説明

記録装置、及び、記録装置の制御方法

【課題】MICR情報の読み取りに係る精度を向上するとともに、記録媒体の処理に要する時間を短縮することが可能な記録装置、及び、記録装置の制御方法を提供する。
【解決手段】ドットインパクトプリンター10には、記録媒体Sの搬送路Pに、記録媒体Sに記録されたMICR情報を磁気的に読み取る磁気ヘッド34と、磁気ヘッド34とは異なる他のキャリッジに搭載され、記録媒体Sに画像を記録する記録ヘッド18と、記録媒体Sに記録されたMICR情報を光学的に読み取る裏面スキャナー112と、が並べて配置され、磁気ヘッド34によるMICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、記録媒体Sを裏面スキャナー112まで搬送して裏面スキャナー112によってMICR情報の読み取りを行い、これらの読み取り結果を照合して、MICR情報を識別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を搬送して画像を記録する記録装置、及び、記録装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気インクによって小切手等の記録媒体に記録されたMICR情報を読み取る装置が知られている。このような装置の中には、MICR情報を磁気的に読み取った結果と、光学的に読み取った結果とを合わせてMICR情報を判別することで、識別精度の向上を図ったものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−258100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、MICR情報を磁気的に読み取る読取部と、光学的な読み取りを行う読取部とを一つの装置に設けた場合、記録媒体を2つの読取部に搬送しなければならないため、一つの記録媒体の処理に要する時間が長くなるという問題があった。また、処理時間の短縮を図るために、例えば2つの読取部を一度に通過する搬送路を構成した場合、MICR情報の磁気的な読み取りと光学的な読み取りとの回数を独立して変更することができないし、いったんMICR情報の判別に成功して印刷した小切手をもう一度光学的に読み取ることもできない。また、例えば冊子形態の記録媒体のように、小切手等の帳票以外の記録媒体に対応する事が難しいという問題点がある。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、MICR情報の読み取りに係る精度を向上するとともに、記録媒体の処理に要する時間を短縮することが可能な記録装置、及び、記録装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体を搬送して画像を記録する記録装置において、記録媒体の搬送路に、キャリッジに搭載され、記録媒体に記録されたMICR情報を磁気的に読み取る磁気読取部と、磁気読取部とは異なる他のキャリッジに搭載され、記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、記録媒体に記録されたMICR情報を光学的に読み取る光学読取部と、が並べて配置され、磁気読取部によるMICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、記録媒体を光学読取部まで搬送して光学読取部によってMICR情報の読み取りを行い、磁気読取部による読み取り結果と光学読取部による読み取り結果とを照合して、MICR情報を識別する制御部を備えたこと、を特徴とする記録装置を提供する。
この構成によれば、記録媒体に記録されたMICR情報を磁気的に読み取った結果と光学的に読み取った結果と照合することで、判別が困難なMICR情報を高精度で識別する記録装置が、MICR情報の磁気的な読み取りに成功しなかった場合に光学読取部まで記録媒体を搬送する。これにより、MICR情報の磁気的な読み取りに成功した場合は記録媒体を光学読取部まで搬送しないことで、無駄な搬送動作を省き、MICR情報の読み取りの精度を高めるとともに、処理速度の向上を図ることができる。さらに、記録媒体の搬送路に、キャリッジに搭載された磁気読取部と、磁気読取部とは異なる他のキャリッジに搭載された記録ヘッドと、光学読取部とが並べて配置された構成としたので、磁気読取部及び記録ヘッドがキャリッジにより独立して移動可能であるため、冊子形態や帳票形態など様々な形態の記録媒体に対して磁気的な読み取りと画像の記録を行うことができ、一つの装置により多様な記録媒体に対応可能な構成を実現できる。
【0005】
また、上記構成において、制御部は、記録媒体が、MICR情報が記録された帳票であるか、磁気情報の記録が可能な磁気記録部を有する他種の記録媒体であるかを判別し、他種の記録媒体であると判別した場合には、この記録媒体が有する磁気記録部に対する読み取りまたは書き込みを磁気読取部によって行ってもよい。
この構成によれば、MICR情報が記録された帳票に加えて、磁気情報の記録が可能な磁気記録部を有する他種の記録媒体を処理し、高精度かつ高速でMICR情報を読み取るとともに、磁気記録部への磁気情報の読み取りまたは書き込みを行うことができる。これにより、MICR情報の処理に優れた上、多様な記録媒体に対応可能な記録装置を実現できる。
【0006】
また、上記構成において、外部接続されたホストコンピューターとの間で通信可能に構成され、制御部は、記録媒体がMICR情報が記録された帳票であるか、他種の記録媒体であるかを、ホストコンピューターから送信される情報に基づいて判別してもよい。
この構成によれば、ホストコンピューターからの情報に基づいて、MICR情報が記録された帳票であるか、他種の記録媒体であるかを正確に判別できる。また、事前にホストコンピューターから情報を受信しておき、いずれかに対応する処理の準備を行うことにより、処理を迅速に行うことができる。
【0007】
また、上記構成において、前記記録媒体の端位置を検出する検出手段をさらに備え、前記制御部は、前記検出手段により検出された端位置に基づいて、前記光学読取部によって読み取りを行う範囲を決定してもよい。
この構成によれば、記録媒体の端位置に基づいて、光学読取部によって読み取りを行う範囲を決定するので、余分な領域を読み取ることがなく、処理のさらなる高速化を図ることができる。
【0008】
また、本発明は、記録媒体の搬送路に、キャリッジに搭載され、記録媒体に記録されたMICR情報を磁気的に読み取る磁気読取部と、磁気読取部とは異なる他のキャリッジに搭載され、記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、記録媒体に記録されたMICR情報を光学的に読み取る光学読取部と、が並べて配置された構成を有する記録装置を制御して、磁気読取部によってMICR情報の読み取りを行うステップと、磁気読取部によるMICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、記録媒体を光学読取部まで搬送して光学読取部によってMICR情報の読み取りを行うステップと、磁気読取部による読み取り結果と光学読取部による読み取り結果とを照合して、MICR情報を識別するステップと、を含むことを特徴とする記録装置の制御方法を提供する。
この方法によれば、MICR情報の磁気的な読み取りに成功した場合は記録媒体を光学読取部まで搬送しないことで、無駄な搬送動作を省き、MICR情報の読み取りの精度を高めるとともに、処理速度の向上を図ることができる。
【0009】
さらに、本発明は、記録媒体に記録されたMICR情報を磁気的に読み取るステップと、MICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、記録媒体をさらに搬送して記録媒体に記録されたMICR情報を光学的に読み取るステップと、磁気的な読み取りの結果と光学的な読み取りの結果とを照合して、MICR情報を識別するステップと、を含むことを特徴とする記録装置の制御方法を提供する。
この場合、MICR情報の磁気的な読み取りに成功した場合は記録媒体を光学読取部まで搬送しないことで、無駄な搬送動作を省き、MICR情報の読み取りの精度を高めるとともに、処理速度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、MICR情報の読み取りの精度を高めるとともに、処理速度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る記録装置としてのドットインパクトプリンターの外観を示す正面斜視図である。図2は、プリンター本体11を示す外観斜視図である。図3は、図1のドットインパクトプリンター10を示す側断面図である。
図1に示す記録装置としてのドットインパクトプリンター10は、記録ヘッド18(図2、図3参照)が備える複数の記録ワイヤーを、リボンカートリッジ(図示略)から繰り出したインクリボン(図示略)を介して記録媒体Sに押し付け、この記録媒体Sの記録面上にドットを形成することにより、文字を含む画像を記録するものである。
【0012】
ドットインパクトプリンター10で使用可能な記録媒体Sとしては、所定長さに切断されたカット媒体と、複数枚が連接された連続紙とがある。カット媒体としては、例えば単票紙や単票複写紙などの他、通帳や葉書、封筒などがあり、連続紙には連続複写紙を含む。
本実施形態では、ドットインパクトプリンター10によって図1に示す記録媒体Sに画像を記録する場合を例に挙げて説明する。記録媒体Sは、金融機関等が発行する小切手または手形(以下、総称して小切手という)である。この小切手は、磁気インクによってMICR(Magnetic Ink Character Recognition)情報MSが一部に印刷された単票紙である。
また、ドットインパクトプリンター10では、記録媒体Sとして、小切手だけではなく通帳も用いることができる。ここでいう通帳とは、複数枚の記録用紙が綴じられた冊子形態となっており、この冊子を開いた内側の面が記録面となっている。さらに、通帳の裏表紙に相当する面の後部には、磁気ストライプが設けられている。この磁気ストライプには磁気的に各種情報を記録し、読み取ることが可能であり、通常、記録された情報は、目視による判別を含む光学的な判別はできない。
なお、以下の説明において、記録媒体Sの4辺のうち、ドットインパクトプリンター10へ向かって差し込まれる側の辺を先端とし、この先端と対向する側の辺を後端とする。
【0013】
ドットインパクトプリンター10は、図1に示すように、外装体としての上部カバー12、上部ケース13及び下部ケース14を備えており、上部ケース13及び下部ケース14の前面には、記録媒体Sを挿入あるいは排出する手差口15が開口している。この手差口15が開口した側、すなわち図3中の左側をフロント(前)側とし、図3中の右側をリア(後)側とする。
ドットインパクトプリンター10は、図2に示すように、上部カバー12、上部ケース13及び下部ケース14に覆われるプリンター本体11を有している。このプリンター本体11は、下本体部11Aと、この下本体部11Aの後端部に軸11Cで支持される上本体部(図示略)とを備え、下本体部11Aは、上部ケース13及び下部ケース14(図1)に収納されると共に、上本体部は、上部カバー12(図1)に固定されている。この上部カバー12を開いたときに、上本体部が軸11Cを中心に回動し、プリンター本体11内部が露出することとなる。
【0014】
図2及び図3に示すように、プリンター本体11は、ベースフレーム16、右サイドフレーム17A及び左サイドフレーム17Bを備えた本体フレームと、記録ヘッド18及びキャリッジ19を備えた記録機構部20と、プラテン21、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22B、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23B、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124B、前方媒体案内24、後方媒体案内25、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27を備えた媒体搬送機構100と、記録媒体Sを整列させる整列板28と、記録媒体Sに設けられたMICR情報MSの読み取りを行う磁気ヘッド34(請求項中の「磁気読取部」に対応)を備えた磁気データ読書部29と、MICR情報MSの読み取りを含む磁気情報処理の実行時に、記録媒体Sの浮き上がりを抑制すべく、記録媒体S上から押える媒体押え部30と、を有している。
【0015】
ベースフレーム16の略両端部には、右サイドフレーム17A及び左サイドフレーム17Bが立設して固定される。これら両サイドフレーム17A、17Bの間には、キャリッジガイド軸31が架け渡されると共に、両サイドフレーム17A、17B間に平坦面形状の前方媒体案内24及び後方媒体案内25が固定して設けられる。これらの前方媒体案内24と後方媒体案内25との間に、平面形状のプラテン21が配置される。このプラテン21の上方には、プラテン21に対向するように記録ヘッド18が配置されている。
【0016】
キャリッジ19は、キャリッジガイド軸31に摺動自在に挿通され、当該キャリッジ19を駆動するキャリッジ駆動モーター56(図5)の正転又は逆転により、タイミングベルト(図示略)を介して駆動され、キャリッジガイド軸31に案内されて往復移動される。キャリッジ19の移動方向は、図中符号Xで示す方向、すなわち、キャリッジガイド軸31の軸方向及びプラテン21の長手方向と一致する主走査方向である。また、キャリッジ19の移動(走査)範囲は、一対のサイドフレーム17A、17Bの間である。なお、キャリッジ19の主走査方向Xに直交する方向、すなわち図中符号Yで示す方向を、副走査方向とする。
キャリッジ19に搭載される記録ヘッド18は、キャリッジ19と共に主走査方向に走行される間に、その先端面においてプラテン21に対向するワイヤー突出部(図示略)から記録ワイヤーを突出させてインクリボンに打ち当て、このインクリボンのインクを、プラテン21と記録ヘッド18との間に搬送される記録媒体Sに付着させて、記録媒体Sに文字を含む画像を記録する。このインクリボンは、上記の本体フレーム又はキャリッジ19に装着されるリボンカートリッジ(図示略)内に折り畳まれて収納され、キャリッジ19の走査に伴って繰り出される。
【0017】
プラテン21は、キャリッジ19の走行方向に延在して平面形状に形成され、その両端が、付勢ばね41により記録ヘッド18に向けて付勢されると共に、弾性支持されている。付勢ばね41は圧縮コイルばねであり、この付勢ばね41の付勢力により、記録ヘッド18の記録動作時における記録ワイヤーの突出力が支持される。また、プラテン21は、記録媒体Sの搬送中にこの記録媒体Sの厚さが変化した場合、又はプリンター本体11に厚さの異なる記録媒体Sが搬入された場合に、付勢ばね41の付勢力に抗して、記録ヘッド18の先端により押圧されて記録ヘッド18から離れる方向に移動する。これにより、記録媒体の厚さにかかわらず、記録ヘッド18の先端と記録媒体Sの記録面との間のギャップが一定に確保される。
【0018】
媒体搬送機構100は、第1駆動ローラー22A、第1従動ローラー22Bが、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のフロント側に配置され、第2駆動ローラー23A、第2従動ローラー23Bが、プラテン21及び記録ヘッド18に対してプリンター本体11のリア側及び裏面スキャナー112(請求項中の「光学読取部」に対応)のフロント側に配置され、第3駆動ローラー124A、第3従動ローラー124Bが、裏面スキャナー112のリア側に配置されて構成される。第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとは、上下方向に配置されて対をなし、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとは、上下方向に配置されて対をなす。
第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A及び第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26及び駆動輪列部27によって回転駆動される駆動ローラーであり、第1従動ローラー22B、第2従動ローラー23B及び第3従動ローラー124Bは、それぞれ第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124A側に所定の押圧力でばね42A、42B、42Cによりばね付勢されている従動ローラーである。これによって、第1駆動ローラー22Aと第1従動ローラー22Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第2駆動ローラー23Aと第2従動ローラー23Bとが互いに反対方向に回転駆動され、第3駆動ローラー124Aと第3従動ローラー124Bとが互いに反対方向に回転駆動される。
【0019】
裏面スキャナー112は、第2駆動ローラー23Aと第3駆動ローラー124Aの間に配置され、記録媒体Sの裏面に印刷されている情報を読み取る光学イメージセンサーである。表面スキャナー111は、裏面スキャナー112と対向する位置に配置され、記録媒体Sの表面に印刷されている情報を読み取る光学イメージセンサーである。なお、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112は、例えば、蛍光管又はLEDから出力される白色の可視光を記録媒体Sの読み取り領域に対して照射する照射部(図示略)と、主走査方向(X方向)に一列に配列された複数の受光センサー(図示略)と、受光センサーからの信号をゲートアレイ45(図5)に所定の順序で出力する出力部(図示略)と、を備えて構成される。
【0020】
駆動輪列部27は、右サイドフレーム17Aの外側に配置される。この駆動輪列部27は、正転又は逆転可能な媒体搬送モーター26の駆動軸に回転一体に固定されたモーターピニオン51を備える。このモーターピニオン51からの駆動力が、減速ギア52を介して第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33に取り付けられた第2駆動ギア53Bへ伝達され、更に、この第2駆動ギア53Bから中間ギア54を介して第1駆動ローラー22Aの第1ローラー軸32に取り付けられた第1駆動ギア53Aに伝達される。また、第2駆動ローラー23Aの第2ローラー軸33の回転力が、例えば、駆動ベルト(図示略)によって第3駆動ローラー124Aの第3ローラー軸134に伝達される。これにより、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124Aが同一方向に回転して、記録媒体Sをプリンター本体11内に搬送可能とする。つまり、図3に示す第1駆動ローラー22A、第2駆動ローラー23A、及び、第3駆動ローラー124Aは、媒体搬送モーター26が正転している場合、副走査方向に沿って、図中符号Aで示すようにプリンター本体11内に記録媒体Sを搬送し、媒体搬送モーター26が逆転している場合、図中符号Bで示すように、プリンター本体11内から排出する方向に記録媒体Sを搬送する。
また、第1駆動ローラー22Aのフロント側には、記録媒体Sの搬送経路における記録媒体Sの有無を検出する媒体端センサー47が設置されている。媒体端センサー47は、上記搬送経路に向けて光を発する光源と、その反射光を検出する受光部とを備えた反射型光センサー、或いは、上記搬送経路を挟んで対向するように光源と受光部とを配した透過型光センサーである。媒体端センサー47は、手差口15からの記録媒体Sの挿入、及び、プリンター本体11内からの記録媒体Sの排出完了を検出するためのセンサーである。
媒体幅センサー55は、キャリッジ19に搭載され、キャリッジ19と共に、プラテン21上を走査される。従って、キャリッジ19の走査時に媒体幅センサー55よって記録媒体Sを検出し、その検出位置とキャリッジ19の走査位置とを対応付けることにより、記録媒体Sの位置を求めることができる。
【0021】
図4は、磁気データ読書部29の構成を示す斜視図である。磁気データ読書部29は、プリンター本体11の長手方向(図中矢印X方向)に平行に渡された2本の磁気ヘッドガイド軸60、61と、これら磁気ヘッドガイド軸60、61に支持されて、上記長手方向に往復移動する磁気ヘッドユニット62と、磁気ヘッドユニット62に一部が固定された磁気ヘッド駆動ベルト63と、磁気ヘッドユニット62を往復移動すべく磁気ヘッド駆動ベルト63を回転駆動する磁気ヘッド駆動モーター64とを備える。磁気ヘッドユニット62は、磁気ヘッド駆動ベルト63に駆動されることにより記録媒体SのMICR情報MSを走査する磁気ヘッド34を備える。この磁気ヘッド34はMICR情報MSを走査することにより当該MICR情報MSに記録された文字情報を読み取る磁気情報処理を行う。本実施形態では、磁気ヘッド34は、プリンター本体11の手差口15側に設けられており、記録媒体Sの搬送方向に対して記録ヘッド18と直列に配置されるようになっている。
【0022】
図5は、ドットインパクトプリンター10の機能的構成を示すブロック図である。
ドットインパクトプリンター10は、制御プログラムに基づいてドットインパクトプリンター10の全体を制御するCPU40と、CPU40により実行される制御プラグラムや処理されるデータ等を記憶したEEPROM42と、CPU40によりEEPROM42から読み出された制御プログラムやデータ等を一時的に記憶するRAM41と、ドットインパクトプリンター10を制御するホストコンピューター200との間で情報を送受信する際のデータ形式を変換するインターフェース(I/F)43を備えている。
CPU40には、ゲートアレイ(G/A)45を介して、記録ヘッド18及び磁気ヘッド34が接続されている。ゲートアレイ45は、CPU40の制御に従って記録ヘッド18に駆動電流を出力して、記録ワイヤーを突出させる。また、ゲートアレイ45は、CPU40の制御に従って、磁気情報の読み取り時には、磁気ヘッド34に対して読み取り用電流を出力する一方、磁気ヘッド34から入力される信号電流をデジタル化してCPU40に出力する。
【0023】
また、ゲートアレイ45には、媒体端センサー47、媒体幅センサー55、表面スキャナー111、及び、裏面スキャナー112が接続されている。媒体端センサー47は、上述したように第1駆動ローラー22A(図3)のフロント側に設置され、記録媒体Sの先端または後端を検出するセンサーである。また、媒体幅センサー55は、キャリッジ19に搭載され、記録ヘッド18のワイヤー突出面(図示略)と並んでプラテン21に対向して配置される。より詳細には、媒体幅センサー55は、プラテン21に向けて光を発する光源と、この光源からの光が反射した反射光を受光する受光部とを備えた反射型光センサーであり、キャリッジ19とプラテン21との間における記録媒体Sの有無を検出する。これら媒体端センサー47及び媒体幅センサー55は、ゲートアレイ45から入力される駆動電流により動作して、検出値に相当するアナログ電圧をゲートアレイ45に出力する。ゲートアレイ45は、媒体端センサー47及び媒体幅センサー55から入力されるアナログ電圧を量子化してデジタルデータとし、CPU40に出力する。
【0024】
表面スキャナー111は、記録媒体Sの表面(MICR情報が印刷されている面の反対側の面)に印刷された情報を読み取りゲートアレイ45に供給する。裏面スキャナー112は、記録媒体Sの裏面(MICR情報が印刷されている面)に印刷された情報を読み取りゲートアレイ45に供給する。ゲートアレイ45は、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112から供給されたアナログ電圧を量子化してデジタルデータとしCPU40に出力する。
【0025】
さらに、ゲートアレイ45には、モータードライバー48が接続されている。モータードライバー48は、媒体搬送モーター26、キャリッジ駆動モーター56及び磁気ヘッド駆動モーター64に接続され、これら各モーターに駆動電流や駆動パルスを供給して、これらのモーターを動作させる。なお、モータードライバー48には、整列板28(図3)を動作させる整列板モーター(図示略)等が接続されていてもよい。
【0026】
CPU40は、EEPROM42に格納された制御プログラムに基づいて、ゲートアレイ45を介して記録ヘッド18やモータードライバー48を制御すると共に、媒体端センサー47及び媒体幅センサー55の検出結果を取得する。そして、CPU40は、媒体搬送モーター26を駆動して記録媒体Sを符号Yで示す副走査方向に搬送させ、キャリッジ駆動モーター56を駆動してキャリッジ19を符号Xで示す主走査方向に走査させ、さらに、磁気ヘッド駆動モーター64を駆動して磁気ヘッドユニット62を符号Xで示す主走査方向に走査させる。また、CPU40は、ゲートアレイ45を制御して、記録ヘッド18を駆動して記録ワイヤーを突出させ、或いは、磁気ヘッド34による磁気情報処理を行わせる。
【0027】
次に、ドットインパクトプリンター10の動作の概略を説明する。
小切手としての記録媒体Sが図1に示す手差口15から挿入されると、この記録媒体Sは、第1駆動ローラー22A及び第1従動ローラー22Bにより挟まれてプラテン21の手前まで矢印A方向に搬送される。
このとき記録媒体Sの搬送方向の傾き(スキュー)を直すべく、記録媒体Sの搬送経路P内に整列板28が突出し、この整列板28に記録媒体Sが当接した状態で、さらに搬送されることにより、記録媒体Sの傾きが補正されて整列される。
次いで、整列板28が搬送経路Pから退避し、記録媒体Sは、媒体幅センサー55によって幅の検出が可能な範囲まで搬送され、キャリッジ19が主走査方向に移動されると共に、媒体幅センサー55によって記録媒体Sの位置が検出される。続いて、記録媒体Sは、MICR情報MSが磁気データ読書部29で読み取り可能な位置まで搬送される。その後、磁気データ読書部29の磁気ヘッド駆動モーター64が駆動され、磁気ヘッドユニット62が上記磁気ヘッドガイド軸60、61に支持されて符号Xで示す主走査方向に移動することにより、この磁気ヘッドユニット62の磁気ヘッド34が、記録媒体SのMICR情報MSに対して磁気的な情報の読み取りを行う。なお、このとき、媒体幅センサー55によって検出された記録媒体Sの位置が参照され、適切な範囲が走査される。磁気ヘッド34によって読み取られた情報は、ゲートアレイ45によってデジタル化され、CPU40に出力される。CPU40は、ゲートアレイ45から供給されたデータに基づいて、文字情報を解析し、テキスト情報に変換する。MICR情報として記録されている文字情報を解析できた場合には、得られたテキスト情報をホストコンピューター200に対して送信する。
【0028】
次に、記録媒体Sを表面スキャナー111及び裏面スキャナー112の位置まで搬送させる。そして、記録媒体Sの裏面と表面を光学的にスキャンし、得られた情報をゲートアレイ45においてデジタルデータとしての画像データに変換し、CPU40に供給する。なお、このとき、媒体幅センサー55の検出結果に基づいて、スキャンする範囲が決定される。CPU40は、供給された裏面と表面の画像データをホストコンピューター200に対して送信する。ホストコンピューター200では、送信された画像データを、受入銀行から支払銀行に伝送することによって決済を行う。ところで、MICR情報として記録されている文字情報の一部(または全部)を解析できなかった場合には、CPU40は、裏面スキャナー112から得られた画像データに基づいて、文字認識処理を実行し、MICR情報を構成する文字列を対応するテキストデータに変換する。そして、前述した磁気ヘッド34による認識処理において解析することができなかった文字の解析に成功した場合には、解析に成功した文字を解析できなかった文字の代わりとして付加し、得られたテキストデータをホストコンピューター200に対して送信する。
【0029】
表面スキャナー111及び裏面スキャナー112によるスキャン処理が終了すると、記録媒体Sはプラテン21上の記録位置まで搬送される。そして、磁気データ読書部29で読み取られた磁気情報に基づいて、記録ヘッド18及びキャリッジ19が上記主走査方向に移動する間に、記録媒体Sの記録面に、例えば、当該小切手が使用済みであることを示す情報を記録する。
この記録ヘッド18による記録動作は、記録ヘッド18が主走査方向を左向き又は右向きに走行される間に、記録ヘッド18の記録ワイヤーにより1行分の記録がなされ、この1行分の記録がなされる度に、上記各ローラー22A、22B、23A及び23Bが記録媒体Sを矢印A方向に所定長(例えば通常行間分)搬送させ、これらの動作が繰り返されることにより実施される。
最後に、第1駆動ローラー22A及び第1従動ローラー22Bによって記録媒体Sが矢印B方向に搬送され、記録媒体Sが手差口15から排出される。
【0030】
図6は、ドットインパクトプリンター10に記録媒体Sとして小切手が挿入された場合に実行される処理について説明するフローチャートである。ドットインパクトプリンター10が備えるCPU40は、まず、記録媒体Sが手差口15に挿入され、媒体端センサー47によって記録媒体Sの先端が検出されると(ステップS10;Yes)、整列板28を記録媒体Sの搬送経路P内に突出させると共に、媒体搬送モーター26を動作させて整列処理を実行する(ステップS11)。これにより、記録媒体Sの搬送方向の傾き(スキュー)が補正されて整列されると共に、記録媒体Sの先端の位置合わせが実行される。
【0031】
次いで、CPU40は、検出した記録媒体Sが小切手であるか、或いは通帳であるかを判別する(ステップS12)。ここで、CPU40は、ホストコンピューター200から送信される情報を取得し、この情報に基づいて記録媒体Sの種類を判別してもよいし、或いは、媒体端センサー47や媒体幅センサー55を用いて記録媒体Sの先端や側端の位置を検出し、この位置やサイズに基づいて記録媒体Sの種類を判別してもよい。或いは、媒体端センサー47や媒体幅センサー55を用いて検出した記録媒体Sの先端や側端の位置に基づき、磁気ヘッド34によりMICR情報MSの読み取りを試行し、この読み取りの試行によりMICR情報MSが所定位置に有るか否かを判定することで、記録媒体Sの種類を判別してもよい。本実施形態では、CPU40は、ホストコンピューター200から、記録媒体Sの種類(小切手又は通帳)を特定するための情報と、記録媒体Sが小切手である場合には、例えば、小切手のサイズに関する情報と、MICR情報MSが記録された位置に関する情報と、搬送距離に関する情報を取得し、これらの情報に基づいて小切手か通帳かを判別する。
【0032】
ここで、記録媒体Sが小切手である場合(ステップS12;Yes)、CPU40は、ホストコンピューター200から、MICR情報の読み取り命令を受信したか否かを判定する(ステップS13)。そして、CPU40は、MICR情報の読み取り命令を受信したと判定した場合(ステップS13;Yes)にはステップS14に進む。
ここで、CPU40は、ホストコンピューター200から、読み取ろうとする記録媒体Sの種類(小切手又は通帳)を特定するための情報等をステップS12で取得する際に、合わせて、MICR情報の読み取り命令を受信してもよい。具体的な例を挙げて説明すると、例えば、図7に示すように、MICR情報MSの記録媒体Sにおける4辺からのオフセット距離dx1,dx2,dy1,dy2に関する情報と、整列板28による整列位置から、MICR情報MSが磁気データ読書部29で読み取り可能な位置に到達するまでの搬送距離Y1に関する情報と、記録媒体Sの先端が表面スキャナー111及び裏面スキャナー112に到達するまでの搬送距離Y2に関する情報と、記録媒体Sの後端が表面スキャナー111及び裏面スキャナー112に到達するまでの搬送距離Y3に関する情報とを受信する。なお、ホストコンピューター200から取得する情報は上記の例に限らず、これら以外の情報を取得してもよいし、他の情報を上記の情報に代えて取得してもよい。
【0033】
そして、CPU40は、整列板28を搬送経路Pから退避させると共に、少なくとも記録媒体Sの先端が媒体幅センサー55の直下に達するまで記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送させた後、キャリッジ駆動モーター56(図5)を駆動してキャリッジ19を主走査方向に走査し、媒体幅センサー55からの出力信号及びキャリッジ19の主走査方向の位置に基づいて記録媒体Sの幅方向の位置を検出する(ステップS14)。より具体的には、記録媒体SのY方向については、ステップS11の整列処理によってその先端の位置合わせが行われるが、X方向については位置合わせが行われておらず(記録媒体Sを手差口15のどこに挿入してもよいため)、その位置が不明であることから、ステップS13の処理によってX方向についての紙端位置X1,X2(図7参照)が検出される。このようにして検出された紙端位置X1,X2は、RAM41に格納される。
さらに、CPU40は、記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送させながら媒体端センサー47の出力信号を監視し、記録媒体Sの後端位置を検出する(ステップS15)。
【0034】
次に、CPU40は、ホストコンピューター200から受信した上記の情報Y1(MICR情報MSが磁気データ読書部29で読み取り可能な位置に到達するまでの搬送距離)に基づいて、記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送する(ステップS16)。
この結果、記録媒体SのMICR情報MSが磁気データ読書部29で読み取り可能な位置まで搬送される(ステップS14)。その後、CPU40は、ステップS13で検出した紙端位置X1,X2と、ステップS12で受信したオフセット距離dx1,dx2に基づいて、スキャン範囲(X1+dx1)〜(X2−dx2)を計算する。
なお、実際にスキャンする範囲としては、誤差の影響等を考慮してマージンDを持たせるため、前述したスキャン範囲よりも広い範囲((X1+dx1−D)〜(X2−dx2+D))(ただし、D<dx1,dx2)を設定してもよい。
【0035】
CPU40は、磁気データ読書部29の磁気ヘッド駆動モーター64を駆動し、磁気ヘッドユニット62が上記磁気ヘッドガイド軸60、61に支持されて符号Xで示す主走査方向の当該スキャン範囲内を移動させて(ステップS17)、この磁気ヘッドユニット62の磁気ヘッド34により、記録媒体SのMICR情報MSに対する磁気情報処理の読み取りを実行させる(ステップS18)。このとき、CPU40は、MICR情報MSの主走査方向における存在位置を、磁気ヘッド34からの出力信号と、磁気ヘッド34の主走査方向の位置に基づいて検出し、実測値に基づくオフセット距離としてのdx1’,dx2’を求める。なお、オフセット距離としてのdx1’,dx2’を求めるのではなく、MICR情報MSの存在位置を直接求めるようにしてもよい。なお、求められたオフセット距離dx1’,dx2’は、RAM41に格納される。一方、磁気ヘッド34によって読み取られた情報(MICR情報)は、ゲートアレイ45によってデジタル化され、CPU40に出力される。CPU40は、ゲートアレイ45から供給されたデータに基づいて、文字情報を解析し、テキスト情報に変換する(ステップS19)。
【0036】
CPU40は、ステップS19におけるMICR情報MSの解析処理において、解析不能な文字が存在したか否かを判別する(ステップS20)。ここで、解析不能な文字が存在した場合(ステップS20;Yes)にはステップS21に進み、それ以外の場合(ステップS20;No)にはステップS26に進む。例えば、ステップS19における解析処理において得られた情報が、「01?3456789」であり、第3番目の文字(この例では「?」とされている)が解析不能であった場合には、ステップS20においてYesと判定され、ステップS21に進む。
【0037】
次に、CPU40は、ステップS13において受信した、記録媒体Sの先端が表面スキャナー111及び裏面スキャナー112に到達するまでの搬送距離Y2に関する情報に基づいて、記録媒体Sが表面スキャナー111及び裏面スキャナー112の読み取り可能な位置まで移動させる(ステップS21)。
【0038】
そして、CPU40は、MICR情報MSの光学的な読み取りを実行し(ステップS22)、ステップS23に移行する。ステップS22で、CPU40は、記録媒体Sを媒体搬送機構100により副走査方向に搬送させながら、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112によって、記録媒体Sの裏面と、表面とを同時に読み取り、画像信号に変換しゲートアレイ45に供給する。続いて、CPU40は、ステップS12において受信した、記録媒体Sの後端が表面スキャナー111及び裏面スキャナー112に到達するまでの搬送距離Y3に関する情報に基づいてスキャンを停止する。このとき、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112によって記録媒体Sを読み取るX方向の範囲は、ステップS13において検出された幅方向の位置X1,X2に基づいて決定する。すなわち、ゲートアレイ45は、幅方向の位置に対応する範囲の受光部から出力される信号のみを取得すると共に、搬送距離Y2〜Y3で指定される期間だけ、受光部から出力される信号を取得する。なお、搬送距離Y3については、媒体端センサー47によって検出される記録媒体Sの先端及び後端から求められる値に基づいて求めるようにしてもよい。すなわち、媒体端センサー47によって検出される記録媒体Sの先端及び後端の搬送距離の差分値を求め、当該差分値をY2に加算することによりY3を求めるようにしてもよい。
ゲートアレイ45は、画像信号を量子化してデジタルデータとしての画像データに変換し、CPU40に供給する。CPU40は、得られた画像データを、RAM41に格納する。なお、このようにして格納された小切手の画像データは、後述するステップS26において、I/F43を介してホストコンピューター200に転送される。ホストコンピューター200では、転送された情報を、受入銀行から支払銀行に伝送することによって決済を行う。すなわち、現物の小切手を輸送して処理する代わりに、小切手の券面の情報を画像データに変換して、受入銀行から支払銀行のホストコンピューターに伝送することにより、電子的な決済が実行される。
【0039】
ステップS23では、CPU40は、ステップS22において、裏面スキャナー112によって読み取られた画像データに基づいて、文字の解析処理を実行する。具体的には、CPU40は、ステップS15の処理において取得された、実測されたオフセット距離としてのdx1’,dx2’と、ステップS13で受信したdy1,dy2に基づいて、画像データからMICR情報MSが含まれる領域を特定し、当該領域に含まれる画像データを抽出し、抽出された画像データに対して解析処理を実行する。なお、当該解析処理は、OCR処理として一般的に知られている処理を用いることができる。このような処理により、先ほどの例では、解析結果として、例えば、「012345678?」を得る。なお、この例では、最後の文字(この例では「?」とされている)は解析に失敗している。
【0040】
次に、CPU40は、ステップS19で解析不能であった文字の解析に成功したか否かを判定し(ステップS24)、成功した場合(ステップS24;Yes)にはステップS25に進み、それ以外の場合(ステップS24;No)にはステップS29に進む。
先ほどの例では、ステップS19における解析処理において、解析不能であった文字(第3番目の文字「2」)の解析に成功しているので、ステップS25に進む。
ステップS25では、CPU40は、ステップS19とステップS23における解析結果を統合する。すなわち、CPU40は、ステップS19における解析結果によって得られた「01?3456789」と、ステップS23における解析結果によって得られた「012345678?」とを統合することによって「0123456789」を得る。
一方、ステップS24において、解析不能文字の解析に失敗したと判定した場合には、ステップS29に進み、CPU40は、ホストコンピューター200に対してエラーが発生したことを通知し、処理を終了する。
【0041】
次に、CPU40は、解析処理によって得られたMICR情報MSをI/F43を介してホストコンピューター200に送信すると共に、ステップS22の読み取り処理によって読み取られてRAM41に格納されている記録媒体Sの両面の画像データをI/F43を介してホストコンピューター200に送信する(ステップS26)。
【0042】
ここで、CPU40は、ホストコンピューター200から裏書き印刷の実行命令を受信するまで待機し(ステップS27)、裏書き印刷の実行命令を受信した場合は、媒体搬送モーター26を逆転させ、記録媒体Sを記録ヘッド18の下まで搬送すると共に、キャリッジ駆動モーター56及び記録ヘッド18を駆動し、記録媒体Sの裏面に処理済みを示す裏書き印刷を行う(ステップS28)。そして、裏書き印刷が完了すると、CPU40は、媒体搬送モーター26を更に回転させ、記録媒体Sを手差口15から排出する。
このとき、記録媒体Sを排出させずに、再度、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112によって、記録媒体Sの表裏両面の全面をスキャンし、処理済みとなった小切手の券面の画像データを生成して、この画像データを受入銀行から支払銀行のホストコンピューターに伝送することにより、最終処理画像による電子的な決済が実行されるようにしてもよい。この場合、小切手が処理済みとなったことを示すデータとして画像データを利用することで、決済の信頼性及び正当性が担保される。
【0043】
なお、以上の説明は、記録媒体Sとして小切手が挿入された場合について説明したが、記録媒体Sとして通帳が挿入された場合には、次のような処理が実行される。すなわち、ステップS12において、検出した記録媒体Sが通帳である(小切手でない)と判別した場合、CPU40は、ホストコンピューター200から通帳に関する処理を実施するように命令がなされることに対応して、搬送経路P内に整列板28によって通帳の傾きを補正した後、記録媒体Sを媒体搬送機構100により搬送させ、磁気データ読書部29の磁気ヘッド駆動モーター64を駆動し、磁気ヘッド34によって、記録媒体Sの磁気ストライプに対する情報の磁気的な読み取り、及び/又は書き込みを実行する(ステップS31)。さらにCPU40は、通帳である記録媒体Sの記録面に、記録ヘッド18によって文字を含む画像を記録し(ステップS32)、媒体搬送機構100によって記録媒体Sを手差口15から排出して(ステップS33)、本処理を終了する。
【0044】
以上のように、本発明を適用した実施形態によれば、記録媒体Sを搬送して画像を記録するドットインパクトプリンター10において、記録媒体Sの搬送路Pに、磁気ヘッドユニット62に搭載され、記録媒体Sに記録されたMICR情報を磁気的に読み取る磁気ヘッド34と、磁気ヘッド34とは異なる他のキャリッジに搭載され、記録媒体Sに画像を記録する記録ヘッド18と、記録媒体Sに記録されたMICR情報を光学的に読み取る裏面スキャナー112と、が並べて配置され、CPU40により、磁気ヘッド34によるMICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、記録媒体Sを裏面スキャナー112まで搬送して裏面スキャナー112によってMICR情報の読み取りを行い、磁気ヘッド34による読み取り結果と裏面スキャナー112による読み取り結果とを照合して、MICR情報を識別する。これにより、MICR情報の磁気的な読み取りに成功した場合は記録媒体Sを裏面スキャナー112まで搬送しないこととすれば、無駄な搬送動作を省き、異なる読み取り方法を組み合わせることでMICR情報の読み取りの精度を高めるとともに、処理速度の向上を図ることができる。
【0045】
特に、ドットインパクトプリンター10は、その前面に設けられた手差口15から記録媒体Sが挿入され、内部で記録媒体Sを処理した後で、再び手差口15から記録媒体Sを排出する。すなわち、ドットインパクトプリンター10内で記録媒体Sの搬送方向を反転させ、往復させる構成である。このため、MICR情報の磁気的な読み取りに成功した場合は記録媒体Sを裏面スキャナー112まで搬送しないこととすれば、記録媒体Sの搬送経路が大幅に短縮され、スループットの向上が期待できる。また、MICR情報の磁気的な読み取りが成功しなかった場合は搬送経路を延長するだけで光学的な読み取りを行うことができるので、容易に高精度でMICR情報を読み取れる。さらに、CPU40によって媒体搬送機構100を制御することにより、記録媒体Sを往復搬送することができ、MICR情報の磁気的な読み取りの回数と、光学的な読み取りの回数とを任意に独立して設定できる。このため、磁気的及び光学的な読み取りの回数を適宜増やして、MICR情報の読み取り精度のさらなる向上を図ることも可能である。
【0046】
加えて、上記構成によれば、記録媒体Sの搬送路Pに、磁気ヘッドユニット62に搭載された磁気ヘッド34と、磁気ヘッド34とは異なる他のキャリッジに搭載された記録ヘッド18と、裏面スキャナー112と、が並べて配置されており、磁気ヘッド34と記録ヘッド18とは、各々独立して走査させることが可能なため、冊子形態の通帳や帳票形態の小切手など様々な形態の記録媒体Sに対して磁気的な読み取りと画像の記録を行うことができ、一つの装置により多様な記録媒体に対応可能な構成を実現できる。
【0047】
さらに、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112を用いてMICR情報を含む画像データを取り込むようにしたので、磁気ヘッド34のキャリッジに対してスキャナーを取り付ける必要がないので、当該キャリッジのサイズが大きくならず、駆動機構の大型化を防止できる。
【0048】
また、本発明を適用した実施形態によれば、媒体幅センサー55による検出結果に基づいて、磁気ヘッド34及び裏面スキャナー112の走査範囲を決定するようにしたので、記録媒体Sがどのような位置に配置された場合であっても、所望の領域を確実にスキャンすることができる。また、磁気ヘッド34によって検出されたMICR情報MSの位置に基づいて、裏面スキャナー112で読み込まれた画像データから、MICR情報MSが含まれている領域を抽出するようにしたので、抽出領域を確実に特定すると共に、領域を最小限化することで、解析処理に要する時間を短縮することができる。
【0049】
また、本発明を適用した実施形態によれば、ホストコンピューター200から供給された情報に基づいて、処理対象が小切手であるか、通帳であるかを特定するようにしたので、処理対象を確実に特定することができる。また、処理対象を特定するための情報と共に、各処理対象のサイズ及び制御量に関する情報を併せて送信することで、各処理対象に対する処理を確実に実行することができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。例えば、本実施形態では、磁気ヘッド34による読み取り処理については、1回(1走査)のみ実行するようにしたが、例えば、副走査を行いながら、主走査を複数回行って、最も強度が高い(振幅が大きい)信号を用いて解析処理を実行するようにしてもよい。また、副走査を行わずに、同じ位置において主走査を行うと共に、それぞれの主走査においてゲートアレイ45における信号の増幅率(ゲイン)を変更するようにしてもよい。
【0051】
また、以上の実施形態では、裏面スキャナー112は、可視光帯域の光によるスキャンを前提として説明したが、例えば、赤外線によるスキャンを実行するようにしてもよい。磁気インクは、通常のインクに比較して、赤外線の吸収率が高いので、赤外線を用いることにより、磁気インクによって印刷された文字のみを取り込むことができる。これにより、MICR情報MSが存在する領域を特定する処理を簡単化することができることから、処理を高速に実行することができる。
【0052】
また、以上の実施形態では、磁気ヘッド34による読み取りを、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112による読み取りに先行して実行するようにしたが、表面スキャナー111及び裏面スキャナー112による読み取りを、磁気ヘッド34による読み取りに先行して行うようにしてもよい。その場合、OCR処理の結果に基づいて、MICR情報MSが記録されている範囲を特定し、特定結果に基づいて磁気ヘッド34による読み取りを実行するようにしてもよい。また、赤外線を用いてスキャンする場合には、MICR情報MSが記録されている範囲を簡易に特定することができるので、その結果に基づいて磁気ヘッド34による読み取り範囲を行うことができる。
【0053】
なお、媒体端センサー47や媒体幅センサー55の具体的構成は任意であるし、図5のブロック図における各機能ブロックは、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されるものであって、具体的なハードウェアの実装形態やソフトウェアの仕様等は任意であり、その他の細部構成についても任意に変更可能である。
また、本発明はドットインパクト式のプリンターに限らず、インクジェット式のプリンターや、感熱媒体を加熱して画像を記録するサーマルプリンターにおいても適用可能である。さらに、ドットインパクトプリンター10のように独立したプリンターとして使用される機器に限らず、他の機器(ATM(Automated Teller Machine)やCD(Cash Dispenser)等)に組み込まれたものであってもよく、多様な機器に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施形態におけるドットインパクトプリンターの外観斜視図である。
【図2】プリンター本体を示す斜視図である。
【図3】プリンター本体の側断面図である。
【図4】磁気データ読取部の構成を示す斜視図である。
【図5】ドットインパクトプリンターの機能的構成を示すブロック図である。
【図6】ドットインパクトプリンターの動作を示すフローチャートである。
【図7】小切手に印刷されているMICR情報の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10…ドットインパクトプリンター(記録装置)、11…プリンター本体、18…記録ヘッド、19…キャリッジ、29…磁気データ読書部、34…磁気ヘッド(磁気読取部)、40…CPU(制御部)、45…ゲートアレイ、47…媒体端センサー(検出手段)、55…媒体幅センサー(検出手段)、62…磁気ヘッドユニット(キャリッジ)、63…磁気ヘッド駆動ベルト、64…磁気ヘッド駆動モーター、100…媒体搬送機構、111…表面スキャナー、112…裏面スキャナー(光学読取部)、200…ホストコンピューター、MS…MICR情報、S…記録媒体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送して画像を記録する記録装置において、
前記記録媒体の搬送路に、キャリッジに搭載され、前記記録媒体に記録されたMICR情報を磁気的に読み取る磁気読取部と、前記磁気読取部とは異なる他のキャリッジに搭載され、前記記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録媒体に記録されたMICR情報を光学的に読み取る光学読取部と、が並べて配置され、
前記磁気読取部による前記MICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、前記記録媒体を前記光学読取部まで搬送して前記光学読取部によって前記MICR情報の読み取りを行い、前記磁気読取部による読み取り結果と前記光学読取部による読み取り結果とを照合して、前記MICR情報を識別する制御部を備えたこと、
を特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1記載の記録装置において、
前記制御部は、前記記録媒体が、前記MICR情報が記録された帳票であるか、磁気情報の記録が可能な磁気テープを有する他種の記録媒体であるかを判別し、前記他種の記録媒体であると判別した場合には、この記録媒体が有する磁気記録部に対する読み取りまたは書き込みを前記磁気読取部によって行うことを、特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2記載の記録装置において、
外部接続されたホストコンピューターとの間で通信可能に構成され、
前記制御部は、前記記録媒体が前記MICR情報が記録された帳票であるか、前記他種の記録媒体であるかを、前記ホストコンピューターから送信される情報に基づいて判別すること、を特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項2記載の記録装置において、
前記記録媒体の端位置を検出する検出手段をさらに備え、
前記制御部は、前記検出手段により検出された端位置に基づいて、前記光学読取部によって読み取りを行う範囲を決定すること、を特徴とする記録装置。
【請求項5】
記録媒体の搬送路に、キャリッジに搭載され、前記記録媒体に記録されたMICR情報を磁気的に読み取る磁気読取部と、前記磁気読取部とは異なる他のキャリッジに搭載され、前記記録媒体に画像を記録する記録ヘッドと、前記記録媒体に記録されたMICR情報を光学的に読み取る光学読取部と、が並べて配置された構成を有する記録装置を制御して、
前記磁気読取部によって前記MICR情報の読み取りを行うステップと、
前記磁気読取部による前記MICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、前記記録媒体を前記光学読取部まで搬送して前記光学読取部によって前記MICR情報の読み取りを行うステップと、
前記磁気読取部による読み取り結果と前記光学読取部による読み取り結果とを照合して、前記MICR情報を識別するステップと、
を含むことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項6】
記録媒体に記録されたMICR情報を磁気的に読み取るステップと、
前記MICR情報の読み取りに成功しなかった場合に、前記記録媒体をさらに搬送して前記記録媒体に記録されたMICR情報を光学的に読み取るステップと、
磁気的な読み取りの結果と光学的な読み取りの結果とを照合して、前記MICR情報を識別するステップと、
を含むことを特徴とする記録装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−188533(P2010−188533A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32286(P2009−32286)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】