説明

車両ドア用ベルトモール

【課題】押出成形を利用してベルトモール本体を成形する場合であっても、ピラーと対向する部分の車幅方向の狭幅化が可能であり、しかもエンドキャップが車内側にがたつくのを防止できる車両ドア用ベルトモールを得る。
【解決手段】ベルトモール本体21が、アウタパネル11の上縁部12及びピラー17に対して車外側から対向する車外側部24と、上縁部に対して車内側から対向し端面全体を一対のピラー16、17の間に位置する後退端面36とした車内側部25と、ベルトモール本体の内面に形成した被係合部28と、を備え、エンドキャップ39が、車外側部の端面を覆う被覆端部40と、被覆端部から後退端面の手前位置まで延びる挿入部41と、挿入部の車外側面に形成した、被係合部と係合してエンドキャップが車内側に移動するのを規制する係合部45と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ドアのアウタパネルの上縁部に固定するベルトモールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の車両ドアはドアパネルの外面を構成するアウタパネルと、アウタパネルの内面に固定したアウタパネルの上縁部から上方に向かって延びる前後のピラー(ドアフレーム)と、を具備しており、アウタパネルの上縁部には該上縁部と同方向に延びる長尺物である樹脂製のベルトモールが取り付けてある。
このベルトモールは、略筒状(断面略逆U字状)の長尺物であり両端が開口するベルトモール本体(モール本体)と、ベルトモール本体の端部の開口を塞ぐエンドキャップ(取付手段)と、を具備している。
【0003】
このベルトモール本体は、上端接続部と、上端接続部の車外側縁部から垂下する車外側部と、上端接続部の車内側縁部から垂下する車内側部と、車内側部の車内側面に設けたリップ(水切り部)と、を具備している。ベルトモール本体は、押出成形によって一様断面の長尺物として成形した後に、車内側部の前後両端部の下部及びリップの後端部を切断した構造である。
エンドキャップは、キャップ部と、キャップ部から上記上縁部と平行に延びる挿入部(組付部)と、を具備している。挿入部をベルトモールの端面開口からベルトモールの内部空間に挿入すると、挿入部の両側に車外側部と車内側部が位置するので、挿入部がベルトモール本体に対して車外方向及び車内方向にがたつくことはない。さらにキャップ部がベルトモール本体の前後両端の開口部を塞ぐので、ベルトモール本体の内部空間が露出することはない。
このようにして組み立てたベルトモールをアウタパネルの上縁部に上方から被せると、上端接続部がアウタパネルの上縁部の直上に位置し、車外側部が該上縁部の車外側に位置し、車内側部が該上縁部の車内側に位置し、リップが弾性変形しながらドアガラスの車外側面に接触し、さらに車内側部の前後両端部が前後のピラーと対向する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4235655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ベルトモール本体の前後両端部はリップを切断してあるので、リップが存在する部分に比べてその車幅方向寸法(ドアの厚み方向寸法)は短い。しかしながらベルトモール本体の前後両端部には車内側部(の上部)が残っているので、ピラーのアウタパネルに対する車幅方向のオフセット量(アウタパネルの上縁部とピラーの車幅方向間隔)が小さい場合は、車内側部の前後両端部がピラーと干渉してしまいベルトモールを車両ドアに対して取付けることができない。
一方、ベルトモール本体から車内側部の前後両端部を完全に切断すれば、その分だけベルトモール本体の前後両端部の車幅方向寸法が短くなるので、ピラーのアウタパネルに対するオフセット量が小さい車両ドアに対してもベルトモールを取付可能になる。しかし車内側部の前後両端部を完全に切断すると、挿入部の車内側へのがたつきを抑える部材が無くなってしまうので、挿入部がベルトモール本体に対して車内方向にがたついてしまう。
【0006】
なお、ベルトモール本体とエンドキャップに相当する部分を有するベルトモールをインジェクション成形により一体成形すれば、エンドキャップ(に相当する部分)が車内側へがたつかない構造となるので、車内側部の前後両端部を無くすことが可能になる。しかし、インジェクション成形によるベルトモールは、押出成形によって得られたベルトモール(ベルトモール本体)に比べて製造コストが高く、かつ見栄えが悪いという欠点がある。
【0007】
本発明は、押出成形を利用してベルトモール本体を成形する場合であっても、ピラーと対向する部分の車幅方向の狭幅化が可能であり、しかもエンドキャップが車内側にがたつくのを防止できる車両ドア用ベルトモールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両ドア用ベルトモールは、アウタパネルの車内側面に該アウタパネルの上縁部から上方に突出する一対のピラーを固定した車両ドアの上記上縁部に固定する、該上縁部に沿って延びる長尺状のベルトモール本体と、該ベルトモール本体の端面開口に着脱可能なエンドキャップと、を具備するベルトモールにおいて、上記ベルトモール本体が、上記上縁部及び上記ピラーに対して車外側から車両ドアの厚み方向に対向する車外側部と、上記上縁部に対して車内側から上記厚み方向に対向し、かつベルトモール本体の長手方向の少なくとも一方の端面全体を一対の上記ピラーの間に位置する後退端面とした車内側部と、上記ベルトモール本体の内面に形成した、上記ピラーの車外側に位置する被係合部と、を備え、上記エンドキャップが、上記車外側部の上記後退端面と同方向の端面を覆う被覆端部と、該被覆端部から上記後退端面の手前位置まで延び、上記長手方向に見たときに上記車外側部と車内側部の間に位置する挿入部と、該挿入部の車外側面に形成した、上記被係合部と係合して該エンドキャップが車内側に移動するのを規制する係合部と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記被係合部が上記車外側部の車内側面から上方又は下方に向かって延びる突起であり、上記係合部が、上記車外側部の車内側面と上記被係合部の間の隙間に位置して該被係合部の車外側面に係合する突起であってもよい。
【0010】
上記被係合部は、上記車外側部の車内側面から下方に向かって延びる突起としてもよい。このように被係合部を突起にすれば、ベルトモール本体の剛性が向上する。
【0011】
上記被係合部が、上記アウタパネルの上記上縁部より車外側に位置してもよい。
【0012】
上記ベルトモール本体が、上記上縁部の直上に位置し、かつ上記車外側部と車内側部の上縁どうしを接続する上端接続部を有し、該上端接続部の下面と上記車外側部の車内側面とを接続する湾曲部に上記被係合部を設けてもよい。
【0013】
上記被係合部の車外側面が車幅方向に対して直交する平面であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ベルトモール本体の車内側部の長手方向の端面全体を後退端面としている、別言すると車内側部の端部全体を省略しているので、車内側部の端部の車幅方向寸法が短くなる。そのため本発明のベルトモールは、ピラーのアウタパネルに対する車幅方向のオフセット量が小さい車両ドアに対しても取り付けることが可能である。
また、エンドキャップの挿入部の車内側にはベルトモール本体の車内側部が存在しないものの、ベルトモール本体の車外側部に設けた被係合部とエンドキャップの挿入部に設けた係合部が係合することによりエンドキャップの車内側への移動を規制するので、エンドキャップが車内側にがたつくことはない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態の車両ドアの車外側から見た側面図である。
【図2】車両ドアの要部をベルトモールを分離した状態で示す車外側から見た斜視図である。
【図3】図1のIII−III矢線に沿う断面図である。
【図4】図1のIV−IV矢線に沿う断面図である。
【図5】ベルトモール本体の後部とエンドキャップの分離状態の車内側から見た斜視図である。
【図6】ベルトモールの後部の車内側から見た斜視図である。
【図7】変形例の図5と同様の斜視図である。
【図8】同じく図6と同様の斜視図である。
【図9】同じく図4と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図1〜図6を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。なお以下の説明中の各方向は図中の矢印方向を基準としている。
図1は車両ボディの側面開口を開閉する車両ドア10を示している。共に金属製であるアウタパネル11とドアサッシュ15の間に形成された窓孔内にはスライドガラスWが昇降自在に設けてある。
アウタパネル11の上縁部の前後両端部を除く部分は、その縁部を車内側に折り曲げることにより形成した前後方向に延びるモール取付部12となっており、該上縁部の前後両端部はピラー接続部13となっている。
ドアサッシュ15の前端部(傾斜部)は前部ピラー16により構成してあり、ドアサッシュ15の後端部は上下方向に延びる後部ピラー17により構成してある。前部ピラー16と後部ピラー17の下端部はアウタパネル11の車内側面に溶接により固定してあり、前部ピラー16及び後部ピラー17の下端近傍の車外側面に前後のピラー接続部13がそれぞれ接続している(図2、図4参照。前部ピラー16側の図示は省略)。また前部ピラー16とピラー接続部13の接続部、及び、後部ピラー17とピラー接続部13の接続部には取付孔18が形成してある。さらに前部ピラー16及び後部ピラー17の車内側面には補強板19の上端部が溶接により固定してある。
【0017】
アウタパネル11の上縁部には前後方向に延びる樹脂製のベルトモール20が固定してある。ベルトモール20は前後方向に延びる長尺物であるベルトモール本体21と、ベルトモール本体21の前後両端部に装着可能な前後一対のエンドキャップ39と、を具備している。
押出成形によって得られた長尺物であるベルトモール本体21は、硬質樹脂材料(例えば、PP、AESなど)からなる硬質基部22を具備している。硬質基部22は、硬質基部22の上端部を構成する上端接続部23と、上端接続部23の車外側縁部から垂下する車外側部24と、上端接続部23の車内側縁部から垂下する車内側部25と、を一体的に有している。車内側部25の下縁部は車外側に突出する下端係止片26となっており、車内側部25の上下方向の中間部には車外側に延びる当接突部27が突設してある。さらに硬質基部22の内面には上端接続部23の車外側縁部と車外側部24の上縁部とに跨る部分(断面形状が湾曲形状をなす部分)から下向きに突出する突起状の被係合部28が設けてある。また車外側部24の下縁部には車内側に向かって斜め上向きに突出する下縁突部29が設けてある。
車外側部24の車内側面には車内側に向かって延び、かつ硬質基部22より軟質の樹脂材料(例えば、TPO、PVCなど)からなる弾性接触片30が突設してある。また下縁突部29の下面には弾性接触片30と同じ材質の車外側リップ31が突設してあり、上端接続部23及び車外側部24の外面は弾性接触片30と同じ材質の車外側被覆材32によって被覆してある。さらに車内側部25の車内側面には共に弾性接触片30と同じ材質である上部リップ34と下部リップ35が突設してある。
上述のようにベルトモール本体21は押出成形を利用して成形したものなので、押出成形の完了直後においては上端接続部23、車外側部24、車内側部25、下端係止片26、当接突部27、被係合部28、下縁突部29、弾性接触片30、車外側リップ31、車外側被覆材32、上部リップ34、及び、下部リップ35はベルトモール本体21の全長に渡って存在する。しかし本実施形態ではベルトモール本体21が十分に冷えてその形状が安定した後に上端接続部23の中央部より車内側の部分、車内側部25全体(下端係止片26、当接突部27を含む)、上部リップ34、及び、下部リップ35の前後両端部を切断することにより、上端接続部23の車内側の部分、車内側部25全体、上部リップ34、及び、下部リップ35の前端面及び後端面を車外側部24の前端面及び後端面よりもベルトモール本体21の長手方向に後退させた後退端面36としている(図2、図5、図6参照。ベルトモール本体21の前端部側の図示は省略)。また被係合部28の前後両端近傍の下縁部には、押出成形完了後の切断加工によって前後動規制用凹部28aが凹設してある。当該切断加工を経て完成したベルトモール本体21は前後対称な長尺状部材となる。
【0018】
エンドキャップ39は硬質基部22と同じ材料からなる硬質樹脂製品である。
図5、図6に示すようにエンドキャップ39(前側のエンドキャップ39は後側のエンドキャップ39と前後対称形状であり、その図示は省略してある)は、その端部を構成する被覆端部40と、被覆端部40から硬質基部22の長手方向に向かって延びる挿入部41と、挿入部41の下縁部から下方に延びる下方突出部42と、挿入部41の車外側面から車外側に向けて斜め下方に突出する下方移動規制片44と、挿入部41の車外側面から車外側に向かって突出する、下方移動規制片44の直上に位置する係合部45と、を具備している。下方突出部42は、その下端から車内側に向けて上方に傾斜しながら延びる車内側係止片43を一体的に備えている。また係合部45は、その車外側端部から上方に延びる突起状の車内側移動規制片46と、車内側移動規制片46から車内側に向かって延びる前後動規制用凹部28aと同じ前後寸法の前後動規制片47と、を一体的に具備している。
【0019】
後側のエンドキャップ39は、ベルトモール本体21の後端開口部に対して後方から装着する。
具体的には、ベルトモール本体21の後端開口部から下方移動規制片44の前端部を下縁突部29と弾性接触片30の隙間に挿入する。さらにベルトモール本体21の後端開口部から係合部45の前端部を被係合部28と弾性接触片30の隙間に挿入し、車内側移動規制片46を車外側部24の車内側面と被係合部28の隙間に挿入する。そして被覆端部40の前面が上端接続部23及び車外側部24の後端面に当接するまでエンドキャップ39全体を前方に押し込む。被覆端部40の前面が上端接続部23及び車外側部24の後端面に当接すると、前後動規制片47が被係合部28の前後動規制用凹部28aに嵌合するので、エンドキャップ39のベルトモール本体21に対する前後動が規制される。また下方移動規制片44の上下両面が下縁突部29の上面と弾性接触片30の下面に接触するのでエンドキャップ39のベルトモール本体21に対する上下方向の相対移動が規制され、下方移動規制片44の車外側端部が車外側部24の車内側面に接触するのでエンドキャップ39のベルトモール本体21に対する車外側への相対移動が規制される。さらに車内側移動規制片46の車内側面が被係合部28の車外側面に当接するので、エンドキャップ39のベルトモール本体21に対する車内側への相対移動(抜け)が規制される。
なお図示は省略してあるが、前側のエンドキャップ39も同様の手順でベルトモール本体21の前端開口部に装着可能であり、装着するとベルトモール本体21に対する前後、上下、車外、及び、車内方向の相対移動が規制される。
前後のエンドキャップ39をベルトモール本体21の前後両端部に装着すると、後側のエンドキャップ39の挿入部41の前端はベルトモール本体21の後側の後退端面36より後方に位置し(図6参照)、前側のエンドキャップ39の挿入部41の後端はベルトモール本体21の前側の後退端面36より前方に位置する(図示略)。またベルトモール20の長手方向(前後方向)に見たときに、前後のエンドキャップ39の挿入部41は車外側部24と車内側部25の間に位置する。
【0020】
ベルトモール本体21に前後一対のエンドキャップ39を装着することにより完成したベルトモール20は、アウタパネル11のモール取付部12に対して前後両端部を除く部分を上方から被せ、かつ、前後のエンドキャップ39の下方突出部42を前後の取付孔18内に挿入することによりアウタパネル11の上縁部に取り付ける。
ベルトモール20(ベルトモール本体21)の前後両端部を除く部分をモール取付部12に被せると、図3に示すように、上端接続部23の前後両端部を除く部分がモール取付部12の直上に位置し、車外側部24の前後両端部を除く部分がモール取付部12の車外側に位置し(モール取付部12と車両ドア10の厚み方向に対向する)、車内側部25がモール取付部12の車内側に位置する(モール取付部12と車両ドア10の厚み方向に対向する)。すると当接突部27が車内側からモール取付部12に接触し、かつ、弾性接触片30が車外側からモール取付部12に接触するので、ベルトモール20のモール取付部12に対する車外方向及び車内方向の相対移動が規制される。また下端係止片26が下方からモール取付部12の車内側の下縁部に係合するので、ベルトモール本体21のモール取付部12に対する上方への抜けが規制される。また車外側リップ31がアウタパネル11に弾性変形しながら接触し、さらにスライドガラスWが全開位置(下端位置)より上方に位置するときは上部リップ34及び下部リップ35の先端部がスライドガラスWの車外側面に弾性変形しながら接触する。さらに図4に示すように、取付孔18を通ってアウタパネル11(ピラー接続部13)とその車内側に位置する金属製のインナパネル(図示略)との間の内部空間に進入した下方突出部42の車内側係止片43が後部ピラー17と補強板19に弾性変形しながら係合するので、前後のエンドキャップ39の対応する取付孔18からの上方への抜けが規制される。
【0021】
図4に示すように本実施形態の車両ドア10のアウタパネル11の上縁部と後部ピラー17(及び前部ピラー16)の車幅方向W1のオフセット量は小さい。しかしベルトモール本体21の上端接続部23の中央部より車内側の部分、車内側部25全体(下端係止片26、当接突部27を含む)、上部リップ34、及び、下部リップ35の前後両端部を切断することにより、ベルトモール本体21の前後両端部の車幅方向寸法を従来のベルトモールより短くしているので、ベルトモール20を前部ピラー16及び後部ピラー17と干渉させることなくアウタパネル11に取り付けることができる。
さらに車内側部25の前端部全体と後端部全体を切断している(存在しない)ものの、車内側移動規制片46の車内側面が被係合部28の車外側面に当接するので、エンドキャップ39がベルトモール本体21に対して車内側にがたつく(相対移動)することはない。
また硬質基部22内面の上端接続部23の車外側縁部と車外側部24の上縁部とに跨る部分の断面形状は湾曲面であるため、押出成形によってベルトモール本体21を成形するとこの部分(湾曲部)にはヒケが生じ易い。しかし本実施形態ではこの部分に被係合部28を設けてあるので、ヒケが外部に露出することはない。
さらに被係合部28をモール取付部12の車外側に位置させているので、被係合部28をモール取付部12の直上に位置させる場合に比べて、ベルトモール20の前後両端部の上下寸法を小さくすることが可能である。
【0022】
以上、上記実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明は様々な変更を施しながら実施可能である。
例えば図7〜図9に示す変形例での実施が可能である。
この変形例のベルトモール本体50(ベルトモール本体21と同一仕様又は形状が若干異なるものの機能的に見て実質的に同の部分にはベルトモール本体21と同じ符号を付してある)の特徴は、上端接続部23の車内側の大部分を切断した点にあり、そのためベルトモール本体21と比べて前後両端部の車幅方向寸法がさらに短い。
また前後のエンドキャップ55(エンドキャップ39と同一仕様又は形状が若干異なるものの機能的に見て実質的に同一の部分にはエンドキャップ39と同じ符号を付してある)の挿入部56は挿入部41の上端部に相当する部分全体を切断した形状である。さらに挿入部56の上面には三角柱形状をなしかつ前後動規制用凹部28aと同じ前後寸法である前後動規制片57が一体的に突設してある一方で、挿入部56の係合部45は前後動規制片47に相当する部分を具備していない。
前後のエンドキャップ55は、前後動規制片57を前後動規制用凹部28aに嵌合する点を除いてベルトモール本体21に対するエンドキャップ39の装着要領と同じ要領でベルトモール本体50に対して装着可能であり、装着すると前後動規制片57が前後動規制用凹部28aに嵌合することによりエンドキャップ55のベルトモール本体50に対する前後動が規制される。また本変形例においても後側のエンドキャップ55の挿入部56の前端はベルトモール本体21の後側の後退端面36より後方に位置し(図8参照)、前側のエンドキャップ55の挿入部56の後端はベルトモール本体21の前側の後退端面36より前方に位置する(図示略)。さらにベルトモール20の長手方向(前後方向)に見たときに、挿入部56は車外側部24と車内側部25の間に位置する。
そして本変形例においても車幅方向W1のオフセット量が小さい車両ドア10のアウタパネル11に対してベルトモール20を前部ピラー16及び後部ピラー17と干渉させることなく取り付けることができ、かつ、車内側移動規制片46と被係合部28によってエンドキャップ55がベルトモール本体50に対して車内側にがたつく(相対移動)のを防止できる。しかもベルトモール本体50はベルトモール本体21に比べて前後両端部の車幅方向寸法がさらに短いので、車幅方向W1のオフセット量がより小さい車両ドア10のアウタパネル11に対しても取付可能である。
【0023】
また被係合部28の車外側面及び車内側移動規制片46の車内側を車幅方向に対して直交する平面としてもよい。このようにすれば被係合部28と車内側移動規制片46の係合力が高まるので、エンドキャップ39、55のベルトモール本体21、50に対する車内側へのがたつきをより確実に防止できる。
さらに被係合部28を車外側部24の車内側面(上端接続部23に跨らない位置)に突設したり、上端接続部23の内面(車外側部24に跨らない位置)に突設してもよい。
また被係合部28を車外側部24から上方に向かって延びる突起状として、車内側移動規制片46を係合部45から下向きに延びる突起状とし、車外側部24の車外側面と当該被係合部28の隙間に当該係合部45を上方から嵌合させてもよい。
またベルトモール本体21、50の前後両端部のうちの一方のみの車内側部分を切断し(後退端面36を形成し)、切断した側の端部にエンドキャップ39、55を装着し、切断しない側の端部に従来構造のエンドキャップを装着してもよい。
また被係合部28はエンドキャップ39の車内側移動規制片46と対向する部分にのみあればよいので、車内側移動規制片46と対向しない部分(ベルトモール本体の長手方向の中央部)においては被係合部28を切除してもよい。さらに上記のようにベルトモール本体21、50の前後両端部のうちの一方のみの車内側部分を切断する場合は、被係合部28の他方の端部側の部分は切断してもよいし、あるいはそのまま残しても良い。
【符号の説明】
【0024】
10 車両ドア
11 アウタパネル
12 モール取付部(上縁部)
13 ピラー接続部
15 ドアサッシュ
16 前部ピラー
17 後部ピラー
18 取付孔
19 補強板
20 ベルトモール
21 ベルトモール本体
22 硬質基部
23 上端接続部
24 車外側部
25 車内側部
26 下端係止片
27 当接突部
28 被係合部
28a 前後動規制用凹部
29 下縁突部
30 弾性接触片
31 車外側リップ
32 車外側被覆材
34 上部リップ
35 下部リップ
36 後退端面
39 エンドキャップ
40 被覆端部
41 挿入部
42 下方突出部
43 車内側係止片
44 下方移動規制片
45 係合部
46 車内側移動規制片
47 前後動規制片
50 ベルトモール本体
55 エンドキャップ
56 挿入部
57 前後動規制片
W スライドガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネルの車内側面に該アウタパネルの上縁部から上方に突出する一対のピラーを固定した車両ドアの上記上縁部に固定する、該上縁部に沿って延びる長尺状のベルトモール本体と、該ベルトモール本体の端面開口に着脱可能なエンドキャップと、を具備するベルトモールにおいて、
上記ベルトモール本体が、
上記上縁部及び上記ピラーに対して車外側から車両ドアの厚み方向に対向する車外側部と、
上記上縁部に対して車内側から上記厚み方向に対向し、かつベルトモール本体の長手方向の少なくとも一方の端面全体を一対の上記ピラーの間に位置する後退端面とした車内側部と、
上記ベルトモール本体の内面に形成した、上記ピラーの車外側に位置する被係合部と、
を備え、
上記エンドキャップが、
上記車外側部の上記後退端面と同方向の端面を覆う被覆端部と、
該被覆端部から上記後退端面の手前位置まで延び、上記長手方向に見たときに上記車外側部と車内側部の間に位置する挿入部と、
該挿入部の車外側面に形成した、上記被係合部と係合して該エンドキャップが車内側に移動するのを規制する係合部と、
を備えることを特徴とする車両ドア用ベルトモール。
【請求項2】
請求項1記載の車両ドア用ベルトモールにおいて、
上記被係合部が上記車外側部の車内側面から上方又は下方に向かって延びる突起であり、
上記係合部が、上記車外側部の車内側面と上記被係合部の間の隙間に位置して該被係合部の車外側面に係合する突起である車両ドア用ベルトモール。
【請求項3】
請求項2記載の車両ドア用ベルトモールにおいて、
上記被係合部が上記車外側部の車内側面から下方に向かって延びる突起である車両ドア用ベルトモール。
【請求項4】
請求項2または3記載の車両ドア用ベルトモールにおいて、
上記被係合部が、上記アウタパネルの上記上縁部より車外側に位置する車両ドア用ベルトモール。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項記載の車両ドア用ベルトモールにおいて、
上記ベルトモール本体が、上記上縁部の直上に位置し、かつ上記車外側部と車内側部の上縁どうしを接続する上端接続部を有し、
該上端接続部の下面と上記車外側部の車内側面とを接続する湾曲部に上記被係合部を設けた車両ドア用ベルトモール。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか1項記載の車両ドア用ベルトモールにおいて、
上記被係合部の車外側面が車幅方向に対して直交する平面である車両ドア用ベルトモール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−121346(P2012−121346A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271296(P2010−271296)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(590001164)シロキ工業株式会社 (610)
【Fターム(参考)】