説明

車両のペダル装置

【課題】一方のペダルのリターン力やアシスト力を他方のペダルの操作状態に応じて変化させることによって、ペダルが元の初期位置まで戻り切らない等の不具合の発生を防ぐことができる車両のペダル装置を提供すること。
【解決手段】乗員による踏み込み操作によってペダルブラケットに軸支された揺動軸を中心として揺動するクラッチペダル1とブレーキペダル2を備えるとともに、乗員の踏力を補助するアシストスプリング9を設けて成る車両のペダル装置において、前記アシストスプリング9の一端を前記クラッチペダル1側に係止し、他端を前記ブレーキペダル2側に係止する。例えば、ブレーキペダル1の揺動軸を筒状ボス4で構成し、該筒状ボス4内にクラッチペダル1のクラッチペダル軸5を回動可能に挿通させるとともに、筒状ボス4に突設されたブラケット4aにアシストスプリング9の一端を係止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチペダル又はブレーキペダルを戻り方向に付勢するアシストスプリングを備えた車両のペダル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に設けられるペダル装置には、クラッチペダル軸とブレーキペダル軸を二重軸構造として同軸にレイアウトしたものがあるが、その一例を図4及び図5に示す。
【0003】
図4は従来のペダル装置の斜視図、図5は同ペダル装置の分解斜視図であり、これらの図において、1はクラッチペダル、2はブレーキペダルであって、これらはその上端部がペダルブラケット3に揺動可能に軸支されている。即ち、図5に示すように、ブレーキペダル2のレバー部2aの上端には円筒パイプ状の筒状ボス4が直角に挿通固着されており、この筒状ボス4内にはクラッチペダル1のレバー部1aの上端に直角に固着されたクラッチペダル軸5が回動可能に挿通している。そして、筒状ボス4の両側となるクラッチペダル軸5の両端が、ペダルブラケット3に回転可能に軸支されている。従って、クラッチペダル1とブレーキペダル2は、これらのレバー部1a,2aの下端にそれぞれ固着されたペダル部1b,2bを乗員が踏み込むことによってクラッチペダル軸5と筒状ボス4を中心としてそれぞれ独立に揺動する。
【0004】
ところで、クラッチペダル1とブレーキペダル2は、捩りコイルバネであるリターンスプリング6,7によってリターン方向にそれぞれ付勢されており、乗員がペダル部1b,2bを踏み込む踏力を解除すれば、クラッチペダル1とブレーキペダル2はリターンスプリング6,7の付勢力(リターン力)によってリターン方向(反踏み込み方向)に揺動して元の初期位置に復帰する。
【0005】
斯かる、ペダル装置においては、初期位置への復帰を確実にするためにリターンスプリング6,7の付勢力を強化せざるを得ず、クラッチペダル1とブレーキペダル2を踏み込む際にはリターンスプリング6,7の付勢力(リターン力)に抗した大きな踏力を要する。このため、リターンスプリングの戻り力や乗員の踏力を補助するアシストスプリング(ターンオーバースプリング)を含むターンオーバー機構を設けたペダル装置が種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。その一例を図6及び図7に示す。
【0006】
即ち、図6はターンオーバー機構付きペダル装置の斜視図、図7は図6の矢視B方向の図であり、これらの図にはクラッチペダルのみを示すとともに、図4及び図5に示したものと同一要素には同一符号を付している。
【0007】
図6及び図7に示すペダル装置においては、クラッチペダル1のレバー部1aの中間にブラケット8が結着されており、該ブラケット8の先端には二重コイルスプリングから成るアシストスプリング9が挿通され、該アシストスプリング9の両端はペダルブラケット3に係止されている。
【0008】
而して、図7の初期位置にあるクラッチペダル1のペダル部1bを乗員が足で踏み込んで該クラッチペダル1をクラッチペダル軸5を中心として図示矢印方向(ストローク方向)に揺動させると、クラッチペダル1が図示のターンオーバーラインL(クラッチペダル軸5の中心点とアシストスプリング9のペダルブラケット3への係止点を結ぶ線)に達するまでの間はアシストスプリング9のリターン力に抗してクラッチペダル1を踏み込む必要があるが、クラッチペダル1がターンオーバーラインLを超えると、アシストスプリング9はリターン力とは逆方向(ストローク方向)のアシスト力を発生する。このため、クラッチペダル1がターンオーバーラインLを超えた後はアシストスプリング9のアシスト力によってクラッチペダル1が踏み込み方向に付勢され、これによって乗員の踏力が軽減される。
【特許文献1】特開平9−315174号公報
【特許文献2】特許第3244190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図4及び図5に示した従来のペダル装置においては、ブレーキペダル2を強く踏み込んだ際に、ブレーキ装置からの反力と乗員の踏力等を受けて筒状ボス4がクラッチペダル軸5に高い面圧で当接することになる。そして、筒状ボス4からクラッチペダル軸5に摩擦力が負荷されるため、ブレーキペダル2を強く踏み込んだ状態でクラッチペダル1を操作すると、リターンスプリング6によるリターン力によってはクラッチペダル1が正規の初期位置まで戻り切らないという不具合が発生する恐れがある。このため、摩擦力よりも大きなリターン力が得られるよう、リターンスプリング6にバネ定数の大きなものを使用することとなり、大きな踏力が必要となって乗員の負担が増大する。
【0010】
又、図6及び図7に示したターンオーバー機構付きペダル装置においても、アシストスプリング9に摩擦力に打ち勝つだけの大きさのリターン力を発生させるためにはバネ定数の大きなアシストスプリング9を用いる必要があり、大きなバネ定数のアシストスプリング9を用いると、踏み込み初期の踏力が大きくなって乗員の負担が増大するという同様の問題が発生する。
【0011】
本発明は上記従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、一方のペダルのリターン力やアシスト力を他方のペダルの操作状態に応じて変化させることによって、乗員のペダル操作性を高めて乗員の負担を軽減し、ペダルが元の初期位置まで戻り切らない等の不具合の発生を防ぐことができる車両のペダル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、乗員による踏み込み操作によってペダルブラケットに軸支された揺動軸を中心として揺動するクラッチペダルとブレーキペダルを備えるとともに、クラッチペダル又はブレーキペダルを戻り方向に付勢するアシストスプリングを設けて成る車両のペダル装置において、前記アシストスプリングの一端を前記クラッチペダル側に係止し、他端を前記ブレーキペダル側に係止したことを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ブレーキペダルの揺動軸を筒状ボスで構成し、該筒状ボス内に前記クラッチペダルの揺動軸を回動可能に挿通させるとともに、筒状ボスに前記アシストスプリングの一端を係止したことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記クラッチペダルと前記ブレーキペダルの揺動軸中心から前記各ペダルの前記アシストスプリングからの力を受ける係止点までの距離が異なることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記クラッチペダルと前記ブレーキペダルの踏み込み操作ストロークを異ならせるとともに、踏み込み操作ストロークが大きい側のペダルの揺動軸中心から前記係止点までの距離を他側のペダルのそれよりも長く設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、アシストスプリングの一端をクラッチペダル側に係止し、他端をブレーキペダル側に係止したため、一方のペダルのリターン力やアシスト力を他方のペダルの操作状態に応じて変化させることができ、リターンスプリングのリターン力が不足するためにペダルが摩擦力によって元の初期位置まで戻り切らない等の不具合の発生が防がれる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、ブレーキペダルを強く踏み込んだ状態でクラッチペダルを操作する際、ブレーキペダルの踏み込みによってターンオーバーラインが変動してクラッチペダルのリターン力が増大するため、ブレーキペダルを強く踏み込んだ際に筒状ボスからクラッチペダル軸に負荷される摩擦力にリターン力が打ち勝ってクラッチレバーが元の初期位置に常に確実に戻る。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、クラッチペダルとブレーキペダルの揺動軸中心からアシストスプリングからの力を受ける各ペダルの係止点までの距離が異なるため、アシストスプリングからの力を受ける各ペダルの係止点の位置によってアシストスプリングによる各ペダルの踏力への影響をペダル毎に容易に変更することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、クラッチペダルとブレーキペダルの踏み込み操作ストロークを異ならせるとともに、踏み込み操作ストロークが大きい側のペダルの揺動軸中心から係止点までの距離を他側のペダルのそれよりも長く設定したため、踏み込み操作ストロークが短い側のペダルの位置を基準としてターンオーバー機構を容易且つコンパクトに構成することができ、ターンオーバー機構によってペダルの操作性が高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係るペダル装置の斜視図、図2は図1の矢視A方向の図、図3は踏み込み操作ストロークに対するクラッチペダルの踏力の変化を示す図である。
【0022】
本実施の形態に係るペダル装置は図4及び図5に示したペダル装置に図6及び図7に示したターンオーバー機構を付加したものであって、図1及び図2に図示したもの以外の部品は、図4及び図5に示したペダル装置と同様に構成されている。図1及び図2において、1はクラッチペダル、2はブレーキペダルであって、これらはその上端部が車体側に取り付けられた不図示のペダルブラケットに揺動可能に軸支されている。
【0023】
即ち、ブレーキペダル2のレバー部2aの上端には円筒パイプ状の筒状ボス4が直角に挿通固着されており、この筒状ボス4内にはクラッチペダル1のレバー部1aの上端に直角に固着されたクラッチペダル軸5が回動可能に挿通している。そして、筒状ボス4の両側となるクラッチペダル軸5の両端が、ペダルブラケット3に回転可能に軸支されている。従って、クラッチペダル1とブレーキペダル2は、これらのレバー部1a,2aの下端にそれぞれ固着されたペダル部1b,2bを乗員が踏み込むことによってクラッチペダル軸5と筒状ボス4を中心としてそれぞれ独立に揺動する。尚、図4及び図5に示したペダル装置と同様に、クラッチペダル1とブレーキペダル2は、一端がペダルブラケット3に取り付けられる捩りコイルバネであるリターンスプリングによってリターン方向にそれぞれ付勢されており、乗員がペダル部1b,2bを踏み込む踏力を解除すれば、クラッチペダル1とブレーキペダル2はリターンスプリングの付勢力(リターン力)によってリターン方向(反踏み込み方向)に揺動して元の初期位置に復帰する。
【0024】
又、図1に示すように、クラッチペダル1のレバー部1aの中間にはブラケット8が結着されており、ブレーキペダル2に結着された前記筒状ボス4の外周の軸方向2箇所にはブラケット4aが突設されている。そして、ブラケット8の先端には二重コイルスプリングから成るアシストスプリング9が挿通され、該アシストスプリング9の両端はブレーキペダル2の筒状ボス4に突設された前記ブラケット4aに係止されている。従って、本実施の形態では、アシストスプリング9の一端はクラッチペダル1側に係止され、他端はブレーキペダル2側に係止されている。
【0025】
更に、本実施の形態では、クラッチペダル1の踏み込み操作ストロークはブレーキペダル2の踏み込み操作ストロークよりも大きく設定されており、図2に示すように、クラッチペダル1とブレーキペダル2の揺動軸中心Oからアシストスプリング9のクラッチペダル側係止点P1までの距離r1の方が揺動軸中心Oからアシストスプリング9のブレーキペダル側係止点P2,P2’までの距離r2よりも大きく設定されている(r1>r2)。
【0026】
而して、図2の初期位置にあるブレーキペダル2のペダル部2aを乗員が足で踏み込んで該ブレーキペダル2を揺動軸中心Oを中心として図示矢印方向に揺動させると、アシストスプリング9のブレーキペダル側係止点は半径r2の円弧を描きながらP2からP2’へと移動し、これに伴ってターンオーバーライン(搖動軸中心Oとアシストスプリング9のブレーキペダル側係止点P2,P2’を結ぶ線)はL1からL2へと変化する。
【0027】
従って、クラッチペダル1に対するアシストスプリング9によるリターン力やアシスト力をブレーキペダル2の操作状態に応じて変化させることができる。以下、クラッチペダル1とブレーキペダル2の各操作状態におけるアシストスプリング9の作用について説明する。
【0028】
1)クラッチペダル1とブレーキペダル2が共に開放状態(初期位置)にある場合:
この場合、アシストスプリング9のクラッチペダル側係止点P1は、ターンオーバーラインL1の近くに位置するので、アシストスプリング9は、クラッチペダル1とブレーキペダル2を揺動させる力を殆ど発生しない。
【0029】
2)クラッチペダル1が開放状態にあるときブレーキペダル2を踏み込み操作する場合:
アシストスプリング9によってクラッチペダル1には開放方向への力(リターン力)が作用する。又、ブレーキペダル2の踏み込みストロークの増加に伴ってターンオーバーラインは図2のL1からL2へと移動するため、踏み込み操作に従ってブレーキペダル2にはアシストスプリング9による踏み込み方向への徐々に増加するアシスト力が付与される。しかし、搖動軸中心Oからアシストスプリング9のブレーキペダル側係止点P2,P2’までの距離r2が小さく設定されているので、そのアシスト力は比較的弱いものとなっている。
【0030】
3)ブレーキペダル2が開放状態にあるときクラッチペダル1を踏み込み操作する場合:
この場合のクラッチペダル1の踏み込みストロークに対する踏力の変化は図3にカーブC1(通常時)にて示されるが、図示のようにクラッチペダル1の踏み込みストロークがターンオーバーラインL1に達するまではクラッチペダル1には踏み込み操作に従ってアシストスプリング9から徐々に減少するリターン力が作用する。そして、クラッチペダル1の踏み込みストロークがターンオーバーラインL1を超えるとアシストスプリング9に発生する力の方向が逆転し、クラッチペダル1には踏み込み操作に従ってこれを踏み込み方向に付勢する徐々に増加するアシスト力が作用し、このアシスト力分だけ踏力が減少して乗員の負担が軽減される。
【0031】
又、このとき、ブレーキペダル2にはアシストスプリング9から開放方向の弱いリターン力が作用し、該ブレーキペダル2は開放状態(初期状態)が維持される。
【0032】
4)ブレーキペダル2を踏み込んだ状態でクラッチペダル1を踏み込み操作する場合:
この場合のクラッチペダル1の踏み込みストロークに対する踏力の変化は図3にカーブC2にて示されるが、前述のようにブレーキペダル2を踏み込むとターンオーバーラインはL1からL2へとターンオーバーラインよりも反踏み込み側のストロークが増加する方向に移動するため、アシストスプリング9に発生する力の方向が逆転してクラッチペダル1にアシスト力が作用するタイミングが遅れる。従って、ブレーキペダル2が開放状態にあってクラッチペダル1を単独で踏み込む場合(図3のカーブC1参照)よりも大きなリターン力がクラッチペダル1に作用する。このため、ブレーキペダル2を踏み込んだままクラッチペダル1がリターン方向(反踏み込み方向)に搖動して元の初期位置に復帰する場合には、該クラッチペダル1には大きなリターン力が作用することになり、筒状ボス4からクラッチペダル軸5に負荷される摩擦力にリターン力が打ち勝ってクラッチペダル1が元の初期位置に確実に戻る。
【0033】
又、クラッチペダル1がターンオーバーラインよりも反踏み込み側に位置するとき、ブレーキペダル2にはアシストスプリング9から踏み込み方向に弱いアシスト力が作用している。
【0034】
5)クラッチペダル1を踏み込んだ状態でブレーキペダル2を踏み込み操作する場合:
この場合は、アシストスプリング9からクラッチペダル1に踏み込み方向へブレーキペダル2の踏み込み操作に従って徐々に弱くなるアシスト力が作用し、ブレーキペダル2にはその踏み込み操作に従って徐々に弱くなるリターン方向へのリターン力が作用する。
【0035】
以上のように、本発明に係るペダル装置によれば、乗員の踏み込み操作によるクラッチペダル1とブレーキペダル2の相対的な位置の変化に応じて、両ペダル1,2の操作力を変化させることができる。具体的には、アシストスプリング9の一端をクラッチペダル1側に係止し、他端をブレーキペダル2側に係止したため、クラッチペダル1のリターン力やアシスト力をブレーキペダル2の操作状態に応じて変化させることができ、リターンスプリングのリターン力が不足するためにクラッチペダル1が摩擦力によって元の初期位置まで戻り切らない等の不具合の発生が防がれる。即ち、ブレーキペダル2を強く踏み込んだ状態でクラッチペダル1を操作する際、ブレーキペダル2の踏み込みによってターンオーバーラインがL1からL2に変動してクラッチペダル1のリターン力が増大するため、ブレーキペダル2を強く踏み込んだ際に筒状ボス4からクラッチペダル軸5に負荷される摩擦力にリターン力が打ち勝ってクラッチレバー1を元の初期位置に確実に戻すことができる。
【0036】
又、本発明では、クラッチペダル1とブレーキペダル2の揺動軸中心Oからアシストスプリング9のクラッチペダル側係止点P1とブレーキペダル側係止点P2,P2’までの距離r1,r2が異なるため、アシストスプリング9のクラッチペダル側係止点P1とブレーキペダル側係止点P2,P2の位置によってアシストスプリング9によるクラッチペダル1とブレーキペダル2の踏力への影響をクラッチペダル1とブレーキペダル2毎に容易に変更することができる。
【0037】
そして、本実施の形態では、クラッチペダル1の踏み込み操作ストロークをブレーキペダル2の踏み込み操作ストロークよりも大きく設定し、図2に示すように、クラッチペダル1とブレーキペダル2の揺動軸中心Oからアシストスプリング9のクラッチペダル側係止点P1’までの距離r1の方が揺動軸中心Oからアシストスプリング9のブレーキペダル側係止点P2,P2’までの距離r2よりも大きくなるよう設定したため、踏み込み操作ストロークがブレーキペダル2の位置を基準としてターンオーバー機構を容易且つコンパクトに構成することができ、ターンオーバー機構によってクラッチペダル1とブレーキペダル2の操作性が高められる。
【0038】
尚、本実施の形態では、クラッチペダル1に結着されたブラケット8とブレーキペダル2の筒状ボス4に突設されたブラケット4aにアシストスプリング9を係止する簡単な構成を採用したが、レイアウト等の関係から、リンクを利用してアシストスプリング9を別の位置に配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係るペダル装置の要部斜視図である。
【図2】図1の矢視A方向(搖動軸方向)の図である。
【図3】本発明に係るペダル装置における踏み込み操作ストロークに対するクラッチペダルの踏力の変化を示す図である。
【図4】従来のペダル装置の斜視図である。
【図5】従来のペダル装置の分解斜視図である。
【図6】従来のターンオーバー機構付きペダル装置の斜視図である。
【図7】図6の矢視B方向の図である。
【符号の説明】
【0040】
1 クラッチペダル
1a クラッチペダルのレバー部
1b クラッチレバーのペダル部
2 ブレーキペダル
2a ブレーキペダルのレバー部
2b ブレーキレバーのペダル部
3 ペダルブラケット
4 筒状ボス
4a ブラケット
5 クラッチペダル軸
6,7 リターンスプリング
8 ブラケット
9 アシストスプリング
L1,L2 ターンオーバーライン
O 揺動軸中心
P1 アシストスプリングのクラッチペダル側係止点
P2,P2’ アシストスプリングのブレーキペダル側係止点
r1 揺動軸中心からクラッチペダル側係止点までの距離
r2 揺動軸中心からブレーキペダル側係止点までの距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員による踏み込み操作によってペダルブラケットに軸支された揺動軸を中心として揺動するクラッチペダルとブレーキペダルを備えるとともに、クラッチペダル又はブレーキペダルを戻り方向に付勢するアシストスプリングを設けて成る車両のペダル装置において、
前記アシストスプリングの一端を前記クラッチペダル側に係止し、他端を前記ブレーキペダル側に係止したことを特徴とする車両のペダル装置。
【請求項2】
前記ブレーキペダルの揺動軸を筒状ボスで構成し、該筒状ボス内に前記クラッチペダルの揺動軸を回動可能に挿通させるとともに、筒状ボスに前記アシストスプリングの一端を係止したことを特徴とする請求項1記載の車両のペダル装置。
【請求項3】
前記クラッチペダルと前記ブレーキペダルの揺動軸中心から前記各ペダルの前記アシストスプリングからの力を受ける係止点までの距離が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の車両のペダル装置。
【請求項4】
前記クラッチペダルと前記ブレーキペダルの踏み込み操作ストロークを異ならせるとともに、踏み込み操作ストロークが大きい側のペダルの揺動軸中心から前記係止点までの距離を他側のペダルのそれよりも長く設定したことを特徴とする請求項3記載の車両のペダル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−43155(P2009−43155A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209723(P2007−209723)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】