説明

走行経路検出用の車載器

【課題】車両が走行していった経路を、正確に判定する。
【解決手段】位置推定部115は、GPS受信器111,加速度センサ112,速度センサ113,ジャイロ114の情報を基に、車両が走行している位置を推定する推定位置(X,Y)を出力する。補正部200は、最新の推定位置(X,Y)に対して、前回の推定位置と前回のマップマッチング位置を用いて誤差を減少するように位置補正し、位置補正した補正位置(cX,cY)を出力する。マップマッチング部116は、記憶部117に記憶している道路情報を参照してマップマッチング処理をして、マップマッチング位置(mX,mY)を出力する。このように位置誤差を減少させた補正位置(cX,cY)を演算するようにしているため、走行経路を正確に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走行経路検出用の車載器に関するものである。
更に説明すると、本発明では、GPS受信器等によるデータを基に得た推定位置と、道路情報とを用いてマップマッチング処理をすることにより、車両が走行していった経路を求める場合において、ハードウエア的にもソフトウエア的にも簡易な構成としつつ、正確に走行経路を判定することができるように工夫したものである。
【背景技術】
【0002】
有料道路における自動料金収受システムとして、無線式料金収受システムがある。この無線式料金収受システムでは、有料道路の料金所に設置した基地局と、車両(自動車)に搭載した車載器との間で通信をすることにより、車両の認識・認証や決済を行なうものである。
このような無線式料金収受システムを使用すれば、料金所をノンストップ、キャッシュレスで通過することができる。
【0003】
更に、無線式料金収受システムの次期システムとして、GPS(Global Positioning System)を利用し、車両位置や、走行経路や、走行距離を検出して課金をするGPS道路課金システムが検討されている。
【0004】
このGPS道路課金システムでは、GPS衛星から送信された電波を、車載器に備えたGPS受信機にて受信している。GPS受信機は受信電波を基に車両の走行位置を検出しており、車両が課金エリア(例えば特定の都市エリア)に入ったら課金を開始し、車両が課金エリアから出ていったら課金を終了する。このとき、課金エリアにおいて車両が走行している際には、車両位置や走行経路や走行距離を検出している。
【0005】
車載器は、車両が課金エリアに入った時点で、走行経路の記録を開始し、課金エリアから出た時点で、走行経路から走行距離を求めて課金を行い、課金情報を課金センターに情報送信する。
【0006】
かかるGPS道路課金システムでは、従来の無線式料金収受システムにおいて必要であった料金所(ゲート設備)を廃することができる。
このGPS道路課金システムは、都市へ流入する車両に対して料金を課することにより交通量を制限し、都市における混雑緩和を実現することを目的としている。
【0007】
図5は、GPS道路課金システムのイメージを示す説明図である。
図5に示す車両01には、GPS受信器やGPSアンテナや各種センサを備えた車載器が備えられている。この車載器は、複数のGPS衛星02から送出された電波をGPS受信器が受信することにより、車両01の位置を刻々と推定することができるものである。
またGPS衛星2から送信された電波を受信できずGPS測位ができないとき、例えば車両01がトンネル内を走行しているときには、自立型のセンサ(距離センサや方位センサ)を用いて走行距離及び走行方向を検出し、自立型のセンサにより検出した走行距離及び走行方向により、GPS受信機にて検出した前回の位置情報から現在の位置情報を推定している。
【0008】
車両01に搭載した車載器は、車両01が課金エリア03に進入した時点で、課金のために位置推定座標から経路を求め記録していく。そして、車両01が課金エリア03から退出した時点で、経路から走行距離を求め課金を行い、課金情報を課金センター04に情報送信する。
【0009】
次に、車載器について図6を参照して説明する。この車載器10は、GPS受信器11と、加速度センサ12と、車速センサ13と、ジャイロ14と、位置推定部15と、マップマッチング部16と、記憶部17と、課金処理部18を有している。
【0010】
GPS受信器11は、GPSアンテナ(図示省略)を介してGPS衛星から送出された電波を受信することにより、位置計測をして、位置情報を出力する。
加速度センサ12は、車両の進行方向に沿う加速度を検出して、加速度信号を出力する。
車速センサ13は、車両の車速を検出して、車速信号を出力する。
方位センサであるジャイロ14は、車両の進行方向を検出して、進行方向信号を出力する。
【0011】
位置推定部15は、GPS受信器11による測位が可能である場合には、このGPS受信器11により計測した位置情報を、推定位置X,Yとして出力する。この推定位置X,Yは、予め設定した一定の周期毎に出力される。
【0012】
一方、GPS受信器11による測位が不可能な状態となった場合には、位置推定部15は、加速度信号または速度信号、及び、進行方向信号を基に位置を求めて、その求めた位置を、推定位置X,Yとして出力する。
つまり、加速度センサ12及び速度センサ13を距離センサとして機能させるため、加速度信号を2回積分して得た距離情報、または、速度信号を1回積分して得た距離情報と、ジャイロ14から得た進行方向信号を基に、移動距離と進行方向を算出している。更に、GPS受信器11により測位ができなくなった時点の直前の時点における位置を起点とした相対移動位置を求め、その相対移動位置を推定位置X,Yとして出力する。この推定位置X,Yは、予め設定した一定の周期毎に出力される。
【0013】
記憶部17には、地図データが記憶されている。この地図データとしては道路情報のみが記憶されており、建物や料金所等の情報は含まれていない。
道路情報としては、各道路に沿う位置情報の他に、道路(リンク)ごとに設定した経路R(R1,R2,R3・・・Rn)や、交差点や曲がり角といった節点(ノード)ごとに設定した節点J(J1,J2,J3・・・Jn)が記憶されている。
【0014】
マップマッチング部16は、推定位置X,Yと、記憶部17に記憶した道路情報とを用いて、マップマッチング処理をする。つまり、推定位置X,Yで示す位置に最も近い道路上の位置を、マップマッチング位置mX,mYとして出力する。マップマッチング位置mX,mYは、予め設定した一定の周期毎に出力される。
【0015】
課金処理部18は、車両が課金エリアに入った時点で、マップマッチング部16から次々と出力されるマップマッチング位置mX,mYの記録を開始する。そして、車両が課金エリアから出た時点で、マップマッチング位置mX,mYから求めた走行経路を基に走行距離を求めて課金を行い、課金情報を課金センターに情報送信する。
【0016】
なお、図6に示す車載器10の構成は、現在広く普及している車載用のカーナビゲーション装置と基本的に同じ構成であり、実現する機能に共通点はあるが、次の点で異なる。
1) カーナビゲーション装置では、運転者のナビゲーションが目的のため、カーナビゲーション用の車載器は自車位置を地図と重ねてリアルタイムに表示する必要がある。
これに対し、GPS道路課金システムにおける車載器10は、距離・経路を正しく求めることが重要であり、リアルタイムでの表示は求められない。
2) GPS道路課金システムにおける車載器10は、その使用目的から低コスト化が求められるため、保持できるデータ容量もカーナビゲーション装置と比べて少なく限定される。そこで、道路情報(道路に沿う位置情報,経路R,節点J)のみを保持しており、一方、地形、建物、ランドマーク等のナビゲーション用の表示にのみ必要な情報は保持しないことが望ましい。
【0017】
【特許文献1】特開昭61−56910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところで図6に示すマップマッチング部16は、推定位置X,Yに最も近い道路上の位置を選択して、マップマッチング位置mX,mYとして出力するが、推定位置X,Yの算出誤差が大きい場合には、間違った道路(経路R)を選択する可能性がある。
【0019】
例えば、図7に示すように、経路R1の道路と、経路R2の道路があり、車両は実際には経路R1の道路を走行していたものとする。また図7において、三角(△)は推定位置X,Yを示し、黒丸(●)はマップマッチング位置mX,mYを示し、R1,R2は道路を示す経路を示す。更に、推定位置X,Y及びマップマッチング位置mX,mYは、添え数字の多いものほど、時間的に後のデータ(時間的に新しいデータ)であることを表している。
【0020】
図7の場合には、推定位置(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3)は、経路R1に近いので、マップマッチング位置(mX1,mY1),(mX2,mY2),(mX3,mY3)は、車両が実際に走行している道路を示す経路R1上に位置する。
しかし、推定位置(X4,Y4),(X5,Y5)は、経路R1から離れて経路R2に近いので、マップマッチング位置(mX4,mY4),(mX5,mY5)は、経路R2上に位置してしまう。つまり、実際には車両は経路R1で示す道路上を走行しているにもかかわらず、経路R2で示す道路を走行していると誤判断してしまう。
【0021】
このように、車両が実際に走行している経路とは別の経路を走行していると誤判断してしまうと、正しい走行経路を求めることができず、正確な課金ができなくなってしまうという問題がある。このため、間違った道路(経路)の選択を低減し、正しい経路を求める精度を向上させたいという要請がある。
【0022】
なお、カーナビゲーション装置におけるマップマッチング部では、経路判定の性能を向上させる技術として、料金所等を通過した際に、その位置情報を地図上の料金所位置と突き合せて補正したり、あるいは、周囲の建物を認識し、同じく地図情報と突き合わせて補正したりする手法がある。
しかし、このような手法を採用した場合には、料金所位置や、建物、ランドマーク等の情報を記憶部に記憶しておくと共に、リアルタイムで位置を修正するための建物認識や料金所通過情報認識に必要なセンサや処理装置やソフトウエア等が必要となり、システム構成が複雑になり高価な機器となる。
したがって、低価格が要求される、GPS道路課金システム用の車載器には、このようなカーナビゲーション用の位置補正技術を採用することは、現実的ではない。
【0023】
本発明は、上記従来技術に鑑み、システム構成が簡単で安価でありながら、車両が走行する経路を正確に検出することができる、走行経路検出用の車載器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題を解決する本発明の構成は、
GPS衛星から送出された電波を受信することにより位置計測をして位置情報を出力するGPS受信器と、
車両の移動距離を示す移動距離情報を出力する移動距離検出手段と、
車両の進行方向を示す進行方向情報を出力する進行方向検出手段と、
前記GPS受信器により位置計測ができるときには、前記GPS受信器から出力された位置情報が示す位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力すると共に、前記GPS受信器により位置計測ができないときには、前記移動距離情報と前記進行方向情報を基に、車両の移動位置を求めてこの求めた位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力する位置推定部と、
前記推定位置(X,Y)の位置を補正し、この補正した位置を補正位置(cX,cY)として出力する補正部と、
道路に沿う位置情報を情報として有する道路情報が記憶されている記憶部と、
前記補正位置(cX,cY)と前記道路情報とを用いて、補正位置(cX,cY)で示す位置に最も近い道路上の位置をマップマッチング位置(mX,mY)として周期的に出力するマップマッチング部とを有し、
前記補正部は、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)を始点とし、前回の推定位置(X,Y)を補正して得た補正位置(cX,cY)を前記マップマッチング部にて処理して得たマップマッチング位置(mX,mY)を終点とする補正ベクトル(V)を求め、
最新に入力された推定位置(X,Y)で示す位置を、前記補正ベクトル(V)で示す方向と距離だけ移動させた位置を補正位置(cX,cY)として出力する、
ことを特徴とする。
【0025】
また本発明の構成は、
GPS衛星から送出された電波を受信することにより位置計測をして位置情報を出力するGPS受信器と、
車両の移動距離を示す移動距離情報を出力する移動距離検出手段と、
車両の進行方向を示す進行方向情報を出力する進行方向検出手段と、
前記GPS受信器により位置計測ができるときには、前記GPS受信器から出力された位置情報が示す位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力すると共に、前記GPS受信器により位置計測ができないときには、前記移動距離情報と前記進行方向情報を基に、車両の移動位置を求めてこの求めた位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力する位置推定部と、
前記推定位置(X,Y)の位置を補正し、この補正した位置を補正位置(cX,cY)として出力する補正部と、
道路に沿う位置情報を情報として有する道路情報が記憶されている記憶部と、
前記補正位置(cX,cY)と前記道路情報とを用いて、補正位置(cX,cY)で示す位置に最も近い道路上の位置をマップマッチング位置(mX,mY)として周期的に出力するマップマッチング部とを有し、
前記補正部は、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)を始点とし、前回の推定位置(X,Y)を補正して得た補正位置(cX,cY)を前記マップマッチング部にて処理して得たマップマッチング位置(mX,mY)を終点とする補正ベクトル(V)を求め、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)と、前回の推定位置(X,Y)を補正して得た補正位置(cX,cY)を前記マップマッチング部にて処理して得たマップマッチング位置(mX,mY)との間の離間距離(d)が、予め設定した閾値距離(D)よりも大きいか否かを判定すると共に、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)を始点とし最新の推定位置(X,Y)を終点としたときの前記始点から前記終点に向かう方向である推定方向と、前回の推定位置(X,Y)に最も近い道路が伸びる方向とでなす相対角度(θ)が、予め設定した閾値角度(Θ)よりも大きいか否かを判定し、
離間距離(d)が予め設定した閾値距離(D)以上であるか、または、相対角度(θ)が予め設定した閾値角度(Θ)以上である場合には、最新の推定位置(X,Y)で示す位置を補正位置(cX,cY)として出力し、
離間距離(d)が予め設定した閾値距離(D)未満で、且つ、相対角度(θ)が予め設定した閾値角度(Θ)未満である場合には、最新に入力された推定位置(X,Y)で示す位置を、前記補正ベクトル(V)で示す方向と距離だけ移動させた位置を補正位置(cX,cY)として出力する、
ことを特徴とする。
【0026】
また本発明の構成は、
上記構成の車載器において、前記マップマッチング部から出力されるマップマッチング位置(mX,mY)から求めた走行経路を基に走行距離を求めて課金処理を行なう課金処理部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、最新の推定位置が入力されたときに、前回の推定位置を始点としてこの前回の推定位置に対応する前回のマップマッチング位置を終点とする補正ベクトルにより、最新の推定位置を補正して補正位置を求めるようにしている。
このように前回の推定位置,マップマッチング位置を基に求めた補正ベクトルにより、最新の推定位置を補正して補正位置を求めるため、補正位置は誤差が少なくなり、この誤差の少ない補正位置をマップマッチング処理して得たマップマッチング位置は、位置精度が向上する。この結果、走行経路を正確に判定することができる。
【0028】
また、補正をすることにより誤差が却って大きくなる場合には、補正を停止するようにしているため、走行経路を正確に判定することができる。
【0029】
更に、走行経路検出用の車載器の記憶部には、道路情報のみを保持しており、地形、建物、ランドマーク等のナビゲーション用の表示にのみ必要な情報は保持しないようにしているため、データ容量の減少を図り、ハードウエア的にもソフトウエア的にも簡易な構成とすることができ、低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
図1は本発明の実施例1に係る、走行経路検出用の車載器100を示す。
この車載器100は、GPS受信器111と、加速度センサ112と、車速センサ113と、ジャイロ114と、位置推定部115と、マップマッチング部116と、記憶部117と、課金処理部118と、補正部200を有している。
【0032】
GPS受信器111は、GPSアンテナ(図示省略)を介してGPS衛星から送出された電波を受信することにより、位置計測をして、位置情報を出力する。
加速度センサ112は、車両の進行方向に沿う加速度を検出して、加速度信号を出力する。
車速センサ113は、車両の車速を検出して、車速信号を出力する。
方位センサであるジャイロ114は、車両の進行方向を検出して、進行方向信号を出力する。
【0033】
位置推定部115は、GPS受信器111による測位が可能である場合には、このGPS受信器111により計測した位置情報を、推定位置X,Yとして出力する。この推定位置X,Yは、予め設定した一定の周期毎に出力される。
【0034】
一方、GPS受信器111による測位が不可能な状態となった場合には、位置推定部115は、加速度信号または速度信号、及び、進行方向信号を基に位置を求めて、その求めた位置を、推定位置X,Yとして出力する。
つまり、加速度センサ112及び速度センサ113を距離センサとして機能させるため、加速度信号を2回積分して得た距離情報、または、速度信号を1回積分して得た距離情報と、進行方向信号から得た進行方向信号を基に、移動距離と進行方向を算出している。更に、GPS受信器111により測位ができなくなった時点の直前の時点における位置を起点とした相対移動位置を求め、その位置を推定位置X,Yとして出力する。この推定位置X,Yは、予め設定した一定の周期毎に出力される。
【0035】
補正部200は、推定位置X,Yを補正して補正位置cX,cYを出力する。この補正位置cX,cYは、予め設定した一定の周期毎に出力される。
この補正部200による補正処理の詳細は後述するが、この補正をすることにより、推定位置X,Yに誤差が含まれていたとしても、位置補正することにより正確に経路判定ができるようにしている。
【0036】
記憶部117には、地図データが記憶されている。この地図データとしては道路情報Sのみが記憶されており、建物や料金所等の情報は含まれていない。
道路情報Sとしては、各道路に沿う位置情報の他に、各道路(リンク)を区別するために各道路ごとに設定した経路R(R1,R2,R3・・・Rn)や、交差点や分岐点や曲がり角といった節点(ノード)を区別するために各節点ごとに設定した節点J(J1,J2,J3・・・Jn)が記憶されている。
【0037】
つまり、GPS道路課金システムに適用する走行経路検出用の車載器100は、その使用目的から低コスト化が求められるため、保持できるデータ容量はカーナビゲーション装置と比べて少なく限定されていることに鑑み、道路情報(道路に沿う位置情報,経路R,節点J)のみを保持しており、地形、建物、ランドマーク等のナビゲーション用の表示にのみ必要な情報は保持しないようにしている。これによりデータ容量の減少を図り、ハードウエア的にもソフトウエア的にも簡易な構成となっている。
【0038】
マップマッチング部116は、補正位置cX,cYと、記憶部117に記憶した道路情報Sとを用いて、マップマッチング処理をする。つまり、補正位置cX,cYで示す位置に最も近い道路上の位置を、マップマッチング位置mX,mYとして出力する。マップマッチング位置mX,mYは、予め設定した一定の周期毎に出力される。
【0039】
課金処理部118は、車両が課金エリアに入った時点で、マップマッチング部116から周期的に次々と出力されるマップマッチング位置mX,mYの記録を開始する。そして、車両が課金エリアから出た時点で、マップマッチング位置mX,mYから求めた走行経路を基に走行距離を求めて課金処理を行い(走行距離に応じた料金の計算を行い)、課金情報(計算した料金)を課金センターに情報送信する。
【0040】
ここで補正部200における機能部分の構成と補正処理動作を、機能ブロック図である図2、及び、具体的処理状態を示す図3,図4を参照しつつ説明する。
なお、図2を基に各機能部の機能を先に説明し、その後に、図3,図4を基に推定位置に対して補正する具体的な例を説明する。
【0041】
補正部200は、メモリ201と、補正要否判定機能部202と、補正ベクトル算出機能部203と、補正処理機能部204を有している。
各機能部202,203,204は、ソフトウエアにより演算・判定をする機能部分であるが、図2ではこれらをブロック図的に示している。
【0042】
位置推定部115から出力された推定位置X,Yは、メモリ201と、補正要否判定機能部202と、補正ベクトル算出機能部203と、補正処理機能部204に入力される。
記憶部117に記憶されている道路情報Sは、補正要否判定機能部203に入力される。
マップマッチング部116から出力されるマップマッチング位置mX,mYは、補正要否判定機能部202と補正ベクトル算出機能部203に入力される。
【0043】
位置推定部115から周期的に出力される推定位置X、Yは、メモリ201に入力されて取り込まれる。
なお、メモリ201は、予め決めたメモリ容量を有しており、このメモリ容量を越えた推定位置X,Yのデータが新たに入力されてくると、最も古い推定位置X,Yのデータが消去されて、新たに入力されてくる最新の推定位置X,Yのデータを記憶するようになっている。
本例では、メモリ201は、最新の推定位置X,Yと、この最新の推定位置X,Yに対して時間的に古い前回の推定位置X,Yを、少なくとも記憶できるようにしている。
【0044】
補正要否判定機能部202は、最新の推定位置X,Yが入力されると、メモリ201から、前回の推定位置X,Yを取り込む。
また、前回の推定位置X,Yを補正して得た補正位置cX,cYをマップマッチング部116にてマップマッチング処理して得たマップマッチング位置mX,mY(前回の推定位置X,Yに対応したマップマッチング位置mX,mY)を取り込むと共に、記憶部117から道路情報Sを取り込む。
【0045】
補正要否判定機能部202は、まず、次の2つの判定(1),(2)をする。
(1)前回の推定位置X,Yと、前回の推定位置X,Yに対応したマップマッチング位置mX,mYとの間の離間距離dが、予め設定した閾値距離Dよりも大きいか否かを判定する。
(2)前回の推定位置X,Yを始点とし最新の推定位置X,Yを終点としたときの前記始点から前記終点に向かう方向である推定方向と、前回の推定位置X,Yに最も近い道路が伸びる方向とでなす相対角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きいか否かを判定する。
なお「道路が伸びる方向」は、道路情報Sから判定する。
【0046】
そして、補正要否判定機能部202は、
(a)上記の(1)または(2)の何れかの判定が成立したとき、つまり、離間距離dが予め設定した閾値距離D以上であるか、または、相対角度θが予め設定した閾値角度Θ以上である場合には、補正が不要であると判定する。
(b)また、上記の(1)及び(2)が共に成立したとき、つまり、離間距離dが予め設定した閾値距離D未満で、且つ、相対角度θが予め設定した閾値角度Θ未満である場合には、補正が必要であると判定する。
【0047】
補正ベクトル算出機能部203は、最新の推定位置X,Yが入力されると、メモリ201から、前回の推定位置X,Yを取り込む。
また、前回の推定位置X,Yを補正して得た補正位置cX,cYをマップマッチング部116にてマップマッチング処理して得たマップマッチング位置mX,mY(前回の推定位置X,Yに対応したマップマッチング位置mX,mY)を取り込む
【0048】
そして、補正ベクトル算出機能部203は、補正要否判定機能部202が補正が必要であると判断したときには、前回の推定位置X,Yを始点とし、前回の推定位置X,Yに対応したマップマッチング位置mX,mYを終点とする補正ベクトルVを演算する。
【0049】
補正処理機能部204は、最新の推定位置X,Yが入力されると、次のような処理をする。
(イ)補正要否判定機能部202にて、補正が不要であると判定したときには、最新の推定位置X,Yで示す位置を、そのまま補正位置cX,cYとして出力する。
(ロ)補正要否判定機能部202にて、補正が必要であると判定したときには、最新の推定位置X,Yで示す位置を、補正ベクトル算出機能部203にて算出した補正ベクトルVにより補正する。具体的には、最新の推定位置X,Yで示す位置を、補正ベクトルVで示す方向と距離だけ移動させた位置を補正位置cX,cYとして出力する、
【0050】
次に、推定位置X,Yに応じて、補正部200にて補正する具体的な例を、図3及び図4を参照して説明する。
図3,図4の例では、経路R1の道路と、経路R2の道路があり、図3の例では車両は実際には経路R1の道路を走行していたものとし、図4の例では車両は実際には経路R2の道路を走行していたものとする。
また図3,図4において、三角(△)は推定位置X,Yを示し、黒丸(●)はマップマッチング位置mX,mYを示し、四角(□)は補正位置cX,cYを示す。
更に、推定位置X,Y,マップマッチング位置mX,mY及び補正位置cX,cYは、添え数字の多いものほど、時間的に後のデータ(時間的に新しいデータ)であることを表している。
【0051】
なお補正動作は最新の推定位置X,Yが補正部200に入力される毎に、予め決まった手順に沿う補正処理を繰り返すため、以下の説明では、推定位置X3,Y3が補正部200に入力された時点以降の動作を、説明する。
【0052】
図3の例について説明する。
推定位置X3,Y3が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0053】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X2,Y2とマップマッチング位置mX2,mY2との間の離間距離d2が、予め設定した閾値距離Dよりも大きくなく、
(2)推定位置X2,Y2を始点とし推定位置X3,Y3を終点とする推定方向と、推定位置X2,Y2に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きくないこと、
を判定し、この判定結果から補正が必要であると判定する。
【0054】
補正ベクトル算出機能部203は、推定位置X2,Y2を始点としマップマッチング位置mX2,mY2を終点とする補正ベクトルV2を演算する。
【0055】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が必要であると判定されたので、推定位置X3,Y3を補正ベクトルV2により補正する。即ち、推定位置X3,Y3で示す位置を、補正ベクトルV2で示す方向と距離だけ移動させた位置を、補正位置cX3,cY3として出力する。
【0056】
この補正位置cX3,cY3は経路R1に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX3,mY3は経路R1上に位置する。この結果、推定位置X3,Y3の位置精度が悪くても、その位置をより精度の高い補正位置cX3,cY3に位置補正することにより、マップマッチング位置mX3,mY3の位置精度を向上させることができるのである。
【0057】
推定位置X4,Y4が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0058】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X3,Y3とマップマッチング位置mX3,mY3との間の離間距離d3が、予め設定した閾値距離Dよりも大きくなく、
(2)推定位置X3,Y3を始点とし推定位置X4,Y4を終点とする推定方向と、推定位置X3,Y3に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きくないこと、
を判定し、この判定結果から補正が必要であると判定する。
【0059】
補正ベクトル算出機能部203は、推定位置X3,Y3を始点としマップマッチング位置mX3,mY3を終点とする補正ベクトルV3を演算する。
【0060】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が必要であると判定されたので、推定位置X4,Y4を補正ベクトルV3により補正する。即ち、推定位置X4,Y4で示す位置を、補正ベクトルV3で示す方向と距離だけ移動させた位置を、補正位置cX4,cY4として出力する。
【0061】
この補正位置cX4,cY4は経路R1に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX4,mY4は経路R1上に位置する。この結果、推定位置X4,Y4の位置精度が悪くても、その位置をより精度の高い補正位置cX4,cY4に位置補正することにより、マップマッチング位置mX4,mY4の位置精度を向上させることができるのである。
【0062】
推定位置X5,Y5が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0063】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X4,Y4とマップマッチング位置mX4,mY4との間の離間距離d4が、予め設定した閾値距離Dよりも大きくなく、
(2)推定位置X4,Y4を始点とし推定位置X5,Y5を終点とする推定方向と、推定位置X4,Y4に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きくないこと、
を判定し、この判定結果から補正が必要であると判定する。
【0064】
補正ベクトル算出機能部203は、推定位置X4,Y4を始点としマップマッチング位置mX4,mY4を終点とする補正ベクトルV4を演算する。
【0065】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が必要であると判定されたので、推定位置X5,Y5を補正ベクトルV4により補正する。即ち、推定位置X5,Y5で示す位置を、補正ベクトルV4で示す方向と距離だけ移動させた位置を、補正位置cX5,cY5として出力する。
【0066】
この補正位置cX5,cY5は経路R1に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX5,mY5は経路R1上に位置する。この結果、推定位置X5,Y5の位置精度が悪くても、その位置をより精度の高い補正位置cX5,cY5に位置補正することにより、マップマッチング位置mX5,mY5の位置精度を向上させることができるのである。
【0067】
推定位置X6,Y6が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0068】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X5,Y5とマップマッチング位置mX5,mY5との間の離間距離d4が、予め設定した閾値距離Dよりも大きくなく、
(2)推定位置X5,Y5を始点とし推定位置X6,Y6を終点とする推定方向と、推定位置X5,Y5に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きくないこと、
を判定し、この判定結果から補正が必要であると判定する。
【0069】
補正ベクトル算出機能部203は、推定位置X5,Y5を始点としマップマッチング位置mX5,mY5を終点とする補正ベクトルV5を演算する。
【0070】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が必要であると判定されたので、推定位置X6,Y6を補正ベクトルV5により補正する。即ち、推定位置X6,Y6で示す位置を、補正ベクトルV5で示す方向と距離だけ移動させた位置を、補正位置cX6,cY6として出力する。
【0071】
この補正位置cX6,cY6は経路R1に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX6,mY6は経路R1上に位置する。この結果、推定位置X6,Y6の位置精度が悪くても、その位置をより精度の高い補正位置cX6,cY6に位置補正することにより、マップマッチング位置mX6,mY6の位置精度を向上させることができるのである。
【0072】
結局、図3の例では、車両は経路R1を走行しているにもかかわらず、誤差により推定位置X,Yが時間の経過に沿い経路R1から離れていっても、位置補正した補正位置cX,cYは経路R1の近くになるので、補正位置cX,cYをマップマッチング処理したマップマッチング位置mX,mYは正確に経路R1上に位置することができ、正確に経路判定をすることができる。
【0073】
次に、図4の例について説明する。
推定位置X3,Y3が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0074】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X2,Y2とマップマッチング位置mX2,mY2との間の離間距離d2が、予め設定した閾値距離Dよりも大きくなく、
(2)推定位置X2,Y2を始点とし推定位置X3,Y3を終点とする推定方向と、推定位置X2,Y2に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きくないこと、
を判定し、この判定結果から補正が必要であると判定する。
【0075】
補正ベクトル算出機能部203は、推定位置X2,Y2を始点としマップマッチング位置mX2,mY2を終点とする補正ベクトルV2を演算する。
【0076】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が必要であると判定されたので、推定位置X3,Y3を補正ベクトルV2により補正する。即ち、推定位置X3,Y3で示す位置を、補正ベクトルV2で示す方向と距離だけ移動させた位置を、補正位置cX3,cY3として出力する。
【0077】
この補正位置cX3,cY3は経路R1に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX3,mY3は経路R1上に位置する。
【0078】
推定位置X4,Y4が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0079】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X3,Y3とマップマッチング位置mX3,mY3との間の離間距離d3が、予め設定した閾値距離Dよりも大きくなく、
(2)推定位置X3,Y3を始点とし推定位置X4,Y4を終点とする推定方向と、推定位置X3,Y3に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きくないこと、
を判定し、この判定結果から補正が必要であると判定する。
【0080】
補正ベクトル算出機能部203は、推定位置X3,Y3を始点としマップマッチング位置mX3,mY3を終点とする補正ベクトルV3を演算する。
【0081】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が必要であると判定されたので、推定位置X4,Y4を補正ベクトルV3により補正する。即ち、推定位置X4,Y4で示す位置を、補正ベクトルV3で示す方向と距離だけ移動させた位置を、補正位置cX4,cY4として出力する。
【0082】
この補正位置cX4,cY4は経路R1に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX4,mY4は経路R1上に位置する。
【0083】
推定位置X5,Y5が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0084】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X4,Y4とマップマッチング位置mX4,mY4との間の離間距離d4が、予め設定した閾値距離Dよりも大きく、
(2)推定位置X4,Y4を始点とし推定位置X5,Y5を終点とする推定方向と、推定位置X4,Y4に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きいこと、
を判定し、この判定結果から補正が不必要であると判定する。
【0085】
補正ベクトル算出機能部203は、補正要否判定機能部202が補正不要であると判定したため、補正ベクトルの演算はしない。
【0086】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が不必要であると判定されたので、推定位置X5,Y5で示す位置を、補正位置cX5,cY5として出力する。
【0087】
この補正位置cX5,cY5は経路R1ではなく経路R2に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX5,mY5は経路R2上に位置する。
【0088】
推定位置X6,Y6が補正部200に入力されたときの、補正部200の動作は次の通りである。
【0089】
補正要否判定機能部202は、
(1)推定位置X5,Y5とマップマッチング位置mX5,mY5との間の離間距離d4が、予め設定した閾値距離Dよりも大きく、
(2)推定位置X5,Y5を始点とし推定位置X6,Y6を終点とする推定方向と、推定位置X5,Y5に最も近い経路(道路)R1の伸びる方向とでなす角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きいこと、
を判定し、この判定結果から補正が不必要であると判定する。
【0090】
補正ベクトル算出機能部203は、補正要否判定機能部202が補正不要であると判定したため、補正ベクトルの演算はしない。
【0091】
補正処理機能部204は、補正要否判定機能部202により補正が不必要であると判定されたので、推定位置X6,Y6で示す位置を、補正位置cX6,cY6として出力する。
【0092】
この補正位置cX6,cY6は経路R2に近くなるため、マップマッチング部116によりマップマッチング処理したマップマッチング位置mX6,mY6は経路R2上に位置する。
【0093】
結局、図4の例では、車両は経路R2を走行しているにもかかわらず、当初は演算誤差等により推定位置(X1,Y1)(X2,Y2)(X3,Y3)が経路R1に近いため、これを補正した補正位置(cX1,cY1)(cX2,cY2)(cX3,cY3)が出力されて、マップマッチング位置(mX1,mY1)(mX2,mY2)(mX3,mY3)は経路R1上に位置してしまう。
しかし、時間の経過と共に演算誤差が少なくなって推定位置(X5,Y5)(X6,Y6)が、経路R1から離れて車両が実際に走行している経路R2に近づいてきた場合には、補正演算をしないようにしている。
【0094】
これにより推定位置X,Yの演算誤差が、当初は大きくて間違った経路(R1)を選択していたとしても、時間の経過と共に推定位置X,Yの演算誤差が小さくなっていった場合には、補正処理を停止することにより、車両が走行している経路(R2)上にマップマッチング位置を正確に合わせることができ、経路判定の精度を向上させることができる。
【0095】
なお図4の例では、推定位置(X5,Y5),(X6,Y6)が補正部200に入力されたときに、
補正要否判定機能部202により、
(1)離間距離d4,d5が、予め設定した閾値距離Dよりも大きく、
(2)角度θが、予め設定した閾値角度Θよりも大きい、
という2つの判定がされて、この判定結果から補正が不必要であると判定しているが、
上記の(1)または(2)の何れか一方が判定されたときに、補正が不要であると判定すれば充分である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施例に係る、走行経路検出用の車載器を示す構成図である。
【図2】実施例の車載器に用いる補正部を示すブロック図である。
【図3】補正部における具体的な補正動作を示す説明図である。
【図4】補正部における具体的な補正動作を示す説明図である。
【図5】GPS道路課金システムを示す説明図である。
【図6】従来技術に係る、走行経路検出用の車載器を示す構成図である。
【図7】従来技術におけるマップマッチング手法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0097】
100 車載器
111 GPS受信器
112 加速度センサ
113 車速センサ
114 ジャイロ
115 位置推定部
116 マップマッチング部
117 記憶部
118 課金処理部
200 補正部
201 メモリ
202 補正要否判定機能部
203 補正ベクトル算出機能部
204 補正処理機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星から送出された電波を受信することにより位置計測をして位置情報を出力するGPS受信器と、
車両の移動距離を示す移動距離情報を出力する移動距離検出手段と、
車両の進行方向を示す進行方向情報を出力する進行方向検出手段と、
前記GPS受信器により位置計測ができるときには、前記GPS受信器から出力された位置情報が示す位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力すると共に、前記GPS受信器により位置計測ができないときには、前記移動距離情報と前記進行方向情報を基に、車両の移動位置を求めてこの求めた位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力する位置推定部と、
前記推定位置(X,Y)の位置を補正し、この補正した位置を補正位置(cX,cY)として出力する補正部と、
道路に沿う位置情報を情報として有する道路情報が記憶されている記憶部と、
前記補正位置(cX,cY)と前記道路情報とを用いて、補正位置(cX,cY)で示す位置に最も近い道路上の位置をマップマッチング位置(mX,mY)として周期的に出力するマップマッチング部とを有し、
前記補正部は、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)を始点とし、前回の推定位置(X,Y)を補正して得た補正位置(cX,cY)を前記マップマッチング部にて処理して得たマップマッチング位置(mX,mY)を終点とする補正ベクトル(V)を求め、
最新に入力された推定位置(X,Y)で示す位置を、前記補正ベクトル(V)で示す方向と距離だけ移動させた位置を補正位置(cX,cY)として出力する、
ことを特徴とする走行経路検出用の車載器。
【請求項2】
GPS衛星から送出された電波を受信することにより位置計測をして位置情報を出力するGPS受信器と、
車両の移動距離を示す移動距離情報を出力する移動距離検出手段と、
車両の進行方向を示す進行方向情報を出力する進行方向検出手段と、
前記GPS受信器により位置計測ができるときには、前記GPS受信器から出力された位置情報が示す位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力すると共に、前記GPS受信器により位置計測ができないときには、前記移動距離情報と前記進行方向情報を基に、車両の移動位置を求めてこの求めた位置を推定位置(X,Y)として周期的に出力する位置推定部と、
前記推定位置(X,Y)の位置を補正し、この補正した位置を補正位置(cX,cY)として出力する補正部と、
道路に沿う位置情報を情報として有する道路情報が記憶されている記憶部と、
前記補正位置(cX,cY)と前記道路情報とを用いて、補正位置(cX,cY)で示す位置に最も近い道路上の位置をマップマッチング位置(mX,mY)として周期的に出力するマップマッチング部とを有し、
前記補正部は、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)を始点とし、前回の推定位置(X,Y)を補正して得た補正位置(cX,cY)を前記マップマッチング部にて処理して得たマップマッチング位置(mX,mY)を終点とする補正ベクトル(V)を求め、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)と、前回の推定位置(X,Y)を補正して得た補正位置(cX,cY)を前記マップマッチング部にて処理して得たマップマッチング位置(mX,mY)との間の離間距離(d)が、予め設定した閾値距離(D)よりも大きいか否かを判定すると共に、
最新の推定位置(X,Y)に対して時間的に古い前回の推定位置(X,Y)を始点とし最新の推定位置(X,Y)を終点としたときの前記始点から前記終点に向かう方向である推定方向と、前回の推定位置(X,Y)に最も近い道路が伸びる方向とでなす相対角度(θ)が、予め設定した閾値角度(Θ)よりも大きいか否かを判定し、
離間距離(d)が予め設定した閾値距離(D)以上であるか、または、相対角度(θ)が予め設定した閾値角度(Θ)以上である場合には、最新の推定位置(X,Y)で示す位置を補正位置(cX,cY)として出力し、
離間距離(d)が予め設定した閾値距離(D)未満で、且つ、相対角度(θ)が予め設定した閾値角度(Θ)未満である場合には、最新に入力された推定位置(X,Y)で示す位置を、前記補正ベクトル(V)で示す方向と距離だけ移動させた位置を補正位置(cX,cY)として出力する、
ことを特徴とする走行経路検出用の車載器。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記マップマッチング部から出力されるマップマッチング位置(mX,mY)から求めた走行経路を基に走行距離を求めて課金処理を行なう課金処理部を有することを特徴とする走行経路検出用の車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−115587(P2009−115587A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288413(P2007−288413)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】