説明

車両の側部構造

【課題】側突予知時に駆動手段にてロック機構を外方へ移動させて、スライドドアとシートとの間にエアバッグ展開用のスペースを確保し、これにより、エアバッグを確実に展開すると共に、大型のエアバッグを搭載することが可能となる車両の側部構造を提供する。
【解決手段】側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時に、ロック機構52を車両外方へ移動させる駆動手段59を設け、ロック機構52の外側への移動により拡張されたスライドドア11とシートとの間の空間にサイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の側突時にシートとスライドドアとの間に膨張展開するバッグ部を有するサイドエアバッグ装置を備えたような車両の側部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に車両の側突時には、サイドエアバッグが展開し、乗員を側面からの衝撃から保護するようになっているが、側突時には、その慣性力により、乗員がドアトリム側へ移動するので、乗員が着座するシートとドアトリムとの間の空間が狭くなり、サイドエアバッグの展開スペースが充分に確保できなかった。
このような問題点を解決するために、従来、特許文献1に開示されたドア装置が既に発明されている。
【0003】
この特許文献1に開示された従来構造は、ピストンとインフレータとを有する押出機構を設け、複数の押出機構をボディとドアとの間に介設して、側突が予測された時に、押出機構のピストンが車外側へ移動し、かつ、この状態で保持されることにより、フロントドアの全体を外方へ移動(いわゆる外出し)させ、側突時の衝撃を上記ピストンが塑性圧縮変形することで吸収して、フロントドアが乗員に接触するのを抑制すると共に、フロントドアとシートとの空間を拡張することができるバッグを膨張展開して乗員を保護するものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された従来構造においては、ピストンとインフレータとを有する複数の押出機構によりドアを外方へ移動させる構造であるから、大きな駆動力が必要不可欠となるだけでなく、装置が複雑化する問題点があった。
【0005】
一方、特許文献2には、フロントドアのヒンジを、車外側へ強制移動可能にする車両において、加速度センサが衝突を検知した時に、インフレータを作動させ、フロントドアのヒンジのロックを解徐して、フロントドアを強制的に外出しすることにより、ドアが衝突時のフロントピラーの変形を阻害することなく、フロントピラーへの衝撃を効果的に吸収し、緩和するように成したものである。
しかしながら、該特許文献2には、ドアを外側へ移動させることで、シートとドアとの間の空間を拡張する技術思想は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−96557号公報
【特許文献2】特開2001−163054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時に、スライドドアをピラーにロックするロック機構を車両外方へ移動させる駆動手段を設け、上記ロック機構の外側への移動により拡張されたスライドドアとシートとの間の空間にサイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成することで、側突予知時に上記駆動手段にてロック機構を外方へ移動させて、スライドドアとシートとの間にエアバッグ展開用のスペースを確保することができ、これにより、エアバッグを確実に展開することができると共に、従来よりも大型のエアバッグを搭載することが可能となる車両の側部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による車両の側部構造は、車体の側部に形成された乗降口と、該乗降口の前後に位置するピラーと、車両の前後方向に移動して上記乗降口を開閉するスライドドアと、該スライドドアの前後方向の移動を案内するレール部と、上記スライドドア側に設けられて上記レール部に沿って移動するドア支持部材と、乗降口を閉成するようスライドドアをピラーにロックするロック機構と、側突時に、シートとスライドドアとの間で膨張展開するバッグ部をもったサイドエアバッグ装置とを備えた車両の側部構造であって、側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時に、上記ロック機構を車両外方へ移動させる駆動手段を設け、上記ロック機構の外側への移動により拡張されたスライドドアとシートとの間の空間に上記サイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成したものである。
【0009】
上述のサイドエアバッグ装置のバッグ部は、シートのシートバックから展開するものであってもよく、また、シートのシートクッションから展開するものであってもよく、さらに、スライドドア側から展開するものであってもよく、あるいは、カーテンエアバッグであってもよい。
【0010】
上記構成によれば、上記駆動手段は、側突予知時にスライドドアをピラーにロックするところのロック機構を車両外方へ移動させて、スライドドアとシートとの間にエアバッグ展開用のスペースを確保する。
【0011】
そして、サイドエアバッグ装置のバッグ部は、ロック機構の外側への移動により拡張されたスライドドアとシートとの間の空間に展開するので、エアバッグが確実に展開して、乗員を保護することができると共に、従来よりも大型のエアバッグを搭載することが可能となる。
つまり、サイドエアバッグの展開スペースの確保と、大型のエアバッグ搭載との両立を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記ロック機構がスライドドアの前後両側に設けられており、上記乗降口の前後に位置するピラーと係合することでスライドドアを閉状態とするように構成され、上記駆動手段は前後のロック機構の少なくとも一方を車両外方へ移動させることで、スライドドアとシートとの間の空間を拡張し、該拡張された空間へサイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成したものである。
上記構成によれば、駆動手段でロック機構を車両外方へ移動させることにより、スライドドアを車両外方へ移動させることができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記ロック機構が乗降口前後のピラーまたはスライドドアに設けられ、上記駆動手段が上記ピラー内またはスライドドア内において作動することでスライドドアを車両外方へ移動させるものである。
上記構成によれば、駆動手段がピラー内またはスライドドア内に設けられるので、スライドドアの車両外方への移動(いわゆる外出し)を容易に行なうことができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記レール部は、乗降口の上側に配設される上部レールと、乗降口の下側に配設される下部レールとの少なくとも上下2つのレールを備え、上記レール部の前端部には、該レール部から車両外側に向けて延設される補助レール部を設け、側突予知時に、スライドドアの閉状態を維持させたロック機構が駆動手段により車両外側へ移動させられ、該ロック機構の車両外側への移動に伴って上記ドア支持部材が補助レール部に沿って移動することで該ロック機構を車両外側へ移動させるものである。
上記構成によれば、レール部の前端部に、該レール部から車両外側に向けて延設される補助レール部を設け、ドア支持部材を補助レール部に沿って移動すべく構成したので、スライドドア前側を確実に車両外側へ移動させることができる。
なお、補助レール部はドアとルーフサイドレールとの間の空間、またはドアとサイドシルとの間の空間を有効利用して設けることも可能となるので、スペースの有効利用を図ることもできる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記レール部は、乗降口の上側に配設される上部レールと、乗降口の下側に配設される下部レールの少なくとも上下2つのレールを備え、上記スライドドアは、アームおよびブラケットを介して上記レール部に支持されることにより車体側と連結されており、上記ブラケットには車幅方向に延びるガイド部が設けられ、側突予知時に、上記駆動手段によりロック機構が車両外側へ移動させられる時、上記ブラケットのガイド部に沿ってスライドドアが車両外側へ移動するように構成されたものである。
上述のガイド部は、車幅方向に延びるスリットであってもよく、または、車幅方向に延びる凹部や凸部であってもよい。
【0016】
上記構成によれば、上記ブラケットに対して車幅方向に延びるガイド部を設け、側突予知時にスライドドアをガイド部に沿って車両外側へ移動させるように構成したので、スライドドアを確実に車両外側へ移動させることができる。
なお、上記アームおよびブラケットはドアとルーフサイドレールとの間の空間、またはドアとサイドシルとの間の空間を有効利用して設けることも可能となるので、スペースの有効利用を図ることもできる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記駆動手段が、スライドドアの後側に設けられたロック機構を車両外方へ向けて移動させるように乗降口の後側のピラーに設けられており、側突予知時に、上記ロック機構の車両外方への移動に伴いドア支持部材が上記レール部に沿って車両外方へ移動するものである。
上記構成によれば、駆動手段がスライドドアの後側に設けられたロック機構を車両外方へ移動させるものであるから、移動させるための力が少なくて済む。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記駆動手段が、スライドドアの前後に設けられたロック機構を車両外方へ向けて移動させるように乗降口の前後の各ピラーに設けられており、側突予知時に、上記ロック機構の車両外方への移動に伴い前側および後側のドア支持部材が上記レール部に沿って車両外方へ移動するものである。
上記構成によれば、駆動手段がスライドドアの前後に設けられた各ロック機構を車両外方へ移動させるものであるから、ドア全体を外側へ移動させることができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記スライドドアよりも後方の車体に設けられ、スライドドア後部の前後方向に移動を案内する中間レールと、上記スライドドアの後部に設けられ上記中間レールに沿って移動する後部支持部材とを備え、上記後部支持部材は、上記駆動手段によるロック機構の車両外方への移動に連動して中間レールとの係合状態を維持してスライドドア後部の車両外方への移動を許容するように構成したものである。
上記構成によれば、後部支持部材が中間レールと係合した状態(係合状態)を維持したまま、スライドドア後部の車両外方への移動(いわゆる外出し)が可能となる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記サイドエアバッグ装置のバッグ部はシートに着座した乗員の少なくとも胸部から腰部までを覆うものである。
上記構成によれば、ロック機構の外側への移動により拡張されたスライドドアとシートとの間の空間に展開するサイドエアバッグ装置のバッグ部は、シート着座乗員の胸部から腰部までを覆うので、側突時において乗員を確実に保護することができると共に、従来よりも大型のエアバッグを搭載することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時に、スライドドアをピラーにロックするロック機構を車両外方へ移動させる駆動手段を設け、上記ロック機構の外側への移動により拡張されたスライドドアとシートとの間の空間にサイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成したので、側突予知時に上記駆動手段にてロック機構を外方へ移動させて、スライドドアとシートとの間にエアバッグ展開用のスペースを確保することができ、これにより、エアバッグを確実に展開することができると共に、従来よりも大型のエアバッグを搭載することが可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の車両の側部構造を示す概略平面図
【図2】スライドドアを用いた状態で示す車両の側面図
【図3】サイドエアバッグの展開状態を示す系統図
【図4】アッパレールとアッパローラとの関連構造を示す正面図
【図5】センタレールとセンタローラとの関連構造を示す正面図
【図6】ロアレールとロアローラとの関連構造を示す正面図
【図7】ドア前部のラッチとストライカとの係合状態を示す平面図
【図8】ドア後部のラッチとストライカとの係合状態を示す平面図
【図9】スライドドア外出し時の平面図
【図10】スライドドア外出し時の平面図
【図11】各レールとスライドドアとの関係を示す平面図
【図12】ドア前部のラッチとストライカとの係合状態の他の実施例を示す平面図
【図13】図12のアクチュエータ駆動時の説明図
【図14】ドア後部にラッチとストライカとの係合状態の他の実施例を示す平面図
【図15】図14のアクチュエータ駆動時の説明図
【図16】(a)はブラケット組付け時の平面図、(b)はブラケットの分解平面図
【図17】(a)はブラケット組付け時の平面図、(b)はブラケットの分解平面図
【図18】ドア前部のラッチとストライカとの係合状態の他の実施例を示す平面図
【図19】図18のアクチュエータ駆動時の説明図
【図20】各レールとスライドドアとの関係を示す平面図
【図21】比較例を示す平面図
【図22】アッパレールの他の実施例を示す平面図
【図23】図22のドア外出し時の説明図
【図24】ドア支持部材の他の実施例を示すスライドドア閉成途中の平面図
【図25】スライドドア完全閉成時の平面図
【図26】スライドドア外出し時の平面図
【図27】ドア支持部材のさらに他の実施例を示すスライドドア閉成途中の平面図
【図28】後部支持部材の構成を示す平面図
【図29】後部支持部材の分解平面図
【図30】図28のドア外出し時の説明図
【図31】ドア前部のストライカとラッチとの係合状態の他の実施例を示す平面図
【図32】図31のアクチュエータ駆動時の説明図
【図33】ドア前部のラッチとストライカとの係合状態のさらに他の実施例を示す平面図
【図34】図33のアクチュエータ駆動時の説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
スライドドアとシートとの間にエアバッグ展開用のスペースを確保し、エアバッグを確実に展開するという目的を、車体の側部に形成された乗降口と、該乗降口の前後に位置するピラーと、車両の前後方向に移動して上記乗降口を開閉するスライドドアと、該スライドドアの前後方向の移動を案内するレール部と、上記スライドドア側に設けられて上記レール部に沿って移動するドア支持部材と、乗降口を閉成するようスライドドアをピラーにロックするロック機構と、側突時に、シートとスライドドアとの間で膨張展開するバッグ部をもったサイドエアバッグ装置とを備えた車両の側部構造において、側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時に、上記ロック機構を車両外方へ移動させる駆動手段を設け、
上記ロック機構の外側への移動により拡張されたスライドドアとシートとの間の空間に上記サイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成することで実現した。
【実施例1】
【0024】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の側部構造を示すが、まず、図1、図2を参照して車両の全体構成概略的に説明する。
【0025】
図1に示すように、エンジンルーム1と車室2とを前後方向に仕切るダッシュパネル3を設けると共に、このダッシュパネル3の下部に連設されて車室2の底面を形成するフロアパネル4の上部には、それぞれシートクッションC、シートバックB、ヘッドレストHを有する左右のフロントシート5,6(1列目のシート)と、2列目の左右のリヤシート7,8と、3列目のリヤシート9とを配設している。
【0026】
図2に示すように、車体の側部に形成された後席乗員の乗降口10を、車両の前後方向に移動して開閉するスライドドア11(つまり、リヤドア)を設けると共に、図1に示すように、上述の乗降口10の前後にはセンタピラー12とリヤピラー13とを設けている。
なお、図1において14はトンネル部、図2において、15はフロントドアである。
【0027】
図2〜図6に示すように、上述のスライドドア11の前後方向の移動を案内するレール部としてのアッパレール16と、センタレール17と、ロアレール18とを設けている。但し、図3においてはアッパレール16配設部分およびロアレール18配設部分を若干誇大して示している。
上述のアッパレール16は、図4に示すようにルーフサイド部において、ルーフパネル20の下方部に位置するルーフレイン21に取付けられている。また、スライドドア11側に設けられて上述のアッパレール16に沿って移動するドア支持部材としてのアッパローラ22とブラケット23とを設けている。そして、このブラケット23に一体的に屈曲形成されたフランジ部23aがスライドドア11に直接取付けられるものである。
【0028】
なお、図4において、24はルーフパネルレイン、25はフレームサイドアウタ、26はルーフレールアウタ、27はフレームサイドインナ、28はフレームサイドレインである。
上述のセンタレール17は、図2、図5に示すように、リヤピラー13後部の車体外板に取付けられている。また、スライドドア11側に設けられて上述のセンタレール17に沿って移動するドア支持部材としてのセンタローラ29と各ブラケット30,31とを設けている。
【0029】
図5に示すように、センタローラ29側のブラケット30と、スライドドア11側のブラケット31とは、枢支軸としてのピン32で揺動可能に連結されており、ブラケット31に一体形成された上下のフランジ31a,31bがスライドドア11に直接取付けられるものである。
【0030】
図2に点線で示したように、上述のセンタレール17は、閉成状態のスライドドア11よりも後方の車体に設けられ、スライドドア11後部の前後方向の移動を案内する中間レールである。
【0031】
また、上述のセンタローラ29および各ブラケット30,31は、スライドドア11の後部に設けられて上述のセンタレールに沿って移動する後部支持部材である。
上述のロアレール18は、図6に示すように、サイドシル部において、サイドシルインナ33の上片下面に接合固定されたスライドレールボックス34の上片部下面に取付けられている。また、スライドドア11側に設けられて上述のロアレール18に沿って移動するドア支持部材としてのロアローラ35と、各ブラケット36,37とを設けている。
【0032】
図6に示すように、ロアローラ35側のブラケット36と、スライドドア11側のブラケット37とは、枢支軸38で揺動可能に連結されており、ブラケット37に一体的に屈曲形成されたフランジ部37aがスライドドア11に直接取付けられるものである。
【0033】
一方、図3において、上述のスライドドア11はアウタパネル39とインナパネル40とを有し、インナパネル40の車室側にはドアトリム41を配設すると共に、このドアトリム41にはアームレスト部41aを一体的に形成している。
【0034】
また、図3に示すように、2列目左側のリヤシート7のシートバックB内部には、正面視門形状のシートバックフレーム42を設け、このシートバックフレーム42の車幅方向外側の側片部にはインフレータ43を取付けて、このインフレータ43の作動時に、サイドエアバッグ装置44のバッグ部45を、図3に仮想線で示すように展開させるものである。
図3に示すように、上述のサイドエアバッグ装置44のバッグ部45は、リヤシート7に着座した乗員Xの少なくとも胸部から腰部までを覆うものであり、この実施例では、シート着座乗員Xの肩部、胸部、腰部を覆うように構成している。
【0035】
図3は車体構造の正面図と制御回路ブロック図とを併記した系統図であって、制御手段としてのCPU50は、側突センサまたは側突予知センサ46からの入力に基づいて、ROM47に格納されたプログラムに従って、インフレータドライバ48を介して上述のインフレータ43を駆動制御し、また、RAM49は必要なデータやマップを記憶する。
ここで、上述の側突予知センサ46としては他車両などの障害物との間の離間距離を検出するレーダを用いることができ、CPU50は離間距離の変化率を演算することで、側突を予知することができる。
【0036】
図7は、スライドドア11の前部とセンタピラー12との関係構造を示す平面図である。
スライドドア11のインナパネル40のドア内部空間側にはレインフォースメント51を配設して、ドア剛性の向上を図っている。
上述のレインフォースメント51によりドア剛性が高められた部位(ドア前部)には、ラッチ52を備えたラッチユニット53を取付けている。
【0037】
一方、上述のセンタピラー12は、図7に示すように、センタピラーアウタ54と、センタピラーレインフォースメント55と、センタピラーインナ56とを接合して、上下方向に延びるセンタピラー閉断面57を備えた車体剛性部材であって、上述のセンタピラーレインフォースメント55にはアクチュエータボックス58を強固に取付け、このアクチュエータボックス58内にはインフレータ作動タイプのアクチュエータ59を設け、このアクチュエータ59にはストライカ60を一体形成している。ここで、センタピラーレインフォースメント55のアクチュエータボックス取付け部55bは、その車幅方向外側が前方に位置し、車幅方向内側が後方に位置するようにスラント状に形成されている。
【0038】
図7に示すように、上述のストライカ60はセンタピラーアウタ54の車外側に位置して、スライドドア11側のラッチ52と係合するものである。
このラッチ52は、乗降口10(図2参照)を閉成するようにスライドドア11の前部をセンタピラー12にロックするロック機構である。
また、上述のアクチュエータ59は、側方からの所定以上の荷重(側突荷重)の入力が予知された側突予知時に、ロック機構としてのラッチ52を車両外方へ移動させる駆動手段である。
【0039】
図7に示すように、ラッチ52がストライカ60に係合した状態下において、各要素59,60,52は、アッパレール16およびロアレール18前部の配設方向に沿うように配置されている。
【0040】
図8は、スライドドア11の後部とリヤピラー13との関係構造を示す平面図である。
図8は、スライドドア11の後側には、ラッチ61を備えたラッチユニット62を取付けている。
【0041】
一方、上述のリヤピラー13は、同図に示すように、リヤピラーアウタ63と、リヤピラーレインフォースメント64と、リヤピラーインナ65とを接合して、上下方向に延びるリヤピラー閉断面66を備えた車体剛性部材であって、上述のリヤピラーレインフォースメント64にはアクチュエータボックス67を強固に取付け、このアクチュエータボックス67内にはインフレータ作動タイプのアクチュエータ68を設け、このアクチュエータ68にはストライカ69を一体形成している。
【0042】
図8に示すように、上述のストライカ69はリヤピラーアウタ63の開口部63aから車両前方かつ車外側へ導出されており、スライドドア11側のラッチ61と係合するものである。
このラッチ61は、乗降口10(図2参照)を閉成するようにスライドドア11の後部をリヤピラー13にロックするロック機構である。
【0043】
また、上述のアクチュエータ68は、側方からの所定以上の荷重(側突荷重)の入力が予知された側突予知時に、ロック機構としてのラッチ61を車両外方へ移動させる駆動手段である。
【0044】
図8に示すように、上述のアクチュエータ68の駆動方向は、センタレール17前部の配設方向に沿うように配置されている。
つまり、この実施例1においては、図7、図8に示すように、上記ロック機構としてのラッチ52,61がスライドドア11の前後両側に設けられており、上記乗降口10の前後に位置するセンタピラー12、リヤピラー13と係合することでスライドドア11を閉状態とするように構成され、上記駆動手段としてのアクチュエータ59,68は前後のラッチ52,61の少なくとも一方(この実施例では両方)を車両外方へ移動させることで、スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張し、該拡張された空間へ図3に示すサイドエアバッグ装置44のバッグ部45を展開させるように構成したものである。
【0045】
また、上記ロック機構としてのラッチ52,61が乗降口10前後のピラーまたはスライドドア(この実施例ではスライドドア11)に設けられ、上記駆動手段としてのアクチュエータ59,68が上記ピラー内またはスライドドア内(この実施例ではピラー12,13内)において作動することで上記ラッチ52,61を車両外方へ移動させるものである。
【0046】
さらに、上記駆動手段としてのアクチュエータ68が、スライドドア11の後側に設けられたラッチ61を車両外方へ向けて移動させるように乗降口10の後側のピラー(リヤピラー13)に設けられており、側突予知時に、上記ラッチ61の車両外方への移動に伴いドア支持部材(ローラ22,29,35、ブラケット23,30,31,36,37)が上記レール部(アッパレール16、センタレール17、ロアレール18参照)に沿って車両外方へ移動するように構成したものである。
【0047】
ところで、上述のアッパレール16、センタレール17、ロアレール18は、図11に平面図で示すように、これら各レール16,17,18の前部が車両前方かつ車幅方向内方に向けて指向するように形成されている。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0048】
このように構成した車両の側部構造の作用を、以下に説明する。
図3に示す側突予知センサ46が側突を予知すると、CPU50はアクチュエータ駆動用のインフレータドライバ(図示せず)を介してアクチュエータ用のインフレータ(図示せず)を駆動するので、図7、図8に示す各アクチュエータ59,68は、図7、図8の状態から図9、図10に示すように駆動され、各ストライカ60,69にラッチ52,61を係合した状態のままで、これら各ラッチ52,61を車両外方、詳しくは、斜め後方かつ車外側へ移動させる。
【0049】
この結果、スライドドア11は、図11に示すように各ローラ22,29,35が対応するそれぞれのレール16,17,18に噛み合った状態を維持しつつ、各レール16,17,18に沿って図11に実線で示す閉成状態から同図に仮想線αで示すように車両外方へ移動し、スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張する。
【0050】
そして、図3に示すように、ラッチ52,61の外側への移動により拡張されたスライドドア11とリヤシート7との間の空間(拡張空間)に、サイドエアバッグ装置44のバッグ部45が展開され、このバッグ部45で、シート着座乗員Xの肩部乃至胸部から腰部までを覆い、側突荷重入力に対して該乗員Xを保護するものである。
【0051】
このように、図1〜図11で示した実施例の車両の側部構造(請求項1、2、3、6、9に相当)は、車体の側部に形成された乗降口10と、該乗降口10の前後に位置するピラー(センタピラー12、リヤピラー13参照)と、車両の前後方向に移動して上記乗降口10を開閉するスライドドア11と、該スライドドア11の前後方向の移動を案内するレール部(アッパレール16、ロアレール18参照)と、上記スライドドア11側に設けられて上記レール部(アッパレール16、ロアレール18)に沿って移動するドア支持部材(各ローラ22,35、各ブラケット23,36,37参照)と、乗降口10を閉成するようスライドドア11をピラー(センタピラー12,リヤピラー13)にロックするロック機構(ラッチ52,61)と、側突時に、リヤシート7とスライドドア11との間で膨張展開するバッグ部45をもったサイドエアバッグ装置44とを備えた車両の側部構造であって、側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時に、上記ロック機構(ラッチ52,61)を車両外方へ移動させる駆動手段(アクチュエータ59,68参照)を設け、上記ロック機構(ラッチ52,61)の外側への移動により拡張されたスライドドア11とリヤシート7との間の空間に上記サイドエアバッグ装置44のバッグ部45を展開させるように構成したものである(図2、図3、図7、図8、図11参照)。
【0052】
この構成によれば、上記駆動手段(アクチュエータ59,68)は、側突予知時にスライドドア11をピラー(センタピラー12,リヤピラー13)にロックするところのロック機構(ラッチ52,61)を車両外方へ移動させて、スライドドア11とリヤシート7との間にエアバッグ展開用のスペースを確保する。
【0053】
そして、サイドエアバッグ装置44のバッグ部45は、ロック機構(ラッチ52,61)の外側への移動により拡張されたスライドドア11とリヤシート7との間の空間に展開するので、エアバッグが確実に展開して、乗員を保護することができると共に、従来よりも大型のエアバッグを搭載することが可能となる。
つまり、サイドエアバッグの展開スペースの確保と、大型のエアバッグ搭載との両立を図ることができる。
【0054】
また、上記ロック機構(ラッチ52,61)がスライドドア11の前後両側に設けられており、上記乗降口10の前後に位置するピラー(センタピラー12,リヤピラー13)と係合することでスライドドア11を閉状態とするように構成され、上記駆動手段(アクチュエータ59,68)は前後のロック機構(ラッチ52,61)の少なくとも一方(この実施例1では両方)を車両外方へ移動させることで、スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張し、該拡張された空間へサイドエアバッグ装置44のバッグ部45を展開させるように構成したものである(図2、図3、図9、図10参照)。
この構成によれば、駆動手段(アクチュエータ59,68)でロック機構(ラッチ52,61)を車両外方へ移動させることにより、スライドドア11を車両外方へ移動させることができる。
【0055】
さらに、上記ロック機構(ラッチ52,61)が乗降口10前後のピラーまたはスライドドア(この実施例1ではスライドドア11)に設けられ、上記駆動手段(アクチュエータ59,68)が上記ピラー内またはスライドドア内(この実施例1では各ピラー12,13内)において作動することで上記スライドドア11を車両外方へ移動させるものである(図2、図7、図8参照)。
この構成によれば、駆動手段(アクチュエータ59,68)がピラー内またはスライドドア内(実施例1では各ピラー12,13内)に設けられるので、スライドドア11の車両外方への移動(いわゆる外出し)を容易に行なうことができる。
【0056】
加えて、上記駆動手段(アクチュエータ68)が、スライドドア11の後側に設けられたロック機構(ラッチ61)を車両外方へ向けて移動させるように乗降口10の後側のピラー(リヤピラー13)に設けられており、側突予知時に、上記ロック機構(ラッチ61)の車両外方への移動に伴いドア支持部材(各ローラ22,35、各ブラケット23,36,37)が上記レール部(アッパレール16,ロアレール18)に沿って車両外方へ移動するものである(図8、図10、図11参照)。
この構成によれば、駆動手段(アクチュエータ68)がスライドドア11の後側に設けられたロック機構(ラッチ61)を車両外方へ移動させるものであるから、移動させるための力が少なくて済む。
【0057】
さらに、上記サイドエアバッグ装置44のバッグ部45はシートに着座した乗員Xの少なくとも胸部から腰部までを覆うものである。
この構成によれば、ロック機構(ラッチ52,61)の外側への移動により拡張されたスライドドア11とリヤシート7との間の空間に展開するサイドエアバッグ装置44のバッグ部45は、シート着座乗員Xの胸部から腰部までを覆うので、側突時において乗員を確実に保護することができると共に、従来よりも大型のエアバッグを搭載することができる。
【実施例2】
【0058】
図12、図13はスライドドア11前部のラッチ52と、センタピラー12側のストライカ60との関連構造の他の実施例を示すものである。
図7、図9で示した先の実施例1においては、ストライカ60をアクチュエータ59と一体または一体的に形成したが、図12、図13で示すこの実施例2においては、ストライカ60とアクチュエータ59とを別体にて構成し、これらの組付け性の向上を図るものである。
【0059】
すなわち、センタピラー12におけるセンタピラーアウタ54のラッチ52と対向する部分には開口部54a(図13参照)を形成し、この開口部54aをストライカプレート70で覆うと共に、このストライカプレート70に上述のストライカ60を取付けたものである。
【0060】
また、上述のストライカプレート70は開口部54aの口縁に仮溶接手段で接合固定されると共に、アクチュエータ59の押圧片59aを、該ストライカプレート70の前面部に当接されている。
そして、側突予知時に上述のアクチュエータ59が図12に示す状態から図13に示すように車外側かつ斜め後方に移動することで、その押圧片59aにてストライカプレート70を押圧し、このストライカプレート70の仮溶接を外して、該ストライカプレート70とストライカ60とを一体的に斜め後方に押圧し、ストライカ60と係合したラッチ52を車両外方へ移動させ、スライドドア11を各レール16,17,18に沿って外出し移動して、該スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張するものである。
【0061】
図12、図13で示すこの実施例2においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1と同様であるから、図12、図13において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例3】
【0062】
図14、図15はスライドドア11後部のラッチ61と、リヤピラー13側のストライカ69との関連構造の他の実施例を示すものである。
【0063】
図8、図10で示した先の実施例1においては、ストライカ69をアクチュエータ68と一体または一体的に形成したが、図14、図15に示すこの実施例3においては、ストライカ69とアクチュエータ68とを別体にて構成したものである。
【0064】
すなわち、リヤピラー13におけるリヤピラーアウタ63のラッチ61と対向する部分には開口部63a(図15参照)を形成し、この開口部63aをストライカプレート71で覆うと共に、このストライカプレート71のリヤ側面とアクチュエータ68の押圧片68aとを、剛性連結部材72で連結し、さらに、上述のストライカプレート71をリヤピラー13側に仮溶接にて取付けたものである。
【0065】
そして、側突予知時に上述のアクチュエータ68が図14に示す状態から図15に示すように車外側かつ斜め後方に移動することで、その押圧片68aにて連結部材72を介してストライカプレート71に移動力を付加し、該ストライカプレート71の仮溶接を外して、このストライカプレート71とストライカ69とを一体的に斜め後方に押圧し、ストライカ69と係合したラッチ61を車両外方へ移動させ、スライドドア11を各レール16,17,18に沿って外出し移動して、該スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張するものである。
【0066】
図14、図15に示すこの実施例3においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例1と同様であるから、図14、図15において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例4】
【0067】
図16〜図20は車両の側部構造の他の実施例を示すものである。
先の実施例1においては側突予知時にスライドドア11をレール16,17,18の前部の配設形状に沿って斜め後方に外出しするように構成したが、図16〜図20で示すこの実施例においては側突予知時にスライドドア11を車幅方向外方へ略直横に向けて外出しするように構成したものである。
【0068】
図16はアッパローラ22を備えたブラケット23を示し、図16の(b)に示すように該ブラケット23を車幅方向内側のインナブラケット23Aと、車幅方向外側のアウタブラケット23Bとに2分割し、これら両ブラケット23A,23Bを剛性を有する支軸73と、スライドドア11の外出し時にのみ破断される樹脂ピンや小径ビスなどの軸部材74とで図16の(a)に示すように一体連結したものである。
【0069】
これら両ブラケット23A,23Bには支軸73および軸部材74を取付けるための開口部23b,23c,23d,23eが形成される一方、アウタブラケット23Bの前部にはラバーストッパ75が取付けられている。
【0070】
図17はロアローラ35を備えたブラケット36,37を示し、これらの各ブラケット36,37のうちスライドドア11側のブラケット37を、図17の(b)に示すように車幅方向内側のインナブラケット37Aと、車幅方向外側のアウタブラケット37Bとに2分割し、これら両ブラケット37A,37Bを剛性を有する支軸76と、スライドドア11の外出し時にのみ破断される樹脂ピンや小径ビスなどの軸部材77とで図17の(a)に示すように一体連結したものである。
これら両ブラケット37A,37Bには支軸76および軸部材77を取付けるための開口部37b,37c,37d,37eが開口形成されている。
【0071】
図18はセンタピラー12とスライドドア11前部とのロック構造を示す平面図で、この実施例4では、側突予知時にスライドドア11を車外側略真横方向へ外出しするので、センタピラー閉断面57内にはアクチュエータ59を車幅方向に向けて配設している。つまり、この実施例4においては、アクチュエータボックス取付け部55bを車両前後方向に向けて形成している。
また、センタピラーアウタ54には開口部54a(図19参照)を形成し、この開口部54aを覆うようにストライカプレート70を取付け、該ストライカプレート70は開口部54aの口縁に仮溶接にて接合固定している。
【0072】
さらに、ストライカプレート70の車幅方向内側面にはアクチュエータ59の押圧片59aを当接する一方、該ストライカプレート70のラッチ52と対向する面にはストライカ60を取付けている。なお、スライドドア11後部のラッチ61と、リヤピラー13側のアクチュエータ68、ストライカ69との構成については先の実施例1と同様である。
図20は各レール16,17,18とスライドドア11との関連構造を示す平面図である。
【0073】
この実施例4において、側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時には、アクチュエータ59が図18に示す状態から図19に示すように車幅方向略真横外方に移動することで、その押圧片59aにてストライカプレート70に移動力を付加し、該ストライカプレート70の仮溶接を外して、このストライカプレート70とストライカ60とを一体的に略真横外方に押圧し、ストライカ60と係合したラッチ52を車両外方へ移動させ、また、リヤピラー13側においてもアクチュエータ68(図10参照)が作動するので、スライドドア11は車外側へ移動して、該スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張する。
【0074】
この場合、図20に平面図で示すように、アッパローラ22を支持したインナブラケット23Aは軸部材74(図16参照)を破断して、支軸73を中心として後方へ回動し、ロアローラ35側のインナブラケット37Aは軸部材77(図17参照)を破断して、支軸76を中心として後方へ回動するので、スライドドア11は、図20に仮想線βで示すように、略真横外方へ外出しされる。
【0075】
図21はブラケット23,37を非分割構造と成した比較例を示す平面図であって、図20に示す実施例4と図21に示す比較例との対比において、この実施例4ではスライドドア11外出し時のセンタピラー12とスライドドア11との間の隙間が小さくなり、車外から危険物が侵入するリスクの改善を図ることができると共に、スライドドア11とセンタピラー12との側面視におけるオーバラップ量OL2が、比較例のオーバラップ量OL1に対して大きくなり(OL2>OL1)、側突エネルギのセンタピラー12への伝達効率の改善を図ることができる。なお、図示の便宜上、図21においても図20と同一の部分には同一符号を付している。
【0076】
ここで、上述の軸部材74,77は、スライドドア11の非側突時における通常の開閉動作の際に、各ブラケット23A,23Bおよび37A,37Bが不所望に回動することを禁止(抑制)して、円滑なスライドドア11の開閉を確保する。
【0077】
このように、図16〜図20で示した実施例4(請求項7に相当)においては、上記駆動手段(アクチュエータ59,68参照)が、スライドドア11の前後に設けられたロック機構(ラッチ52,61参照)を車両外方へ向けて移動させるように乗降口10の前後の各ピラー(センタピラー12,リヤピラー13参照)に設けられており、側突予知時に、上記ロック機構(ラッチ52,61)の車両外方への移動に伴い前側および後側のドア支持部材(各ローラ22,29,35、各ブラケット23A,23B,30,31,36,37A,37B参照)が上記レール部(各レール16,17,18参照)に沿って車両外方へ移動するものである(図10、図20参照)。
この構成によれば、駆動手段(アクチュエータ59,68)がスライドドア11の前後に設けられた各ロック機構(ラッチ52,61)を車両外方へ移動させるものであるから、ドア全体を外側へ移動させることができる。
【0078】
図16〜図20で示したこの実施例4においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例1と同様であるから、図16〜図20において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例5】
【0079】
図22、図23はアッパレール16と、アッパローラ22を支持したブラケット23との関連構造の他の実施例を示すものである。
図22に示すように、アッパレール16の前端部には、該前端部から車両外側、詳しくは車幅方向外方の真横方向に向けて延設される補助レール部78を設けたものである。
【0080】
この実施例5においては、センタピラー12側のアクチュエータ59およびストライカ60と、スライドドア11側のラッチ52としては、例えば、図18、図19で示した実施例4の構成を採用することができる。
このため、実施例5においては、側突予知時に、アクチュエータ59が図18に示す状態から図19に示すように車幅方向略真横外方に移動することで、その押圧片59aにてストライカプレート70に移動力を付加し、該ストライカプレート70の仮溶接を外して、このストライカプレート70とストライカ60とを一体的に略真横外方に押圧し、ストライカ60と係合したラッチ52を車両外方へ移動させ、また、リヤピラー13側においてもアクチュエータ68(図10参照)が作動するので、スライドドア11は車外側へ移動して、該スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張する。
【0081】
この場合、アッパレール16の前端部に位置するアッパローラ22は、図22に示す状態から図23に示すように、補助レール部78に沿って車両外側真横方向に移動するので、上述のラッチ52およびスライドドア11を車両外側へ円滑に移動させることができる。
【0082】
このように、図22、図23で示した実施例5(請求項4に相当)は、上記レール部は、乗降口10の上側に配設される上部レール(アッパレール16)と、乗降口10の下側に配設される下部レール(ロアレール18)との少なくとも上下2つのレール16,18を備え、上記レール部(アッパレール16参照)の前端部には、該レール部から車両外側に向けて延設される補助レール部78を設け、側突予知時に、スライドドア11の閉状態を維持させたロック機構(図18のラッチ52参照)が駆動手段(同図のアクチュエータ59参照)により車両外側へ移動させられ、該ロック機構(ラッチ52)の車両外側への移動に伴って上記ドア支持部材(アッパローラ22,ブラケット23参照)が補助レール部78に沿って移動することで該ロック機構(ラッチ52)を車両外側へ移動させるものである(図22、図23参照)。
【0083】
この構成によれば、レール部(アッパレール16参照)の前端部に、該レール部から車両外側に向けて延設される補助レール部78を設け、ドア支持部材(各要素22,23参照)を補助レール部78に沿って移動すべく構成したので、スライドドア11前側を確実に車両外側へ移動させることができる。
なお、補助レール部78はスライドドア11とルーフサイドレールとの間の空間を有効利用して設けることも可能となるので、スペースの有効利用を図ることもできる。
【0084】
図22、図23においてはアッパローラ22を案内するアッパレール16側の構成のみを示したが、この構成はロアローラ35を案内するロアレール18側の構成にも採用することができ、この場合には、補助レール部をスライドドア11とサイドシルとの間の空間を有効利用して設けることも可能となるので、アッパレール16側と同様にして、スペースの有効利用を図ることもできる。
図22、図23で示したこの実施例5においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図22、図23において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例6】
【0085】
図24、図25、図26はアッパレール16と、アッパローラ22を支持するドア支持部材との関連構造のさらに他の実施例を示すものである。
この実施例では、上述のドア支持部材は、アッパレール16で案内されるアッパローラ22と、このアッパローラ22を支持したアーム79と、該アーム79とスライドドア11との間に設けられるブラケット80と、一端前部にラバーストッパ75を備えた平面視L字状のリンク81とを備えている。
【0086】
上述のブラケット80には、車幅方向に延びる少なくとも1条、望ましくは複数条のガイド部として2条のスリット80a,80aが平行に形成されており、アーム79に立設した軸82をスリット80aに挿通させると共に、軸82の上端には抜止め部材83を設けている。この場合、軸82、抜止め部材83は既存のボルトを用いて構成することができる。
【0087】
また、上述のリンク81は支軸84によりブラケット80に回動可能に枢支されると共に、リンク81の他端にはフック81aを一体形成し、かつ、リンク81に設けた図示しないスプリング等の付勢手段によりフック81aが抜止め部材83に係止する方向へ付勢している。
【0088】
さらに、ラバーストッパ75の車幅方向内側にはスラント部75aを形成し、図24に示すスライドドア11の閉成途中位置から、図25に示すようにスライドドア11を完全に閉成した時、該スラント部75aがセンタピラー12のセンタピラーアウタ54に当接して、リンク81は付勢手段の付勢力に抗して、支軸84を中心として回動し、フック81aを抜止め部材83から外すように構成している。
つまり、スライドドア11を閉じた時にのみフック81aが抜止め部材83から外れて、側突予知に備え、ブラケット80の2条のスリット80a,80aに沿う車両外側への移動が許容されるように構成したものである。
【0089】
この実施例6においては、センタピラー12側のアクチュエータ59およびストライカ60と、スライドドア11側のラッチ52としては、例えば、図18、図19で示した実施例4の構成を採用することができる。
このため、実施例6においては、側突予知時に、アクチュエータ59が図18に示す状態から図19に示すように車幅方向略真横外方に移動することで、その押圧片59aにてストライカプレート70に移動力を付加し、該ストライカプレート70の仮溶接を外して、このストライカプレート70とストライカ60とを一体的に略真横外方に押圧し、ストライカ60と係合したラッチ52を車両外方へ移動させ、また、リヤピラー13側においてもアクチュエータ68(図10参照)が作動するので、スライドドア11は車外側へ移動して、該スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張する。
【0090】
上述の駆動手段としてのアクチュエータ59によりラッチ52が車両外側へ移動させられる時(図19参照)、図25に示す状態から図26に示すように、ブラケット80の2条のスリット80a,80aに沿ってスライドドア11が車両外側へ移動するものである。
【0091】
このように、図24〜図26で示した実施例6(請求項5に相当)においては、上記レール部は、乗降口10の上側に配設される上部レール(アッパレール16)と、乗降口10の下側に配設される下部レール(ロアレール18)の少なくとも上下2つのレール16,18を備え、上記スライドドア11は、アーム79およびブラケット80を介して上記レール部(アッパレール16,ロアレール18参照)に支持されることにより車体側と連結されており、上記ブラケット80には車幅方向に延びるガイド部としてのスリット80a,80aが複数条設けられ、側突予知時に、上記駆動手段(図19のアクチュエータ59)によりロック機構(図19のラッチ52)が車両外側へ移動させられる時、上記ブラケット80のガイド部(スリット80a)に沿ってスライドドア11が車両外側へ移動するように構成されたものである。
【0092】
この構成によれば、上記ブラケット80に対して車幅方向に延びるガイド部(スリット80a)を設け、側突予知時にスライドドア11をガイド部(スリット80a)に沿って車両外側へ移動させるように構成したので、スライドドア11を確実に車両外側へ移動させることができる。
なお、上記アーム79およびブラケット80はスライドドア11とルーフサイドレールとの間の空間を有効利用して設けることも可能となるので、スペースの有効利用を図ることもできる。
【0093】
図24〜図26においては、アッパローラ22を案内するアッパレール16側の構成のみを示したが、この構成はロアローラ35に案内するロアレール18側の構成にも採用することができ、この場合には、アームおよびブラケットをスライドドア11とサイドシルとの間の空間を有効利用して設けることも可能となるので、アッパレール16側と同様に、スペースの有効利用を図ることもできる。
図24〜図26で示したこの実施例6においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図24〜図26において、前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例7】
【0094】
図27は図24の変形構造(他の実施例)を示すものであり、図24の実施例では平面視L字状のリンク81を用いたが、図27に示すこの実施例7では平面視略Z字状のリンク81を用いている。
【0095】
また、図27の実施例では、ラバーストッパ75のスラント部75aを廃止すると共に、支軸84を設ける位置を、実施例6(図24参照)のそれに対して車外側かつ前方位置に設定したものである。
このように構成すると、スライドドア11を閉じる時、ラバーストッパ75前面がセンタピラー12のセンタピラーアウタ54に当接した際のリンク81に生じる力が実施例6のそれに対して大きくなるものである。
【0096】
図27で示したこの実施例7においても、その他の構成、作用、効果については、図24〜図26で示した先の実施例6と同様であるから、図27において前図、特に、図24と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例8】
【0097】
図28、図29、図30は、スライドドア11の後部に設けられセンタレール17に沿って移動する後部支持部材の他の実施例を示すものである。
この実施例8においては、センタローラ29,29を支持する後部ブラケット85と、スライドドア11に直接取付けられる前部ブラケット86と、これら前後の各ブラケット86,85間に位置する中間ブラケット87と、の合計3つのブラケットを用いるものである。
【0098】
図29に示すように、後部ブラケット85には、支軸88と、スライドドア11の外出し時にのみ破断される樹脂ピンや小径ビスなどの軸部材89と、2つの円弧状のスリット90,91とを設けている。
【0099】
また中間ブラケット87には上述のスリット90,91内にそれぞれ位置する突起92,93を設けると共に、複数の開口部87a,87b,87cを形成している。
さらに前部ブラケット86には、中間ブラケット87の開口部87cと一致する開口部86aを形成している。
【0100】
図28に示すように、前部ブラケット86の開口部86aと、中間ブラケット87の開口部87cとに支軸94を挿入して、これら両ブラケット86,87を回動可能に連結している。
【0101】
また、後部ブラケット85の支軸88を中間ブラケット87の開口部87aに挿入し、後部ブラケット85の軸部材89を中間ブラケット87の開口部87bに挿入すると共に、中間ブラケット87側の2つの突起92,93が後部ブラケット85側のスリット90,91内に位置するように、これら両ブラケット85,87を組付けている。
上述の各ブラケット85,86,87と、2つのセンタローラ29,29とで後部支持部材95を構成し、この後部支持部材95をスライドドア11の後部に設け、そのセンタローラ29がセンタレール17に沿って移動するように構成したものである。
【0102】
この実施例8においては、リヤピラー13側のアクチュエータ68およびストライカ69と、スライドドア11側のラッチ61としては、例えば、図8、図10で示した実施例1の構成を採用することができる。
【0103】
このため、実施例8においては、側突予知時に、アクチュエータ68が図8に示す状態から図10に示すように車外側斜め後方に移動することで、ストライカ69とラッチ61とが係合した状態で該ラッチ61を車両外方へ移動させるので、スライドドア11は車外側へ移動して、該スライドドア11とリヤシート7との間の空間を拡張する。
この場合、アクチュエータ68の駆動力により、樹脂ピンや小径ビスなどから形成された軸部材89と支軸88とが破断されるので、中間ブラケット87はその2つの突起92,93がスリット90,91で案内されながら図28の状態から図30に示すように図示反時計方向へ回動するので、センタローラ29,29とセンタレール17との係合状態を維持したままスライドドア11の後部を車両外方へ移動させることができる。
【0104】
このように、図28〜図30で示した実施例8(請求項8に相当)においては、上記スライドドア11よりも後方の車体に設けられ、スライドドア11後部の前後方向に移動を案内する中間レール(センタレール17参照)と、上記スライドドア11の後部に設けられ上記中間レール(センタレール17)に沿って移動する後部支持部材95とを備え、上記後部支持部材95は、上記駆動手段(図10のアクチュエータ68)によるロック機構(図10のラッチ61参照)の車両外方への移動に連動して中間レール(センタレール17)との係合状態を維持してスライドドア11後部の車両外方への移動を許容するように構成したものである。
【0105】
この構成によれば、後部支持部材95が中間レール(センタレール17)と係合した状態(係合状態)を維持したまま、スライドドア11後部の車両外方への移動(いわゆる外出し)が可能となる。
【0106】
図28〜図30で示したこの実施例8においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図28〜図30において前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例9】
【0107】
図31、図32はセンタピラー12とスライドドア11前部との関連構造の他の実施例を示すものである。
図31に示すように、この実施例9においては、センタピラー閉断面57内のセンタピラーレインフォースメント55にラッチユニット53を設け、該センタピラーレインフォースメント55およびセンタピラーアウタ54には、それぞれ開口部55a,54aを形成している。
【0108】
また、スライドドア11のアウタパネル39にアクチュエータボックス58を取付け、アクチュエータ59に一体的に形成されたストライカ60を、ラッチ52と対向してスライドドア11前部に開口形成された開口部96から前方に導出し、ラッチ52とストライカ60との係合を可能としている。
【0109】
つまり、図31、図32で示すこの実施例9においては、上記ロック機構(ラッチ52)が乗降口10前後のピラーまたはスライドドアに設けられ(但し、図面においてはセンタピラー12側のラッチ52のみを示す)、上記駆動手段(アクチュエータ59)が上記スライドドア11内において作動することで、図32に示すように該スライドドア11を車両外方へ移動させるものである。
この構成によれば、駆動手段(アクチュエータ59)がスライドドア11内に設けられるので、スライドドア11の車両外方への移動(いわゆる外出し)を容易に行なうことができる。
【0110】
図31、図32で示したこの実施例9においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図31、図32において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【実施例10】
【0111】
図33、図34はセンタピラー12とスライドドア11前部との関連構造のさらに他の実施例を示すものである。
図33に示すように、この実施例10においては、スライドドア11側のラッチ52と対向するセンタピラー12の所定部位にストライカ60を設けるが、このストライカ60が締結されるセンタピラーアウタ54およびセンタピラーレインフォースメント55に加えて、センタピラー閉断面57内にはストライカブラケット97を配設し、これら三者54,55,97により剛性が高められた部位にストライカ60を強固に取付けている。
【0112】
また、スライドドア11のアウタパネル39にアクチュエータボックス58を取付け、アクチュエータ59の押圧片59aに一体的に取付けたラッチユニット53をスライドドア閉断面内に配置し、少なくともラッチ52をスライドドア11前部の開口部96から導出し、ラッチ52とストライカ60との係合を可能としている。
【0113】
つまり、図33、図34で示すこの実施例10(請求項3に相当)においては、上記ロック機構(ラッチ52)が乗降口10前後のスライドドア11(但し、図面ではスライドドア11前部のラッチ52のみを示す)に設けられ、上記駆動手段(アクチュエータ59)が上記スライドドア11内において作動することで、図34に示すように該スライドドア11を車両外方へ移動させるものである。
この構成によれば、駆動手段(アクチュエータ59)がスライドドア11内に設けられるので、スライドドア11の車両外方への移動(いわゆる外出し)を容易に行なうことができる。
【0114】
図33、図34で示したこの実施例10においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図33、図34において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0115】
なお、上記各実施例1〜10においては、2列目左側のリヤシート7と車両左側のスライドドア11(リヤドア)との間における車両の側部構造について説明したが、これは右側のリヤシート8と右側のスライドドアとの間における車両の側部構造にも適用することができる。
【0116】
この発明の構成と上述の実施例との対応において、
この発明のシートは、実施例のリヤシート7に対応し、
以下同様に、
ピラーは、センタピラー12、リヤピラー13に対応し
レール部は、上部レールとしてのアッパレール16、中間レールとしてのセンタレール17、下部レールとしてのロアレール18に対応し、
ドア支持部材は、アッパローラ22、ブラケット23、ロアローラ35、ブラケット36,37、アーム79、ブラケット80に対応し、
ロック機構は、ラッチ52,61に対応し、
駆動手段は、アクチュエータ59,68に対応し、
ガイド部は、スリット80aに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0117】
7…リヤシート(シート)
10…乗降口
11…スライドドア
12…センタピラー(ピラー)
13…リヤピラー(ピラー)
16…アッパレール(レール部)
17…センタレール(レール部)
18…ロアレール(レール部)
22…アッパローラ(ドア支持部材)
23,36,37…ブラケット(ドア支持部材)
35…ロアローラ(ドア支持部材)
44…サイドエアバッグ装置
45…バッグ部
52,61…ラッチ(ロック機構)
59,68…アクチュエータ(駆動手段)
78…補助レール部
79…アーム(ドア支持部材)
80…ブラケット(ドア支持部材)
80a…スリット(ガイド部)
95…後部支持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の側部に形成された乗降口と、
該乗降口の前後に位置するピラーと、
車両の前後方向に移動して上記乗降口を開閉するスライドドアと、
該スライドドアの前後方向の移動を案内するレール部と、
上記スライドドア側に設けられて上記レール部に沿って移動するドア支持部材と、
乗降口を閉成するようスライドドアをピラーにロックするロック機構と、
側突時に、シートとスライドドアとの間で膨張展開するバッグ部をもったサイドエアバッグ装置とを備えた車両の側部構造であって、
側方からの所定以上の荷重の入力が予知された側突予知時に、上記ロック機構を車両外方へ移動させる駆動手段を設け、
上記ロック機構の外側への移動により拡張されたスライドドアとシートとの間の空間に上記サイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成した
車両の側部構造。
【請求項2】
上記ロック機構がスライドドアの前後両側に設けられており、上記乗降口の前後に位置するピラーと係合することでスライドドアを閉状態とするように構成され、
上記駆動手段は前後のロック機構の少なくとも一方を車両外方へ移動させることで、スライドドアとシートとの間の空間を拡張し、該拡張された空間へサイドエアバッグ装置のバッグ部を展開させるように構成した
請求項1記載の車両の側部構造。
【請求項3】
上記ロック機構が乗降口前後のピラーまたはスライドドアに設けられ、
上記駆動手段が上記ピラー内またはスライドドア内において作動することでスライドドアを車両外方へ移動させる
請求項1記載の車両の側部構造。
【請求項4】
上記レール部は、乗降口の上側に配設される上部レールと、
乗降口の下側に配設される下部レールとの少なくとも上下2つのレールを備え、
上記レール部の前端部には、該レール部から車両外側に向けて延設される補助レール部を設け、
側突予知時に、スライドドアの閉状態を維持させたロック機構が駆動手段により車両外側へ移動させられ、
該ロック機構の車両外側への移動に伴って上記ドア支持部材が補助レール部に沿って移動することで該ロック機構を車両外側へ移動させる
請求項2または3記載の車両の側部構造。
【請求項5】
上記レール部は、乗降口の上側に配設される上部レールと、
乗降口の下側に配設される下部レールの少なくとも上下2つのレールを備え、
上記スライドドアは、アームおよびブラケットを介して上記レール部に支持されることにより車体側と連結されており、
上記ブラケットには車幅方向に延びるガイド部が設けられ、
側突予知時に、上記駆動手段によりロック機構が車両外側へ移動させられる時、上記ブラケットのガイド部に沿ってスライドドアが車両外側へ移動するように構成された
請求項2または3記載の車両の側部構造。
【請求項6】
上記駆動手段が、スライドドアの後側に設けられたロック機構を車両外方へ向けて移動させるように乗降口の後側のピラーに設けられており、
側突予知時に、上記ロック機構の車両外方への移動に伴いドア支持部材が上記レール部に沿って車両外方へ移動する
請求項1〜3、5の何れか1に記載の車両の側部構造。
【請求項7】
上記駆動手段が、スライドドアの前後に設けられたロック機構を車両外方へ向けて移動させるように乗降口の前後の各ピラーに設けられており、
側突予知時に、上記ロック機構の車両外方への移動に伴い前側および後側のドア支持部材が上記レール部に沿って車両外方へ移動する
請求項1〜3、5の何れか1に記載の車両の側部構造。
【請求項8】
上記スライドドアよりも後方の車体に設けられ、スライドドア後部の前後方向に移動を案内する中間レールと、
上記スライドドアの後部に設けられ上記中間レールに沿って移動する後部支持部材とを備え、
上記後部支持部材は、上記駆動手段によるロック機構の車両外方への移動に連動して中間レールとの係合状態を維持してスライドドア後部の車両外方への移動を許容するように構成した
請求項1〜7の何れか1に記載の車両の側部構造。
【請求項9】
上記サイドエアバッグ装置のバッグ部はシートに着座した乗員の少なくとも胸部から腰部までを覆う
請求項1〜8の何れか1に記載の車両の側部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2011−230568(P2011−230568A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100651(P2010−100651)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】