説明

車両前部構造

【課題】 車両前部の効率的な生産を実現できると同時に、ラジエータコアサポートの軽量化と多機能化を図ることができる車両前部構造の提供。
【解決手段】 車幅方向に延在するバンパアーマチュア5と、車両前方側端部がバンパアーマチュア5の車幅方向端部にそれぞれ接続される一方、車両後方側端部がサイドメンバ4,4にそれぞれ接続される一対のバンパステイ3,3と、熱交換器2を固定支持するラジエータコアサポート1を備える車両前部構造において、ラジエータコアサポート1を車幅方向へ延在するラジエータコアサポートロア部6と、このラジエータコアサポートロア部6の車幅方向両端部から上方へ延在するラジエータコアサポートサイド部7,8とから構成すると共に、これらを発泡樹脂で一体的に形成し、バンパアーマチュア5と各バンパステイ3,3でそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部7,8を車両前後方向に挟持させた状態でラジエータコアサポート1を固定支持した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車幅方向に延在するバンパアーマチュアと、車両前方側端部がバンパアーマチュアの車幅方向端部にそれぞれ接続される一方、車両後方側端部がサイドメンバにそれぞれ接続される一対のバンパステイと、熱交換器を固定支持するラジエータコアサポートを備える車両前部構造の技術が公知となっている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2005−178682号公報
【特許文献2】特開2002−096701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明では、ラジエータコアサポートサイド部がバンパステイとサイドメンバとの間に挟まれた状態で固定されるため、車両前部をモジュール化するためには、バンパステイとラジエータコアサポートサイド部を仮固定した状態で製造した後、車体組立工場へ搬送して車体側であるサイドメンバに締結・固定することとなり、バンパステイとラジエータコアサポートサイド部を仮固定するための構造を追加する必要があった。
加えて、近年、ラジエータコアサポートの軽量化と多機能化が望まれていた。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、車両前部の効率的な生産を実現できると同時に、ラジエータコアサポートの軽量化と多機能化を図ることができる車両前部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の発明では、車幅方向に延在するバンパアーマチュアと、車両前方側端部がバンパアーマチュアの車幅方向端部にそれぞれ接続される一方、車両後方側端部がサイドメンバにそれぞれ接続される一対のバンパステイと、熱交換器を固定支持するラジエータコアサポートを備える車両前部構造において、前記ラジエータコアサポートを車幅方向へ延在するラジエータコアサポートロア部と、このラジエータコアサポートロア部の車幅方向両端部から上方へ延在するラジエータコアサポートサイド部とから構成すると共に、これらを発泡樹脂で一体的に形成し、前記バンパアーマチュアと各バンパステイでそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部を車両前後方向に挟持させた状態でラジエータコアサポートを固定支持したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1記載の発明にあっては、車幅方向に延在するバンパアーマチュアと、車両前方側端部がバンパアーマチュアの車幅方向端部にそれぞれ接続される一方、車両後方側端部がサイドメンバにそれぞれ接続される一対のバンパステイと、熱交換器を固定支持するラジエータコアサポートを備える車両前部構造において、前記ラジエータコアサポートを車幅方向へ延在するラジエータコアサポートロア部と、このラジエータコアサポートロア部の車幅方向両端部から上方へ延在するラジエータコアサポートサイド部とから構成すると共に、これらを発泡樹脂で一体的に形成し、前記バンパアーマチュアと各バンパステイでそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部を車両前後方向に挟持させた状態でラジエータコアサポートを固定支持したため、車両前部の効率的な生産を実現できると同時に、ラジエータコアサポートの軽量化と多機能化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
以下、実施例1を説明する。
なお、車両前後方向及び車幅方向を前後方向及び左右方向と称して説明する。
図1は本発明の実施例1の車両前部構造を示す分解斜視図、図2は同斜視図、図3は本実施例1のラジエータコアサポートの分解拡大斜視図、図4は本実施例1の熱交換器の斜視図、図5は本実施例1の熱交換器のコア部を説明する斜視断面図(一部のみ)である。
【0009】
図6は本実施例1の熱交換器の正面図、図7は本実施例1のラジエータコアサポートロア部と熱交換器の配置を説明する断面図(一部のみ)、図8は本実施例1の車両前部の各構成部材の配置を説明する図、図9は本実施例1のモータファンシュラウドの斜視図、図10は本実施例1の作用を説明する図である。
【0010】
先ず、全体構成を説明する。
図1、2に示すように、本実施例1の車両前部構造では、ラジエータコアサポート1と、熱交換器2と、バンパステイ3,3と、サイドメンバ4,4と、バンパアーマチュア5が備えられている。
【0011】
図3に示すように、ラジエータコアサポート1は、左右方向へ延在するラジエータコアサポートロア部6と、このラジエータコアサポートロア部6の左右両端部から上方へ延在するラジエータコアサポートサイド部7,8と、両ラジエータコアサポートサイド部7,8の上端部に固定される別体のラジエータコアサポートアッパ部9とから構成され、これらは全て一般的な衝撃吸収材に採用されるポリプロピレン等を素材とする発泡樹脂製となっている。
従って、本実施例1のラジエータコアサポート1は、従来の発明に比べて大幅に軽量化されている。
【0012】
ラジエータコアサポートロア部6は、その前端部上面6aが前方へ向かって張り出した略板形状に形成される他、その後方には所定寸法H1(図7参照)の低い段差を有して形成された段部6bが形成されている。
【0013】
各ラジエータコアサポートサイド部7,8は、全体が前方へ張り出した形状にそれぞれ形成される他、その上端部は平坦にそれぞれ形成され、その下端部はラジエータコアサポートロア部6と一体的にそれぞれ形成されている。
また、各ラジエータコアサポートサイド部7,8の中途部は前方及び側方へ切欠開口された開口部10がそれぞれ形成されると共に、ここに矩形状の挟持部11がそれぞれ形成されている。
さらに、各ラジエータコアサポートサイド部7,8の内側後方には、後述する熱交換器2を固定支持するための嵌合溝12(請求項の嵌合部に相当)が上方を開口した状態で上下方向にそれぞれ延設されている。
【0014】
ラジエータコアサポートアッパ部9は、前方へ張り出した略三角柱形状に形成される他、その前端部の左右両側はそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部7,8の上端部に合致する形状に形成される一方、中央は前方へ行くにつれて緩やかに突出した形状に形成されている。
【0015】
図4、5に示すように、熱交換器2は、ラジエータ13と、このラジエータ13の前方に配置されたコンデンサ14とが一体的に固設されて成る一体型熱交換器が採用されている。
【0016】
ラジエータ13は、所定間隔をおいて対向配置される左右一対のタンク13a,13bと、両タンク13a,13bの間に配置されるコア部13cで構成されている。
ラジエータ13のタンク13aの上部には後方側へ突出した入力ポート13dが該タンク13a内に連通した状態で設けられる一方、タンク13bの下部には後方側へ突出した出力ポート13eが該タンク13b内に連通した状態で設けられている。
ラジエータ13のコア部13cは、一対のタンク13a,13bの間に挿通し固定された複数のチューブ13fと、隣接するチューブ13f同士の間に配置され、且つ、コンデンサ14のコア部14cと共用する波状のフィン13gで構成されている。
【0017】
コンデンサ14は、所定間隔をおいて対向配置される一対のタンク14a,14bと、これら両タンク14a,14bの間に配置されるコア部14cで構成されている。
図6に示すように、コンデンサ14のタンク14aの内部は仕切り板14dによって2つの室R1,R2に仕切られる一方、タンク14bの内部は仕切り板14eによって2つの室R3,R4に仕切られている。
また、タンク14aの室R1に近接した側方には入出力ポート14f,14gが一体的に形成されたコネクタ14hが設けられる他、入力ポート14fは室R1に連通される一方、出力ポート14gはパイプ14iを介して室R2に連通されている。
また、タンク14bにはパイプ14j,14kを介して室R3,R4に連通したレシーバ14mが設けられている。なお、レシーバ14mは必ずしも設ける必要はない。
コンデンサ14のコア部14cは、一対のタンク14a,14bの間に挿通し固定された複数のチューブ14nと、隣接するチューブ14n同士の間に配置される前述のフィン13gで構成されている。
【0018】
また、ラジエータ13のタンク13a,13b及びコンデンサ14のタンク14a,14bの上下端部には、レインフォース15a,15bがそれぞれ挿通し固定されることにより、これら両者が一体的に連結固定されている。
【0019】
なお、本実施例1の熱交換器2の各構成部材は全てアルミ製であり、各構成部材の接合部のうち、一方側にはろう材からなるクラッド層(ブレージングシート)が設けられ、これらは予め仮組された後、図外の加熱炉で熱処理されることにより一体的にろう付け固定される。
なお、レシーバ14mについては、加熱処理後の熱交換器2に対して図外のブラケットや溶接で固定しても良い。
【0020】
図1、2に示すように、各バンパステイ3は、金属製で前後両端部が閉塞された中空略矩形状にそれぞれ形成される他、その上下方向及び前後方向の寸法はラジエータコアサポート1のそれぞれ対応する挟持部11と略等しくなるように形成されている。
また、各バンパステイ3の前端部には複数(本実施例1では2箇所)のボルト孔3aがそれぞれ形成される一方、後端部には鍔状のフランジ部3bが形成されると共に、このフランジ部3bの四隅にはボルト孔3cがそれぞれ形成されている。
【0021】
各サイドメンバ4は、金属製で中空矩形断面を有して前端部が閉塞された中空略矩形状にそれぞれ形成される他、それぞれ対応するバンパステイ3のボルト孔3cと合致する位置にボルト孔4aがそれぞれ形成されている。
【0022】
バンパアーマチュア5は、金属製で左右両端部が開口された筒状に形成される他、その上下方向の寸法はラジエータコアサポート1の挟持部11と略等しくなるように形成されている。
また、バンパアーマチュア5の各バンパステイ3のボルト孔3aと合致する位置にはその前後面を貫通したボルト挿通孔5aがそれぞれ形成されている。
【0023】
次に、車両前部構造の組み付けについて説明する。
このように構成された車両前部構造の各構成部材を組み付ける際には、先ず、熱交換器2をラジエータコアサポート1のラジエータコアサポートロア部6の上方に配置した後、ラジエータ13のタンク13a,13bをそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部7,8の嵌合溝12に上方から挿入して嵌合させることにより、熱交換器2を固定支持する。
この際、図7に示すように、熱交換器2のレインフォース15bはラジエータコアサポートロア部6の段部6bに当接して配置されると共に、熱交換器2の最下端のフィン16がラジエータコアサポートロア部6の前端部上面6aと同一高さに配置される。
【0024】
なお、フィン16を前端部上面6aよりも上方位置に配置しても良い。
また、本実施例1の熱交換器2のラジエータ13のタンク13a,13bの下端は、レインフォース15bの下端よりも下方へ突出しており、この部分はそれぞれ対応する嵌合溝12の段部6bより低い部分に挿入配置されている。勿論、これら両者の下端を揃えても良いし、段部6bの一部をレインフォース15bに合わせて上方へ突出させても良い。
【0025】
従って、本実施例1の熱交換器2は左右両側をラジエータコアサポートサイド部7,8の嵌合溝12により弾性的に固定支持されることとなる。
なお、段部6bに嵌合溝12と同様の溝を設けてここに熱交換器2の下端を嵌合するようにしても良い。
或いは、熱交換器2を上下方向に幾分揺動可能な状態で設けて、その下端をゴムマウント等の弾性部材を介して弾性支持するようにしても良い。
【0026】
次に、両ラジエータコアサポートサイド部7,8の上端部にラジエータコアサポートアッパ部9の底部を図外の接着手段により貼着または溶着してこれら両者を固定し、熱交換器2の上方を塞いだ状態とする。
なお、両ラジエータコアサポートサイド部7,8の上端部とラジエータコアサポートアッパ部9の底部に互いに嵌合する凹凸部を形成してこれら両者を固定しても良い。
【0027】
次に、図8に示すように、各ラジエータコアサポートサイド部7,8の開口部10にそれぞれ対応するバンパステイ3,3を挿入すると共に、各バンパステイ3のフランジ部3bとバンパアーマチュア5の後面5bとの間で挟持部11を車両前後方向に挟持させた状態として、図外のボルトをバンパアーマチュア5の各ボルト挿通孔5aにそれぞれ挿入してバンパステイ3,3の各ボルト孔3aに締結することにより、バンパステイ3,3とバンパアーマチュア5を固定する。
この際、挟持部11は前述したボルト締結により前後方向に僅かに圧縮された状態で挟持される。
【0028】
従って、本実施例1ではラジエータコアサポート1がバンパステイ3,3とバンパアーマチュア5によって略コ字状に挟持された状態で固定支持されることとなる。
【0029】
次に、ラジエータコアサポート1の周辺にヘッドランプやモータファンシュラウド等の周辺部材を装着して車両全部のモジュールを完成させる。
【0030】
周辺部材の一例としてモータファンシュラウドを熱交換器2の後面に装着する場合について説明する。
図9に示すように、本実施例1のモータファンシュラウド17は、樹脂製で前方に開口した略箱形状に形成される他、その中央には左右方向に離間したファン開口部17a,17aが設けられると共に、各ファン開口部17aに臨んだ状態でモータファン17bが搭載されている。
また、モータファンシュラウド17の左右方向両端部には平板状の平坦部17cがそれぞれ形成されると共に、各平坦部17cをラジエータ13のそれぞれ対応するタンク13a,13bに設けられた図外のブラケットを介して結合させることにより、該モータファンシュラウド17と熱交換器2(ラジエータ13)を固定できるようになっている。
勿論、モータファンシュラウド17を熱交換器2に予め装着しておき、これら両者を共にラジエータコアサポート1に固定しても良い。
【0031】
また、モータファンシュラウド17はエンジンファンシュラウドとしても良い。
【0032】
最後に、モジュール化されたラジエータコアサポート1を車体組立向上へ搬送して、バンパステイ3,3のボルト孔3cとサイドメンバ4,4のそれぞれ対応するボルト孔4aに図外のボルトを挿入して締結することにより、車両前部構造の組み付けを終了する。
【0033】
従って、本実施例1の車両前部構造では、従来の発明に比べてバンパステイ3,3とラジエータコアサポートサイド部7,8を仮固定するための構造を省略できると共に、ラジエータコアサポート1をバンパステイ3,3とバンパアーマチュア5に挟持させるという構造でもってラジエータコアサポート1を固定支持でき、車両前部の効率的な生産を実現できる。
【0034】
次に、作用を説明する。
このように構成された車両前部構造では、ラジエータコアサポート1全体が車両前方側へ張り出した形状に形成されるため、ファンによる強制風または車両走行風を熱交換器2へ導く導風機能と、エンジン側の熱気が熱交換器2へ吹き返すのを防止する熱気防止機能を有するエアガイドとして機能する。
【0035】
この際、熱交換器2の側方はラジエータコアサポートサイド7,8の内側に、上方はラジエータコアサポートアッパ部9の下面に、下方はラジエータコアサポートロア部6の段部6bにそれぞれ当接し、これによって、熱交換器2とラジエータコアサポート1との高いシール性を実現でき、熱交換器2のコア部13c,14cへの良好な通風と、エンジン側の熱気の吹き返しを防止できる。
【0036】
また、本実施例1では、熱交換器2の最下端のフィン16がラジエータコアサポートロア部6の前端部上面6aと同一高さに配置しているため、全てのフィン13gへスムーズに通風させることができる。
【0037】
また、従来の発明に比べてラジエータコアサポートとエアガイドが一体的に形成されることにより、ラジエータコアサポート1と熱交換器2とのシール性を向上できる。
【0038】
また、ラジエータコアサポート1を発泡樹脂製としたため、車両衝突時において、車両後方側へ圧縮して衝撃力を吸収・分散可能な衝撃吸収部材として機能する。
【0039】
この際、図10に示すように、車両衝突時の衝撃力Fによるバンパアーマチュア5の後方変位に伴って、挟持部11が後方側へ圧縮して熱交換器2を後方側へ移動させ、これによって、バンパアーマチュア5と熱交換器2が接触して熱交換器2が破損するのを防止できる。
【0040】
また、モータファンシュラウド17のモータファン17bの振動をラジエータコアサポート1で吸収でき、車体側への振動の伝達を防止できる。
【0041】
次に、効果を説明する。
以上、説明したように、本実施例1の車両前部構造にあっては、車幅方向に延在するバンパアーマチュア5と、車両前方側端部がバンパアーマチュア5の車幅方向端部にそれぞれ接続される一方、車両後方側端部がサイドメンバ4,4にそれぞれ接続される一対のバンパステイ3,3と、熱交換器2を固定支持するラジエータコアサポート1を備える車両前部構造において、ラジエータコアサポート1を車幅方向へ延在するラジエータコアサポートロア部6と、このラジエータコアサポートロア部6の車幅方向両端部から上方へ延在するラジエータコアサポートサイド部7,8とから構成すると共に、これらを発泡樹脂で一体的に形成し、バンパアーマチュア5と各バンパステイ3,3でそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部7,8を車両前後方向に挟持させた状態でラジエータコアサポート1を固定支持したため、車両前部の効率的な生産を実現できると同時に、ラジエータコアサポート1の軽量化と多機能化を図ることができる。
【0042】
また、両ラジエータコアサポートサイド部7,8またはラジエータコアサポートロア部6の内側に嵌合部を形成すると共に、この嵌合部に熱交換器2を上方から挿入して嵌合させることにより、該熱交換器2を固定支持したため、簡便な作業でもって熱交換器2をラジエータコアサポート1に搭載できる。
【0043】
また、ラジエータコアサポート1は、両ラジエータコアサポートサイド部7,8の車両上方端部同士を締結し、且つ、熱交換器2の上方を覆うラジエータコアサポートアッパ部9を備え、ラジエータコアサポートロア部6、両ラジエータコアサポートサイド部7,8、ラジエータコアサポートアッパ部9材を車両前方側へ張り出した形状に形成したため、ラジエータコアサポート1をエアガイドとして機能させることができる。
【0044】
また、バンパアーマチュア5の後面と各バンパステイ3,3の車両後端部に設けられたフランジ部3bとの間でそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部7,8を車両前後方向に挟持させた状態でラジエータコアサポート1を固定支持し、ラジエータコアサポート1は、車両衝突時に車両後方側へ変位して熱交換器2を車両後方側へ移動させることにより該熱交換器2とバンパアーマチュア5との接触を回避するようにしたため、車両衝突時における熱交換器2とバンパアーマチュア5との接触を回避できる。
【0045】
以上、本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、熱交換器2は一体型熱交換器に限らず、インタークーラやオイルクーラ等の一般的な全ての熱交換器を適用することができ、熱交換器の形状に合わせて嵌合溝12の形状も変更される。
【0046】
また、モータファンシュラウド17をラジエータコアサポート1に直接固定する場合には、図11に示すように、ラジエータコアサポートサイド部7,8の内側に上方へ開口した嵌合溝18をそれぞれ形成すると共に、ここにモータファンシュラウド17のそれぞれ対応する平坦部17cを上方から嵌挿し固定する。なお、嵌合溝12,18を共用しても良い。
これにより、モータファンシュラウド17も熱交換器2と同様に固定することができる他、モータファン17bの振動をラジエータコアサポート1に直接吸収させることができ、好適となる。
加えて、従来はモータファンシュラウドとラジエータコアサポートとの隙間を介して起因するエンジン側の熱気の吹き返しを防止するために、ウレタン、ゴムシール等を使用して隙間を塞いでいたが、モータファンシュラウド17をラジエータコアサポート1に直接固定する場合には、該隙間を無くすことができるため、これら両者のシール性を向上できる。
【0047】
また、複数の熱交換器、例えば別体のコンデンサとラジエータを搭載する場合には、図12に示すように、コンデンサ20とラジエータ21に対応する嵌合溝20a,21aをラジエータコアサポート1にそれぞれ形成する。
【0048】
また、図13、14に示すように、ラジエータコアサポートアッパ部9とラジエータコアサポート1を一体的に形成して車両後方側から熱交換器2を搭載するようにしても良く、この際、コンデンサ20、第1枠状部材22、ラジエータ21、第2枠状部材23を互いに嵌合させた状態で収容するようにしても良い。なお、各枠部材22,23はラジエータコアサポート1と同様に発泡樹脂製とし、これらのラジエータコアサポート1との固定は接着剤やクリップ等の締結手段を用いる。
【0049】
さらに、ラジエータコアサポート1の詳細な部位の形状は、熱交換器2やモータファンシュラウド17等の周辺部材に合わせて適宜設計変更でき、例えば、図15に示すように、実施例1で説明したラジエータコアサポートロア部6の段部6を省略して前端部上面6aと面一にすると共に、ここに熱交換器2のレインフォース15bの下端を挿入可能な嵌合溝24を設けることにより、熱交換器2の下端におけるラジエータコアサポート1とのシール性をさらに向上できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施例1の車両前部構造を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の車両前部構造を示す斜視図である。
【図3】本実施例1のラジエータコアサポートの分解拡大斜視図である。
【図4】本実施例1の熱交換器の斜視図である。
【図5】本実施例1の熱交換器のコア部を説明する斜視断面図(一部のみ)である。
【図6】本実施例1の熱交換器の正面図である。
【図7】本実施例1のラジエータコアサポートロア部と熱交換器の配置を説明する断面図(一部のみ)である。
【図8】本実施例1の車両前部の各構成部材の配置を説明する図である。
【図9】本実施例1のモータファンシュラウドの斜視図である。
【図10】本実施例1の作用を説明する図である。
【図11】その他の実施例の車両前部の各構成部材の配置を説明する図である。
【図12】その他の実施例の車両前部を示す分解斜視図である。
【図13】その他の実施例の車両前部を示す分解前方斜視図である。
【図14】その他の実施例の車両前部を示す分解後方斜視図である。
【図15】その他の実施例のラジエータコアサポートロア部と熱交換器の配置を説明する断面図(一部のみ)である。
【符号の説明】
【0051】
1 ラジエータコアサポート
2 熱交換器
3 バンパステイ
3a ボルト孔
3b フランジ部
3c ボルト孔
4 サイドメンバ
4a サイドメンバ
5 バンパアーマチュア
5a ボルト挿通孔
6 ラジエータコアサポートロア部
6a 前端部上面
6b 段部
7、8 ラジエータコアサポートサイド部
9 ラジエータコアサポートアッパ部
10 開口部
11 挟持部
12 嵌合溝
13 ラジエータ
13a、13b タンク
13c コア部
13d 入力ポート
13e 出力ポート
13f チューブ
13g フィン
14 コンデンサ
14a、14b タンク
14c コア部
14d、14e 仕切り板
14f 入力ポート
14g 出力ポート
14h コネクタ
14i パイプ
14j、14k パイプ
14m レシーバ
14n チューブ
15a、15b レインフォース
16 フィン
17 モータファンシュラウド
17a モータファン
17b ファン開口部
17c 平坦部
18 嵌合溝
20 コンデンサ
20a、21a 嵌合溝
21 ラジエータ
22 第1枠状部材
23 第2枠状部材
24 嵌合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延在するバンパアーマチュアと、
車両前方側端部がバンパアーマチュアの車幅方向端部にそれぞれ接続される一方、車両後方側端部がサイドメンバにそれぞれ接続される一対のバンパステイと、
熱交換器を固定支持するラジエータコアサポートを備える車両前部構造において、
前記ラジエータコアサポートを車幅方向へ延在するラジエータコアサポートロア部と、このラジエータコアサポートロア部の車幅方向両端部から上方へ延在するラジエータコアサポートサイド部とから構成すると共に、これらを発泡樹脂で一体的に形成し、
前記バンパアーマチュアと各バンパステイでそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部を車両前後方向に挟持させた状態でラジエータコアサポートを固定支持したことを特徴とする車両前部構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両前部構造において、
前記両ラジエータコアサポートサイド部またはラジエータコアサポートロア部の内側に嵌合部を形成すると共に、この嵌合部に熱交換器を上方から挿入して嵌合させることにより、該熱交換器を固定支持したことを特徴とする車両前部構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両前部構造において、
前記ラジエータコアサポートは、両ラジエータコアサポートサイド部の車両上方端部同士を締結し、且つ、熱交換器の上方を覆うラジエータコアサポートアッパ部を備え、
前記ラジエータコアサポートロア部、両ラジエータコアサポートサイド部、ラジエータコアサポートアッパ部材を車両前方側へ張り出した形状に形成したことを特徴とする車両前部構造。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれかに記載の車両前部構造において、
前記バンパアーマチュアの後面と各バンパステイの車両後端部に設けられたフランジ部との間でそれぞれ対応するラジエータコアサポートサイド部を車両前後方向に挟持させた状態でラジエータコアサポートを固定支持し、
前記ラジエータコアサポートは、車両衝突時に車両後方側へ変位して熱交換器を車両後方側へ移動させることにより該熱交換器とバンパアーマチュアとの接触を回避するようにしたことを特徴とする車両前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−174093(P2008−174093A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9322(P2007−9322)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】