説明

車両を運転する方法およびシステム

本発明は、燃焼エンジンに接続された変速機が、様々な異なる速度伝達比に設定可能であり、さらに、低速度伝達比のトルク平坦域が得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い前記低伝達比に設定可能である、車両を運転する方法に関する。第1のモードでは、車両が前記エンジンへの燃料供給なしに運転され、さらに第2のモードでは、前記エンジンが燃料供給を与えられて前記車両を推進する推進力を供給するように、車両は、前記低伝達比で前記第1のモードおよび前記第2のモードで運転するように構成されている。本方法は、車両が、前記第1のモードに従って運転されるべきか前記第2のモードに従って運転されるべきかを、推進力の必要性に基づいて決定することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転する方法に関する。特に、本発明は、前記車両を推進する出力の必要性が低下している状況で、燃焼エンジンに接続された変速機を様々な異なる速度伝達比に設定することができる、車両を運転する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック、バスおよび同様なものなどの大型車両の運転では、その車両が使用される活動の利益性の点で車両経済性が次第にいっそう大きな要素になっている。調達費用は別として、大型車両の日常的な運転に含まれる主な費用は、通常、ドライバ、修理および保守の費用、および車両の推進に必要な燃料のための支払いを含む。
【0003】
車両の型に依存して、様々な要素の影響は変化する可能性があるが、一般に燃料消費が出費の主要な項目であり、さらに、大型車両の稼働率はしばしば高いので、大きな全体的な燃料消費を含めて燃料消費を減少させるあらゆる可能な方法が利益性に好ましい効果をもたらす。
【0004】
長距離走行では、燃料消費を最適化することが特に重要である。この目的のために、或る車両経済走行速度に対して典型的なエンジン経済走行速度を特徴とする長距離車両がある。典型的な車両経済走行速度は、地域または道路の型に依存して、例えば、80km/h、85km/hまたは89km/hであることがある。
【0005】
一般に大型車両では、様々な異なる伝動機構構成が利用可能であるが、そのような車両は、ドライバにとってできるだけ快適に運転できることがしばしば望ましいので、普通車両に組み込まれている制御システムによってギヤチェンジが制御されるように自動的に操作される変速機を備えることが多い。
【0006】
大型車両の自動ギヤチェンジシステムが、普通、制御システムによって制御されることによって、エンジンおよび変速機の制御が一部は車両ドライバからの指令に基づいて行われるがかなりの部分が同様に制御システムによって行われる制御装置を使用することが可能になり、しばしば利用される可能性である。そういうわけで、制御システムは、また、できるだけ燃料を節約するようなやり方でできる限りギヤチェンジおよびギヤ選択を行うことによって燃料消費を改善する機能を内蔵することが多い。
【0007】
そのような機能の例は、車両が下り勾配にあるとき、車両の速度を維持するためにトルクの寄与が必要でないとき動力輪からエンジンを切り離す機能である。その後、車両の伝動機構は、例えばドライバがアクセルペダルまたはブレーキペダルを押したとき、再び接続される。
【0008】
前述の切り離し機能は、多くの場合には申し分なく働くことができるが、燃焼エンジンによって動力を供給される車両の燃料消費をさらに減少させることができる状況がまだある。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、車両の変速機を制御する方法を提案することであり、この方法によって車両の燃料消費を減らすことができる。この目的は、請求項1に記載の方法によって実現される。
【0010】
本発明は、燃焼エンジンに接続された変速機が、様々な異なる速度伝達比に設定可能であり、さらに、低速度伝達比のトルク平坦域が得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い前記低伝達比に設定可能である、車両を運転する方法に関連する。第1のモードでは、車両が前記エンジンへの燃料供給なしに運転され、さらに第2のモードでは、前記エンジンが燃料供給を与えられて前記車両を推進する推進力を供給するように、車両は、前記低伝達比で前記第1のモードおよび前記第2のモードで運転するように構成されている。本方法は、車両が前記第1のモードに従って運転されるべきか前記第2のモードに従って運転されるべきかを、推進力の必要性に基づいて決定することを含む。
【0011】
この方法は、車両を2つの異なるやり方で、オーバードライブギヤを使って運転することができるという有利点を提供する。第1のモードでは、車両は、エンジントレーリングの状態で、すなわち、エンジンに燃料が供給されない、したがって無燃料消費の状態で、運転される。このことは、車両が、例えば下り坂走行で燃料消費なしに運転可能であるが、同時に、オーバードライブによる低エンジン速度によって、結果として低エンジンブレーキトルクが車両の駆動軸に加えられることになる。
【0012】
代わりに、前記第2のモードでは、エンジンは、そのときにその速度で供給することができる(低下した)推進力(出力)まで適切な推進力に寄与することができ、それによって、より低速のギヤ(より高い速度伝達比)に変えることが必要になる前に、オーバードライブ噛み合い状態で、エンジントレーリングの状態よりも長く車両を運転することができるようにオーバードライブの利用の程度を高める。例えば、出力の必要性低下をもたらすが、車両速度が維持されることを可能にするためにエンジンの寄与が必要とされる下り勾配で、車両は、オーバードライブ噛み合い状態で運転可能であり、または、車両は、車両の速度が基準速度から、例えば、設定された走行制御速度または車両の制御システムで示された何らかの他の速度から余りにも大きくずれることなしに、できるだけ長く運転されることが可能である。
【0013】
車両が、オーバードライブ噛み合い状態で、前記第1のモードに従って運転されるべきか前記第2のモードに従って運転されるべきかの決定は、推進力の必要性を決定することによって行われ、さらに前記低速度伝達比への変化は、推進力の必要性に基づいて行われ、例えば、推進力の必要性が低下しているときまたは第1の時間内に低下するとき、行われることが可能である。例えば下り勾配で運転される車両は、車両の推進のための推進力(出力)の必要性が減少することの影響を受ける。というのは、車両のエンジンからの、車両を推進する推進力の必要性が低下するまたはさらに全くなくなるように、地球の引力が、前進推進力成分に寄与するからである。
【0014】
この決定は、車両が前記低速度伝達比で運転されているときまたは運転されるべきときに、行われることがある。推進力の必要性の決定、および車両が前記第1のモードに従って運転されるべきか前記第2のモードに従って運転されるべきかの決定は、車両の制御システムの一部を形成する少なくとも1つの制御ユニットを備える決定手段によって行われることがある。
【0015】
或る実施形態では、推進力の必要性は、車両の走行抵抗を決定することによって決定される。走行抵抗は、運転中に車両に作用する力の合成の総合的表現であり、車両の速度、エンジンの推進トルク、車両の外形、および他の環境データを知ることに基づいて計算されることが可能である。走行抵抗は、道路勾配の表現として使用されることがある。
【0016】
車両は、例えば、車両の走行抵抗の絶対量が第1の値よりも低い場合には前記第1のモードに従って運転されることが可能であり、また車両の走行抵抗の絶対値が第2の値よりも低い場合には前記第2のモードに従って運転されることが可能であり、前記第1の値は、前記第2の値よりも小さい可能性がある。
【0017】
或る実施形態では、推進力の必要性は、速度パラメータを決定することによって決定される。速度パラメータは、例えば、車両が下り勾配の或る点で達する速度または車両が例えば下り勾配で達する最高速度を決定するという形を取ることが可能である。この速度を計算することによって、車両を運転するのに適したモードを決定することが可能になる。期待車両速度は、例えば、車両の前方の道路の地形に関係するデータに基づいて決定されることが可能である。
【0018】
車両が前記第1のモードに従って運転されるべきか前記第2のモードに従って運転されるべきかの決定は、例えば、走行制御機能が作動された状態で車両が運転されているとき行われることが可能であり、この場合には、本発明は、走行制御機能が作動された状態で燃料を節約するやり方を使って車両を運転するために、有利に使用されることが可能である。
【0019】
本発明のさらに他の特徴および有利点は、以下で示される実施形態の例および添付の図面の詳細な説明によって示されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1a】本発明が有利に使用される可能性がある車両の伝動機構を示す図である。
【図1b】車両制御システム中の制御ユニットの例を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の例に従って変速機を制御する方法の例を示す流れ図である。
【図3】エンジンのトルク曲線を示す図であり、オーバードライブ作動範囲の限界が示されている。
【図4】エンジン速度の関数としてエンジンの摩擦損失を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
オーバードライブとういう用語は、通常、変速機の出力軸がエンジン軸よりも速く回転するギヤを意味すると解釈される。
【0022】
しかし、以下で示される説明および特許請求の範囲では、オーバードライブという用語は、車両が、ギヤのトルク平坦域に達するエンジン速度よりも下のエンジン速度で、経済走行速度で走るそのギヤを意味することに限定される。このことは、そのようなギヤでは最大トルクが利用できず、推進力の必要性が低下する状況以外ではそのギヤが使用できなくなることを意味する。
【0023】
図1aは、本発明の実施形態の例に従った、大型車両100、例えばトラック、バスまたは同様なものの伝動機構の例を示す。図1aに模式的に示された車両100は、動力輪113、114の付いたたった1つの車軸を持っているが、本発明は、また、動力輪の付いた2以上の車軸を持つ車両においても応用可能である。伝動機構は、燃焼エンジン101の出力軸102を介し、普通フライホイール(図示されない)を介し、クラッチ106を介して自動操作変速機103に従来のやり方で接続された燃焼エンジン101を備えている。
【0024】
しかし、農業または高速道路で主として使用される大型車両は、普通、従来の意味で自動変速機を備えないが、ギヤチェンジが制御システムによって制御される「手動」変速機を備えている。その理由の一部は、手動変速機が製造するのに実質的により安いからであるが、また、手動変速機の方がより効率が良く、したがって燃料消費が少ないためでもある。
【0025】
図示された実施形態のクラッチ106は、従来型、例えば円板型の自動制御クラッチの形を取っている。クラッチの開/閉は、車両の制御システムによって制御される。このことはまた、車両が動かされた後のギヤチェンジが、ギヤチェンジ中にエンジンを適切に制御することによって、クラッチが閉じた状態で行われるように、手動制御クラッチの場合には普通のことである。
【0026】
現代の車両の制御システムは、普通、いくつかの電子制御ユニット(ECU)または制御装置と車両に位置付けされた様々な部品を互いに接続する1つまたは複数の通信バスを含む通信バスシステムから成っている。そのような制御システムは、多数の制御ユニットを備えることがあり、特定の機能に対する責任が、2以上の制御ユニットの間で分担されることがある。簡単にするために、図1aは、たった2つのそのような電子制御ユニット115、116を示し、これらの制御ユニット115、116は、この実施形態で、エンジン101とクラッチ106(自動制御クラッチのある場合に)および変速機103をそれぞれ制御する(代わりに、エンジン、変速機およびクラッチのうちの2以上のものが、たった1つの制御ユニットによって制御されるように配置されることがある)。制御ユニット115、116によるエンジン、クラッチおよび変速機の制御は、通常、他の1つの制御ユニットからの信号だけでなく他の複数の制御ユニットからの信号に依存している。図示された型の制御ユニットは、通常、車両の様々な部分から、例えば変速機、エンジン、クラッチおよび/または車両の他の制御ユニットまたは部品からセンサ信号を受け取るように構成されている。制御ユニットは、さらに、車両の様々な部分および部品、例えばエンジン、クラッチおよび変速機に、これらの制御のために制御信号を供給するように構成されている。本発明は、上の制御ユニットのどれかに、または車両の制御システム中の或る他の適切な制御ユニットに実現されることがある。
【0027】
車両の様々な部分および部品の制御、例えばギヤの選択は、しばしばプログラム命令によって支配される。このプログラム命令は、一般に、コンピュータプログラムの形を取り、コンピュータプログラムは、コンピュータまたは制御ユニットで実行されたとき、制御作用の望ましい形、例えば本発明に従った方法のステップをコンピュータ/制御ユニットに達成させる。コンピュータプログラムは、普通、コンピュータプログラム製品109の形を取り、コンピュータプログラム製品109は、制御ユニットと組み合わせたまたは制御ユニット中のデジタル記憶媒体121(図1bを参照されたい)、例えば、ROM(読出し専用メモリ)、PROM(プログラム可能読出し専用メモリ)、EPROM(消去可能PROM)、フラッシュメモリ、EEPROM(電気的消去可能PROM)、ハードディスクユニットなどに格納され、制御ユニットによって実行される。したがって、特定の状況における車両の挙動は、コンピュータプログラムの命令を変えることによって調節することができる。
【0028】
制御ユニット(制御ユニット115)の例が、図1bに模式的に示され、計算ユニット120を含むことがあり、計算ユニット120は、実質的に任意の適切な型の処理装置またはマイクロコンピュータ、例えば、デジタル信号処理用の回路(デジタル信号処理装置、DSP)、または予め決められた特定の機能を持つ回路(用途特定集積回路、APIC)の形を取ることがある。計算ユニット120は、メモリユニット121に接続され、メモリユニット121は、制御ユニット115中に位置付けされて、例えば、計算ユニット120が計算を行うことができるために必要とする格納されたプログラムコードおよび/または格納されたデータを計算ユニット120に供給する。計算ユニット120は、また、計算の部分的または最終的な結果をメモリユニット121に格納するように構成されている。
【0029】
制御ユニット115は、さらに、入出力信号を送受信するためのデバイス122、123、124、125を備えている。これらの入出力信号は、入力信号受信デバイス122、125が情報として検出することができかつ計算ユニット120で処理可能な信号に変換することができる波形、パルスまたは他の特質を含むことがある。出力信号送信デバイス123、124は、信号が向けられることになっている車両の制御システムの他の部分および/または1つの部品/複数の部品に伝えることができる出力信号を、例えば変調することによって、生成するために、計算ユニット120から受け取られた信号を変換するように構成されている。
【0030】
入出力を送受信するためのデバイスへの各接続は、ケーブル、データバス、例えばCAN(コントローラエリアネットワーク)バス、MOST(Media Oriented System Transport)バスまたは或る他のバス構成、または無線接続のうちの1つまたは複数の形を取ることがある。
【0031】
車両100はさらに駆動軸104、105を備え、駆動軸104、105は、動力輪113、114に接続され、また最終ギヤ108例えば従来の差動ギヤを介して変速機103からの出力軸107によって駆動される。
【0032】
車両100の図示された変速機103は、上で説明されたように、車両の経済走行速度でオーバードライブギヤのトルク平坦域よりも下に作動範囲を持つように構成された少なくとも1つのオーバードライブギヤを備えている。このことは、そのような型のオーバードライブが噛み合った状態で車両を正常に運転することができないことを意味する。というのは、作動点でのエンジンの速度は、普通、低過ぎて十分なトルクを供給することができず、その上、推進力の必要性が増すや否や、エンジンは、なおいっそう少ない動力が利用可能なより低い速度に落ち、エンジン停止の危険があるからである。
【0033】
そうではなくて、そのようなオーバードライブの目的は、出力の必要性が低下しているか全くない作動条件で、寄生損失したがって燃料消費を最小限にすることである。このことが本発明によって利用され、本発明に従った方法の実施形態の例が、図2に示されている。
【0034】
図2は、本発明の方法200の例に従ってエンジン/変速機の制御中に行われるステップを示す流れ図である。ステップ201は、出力の必要性が低下しているか間もなく低下するかを決定する。車両をそのときその速度で推進するのに必要とされる出力が閾値よりも低い場合に、低いそのような必要性が決定されることがある。
【0035】
車両が例えば下り勾配にある場合、下り勾配(上り勾配に対立するものとして)では重力による地球の引力は、車両を推進するためのエンジンの出力の必要性が著しく減少しまたはさらに全くなくなるように、前向き(前進)の推進力成分に寄与するので、車両を推進するのに必要な出力は低下する。したがって、オーバードライブによって引き出すことができる出力(利用可能なトルク)は、多くの場合に、低エンジン速度にもかかわらず変わらないか実質的に変わらない速度で車両を運転することを可能にするのに十分であることがある。
【0036】
ステップ201で、間もなく推進力の必要性が低下するか全くなくなることが決定された場合には、この決定は以下に例示されるように様々な異なるやり方で行われる可能性があるが、プロセスはステップ202に進み、ステップ202では、車両を運転するのに適切なモードが決定される。
【0037】
本発明は、オーバードライブが噛み合っているがエンジントレーリングの状態で車両を運転することによる第1のモードか、すなわち車両はエンジンへの燃料供給なしに運転されるか、またはオーバードライブの低速度で供給可能な最大までの推進力を供給することを可能にするようにエンジンに燃料供給して車両を運転することによる第2のモードかで、オーバードライブ噛み合い状態で燃料消費を減らす2つのやり方の可能性を利用する。
【0038】
ステップ202は、燃料消費または何らかの他の観点から、前記第1のモードと前記第2のモードのどちらに従って車両を運転するのがより有利であるかについて決定を行う。
【0039】
例えば、そのときの道路勾配およびそのときの車両速度に依存して、前記第1のモードまたは前記第2のモードに従って車両を運転することの有利さの程度が異なる可能性がある。また、変速機をオーバードライブに切り換えることで、エンジン速度が非常に低い値に下がりさらにエンジンからの雑音のレベルが下がるという有利点が得られる。モード決定は、例えば、車両の走行抵抗および/または車両の前方の道路のトポロジに基づいて行われることがあり、またモード決定は、例えば、各モードで車両が達する速度を決定(計算)することによって行われることがある。
【0040】
図3は、上記のようなオーバードライブについてトルク曲線と作動範囲を示す。エンジン速度nは、車両の経済走行速度または最大許容速度が得られるエンジン速度を意味し、nで最大であり、したがってエンジンは、オーバードライブ噛み合い状態ではトルク平坦域(nとnの間)で、車両経済走行速度で決して作動せず、より低いエンジン速度したがってより低いトルクで常に作動する。このように、オーバードライブは、トルク曲線のトルク平坦域よりも下の作動点で使用される意図であり、作動点nは、基本的に、n(エンジンが前向きトルクを供給することができる点)とnの間の任意の望ましい点に移すことができる。
【0041】
従来のギヤチェンジを有する車両では、変速機の速度伝達比は、優れた運転しやすさを実現するために、車両の経済走行速度でのエンジン速度がトルク平坦域の上部(すなわち、nにより近いところ)または代わりにトルク平坦域の中間(nとnの中間)にあるように決められる。車両の経済走行速度は、地域の規則または道路の型に依存して変わる可能性があるが、例えば、80、85、または89km/hであることがある。
【0042】
トルクTおよび出力Pは、次式によって互いに関係付けられる。
P=Tω (1)
ここで、ωはエンジンの角速度、すなわち2π60/rpm(rpm=エンジン回転数/分)であり、この式は、速度nまでの領域でエンジンから引き出すことができる出力Pが、エンジンが供給することができる最大よりも低い値に制限されることを意味する。というのは、エンジン速度とエンジンの供給可能最大トルクの両方がより低いからである。このように、オーバードライブが噛み合うとき、エンジンから引き出される出力は制限される。
【0043】
車両が、例えば、80km/hの経済走行速度で運転され、かつ制御ユニット115(または116)が、例えば車両の走行抵抗の決定によって、出力の必要性が低いと決定した場合には、オーバードライブが噛み合わされて、結果としてエンジンが燃料を節約することになる。それぞれの走行抵抗は、車両の走行速度、エンジンの駆動トルク、車両の外形および他の環境データを知ることで計算されることがある。走行抵抗は、向かい風、追い風、転がり抵抗、摩擦および車両中のエネルギー消費物、および車両を加速する/ブレーキをかける重力の合成の総合的表現であるので、道路勾配の表現として使用することができる。
【0044】
上記のようにオーバードライブが噛み合うとき、エンジンは、図2に示されたトルク平坦域よりも下の範囲内の低速度で、すなわちnよりも下の速度で作動する。例えば、必要とされる出力は、或る閾値よりも低い場合に低いと見なされることがある。この閾値は、例えば、最大出力の或る割合、例えば10〜15%であることがあり、またはオーバードライブで走るときの最大利用可能出力の或る割合であることがある。
【0045】
したがって、そのときにその車両を推進ために必要とされる出力に依存して、車両は、前記第1のモードまたは前記第2のモードに従って運転される。エンジンへの燃料供給なしに車両の速度が増すか維持されるか実質的に維持されるような下り勾配に車両がある(入る)場合には、エンジンは、前記第1のモードに従って燃料噴射がオフにされた状態で「トレール」される。
【0046】
出力の必要性が低下することになるが純粋に重力だけで速度を加速/維持することができるほど十分に急峻でない下り勾配で、車両が、オーバードライブ噛み合い状態で運転される場合に、車両が、エンジントレーリングの状態で、エンジントレーリングが必要とすることがある減速で運転される方が有利であるかどうか、または燃料が供給される方がよいかどうかについて決定が行われることがある。例えば、車両速度が維持されるか実質的に維持されるために、エンジンからの或る寄与、例えば10〜50kWが必要とされることがある。
【0047】
オーバードライブ噛み合い状態でエンジンがどのくらいの出力を供給することができるかは、作動点nがnとnの間の領域のどこにあるかに依存している。というのは、トルク(したがって、上記のような出力)は、それぞれの作動範囲内でエンジン速度によって大きく変わるからである。
【0048】
低エンジン速度でエンジンをトレールすることで、また、伝動機構が閉じているときエンジンが駆動軸に加えるブレーキトルクが、より高いエンジン速度でトレールするときよりも遥かに小さくなるという有利点が与えられる。このことは、燃焼エンジンの例について図4に例示され、エンジン摩擦がエンジン速度に対してプロットされている。エンジン摩擦は、少なくとも部分的に軸受および滑り面の摩擦に依存し、またエンジンに空気、油および水を送り込む際に消費されるエネルギーに依存している。
【0049】
図面で理解されるように、エンジンによって加えられるブレーキトルクは、約1800rpm(250Nm)では600rpm(130Nm)のほとんど2倍である。エンジンの出力は、エンジンのトルクとエンジンの速度の両方に依存するので、ブレーキ出力の差は、さらにいっそう大きい(8kWに対して47kW)。より低いエンジン速度でエンジンをトレールすることで、より小さなブレーキ抵抗で燃料消費なしに車両を運転することが可能になり、したがって車両を推進するために前向きトルクが再び必要とされる前により長い距離を走ることが可能になる。
【0050】
上で言及されたように、そのような状況での代替え解決策は、エンジンからブレーキトルクが全く加えられないようにエンジンを駆動軸から完全に切り離すことであり、その結果、転がり抵抗がさらにいっそう小さくなる。しかし、この解決策は、エンジンを動かし続けるためにその間ずっと燃料が消費されるという不利点をやはり含んでいる。
【0051】
図2に戻ると、適切なモードが決定されたとき、本方法はステップ203または204に進んで、利用可能なモードを活動化し、それからプロセスはステップ205に進み、ステップ205は、車両の速度パラメータが第1の基準を満たしているかどうかを決定する。この決定は、例えば、そのときの車両の走行速度が速度基準Hrefからずれているかどうかを決定するという形を取ることがある。この決定は、例えば、速度基準Hrefに対する速度変化が閾値Hthres以上であるかどうか決定することよって行われることがある。Hthresは、例えば、速度基準Hrefの或るパーセンテージ、例えば1、2、または5%であることがある。
【0052】
閾値は、絶対的なもの、すなわち、速度差が増加であるか減少であるかに無関係であることがあり、または、閾値は、例えば減少だけであることがある。また、閾値は、例えば、実際の速度差、例えば1、2、または5km/hであることがある。
【0053】
代わりに、速度パラメータは、例えば、車両の走行速度の微分係数であることがあり、この場合には、速度変化(微分係数)が、閾値または基準値と比較されることがある。
【0054】
車両の速度が、前記の差を超えて速度基準Hrefと違わない場合、または例えば、微分係数の絶対量が閾値を超えていないか基準値から特定の量を超えてずれていない場合には、プロセスはステップ206に進む。
【0055】
ステップ206は、オーバードライブ噛み合い状態でもはや車両を運転しない原因が何か他にあるかどうかを決定する。そういった事情でなければ、プロセスはステップ205に戻り、そうでなければステップ207に進む。
【0056】
対照的に、ステップ205で速度差が閾値Hthresを超えている場合、または微分係数が閾値を超えるか特定の量を超えて基準値からずれている場合には、プロセスはステップ207に進み、そこで変速機は、より低速のギヤ(より高い速度伝達比)に変わってより多くの推進力を利用可能し、それによって車両を再びより高速に加速することができ、または代わりに、完全に図4に従って、下方ギヤチェンジが、車両のエンジンブレーキに使用することができるより多くのトレーリング抵抗を引き起こす。
【0057】
速度減少は、例えば、下り勾配が平らになること、またはさらに上り勾配に変わることによることがある。そのとき、プロセスは、再び推進力の必要性が低下した場合にもう一度元のオーバードライブまで戻ることができるために、ステップ201に戻る。
【0058】
車両速度が(前記閾値Hthresを超えて)基準速度を超えた場合には、プロセスは、例えば、車両の常用ブレーキを使用することによってまたは例えば排気ブレーキ、リターダブレーキなどを使用することによって、ブレーキトルクが加えられるステップ(図示されない)に進むことができ、それから、プロセスはステップ205に戻り、そこで、再び車両速度が基準速度と比較される。
【0059】
ステップ205で速度パラメータを上記のように使用して、下方ギヤチェンジ(ステップ207に進むこと)が行われるべきかどうかを決定しないで、代わりに、車両の推進力の必要性が、この説明で説明されたまたは言及されたやり方のどれかで決定されることがあり、それによって推進力の必要性増加に基づいて下方ギヤチェンジが行われる。その後で、プロセスは、推進力の必要性の新しい決定のためにステップ201に戻ることができる。
【0060】
本発明は、また、下り勾配で複数の方策を組み合わせるために使用されることがある。例えば、車両は、下り勾配の第1の部分で前記モードのいずれかで運転され、その後で他方のモードで運転されることがある。したがって、図2に従ったプロセスは、例えば、ステップ206からステップ203または204への矢印を含むことがある。
【0061】
モード変化が或る位置でまたは或る時間の後で行われるべきであるということをステップ202で既に決定することは可能であるが、そのモード変化は他の要素によって制御されることがある。例えば、例えばそのときの車両の速度が速度基準Hrefから閾値Hthresだけずれていると決定された場合に、モード変化が起こるように決められることがある。
【0062】
車両速度がより低い場合、すなわち、車両速度が閾値Hthresを超えて下方にずれている場合には、前記第1のモードから前記第2のモードに切り換えることによるか、依然としてオーバードライブ噛み合い状態で前記第2のモードで引き出される出力を大きくすることによるかのどちらかで、エンジンからより多くの出力を引き出すことができるかどうかが決定されることがある(図示されないステップで)。
【0063】
図2に示されたプロセスは、また、上位プロセス、ステップ206を含む。このプロセスによって、エンジンからの出力の必要性が増す何らかの他の原因があるかどうかを絶えず監視することができるようになる。例えば、より低速のギヤ(より高い速度伝達比)への変化は、例えば、次の基準のどれか、すなわち、車両速度が走行制御機能に設定されたレベルに増すこと、車両ドライバがアクセルペダルまたはブレーキペダルを動かすこと、車両が設定速度を超えて加速することのどれかが、満たされたとき起きることがある。
【0064】
上では、推進力の必要性低下があるかどうか決定するために走行抵抗が使用された。実施形態の代りの例に従って、減らされた出力が車両を推進するのに十分であるかどうかを決定するために、車両の前方の道路についてのデータが使用される。例えば、ルックアヘッド(LA)機能からのデータが、減らされた出力が必要であるかどうかを決定するために使用されることがある。
【0065】
例えば、LA機能は、地理的領域例えば地域、国、大陸などの中の全ての道路か通常車両を運転する道路区間かのどちらかのために車両に準備された道路勾配データベースを含むことがある。例えばGPS受信機を介して得ることができる車両の位置とこれらのデータを組み合わせることによって、車両の制御システムは、車両の前方の道路の性質を知り、それから例えば走行制御機能のためにこれらのデータを様々なやり方で使用することができるようになる。代わりに、車両のデータベースに格納されるのではなく、道路勾配データは、伝送されるデータが例えばそのときの車両の位置によって制御されるように、任意の適切な無線リンクを介して絶えずまたは或る間隔で車両に送られるように準備されることがある。
【0066】
地理的な情報に加えて、道路データは、また、速度制限、道路のカーブなどについての情報も含むことができる。これらのデータは、また、例えば速度制限を超える危険または車両が望ましくない高速でカーブに入る危険がないように、本発明に従った決定で使用されることがある。
【0067】
このLA機能は、今日の車両に既に実現されていることが多く、LA機能からのデータは、来るべき推進力必要性および/またはエネルギー損失の決定で使用するために制御ユニット115および/または116に送られることがある。
【0068】
本発明の実施形態の例は、車両の前方の道路についてのこれらのデータを車両データとともに使用して、推進力の必要性が低下していることを決定し、さらに、例えば、推進力の必要性が低下するかなくなる下り坂走行での車両速度を計算することによって、車両が前記第1のモードに従って運転されるべきか前記第2のモードに従って運転されるべきかを決定し、その結果、この速度が次に車両を運転するための適切なモードの選択に使用されるようになる。
【0069】
このように、前記LA機能からのデータに基づいて、制御ユニット115および/または116は、推進力の必要性が比較的大きい点である丘の頂上の前に、間もなく推進力の必要性が低下することを既に決定することができ、さらに、制御ユニット115および/または116は、また、そのときの車両の速度、来るべき下り勾配の勾配、および来るべき下り勾配での車両の総エネルギー損失を知ることに基づいて、車両が達する最高速度を比較的正確に計算することができる。
【0070】
この計算をどのようにして行うことができるかの例は、本出願と同じ出願日で同じ出願人の並行スウェーデン特許出願「FORFARANDE OCH ANORDNING FOR FRAMFORANDE AV ETT FORDON II」(出願番号0950971−2)で言及されている。
【0071】
推進力の必要性を決定する際に、車両の推進力能力を決定するときの車両の走行状況を含みかつ考慮に入れるパラメータに至る方法およびシステムを使用することもできる。そのようなパラメータの決定は、本出願と同じ出願人で同じ出願日の並行スウェーデン特許出願「METOD FOR BESTAMNING AV DRIVKRAFTKAPACITETHOS ETT MOTORFORDON」(出願番号0950970−4)で説明されている。
【0072】
オーバードライブは、このように、出力の必要性が低いことを決定するためにエンジン信号を検出する必要なしに、適切なモードで使うことができる。
【0073】
同様に、車両が上り勾配に近づいていることが、ルックアヘッド機能を使用して決定される場合、下方ギヤチェンジは、出力の実際の必要性が生じる前に行われることがある。
【0074】
本発明は、上で、従来の変速機に関連して説明されている。しかし、それぞれの比のトルク平坦域の最低速度よりも低いエンジン速度で走行時に車両が走る速度伝達比で、車両が走ることができる限りで、本発明は、また、他の型の変速機、例えばCVT(連続可変伝達)変速機の場合にも応用可能である。
【0075】
上記の有利点の他に、本発明には、さらに大きな有利点がある。上記の型の車両は、普通、エンジンからの排出を減少させるための排気清浄システムを備えている。しかし、この排気清浄システムは、普通、それが望み通りに機能するために或る最低温度、例えば200℃を必要とする。トレールされるすなわち燃料を供給されないエンジンは、この温度を排気清浄システムに維持するように温排気ガスを供給しない。それどころか、ひっきりなしに空気がエンジンに送り出され、この比較的冷たい空気は、排気清浄システムを冷やす。
【0076】
この冷却は、エンジンを通過する空気の量に直接関係している。できるだけ低速でエンジンを動かすように前記オーバードライブを使用することによって、また、トレーリング中の空気の量が減少し、したがって排気清浄システムの冷却が減少し、その結果、排気清浄システムを補助的に温める必要がなくなる。
【0077】
しかし、本発明は、さらなる有利点を与える。上で説明されたように、排気清浄システム中の温度が少なくとも或るレベルに維持されて、システムが申し分なく機能することを保証できることが、排気清浄にとって重要である。上記のようなオーバードライブ時のトレーリングによって、結果として、より少ない冷空気がエンジンを通過することになり、したがって冷却がいっそう遅くなるが、排気清浄システムの温度が望ましくないほど低いレベルに下がって上昇を必要とすることが、例えば長い下り坂走行中に起こることが依然としてある。この温度上昇は、本発明に従ってオーバードライブで走るとき、実現するのが簡単である。
【0078】
上で説明されたように、P=Tωである。このことは、或る出力を生じさせるために、より低いエンジン速度ではより高いトルクを発生させることが必要であることを意味している。したがって、望ましいトルク、したがって出力を実現するために、より高速であるときよりも多い量の燃料が噴射されなければならない。このより多い量の燃料は、より高い排気温度につながって、排気清浄システム中の温度を上げ、さらにより効率的な後処理に寄与する。このことは、車両が運動量を失わないためにオーバードライブでの走行が或る出力をやはり必要とする状況で、特に、有利である。
【0079】
低エンジン速度のためにガス流が小さいということは、また、エンジンの効率が高くなって、排気清浄システムを費用効率の高いやり方で温めることができるようになることを意味している。このように、本発明の実施形態に従って、オーバードライブで走るとき供給される出力は、推進力の必要性だけでなく車両の排気清浄システムの加温の必要性によっても制御され、それによって他の費用効率の良くない加温手段を不要にする。
【0080】
車両の速度は、これまで絶対的な観点から説明されたが、留意されるべきことであるが、車両の速度は、また、他のやり方で、例えば、車両の制御システムで行われることがある車両の総運動エネルギーを決定することで、説明されることがある。この型の速度表現は、本説明および特許請求の範囲で「(車両)(走行)速度」という用語の中に含まれると考えられるので、また、添付の特許請求の範囲に含まれる。
【0081】
上で言及されたように、下り勾配で車両の速度を維持するためにトルクの寄与が必要でないとき、車両のエンジンは、車両の動力輪から切り離されることがある。本発明は、また、そのような手順とも組み合わされることがあり、この場合には、車両は、上記のようなオーバードライブかエンジンが車両の動力輪から切り離された状態かのどちらかで、どちらの方がより有利であるかに依存して運転される。
【0082】
その解決策は、本出願と同じ出願人で同じ出願日の並行スウェーデン特許出願「FORFARANDE OCH ANORDNING FOR FRAMFORANDE AV ETT FORDON II」(出願番号0950971−2)で詳細に説明されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼エンジンに接続された変速機が、様々な異なる速度伝達比に設定可能であり、さらに、前記低速度伝達比のトルク平坦域が得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い低伝達比に設定可能である、車両を運転する方法であって、第1のモードでは、車両が前記エンジンへの燃料供給なしに運転され、さらに第2のモードでは、前記エンジンが燃料供給を与えられて前記車両を推進する推進力を供給するように、前記車両は、前記低伝達比で第1のモードおよび第2のモードで運転するように構成され、
車両は、前記低速度伝達比のトルク平坦域が前記第1のモードに従って得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い前記低伝達比で運転されるべきか、前記低速度伝達比のトルク平坦域が前記第2のモードに従って得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い前記低伝達比で運転されるべきかを、推進力の必要性に基づいて決定する決定手段を使用するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記決定が、車両が前記低速度伝達比で運転されているとき、または車両が前記低速度伝達比で運転されるべきときに行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低速度伝達比への変化が、推進力の必要性に基づいて行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記決定手段が、車両の制御システムの一部を形成する少なくとも1つの制御ユニットの形を取る、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記決定が、前記車両のための推進力の必要性が低下しているまたは特定の時間内に低下するという決定のときに、またはその決定の後に行われる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
そのときの車両の位置のすぐ後の位置の速度が、決定され、車両が前記第1のモードに従って走らされるべきか前記第2のモードに従って走らされるべきかの前記決定が、決定された前記速度に基づいている、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のモードおよび/または前記第2のモードに従った運転中に車両が達する最高速度が、決定され、車両が前記第1のモードに従って走らされるべきか前記第2のモードに従って走らされるべきかの前記決定が、決定された前記速度に基づいている、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記決定が、そのときの車両の位置のすぐ後の位置で前記車両を運転するための推進力の必要性に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
推進力の前記必要性が第1の基準を満たす場合には、車両が、前記第1のモードに従って運転され、さらに
推進力の前記必要性が第2の基準を満たす場合には、車両が、前記第2のモードに従って運転される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記低速度伝達比は、ギヤまたは変速機の速度伝達比設定の形を取り、車両が、車両の経済走行速度または最大許容速度で、ギヤのトルク平坦域が得られるエンジン速度よりも低いエンジン速度で走らされる、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
車両を推進するための推進力の必要性が低下している、または特定の時間内に低下するという決定が、車両の前方の道路の勾配に関係するデータを使用することによって、および/または前記車両の前方の道路の地形に関係するデータおよび/または車両の走行抵抗を使用することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
車両が、車両の走行抵抗の絶対量が第1の値よりも下である場合には、前記第1のモードに従って運転され、車両の走行抵抗の絶対量が前記第1の値と異なる第2の値よりも下である場合には、前記第2のモードに従って運転される、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
推進力の前記必要性が、前記車両の速度パラメータを決定することによって決定され、さらに変速機が、前記速度パラメータが第1の基準を満たすとき、前記低伝達比よりも高い速度伝達比に切り換えられる、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記速度パラメータが、前記車両の速度の変化を決定することによって決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記変化が、前記車両の前記速度の微分係数を決定することによって決定される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
車両を推進するために減らされた出力の状態であるという決定、または特定の時間内に減らされた出力の状態になるという決定に応答して、前記変速機が前記低速度伝達比に設定される、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
車両を推進するために出力が低下しているという決定、または特定の時間内に出力が低下するという決定が、エンジンへの制御信号および/またはエンジンを使用することによって行われる、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のモードまたは前記第2のモードでの運転中に、エンジンからの出力の必要性があるかどうかおよび/または特定の時間内に必要性が生じるかどうかを絶えず監視すること、および、そのような必要性があるおよび/または生じる場合には、前記変速機をより高い速度伝達比に切り換えることをさらに含む、請求項1ないし17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記変速機が、いくつかの別個のギヤを含む変速機の形を取り、前記より低い/より高い速度伝達比への切り換えが、より高速/より低速のギヤに変える形を取る、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
走行制御機能が作動された状態で車両が運転されているとき、車両が前記第1のモードに従って運転されるべきか前記第2のモードに従って運転されるべきかの前記決定が行われる、請求項1ないし19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
プログラムコードを含み、コンピュータで実行されたとき、前記コンピュータに請求項1ないし20のいずれか一項に記載の方法を適用させる、コンピュータプログラム。
【請求項22】
コンピュータ読取り可能媒体および請求項21に記載のコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、プログラムが、前記コンピュータ読取り可能媒体中に含まれている、コンピュータプログラム製品。
【請求項23】
燃焼エンジンに接続された変速機が、様々な異なる速度伝達比に設定可能であり、さらに、前記低速度伝達比のトルク平坦域が得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い低伝達比に設定可能である、車両を運転するシステムであって、第1のモードでは、車両が前記エンジンへの燃料供給なしに運転され、さらに第2のモードでは、前記エンジンが燃料供給を与えられて前記車両を推進する推進力を供給するように、前記車両は、前記低伝達比で前記第1のモードおよび前記第2のモードで運転するように構成され、
車両は、前記低伝達比のトルク平坦域が前記第1のモードに従って得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い前記低伝達比で運転されるべきであるか、前記低伝達比のトルク平坦域が前記第2のモードに従って得られるエンジン速度よりもエンジン速度が低い前記低伝達比で運転されるべきであるかを、推進力の必要性に基づいて決定する決定手段
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項23に記載のシステムを備える車両。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−514506(P2013−514506A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−544438(P2012−544438)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051403
【国際公開番号】WO2011/075068
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(594097848)スカニア シーブイ アクチボラグ (39)
【Fターム(参考)】