説明

記録装置

【課題】 ジャムが発生し用紙の取り除きを行う際に、安全にかつ容易に用紙の取り除きができ、ヘッド面への衝撃を軽減し得る記録装置を提供する。
【解決手段】 メディアの種類によって自動的にギャップを調整するギャップ調整機構をそなえる記録装置において、ジャムが発生した際に、キャリッジを左右に揺らしてギャップを開放するか否かを判断し、ギャップを開放する場合は、装置の全面を覆うカバーが閉じていることと、ピンチローラがメディアを押さえている状態であることを確認してから、ギャップを開放する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリッジとプラテン間の間隔を可変する機構を備えた記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、記録装置の一つとして、例えばインクジェット方式のプリンタが知られている。このようなプリンタにおいて、ジャム(紙詰まり)が発生した場合、一般的には印刷媒体(以降「メディア」という)を静かに引き抜くか、又はキャリッジを左右に移動させ、メディア上からキャリッジを外してからメディアを取り除く事で、メディアに皴が寄らないようにすると共に、印刷ヘッド面を傷つけないようにしている。
【0003】
一方近年では、キャリッジとプラテン間の間隔(以降「ギャップ」という)を自動調整する機構(以降「ギャップ調整機構」という)、すなわち予め決められた間隔になるようにキャリッジを上下移動させる機構、を備えたプリンタも提案されている。これによって紙厚の異なるメディアごとにインク滴の着弾位置を最適化し、印字品質を確保している。
【0004】
また、印刷中にジャムが発生したとき、メディアの種類と搬送の位置を判断し、自動的にギャップを開放する。すなわちギャップを調整範囲を超えて広くする、ことで、ジャムが発生した場合にもメディアの引き抜きを容易に行い得る記録装置も提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−103814
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ギャップ調整機構を備えたプリンタでは、印字品質の向上を図るべく、ギャップの値が極めて小さな値に管理される。このため、ジャムが発生したときに、キャリッジとプラテンとの間にメディアが噛んでしまい容易に引き抜くことができない。また、無理に引き抜こうとすると印字面に皺が発生してしまう。また、メディアの一部がプリンタ内部に残留したままメディアが破れてしまう。
【0007】
他方、自動的にギャップを開放する際には、例えば連続用紙などプラテンの搬送方向の幅よりも大きなメディアをセットすると、プラテンの内側にメディアが収まらず、メディアのセット方法によっては搬送上に高低差が生じ、ピンチローラ等のメディアを押さえる機構(以降「ピンチ機構」という)によってメディアが押さえられていないと、メディアが装置より滑り落ち、印字ヘッド面とメディアが接触する事で、印字ヘッド面を損傷してしまう場合がある。
【0008】
また、例えばカバーが開いているなどの装置の状態によっては、装置のオペレーターが容易にギャップ調整機構に接触する事ができる場合があり、オペレーターの安全が確保されない。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決すためになされたものであって、その目的はジャムが発生した場合にもメディアの引き抜きを容易にし、印字ヘッド面への衝撃を軽減させ、オペレーターの安全性を確保し得る記録装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(解決手段1)
本発明は、上記目的を達成するために、インクを吐出するキャリッジを搭載し、メディアの幅方向(以降「主走査方向」という)に往復するキャリッジを有するインクジェット式記録装置において、前記キャリッジを移動させるキャリッジ駆動手段と、給紙されるメディアをメディアの幅方向に直交する方向(以降「搬送方向」という)に沿ってプラテン上に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によってプラテン上に案内されたメディアとキャリッジとの間の距離であるギャップを自動調整するギャップ調整手段を備え、ジャムが発生した際に、前記キャリッジ駆動手段によってキャリッジを左右に揺らし、ギャップを開放するか判断する判断手段を有する事を特徴とする記録装置である。
【0011】
また、前記判断手段は、キャリッジを左右に揺らした際に、キャリッジの移動結果を元に、ギャップを開放するか判断する判断手段を有してもよい。
【0012】
この場合、前記キャリッジの移動結果を基にギャップを開放するか判断する判断手段においては、キャリッジを左右に揺らした際にキャリッジ駆動手段にかかる抵抗値(電流量)を用いてもよい。
【0013】
さらに、前記搬送手段によってプラテン上に案内されたメディアの厚さからギャップを開放するか判断してもよい。
【0014】
(解決手段2)
また、本発明の記録装置は、前記キャリッジ及び前記キャリッジ駆動手段、前記搬送手段、前記ギャップ調整手段にオペレーターが直接接触しないように記録装置の前面を覆うカバーの開閉を検知するカバー検知手段を備え、ギャップを開放する際に、前記カバー検知手段を用いて、ギャップを開放できる状態であるか判断する判断手段を有す事を特徴とする。
【0015】
(解決手段3)
さらに、本発明の記録装置は前記搬送手段であるグリッドローラに従動して動き、プラテン上に搬送されるメディアを押さえるピンチローラがメディアを押さえている状態であるかを判断するグリップ検知手段を備え、ギャップを開放する際に、前記グリップ検知手段を用いて、ギャップを開放できる状態であるか判断する判断手段を有する事を特徴とする。
【0016】
この場合、前記プラテンの下に配置され、前記プラテン上に搬送されたメディアを吸着するメディア吸着手段を備えてもよい。
【0017】
(解決手段4)
また、本発明の記録装置におて、ジャムが発生しメディアを取り除く際に、主操作方向にカットするカット手段を用いてもよい。
【発明の効果】
【0018】
解決手段1によれば、ジャムが発生した際に、キャリッジ駆動手段によってキャリッジを左右に揺らし、キャリッジが移動しない場合にギャップを開放することで、ジャムとなったメディアの印字面に皺等を発生することなくメディアを容易に引き抜くことができる。
【0019】
また、メディアが連続用紙であれば、ジャムとなっていない印字面の皺等の発生を押さえることができる。
【0020】
そして、解決手段1によれば、ジャムが発生した際に、キャリッジ駆動手段によってキャリッジを左右に揺らし、キャリッジが移動する場合にギャップを開放しないことで、ギャップ調整手段で最適なインク滴の着弾位置に調整されたギャップを維持することができる。
【0021】
解決手段2によれば、カバーの開閉を検知するカバー検知手段によって、カバーが閉じている事を判断してから、ギャップを開放することで、オペレーターの安全性を確保する事ができる。
【0022】
解決手段3によれば、グリップ検知手段を用いて、ピンチローラがメディアを押さえている状態であることを確認してから、ギャップを開放することで、印字ヘッド面にメディアが接触する事を防ぎ、ヘッド面の損傷を軽減又は防ぐことができる。
【0023】
さらに、ギャップを開放する際に、メディア吸着手段でメディアを吸着することで、印字ヘッド面にメディアが接触する事を防ぎ、ヘッド面の損傷を軽減又は防ぐこともできる。
【0024】
解決手段4によれば、例えば連続用紙の場合、ジャムが発生したメディアを取り除く際に、カット手段を用いてメディアをカットする事で、メディアの取り除きが容易に行うことができる。
【0025】
また、この場合、ジャムとなっていない印字面の皺等の発生を押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本実施形態におけるインクジェット式記録装置のキャリッジを正面から見た概略図である。
【図2】図2は本実施形態におけるインクジェット式記録装置のキャリッジを横から見た概略図である。
【図3】図3は本実施形態におけるインクジェット式記録装置のブロック図である。
【図4】図4は本実施形態におけるメディアジャム発生時のキャリッジ制御を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態について図面に従って説明する。
図1は本実施形態におけるインクジェット式記録装置のキャリッジを正面から見た概略図である。以下インクジェット式記録装置をプリンタ200という。また、図1はプリンタ200のキャリッジ2を正面から見た概略図で、このキャリッジ2に図示しない印刷ヘッドが取り付けられている。図2は本実施形態におけるインクジェット式記録装置のキャリッジを横から見た概略図である。
【0028】
メディア6は、単票紙としてのカット紙と連続用紙としてのロール紙などがある。メディア6は、グリットローラ14とグリットローラ14により従動するピンチローラ15とによって搬送方向にそって内部に供給される。またメディア6をその搬送方向に沿って案内する案内部材としてのプラテン8があり、印刷ヘッドの印刷ヘッド面5とプラテン8上にあるメディア6との間の距離であるギャップが適切な距離となるように、キャリッジ2を上下に移動させる不図示の昇降機構1により調整される。またキャリッジ2は、キャリッジ2からメディア6までの距離を測定する後述のギャップセンサ17を搭載している。このギャップセンサ17によって求められた距離に基づいて昇降機構1は動作する。メディア6の種類に応じてキャリッジ2とメディア6までの距離はあらかじめ記憶されているので、その記憶された距離になるように後述の制御によって昇降機構1を動作させてキャリッジ2を上下移動させる。
【0029】
キャリッジ2はキャリッジモータ10により駆動されキャリッジ搬送レール4に沿って主走査方向に往復する。印刷ヘッド(図示略)にはインク滴を吐出するためのノズル孔(図示略)が複数形成されている。リニアエンコーダはリニアスケール3とエンコーダ38を有する。キャリッジ2の移動量は、リニアエンコーダの出力に基づいて演算され、取得する。キャリッジ搬送レール4の背面部に設置されたリニアスケール3をエンコーダ38によって測定し、このエンコーダ38の出力に基づいてキャリッジ2の位置を求める。各ノズル孔から吐出されるインク滴がキャリッジ2の位置に基づいて所定のタイミングでノズル孔から吐出されることで、メディア6に対して印刷が行われる。
【0030】
なお、プラテン8の端の側面側にはピンチローラ15を制御するピンチ機構9があり、メディア6を押さえる事で、例えば連続用紙などプラテンの搬送方向の幅よりも大きなメディアをセットした場合にプラテンの内側にメディアが収まらない事による、メディア6の落下又は、ズレを防止することができる。
【0031】
また、プリンタ200はプラテン8の下に吸着ファン7を有し、搬送の際にファンを回転させる事でメディア6を引き付け、メディア6の搬送方向の浮き上がりを防ぐ。
【0032】
キャリッジ2にはギャップセンサ17が取り付けられおり、ギャップセンサ17はキャリッジ2と共に動作する。キャリッジ2はメディア6をセットした際にメディア6の上に移動し、その後降下する。このとき、ギャップセンサ17がメディア6に接することでギャップセンサ17の出力が変化し、メディア6の厚さを検知することができる。また、その時の移動量と、予めEEPOMに記録されているキャリッジの降下開始位置からプラテンまでの距離を用いて、メディア6からキャリッジ2までの距離を測定することができる。
【0033】
また、プラテン8の後方には、メディア6をカットするカッティング機構13が備えられ、メディアのカットが必要だと判断された場合はメディア6のカットを行う。
【0034】
なお、プリンタ200はプリンタ200の前面にカバー11を有し、キャリッジ2の駆動時などに装置のオペレーターが怪我等をしないようにしている。カバー11の淵側にはカバー11の開閉を検知するカバー検知センサ12が備えられ、カバー11の開閉状態を検知する事ができる。
【0035】
図3は本実施形態におけるインクジェット式記録装置のブロック図である。プリンタ200はカラー画像の出力が可能なインクジェット方式の記録装置である。プリンタ200は、ホストコンピュータ20(以下「PC」という)から送信される印刷データに基づいて印刷を行う。なお、プリンタ200とPC20はI/F部21、例えばUSB、により接続される。
【0036】
プリンタ200は、動作を統括的に制御するCPU100を備える。CPU100はROM50に記憶されているプログラムに従って動作する。また、EEPROM51には初期設定値などの各種設定値が記憶され、それらの設定値は要に応じてその値を書き換えることができる。また、RAM53を備え、CPU100のワークエリアやデータの一時保存を行う。プリンタ200は、外部から入力可能な操作パネル60と、その操作パネル60に接続するパネル制御回路61とを備える。パネル制御回路61はCPU100に接続され、CPU100の制御によって動作する。ギャップセンサ17、カバー検知センサ12、グリップ検知センサ16はセンサ制御回路40に接続され、信号の入出力がされる。センサ制御回路40はCPU100に接続され、CPU100の制御によって動作する。センサ制御回路40は接続しているセンサから信号を入力して、CPU100に出力するデジタル信号に変換もする。エンコーダ38はエンコーダ読み取り回路30に接続されている。エンコーダ読み取り回路30はエンコーダ38の信号を入力し、CPU100に出力するためのデジタル信号に変換する。エンコーダ読み取り回路30はCPU100に接続され、CPU100によって制御される。
【0037】
吸着ファン7は吸着ファン制御回路34によって駆動される。吸着ファン制御回路34はCPU100に接続され、CPU100によって制御される。昇降機構1は昇降制御回路35によって駆動される。昇降制御回路35はCPU100に接続され、CPU100によって制御される。カッティング機構13はカッティング機構制御回路36に接続され、駆動される。カッティング機構制御回路36はCPU100に接続され、CPU100によって制御される。
【0038】
ピンチ機構9はピンチ機構制御回路33に接続され駆動される。ピンチ機構制御回路33はCPUに接続され、CPU100によって制御される。グリッドローラ14はグリッドローラ駆動回路32に接続され、駆動される。グリッドローラ駆動回路32はCPU100に接続され、CPU100によって制御される。
【0039】
キャリッジモータ10はキャリッジモータ駆動回路31に接続され、駆動される。キャリッジモータ駆動回路31はCPU100に接続され、CPU100によって制御される。挙動検知手段37はキャリッジモータ駆動回路31とキャリッジモータ10に接続され、これらの挙動を検知しその検知結果に基づいたデータをCPU100に信号を出力する。挙動検知手段37はCPU100に接続され、CPU100によって制御される。挙動検知手段37は、例えば、モータの駆動電流の変化を検知する電流検知手段やモータの回転を検知する回転検知手段などで構成できる。
【0040】
図4は本実施形態におけるメディア6ジャム発生時のギャップ調整機構におけるギャップの開放制御を示すフローチャート図である。
【0041】
ここで、ギャップを開放するとは、予めEEPROM51に記憶されているメディア6の種類に応じた所定の値に、キャリッジを上下移動させる機構によって自動的に調整されているギャップを、メディア6の引き抜きが容易に可能となる十分な値とすべく、プラテン8に対してキャリッジ2を上方へ移動させる動作をいう。
【0042】
メディア6の引き抜を容易に可能とする十分な値は、予めEEPROM51に記憶されている。CPU100の制御によって、昇降制御回路35を制御し、これらの値のギャップとなるように昇降機構1を動作させ、キャリッジ2を昇降させる。本制御を実施してギャップを開放するか否かの判断は、判断手段として機能するCPU100によって実現される。なお、CPU100が本制御を行うための処理ルーチンのプログラムは、ROM50に格納されている。
【0043】
CPU100は、プリンタ200がI/F部を通してPC20から受信した画像データを、キャリッジモータ駆動回路31によってキャリッジモータ10を駆動させキャリッジ搬送レール4上を主走査方向に往復しながら印刷している途中等で、ジャムが発生した場合、キャリッジ搬送レール4上にあるリニアスケール3をエンコーダ38の情報を読み取るエンコーダ読み取り回路30の信号又は、キャリッジモータ10の搬送負荷を制御し読み取るキャリッジモータ駆動回路31の信号により、プリンタ内部でジャムが発生したと判断し本ルーチンを開始する。例えば、キャリッジモータ10を駆動しているのにエンコーダ38の出力に変化がなく、キャリッジ2が移動していない場合は、キャリッジ2がメディア6に掛かりジャムを起こしていると推定される。また別の態様としてはキャリッジモータ10の搬送負荷が予め決められた値より大きいことを検出すると、キャリッジ2がメディア6に掛かり停止していると推定される。このように、異常値を検出することでジャムを検出できる。
【0044】
CPU100はプリンタ内部でジャムが発生したと判断した場合、昇降制御回路35で制御される昇降機構1によるキャリッジ2の昇降及びセンサ制御回路40により制御されるギャップセンサ17とによって検知され、EEPROM51に格納されているメディア6の厚みを読み出す。読み出された値がキャリッジ2とキャリッジ2の内部に備えられた印刷ヘッドとの間の距離以下の厚みか判断する。例えば本実施形態の場合はキャリッジ2とキャリッジ2の内部に備えられた印刷ヘッドとの間の距離は1mmであるので、メディア6の厚みが1mm以下か否かを判断する。判断した結果、メディア6の厚みがキャリッジ2とキャリッジ2の内部に備えられた印刷ヘッドとの間の距離よりも大きければ、例えばメディア6の厚みが1mmよりも大きい場合は、キャリッジ2と印字ヘッドの間にメディア6が噛む事はないため、ギャップを開放する必要がないと判断し本ルーチンを終了する。
【0045】
またこのとき、用紙の厚さの2倍がギャップ、例えば本実施形態の場合は例えば2mm以下、であるか判断する。判断した結果、メディア6の厚みの2倍がギャップよりも大きい場合は、例えば2mmよりも大きい場合は、印刷ヘッド面5とプラテン8の間にメディア6が噛む事はないため、ギャップを開放する必要がないと判断し本ルーチンを終了する処理をさらに加えても良い。
なお、前記用紙の厚みによる2つの判断は組み合わせても良い。用紙の厚みによるギャップ開放の判断は、必要に応じて実施する(ステップS1)。
【0046】
前記用紙の厚みの判断の結果、ギャップを開放する必要があると判断した場合は、キャリッジ2をキャリッジモータ駆動回路31によりメディア6の幅方向にすなわち左右に、複数回駆動すなわち微小距離の微小駆動を複数回させキャリッジ2が移動しているか判断する。キャリッジ2が移動しているかの判断は、エンコーダ読み取り回路30によって行う。移動していない場合は、キャリッジ2をスライドさせる事が困難であると判断する。移動している場合は、キャリッジ2をスライドさせる事で十分にメディア6を取り除く事が可能であるため、ギャップを開放する必要がないと判断し本ルーチンを終了する。
【0047】
また、この判断をキャリッジ2に掛かる負荷で見ても良い。負荷はキャリッジモータ駆動回路31からキャリッジモータ10を動作させる為に必要な電流以上の電流が流れているかを挙動検知手段37によって読み取り、必要以上の電流が流れている場合はキャリッジ2が移動していないと判断する。
なお、前述の2つのキャリッジ2が移動したかの判断は組み合わせても良い(ステップS2)。
【0048】
カバー検知センサ12の検知結果をセンサ制御回路40を介して読み出し、カバー11が開いているか閉じているか判断する。ここでカバー11が閉じていればステップS5に進む(ステップS3)。ここでカバー11が開いている場合は、カバー11を閉じる。カバー11が閉じられたことを検知すると、ステップS5に進む(ステップS4)。カバー11が閉じられていることを確認して次のステップに進む。
【0049】
キャリッジ2が移動しない場合は、センサ制御回路40により制御されるグリップ検知センサでメディア6がピンチ機構制御回路33により駆動するピンチ機構9により押さえられているかを判断する(ステップS5)。押さえられていない場合は、ギャップを開放した際の、例えば連続用紙などプラテン内部にメディアが収まらない場合のメディア6の落下又は、ズレによる接触で起こる印刷ヘッド面5の損傷を防ぐために、ピンチ機構制御回路33により駆動するピンチ機構9によりピンチローラ15を降下させ、メディア6が動かないようにグリップする。(ステップS6)。
またこのとき、ギャップを開放した際にメディア6が印刷ヘッド面5を傷つけないように、吸着ファン制御回路34によって吸着ファン7を動作させ、プラテン8側に吸着させても良い。(ステップS7)。
【0050】
なお、キャリッジ2やカッティング機構13が動作する際には、センサ制御回路40により制御されるカバー検知センサ12でカバー11が閉められている事を判断し、判断した結果カバー11が閉められていた場合にのみ動作を行う。
【0051】
上記ルーチンにより、プラテン8を開放できる状態であるとCPU100によって判断された場合、昇降制御回路35によってキャリッジ2を上昇させギャップを開放する(ステップS8)。
【0052】
また、EEPROM51に登録されているメディア6が連続用紙の場合はギャップ解放後も容易に引き抜く事が困難であると判断し、パネル制御回路61によって操作パネル60にメディア6をカットするか否かの選択を表示する(ステップS9)。表示の結果、操作パネルへの入力によりカットすると判断された場合、カッティング機構制御回路36により制御されるカッティング機構13によりメディア6をカットする(ステップS10)。
【0053】
なお、メディア6の種類によるメディア6のカットは、必要に応じて実施する。
ギャップを開放した後は、メディア6を取り除き易くするために吸着ファン7を停止させ、本ルーチンを終了する(ステップS11)。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明に係る記録装置は、ジャム発生時のメディアの取り除きに対し、印字面への皺の発生防止とヘッド面の損傷防止、オペレーターの安全性確保に有用であり、特にメディアや記録装置が大型のインクジェットプリンタに適している。
【符号の説明】
【0055】
1 昇降機構
2 キャリッジ
3 リニアスケール
4 キャリッジ搬送レール
5 印刷ヘッド面
6 メディア
7 吸着ファン
8 プラテン
9 ピンチ機構
10 キャリッジモータ
11 カバー
12 カバー検知センサ
13 カッティング機構
14 グリットローラ
15 ピンチローラ
16 グリップ検知センサ
17 ギャップセンサ
20 PC
21 I/F部
31 キャリッジモータ駆動回路
32 グリッドローラ駆動回路
33 ピンチ機構制御回路
34 吸着ファン制御回路
35 昇降制御回路
36 カッティング機構制御回路
40 センサ制御回路
50 ROM
51 EEPROM
60 操作パネル
61 パネル制御回路
100 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出するヘッドを搭載してメディアの幅方向に往復するキャリッジと、前記キャリッジを移動させるキャリッジ駆動手段と、前記メディアを前記幅方向に直交する方向に搬送する搬送手段と、プラテン上に搬送された前記メディアと前記キャリッジとの距離を可変するギャップ調整手段と、前記キャリッジ駆動手段と前記ギャップ調整手段を制御する制御手段と、を有する記録装置において、
前記キャリッジの挙動を検知し、その検知結果を前記制御手段に出力する挙動検知手段をさらに有し、
前記制御手段は、ジャムが発生した場合に前記キャリッジ駆動手段を制御して前記キャリッジを前記幅方向に微小駆動させ、前記微小駆動させたときの前記挙動検知手段の検知結果に基づいて前記ギャップ調整手段によって移動させる前記キャリッジの移動量を演算し、前記ギャップ調整手段を制御して前記キャリッジを前記移動量分移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記挙動検知手段は、前記キャリッジの位置を検知するリニアエンコーダを有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記キャリッジ駆動手段は前記キャリッジを駆動するモータと前記モータを駆動する駆動回路を有し、前記挙動検知手段は前記モータの駆動電流の変化を検知する駆動検知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記プラテンから前記キャリッジまでの距離と前記プラテンから前記メディアまでの距離を測定する測定手段を有し、前記制御手段は、ジャムが発生した場合に前記キャリッジから前記プラテンまでの距離と前記キャリッジと前記メディアまでの距離とに基づいて前記キャリッジを前記微小駆動させるか否か判断し、前記微小駆動させない場合は前記ギャップ調整手段を制御して前記キャリッジを前記プラテンから離れる方向に所定量移動させることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
少なくとも前記プラテンと前記キャリッジを覆うカバーと、前記カバーの開平を検知するカバー検知手段とを有し、前記制御手段は、ジャムが発生した場合であって前記カバーが開いている場合に前記キャリッジ駆動手段を制御して前記キャリッジを停止させると共に前記ギャップ調整手段を制御して前記キャリッジを停止させることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、グリッドローラと、前記グリッドローラに従動しかつ前記メディアを押さえるピンチローラと、前記ピンチローラが前記メディアを押さえているか否かを検知するピンチ検知手段と、を有し、前記制御手段は、前記グリップ検知手段の検知結果が前記メディアを押さえていないことを検知した場合に前記ギャップ調整手段を動作させないことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記メディアを前記プラテン側に吸着させる吸着手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記メディアを前記幅方向に沿ってカットするカット手段を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記カット手段は、前記プラテンおよび前記キャリッジより前記メディアの搬送方向の上流に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−148127(P2011−148127A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9459(P2010−9459)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(395003187)株式会社セイコーアイ・インフォテック (173)
【Fターム(参考)】