説明

超音波治療装置

【課題】 核医学診断装置とX線CT装置等とを組み合わせて、機能画像と形態画像とを作成し、患部(腫瘍)の状態をその場で判断することが可能な超音波治療装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 被検体から放出されたγ線は、放射線検出器21B〜21Dによって検出される。超音波治療装置4によって遮蔽された領域Aには配置されている放射線検出器21Aは音響媒体42によってγ線が減衰されるため、γ線を検出しない。核医学診断装置2がPET装置の場合、放射線検出器21B〜21Dによって検出されたγ線の検出信号は、同時計数法によって処理された後、再構成処理される。核医学診断装置2がSPECT装置の場合は、同時計数法なしにそのまま再構成処理される。これらの信号を再構成することによって機能画像データを生成し、X線CT装置によって生成された形態画像と合成して表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体に対して集束強力超音波を照射することによって治療を行う超音波治療装置に関する。特に、陽電子放出型CT装置又は単光子放出型CT装置と呼ばれる、被検体の機能画像の生成が可能な核医学診断装置と、X線CT装置、MRI装置、又は超音波診断装置と呼ばれる、被検体の形態画像の生成が可能な撮像装置とを備えた超音波治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、臨床診断には形態的診断と機能的診断とがある。臨床診断において重要なことは、疾病によってその組織や臓器が正常に機能しているか否かである。多くの疾病では、機能の異常が進行していくと組織の解剖学的な形態変化が生じる。X線診断装置やX線CT装置はこの形態的診断の機器である。
【0003】
これに対して、放射性同位体(以下、RIと省略する)、又はその標識化合物が生体内の特定の組織や臓器に選択的に取り込まれる性質を利用し、そのRIから放射されるγ線を体外から測定し、RIの線量分布を画像化して診断する方法があり、核医学診断法と呼ばれている。
【0004】
核医学診断法は、特定の組織や臓器に標識物質が集積されるという原理そのものが、組織や臓器の生理学的な機能及び生化学的物質代謝機能と結び付いているため、形態学的診断のみならず、病変の初期段階の機能診断が可能である。この核医学診断装置には、陽電子放出型CT装置(Positron Emission Computed Tomograpy:以下、PET装置と称する)、又は、単光子放出型CT装置(Single Photon Emission Computed Tomograpy:以下、SPECT装置と称する)がある。
【0005】
X線CT装置、PET装置、及びSPECT装置等の放射線を利用した装置は、人体から放出された放射線の積分値(飛翔方向)の物理量を計測し、その積分値を逆投影することにより人体内の各ボクセルの物理量を計算し、画像化するものである。
【0006】
X線CT装置は、被検体を通過したX線強度を測定し、X線ビームの体内通過率から被検体の形態情報を画像化する装置である。X線源からX線ビームを被検体に照射し、体内を通過したX線強度を被検体の反対側に配置したX線検出器により測定し、被検体の積分吸収係数を算出する。X線源及びX線検出器を、被検体の周囲を旋回させて透過したX線ビームを測定し、体内における積分級数係数の分布を求める。この積分吸収係数からフィルタードバックプロジェクション法(Filtered Back Projection Method)等を用いて各ボクセルの吸収係数を求め、その値をCT値に変換する。
【0007】
PET装置は、陽電子放出核種(15O、13N、11C、18F等)、及び体内の特定の細胞に集まる性質を有する物質を含む放射性薬剤を被検体に投与し、その分布を計測して画像化する装置である。放射性薬剤には、フルオロデオキシグルコース(2−[F−18]fluoro−2−deoxy−D−glucose、18FDG)等があり、これは糖代謝により腫瘍組織に高集積することを利用し、腫瘍部位の特定に使用される。体内に取り込まれた放射線核種が崩壊し、ポジトロン(β+)を放出する。放出したポジトロンは電子と結合し、消滅する際に511keVのエネルギーを持つ一対の消滅γ線(ポジトロン消滅線)を放出する。このγ線対は、互いにほぼ正反対の方向(180°±0.6°)に放射されるので、この一対の消滅γ線を放射線検出器で検知すれば、どの2つの放射線検出器の間でポジトロンが放出されたかがわかる。このように、被検体の周りを取り囲むように配置した放射線検出器で消滅γ線対を同時検出し、その放射方向データを蓄積して投影データを得ることができる。例えば、18FDGは糖代謝の激しい癌細胞に集まるため、PET装置により癌病巣を発見することができる。同時計測された検出器の位置関係とその信号強度情報とから放射位置(放射線核種の集積位置)を同定し、画像化することが可能となる。
【0008】
SPECT装置は、単光子放出核種を含む放射線薬剤を被検体に投与し、核種から放出されるγ線を放射線検出器で検出し、その分布を計測して画像化する装置である。SPECT装置による検査時に用いられる単光子放出核種から放出されるγ線のエネルギーは数100keVである。このγ線は単一γ線であるため、その飛翔方向を同定することができない。そこで、SPECT装置では、放射線検出器の前面に鉛等からなるコリメータを挿入し、特定の方向からのγ線のみを検出することにより投影データを得ている。SPECT装置は、特定の腫瘍や分子に集積する性質を有する物質、及び単光子放出核種(99Tc、67Ga、201Ti等)を含む放射性薬剤を被検体に投与し、その放射性薬剤から発生するγ線を検知して放射性薬剤が分布する場所(例えば、癌細胞が存在する場所)を特定するものである。PET装置同様、フィルタードバックプロジェクション法等を利用して投影データを逆投影して画像データを得る。PET装置との違いは、コリメータを利用して単一γ線の発生位置を特定できることで、同時計数法が不要という点にある。
【0009】
PET装置及びSPECT装置は、体内代謝を利用して機能画像を得るために、放射性薬剤が集積した部位をコントラスト良く抽出できるが、周辺臓器との位置関係を把握できない問題がある。そこで、近年、X線CT装置によって得られた断層像である形態画像と、PET装置又はSPECT装置によって得られた断層像である機能画像とを合成してより高度な診断を行う技術が注目され、利用され始めている。
【0010】
形態画像と機能画像とが合成された画像(合成断層像と称する)は、腫瘍が正常か否かという判別情報と3次元的な位置情報とを含んでいるため、確定診断に近い情報がその場で得られる特徴がある。
【0011】
一方、集束強力超音波(High Intensity Focused Ultrasound:HIFU)を生体組織に照射すると、超音波エネルギー密度が高くなった部分が発熱して熱凝固する。この現象を利用して腫瘍組織を焼灼し、壊死させることで癌治療を行う超音波治療装置の開発もされている。
【0012】
従来から提案されてきた超音波治療装置の構成は患部をモニタリングする装置によって以下の2つに大別され、それ以外の診断装置との組み合わせは存在しなかった。
【0013】
1つ目の組み合わせとして、超音波診断装置と超音波治療装置との組み合わせが存在する。超音波診断装置用のプローブを超音波治療装置用の超音波アプリケータの内部に取り付け、主に、Bモードで診断する。集束強力超音波を生体組織に照射すると生体組織が発熱し、焼灼が進むと患部が沸騰状態に近くなるため、キャビテーション(微小気泡)が発生し、いわゆる「ハイエコー」として検出される。このハイエコーを確認することで焼灼が完了したと推定していた。
【0014】
また、2つ目の組み合わせとして、磁気共鳴画像診断装置(MRI装置)と超音波治療装置との組み合わせが存在する。MRI装置を用いた場合、MRI信号の縦暖和時間等が温度で変化することから、その画像値が変化することを利用してモニタリングする方法や、MRI画像の位相が温度の影響を受けて変化することを利用してモニタリングする方法等が提案されている。MRI装置によってタンパク質変性が発生する70℃以上を観測し、70℃以上で全ての細胞が熱変性壊死したと仮定することで、70℃以上を観測した段階で焼灼できたと推定していた。
【0015】
装置の可搬性も考慮すると、診断装置が小型である必要があるため、集束強力超音波の強度が異なるが、同じ超音波を利用することから超音波診断装置と組み合わせる構成が考え出された。しかしながら、超音波画像では「温度計測」(温度によって生体組織内の音速が変化することを応用した測定方法)が実用化に至らなかったという経験から、患部の焼灼による温度の上昇の測定に適していないという考え方もある。
【0016】
一方、MRI装置では、MRI画像の各画素における位相情報の温度依存性が生体組織の組成にほとんど依存しないという事実を応用して正確な温度計測が可能であることから、MRI装置と組み合わせる構成が考え出された。
【0017】
また、超音波治療装置用の超音波アプリケータに2個以上の放射線検出器(ガンマプローブ)を組み合わせた超音波治療装置が知られている(特許文献1)。この超音波治療装置は、18FDG等が集積した腫瘍の位置をガンマプローブによる検出を手掛かりにして特定し、集束強力超音波で焼灼するものである。
【0018】
【特許文献1】特開2003−235863(段落[0013]、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
超音波診断装置もMRI装置も患部の組織を反映した画像を生成することが可能である。しかしながら、生理機能(ほとんどの場合、腫瘍は代謝機能の亢進があり、18FDGが集積する)を反映していないため、腫瘍が悪性か良性かの判断をその場で簡単に識別することができなかった。通常、超音波診断装置やMRI装置による診断の直後に焼灼治療を行うためには、別の診断手法、具体的には確定診断(バイオプシーと組織検査等)によって確認しておく必要があった。
【0020】
PET装置とX線CT装置とを組み合わせた装置(以下、PET/CT装置と称する)、やSPECT装置とX線CT装置とを組み合わせた装置(以下、SPECT/CT装置と称する)によって得られる結合断層像は、機能画像と形態画像(腫瘍とトランスデューサの位置関係の情報を含む)とを含むため、確定診断に近い判断をその場で行うことが可能であるが、超音波治療装置と組み合わせた装置は提案されてこなかった。
【0021】
超音波治療装置用の超音波アプリケータは、圧電セラミックス(超音波振動子)、電極、及び生体組織に超音波エネルギーを伝播させるための音響媒体(ほとんどの場合、脱気された滅菌水、生理食塩水等)で構成されている。PET/CT装置やSPECT/CT装置に超音波治療装置を組み合わせる場合、患部と放射線検出器との間にこの超音波アプリケータを配置する必要がある。そのため、超音波アプリケータの音響媒体によってγ線が大きく減衰され、PET装置で行われる「同時計数法」ができない死角が一部の撮影領域で発生するという問題が生じる。このような問題があるため、従来においては、PET/CT装置又はSPECT装置/CT装置と超音波治療装置とを組み合わせた装置の提案がなされていなかった。
【0022】
また、特許文献1に記載の超音波治療装置においては、腫瘍の形状が球に近い単純な場合には有効な装置であるが、複雑な形状の場合は腫瘍の全体像を把握できないため、焼灼すべき部位の確認が困難になるという問題がある。
【0023】
この発明は上記の問題を解決するものであり、PET装置又はSPECT装置からなる核医学診断装置とX線CT装置等からなる撮像装置とを組み合わせて、機能画像及び形態画像を生成することにより、腫瘍が悪性か良性かの判断をその場で簡単に識別することが可能な超音波治療装置を提供することを目的とする。
【0024】
また、超音波治療装置に備えられている超音波アプリケータの位置を考慮して放射線を検出することにより、超音波治療装置と核医学診断装置とを組み合わせても機能画像の生成が可能な超音波治療装置を提供することを目的とする。
【0025】
さらに、核医学診断装置によって生成された機能画像の画素値(輝度や濃淡度等)から判断して焼灼完了の判断が容易な超音波治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
請求項1に記載の発明は、被検体に対してX線若しくは超音波を照射し、又は傾斜磁場と高周波磁場とを印加することによって第1の断層像を生成する撮像装置と、前記被検体を取り囲んで複数の放射線検出器が設置され、前記被検体に投与された放射線薬剤から放射される放射線を前記複数の放射線検出器で検出することで前記被検体の第2の断層像を生成する核医学診断装置と、前記第1の断層像と前記第2の断層像とを合成した合成断層像を表示する表示装置と、前記複数の放射線検出器によって取り囲まれた領域内に設置され、前記被検体との間に音響媒体を有し、前記被検体の患部に集束超音波を照射する超音波アプリケータと、を有することを特徴とする超音波治療装置である。
【0027】
この発明において、撮像装置は例えば、X線CT装置、MRI装置、又は超音波診断装置のいずれかに相当する。X線CT装置は、被検体を挟んでX線源とX線検出器とを有し、X線源から照射されて被検体を透過するX線をX線検出器によって検出することで被検体のX線CT像(第1の断層像)を生成するものである。MRI装置は、被検体に対して複数の傾斜磁場と高周波磁場とを印加し、その結果得られた核磁気共鳴信号の投影データに基づいて核磁気共鳴画像(第1の断層像)を生成するものである。超音波診断装置は、超音波アプリケータに設置された超音波プローブによって被検体に対して超音波を照射し、被検体からの反射波を受信することによって超音波診断像(第1の断層像)を生成するものである。撮像装置で生成された第1の断層像は被検体の形態画像に相当する。
【0028】
また、核医学診断装置は、陽電子放出型CT装置であるPET装置又は単光子放出型CT装置であるSPECT装置に相当し、核医学診断装置で生成された第2の断層像は被検体の機能画像に相当する。
【0029】
この発明のように、形態画像に相当する第1の断層像と機能画像に相当する第2の断層像とを合成して表示することで、超音波アプリケータによって集束超音波を照射するべき患部(腫瘍)の状態をその場で判断することが可能となる。
【0030】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波治療装置であって、前記放射線検出器は、前記超音波アプリケータを取り囲むように全周にわたって配置され、前記超音波アプリケータで遮蔽された領域以外の領域に配置された検出器によって放射線を検出することを特徴とするものである。
【0031】
音響媒体によって放射線が減衰させられるため、音響媒体に遮蔽されている部分に設置されている放射線検出器は、放射線を検出することはない。従って、それ以外の部分に配置された放射線検出器によって放射線を検出し、機能画像を生成する。例えば、超音波アプリケータと線源との位置関係によって検出されなかった放射線は発生しなかったものと見なし、それ以外の放射線を検出する。PET装置の場合は、同時計数法で位置を計測し、SPECT装置の場合は、コリメータで位置を計測する。このように放射線を検出することによって、超音波アプリケータを核医学診断装置の撮影領域内に設置した場合であっても、多少の死角(放射線が検出されない領域)が生じる可能性はあるが、患部(腫瘍)の画像化が可能となる。これを応用することによって、核医学診断装置で撮影しながら超音波アプリケータで超音波を照射して焼灼治療を行うことが可能となるため、焼灼の状況を核医学診断装置で観察しながら焼灼治療を行うことが可能となる。SPECT装置はPET装置よりも死角が減るというメリットがある。
【0032】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波治療装置であって、前記超音波アプリケータは前記放射線検出器によって取り囲まれた領域から出し入れ自由に設置され、前記核医学診断装置の放射線検出器によって放射線を検出する際には、前記超音波アプリケータは前記放射線検出装置によって取り囲まれた領域の外側に移動させられることを特徴とするものである。
【0033】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波治療装置であって、溝部が形成された、被検体を乗せる寝台を更に有し、前記放射線検出器は前記寝台を取り囲んで設置され、前記音響媒体は前記溝部に充填され、前記超音波アプリケータは前記音響媒体内に設置されていることを特徴とするものである。
【0034】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の超音波治療装置であって、前記寝台に形成された溝部に設置され、前記音響媒体を前記溝部の外側に排出する音響媒体排出手段と、前記超音波アプリケータを前記溝部に沿って前記放射線検出器によって取り囲まれた領域の外側に移動させる移動手段と、を更に有することを特徴とするものである。
【0035】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超音波治療装置であって、前記表示装置に表示された第2の断層像を横切るように所定の長さの線分からなる関心領域を設定するための第1の関心領域設定手段と、前記第1の関心領域設定手段によって設定された線分上の前記第2の断層像の画素値を逐次算出する第1の画素値算出手段と、を更に有し、前記表示装置は、前記第1の画素値算出手段によって算出された画素値を表示することを特徴とするものである。
【0036】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超音波治療装置であって、前記表示装置に表示された第2の断層像を含むように所定の面積を有する関心領域を設定するための第2の関心領域設定手段と、前記第2の関心領域設定手段によって設定された前記関心領域内の前記第2の断層像の平均画素値又は合計画素値を逐次算出し、前記平均画素値又は前記合計画素値の単位時間あたりの変化量を算出し、前記単位時間あたりの変化量と予め設定された値とを比較する第2の画素値算出手段と、を更に有することを特徴とするものである。
【0037】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の超音波治療装置であって、集束超音波を照射すべく位置を示すマーカを設定するためのマーカ設定手段を更に有し、前記表示装置は、前記第1の断層像と前記第2の断層像とを合成した合成断層像を表示するとともに、前記設定されたマーカを表示することを特徴とするものである。
【0038】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の超音波治療装置であって、前記超音波アプリケータの位置を検出する位置検出手段を更に有し、前記表示装置は、前記第1の断層像と前記第2の断層像とを合成した合成断層像を表示するとともに、前記位置検出手段によって検出した位置に基づいて前記合成断層像上に前記超音波アプリケータの像及び前記超音波アプリケータから照射される集束超音波の伝播経路を表示することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0039】
請求項1に記載の発明によると、例えばX線等によって被検体の形態画像を生成するとともに、核医学診断装置を用いて機能画像を生成することが可能となるため、集束強力超音波を照射して治療すべき患部(腫瘍)の状態(悪性又は良性)をその場で判断することが可能となる。そのことにより、別途、確定診断(バイオプシー等)を行う必要がなくなり、画像収集直後に焼灼治療を行うことが可能となる。
【0040】
請求項2に記載の発明によると、一部の放射線検出器によって放射線を同時計数法で検出し、更に、超音波アプリケータで遮蔽された部分以外の放射線検出器で放射線を検出することで、核医学診断装置の撮影領域内に超音波アプリケータが設置されている場合であっても、患部(腫瘍)の機能画像を得ることが可能となる。そのことにより、核医学診断装置で患部(腫瘍)の状態を観察しながら焼灼治療を行うことが可能となる。
【0041】
請求項3及び請求項5に記載の発明によると、核医学診断装置で患部(腫瘍)を撮影する際に超音波アプリケータを核医学診断装置の撮影領域の外側に移動させることができるため、超音波アプリケータによって放射線検出器が遮蔽されずに済み、そのことによって、全ての放射線検出器で放射線を検出することが可能となる。
【0042】
請求項6に記載の発明によると、核医学診断装置によって生成された第2の断層像を横切るように線分からなる関心領域を設定し、その線分上の画素値を逐次算出して表示装置にその画素値を表示して画素値の変化を観測することで、焼灼の進行状況の確認が容易になる。また、請求項7に記載の発明によると、第2の断層像の平均画素値又は合計画素値を逐次算出し、単位時間あたりの変化量と予め設定された値(閾値)とを比較することによって、焼灼の進行状況の確認が容易になる。
【0043】
請求項8に記載の発明によると、合成画像上に超音波の照射位置を示すマーカを設定して表示することで、操作者は照射すべき患部(腫瘍)の位置を容易に見分けることが可能となる。また、請求項9に記載の発明によると、超音波アプリケータの像及び超音波の伝播経路を合成画像上に表示することで、照射位置の確認が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、この発明の実施形態に係る超音波治療装置について、図1乃至図10を参照しつつ説明する。
【0045】
[第1の実施の形態]
この発明の第1の実施形態に係る超音波治療装置について、図1乃至図6を参照しつつ説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。図2は、第1の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示すブロック図である。図3は、図1に示す線分A−A’における断面図である。
【0046】
(構成)
まず、この発明の第1の実施形態に係る超音波治療装置の構成について説明する。超音波治療装置1は、主に、核医学診断装置2と、X線CT装置3と、超音波治療部4と、寝台装置5と、制御部6と、操作部7と、画像合成部8と、表示装置9とを備えて構成されている。核医学診断装置2とX線CT装置3とは、それぞれ回転中心が共通になるように配置されている。
【0047】
核医学診断装置2は、複数の放射線検出器21と、その前面に置かれた回転機構付きコリメータ56(SPECT装置の場合は必須の構成であるが、PET装置の場合では不要である)と、パルス発生器22と、計数装置23と、記憶装置24と、画像再構成部25とを備えて構成されている。核医学診断装置2は、被検体が検査のために挿入される孔部10を有しており、複数の放射線検出器21は、その孔部10の周りに環状に配置されている。この複数の放射線検出器21は、例えば、BiGe12(BGO)等からなるシンチレーション結晶と光電増倍管(PMT)とを備えたガンマ線検出器からなる。また、放射線検出器21として半導体放射線検出器を用いても構わない。放射線検出器21は、被検体から放出されたγ線を検出し、このγ線の検出信号(以下、γ線検出信号と称する)を出力する。
【0048】
パルス発生器22は、放射線検出器21により出力されたγ線検出信号を受けて、γ線のエネルギーを有するパルス信号を発生させる。計数装置23は、パルス発生器22により出力されたパルス信号を用いてγ線検出信号に対する計数値を求め、計数値のデータを記憶装置24に記憶する。さらに、PET装置の場合は、計数装置23は、パルス発生器22により出力されたパルス信号を受けてγ線対ごとに同時計数を行って計数値を求めるとともに、検出点をγ線検出の位置情報としてデータ化し、そのデータを記憶装置24に記憶する。SPECT装置の場合は、コリメータにより位置を確定できるので、そのときの計数値と位置のデータを記憶装置24に記憶する。画像再構成部25は、計数値に基づいて機能画像データを再構成し、その機能画像データを画像合成部8及び記憶装置24に出力する。
【0049】
X線CT装置3は、公知のX線CT装置と同じ構成を有しており、X線発生源31と、複数のX線検出器32と、X線発生源31及びX検出器32を支持する回転支持部(図示しない)と、その回転支持部を回転中心の回りに回転させる回転機構部(図示しない)とを備えて構成されている。さらに、データ収集部35と、収集データ記憶装置36と、画像再構成部37とを備えて構成されている。
【0050】
X線CT装置3は、被検体が検査のために挿入される観測領域である孔部10を有しており、X線発生源31と複数のX線検出器32とは、孔部10を挟んでほぼ180°反対方向に配置されている。X線発生源31と複数のX線検出器32とは、回転機構部によって孔部10の周囲を旋回可能となっている。
【0051】
このX線CT装置3は、例えば、X線発生源31から被検体の回りに回転させながらX線ビームを曝射させるとともに、被検体を体軸方向に移動させて、被検体を螺旋状にスキャン(ヘリカルスキャン)するものである。
【0052】
制御部6は、X線発生を制御するX線発生制御信号をX線制御装置34に出力するとともに、X線ビームの検出のタイミングを示す検出制御信号とデータ収集のためのデータ収集制御信号をデータ収集部35に出力する。
【0053】
X線制御装置34は、制御部6により出力されたX線発生制御信号に基づき、高電圧発生装置33による高電圧発生のタイミングを制御する。高電圧発生装置33は、X線ビームを曝射させるための高電圧をX線制御部34からの制御信号に従ってX線発生源31に供給する。
【0054】
X線発生源31は、高電圧発生装置33から供給された高電圧によってスライス方向に厚みを持った扇状のX線ビームを被検体に向けて多方向から曝射する。X線検出器32は、X線発生源31から曝射され、被検体を透過したX線ビームを検出する。
【0055】
データ収集部35は、制御部6により出力されたデータ収集制御信号に基づき、X線検出器32からの出力電流を増幅した後、デジタルデータに変換することによりX線パス毎のX線透過率に反映した投影データを収集し出力する。収集データ記憶装置36は、データ収集部35によって収集された断面の投影データを記憶する。
【0056】
画像再構成部37は、断面の投影データに基づいて被検体の断層画像を再構成する。再構成された断層画像データは、画像合成部8及び収集データ記憶装置36に出力される。
【0057】
寝台装置5は、被検体を載置する寝台天板51と、その基底部が床に固定された寝台天板上下動機構部52と、寝台天板移動部53と、寝台制御部54とを備えて構成されている。寝台天板51は、核医学診断装置2の孔部10とX線CT装置3の孔部10に挿入され、長手方向に移動可能となっている。寝台天板51には溝部55が形成され、その溝部55内に超音波治療部4が配置されている。
【0058】
寝台制御部54は、制御部6により出力された寝台制御信号に基づき、寝台移動信号を寝台天板移動部53及び寝台天板上下動機構部52に出力する。寝台天板移動部53はその寝台移動信号に基づいて寝台天板51を長手方向に水平に移動させ、寝台天板上下動機構部52は寝台天板51を上下に移動させる。
【0059】
超音波治療部4は、超音波アプリケータ41と、音響媒体42と、超音波アプリケータ41を長手方向に移動可能に保持する保持部材43と、位相制御回路部44と、駆動回路部45と、アプリケータ位置検出装置46とを備えて構成されている。
【0060】
超音波アプリケータ41は、治療用強力超音波を照射する円形平板の超音波振動子を備えている。音響媒体42は、例えば、脱気された滅菌水や生理食塩水等が用いられる。寝台天板51に形成された溝部55内に超音波アプリケータ41が設置され、超音波アプリケータ41の周りに滅菌水等からなる音響媒体42が充填されている。超音波アプリケータ41は、保持部材43によって音響媒体42内を長手方向に移動可能となっている。図2には図示しないが、保持部材43は制御部6に接続され、操作部7からの指示に従って超音波アプリケータ41を移動させる。なお保持部材43がこの発明の「移動手段」に相当する。
【0061】
本実施形態の超音波アプリケータ41には、フェーズドアレイ超音波アプリケータを用いている。駆動回路部45の駆動タイミングを位相制御回路部44によって制御することにより、超音波アプリケータ41を移動させずに焦点位置や音場、加温・加熱領域を操作することができる。駆動回路部45は分割された超音波振動子の個数のチャネルに分かれており、制御部6からの信号により位相制御回路部44で遅延を与えられた独立のタイミング信号により駆動される。
【0062】
アプリケータ位置検出装置46は、例えば、寝台天板51に対する超音波アプリケータ41の相対位置を検出し、その信号を制御部6に出力する。
【0063】
さらに、リアルタイムで被検体の患部をモニタリングすることが可能な超音波診断装置47を備えて構成されていても良い。具体的には、特許文献1に記載の超音波アプリケータのように、超音波アプリケータ41の超音波振動子の中央に超音波診断像撮像用の超音波プローブを設ける。超音波診断撮像用の超音波プローブを設けた場合は、まず、超音波プローブによって被検体の患部の大雑把な位置を確認し、その後、核医学診断装置2及びX線CT装置3によって断層像を撮影して患部の詳細な位置を確認する。このように、超音波診断撮像用の超音波プローブで患部の大雑把な位置を確認することによって、比較的容易に患部を見つけることが可能となり、超音波治療装置の利便性を向上させることが可能となる。
【0064】
操作部7は、操作者からの各種指示情報を超音波治療装置1に入力するためのものである。操作卓7には、トラックボールやキーボードといった様々な入力機器が設置されている。この操作部7を介して、走査条件の設定やマーカの設定、その他、様々な設定条件が入力される。また、後述する関心領域やマーカ等を設定するためにこの操作部7が用いられる。
【0065】
次に、核医学診断装置2がPET装置の場合における放射線検出器21及び超音波治療部4における超音波アプリケータ41の配列について、図3を参照しつつ詳しく説明する。核医学診断装置2は、環状保持部材(図示しない)の内側に環状に設置された多数の放射線検出器21を有している。多数の放射線検出器21の内側に、寝台天板51が挿入される観測領域である貫通した孔部10が形成されている。環状保持部材は支持部材(図示しない)上に設置され、その支持部材は検査室の床に据付けられている。核医学診断装置2がSPECT装置の場合には、図11の回転機構付きコリメータ56が放射線検出器21の前に付加される。
【0066】
本実施形態においては、図3に示す核医学診断装置2の断面は、核医学診断装置2の中心点Oを通る2本の仮想線(図3に示す破線)によって、領域A〜Dの4つの領域に分けられている。これら2本の仮想線は中心点Oを通るとともに、超音波治療装置4の寝台天板51の端部を通るように設定されている。
【0067】
領域A〜Dに配置された放射線検出器21のうち、領域Aに配置された放射線検出器21Aはγ線を検出することはない。この領域Aに配置された放射線検出器21Aと被検体の患部との間には超音波治療部4が配置されており、患部から放出されたγ線は超音波治療部4を構成する音響媒体42によって減衰させられるからである。
【0068】
従って、超音波治療部4によって遮蔽された領域A以外の部分に配置された放射線検出器21によってγ線を検出する。予め、超音波治療部4の配置位置が分かっているため、例えば、核医学診断装置2の中心点Oを対称軸として、超音波治療部4によって遮蔽された領域Aに配置された放射線検出器21Aに対して点対称の位置(領域B)に配置された放射線検出器21Bによってγ線を検出する。さらに、放射線検出器21Bの両側の領域C及び領域Dに配置された放射線検出器21C、21Dによってもγ線を検出する。
【0069】
核医学診断装置2がPET装置の場合、放射線検出器21A〜21Dはパルス発生器22に接続され、全てのγ線検出信号は計数装置23に出力される。領域Bに配置された放射線検出器21B、領域Cに配置された放射線検出器21C、及び領域Dに配置された放射線検出器21Dにより出力されたγ線検出信号は、計数装置23で同時計数法によって処理されるが、領域Bに配置された放射線検出器21Bにより出力されたγ線検出信号は、γ線の発生がなかったとみなし、同時計数法によって処理されることはない。核医学診断装置2がSPECT装置の場合には、コリメータで位置が特定されることから、同時計数法が行われず処理される。
【0070】
なお、本実施形態においては、寝台天板51の端部を通るように2本の仮想線を設定して領域A〜Dを設定したが、寝台天板51にγ線を減衰させない材料を用いた場合は、音響媒体42の端部を通るように仮想線を設定して領域A〜Dを設定しても良い。その場合、放射線検出器21C及び21Dの検出領域が広がり、同時計数法によって処理される領域が広がるため、患部(腫瘍)の位置情報が増え、位置の特定が更に容易になる。
【0071】
(動作)
次に、第1の実施形態に係る超音波治療装置の動作について説明する。まず、被検体の関心領域の組織又は臓器に選択的に取り込まれる放射線薬剤を被検体に投与する。具体的には陽電子放出核種(15O、13N、11C、18F等)を含む18FDG等の放射線薬剤を被検体に投与する。次に、被検体を寝台天板51の上にうつ伏せ状に寝かせ、例えば、寝台天板51を図1の右方向に水平に移動させ、X線CT装置3から核医学診断装置2へ移動させる。なお、被検体を寝台天板51の上に寝かせるときは、被検体の患部が超音波治療部4の上に位置するようにする。
【0072】
被検体を載置した寝台天板51がX線CT装置3を通過する際に、例えばヘリカルスキャンによって連続的なX線投影データが収集される。このときの寝台天板51の移動速度は、所望のX線断層像のスライスピッチが得られるように回転機構部34の回転速度と同調する速度となるように制御される。
【0073】
画像再構成部37は、収集データ記憶装置36に記憶されている投影データと再構成パラメータとから被検体のX線断層像データを再構成し、X線断層像データを画像合成部8に出力する。また、再構成されたX線断層像データを収集データ記憶部36に記憶する。なお、「再構成パラメータ」としては、再構成方式(関数)、スライス厚、スライス数、再構成間隔といったものがある。再構成する際には、これらのパラメータが指定されて、複数の2次元画像(断層像)が作成される。
【0074】
被検体を載置した寝台天板51が核医学診断装置2に達すると停止し、核医学診断装置2により投影データの収集が行われる。被検体の患部からは放射線薬剤に起因した511keVのγ線が放出されている。複数の放射線検出器21は、被検体から放出されたγ線を検出し、γ線検出信号を出力する。この放射線薬剤に起因して被検体の体内で発生した多数のγ線は、特定の方向に放出されるのではなく、あらゆる方向に放出される。これらのγ線は、上述したように、対となってほぼ正反対の方向(180°±0.6°)に放出され、複数の放射線検出器21のうちいずれかの検出器によって検出される。
【0075】
本実施形態においては、超音波治療部4によって遮蔽された領域Aに配置されている放射線検出器21Aによってγ線は検出されない。上述のように、音響媒体42によってγ線が減衰されてしまうからである。被検体から放出されたγ線は、放射線検出器21B〜21Dによって検出される。そのうち、核医学診断装置2がPET装置の場合には、放射線検出器21によって検出されたγ線の検出信号は、同時計数法によって処理される。さらに、核医学診断装置2がSPECT装置の場合には、同時計数法なしで処理される。
【0076】
放射線検出器21C及び21Dから出力されたγ線検出信号を受けたパルス発生器22はγ線のエネルギーを有するパルス信号を発生させる。計数装置23は、パルス発生器22から出力されたパルス信号を用いてγ線対ごとに同時計数を行い、γ線検出信号に対する計数値を求める。さらに、計数装置23は、γ線対に対する一対のパルス信号によりそのγ線対の各γ線を検出した2つの検出点(核医学診断装置2の中心点Oに対してほぼ180°方向が異なっている一対の放射線検出器21の位置)をγ線検出の位置情報としてデータ化する。計数値及び検出点の位置情報を示す信号は計数装置23から再構成処理部25に出力される。
【0077】
また、放射線検出器21Bによって検出されたγ線の検出信号は、パルス発生器22に出力され、γ線のエネルギーを有するパルス信号を発生する。計数装置23は、パルス発生器22から出力されたパルス信号を用いてγ線検出信号に対する計数値を求める。このγ線検出信号は、同時計数法によって処理されない。計数値を示す信号は再構成処理部25に出力される。
【0078】
再構成処理部25は、核医学診断装置2がPET装置の場合には、同時計数法によって得られた計数値及び検出点の位置情報に基づいて、機能画像データを再構成する。また、核医学診断装置2がSPECT装置の場合には、同時計数法なしで得られた計数値及び検出点の位置情報に基づいて、機能画像データを再構成する。再構成された機能画像データは、再構成処理部25から画像合成部8に出力される。また、再構成された機能画像データを記憶装置24に記憶する。
【0079】
X線CT像データと機能画像データとは画像合成部8によって合成され、両データの合成断層像データが生成され、表示装置9のモニタ上に合成断層像が表示される。表示装置9のモニタ上に表示される合成断層像を図4に示す。図4は第1の実施形態に係る超音波治療装置によって得られた合成画像を示す図である。表示装置9のモニタ9a上には、X線CT装置3によって得られた断層像と核医学診断装置2によって得られた断層像が合成断層像11として表示される。X線CT装置3によって得られた断層像は被検体の形態画像となって表され、核医学診断装置2によって得られた断層像は患部(腫瘍)の機能(生理)画像となって表される。また、像11aはX線CT装置3によって得られた形態画像であり、像11bは核医学診断装置2によって得られた機能画像である。
【0080】
また、図4(a)に示すように、表示装置9のモニタ9a上に患部(腫瘍)の位置を示すマーカ12を表示しても良い。このマーカ12を表示するために、制御部6及び表示装置9に接続されるマーカ設定回路15を設ける。操作者が操作部7のトラックボール等を操作すると、制御部6を介してマーカ設定回路15はその操作の信号に応じて表示装置9のモニタ上のポインタを動かす。そして、そのポインタで所定の領域を囲むマーカを指定すると、マーカ設定回路15は操作部7からの指示を受けて、表示装置9のモニタ9a上にマーカ12を表示する。このマーカ12は操作部7からの操作により表示装置9のモニタ9a上にて移動及び回転させることが可能であり、さらに、その形状や大きさも変えることができる。マーカ設定回路15は、操作部7からの信号を受けて、マーカ12の形状、大きさ、及びモニタ上における位置を変える。
【0081】
また、図4(b)に示すように、表示装置9のモニタ9a上に集束強力超音波の伝播経路13bを模式的に表示しても良い。超音波治療部4に設置されているアプリケータ位置検出装置46によって寝台天板51に対する超音波アプリケータ41の相対位置を検出し、表示装置9のモニタ9a上に超音波アプリケータ41の像13aを表示する。この超音波アプリケータ41の像13a及び伝播経路13bを記憶装置に予め記憶しておく。なお、アプリケータ位置検出装置46がこの発明の「位置検出手段」に相当する。
【0082】
超音波アプリケータ41から照射される超音波のおおよその伝播経路は予め判明しているため、超音波アプリケータ41の像13aを基点にしてその伝播経路13bを表示装置9のモニタ9a上に描画する。この描画は、例えば、上述したマーカ設定回路15が行う。マーカ設定回路15は制御部6を介して、アプリケータ位置検出装置46から出力された位置情報を示す信号を受けて、超音波アプリケータ41の像13aを表示装置9のモニタ9a上に表示する。さらに、マーカ設定回路15は超音波アプリケータ41の像13aを基点にして超音波のおおよその伝播経路を描画する。このように超音波の伝播経路を表示することによって、超音波の照射位置と腫瘍の位置との関係が明確になるため、腫瘍に超音波が照射されているか否かの判断が容易になる。
【0083】
X線CT装置3及び核医学診断装置2による投影データの収集が終了すると、超音波治療部4の超音波アプリケータ41によって被検体の患部に対して集束強力超音波を照射して焼灼治療を開始する。
【0084】
以上のように、超音波治療部4が設置されている部分における放射線検出器21A以外の放射線検出器21B〜21Dによってγ線を検出して機能画像を生成することにより、超音波治療部4が設置されていても機能画像を生成することが可能となる。そのことにより、診断が終了した後、直ちに焼灼治療を行うことが可能となるとともに、集束強力超音波を照射して焼灼治療を行いながら核医学診断装置2による機能画像の収集が可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る超音波治療装置1では、モニタリングしている画像が機能画像であるということを利用して、腫瘍組織の焼灼が完了したか否かの確認を行うことが可能である。この動作について、図5及び図6を参照しつつ説明する。図5及び図6は、合成画像と患部にける画素値のスペクトルとを示す図である。
【0086】
超音波治療装置1に更に画素値算出部16と、制御部6及び表示装置9に接続される関心領域設定部17とを設ける。操作部7からの操作によって注目すべき領域が指定されると、制御部6を介して関心領域設定部17は図5(a)に示すように表示装置9のモニタ9a上に関心領域(ROI)を表示する。操作者が操作部7を操作することによって、関心領域設定部17は腫瘍及び核医学診断装置2によって得られた像11aを横切る線分XYで表される関心領域(ROI)14を設定し、モニタ9a上に表示する。
【0087】
関心領域設定部17によって線分XY14が設定されると、線分XY14の座標が画素値算出部16に出力され、その座標に基づいて画素値算出部16は制御部6を介して記憶装置24から線分XY14上の座標に位置する機能画像データを読み出す。そして、画素値算出部24は、線分XY14上の各座標における機能画像データの画素値(輝度や濃淡度等)を逐次算出し、図5(b)〜(d)に示す横軸が位置で、縦軸が画素値(輝度や濃淡度)で表されるグラフを作成する。そして、制御部6を介してこれらのグラフを表示装置9のモニタ9a上に表示する。操作者はこれらのグラフから焼灼の進行状況を確認することができ、焼灼の完了を判断することが可能となる。
【0088】
図5(b)は、集束強力超音波を照射する前の機能画像データの画素値のプロファイルである。超音波照射前のプロファイルは「やま」が1つの形をなしている。この状態の腫瘍に集束強力超音波を照射すると、図5(c)に示すように、画素値のプロファイルは「やま」が2つの形をなし、画素値のピーク値は図5(b)に比べて低くなり、その領域がXY方向に広がる。さらに照射を継続すると、図5(d)に示すように、画素値のピーク値が更に低下し、その領域がXY方向に更に広がる。このように、図5(b)〜(d)は、時系列に沿ったグラフである。これらのプロファイルを得るため、所定時間ごとに画素値算出部16は機能画像データの画素値を逐次算出してグラフを作成する。
【0089】
超音波アプリケータで生体組織を焼灼し、その焼灼の状態を電子顕微鏡で観察すると、細胞核や細胞壁は原形を保っているが、細胞液が細胞の外へ流出した状態が観測される。従って、18FDG等の放射線薬剤は細胞に取り込まれた後、細胞液内に貯留され、集束強力超音波を照射した後は18FDGを含んだ細胞液が細胞の辺縁の外に浸出することになる。
【0090】
この観察による事実と図5(b)〜(d)のプロファイルとによって焼灼が完了したか否かの判断が可能となる。つまり、図5(b)に示すプロファイルによって、放射線薬剤が細胞内に取り込まれたままで細胞の外に流出していないと判断できる。また、図5(c)に示すプロファイルは図5(b)に示すプロファイルよりも画素値のピーク値が低くなり、XY方向に広がっているため、放射線薬剤を含んだ細胞液が細胞の外に流出していると判断できる。さらに、図5(d)に示すプロファイルは図5(c)に示すプロファイルよりも画素値のピーク値が更に低下し、XY方向に広がっているため、更に細胞液が細胞の外に流出していると判断できる。従って、これらのプロファイルを得ることによって、18FDG濃度の減衰の進行状態を観察することが可能となる。
【0091】
このように、腫瘍と機能画像とを横切るように線分で表される関心領域を設定し、その線分における機能画像の画素値の変化をグラフにして表示装置9のモニタ9a上に表示することで、焼灼の進行状態を確認し、焼灼が完了したか否かの判断が可能となる。また、本実施形態においては、上述したように焼灼しながら機能画像の収集が可能であるため、焼灼の進行状態をモニタ9a上のグラフで確認しながら焼灼が可能となる。
【0092】
例えば、図5(b)〜(d)に示すプロファイルを、図6に示すように、合成断層像11とともに表示装置9のモニタ9a上に表示する。このように、合成断層像11とプロファイルとを同時に表示することで、合成断層像11の機能画像の変化を観測して焼灼の状態を判断するとともに、プロファイルの変化を観測して焼灼の状態を判断することが可能となるため、焼灼状態を判断するための情報が増え、焼灼状態の判断が更に容易になる。
【0093】
また、関心領域設定部17によって焼灼しようとしている腫瘍の辺縁を囲むように関心領域を設定し、画素値算出部16によって関心領域内の平均画素値を算出し、焼灼によるその平均画素値の変化を観測することで焼灼の状態を判断しても良い。
【0094】
具体的には、まず、画素値算出部16は焼灼前における腫瘍の辺縁を囲む関心領域内の平均画素値を算出する。次に、画素値算出部16は、集束強力超音波を腫瘍に照射するとともに関心領域内の平均画素値を逐次算出する。焼灼によって18FDGを含む細胞液が細胞の外へ流出し、速やかに散逸するため、散逸した後は平均画素値の減衰時定数が大きくなると考えられる。ここで、平均画素値とは、関心領域内に含まれる全ての座標における機能画像データの画素値(輝度や濃淡度等)を平均したものである。また、平均画素値の減衰時定数とは、平均画素値が一定の値、減少するまでの時間である。画素値算出部16は、平均画素値を求めるとともに平均画素値の減衰時定数、つまり、平均画素値が一定の値だけ減少するまでの時間を算出する。換言すると、画素値算出部16は、単位時間あたりの平均画素値の変化量(=平均画素値の変化率)を算出する。
【0095】
集束強力超音波を照射した直後においては、細胞の外に流出する細胞液の量が多いため、平均画素値の変化量も多く、一定の値だけ減少するまでの時間(減衰時定数)は短くなる。焼灼を続けると、徐々に流出する細胞液の量が減少するため、平均画素値の変化量も小さくなる。その結果、一定の量だけ減少するまでの時間(減衰時定数)は長くなる。つまり、減衰時定数が大きくなれば焼灼が進んで、完了したと判断することができる。
【0096】
換言すると、照射直後においては、単位時間あたりの平均画素値の変化量(=平均画素値の変化率)は大きいが、時間が経つにつれて単位時間あたりの平均画素値の変化量(=平均画素値の変化率)は小さくなる。つまり、平均画素値の変化率が小さくなれば焼灼が進んで、完了したと判断できる。
【0097】
従って、予め閾値を設定しておき、単位時間あたりの平均画素値の変化量(=平均画素値の変化率)がその閾値以下になった場合に、焼灼が完了したと判断することが可能となる。この予め設定された閾値は、経験的に求められているものであり、焼灼の完了を示す平均画素値の変化率である。この予め設定された閾値と平均画素値の変化率との比較は、画素値算出部16が行う。さらに画素値算出部16は、平均画素値の変化率と閾値とを比較して、その比較結果から焼灼が完了したか否かの判断を行う。画素値算出部16は、平均画素値の変化率が閾値以下の場合、焼灼が完了したと判断する。
【0098】
また、平均画素値の減衰時定数を算出して、予め設定された閾値と比較しても良い。減衰時定数が閾値以上に長くなった場合、焼灼が完了したと判断できる。このとき設定される閾値は、焼灼の完了を示す平均画素値の減衰時定数である。
【0099】
画素値算出部16が平均画素値の変化率又は減衰時定数と閾値とを比較して焼灼完了と判断した場合、表示装置9によって焼灼の完了を示す画像を表示する。その表示によって操作者は焼灼の完了を認知することができ、集束強力超音波の照射終了のタイミングの判断が可能となる。さらに、画素値算出部16が焼灼完了と判断した場合、自動的に集束強力超音波の照射を停止させても良い。画素値算出部16から焼灼完了を示す信号が制御部6に出力され、制御部6が超音波治療部4の位相制御回路部44への信号の出力を停止することによって、超音波アプリケータ41の照射を停止する。自動的に照射を停止させることで、焼灼完了の判断が更に容易になり、操作者の負担を軽減することが可能となる。
【0100】
また、平均画素値の代わりに、合計画素値を用いて焼灼の判断を行っても良い。ここで合計画素値とは、関心領域内に含まれる全ての座標における機能画像データの画像値(輝度や濃淡度等)を合計したものである。
【0101】
なお、画素値算出部16がこの発明の「第1の画素値算出手段」及び「第2の画素値算出手段」に相当し、関心領域設定部17がこの発明の「第1の関心領域設定手段」及び「第2の関心領域設定手段」に相当する。
【0102】
また、本実施形態においては、X線CT装置3を用いて被検体の形態画像を収集したが、その代わりに、公知のMRI装置を用いても構わない。MRI装置を用いる場合は、被検体に対して複数の傾斜磁場を印加し、核磁気共鳴信号の投影データを得る。そして、その投影データに基づいて核磁気共鳴画像を生成し、形態画像として核医学診断装置2によって得られた機能画像と合成して表示装置9のモニタ9a上に表示する。
【0103】
[第2の実施の形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る超音波治療装置について、図7を参照しつつ説明する。図7は、第2の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。
【0104】
第2の実施形態に係る超音波治療装置は、第1の実施形態に係る超音波治療装置1とほぼ同じ構成を有しているが、核医学診断装置2による撮影時には、寝台天板51の溝部55に充填されている音響媒体42が排水される構成となっている。
【0105】
第1の実施形態に係る超音波治療装置1においては、寝台天板51の溝部55に音響媒体42は充填されたままとなっており、核医学診断装置2による撮影時においても、そのままの状態を保っている。従って、上述したように、音響媒体42によって遮蔽されている領域に配置された放射線検出器21Aは、γ線を検出することはない。これを改良したものが、この第2の実施形態に係る超音波治療装置に相当する。
【0106】
寝台天板51の溝部55の底に孔(図示しない)を形成し、その孔に配水管(図示しない)を設置して溝部55に充填された音響媒体42を排水する。そして、核医学診断装置2によって撮影するときには、配水管によって音響媒体42を排水するとともに、保持部材42によって超音波アプリケータ41を核医学診断装置2の外部に移動させる。なお、溝部55に形成された孔及び配水管がこの発明の「音響媒体排出手段」に相当する。
【0107】
一方、超音波治療部4によって患部に集束強力超音波を照射して治療を行うときには、配水管を通して音響媒体42を溝部53に供給し、集束強力超音波の照射を行う。このように、核医学診断装置2による撮影タイミングに応じて音響媒体2を排水又は充填することによって、γ線を減衰させることなく核医学診断装置2によって撮影することが可能となる。そのことにより、全ての放射線検出器21を用いてγ線を検出することが可能となり、全ての方向において同時計数法によってγ線を検出することが可能となる。この場合、核医学診断装置2はPET装置として機能する。なお、本実施形態においては、機能画像の収集と超音波治療部4による焼灼とは同時に行えないが、患部のモニタリングと焼灼とを1つの装置によって行うことが可能となる。
【0108】
また、放射線検出器21にコリメータを設置して核医学診断装置2をSPECT装置として用いても良い。この場合、特定の腫瘍や分子に集積する性質を有する物質、及び単光子放出核種(99Tc、67Ga、201Ti等)を含む放射性薬剤を被検体に投与し、その放射性薬剤から発生するγ線を全ての放射線検出器21によって検知して放射性薬剤が分布している位置を特定し、SPECT画像を生成する。このような装置構成であっても、患部のモニタリングと焼灼とを1つの装置によって行うことが可能となる。
【0109】
[第3の実施の形態]
次に、この発明の第3の実施形態に係る超音波治療装置について、図8及び図9を参照しつつ説明する。図8は、第3の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。図9は、図8における線分B−B’における断面図である。
【0110】
第3の実施形態に係る超音波治療装置は、第1の実施形態に係る超音波治療装置1とほぼ同じ構成を有しているが、超音波アプリケータ41を備えた超音波治療部4の構成及び配置位置が異なる。核医学診断装置2及びX線CT装置3の構成は第1の実施形態に係る超音波治療装置1と同じである。第1の実施形態に係る超音波治療装置1においては、超音波治療部4は寝台天板51に形成された溝部55内に設置されていたが、第3の実施形態に係る超音波治療装置においては、超音波アプリケータ41は核医学診断装置2の側面から延びるアーム49によって保持され、水平及び垂直方向に移動可能となっている。
【0111】
超音波アプリケータ41には、超音波振動子の他、音響媒体42を保持するための水袋48が設置され、その水袋48の中に音響媒体42が格納されている。さらに、第1の実施形態のように、超音波診断撮像用の超音波プローブを設けても良い。また、被検体と超音波アプリケータとの接触圧力を水袋48に設けられた圧力センサーで検知し、音響媒体の出し入れを調整して適切な圧力になるように制御するものであっても良い。
【0112】
超音波アプリケータ41を保持するアーム49は、関節部材49d、49e、及び49fによってアーム部材49a、49b、及び49cが回転可能に連結されており、アーム部材49cの一端が関節部材49fを介して核医学診断装置2の側面に設置されている。アーム部材49aは関節部材49dを軸にして上下方向に回転可能となっており、アーム部材49bは関節部材49eを軸にして上下方向に回転可能になっている。さらに、アーム部材49cは関節部材49fを軸にして上下及び左右の方向に回転可能となっている。アーム部材49aの先端には超音波アプリケータ41が設置されている。このようにアーム49によって保持されることにより、超音波アプリケータ41は上下、左右、及び前後の方向に移動することができる。
【0113】
このアーム49はアーム制御部(図示しない)に接続され、操作者が操作部7を操作することによって、制御部6を介してアーム49の先端に設置されている超音波アプリケータ41を移動させることができる。
【0114】
次に、核医学診断装置2における放射線検出器21の配列について図9を参照しつつ説明する。第1の実施形態と同様に、図9に示す核医学診断装置2の断面は、核医学診断装置2の中心点Oを通る2本の仮想線(図9に示す破線)によって、領域A〜Dの4つに分けられている。これらの2本の仮想線は中心点Oを通るとともに、超音波アプリケータ41に設置されている水袋48に接して通るように設定されている。
【0115】
領域A〜Dに配置された放射線検出器21のうち、領域Aに配置された放射線検出器21Aはγ線を検出することはない。この領域Aに配置された放射線検出器21Aと被検体の患部との間には水袋48内に充填された音響媒体42を備えた超音波アプリケータ41が配置されており、患部から放出されたγ線は音響媒体42によって減衰させられるからである。
【0116】
従って、第1の実施形態と同様に、予め、超音波アプリケータの配置位置が分かっているため、領域A以外の領域に配置された放射線検出器21B〜21Dによってγ線を検出する。核医学診断装置2がPET装置の場合には、検出されたγ線の検出信号は、計数装置23で同時計数法によって処理され、計数値及び検出点の位置情報が再構成処理部25に出力される。再成処理部25は、これらの信号に基づいて機能画像データを生成する。このように、超音波アプリケータ41の位置と中心点Oの位置との関係から、γ線を検出する放射線検出器21を選定して機能画像データを生成する。
【0117】
第3の実施形態に係る超音波治療装置の動作は、第1の実施形態に係る超音波治療装置1と同じであり、寝台天板51を右方向に水平に移動させることによって、X線CT装置3から核医学診断装置2に移動させ、X線CT像データと機能画像データとを合成して合成断層像データを生成し、表示装置9のモニタ9a上に合成断層像を表示する。そして、超音波アプリケータ41によって被検体の患部に対して集束強力超音波を照射する。
【0118】
[第4の実施の形態]
次に、この発明の第4の実施形態に係る超音波治療装置について、図10を参照しつつ説明する。図10は、第4の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。
【0119】
第4の実施形態に係る超音波治療装置は、第3の実施形態に係る超音波治療装置と同じ構成を有しているが、その動作が異なる。第3の実施形態に係る超音波治療装置においては、核医学診断装置2による撮影時においても超音波アプリケータ41は核医学診断装置2の孔部10に挿入されていたが、本実施形態に係る超音波治療装置においては、核医学診断装置2による撮影時には超音波アプリケータ41を核医学診断装置2の孔部10の外部に移動させる。操作者が操作部7を操作することによってアーム49を駆動して超音波アプリケータ41を核医学診断装置2の外部に待機させる。また、治療を行うときには、アーム49を駆動して超音波アプリケータ41を患部の上部に移動させ、集束強力超音波を照射する。
【0120】
このように、核医学診断装置2の撮影タイミングに応じて超音波アプリケータ41を核医学診断装置2の外部又は内部に移動させることによって、第2の実施形態と同様に、γ線を減衰させることなく核医学診断装置2によって撮影することが可能となる。そのことにより、全ての放射線検出器21を用いてγ線を検出することが可能となり、全ての方向において同時計数法によってγ線を検出することが可能となる。なお、本実施形態においては、機能画像の収集と超音波治療部4による焼灼とを同時に行えないが、患部のモニタリングと焼灼とを1つの装置によって行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す線分A−A’における断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態に係る超音波治療装置によって得られた合成画像を示す図である。
【図5】この発明の第1の実施形態に係る超音波治療装置によって得られた合成画像と患部にける画素値のスペクトルとを示す図である。
【図6】この発明の第1の実施形態に係る超音波治療装置によって得られた合成画像と患部における画素値のスペクトルとを示す図である。
【図7】この発明の第2の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。
【図8】この発明の第3の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。
【図9】図8に示す線分B−B’における断面図である。
【図10】この発明の第4の実施形態に係る超音波治療装置の概略構成を示す側面図である。
【図11】SPECT装置を組み合わせた超音波治療装置において、回転機構付きコリメータを示す断面図である。
【符号の説明】
【0122】
1 超音波治療装置
2 核医学診断装置
3 X線CT装置
4 超音波治療部
5 寝台装置
6 制御部
7 操作部
8 画像合成部
9 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線若しくは超音波を照射し、又は傾斜磁場と高周波磁場とを印加することによって第1の断層像を生成する撮像装置と、
前記被検体を取り囲んで複数の放射線検出器が設置され、前記被検体に投与された放射線薬剤から放射される放射線を前記複数の放射線検出器で検出することで前記被検体の第2の断層像を生成する核医学診断装置と、
前記第1の断層像と前記第2の断層像とを合成した合成断層像を表示する表示装置と、
前記複数の放射線検出器によって取り囲まれた領域内に設置され、前記被検体との間に音響媒体を有し、前記被検体の患部に集束超音波を照射する超音波アプリケータと、
を有することを特徴とする超音波治療装置。
【請求項2】
前記放射線検出器は、前記超音波アプリケータを取り囲むように全周にわたって配置され、前記超音波アプリケータで遮蔽された領域以外の領域に配置された検出器によって放射線を検出することを特徴とする請求項1に記載の超音波治療装置。
【請求項3】
前記超音波アプリケータは前記放射線検出器によって取り囲まれた領域から出し入れ自由に設置され、
前記核医学診断装置の放射線検出器によって放射線を検出する際には、前記超音波アプリケータは前記放射線検出装置によって取り囲まれた領域の外側に移動させられることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波治療装置。
【請求項4】
溝部が形成された、被検体を乗せる寝台を更に有し、
前記放射線検出器は前記寝台を取り囲んで設置され、
前記音響媒体は前記溝部に充填され、前記超音波アプリケータは前記音響媒体内に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の超音波治療装置。
【請求項5】
前記寝台に形成された溝部に設置され、前記音響媒体を前記溝部の外側に排出する音響媒体排出手段と、
前記超音波アプリケータを前記溝部に沿って前記放射線検出器によって取り囲まれた領域の外側に移動させる移動手段と、
を更に有することを特徴とする請求項4に記載の超音波治療装置。
【請求項6】
前記表示装置に表示された第2の断層像を横切るように所定の長さの線分からなる関心領域を設定するための第1の関心領域設定手段と、
前記第1の関心領域設定手段によって設定された線分上の前記第2の断層像の画素値を逐次算出する第1の画素値算出手段と、を更に有し、
前記表示装置は、前記第1の画素値算出手段によって算出された画素値を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超音波治療装置。
【請求項7】
前記表示装置に表示された第2の断層像を含むように所定の面積を有する関心領域を設定するための第2の関心領域設定手段と、
前記第2の関心領域設定手段によって設定された前記関心領域内の前記第2の断層像の平均画素値又は合計画素値を逐次算出し、前記平均画素値又は前記合計画素値の単位時間あたりの変化量を算出し、前記単位時間あたりの変化量と予め設定された値とを比較する第2の画素値算出手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の超音波治療装置。
【請求項8】
集束超音波を照射すべく位置を示すマーカを設定するためのマーカ設定手段を更に有し、
前記表示装置は、前記第1の断層像と前記第2の断層像とを合成した合成断層像を表示するとともに、前記設定されたマーカを表示することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の超音波治療装置。
【請求項9】
前記超音波アプリケータの位置を検出する位置検出手段を更に有し、
前記表示装置は、前記第1の断層像と前記第2の断層像とを合成した合成断層像を表示するとともに、前記位置検出手段によって検出した位置に基づいて前記合成断層像上に前記超音波アプリケータの像及び前記超音波アプリケータから照射される集束超音波の伝播経路を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の超音波治療装置。
【請求項10】
前記撮像装置は、前記被検体を挟んでX線源とX線検出器が設置され、前記X線源から照射されて前記被検体を透過するX線を前記X線検出器によって検出することで前記被検体の第1の断層像を生成するX線CT装置、
前記被検体に対して複数の傾斜磁場を印加し、その結果得られた核磁気共鳴信号の投影データに基づいて核磁気共鳴画像からなる第1の断層像を生成するMRI装置、
又は、前記超音波アプリケータに設置された超音波プローブによって前記被検体に対して超音波を照射し、前記被検体からの反射波を受信することによって超音波診断像からなる第1の断層像を生成する超音波診断装置のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の超音波治療装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−68102(P2006−68102A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252675(P2004−252675)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】