あるレベル以下の音量のみを大きくすることで、ユーザ01に特化した「はっきり再生」を実現できる。ユーザの性質により忠実なプロファイルを作成する際は、要素の数を増やせば良い。
【0020】
なお、本実施例では、複数のユーザがプロファイルを作成した場合は、一つのプロファイルリストにまとめて記録媒体に保存されるものとするが、ユーザごとにプロファイルリストのファイルを分割して記録媒体に保存しても構わない。
【0021】
次に、色音動きそれぞれのプロファイル作成方法について説明する。
(3―a)色のプロファイルの作成
図8を用いて、色のプロファイルを作成する方法の一例について説明する。図4のステップS402でユーザが「すべて」若しくは色を選択した場合は、図6のステップS601で、図8のような、色のプロファイル作成画面を表示する。色のプロファイル作成画面では、ユーザの苦手な色を把握するためのテストを行い、その結果に応じて色に関する設定値を決定する。801には、塗りつぶされた円の中に、円とは異なる色の数字が描かれた画像を表示する。また、802には、前記画像に描かれた前記数字を示すボタンと、それ以外の数字を示すボタンを表示する。ユーザは、円の中に描かれた数字と一致するボタンを選択すれば良い。ここで、ユーザが、描かれた数字と異なるボタンを選択した場合、ユーザはこの数字の色が苦手であると判断し、図6のステップS603で、その情報をプロファイルリストの、色に関する要素を1に更新する。ユーザの性質により忠実な色のプロファイル作成のためには、図8のようなテストを色を変えて複数回行うことが有効である。なお、テストを始める前に例題を出すなどして、ユーザがスムーズにテストを行えるようにすると使い勝手が向上する。
(3―b)音のプロファイルの作成
図9を用いて、音のプロファイルを作成する方法の一例について説明する。図4のステップS402でユーザが「すべて」若しくは音を選択した場合は、図6のステップS601で、図9のような、音のプロファイル作成画面を表示する。音のプロファイル作成画面では、ユーザの苦手な音を把握するためのテストを行い、その結果に応じて音に関する設定値を決定する。このとき、プロファイル作成画面の表示と同時に、音声を再生する。また、901には、再生する音声に合わせて適当な静止画や動画を表示する。902には再生した音声を表す文字列が書かれたボタンと、それ以外の文字列が書かれたボタンを表示する。ユーザは、再生された音声を表す文字列が書かれたボタンを選択すれば良い。ここで、ユーザが、再生された音声と異なるボタンを選択した場合、ユーザはこの音量が苦手であると判断し、図6のステップS603で、その情報をプロファイルリストの、音に関する要素を1に更新する。ユーザの性質により忠実な音のプロファイル作成のためには、図9のようなテストを音量を変えて複数回行うことが有効である。なお、音のプロファイル作成は、音量についてだけではなく、音声のスピードや周波数などについても行うと、効果的である。なお、テストを始める前に例題を出すなどして、ユーザがスムーズにテストを行えるようにすると使い勝手が向上する。
(3―c)動きのプロファイルの作成
図10を用いて、音のプロファイルを作成する方法の一例について説明する。図4のステップS402でユーザが「すべて」若しくは動きを選択した場合は、図6のステップS601で、図10のような、動きのプロファイル作成画面を表示する。動きのプロファイル作成画面では、ユーザの苦手な動きを把握するためのテストを行い、その結果に応じて動きに関する設定値を決定する。1001には、どの数字の出現回数をカウントすれば良いのかをユーザに通知するための文章を表示する。1002には、0から9までの数字をランダムな順番で右から左にスクロール表示する。1003には、1001で指定した数字の出現回数を表す数字が書かれたボタンと、それ以外の数字が書かれたボタンを表示する。ユーザは、1001で指定された数字の出現回数を表す数字が書かれたボタンを選択すれば良い。ここで、ユーザが、1001で指定された数字の出現回数と異なる数字が書かれたボタンを選択した場合、ユーザはこの速度が苦手であると判断し、図6のステップS603で、その情報をプロファイルリストの、動きに関する要素を1に更新する。ユーザの性質により忠実な動きのプロファイル作成のためには、図10のようなテストを数字のスクロール速度を変えて複数回行うことが有効である。なお、動きのプロファイル作成は、速度以外についても行うと効果的である。なお、テストを始める前に例題を出すなどして、ユーザがスムーズにテストを行えるようにすると使い勝手が向上する。
(4)はっきり再生
図11を用いて、「はっきり再生」を実行する処理の流れについて説明する。ステップS1100では、図3のようなシーン一覧画面が表示されているものとする。ステップS1101で、ユーザはシーン一覧画面から再生したいシーンを選択し、ステップS1102でメニューから「はっきり再生」を実行する。その後ステップS1103でシーンを「はっきり再生」し、処理を終了する。
【0022】
次に図12を用いて、前述のステップS1103で「はっきり再生」を実行する処理の詳細について説明する。ステップS1201では、ビデオカメラに記録されている全てのプロファイルIDをプロファイルリストから読み出し、ステップS1101で選択されたシーンのシーン管理情報から該シーンに関連付けされているプロファイルのIDを読み出す。次にステップS1202で、ステップS1202で読み出した全プロファイルの一覧を表示し、どのプロファイルを使用して「はっきり再生」を実行するかをユーザに問う、図13のようなプロファイル選択画面を表示する。ステップS1203で、プロファイル選択画面からユーザがプロファイルを選択すると、ステップS1204で、ステップS1101で選択されたシーンに、ステップS1203で選択されたプロファイルが関連付けられているか否かの判定を、ステップS1201で読み出した情報を用いて行う。ステップS1101で選択されたシーンに、ステップS1203で選択されたプロファイルが関連付けられている場合、ステップS1207で、シーン管理情報から変換後のシーンの保存場所を読み出し、ステップS1208で該シーンを再生し、処理を終了する。S1101で選択されたシーンに、ステップS1203で選択されたプロファイルが関連付けられていない場合、ステップS1205でユーザが選択したプロファイルを読み出し、ステップS1206で該プロファイルを利用してシーンの映像情報を変換し、ステップS1208で変換後のシーンを再生し、処理を終了する。なお、ステップS1208で映像情報を変換して新しいシーンが作成したら、該シーンのシーン管理情報も作成する。なお、本実施例では一度映像情報を変換し、変換後が完了してから「はっきり再生」を実行する手法について説明したが、変換しながら再生を行ってももちろん構わない。
【0023】
図13に、プロファイル選択画面の一例を示す。1301には、プロファイルのID乃至、IDに関連付けられた文字列を表示する。文字列としては、プロファイルの作成者の名前を設定すると、プロファイルの識別が容易になる。1302には、プロファイルのIDに関連付けられた静止画を表示する。静止画を表示することによって、プロファイルをグラフィカルに識別できるようになり、視認性が向上する。プロファイルに関連付けられたこれらの文字列・静止画の情報は、図7のプロファイルリストに項目を追加して記録しても構わないし、図示しないが別ファイルとして記録しても構わない。
(5)色の変換
映像情報内の色情報の変換は、プロファイルリスト内の色に関する要素を利用して行う。例えば、薄い黄色を識別しづらいユーザのプロファイルを利用した場合は、映像情報内の黄色い部分を全てより濃い黄色に変換する。これにより、ユーザはくっきりした色でシーンの視聴を楽しむことができる。
(6)音の変換
映像情報内の音情報の変換は、プロファイルリスト内の音に関する要素を利用して行う。例えば、ある音量よりも小さい音が聴こえにくいユーザのプロファイルを利用した場合は、映像情報内の音量が小さい部分を、ユーザの聴こえる音量に変換する。これにより、ユーザははっきりした音でシーンの視聴を楽しむことができる。周波数や速度に関しても、同様に変換する。
(7)動きの変換
映像情報内の動き情報の変換は、プロファイルリスト内の動きに関する要素を利用して行う。例えば、被写体がある速度よりも速く動くと被写体が見えにくくなるユーザのプロファイルを利用した場合は、映像情報内の動きの速い部分を、ユーザが見える速さに変換する。これにより、ユーザはちょうど良い被写体の動きの速さでシーンの視聴を楽しむことができる。なお、動きを変換する手法には二通りが考えられる。以降で、それらについて説明する。なお、どちらの変換方法を採用するかは、プロファイルの設定値を判定し、最適な方法を選択すれば良い。
(7−a)音の変換を伴わない動画変換
図14を用いて、音の変換を伴わない、映像情報の動きに関する再生速度の変換について説明する。図の1401、1402は、変換前のシーンの映像情報に記録されている、動画、音情報をフレーム単位で図式化したものである。数字はシーンを構成するフレームの番号を示す。1403は、変換後のシーンの映像情報に含まれる動画情報をフレーム単位で図式化したものである。また、1403は、変換前の動画情報に含まれる偶数番号のフレームを、変換前の2倍の時間表示することを示す。これにより、シーン全体の再生時間を変えることなく、半分の再生速度でゆっくりとシーンを再生することができる。この変換方法では、シーンの初めから終わりまでの再生時間は変わらないため、音の再生速度を変換する必要が無い。つまり、動きを遅くして再生する必要があるが、音の再生速度の変換は必要ないユーザは、この変換方法を用いることで、快適な被写体の速度、変換されていない自然な音声でシーンを視聴することができる。
(7−b)音の変換を伴う動画変換
図15を用いて、音の変換を伴う、映像情報の動きに関する再生速度の変換について説明する。図の1501、1502は、変換前のシーンの映像情報に記録されている、動画、音情報をフレーム単位で図式化したものである。数字はシーンを構成するフレームの番号を示す。1503、1504は、変換後のシーンの映像情報に含まれる動画、音情報をフレーム単位で図式化したものである。この手法では、各フレームの表示時間を長くすることで、ゆっくりとシーンを再生するよう動画を変換する。動画と同様に、音についても再生時間を長くすることで、動画に合わせてゆっくりと音声が再生されるようにする。このとき、変換前からどの程度再生時間を長くするかについては、前述したプロファイルの設定値を用いて決定する。なお、本発明では、動画と音声を同時にゆっくり再生するための具体的な手法については特に限定しない。
(8)はっきりダビング
本実施例では、記録再生装置に記録された映像情報を、「はっきり再生」ができるよう変換してからダビングする機能を「はっきりダビング」と呼ぶ。また、本実施例ではHDDからDVDに映像情報をダビングすることを想定して説明する。
【0024】
図16を用いて、「はっきりダビング」を実行する処理の流れについて説明する。ステップS1601でユーザがメニューから「ダビング実行」を選択したら、ステップS1602で、図17のようなダビング方法選択画面を表示する。ステップS1603でユーザが「はっきりダビング」を選択した場合、ステップS1605ではっきりダビングを実行し、処理を終了する。ステップS1603でユーザが通常ダビングを選択した場合、ステップS1606で通常ダビングを実行し、処理を終了する。
【0025】
図17を用いて、「はっきりダビング」の詳細について説明する。ユーザによって「はっきりダビング」が実行されると、前述したステップS1201からステップS1207までの処理を行う。ステップS1204でYesと判定された場合は、ステップS1207で、シーン管理情報から変換後のシーンの保存場所を読み出し、ステップS1701で該シーンをHDDからDVDにダビングし、処理を終了する。ステップS1204でNOと判定された場合は、ステップS1206で映像情報を変換したシーンをHDDからDVDにダビングし、処理を終了する。
【0026】
図18に、ダビング方法選択画面の一例を示す。図の1801には、これからダビングするシーンのサムネイルなどを表示する。複数シーンをダビングする際は、複数のサムネイルを表示しても構わないし、代表となるシーンを一つ選出して表示しても構わないものとする。1802には「はっきりダビング」を実行するか、映像情報の変換を行わない通常のダビングを実行するかをユーザが決定するためのボタンを表示する。
【0027】
「はっきりダビング」で作成したDVDを再生すれば、プレーヤのあるところならどこででもユーザは自分に合った色、音、動きで快適にシーンを視聴することができる。
(9)ユーザへの通知
図19に、「はっきり再生」が可能なシーンかどうかを確認できるシーン一覧画面の一例を示す。1901にはシーンのサムネイルを表示する。本実施例では、プロファイルを利用した映像情報の変換によって「はっきり再生」可能になったシーンのサムネイル上に1902のようにアイコン表示することで、該シーンは「はっきり再生」用に変換済みである、ということをユーザが容易に確認できるようにする。
【0028】
図20に、ユーザの選択したシーンが「はっきりダビング」されているかどうかを確認できるシーン情報表示画面の一例を示す。2001には、シーンのサムネイルを表示する。2002には、2001に表示されたシーンのシーン情報を表示する。「はっきりダビング」されていれば、2002に「はっきりダビング済みです。」のような文字列を表示し、「はっきりダビング」がすでに実行されているシーンをユーザが簡単に識別できるようにする。なお、同様の情報を通知するために、図19のようにアイコンで表示しても構わない。
【0029】
図21に、ユーザの選択したシーンがどのプロファイルを利用して変換されているかどうかを確認できるシーン情報表示画面の一例を示す。2101には、シーンのサムネイルを表示する。2102には、2101に表示されたシーンのシーン情報を表示する。A子さんのプロファイルを利用して変換されたシーンならば、2102に「A子さん用に変換してあります。」のような文字列を表示し、該シーンを再生すればA子さん用に「はっきり再生」される、ということをユーザが簡単に確認できるようにする。
【0030】
図22を用いて、ビデオカメラをテレビに接続した際のユーザへの「はっきり再生」に関する通知について説明する。ビデオカメラをテレビに接続し、ビデオカメラで再生した映像情報をテレビで視聴する際は、表示部114に2201のように、「はっきり再生を実行中です」と表示する。この機能には、ユーザ以外の人物が、色や音や動きが変換された「はっきり再生」中の映像を見て、カメラの故障を疑った場合でも、この表示を見ることによってカメラの故障ではないことが分かる、という効果がある。
【0031】
図23を用いて、ビデオカメラでシーンを「はっきり再生」する際の通知について説明する。ビデオカメラに記録されているシーンを「はっきり再生」する際は、図の2301の再生映像を妨げない場所・大きさで2302のようなアイコンを表示して、「はっきり再生」中であることをユーザに通知する。アイコンの形状は特に限定しないが、ユーザが他のアイコンと容易に区別できるような形状が望ましい。
【0032】
なお、本実施例では、ビデオカメラを例に本発明の実施形態にかかる装置について説明したが、そのほかにも、例えばカメラを接続したDVDレコーダ、デジタルカメラ、携帯電話も本発明の実施形態の1つである。また、本実施例では、高齢者が快適に映像情報を視聴できるようにすることを目的とした装置について説明したが、本発明は、例えば高齢者以外でも小さい音、動きが速い被写体などを視聴する際に不便を感じるユーザ全てに対して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】記録再生装置の構成例を示すブロック図
【図2】シーン管理情報の一例を示す図
【図3】シーン一覧画面の一例を示す図
【図4】プロファイルを作成する全体的な処理フロー例を示す図
【図5】作成プロファイル画面の一例を示す図
【図6】プロファイルを作成する詳細処理フロー例を示す図
【図7】プロファイルリストの一例を示す図
【図8】色のプロファイル作成画面の一例を示す図
【図9】音のプロファイル作成画面の一例を示す図
【図10】動きのプロファイル作成画面画面の一例を示す図
【図11】「はっきり再生」を実行する全体的な処理フロー例を示す図
【図12】「はっきり再生」を実行する詳細処理フロー例を示す図
【図13】プロファイル選択画面の一例を示す図
【図14】変換前後でのシーンを構成する動画、音声情報を示す図1
【図15】変換前後でのシーンを構成する動画、音声情報を示す図2
【図16】「はっきりダビング」を実行する全体的な処理フロー例を示す図
【図17】「はっきりダビング」を実行する詳細処理フロー例を示す図
【図18】ダビング方法選択画面の一例を示す図
【図19】「はっきり再生」可能シーンをユーザが確認できるシーン一覧画面の一例を示す図
【図20】「はっきりダビング」済みか否かをユーザが確認できるシーン情報表示画面の一例を示す図
【図21】どのプロファイルを利用した「はっきり再生」可能シーンなのかをユーザが確認できるシーン情報表示画面の一例を示す図
【図22】テレビ接続中に「はっきり再生」実行中であることを示す画面の一例を示す図
【図23】「はっきり再生」実行中であることを示す画面の一例を示す図
【符号の説明】
【0034】
101…システム制御部、102…ユーザインタフェース、103…レンズ、104…CCD、105…A/D変換器、106…CODEC、107…RAM、108…顔認識実行部、109…暗号化・復号化実行部、110…HDD制御部、111…ドライブ制御部、112…HDD、113…DVD、114…表示部、201…シーンのID、202…シーンを特定するための情報、203…シーンに関連付けられたプロファイルを特定するための情報、204…映像情報変換後のシーンを特定するための情報、301…シーンのサムネイル、S400〜S405…図4の処理フロー内容、501…操作選択用ボタン、S600〜S604…図5の処理フロー内容、701…プロファイルID、702…色音動きに対するユーザの苦手な要素を示すラベル、703…ユーザの苦手な要素を示す設定値、801…ユーザが苦手な色を調べるためのテスト画像、802…テスト回答用ボタン、901…ユーザが苦手な音を調べるためのテスト画像、902…テスト回答用ボタン、1001…ユーザが苦手な動きを調べるためのテストの問題文、1002…ユーザが苦手な動きを調べるためのテスト画像、1003…テスト回答用ボタン、S1100〜S1104…図11の処理フロー内容、S1200〜S1209…図12の処理フロー内容、1301…プロファイルを識別するためのラベル、1302…プロファイルを識別するための図、1401…映像情報に含まれる変換前の動画情報、1402…映像情報に含まれる音声情報、1403…映像情報に含まれる変換後の動画情報、1501…映像情報に含まれる変換前の動画情報、1502…映像情報に含まれる変換前の音声情報、1503…映像情報に含まれる変換後の動画情報、1504…映像情報に含まれる変換後の音声情報、S1600〜S1607…図16の処理フロー内容、1700〜1702…図17の処理フロー内容、1801…シーンのサムネイル、1802…操作選択用ボタン、1901…シーンのサムネイル、1902…「はっきり再生」可能なシーンであることを示すアイコン、2001…シーンのサムネイル、2002…シーン情報、2101…シーンのサムネイル、2102…シーン情報、2201…「はっきり再生」中であることを示す文字列、2301…再生中の映像、2302…「はっきり再生」中であることを示すアイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を有する映像情報入力手段と、
前記映像情報入力手段から入力された映像情報を第一及び/又は第二の記録媒体に記録する記録手段と、
前記映像情報入力手段から入力された動画映像情報を前記記録手段が前記記録媒体に記録するよう制御する動画記録制御手段と、
前記映像情報入力手段から入力された静止画映像情報を前記記録手段が前記記録媒体に記録するよう制御する静止画記録制御手段と、
前記第一の記録媒体から前記第二の記録媒体に映像情報を複製する映像情報複製手段と、
前記映像情報を表示する表示部と、
前記記録媒体に記録した前記映像情報を再生する再生手段と、
前記記録媒体に記録した映像情報の再生速度を変化させる映像情報再生速度変換手段と、
前記記録媒体に記録した映像情報の色相情報を変化させる色相変換手段と、
前記記録媒体に記録した映像情報の音声情報を変化させる音声変換手段と、
を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記記録媒体に記録した前記映像情報を再生する際に、音声の再生速度は変化させずに映像の再生速度のみを変化させる映像情報再生速度変換手段と、
を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記映像情報再生速度変換手段によって変換された映像を再生する際に、前記表示部に前記映像情報再生速度変換手段を用いた再生であることを表示する
ことを特徴とする記録再生装置。
【請求項4】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記映像情報複製手段を用いて映像情報の複製を行う際に、前記映像情報再生速度変換手段を用いて映像情報を変換してから前記第一の記録媒体から第二の記録媒体に映像情報を複製する
ことを特徴とする記録再生装置。
【請求項5】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記表示部に、前記記録再生装置に記録した映像情報の一覧画面を表示し、
前記映像情報再生速度変換手段によって変換された映像情報とそれ以外の映像情報を、前記一覧画面を見てユーザが区別するための映像情報識別用映像情報一覧画面と、
を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項6】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記映像情報再生速度変換手段や前記色相変換手段や前記音声変換手段に必要な特徴量をユーザが設定するための特徴量設定手段
を有することを特徴とする記録再生装置。
【請求項7】
請求項1に記載の記録再生装置において、
前記記録再生装置に記録された映像情報をHDMIケーブルなどを用いて外部モニタに表示する外部モニタ表示手段と、
前記外部モニタ表示手段を用いて前記映像情報再生速度変換手段が適用された映像情報を再生する際に、前記記録再生装置の前記表示部に、前記映像情報再生速度変換手段が適用された映像情報が再生されていることを示す文章を表示する再生方法表示手段と、
を有することを特徴とする記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−161602(P2010−161602A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2123(P2009−2123)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】