車両の警報装置
【課題】車両の状態に関する警報を運転者により確実に知らせるとともに、より分かりやすく伝える車両の警報装置を提供する。
【解決手段】警報装置11は、車両12の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて運転者に警報を発生する警報手段(警告表示装置)38と、車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置41と、を備え車両状態伝達装置41は、車両12の状態の変化を、運転者が操作する操作手段(ステアリングホイール)31を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段42を備え、警報手段38が作動したときに、触覚提示手段42を作動させる。
【解決手段】警報装置11は、車両12の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて運転者に警報を発生する警報手段(警告表示装置)38と、車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置41と、を備え車両状態伝達装置41は、車両12の状態の変化を、運転者が操作する操作手段(ステアリングホイール)31を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段42を備え、警報手段38が作動したときに、触覚提示手段42を作動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に車両の状態を触覚を介して伝える車両の警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の警報装置には、自動車の状態を運転者に伝えるのに振動を採用したものがあり、振動で走行位置を認識させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、ステアリングホイールを介して手から伝えるものがある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、レーダによって前の車両との距離を計測して、シートベルトで伝える技術がある(例えば、特許文献3参照。)。
また、走行車線に沿って曲げる際に、操舵アシストトルクを精度よく付与するものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開2005−182406公報(第13頁、図1)
【特許文献2】特開2001−80436公報(第7頁、図2)
【特許文献3】特開2005−41471公報
【特許文献4】特開2001−10518公報
【0003】
次に、特許文献1を簡単に説明する。
図16は、従来の技術(特許文献1)の説明図であり、従来の車線逸脱防止装置201は、逸脱判断手段と、外界認識センサ(CCDカメラ)202と、カメラコントローラ203と、警告装置204と、を備え、走行車線逸脱傾向の情報に基づいて、周期的に制動力に大小の差を設けた変動制動制御が行われて運転者に対して逸脱警報を与えるので、確実に逸脱警告を与えることができる。
また、警告装置204は、スピーカーから発生させる音声やブザー音を制動周期と同期させるので、運転者に対して、より効果的に車線逸脱の警報効果を与えることができるというものである。
【0004】
次に、特許文献2を簡単に説明する。
図17は、従来の技術(特許文献2)の説明図であり、従来の車両用警報装置251は、ステアリングホイール252にゴムチューブ253を取付け、ゴムチューブ253に圧力変更機構を接続し、電子制御ユニット(ECU)が車輪のタイヤ空気圧を検出して低下したと判断した場合に、圧力変更機構の増圧弁と減圧弁を交互に開くので、ゴムチューブ253が微小振動し、この微小振動が運転者の手の平に伝達されることで、運転者の触覚が刺激される。従って、運転者はタイヤ空気圧の低下を確実に認識することができる。
【0005】
特許文献3では、車両の走行安全装置は、レーダ等を用いて追突の可能性を算出し、可能性が高まるとシートベルトを繰り出したり、巻き取ったりして運転者に追突の可能性を喚起するものである。
【0006】
特許文献4では、車両用操舵制御装置は、走行車線に沿って曲げる際に、走行車線のカーブの半径に応じて操舵アシストトルクを電動機で付与する車線維持装置である。
車線維持装置では、例えば、車線の中央を走行しているときはステアリング反力を小さくし、車線のなかで右側あるいは左側に寄ったときに、ステアリング反力を大きくし、車線をあたかも乗り越えるような感触を運転者に与えるものもある。
【0007】
しかし、特許文献1の車線逸脱防止装置201では、運転者に伝えられる警報が限られてしまう。すなわち、変動制動による振動では振動周波数と振幅のみで伝えるため、伝えることのできる情報は少ないという問題がある。
【0008】
特許文献2の異常警告装置では、流体を用いるため、時間の遅れが生じてしまうという問題がある。
【0009】
特許文献3の車両の走行安全装置では、シートベルトで注意を喚起しているため、例えば、妊婦のようなシートベルトの着用が義務付けられていない運転者に対して、あるいは、冬期のセータの上にダウンジャケットを着たような着膨れしたような状態では、シートベルトによる、すなわち衣服の媒体を伴う振動では、運転者に伝わり難いという問題がある。
【0010】
特許文献4の車両用操舵制御装置では、車線のなかで右側あるいは左側に寄ったときに、ステアリング反力を電動機で大きくすると、消費電力が増加してしまうという問題がある。電動機を油圧機器に変えると、燃料の消費が大きくなる。
さらに、路面には凹凸やうねりや、わだちが存在するので、ステアリング反力の発生が車両用操舵制御装置(車線維持装置)によって生じたのか、つまり、右側あるいは左側に寄ったのか、凹凸やうねりや、わだちなどの路面形状によって生じたのか分かりにくいという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、車両の状態に関する警報を運転者により確実に知らせるとともに、より分かりやすく伝える車両の警報装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明では、車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて運転者に警報を発生する警報手段と、車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置と、を備えた車両の警報装置において、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、警報手段が作動したときに、触覚提示手段を作動させることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明では、触覚提示手段は、車両検出装置の情報に基づいて触覚に伝える動きのパターンを変化させることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置を備えた車両の警報装置において、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、車両検出装置により車両のふらつきが検出された場合に、触覚提示手段が作動して運転者に警報を発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、警報手段が作動したときに、触覚提示手段を作動させるので、触覚提示手段に触れている手に直接警報を伝えることができる。従って、車両の状態に関する警報を運転者により確実に知らせることができるとともに、より分かりやすく伝えることができるという利点がある。
【0016】
請求項2に係る発明では、触覚提示手段は、車両検出装置の情報に基づいて触覚に伝える動きのパターンを変化させるので、より分かりやすく伝えることができるという利点がある。
【0017】
請求項3に係る発明では、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、車両検出装置により車両のふらつきが検出された場合に、触覚提示手段が作動して運転者に警報を発生するので、触覚提示手段に触れている手に直接警報を伝えることができる。従って、車両の左右へのふらつきを運転者により確実に知らせることができるとともに、より分かりやすく伝えることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車両の警報装置の概要を説明する図である。
警報装置11は、車両12に採用したもので、車両12の状態を運転者に伝える。具体的には後述する。
「車両の状態」とは、車両の走行状態や各装置の状態である。
【0019】
車両12は、車体13と、車室14と、車室14に配置した運転者用座席15と、運転者用座席15の前に配置したインストルメントパネル16と、パワーステアリング装置17と、操作手段であるところのアクセルペダル21と、ブレーキペダル22と、運転者用座席15の左側に配置しているサイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23と、車両12を制御する電子制御装置24と、車両の状態を検出する車両検出装置25と、インストルメントパネル16に配置しているナビゲーション装置26及び計器盤27と、警報装置11と、を備えている。
【0020】
パワーステアリング装置17は、操作手段であるところのステアリングホイール31と、ステアリングホイール31に接続したステアリングシャフト32と、ステアリングシャフト32の近傍に配置したステアリングホイール操舵角検出装置33と、ステアリングホイール31のホイール本体34と、を備える。
【0021】
警報装置11は、具体的には、車両検出装置25と、車両検出装置25の情報に基づいて作動する警報手段であるところの警告表示装置38と、携帯電話を接続する携帯接続部(図に示していない)と、車両状態伝達装置41を備える。
【0022】
車両状態伝達装置41は、ステアリングホイール31に配置して車両検出装置25の情報に基づいて作動する触覚提示手段42と、触覚提示手段42の実行の「ON」、「OFF」を切替え選択する触覚提示切り入りスイッチ43と、触覚提示手段42で伝える警報の種類を選択する警報種類選択スイッチ44と、触覚提示手段42の触覚パターンを選択する触覚パターン入力部45と、触覚提示手段42を電子制御装置24の情報に基づいて作動させる実行手段46と、を備える。
【0023】
触覚提示手段42は、左手で握るホイール本体34の9時〜10時の位置47(点模様)に配置した左触覚提示手段51と、右手で握るホイール本体34の2時〜3時の位置52(点模様)に配置した右触覚提示手段53と、からなる。
【0024】
警報種類選択スイッチ44は、スイッチであるが、ナビゲーション装置26の操作部に配置してもよく、指先で画面にタッチすることで操作するものでもよい。スイッチ操作でナビゲーション装置26のモニタ画面に表示される警報の種類を選択する。
【0025】
図2は、本発明の車両の警報装置の構成図である。図1を併用して説明する。
警報装置11は、車両検出装置25の情報が警報域か否かを判定する警報域比較判定回路61と、触覚提示手段42の作動のパターン(触覚パターン)を入力する触覚パターン入力部45と、警報域比較判定回路61の情報に基づいて警報を表示する警報手段(警告表示装置)38と、触覚パターン入力部45の情報、且つ、警報域比較判定回路61の情報に基づいて触覚パターンを決定する触覚パターンマップ記憶装置62と、切り入りを選択する触覚提示切り入りスイッチ43と、触覚提示切り入りスイッチ43の入り情報のときに、触覚パターンマップ記憶装置62の情報に基づいて触覚パターンを詳細に決定する触覚提示パターン生成回路63と、触覚提示パターン生成回路63の情報に基づいて作動する触覚提示手段42と、を備える。
【0026】
触覚パターン入力部45は、スイッチであるが、ナビゲーション装置26の操作部に配置してもよく、指先で画面にタッチすることで操作するものでもよい。スイッチ操作でナビゲーション装置26のモニタ画面に表示される触覚パターン(作動のパターン)を選択する。
「触覚パターン(作動のパターン)」とは、触覚を押す盛上がり状態の種類であり、三つの例を挙げれば、図9から図11の閉じる動きを繰り返すパターン、図12から図13の一方の角から他方の角に向かって斜めに流れる動きを繰り返すパターン、図14、図15の一端側若しくは他端側で盛上がるパターンである。なお、触覚パターン(作動のパターン)は例の三つに限らず任意である。
また、触覚パターン入力部45は、何に対する警報が必要かをモニタ画面から選択することも可能である。
【0027】
触覚提示切り入りスイッチ43は、ボタンであるが、ナビゲーション装置26の操作部に配置してもよい。
【0028】
車両検出装置25は、冷却液の温度を検出する水温センサ71と、油圧を検出する油圧センサ72と、電圧を検出する電圧センサ73と、前方の車両との距離を計測する車間距離センサ74と、車両の現在位置を計測するGPSセンサ75と、燃料タンク内の燃料の容量を計測する燃料容量センサ76と、エアバックの故障を検出するSRSセンサ77と、ヨーレートを計測するヨーレートセンサ78と、車輪速を検出する車輪速センサ81を含む車輪速検出装置と、車両の慣性を検出する慣性情報センサ82と、シートベルトの装着を検出するシートベルトセンサ83と、サイドブレーキの作動を検出するサイドブレーキセンサ84と、車速を算出する車速装置85(図1参照)と、車線を検出する車線検知カメラ86と、を備え、それぞれは既存のものを採用している。各センサの配置場所は、任意である。
なお、これらのセンサ以外に警報手段(警告表示装置)38に必要な情報を得る既存のセンサを車両検出装置25は備えている。
【0029】
図3は、車両の警報装置に含まれる警報手段及び計器盤の正面図である。
計器盤27は、左にタコメータ91が配置され、右にスピードメータ92が配置され、タコメータ91の左に水温メータ93が配置され、スピードメータ92の右に燃料メータ94が配置され、警報手段(警告表示装置)38が配置されている。
警報手段(警告表示装置)38は、警報時に図3のように点灯する。ここでは、説明のために点灯した状態を示している。
【0030】
警報手段(警告表示装置)38は、水温メータ93に配置して水温センサ71の情報に基づいて表示する水温警告図形部101と、タコメータ91に配置して図に示していないセンサの情報に基づいてエンジンオイルの不足を表示するエンジンオイル量警告図形部102と、バッテリの異常を表示するバッテリ警告図形部103と、ドアが半ドアであることを表示する半ドア警告図形部104と、を備える。
【0031】
また、警報手段(警告表示装置)38は、スピードメータ92に配置してサイドブレーキセンサ84の情報に基づいてサイドブレーキが作動していることを表示するサイドブレーキ警告図形部106と、ABSの故障を表示するABS故障図形部107と、シートベルトセンサ83の情報に基づいてシートベルトの未装着を表示するシートベルト警告図形部108と、エアバックの故障をSRSセンサ77の情報に基づいて表示するエアバック図形部111と、燃料メータ94に配置してサイドエアバックの故障をSRSセンサ77の情報に基づいて表示するサイドエアバック図形部112と、燃料容量センサ76の情報に基づいて燃料の補給を指示する燃料補給図形部113と、を備える。
【0032】
なお、これらの図形部の他に図形部を配置してもよい。
警報手段(警告表示装置)38の具体的な構造は既存のものとほぼ同様であり、構成は任意である。
【0033】
図4は、図1の4−4線断面図(触覚提示手段)であり、右触覚提示手段53の断面を示す。図下に前後方向のX軸、上下方向のY軸を示す。
右触覚提示手段53は、ホイール本体34に凹部121を形成し、凹部121に直動手段122をホイール本体34の径方向(Y軸方向)に配置し、直動手段122の先端部に面圧変換キャップ123を被せ、面圧変換キャップ123から距離Sだけ離して表皮カバー124をホイール本体34に取付けた。
【0034】
図5は、図4の5−5線断面図(触覚提示手段)であり、右触覚提示手段53の断面を示す。
また、右触覚提示手段53は、ホイール本体34の凹部121に直動手段122をホイール本体34の長手方向(X軸方向)に配置した。
直動手段122は、電動モータ部125と、電動モータ部125で直動するボールねじ(図に示していない)に接続したロッド126と、を備える。つまり、ロッド126を前進(矢印a1の方向)させ、後退(矢印a2の方向)させる。
なお、直動手段122は、電動であるが、電動に限定しない。また、直動手段122のサイズは任意である。
【0035】
右触覚提示手段53では、直動手段122のロッド126の先端部に面圧変換キャップ123を被せることで、ロッド126の先端部の表面積を変更することができる。これにより、手の平への触感を調節することができる。
【0036】
図6は、図5の6矢視図(触覚提示手段)であり、右触覚提示手段53の正面を展開した状態で示す。
右触覚提示手段53は、具体的には、直動手段122を上下方向(Y軸)に5列配置し、前後方向(X軸)に5配列し、合計25個配置したものである。
左触覚提示手段51(図1参照)は、右触覚提示手段53と同様であり、説明を省略する。
【0037】
ここで、理解を容易にするために、前側の列から順にX1〜X5とし、上側の列から順にY1〜Y5とし、必要に応じて、例えば、図上の1列の5個を「X1の直動手段122」と呼称し、中央に配置した1個の直動手段122を「X3,Y3(座標)の直動手段122」と呼称する。
【0038】
図7は、本発明の警報装置が備える触覚提示手段の作動概要を示す図である。
右触覚提示手段53では、直動手段122を作動させて、表皮カバー124を最大距離Hmまで押出し盛上げる。
ここで、最大距離Hmのときを直動手段122の前進限とし、ロッド126のストロークをS、前進限に達する最大ストロークをSmに設定し、ロッド126の前進速度をVf、ロッド126の後退速度をVr、隣り合う直動手段122,122を作動させる際のタイミングをtとする。
【0039】
これらの条件を設定することにより、表皮カバー124は所望形態(作動のパターン)となる。例えば、波(振動)を形成する。その際、タイミングtを短くすると波の周波数は増加し、逆に、タイミングtを長くすると周波数は減少する。一方、ロッド126のストロークSを長くすると波の振幅は大きくなり(最大距離Hm)、逆に、ストロークSを短くすると波の振幅は小さくなる。
【0040】
なお、右触覚提示手段53は、直動手段122を上下方向(Y軸)に5列配置し、前後方向(X軸)に5配列し、合計25個配置したが、直動手段122の数は任意であり、例えば、上下方向(Y軸)に4列配置し、前後方向(X軸)に4配列し、合計16個配置してもよい。
【0041】
図8は、本発明の車両の警報装置のフローチャートである。図1、図2を併用して説明する。
ST01:警報装置11の状態が作動可能状態であるか否かを判断する。「YES」のときはST02に進む。
ST02:車両状態を車両検出装置25で検出する。
ST03:警報情報を取得する。
ST04:警報情報が警報域か否かを判定する。「YES」のときはST05及びST06に進む。「NO」のときは、警報装置11を停止する。
ST05:警報手段(警告表示装置)38の図形部を点灯する。
ST06:ST04が「YES」のとき、触覚パターンの入力情報を取得する。
ST07:触覚パターンの入力情報に基づいて触覚パターンをマップから選択する。
ST08:マップの情報に基づいて、実行信号を決定する。
ST09:実行信号に基づいて触覚提示手段42を作動する。
次に、ST01〜ST09を具体的に図面で説明する。
【0042】
車両の警報装置の作用を説明する。
図9(a)、(b)は、警報装置がサイドブレーキの解除忘れの警報を出すときの機構を説明する図である。上段にインストルメントパネル16側に配置した警報手段(警告表示装置)38を示し、中段にステアリングホイール31に配置した触覚提示手段42を示し、下段に触覚提示手段42の機構説明図を示している。
【0043】
まず、図1の触覚提示切り入りスイッチ43を「入り」に設定する。
その次に、図1の警報種類選択スイッチ44でモニタ画面に表示されるものから「サイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)の警報」を選択する。
その次に、図1の触覚パターン入力部45でモニタ画面に表示される「作動のパターン」から好みの作動のパターンを選択する。ここでは、外から内に盛上がりが連続するパターンを選択する。なお、これらの操作順は任意である。
【0044】
(a)に示しているように、図1に示したサイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を使用(操作)していないときは、計器盤27に配置した警報手段(警告表示装置)38は点灯しないので、表示されない。このとき、車両12は停止した状態(車速0Km/h)である。
【0045】
図1に示したサイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を引くと(二点鎖線で示した位置)、(b)に示しているように、計器盤27に配置した警報手段(警告表示装置)38は点灯する。つまり、サイドブレーキレバー23の作動でサイドブレーキ警告図形部106は、点灯する(周囲の線は点灯していることを示している。)。
一方、触覚提示手段42の右触覚提示手段53は作動しない。
【0046】
図10(a)、(b)は、図9の続きを説明する図である。
車両12を走行させ、車速が1Km/h以上になると、触覚提示手段42の右触覚提示手段53が作動を開始する。右触覚提示手段53は、外側から中央に向かって波が流れるように凸部131を形成することで、手の触覚にサイドブレーキレバー23の解除を知らせる警報を伝える。
【0047】
具体的には、(a)に示す警報手段(警告表示装置)38のサイドブレーキ警告図形部106が点灯した状態で、且つ、サイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を引いたままサイドブレーキレバー23を解除しない状態で車両12を走行させると、まず、右触覚提示手段53は、外側の列(X1、X5、Y1、Y5)の直動手段122が作動(前進)して表皮カバー124を押し、盛上がり(凸部)131を合計16個形成する。
【0048】
続いて、(b)に示すように、直動手段122の前進からt秒後、外側の列(X1、X5、Y1、Y5)の直動手段122が後退するとともに、内側の列(X2、X4、Y2、Y4)の直動手段122が作動(前進)して表皮カバー124を押し、盛上がり(凸部)131より内方に凸部132を合計8個形成する。
【0049】
図11は、図10の続きを説明する図である。
続いて、t秒後、内側の列(X2、X4、Y2、Y4)の直動手段122が後退して、中央(X3,Y3)の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、凸部133を1個形成する。引き続き、図10の凸部131に戻り、繰り返す。その結果、右手Hの手の平の触覚で運転者にサイドブレーキレバー23を解除していないことを伝えることができる。
【0050】
右触覚提示手段53が図10、図11のごとく作動したときは、左触覚提示手段51は右触覚提示手段53と同様に作動している。その結果、左手の手の平の触覚で運転者にサイドブレーキレバー23を解除していないことを伝えることができる。
つまり、サイドブレーキレバー23の解除を忘れている状態であることをドライバにより確実に知らせることができる。
【0051】
このように、警報装置11では、車両状態伝達装置41は、車両12の状態の変化を、運転者が操作する操作手段(ステアリングホイール)31を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段42を備え、警報手段(警告表示装置)38が作動したときに、触覚提示手段42を作動させるので、操作手段(ステアリングホイール)31に触れている手から警報を伝えることができる。従って、車両12の状態に関する警報を運転者により確実に知らせることができるとともに、より分かりやすく伝えることができる。
【0052】
「警報手段(警告表示装置)38が作動したときに、触覚提示手段42を作動させる」とは、警報手段(警告表示装置)38の点灯のタイミングと触覚提示手段42の作動のタイミングが同じ場合と、同じでない場合を含む。同じでない場合は、点灯後に所定の条件となったときに触覚提示手段42を作動させる。例えば、車速が所定の車速に達したときや所定の時間が経過したときに、触覚提示手段42を作動させる場合である。
【0053】
サイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を解除すると、警報手段(警告表示装置)38のサイドブレーキ警告図形部106が消灯すると同時に、触覚提示手段42の右触覚提示手段53及び左触覚提示手段51は手に伝える動きを停止する。
【0054】
なお、サイドブレーキレバー23の解除忘れを知らせる触覚パターンは、任意であり、例えば、逆に開く動き(図11→図10(b)→図10(a)→図11)を繰り返すことも可能である。
【0055】
次に、本発明の車両の警報装置が別の警報を出す場合について説明する。
図12(a)〜(d)は、別の警報(Eメールの受信)を出すときの機構を説明する図である。
上段に触覚提示手段42Bの機構説明図を示し、下段にステアリングホイール31に配置した触覚提示手段42Bを示している。
触覚提示手段42Bは、直動手段122の数を25個から16個に減少させたもので、直動手段122を上下方向(Y軸)に4列配置し、前後方向(X軸)に4配列しているものである。上記図1〜図7に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0056】
まず、図1の触覚提示切り入りスイッチ43を「入り」に設定する。
その次に、図1の警報種類選択スイッチ44でモニタ画面に表示される「Eメールの警報」を選択する。
その次に、図1の触覚パターン入力部45でモニタ画面に表示される触覚パターンから好みの触覚パターンを選択する。ここでは、一方の角から他方の角に向かって斜めに流れる動きを繰り返すパターンを選択する。
その次に、自身の携帯電話(図に示していない)を車両の携帯接続部に接続する。なお、これらの操作順は任意である。
【0057】
携帯電話がEメールを受信すると、触覚提示手段42Bが手の触覚に警報(Eメールの受信)を伝える。
具体的には、携帯電話がEメールを受信すると、まず、(a)に示しているように、前の下に配置した、「X1,Y4(座標)」の直動手段122が作動(前進)して前の下(X1,Y4)に凸部(盛上がり)137を形成することで、右手Hの手の平の触覚に押圧を加える。その後直動手段122が戻る(後退する。)。
【0058】
引き続き、(b)に示す前側の下側に配置した「X1,Y3」、「X2,Y4」の直動手段122がともに同時に作動して前側の下側(X1,Y3)(X2,Y4)に凸部138をそれぞれ形成することで、右手Hの手の平、すなわち、最初の位置から少し離れた位置に押圧を加える。加えた後、直動手段122が戻る。
【0059】
引き続き、(c)に示す中央近傍に配置した「X1,Y2」、「X2,Y3」、「X3,Y4」の直動手段122がともに同時に作動して凸部141をそれぞれ形成することで、前の押圧位置から少し離れた位置の手の平の触覚に押圧を加える。
【0060】
さらに続けて、(d)に示す中央に配置した「X1,Y1」、「X2,Y2」、「X3,Y3」、「X4,Y4」の直動手段122がともに同時に作動して凸部142をそれぞれ形成することで、前の押圧位置から少し離れた位置の手の平の触覚に押圧を加える。
【0061】
図13(a)〜(c)は、図12の続きを説明する図である。
(a)に示す中央近傍に配置した「X2,Y1」、「X3,Y2」、「X4,Y3」の直動手段122がともに同時に作動して凸部143をそれぞれ形成することで、前の押圧位置から少し離れた位置の手の平の触覚に押圧を加える。
さらに、(b)、(c)に示す凸部144、145を順に形成することで、手の平の触覚に押圧を順に加える。引き続き、図12(a)に戻って、繰り返し手の平に押圧を加える。その結果、Eメールを受信したことを人に確実に伝えることができる。
なお、触覚提示手段42Bを採用したが、触覚提示手段42を採用してもよい。触覚提示手段42は、触覚提示手段42Bと同様の効果を発揮する。
【0062】
図14(a)、(b)は、車両のふらつきの警報を出すときの機構を説明する図である。
上段に走行車線147上の車両12の位置を示し、中段にステアリングホイール31に配置した触覚提示手段42を示し、下段に触覚提示手段42の機構説明図を示している。
【0063】
まず、図1の触覚提示切り入りスイッチ43を「入り」に設定する。
その次に、図1の警報種類選択スイッチ44でモニタ画面に表示される「車両の左右のふらつき警報」を選択する。
その次に、図1の触覚パターン入力部45でモニタ画面に表示される触覚パターンを選択する。なお、これらの操作順は任意である。
【0064】
(a)に示しているように、車両12が走行車線147の中央151を走行していると、車線検知カメラ86の情報に基づいて、Y3の直動手段122が作動して、凸部153を形成し、走行車線147の中央151を走行していることを右手Hの手の平に伝える。右触覚提示手段53の中央(Y3)の凸部153を形成することで、基準を伝えることができ、ふらつき加減の把握は容易になる。
なお、走行車線147の中央151を走行しているときに、触覚提示手段42を作動させるか否かは任意であり、触覚提示手段42を停止させてもよい。触覚提示手段42を停止させることで、触覚提示手段42の盛上がりを常時感じることなく、握ることができる。
【0065】
(b)に示す車両12が走行車線147の右にふらついた場合、言い換えると、車両12が中央151から走行車線147のセンターライン155寄りを走行し始めると、車線検知カメラ86の情報に基づいて、右触覚提示手段53は、矢印a3のように下のY4の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、凸部156を合計5個形成する。その結果、右手Hの手の平の右寄り触覚で運転者に車両12が走行車線147の右にふらついている状態であることを伝えることができる。
【0066】
ここでは、Y4の5個の直動手段122を同時に作動(前進)させて、盛上がり(凸部)156を合計5個形成した状態を保っているが、作動のパターンは任意である。例えば、Y4の5個の直動手段122が有するロッド126の前進・後退を一定の間隔で繰り返すことで盛上がり(凸部)156を一定間隔の時間で繰り返すことも可能であり、また、Y4の5個の直動手段122間で時間差を設定して波のように盛上がり(凸部)156を形成することも可能である。
【0067】
図15(a)、(b)は、図14の続きを説明する図である。
(a)に示す車両12が走行車線147の右にさらにふらついた場合、言い換えると、車両12が走行車線147のセンターライン155にさらに寄って走行し始めると、右触覚提示手段53のY5の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、凸部157を合計5個形成する。その結果、前の押圧位置から矢印a4のように少し右に寄った位置の手の平の触覚に押圧を加える。従って、右手Hの手の平の右より触覚で運転者に車両12が走行車線147の右にさらに、ふらついている状態であることを伝えることができる。
【0068】
(b)に示すように車両12が走行車線147の右から左に矢印a5のようにふらつき、路肩158寄りを走行し始めると、右触覚提示手段53の上のY1の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、盛上がり(凸部)161を合計5個形成する。その結果、右手Hの手の平の左寄り触覚で運転者に車両12が走行車線147の左にふらついている状態であることを伝えることができる。
【0069】
尚、本発明の車両の警報装置は、実施の形態では触覚提示手段をステアリングホイールに採用したが、ステアリングホイール以外にも採用可能である。
車両状態伝達装置は、実施の形態では、説明した3種類の触覚パターン(作動のパターン)を設定しているので、それぞれの条件のときにそれぞれが作動する。しかし、同時に作動(伝達)できないものもあるので、その際は、優先の順位をモニタ画面で設定する。
また、車両状態伝達装置では、1種類の触覚パターン(作動のパターン)のみを設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の車両の警報装置は、車両の状態を知らせる警報に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の車両の警報装置の概要を説明する図
【図2】本発明の車両の警報装置の構成図
【図3】車両の警報装置に含まれる警報手段及び計器盤の正面図
【図4】図1の4−4線断面図(触覚提示手段)
【図5】図4の5−5線断面図(触覚提示手段)
【図6】図5の6矢視図(触覚提示手段)
【図7】本発明の警報装置が備える触覚提示手段の作動概要を示す図
【図8】本発明の車両の警報装置のフローチャート
【図9】警報装置がサイドブレーキの解除忘れの警報を出すときの機構を説明する図
【図10】図9の続きを説明する図
【図11】図10の続きを説明する図
【図12】別の警報(Eメールの受信)を出すときの機構を説明する図
【図13】図12の続きを説明する図
【図14】車両のふらつきの警報を出すときの機構を説明する図
【図15】図14の続きを説明する図
【図16】従来の技術(特許文献1)の説明図
【図17】従来の技術(特許文献2)の説明図
【符号の説明】
【0072】
11…警報装置、12…車両、25…車両検出装置、31…操作手段(ステアリングホイール)、38…警報手段(警告表示装置)、41…車両状態伝達装置、42…触覚提示手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に車両の状態を触覚を介して伝える車両の警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の警報装置には、自動車の状態を運転者に伝えるのに振動を採用したものがあり、振動で走行位置を認識させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
また、ステアリングホイールを介して手から伝えるものがある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、レーダによって前の車両との距離を計測して、シートベルトで伝える技術がある(例えば、特許文献3参照。)。
また、走行車線に沿って曲げる際に、操舵アシストトルクを精度よく付与するものが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【特許文献1】特開2005−182406公報(第13頁、図1)
【特許文献2】特開2001−80436公報(第7頁、図2)
【特許文献3】特開2005−41471公報
【特許文献4】特開2001−10518公報
【0003】
次に、特許文献1を簡単に説明する。
図16は、従来の技術(特許文献1)の説明図であり、従来の車線逸脱防止装置201は、逸脱判断手段と、外界認識センサ(CCDカメラ)202と、カメラコントローラ203と、警告装置204と、を備え、走行車線逸脱傾向の情報に基づいて、周期的に制動力に大小の差を設けた変動制動制御が行われて運転者に対して逸脱警報を与えるので、確実に逸脱警告を与えることができる。
また、警告装置204は、スピーカーから発生させる音声やブザー音を制動周期と同期させるので、運転者に対して、より効果的に車線逸脱の警報効果を与えることができるというものである。
【0004】
次に、特許文献2を簡単に説明する。
図17は、従来の技術(特許文献2)の説明図であり、従来の車両用警報装置251は、ステアリングホイール252にゴムチューブ253を取付け、ゴムチューブ253に圧力変更機構を接続し、電子制御ユニット(ECU)が車輪のタイヤ空気圧を検出して低下したと判断した場合に、圧力変更機構の増圧弁と減圧弁を交互に開くので、ゴムチューブ253が微小振動し、この微小振動が運転者の手の平に伝達されることで、運転者の触覚が刺激される。従って、運転者はタイヤ空気圧の低下を確実に認識することができる。
【0005】
特許文献3では、車両の走行安全装置は、レーダ等を用いて追突の可能性を算出し、可能性が高まるとシートベルトを繰り出したり、巻き取ったりして運転者に追突の可能性を喚起するものである。
【0006】
特許文献4では、車両用操舵制御装置は、走行車線に沿って曲げる際に、走行車線のカーブの半径に応じて操舵アシストトルクを電動機で付与する車線維持装置である。
車線維持装置では、例えば、車線の中央を走行しているときはステアリング反力を小さくし、車線のなかで右側あるいは左側に寄ったときに、ステアリング反力を大きくし、車線をあたかも乗り越えるような感触を運転者に与えるものもある。
【0007】
しかし、特許文献1の車線逸脱防止装置201では、運転者に伝えられる警報が限られてしまう。すなわち、変動制動による振動では振動周波数と振幅のみで伝えるため、伝えることのできる情報は少ないという問題がある。
【0008】
特許文献2の異常警告装置では、流体を用いるため、時間の遅れが生じてしまうという問題がある。
【0009】
特許文献3の車両の走行安全装置では、シートベルトで注意を喚起しているため、例えば、妊婦のようなシートベルトの着用が義務付けられていない運転者に対して、あるいは、冬期のセータの上にダウンジャケットを着たような着膨れしたような状態では、シートベルトによる、すなわち衣服の媒体を伴う振動では、運転者に伝わり難いという問題がある。
【0010】
特許文献4の車両用操舵制御装置では、車線のなかで右側あるいは左側に寄ったときに、ステアリング反力を電動機で大きくすると、消費電力が増加してしまうという問題がある。電動機を油圧機器に変えると、燃料の消費が大きくなる。
さらに、路面には凹凸やうねりや、わだちが存在するので、ステアリング反力の発生が車両用操舵制御装置(車線維持装置)によって生じたのか、つまり、右側あるいは左側に寄ったのか、凹凸やうねりや、わだちなどの路面形状によって生じたのか分かりにくいという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、車両の状態に関する警報を運転者により確実に知らせるとともに、より分かりやすく伝える車両の警報装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明では、車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて運転者に警報を発生する警報手段と、車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置と、を備えた車両の警報装置において、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、警報手段が作動したときに、触覚提示手段を作動させることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る発明では、触覚提示手段は、車両検出装置の情報に基づいて触覚に伝える動きのパターンを変化させることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る発明は、車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置を備えた車両の警報装置において、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、車両検出装置により車両のふらつきが検出された場合に、触覚提示手段が作動して運転者に警報を発生することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、警報手段が作動したときに、触覚提示手段を作動させるので、触覚提示手段に触れている手に直接警報を伝えることができる。従って、車両の状態に関する警報を運転者により確実に知らせることができるとともに、より分かりやすく伝えることができるという利点がある。
【0016】
請求項2に係る発明では、触覚提示手段は、車両検出装置の情報に基づいて触覚に伝える動きのパターンを変化させるので、より分かりやすく伝えることができるという利点がある。
【0017】
請求項3に係る発明では、車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段を備え、車両検出装置により車両のふらつきが検出された場合に、触覚提示手段が作動して運転者に警報を発生するので、触覚提示手段に触れている手に直接警報を伝えることができる。従って、車両の左右へのふらつきを運転者により確実に知らせることができるとともに、より分かりやすく伝えることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の車両の警報装置の概要を説明する図である。
警報装置11は、車両12に採用したもので、車両12の状態を運転者に伝える。具体的には後述する。
「車両の状態」とは、車両の走行状態や各装置の状態である。
【0019】
車両12は、車体13と、車室14と、車室14に配置した運転者用座席15と、運転者用座席15の前に配置したインストルメントパネル16と、パワーステアリング装置17と、操作手段であるところのアクセルペダル21と、ブレーキペダル22と、運転者用座席15の左側に配置しているサイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23と、車両12を制御する電子制御装置24と、車両の状態を検出する車両検出装置25と、インストルメントパネル16に配置しているナビゲーション装置26及び計器盤27と、警報装置11と、を備えている。
【0020】
パワーステアリング装置17は、操作手段であるところのステアリングホイール31と、ステアリングホイール31に接続したステアリングシャフト32と、ステアリングシャフト32の近傍に配置したステアリングホイール操舵角検出装置33と、ステアリングホイール31のホイール本体34と、を備える。
【0021】
警報装置11は、具体的には、車両検出装置25と、車両検出装置25の情報に基づいて作動する警報手段であるところの警告表示装置38と、携帯電話を接続する携帯接続部(図に示していない)と、車両状態伝達装置41を備える。
【0022】
車両状態伝達装置41は、ステアリングホイール31に配置して車両検出装置25の情報に基づいて作動する触覚提示手段42と、触覚提示手段42の実行の「ON」、「OFF」を切替え選択する触覚提示切り入りスイッチ43と、触覚提示手段42で伝える警報の種類を選択する警報種類選択スイッチ44と、触覚提示手段42の触覚パターンを選択する触覚パターン入力部45と、触覚提示手段42を電子制御装置24の情報に基づいて作動させる実行手段46と、を備える。
【0023】
触覚提示手段42は、左手で握るホイール本体34の9時〜10時の位置47(点模様)に配置した左触覚提示手段51と、右手で握るホイール本体34の2時〜3時の位置52(点模様)に配置した右触覚提示手段53と、からなる。
【0024】
警報種類選択スイッチ44は、スイッチであるが、ナビゲーション装置26の操作部に配置してもよく、指先で画面にタッチすることで操作するものでもよい。スイッチ操作でナビゲーション装置26のモニタ画面に表示される警報の種類を選択する。
【0025】
図2は、本発明の車両の警報装置の構成図である。図1を併用して説明する。
警報装置11は、車両検出装置25の情報が警報域か否かを判定する警報域比較判定回路61と、触覚提示手段42の作動のパターン(触覚パターン)を入力する触覚パターン入力部45と、警報域比較判定回路61の情報に基づいて警報を表示する警報手段(警告表示装置)38と、触覚パターン入力部45の情報、且つ、警報域比較判定回路61の情報に基づいて触覚パターンを決定する触覚パターンマップ記憶装置62と、切り入りを選択する触覚提示切り入りスイッチ43と、触覚提示切り入りスイッチ43の入り情報のときに、触覚パターンマップ記憶装置62の情報に基づいて触覚パターンを詳細に決定する触覚提示パターン生成回路63と、触覚提示パターン生成回路63の情報に基づいて作動する触覚提示手段42と、を備える。
【0026】
触覚パターン入力部45は、スイッチであるが、ナビゲーション装置26の操作部に配置してもよく、指先で画面にタッチすることで操作するものでもよい。スイッチ操作でナビゲーション装置26のモニタ画面に表示される触覚パターン(作動のパターン)を選択する。
「触覚パターン(作動のパターン)」とは、触覚を押す盛上がり状態の種類であり、三つの例を挙げれば、図9から図11の閉じる動きを繰り返すパターン、図12から図13の一方の角から他方の角に向かって斜めに流れる動きを繰り返すパターン、図14、図15の一端側若しくは他端側で盛上がるパターンである。なお、触覚パターン(作動のパターン)は例の三つに限らず任意である。
また、触覚パターン入力部45は、何に対する警報が必要かをモニタ画面から選択することも可能である。
【0027】
触覚提示切り入りスイッチ43は、ボタンであるが、ナビゲーション装置26の操作部に配置してもよい。
【0028】
車両検出装置25は、冷却液の温度を検出する水温センサ71と、油圧を検出する油圧センサ72と、電圧を検出する電圧センサ73と、前方の車両との距離を計測する車間距離センサ74と、車両の現在位置を計測するGPSセンサ75と、燃料タンク内の燃料の容量を計測する燃料容量センサ76と、エアバックの故障を検出するSRSセンサ77と、ヨーレートを計測するヨーレートセンサ78と、車輪速を検出する車輪速センサ81を含む車輪速検出装置と、車両の慣性を検出する慣性情報センサ82と、シートベルトの装着を検出するシートベルトセンサ83と、サイドブレーキの作動を検出するサイドブレーキセンサ84と、車速を算出する車速装置85(図1参照)と、車線を検出する車線検知カメラ86と、を備え、それぞれは既存のものを採用している。各センサの配置場所は、任意である。
なお、これらのセンサ以外に警報手段(警告表示装置)38に必要な情報を得る既存のセンサを車両検出装置25は備えている。
【0029】
図3は、車両の警報装置に含まれる警報手段及び計器盤の正面図である。
計器盤27は、左にタコメータ91が配置され、右にスピードメータ92が配置され、タコメータ91の左に水温メータ93が配置され、スピードメータ92の右に燃料メータ94が配置され、警報手段(警告表示装置)38が配置されている。
警報手段(警告表示装置)38は、警報時に図3のように点灯する。ここでは、説明のために点灯した状態を示している。
【0030】
警報手段(警告表示装置)38は、水温メータ93に配置して水温センサ71の情報に基づいて表示する水温警告図形部101と、タコメータ91に配置して図に示していないセンサの情報に基づいてエンジンオイルの不足を表示するエンジンオイル量警告図形部102と、バッテリの異常を表示するバッテリ警告図形部103と、ドアが半ドアであることを表示する半ドア警告図形部104と、を備える。
【0031】
また、警報手段(警告表示装置)38は、スピードメータ92に配置してサイドブレーキセンサ84の情報に基づいてサイドブレーキが作動していることを表示するサイドブレーキ警告図形部106と、ABSの故障を表示するABS故障図形部107と、シートベルトセンサ83の情報に基づいてシートベルトの未装着を表示するシートベルト警告図形部108と、エアバックの故障をSRSセンサ77の情報に基づいて表示するエアバック図形部111と、燃料メータ94に配置してサイドエアバックの故障をSRSセンサ77の情報に基づいて表示するサイドエアバック図形部112と、燃料容量センサ76の情報に基づいて燃料の補給を指示する燃料補給図形部113と、を備える。
【0032】
なお、これらの図形部の他に図形部を配置してもよい。
警報手段(警告表示装置)38の具体的な構造は既存のものとほぼ同様であり、構成は任意である。
【0033】
図4は、図1の4−4線断面図(触覚提示手段)であり、右触覚提示手段53の断面を示す。図下に前後方向のX軸、上下方向のY軸を示す。
右触覚提示手段53は、ホイール本体34に凹部121を形成し、凹部121に直動手段122をホイール本体34の径方向(Y軸方向)に配置し、直動手段122の先端部に面圧変換キャップ123を被せ、面圧変換キャップ123から距離Sだけ離して表皮カバー124をホイール本体34に取付けた。
【0034】
図5は、図4の5−5線断面図(触覚提示手段)であり、右触覚提示手段53の断面を示す。
また、右触覚提示手段53は、ホイール本体34の凹部121に直動手段122をホイール本体34の長手方向(X軸方向)に配置した。
直動手段122は、電動モータ部125と、電動モータ部125で直動するボールねじ(図に示していない)に接続したロッド126と、を備える。つまり、ロッド126を前進(矢印a1の方向)させ、後退(矢印a2の方向)させる。
なお、直動手段122は、電動であるが、電動に限定しない。また、直動手段122のサイズは任意である。
【0035】
右触覚提示手段53では、直動手段122のロッド126の先端部に面圧変換キャップ123を被せることで、ロッド126の先端部の表面積を変更することができる。これにより、手の平への触感を調節することができる。
【0036】
図6は、図5の6矢視図(触覚提示手段)であり、右触覚提示手段53の正面を展開した状態で示す。
右触覚提示手段53は、具体的には、直動手段122を上下方向(Y軸)に5列配置し、前後方向(X軸)に5配列し、合計25個配置したものである。
左触覚提示手段51(図1参照)は、右触覚提示手段53と同様であり、説明を省略する。
【0037】
ここで、理解を容易にするために、前側の列から順にX1〜X5とし、上側の列から順にY1〜Y5とし、必要に応じて、例えば、図上の1列の5個を「X1の直動手段122」と呼称し、中央に配置した1個の直動手段122を「X3,Y3(座標)の直動手段122」と呼称する。
【0038】
図7は、本発明の警報装置が備える触覚提示手段の作動概要を示す図である。
右触覚提示手段53では、直動手段122を作動させて、表皮カバー124を最大距離Hmまで押出し盛上げる。
ここで、最大距離Hmのときを直動手段122の前進限とし、ロッド126のストロークをS、前進限に達する最大ストロークをSmに設定し、ロッド126の前進速度をVf、ロッド126の後退速度をVr、隣り合う直動手段122,122を作動させる際のタイミングをtとする。
【0039】
これらの条件を設定することにより、表皮カバー124は所望形態(作動のパターン)となる。例えば、波(振動)を形成する。その際、タイミングtを短くすると波の周波数は増加し、逆に、タイミングtを長くすると周波数は減少する。一方、ロッド126のストロークSを長くすると波の振幅は大きくなり(最大距離Hm)、逆に、ストロークSを短くすると波の振幅は小さくなる。
【0040】
なお、右触覚提示手段53は、直動手段122を上下方向(Y軸)に5列配置し、前後方向(X軸)に5配列し、合計25個配置したが、直動手段122の数は任意であり、例えば、上下方向(Y軸)に4列配置し、前後方向(X軸)に4配列し、合計16個配置してもよい。
【0041】
図8は、本発明の車両の警報装置のフローチャートである。図1、図2を併用して説明する。
ST01:警報装置11の状態が作動可能状態であるか否かを判断する。「YES」のときはST02に進む。
ST02:車両状態を車両検出装置25で検出する。
ST03:警報情報を取得する。
ST04:警報情報が警報域か否かを判定する。「YES」のときはST05及びST06に進む。「NO」のときは、警報装置11を停止する。
ST05:警報手段(警告表示装置)38の図形部を点灯する。
ST06:ST04が「YES」のとき、触覚パターンの入力情報を取得する。
ST07:触覚パターンの入力情報に基づいて触覚パターンをマップから選択する。
ST08:マップの情報に基づいて、実行信号を決定する。
ST09:実行信号に基づいて触覚提示手段42を作動する。
次に、ST01〜ST09を具体的に図面で説明する。
【0042】
車両の警報装置の作用を説明する。
図9(a)、(b)は、警報装置がサイドブレーキの解除忘れの警報を出すときの機構を説明する図である。上段にインストルメントパネル16側に配置した警報手段(警告表示装置)38を示し、中段にステアリングホイール31に配置した触覚提示手段42を示し、下段に触覚提示手段42の機構説明図を示している。
【0043】
まず、図1の触覚提示切り入りスイッチ43を「入り」に設定する。
その次に、図1の警報種類選択スイッチ44でモニタ画面に表示されるものから「サイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)の警報」を選択する。
その次に、図1の触覚パターン入力部45でモニタ画面に表示される「作動のパターン」から好みの作動のパターンを選択する。ここでは、外から内に盛上がりが連続するパターンを選択する。なお、これらの操作順は任意である。
【0044】
(a)に示しているように、図1に示したサイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を使用(操作)していないときは、計器盤27に配置した警報手段(警告表示装置)38は点灯しないので、表示されない。このとき、車両12は停止した状態(車速0Km/h)である。
【0045】
図1に示したサイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を引くと(二点鎖線で示した位置)、(b)に示しているように、計器盤27に配置した警報手段(警告表示装置)38は点灯する。つまり、サイドブレーキレバー23の作動でサイドブレーキ警告図形部106は、点灯する(周囲の線は点灯していることを示している。)。
一方、触覚提示手段42の右触覚提示手段53は作動しない。
【0046】
図10(a)、(b)は、図9の続きを説明する図である。
車両12を走行させ、車速が1Km/h以上になると、触覚提示手段42の右触覚提示手段53が作動を開始する。右触覚提示手段53は、外側から中央に向かって波が流れるように凸部131を形成することで、手の触覚にサイドブレーキレバー23の解除を知らせる警報を伝える。
【0047】
具体的には、(a)に示す警報手段(警告表示装置)38のサイドブレーキ警告図形部106が点灯した状態で、且つ、サイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を引いたままサイドブレーキレバー23を解除しない状態で車両12を走行させると、まず、右触覚提示手段53は、外側の列(X1、X5、Y1、Y5)の直動手段122が作動(前進)して表皮カバー124を押し、盛上がり(凸部)131を合計16個形成する。
【0048】
続いて、(b)に示すように、直動手段122の前進からt秒後、外側の列(X1、X5、Y1、Y5)の直動手段122が後退するとともに、内側の列(X2、X4、Y2、Y4)の直動手段122が作動(前進)して表皮カバー124を押し、盛上がり(凸部)131より内方に凸部132を合計8個形成する。
【0049】
図11は、図10の続きを説明する図である。
続いて、t秒後、内側の列(X2、X4、Y2、Y4)の直動手段122が後退して、中央(X3,Y3)の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、凸部133を1個形成する。引き続き、図10の凸部131に戻り、繰り返す。その結果、右手Hの手の平の触覚で運転者にサイドブレーキレバー23を解除していないことを伝えることができる。
【0050】
右触覚提示手段53が図10、図11のごとく作動したときは、左触覚提示手段51は右触覚提示手段53と同様に作動している。その結果、左手の手の平の触覚で運転者にサイドブレーキレバー23を解除していないことを伝えることができる。
つまり、サイドブレーキレバー23の解除を忘れている状態であることをドライバにより確実に知らせることができる。
【0051】
このように、警報装置11では、車両状態伝達装置41は、車両12の状態の変化を、運転者が操作する操作手段(ステアリングホイール)31を介して触覚情報として運転者に伝達する触覚提示手段42を備え、警報手段(警告表示装置)38が作動したときに、触覚提示手段42を作動させるので、操作手段(ステアリングホイール)31に触れている手から警報を伝えることができる。従って、車両12の状態に関する警報を運転者により確実に知らせることができるとともに、より分かりやすく伝えることができる。
【0052】
「警報手段(警告表示装置)38が作動したときに、触覚提示手段42を作動させる」とは、警報手段(警告表示装置)38の点灯のタイミングと触覚提示手段42の作動のタイミングが同じ場合と、同じでない場合を含む。同じでない場合は、点灯後に所定の条件となったときに触覚提示手段42を作動させる。例えば、車速が所定の車速に達したときや所定の時間が経過したときに、触覚提示手段42を作動させる場合である。
【0053】
サイドブレーキレバー(パーキングブレーキレバー)23を解除すると、警報手段(警告表示装置)38のサイドブレーキ警告図形部106が消灯すると同時に、触覚提示手段42の右触覚提示手段53及び左触覚提示手段51は手に伝える動きを停止する。
【0054】
なお、サイドブレーキレバー23の解除忘れを知らせる触覚パターンは、任意であり、例えば、逆に開く動き(図11→図10(b)→図10(a)→図11)を繰り返すことも可能である。
【0055】
次に、本発明の車両の警報装置が別の警報を出す場合について説明する。
図12(a)〜(d)は、別の警報(Eメールの受信)を出すときの機構を説明する図である。
上段に触覚提示手段42Bの機構説明図を示し、下段にステアリングホイール31に配置した触覚提示手段42Bを示している。
触覚提示手段42Bは、直動手段122の数を25個から16個に減少させたもので、直動手段122を上下方向(Y軸)に4列配置し、前後方向(X軸)に4配列しているものである。上記図1〜図7に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0056】
まず、図1の触覚提示切り入りスイッチ43を「入り」に設定する。
その次に、図1の警報種類選択スイッチ44でモニタ画面に表示される「Eメールの警報」を選択する。
その次に、図1の触覚パターン入力部45でモニタ画面に表示される触覚パターンから好みの触覚パターンを選択する。ここでは、一方の角から他方の角に向かって斜めに流れる動きを繰り返すパターンを選択する。
その次に、自身の携帯電話(図に示していない)を車両の携帯接続部に接続する。なお、これらの操作順は任意である。
【0057】
携帯電話がEメールを受信すると、触覚提示手段42Bが手の触覚に警報(Eメールの受信)を伝える。
具体的には、携帯電話がEメールを受信すると、まず、(a)に示しているように、前の下に配置した、「X1,Y4(座標)」の直動手段122が作動(前進)して前の下(X1,Y4)に凸部(盛上がり)137を形成することで、右手Hの手の平の触覚に押圧を加える。その後直動手段122が戻る(後退する。)。
【0058】
引き続き、(b)に示す前側の下側に配置した「X1,Y3」、「X2,Y4」の直動手段122がともに同時に作動して前側の下側(X1,Y3)(X2,Y4)に凸部138をそれぞれ形成することで、右手Hの手の平、すなわち、最初の位置から少し離れた位置に押圧を加える。加えた後、直動手段122が戻る。
【0059】
引き続き、(c)に示す中央近傍に配置した「X1,Y2」、「X2,Y3」、「X3,Y4」の直動手段122がともに同時に作動して凸部141をそれぞれ形成することで、前の押圧位置から少し離れた位置の手の平の触覚に押圧を加える。
【0060】
さらに続けて、(d)に示す中央に配置した「X1,Y1」、「X2,Y2」、「X3,Y3」、「X4,Y4」の直動手段122がともに同時に作動して凸部142をそれぞれ形成することで、前の押圧位置から少し離れた位置の手の平の触覚に押圧を加える。
【0061】
図13(a)〜(c)は、図12の続きを説明する図である。
(a)に示す中央近傍に配置した「X2,Y1」、「X3,Y2」、「X4,Y3」の直動手段122がともに同時に作動して凸部143をそれぞれ形成することで、前の押圧位置から少し離れた位置の手の平の触覚に押圧を加える。
さらに、(b)、(c)に示す凸部144、145を順に形成することで、手の平の触覚に押圧を順に加える。引き続き、図12(a)に戻って、繰り返し手の平に押圧を加える。その結果、Eメールを受信したことを人に確実に伝えることができる。
なお、触覚提示手段42Bを採用したが、触覚提示手段42を採用してもよい。触覚提示手段42は、触覚提示手段42Bと同様の効果を発揮する。
【0062】
図14(a)、(b)は、車両のふらつきの警報を出すときの機構を説明する図である。
上段に走行車線147上の車両12の位置を示し、中段にステアリングホイール31に配置した触覚提示手段42を示し、下段に触覚提示手段42の機構説明図を示している。
【0063】
まず、図1の触覚提示切り入りスイッチ43を「入り」に設定する。
その次に、図1の警報種類選択スイッチ44でモニタ画面に表示される「車両の左右のふらつき警報」を選択する。
その次に、図1の触覚パターン入力部45でモニタ画面に表示される触覚パターンを選択する。なお、これらの操作順は任意である。
【0064】
(a)に示しているように、車両12が走行車線147の中央151を走行していると、車線検知カメラ86の情報に基づいて、Y3の直動手段122が作動して、凸部153を形成し、走行車線147の中央151を走行していることを右手Hの手の平に伝える。右触覚提示手段53の中央(Y3)の凸部153を形成することで、基準を伝えることができ、ふらつき加減の把握は容易になる。
なお、走行車線147の中央151を走行しているときに、触覚提示手段42を作動させるか否かは任意であり、触覚提示手段42を停止させてもよい。触覚提示手段42を停止させることで、触覚提示手段42の盛上がりを常時感じることなく、握ることができる。
【0065】
(b)に示す車両12が走行車線147の右にふらついた場合、言い換えると、車両12が中央151から走行車線147のセンターライン155寄りを走行し始めると、車線検知カメラ86の情報に基づいて、右触覚提示手段53は、矢印a3のように下のY4の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、凸部156を合計5個形成する。その結果、右手Hの手の平の右寄り触覚で運転者に車両12が走行車線147の右にふらついている状態であることを伝えることができる。
【0066】
ここでは、Y4の5個の直動手段122を同時に作動(前進)させて、盛上がり(凸部)156を合計5個形成した状態を保っているが、作動のパターンは任意である。例えば、Y4の5個の直動手段122が有するロッド126の前進・後退を一定の間隔で繰り返すことで盛上がり(凸部)156を一定間隔の時間で繰り返すことも可能であり、また、Y4の5個の直動手段122間で時間差を設定して波のように盛上がり(凸部)156を形成することも可能である。
【0067】
図15(a)、(b)は、図14の続きを説明する図である。
(a)に示す車両12が走行車線147の右にさらにふらついた場合、言い換えると、車両12が走行車線147のセンターライン155にさらに寄って走行し始めると、右触覚提示手段53のY5の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、凸部157を合計5個形成する。その結果、前の押圧位置から矢印a4のように少し右に寄った位置の手の平の触覚に押圧を加える。従って、右手Hの手の平の右より触覚で運転者に車両12が走行車線147の右にさらに、ふらついている状態であることを伝えることができる。
【0068】
(b)に示すように車両12が走行車線147の右から左に矢印a5のようにふらつき、路肩158寄りを走行し始めると、右触覚提示手段53の上のY1の直動手段122が作動して表皮カバー124を押し、盛上がり(凸部)161を合計5個形成する。その結果、右手Hの手の平の左寄り触覚で運転者に車両12が走行車線147の左にふらついている状態であることを伝えることができる。
【0069】
尚、本発明の車両の警報装置は、実施の形態では触覚提示手段をステアリングホイールに採用したが、ステアリングホイール以外にも採用可能である。
車両状態伝達装置は、実施の形態では、説明した3種類の触覚パターン(作動のパターン)を設定しているので、それぞれの条件のときにそれぞれが作動する。しかし、同時に作動(伝達)できないものもあるので、その際は、優先の順位をモニタ画面で設定する。
また、車両状態伝達装置では、1種類の触覚パターン(作動のパターン)のみを設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の車両の警報装置は、車両の状態を知らせる警報に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の車両の警報装置の概要を説明する図
【図2】本発明の車両の警報装置の構成図
【図3】車両の警報装置に含まれる警報手段及び計器盤の正面図
【図4】図1の4−4線断面図(触覚提示手段)
【図5】図4の5−5線断面図(触覚提示手段)
【図6】図5の6矢視図(触覚提示手段)
【図7】本発明の警報装置が備える触覚提示手段の作動概要を示す図
【図8】本発明の車両の警報装置のフローチャート
【図9】警報装置がサイドブレーキの解除忘れの警報を出すときの機構を説明する図
【図10】図9の続きを説明する図
【図11】図10の続きを説明する図
【図12】別の警報(Eメールの受信)を出すときの機構を説明する図
【図13】図12の続きを説明する図
【図14】車両のふらつきの警報を出すときの機構を説明する図
【図15】図14の続きを説明する図
【図16】従来の技術(特許文献1)の説明図
【図17】従来の技術(特許文献2)の説明図
【符号の説明】
【0072】
11…警報装置、12…車両、25…車両検出装置、31…操作手段(ステアリングホイール)、38…警報手段(警告表示装置)、41…車両状態伝達装置、42…触覚提示手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて運転者に警報を発生する警報手段と、前記車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置と、を備えた車両の警報装置において、
前記車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、前記運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として前記運転者に伝達する触覚提示手段を備え、
前記警報手段が作動したときに、前記触覚提示手段を作動させることを特徴とする車両の警報装置。
【請求項2】
前記触覚提示手段は、前記車両検出装置の情報に基づいて触覚に伝える動きのパターンを変化させることを特徴とする請求項1記載の車両の警報装置。
【請求項3】
車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置を備えた車両の警報装置において、
前記車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、前記運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として前記運転者に伝達する触覚提示手段を備え、前記車両検出装置により車両のふらつきが検出された場合に、前記触覚提示手段が作動して運転者に警報を発生することを特徴とする車両の警報装置。
【請求項1】
車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて運転者に警報を発生する警報手段と、前記車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置と、を備えた車両の警報装置において、
前記車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、前記運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として前記運転者に伝達する触覚提示手段を備え、
前記警報手段が作動したときに、前記触覚提示手段を作動させることを特徴とする車両の警報装置。
【請求項2】
前記触覚提示手段は、前記車両検出装置の情報に基づいて触覚に伝える動きのパターンを変化させることを特徴とする請求項1記載の車両の警報装置。
【請求項3】
車両の状態を車両検出装置で検出し、この車両検出装置の情報に基づいて車両の状態を伝える車両状態伝達装置を備えた車両の警報装置において、
前記車両状態伝達装置は、車両の状態の変化を、前記運転者が操作する操作手段を介して触覚情報として前記運転者に伝達する触覚提示手段を備え、前記車両検出装置により車両のふらつきが検出された場合に、前記触覚提示手段が作動して運転者に警報を発生することを特徴とする車両の警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−149844(P2008−149844A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−338803(P2006−338803)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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