説明

車両制御装置

【課題】シミュレーション精度の低下を抑制することで、車両を精度良く制御できる車両制御装置を提供する。
【解決手段】
車両の状態をモデル化したモデルを変更してシミュレーションを行うことで、車両の挙動を予測する予測手段と、変更前のモデルに入力した車両の状態を表す変数値と、変数により定まる変更後のモデルにおける釣り合いの状態を表す変数値とを変更したモデルに入力することで予測手段が予測した挙動に基づいて、車両の挙動を制御する制御手段とを備える。この構成によれば、釣り合いの状態を表す変数値を用いることで、モデルで用いる車両の状態を表す変数値が収束し易くなるため、精度良く車両の挙動を予測できるだけでなく、予測に基づいて精度良く車両を制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モデルを用いたシミュレーションにより車両の挙動を予測して車両を制御する車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の挙動をシミュレーションによって予測し、予測した挙動に基づいて車両を制御する制御装置が知られている。
【0003】
ここで、シミュレーションを行う装置としては、シミュレーションに用いるモデルを切り替えながらシミュレーション計算できるシミュレーション制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0004】
この装置は、シミュレーションモデルを選択するための選択条件を入力する条件入力手段と、条件入力手段が入力した選択条件に基づいてモデルを選択する選択手段と、選択手段が選択したモデルを用いてシミュレーション対象の初期状態等に基づいたシミュレーション計算を行う計算手段とを備えることを特徴としている。
【0005】
特に、このシミュレーション制御装置は、シミュレーション計算の精度を向上させるために、切り替えたモデルに入力する変数値をシミュレーション対象の初期状態等を表す値ではなく、切り替える前のモデルで使用した値とする構成を採用できる。
【特許文献1】特開2002‐259888
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のようなシミュレーション制御装置では、シミュレーション対象の初期状態等を表す値を変数値としてモデルに入力するために、シミュレーション精度が一時的に低下する。
【0007】
また特に、切り替え前のモデルで使用した値を用いる上記のシミュレーション制御装置は、切り替える前のモデルで使用しない変数について、切り替え前のモデルが用いた変数値を入力できない。そのため上記装置は、切り替える前のモデルで使用しない変数には、初期状態等を表す値を入力してシミュレーションを行う。
【0008】
よって上記装置は、切り替え前のモデルで使用した変数の値等によって、使用しなかった変数の値が変化するモデルを用いる場合には、使用しなかった変数値が、初期状態等を表す値から、使用した変数の値等によって定まる値へと収束する間において生じる振動等の影響を受けて、シミュレーション精度が一時的に低下する。
【0009】
このため、車両の挙動に対する予測精度が低下するので、車両を精度良く制御することができないという問題があった。
【0010】
よって、本発明の目的とするところは、シミュレーション精度の低下を抑制することで、車両を精度良く制御できる車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る車両制御装置は、車両の状態をモデル化したモデルを変更してシミュレーションを行うことで、車両の挙動を予測する予測手段と、変更前のモデルに入力した車両の状態を表す変数値と、変数により定まる変更後のモデルにおける釣り合いの状態を表す変数値とを変更したモデルに入力することで予測手段が予測した挙動に基づいて、車両の挙動を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
上記構成において、予測手段は、変更したモデルに入力する変数値を、変更前のモデルで用いた変数値から変更後のモデルにおける釣り合いの状態を表す変数値へ段階的に変更することで、車両の挙動を予測する構成を採用できる。
【0013】
上記構成において、モデルは、車両を構成するエンジンの状態、及び車両を構成する車輪の状態をモデル化したモデルであり、釣り合いの状態は、エンジンの状態によりモデルにおいて定まる車輪の釣り合いの状態を含む構成を採用できる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の構成によれば、釣り合いの状態を表す変数値を用いることで、モデルで用いる車両の状態を表す変数値が収束し易くなるため、精度良く車両の挙動を予測できるだけでなく、予測に基づいて精度良く車両を制御できる。
【0015】
請求項2の構成によれば、モデルで用いる変数値を変更前のモデルで用いた変数値から、変更後のモデルにおける釣り合いの状態を表す変数値へ段階的に変更することで、他の状態を表す変数値が段階的に変化するため、車両の状態を表す変数値が収束し易くなるだけでなく、精度良く車両の挙動を予測できる。
【0016】
請求項3の構成によれば、車両を構成するエンジンの状態及びエンジンの状態により定まる車輪の状態により車両の挙動を精度良く予測できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、本発明の車両制御装置を搭載した車両の一実施形態を示す構成図である。
図1に示す車両1000は、車両制御装置1100、アクセルセンサ1200、エンジン1300、ミッション1400、プロペラシャフト1500、デフ1600、ドライブシャフト1701及び1702、並びに車輪1801から1804で構成される。
【0019】
車両制御装置1100は、例えば、電子制御ユニットECU(Electronic Control Unit)で構成される。車両制御装置1100は、アクセルセンサ1200及びエンジン1300に接続している。
【0020】
車両制御装置1100は、アクセルセンサ1200からアクセルセンサ1200に接続するアクセルペダルの踏み込み量(以下単に、アクセル開度という)を取得し、取得したアクセル開度に基づいてエンジン1300を制御することで、車両1000の挙動を制御する。
【0021】
ここで、車両1000の挙動は車両1000の動きをいう。車両の動きは、例えば、車両の速度及び加速度の変化、車両の進行方向及びヨーイングの変化、並びに車両に加わる加重の変化を含む。
【0022】
本実施例では、車両制御装置1100はアクセルセンサ1200とエンジン1300とに接続し、アクセルセンサ1200から取得したアクセル開度に基づいて接続したエンジン1300を制御するとして説明する。
【0023】
ここで図2を参照して、車両制御装置1100の構成について説明する。図2は、車両制御装置1100の一構成例を表す機能ブロック図である。
【0024】
車両制御装置1100は、取得部1110、記憶部1120、予測部1130、及び制御部1140で構成される。取得部1110、記憶部1120、予測部1130、及び制御部1140が有する各機能は、車両制御装置1100が実行するソフトウェア制御により実現される。
【0025】
ここで、図3を参照して、ソフトウェア制御を実行するための車両制御装置1100のハードウェア構成について説明する。図3は、このソフトウェア制御を実現するための車両制御装置1100のハードウェア構成例を表す図である。
【0026】
車両制御装置1100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の演算部1101、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の読み出し専用メモリであるROM1102(Read-Only Memory )、並びにDRAM(Dynamic RAM)又はSRAM(Static RAM)等の揮発性メモリ及びNVRAM(Non Volatile RAM)等の不揮発性メモリで構成されるRAM1103(Random Access Memory)で構成され、演算部1101、ROM1102、及びRAM1103は互いにバス1005によって接続している。
【0027】
ソフトウェア制御は、ROM1102に格納したプログラムを演算部1101が読込み、読込んだアプリケーションに従って演算部1101が演算を行うことにより上記各部の機能を実現する。なお、RAM1103には、演算結果のデータが書き込まれ、特にNVRAMには、電源オフ時にバックアップが必要なデータが保存される。
【0028】
ここで図2に戻り、車両制御装置1100の構成について引き続き説明する。
取得部1110は、アクセルセンサ1200及び予測部1130に接続する。取得部1110は、アクセルセンサ1200からアクセル開度を表す電気信号を取得し、電気信号に基づいてアクセル開度を取得する。次に、取得部1110は、取得したアクセル開度を予測部1130へ出力する。
【0029】
記憶部1120は、例えば、ROM1102及びRAM1103で構成され、予測部1130に接続する。記憶部1120は、車両1000の状態をモデル化したモデルを記憶する。尚、記憶部1120が記憶したモデルは、シミュレーションに用いるモデルであり、シミュレーションを実行する予測部1130によって参照される。
【0030】
ここで図4を参照して、記憶部1120が記憶するモデルについて説明する。図4は、記憶部1120が記憶するモデルの一例を表す概念図である。
【0031】
図4に示す定常モデルMS及び過渡モデルMTは、車両1000を構成するエンジン1300の状態、及び車両1000を構成する車輪1801から1804のいずれかの状態をモデル化したモデルである。尚、以下説明の便宜上、車輪1801についてのみ説明するが、車輪1802から1804についても同様であるので説明を省略する。
【0032】
定常モデルMS及び過渡モデルMTは、エンジン1300の状態を表すエンジン慣性と、ミッション1400の状態と、ドライブシャフト1701の状態と、車輪1801の状態を含む車両1000全体の状態を表す車両慣性とをモデル化したモデルである。
【0033】
尚、後述するように、エンジン1300はミッション1400に接続し、ミッション1400はドライブシャフト1701に接続し、ドライブシャフト1701は車輪1801に接続する。
【0034】
尚、ドライブシャフト1702及び車輪1802と、エンジン1300及びミッション1400との関係についても同様であるので説明を省略する。また、ドライブシャフト1701は、プロペラシャフト1500及びデフ1600を介してミッション1400に接続するが、以下説明の便宜上、言及を省略する。
【0035】
よって、定常モデルMS及び過渡モデルMTは、エンジン1300の状態を表すエンジン慣性と、ミッション1400の状態と、ドライブシャフト1701の状態と、車輪1801の状態を含む車両慣性とがそれぞれ互いに影響を及ぼしあうようにモデル化したモデルである。
【0036】
つまり、エンジン1300の状態はエンジン1300の単位時間当たりの回転数及びエンジン1300が出力するトルク(以下単に、トルク等という)を含み、ミッション1400の状態はエンジン1300により入力されるトルク等及び変換した後にドライブシャフト1701へ伝達するトルク等を含み、ドライブシャフト1701の状態はミッション1400により伝達されるトルク等及び車輪1801へ伝達するトルク等を含み、車輪1801の状態はドライブシャフト1701により伝達されるトルク等及び車輪1801自体が有するトルク等を含む。
【0037】
ここで、定常モデルMSが使用する変数は、車両の状態を表す変数として、角速度ω及びトルクTという2変数を用いる。角速度ω及びトルクTは、ミッション1400に接続するドライブシャフト1701の片端における角速度及びトルクを表す。
【0038】
尚、定常モデルMSは、ドライブシャフト1701の剛性が十分に大きいために、デフ1600に接続する片端における角速度とミッション1400に接続する片端における角速度とは一致するとしてモデル化されたモデルである。よって、定常モデルMSは、デフ1600に接続する片端における角速度を表す変数を有しない。
【0039】
また、過渡モデルMTが使用する変数は、車両の状態を表す変数として、角速度ω1、ω2及びトルクTという3変数を用いる。角速度ω1及びω2は、ミッション1400に接続するドライブシャフト1701の片端の角速度(以下単に、ミッション側の角速度という)、及び車輪1801に対して接続するドライブシャフト1701の片端の角速度(以下単に、車輪側の角速度という)を表す。トルクTは、定常モデルMSが使用するトルクTと同様であるので説明を省略する。
【0040】
尚、過渡モデルMTにおける釣り合いの状態(以下単に、釣合状態という)における車輪側の角速度ω2は、ミッション側の角速度ω1、トルクT、及びドライブシャフト1701の剛性Kにより、以下に示す数式1を用いて定まる。
【0041】
【数1】

【0042】
つまり、定常モデルMSは、例えば、エンジン1300の回転数と車輪1801の単位時間当たりの回転数とが常に定まった値であるために、両端の角速度が同じ値となっているドライブシャフト1701の状態をモデル化したモデルである。
【0043】
よって、定常モデルMSは、例えば、等速運動を行う状態における車両1000の挙動を予測するためのモデルをも含む。
【0044】
一方で過渡モデルMTは、例えば、エンジン1300の単位時間当たりの回転数が増加等したために、エンジン1300の回転数と車輪1801の回転数とが変化する過程において、両端の角速度が異なった値となるドライブシャフト1701の状態をモデル化したモデルである。
【0045】
よって、過渡モデルMTは、例えば、車両1000の運転者がアクセルペダルを踏み込んだためにアクセル開度が増加した結果、加速運動を行う車両1000の挙動を予測するためのモデルを含む。
【0046】
つまり、過渡モデルMTにおける釣り合いの状態は、エンジン1300の状態により定まる車輪1801の釣り合いの状態を含む。
【0047】
よって、車両制御装置1100は、このモデルを用いてシミュレーションを行うことにより、車両1000を構成するエンジン1300の状態及びエンジン1300の状態により定まる車輪1801の状態を予測できるために、車両1000の挙動を精度良く予測できる。
【0048】
ここで、本実施例では、定常モデルMSが用いる角速度を表す変数ωは、過渡モデルMTが用いるドライブシャフト1701のミッション側の角速度を表す変数ω1と同じ対象を表す変数である。また、定常モデルMSが用いるトルクTと、過渡モデルMTが用いるトルクTとは、同様に、同じ対象を表す変数である。
【0049】
しかし、定常モデルMSは、過渡モデルMTが用いる角速度を表す変数ω2と同じ対象をモデル化した変数を用いない。つまり、定常モデルMSが使用する変数の数は、過渡モデルMTが使用する変数の数よりも少ない。
【0050】
よって、定常モデルMSを過渡モデルMTに比べて簡易なモデル(以下単に、簡易モデルという)であるといい、逆に、過渡モデルMTを定常モデルMSに比べて詳細なモデル(以下単に、詳細モデルという)という。
【0051】
ここで、シミュレーションに用いるモデルを詳細モデルMTから簡易モデルMSへ変更する場合には、車両制御装置1100は、詳細モデルMTで用いた変数を簡易モデルMSで用いることができるために、シミュレーション精度の低下を抑制できる。
【0052】
しかし、簡易モデルMSから詳細モデルMTへ変更する場合には、車両制御装置1100は、詳細モデルMTで用いる変数の一部(本実施例では、角速度ω2)に対しては、簡易モデルMSで用いた変数を用いることができない。よって、簡易モデルMSで用いない変数に対して、例えば、「0」といった初期値を入力する方法では、変数が一定の収束値へ収束する間に生じる振動等の影響を受けてシミュレーション精度が低してしまう。
【0053】
よって、本実施例では、簡易モデルMSで用いない変数ω2に対して、過渡モデルMTでの釣合状態における角速度を上記数式1を用いて計算して入力する。
【0054】
本実施例において、定常モデルMS及び過渡モデルMTがモデル化したドライブシャフト1701は単一の部品であるとして説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、プロペラシャフト1500、デフ1600、及びドライブシャフト1701で構成される1つの観念的な部品であるとする構成を採用できる。
【0055】
ここで図2に戻り、車両制御装置1100について引き続き説明を行う。
予測部1130は、取得部1110及び制御部1140に接続する。予測部1130は、予測処理を実行することで、車両1000の挙動を予測する。
【0056】
ここで図5及び6を参照して、予測部1130が実行する予測処理について説明する。図5は予測部1130が実行する予測処理の一例について説明するためのフローチャートの一部であり、図6は予測部1130が実行する予測処理の一例について説明するためのフローチャートの他部である。
【0057】
予測部1130は、切替フラグFLGを初期化するために値「0」を入力する(ステップST0001)。尚、切替フラグFLGは、直前に行ったシミュレーションにおいて使用したモデルが定常モデルMSであるか否かを表すフラグである。
【0058】
本実施例において、切替フラグFLGの値は、直前に使用したモデルが定常モデル(簡易モデル)MSである場合に「0」を、過渡モデル(詳細モデル)MTである場合には「1」となる。
【0059】
次に、予測部1130は、予測処理の実行を終了する条件(以下単に、終了条件という)を満たすか否かを判断する(ステップST0002)。予測部1130は、終了条件を満足すると判断する場合には予測処理の実行を終了し、そうでない場合にはステップST0003の処理を実行する。尚、終了条件は、例えば、車両1000からキーが抜かれたという条件を含むが、これに限定される訳ではない。
【0060】
ステップST0002において、予測部1130は、終了条件を満たさないと判断した場合には、取得部1110からアクセル開度THを取得する(ステップST0003)。次に、予測部1130は、記憶部1120から、前回に取得したアクセル開度THpを取得する(ステップST0004)。
【0061】
尚、図示を省略するが、予測部1130は、記憶部1120(又は、例えば、テンポラリ変数)へアクセル開度THを保存し、次回の処理において、保存した値を前回に取得したアクセル開度THpの値として取得する。
【0062】
その後、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHを、今回取得したアクセル開度TH から前回に取得したアクセル開度THp を減算して算出する(ステップST0005)。
【0063】
次に、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えるか否かを判断する(ステップST0006)。予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが、所定の閾値dTH0を超えると判断する場合にはステップST0007の処理を実行し、そうでない場合にはステップST0016の処理を実行する。
【0064】
尚、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えか否かを判断することで、例えば、車両1000の運転者がアクセルペダルを踏み込んだか否かを判断する。その後、予測部1130は、踏み込んだか否かの判断に基づいてエンジン1300の回転数と車輪1801の回転数とが変化する過程をモデル化した過渡モデルMTを用いるか、そうでない定常モデルMSを用いるかを判断する。
【0065】
ステップST0006において、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えると判断した場合には、切替フラグFLGの値が「0」であるか(つまり、直前に使用したモデルが定常モデルMSであるか)否かを判断する(ステップST0007)。予測部1130は、切替フラグFLGの値が「0」であると判断する場合にはステップST0008の処理を、そうでない場合にはステップST0014の処理を実行する。
【0066】
ステップST0007において、予測部1130は、切替フラグFLGの値が「0」である(つまり、直前に使用したモデルが定常モデルMSである)と判断した場合には、モデルを定常モデルMSから過渡モデルMTへ変更する(ステップST0008)。
【0067】
次に、予測部1130は、定常モデルMSで前回使用した角速度を表す変数ωの値及びトルクを表す変数Tの値を、過渡モデルMTが使用するミッション側の角速度を表す変数ω1及びトルクTへ入力する(ステップST0009)。
【0068】
その後、予測部1130は、定常モデルMSで使用していた変数ωの値及びTの値で定まる過渡モデルMTにおける釣合状態における車輪側の角速度を、上記数式1を用いて算出し、算出した値を過渡モデルMTが使用する変数ω2へ入力する(ステップST0010)。次に、予測部1130は、値を入力した過渡モデルMTを用いてシミュレーションを実行して、車両1000の挙動を予測する(ステップST0011)。
【0069】
この構成によれば、釣り合いの状態を表す変数値を用いることで、モデルで用いる車両1000の状態を表す変数値が収束し易くなるため、精度良く車両の挙動を予測できる。
【0070】
その後、予測部1130は、切替フラグFLGの値を「1」とする(ステップST0012)。次に、予測部1130は、ステップST0013の処理を実行する。
【0071】
ステップST0012、並びに、後述するステップST0015及びステップST0019の処理を実行した後に、予測部1130は、シミュレーションの実行により予測した車両1000の挙動を表す情報を制御部1140へ出力する(ステップST0013)。その後、予測部1130は、ステップST0002に戻り上記処理を繰り返す。
【0072】
ステップST0007において、予測部1130は、切替フラグFLGの値が「0」でない(つまり、直前に使用したモデルが過渡モデルMTである)と判断した場合には、過渡モデルMTで前回使用したミッション側の角速度を表す変数ω1の値、車輪側の角速度を表す変数ω2の値、及びトルクを表す変数Tの値を今回においても過渡モデルMTへ入力する(ステップST0014)。
【0073】
次に、予測部1130は、値を入力した過渡モデルMTを用いてシミュレーションを実行して、車両1000の挙動を予測する(ステップST0015)。その後、予測部1130は、上記ステップST0013の処理を実行する。
【0074】
ステップST0006において、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えないと判断した場合には、必要に応じてモデルを過渡モデルMTから定常モデルMSへ変更する(ステップST0016)。
【0075】
尚、モデルを変更する必要がある場合とは、切替フラグFLGの値が「1」である場合をいう。つまり、前回にシミュレーションで使用したモデルが過渡モデルMTであった場合をいう。
【0076】
次に、予測部1130は、過渡モデルMTで前回に使用したミッション側の角速度を表す変数ω1の値及びトルクを表す変数Tの値、若しくは定常モデルMSで前回に使用した角速度を表す変数ωの値及びトルクを表す変数Tの値を、定常モデルMSで使用する変数ω及びTに入力する(ステップST0017)。
【0077】
尚、過渡モデル(詳細モデル)MTで使用する変数の数は定常モデル(簡易モデル)MSで使用する変数の数と比べて多いため、予測部1130は、定常モデルMSで使用する全ての変数に対して過渡モデルMTで使用した変数の前回の値を入力できる。
【0078】
その後、予測部1130は、値を入力した定常モデルMSを用いてシミュレーションを実行して、車両1000の挙動を予測する(ステップST0018)。その後、予測部1130は、切替フラグFLGの値を「0」とする(ステップST0019)。次に、予測部1130は、上記ステップST0013の処理を実行する。
【0079】
ここで図2に戻り、車両制御装置1100の構成について引き続き説明する。
制御部1140は、予測部1130及びエンジン1300に接続する。制御部1140は、予測部1130から予測した車両の挙動を表す情報を取得する。次に、制御部1140は、取得した情報が表す挙動に基づいて車両1000の挙動を制御する。
【0080】
具体例としては、制御部1140は、エンジン1300に設置されたインジェクター(電磁バルブ)が開く時間長を制御して、エンジンに供給される燃料の量を制御する。これによって、制御部1140は、エンジン1300が発生させるトルク等を制御することで、車両1000の挙動を制御する。
【0081】
本実施例では、車両制御装置1100はアクセルセンサ1200とエンジン1300とに接続し、アクセルセンサ1200から取得したアクセル開度に基づいて接続したエンジン1300を制御するとして説明したが、これに限定される訳ではない。
【0082】
例えば、車両制御装置1100は、図示を省略するが、後述する車輪1801から1804の回転量を計測する回転センサとエンジン1300とに接続し、回転センサが計測した回転量に基づいてエンジン1300を制御することで、車両1000の挙動を制御する構成を採用できる。
【0083】
また例えば、車両制御装置1100は、図示を省略するが、車輪1801から1804の回転量を計測する回転センサとブレーキパッドを操作するために用いる油圧を発生させる油圧発生装置に接続し、回転センサが計測した回転量に基づいて油圧発生装置を制御することで、車両1000の挙動を制御する構成を採用できる。
【0084】
更に例えば、車両制御装置1100は、図示を省略するが、ステアリングの回転量を計測する転舵角センサと車輪1801から1804の舵角を制御する舵角制御装置とに接続し、転舵角センサが計測した回転量に基づいて舵角制御装置を制御することで、車両1000の挙動を制御する構成を採用できる。
【0085】
ここで図1に戻り、車両1000の構成について引き続き説明を行う。
アクセルセンサ1200は、車両制御装置1100及び(図示を省略するが)アクセルペダルに接続している。アクセルセンサ1200は、車両1000を運転する運転者がアクセルペダルを踏み込んだ量を計測し、計測した量(つまり、アクセル開度)を表す電気信号を車両制御装置1100へ出力する。
【0086】
エンジン1300は、例えば、レシプロエンジン又はロータリーエンジンで構成される。エンジン1300は、車両制御装置1100、ミッション1400、及び図示を省略するが、燃料タンクに接続している。エンジン1300は、車両制御装置1100に制御されて燃料タンクが保存する燃料を取得し、取得した燃料を燃焼させることでトルク等の動力を発生させ、発生させたトルク等をミッション1400へ伝達する。
【0087】
本実施例では、エンジン1300は、レシプロエンジン又はロータリーエンジンで構成されるとして説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、ロケットエンジン、タービンエンジン、及びガスタービンエンジン、若しくは蒸気機関で構成することが可能である。
【0088】
本実施例では、車両1000はエンジン1300と車両制御装置1100とを備え、かつ車両制御装置1100がエンジン1300を制御することで車両1000の挙動を制御するとして説明した。しかし、これに限定される訳ではなく、例えば、車両1000は、例えば、インホイールモータで構成される電気モータと車両制御装置1100とを備え、かつ車両制御装置1100は、電気モータを制御することで車両1000の挙動を制御する構成を採用できる。
【0089】
ミッション1400は、例えば、マニュアル・トランスミッション又はオートマチック・トランスミッションで構成される。ミッション1400は、エンジン1300及びプロペラシャフト1500に接続する。ミッション1400は、エンジン1300が発生させたトルク等を変化させてプロペラシャフト1500へ伝達する。
【0090】
プロペラシャフト1500は、ミッション1400とデフ1600とに接続する。プロペラシャフト1500は、ミッション1400により伝達されたトルク等をデフ1600へ伝達する。
【0091】
デフ1600は、プロペラシャフト1500、ドライブシャフト1701及び1702に接続する。デフ1600は、プロペラシャフト1500から伝達されたトルク等を、ドライブシャフト1701及び1702へそれぞれ必要に応じた変換を施して伝達する。尚、デフ1600が行うトルク等の変換方式は、例えば、周知の方式であるトルク感応式、機械式LSD回転感応式、及びアクティブ制御式のいずれを用いても良い。
【0092】
ドライブシャフト1701は、デフ1600及び車輪1801に接続する。ドライブシャフト1701は、デフ1600が伝達するトルク等を車輪1801に伝達する。尚、ドライブシャフト1702は、デフ1600及び車輪1802に接続し、ドライブシャフト1701が有する機能と同様の機能を有する。
【0093】
車輪1801は、例えば、ホイールとタイヤとで構成される。ホイールはドライブシャフト1701に接続し、タイヤは路面に接する。よって車輪1801は、ドライブシャフト1701からトルク等を伝達されて路面に接した状態でドライブシャフト1701との接点を中心に回転運動を行う。これにより、車輪1801を備える車両1000が路面上を移動する。尚、車輪1802から4の構成、接続、及び機能は、車輪1801の構成、接続、及び機能とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0094】
よって、車両制御装置1100が、エンジン1300において発生させるトルク等を制御することで車輪1801に伝達されるトルク等を制御できるため、車両1000の挙動を制御できる。
【0095】
本実施例では、FR(Front Engine Rear Drive)駆動方式の車両1000について説明したが、これに限定される訳ではない。例えば、FF(Front Engine Front Drive)、MR(Mid Engine Rear Drive)、RR(Rear Engine Rear Drive)、及び4WD(4 Wheel Drive)駆動方式の車両1000についても同様のモデルを用いてシミュレーションする構成を採用できる。
【0096】
本実施例においては、予測部1130が予測手段に相当し、制御部1140が制御手段に相当する。
【0097】
以下、本発明の第2の実施形態について図面を参酌しながら説明する。
【実施例2】
【0098】
第2の実施例においては、予測部1130が実行する予測処理の他例を説明する。
ここで、予測部1130が実行する予測処理の他例について説明する前に、第2の実施例において記憶部1120が記憶する情報について説明する。
【0099】
記憶部1120は、実施例1で記憶すると説明した情報に加え、モデルを切り替えた時刻からの経過時間を表す経過時間カウンタとモデルに入力するドライブシャフト1701の剛性とを関連付けて予め記憶する。
【0100】
ここで図7を参照して、記憶部1120が記憶する情報について説明する。図7は、記憶部1120が記憶する経過時間とのドライブシャフトの剛性との関係を表す図である。
【0101】
図7に示すように、記憶部1120は、「0」の値を表す経過時間カウンタを、無限大の値を表す剛性と関連付けて記憶する。尚、実際には、記憶部1120は、無限大の値ではなく十分に大きな正の値を記憶するが、以下説明の便宜上、無限大の値を記憶するとして説明する。
【0102】
また記憶部1120は、「1」以上の値を表す経過時間カウンタを、カウンタが増加するにつれて段階的に減少し、かつ変更後のモデルにおけるドライブシャフト1701の剛性を表す値K0(以下単に、実際の剛性値という)に収束するような剛性値と関連付けて記憶する。
【0103】
次に、実施例2において予測部1130が実行する予測処理の概略について説明するために再度図4を参照する。
図4に示す過渡モデルMTにおける釣り合いの状態において、車輪側の角速度ω2は、上記数式1で表されることは既に説明した。
【0104】
ここで、剛性Kが無限大の値を取る場合には、数式1により定まる釣合状態における車輪側の角速度ω2は、ミッション側の角速度ω1と一致する。つまり、剛性Kが無限大の値を取る場合には、ミッション側の角速度ω1と車輪側の角速度ω2とが一致するため、角速度ωのみを用いる定常モデルMSと角速度ω1及びω2とを用いる過渡モデルMTとは、車両1000の同じ状態をモデル化したモデルであるといえる。
【0105】
よって剛性Kが無限大の値を取る場合には、定常モデルMSから過渡モデルMTへ変更したところで、実質上はモデルを変更したとはいえない。そこで、モデルで用いる剛性Kの値を、無限大の値から実際の剛性値K0へ変更する必要が生じる。
【0106】
ここで予測部1130は、実施例2における予測処理において、剛性Kの値を無限大の値から実際の剛性値へ段階的に変更する。また、予測部1130は、車輪側の角速度ω2を、変更された剛性Kを用いて数式1で定まる釣り合いの状態を表す値とする。
【0107】
よって、ドライブシャフト1701の車輪側の角速度ω2が段階的に変更するために、ドライブシャフト1701の状態に影響を受けるエンジン1300の状態、ミッション1400の状態、及び車輪1801の状態等を表す他の変数値が段階的に変化する。これによって、変数の変化により生じる振動を抑制できるために、車両の状態を表す変数値が収束し易くなる。よって、予測部1130は精度良く車両の挙動を予測できる。
【0108】
次に、図8及び9を参照して、実施例2において予測部1130が実行する予測処理の他例について説明する。図8は予測部1130が実行する予測処理の他例を表すフローチャートの一部であり、図9は予測部1130が実行する予測処理の他例を表すフローチャートの他部である。
【0109】
まず、予測部1130は、過渡モデルMTに変更してから経過した時間をカウントするための経過時間カウンタCNTに初期値「0」を入力する(ステップST0101)。
【0110】
次に、予測部1130は、ステップST0102からST0105の処理の処理を実行する(ステップST0102からST0105)。尚、ステップST0102からST0105の処理は、図5を参照して説明したステップST0002からST0005の処理と同様であるので説明を省略する。
【0111】
ステップST0105の処理を実行した後に、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えるか否かを判断する(ステップST0106)。予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えると判断する場合にはステップST0107の処理を実行し、そうでない場合にはステップST0115の処理を実行する。尚、ステップST0106の処理は、図6を参照して説明したステップST0006の処理と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0112】
ステップST0106において、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えると判断した場合には、必要に応じてモデルを定常モデルMSから過渡モデルMTへ変更する(ステップST0107)。
【0113】
尚、モデルを変更する必要がある場合とは、経過時間カウンタCNTの値が「0」である場合をいう。つまり、前回にシミュレーションで使用したモデルが定常モデルMSだった場合をいう。
【0114】
次に、予測部1130は、過渡モデルMTで前回に使用したミッション側の角速度を表す変数ω1の値及びトルクを表す変数Tの値、若しくは定常モデルMSで前回に使用した角速度を表す変数ωの値及びトルクを表す変数Tの値を、過渡モデルMTで使用する変数ω1及びTに入力する(ステップST0108)。
【0115】
その後、予測部1130は、記憶部1120から経過時間カウンタCNTに関連付けた剛性Kを取得する(ステップST0109)。次に、予測部1130は、取得した剛性Kの値、並びにモデルに既に入力したω1の値及びトルクTの値により定まる釣合状態における車輪側の角速度を、上記数式1を用いて算出して変数ω2の値とする(ステップST0110)。
【0116】
次に、予測部1130は、算出した車輪側の角速度ω2及び取得したトルクKを過渡モデルMTへ入力する(ステップST0111)。その後、予測部1130は、値を入力した過渡モデルMTを用いてシミュレーションを実行して、車両1000の挙動を予測する(ステップST0112)。
【0117】
この構成によれば、モデルで用いる変数値を変更前のモデルで用いた変数値から、変更後のモデルにおける釣り合いの状態を表す変数値へ段階的に変更することで、他の状態を表す変数値が段階的に変化するため、車両1000の状態を表す変数値が収束し易くなるだけでなく、精度良く車両の挙動を予測できる。
【0118】
その後、予測部1130は、経過時間カウンタCNTの値をインクリメントする(ステップST0113)。次に、予測部1130は、ステップST0114の処理を実行する。
【0119】
ステップST0113及び後述するステップST0118の処理を実行した後に、予測部1130は、シミュレーションの実行により予測した車両1000の挙動を表す情報を制御部1140へ出力する(ステップST0114)。その後、予測部1130は、ステップST0102に戻り上記処理を繰り返す。
【0120】
ステップST0106において、予測部1130は、アクセル開度の差分dTHが所定の閾値dTH0を超えないと判断した場合には、必要に応じてモデルを過渡モデルMTから定常モデルMSへ変更する(ステップST0115)。
【0121】
尚、モデルを変更する必要がある場合とは、経過時間カウンタCNTの値が「1」以上である場合をいう。つまり、前回にシミュレーションで使用したモデルが過渡モデルMTだった場合をいう。
【0122】
次に、予測部1130は、過渡モデルMTで前回に使用したミッション側の角速度を表す変数ω1の値及びトルクを表す変数Tの値、若しくは定常モデルMSで前回に使用した角速度を表す変数ωの値及びトルクを表す変数Tの値を、定常モデルMSで使用する変数ω及びTに入力する(ステップST0116)。
【0123】
その後、予測部1130は、値を入力した定常モデルMSを用いてシミュレーションを実行して、車両1000の挙動を予測する(ステップST0117)。その後、予測部1130は、経過時間カウンタCNTの値に「0」を入力する(ステップST0118)。次に、予測部1130は、上記ステップST0114の処理を実行する。
【0124】
車両制御装置1100の有する機能は、車両制御装置1100が有するROM1102、及びRAM1103の少なくともひとつに格納されたプログラムを演算部1101が実行することにより実現できる。また、このプログラムは、例えば、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布、又はネットワークを介した配信によって提供できる。
【0125】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0126】
上記実施形態では、記憶装置はRAMで構成されるとして説明したが、これに限定されるわけではなく、例えば、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD−RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)、MO(magneto-optic)、及び、フラッシュメモリ(flash memory)等の外部記憶装置で構成される実施形式を採用できる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の車両制御装置を搭載した車両の一実施形態を示す構成図である。
【図2】車両制御装置の一構成例を表す機能ブロック図である。
【図3】車両制御装置の一構成例を表すハードウェア構成図である。
【図4】記憶部が記憶するモデルの一例を表す概念図である。
【図5】予測部が実行する予測処理の一例について説明するためのフローチャートの一部である。
【図6】予測部が実行する予測処理の一例について説明するためのフローチャートの他部である。
【図7】記憶部が記憶する経過時間とのドライブシャフトの剛性との関係を表す図である。
【図8】予測部が実行する予測処理の他例を表すフローチャートの一部である。
【図9】予測部が実行する予測処理の他例を表すフローチャートの他部である。
【符号の説明】
【0128】
1000…車両
1100…車両制御装置
1101…演算部
1102…ROM
1103…RAM
1105…バス
1110…取得部
1120…記憶部
1130…予測部(予測手段)
1140…制御部(制御手段)
1200…アクセルセンサ
1300…エンジン
1400…ミッション
1500…プロペラシャフト
1600…デフ
1701,2……ドライブシャフト
1801〜4…車輪
K…ドライブシャフトの剛性
K0…実際の剛性値
MS…定常モデル(簡易モデル)
MT…過渡モデル(詳細モデル)
O…原点
T…トルク
XC…カウンタ軸
XK…剛性軸
ω…ドライブシャフトの回転角速度
ω1…ドライブシャフトのミッション側の回転角速度
ω2…ドライブシャフトの車輪側の回転角速度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態をモデル化したモデルを変更してシミュレーションを行うことで、前記車両の挙動を予測する予測手段と、
変更前の前記モデルに入力した前記車両の状態を表す変数値と、前記変数により定まる変更後の前記モデルにおける釣り合いの状態を表す変数値とを変更した前記モデルに入力することで前記予測手段が予測した挙動に基づいて、前記車両の挙動を制御する制御手段とを備えることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記予測手段は、変更した前記モデルに入力する変数値を、変更前の前記モデルで用いた変数値から変更後の前記モデルにおける釣り合いの状態を表す変数値へ段階的に変更することで、前記車両の挙動を予測することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記モデルは、前記車両を構成するエンジンの状態、及び前記車両を構成する車輪の状態をモデル化したモデルであり、
前記釣り合いの状態は、前記エンジンの状態により前記モデルにおいて定まる前記車輪の釣り合いの状態を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−273316(P2008−273316A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117340(P2007−117340)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】