貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、基板の製造方法、及び貫通孔の検査方法
【課題】貫通孔内の状態を確認できる貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、基板の製造方法、及び貫通孔の検査方法の提供。
【解決手段】(1)基板1の一面1aから他面1bにかけて貫通孔4が形成され、一面1aにおける貫通孔4の開口部5を覆う導電パターン2が配された貫通孔基板であって、導電パターン2には、貫通孔4を一面1a側から観察可能な切抜き3が形成されていることを特徴とする貫通孔基板。(2)切抜き3において、開口部5の縁が観察可能であることを特徴とする(1)に記載の貫通孔基板。
【解決手段】(1)基板1の一面1aから他面1bにかけて貫通孔4が形成され、一面1aにおける貫通孔4の開口部5を覆う導電パターン2が配された貫通孔基板であって、導電パターン2には、貫通孔4を一面1a側から観察可能な切抜き3が形成されていることを特徴とする貫通孔基板。(2)切抜き3において、開口部5の縁が観察可能であることを特徴とする(1)に記載の貫通孔基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、基板の製造方法、及び貫通孔の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、基板の一面に配置された電極パッドと、基板の他面から一面にかけて貫通し、電極パッドと電気的に接続された貫通配線と、を備えた貫通配線基板が開示されている(特許文献1)。貫通配線は、基板の他面から電極パッドに向けて貫通孔を形成し、その貫通孔の内部に導電性物質を充填することによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−133472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体装置の一層の小型化によって、基板内の貫通配線のサイズも微細化が進んでいる。これに伴い、貫通孔が基板の表面に開口する開口部の口径も小さくなっている。半導体装置を製造する一般的な方法として、基板の一面に表面配線を設けた後、基板の他面から一面へ貫通孔を形成し、該貫通孔へ導電性物質を配する方法がある。通常、金属の薄膜からなる表面配線で形成した電極パッドは、貫通孔の開口部よりも一回り以上大きく形成されるので、電極パッドによって開口部が完全に覆われた状態になる。このため、基板の一面側から電極パッドを光学的に観察した場合、微細孔中に導電性物質が配されていること、電極パッドと貫通配線とが接続していることを確認できないという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、貫通孔内の状態を容易に確認できる貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、基板の製造方法、及び貫通孔の検査方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の貫通孔基板は、基板の一面から他面にわたって貫通孔が形成され、前記一面における前記貫通孔の開口部を覆う導電パターンが配された貫通孔基板であって、前記導電パターンには、前記貫通孔を前記一面側から観察可能な切抜きが形成されていることを特徴とする。
この構成において、基板の二つの主面である一面から他面にわたって貫通孔が形成されており、該貫通孔が一面に開口する開口部を覆う導電パターンが配されている。そして、この導電パターンには貫通孔の内部を視認できる切抜きが形成されているので、基板の一面側から導電パターンを光学的に観察することで容易に貫通孔内の状態を観察できる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の貫通孔基板は、請求項1において、前記切抜きにおいて、前記開口部の縁が観察可能であることを特徴とする。
この構成によれば、開口部の縁を観察することによって、切抜きを通して貫通孔内の状態を観察できると共に、貫通孔の形成不良が発生し易い開口部の縁が設計通りに形成されているか否かを検査できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の貫通孔基板は、請求項2において、前記切抜きが、前記開口部の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、切抜きを通して開口部の直径の両端を観察することによって、貫通孔内の状態を観察でき、貫通孔の形成不良が発生し易い開口部の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の貫通孔基板は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記導電パターンは、前記切抜きを2つ以上有することを特徴とする。
この構成によれば、2つ以上の切抜きを通して貫通孔内を観察できるので、貫通孔内の状態をより詳細に観察できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の貫通配線基板は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の貫通孔基板を用いて、該貫通孔基板の貫通孔の内部に、貫通配線が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、切抜きを通して、貫通孔内に配した導電性物質を観察できる。これによって、貫通配線の不良の有無を検査できる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の電子部品は、請求項5に記載の貫通配線基板から切り出された電子部品であって、前記貫通孔が少なくとも1つ含まれることを特徴とする。
この構成によれば、前記導電性パターンには切抜きが形成されているため、切抜きを通して、貫通孔内の状態を観察できる。
【0012】
本発明の請求項7に記載の基板の製造方法は、基板の一面側に導電パターンを配置する工程A1と、前記導電パターン上に透光性の支持層を配置する工程A2と、前記基板の一面から他面にわたって貫通孔を形成する工程A3と、を少なくとも有し、前記工程A1において、前記導電パターンに切抜きを形成し、前記工程A3において、前記貫通孔が前記一面に開口する開口部を前記導電パターンの直下に形成すると共に、前記切抜きを通して前記開口部の一部を前記支持層の上から観察可能なように形成することを特徴とする。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できる。
【0013】
本発明の請求項8に記載の基板の製造方法は、請求項7において、前記工程A3の後に、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通孔基板を容易に選別することができる。
【0014】
本発明の請求項9に記載の基板の製造方法は、請求項8において、前記工程A3において形成した前記貫通孔の内壁及び該貫通孔の内部に露呈させた前記導電パターンの下面を絶縁層で被覆した後に、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項10に記載の基板の製造方法は、請求項7〜9のいずれか一項において、前記貫通孔の内部に貫通配線を形成する工程A5と、次いで、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A6を有していることを特徴とする。
この構成によれば、工程A5の後で、基板内に形成した貫通孔の内部に配された導電性物質を観察して、貫通配線の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通配線基板の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通配線基板を容易に選別することができる。
【0016】
本発明の請求項11に記載の貫通孔の検査方法は、請求項1〜4に記載の貫通孔基板、請求項5に記載の貫通配線基板、又は請求項6に記載の電子部品において、前記一面側から前記切抜き通して前記貫通孔の内部を調べることを特徴とする。
これにより、貫通孔基板、貫通配線基板、及び電子部品の品質を容易に把握できると共に、不具合のある製品を容易に選別することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の貫通孔基板によれば、導電性パターンに切抜きが配されているので、該切抜きを通して、貫通孔内の状態を容易に検査できる。
本発明の貫通配線基板によれば、導電性パターンに切抜きが配されているので、該切抜きを通して、貫通孔の内部に配された導電性物質の状態を検査できる。これにより、貫通孔内に形成された貫通配線の状態を容易に検査できる。
本発明の電子部品によれば、貫通孔内に形成された貫通配線の状態を容易に検査することができる。
本発明の基板の製造方法によれば、貫通孔の状態又は貫通配線の状態を容易に検査できるので、貫通孔基板、及び貫通配線基板の品質を容易に把握することができる。
本発明の貫通孔の検査方法によれば、前記貫通孔基板、前記貫通配線基板、前記電子部品を構成する貫通孔の状態又は貫通配線の状態を容易に検査できる。これによって、前記貫通孔基板、前記貫通配線基板、及び前記電子部品の品質を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる貫通孔基板10の外形を示す模式図である。
【図2】本発明にかかる貫通孔基板10Aの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図3】本発明にかかる貫通孔基板10Bの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図4】本発明にかかる貫通孔基板10Cの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図5】本発明にかかる貫通孔基板10Dの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図6】本発明にかかる貫通孔基板10Eの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図7】本発明にかかる貫通孔基板10Fの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図8】本発明にかかる貫通孔基板10Gの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図9】本発明にかかる貫通孔基板10Hの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図10】貫通孔基板100の開口部105周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図11】本発明にかかる貫通配線基板20Aの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図12】本発明にかかる貫通配線基板20Bの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図13】本発明にかかる電子部品30Aの断面の模式図である。
【図14】本発明にかかる電子部品30Aの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図15】本発明にかかる基板の製造方法を示す、模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0020】
<<貫通孔基板>>
本発明にかかる貫通孔基板は、後述する電子部品30を切り出す前のウエハ基板である。その一例である貫通孔基板10の外形を図1に示す。
本発明にかかる貫通孔基板には、その一面から他面にわたって貫通孔が形成され、前記一面における前記貫通孔の開口部を覆う導電パターンが配されている。つまり、基板の一面と他面とを結ぶように貫通孔が形成され、該貫通孔が前記一面に開口する開口部上に、導電パターンが配されている。また、前記導電パターンには、前記貫通孔を前記一面側から観察可能な切抜きが形成されている。
【0021】
<貫通孔基板の第一態様>
本発明にかかる貫通孔基板の第一態様として、貫通孔基板10Aの貫通孔の拡大図を図2に示す。図2(a)は、基板1の一面1a側から貫通孔4の開口部5を見た図である。図2(b)は、開口部5の直径を含む断面図である。
【0022】
貫通孔4は、基板1の一面1aから他面1bにわたって形成されている。また、一面1aにおける貫通孔4の開口部5を覆う導電パターン2が配されている。導電パターン2からなる前記電極パッドには、貫通孔4を一面1a側から光学的に観察可能な切抜き3が形成されている。
基板1の一面1aには第一の絶縁層7が形成されており、その上に導電パターン2が配されている。貫通孔4の内壁には第二の絶縁層6が形成されている。導電パターン2は、電極パッドを構成するとともに、一面1aにおいて、配線(表面配線)を構成してもよい。該配線は、一面1a上に形成された複数の電極パッド間を電気的に接続してもよい。
【0023】
前記電極パッドには切抜き3が形成されているので、基板1の一面1a側から電極パッドを光学的に観察すると、切抜き3を通して、貫通孔4内の状態を観察できる。その結果、貫通孔4が設計通りに形成されているか否かを確認でき、形成した貫通孔4の位置ズレやエッチング残り等の不具合を発見した場合には、その貫通孔基板の使用を中止するか否かを判断できる。
【0024】
一般に、ウエハ基板1に貫通孔4を形成する際には、後段で形成する電子部品30を複数含む広い範囲に対して、単一のリソグラフィマスクを使用する。このため、万一、リソグラフィマスクの位置がずれたまま貫通孔4をウエハ基板1に対して形成した場合には、全ての貫通孔4が位置ズレを生じた状態で形成される。したがって、基板1に形成された貫通孔4の位置ズレの有無を調べる場合には、少なくとも二つの貫通孔4についてのみ、切抜き3を利用して、位置ズレの有無を検査すればよい。このため、本発明の貫通孔基板10においては、形成される貫通孔4の少なくとも二つに、切抜き3が形成された導電パターン2が配されていればよい。また、切抜き3が形成された導電パターン2の、互いの離間距離が大きいほど、位置ズレの方向やズレ幅などのより正確な情報を得ることができる。
【0025】
一方、前記位置ズレではなく、前記エッチング残りを検査する場合には、少なくとも一つの貫通孔4を検査する必要がある。よって貫通孔基板10において、切抜き3が形成された導電パターン2が少なくとも一つ配されていればよい。切抜き3が形成された導電パターン2が複数配されていれば、なおよい。全ての貫通孔4に対して切抜き3が形成された導電パターン2が配されていれば、さらによい。つまり、切抜き3が形成された導電パターン2が多く配されているほど、より多くの貫通孔を検査することができ、不具合の発生頻度や、基板面内における分布等の情報をより正確に得ることができる。
【0026】
貫通孔基板10を構成する基板1(ウエハ基板)の材料は特に制限されず、例えばシリコン等の半導体基板、石英やパイレックス(登録商標)等のガラス基板、サファイア基板、樹脂基板等が挙げられる。
基板1が半導体基板である場合は、通常、その基板表面に絶縁層(酸化膜)を配する。例えばシリコン基板1の基板表面にはSiO2からなる酸化膜を配すればよい。一方、基板1がガラス基板等の絶縁性基板である場合は、絶縁層は不要である。
【0027】
図2に示した第一態様の貫通孔基板10Aにおいて、矩形状の切抜き3の領域内の開口部5には第一の絶縁層7が描かれていない。これは、貫通孔4及び開口部5の形成時に第一の絶縁層7を除去したからである。本発明にかかる切抜き3内において、開口部5を覆う第一の絶縁層7はあってもよいし、無くてもよい。通常、第一の絶縁層7は光透過性であるため、その有無に関わらず、一面1a側から切抜き3を通して貫通孔4内を観察可能である。
【0028】
一面1a上に配された導電パターン2の材料は、透明導電膜を適用することも可能であるが、金属層からなる導電パターン2が好適である。
前記金属層は、電極パッドや配線として使用される周知の金属が適用可能であり、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)を主成分とする合金等が挙げられる。前記電極パッドや前記配線は、スパッタ法やめっき法で形成した金属層を、例えばエッチング法やダマシン法等でパターニングしたものが適用できる。
【0029】
切抜き3の形状は、貫通孔4内を観察可能な形状であれば特に制限されず、例えば矩形、楕円形、円形、星形、三日月形、円弧形、種々の多角形等が挙げられる。
【0030】
切抜き3の面積は、開口部5の面積の1〜60%が好ましく、5〜40%がより好ましく、10〜30%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、貫通孔4内を観察することがより容易であり、上記範囲の上限値以下であると、電極パッド上に半田バンプやワイヤボンディングを形成した場合に、両者の電気的接続をより確実に取ることができる。
【0031】
切抜き3を配する位置は、貫通孔4内を観察することができる位置、すなわち開口部5上であれば特に制限されず、例えば以下に示す第二〜第八態様の切抜き3の位置が例示できる。
【0032】
図3に示した第二態様の貫通孔基板10Bにおいて、矩形状の切抜き3は、開口部5の縁が観察可能なように、開口部5の直上に形成されている。
この構成によれば、開口部5の縁を観察することによって、切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察できると共に、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査できる。
【0033】
図4に示した第三態様の貫通孔基板10Cにおいて、円弧状の切抜き3は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上に形成されている。また、導電パターン2の切抜き3内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、切抜き3及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
【0034】
なお、本発明の図(例えば図4)では、貫通孔4の内壁に形成した第二の絶縁層6の存在を示すために、第二の絶縁層6を誇張して厚く描いてある。実際に形成する第二の絶縁層6は薄い層(数ミクロン程度)であり、且つ透光性の層であるため、基板の一面1aから切抜き3を通して貫通孔4内を観察する際に、第二の絶縁層6が妨げとなることはない。
【0035】
図5に示した第四態様の貫通孔基板10Dにおいて、矩形状の第一の切抜き3a(3)及び第二の切抜き3b(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上に形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a及び第二の切抜き3b、並びに第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、2つの切抜き3a,3bを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0036】
図6に示した第五態様の貫通孔基板10Eにおいて、円弧状の第一の切抜き3a(3)、第二の切抜き3b(3)、第三の切抜き3c(3)、及び第四の切抜き3d(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上にそれぞれ形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b,3c,3d内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a〜第四の切抜き3d、及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、4つの切抜き3a,3b,3c,3dを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0037】
図7に示した第六態様の貫通孔基板10Fにおいて、矩形状の第一の切抜き3a(3)、第二の切抜き3b(3)、第三の切抜き3c(3)、及び第四の切抜き3d(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上にそれぞれ形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b,3c,3d内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a〜第四の切抜き3d、及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、4つの切抜き3a,3b,3c,3dを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0038】
図8に示した第七態様の貫通孔基板10Gにおいて、導電パターン2からなる電極パッドは、第一の導電パターン2a(2)、第二の導電パターン2b(2)、及び第三の導電パターン2c(2)の三層からなる。各層はビアで電気的に接続されているので、最上層の導電パターン2cにワイヤボンディングや半田バンプを配した場合、それらは最下層の導電パターン2aとも電気的に接続される。各導電パターン2a,2b,2cからなる電極パッドには、同じ位置に、矩形状の第一の切抜き3a(3)、及び第二の切抜き3b(3)が形成されている。これらの切抜きは、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上にそれぞれ形成されている。また、各導電パターン2の切抜き3a,3b内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a〜第四の切抜き3d、及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、2つの切抜き3a,3bを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0039】
図9に示した第八態様の貫通孔基板10Hにおいて、T字状の第一の切抜き3a(3)及び第二の切抜き3b(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上に形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a及び第二の切抜き3b、並びに第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、2つの切抜き3a,3bを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0040】
貫通孔基板10Hで例示したように、本発明における切抜きの形状は、閉じた形状(周囲が導電パターンで完全に囲まれている形状形状)であってもよいし、開いた形状(周囲が導電パターンで部分的に囲まれている形状)であってもよい。
本発明にかかる切抜きの形状が前記開いた形状である場合、切抜きの周囲が導電パターンで囲まれる割合(切抜きが実際に導電パターンで囲まれている周囲長÷その切抜きが閉じた形状であると仮定した場合の導電パターンで囲まれている周囲長×100%)としては、20〜99%が好ましく、40〜90%が好ましく、60〜80%がさらに好ましい。この範囲であると、電極パッドが半田バンプやワイヤボンディング等の外部接続端子と電気的に接続する際の、該電極パッドの実効面積を低くする程度が少なく、電気的接続に悪影響を与える虞が殆どない。
【0041】
なお、図10に示した貫通孔基板100において、導電パターン102からなる電極パッドには、切抜きが配されていない。導電パターン102からなる電極パッドの面積は、開口部105よりも小さい。このため、該電極パッド上にワイヤボンディングや半田バンプ等の外部接続端子を載せるためには精度の高い作業が必要となり、それらの電気的接続が適切に行われない虞が高まる。
【0042】
したがって、本発明における導電パターン2からなる電極パッドの面積は、開口部5の面積の100〜500%が好ましく、120〜400%がより好ましく、150〜300がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、電極パッドの上に前記外部接続端子をより確実に搭載することができる。上記範囲の上限値以下であると、電極パッドが基板の一面1aで不必要に多くの面積を占有することを避けることができ、他の配線と短絡することをより確実に防げる。
【0043】
また、上記範囲の面積を有する導電パターン2からなる電極パッドを開口部5上に配することによって、開口部5の直上だけでなく、開口部5の近傍にも導電パターン2を配することになる。ここで、「開口部の近傍」とは、開口部の周縁から、該開口部の直径に相当する距離の範囲内を指すものとする。
【0044】
以上では、本発明にかかる貫通孔基板において、導電パターン2は開口部5の直上で電極パッドを形成している場合を説明した。しかし、開口部5の直上で導電パターン2が形成するものは、電極パッドに限定されず、例えば単なる配線であってもよい。該配線は、開口部5の直上において、前述の切抜き3を有することは言うまでもない。
【0045】
また、以上では、貫通孔基板の一面1aのみに、切抜き3を形成した導電パターン2を配した場合を説明した。しかし、貫通孔基板の一面1a及び他面1bの両方に、切抜き3を形成した導電パターン2を配してもよい。すなわち、切抜き3を形成した導電パターン2を配するのは、貫通孔4の一端側の開口部5のみでもよいし、貫通孔4の一端側の開口部5および他端側の開口部の両方であってもよい。
【0046】
<<貫通配線基板>>
本発明にかかる貫通配線基板は、前述の本発明にかかる貫通孔基板10を用いて、該貫通孔基板10の貫通孔4の内部に、貫通配線8が形成されているものである。すなわち、後述する電子部品30を切り出す前のウエハ基板である。その一例である貫通配線基板20A(20)を図11に示す。
【0047】
本発明にかかる貫通配線基板20Aには、その一面1aから他面1bにわたって貫通孔4が形成され、一面1aにおける貫通孔4の開口部5を覆う導電パターン2が配されている。貫通孔4内には導電性物質からなる貫通配線8が形成されている。貫通配線8の一端は導電パターン2に電気的に接続し、貫通配線8の他端は他面1bに露呈している。導電パターン2には、貫通孔4を一面1a側から観察可能な、2つの切抜き3a(3)及び切抜き3b(3)が形成されている。
この構成によれば、切抜き3a,3bを通して、貫通孔4内に配した貫通配線8の一端をなす導電性物質を観察できる。これによって、貫通配線の不良の有無を検査できる。例えば、切抜き3が配された導電パターン2からなる電極パッドと貫通配線8とが電気的に接続されていることを検査できる。
【0048】
貫通配線基板20Aでは、切抜き3内に第一の絶縁層7が配されている。さらに、導電パターン2からなる電極パッドは第一の絶縁層7と同じ高さに形成されている。
本発明にかかる貫通配線基板は、図12に示す貫通配線基板20Bの様に、貫通配線8の一端の一部が、切抜き3を通して、一面1aに露呈していてもよい。また、導電パターン2からなる電極パッドは第一の絶縁層7の上に積層して形成されていてもよい。このことは、前述の本発明にかかる貫通孔基板10においても同様である。
【0049】
貫通配線8を構成する導電性物質は特に制限されず、例えばめっき法等で貫通配線8を形成する場合には、銅(Cu)が好適である。
【0050】
<<電子部品>>
本発明にかかる電子部品は、前述の本発明にかかる貫通配線基板20から切り出された電子部品30であって、前述の貫通配線8が少なくとも1つ含まれるものである。貫通配線基板20には通常、電子部品30を切り出すためのダイシングラインが形成されている。図1の基板の一面1aに描いた網目線は、このダイシングラインを表し、該網目線で区画された個々の領域が、本発明にかかる個々の電子部品30に相当する。本発明にかかる電子部品30には、切り出される前に、種々の半導体装置等が実装されていてもよい。
この構成によれば、導電性パターン2からなる電極パッドには切抜き3が形成されているため(不図示)、切抜き3を通して、電極パッドと貫通配線8とが電気的に接続していることを検査できる。
【0051】
本発明にかかる電子部品30の一例である電子部品30Aを図13に示す。また、図14に、電子部品30Aに配された貫通配線8付近を拡大した上面図(a)及び断面(b)を示す。
【0052】
電子部品30Aの基板1には、一面1aから他面1bにわたって貫通配線8が2本配されている。各貫通配線8は貫通孔4内に形成されており、一面1aにおける貫通孔4の開口部5の直上には、導電パターン2からなる電極パッドが開口部5を覆うように配されている。該電極パッドに対して貫通配線8の一端が電気的に接続している。前記電極パッドの上には樹脂からなる接着層31が配され、さらに樹脂又はガラスからなる透光性の支持層32(透明基板32)が一面1aの全面を覆っている。一方、他面1bには貫通孔4の他端4bが開口部をなし、該開口部において他面1bに露呈する貫通配線8の他端は、表面配線を介して外部接続端子34と電気的に接続している。また、他面1bには表面配線を封止する封止樹脂層33が配されている。一面1aと透明基板32との間隙には、受光部35が実装されており、該受光部35と導電パターン2及び貫通配線8とは電気的に接続されている。つまり、電子部品30Aは受光素子である。
【0053】
この電子部品30Aにおいて、開口部5の直上の導電パターン2には切抜き3a,3bが形成されている。したがって、一面1a側から、透明基板32、接着層31、第一の絶縁層7、及び切抜き3a,3bを通して、貫通孔4内に配された貫通配線8の状態を光学的に観察することができる。
透光性の支持層32(透明基板32)及び接着層31は、透光性(光透過性)の材料からなる。該材料は、透明(無色)であっても透明でなくてもよく、特定波長の光を透過するものであってもよい。前記材料が着色している場合であっても、光が透過する程度に厚さが薄くなっていれば用いることができる。透光性の支持層32及び接着層31は、それぞれ透明な材料(無色の材料)からなるものが好ましい。透明な材料からなるものであると、基板1の一面1a側から、透光性の支持層32、接着層31、第一の絶縁層7及び切抜き3a,3bを通して貫通孔4を観察することがより容易にできる。
よって、電子部品30Aに限らず、本発明にかかる電子部品30、貫通配線基板20、及び貫通孔基板10の一面1a又は他面1bに、透明基板32や接着層31等の透明な支持部材(透光性の支持層)を配してあってもよい。
【0054】
電子部品30Aでは、2本の貫通配線8の開口部5の各々に、切抜き3a,3bが形成された導電パターン2が配されているが、必ずしも両方(全て)の貫通配線8に切抜き3a,3bが形成された導電パターン2が配されている必要はない。本発明にかかる電子部品30には、貫通孔4の開口部5に切抜き3が形成された導電パターン2を配した貫通配線8が、少なくとも1つ含まれていればよい。
また、導電パターン2に複数の切抜き3が形成されている場合、それらの切抜き3の形状は同一であってもよく、異なっていてもよい。このことは、本発明にかかる電子部品30、貫通配線基板20、及び貫通孔基板10のすべてに共通する。
【0055】
<<基板の製造方法>>
本発明にかかる基板の製造方法は、基板の一面側に導電パターンを配置する工程A1と、前記導電パターン上に透光性の支持層を配置する工程A2と、前記基板の一面から他面にわたって貫通孔を形成する工程A3と、を少なくとも有し、前記工程A3において、前記貫通孔が前記一面に開口する開口部を前記導電パターンの直下に形成すると共に、前記開口部の一部を前記支持層の上から観察可能なように形成するものである。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できる。
【0056】
<基板の製造方法の第一態様>
本発明にかかる基板の製造方法の第一態様は、図15に示すように、基板1の一面1a側に導電パターン2を配置する工程A1と、導電パターン2上に透光性の支持層32を配置する工程A2と、基板1の一面1aから他面1bまで貫通孔4を形成する工程A3と、を少なくとも有し、工程A1において、導電パターン2に切抜き3を形成し、工程A3において、貫通孔4が一面1aに開口する開口部5を導電パターン2の直下に形成すると共に、切抜き3を通して、開口部の一部を支持層32の上から観察可能なように形成するものである。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を、切抜きを通して観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できる。
【0057】
[第一態様の工程A1]
まず、シリコン(Si)からなるウエハ基板1を用意して、一面1aの表面に酸化膜(SiO2膜)からなる第一の絶縁層7を形成する。酸化膜を形成する方法は特に制限されず、例えばPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法等の公知の方法を適用できる。
【0058】
つづいて、第一の絶縁層7の上に、所望の形状の電極パッド又は配線をなす導電パターン2を配する〔図15(a)〕。導電パターン2を形成する領域は、後段の工程A3で形成する貫通孔4の開口部5の直上となる領域5aを少なくとも含む。該領域5aには、切抜き3を形成する。切抜き3の形状や配置は、前述の貫通孔基板10で説明した通りである。
【0059】
導電パターン2を構成する材料は特に制限されないが、金属が好ましく、なかでもアルミニウム(Al)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)を主成分とする合金等がより好ましい。AlやCuは、導電性が高く、加工も容易である。つまり、導電パターン2は金属薄膜で構成することが好ましい。
【0060】
導電パターン2を形成する方法は特に制限されず、例えばスパッタ法、CVD法、めっき法等の公知の成膜方法が適用できる。また、導電パターン2を所望の形状にパターニングする方法は特に制限されず、例えば公知のリソグラフィ法が適用可能である。このパターニングによって、所望の形状の切抜き3を導電パターン2に形成できる。
【0061】
[第一態様の工程A2]
つぎに、導電パターン2上及び/又は基板1上に、接着層31(接着剤)を配する。
接着層31の材料は、基板1と透光性の支持層32とを接着できるものであれば特に制限されないが、透光性の樹脂が好適である。透光性であれば、導電パターン2に形成した切抜き3を通して一面1a側から貫通孔4内を光学的に観察することを妨げない。
非透光性の接着層31を使用する場合は、切抜き3の上に該接着層31が配されることを避ける必要がある。この場合、例えば切抜き3の直上にマスクを配し、一面1a上の所定位置に接着層31となる硬化性樹脂を塗布した後、前記マスクを除く方法が例示できる。
【0062】
つづいて、透光性の支持層32(透明基板)を、接着層31を介して一面1aに接着して配置する〔図15(b)〕。
透光性の支持層32の材料は、貫通孔4内を観察する手段の光を透過するものであれば特に制限されない。好適なものとしては、例えば、ガラスや透明な樹脂が挙げられる。
透光性の支持層32は、接着層31を介して導電パターン2に形成された切抜き3の上に配置することが好ましい。これにより支持層32が切抜き3を固定又は支持できるので、後段の工程A3で貫通孔4を形成する際に、切抜き3の形状を保護(保持)することができる。つまり、工程A3において、切抜き3又は導電パターン2を損傷せずに、確実に貫通孔4を形成することが容易となる。
【0063】
[第一態様の工程A3]
つぎに、基板1の他面1bから一面1aまで貫通孔4を形成する〔図15(c)〕。
貫通孔4が一面1aに開口する開口部5を、切抜き3が形成された導電パターン2の直下に形成すると共に、該切抜き3を介して、開口部5の一部を支持層32の上から観察可能なように形成する。
工程3A後に得られる基板は、本発明にかかる貫通孔基板10に相当する。
【0064】
貫通孔4を形成する方法は特に制限されず、基板の材料に応じて、公知の方法を適用すればよい。例えばウェットエッチング法、RIE(Reactive Ion Etching)法、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法、レーザー改質およびウェットエッチングを用いたプロセス等が適用可能であり、適宜フォトリソグラフィを併用できる。
【0065】
図15(c)では、SiO2からなる酸化膜(第一の絶縁層7)を除去して、貫通孔4内に導電パターン2の下面2pが露呈した状態になっている。このように露呈させることによって、後段の工程A5で貫通孔4内に配した導電性物質と導電パターン2の下面2pとを電気的に接続することができる。
本発明にかかる貫通孔基板10を製造する場合、導電パターン2の下面2pにある前記酸化膜は除去されていてもよいし、除去しなくてもよい。貫通孔基板10の製造段階で除去しない場合は、貫通配線8を形成する際に、前記酸化膜を除去すればよい。
【0066】
[第一態様の工程A4]
本発明にかかる基板の製造方法としては、工程A3の後に、基板1の一面1a側から貫通孔4の内部を検査する工程A4を有していることが好ましい。
一面1aには接着層31及び支持層32が配置されているので、これらを通して、支持層32の上から切抜き3を通して貫通孔4内の状態又は開口部5の一部及び周辺を検査する。
この検査によって、エッチングの状態、貫通孔4の位置精度、又は貫通孔4の状態等について、不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板10の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通孔基板10を容易に選別することができる。
【0067】
貫通孔4内を検査する具体的な方法としては、例えば他面1b側から貫通孔4内に可視光を照射して、一面1a側から切抜き3を通過してくる前記可視光を、CCDカメラを搭載した顕微鏡等で観察する方法が挙げられる。また、別の方法としては、例えば一面1a側から貫通孔4内又は開口部5の一部及び周辺に可視光を照射して、切抜き3を通して開口部5周辺から反射してくる前記可視光を、CCDカメラを搭載した顕微鏡等によって、一面1a側から観察する方法が挙げられる。
【0068】
[第一態様の工程A5]
工程A3又は工程A4につづいて、貫通孔4の内部に貫通配線8を形成する〔図15(d)〕。
基板1が半導体基板である場合は、貫通配線8を形成する前に、貫通孔4の内壁を第二の絶縁層6(酸化膜)で覆う必要がある。第二の絶縁層6を形成後、導電パターン2の下面2pを覆う領域のみ、該第二の絶縁層6を除去する。第二の絶縁層6の形成及び除去は公知の方法が適用できる。例えば、第二の絶縁層6の形成には、PECVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)を適用できる。第二の絶縁層6の除去には、RIE(Reactive Ion Etching)法を適用できる。貫通孔4内に導電性物質を配して貫通配線8を形成する方法としては特に制限されず、例えば公知の方法が適用できる。例えば、めっき法、スパッタ成膜法、CVD法、溶融金属充填法、等の手法を適用できる。
【0069】
貫通孔4の内部を検査する工程A4は、第二の絶縁層6を形成した後に行ってもよい。一般的に、第二の絶縁膜6の材料はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜であり、また、その厚さも数ミクロンである。そのため、第二の絶縁膜6を通して貫通孔4の内部を検査することができる。第二の絶縁層6を形成した後であれば、導電パターン2の下面2pが第二の絶縁層6によって被覆された状態で工程A4を行うことができる。したがって、導電パターン2の下面2pが長時間に渡って大気に曝されることがないため、導電パターン2の下面2pが酸化して劣化する不具合を防止することができる。
【0070】
[第一態様の工程A6]
本発明にかかる基板の製造方法としては、工程A5の後に、基板1の一面1a側から貫通孔4を検査する工程A6を有していることが好ましい。
一面1aには接着層31及び支持層32が配置されているので、これらを通して、支持層32の上から切抜き3を通して貫通孔4内の状態を検査する。
この検査によって、エッチングの状態、貫通孔の位置精度、貫通配線8の状態、又は貫通配線8と導電パターン2との電気的接続等について、不具合の有無を検査できる。これにより、貫通配線基板の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通配線基板を容易に選別することができる。
【0071】
貫通孔4内を検査する具体的な方法としては、例えば一面1a側から貫通孔4に可視光を照射して、切抜き3を通して開口部5周辺から反射してくる前記可視光を、CCDカメラを搭載した顕微鏡等によって、一面1a側から観察する方法が挙げられる。
この貫通孔4の検査方法は、本発明の貫通孔基板10、貫通配線基板20、又は電子部品30において、一面1a側から切抜き3通して貫通孔4の内部を調べること方法として適用可能である。
【0072】
<基板の製造方法の第二態様>
本発明にかかる基板の製造方法の第二態様は、基板1の一面1a側に導電パターン2として透明導電膜を配置する工程A1と、導電パターン2上に透光性の支持層32を配置する工程A2と、基板1の一面1aから他面1bにわたって貫通孔4を形成する工程A3と、を少なくとも有し、工程A3において、貫通孔4が一面1aに開口する開口部5を導電パターン2の直下に形成すると共に、開口部の一部を支持層32の上から観察可能なように形成するものである。
導電パターン2に透明導電膜を採用しているので、切抜き3を形成しなくとも、透明導電膜を透過する可視光線を用いて、一面1a側から開口部5の一部又は貫通孔4内を観察することができる。
前記透明導電膜としては、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)やFTO膜(フッ素ドープ酸化スズ膜)が適用可能である。工程A1〜A3の具体的な方法は、第一態様と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明にかかる貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、及び基板の製造方法は、受光素子を備えた電子回路等の製造に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…基板、1a…基板の一面、1b…基板の他面、2,2a,2b,2c…導電パターン、2p…導電パターンの下面、3,3a,3b,3c,3d…切抜き、4…貫通孔、4a…貫通孔の一端、4b…貫通孔の他端、5…開口部、6…第二の絶縁層、7…第一の絶縁層、8…貫通配線、10,10A〜10H…貫通孔基板、20,20A,20B…貫通配線基板、30,30A…電子部品、31…透光性の接着層、32…透光性の支持層(透明基板)、33…封止樹脂、34…外部接続端子、35…受光部、100…貫通孔基板、101…基板、101a…基板の一面、101b…基板の他面、102…導電パターン、104…貫通孔、106…第二の絶縁膜、107…第一の絶縁膜。
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、基板の製造方法、及び貫通孔の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、基板の一面に配置された電極パッドと、基板の他面から一面にかけて貫通し、電極パッドと電気的に接続された貫通配線と、を備えた貫通配線基板が開示されている(特許文献1)。貫通配線は、基板の他面から電極パッドに向けて貫通孔を形成し、その貫通孔の内部に導電性物質を充填することによって形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−133472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、半導体装置の一層の小型化によって、基板内の貫通配線のサイズも微細化が進んでいる。これに伴い、貫通孔が基板の表面に開口する開口部の口径も小さくなっている。半導体装置を製造する一般的な方法として、基板の一面に表面配線を設けた後、基板の他面から一面へ貫通孔を形成し、該貫通孔へ導電性物質を配する方法がある。通常、金属の薄膜からなる表面配線で形成した電極パッドは、貫通孔の開口部よりも一回り以上大きく形成されるので、電極パッドによって開口部が完全に覆われた状態になる。このため、基板の一面側から電極パッドを光学的に観察した場合、微細孔中に導電性物質が配されていること、電極パッドと貫通配線とが接続していることを確認できないという問題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、貫通孔内の状態を容易に確認できる貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、基板の製造方法、及び貫通孔の検査方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の貫通孔基板は、基板の一面から他面にわたって貫通孔が形成され、前記一面における前記貫通孔の開口部を覆う導電パターンが配された貫通孔基板であって、前記導電パターンには、前記貫通孔を前記一面側から観察可能な切抜きが形成されていることを特徴とする。
この構成において、基板の二つの主面である一面から他面にわたって貫通孔が形成されており、該貫通孔が一面に開口する開口部を覆う導電パターンが配されている。そして、この導電パターンには貫通孔の内部を視認できる切抜きが形成されているので、基板の一面側から導電パターンを光学的に観察することで容易に貫通孔内の状態を観察できる。
【0007】
本発明の請求項2に記載の貫通孔基板は、請求項1において、前記切抜きにおいて、前記開口部の縁が観察可能であることを特徴とする。
この構成によれば、開口部の縁を観察することによって、切抜きを通して貫通孔内の状態を観察できると共に、貫通孔の形成不良が発生し易い開口部の縁が設計通りに形成されているか否かを検査できる。
【0008】
本発明の請求項3に記載の貫通孔基板は、請求項2において、前記切抜きが、前記開口部の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、切抜きを通して開口部の直径の両端を観察することによって、貫通孔内の状態を観察でき、貫通孔の形成不良が発生し易い開口部の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
【0009】
本発明の請求項4に記載の貫通孔基板は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記導電パターンは、前記切抜きを2つ以上有することを特徴とする。
この構成によれば、2つ以上の切抜きを通して貫通孔内を観察できるので、貫通孔内の状態をより詳細に観察できる。
【0010】
本発明の請求項5に記載の貫通配線基板は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の貫通孔基板を用いて、該貫通孔基板の貫通孔の内部に、貫通配線が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、切抜きを通して、貫通孔内に配した導電性物質を観察できる。これによって、貫通配線の不良の有無を検査できる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の電子部品は、請求項5に記載の貫通配線基板から切り出された電子部品であって、前記貫通孔が少なくとも1つ含まれることを特徴とする。
この構成によれば、前記導電性パターンには切抜きが形成されているため、切抜きを通して、貫通孔内の状態を観察できる。
【0012】
本発明の請求項7に記載の基板の製造方法は、基板の一面側に導電パターンを配置する工程A1と、前記導電パターン上に透光性の支持層を配置する工程A2と、前記基板の一面から他面にわたって貫通孔を形成する工程A3と、を少なくとも有し、前記工程A1において、前記導電パターンに切抜きを形成し、前記工程A3において、前記貫通孔が前記一面に開口する開口部を前記導電パターンの直下に形成すると共に、前記切抜きを通して前記開口部の一部を前記支持層の上から観察可能なように形成することを特徴とする。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できる。
【0013】
本発明の請求項8に記載の基板の製造方法は、請求項7において、前記工程A3の後に、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通孔基板を容易に選別することができる。
【0014】
本発明の請求項9に記載の基板の製造方法は、請求項8において、前記工程A3において形成した前記貫通孔の内壁及び該貫通孔の内部に露呈させた前記導電パターンの下面を絶縁層で被覆した後に、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項10に記載の基板の製造方法は、請求項7〜9のいずれか一項において、前記貫通孔の内部に貫通配線を形成する工程A5と、次いで、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A6を有していることを特徴とする。
この構成によれば、工程A5の後で、基板内に形成した貫通孔の内部に配された導電性物質を観察して、貫通配線の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通配線基板の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通配線基板を容易に選別することができる。
【0016】
本発明の請求項11に記載の貫通孔の検査方法は、請求項1〜4に記載の貫通孔基板、請求項5に記載の貫通配線基板、又は請求項6に記載の電子部品において、前記一面側から前記切抜き通して前記貫通孔の内部を調べることを特徴とする。
これにより、貫通孔基板、貫通配線基板、及び電子部品の品質を容易に把握できると共に、不具合のある製品を容易に選別することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の貫通孔基板によれば、導電性パターンに切抜きが配されているので、該切抜きを通して、貫通孔内の状態を容易に検査できる。
本発明の貫通配線基板によれば、導電性パターンに切抜きが配されているので、該切抜きを通して、貫通孔の内部に配された導電性物質の状態を検査できる。これにより、貫通孔内に形成された貫通配線の状態を容易に検査できる。
本発明の電子部品によれば、貫通孔内に形成された貫通配線の状態を容易に検査することができる。
本発明の基板の製造方法によれば、貫通孔の状態又は貫通配線の状態を容易に検査できるので、貫通孔基板、及び貫通配線基板の品質を容易に把握することができる。
本発明の貫通孔の検査方法によれば、前記貫通孔基板、前記貫通配線基板、前記電子部品を構成する貫通孔の状態又は貫通配線の状態を容易に検査できる。これによって、前記貫通孔基板、前記貫通配線基板、及び前記電子部品の品質を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる貫通孔基板10の外形を示す模式図である。
【図2】本発明にかかる貫通孔基板10Aの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図3】本発明にかかる貫通孔基板10Bの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図4】本発明にかかる貫通孔基板10Cの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図5】本発明にかかる貫通孔基板10Dの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図6】本発明にかかる貫通孔基板10Eの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図7】本発明にかかる貫通孔基板10Fの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図8】本発明にかかる貫通孔基板10Gの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図9】本発明にかかる貫通孔基板10Hの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図10】貫通孔基板100の開口部105周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図11】本発明にかかる貫通配線基板20Aの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図12】本発明にかかる貫通配線基板20Bの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図13】本発明にかかる電子部品30Aの断面の模式図である。
【図14】本発明にかかる電子部品30Aの開口部5周辺の、上面(a)及び断面(b)の模式図である。
【図15】本発明にかかる基板の製造方法を示す、模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0020】
<<貫通孔基板>>
本発明にかかる貫通孔基板は、後述する電子部品30を切り出す前のウエハ基板である。その一例である貫通孔基板10の外形を図1に示す。
本発明にかかる貫通孔基板には、その一面から他面にわたって貫通孔が形成され、前記一面における前記貫通孔の開口部を覆う導電パターンが配されている。つまり、基板の一面と他面とを結ぶように貫通孔が形成され、該貫通孔が前記一面に開口する開口部上に、導電パターンが配されている。また、前記導電パターンには、前記貫通孔を前記一面側から観察可能な切抜きが形成されている。
【0021】
<貫通孔基板の第一態様>
本発明にかかる貫通孔基板の第一態様として、貫通孔基板10Aの貫通孔の拡大図を図2に示す。図2(a)は、基板1の一面1a側から貫通孔4の開口部5を見た図である。図2(b)は、開口部5の直径を含む断面図である。
【0022】
貫通孔4は、基板1の一面1aから他面1bにわたって形成されている。また、一面1aにおける貫通孔4の開口部5を覆う導電パターン2が配されている。導電パターン2からなる前記電極パッドには、貫通孔4を一面1a側から光学的に観察可能な切抜き3が形成されている。
基板1の一面1aには第一の絶縁層7が形成されており、その上に導電パターン2が配されている。貫通孔4の内壁には第二の絶縁層6が形成されている。導電パターン2は、電極パッドを構成するとともに、一面1aにおいて、配線(表面配線)を構成してもよい。該配線は、一面1a上に形成された複数の電極パッド間を電気的に接続してもよい。
【0023】
前記電極パッドには切抜き3が形成されているので、基板1の一面1a側から電極パッドを光学的に観察すると、切抜き3を通して、貫通孔4内の状態を観察できる。その結果、貫通孔4が設計通りに形成されているか否かを確認でき、形成した貫通孔4の位置ズレやエッチング残り等の不具合を発見した場合には、その貫通孔基板の使用を中止するか否かを判断できる。
【0024】
一般に、ウエハ基板1に貫通孔4を形成する際には、後段で形成する電子部品30を複数含む広い範囲に対して、単一のリソグラフィマスクを使用する。このため、万一、リソグラフィマスクの位置がずれたまま貫通孔4をウエハ基板1に対して形成した場合には、全ての貫通孔4が位置ズレを生じた状態で形成される。したがって、基板1に形成された貫通孔4の位置ズレの有無を調べる場合には、少なくとも二つの貫通孔4についてのみ、切抜き3を利用して、位置ズレの有無を検査すればよい。このため、本発明の貫通孔基板10においては、形成される貫通孔4の少なくとも二つに、切抜き3が形成された導電パターン2が配されていればよい。また、切抜き3が形成された導電パターン2の、互いの離間距離が大きいほど、位置ズレの方向やズレ幅などのより正確な情報を得ることができる。
【0025】
一方、前記位置ズレではなく、前記エッチング残りを検査する場合には、少なくとも一つの貫通孔4を検査する必要がある。よって貫通孔基板10において、切抜き3が形成された導電パターン2が少なくとも一つ配されていればよい。切抜き3が形成された導電パターン2が複数配されていれば、なおよい。全ての貫通孔4に対して切抜き3が形成された導電パターン2が配されていれば、さらによい。つまり、切抜き3が形成された導電パターン2が多く配されているほど、より多くの貫通孔を検査することができ、不具合の発生頻度や、基板面内における分布等の情報をより正確に得ることができる。
【0026】
貫通孔基板10を構成する基板1(ウエハ基板)の材料は特に制限されず、例えばシリコン等の半導体基板、石英やパイレックス(登録商標)等のガラス基板、サファイア基板、樹脂基板等が挙げられる。
基板1が半導体基板である場合は、通常、その基板表面に絶縁層(酸化膜)を配する。例えばシリコン基板1の基板表面にはSiO2からなる酸化膜を配すればよい。一方、基板1がガラス基板等の絶縁性基板である場合は、絶縁層は不要である。
【0027】
図2に示した第一態様の貫通孔基板10Aにおいて、矩形状の切抜き3の領域内の開口部5には第一の絶縁層7が描かれていない。これは、貫通孔4及び開口部5の形成時に第一の絶縁層7を除去したからである。本発明にかかる切抜き3内において、開口部5を覆う第一の絶縁層7はあってもよいし、無くてもよい。通常、第一の絶縁層7は光透過性であるため、その有無に関わらず、一面1a側から切抜き3を通して貫通孔4内を観察可能である。
【0028】
一面1a上に配された導電パターン2の材料は、透明導電膜を適用することも可能であるが、金属層からなる導電パターン2が好適である。
前記金属層は、電極パッドや配線として使用される周知の金属が適用可能であり、例えば銅(Cu)、アルミニウム(Al)、アルミニウム(Al)を主成分とする合金等が挙げられる。前記電極パッドや前記配線は、スパッタ法やめっき法で形成した金属層を、例えばエッチング法やダマシン法等でパターニングしたものが適用できる。
【0029】
切抜き3の形状は、貫通孔4内を観察可能な形状であれば特に制限されず、例えば矩形、楕円形、円形、星形、三日月形、円弧形、種々の多角形等が挙げられる。
【0030】
切抜き3の面積は、開口部5の面積の1〜60%が好ましく、5〜40%がより好ましく、10〜30%がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、貫通孔4内を観察することがより容易であり、上記範囲の上限値以下であると、電極パッド上に半田バンプやワイヤボンディングを形成した場合に、両者の電気的接続をより確実に取ることができる。
【0031】
切抜き3を配する位置は、貫通孔4内を観察することができる位置、すなわち開口部5上であれば特に制限されず、例えば以下に示す第二〜第八態様の切抜き3の位置が例示できる。
【0032】
図3に示した第二態様の貫通孔基板10Bにおいて、矩形状の切抜き3は、開口部5の縁が観察可能なように、開口部5の直上に形成されている。
この構成によれば、開口部5の縁を観察することによって、切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察できると共に、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査できる。
【0033】
図4に示した第三態様の貫通孔基板10Cにおいて、円弧状の切抜き3は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上に形成されている。また、導電パターン2の切抜き3内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、切抜き3及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
【0034】
なお、本発明の図(例えば図4)では、貫通孔4の内壁に形成した第二の絶縁層6の存在を示すために、第二の絶縁層6を誇張して厚く描いてある。実際に形成する第二の絶縁層6は薄い層(数ミクロン程度)であり、且つ透光性の層であるため、基板の一面1aから切抜き3を通して貫通孔4内を観察する際に、第二の絶縁層6が妨げとなることはない。
【0035】
図5に示した第四態様の貫通孔基板10Dにおいて、矩形状の第一の切抜き3a(3)及び第二の切抜き3b(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上に形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a及び第二の切抜き3b、並びに第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、2つの切抜き3a,3bを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0036】
図6に示した第五態様の貫通孔基板10Eにおいて、円弧状の第一の切抜き3a(3)、第二の切抜き3b(3)、第三の切抜き3c(3)、及び第四の切抜き3d(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上にそれぞれ形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b,3c,3d内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a〜第四の切抜き3d、及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、4つの切抜き3a,3b,3c,3dを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0037】
図7に示した第六態様の貫通孔基板10Fにおいて、矩形状の第一の切抜き3a(3)、第二の切抜き3b(3)、第三の切抜き3c(3)、及び第四の切抜き3d(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上にそれぞれ形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b,3c,3d内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a〜第四の切抜き3d、及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、4つの切抜き3a,3b,3c,3dを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0038】
図8に示した第七態様の貫通孔基板10Gにおいて、導電パターン2からなる電極パッドは、第一の導電パターン2a(2)、第二の導電パターン2b(2)、及び第三の導電パターン2c(2)の三層からなる。各層はビアで電気的に接続されているので、最上層の導電パターン2cにワイヤボンディングや半田バンプを配した場合、それらは最下層の導電パターン2aとも電気的に接続される。各導電パターン2a,2b,2cからなる電極パッドには、同じ位置に、矩形状の第一の切抜き3a(3)、及び第二の切抜き3b(3)が形成されている。これらの切抜きは、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上にそれぞれ形成されている。また、各導電パターン2の切抜き3a,3b内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a〜第四の切抜き3d、及び第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、2つの切抜き3a,3bを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0039】
図9に示した第八態様の貫通孔基板10Hにおいて、T字状の第一の切抜き3a(3)及び第二の切抜き3b(3)は、開口部5の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように、開口部5の直上に形成されている。また、導電パターン2の切抜き3a,3b内には、第一の絶縁層7が配されている。
この構成によれば、第一の切抜き3a及び第二の切抜き3b、並びに第一の絶縁層7を通して、開口部5の直径の両端を観察することによって、各切抜き3を通して貫通孔4内の状態を観察でき、エッチング残りが生じ易い開口部5の縁が設計通りに形成されているか否かを検査でき、更に、開口部5の大きさと位置が設計通りであることを検査できる。
また、この構成によれば、2つの切抜き3a,3bを利用できるので、貫通孔4内の観察が一層容易になる。
【0040】
貫通孔基板10Hで例示したように、本発明における切抜きの形状は、閉じた形状(周囲が導電パターンで完全に囲まれている形状形状)であってもよいし、開いた形状(周囲が導電パターンで部分的に囲まれている形状)であってもよい。
本発明にかかる切抜きの形状が前記開いた形状である場合、切抜きの周囲が導電パターンで囲まれる割合(切抜きが実際に導電パターンで囲まれている周囲長÷その切抜きが閉じた形状であると仮定した場合の導電パターンで囲まれている周囲長×100%)としては、20〜99%が好ましく、40〜90%が好ましく、60〜80%がさらに好ましい。この範囲であると、電極パッドが半田バンプやワイヤボンディング等の外部接続端子と電気的に接続する際の、該電極パッドの実効面積を低くする程度が少なく、電気的接続に悪影響を与える虞が殆どない。
【0041】
なお、図10に示した貫通孔基板100において、導電パターン102からなる電極パッドには、切抜きが配されていない。導電パターン102からなる電極パッドの面積は、開口部105よりも小さい。このため、該電極パッド上にワイヤボンディングや半田バンプ等の外部接続端子を載せるためには精度の高い作業が必要となり、それらの電気的接続が適切に行われない虞が高まる。
【0042】
したがって、本発明における導電パターン2からなる電極パッドの面積は、開口部5の面積の100〜500%が好ましく、120〜400%がより好ましく、150〜300がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、電極パッドの上に前記外部接続端子をより確実に搭載することができる。上記範囲の上限値以下であると、電極パッドが基板の一面1aで不必要に多くの面積を占有することを避けることができ、他の配線と短絡することをより確実に防げる。
【0043】
また、上記範囲の面積を有する導電パターン2からなる電極パッドを開口部5上に配することによって、開口部5の直上だけでなく、開口部5の近傍にも導電パターン2を配することになる。ここで、「開口部の近傍」とは、開口部の周縁から、該開口部の直径に相当する距離の範囲内を指すものとする。
【0044】
以上では、本発明にかかる貫通孔基板において、導電パターン2は開口部5の直上で電極パッドを形成している場合を説明した。しかし、開口部5の直上で導電パターン2が形成するものは、電極パッドに限定されず、例えば単なる配線であってもよい。該配線は、開口部5の直上において、前述の切抜き3を有することは言うまでもない。
【0045】
また、以上では、貫通孔基板の一面1aのみに、切抜き3を形成した導電パターン2を配した場合を説明した。しかし、貫通孔基板の一面1a及び他面1bの両方に、切抜き3を形成した導電パターン2を配してもよい。すなわち、切抜き3を形成した導電パターン2を配するのは、貫通孔4の一端側の開口部5のみでもよいし、貫通孔4の一端側の開口部5および他端側の開口部の両方であってもよい。
【0046】
<<貫通配線基板>>
本発明にかかる貫通配線基板は、前述の本発明にかかる貫通孔基板10を用いて、該貫通孔基板10の貫通孔4の内部に、貫通配線8が形成されているものである。すなわち、後述する電子部品30を切り出す前のウエハ基板である。その一例である貫通配線基板20A(20)を図11に示す。
【0047】
本発明にかかる貫通配線基板20Aには、その一面1aから他面1bにわたって貫通孔4が形成され、一面1aにおける貫通孔4の開口部5を覆う導電パターン2が配されている。貫通孔4内には導電性物質からなる貫通配線8が形成されている。貫通配線8の一端は導電パターン2に電気的に接続し、貫通配線8の他端は他面1bに露呈している。導電パターン2には、貫通孔4を一面1a側から観察可能な、2つの切抜き3a(3)及び切抜き3b(3)が形成されている。
この構成によれば、切抜き3a,3bを通して、貫通孔4内に配した貫通配線8の一端をなす導電性物質を観察できる。これによって、貫通配線の不良の有無を検査できる。例えば、切抜き3が配された導電パターン2からなる電極パッドと貫通配線8とが電気的に接続されていることを検査できる。
【0048】
貫通配線基板20Aでは、切抜き3内に第一の絶縁層7が配されている。さらに、導電パターン2からなる電極パッドは第一の絶縁層7と同じ高さに形成されている。
本発明にかかる貫通配線基板は、図12に示す貫通配線基板20Bの様に、貫通配線8の一端の一部が、切抜き3を通して、一面1aに露呈していてもよい。また、導電パターン2からなる電極パッドは第一の絶縁層7の上に積層して形成されていてもよい。このことは、前述の本発明にかかる貫通孔基板10においても同様である。
【0049】
貫通配線8を構成する導電性物質は特に制限されず、例えばめっき法等で貫通配線8を形成する場合には、銅(Cu)が好適である。
【0050】
<<電子部品>>
本発明にかかる電子部品は、前述の本発明にかかる貫通配線基板20から切り出された電子部品30であって、前述の貫通配線8が少なくとも1つ含まれるものである。貫通配線基板20には通常、電子部品30を切り出すためのダイシングラインが形成されている。図1の基板の一面1aに描いた網目線は、このダイシングラインを表し、該網目線で区画された個々の領域が、本発明にかかる個々の電子部品30に相当する。本発明にかかる電子部品30には、切り出される前に、種々の半導体装置等が実装されていてもよい。
この構成によれば、導電性パターン2からなる電極パッドには切抜き3が形成されているため(不図示)、切抜き3を通して、電極パッドと貫通配線8とが電気的に接続していることを検査できる。
【0051】
本発明にかかる電子部品30の一例である電子部品30Aを図13に示す。また、図14に、電子部品30Aに配された貫通配線8付近を拡大した上面図(a)及び断面(b)を示す。
【0052】
電子部品30Aの基板1には、一面1aから他面1bにわたって貫通配線8が2本配されている。各貫通配線8は貫通孔4内に形成されており、一面1aにおける貫通孔4の開口部5の直上には、導電パターン2からなる電極パッドが開口部5を覆うように配されている。該電極パッドに対して貫通配線8の一端が電気的に接続している。前記電極パッドの上には樹脂からなる接着層31が配され、さらに樹脂又はガラスからなる透光性の支持層32(透明基板32)が一面1aの全面を覆っている。一方、他面1bには貫通孔4の他端4bが開口部をなし、該開口部において他面1bに露呈する貫通配線8の他端は、表面配線を介して外部接続端子34と電気的に接続している。また、他面1bには表面配線を封止する封止樹脂層33が配されている。一面1aと透明基板32との間隙には、受光部35が実装されており、該受光部35と導電パターン2及び貫通配線8とは電気的に接続されている。つまり、電子部品30Aは受光素子である。
【0053】
この電子部品30Aにおいて、開口部5の直上の導電パターン2には切抜き3a,3bが形成されている。したがって、一面1a側から、透明基板32、接着層31、第一の絶縁層7、及び切抜き3a,3bを通して、貫通孔4内に配された貫通配線8の状態を光学的に観察することができる。
透光性の支持層32(透明基板32)及び接着層31は、透光性(光透過性)の材料からなる。該材料は、透明(無色)であっても透明でなくてもよく、特定波長の光を透過するものであってもよい。前記材料が着色している場合であっても、光が透過する程度に厚さが薄くなっていれば用いることができる。透光性の支持層32及び接着層31は、それぞれ透明な材料(無色の材料)からなるものが好ましい。透明な材料からなるものであると、基板1の一面1a側から、透光性の支持層32、接着層31、第一の絶縁層7及び切抜き3a,3bを通して貫通孔4を観察することがより容易にできる。
よって、電子部品30Aに限らず、本発明にかかる電子部品30、貫通配線基板20、及び貫通孔基板10の一面1a又は他面1bに、透明基板32や接着層31等の透明な支持部材(透光性の支持層)を配してあってもよい。
【0054】
電子部品30Aでは、2本の貫通配線8の開口部5の各々に、切抜き3a,3bが形成された導電パターン2が配されているが、必ずしも両方(全て)の貫通配線8に切抜き3a,3bが形成された導電パターン2が配されている必要はない。本発明にかかる電子部品30には、貫通孔4の開口部5に切抜き3が形成された導電パターン2を配した貫通配線8が、少なくとも1つ含まれていればよい。
また、導電パターン2に複数の切抜き3が形成されている場合、それらの切抜き3の形状は同一であってもよく、異なっていてもよい。このことは、本発明にかかる電子部品30、貫通配線基板20、及び貫通孔基板10のすべてに共通する。
【0055】
<<基板の製造方法>>
本発明にかかる基板の製造方法は、基板の一面側に導電パターンを配置する工程A1と、前記導電パターン上に透光性の支持層を配置する工程A2と、前記基板の一面から他面にわたって貫通孔を形成する工程A3と、を少なくとも有し、前記工程A3において、前記貫通孔が前記一面に開口する開口部を前記導電パターンの直下に形成すると共に、前記開口部の一部を前記支持層の上から観察可能なように形成するものである。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できる。
【0056】
<基板の製造方法の第一態様>
本発明にかかる基板の製造方法の第一態様は、図15に示すように、基板1の一面1a側に導電パターン2を配置する工程A1と、導電パターン2上に透光性の支持層32を配置する工程A2と、基板1の一面1aから他面1bまで貫通孔4を形成する工程A3と、を少なくとも有し、工程A1において、導電パターン2に切抜き3を形成し、工程A3において、貫通孔4が一面1aに開口する開口部5を導電パターン2の直下に形成すると共に、切抜き3を通して、開口部の一部を支持層32の上から観察可能なように形成するものである。
この構成によれば、工程A3の後で、基板内に形成した貫通孔の内部を、切抜きを通して観察して、貫通孔の形成不良等の不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板の品質を容易に把握できる。
【0057】
[第一態様の工程A1]
まず、シリコン(Si)からなるウエハ基板1を用意して、一面1aの表面に酸化膜(SiO2膜)からなる第一の絶縁層7を形成する。酸化膜を形成する方法は特に制限されず、例えばPECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)法等の公知の方法を適用できる。
【0058】
つづいて、第一の絶縁層7の上に、所望の形状の電極パッド又は配線をなす導電パターン2を配する〔図15(a)〕。導電パターン2を形成する領域は、後段の工程A3で形成する貫通孔4の開口部5の直上となる領域5aを少なくとも含む。該領域5aには、切抜き3を形成する。切抜き3の形状や配置は、前述の貫通孔基板10で説明した通りである。
【0059】
導電パターン2を構成する材料は特に制限されないが、金属が好ましく、なかでもアルミニウム(Al)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)を主成分とする合金等がより好ましい。AlやCuは、導電性が高く、加工も容易である。つまり、導電パターン2は金属薄膜で構成することが好ましい。
【0060】
導電パターン2を形成する方法は特に制限されず、例えばスパッタ法、CVD法、めっき法等の公知の成膜方法が適用できる。また、導電パターン2を所望の形状にパターニングする方法は特に制限されず、例えば公知のリソグラフィ法が適用可能である。このパターニングによって、所望の形状の切抜き3を導電パターン2に形成できる。
【0061】
[第一態様の工程A2]
つぎに、導電パターン2上及び/又は基板1上に、接着層31(接着剤)を配する。
接着層31の材料は、基板1と透光性の支持層32とを接着できるものであれば特に制限されないが、透光性の樹脂が好適である。透光性であれば、導電パターン2に形成した切抜き3を通して一面1a側から貫通孔4内を光学的に観察することを妨げない。
非透光性の接着層31を使用する場合は、切抜き3の上に該接着層31が配されることを避ける必要がある。この場合、例えば切抜き3の直上にマスクを配し、一面1a上の所定位置に接着層31となる硬化性樹脂を塗布した後、前記マスクを除く方法が例示できる。
【0062】
つづいて、透光性の支持層32(透明基板)を、接着層31を介して一面1aに接着して配置する〔図15(b)〕。
透光性の支持層32の材料は、貫通孔4内を観察する手段の光を透過するものであれば特に制限されない。好適なものとしては、例えば、ガラスや透明な樹脂が挙げられる。
透光性の支持層32は、接着層31を介して導電パターン2に形成された切抜き3の上に配置することが好ましい。これにより支持層32が切抜き3を固定又は支持できるので、後段の工程A3で貫通孔4を形成する際に、切抜き3の形状を保護(保持)することができる。つまり、工程A3において、切抜き3又は導電パターン2を損傷せずに、確実に貫通孔4を形成することが容易となる。
【0063】
[第一態様の工程A3]
つぎに、基板1の他面1bから一面1aまで貫通孔4を形成する〔図15(c)〕。
貫通孔4が一面1aに開口する開口部5を、切抜き3が形成された導電パターン2の直下に形成すると共に、該切抜き3を介して、開口部5の一部を支持層32の上から観察可能なように形成する。
工程3A後に得られる基板は、本発明にかかる貫通孔基板10に相当する。
【0064】
貫通孔4を形成する方法は特に制限されず、基板の材料に応じて、公知の方法を適用すればよい。例えばウェットエッチング法、RIE(Reactive Ion Etching)法、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法、レーザー改質およびウェットエッチングを用いたプロセス等が適用可能であり、適宜フォトリソグラフィを併用できる。
【0065】
図15(c)では、SiO2からなる酸化膜(第一の絶縁層7)を除去して、貫通孔4内に導電パターン2の下面2pが露呈した状態になっている。このように露呈させることによって、後段の工程A5で貫通孔4内に配した導電性物質と導電パターン2の下面2pとを電気的に接続することができる。
本発明にかかる貫通孔基板10を製造する場合、導電パターン2の下面2pにある前記酸化膜は除去されていてもよいし、除去しなくてもよい。貫通孔基板10の製造段階で除去しない場合は、貫通配線8を形成する際に、前記酸化膜を除去すればよい。
【0066】
[第一態様の工程A4]
本発明にかかる基板の製造方法としては、工程A3の後に、基板1の一面1a側から貫通孔4の内部を検査する工程A4を有していることが好ましい。
一面1aには接着層31及び支持層32が配置されているので、これらを通して、支持層32の上から切抜き3を通して貫通孔4内の状態又は開口部5の一部及び周辺を検査する。
この検査によって、エッチングの状態、貫通孔4の位置精度、又は貫通孔4の状態等について、不具合の有無を検査できる。これにより、貫通孔基板10の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通孔基板10を容易に選別することができる。
【0067】
貫通孔4内を検査する具体的な方法としては、例えば他面1b側から貫通孔4内に可視光を照射して、一面1a側から切抜き3を通過してくる前記可視光を、CCDカメラを搭載した顕微鏡等で観察する方法が挙げられる。また、別の方法としては、例えば一面1a側から貫通孔4内又は開口部5の一部及び周辺に可視光を照射して、切抜き3を通して開口部5周辺から反射してくる前記可視光を、CCDカメラを搭載した顕微鏡等によって、一面1a側から観察する方法が挙げられる。
【0068】
[第一態様の工程A5]
工程A3又は工程A4につづいて、貫通孔4の内部に貫通配線8を形成する〔図15(d)〕。
基板1が半導体基板である場合は、貫通配線8を形成する前に、貫通孔4の内壁を第二の絶縁層6(酸化膜)で覆う必要がある。第二の絶縁層6を形成後、導電パターン2の下面2pを覆う領域のみ、該第二の絶縁層6を除去する。第二の絶縁層6の形成及び除去は公知の方法が適用できる。例えば、第二の絶縁層6の形成には、PECVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)を適用できる。第二の絶縁層6の除去には、RIE(Reactive Ion Etching)法を適用できる。貫通孔4内に導電性物質を配して貫通配線8を形成する方法としては特に制限されず、例えば公知の方法が適用できる。例えば、めっき法、スパッタ成膜法、CVD法、溶融金属充填法、等の手法を適用できる。
【0069】
貫通孔4の内部を検査する工程A4は、第二の絶縁層6を形成した後に行ってもよい。一般的に、第二の絶縁膜6の材料はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜であり、また、その厚さも数ミクロンである。そのため、第二の絶縁膜6を通して貫通孔4の内部を検査することができる。第二の絶縁層6を形成した後であれば、導電パターン2の下面2pが第二の絶縁層6によって被覆された状態で工程A4を行うことができる。したがって、導電パターン2の下面2pが長時間に渡って大気に曝されることがないため、導電パターン2の下面2pが酸化して劣化する不具合を防止することができる。
【0070】
[第一態様の工程A6]
本発明にかかる基板の製造方法としては、工程A5の後に、基板1の一面1a側から貫通孔4を検査する工程A6を有していることが好ましい。
一面1aには接着層31及び支持層32が配置されているので、これらを通して、支持層32の上から切抜き3を通して貫通孔4内の状態を検査する。
この検査によって、エッチングの状態、貫通孔の位置精度、貫通配線8の状態、又は貫通配線8と導電パターン2との電気的接続等について、不具合の有無を検査できる。これにより、貫通配線基板の品質を容易に把握できると共に、不具合のある貫通配線基板を容易に選別することができる。
【0071】
貫通孔4内を検査する具体的な方法としては、例えば一面1a側から貫通孔4に可視光を照射して、切抜き3を通して開口部5周辺から反射してくる前記可視光を、CCDカメラを搭載した顕微鏡等によって、一面1a側から観察する方法が挙げられる。
この貫通孔4の検査方法は、本発明の貫通孔基板10、貫通配線基板20、又は電子部品30において、一面1a側から切抜き3通して貫通孔4の内部を調べること方法として適用可能である。
【0072】
<基板の製造方法の第二態様>
本発明にかかる基板の製造方法の第二態様は、基板1の一面1a側に導電パターン2として透明導電膜を配置する工程A1と、導電パターン2上に透光性の支持層32を配置する工程A2と、基板1の一面1aから他面1bにわたって貫通孔4を形成する工程A3と、を少なくとも有し、工程A3において、貫通孔4が一面1aに開口する開口部5を導電パターン2の直下に形成すると共に、開口部の一部を支持層32の上から観察可能なように形成するものである。
導電パターン2に透明導電膜を採用しているので、切抜き3を形成しなくとも、透明導電膜を透過する可視光線を用いて、一面1a側から開口部5の一部又は貫通孔4内を観察することができる。
前記透明導電膜としては、ITO膜(酸化インジウムスズ膜)やFTO膜(フッ素ドープ酸化スズ膜)が適用可能である。工程A1〜A3の具体的な方法は、第一態様と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明にかかる貫通孔基板、貫通配線基板、電子部品、及び基板の製造方法は、受光素子を備えた電子回路等の製造に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…基板、1a…基板の一面、1b…基板の他面、2,2a,2b,2c…導電パターン、2p…導電パターンの下面、3,3a,3b,3c,3d…切抜き、4…貫通孔、4a…貫通孔の一端、4b…貫通孔の他端、5…開口部、6…第二の絶縁層、7…第一の絶縁層、8…貫通配線、10,10A〜10H…貫通孔基板、20,20A,20B…貫通配線基板、30,30A…電子部品、31…透光性の接着層、32…透光性の支持層(透明基板)、33…封止樹脂、34…外部接続端子、35…受光部、100…貫通孔基板、101…基板、101a…基板の一面、101b…基板の他面、102…導電パターン、104…貫通孔、106…第二の絶縁膜、107…第一の絶縁膜。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面から他面にわたって貫通孔が形成され、前記一面における前記貫通孔の開口部を覆う導電パターンが配された貫通孔基板であって、
前記導電パターンには、前記貫通孔を前記一面側から観察可能な切抜きが形成されていることを特徴とする貫通孔基板。
【請求項2】
前記切抜きにおいて、前記開口部の縁が観察可能であることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔基板。
【請求項3】
前記切抜きが、前記開口部の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の貫通孔基板。
【請求項4】
前記導電パターンは、前記切抜きを2つ以上有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の貫通孔基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の貫通孔基板を用いて、該貫通孔基板の貫通孔の内部に、貫通配線が形成されていることを特徴とする貫通配線基板。
【請求項6】
請求項5に記載の貫通配線基板から切り出された電子部品であって、
前記貫通孔が少なくとも1つ含まれることを特徴とする電子部品。
【請求項7】
基板の一面側に導電パターンを配置する工程A1と、
前記導電パターン上に透光性の支持層を配置する工程A2と、
前記基板の一面から他面にわたって貫通孔を形成する工程A3と、
を少なくとも有し、
前記工程A1において、前記導電パターンに切抜きを形成し、
前記工程A3において、前記貫通孔が前記一面に開口する開口部を前記導電パターンの直下に形成すると共に、前記切抜きを通して前記開口部の一部を前記支持層の上から観察可能なように形成することを特徴とする基板の製造方法。
【請求項8】
前記工程A3の後に、
前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする請求項7に記載の基板の製造方法。
【請求項9】
前記工程A3において形成した前記貫通孔の内壁及び該貫通孔の内部に露呈させた前記導電パターンの下面を絶縁層で被覆した後に、
前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする請求項8に記載の基板の製造方法。
【請求項10】
前記貫通孔の内部に貫通配線を形成する工程A5と、
次いで、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A6を有していることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜4に記載の貫通孔基板、請求項5に記載の貫通配線基板、又は請求項6に記載の電子部品において、前記一面側から前記切抜き通して前記貫通孔の内部を調べることを特徴とする貫通孔の検査方法。
【請求項1】
基板の一面から他面にわたって貫通孔が形成され、前記一面における前記貫通孔の開口部を覆う導電パターンが配された貫通孔基板であって、
前記導電パターンには、前記貫通孔を前記一面側から観察可能な切抜きが形成されていることを特徴とする貫通孔基板。
【請求項2】
前記切抜きにおいて、前記開口部の縁が観察可能であることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔基板。
【請求項3】
前記切抜きが、前記開口部の直径を結ぶ線分の少なくとも両端を含むように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の貫通孔基板。
【請求項4】
前記導電パターンは、前記切抜きを2つ以上有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の貫通孔基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の貫通孔基板を用いて、該貫通孔基板の貫通孔の内部に、貫通配線が形成されていることを特徴とする貫通配線基板。
【請求項6】
請求項5に記載の貫通配線基板から切り出された電子部品であって、
前記貫通孔が少なくとも1つ含まれることを特徴とする電子部品。
【請求項7】
基板の一面側に導電パターンを配置する工程A1と、
前記導電パターン上に透光性の支持層を配置する工程A2と、
前記基板の一面から他面にわたって貫通孔を形成する工程A3と、
を少なくとも有し、
前記工程A1において、前記導電パターンに切抜きを形成し、
前記工程A3において、前記貫通孔が前記一面に開口する開口部を前記導電パターンの直下に形成すると共に、前記切抜きを通して前記開口部の一部を前記支持層の上から観察可能なように形成することを特徴とする基板の製造方法。
【請求項8】
前記工程A3の後に、
前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする請求項7に記載の基板の製造方法。
【請求項9】
前記工程A3において形成した前記貫通孔の内壁及び該貫通孔の内部に露呈させた前記導電パターンの下面を絶縁層で被覆した後に、
前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A4を有していることを特徴とする請求項8に記載の基板の製造方法。
【請求項10】
前記貫通孔の内部に貫通配線を形成する工程A5と、
次いで、前記基板の一面側から前記貫通孔の内部を検査する工程A6を有していることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の基板の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜4に記載の貫通孔基板、請求項5に記載の貫通配線基板、又は請求項6に記載の電子部品において、前記一面側から前記切抜き通して前記貫通孔の内部を調べることを特徴とする貫通孔の検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−186285(P2012−186285A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47789(P2011−47789)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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