説明

調節可能透過型MEMSベースの装置

変調装置は、少なくとも二つの状態間で選択的に調節可能であり、光の特定の波長の透過及び/又は反射が変更される。特定の変調装置は、可視及び赤外波長を含む広範な波長に対して実質的に均一に調節可能である。他の変調装置は、赤外波長に顕著な影響を与えずに、可視波長に対して調節可能である。更に、変調装置は、固定された薄膜反射構造体と組み合わせて使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2007年10月23日出願の米国仮出願第60/982094号の優先権を主張し、その全開示内容は参照として本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、微小電気機械システム(MEMS,microelectromechanical system)に関する。
【背景技術】
【0003】
MEMSは、微小機械素子、アクチュエータ、及び、電子機器を含む。微小機械素子は、堆積、エッチング、及び/又は、他の微小機械加工プロセス(基板及び/又は堆積させた物質層の一部をエッチングしたり、電気的及び電気機械的装置を形成するための層を追加したりする)を用いて、形成され得る。MEMS装置の一種類は、干渉変調器と呼ばれる。本願において、干渉変調器または干渉光変調器という用語は、光干渉原理を用いて光を選択的に吸収及び/又は反射する装置を指称する。特定の実施形態において、干渉変調器は、一対の導電性板を備える。その一対の導電性板の一方または両方は、その全体または一部が透明及び/又は反射性であり、適切な電気信号の印加に対して相対的に動くことができる。特定の実施形態において、一方の板は、基板上に堆積させた静止層を備え、他方の板は、エアギャップによって静止層から離隔された金属膜を備える。本願において詳述されるように、他方の板に対する一方の板の位置によって、干渉変調器に入射する光の光学干渉を変化させることができる。このような装置は広範な応用を有し、こうした種類の装置の特性を利用及び/又は変更する分野において有用であり、その特徴を、既存の製品を改善し、また、未だ開発されていない新規製品を創作するのに活かすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5986796号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/027701号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1640762号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一側面では、MEMS装置は、基板上に配置された第一の膜積層体と、ギャップによって第一の膜積層体から離隔された第二の膜積層体とを含む。第二の膜積層体は、第一の位置と第二の位置との間で可動し、MEMS装置は、第二の位置よりも第一の位置において実質的により多くの可視光を透過させ、MEMS装置は、MEMS装置が第一の位置にある際に第二の位置と実質的に同じ量の赤外光を透過させる。
【0006】
他の側面では、MEMS装置は、基板上に配置された第一の膜積層体と、エアギャップによって第一の膜積層体から離隔された第二の膜積層体とを含む。第二の膜積層体は、第一の位置と第二の位置との間で可動し、MEMS装置は、第二の位置よりも第一の位置において実質的により多くの可視光及び赤外光を透過させる。
【0007】
他の側面では、窓ガラスは、第一のガラス層と、第一のガラス層に密封されてその間にキャビティを画定する第二のガラス層と、第二のガラス層に対向する第一のガラス層の表面上に配置されたMEMS装置とを含む。MEMS装置は、MEMS装置を透過する入射放射の量が、可動層の位置に依存する第一の位置の間で可動する可動層を含む。
【0008】
他の側面では、MEMS装置は、基板上に配置された第一の複合層と、エアギャップによって第一の複合層から離隔された第二の複合層とを含む。第一の複合層は、第一の導電層及び第一の光学層を含む。第二の複合層は、第一の複合層に向けて可動する。第二の複合層は、第二の導電層及び第二の光学層を含む。第一の複合層に向かう第二の複合層の変位は、MEMS装置を介する赤外光の透過率を変化させる。
【0009】
他の側面では、MEMSシステムは、透明な基板と、透明な基板の上に又は隣接して配置されたMEMS装置と、基板に近接した位置で入射光を感知するように構成されているセンサと、センサと電気通信する制御回路とを含む。MEMS装置は、該MEMS装置が、入射光に対して実質的に透過性である第一の状態と、入射光の反射が増大する第二の状態との間で切り替え可能である第一の位置の間で可動する可動層を含む。制御回路は、少なくとも部分的にはセンサの状態に基づいて、MEMS装置の状態を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一番目の干渉変調器の可動反射層が緩和位置にあり、二番目の干渉変調器の可動反射層が作動位置にある干渉変調器ディスプレイの一実施形態の一部を示す等角図である。
【図2】3×3干渉変調器ディスプレイを組み込む電子装置の一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図3】図1の干渉変調器の実施形態の一例に対する可動ミラーの位置対印加電圧の図である。
【図4】干渉変調器ディスプレイを駆動するために使用可能な行及び列の電圧の組の図である。
【図5A】図2の3×3干渉変調器ディスプレイの表示データのフレームの一例である。
【図5B】図5Aのフレームを描くために使用可能な行及び列の信号用のタイミング図の一例である。
【図6A】図1の装置の断面図である。
【図6B】干渉変調器の代替実施形態の断面図である。
【図6C】干渉変調器の他の代替実施形態の断面図である。
【図6D】干渉変調器の更に他の代替実施形態の断面図である。
【図6E】干渉変調器の更なる代替実施形態の断面図である。
【図7A】高透過性状態と高反射性状態との間で切り替え可能な変調装置の概略的な断面図である。
【図7B】図7Aの変調装置に用いられる理想的で理論的な物質の屈折率の波長の関数としてのプロットである。
【図7C】図7Aの変調装置の反射率の波長及びエアギャップ高さの関数としてのプロットである。
【図7D】図7Aの変調装置の透過率の波長及びエアギャップ高さの関数としてのプロットである。
【図8A】高透過性状態と高反射性状態との間で切り替え可能な変調装置の他の実施形態の概略的な断面図である。
【図8B】図8Aの変調装置の反射率の波長及びエアギャップ高さの関数としてのプロットである。
【図8C】図8Aの変調装置の透過率の波長及びエアギャップ高さの関数としてのプロットである。
【図8D】15nmのエアギャップ高さに対する図8Aの変調装置の反射率の波長の関数としてのプロットである。
【図8E】15nmのエアギャップ高さに対する図8Aの変調装置の透過率の波長の関数としてのプロットである。
【図8F】170nmのエアギャップ高さに対する図8Aの変調装置の反射率の波長の関数としてのプロットである。
【図8G】170nmのエアギャップ高さに対する図8Aの変調装置の透過率の波長の関数としてのプロットである。
【図9A】SiC光学層を備えた変調装置の他の実施形態の概略的な断面図である。
【図9B】図9Aの変調装置の反射率の波長及びエアギャップ高さの関数としてのプロットである。
【図9C】図9Aの変調装置の透過率の波長及びエアギャップ高さの関数としてのプロットである。
【図9D】15nmのエアギャップ高さに対する図9Aの変調装置の反射率の波長の関数としてのプロットである。
【図9E】15nmのエアギャップ高さに対する図9Aの変調装置の透過率の波長の関数としてのプロットである。
【図9F】170nmのエアギャップ高さに対する図9Aの変調装置の反射率の波長の関数としてのプロットである。
【図9G】170nmのエアギャップ高さに対する図9Aの変調装置の透過率の波長の関数としてのプロットである。
【図10A】二つ以上の導電層を備えた静電作動可能な変調装置の実施形態の概略的な断面図である。
【図10B】二つのエアギャップ高さに対する、図10Aの変調装置の透過率及び反射率の波長の関数としてのプロットである。
【図11A】複数のエアギャップを備えた静電作動可能な変調装置の実施形態の概略的な断面図である。
【図11B】二つのエアギャップ高さに対する、図11Aの変調装置の透過率の波長の関数としてのプロットである。
【図12A】一対の誘電体ミラーを備えた静電作動可能な変調装置の実施形態の概略的な断面図である。
【図12B】図12Aの変調装置の第一及び第二の状態における透過率のプロットである。
【図13】図10Aのような変調装置を備えた二重窓の概略的な断面図である。
【図14】図13の製造途中の変調装置の概略的な断面図である。
【図15】変調装置及び追加の装置を備えた二重窓の概略的な断面図である。
【図16】複数の中間誘電体層を有する変調装置の第一及び第二の状態における透過率のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の詳細な記載は、本発明の特定の実施形態に対するものである。しかしながら、本発明は、多種多様な方法で実施可能である。この記載においては、全体にわたり同様の部分には同様の参照符号を付した図面を参照する。以下の記載から明らかになるように、動的な画像(例えば、ビデオ)または静的な画像(例えば、静止画)や、文字または図表の画像を表示するように設計されているあらゆる装置において、本実施形態を実装可能である。更に、携帯電話、無線装置、PDA、携帯型コンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤ、カムコーダ、ゲーム機、腕時計、置時計、計算機、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、自動車用ディスプレイ(例えば、走行距離計等)、コックピット制御機器及び/又はディスプレイ、カメラビューのディスプレイ(例えば、自動車の後方ビューカメラのディスプレイ)、電子写真、電光掲示板または電光サイン、プロジェクタ、建築物、パッケージング、審美的構造(例えば、宝石に対する画像表示)等の多種多様な電子機器において又はこれらに関連して、本実施形態を実施可能であるが、これらに限定されるものではない。本願で開示されるような構造のMEMS装置は、電子スイッチ装置などのディスプレイ以外の応用においても使用可能である。
【0012】
光の特定の波長の透過率を変更するのに用いられる固定された薄膜積層体が特定の応用には適し得るが、他方、エア(又は他のガスや流体)によって互いに離隔された複数の薄膜を備えたMEMSベースの変調装置は、二つ以上の状態の間での切り替えによって、透過性又は反射性の積極的な管理を可能にする。例えば、太陽からの赤外放射に対して高反射性である窓は、暑い夏の期間には望ましいものであり得るが、冬の期間や夜にはあまり望ましいものではない。固定された薄膜積層体の代わりに、変調装置を提供することによって、所望の際に、入射赤外光に対してあまり反射性でないように、窓を調節することができる。同様に、可視光の透過率又は反射率を変更して、例えば、高透過性状態に容易に切り替え可能なプライバシーガラスを提供することができ、住居内のカーテンやブラインドの代わりに又は組み合わせて使用可能である。一部実施形態では、このような装置を複数利用して、所望の透過性及び反射性を提供することができ、可動変調装置と組み合わせた固定された薄膜積層体の使用が含まれる。
【0013】
干渉MEMSディスプレイ素子を備えた干渉変調器ディスプレイの一実施形態を、図1に示す。この装置において、画素は、明状態または暗状態のどちらかである。明(“オン”、“オープン”)状態において、ディスプレイ素子は、入射可視光の大部分を使用者に反射する。暗(“オフ”、“クローズ”)状態において、ディスプレイ素子は、入射可視光の僅かしか使用者に反射しない。実施形態に応じて、“オン”及び“オフ”状態の光の反射性を逆にしてもよい。MEMS画素は、選択された色を主に反射するように構成可能であり、白黒に加えてカラーディスプレイが可能である。
【0014】
図1は、画像ディスプレイの一続きの画素の内の二つの隣接する画素を示す等角図である。ここで、各画素は、MEMS干渉変調器を備えている。一部実施形態では、干渉変調器ディスプレイは、これら干渉変調器の行列のアレイを備える。各干渉変調器は、互いに可変で制御可能な距離に配置された一対の反射層を含み、少なくとも一つの可変寸法を備えた共鳴光学ギャップ(“エアギャップ”又は単純に“ギャップ”)を形成する。一実施形態において、反射層の一方は、二つの位置の間を移動し得る。第一の位置(緩和位置と称する)では、可動反射層は、固定された部分反射層から比較的離れた位置に在る。第二位置(作動位置と称する)では、可動反射層は、部分反射層により近づいて隣接する位置に在る。これら二つの層から反射される入射光は、可動反射層の位置に応じて、建設的にまたは破壊的に干渉して、各画素に対して全体的な反射状態または非反射状態のどちらかがもたらされる。
【0015】
図1に示される画素アレイの一部は、二つの隣接する干渉変調器12a及び12bを含む。左側の干渉変調器12aでは、可動反射層14aが、光学積層体16a(部分反射層を含む)から所定の距離離れた緩和位置で示されている。右側の干渉変調器12bでは、可動反射層14bが、光学積層体16bに隣接した作動位置で示されている。
【0016】
本願において、光学積層体16a及び16b(まとめて光学積層体16と称する)は典型的に複数の結合層を備え、インジウム錫酸化物(ITO,indium tin oxide)等の電極層、クロム等の部分反射層、及び、透明誘電体を含み得る。従って、光学積層体16は、導電性であり、部分的には透明で部分的には反射性であり、例えば、透明基板20上に上述の層を一層以上堆積させることによって、製造可能である。部分反射層は、多様な金属、半導体、誘電体等の部分反射性である多様な物質から形成可能である。部分反射層は一層以上の物質層で形成可能であり、各層は単一の物質または複数の物質の組み合わせで形成可能である。
【0017】
一部実施形態では、光学積層体16の層が平行なストリップにパターニングされて、以下に記載するようなディスプレイ装置の行電極を形成し得る。可動反射層14a、14bは、ポスト18の上面と、ポスト18間に堆積させた介在犠牲物質の上面とに堆積させた堆積金属層(一層または複数層)の一続きの平行なストリップ(16a及び16bの行電極に直交する)として形成され得る。犠牲物質がエッチングされると、画定されたギャップ19によって、可動反射層14a、14bが光学積層体16a、16bから離隔される。反射層14用には、アルミニウム等の高導電性及び反射性物質を使用可能であり、そのストリップが、ディスプレイ装置の列電極を形成し得る。
【0018】
電圧が印加されていないと、図1の画素12aに示されるように、可動反射層14aと光学積層体16aとの間にギャップ19が残ったままであり、可動反射層14aは、機械的に緩和状態にある。一方で、選択された行と列に電位差が印加されると、対応する画素の行電極と列電極の交差する部分に形成されるキャパシタが帯電して、静電力が電極を互いに引き寄せる。電圧が十分に高いと、可動反射層14が変形して、光学積層体16に押し付けられる。光学積層体16内の誘電体層(図1に示さず)は、短絡を防止して、図1の右側の画素12bに示されるように、層14と層16との間の間隔を制御することができる。印加される電位差の極性に関わり無く、挙動は同じである。このように、反射画素状態対非反射画素状態を制御可能な行/列の作動は、従来のLCDや他のディスプレイ技術で用いられているものと多くの点で類似している。
【0019】
図2から図5Bは、ディスプレイ応用における干渉変調器のアレイを用いるためのプロセス及びシステムの一例を示す。
【0020】
図2は、本発明の複数の側面を組み込み得る電子装置の一実施形態を示すシステムブロック図である。例示的な実施形態では、電子装置はプロセッサ21を含み、そのプロセッサ21は、ARM、Pentium(登録商標)、Pentium(登録商標)II、Pentium(登録商標)III、Pentium(登録商標)IV、Pentium(登録商標)Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)等の汎用のシングルチップまたはマルチチップのマイクロプロセッサであり、または、デジタル信号プロセッサや、マイクロコントローラやプログラマブルゲートアレイ等の専用マイクロプロセッサであり得る。従来技術のように、プロセッサ21は、一つ以上のソフトウェアモジュールを実行するように構成され得る。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサは、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、eメールプログラムや、他のソフトウェアアプリケーション等の一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成され得る。
【0021】
一実施形態では、プロセッサ21は、アレイドライバ22と通信するようにも構成されている。一実施形態では、アレイドライバ22は、ディスプレイアレイ又はパネル30に信号を提供する行ドライバ回路24及び列ドライバ回路26を含む。図1に示されるアレイの断面図は、図2の線1‐1に沿って示されている。MEMS干渉変調器に対しては、行/列の作動プロトコルは、図3に示される装置のヒステリシス特性を利用し得る。例えば、可動層を緩和状態から作動状態に変形させるには、10ボルトの電位差が必要とされる。一方で、この値よりも電圧が減少すると、電圧が10ボルト未満に下がっても、可動層がその状態を維持する。図3の例示的な実施形態では、可動層は、電圧が2ボルト未満に下がるまでは完全に緩和しない。従って、装置が緩和状態または作動状態のどちらかで安定している印加電圧のウィンドウ(図3に示される例では略3から7V)が存在する。これを本願では、“ヒステリシスウィンドウ”または“安定ウィンドウ”と称する。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイに対しては、行/列の作動プロトコルを以下のように構成可能である。即ち、行のストローブ中には、作動されるべきストローブ行が略10ボルトの電圧に晒されて、緩和されるべき画素がゼロボルトに近い電圧に晒されるように構成可能である。ストローブ後には、画素が略5ボルトの安定状態電圧に晒されて、画素が、行のストローブによって与えられた状態を保つ。描かれた後には、各画素は、本実施例では3〜7ボルトの“安定ウィンドウ”内の電位差を見る。この特徴は、図1に示される画素構造を、同一の印加電圧条件の下において、作動または緩和の既存状態のどちらかで安定させる。干渉変調器の各画素(作動または緩和状態)は本質的に、固定反射層及び可動反射層によって形成されたキャパシタであるので、ほぼ電力消費無く、ヒステリシスウィンドウ内の電圧において、この安定状態を保持することができる。印加電位が固定されていれば、本質的に電流は画素内に流れない。
【0022】
典型的な応用では、表示フレームは、第1番目の行(行1)の作動画素の所望の組に従った列電極の組をアサートすることによって、生成され得る。その後、行パルスが行1の電極に印加されて、アサートされた列ラインに対応する画素を作動させる。その後、第2番目の行(行2)の作動画素の所望の組に対応するために、列電極のアサートされる組を変更する。その後、パルスが行2の電極に印加されて、アサートされた列電極に従った行2の適切な画素を作動させる。行1の画素は、行2のパルスによって影響されず、行1のパルスの間に設定された状態のままである。このことが、一続きの行全体に対して逐次的に反復されて、フレームを生成する。一般的に、秒毎の所望のフレーム数でこのプロセスを連続的に反復することによって、フレームがリフレッシュされ及び/又は新しい表示データに更新される。表示フレームを生成するために画素アレイの行電極及び列電極を駆動するプロトコルは、多種多様なものが周知であり、本発明と組み合わせて使用可能である。
【0023】
図4、図5A及び図5Bは、図2の3×3アレイ上に表示フレームを生成する作動プロトコルとして考えられるものの一つを示す。図4は、図3のヒステリシス曲線を示す画素に対して使用され得る列及び行の電圧レベルの組として考えられるものの一つを示す。図4の実施形態において、画素を作動させることには、適切な列を−Vバイアスに設定し、適切な行を+ΔVに設定することが含まれ、それぞれ−5ボルトと+5ボルトに対応し得る。画素の緩和は、適切な列を+Vバイアスに設定し、適切な行を同じ+ΔVに設定して、画素に対する電位差をゼロボルトにすることによって、達成される。行の電圧がゼロボルトに保たれている行においては、列が+Vバイアスであるか−Vバイアスであるかに関わらず、元々の状態で安定である。また、図4に示されるように、上述のものとは逆極性の電圧も使用可能であるということを認識されたい。例えば、画素を作動させることは、適切な列を+Vバイアスに設定し、適切な行を−ΔVに設定することを含むことができる。この実施形態では、画素の緩和は、適切な列を−Vバイアスに設定し、適切な行を同じ−ΔVに設定して、画素に対して電位差をゼロボルトにすることによって、達成される。
【0024】
図5Bは、図2の3×3アレイに印加される一続きの行及び列の信号を示すタイミング図であり、図5Aに示される表示配置がもたらされる。ここで、駆動画素は非反射性である。図5Aに示されるフレームを描く前においては、画素はいずれの状態であってもよく、この例では、全ての行は0ボルトであり、全ての列は+5ボルトである。これらの印加電圧に対しては、全ての画素は、作動または緩和のその時点での状態で安定である。
【0025】
図5Aのフレームでは、画素(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)、(3,3)が作動している。これを達成するためには、行1に対する“ライン時間”中に、列1及び列2は−5ボルトに設定され、列3は+5ボルトに設定される。全ての画素が3〜7ボルトの安定ウィンドウ内のままであるので、これによっては、いずれの画素の状態も変化しない。その後、行1が、0から5ボルトに上がりゼロに戻るパルスで、ストローブされる。これによって、(1,1)及び(1,2)の画素を作動させて、(1,3)の画素を緩和する。アレイの他の画素は影響を受けない。要求どおりに行2を設定するため、列2を−5ボルトに設定し、列1及び列3を+5ボルトに設定する。その後、行2に印加される同じストローブによって、画素(2,2)を作動させて、画素(2,1)及び(2,3)を緩和する。ここでも、アレイの他の画素は影響を受けない。同様に、列2及び列3を−5ボルトに設定して、列1を+5ボルトに設定することによって、行3を設定する。行3のストローブは、行3の画素を図5Aに示されるように設定する。フレームを描いた後において、行の電位はゼロであり、列の電位は+5または−5ボルトのどちらかを保つことができ、そうして、ディスプレイは図5Aに示される配置で安定である。同じ手順を、数十または数百の行列のアレイに対して用いることができるということを認識されたい。また、行及び列の作動を実施するために用いられるタイミング、シーケンス及び電圧レベルは、上述の基本原理内において多様に変更可能であり、上述の例は単の例示的なものであり、他の作動電圧方法を本願のシステム及び方法で使用可能であることも認識されたい。
【0026】
上述の原理に従って動作する干渉変調器の構造の詳細は、多種多様なものであり得る。例えば、図6A〜図6Eは、可動反射層14とその支持構造体の五つの異なる実施形態を示す。図6Aは、図1の実施形態の断面図であり、金属物質のストリップ14が、直交して延伸する支持体18の上に堆積されている。図6Bでは、可動反射層14が、テザー32に対して、角でのみ支持体に取り付けられている。図6Cでは、可動反射層14が、フレキシブル金属を含み得る変形可能層34から懸架されている。変形可能層34は、該変形可能層34の周囲において、基板20に直接的又は間接的に接続する。この接続を、本願において、支持ポストと指称する。図6Dに示される実施形態は、支持ポストプラグ42を有する。この支持ポストプラグの上に、変形可能層34が横たわる。図6A〜6Cのように、可動反射層14はギャップ上に懸架されている。しかしながら、変形可能層34と光学積層体16との間のホールを充填することによって、変形可能層34が支持ポストを形成してはいない。むしろ、支持ポストは、支持ポストプラグ42を形成するために用いられる平坦化物質から形成される。図6Eに示される実施形態は、図6Dに示される実施形態をベースにしたものであるが、図6A〜図6Cに示される実施形態、並びに、図示されていない追加の実施形態のいずれにおいても機能し得るものである。図6Eに示される実施形態では、金属または他の導電性物質の追加的な層が用いられて、バス構造44を形成している。これによって、信号が、干渉変調器の背面に沿ってルーティングすることが可能になり、基板20上に形成しなければならなかった多数の電極を省略することが可能になる。
【0027】
図6に示されるような実施形態では、干渉変調器は、直視型装置として機能し、画像は透明基板20の前面から視られ、その反対側に変調器が配置されている。こうした実施形態では、反射層14は、変形可能層34を含む基板20に対向する反射層の側において、干渉変調器の一部を光学的に遮蔽する。これによって、遮蔽された領域を、画像の質に悪影響を与えずに、構成及び動作させることが可能になる。このような遮蔽によって、変調器の光学的特性を変調器の電気機械的特性(アドレシングや該アドレシングの結果による移動等)から分離する性能を提供する図6Eのバス構造44が可能になる。この分離可能な変調器の設計によって、変調器の電気機械的側面及び光学的側面用に用いられる構造設計及び物質が、互いに独立に選択され、また、機能することが可能になる。更に、図6C〜図6Eに示される実施形態は、反射層14の光学的特性をその機械的特性から切り離すこと(このことは、変形可能層34によって達成される)に因る追加的な利点を有する。これによって、光学的特性に関して、反射層14に用いられる構造設計及び物質を最適化することが可能になり、また、所望の機械的特性に関して、変形可能層34に用いられる構造設計及び物質を最適化することが可能になる。
【0028】
従来の二重窓を改良して、固定された薄膜積層体の干渉性を利用し、窓の反射性を変化させることができる。例えば、これは、温暖な気候における入射太陽光を反射して、住居内部を涼しい環境に維持するのに使用可能である。米国エネルギー省は、窓が、所望の温度に建物を維持するために世界中で消費される加熱及び冷却エネルギーの30%に寄与すると試算している。米国では、これは、略年間300億ドルに達し、発電所が発生させる二酸化炭素排出量の略30%を占める。車両において、エアコンをつけている時に車で追加的に消費される燃料は、30%増となり得る。
【0029】
窓を透過する太陽光からの放射熱の略50%が可視光としてであり、略50%が赤外光としてであるので、窓を透過する赤外光の量の減少は、住居内への熱伝達の量を顕著に減少させることができる。従って、例えば、二重窓に薄膜積層体を設けて、可視光の透過は実質的に変化させずに、望ましくない赤外光を干渉法的に反射することができる。他の気候用に使用される窓においては、窓の反射率をその特定の気候用に最適化することができる。例えば、寒冷な気候では、Low‐Eコーティング(low−emissivity coating)によって、放射熱を住居内に戻して、冬の間熱を逃がさず、及び/又は、太陽光の赤外部分を、室内に透過させて室内に熱を付与することができる。
【0030】
しかしながら、固定された薄膜積層体の使用のみでは、透過性及び反射性の調節を、多様な熱及び光の状況に対して最適にすることができない。太陽の赤外放射に対する高い反射率は、温暖な気候において夏の間、望ましいものであろうが、このような高い反射率は、冬の間や夜にはあまり望ましくない。更に、このような窓は典型的に、可視光に対する高い透過性を有するので、可視光を介して伝えられる熱の量の減少は不可能である。特定の実施形態では、可動層を備えた窓を利用して、所望の際に、窓の透過性及び/又は反射性を選択的に変化させることができる。窓は、可視光に対する一定の高反射を有さないことがあり得るが、窓によって反射される光の量の制御によって、所望の際の可視光の反射を可能にする一方で、他の際には可視光の透過を可能にする。
【0031】
更に、赤外光及び可視光範囲内の特定の波長範囲が、対象となり得る。例えば、10〜20マイクロメートルの波長を有する熱赤外線を反射して、冬の間や夜に室内又は車内に熱を保持することができる。1500nm未満の波長を有する近赤外線を反射して、上述のように、入射太陽光からの熱伝達の量を減少させることができる。1.5から10マイクロメートルの間の波長を有する中赤外線は典型的に、大気中の二酸化炭素及び水蒸気によって吸収されるが、特定の実施形態では、このような波長も反射するように、変調装置が構成され得る。従って、一部実施形態では、透過性及び/又は反射性を、波長に依存して、選択又は調整することができる。例えば、一部実施形態では、赤外エネルギーが選択的に反射される一方で、可視光は、ほとんど変化なく、透過され得る。
【0032】
物質の屈折率は、波長の関数として変化する。従って、干渉変調器に或る角度で入射する光については、光学積層体及び可動層に使用されている物質に応じ、その有効光路が、異なる光の波長に対して変化する。図7Aは、互いに相対的に可動し、エアギャップ104によって離隔されている二つの層102a及び102bを有する単純な変調装置100を示す。図7A並びに図8A、図9A、図10A、図11A及び図12Aにおいて、層102a及び102bを離隔するポスト18(図6Aに示される)等の特徴部が明確性のため省略されている点には留意されたい。更に、図1〜図6Eに示されるような他の特徴部も明確性のため省略されているが、こうした特徴部も装置内に含まれ得る。図7Bは、波長に基づいて線形に変化する屈折率を有する理想的で理論的な物質の屈折率対波長λ(nm単位)を示す。このような物質を用いて、第一のエアギャップ高さに対して高透過性であり、第二のエアギャップ高さに対して高反射性である変調装置を、図7Bに示される波長の関数としての屈折率の変化に対して、シミュレーションすることができる。
【0033】
層102a及び102bが、図7Bの理論的な物質から形成され、略43nmの厚さを有するシミュレーションの装置について、波長λ(nm単位)及びエアギャップ104のサイズ(nm単位)の関数としての反射率の予側を、図7Cに示す。同様に、波長λ(nm単位)及びエアギャップ104のサイズ(nm単位)の関数としての透過率を図7Dに見て取ることができる。従って、理論的な物質を用いたこのようなシミュレーションの装置は、広い波長範囲にわたって、高透過性から高反射性へと移ることができる。
【0034】
図7C及び図7Dの透過率及び反射率の予測プロット並びに本願中に示される他のプロットは、説明されるシステムの光学モデルに基づいており、特定の物質及び厚さ、並びにそうした物質の光学特性(屈折率等)を考慮している。
【0035】
他のシミュレーションの装置として、図8Aは、図7Bの理論的な物質の層112a及び112bを備えた簡単な変調装置110を示し、層112a及び112bは、比較的厚いガラス基板116a及び116b上に支持されていて、エアギャップ114によって互いに離隔されている。ガラス基板116a及び116b等の層が、対象となっている光の波長に対して十分に厚ければ、その層はもはや薄膜層として機能せず、シミュレーションの変調装置110の光学特性に対してほとんど影響しない。例えば、層が、入射光のコヒーレント長(例えば10マイクロメートルよりも大きい)よりも厚いと、その層はもはや薄膜として機能せず、層の反射性を超える光学効果をほとんど有さない。層が比較的薄いと、シミュレーションの変調装置の光学特性はその層によって影響される。図8Bは、波長及びギャップサイズの関数として反射率を示し、図8Cは、波長及びギャップサイズの関数として透過率を示す。図7Aのシミュレーションの変調装置100のものと比較してみると、ガラス層を含むことが、シミュレーションの変調装置110の光学特性に顕著な影響を有さないことが見て取れる。
【0036】
図8D〜図8Gは、特定のギャップサイズに対して、波長λの関数としてシミュレーションの変調装置110のモデル化された透過率及び反射率を示す。図8D及び図8Eはそれぞれ、ギャップサイズが15nmである場合に、波長λの関数としての反射率及び透過率を示す。図8F及び図8Gはそれぞれ、ギャップサイズが120nmである場合に、波長λの関数としての反射率及び透過率を示す。シミュレーションの変調装置110は、ほぼ完全に透過性の状態から、可視光の大抵の波長に対して略80%反射性である状態へと移ることができるのが見て取れる。
【0037】
他の実施形態として、図9Aは、変調装置110の実施形態と同様の実現可能な簡単な変調装置120の実施形態を示す。変調装置は層122aを含み、その層122aは、ガラス基板126aによって支持され、エアギャップ124によって、ガラス基板126bに支持された他の層122bから離隔されている。層122a及び122bは、略厚さ25nmのSiC層を備える。図9Bは、波長λ及びエアギャップ厚さの関数として変調装置120の反射率を示し、図9Cは、波長λ及びエアギャップ厚さの関数として変調装置120の透過率を示す。
【0038】
図9Dは、エアギャップが20nmである場合に、波長λの関数としてモデル化された反射率を示し、図9Eは、同じ状態において、波長λの関数としてモデル化された透過率を示す。図9Fは、エアギャップが180nmである場合に、波長λの関数としてモデル化された反射率を示し、図9Gは、同じ状態において、波長λの関数としてモデル化された透過率を示す。エアギャップが20nmである場合、変調装置120は、全ての可視波長に対して実質的に透過性であり、顕著な色相なく光を透過させることが見て取れる。実際には、互いに接触する層の表面粗さに起因して、略20nmのオーダのエアギャップが、特定の実施形態において、層が互いに接触する際に達成可能な最小のエアギャップになり得る。同様に、エアギャップが180nmである場合、入射可視光の略50%が反射される。反射の程度にはいくらかの波長依存性があるが、透過光又は反射光に対して、顕著な色相は存在しない。
【0039】
一部実施形態では、変調装置は、薄膜積層体に集積された作動素子を含み得て、互いに対して相対的に層の一部を変位させて、その間の間隔を変更する。図10Aは、静電作動可能である例示的な変調装置130を示す。装置130は、基板136aに支持された導電層138aと、その導電層138aを覆う光学層132aとを含む。他の導電層138bは基板136bに支持されて、光学層132bが導電層138bを覆う。光学層132a及び132bは、エアギャップによって互いに離隔されている。上述のように、導電層138a及び138bに対する電圧の印加は、一方の層を他方の層に向けて変形させる。
【0040】
一部実施形態では、導電層138a及び138bは、例えばインジウム錫酸化物(ITO)等の透明又は光透過性物質を備え得るが、他の適切な物質も使用可能である。光学層132a及び132bは、高屈折率を有する物質を備え得る。特定の実施形態では、光学層132a及び132bは二酸化チタンを備えるが、例えば酸化鉛、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム等の他の物質も使用可能である。基板は例えばガラスを備え、基板のうち少なくとも一方は、一方の層が他方の層に向けて変形することを可能にするように十分に薄いものであり得る。
【0041】
導電層138a及び138bがITOを備え、厚さ80nmであり、光学層132a及び132bが二酸化チタンを備え、厚さ40nmであり、エアギャップが最初高さ170nmである実施形態について、図10Bは、可視波長及び一部赤外波長に対して、変調装置130の波長λの関数としてモデル化された透過率及び反射率のプロットを示し、装置が15nmのエアギャップで作動状態にある場合と、170nmのエアギャップで非作動状態にある場合の両方に対して示されている。上述のように、15nmのエアギャップは完全な作動状態を表すが、一部実施形態では、表面粗さが、エアギャップサイズの更なる減少を妨げ得る。特に、線142は、装置が非作動位置にある場合に、波長の関数として透過率を示し(T(170))、線144は、同じ状態における反射率を示す(R(170))。同様に、線146は、装置が作動位置にある場合に、波長の関数として透過率を示し(T(15))、線148は、同じ状態における反射率を示す(R(15))。
【0042】
これらのプロットから、可視波長に対して、特に略800nm未満の波長に対して、変調装置130が、小さなエアギャップ(15nm)の作動状態の場合に高透過性であることが見て取れる。大きなエアギャップ(170nm)の非作動状態では、装置は、同じ波長に対して略70%の反射性になる。対照的に、赤外波長等のより長い波長の透過率及び反射率は、装置の作動では顕著に変化しない。従って、変調装置130を用いて、赤外の透過率/反射率を顕著に変化させることなく、広範な可視波長の透過率/反射率を選択的に変化させることができる。図10Bに見て取れるように、赤外光の透過率は、MEMS装置を作動させても、顕著に変化せず、非作動状態と作動状態との透過率の差は、入射赤外光の略10%以内に留まる。変調装置内の層を備える物質の厚さ又は種類を変更することによって、透過率のこの小さな差を維持しながら、赤外光の全体的な透過率を増減させることができる。
【0043】
他の実施形態では、変調装置は、複数のエアギャップを有して設けられ得る。図11Aは、そうした変調装置150を示す。変調装置150は下部複合層160aを備え、その下部複合層160aはベース基板156aを備え、その上に第一の導電層158aが形成されている。支持層156bと、第一の光学層152aと、第二の導電層158bとを備えた中間複合層160bは、第一のエアギャップ154aによって、下部複合層160aから離隔されている。中間複合層160bの上方の上部複合層160cは、支持層156cと、第二の光学層152bと、第三の導電層158cとを含む。上部複合層160cは、第二のエアギャップ154bによって、中間複合層160bから離隔されている。
【0044】
特定の実施形態では、基板156aがガラスを備え、支持層156b及び156cは、略厚さ10nmの二酸化シリコン層を備え得る。導電層158a、158b及び158cは、略厚さ10nmのITO層を備え得る。光学層152a及び152bは、略厚さ30nmの二酸化チタン層を備え得る。図11Bは、二つの状態において、波長λの関数としてこうした変調装置150のモデル化された透過率を示す。線164は、エアギャップ162a及び162bが略0nmの高さを有して、複合層が互いに実質的に接触している場合のつぶれた状態における透過率を示す。線166は、170nmのエアギャップで、つぶれていない状態の透過率を示す。
【0045】
上述の図10Aの特定の実施形態の変調装置140と同様に、図11Aの特定の実施形態の変調装置150は、広範な可視光に対して高透過性を有する状態と、略同範囲の可視光に対して高反射性を有する状態との間で切り替え可能であることが見て取れる。特定の波長範囲の特定の透過性に対しては、変調装置150は、やや緑がかった金色の色合いを有する。このことは、赤外の透過性を顕著に変化させずに、なされ得る。
【0046】
他の実施形態では、変調装置は、誘電体ミラーが互いに対して相対的に可動性であるように、提供され得る。図12Aは、このような変調装置170の一例を示す。変調装置170は、基板176aと、導電層178aと、誘電体光学層172aとを備えた下部複合層180aを含む。誘電体層172aは、誘電体サブ層182a及び184bを備え得る。また、変調装置170は、エアギャップ174によって下部複合層180aから離隔された上部複合層180bも含む。上部複合層180bは、基板176bと、導電層178bと、誘電体光学層172bとを備え、誘電体光学層172b自体は、誘電体サブ層184及び186bを備え得る。
【0047】
特定の実施形態では、基板176a及び176bは、二酸化シリコンを備え、導体層178a及び178bはITOを備え得る。誘電体光学層172a及び172bは、酸化シリコン製のサブ層と、二酸化チタン製のサブ層とを備え得る。他の実施形態では、代替物質が使用され得て、また、追加のサブ層が誘電体層内に含まれ得る。特に、簡単のため、各種類の単一のサブ層が各誘電体層内に示されているが、各種類の複数のサブ層が、交互に配置され得る。特定の実施形態では、各種類のこのようなサブ層が、20層、誘電体光学層内に含まれ得るが、これよりも多い又は少ない数の各種類のサブ層を用いることもできる。更に、図示された実施形態は、互いに対して特定の位置にあるサブ層を示しているが、互いに対する誘電体サブ層の位置は、変調装置の全体的な光学特性を顕著に変化させずに、一つ以上の誘電体ミラーにおいて、逆にされ得る。
【0048】
図12Bは、上述の特定の実施形態の変調装置170のモデル化された透過性を、波長λの関数として示し、ここで、二酸化チタンのサブ層は厚さ55nmであり、酸化シリコンのサブ層は厚さ20nmであり、有電池光学層172a及び172bは、交互に配置された20個の二酸化チタンのサブ層と、20個の酸化シリコンのサブ層とを備える。更に、ITO層は厚さ10nmであり、エアギャップは、非作動状態において180nm、作動状態において10nmである。特に、図12Bは、作動状態(T(10))におけるモデル化された透過率192と、非作動状態(T(180))におけるモデル化された透過率194とを示す。誘電体ミラーの短い波長範囲の特性に対して顕著な量の変動が生じているが、略500nm以上の広範な可視及び赤外波長範囲に対して、第一の範囲における全体的な透過率は高い(略80%)ことが見て取れる。更に、短い波長範囲内における変動の鋭さにも関わらず、全体的な影響としては、やや橙赤色がかった色合いをのみ有する変調装置というものになる。変調装置が第二の状態にある際に、その透過率は略50%に低下する。図面には示されていないが、略550nm以下の可視波長に対して、モデル化された変調装置は、ほぼ100%の反射又は透過を与える。
【0049】
従って、変調装置170は、可視及び赤外における略80%の透過率から、可視及び赤外における略50%の透過率までの間で変化することのできる装置を提供する。更に、広範な波長に対して応答が実質的に一定であるので、実質的に角度依存性は存在しない。従って、画角が変化する際に生じる光路長の変化は、装置の見え方にほとんど影響しない。後述のように、特定の波長範囲の透過率においてより大きな低下が望まれるのであれば、変調装置170を、追加の変調装置と共に提供して、所望のレベルの透過率を得るようにする。一部実施形態では、追加の変調装置は、所望の特性を有する固定された膜であり得て、他の実施形態では、追加の変調装置は、上述のもののような変調装置であり得て、エアギャップを介して可動性である層を有する。
【0050】
変調装置170内において顕著な吸収がないことによって、例えば、略1マイナス反射率に等しい透過率が得られる。吸収がないことによって、変調装置が窓に組み込まれる場合等の特定の応用における有用性が保証される。他の実施形態では、吸収物質を用いて、例えば、審美的な又は他の理由によって、所望の色合いを有する変調装置を提供し得る。
【0051】
特定の実施形態では、上述のもの等の変調装置を、MEMS製造技術を用いて製造し、住居、商業ビル等において使用される二重窓等の構造内に組み込まれ得る。図13は、このような方法で製造された変調装置を備える二重窓200の一例を概略的に示す。特に、二重窓200は、特定の実施形態における図10Aの変調装置130と実質的に同様である変調装置208を備えることが見て取れる。変調装置208は、変調装置全体にわたる支持構造体又はスペーサ202を備え、変調装置208が非作動状態にある際に所望のエアギャップ高さを維持するようにする。一実施形態では、変調装置208は、例えば化学気相堆積又は物理気相堆積等の方法を用いて、層を逐次的に堆積させることによって、形成され得る。エアギャップは、所望の厚さの犠牲層の堆積及びその後の除去によって形成され、又は、エアギャップを形成するように含有された支持構造体を用いた積層方法によって形成され得る。支持構造体202は、堆積及びパターニングされている誘電体を備え得る。変調装置の製造を促進にするため、支持層の一つが、予め形成された基板ではなくて、酸化シリコン等の適切な物質の堆積層を備え得る。
【0052】
図14は、このようなプロセスによって形成される製造途中の変調装置210を示す。図示される実施形態では、基板204aは、変調器の光学特性に最小限の影響しか有さないのに十分な厚さである。酸化シリコン等の適切な物質の層136bを、基板204a上に堆積させて、続いて、ITO等の導電体の層138bと、二酸化チタンや他の高屈折率物質等の光学層132bとを堆積させる。一部実施形態では、略1.8より大きな屈折率を有する物質が用いられるが、他の実施形態では、1.9又はそれより大きな屈折率の物質等のより高い屈折率の物質が用いられ得る。光学層132bの上方に、犠牲層212が存在し、それを介して、支持構造体202が延在する。一部実施形態では、支持構造体202が、犠牲層212の堆積に先立って形成されて、犠牲層212は支持構造体202上に堆積され、平坦化物質を備えるか、又は、所望の高さにエッチバックされる。他の実施形態では、犠牲層212が、支持構造体に先立って形成されて、そして、パターニングされて、支持構造体202を後で形成するための開口部を形成する。エアギャップの高さは、支持構造体202及び犠牲層212の高さに影響を受ける。
【0053】
次に、光学層132a、導電層138a、支持層136aを、犠牲層212及び支持体202上に形成する。図示される実施形態において、下部層136b、138b、132bは、厚い基板204aを除いて、上部層136a、138a、132aの鏡像である。上部導電層128aと必要なドライバ又は作動回路(図示せず)との間の電気接続を、変調装置の周辺に、又は画素の周辺に(多数の画素が存在する場合)形成することができる。次に、犠牲層212を、エッチングプロセス等によって除去して、変調装置210をリリースする。特定の実施形態では、小さなエッチングホールを上部層136a、138a、132aに形成して、エッチング剤が、露出された周辺のみにおいてではなく、装置全体にわたって犠牲層212にアクセスすることができるようにし得る。
【0054】
代わりの製造方法を利用することもできる。他の実施形態では、多様な層を、基板上に予め形成された層を積層させることによって、形成し得る。スペーサは、例えば、所望の直径のガラス球を備え得て、変調装置全体にわたって離隔されている。他の実施形態では、薄膜堆積及び積層化の組み合わせを用いて、変調装置を形成し得る。
【0055】
図14の変調装置210が、図13の二枚の窓ガラス204a及び204bの一方の上に形成されると、二つの窓ガラスを、密封体206によって互いに密封して、図13に示される二重窓200を形成する。変調装置130と対向窓ガラス204bとの間のエアギャップは、変調装置130の高さよりも実質的に大きく、対向窓ガラスは、保護バックプレートとして機能し、変調装置を機械的又は他の干渉から保護する。
【0056】
上述のように、複数の透過率変更構造又は反射率変更構造を互いに組み合わせて用いて、所望の結果を得ることができる。一実施形態では、変調装置が、二重窓200の内部表面上に各々形成される。他の実施形態では、固定された薄膜積層体が、変調装置と支持構造体との間に、又は、二重窓の別の表面上に設けられる。また、適切な変調装置が、本変調装置の代わりに形成され得る点は理解されたい。
【0057】
図15は、このような窓220の実施形態を示し、第一の変調装置230は第一の窓ガラス204a上に形成され、第二の装置240は第二の窓ガラス上に形成される。一実施形態では、第一の変調装置230は、本願で説明される変調装置を備える。特定の実施形態では、第一の変調装置230は、図12Aの変調装置170を備え、広範な可視及び赤外放射に対して実質的に透過性である状態と、広範な可視及び赤外放射にわたる反射率が増大する他の状態との間で切り替え可能である。
【0058】
特定の実施形態では、第二の装置240は、入射光の特定量を透過させる装置を備え得る。特定の実施形態では、装置240は、入射光の特定量を吸収する装置を備え得る。特定の実施形態では、装置240は、入射光に対して実質的に透過性である第一の状態と、少なくとも特定の波長の吸収が増大する第二の状態との間で切り替え可能である。更に他の実施形態では、装置240は、所望の透過性、反射性又は吸収性を有する固定された薄膜積層体を備え得る。
【0059】
特定の実施形態では、懸濁粒子デバイス(SPD,suspended particle device)を用いて、透過性状態と吸収性状態との間で変化させ得る。このようなデバイスは、印加電場が存在しない場合にランダムな位置にある懸濁粒子を備え、光を吸収及び/又は拡散して、“ぼんやりして”見える。電場を印加すると、懸濁粒子は、光を通過させる構成に整列される。他の装置240は同様の機能性を有し得る。他の実施形態では、同様の機能性を有する干渉変調装置が使用される。
【0060】
従って、装置240がSPD、又は同様の機能性を有する装置を備える場合、窓220は、異なる状態間で切り替え可能である。即ち、装置230及び240が両方とも透過性状態である場合の透過性状態と、装置230が反射性状態である場合の反射性状態と、装置240が吸収性状態である場合の吸収性状態とである。入射光に対する相対的な窓220の向きに応じて、窓220が吸収性状態である場合に、装置230が透過性状態になり、同様に、窓220が吸収性状態にある場合に、装置240が透過性状態になり得る。
【0061】
他の実施形態では、装置240及び230は、エアギャップによって互いに離隔された複数の可動層を備え得る。特定の実施形態では、装置は、可動エアギャップによって互いに離隔された複数の誘電体層を備え得る。装置は、基板上に位置する第一の導電層と、誘電体層を覆う第二の導電層を備えた最上部可動層とを備え得る。第一の導電層と第二の導電層との間に、装置が非作動状態の場合に一定の距離によって互いに離隔された複数の可動誘電体層が存在する。第一及び第二の導電層の間に電圧を印加すると、可動層がつぶれて、可動層間の間隔が顕著に減少する。
【0062】
図16に波長λ(nm単位)の関数として光学応答が示されている特定の実施形態の窓220では、装置230及び240は、略厚さ20nmのITO製の第一及び第二の導電層を備え得る。上部可動層は、第二の導電層と、その下の厚さ略52nmの二酸化チタン層とを備える。九つの厚さ略52nmの中間の二酸化チタン層が、エアギャップによって隣接する層から離隔されている。非作動状態において、装置230のエアギャップは略500nmであり、装置240のエアギャップは略330nmである。最上部の可動層を基板に向けて引き寄せるように電圧を印加する際に、装置230及び240の両方のエアギャップが、隣接する表面の表面粗さに起因して、略20nmにつぶれる。
【0063】
図16に見て取れるように、装置230及び240が作動状態の場合、入射可視及び赤外光の略50%が装置を透過する。両装置が作動状態の場合の光の透過率が252で示されている。装置がリリースされると、その装置はほぼ完璧な広帯域ミラーとして機能し、ほぼ全ての入射可視及び赤外光を反射する。両装置が非作動状態の光の透過率が254で示されている。本実施形態を、装置230及び240が別々の窓ガラス上にある窓220に関して説明してきたが、十分に厚い基板を用いて、単一の基板の両側に装置230及び240を支持することもできる。
【0064】
変調装置が静電作動可能である実施形態では、上述のように、導電層に対する電圧の印加によって、エアギャップのサイズを変化させて、層の一方又は両方がエアギャップを介して移動し、エアギャップをつぶす。変調装置を作動させるのに必要な電圧は、多数の因子に依存し、変調装置の全面積、エアギャップの高さ、可動層の有効ばね定数が挙げられるが、これらに限定されるものではない。可動層の有効ばね定数は、特に、層内部の残留引っ張り応力、層の厚さ及び組成、変調装置全体にわたる支持構造体の間隔に依存する。装置を作動させるのに必要な電圧が導電層間に位置する物質の絶縁破壊強度未満となるように、変調装置が構成され得る。その値は、使用される特定の物質及び層の厚さに依存して顕著に異なるが、特定の実施形態では、作動電圧は100V未満である。
【0065】
特定の実施形態において、変調装置はその表面にわたって一様な反応を有するので、変調装置は、ディスプレイ装置として機能するのに必要な解像度を必要としない。一実施形態では、二重窓は、実質的に唯一つの画素を備え、可動層中の導電層は、連続的な層を備えるが、所望の形状にパターニングされ得る。他の実施形態では、複数の画素状領域が使用され得るが、可動導電層は、複数の離散的な部分を備え得て、全ての部分を作動させずに、一つの部分を作動させることができる。作動電圧は、変調器の面積には依存せず、従って、残留応力、支持体の間隔、エアギャップの高さ等の所定のパラメータについて、作動電圧は、あらゆるサイズの窓又は“画素”に対して実質的に一定である。
【0066】
画素、更には、建築的窓又は他の物理的な大型製品の全サイズは非常に大きくなり得るので、支持構造体が画素を画定するのに役立ち200μm以下のオーダで互いに離隔されるディスプレイ装置内ほどには、支持構造体を密にパッケージングする必要がない。装置130の一実施形態では、例えば、スペーサは、数ミリメートルのオーダで離され得て、有効ばね定数が低下し、よって、装置を作動させるのに必要な電圧が低下する。
【0067】
特定の実施形態では、変調装置を用いて、二つの別々の作動状態及び非作動状態によって与えられるレベルの間の反射性及び透過性のレベルを備えたグレイスケール状効果を提供することができる。このようなグレイスケール状効果は、少なくとも二通りで提供され得る。一実施形態では、空間的ディザリングを用いて、変調装置の一部のみを所定の時間において作動させて、このようなグレイスケール効果を提供する。一実施形態では、変調装置は、複数の独立制御可能な領域を備え得る。特定の実施形態では、これらの領域は、複数の領域の作動(均一又は半規則的なタイル表示(例えばチェッカーボード、三角形、六角形、他の幾何学パターン)等)が、窓の全体的な反射性及び/又は透過性が目立ったパターンを生じさせずに変更されるように見える視覚効果を生じさせるのに十分小さいサイズを有し得る。一部実施形態では、使用者に目立つパターンを生じさせるように、例えば、“シースルー”のマークを生じさせるように、大型の窓に対して“仮想的な中枠”(仕切り)を提供するように、領域を作動させ得る。
【0068】
他の実施形態では、反復的に装置を作動又は非作動にすることによって、時間的ティザリングを用いて、変調装置が、特定の時間比率に対してのみ透過性及び/又は反射性であるようにして、同じ様なグレイスケール効果を生じさせる。また、このことは、小さな領域の使用と組み合わせても行い得て、また、特定の実施形態では、チェッカーボード状パターンの領域を作動させて、非作動領域を作動させること及びその逆で切り替えること等によって、空間的ディザリングと組み合わせて行い得る。
【0069】
特定の領域の選択作動を、他の理由によっても使用し得る。例えば、十分に大きな窓においては、入射光に現在露光されている部分等の窓の一部のみを作動させる一方で、日よけ又は他の構造によって遮光されている部分等の他の部分を作動させないことが望ましい。
【0070】
特定の実施形態では、変調装置の作動は、スイッチ等によって、使用者が制御し得る。他の実施形態では、作動は、自動化されて、時間に基づいて行われる。例えば、変調器を、夏の期間や日中に作動位置にし得る。更に他の実施形態では、制御回路に接続されたセンサを用いて、いつ変調装置を作動させるのかを決める。例えば、入射光の量及び/又は入射光の波長が、例えば赤外感知センサに基づいて赤外反射性が必要であるのか、又は、プライバシーガラスを反射性又は不透明にすべきなのかを決定する。センサの感度は、例えば、被覆フィルタの使用によって、制御可能である。一部実施形態では、一つ以上のセンサを窓の両側に配置して、例えば、建物の外側の可視及び/又は赤外エネルギーを、建物内部のものと比較する。適切な制御論理が回路内に含まれ得て、窓内部の変調装置の特性(波長依存性、感度等)を制御する。特定の実施形態では、センサを用いて、窓の一部の現在の照明条件を決定し得て、また、それに従って、それら部分の状態を独立して制御し得る。
【0071】
上述のように、本願で説明される実施形態は、多様な構造又は装置内に含まれ得る。例えば、本装置は、あらゆるサイズの窓に含まれ得て、住居やオフィスビル内の窓等の建築的窓、車両の窓、眼鏡等の透過率の変更が望まれる他の窓が挙げられる。本願で説明される特定の実施形態の薄膜の性質に起因して、このような実施形態は、曲率を有する窓や他の構造や装置にも含まれ得る。
【0072】
上述の詳細な説明は、多様な実施形態に適用されるものとして本発明の新規特徴について、示し、説明し、指摘してきたが、示された装置又はプロセスの形態及び詳細における、多様な省略、置換及び変更が、本発明の精神を逸脱せずに、当業者によって行われ得ることは理解されたい。認識されるように、本発明は、上述の特徴及び利点の全部を提供しない形態において実現可能であり、いくつかの特徴が、他のものとは別に使用又は実現される。
【符号の説明】
【0073】
132a、132b 光学層
136a、136b 支持層
138a、138b 導電層
200 二重窓
202 支持構造体
204a 基板(窓ガラス)
206 密封体
208 変調装置
210 製造途中の変調装置
212 犠牲層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置された第一の膜積層体と、
ギャップによって前記第一の膜積層体から離隔された第二の膜積層体とを備えたMEMS装置であって、
前記第二の膜積層体が、第一の位置と第二の位置との間で可動し、
前記MEMS装置が、前記第二の位置よりも前記第一の位置において実質的により多くの可視光を透過させ、前記MEMS装置が、該MEMS装置が前記第一の位置にある際に、前記第二の位置と実質的に同じ量の赤外光を透過させる、MEMS装置。
【請求項2】
前記MEMS装置が、前記第二の位置よりも前記第一の位置において少なくとも略50%多くの入射可視光を透過させる、請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項3】
前記第一の位置において透過する赤外光と、前記第二の位置において透過する赤外光との差が、入射赤外光の10%以下である、請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項4】
赤外光が、1.5マイクロメートル未満の波長を有する赤外光を備える、請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項5】
第一の薄膜積層体が、第一の導電層及び第一の光学層を備え、第二の薄膜積層体が第二の導電層及び第二の光学層を備える、請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項6】
前記第一及び第二の光学層が、略1.8よりも大きい屈折率の物質を備える、請求項5に記載のMEMS装置。
【請求項7】
前記第一及び第二の光学層が、略1.9よりも大きい屈折率の物質を備える、請求項6に記載のMEMS装置。
【請求項8】
前記第一及び第二の光学層が、二酸化チタン、酸化鉛、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウムのうち一つ以上を備える、請求項5に記載のMEMS装置。
【請求項9】
前記第一及び第二の導電層が、連続的な層を備える、請求項5に記載のMEMS装置。
【請求項10】
入射光の実質的な部分を反射するように構成されている固定された薄膜積層体を更に備えた請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項11】
前記固定された薄膜積層体が、入射赤外光の実質的な部分を反射するように構成されている、請求項10に記載のMEMS装置。
【請求項12】
前記第一の薄膜積層体と前記第二の薄膜積層体との間に配置された支持構造体を更に備えた請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項13】
前記支持構造体がガラス球を備える、請求項12に記載のMEMS装置。
【請求項14】
前記MEMS装置が、前記第二の膜積層体の一部が前記第一の膜積層体に向けて独立的に可動する少なくとも一つの領域を備える、請求項1に記載のMEMS装置。
【請求項15】
基板上に配置された第一の膜積層体と、
エアギャップによって前記第一の膜積層体から離隔された第二の膜積層体とを備えたMEMS装置であって、
前記第二の膜積層体が、第一の位置と第二の位置との間で可動し、
前記MEMS装置が、前記第二の位置よりも前記第一の位置において実質的により多くの可視及び赤外光を透過させる、MEMS装置。
【請求項16】
前記第一及び第二の膜積層体が誘電体ミラーを備える、請求項15に記載のMEMS装置。
【請求項17】
前記MEMS装置が、前記第一の位置において入射赤外光の略80%より多くを透過させ、前記第二の位置において入射赤外光の略55%未満を透過させる、請求項15に記載のMEMS装置。
【請求項18】
前記MEMS装置が、前記第一の位置において入射可視及び赤外光の略20%を反射し、第二の位置において入射可視及び赤外光の略50%を反射する部分反射広帯域ミラーとして機能する、請求項15に記載のMEMS装置。
【請求項19】
前記第一の膜積層体と前記第二の膜積層体との間に配置された複数の中間層を更に備えた請求項15に記載のMEMS装置。
【請求項20】
前記第一の膜積層体がITO層を備え、
前記第二の膜積層体が、二酸化チタン層を覆うITO層を備え、
前記複数の中間層が複数の二酸化チタン層を備える、請求項19に記載のMEMS装置。
【請求項21】
第一のガラス層と、
前記第一のガラス層に密封された第二のガラス層であって、前記第一のガラス層と該第二のガラス層との間にキャビティを画定する第二のガラス層と、
前記第二のガラス層に対向する前記第一のガラス層の表面上に配置されたMEMS装置とを備えた窓ガラスであって、
前記MEMS装置が、該MEMS装置を透過する赤外放射の量が可動層の位置に依存する第一の位置の間で可動する可動層を備える、窓ガラス。
【請求項22】
前記MEMS装置に入射する1.5マイクロメートル未満の波長の赤外放射の実質的に全てが、反射又は透過される、請求項21に記載の窓ガラス。
【請求項23】
前記MEMS装置が、前記第一の位置において赤外放射に対して実質的に透過性である、請求項21に記載の窓ガラス。
【請求項24】
前記MEMS装置が第二の位置にある際に、実質的により多くの入射赤外光が前記MEMS装置によって反射される、請求項23に記載の窓ガラス。
【請求項25】
前記第一及び第二のガラス層の一方の表面の上に又は隣接して配置された第二の装置を更に備え、前記第二の装置が、入射光に対して実質的に透過性である第一の状態と、入射光の吸収が増大する第二の状態との間で切り替え可能である、請求項21に記載の窓ガラス。
【請求項26】
前記第二の装置が懸濁粒子デバイスを備える、請求項25に記載の窓ガラス。
【請求項27】
前記MEMS装置が、
基板上に配置された導電層と、
第一の導電層と可動層との間に配置された複数の中間層とを備える、請求項21に記載の窓ガラス。
【請求項28】
前記第一のガラス層に対向する前記第二のガラス層の表面上に配置された第二のMEMS装置を更に備え、前記第二のMEMS装置が、
基板上に配置された第二の導電層と、
前記MEMS装置を透過する赤外放射の量が可動層の位置に依存する第一の位置の間で可動する第二の可動層と、
前記第二の可動層と前記第二の導電層との間に配置された複数の中間層とを備える、請求項27に記載の窓ガラス。
【請求項29】
前記窓ガラスが、入射可視及び赤外光の略50%を反射させる第一の状態と、入射可視及び赤外光の実質的に全てを反射させる第二の状態との間で切り替え可能である、請求項28に記載の窓ガラス。
【請求項30】
基板上に配置された第一の複合層と、
エアギャップによって前記第一の複合層から離隔された第二の複合層とを備えたMEMS装置であって、
前記第一の複合層が、
第一の導電層と、
第一の光学層とを備え、
前記第二の複合層が前記第一の複合層に向けて可動し、前記第二の複合層が、
第二の導電層と、
第二の光学層とを備え、
前記第一の複合層に向かう前記第二の複合層の変位が、前記MEMS装置を介する赤外光の透過率を変化させる、MEMS装置。
【請求項31】
前記第一の複合層に向かう前記第二の複合層の移動が、前記MEMS装置を介する可視光の透過率も変化させる、請求項30に記載のMEMS装置。
【請求項32】
可動層が第一の位置と第二の位置との間で可動し、前記MEMS装置が、前記第一の位置において入射赤外光の略80%よりも多くを透過させ、前記第二の位置において入射赤外光の略55%未満を透過させる、請求項30に記載のMEMS装置。
【請求項33】
前記第一及び第二の光学層が誘電体ミラーを備える、請求項30に記載のMEMS装置。
【請求項34】
透明な基板と、
前記透明な基板の上に又は隣接して配置されたMEMS装置と、
前記基板に近接した位置において入射光を感知するように構成されているセンサと、
前記センサと電気通信する制御回路とを備えたMEMSシステムであって、
前記MEMS装置が、該MEMS装置が入射光に対して実質的に透過性である第一の状態と、入射光の反射が増大する第二の状態との間で切り替え可能である第一の位置の間で可動する可動層を備え、
前記制御回路が、少なくとも部分的には前記センサの状態に基づいて、前記MEMS装置の状態を制御する、MEMSシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−504243(P2011−504243A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531168(P2010−531168)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/080651
【国際公開番号】WO2009/055393
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(508095337)クォルコム・メムズ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (133)
【Fターム(参考)】