説明

認証装置、認証方法及びプログラム

【課題】ペアリング直後のサーチモードでは直前に登録したキーをサーチする。
【解決手段】ペアリングモードで本体側装置102にワイヤレスキー103を追加登録した後、それぞれサーチモードへ移行し、サーチモードのサーチ区間Aの間、本体側装置102とワイヤレスキー103で行うサーチ通信において、本体側装置102は直前に登録されたワイヤレスキー103のIDのみを受信待ち受けさせることで、利用者が使おうとして追加登録したワイヤレスキーが意図したとおりサーチ通信し認証され、認証キーとして利用できるようになり利便性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤレスキーと本体側装置とで定期的或いは不定期的に無線の送受信を行うことによりお互いの存在を確認しあい、ワイヤレスキーと本体側装置が所定の通信範囲を超えた場合に本体側装置の機能を制限したり或いは警報を発生させる認証装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、セキュリティを考慮しながら携帯電話、あるいはパソコンをはじめとする電子機器の操作ロックを、ワイヤレスで制御するようにしたセキュリティシステムが実用化されてきている。
【0003】
このようなセキュリティシステムの一形態として、携帯電話の盗難を防止するために、携帯電話の利用者が、カード形態の識別信号送信機を所持し、前記の携帯電話と識別信号送信機との間で予め定めた識別コードを相互に通信し、双方で識別コードを確認できた時に前記携帯電話の使用を可能とするものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このようなワイヤレスによる双方向通信システムの特許文献1では、電子機器等の本体側に搭載された機器において、携帯側装置(以降、ワイヤレスキーと称する)から定期的に発せられる信号を検知する動作を継続して行わせる構成であった。
【0005】
そして、サーチモード、認証モード、サーチモードから認証モードに移行する中間段階である初期認証モード、という3つのモードを有し、認証モードにおいて電子機器の操作を可能とする構成、サーチモードにおいては電子機器の操作を制限する構成が示されている。サーチモードと認証モードの識別は電波強度によって行われる。
【0006】
例えば、電波強度が強い(ワイヤレスキーを持った利用者との距離が近い)ときは認証モードとして電子機器が使用可能とし、電波強度が弱い(距離が遠い)ときにはサーチモードとして電子機器を使用制限する。
【特許文献1】特開2004−143806号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、複数のワイヤレスキーを本体側装置に登録される場合において、サーチモードになった場合、本体側装置がワイヤレスキーを探している時、複数あるワイヤレスキーのいずれと認証されるか分からない。すなわち本体側装置にワイヤレスキーを登録設定するモード(以下ペアリングモードと呼ぶ)で、ワイヤレスキーを登録した順番や、また利用者がワイヤレスキーを利用している状況に関係なく、複数あるいずれかのワイヤレスキーと認証してしまう問題があり、利用者にとって利便性が悪かった。すなわち自分の意図したワイヤレスキーをサーチモードで探し出し、認証させることができなかった。
【0008】
また加えて、本体側装置にすでに登録されているワイヤレスキーAがあり、そして利用者が新たに購入してワイヤレスキーBを追加登録したい場合、利用者は、本体側装置とワイヤレスキーBをペアリングモードで登録設定する。そして登録完了後、本体側装置、すでに登録済みのワイヤレスキーA、新たに登録したワイヤレスキーBはいずれもサーチモードになり本体側装置はワイヤレスキーをサーチモードで探すが、今登録したワイヤレスキーBが認証キーとして認証通信されるどうかが分からず利便性が悪いものであった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、本体側装置に複数のワイヤレスキーを設定できる場合、すでに登録されたワイヤレスキーAに加えて、追加してワイヤレスキーBをペアリングモードで登録設定した場合、登録完了後に移行するサーチモードにおいて、登録された順番や、設定された優先度に応じて特定の1台のワイヤレスキーBのみを探すサーチ区間Aと、その後に登録されたすべてのワイヤレスキーを探すサーチ区間Bを設け、ワイヤレスキーを追加登録した場合に、利用者の意図通りに認証させ、利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ワイヤレスキーと本体側装置とが定期的または不定期的に無線の送受信を行うことによりお互いの存在を確認しあい、前記ワイヤレスキーと前記本体側装置が所定の通信範囲を超えた場合に前記本体側装置の機能を制限したり或いは警報を発生する認証装置であって、前記ワイヤレスキーを前記本体側装置に登録し認証通信が可能なように設定するペアリングモードと、前記ワイヤレスキーと本体側装置が通信範囲外になった時、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーの応答を受信するまで一定期間の間サーチ通信を送信し続けるサーチモードと、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーとが所定の通信範囲にあり、かつ前記本体側装置が登録された前記ワイヤレスキーであるかを認証する認証通信を行う認証モードを備え、ワイヤレスキーが本体側装置に登録された場合、前記サーチモードにおいて、ワイヤレスキーの登録された順番、設定された優先度に応じて特定の1個のワイヤレスキーのみをサーチ通信するサーチ区間Aと、サーチ区間Aが終了した後登録されたワイヤレスキーすべてをサーチ通信するサーチ区間Bを有する認証装置を構成したものである。
【0011】
そして本体側装置にすでにワイヤレスキーが登録されており、追加でワイヤレスキーを登録した場合において、登録された順番や設定された優先度に応じて、本体側装置のサーチ区間Aの間で、特定の1台のワイヤレスキーのみとサーチ通信を行うことによって、利用者が直前に登録したワイヤレスキー(すなわち、現在利用したいワイヤレスキー)のみを探すことができるようになり、利用者が意図しない古いワイヤレスキーと認証されないので利用者の利便性を向上する。
【0012】
また加えて本体側装置に利用者が設定した優先度設定に応じて、ワイヤレスキーを探してサーチ通信を行うようにすると、登録の順番に関係なく利用者が使用したいワイヤレスキーを優先的にサーチ通信できるようになりさらに利便性を向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の認証装置、認証方法及びプログラムを用いることにより、サーチモードのサーチ区間Aの期間で、登録された順番や利用者が設定した優先度に応じて、本体側装置に登録された特定のワイヤレスキーの1台のみをサーチ通信することができるようになり、利用者の意図したワイヤレスキーが優先的に認証されるようになり、利便性を向上する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第一の発明は、ワイヤレスキーと本体側装置とが定期的または不定期的に無線の送受信を行うことによりお互いの存在を確認しあい、前記ワイヤレスキーと前記本体側装置が所定の通信範囲を超えた場合に前記本体側装置の機能を制限したり或いは警報を発生する認証装置であって、前記ワイヤレスキーを前記本体側装置に登録し認証通信が可能なように設定するペアリングモードと、前記ワイヤレスキーと本体側装置が通信範囲外になった時、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーの応答を受信するまで一定期間の間サーチ通信を送信し続けるサーチモードと、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーとが所定の通信範囲にあり、かつ前記本体側装置が登録された前記ワイヤレスキーであるかを認証する認証通
信を行う認証モードを備え、ワイヤレスキーが本体側装置に登録された場合、前記サーチモードにおいて、ワイヤレスキーの登録された順番、設定された優先度に応じて特定の1個のワイヤレスキーのみをサーチ通信するサーチ区間Aと、サーチ区間Aが終了した後登録されたワイヤレスキーすべてをサーチ通信するサーチ区間Bを有する認証装置を構成したものである。
【0015】
そしてサーチモードのサーチ区間Aの期間で、登録された順番や利用者が設定した優先度に応じて、本体側装置に登録された特定のワイヤレスキーの1台のみをサーチ通信することができるようになり、利用者の意図したワイヤレスキーのみが優先的に認証されるようになり、利便性を向上する。
【0016】
第二の発明は、前記ペアリングモードで追加登録されたワイヤレスキーを備え、前記本体側装置はペアリングモードからサーチモードへ移行した時、前記ペアリングモードで追加されたワイヤレスキーのみを前記サーチ区間Aで待ち受けサーチ通信を行う請求項1に記載の認証装置を構成したものである。
【0017】
そして、ペアリングモードからサーチモードへ移行した本体側装置は、直前にペアリングモードで追加したワイヤレスキーのみをサーチ区間Aの間に探してサーチ通信させ認証させるので、追加登録したワイヤレスキーをそのまま認証キーとして使うことができるようになり、利用者の利便性を向上する。
【0018】
第3の発明は、ワイヤレスキーと本体側装置とが定期的または不定期的に無線の送受信を行うことによりお互いの存在を確認しあい、前記ワイヤレスキーと前記本体側装置が所定の通信範囲を超えた場合に前記本体側装置の機能を制限したり或いは警報を発生する認証装置であって、前記ワイヤレスキーを前記本体側装置に登録し認証通信が可能なように設定するペアリングモードと、前記ワイヤレスキーと本体側装置が通信範囲外になった時、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーの応答を受信するまで一定期間の間サーチ通信を送信し続けるサーチモードと、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーとが所定の通信範囲にあり、かつ前記本体側装置が登録された前記ワイヤレスキーであるかを認証する認証通信を行う認証モードを備え、ワイヤレスキーが本体側装置に登録されるステップと、前記サーチモードにおいて、ワイヤレスキーの登録された順番、設定された優先度に応じて特定の1個のワイヤレスキーのみをサーチ通信するステップ(サーチ区間A)と、前記サーチ区間Aの後登録されたワイヤレスキーすべてをサーチ通信するステップ(サーチ区間B)を備えた認証方法である。
【0019】
そしてサーチモードのサーチ区間Aの期間で、登録された順番や利用者が設定した優先度に応じて、本体側装置に登録された特定のワイヤレスキーの1個のみをサーチ通信することができるようになり、利用者の意図したワイヤレスキーが優先的に認証されるようになり、利便性を向上する。
【0020】
第4の発明は、前記ペアリングモードでワイヤレスキーを追加登録するステップと、前記本体側装置はペアリングモードからサーチモードへ移行するステップと、前記ペアリングモードで追加されたワイヤレスキーのみを前記サーチ区間Aで待ち受けサーチ通信を行うステップを備えた請求項3に記載の認証方法である。
【0021】
そして、ペアリングモードからサーチモードへ移行した本体側装置は、直前にペアリングモードで追加したワイヤレスキーのみをサーチ区間Aの間に探してサーチ通信させ認証させるので、追加登録したワイヤレスキーをそのまま認証キーとして使うことができるようになり、利用者の利便性を向上する。
【0022】
第5の発明は、請求項1または2のいずれか1項記載の認証装置の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムである。
【0023】
そして、プログラムであるので、電気・情報機器、コンピュータ、等のハードリソースを協働させて本発明の少なくとも一部を簡単なハードウェアで実現できる。また記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における認証装置のブロック図を示すものである。
【0026】
図1において携帯電話101は、本体側装置102である第一のアンテナ1、第一の送受信手段2、第一の受信情報判定手段3、第一の応答手段4と携帯電話101の機能である設定手段5で構成されている。
【0027】
ワイヤレスキー103は、第二のアンテナ6、第二の送受信手段7、第二の受信情報判定手段8、第二の応答手段9で構成されている。
【0028】
本実施の形態では、本体側装置102は携帯電話101に組み込んだものを説明するが、ノートパソコンなどの電子機器に組み込んで使用することも可能である。ワイヤレスキー103と本体側装置102が認証装置を構成している。
【0029】
本実施の形態の認証装置は特定小電力無線の電波426MHz帯を使用したものである。また同装置で動作モードであるペアリングモード、サーチモードではチャンネル4(以下、CH4と示す)、認証モードではCH1〜3をランダムに使用するシステムを構成する。
【0030】
本体側装置102とワイヤレスキー103の間の認証方法について図2を参照しながら説明する。
【0031】
本体側装置102はペアリングされたワイヤレスキー103と距離が離れて通信できない場合サーチモードと呼ばれるモードで動作する。本体側装置102とワイヤレスキー103のペアリング動作に関しては後述する。サーチモードでは、本体側装置102はペアリングされたワイヤレスキー103に対して所定の間隔でサーチ要求11、12、13を発信し、ワイヤレスキー103を探す。本実施の形態では、2秒ごとにサーチ要求を送信している。
【0032】
ワイヤレスキー103がサーチ要求13を受信するとキー側簡易ID14を本体側装置102へ送信する。本体側装置102は受信したキー側簡易ID14を確認し、ペアリングされた相手かを判定して、本体側簡易ID15を応答する。ワイヤレスキー103は受信した本体側ペアリングされた本体側装置102であるかを確認する。
【0033】
簡易IDでペアリングされた装置からの信号であることを確認すると、ワイヤレスキー102はキー側ID16を本体側装置102へ送信し、確認されると本体側装置102から本体側ID17をワイヤレスキー103へ送信する。そしてワイヤレスキー103は本体側装置102を確認する。
【0034】
このように、本体側装置102から自身にペアリングされたワイヤレスキー103を探し互いがペアリング登録された相手であることを確認すると、サーチモードから認証モードへ移行する。なお、それぞれの簡易IDは、実際のIDデータの一部から構成され、データサイズはIDデータより小さいサイズで構成される。
【0035】
次に認証モードについて説明する。本体側装置102からは認証要求信号18が短時間送信される。ワイヤレスキー103は前記認証要求18を受信すると認証応答信号19を送信する。認証要求18及び認証応答信号19にはIDの一部から形成された識別データが含まれており、前記識別データを検出することによりお互いが紐付けされた相手であることを認証する。
【0036】
例えば8秒ごとに本体側装置102から認証要求18、20と順次送信され、識別データを検出・認証したときにワイヤレスキー103から応答19、21が返信される。この繰り返しによりお互いの認証が維持される。
【0037】
このように認証要求に対して認証応答を返信しお互いが認証しあっている状態が認証モードであり、この認証モードの期間で受信レベルが所定値以上であると、本体側装置102が組み込まれた携帯電話101などの電子機器の機能制限、またはワイヤレスキー103からの警報は行わない。
【0038】
認証要求18、20や認証応答19、21の送受信は図1の第一の送受信手段2や第二の送受信手段7で行われる。
【0039】
第一の送受信手段2や第二の送受信手段7で認証要求18、20や認証応答19、21の電波を受信すると、図示していないが受信レベルを検出する。受信レベルが所定の受信レベルP1以上であると判定すれば、認証モードを保持し前記の認証手順を繰り返す。受信レベルがP1未満であった場合、携帯電話の特定の機能、電子マネーやメールなどの機能を制限する。
【0040】
次にワイヤレスキー103と本体側装置102の間の距離が離れ、本体側装置102で検出する認証応答信号19、21の受信レベルが所定の受信レベルP2以下になった場合について説明する。本体側装置102からの認証要求22の電波をワイヤレスキー103で受信できずに認証応答23が返ってこない、或いは受信できたが認証応答23が本体側装置102で受信できない時、本体側装置102はサーチモードに移行する。
【0041】
サーチモードに移行すると、本体側装置102が実装されている携帯電話などの電子機器の機能制限行う。機能制限とは例えば携帯電話の場合、キー操作を禁止することによりアドレス情報を見られないようにしたり、電子マネー機能を禁止したり、電話の発信を禁止したりすることにより、携帯電話の機能の一部或いは全てを使えなくすることである。
【0042】
一方、ワイヤレスキー103も認証要求22が受信できない場合、サーチモードに移行する。そして図示していないが、ブザーを鳴らし置き忘れを報知する。受信できた場合は、認証モードを継続する。
【0043】
サーチモードに移行すると本体側装置102は、サーチ要求を間欠送信し、48時間経過するとワイヤレスキー103は動作停止の状態になる。
【0044】
次に図3、4、5を用いて本体側装置102とワイヤレスキー103のペアリング動作後のサーチモードの動作、作用について説明する。
【0045】
図3は本実施の形態1のペアリングモードでペアリング登録した本体側装置102、ワイヤレスキー103がサーチモードへ移行する動作を示すシーケンス図である。図4はペアリング動作後のサーチモードのシーケンス図である。図5はペアリング動作後のサーチモードのサーチA区間の処理を示すシーケンス図である。
【0046】
図3において、ペアリングモードに設定された本体側装置102は同じくペアリングモードのワイヤレスキー103に対して、サーチ要求24、25、26を間欠的に送信している。
【0047】
そしてサーチ要求26を受信したワイヤレスキー103は応答としてキー側簡易ID27を本体側装置102に送信する。キー側簡易ID27を受信した本体側装置102は、乱数データ28をワイヤレスキー103に対して送信する。乱数データ28を受信したワイヤレスキー103はキー側ID29を本体側装置102に送信し、また本体側装置102はワイヤレスキー103に本体側ID30を送信する。そして乱数データ28とキー側ID、本体側IDから共通鍵を生成する(図3 31)。
【0048】
ワイヤレスキー103は本体側ID30を受信すると、共通鍵を生成後、本体側ID32を本体側装置102に送信し、本体側装置102で同じく共通鍵を生成する(図3 33)。
【0049】
そして本体側装置102は共通鍵を生成すると、ペアリングされたワイヤレスキー103のキー側IDに優先度フラグを立て不揮発メモリに記録する(図3 34)。
【0050】
そしてペアリングが完了するとそれぞれサーチモードへ移行する。ペアリングモードでペアリング登録された本体側装置102、ワイヤレスキー103は互いに通信相手として登録する。
【0051】
サーチモードへ移行すると、本体側装置102はサーチ区間A37の30秒間において2秒間欠でサーチ要求35、36を送信する。ワイヤレスキー103は0.2秒間欠で受信を行い、サーチ要求を受信するとキー側簡易IDを応答する。サーチ区間Aの本体側装置102は直前のペアリングモードで登録されたワイヤレスキー103のみの信号を待ち受け、それ以外の信号は無視する。すなわち、本体側認証装置102に複数のワイヤレスキー103が登録されている場合であっても、サーチ区間Aの間は、直前に登録されたワイヤレスキー103のみがサーチ通信が可能になる。
【0052】
サーチ区間Aの30秒でワイヤレスキー103の信号が受信できずサーチ通信が完了しない場合、サーチ区間B40へ移行する。サーチ区間Bでは本体側装置102にペアリングされた複数のすべてのワイヤレスキー103の信号を待ち受け応答する。本体側装置102はサーチ要求38、39の送信間隔が11秒に変更され、ワイヤレスキー103は受信間欠が1秒に変更される。サーチ区間Bは3時間である。サーチ区間Bが経過すると、さらにサーチモードは変更され、本体側装置102は48時間でサーチ要求の送信を停止する。
【0053】
図5はペアリング後のサーチ区間Aのサーチ通信を示す。本体側装置102はサーチ要求41、42、3を2秒間欠で送信し、直前のペアリング動作で登録したワイヤレスキー103の応答を待ち受けしている。そしてワイヤレスキー103がサーチ要求43を第二のアンテナ(図1の6)、第二の送受信手段(図1の7)を介して受信すると、正常な信号であるかを第二の受信情報判定手段(図1の8)で判定され、第二の応答手段(図1の9)により、キー側簡易ID44が応答される。
【0054】
キー側簡易ID44を受信した本体側装置102は、第一のアンテナ(図1の1)、第一の受信情報判定手段(図1の3)で受信され正常な信号であるかを第一の受信情報判定手段3で判定し、第一の応答手段4により本体側簡易ID45が送信される。
【0055】
そして同様に本体側簡易ID45がワイヤレスキー103で受信され、ペアリングされた本体側装置102と一致すると、ワイヤレスキー103本体側装置102に対してキー側ID46を送信する。
【0056】
キー側ID46を受信した本体側装置102は、受信したIDが直前のペアリングモードで登録されたワイヤレスキー103のIDであるかを判定する。判定は第一の受信情報判定手段(図1の3)で行う。ワイヤレスキー103のキー側IDと共に、直前にペアリングモードで登録された時に記録する優先度フラグを判定する。受信したキー側ID46が、本体側装置102に保持するワイヤレスキーのIDと一致してかつ優先度フラグが立っている場合、第一の応答手段(図1の4)によって本体側ID48を送信し、優先度フラグを削除する(図5の49)。そして本体側装置102は認証モードへ移行する。本体側ID48を受信したワイヤレスキー103はペアリングされた本体側装置102のIDであることを判定すると認証モードへ移行する。
【0057】
また優先度フラグの立っていないワイヤレスキー103のキー側IDを受信した場合、ワイヤレスキー103に応答は返さずサーチモードの先頭に戻り、本体側装置102は、またサーチ要求を間欠的に送信する(図5の49)。図示しないが、サーチ区間Aが経過するとサーチ区間Bになると共に、優先度フラグを削除する。
【0058】
このように優先度フラグはペアリングモードでワイヤレスキー103が追加登録された時、当該ワイヤレスキー103のID情報と共に本体側装置102の不揮発メモリ内に記録される。また優先度フラグはペアリング終了後、本体側装置102とワイヤレスキー103との間でサーチ通信が正常終了するか、もしくはサーチモードへ移行しサーチ通信が完了せずサーチ区間Aの時間が経過すると優先度フラグは削除される。すなわち、ペアリング後、一度だけサーチ区間Aにおいて、直前にペアリング登録されたワイヤレスキー103のみをサーチする。以後サーチ区間A37では登録されたすべてのワイヤレスキー103とサーチ通信可能となる。この処理によって新たにワイヤレスキー103を購入して追加登録する場合など、追加したワイヤレスキー103がサーチ通信され認証し、そのまま認証キーとして利用できるようになるので利用者の利便性が向上する。
【0059】
なお、本実施の形態1で説明したサーチモード、認証モードでの送信信号の間欠周期や、サーチ区間A,サーチ区間Bなどの時間は必要に応じて変更できるものであり、それに限定されない。
【0060】
なお、本実施の形態1において携帯電話101に本体側装置102を備えた認証装置を説明したが、携帯電話でなくてもよくノートPCやその他の電子機器でも同様の効果がある。
【0061】
また認証装置の利用している電波帯として、特定小電力無線帯426MHzを用いて説明したが周波数帯には依存しない。
【0062】
またペアリング後サーチモードへ移行し、一度だけサーチ区間Aにおいて追加登録されたワイヤレスキー103を優先的に通信させるように説明したが、一度だけでなく以降ずっと最後に登録したものを、優先的に通信させるようにしてもよい。
【0063】
また携帯電話101の設定手段5から優先度を設定できるようにし、複数登録されたワ
イヤレスキー103の1個において優先度フラグを立てるようにしてもよい。そのようにすれば、複数のワイヤレスキー103を使用している場合でも、登録順の最新ではなく、利用者の一番使用頻度の高いワイヤレスキー103を自分で設定し利便性を高めることができるようになる。
【0064】
このように本実施の形態のように構成すれば、サーチモードのサーチ区間Aの期間で、登録順や、利用者が設定した優先度に応じて、本体側装置に登録された特定のワイヤレスキーの1台のみをサーチ通信することができるようになり、利用者の使いたい、または使おうと意図したワイヤレスキーが優先的に認証されるようになり利便性を向上させることができる。
【0065】
加えてペアリング登録後サーチモードへ移行し、サーチ区間Aにおいて直前に追加登録したワイヤレスキー103のみを本体側装置102で受信待ち受けすることで、利用者が使おうとして追加登録したワイヤレスキーが、意図したとおりサーチ通信し認証され、認証キーとして利用できるので利便性が向上する。すなわち意図しないワイヤレスキーと認証されることを減少させることができる。
【0066】
また本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明にかかる認証装置、認証方法及びプログラムは、ワイヤレスキーと同期通信していないサーチモード、認証され同期通信している認証モードを備える、ワイヤレスキーを用いたセキュリティシステムに利用できる。また、携帯電話に限らず、パソコンやPDAなどでも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1における認証装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における認証装置の通信シーケンスを説明する図
【図3】本発明の実施の形態1における認証装置のペアリングシーケンスを説明する図
【図4】本発明の実施の形態1における認証装置のサーチシーケンスを説明する図
【図5】本発明の実施の形態1における認証装置のサーチ区間Aのシーケンスを説明する図
【符号の説明】
【0069】
37 サーチ区間A
38 サーチ区間B
102 本体側装置
103 ワイヤレスキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレスキーと本体側装置とが定期的または不定期的に無線の送受信を行うことによりお互いの存在を確認しあい、前記ワイヤレスキーと前記本体側装置が所定の通信範囲を超えた場合に前記本体側装置の機能を制限したり或いは警報を発生する認証装置であって、前記ワイヤレスキーを前記本体側装置に登録し認証通信が可能なように設定するペアリングモードと、前記ワイヤレスキーと本体側装置が通信範囲外になった時、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーの応答を受信するまで一定期間の間サーチ通信を送信し続けるサーチモードと、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーとが所定の通信範囲にあり、かつ前記本体側装置が登録された前記ワイヤレスキーであるかを認証する認証通信を行う認証モードを備え、
ワイヤレスキーが本体側装置に登録された場合、前記サーチモードにおいて、ワイヤレスキーの登録された順番、設定された優先度に応じて特定の1個のワイヤレスキーのみをサーチ通信するサーチ区間Aと、サーチ区間Aが終了した後登録されたワイヤレスキーすべてをサーチ通信するサーチ区間Bを有する認証装置。
【請求項2】
前記ペアリングモードで追加登録されたワイヤレスキーを備え、前記本体側装置はペアリングモードからサーチモードへ移行した時、前記ペアリングモードで追加されたワイヤレスキーのみを前記サーチ区間Aで待ち受けサーチ通信を行う請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
ワイヤレスキーと本体側装置とが定期的または不定期的に無線の送受信を行うことによりお互いの存在を確認しあい、前記ワイヤレスキーと前記本体側装置が所定の通信範囲を超えた場合に前記本体側装置の機能を制限したり或いは警報を発生する認証装置であって、前記ワイヤレスキーを前記本体側装置に登録し認証通信が可能なように設定するペアリングモードと、前記ワイヤレスキーと本体側装置が通信範囲外になった時、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーの応答を受信するまで一定期間の間サーチ通信を送信し続けるサーチモードと、前記本体側装置が前記ワイヤレスキーとが所定の通信範囲にあり、かつ前記本体側装置が登録された前記ワイヤレスキーであるかを認証する認証通信を行う認証モードを備え、
ワイヤレスキーが本体側装置に登録されるステップと、前記サーチモードにおいて、ワイヤレスキーの登録された順番、設定された優先度に応じて特定の1個のワイヤレスキーのみをサーチ通信するステップ(サーチ区間A)と、前記サーチ区間Aの後登録されたワイヤレスキーすべてをサーチ通信するステップ(サーチ区間B)を備えた認証方法。
【請求項4】
前記ペアリングモードでワイヤレスキーを追加登録するステップと、前記本体側装置はペアリングモードからサーチモードへ移行するステップと、前記ペアリングモードで追加されたワイヤレスキーのみを前記サーチ区間Aで待ち受けサーチ通信を行うステップを備えた請求項3に記載の認証方法。
【請求項5】
請求項1または2のいずれか1項記載の認証装置の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−157557(P2009−157557A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333757(P2007−333757)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】