説明

車両セキュリティ装置

【課題】電子キーを用いてドアが機械的に解錠された場合、電子キーにおける電池の残存容量に基づいて対処方法を選択する車両セキュリティ装置を提供すること。
【解決手段】車両セキュリティ装置1は、送信手段20および送信手段20を駆動する電池21を有する電子キー2から識別情報および電池21の残存容量情報を受信する受信手段10と、電池21の残存容量が所定値未満であるか否かを判断する残存容量判断手段11と、残存容量判断手段11による判断結果を記憶する判断結果記憶手段12と、受信手段10により電子キー2に固有の識別情報を受信することなくドアが解錠されたことを検出する解錠検出手段13と、解錠検出手段13により解錠が検出された場合に、判断結果記憶手段12に記憶された判断結果に基づいて、起動すべき対処手段を選択する対処手段選択手段16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両セキュリティ装置に関し、より詳細には、電子キーを用いた遠隔操作によらずにドアが解錠された場合に、先回のドア開閉の際の電子キーにおける電池の残存容量に基づいて、対処方法を選択する車両セキュリティ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のドア、トランクまたはボンネット等(以下、「ドア等」という。)を開閉させるシステムには、無線や赤外線を用いたボタン遠隔操作でドア等を開閉させる電子キーシステムや、ボタン操作さえも行うことなく所定の携帯端末を持って車両に近づくだけでドア等の開閉を可能とするスマートキーシステムがある。
【0003】
一方、車両または車両部品の盗難を防止する車両セキュリティ装置は、係る電子キーやスマートキーシステムにおける携帯端末(以下、「電子キー等」という。)が発信する識別情報を認証することにより、盗難防止用の警報等を制御するアラームシステムの監視を解除する。
【0004】
また、従来の車両セキュリティ装置は、識別情報の認証なしに、例えば、従来のキーであるメカニカルキーをキーシリンダに差し込んで回転させることにより機械的にドア等が解錠されたことを検出した場合には(以下、「機械的な解錠」という。)、異常状態の発生を周囲に知らせて車両または車両部品の盗難を防止するために、警報を発したり、ヘッドライトを点滅させたりし、或いは、車両が乗り逃げされるのを防止するためにエンジンを始動しないようしたりする。
【0005】
その上で、係る車両セキュリティ装置には、電子キー等を駆動するための電池の残存容量が低下し電子キー等が識別情報を発信できないようになった場合にも対応できるようにするために、電磁誘導を利用した、電源を必要としないトランスポンダチップであって、車両からの問い合わせに応じて識別情報を送信するトランスポンダチップを搭載した電子キーを備え、電子キー等からの識別情報に基づく認証なしに該電子キーにより機械的にドア等が解錠された場合であっても、当該電子キーのトランスポンダチップが発する識別情報に基づいて認証を行い、アラームシステムによる監視を解除する車両用防盗装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平9−109838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の車両用防盗装置は、トランスポンダチップを搭載しない電子キー等については対応しておらず、キーをキーシリンダに差し込むといった機械的な解錠の際に識別情報を取得できない場合には、たとえ車両所有者によるドアの解錠であっても、アラームシステムの監視を解除できず警報を出力してしまうという問題がある。
【0007】
上述の問題に鑑み、本発明は、電子キー等を用いて遠隔操作によらずにドア等が機械的に解錠された場合に、電子キー等における電池の残存容量に基づいて対処方法を選択する車両セキュリティ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第1の発明に係る車両セキュリティ装置は、外部に情報を送信するための送信手段および該送信手段を駆動する電池を有する電子キーから、前記電子キーに固有の識別情報および前記電池の残存容量情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記残存容量情報に基づいて前記電子キーにおける電池の残存容量が所定値未満であるか否かを判断する残存容量判断手段と、前記残存容量判断手段による判断結果を記憶する判断結果記憶手段と、前記受信手段により前記電子キーに固有の識別情報を受信することなくドアが解錠されたことを検出する解錠検出手段と、前記解錠検出手段により解錠が検出された場合に、前記判断結果記憶手段に記憶された判断結果に基づいて、起動すべき対処手段を選択する対処手段選択手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明に係る車両セキュリティ装置であって、前記対処手段の1つであり、車両周辺に異常状態の発生を知らせるべく音声や光を出力させる警報出力手段と、前記対処手段の別の1つであり、通信を介して異常状態の発生を通信端末に通報する異常状態通報手段と、を備え、前記対処手段選択手段は、前記判断結果記憶手段に記憶された判断結果が、前記電池の残存容量が所定値未満であることを示す場合に、前記警報出力手段を前記起動すべき対処手段として選択しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上述の手段により、本発明は、電子キー等を用いて遠隔操作によらずにドア等が機械的に解錠された場合に、電子キー等における電池の残存容量に基づいて対処方法を選択する車両セキュリティ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、いくつかの実施例に分けて、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0012】
図1は、車両セキュリティ装置の構成例を示す図であり、車両セキュリティ装置1は、車両に搭載されるセキュリティ装置であって、受信手段10、残存容量判断手段11、判断結果記憶手段12、解錠検出手段13、警報出力手段14、異常状態通報手段15および対処手段選択手段16を有し、通信モジュール3、警報出力装置4、イモビライザ5、ボディECU(Electronic Control Unit)6およびドアECU7に接続される。
【0013】
また、車両セキュリティ装置1は、通信モジュール3を介して通信センタ8と無線通信を行い、さらに通信センタ8を介して通信端末9との通信を行う。
【0014】
電子キー2は、キーシリンダにキー本体を差し込んでドアを開閉するといった従来のメカニカルキーの機能を併せ持ち、当該キーに付属のボタン操作によりドア等を遠隔制御可能な携帯端末であり、送信手段20、電池21およびトランスポンダチップ22を有する。なお、電子キー2は、ドア等に接近するだけで、ドア等をボタン操作等で解錠することなしに開けられるようにするスマートキーシステムにおける携帯端末であってもよい。
【0015】
送信手段20は、電子キー2と車両セキュリティ装置1との間の通信を行うための手段であり、例えば、電子キー2におけるEEPROM(Electric Erasable Programmable Read Only Memory)(図示せず)に記憶する、電子キー2に固有の識別情報や電池21の残存容量情報を車両セキュリティ装置1に送信する。
【0016】
電池21は、電子キー2の送信手段20を駆動するための電源であり、充電式であってもよく、或いは、リチウム電池等の使い捨て電池であってもよい。電子キー2は、電池21の残存容量を検出する電子回路(図示せず。)を備え、検出した残存容量情報をEEPROMに記憶する。電池21は、送信手段20に電力を供給し、送信手段20が車両本体から発信される信号に応答して、EEPROMに記憶された識別番号および残存容量情報を車両本体に送信できるようにする。
【0017】
トランスポンダチップ22は、車両本体で生成される磁場を利用した電磁誘導により非接触で電力の供給を受け、電池21からの電力供給を必要とせずに車両本体との通信を可能とする装置であり、例えば、EEPROMに記憶された識別情報や電池21の残存容量情報を車両セキュリティ装置1に送信する。なお、当該識別情報は、電子キー2が送信手段20を介して送信する識別情報と同じであってもよく、異なるものであってもよい。異なるものとしたばあいには、車両セキュリティ装置1は、識別情報が電子キー2の送信手段20によって送信されたか、トランスポンダチップ22によって送信されたかを検出することができる。
【0018】
通信モジュール3は、車両と通信センタ8と間を無線で結び、データの送受信を行うためのDCM(Data Communication Module)であり、例えば、通信センタ8を介して通信端末9に車両状態に関するデータを送信する。
【0019】
警報出力装置4は、車両周辺に異常状態の発生を知らせるべく、警報を発生させるための装置であり、例えば、車両に搭載されるホーン、外部に向けて音声を出力するスピーカ、警報用に特別に用意されたサイレン、アラームまたはブザーである。また、光を出力する回転灯や電光掲示板等であってもよい。
【0020】
また、警報出力装置4は、警報を発生させるための指示命令を車両セキュリティ装置1から受信した場合に警報を発生させ、正常に警報を発生させた場合には、実行を終了した旨を伝える実行終了信号を車両セキュリティ装置1に送信する。これにより、車両セキュリティ装置1は、警報が正常に発生したことを検出することができる。
【0021】
イモビライザ5は、例えば、電子キー2に埋め込まれているトランスポンダチップ22のIDコード等の認証情報と車両本体に記憶されたIDコード等の認証情報とが一致しないと、エンジンが始動できないようにする盗難防止装置であり、認証が正しく行われたか否かの認証結果を車両セキュリティ装置1に送信する。なお、イモビライザ5は、ドアのキーシリンダに設置され、キーの認証を行い、認証できない場合には警告音を出力させるようにしてもよい。
【0022】
ボディECU6は、ドアミラー、サンルーフ、ボンネットまたはトランク等を制御する電子制御装置であり、ドアミラー、サンルーフ、ボンネットまたはトランクの開閉情報を車両セキュリティ装置1に送信する。
【0023】
ドアECU7は、機械的操作または遠隔操作によるドアのロック・アンロックを制御する電子制御装置であり、ドアの開閉情報等を車両セキュリティ装置1に送信する。
【0024】
通信センタ8は、例えば、車両から物理的に離れた位置に設置される基地局等の外部施設であり、常に車両セキュリティ装置1からの信号を受信できるようにする。
【0025】
通信端末9は、通信センタ8を介した車両との通信を可能にする端末であり、例えば、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)、ノートPC(Personal Computer)等の端末をいう。なお、通信センタ8と通信端末9とは、無線接続されてもよく、有線接続されてもよい。
【0026】
次に、車両セキュリティ装置1が有する各手段について説明する。これらの手段は、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性記憶装置に記憶されるプログラムをRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置に展開してコンピュータに実行させるものであってもよく、電子回路で構成される装置または装置群であってもよい。
【0027】
受信手段10は、電子キー2の送信手段20を介して送信される識別情報や電池21の残存容量情報を受信するための手段である。受信手段10は、常時、或いは、周期的に電波を発信し、発信源から所定範囲内(例えば、0.7乃至1メートル)に電子キー2が進入すると、電子キー2をして、その電波に応答させ、送信手段20を介し識別情報や電池21の残存容量情報を送信させるようにする。なお、発信源は複数であってもよく、例えば、前後左右それぞれのドア付近およびトランク位置に設置される。
【0028】
残存容量判断手段11は、電子キー2から受信手段10を介して受信した残存容量情報に基づいて、電子キー2における電池21の残存容量が所定値未満であるか否かを判断する手段であり、電池21の残存容量が送信手段20を駆動するのに十分でない状態であるか否かを判断する。残存容量判断手段11は、電子キー2における電池21の残存容量が所定値未満であると判断すると、車両に搭載されるLED(Light Emitted Diode)や液晶ディスプレイ等を介してその旨の警告を行うようにしてもよい。
【0029】
判断結果記憶手段12は、残存容量判断手段11が行った、電子キー2における電池21の残存容量が所定値未満であるか否かの判断結果を記憶する手段であり、例えば、電子キー2からの残存容量情報を受信手段10が受信する度に、車両セキュリティ装置1や他の車載装置に搭載されるハードディスク、NVRAM(Non−Volatile Random Access Memory)等の不揮発性の記憶装置に記憶された判断結果を更新する。
【0030】
解錠検出手段13は、ボディECU6からのボンネット、トランクの開閉情報やドアECU7からのドア開閉情報に基づいて、ドア等が解錠されたことを検出する手段である。
【0031】
警報出力手段14は、警報を出力するための手段であり、警報出力装置4から警告音を出力させたり、スピーカ(図示せず)から「異常状態発生」等の音声を出力させたり、ライトを点滅させたりする。
【0032】
異常状態通報手段15は、異常状態の発生を通報するための手段であり、例えば、通信センタ8を介して車両所有者の有する通信端末9に異常状態の発生を通報する。異常状態通報手段15は、応答があるまで通信端末9を呼び出し続けるようにしてもよく、メールまたは音声メッセージで1回または複数回通報を行ってもよい。
【0033】
「異常状態」とは、駐車に適さない車両状態をいい、識別情報による認証なしにドアやトランクが解錠されたり、識別情報による認証なしにエンジンが始動させられたり、ジャッキアップされたり、または、車両に強い衝撃が加わったりした状態をいう。
【0034】
対処手段選択手段16は、車両セキュリティ装置1が車両の異常状態を検出した場合に、起動すべき対処手段を選択するための手段であり、例えば、車両セキュリティ装置1がドアECU7からのドア開閉情報に基づいてメカニカルキーによるドアの機械的な解錠を検出した場合であって、受信手段10により電子キー2に固有の識別情報を受信しておらず、かつ、判断結果記憶手段12により記憶された判断結果が電池21の残存容量が所定値未満であったことを示す場合に、対処手段として異常状態通報手段15の起動を選択し、車両所有者の通信端末9に異常状態の発生を通報させる。
【0035】
この場合、対処手段選択手段16は、対処手段として警報出力手段14の起動を選択しないようにし、電子キー2の識別情報による認証が行われずにドアの機械的な解錠が行われた場合であっても、先回の電子キー2の使用時に電池21の残存容量が所定値未満であったという事情を考慮して、今回の解錠は車両所有者によるものと推定し、警報出力装置4から警告音を出力させないようにする。係る場合に警告音を出力させると、車両所有者による解錠であっても、不審者によるものと周囲に誤解される場合が生じ得るからである。
【0036】
「対処手段」は、警報出力手段14および異常状態通報手段15の他に、エンジン始動を禁止させる手段、ヘッドライトを点滅させる手段、トランクの開放を禁止する手段、警備会社に通報する手段等がある。
【0037】
また、対処手段選択手段16は、異常状態発生の場合の車両状態に対応させて、起動すべき対処手段を予め設定する。対処手段選択手段16は、例えば、異常な車両状態として「警報出力装置における信号線の断線」を設定し、この場合に起動する対処手段として、警報出力手段14、異常状態通報手段15、トランクおよびボンネットの開放を禁止する手段および警備会社に通報する手段を設定する。
【0038】
次に、車両セキュリティ装置1が対処手段を選択する処理について説明する。図2は、車両セキュリティ装置1が対処手段を選択する処理の流れを示すフローチャートである。
【0039】
最初に、車両セキュリティ装置1は、解錠検出手段13によりドアECU7からのドア開閉情報に基づいてドアの解錠が電子キー2を用いた遠隔操作により行われたか、或いは、機械的な解錠が行われたかを判断する(ステップS1)。
【0040】
車両セキュリティ装置1は、解錠検出手段13によりドアの解錠が電子キー2を用いた遠隔操作により行われたことを検出すると(ステップS1のNO)、処理を終了する。電子キー2から送信される識別情報に基づいて認証が行われるので、対処手段を起動する必要がないからである。
【0041】
一方、車両セキュリティ装置1は、解錠検出手段13によりドアの解錠が機械的に行われたことを検出すると(ステップS1のYES)、判断結果記憶手段12によりNVRAM等に記憶された、残存容量判断手段11による判断結果を参照し、電池21の残存容量が所定値未満であるか否かを判断する(ステップS2)。
【0042】
先回の電池21の残存容量が所定値未満であった場合(ステップS2のYES)、対処手段選択手段16は、警報出力手段14に警報出力を行わせずに、異常状態通報手段15により、機械的な解錠が行われたことを確認メッセージとして、通信端末9に通報させる(ステップS3)。車両セキュリティ装置1は、車両所有者が電子キー2を用いた遠隔操作による解錠を行うことができず、機械的な解錠を行わざるを得なかったものと推認し、該解錠が車両所有者によるものであり警報出力を行う必要はないものと判断できるからである。なお、異常状態通報手段15による通報は、確認のためのものであり、万一、不審者(車両所有者以外の者)による、例えば、合鍵等を用いた機械的な解錠と、上述の条件が重なった場合に備えるためのものである。
【0043】
一方、先回の電池21の残存容量が所定値以上であった場合(ステップS2のNO)、対処手段選択手段16は、警報出力手段14によるアラームの吹鳴を行い(ステップS4)、異常状態通報手段15により、電池21の残存容量が所定値以上であり電子キー2を用いた遠隔操作が利用できる状態にあるにもかかわらずメカニカルキーによる解錠が行われたことを警告メッセージとして、通信端末9に通報させる(ステップS5)。
【0044】
この構成により、車両セキュリティ装置1は、電子キー2の電池容量不足により遠隔操作によるドアの解錠ができなくなり、機械的な解錠を行わざるを得ない状態になったことを判定することができ、係る状態に対応したアラームシステムを構築できるという効果が得られる。
【0045】
また、車両セキュリティ装置1は、電子キー2の電池容量不足により遠隔操作によるドアの解錠ができなくなり、機械的な解錠を行った場合に、警報を出力させないようにすることで、車両所有者による解錠にもかかわらず警報が出力されるのを防止することができるという効果が得られる。
【0046】
また、車両セキュリティ装置1は、機械的な解錠の際に電子キー2に固有の識別情報による認証を行わないので、装置の簡素化を実現でき、電子キー2がトランスポンダチップ22を有さず、イモビライザ5等による認証を行わない構成の車両にも適用できるという効果が得られる。
【実施例2】
【0047】
次に、車両セキュリティ装置1が対処手段を選択する別の処理について説明する。図3は、車両セキュリティ装置1が対処手段を選択する別の処理の流れを示すフローチャートである。なお、ステップ11乃至13は、図2に示すフローチャートと同じ内容であるため説明を省略する。
【0048】
車両セキュリティ装置1は、警報出力装置4であるホーンにアラームを吹鳴させるよう警報出力手段14からホーンへ指示命令を送信する(ステップS14)。ホーンは、アラームを吹鳴させるための指示命令を警報出力手段14から受信すると、アラームを吹鳴させ、正常にアラームを吹鳴させた場合には、実行を終了した旨を伝える実行終了信号を警報出力手段14に送信する。なお、ホーンは、実行の終了を検出するためにマイクロホン等の別の音センサを使用するようにしてもよい。
【0049】
警報出力手段14は、指示命令送信後、正常にアラームが吹鳴されたことを確認するためにホーンからの実行終了信号を受信するよう待機する(ステップS15)。
【0050】
車両セキュリティ装置1は、正常にアラームが吹鳴されたとの実行終了信号を警報出力手段14がホーンから受信すると(ステップS15のYES)、異常状態通報手段15により、電池21の残存容量が所定値以上であり電子キー2を用いた遠隔操作が利用できる状態にあるにもかかわらず機械的な解錠が行われたことを警告メッセージとして通信端末9に通報させ、かつ、警備会社に通報するか否かを選択させる画面を通信端末9の表示画面に表示させる(ステップS16)。
【0051】
その後、車両セキュリティ装置1は、通信端末9からの応答信号を受信するよう待機し(ステップS17)、警備会社への通報を行うとの指示命令を受信すると(ステップS17のYES)、通信モジュール3を介して警備会社への通報を実行する(ステップS18)。なお、車両セキュリティ装置1は、所定時間に渡って通信端末9からの応答信号を受信できない場合に、警備会社への通報を実行するようにしてもよい。また、車両セキュリティ装置1は、警備会社への通報を行わないとの指示命令を受信すると(ステップS17のNO)、警備会社への通報を行わずに処理を終了する。
【0052】
一方、車両セキュリティ装置1は、正常にアラームが吹鳴されたとの実行終了信号を警報出力手段14がホーンから受信できない場合(ステップS15のNO)、異常状態通報手段15により、電池21の残存容量が所定値以上であり電子キー2を用いた遠隔操作が利用できる状態にあるにもかかわらず機械的な解錠が行われことを警告メッセージとして通信端末9に通報させ(ステップS19)、かつ、通信モジュール3を介して警備会社への通報を実行する(ステップS18)。ホーンと車両セキュリティ装置1との間の信号線が切断された可能性があり、早急に警備員の派遣を要請すべき状態であると判断できるからである。
【0053】
この構成により、車両セキュリティ装置1は、メカニカルキーによるドアの解錠が行われた場合に、車両状態をより詳細に把握することにより、真に警備員の派遣が必要な場合にのみ警備会社への通報を自動的に行うので、警備会社への不必要な通報や誤報を防止し、かつ、セキュリティレベルを向上させることができるという効果が得られる。
【0054】
なお、車両セキュリティ装置1は、上述のようなホーンからの実行終了命令が受信できない場合の他に、ボディECU6からのボンネット開閉情報に基づいて、ボンネットが開放されたことを検出した場合やトランクが解錠されたことを検出した場合に同様の処理を行うようにしてもよい。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0056】
例えば、上述の実施例では、車両におけるセキュリティ装置について説明するが、本発明は、自転車、二輪車、船舶、工作機械、または、住居といった電子キー2を利用できるもの全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る車両セキュリティ装置の構成例を示す図である。
【図2】車両セキュリティ装置が対処手段を選択する処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図3】車両セキュリティ装置が対処手段を選択する処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【符号の説明】
【0058】
1 車両セキュリティ装置
2 電子キー
3 通信モジュール
4 警報出力装置
5 イモビライザ
6 ボディECU
7 ドアECU
8 通信センタ
9 通信端末
10 受信手段
11 残存容量判断手段
12 判断結果記憶手段
13 解錠検出手段
14 警報出力手段
15 異常状態通報手段
16 対処手段選択手段
20 送信手段
21 電池
22 トランスポンダチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に情報を送信するための送信手段および該送信手段を駆動する電池を有する電子キーから、前記電子キーに固有の識別情報および前記電池の残存容量情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記残存容量情報に基づいて前記電子キーにおける電池の残存容量が所定値未満であるか否かを判断する残存容量判断手段と、
前記残存容量判断手段による判断結果を記憶する判断結果記憶手段と、
前記受信手段により前記電子キーに固有の識別情報を受信することなくドアが解錠されたことを検出する解錠検出手段と、
前記解錠検出手段により解錠が検出された場合に、前記判断結果記憶手段に記憶された判断結果に基づいて、起動すべき対処手段を選択する対処手段選択手段と、
を備えることを特徴とする車両セキュリティ装置。
【請求項2】
前記対処手段の1つであり、車両周辺に異常状態の発生を知らせるべく音声や光を出力させる警報出力手段と、
前記対処手段の別の1つであり、通信を介して異常状態の発生を通信端末に通報する異常状態通報手段と、を備え、
前記対処手段選択手段は、前記判断結果記憶手段に記憶された判断結果が、前記電池の残存容量が所定値未満であることを示す場合に、前記警報出力手段を前記起動すべき対処手段として選択しない、
ことを特徴とする車両セキュリティ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−168744(P2007−168744A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372899(P2005−372899)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】