説明

誘導結合型プラズマエッチング装置のRFピークトゥピーク電圧を能動的に制御する装置および方法

【課題】TCP窓を過度に腐食させることなく導電性の反応生成物の堆積を防止する。
【解決手段】誘電結合型プラズマエッチング装置は、チャンバと、チャンバ頂部の開口部を封止するための窓とを備える。窓は、チャンバの内部領域に露出した内面を有する。ファラデーシールドとして機能する金属板は、窓の上方に窓から離れて設置される。コイルは、窓の内面がスパッタリングされるのを最適に低減し、それと実質同時に、窓の内面上にエッチング副産物が堆積されるの防ぐような、ピークトゥピーク電圧を生成するように構成された接続位置において、金属板に導電結合される。別の実施形態において、この装置は、金属板に外部からピークトゥピーク電圧を印加するためのコントローラを備える。コントローラは、発振回路と、整合回路と、RF電源と、印加されたピークピーク電圧をモニタリングするためのフィードバック制御とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の製造に関し、より詳しくは、プラズマエッチングチャンバの内部におけるプラズマの挙動を制御するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスにおいては、絶縁膜形成や拡散工程などとともに、エッチング工程が繰り返し行われる。当業者には周知のように、このエッチング工程としては、ウェットエッチングとドライエッチングの2種類があり、ドライエッチングは、例えば図1Aに示すような誘導結合型プラズマエッチング装置を用いて実施されるのが通常である。
【0003】
図1Aの誘導結合型プラズマエッチング装置では、まず、ガス入口(図示せず)からチャンバ20内部に反応ガスが注入される。次に、電源部(図示せず)からコイル17に高周波電力が印加される。半導体ウエハ11は、チャンバ20内にあるチャック19に載置されている。コイル17は、絶縁体で形成されたスペーサ13によってチャンバ上部に保持されている。動作中、コイル17を通過する高周波(RF)電流がチャンバ20内に電磁電流を誘導し、その電磁電流が反応ガスに作用してプラズマを発生させる。
【0004】
プラズマには各種ラジカルが含まれ、正・負イオンの化学反応が、半導体ウエハ11それ自体や、ウエハ上に形成された絶縁膜などをエッチングするために使用される。エッチング工程中は、コイル17が変圧器の一次側コイルに、チャンバ20内のプラズマが変圧器の二次側コイルに相当する機能をそれぞれ果たす。そして、このようなエッチング工程で生成された反応生成物は、排気口15から排気される。
【0005】
しかし、近年開発されるようになった新しいデバイス用材料(プラチナ、ルテニウム等)をエッチングする場合は、不揮発性物質(例えばRuO2)が反応生成物として生成される。このような反応生成物は、TCP窓10の表面10aに付着してしまうことがある。そして、反応生成物が導電性の場合は、表面10a上の反応生成物の膜が、チャンバ内の電磁電流を電気的にシールドしてしまう。すると、幾つかのウエハをエッチングした後に、プラズマをうまくヒットさせることが出来なくなり、結果としてエッチング工程を中断せざるをえない。
【0006】
このような事態を回避するため、プラズマを使用して、TCP窓10の表面10aに付着した反応生成物をスパッタリングする方法が開発された。しかしながら、図1Aに示される誘電結合型プラズマエッチング装置では、RF電流によって誘導された電磁電流によって、TCP窓10付近に定在波の電圧分布が生じる。これは、反応生成物のデポジションおよびスパッタリングを不均一にするため問題である。
【0007】
図1Bおよび図1Cは、図1Aの誘電結合型プラズマエッチング装置に固有な、TCP窓上における不均一なデポジションおよびスパッタリングを示した図である。図1Bにおいて、コイル17は、中に「×」または「●」を有したボックスの形で示されている。中に「×」を有したボックスは、そのコイルが紙面に入る方向に延びていることを示し、中に「●」を有したボックスは、そのコイルが紙面から出てくる方向に延びていることを示す。図1Bに示されるように、TCP窓10の表面10aには、過度のスパッタリングを受ける部分と、過度のデポジションを受ける部分とがある。過度のスパッタリングは、その位置の定在波による加速電圧の振幅が大きく、プラズマ内のイオンに比較的多量のエネルギが加えられる領域で生じる。図1C下部のグラフに示されるように、定在波24の振幅は、図1C上部に示されるコイル17の端部17aおよび17bにそれぞれ相当する点24aおよび24bで大きい。過度のデポジションは、定在波の振幅が小さく、プラズマ内のイオンに比較的少量のエネルギが加えられる領域で生じる。図1C下部のグラフに示されるように、定在波24の振幅は、定在波の節である点22に近い領域で小さい。
【0008】
TCP窓上における不均一なデポジションおよびスパッタリングが望ましくない原因として、多くの理由があげられる。過度のデポジションは、上述したように、TCP窓の表面上における導電膜の存在がチャンバ内の電磁電流を電気的にシールドして、エッチング工程を不可能とするため、望ましくない。過度のデポジションはさらに、微粒子問題(微粒子がウエハ上に剥がれ落ちる)をしばしば引き起こし、チャンバがドライおよびウェットの洗浄を受ける際の周波数を増加させる。チャンバを頻繁に洗浄すると、ツールの可能なアップタイム(動作可能時間)が犠牲にされてスループットが低下するため、特に望ましくない。過度のスパッタリングは、通常は石英またはアルミナよりなるTCP窓が、イオンの照射によって腐食されるため望ましくない。このような腐食は、TCP窓のライフタイムを短くするだけでなく、ウエハを汚染し不要な化学種を工程環境に誘導する微粒子も生成する。工程環境における不要な化学種の存在は、工程条件の再現性を低くするため特に望ましくない。
【0009】
以上からわかるように、導電性の反応生成物が実質的に堆積されるのを、TCP窓を過度に腐食することなく回避できるような、誘電結合型プラズマエッチング装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
概して本発明は、プラズマが発生されるチャンバの壁付近において、プラズマ内のイオンに均一にエネルギを加えるような、誘電結合型プラズマエッチング装置を提供する。
【0011】
本発明の1つの態様では、第1のタイプの誘電結合型プラズマエッチング装置を提供する。この誘電結合型プラズマエッチング装置は、チャンバと、チャンバ頂部の開口部を封止するための窓とを備える。窓は、チャンバの内部領域に露出した内面を有する。ファラデーシールドとして機能する金属板は、窓の上方に窓から離れて設置される。コイルは、窓の内面がスパッタリングされるのを最適に低減し、それと実質同時に、窓の内面上にエッチング副生成物が堆積されるの防ぐような、ピークトゥピーク電圧を生成するように構成された接続位置において、金属板に導電結合される。
【0012】
1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置はさらに、RF電力を受信するためのコイル入力端と、コイル出力端とを備える。この実施形態では、コイル入力端とコイル出力端のあいだに接続位置が定義されている。1つの実施形態において、接続位置はコイル入力端よりコイル出力端に近い。1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置はさらに、RF電源と、RF電源とコイル入力端のあいだに結合された整合回路網と、接地位置とコイル出力端のあいだに結合された可変コンデンサとを備える。
【0013】
1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置はさらに、金属板に結合された発振回路を備える。発振回路は、金属板上のピークトゥピーク電圧を調整できるように制御することが可能である。1つの実施形態において、発振回路は、調波点に沿ってピークトゥピーク電圧を制御するように調整することが可能な可変コンデンサを備える。別の実施形態において、誘電結合プラズマエッチング装置はさらに、金属板に結合された分圧回路を備える。分圧回路は、ピークトゥピーク電圧を調整できるように制御することが可能である。1つの実施形態において、分圧回路は、可変コンデンサの容量の増大にともなってピークトゥピーク電圧を減少させるような点に沿って、ピークトゥピーク電圧を制御するように調整することが可能な、可変コンデンサを備える。
【0014】
1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置は、金属板とコイルとが取り付けられて構成されたチャンバの蓋を備える。チャンバの蓋は、その開閉を可能とするヒンジによって取り付けられる。閉位置にあるとき、チャンバの蓋は、操作に備えて金属板を窓の近くに配置する。
【0015】
本発明の別の態様では、第2のタイプの誘電結合型プラズマエッチング装置を提供する。この誘電結合型プラズマエッチング装置は、チャンバと、チャンバ頂部の開口部を封止するための窓とを備える。窓は、チャンバの内部領域に露出した内面を有する。ファラデーシールドとして機能する金属板は、窓の上方に窓から離れて設置される。コイルは、金属板の上方に金属板から離れて設置される。この装置はまた、金属板に外部からピークトゥピーク電圧を印加するためのコントローラを備える。コントローラは、発振回路と、整合回路と、RF電源と、印加されたピークトゥピーク電圧をモニタリングするためのフィードバック制御とを備える。
【0016】
1つの実施形態では、外部から印加されたピークトゥピーク電圧が調整可能であることにより、窓の内面がスパッタリングされるのを低減し、それと実質同時に窓の内面上にエッチング副生成物が堆積されるのを防ぐ。1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置はさらに、RF電力を受け入れるためのコイル入力端と、コイル出力端とを備える。1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置はさらに、RF電源と、RF電源とコイル入力端のあいだに結合された整合回路網と、接地位置とコイル出力端のあいだに結合された可変コンデンサとを備える。
【0017】
1つの実施形態において、金属板は、誘電スペーサによって窓に接続されている。1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置は、金属板とコイルとが取り付けられて構成されたチャンバの蓋を備える。チャンバの蓋は、チャンバの蓋の開閉を可能とするヒンジによって取り付けられる。閉位置にあるとき、チャンバの蓋は、操作に備えて金属板を窓の近くに配置される。開位置にあるとき、チャンバの蓋は、窓の目視検査およびチャンバの点検に備えて金属板を窓から離して配置する。
【0018】
本発明のさらに別の態様にしたがって、誘電結合型プラズマエッチング装置の動作を最適化する第1の方法を提供する。この方法では、ウエハをエッチングするためのチャンバが用意される。チャンバ頂部の開口部には、窓が取り付けられる。窓は、外面と、チャンバの内部領域に露出された内面とを備える。コイルは窓の上方に配置され、金属板は窓の外面の上方に配置される。金属板は、コイルと窓の外面とのあいだに両者から離れた状態で配置される。金属板は、コイル上の接続位置に導電接続される。接続位置は、窓の内面の近くにおいて実質的に均一な入射イオンエネルギを生成するように最適に選択された、入力端と出力端のあいだの位置である。実質的に均一な入射イオンエネルギは、窓の内面がスパッタリングされるのを低減し、それと実質同時に窓の内面上にエッチング副生成物が堆積されるのを防ぐように構成される。
【0019】
本発明のさらにまた別の態様にしたがって、誘電結合型プラズマエッチング装置の動作を最適化する第2の方法を提供する。この方法では、ウエハをエッチングするためのチャンバが用意される。チャンバ頂部の開口部には、窓が取り付けられる。窓は、外面と、チャンバの内部領域に露出された内面とを備える。コイルは窓の上方に配置され、金属板は窓の外面の上方に配置される。金属板は、コイルと窓の外面とのあいだに両者から離れた状態で配置される。制御されたピークトゥピーク電圧を金属板に印加することによって、窓の内面近くに実質的に均一な入射イオンエネルギが生成される。実質的に均一な入射イオンエネルギは、窓の内面がスパッタリングされるのを低減し、それと実質同時に窓の内面上にエッチング副生成物が堆積されるのを防ぐように構成される。
【0020】
本発明の装置および方法によって、数多くの利点がもたらされる。最も注目に値するのは、本発明の装置および方法によって、誘電結合型プラズマエッチングシステム内で、チャンバの上壁(例えばTCP窓)の内面上に例えばRuO2等の導電性の反応生成物が堆積されるのを、均一に防げることである。この場合、わずか数枚のウエハを処理するたびにプラズマエッチング動作を停止して、チャンバの壁を洗浄する必要がないことから、近年になって開発された例えばRu等のデバイス用材料をプラズマエッチングする際の、スループットを向上させることができる。また、本発明の装置および方法は、誘電結合型プラズマエッチングシステム内で、チャンバの上壁(例えばTCP窓)の内面がスパッタリングされるのを、均一に防ぐこともできる。この場合、微粒子の生成と、工程環境に不要な化学種の誘導とが回避されるため、工程状態の再現性を向上させることができる。
【0021】
ここで、上述した発明の概要および以下に続く詳細な説明が、例示および説明のみを目的としており、添付した特許請求の範囲のように本発明の内容を限定するものではないことを、理解しておく必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】従来技術による誘電結合型プラズマエッチング装置を簡単に示した断面図である。
【図1B】図1Aの誘電結合型プラズマエッチング装置に固有な、TCP窓上の不均一なデポジションおよびスパッタリングを示した概要図である。
【図1C】図1Aに示された誘電結合型プラズマエッチング装置におけるコイル上のVppを、コイルの長さの関数として示したグラフである。
【図2A】本発明の1つの実施形態にしたがった誘電結合型プラズマエッチング装置を簡単に示した断面図である。
【図2B】本発明の1つの実施形態にしたがった誘電結合型プラズマエッチング装置におけるプラズマの発生を、簡単に示した断面図である。
【図2C】本発明の1つの実施形態にしたがった誘電結合型プラズマエッチング装置によって得られる窓の均一なスパッタリングを、簡単に示した断面図である。
【図3】本発明の1つの実施形態にしたがった、ファラデーシールドとして機能する金属板および金属板をその場所に保持するためのコンポーネントを示した分解透視図である。
【図4】本発明の1つにしたがった、コイルおよびコイルをその場所に保持するためのコンポーネントを示した分解透視図である。
【図5】ルテニウム(Ru)エッチングでファラデーシールド板をコイルに接続する最適な位置を決定するために実施されるテストで使用される、装置および接続位置の概要図である。
【図6A】図5で示された各接続位置A、B、Cに関して測定されたファラデーシールド板のVppを、TCP電力の関数として示したグラフである。
【図6B】図5で示された各接続位置A、B、Cに関して測定されたコイル入力端のVppを、TCP電力の関数として示したグラフである。
【図6C】図5で示された各接続位置A、B、Cに関して測定されたコイル出力端のVppを、TCP電力の関数として示したグラフである。
【図7A】本発明の1つの実施形態にしたがった、ファラデーシールド板のVppを外部から制御する発振回路を備えた誘電結合型プラズマエッチング装置の概要図である。
【図7B】Vppを、図7Aに示された誘電結合型プラズマエッチング装置における可変コンデンサの位置の関数として示したグラフである。
【図8A】本発明の別の実施形態にしたがった、ファラデーシールド板のVppを外部から制御する分圧回路を備えた誘電結合型プラズマエッチング装置の概要図である。
【図8B】Vppを、図8Aに示された誘電結合型プラズマエッチング装置における可変コンデンサの位置の関数として示したグラフである。
【図9A】本発明のさらに別の実施形態にしたがった、ファラデーシールド板が様々な周波数で駆動される誘電結合型プラズマエッチング装置の概略図である。
【図9B】Vppを、図9Aに示された誘電結合型プラズマエッチング装置における低周波数RF電力の関数として示したグラフである。
【図10】ルテニウムエッチングのエッチング速度を、従来の誘電結合型プラズマエッチング装置で処理されたウエハ枚数の関数、そして本発明にしたがった、コイルに結合されたファラデーシールド板を有した誘電結合プラズマエッチング装置で処理されたウエハ枚数の関数として、それぞれ示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の代表的な実施形態をいくつか取り上げ、添付した図面を参照にしながら詳細な説明を行なう。図1A〜1Cに関しては、発明の背景ですでに議論済みである。
【0024】
図2Aは、本発明の1つの実施形態にしたがった誘電結合型プラズマエッチング装置を簡単に示した断面図である。図2Aに示されるように、半導体ウエハ11は、ハウジングの壁によって定義されるチャンバ100内でそのハウジングの低部にある壁の近くに配置されたチャック19上に載置される。コイル117は、絶縁体で形成されてよいスペーサ13によって、チャンバ100のTCP窓10上に保持される。TCP窓10は石英で形成されることが好ましいが、アルミナ(Al23)、シリコン窒化物(Si34)、窒化アルミニウム(AlN)、シリコン炭化物(SiC)、およびシリコン(Si)等の他の材料を使用してもよい。TCP窓10の主な役割は、チャンバを真空封止することである。1つの実施形態において、TCP窓10は、約2インチ(5.08cm)〜約8インチ(20.32cm)の距離だけウエハ11から離れており、約4インチ(10.16cm)〜約5インチ(12.8cm)の距離だけ離れていることがより好ましい。動作中は、ガス入口(図示せず)からチャンバ100の内部に反応ガスが注入される。次に、電源部(図示せず)からコイル117に高周波電力が印加される。コイル117を通過する高周波(RF)電流がチャンバ100内に電磁電流を誘導し、その電磁電流が反応ガスに作用してプラズマを発生させる。
【0025】
プラズマには各種ラジカルが含まれ、正・負イオンの化学反応が、半導体ウエハ11それ自体や、ウエハ上に形成された絶縁膜などをエッチングするのに使用される。エッチング工程中は、コイル117が変圧器の一次側コイルに、チャンバ100内のプラズマが変圧器の二次側コイルに相当する機能をそれぞれ果たす。このようなエッチング工程で生成された反応生成物が揮発性である場合は、その反応生成物は排気口15から排気される。
【0026】
コイル117とチャンバ100のあいだには、ファラデーシールドとして機能する金属板217が設けられる。参照を容易にするため、以下では金属板217を「ファラデーシールド板」と称する場合もある。1つの実施形態において、金属板217は、コイル117とTCP窓10のあいだで両者から離れた位置に、TCP窓に実質的に平行に配置される。金属板217の厚さは約20μm〜約10mmであることが好ましく、約50μm〜約5mmであることがより好ましい。1つの実施形態において、金属板217の厚さは約1.5mmである。コネクタ207は、コイルの所定の位置で金属板217をコイル117に電気的に接続し、金属板217に印加される面内RF電圧(in-plane RF voltage)が均一であることを保証するように機能する。金属板217に印加される面内RF電圧が均一であるため、TCP窓10付近のプラズマには均一なエネルギが加えられる。この均一なエネルギ分布の結果として、反応生成物のデポジションおよびスパッタリングが均一に行われ、そうすることによって、TCP窓10上における反応生成物の望ましくない蓄積を、生じないようにするまたは実質的に排除することができる。
【0027】
1つの実施形態において、コネクタ207は、金属板をコイル117の特定の位置に電気的に接続することによって、適切なVpp(ピークトゥピーク電圧)を金属板に印加する。金属板に均一にVppを印加して、プラズマ内のイオンを加速し、誘電結合型プラズマエッチング装置のチャンバの真空側壁に均一に衝突させることにより、そこに反応生成物が堆積されるのを防止する。1つの実施形態において、誘電結合型プラズマエッチング装置は、米国カリフォルニア州フリーモント市所在のラム・リサーチ・コーポレーションから入手可能なTCP 9400 PTXプラズマエッチング装置であり、加速されたイオンは、TCP窓の真空側壁に均一に衝突することによって、そこに反応生成物が堆積されるのを防止する。代替の実施形態において、コネクタ207は、インピーダンス整合ボックスからコイルにいたる導体に、金属板を電気的に接続する。
【0028】
図2Bおよび2Cは、本発明の1つの実施形態にしたがった誘電結合型プラズマエッチング装置によって達成される窓の均一なスパッタリングを示した図である。図2Bに示されるように、特定の工程にとって最適な位置においてコイル117に接続されるコネクタ207を通して、金属板217に適切なVppが印加されると、チャンバ100内で、金属板217の表面全体に渡って均一な磁場が生成される。これらの均一な磁場は、チャンバ100内に均一な電磁電流を誘導し、この誘導電流は、反応ガスに作用してプラズマを発生させる。誘導電流が金属板217の表面全体に渡って均一であるため、図2Cに示されるように、TCP窓10の表面10aに衝突する入射イオンのエネルギも均一である。
【0029】
図3は、本発明の1つの実施形態にしたがった、ファラデーシールドとして機能する金属板および金属板をその場所に保持するためのコンポーネントの分解透視図である。図3に示されるように、金属板217は、ネジ205によって表にアタッチメントスペーサ13が設けられたアタッチメントフレーム201の下側に固定される。アタッチメントフレーム201、アタッチメントスペーサ13、およびネジ205は、任意の適切な絶縁体で形成されてよい。
【0030】
外環211、内環213、および中央ディスク215は、ネジ219によってアタッチメントフレーム201に固定されており、任意の適切な絶縁体によって形成されてよい。外環211、内環213、および中央ディスク215は、誘電結合型プラズマエッチング装置の動作中に金属板217の形状を保持する。金属板217内には、複数の放射スロット221が形成されている。放射スロット221は、コイル117のセクションを横切るように延びることにより、導体である金属板217上に、電流から生成される内部の誘導電力が流れるのを妨げる。これが必要なのは、金属板217上を流れる電流が、コイル117(例えば図2Aおよび図4を参照)とチャンバ100(例えば図2Aを参照)とを電気的にシールドするためである。
【0031】
続けて図3を参照すると、コネクタ207が、金属板217とコイル117(例えば図2Aおよび図4を参照)とを電気的に接続することがわかる。この接続には2つの金属製のネジ209が使用され、1つが金属板217をコネクタ207に接続し、もう1つがコイル117をコネクタ207に接続する。
【0032】
図4は、本発明の1つの実施形態にしたがったコイルおよびコイルをその場所に保持するためのコンポーネントの分解透視図である。図4に示されるように、アタッチメントフレーム201およびアタッチメントスペーサ13は、金属板217とコイル117のあいだに設けられている。十字型のコイル取付板305の4端は、支持バネハウジング301および金属ネジ303によって固定されて、コイル117の形状を保持する。図4に示されるように、コイル117のターン数は3である。コイル117には少なくとも1ターンが必要だが、用途ごとのニーズに合わせて任意の適切なターン数を有してもよい。
【0033】
図3の説明と関連して上述したように、コネクタ207は、金属板217をコイル117に電気的に接続するものである。図4に示されるように、U字型スペーサ309は、コイル取付板305と、コイル117と、金属板217とを位置付ける。U字型スペーサ309は、金属製のネジ307によってコイル117に接続されている。1つの金属ネジ209が、U字型スペーサ309を通してコネクタ207をコイル117に電気的に接続し、もう1つの金属ネジ209が、コネクタ207を金属板217に電気的に接続する(図3を参照)。図4に示されるように、コイル117は、コイル入力端117aとコイル出力端117bがともにコイル117の中心近くに配置されるように構成されている。特にコイル117は、コイル端部117a−1とコイル出力端117bとを備える。コイル延長部117a−2は、コイル端部117a−1をコイル延長部117a−4のコイル延長端117a−3に接続する。コイル入力端117aは、コイル延長部117a−4のもう一端にある。当業者には明らかなように、このコイルの構成は、コイル入力端とコイル出力端がともにコイル117の中心近くに配置される必要がない状況では、図4に示される構成と異なってもよい。
【0034】
図5は、ルテニウム(Ru)のエッチングでファラデーシールド板をコイルに接続する最適な位置を決定するために実施されるテストで使用される、装置および接続位置を示した概要図である。図5に示されるように、RF電源400と、整合回路網402と、VIプローブ412aとが、コイル117のコイル入力端117aに結合される。コイル117のコイル出力端117bには、接地された可変コンデンサ401およびVIプローブ412bが結合される。テスト中、例えばファラデーシールド板である金属板217が、コネクタ207によって位置A、B、Cでコイル117に結合され、これらの各接続位置に関して、コイル入力端117aおよびコイル出力端117bにおけるVppが、VIプローブ412aおよび412bによってそれぞれ測定される。また、各接続位置A、B、Cに関して、金属板217のVppがVIプローブ412cによって測定される。VIプローブ412a、412b、412cは、ポリイミド等の誘電材料で分離された金属プローブと銅板等の金属板とを含む、容量性のプローブである。
【0035】
図6A、6B、および6Cは、図5の各接続位置A、B、Vに関して、金属板217、コイル入力端117a、およびコイル出力端117bで測定されたVppを、TCP電力(パワー)の関数としてそれぞれ示したグラフである。図6Aに示されるように、接続位置A(出力の近く)に関して、金属板217のVppはTCP電力の増加にともなって著しく減少する。接続位置BおよびCに関しては、金属板217のVppはTCP電力の増加にともなってわずかに増加する。図6Bに示されるように、各接続位置A、B、Cに関して、コイル入力端117aにおけるVppは、TCP電力の増加にともなって著しく増加する。図6Cに示されるように、接続位置Aに関して、コイル出力端117bにおけるVppは、TCP電力の増加にともなってわずかに減少する。接続位置BおよびCに関しては、コイル出力端117bにおけるVppは、TCP電力の増加にともなって著しく増加する。
【0036】
再び図6Aを参照すると、接続位置Aの場合の金属板217では、800ワットに対して676ボルトのVppが得られたことがわかる。テスト中、TCP窓はクリーンな状態で維持されたが、スパッタリングは過度に生じた。破損された石英製の窓にルテニウムのマイクロマスキングが観測されたが、これは、破損された石英製の窓を研磨された窓と取り換えることによって解決された。接続位置Bの場合は、800ワットに対して464ボルトのVppが得られた。テスト中、ほぼ1ロットに相当するウエハがルテニウムエッチングを受けた後も、TCP窓上でエッチング副生成物のデポジションは観測されなかった。接続位置Cの場合は、800ワットに対して373ボルトのVppが得られた。テスト中、数枚のウエハをエッチングした後、TCP窓上で軽いデポジションが観測された。したがって、上述したテスト結果から、ルテニウムエッチング工程では接続位置Bが接続位置AおよびCより優れていることがわかる。
【0037】
本発明のファラデーシールド板は、RFピークトゥピーク電圧およびRF整合が特定のエッチング方法に最適化されるような、単一工程のエッチング方法によく適している。しかしながら、RF電力、圧力、およびガス組成が実質的に異なっても良いような、例えば、ブレークスルー工程、バルクエッチング工程、オーバエッチング工程等の複数工程のエッチングを有した、他の多くのエッチング方法にも適している。したがって、所定のエッチング工程でファラデーシールド板上に設定されたVppの特定の設定値(例えば接続位置)が、他のエッチング工程にとっても最適とは限らない。さらに、エッチング工程ごとにエッチングチャンバのインピーダンスが異なるため、RFを調整して様々なインピーダンスを満足させるのは困難である。複数のエッチング工程を有したエッチング方法では、石英製の窓上における材料のデポジションを実質的に排除する正しい接続点を選択するだけで、独立した各エッチング工程を最適化することが可能である。このような最適化は、図5との関連で上述した接続位置Bの選択と同様の方法で達成することができる。この例において、点A、B、Cは、コイル出力端から約25mm、コイル出力端から約80mm、コイル出力端から約140mmの位置でそれぞれ選択されている。当業者にとって当然明らかなように、これらの位置は、所定の材料をエッチングするのに使用される方法と、整合網要素の設定の組み合わせとに依存して変動可能である。
【0038】
図7Aは、本発明の1つの実施形態にしたがった、ファラデーシールド板のVppを外部から制御する発振回路を備えた誘電結合型プラズマエッチング装置の概要図である。図7Aに示されるように、RF電源400と、整合回路網402とが、コイル117のコイル入力端117aに結合される。コイル117のコイル出力端117bには、接地された可変コンデンサ401が結合される。金属板217は、コイル117と、可変コンデンサ408および誘導子409を備えた発振回路を定義するシールドボックス406とに接続される。可変コンデンサ408と誘導子409は接地されている。この構成では、金属板217のVppを、発振回路の可変コンデンサの位置を調整することによって制御することができる。図7Bに示されるように、調波点では最大のVppが生じる。
【0039】
図8Aは、本発明の1つの実施形態にしたがった、ファラデーシールド板のVppを外部から制御する分圧回路を備えた誘電結合型プラズマエッチング装置の概要図である。図8Aに示されるように、RF電源400と、整合回路網402とが、コイル117のコイル入力端117aに結合される。コイル117のコイル出力端117bには、接地された可変コンデンサ401が結合される。金属板217は、結合コンデンサ416aと可変コンデンサ416bとを備えた分圧回路416を介してコイル117に接続される。金属板217は、結合コンデンサ416aがコイル117と金属板のあいだに配置され、可変コンデンサ416bが金属板と接地位置のあいだに配置されるように、分圧回路416に接続される。この構成では、金属板217のVppを、分圧回路の可変コンデンサの位置を調整することによって制御することができる。図8Bに示されるように、Vppは分圧回路の分圧比に比例する。
【0040】
ファラデーシールド板のVppを外部から制御するための図7Aおよび8Aに示される構成は、簡単且つ安価なため望ましい。しかし一方では、これらの構成はTCPの整合に影響を及ぼす可能性がある。この点に関して、図7Aに示される構成は、図8Aに示される構成よりTCP整合に及ぼす影響が少ない。
【0041】
図9Aは、本発明のさらに別の実施形態にしたがった、ファラデーシールド板が異なる周波数で駆動される誘電結合型プラズマエッチング装置の概略図である。図9Aに示されるように、RF電源400および整合回路網402が、コイル117のコイル入力端117aに結合される。コイル117のコイル出力端117bには、接地された可変コンデンサ401が結合される。金属板217は、接続点462においてファラデーシールドドライバ450に結合される。ファラデーシールドドライバ450は基本的に、様々なTCP電力設定値において印加されるピークトゥピーク電圧のモニタリングと、コイル117の整合回路に依存することなく最適な性能を達成するためのオンザフライ(直接処理)調整と、を可能とするコントローラである。これは、この代表的な実施形態においてコイルと金属板との接続がなされないため真実である。図9Aに示されるように、ファラデーシールドドライバ450は、整合回路452と、誘導子454および可変コンデンサ456を含んだ13.56MHzの発振回路と、RF電源458と、Vppフィードバックループ460とを備える。
【0042】
動作中は、接地されたRF電源458からのRF電力が金属板217に印加される。RF電力は、約50KHz〜約50MHzの範囲にあることが好ましく、約100KHzから13.56MHzを僅かに下回る範囲にあることがより好ましい。1つの実施形態において、RF電力は約2MHzである。金属板217に結合された13.56MHzの発振回路は、13.56MHzの視点から金属板を「接地する」ように機能する。別の言い方をすると、13.56MHzの発振回路は、RF電源400によって金属板217に印加されたRF電力からの割り込みをシャットアウトする。
【0043】
Vppフィードバック460は、外部のVpp値との比較のためにRF電源458に戻されることが好ましい。この比較に基づいてRF電源458を調整することにより、ファラデーシールド板に最適なレベルのVppを印加することができる。好ましい実施形態において、印加されたVppのモニタリングはコンピュータ制御のステーションによって制御することができる。コンピュータ制御のステーションは、テキスト表示、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、または印刷出力によって、統計的な動作データをユーザに提供することができる。オペレータは、この統計データに基づいてさらなる調整を行うことにより、最適な性能を達成し、例えばTCP窓の内面等のチャンバ内壁上に副生成物が堆積されるのを、排除することができる。したがって、図9Aの構成では、金属板に印加される低周波数のRF電力を調整することによって、金属板217のVppを制御することができる。図9Bに示されるように、Vppは、低周波数RF電力の増加にともなって増加する。したがって、この代表的な実施形態ではコイル117への固定接続点が不要である。
【0044】
図10は、ルテニウムエッチングのエッチング速度を、従来の誘電結合型プラズマエッチング装置で処理されたウエハ枚数と、コイルに結合されたファラデーシールド板を有する本発明にしたがった誘電結合プラズマエッチング装置で処理されたウエハ枚数の関数として、それぞれ示したグラフである。図10に示されるように、従来の誘電結合型プラズマエッチング装置では、150枚のウエハが処理された後、ルテニウムエッチングのエッチング速度が約50%低下する。これに対して、コイルに結合されたファラデーシールドを有する本発明にしたがった誘電結合型プラズマエッチング装置では、150枚のウエハが処理された後も、ルテニウムエッチングのエッチング速度は初期のエッチング速度と実質的に同じである。したがって、本発明のファラデーシールド板によって、高再現性のルテニウムエッチング速度がもたらされる。
【0045】
また、本発明は、誘電結合型プラズマエッチング装置においてプラズマが発生されるチャンバを定義する壁の内面を制御する方法を開示する。この方法では、金属板がコイルに接触しないようにするため、高周波(RF)電力を受けるためのコイルと、チャンバ内で発生するプラズマとのあいだに、金属板が提供される。金属板には、上述したように、コイルを横切るように延びて且つコイルに電気的に接続された複数の金属スリットが形成されている。プラズマエッチング動作は、誘電結合型プラズマエッチング装置内で実施される。プラズマエッチング動作中は、金属板とプラズマのあいだに配置された壁の内面上における反応生成物のデポジションと、壁の内面からの反応生成物のスパッタリングとが、実質的に均一であるため、プラズマエッチング動作を不可能とするのに充分な量の反応生成物が、壁の内面上に蓄積することはない。1つの実施形態において、金属板とプラズマのあいだに配置される壁は、例えばTCP窓などのチャンバの上壁である。
【0046】
本発明はさらに、誘電結合型プラズマエッチング装置の動作を最適化する方法を提供する。これらの方法では、ウエハをエッチングするためのチャンバが用意される。チャンバ頂部の開口部には、窓が取り付けられる。窓は、外面と、チャンバの内部領域に露出された内面とを備える。コイルは窓の上方に配置され、金属板は窓の外面の上方に配置される。金属板は、コイルと窓の外面とのあいだに両者から離れた状態で配置される。第1の最適化方法によると、金属板は、コイル上の接続位置に導電接続される。接続位置は、窓の内面の近くで実質的に均一な入射イオンエネルギを生成するように最適に選択された、入力端と出力端のあいだの位置である。実質的に均一な入射イオンエネルギは、窓の内面がスパッタリングされるのを低減し、それと実質同時に窓の内面上にエッチング副生成物が堆積されるのを防ぐように構成される。第2の最適化方法によると、窓の内面の近くで実質的に均一な入射イオンエネルギを生成するために、制御されたピークトゥピーク電圧が金属板に印加される。再び、実質的に均一な入射イオンエネルギは、窓の内面がスパッタリングされるのを低減し、それと実質同時に窓の内面上にエッチング副生成物が堆積されるのを防ぐように構成される。
【0047】
本発明の誘電結合型プラズマエッチング装置は、不揮発性且つ導電性の反応生成物(例えばRuO2)を生成する最近開発されたデバイス材料(例えばプラチナやルテニウム等)をプラズマエッチングするのによく適している。当業者には明らかなように、本発明の誘電結合型プラズマエッチングは、金属やポリシリコンなどの標準的な材料をプラズマエッチングするのに使用してもよい。金属やポリシリコンのプラズマエッチングでは、デポジションを均一化且つ最小化するようにVppが調整される。この方法では、クリーニング間の処理枚数(MWBC:mean wafer between clean)とTCP窓のライフタイムとが改善される。
【0048】
当業者には明らかなように、本発明の装置および方法によって提供されるVppの正確な制御、およびその結果として得られるスパッタリングとデポジションとのバランスによって、微粒子および汚染、エッチングプロフィルの制御(プラズマおよびTCP窓からくる側壁でのデポジションを制御することによる)、エッチング選択性の制御、選択エッチングによる副生成物のデポジション等に関連した問題の低減を含む、他の多くの利点がもたらされる。選択エッチングによる副生成物のデポジションの場合は、TCP窓の表面が比較的定温に維持されている状態でVppを調整することによって、特定の吸着率およびスパッタ率を有した材料をTCP窓上に捕獲し、エッチングを制御することができる。
【0049】
まとめると、本発明は、誘電結合型エッチング装置の動作を最適化するための誘電結合型プラズマエッチング装置および方法を提供するものである。以上では、いくつかの実施形態の形で本発明を説明したが、当業者ならば、本発明の説明および実施形態をもとにして他の実施形態を考え出すことが可能である。例えば、ファラデーシールド板がコイルに接続される位置を、特定のエッチング工程を最適化するために本明細書で示され説明された代表的な位置から移動させてもよい。したがって、上述した実施形態および好ましい特徴は、添付された特許請求の範囲およびその等価物によって定義される本発明の範囲内における、例示的なものである。
【符号の説明】
【0050】
10…TCPの窓
10a…TCP窓の表面
11…半導体ウエハ
13…スペーサ
15…排気口
17…コイル
17a、17b…コイルの端部
19…チャック
20…チャンバ
22…定在波の節
24…定在波
24a、24b…定在波のうちコイルの端部に相当する点
100…チャンバ
117…コイル
117a…コイル入力端
117a−1…コイル端部
117a−2…コイル延長部
117a−3…コイル延長端
117a−4…コイル延長部
117b…コイル出力端
201…アタッチメントフレーム
205…ネジ
207…コネクタ
209…金属製のネジ
211…外環
213…内環
215…中央ディスク
217…金属板
219…ネジ
221…放射スロット
301…支持バネハウジング
303…金属製のネジ
305…コイル取付板
309…U字型スペーサ
400…RF電源
401…可変コンデンサ
402…整合回路網
406…シールドボックス
408…可変コンデンサ
409…誘導子
412a…VIプローブ
412b…VIプローブ
412c…VIプローブ
416…分圧回路
416a…結合コンデンサ
416b…可変コンデンサ
450…ファラデーシールドドライバ
452…整合回路
454…誘電子
456…可変コンデンサ
458…RF電源
460…Vppフィードバックループ
462…接続点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部領域に露出された内面を有し、前記チャンバ頂部の開口部を封止するための窓と、
前記窓の上方に前記窓から離れて配置された金属板と、
前記金属板の上方に前記金属板から離れて配置され、前記窓の前記内面がスパッタリングされるのを最適に低減すると共に、実質的に同時に前記窓の前記内面上にエッチング副生成物が堆積されるの防ぐピークトゥピーク電圧を生成するように構成された接続位置において前記金属板に導電結合されるコイルと
を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項2】
請求項1記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記コイルはさらに、
RF電力を受け入れるためのコイル入力端と、
コイル出力端と
を備え、前記コイル入力端と前記コイル出力端のあいだには前記接続位置が定義されている、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項3】
請求項2記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記接続位置は、前記コイル入力端より前記コイル出力端により近い、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項4】
請求項2記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、さらに、
RF電源と、
前記RF電源と前記コイル入力端のあいだに結合されている整合回路網と、
接地地点と前記コイル出力端のあいだに結合されている可変コンデンサと
を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項5】
請求項1記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、さらに、
前記金属板に結合され、前記金属板上の前記ピークトゥピーク電圧をさらに調整するように制御することが可能である発振回路を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項6】
請求項5記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記発振回路は、調波点に沿って前記ピークトゥピーク電圧を制御するように調整することが可能な可変コンデンサを備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項7】
請求項1記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、さらに、
前記金属板に結合され、前記金属板上の前記ピークトゥピーク電圧をさらに調整するように制御することが可能である分圧回路を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項8】
請求項7記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記分圧器は、容量の増大にともなって前記ピークトゥピーク電圧を減少させる点に沿って前記ピークトゥピーク電圧を制御するように調整することが可能な可変コンデンサを備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項9】
請求項1記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記チャンバはさらに、前記金属板と前記コイルとが取り付けられて構成されていると共に、その開閉を可能とするヒンジによって取り付けられているチャンバの蓋を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項10】
請求項9記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
閉位置にある前記チャンバの蓋は、操作に備えて前記金属板を前記窓の近くに配置する、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項11】
誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部領域に露出された内面を有し、前記チャンバ頂部の開口部を封止するための窓と、
前記窓の上方に前記窓から離れて配置された金属板と、
前記金属板の上方に前記金属板から離れて配置されたコイルと、
前記金属板に外部からピークトゥピーク電圧を印加するためのコントローラであって、発振回路と、整合回路と、RF電源と、前記印加されたピークトゥピーク電圧をモニタリングするためのフィードバック制御とを備えるコントローラと
を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項12】
請求項11記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記外部から印加されるピークトゥピーク電圧は、前記窓の前記内面がスパッタリングされるのを低減すると共に、実質的に同時に前記窓の前記内面上にエッチング副生成物が堆積されるの防ぐように調整することが可能である、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項13】
請求項12記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記コイルはさらに、
RF電力を受け入れるためのコイル入力端と、
コイル出力端と
を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項14】
請求項13記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、さらに、
RF電源と、
前記RF電源と前記コイル入力端のあいだに結合されている整合回路網と、
接地地点と前記コイル出力端のあいだに結合されている可変コンデンサと
を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項15】
請求項13記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記金属板は、誘電スペーサによって前記窓に接続されている、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項16】
請求項11記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
前記チャンバはさらに、前記金属板と前記コイルとが取り付けられて構成されていると共に、その開閉を可能とするヒンジによって取り付けられているチャンバの蓋を備える、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項17】
請求項16記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
閉位置にある前記チャンバの蓋は、操作に備えて前記金属板を前記窓の近くに配置する、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項18】
請求項16記載の誘電結合型プラズマエッチング装置であって、
開位置にある前記チャンバのフタは、前記窓の目視検査および前記チャンバの点検に備えて前記金属板を前記窓から離して配置する、誘電結合型プラズマエッチング装置。
【請求項19】
誘電結合型プラズマエッチング装置の動作を最適化する方法であって、
ウエハをエッチングするためのチャンバを用意し、
外面と、前記チャンバの内部領域に露出した内面とを有する窓を、前記チャンバ頂部の開口部に取り付け、
前記窓の上方にコイルを配置し、
金属板を、前記窓の前記外面の上方で、前記コイルと前記窓の前記上面の間に両者から離れた状態で配置し、
前記金属板を、前記コイル上の接続位置であって、前記窓の前記内面がスパッタリングされるのを低減すると共に、実質的に同時に前記窓の前記内面上にエッチング副生成物が堆積されるのを防ぐように構成される実質的に均一な入射イオンエネルギを前記窓の前記内面の近くにおいて生成するように最適に選択された入力端と出力端の間の接続位置に導電接続すること
を備える、方法。
【請求項20】
誘電結合型プラズマエッチング装置の動作を最適化する方法であって、
ウエハをエッチングするためのチャンバを用意し、
外面と、前記チャンバの内部領域に露出した内面とを有する窓を、前記チャンバ頂部の開口部に取り付け、
前記窓の上方にコイルを配置し、
金属板を、前記窓の前記外面の上方に、前記コイルと前記窓の前記上面のあいだに両者から離れた状態で配置し、
前記窓の前記内面がスパッタリングされるのを低減すると共に、実質的に同時に前記窓の前記内面上にエッチング副生成物が堆積されるのを防ぐように構成される実質的に均一な入射イオンエネルギが前記窓の前記内面近くに生成されるように制御されたピークトゥピーク電圧を前記金属板に印加すること
を備える、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−233924(P2011−233924A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164382(P2011−164382)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【分割の表示】特願2001−95019(P2001−95019)の分割
【原出願日】平成13年3月29日(2001.3.29)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】