説明

認証システム及び認証システム用無線タグ装置

【課題】 認証用構成要素が盗用された場合にもセキュリティを高くでき、また、多くの場所等での同一の認証用構成要素を適用した認証にも容易に対応できるようにする。
【解決手段】 本発明の認証システム用無線タグ装置は、認証装置本体に対し、非接触で認証に必要な情報を与えるものである。そして、アナログ信号のセンシング機能を有するセンサ対応RFIDタグと、このタグに対し、所定種類の電気量を入力させる電気特性可変器とを備え、電気特性可変器の電気量を認証情報の入力に利用することを特徴とする。本発明の認証システムは、認証情報を入力する認証情報入力装置として、本発明の認証システム用無線タグ装置を適用しており、認証装置本体は、RFIDアンテナと、RFIDリーダライタとを含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は認証システム及び認証システム用無線タグ装置に関し、例えば、RFIDタグを利用した認証システムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
機密保持が必要な場所への入退室を特定の者だけに認めたり、情報漏洩に対する保護の必要性が高い機器の操作を特定の者だけに認めたりするような場合などには、認証システムが利用される。
【0003】
例えば、一般的な入退室管理用の認証システムの構成は、図2に示すようなものである。図2において、テンキーなどの認証入力キー部1に与えられた認証用番号(例えば、社員番号及び暗証番号の組み合わせ)は、認証制御部2において、認証番号記憶部4に予め登録されている認証番号と照合され、一致している場合には、認証制御部2から扉開閉駆動部3に許可信号が与えられて図示しない扉が開閉される。
【0004】
また、認証入力キー部1への入力に代え、又は、認証入力キー部1への入力に加え、接触式や非接触式のICカードからの入力を利用するものも各種提案されている(一例として特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−323695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図2に示す認証システムでは、認証入力キー部1を誰が操作したかを知ることはできず、認証番号が漏れると、誰でも扉を開閉できてしまう。
【0006】
この点では、接触式や非接触式のICカードを利用する方がセキュリティは高くなるが、ICカードが盗用された場合や複製が作成された場合には、同様な不都合が生じてしまう。また、認証入力キー部1への入力と、機構的な鍵とを併用する入退室管理システムもあるが、この場合にも、機構的な鍵が盗用された場合や複製が作成された場合には、同様な不都合が生じてしまう。
【0007】
ところで、一人の人間が認証を行う場所や機器が多数に及ぶ場合がある。例えば、自動販売機から金銭を回収するような作業者は、各自動販売機毎に自己を認証させる。このような場合において、ICカードや機構的な鍵を自動販売機毎に用意することは、盗用などによる被害を1台の自動販売機に抑えられて好ましい。
【0008】
しかしながら、多くのICカードや機構的な鍵を準備しなければならず、持ち運びも不便であるという課題や、また、その自動販売機にあったICカードや機構的な鍵を捜さなければならないという操作性の課題が生じる。
【0009】
さらに、機構的な鍵の場合、盗用されると、その鍵を受け入れる機器側の構成も交換しなければならず、一般的に、その交換も即実施することは困難である。
【0010】
そのため、認証用構成要素が盗用された場合にもセキュリティを高くできる、しかも、多くの場所等での同一の認証用構成要素を適用した認証にも容易に対応できる認証システムが求められており、そのシステムに最適な認証用構成要素も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明は、認証装置本体に対し、非接触で認証に必要な情報を与える認証システム用無線タグ装置において、アナログ信号のセンシング機能を有するセンサ対応RFIDタグと、このセンサ対応RFIDタグに対し、所定種類の電気量を入力させる電気特性可変器とを備え、上記電気特性可変器の電気量を認証情報の入力に利用することを特徴とする。
【0012】
第2の本発明は、認証情報を入力する認証情報入力装置と、入力された認証情報に基づいて認証を行う認証装置本体とを有する認証システムにおいて、上記認証情報入力装置として、第1の本発明の認証システム用無線タグ装置を適用すると共に、上記認証装置本体が、RFIDアンテナと、RFIDリーダライタとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、認証システム用無線タグ装置が盗用された場合にもセキュリティを高くできる、しかも、多くの場所等での同一の認証システム用無線タグ装置を適用した認証にも容易に対応できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による認証システム及び認証システム用無線タグ装置の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0015】
(A−1)第1の実施形態の構成
第1の実施形態の認証システムは、認証システム用無線タグ装置(以下、ワイヤレスキーと呼ぶ)10と、認証装置本体30とでなる。
【0016】
図1、図3及び図4は、第1の実施形態のワイヤレスキー10の外観構成を示すものであり、図1は、アンテナ部がワイヤレスキー本体から最も開いた状態の概略正面図であり、図3は、アンテナ部がワイヤレスキー本体に閉じた状態の概略正面図であり、図4は、アンテナ部がワイヤレスキー本体に閉じた状態(図3と同じ状態)の概略平面図である。
【0017】
第1の実施形態のワイヤレスキー10は、大きくは、相互に開閉し得るワイヤレスキー本体11とアンテナ部12とでなる。ワイヤレスキー本体11とアンテナ部12とが閉じた状態においては、ワイヤレスキー10は、例えば、縦横が1.5cm×4.5cm、厚さが0.5cm程度の直方体形状のものである。
【0018】
アンテナ部12は、概ね矩形の平板状に形成されており、その一面(又は平板部分の内部)にRFIDタグのアンテナとして機能するループ状アンテナ14を内蔵している。アンテナ部12は、蝶番部13によって、ワイヤレスキー本体11に対して最も開いた状態(図1の状態)と、閉じた状態(図3の状態)とのいずれかを取り得るものである。
【0019】
蝶番部13は、例えば、最大開度が180度程度のものであり、アンテナ部12がワイヤレスキー本体11から最も開いた状態で、内蔵する回転摺動コネクタなどによって、アンテナ部12のアンテナ14と、ワイヤレスキー本体11に設けられているセンサ対応RFIDチップ17(図4、図5参照)との電気的な接続経路を構成させるようになされている。
【0020】
ワイヤレスキー本体11は、矩形形状の本体基板15を備えている。本体基板15における、アンテナ部12が閉じた状態で接触する面は、金属(例えば銅)膜が形成されている電磁シールド用金属面16となっている。電磁シールド用金属面16の存在により、アンテナ部12が閉じた状態では、RFIDリーダライタ32(後述する図7参照)が質問電波などを送出していても、アンテナ部12のアンテナ14が電波を捕捉できないようになっている。
【0021】
本体基板15の他の面には、センサ対応RFIDチップ17、押しボタンスイッチ18及び可変抵抗器19が搭載されており、センサ対応RFIDチップ17、押しボタンスイッチ18及び可変抵抗器19は、ワイヤレスキーカバー20によって被覆されている。
【0022】
センサ対応RFIDチップ17は、RFIDタグ用のLSIチップであり、外部のセンサ等と接続可能であり、そのセンサ等からの情報をRFIDリーダライタ32(後述する図7参照)に転送可能なものである。例えば、両出願人が販売しているセンサ対応RFID用LSI(製品名「ML7216」)を適用できる。
【0023】
この第1の実施形態の場合、後述する図5に示すように、センサ対応RFIDチップ17には、押しボタンスイッチ18及び可変抵抗器19が接続されている。
【0024】
押しボタンスイッチ18の操作部分は、図1及び図3に示すように、本体基板15やワイヤレスキーカバー20が形成している空間から外部に出ており、人間が押下することができるようになされている。押しボタンスイッチ18の操作信号は、センサ対応RFIDチップ17に入力されるようになされている。この第1の実施形態の場合、押しボタンスイッチ18の操作信号は、可変抵抗器19の抵抗値の確定を意味するものである。
【0025】
可変抵抗器19は、例えば、図1及び図3に示すように、本体基板15やワイヤレスキーカバー20が形成している空間から一部が外部に出ている回動つまみを備え、その回動つまみ位置に応じた抵抗値をとるものである。可変抵抗器19は、センサ対応RFIDチップ17に接続され、抵抗値の情報がセンサ対応RFIDチップ17に取り込まれる。
【0026】
図5は、センサ対応RFIDチップ17の内部構成及び周辺要素との接続関係を示すブロック図であり、既述した図面との同一部分には同一符号を付して示している。
【0027】
図5において、センサ対応RFIDチップ17は、RFID送受信部21、アナログインタフェース部22、デジタル入出力部23及び不揮発性メモリ24を有する。なお、ワイヤレスキー10は電池を搭載しておらず、各部の動作用エネルギーは、後述するRFIDリーダライタ32の放射電波から得ている。
【0028】
RFID送受信部21は、RFIDアンテナ14に接続されており、RFID送受信部21は、RFIDリーダライタ32側との通信を行うものである。
【0029】
アナログインタフェース部22は、可変抵抗器19に接続されており、可変抵抗器19の抵抗値を取り込むものである。アナログインタフェース部22は、可変抵抗器19の抵抗値を電圧に変換する部分と、その電圧を閾値電圧と比較するコンパレータ部分と、上記閾値電圧の元となる閾値データを出力すると共に、その閾値データを順次変化させる閾値データ発生部とを有し、コンパレータ部分の論理が変化した相前後する閾値データの中間を抵抗値情報とするものである。例えば、閾値データとコンパレータ部分からの出力との組、又は、コンパレータ部分からの出力結果の時系列(各ビットの順番が閾値データに対応している)を、RFIDリーダライタ32に送信することにより、RFIDリーダライタ32又は認識制御部33が可変抵抗器19の抵抗値を認識することができる。
【0030】
なお、可変抵抗器19の抵抗値を認識する処理を、アナログインタフェース部22又はRFID送受信部21が実行するものであっても良い。
【0031】
図6は、可変抵抗器19と、センサ対応RFIDチップ17のアナログインタフェース部22との接続方法の説明図であり、図6(A)は第1の接続例を示し、図6(B)は第2の接続例を示している。
【0032】
これらの接続例では、RFID送受信部21からの指示に基づき、コンパレータへの閾値電圧Vrefの値を順次変化させつつ入力される電圧Vinとの比較を行う。そして、コンパレータが電圧Vinの方が閾値電圧Vrefより大きいときに論理レベル「1」を出力するのであれば、閾値電圧Vrefの値を大きくする方向に変化させた場合は論理レベル「1」→「0」の切り替わりを、閾値電圧Vrefの値を小さくする方向に変化させた場合は論理レベル「0」→「1」の切り替わりを、RFIDリーダライタ32又はRFID送受信部21で検出することにより、その変化の前後の閾値電圧Vrefの値に基づき、入力された電圧Vinの値を判定することができる。
【0033】
そして、第1の接続例は、可変抵抗器19にアナログインタフェース部22から抵抗r1を介して電流を流し、可変抵抗器19の両端に発生する電圧を測定することで、可変抵抗器19の抵抗値Rを求め、入力された番号などの情報を得る。第1の接続例を式で表すと、(1)式、(2)式のようになり、抵抗値Rが求まることが分かる。
【0034】
Vin=(Vdd/(r1+R))xR …(1)
R=(r1xVin)/(Vdd−Vin) …(2)
これにより、予め抵抗値Rの範囲で換算された値から、入力された番号等の情報が求まることになる。
【0035】
また、第2の接続例は、可変抵抗器19の両端を電源とアース間に接続し、可変抵抗器19の可動端子をアナログインタフェース部22に接続する方法である。この場合には、可変抵抗器19で分圧された電圧Vinにより抵抗値Rを求め、入力された番号などの情報を得る。第2の接続例を式で表すと、(3)式、(4)式のようになり、抵抗値R(又は分圧抵抗rv)が求まることが分かる。
【0036】
第2の接続例を式であらわすと次のようになる。
【0037】
Vin=(Vdd/R)xrv …(3)
R=rv/(Vin/Vdd) …(4)
これにより、予め抵抗値Rの範囲で換算された値から、入力された番号等の情報が求まることになる。
【0038】
第1及び第2の接続例共に、抵抗値Rは、電圧Vinとして読み取り、それを換算して値Rを得ている。
【0039】
なお、抵抗値Rの認識自体は、上述したように、認識装置本体30側(RFIDリーダライタ32又は認識制御部33)で行われる。
【0040】
図7は、可変抵抗器19のつまみ19Aの位置(従って抵抗値R)と割付情報との関係例を示す説明図である。可変抵抗器19の回転角は300度であり、図6の例では、これを12分割し、各分割単位角(25度)に、「取消し」、「0」〜「9」、「設定」という12種類の情報を割り付けている。可変抵抗器19は、抵抗値が連続的に変化するものであるので、抵抗値範囲により、情報を容易に割付ることができる。なお、分割単位角の中心が、例えば本体基板15に設けられているマークMKに位置する際の回動に対する力学的な抵抗がその他の位置の抵抗より大きくし、分割単位角の中心がマークMKの位置に停止し易いような構造を適用するようにしても良い。
【0041】
可変抵抗器19として、円形の可変抵抗器に限定されず、直線的なものであっても良く、また、予めロータリスイッチのようにステップ的に動作するものであっても良く、抵抗値が変化するものであれば、外形などは問われない。
【0042】
デジタル入出力部23は、押しボタンスイッチ18に接続されており、押しボタンスイッチ18が押下された際の論理レベル(例えば「1」)又は非押下状態での論理レベル(例えば「0」)を取り込むものである。押しボタンスイッチ18の押下は、アナログインタフェース部22による可変抵抗器19の抵抗値の1回の取り込む指令となっている。
【0043】
不揮発性メモリ24には、当該センサ対応RFIDチップ17に固有の個別識別番号(ID)が格納されている。チップ識別番号は、RFIDリーダライタ32からの信号が当該センサ対応RFIDチップ17を宛先としたものか否かの判定に用いられたり、当該センサ対応RFIDチップ17からの送信信号に盛り込まれて送信元を明らかにするために用いられる。この第1の実施形態の場合、不揮発性メモリ24には認証番号は記憶されていない。
【0044】
図8は、第1の実施形態の認証装置本体30の詳細構成を示すブロック図である。第1の実施形態の認証装置本体30は、部屋や自動販売機等の扉を開閉する際の認証を行うものとする。
【0045】
認証装置本体30は、リーダライタアンテナ(R/Wアンテナ)31、RFIDリーダライタ32、認証制御部33、認証番号記憶部34、個別識別番号記憶部35及び扉開閉駆動部36を有する。
【0046】
リーダライタアンテナ31は、例えば、RFIDリーダライタ32の制御下で質問電波を放射し、センサ対応RFIDチップ17(従って、ワイヤレスキー10)からの応答電波を捕捉するものである。
【0047】
RFIDリーダライタ32は、センサ対応RFIDチップ17との間で送受信を行って、センサ対応RFIDチップ17が近傍位置にいることを確認し、センサ対応RFIDチップ17から個別識別番号及び認証番号を取得するものである。
【0048】
認証番号記憶部34は、扉の開閉を許可できる認証番号(1個に限定されない)を記憶しているものである。また、個別識別番号記憶部35は、扉の開閉を許可できるワイヤレスキー10の個別識別番号(1個に限定されない)を記憶しているものである。これら記憶部34及び35への登録は、図示しない登録のための入力装置を認証制御部33に接続して行っても良く、ワイヤレスキー10に対する所定手順に従った情報の入力方法で行っても良い。
【0049】
認証番号記憶部34及び個別識別番号記憶部35にそれぞれ、認証番号、個別識別番号を独立して記憶させるのではなく、認証番号及び個別識別番号の組で情報を記憶し、組として照合を行うようにしても良い。
【0050】
認証制御部33は、近傍位置のワイヤレスキー10の個別識別番号及び認証番号と、認証番号記憶部34に記憶されている認証番号及び個別識別番号記憶部35に記憶されている個別識別番号とに基づいて、近傍位置のワイヤレスキー10を認証するものである。
【0051】
扉開閉駆動部36は、認証制御部2から許可信号が与えられた場合に、図示しない部屋や自動販売機等の扉を開閉させるものである。
【0052】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、第1の実施形態の認証システムの動作を、図9のワイヤレスキーの認証ルーチンを示すフローチャートをも参照しながら説明する。なお、図9は、認証番号が2桁「59」であるが下位桁を入れ間違いし、訂正して認証させたワイヤレスキーの認証ルーチンを示している。
【0053】
ワイヤレスキー10を持ち運ぶときには、図3や図4に示すようにアンテナ部12は閉じられている。この閉じられている状態においては、アンテナ部12のアンテナ14は、電磁シールド用金属面16に密着(又は非常に接近)する構造となっており、ワイヤレスキー10が、RFIDリーダライタ32の交信範囲内に位置していても、電磁シールド用金属面16の電子シールド機能により、RFIDリーダライタ32からの電波を捕捉することができない。
【0054】
操作者は、ワイヤレスキー10を使用するときには、図1に示すように、アンテナ部12を開き、リーダライタアンテナ31に近付けて、ワイヤレスキー10がエリアに入ったことをRFIDリーダライタ32に認識させる。なお、RFIDリーダライタ32の交信範囲(エリア)内にワイヤレスキー10が位置しているならば、意図的に、リーダライタアンテナ31に近付ける必要はない。RFIDリーダライタ32は、ワイヤレスキー10がエリアに入ったことを、その個別識別番号が正常に読めることで判断している。
【0055】
これ以降、図9のステップS3以降に示すような認証ルーチンが実行される。すなわち、認証制御部33は、RFIDリーダライタ32を介してワイヤレスキー(RFID)10を検出すると(ステップS1)と、その個別識別番号が個別識別番号記憶部35に記憶されている個別識別番号と一致するかを確認し(ステップS2)、不一致の場合には待機状態に戻り、一致している場合には、ステップS3以降に示すような認証ルーチンに移行する。
【0056】
上述したように、認証番号の各桁の情報や、RFIDチップ17からの取消し、設定などの情報(コマンド)は、可変抵抗器19の抵抗値で指定する。
【0057】
操作者は、認証番号が「59」であるので、まず上位桁である「5」に相当する位置に可変抵抗器19のつまみ19Aを位置させた後、押しボタンスイッチ18を操作する(ステップS3)。これにより、認証制御部33には「5」が入力され、認証制御部33は上位桁として「5」を設定、記憶する(ステップS4)。
【0058】
次に、操作者は、認証番号「59」の下位桁「9」を入力させる操作を誤り、「9」ではなく「7」に相当する位置に可変抵抗器19のつまみ19Aを位置させた後、押しボタンスイッチ18を操作したとする(ステップS5)。これにより、認証制御部33には「7」が入力され、認証制御部33は下位桁として「7」を設定、記憶する(ステップS6)。
【0059】
入力ミスに気付いた操作者は、このような場合には、「取消し」に相当する位置に可変抵抗器19のつまみ19Aを位置させた後、押しボタンスイッチ18を操作する(ステップS7)。これにより、認証制御部33には「取消し」が入力され、認証制御部33は取消しコマンドの直前に入力された下位桁の「7」を取り消す(ステップS8)。
【0060】
その後、操作者は、正しい下位桁「9」に相当する位置に可変抵抗器19のつまみ19Aを位置させた後、押しボタンスイッチ18を操作したとする(ステップS9)。これにより、認証制御部33には「9」が入力され、認証制御部33は下位桁として「9」を設定、記憶する(ステップS10)。
【0061】
認証番号そのものの入力は終了したので、操作者は、「設定」に相当する位置に可変抵抗器19のつまみ19Aを位置させた後、押しボタンスイッチ18を操作する(ステップS11)。これにより、認証制御部33には「設定」が入力され、認証制御部33はそれまでに入力された2桁「59」を入力された認証番号として検出する(ステップS12)。そして、認証制御部33は、認証番号記憶部34に記憶されている認証番号と照合する(ステップS13)。不一致の場合には、待機状態に戻る。一致している場合には、認証制御部33は、扉開閉駆動部36に「開動作」の許可信号(駆動信号)を与えた後、認証処理の完了時の処理(例えば、受信した認証番号の記憶領域のクリアなど)を実行して待機状態に戻る(ステップS14、S15)。
【0062】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態の認証システムによれば、可変抵抗値19と押しボタンスイッチ18を接続したセンサ対応RFIDチップ17(従ってワイヤレスキー10)を利用したことにより、以下の効果(a1)〜(a19)を奏することができる。
【0063】
(a1)センサ対応RFIDチップ17はRFIDリーダライタ32からの電磁波エネルギーを利用し、可変抵抗器19、押しボタンスイッチ18を電池レスで接続できるため、電池交換が不要であるという効果を奏する。電池交換が不要であるため、ワイヤレスキー本体11を完全に密閉した状態でも使用できる。
【0064】
(a2)このため、電池代などのランニングコストが不要であるという効果がある。
【0065】
(a3)従来の機構的なキーに比べて、セキュリティが格段に向上する。個別識別番号と認証番号の照合の双方一致で判定しており、セキュリティが高くなっている。
【0066】
(a4)個別識別番号は、RFIDチップ17に与えられた識別番号(ID)で世界に1つしかない番号であるので複製はできない効果がある。
【0067】
(a5)ワイヤレスキー10が盗難にあっても認証番号(暗証番号)が一致しなければならないため、さらにセキュリティが高いシステムを提供できている。
【0068】
(a6)ワイヤレスキー10が盗難にあった場合に、ハード変更を必要とせず、認証番号記憶部34の認証番号を直ちに変更すれば良く、防犯性の向上を図ることができる。
【0069】
(a7)可変抵抗器19を使用しているので、番号などの情報割付はソフトだけで行なうことができ、容易に設定、変更が行なうことができる。例えば、番号(情報)毎のスイッチを設けて、RFIDリーダライタ32側に番号を通知することも可能であり、また、複数のスイッチを設け、押下したスイッチの組み合わせで、RFIDリーダライタ32側に番号を通知することも可能であるが、スイッチの場合には予め割付個数を決めることになり、後で項目を増加することはできないが、可変抵抗器19を利用した場合には、項目数を増加させることにも容易に応じられる。
【0070】
また、番号だけでなく、各種コマンドの設定割付により、RFIDチップ17からRFIDリーダライタ32側にコマンドを送出することができる。
【0071】
(a8)可変抵抗器19の番号割付において、特定位置に「取消し」、「設定」を行えるので、認証番号設定値のまま持ち運ぶことを防止できる効果がある。例えば、認証番号の下位桁「5」に設定したまま持ち運ぶのではなく、必ず可変抵抗器19の位置を「設定」位置にして持ち運ぶことになるので認証番号の下位桁「5」ですら知られることはない。また、最大又は最小の特定位置にコマンド「取消し」、「設定」を割り付けているので、誤った取消や設定動作の可能性を低くすることができる。
【0072】
不揮発性メモリ24にも認証番号は格納されていないので、この面でのセキュリティも高い。
【0073】
(a9)可変抵抗器19は、一般に非常に安価な部品であり、コストを低減できる。
【0074】
(a11)可変抵抗器19と押しボタンスイッチ18により、認証番号の桁数はダイナミックに容易に設定、変更ができ、いろいろなセキュリティの重要度に柔軟に対応できるという効果がある。
【0075】
(a12)ワイヤレスであるためハードキーのように小さいキー穴をさがす必要がなくRFIDリーダライタ32の通信エリア内に入りさえすれば良い。通信エリア内に入れば良いので、厳密な操作位置を定めなくても良いという効果もある。
【0076】
(a13)RFIDリーダライタ32の送信電力調整により通信エリアを制限でき、アプリケーションに応じて通信エリアを制限し、セキュリティをさらに高めることができる。
【0077】
(a14)ワイヤレスであるため機器側のキー穴は必要なくなる。これにより、防犯性が飛躍的に向上する。金融機関におけるATM機器など、金銭を扱う機器に最適である。また、キー穴がないので、屋外設置機器に有利である。
【0078】
(a15)警備員、自動販売機などの保守サービスマンなどのキーを統合化でき、該当キーをさがす工数やキー管理工数の削減を図ることができる。
【0079】
(a16)持ち運び時には、アンテナ部12とワイヤレスキー本体11を折りたたみ一体化できるので超小型化を図ることができる。
【0080】
(a17)アンテナ部12を閉じることにより、電磁シールド用金属面16と密着して電磁シールド機能が発揮される構造なので、持ち運びに、第3者がIDを傍受することを防止できる。
【0081】
(a18)アンテナ部12を折りたたむことで、使用者は視覚的にID非傍受状態にあることを認識できる。
【0082】
(a19)可変抵抗器19は、変形例として後述するように、回転型、直線に変化するもの、ステップ的に変化するものいずれも使用できるので外観構造の自由度が大きいという効果がある。
【0083】
(a20)押しボタン付き可変抵抗器を使用することでさらに操作性、小型化を図ることができるという効果がある。
【0084】
(A−4)第1の実施形態の変形例
上記説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示する変形実施形態を挙げることができる。
【0085】
認証番号の桁数は、上述のように2桁に限定されるものではない。認証番号の桁数は、セキュリティの重要度又は管理される機器の管理方法により任意に設定することができる。また、ハードウェアを変更することなく、認証番号の桁数を容易に増減することができる。
【0086】
すなわち、可変抵抗器19で番号を設定して押しボタンスイッチ18を押すことで1桁分と認識されるので、これを繰り返すことで、ワイヤレスキー10は任意の桁数に対応することができる。認証番号の最後に可変抵抗器19を「設定」位置とし、押しボタンスイッチ18を押すことで、入力した任意桁数の認証番号が有効となる。
【0087】
図1、図3、図4などでは、可変抵抗器19と「押しボタンスイッチ18とを別々に表しているが、「押しボタン付き可変抵抗器」を適用しても良く、この方が、操作性、小型化に対して有利となる。
【0088】
「機器管理の方法」とは、例えば自動販売機を設置してある地区毎にわかりやすく管理したい場合に、以下のようにすれば認証番号を割り付ければ良い。
【0089】
A地区:認証番号 01001 〜 01999
B地区:認証番号 02001 〜 02999
可変抵抗器19の割付数は、上述した12に限定されるものではない。可変抵抗器19の設定割付数は、可変抵抗器19を変化させたときの電圧読取り精度で決定することができる。
【0090】
例えば、8ビット相当の電圧読取り精度とすると256分解能まであることになり、分割数として10、12、16、20、32程度では全く問題ない。
【0091】
割付数を多くすると、数字、英字、記号などの割付けを行い(例えば、「0」〜「9」、「A」〜「F」、「#」、「$」、「%」、「&」、「+」、「−」、…)、RFIDチップ17からも種々の情報、コマンドを送出できることになり、さらに、認証項目や認証対象機器の適用範囲を広げることができる。
【0092】
なお、第1の実施形態の認証方法と、他の認証方法(例えば、指紋などを利用する個体認証方法)とを併用するようにしても良いことは勿論である。
【0093】
アンテナ部12とワイヤレスキー本体11との相対的な可動構造は、図1及び図3を用いて説明した蝶番部13による折りたたみ式のものに限定されるものではなく、アンテナ部12が無効な位置と有効な位置とをとり得るのならば他の構造でも良い。
【0094】
図10は、アンテナ部12とワイヤレスキー本体11との相対的な可動構造の第1の変形例を示している。この変形例では、アンテナ部12が、その一面の法線方向に沿った回転軸を中心12Aを回転し得るものであり、この回転により、ワイヤレスキー本体11に収容された状態(位置)及びワイヤレスキー本体11の外部に引き出された状態(位置)間で状態を変化し得るようになされている。
【0095】
図11は、アンテナ部12とワイヤレスキー本体11との相対的な可動構造の第2の変形例を示している。この変形例では、アンテナ部12が、ワイヤレスキー本体11に対して摺動し得るものであり、この摺動により、ワイヤレスキー本体11に収容された状態(位置)及びワイヤレスキー本体11の外部に引き出された状態(位置)間で状態を変化し得るようになされている。
【0096】
第1及び第2の変形例共に、アンテナ部12がワイヤレスキー本体11に収容された状態が持ち運び時(未使用時)の状態であり、アンテナ部12がワイヤレスキー本体11の外部に引き出された状態が認証時(使用時)の状態である。また、アンテナ部12がワイヤレスキー本体11に収容された状態では、アンテナ部12のアンテナ14は、ワイヤレスキー本体11に設けられている図示しない電磁シールド用金属面(図1の符号16参照)に接触するようになされている。
【0097】
相対的な可動構造の第1及び第2の変形例を採用したワイヤレスキー10における認証動作は、第1の実施形態のものと同様である。
【0098】
ワイヤレスキー10の性能を劣化させることなく、第1の実施形態のアンテナ構造、これら変形例のアンテナ構造を選択できるので、操作性を含め、外観構造の自由度を大きくすることができる。また、スライド方式の場合には、アンテナそのもののループをOFFする構造も容易に実現でき(例えば、RFIDチップ17との接続をスライド伸長時に切断する)、さらにセキュリティを向上させることができる。
【0099】
(B)第2の実施形態
次に、本発明による認証システム及び認証システム用無線タグ装置の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0100】
図12は、第2の実施形態のワイヤレスキー10Aにおいて、アンテナ部12がワイヤレスキー本体11から最も開いた状態の概略正面図であり、第1の実施形態に係る図1に対応する図面であり、第1の実施形態との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0101】
また、図13は、第2の実施形態のセンサ対応RFIDチップ17の内部構成及び周辺要素との接続関係を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る図5に対応する図面であり、第1の実施形態との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0102】
第2の実施形態のワイヤレスキー10Aは、複数(図示のものは2個)の可変抵抗器19−1及び19−2を備えており、これら可変抵抗器19−1及び19−2は、アナログスイッチ25を介して、センサ対応RFIDチップ17のアナログインタフェース部22に接続されている。
【0103】
アナログスイッチ25に対しては、センサ対応RFIDチップ17のデジタル入出力部23から選択信号が与えられ、アナログスイッチ25は、その選択信号が指示している可変抵抗器19−1又は19−2をアナログインタフェース部22に接続させるものである。
【0104】
RFID送受信部21は、押しボタンスイッチ18が押下された際には、デジタル入出力部23からの選択信号を制御して、可変抵抗器19−1及び19−2の抵抗値を順次取り込み、これら2つの抵抗値を1回の送信動作、又は、順次の送信動作で、認証装置本体30に送信する。なお、選択信号の制御を、認証装置本体30が主導権をとって行うようにしても良い。
【0105】
第2の実施形態の認証装置本体30の内部構成は、第1の実施形態と同様なものである。第2の実施形態の場合、認証装置本体30の認証制御部33には、2個の番号などの情報が、同時に又は短期間で連続して与えられ、認証制御部33は、与えられた2個の番号などを、第1の実施形態と同様に処理する。
【0106】
なお、「設定」や「取消し」などのコマンドを、可変抵抗器19−1及び19−2の一方にのみ割り当てるようにしても良く、また、両者に割り当てるようにしても良く、後者の場合、両可変抵抗器19−1及び19−2が共に同じコマンドになっていることを条件とするようにしても良い。
【0107】
例えば、認証番号が2桁の場合であれば、可変抵抗器19−1及び19−2にそれぞれ、各桁の番号を設定した後、押しボタンスイッチ18を押下し、その後、可変抵抗器19−1及び又は19−2に「設定」コマンドを設定した後、押しボタンスイッチ18を押下すれば認証させることができる。
【0108】
第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。さらに、第2の実施形態によれば、複数の可変抵抗器19−1及び19−2を備えているので、認証番号の入力時の手間を削減することができる。可変抵抗器の個数は、認証番号の桁数と同じであっても良く、また、少なくても良い。後者の場合であっても、1個の可変抵抗器を有する場合より、認証番号の入力時の手間を削減することができる。
【0109】
図13では、複数の可変抵抗器19−1及び19−2に対し、1個のアナログインタフェース部22を共通的に使用するものを示したが、複数の可変抵抗器19−1及び19−2のそれぞれに対応するように、複数のアナログインタフェース部22を設けるようにしても良い。
【0110】
また、複数の可変抵抗器19−1及び19−2のそれぞれに対応するように、センサ対応RFIDチップ(17)も複数設けるようにしても良い。この場合であっても、押しボタンスイッチ18を共通にする。
【0111】
(C)第3の実施形態
次に、本発明による認証システム及び認証システム用無線タグ装置の第3の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0112】
図14は、第3の実施形態のワイヤレスキー10Bにおいて、アンテナ部12がワイヤレスキー本体11から最も開いた状態の概略背面図(図1のような図面を正面図とした場合における背面図)であり、第1の実施形態との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0113】
また、図15は、第3の実施形態のセンサ対応RFIDチップ17の内部構成及び周辺要素との接続関係を示すブロック図であり、第1の実施形態に係る図5に対応する図面であり、第1の実施形態との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0114】
第3の実施形態のワイヤレスキー10Bは、図14に示すように、ワイヤレスキーカバー20に設けられたLCD(液晶)表示器26を有する。このLCD表示器26は、図15に示すように、センサ対応RFIDチップ17のデジタル入出力部23に接続されているLCDドライバ27によって駆動されるものである。
【0115】
第3の実施形態の認証装置本体30の内部構成は、第1の実施形態と同様なものである。但し、第3の実施形態の場合、認証装置本体30の認証制御部33は到来した番号を設定、記憶したときには、その番号を、ワイヤレスキー10BのLCD表示器26に表示させるための、ワイヤレスキー10Bへの送信動作を行う。
【0116】
これにより、LCD表示器26には、可変抵抗器19を用いて入力された認証番号が表示される。なお、認証制御部33は、「認証OK」などのメッセージをワイヤレスキー10BのLCD表示器26に表示させるような制御を行っても良い。
【0117】
第3の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。さらに、第3の実施形態によれば、入力した認証番号や装置状態などを操作者が確認することができるという効果をも奏する。すなわち、操作者が認証番号の認識できること、これ以外に各種コマンドに対する応答メッセージなどの表示が行えることにより、操作性が飛躍的に向上する。このような認証番号や各種メッセージの表示もバッテリーレスで可能である。
【0118】
(D)第4の実施形態
次に、本発明による認証システム及び認証システム用無線タグ装置の第4の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0119】
図16は、第4の実施形態のワイヤレスキー10Cにおいて、アンテナ部12がワイヤレスキー本体11から最も開いた状態の概略正面図であり、第1の実施形態に係る図1に対応する図面であり、第1の実施形態との同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
【0120】
図17及び図18は、図16に示した状態の第4の実施形態のワイヤレスキー10Cが、認証装置本体30に設けられているアンテナ部挿入空洞37に挿入されたイメージを示す概略断面図であり、図17は、アンテナ部挿入空洞37の挿入方向に沿った断面図であり、図18は、アンテナ部挿入空洞37の挿入方向に直交する面での断面図である。
【0121】
第4の実施形態のワイヤレスキー10Cは、可変抵抗器19等を利用した認証構成(言い換えるとソフトウェア的キー構成)に加え、2種類のハードウェアキー構成を適用したものである。
【0122】
第4の実施形態のワイヤレスキー10Cにおける第1のハードウェアキー構成は、アンテナ部12に設けられている1又は複数の切り込み部28である。切り込み部28は、第4の実施形態のワイヤレスキー10Cと認証装置本体30とが対応するものであるときに、図17に示すような、認証装置本体30のアンテナ部挿入空洞37に適宜設けられている、先端部が円錐状の前後動するキー溝検出スイッチ38や、全体が円筒状で前後動するブロックキー39と係合するものである。
【0123】
第4の実施形態のワイヤレスキー10Cにおける第2のハードウェアキー構成は、アンテナ部12に穿設されている1又は複数の貫通孔29である。貫通孔29は、第4の実施形態のワイヤレスキー10Cと認証装置本体30とが対応するものであるときに、図18に示すような、認証装置本体30のアンテナ部挿入空洞37に適宜設けられている、発光器40及び受光器41でなる光電センサの光線授受を許容するものである。
【0124】
なお、アンテナ部12はアンテナ14の信号捕捉を許容するため、金属以外の材質で形成されており、切り込み部28や貫通孔29を形成させることは容易である。
【0125】
第3の実施形態の認証装置本体30は、第1の実施形態とほぼ同様なものである。なお、認証装置本体30の認証制御部33には、キー溝検出スイッチ38やブロックキー39からの係合信号や、受光器41からの受光信号も与えられ、認証判定に利用される。認証制御部33には、キー溝検出スイッチ38やブロックキー39のいずれか1個でも係合信号を出力しない場合や、いずれか1個の受光器41からの受光信号が得られない場合には、認証NGとする。
【0126】
なお、ハードウェアキー構成の認証OKを、RFIDリーダライタ32が通信動作する条件とするようにしても良い。
【0127】
第4の実施形態によっても、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。さらに、第4の実施形態によれば、ハードウェアキー構成も認証に用いているので、セキュリティを一段と向上させることができる。
【0128】
(E)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
【0129】
上述した各実施形態の技術思想は矛盾が生じない限り、他の実施形態の技術思想と組み合わせても良いことは勿論である。
【0130】
上記各実施形態においては、センサ対応RFIDチップ17に、情報に対応させた電気量を入力させる構成要素が可変抵抗器19であるものを示したが、可変抵抗器19以外のセンサなどを用いて、情報に対応させた電気量を入力させるようにしても良い。例えば、温度によって抵抗値が変化する温度センサを用い、ライタなどを用いて温度を変化させて情報を入力させたりしても良い。
【0131】
また、上記各実施形態においては、可変抵抗器19の抵抗値の取り込みを指示するものが押しボタンスイッチ18であるものを示したが、他の構成であっても良い。例えば、受光素子を設け、受光素子の所定光量以上の受光を、可変抵抗器19の抵抗値の取り込み指示とするようにしても良い。
【0132】
さらに、上記各実施形態においては、センサ対応RFIDチップ17の不揮発性メモリ24には個別識別番号だけを格納しておくものを示したが、他の情報をも格納しておき、適宜、認証装置本体30に送信するようにしても良い。
【0133】
例えば、暗号化された認証番号を格納しておき、認証装置本体30に送信し、復号された認証番号も照合するようにしても良い。また、操作者の氏名情報を格納しておき、認証装置本体30に送信するようにしても良い。第3の実施形態の変形例としては、操作者の氏名情報を受信した認証装置本体30が「生年月日を入力して下さい」というメッセージをLCD表示器26に表示させ、可変抵抗器19を利用させて生年月日を取り込んで認証に利用するようにしても良い。さらに、認証失敗時の入力情報や、認証管理情報(ログ情報)を記憶するようにしても良い。
【0134】
さらにまた、上記各実施形態におけるセンサ対応RFIDチップと表現した部分は、1チップで構成されている場合に限定されるものではなく、複数のチップによって構成されていても良い。
【0135】
また、ワイヤレスキーと認証装置本体との機能分けは、上記各実施形態のものに限定されない。例えば、抵抗値の測定に必要な閾値データをも、認証装置本体からワイヤレスキー側に与えるようなものであっても良い。
【0136】
さらに、アンテナ部12が開いた状態などでその位置が勝手に変化しないようにする係止機構を、各実施形態のワイヤレスキーに設けるようにしても良い。
【0137】
さらにまた、RFIDリーダライタ側からの送信は、人感センサなどの組み合わせにより特定条件が成立したときにのみ開始されるようにしても良く、また、1個のワイヤレスキーとの一連の通信時間を、RFIDリーダライタ側が、タイマなどによって制限するようにしても良い。また、RFIDリーダライタ側がタイマによって、時刻を管理し、認証
処理を行う時間帯を制限するようにしても良い。すなわち、この時間帯では、ワイヤレスキーとの通信を行い、時間帯以外ではワイヤレスキーとの通信自体を実行しないようにしても良い。
【0138】
本発明の認証システムの用途は限定されず、認証を必要とするシステム、機器であれば、本発明を適用することができる。例えば、機密保持が必要な場所の入退室管理や、社会的に影響を及ぼす機器の管理や、自動販売機など一人のサービスマンが多くの機器をメンテナンスする場合などに適用できるだけでなく、ATM保守者などの認証、ビル警備員の認証等にも適用でき、また、対象機器等も、キャッシュカード、金庫、マンション、防犯機器、携帯電話キー、コインロッカー、CPUサーバなどであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】第1の実施形態のワイヤレスキーのアンテナ部がワイヤレスキー本体から最も開いた状態の概略正面図である。
【図2】従来の入退室管理用の認証システムの一般的な構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態のワイヤレスキーのアンテナ部がワイヤレスキー本体に閉じた状態の概略正面図である。
【図4】第1の実施形態のワイヤレスキーのアンテナ部がワイヤレスキー本体に閉じた状態の概略平面図である。
【図5】第1の実施形態のセンサ対応RFIDチップの内部構成及び周辺要素との接続関係を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態の可変抵抗器とセンサ対応RFIDチップのアナログインタフェース部との接続方法の説明図である。
【図7】第1の実施形態の可変抵抗器のつまみ位置と割当情報との関係例を示す説明図である。
【図8】第1の実施形態の認証装置本体の詳細構成を示すブロック図である。
【図9】第1の実施形態のワイヤレスキーの認証ルーチンを示すフローチャートである。
【図10】アンテナ部とワイヤレスキー本体との相対的な可動構造の、第1の実施形態に対する変形例(1)を示す概略正面図である。
【図11】アンテナ部とワイヤレスキー本体との相対的な可動構造の、第1の実施形態に対する変形例(2)を示す概略正面図である。
【図12】第2の実施形態のワイヤレスキーのアンテナ部がワイヤレスキー本体から最も開いた状態の概略正面図である。
【図13】第2の実施形態のセンサ対応RFIDチップの内部構成及び周辺要素との接続関係を示すブロック図である。
【図14】第3の実施形態のワイヤレスキーのアンテナ部がワイヤレスキー本体から最も開いた状態の概略背面図である。
【図15】第3の実施形態のセンサ対応RFIDチップの内部構成及び周辺要素との接続関係を示すブロック図である。
【図16】第4の実施形態のワイヤレスキーのアンテナ部がワイヤレスキー本体から最も開いた状態の概略正面図である。
【図17】第4の実施形態のワイヤレスキーを認証装置本体のアンテナ部挿入空洞に挿入したイメージを示す概略断面図(1)である。
【図18】第4の実施形態のワイヤレスキーを認証装置本体のアンテナ部挿入空洞に挿入したイメージを示す概略断面図(2)である。
【符号の説明】
【0140】
10、10A、10B、10C…認証システム用無線タグ装置(ワイヤレスキー)、11…ワイヤレスキー本体、12…アンテナ部、13…蝶番部、14…アンテナ、15…本体基板、16…電磁シールド用金属面、17…センサ対応RFIDチップ、18…押しボタンスイッチ、19、19−1、19−2…可変抵抗器、20…ワイヤレスキーカバー、21…RFID送受信部、22…アナログインタフェース部、23…デジタル入出力部、24…不揮発性メモリ、25…アナログスイッチ、26…LCD表示器、27…LCDドライバ、28…切り込み部、29…貫通孔、30…認証装置本体、31…リーダライタアンテナ(R/Wアンテナ)、32…RFIDリーダライタ、33…認証制御部、34…認証番号記憶部、35…個別識別番号記憶部、36…扉開閉駆動部、37…アンテナ部挿入空洞、38…キー溝検出スイッチ、39…ブロックキー、40…発光器、41…受光器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証装置本体に対し、非接触で認証に必要な情報を与える認証システム用無線タグ装置において、
アナログ信号のセンシング機能を有するセンサ対応RFIDタグと、このセンサ対応RFIDタグに対し、所定種類の電気量を入力させる電気特性可変器とを備え、
上記電気特性可変器の電気量を認証情報の入力に利用することを特徴とする認証システム用無線タグ装置。
【請求項2】
RFIDリーダライタ側からの電磁波エネルギーだけで動作する、バッテリーレスであることを特徴とする請求項1に記載の認証システム用無線タグ装置。
【請求項3】
操作者の操作に応じ、上記電気特性可変器の電気量の取込みタイミング信号をセンサ対応RFIDタグに入力する取込タイミング操作手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の認証システム用無線タグ装置。
【請求項4】
上記センサ対応RFIDタグのアンテナが設けられているアンテナ部が、無線タグ装置本体に対して、第1の位置及び第2の位置間で可動し得るものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の認証システム用無線タグ装置。
【請求項5】
上記アンテナ部が第1の位置でRFIDリーダライタ側と通信可能とすると共に、第2の位置でRFIDリーダライタ側との通信を不可能とする電磁シールド手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の認証システム用無線タグ装置。
【請求項6】
上記電気特性可変器が複数設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の認証システム用無線タグ装置。
【請求項7】
センサ対応RFIDタグからの信号によって表示動作する表示器を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の認証システム用無線タグ装置。
【請求項8】
上記センサ対応RFIDタグのアンテナが設けられているアンテナ部が、機構的なキーの構成要素となるハードキー部分を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の認証システム用無線タグ装置。
【請求項9】
認証情報を入力する認証情報入力装置と、入力された認証情報に基づいて認証を行う認証装置本体とを有する認証システムにおいて、
上記認証情報入力装置として、請求項1〜7のいずれかに記載の認証システム用無線タグ装置を適用すると共に、
上記認証装置本体が、RFIDアンテナと、RFIDリーダライタとを含む
ことを特徴とする認証システム。
【請求項10】
上記認証装置本体は、上記認証システム用無線タグ装置に入力された認証情報、及び、上記認証システム用無線タグ装置のセンサ対応RFIDタグに付与されている個別識別番号とに基づいて、認証を行うことを特徴とする請求項9に記載の認証システム。
【請求項11】
上記電気特性可変器の電気量の取り得る範囲を複数に分割し、各分割範囲に、情報及び又はコマンドを割付けておき、上記認証装置本体が、上記認証システム用無線タグ装置から与えられた上記電気特性可変器の電気量に基づき、入力情報又は入力コマンドを認識することを特徴とする請求項9又は10に記載の認証システム。
【請求項12】
上記電気特性可変器の電気量の取り得る範囲に対する上記情報及び又はコマンドの割付方法を変更可能なことを特徴とする請求項11に記載の認証システム。
【請求項13】
上記認証装置本体が管理している、参照用の認証情報の内容及び桁数の少なくとも一方を変更できることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の認証システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−102306(P2007−102306A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287911(P2005−287911)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(391006773)株式会社沖電気コミュニケーションシステムズ (16)
【Fターム(参考)】