説明

走査するための方法および装置

開示されるのは、物品を走査するためのスキャナであり、該スキャナは、走査デバイス(18)および回転可能なサンプル取付部(14、420)を有し、走査デバイスおよび取付部が取付部の回転軸(48)に沿って相対的に変位可能である、走査装置(10)と、サンプル取付部に取り付けられたレセプタクル(40、140、240、400)であって、物品(30)を確実に収容することができるレセプタクルと、レセプタクルを直線的に変位させるためのアクチュエータ(146、246)であって、アクチュエータの作動が、レセプタクルと、レセプタクルに取り付けられたいずれの物品をも、サンプル取付部に対し変位させる、アクチュエータと、を備える。物品は細長いと良く、アクチュエータによる変位は、細長い物品の長軸によって定められた軸線に沿っている。同じく開示されるのは、走査方法である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査するための、特に、歯科用ブリッジのような細長い物体を走査するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
慣例的に、三次元の細長い形状は、始点から終点まで、所定の経路をたどることによって走査される。経路の形式に応じて、高さの偏差は調整されるが、走査装置のセンシング・チップよりも大きいアンダーカットまたは凹部は、適正に調査されないであろう。これはまた、細長い形状が多数の個別の部品からなり、センシング・チップがこれらの個別の部品の交差部に適正にアクセスできない場合も然りである。
【0003】
アンダーカットまたは凹部に直面する場所には、物体の巡回走査、または、ヘリカル走査が提供されることが知られている。物体は回転させられ、プローブが回転軸に対して角度をつけられて、物体がアンダーカットをプローブに提示しないように操作されてもよく、または、いかなるアンダーカットも詳細に調べられるように、より多くの自由度をもつプローブが提供されてもよい。
【0004】
【特許文献1】国際公開第WO03/046412号パンフレット
【発明の開示】
【0005】
プローブの作動域を制約する、寸法上の考慮事項が存在する場合には、現在のところは、巡回走査、または、ヘリカル走査が好ましいが、これは、走査できる物体の形状に制限がある。
【0006】
本発明は、細長い形状、特に、多数の別個の部品からなる(または、多数の個別の部品に分けられ得る)形状の走査を可能にする。
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、走査方法であって、
走査デバイスおよび回転可能なサンプル取付部を有し、その走査デバイスと取付部が、取付部の回転軸に沿って相対的に変位可能である、走査装置を提供するステップと、
走査デバイスによって物品の第1部品が走査可能となるように、サンプル取付部の上に物品を配置するステップと、
物品の第1部品を走査するステップと、
物品の第2部品が走査可能となるように、走査デバイスに対して物品を相対的に変位させるステップと、
物品と走査デバイスとの間の相対的変位を確認するステップと、
第2部品を走査するステップと、
を含む走査方法を提供する。
【0008】
物品は、サンプル取付部に配置される前に、レセプタクルに固定されることが好ましい。好ましい実施形態においては、レセプタクルは、サンプル取付部に配置される前に、スライド部に対して取り付けられる。
【0009】
物品は少なくとも2つの別の部品からなり、第1部品の走査の間は、レセプタクルから第2部品が取り外されることに利点がある。これは、特に、少なくとも2つの部品が隣接している場所にアンダーカット、または、凹部がある場合に完全走査が行われることを可能にする。
【0010】
第2の態様によれば、本発明は、物品を走査するためのスキャナであって、
走査デバイスおよび回転可能なサンプル取付部を有し、前記走査デバイスおよび前記取付部が、前記取付部の回転軸に沿って相対的に変位可能である、走査装置と、
サンプル取付部に取り付けられたレセプタクルであって、物品を確実に収容することができるレセプタクルと、
レセプタクルを直線的に変位させるためのアクチュエータであって、アクチュエータの作動が、レセプタクルと、レセプタクルに取り付けられたあらゆる物品とを、サンプル取付部に対し変位させる、アクチュエータと、
を備えたスキャナを提供する。
【0011】
物品は細長く、アクチュエータによる変位は、細長い物品の長軸によって定められた軸線に沿っていることが好ましい。物品の長軸は、直線状であってもよいし、または、弧状であってもよい。
【0012】
ここで、本発明は、例として付属の図面を参照しながら説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、サンプルホルダ、すなわち取付部14が、軸線48の周りを回転可能に取り付けられた、ベース12を有する走査システム10を示している。ベース12はまた、センシング・チップ20を有するプローブ18を支持するスタンド16を有する。サンプル22は、回転可能なサンプルホルダ14に配置される。センシング・チップ20は、サンプルホルダ14の回転軸48に対して傾斜させられた軸線Aに沿って移動可能である。サンプルホルダ14が回転する際に、サンプル表面との距離の変化に応じて、センシング・チップ20が軸線Aに沿って移動する。サンプル22は一連の二次元スライスによって走査されてもよく、または、サンプルホルダ14はプローブ18とサンプルホルダ14との間の相対的変位が発生するのと同時に回転させられてもよく、それがヘリカル走査をもたらす。プローブおよび/またはサンプルホルダは、Z軸に沿って動くことにより、相対的変位をもたらすことができる。
【0014】
走査システムの例は、引用によりここに組み入れる特許文献1に、より詳細に記載されている。接触走査システムの代わりに、本発明と共に非接触走査システムが用いられてもよい。
【0015】
図2は、この場合、この例では石膏から作製される顎印象からの模型キャストの一部である物品30を保持するためのレセプタクル40を示す。レセプタクル40は、この場合にはレセプタクル40内の所定位置に物品30を固定する3つのねじを含む、締め付け手段42を有する。
【0016】
物品30はベース36を含み、該ベースの上に、ブリッジ支持部32A、32Bと、ブリッジされることになる架工歯すなわち失損歯34が配置される。物品の異なる部品32A、32B、34は、ベース36のそれぞれの孔45と連通する配置ピン44を用いてベース内に配置される。物品30の異なる部品32A、32B、34は、例えば、石膏模型を鋸引きすることによって分離されている。この工程は、配置ピン44を用いて物品30がベース36に配置された後に実行されることが好ましく、そうすることで、異なる部品間の適正な空間的関係が確実に保たれるであろう。物品30の異なる部品32A、32B、34の分離は、走査されていない部品が取り外されることを可能にするので、それらは残りの部品の走査を妨害しない。したがって、異なる部品間の空間的関係を維持しながらブリッジの各部分のフル走査が完了され、それにより、結果として得られるブリッジの適合性が保証される。
【0017】
レセプタクル40は、スライド部38内に取り付けられて図示されている。これは、レセプタクル40およびレセプタクルに固定された物品30が、スライド部に対して直線的に移動することを可能にする。したがって、スライド部がサンプルホルダに配置されたときに、レセプタクル40、サンプルホルダおよび走査システムのセンシング・チップ間の相対的な向きが維持される。スライド部はまた、物品の各部品間の距離を割り出す、サンプルホルダに対するレセプタクルの移動の記録を容易にし、最終的なブリッジ作製のための完全走査の再現を可能にする。
【0018】
物品30は、ベース36上に配置される必要はなく、レセプタクル40内に直接配置されることも可能である。走査される部品の完全走査を得るために、および、異なる部品間の空間的関係を維持するために、物品の余分な部品が除去される必要があるような場合には、異なる部品32A、32B、34は、最初に単一の構成要素としてレセプタクル40に固定されるべきである。これが一端なされた後に、それらは、例えば石膏を鋸引きすることによって分離され得る。部品は石膏から作製され、締め付け手段42は各部品用の個々のねじを含むので、各石膏部品は、締め付け工程の間は、それのねじによってマークされているであろう。したがって、部品は、取り外され、必要とされればマークを位置合わせすることによって元の位置に戻され得る。
【0019】
図3は、物品を保持するための別のレセプタクル140を示している。レセプタクル140は、物品をそこに締め付けるために物品を長さ方向に貫通するように働く1つのねじ142を有する。この例においては、物品130の各部品132A、132B、134はレセプタクルに個々に固定可能ではないので、ベース136が要求される。
【0020】
レセプタクルは2つの部分140Aおよび140Bを含み、それらは磁気的に引き寄せられているが、互いに対し移動することができる。これは、センシング・チップ(図示せず)に対する物品全体の角度調節を可能にし、アンダーカット、または、凹部が走査工程の中断を引き起こす可能性を減らす。部品間の空間的関係を保つために、この調節は、走査工程の開始前にのみ行われ得ることに注意されたい。
【0021】
レセプタクル140は、マイクロメータねじ146に取り付けられたプラットフォーム144を備えたスライド部138に取り付けられる。マイクロメータねじ146の作動は、軸線Bに沿ったプラットフォーム144の変位をもたらす。スライド部138は、回転可能なサンプル取付部114上に置かれる。
【0022】
或いは、レセプタクルの変位の代わりに、プローブがX軸に沿って変位させられる(図1参照)。この方法は、結果として、物品の部品がサンプル取付部の回転軸48に対し実質的に位置合わせされていないときに、それらが走査されることになるので、好ましくない。
【0023】
図4は、スライド部238に取り付けられ、回転可能なサンプルホルダ214上に配置されているレセプタクル240を示している。レセプタクル240を動かすためにアクチュエータ246が提供されており、それにより、物品がスライド部238およびサンプルホルダ214に対して走査されることになる。
【0024】
走査は以下のようにして行われる。第1の歯232Bは、サンプルホルダ214の回転軸248のほぼ中心に置かれている。この時点では走査されていないブリッジの2つの部品232A、234は、それらをベース(図示せず)から引っぱり出すことによって、レセプタクル240から取り外される。第1部品232Bが走査される。第2部品234がベース内の元の位置に戻され、第1部品232Bが取り外される。レセプタクル240は、第2部品234がサンプルホルダ214の回転軸248上に位置合わせされるまで、アクチュエータ246を用いてスライド部238に対して動かされる。ここで、第2部品234が、センシング・チップ220を用いて走査される。ここで、ブリッジの第3部品232Aがレセプタクル240内のベースにおける元の位置に戻され、第2部品234がベースから取り外される。レセプタクル240は、第3部品232Aがサンプルホルダ14の回転軸248上に位置合わせされるまで、アクチュエータ236を用いてスライド部238に対して再び動かされる。次に、第3部品の走査が行われる。
【0025】
レセプタクルとサンプルホルダの回転軸との間の関係は、図3においてはマイクロメータねじ146によって達成される。したがって、各部品がサンプルホルダの回転軸に位置合わせされたときに、マイクロメータねじの読取値を確認することによって、各走査部分の中心点間の距離が理解され、そしてそれは異なる走査間の、したがって異なる歯の間の適正な空間的関係を有する物品全体の複合走査を構築するために用いられることが可能である。これは、部品が走査される前に、または、走査された後に行われ得ることに注意されたい。したがって、レセプタクルは、スライド部に対するいずれかの位置への各移動の後に、再びデータをとられる。
【0026】
実際には、要求されるのは異なる歯の間の空間的関係であるが、歯はスライド部に対し所定位置に一時的に固定されるので、スライド位置の測定は、それと同義である。
【0027】
回転軸248に対するレセプタクル240の位置の測定は、レセプタクルがプローブの移動軸線Aおよび回転軸248と同一平面上にあるときに行われることが重要であり、それは、そうしたときに、各走査部品の回転中心間の測定された距離が真の測定値であることが保証されるためである。基本的には、レセプタクルの縦軸線Bは、軸線Aおよび軸248に対して位置合わせされるので、軸線Aおよび軸248に対するレセプタクルの向きは、各測定に関して同じである。
【0028】
レセプタクル240が軸線Aおよび軸248と同一平面上になかった場合には、物品の部品232A、232B、234間の空間的関係が歪められることになる(対角測定が行われることになるため)。相対測定の各々が行われるときにレセプタクル240が軸線Aおよび軸248と同一平面上にあることを保証する1つの方法が、以下に図1を参照しながら説明される。レセプタクル40が、最初に軸線Aおよび軸線48と同一平面に合わせられ、サンプルホルダの側部の、走査システムのベース12の遮断点の近くに、マークがつけられる。協働する第2のマークがベース12につけられる。第1の走査が完了したときに、レセプタクル40をスライド部38に対し動かして、第2部品34をサンプルホルダ14の回転軸48上に位置合わせするときに、サンプルホルダ14のマークとベース12のマークが再び位置合わせされ、それにより、レセプタクル40がプローブ軸線Aに対し再び法線方向にされることが保証される。或いは、サンプルホルダ14には、ベース12に隣接して配置された恒久的なマークが与えられ、ベース12は、サンプル取付部の周囲に一連のマークを有し、各走査プロセスにおいては、位置合わせの位置(レセプタクル40が軸線Aおよび軸線48と同一平面上にあるとき)は、例えば、位置合わせされたときのサンプルホルダ14上のマークに対応するベース上のマークの隣りに位置決めされたステッカーによって示すことができる。
【0029】
或いは、ホルダ14は、固定の基準マークを有するモータおよびエンコーダによって、回転軸48の周りを動かされ得る。移動軸と基準マークとの相対的角度の校正は、軸線Bに沿ったレセプタクル40とホルダ14との調整が、ベース12または軸線Aに対していずれかの向きになされることを可能にする。
【0030】
物品の部品は、サンプルホルダの回転軸と位置合わせされているが、これは、本発明の幾つかの実施形態に関する好ましい特徴である。部材を回転軸上に位置合わせすることにより、走査からのデータの解釈が容易になり、プローブのトランスデューサがその作動限界付近で使用されないことが保証される。
【0031】
図5aおよび図5bは、物品の異なる部品のそれぞれの走査の間にそれらの相対位置を求めるために用いられ得る、測定機能部50を示している。図5aは、サンプルホルダ14の回転軸48に対するレセプタクル40の位置を確立するのに用いられているときの、角度のついた機能部50を示している。図5bは、その引っ込められた位置52にある、角度のついた機能部50を示している。
【0032】
角度のついた機能部50は、レセプタクル40に回転可能に取り付けられ、レセプタクル40の長さに対して勾配を有する。したがって、レセプタクル40の一方の端部から他方の端部に動かすことにより、レセプタクル40から角度のついた機能部50までの距離が変化することになる。物品30の部品32Bが回転軸48上に適正に配置されたときには、プローブ・チップ20が、角度のついた機能部50と接触させられる。角度のついた機能部50は、90度まで回転させることによって引っ込められ(図5bに示される)、前述のように第1部品の走査が行われる。その後、物品30の第2部品34が回転軸48と位置合わせされたときに、プローブ・チップが、角度のついた機能部50に再び近づけられる。角度のついた機能部に勾配が存在するので、プローブの軸線Aに沿ったプローブ・チップ20の位置は異なるであろう。角度のついた機能部の勾配は分かっているので、第1部品の走査の中心点と第2部品の走査の中心点との間の距離も分かる。
【0033】
図6は、一組の副尺付きノギス60である別の測定デバイスを示している。この例においては、異なる走査における物品の各部品の相対位置を得るために、スライド部38の一方の端部100とレセプタクル40の遠位端102との間の距離が測定される。副尺付きノギス60は、システムに取り付けられず、測定104が行われたあとに取り外される。
【0034】
各部品の走査における回転中心間の距離の測定は、多くの方法で実行することができる。回転軸に対する移動が手動で制御されるときには、移動する部品(図2のレセプタクル40、または、図3のプラットフォーム144)上の副尺、マイクロメータねじ、または、外付けの副尺付きノギスが、好ましい方法である。
【0035】
回転軸に対する移動が、モータを用いて、すなわち自動的に制御されるときには、スケールと読取ヘッドとを有するエンコーダ・システム(直線式または回転式)が好ましい。モータによる移動は、デバイスの1つの向きにおけるスリップリングまたはコンタクトを介して移動部品に送られた外部電気信号、1つの向きにおける誘導結合または容量結合、デバイスに取り付けられ得るモータ、例えば図3の150、または、無線または光信号によって作動され、制御されるバッテリとされ得るデバイス、といった多くの手段で達成することができる。
【0036】
1つの軸線B(図3参照)に沿ったレセプタクル48の調節は単純な部品に適応させられているが、ベース36上の2つより多いブリッジ支持部を走査するために、2つの調節直交軸を与えることが要求されてもよい。図7aおよび図7bは、それぞれ、本発明に係る別のレセプタクルの平面図および断面図を示す。この実施形態においては、レセプタクル300は、顎の断面の形状を再現するために湾曲させられている。レセプタクルは、セグメント形状であり、5つの接触点によってサンプルホルダ320上に繰り返し配置される。第1の接触位置は、レセプタクル300の回転中心310にある。第2および第3の接触位置は、回転中心310から半径方向に離間されていて、レセプタクルによって描かれた外周部302に隣接している。物品304は、外周部302の近くのレセプタクル300上に配置され、それにより、物品304のいずれの個々の部品も、回転中心からほぼ同じ半径のところにある、すなわち、レセプタクルが回転する際に、部品は同じ経路にそって互いに追従する。
【0037】
回転中心310は、レセプタクル300に収容された物品304の移動を最大にしながら、ベース320の要求される直径を最小にするように、ベース320の縁の近くに配置される。第1の接触位置は、円錐内に位置されたボールを含み、3つの接触点を含む。ボール312は、レセプタクル300の下面に埋め込まれ、ベース320の上面の円錐形状の穴314内に位置される。レセプタクルの移動は、この第1の接触位置のまわりに弧を描く。
【0038】
第2および第3の接触位置は、レセプタクルの外周部302の近くに配置される。第2および第3の接触位置は、ベース320の上面とレセプタクル300の下面に埋め込まれたボール322との間の単一の接触点を含む。第2および第3の接触位置は、セグメント形状のレセプタクルの各半径縁の1つに配置されるので、3つの接触位置が三角形を描く。
【0039】
或いは、第1の接触位置は、説明されたように配置され、第2および第3の接触位置は、ベース320の上面に機械加工された「v」字形状の湾曲した溝316に各々形成された2つの接触点と、レセプタクル300の下側に埋め込まれた第2のボール318を含む。溝316は、レセプタクルの回転中心と同じ点に中心を有する円の一部である。
【0040】
物品を走査するために、物品の第1部品が、プローブ(図示せず)に対して位置決めされる。物品の異なる部品の相対位置を確立するために、レセプタクルの1つの半径縁306が突き止められ、その座標が保存される。物品の第1部品が走査される。レセプタクルが、プローブに対して物品の第2部品を位置決めするために回転させられる。レセプタクルの半径縁306の新たな座標が確立され、第2部品が走査される。このプロセスは、物品の全ての部品が走査されるまで繰り返される。レセプタクルの半径縁に関する各走査部品の相対位置は、物品全体の複合像がグラフィックで生成されることを可能にする。
【0041】
レセプタクルの移動は、手動のプロセスで、または、モータによるプロセスで実行されてもよい。
【0042】
別の方法として、「v」字形状の溝316は、ベースの表面に機械加工された複数の個別の「V」字形状のノッチと置き換えられる。この実施形態においては、ノッチは、既知の関係性をもっており、そのため、レセプタクルが各ノッチ間でインデックス付けされる際に、レセプタクルのノッチ位置が分かっている限り、レセプタクルの相対位置が既に分かっているので、各部品を走査する前にレセプタクルの縁をもはや突き止める必要はない。
【0043】
ボールをレセプタクルの下側に埋め込む代わりに、それらをベースの上面に埋め込んでもよい。さらに、ベースの平らな面を破壊するのではなく、例えば、磁力によってベースに取り付けられるマウント330が設けられてもよい。
【0044】
図8は、レセプタクル400および協働するサンプル取付部420を通る断面図である。レセプタクルは、表面に機械加工された複数のギヤ歯402を有し、サンプル取付部420は、レセプタクル400に(少なくとも部分的に)適応させられた中央トレンチ422を有する。トレンチ422のベースは、レセプタクル400のギヤ歯402と協働する、一組の嵌合するギヤ歯424を含む。レセプタクルは、手動で、または、機械的に(例えばモータによって)、サンプル取付部420に対して動かされてもよい。
【0045】
ギヤ歯は、正確に機械加工されるので、レセプタクル400が隣接するギヤ歯に係合する際にレセプタクルが動かされた距離が分かり、それにより、走査部品間で動かされたギヤ歯の数をカウントすることにより、走査部品が互いに適合されることが可能となる。したがって、複数の画定された位置、または、インデックス位置が存在する。
【0046】
或いは、ギヤ歯は、単に、レセプタクルとサンプル取付部とを係合させるために用いられる。この場合は、サンプル取付部に対するレセプタクルの位置が読み取られることを可能にするスケールが設けられてもよく、または、レセプタクルの縁と歯との間の距離を確立するためにプローブが用いられる。
【0047】
図9は、ベース508上に取り付けられ、サンプル取付部520上に置かれた、3つの部品502、504、506を備えた物品510を示している。この実施形態においては、走査部品間を動かされるのは、物品510ではなくプローブ(図示せず)である。
【0048】
走査されていない部品504、506は、ベース508から取り外され、残りの部品はプローブによって走査される。走査の終了時に、プローブは、ベース508の指定された角部512までS1の距離を動かされ、走査終点とベース508の角部512との間のプローブ・チップの変位が記録される。同じプロセスは、物品の中央の部品504および他方の端部の部品506が走査された後に繰り返され、中央の部品504および他方の端部の部品506とベースの指定された角部512との間の、2つのさらに別の変位S2、S3がそれぞれ与えられる。この例においては、各走査の終点は、プローブが歯、または、架工歯の頂部に到達したときであると示されているが、これは選択できることである。走査された最後のデータ片と指定された角部との間の関係性が分かっている限り、走査全体の個々の部分が電子的に合わされて、複合走査がもたらされることが可能である。
【0049】
各走査部品の基準点は、ベースの指定された角部である必要はない。その代わりに、サンプル取付部の表面上のある点であってもよい。物品の全ての部品が横たわるサンプル取付部の直径が、走査デバイスによって正確に突き止められ得る場合には、この直径に沿った物品の各部品の位置は、異なる走査部分を複合表現に組み合わせることを容易にするために確立されることが可能である。
【0050】
代替歯の製作における次に重要な段階は、どのような外形にするかを定めることである。これを行う従来の方法は、ワックスを塗られた模型を用いることによるものである。ワックス層は、石膏模型に塗布され、支持歯と失損歯が再建されるまで形づくられる(正確さを保証するために反対側のあごの歯に当たる状態を確認する必要がある)。
【0051】
一旦ワックス模型を満足すると、物品の個々の部品が、ここで説明された方法を用いて再び走査され、それにより、ブリッジの外面の形状に関するデータが与えられる。次に、このデータは、部品走査の第1の組からのデータ(ブリッジの内面の寸法および形状を与える)と組み合わせて、ブリッジの製作に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】走査システムを示す図である。
【図2】走査される物品用のレセプタクルを遠近法で示す図である。
【図3】別のレセプタクルを遠近法で示す図である。
【図4】サンプル取付部に配置されたレセプタクルを示す図である。
【図5a】サンプル取付部の回転軸およびプローブに対するレセプタクルの位置を求めることができる、測定機能部を示す図である。
【図5b】サンプル取付部の回転軸およびプローブに対するレセプタクルの位置を求めることができる、測定機能部を示す図である。
【図6】別の測定デバイスを示す図である。
【図7a】別のレセプタクルの平面図である。
【図7b】別のレセプタクルの断面図である。
【図8】レセプタクルおよび協働するサンプル取付部を通る断面図である。
【図9】本発明の実施形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査方法であって、
走査デバイス(18)および回転可能なサンプル取付部(14)を有し、前記走査デバイスおよび前記取付部が、前記取付部の回転軸(48)に沿って相対的に変位可能である、走査装置(10)を提供するステップと、
前記走査デバイス(18)によって物品(22)の第1部品が走査可能となるように、サンプル取付部の上に前記物品(22)を配置するステップと、
前記物品の第1部品を走査するステップと、
前記物品の第2部品が走査可能となるように、前記走査デバイスに対して前記物品を相対的に変位させるステップと、
前記物品と前記走査デバイスとの間の相対的変位を確認するステップと、
前記第2部品を走査するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記物品(22)は、レセプタクル(40、140、240)に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レセプタクル(40、140、240)は、スライド部(38、138、238)に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物品は少なくとも2つの別個の部品(32A、32B、34)からなり、前記第1部品の走査の間は、前記レセプタクルから第2部品が取り外されることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の方法。
【請求項5】
物品を走査するためのスキャナであって、
走査デバイス(18)および回転可能なサンプル取付部(14、420)を有し、前記走査デバイスおよび前記取付部が、前記取付部の回転軸(48)に沿って相対的に変位可能である、走査装置(10)と、
前記サンプル取付部に取り付けられたレセプタクル(40、140、240、400)であって、前記物品(30)を確実に収容することができるレセプタクル(40、140、240、400)と、
前記レセプタクルを直線的に変位させるためのアクチュエータ(146、246)であって、前記アクチュエータの作動が、前記レセプタクルと、前記レセプタクルに取り付けられたいずれの物品とをも、前記サンプル取付部に対し変位させる、アクチュエータ(146、246)と、
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項6】
前記物品は細長く、前記アクチュエータによる変位は、前記細長い物品の長軸によって定められた軸線に沿っていることを特徴とする請求項5に記載のスキャナ。
【請求項7】
前記アクチュエータはマイクロメータ(146)であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のスキャナ。
【請求項8】
前記物品の異なる部品の相対位置を測定する、測定機能部(50、60、146、246)を含むことを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれかに記載のスキャナ。
【請求項9】
前記測定機能部は、マイクロメータ(146)、または、一組の副尺付きノギス(60)であることを特徴とする請求項8に記載のスキャナ。
【請求項10】
前記アクチュエータは手動式であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のスキャナ。
【請求項11】
前記アクチュエータは自動であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のスキャナ。
【請求項12】
前記レセプタクルは、前記サンプル取付部に対する複数の画定された位置を有することを特徴とする請求項5から請求項11までのいずれかに記載のスキャナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−516436(P2007−516436A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540607(P2006−540607)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004953
【国際公開番号】WO2005/054781
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】