説明

超音波洗浄装置

【課題】洗浄用の超音波によって被洗浄体支持具が劣化して汚染物質が発生するのを防止し、洗浄不良の発生を防止すること。
【解決手段】本発明では、超音波発振手段(42)を有する洗浄槽(41)の内部に被洗浄体(ウエハ2)を支持するための被洗浄体支持具(ウエハボート48)を配設した超音波洗浄装置(25)において、超音波を減衰させるカバー体(64,65)を前記被洗浄体支持具(ウエハボート48)に覆設することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶基板などの被洗浄体に対して超音波を用いて洗浄処理を施すための超音波洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットディスプレイなどの製造過程においては、半導体ウエハや液晶基板などの被洗浄体に対して洗浄処理を施す洗浄工程が設けられている。この洗浄工程で用いられる処理装置には、洗浄槽に洗浄薬液を貯留しておき、洗浄槽に複数の被洗浄体を配列させた状態で浸漬するとともに、被洗浄体に向けて超音波を照射して、被洗浄体の洗浄処理を行う超音波洗浄装置を内蔵したものが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
この従来の超音波洗浄装置では、洗浄槽の底部に被洗浄体へ向けて超音波を照射するための超音波発振手段を配設するとともに、洗浄槽の内部に複数の被洗浄体を配列させた状態で支持するための被洗浄体支持具を昇降可能に配設している。
【0004】
そして、被洗浄体支持具としては、剛性を有する石英を用いて形成されたものが広く使用されていたが、洗浄薬液としてフッ酸などを用いた場合に洗浄薬液で石英がエッチングされてしまい被洗浄体を汚染してしまうおそれがあることから、洗浄に用いるフッ酸などの薬液に対して耐薬液性を有する樹脂を用いて形成されたものが使用されるようになってきており、さらには、同時に洗浄処理する被洗浄体の枚数を増大して洗浄処理のスループットを向上させるために、ステンレスパイプなどの剛体を芯材として用い、その周囲を樹脂でモールドすることによって、耐薬液性と剛性とを両立させた被洗浄体支持具が使用されるようになってきている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−209086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の超音波洗浄装置では、耐薬液性を有する樹脂を用いて形成した被洗浄体支持具を使用した場合に、長期間の使用によっては超音波の振動エネルギーによって樹脂が劣化してしまい、汚染物質が発生してしまう懸念があった。
【0007】
特に、ステンレスパイプなどの金属体を芯材として用いて剛性を向上させた被洗浄体支持具を使用した場合には、樹脂の劣化により超音波が金属体に照射され、汚染金属の発生が促されてしまうおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、超音波発振手段を有する洗浄槽の内部に被洗浄体を支持するための被洗浄体支持具を配設した超音波洗浄装置において、前記被洗浄体支持具に超音波を減衰させるカバー体を覆設することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記カバー体は、前記超音波発振手段の発振面に対して傾斜させた状態で前記被洗浄体支持具に覆設することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項1又は請求項2に係る本発明において、前記カバー体は、前記被洗浄体支持具の表面との間に間隙を形成した状態で前記被洗浄体支持具に覆設することにした。
【0011】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項1〜請求項3のいずれかに係る本発明において、前記カバー体は、表裏に貫通する貫通孔を有することにした。
【0012】
また、請求項5に係る本発明では、前記請求項4に係る本発明において、前記貫通孔は、前記被洗浄体支持具に突設した係止具を着脱自在に係止して前記被洗浄体支持具に前記カバー体を装着するように構成することにした。
【0013】
また、請求項6に係る本発明では、前記請求項1〜請求項5のいずれかに係る本発明において、前記カバー体は、厚みと超音波透過率との関係から導出した透過率が50%以下となる厚みとすることにした。
【0014】
また、請求項7に係る本発明では、前記請求項1〜請求項6のいずれかに係る本発明において、前記カバー体は、洗浄に用いる薬液に対して耐薬液性を有する材質を用いることにした。
【発明の効果】
【0015】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0016】
すなわち、本発明では、被洗浄体支持具に超音波を減衰させるカバー体を覆設しているために、超音波発振手段から照射された超音波をカバー体によって減衰させることができるので、被洗浄体支持具が超音波の照射によって劣化して汚染物質が発生するのを未然に防止することができ、洗浄不良の発生を防止することができる。
【0017】
特に、カバー体を超音波発振手段の発振面に対して傾斜させた状態で被洗浄体支持具に覆設した場合には、カバー体の表面で反射した超音波が超音波発振手段に向けて直接的に照射されるのを防止することができるので、超音波の反射によって超音波発振手段が故障してしまったり、超音波の重畳によって不測に超音波エネルギーが変化してしまうのを防止することができる。
【0018】
また、カバー体と被洗浄体支持具の表面との間に間隙を形成した場合には、間隙から洗浄薬液を円滑に流出させることができるので、被洗浄体支持具の表面での洗浄薬液の残留を防止することができ、洗浄薬液の残留に起因する洗浄不良の発生を防止することができる。
【0019】
また、カバー体に表裏に貫通する貫通孔を形成した場合も、貫通孔から洗浄薬液を円滑に流出させることができるので、被洗浄体支持具の表面での洗浄薬液の残留を防止することができ、洗浄薬液の残留に起因する洗浄不良の発生を防止することができる。
【0020】
また、被洗浄体支持具に突設した係止具を貫通孔に着脱自在に係止して被洗浄体支持具にカバー体を装着できるようにした場合には、洗浄薬液を流出させるための貫通孔を係止孔として兼用させることができ、カバー体の形態を簡素化して製造を容易で廉価なものとすることができる。
【0021】
また、カバー体の厚みと超音波透過率との関係から導出した透過率が50%以下となる厚みでカバー体を形成した場合には、厚みを適宜選択するだけで様々な材質のカバー体を用いることができるので、洗浄薬液の種類や必要とする剛性などに応じて幅広い種類の材質から選択することができ、カバー体の材質の選択の幅を広げることができる。
【0022】
また、洗浄に用いる薬液に対して耐薬液性を有する材質でカバー体を形成した場合には、洗浄薬液によるカバー体のエッチングを防止することができ、エッチングによる汚染物質の発生に起因する洗浄不良の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明に係る超音波洗浄装置を内蔵して、洗浄処理や乾燥処理などの洗浄を含む各種の処理を施すことができる処理装置の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、洗浄処理を施す被洗浄体としてウエハ(基板)を用いた場合について説明する。
【0024】
図1に示すように、処理装置1は、複数枚のウエハ2を収容したキャリア3の搬入及び搬出を行うキャリア搬入出部4と、複数のキャリア3に収容されたウエハ2を組合わせることによって一括処理するバッチ5を編成するバッチ編成部6と、各バッチ5ごとにウエハ2の洗浄処理及び乾燥処理を行う基板処理部7とで構成している。
【0025】
キャリア搬入出部4は、キャリア3を載置するキャリアステージ8に密閉状の開閉扉9を形成し、この開閉扉9の内側にキャリア搬送機構10を配設し、このキャリア搬送機構10によってキャリアステージ8に載置されたキャリア3を必要に応じてキャリアストック11に一時的に保管するとともに、キャリア載置台12に搬入するようにしている。
【0026】
また、キャリア搬入出部4は、基板処理部7で処理が完了したウエハ2が収容されたキャリア3に対し、上記搬入時とは逆に、キャリア載置台12に載置されたキャリア3を必要に応じてキャリア搬送機構10によってキャリアストック11に一時的に保管するとともに、キャリアステージ8に搬出するようにしている。
【0027】
バッチ編成部6は、キャリア搬入出部4との間に密閉状の開閉扉13を形成し、この開閉扉13の内側にキャリア3に収容された複数枚のウエハ2を同時に搬送するための基板搬送機構14と、この基板搬送機構14によって搬送されたウエハ2の配列間隔を半分に変更してバッチ5を形成するためのバッチ形成機構15と、基板搬送機構14によって搬送されたウエハ2の配列順序を変更する配列順序変更機構16と、バッチ形成機構15によって形成されたバッチ5をバッチ編成部6と基板処理部7との間で受渡すとともに基板処理部7の内部での搬送を行うバッチ搬送機構17とを配設している。また、バッチ編成部6は、内部にキャリア3に収容されたウエハ2の収容状態を検出するウエハ収容状態検出センサー18とキャリア3に収容された複数枚のウエハ2のノッチの位置調整を行うノッチアライナー19を配設している。
【0028】
そして、バッチ編成部6では、キャリア搬入出部4から搬入される複数個(たとえば、2個)のキャリア3にそれぞれ収容された複数枚(たとえば、25枚)のウエハ2を組合わせて基板処理部7で一括処理する複数枚(たとえば、50枚)のウエハ2で構成されたバッチ5を形成し、そのバッチ5を基板処理部7に受渡し、また、基板処理部7での処理が完了した後には、基板処理部7からバッチ5を受取り、元のキャリア3にウエハ2を収容して、そのキャリア3をキャリア搬入出部4に搬送するようにしている。
【0029】
基板処理部7は、ウエハ2の洗浄及び乾燥を行う洗浄乾燥機構20とウエハ2の洗浄を行う洗浄機構21とで構成している。そして、洗浄乾燥機構20には、バッチ5をウエハ昇降機構22で昇降することによって洗浄と乾燥とを行う基板洗浄乾燥ユニット23とバッチ搬送機構17の洗浄を行う搬送機構洗浄ユニット24とを並設している。また、洗浄機構21には、第1の洗浄ユニットとしての超音波洗浄装置25と第2及び第3の洗浄ユニット26,27とを並設しており、各洗浄ユニット25,26,27には、バッチ5を薬液処理するための洗浄部28,29,30とバッチ5を純水処理するための洗浄部31,32,33とこれらの薬液処理用の洗浄部28,29,30と純水処理用の洗浄部31,32,33との間でバッチ5の搬送を行う搬送機構34,35,36とを設けている。
【0030】
また、基板処理部7は、洗浄乾燥機構20と洗浄機構21に沿ってバッチ搬送機構17を配設しており、このバッチ搬送機構17の始端部分をバッチ編成部6に配設している。
【0031】
そして、基板処理部7は、バッチ編成部6で編成されたバッチ5をバッチ搬送機構17によって洗浄乾燥機構20のウエハ昇降機構22や洗浄機構21の搬送機構34,35,36に搬送して、洗浄乾燥機構20や洗浄機構21においてウエハ2の処理をバッチ5ごとに行ない、その後、処理後のバッチ5を洗浄乾燥機構20のウエハ昇降機構22や洗浄機構21の搬送機構34,35,36からバッチ搬送機構17に移送し、このバッチ搬送機構17によって処理後のバッチ5をバッチ編成部6へ再び搬送するようにしている。
【0032】
このように、処理装置1は、キャリア搬入出部4によってウエハ2をキャリア3ごとバッチ編成部6に搬入し、バッチ編成部6において基板処理部7で一括処理するバッチ5を編成して基板処理部7に受渡し、基板処理部7でバッチ5ごとに一括して処理を施し、その後、処理後のバッチ5をバッチ編成部6に受渡し、バッチ編成部6でバッチ5を構成するウエハ2をキャリア3に収容してキャリア搬入出部4に搬送し、キャリア搬入出部4によって処理後のウエハ2を収容したキャリア3を搬出するようにしている。
【0033】
次に、本発明の要部となる超音波洗浄装置25の構成について説明する。この超音波洗浄装置25では、ウエハ2を洗浄薬液に浸漬させた状態でウエハ2に向けて超音波を照射することでウエハ2の表面を洗浄するように構成している。
【0034】
超音波洗浄装置25は、図2及び図3に示すように、上部に開口を形成した矩形箱型状の容器37の内部に基台38を取付け、この基台38の上部に矩形枠状のアルミニウム製の基枠39を取付け、この基枠39の上部にフッ素系ゴム製のパッキン40を介して洗浄槽41を取付けている。
【0035】
洗浄槽41は、超音波発振手段42の上部に矩形箱枠状の周壁43を取付けることによって構成している。周壁43は、耐薬液性に富む材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)あるいはフッ素樹脂(PFA)等で形成している。超音波発振手段42は、耐薬液性及び音波透過性に富む材料であるアモルファスカーボンあるいは炭化珪素等のカーボン系材料からなる矩形板状の振動板44の下面に超音波振動子45を取付け、この超音波振動子45に駆動制御装置(図示省略)を接続している。
【0036】
このように、洗浄槽41は、周壁43をPTFEあるいはPFAで形成し、振動板44をアモルファスカーボンあるいは炭化珪素等のカーボン系材料で形成することによって、洗浄薬液にSC1、SC2あるいはDHF等の薬液を使用した場合でも溶解してしまうおそれがなく、メタルコンタミネーション等の発生を防止することができる。特に、振動板44を音波透過性に富む材料であるアモルファスカーボンあるいは炭化珪素等のカーボン系材料で形成しているために、石英のように薬液による溶解によって肉厚が薄くなるおそれがなく、超音波透過率の低下を防止することができる。
【0037】
また、洗浄槽41は、周壁43の内側に洗浄薬液を吐出するための左右一対の洗浄薬液吐出ノズル46,47を取付けている。また、洗浄槽41は、周壁43の内部にウエハ2をバッチ5ごと支持しながら洗浄薬液に浸漬するための被洗浄体支持具としてのウエハボート48を昇降自在に配設している。
【0038】
このウエハボート48は、図4〜図6に示すように、上下方向に伸延させたアーム49の前側下端部に前後方向に伸延させた4本の支持体50,51,52,53を左右に間隔をあけて平行に取付け、左右2本の支持体50,51(52,53)の先端部間に連結体54,55を架設している。
【0039】
また、ウエハボート48は、各支持体50,51,52,53の上端部にウエハ2を1枚ずつ垂直状に支持するための支持溝56,57,58,59を前後に一定間隔をあけて形成しており、各支持溝56,57,58,59でウエハ2を支持することによって、複数枚のウエハ2を平行に前後に一定間隔をあけて支持できるようになっている。このウエハボート48は、アーム49を搬送機構34に連動連結しており、搬送機構34によって洗浄槽41の内部と外部との間でウエハ2をバッチ5ごと昇降させることができるようになっている。
【0040】
さらに、ウエハボート48は、図7に代表的に示すように、中空円筒状のアルミニウム製の芯材60の外周に洗浄薬液に対する耐薬液性を有する樹脂製の被覆材61をモールドすることによって各支持体50,51,52,53を形成している。これにより、各支持体50,51,52,53の剛性を確保するとともに、耐薬液性をも確保できるようにしている。
【0041】
特に、中央の2本の支持体51,52は、図4〜図7に示すように、下端部を先鋭状に形成して、超音波の発振面となる超音波発振手段42の振動板44の上面に対して傾斜した左右一対の底面62,63を形成し、各底面62,63に超音波を減衰させることができる横長矩形板状のカバー体64,65を着脱自在に覆設している。
【0042】
このカバー体64,65は、図4〜図8に示すように、表裏に貫通する貫通孔67を前後に間隔をあけて形成しており、支持体51,52の各底面62,63に前後に間隔をあけて取付けた係止具としてのピン68に貫通孔67を係止することで、支持体51,52に着脱自在に装着している。
【0043】
そして、各ピン68は、支持体51,52の各底面62,63に取付けた円板状の座部69と、カバー体64,65の各貫通孔67に挿通される円柱状の挿通ピン部70と、カバー体64,65を係止する円板状の係止部71とで構成しており、カバー体64,65が各支持体51,52に座部69を介して所定の間隙を設けた状態で装着されるようにしている。
【0044】
カバー体64,65やピン68は、洗浄薬液によってエッチングされて汚染物質を発生することがないように、耐薬液性を有する材質(たとえば、アモルファスカーボン、グラッシーカーボンなどのカーボン系材料など)で形成している。
【0045】
特に、カバー体64,65は、良好に超音波を減衰させることができるように、耐薬液性を有する材質であって、しかも、超音波透過率が低くなるような厚みで形成している。
【0046】
すなわち、一般的に、同じ材質のものでも厚みによって超音波透過率が変化するので、たとえばカバー体64,65の材質として耐薬液性を有するカーボンを選択した場合には、図9に模式的に示すように、使用する周波数(たとえば、1000kHz)における超音波透過率と厚みとの関係を導出し、超音波透過率が50%以下となる(換言すれば、超音波を50%以上反射する)厚み(たとえば、周波数が1000kHzの場合は2.60mm〜3.55mm)でカバー体64,65を形成するようにしている。
【0047】
なお、上記ウエハボート48では、中央の2本の支持体51,52の底部を先鋭状に形成し、左右の傾斜面にカバー体64,65を取付けた構成となっているが、これに限られず、たとえば、図10(a)に示すように、ウエハボート48'の4本の支持体50',51',52',53'の底部にそれぞれカバー体64',65'を取付けてもよく、また、支持体51',52'の底部を超音波の発振面と平行な平坦面とし、カバー体64'を超音波の発振面と平行に取付けてもよく、さらには、図10(b)に示すように、ウエハボート48"の中央2本の支持体51",52"の底部を超音波の発振面に対して左右に傾斜させ、左右の傾斜面にカバー体64",65"をそれぞれ取付けるようにしてもよい。
【0048】
以上に説明したように、上記構成の超音波洗浄装置25を有する処理装置1では、被洗浄体支持具としてのウエハボート48に超音波を減衰させることができるカバー体64,65を覆設した構成となっている。
【0049】
そのため、上記処理装置1の超音波洗浄装置25では、超音波発振手段42から照射された超音波をカバー体64,65によって減衰させることができるので、ウエハボート48の支持体51,52が超音波の照射によって劣化して汚染物質が発生するのを未然に防止することができ、洗浄不良の発生を防止することができる。
【0050】
特に、上記超音波洗浄装置25では、カバー体64,65を超音波発振手段42の発振面に対して傾斜させた状態でウエハボート48に覆設しているために、カバー体64,65の表面で反射した超音波が超音波発振手段42に向けて直接的に照射されるのを防止することができるので、超音波の反射によって超音波発振手段42が故障してしまったり、超音波の重畳によって不測に超音波エネルギーが変化してしまうのを防止することができる。
【0051】
また、上記超音波洗浄装置25では、カバー体64,65とウエハボート48の支持体51,52の表面との間に間隙を形成しているために、この間隙から洗浄薬液を円滑に流出させることができるので、ウエハボート48の支持体51,52の表面に洗浄薬液が残留してしまうのを防止することができ、洗浄薬液の残留に起因する洗浄不良の発生を防止することができる。
【0052】
また、上記超音波洗浄装置25では、カバー体64,65に表裏に貫通する貫通孔67を形成しているために、この貫通孔67から洗浄薬液を円滑に流出させることができるので、これによっても、ウエハボート48の支持体51,52の表面に洗浄薬液が残留してしまうのを防止することができ、洗浄薬液の残留に起因する洗浄不良の発生を防止することができる。
【0053】
また、上記超音波洗浄装置25では、ウエハボート48の支持体51,52に突設した係止具としてのピン68をカバー体64,65に穿設した貫通孔67に着脱自在に係止してウエハボート48の支持体51,52にカバー体64,65を着脱自在に装着できるようにしているために、カバー体64,65の交換やメンテナンスが容易となるとともに、洗浄薬液を流出させるための貫通孔67を係止孔として兼用させることができ、カバー体64,65の形態を簡素化して製造を容易で廉価なものとすることができる。
【0054】
また、上記超音波洗浄装置25では、カバー体64,65の厚みと超音波透過率との関係から導出した透過率が50%以下となる厚みでカバー体64,65を形成しているために、厚みを適宜選択するだけで様々な材質のカバー体64,65を用いることができるので、洗浄薬液の種類や必要とする剛性などに応じて幅広い種類の材質から選択することができ、カバー体64,65の材質の選択の幅を広げることができる。
【0055】
さらに、上記超音波洗浄装置25では、洗浄に用いる薬液に対して耐薬液性を有する材質でカバー体64,65を形成しているために、洗浄薬液によるカバー体64,65のエッチングを防止することができ、エッチングによる汚染物質の発生に起因する洗浄不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る処理装置を示す平面図。
【図2】超音波洗浄装置を示す正面断面図。
【図3】同側面断面図。
【図4】ウエハボートを示す正面図。
【図5】同側面図。
【図6】同平面図。
【図7】同拡大断面図
【図8】カバー体を示す拡大図。
【図9】超音波透過率と厚みとの関係を示す模式図。
【図10】ウエハボートの変形例を示す説明図。
【符号の説明】
【0057】
1 処理装置 2 ウエハ(被洗浄体)
3 キャリア 4 キャリア搬入出部
5 バッチ 6 バッチ編成部
7 基板処理部 8 キャリアステージ
9 開閉扉 10 キャリア搬送機構
11 キャリアストック 12 キャリア載置台
13 開閉扉 14 基板搬送機構
15 バッチ形成機構 16 配列順序変更機構
17 バッチ搬送機構 18 ウエハ収容状態検出センサー
19 ノッチアライナー 20 洗浄乾燥機構
21 洗浄機構 22 ウエハ昇降機構
23 基板洗浄乾燥ユニット 24 搬送機構洗浄ユニット
25 超音波洗浄装置 26,27 洗浄ユニット
28,29,30 薬液処理用の洗浄部 31,32,33 純水処理用の洗浄部
34,35,36 搬送機構 37 容器
38 基台 39 基枠
40 パッキン 41 洗浄槽
42 超音波発振手段 43 周壁
44 振動板 45 超音波振動子
46,47 洗浄薬液吐出ノズル 48,48',48" ウエハボート(被洗浄体支持具)
49 アーム 50,50',51,51',51",52,52',52",53,53' 支持体
54,55 連結体 56,57,58,59 支持溝
60 芯材 61 被覆材
62,63 底面
64,64',64",65,65',65" カバー体
67 貫通孔 68 ピン
69 座部 70 挿通ピン部
71 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発振手段を有する洗浄槽の内部に被洗浄体を支持するための被洗浄体支持具を配設した超音波洗浄装置において、
超音波を減衰させるカバー体を前記被洗浄体支持具に覆設したことを特徴とする超音波洗浄装置。
【請求項2】
前記カバー体は、前記超音波発振手段の発振面に対して傾斜させた状態で前記被洗浄体支持具に覆設したことを特徴とする請求項1に記載の超音波洗浄装置。
【請求項3】
前記カバー体は、前記被洗浄体支持具の表面との間に間隙を形成した状態で前記被洗浄体支持具に覆設したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超音波洗浄装置。
【請求項4】
前記カバー体は、表裏に貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の超音波洗浄装置。
【請求項5】
前記カバー体は、前記被洗浄体支持具に突設した係止具に前記貫通孔を係止することで前記被洗浄体支持具に着脱自在に装着できるように構成したことを特徴とする請求項4に記載の超音波洗浄装置。
【請求項6】
前記カバー体は、厚みと超音波透過率との関係から導出した透過率が50%以下となる厚みとしたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の超音波洗浄装置。
【請求項7】
前記カバー体は、洗浄に用いる薬液に対して耐薬液性を有する材質を用いたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の超音波洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−4890(P2008−4890A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175555(P2006−175555)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】